ウエストナイルウイルスワクチン
本発明は、ウエストナイルウイルスに対する免疫原性組成物を提供する。前記免疫原性組成物はまた、代替的な態様において、他のウマ科病原体も含む。本発明のウエストナイルウイルス組成物は、有利には、北米優性ウエストナイルウイルス株または単離株に対する防御を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
ウエストナイルウイルス(「WNV」)はフラビウイルス科に存する。通常、昆虫刺咬を通して移す媒介蚊を通して感染にかかる。ウエストナイルは、世界中の全タイプの動物および鳥類に感染する。このウイルスは初めて1999年に北米領域において発見され、最初の診断はカナダのウマにおいてであった。現在では、ウエストナイルウイルスは米国において風土病化し、全タイプの鳥類、ヒトおよび動物に罹患する。2002年にウエストナイルウイルスの確認された14,700超の症例が43の州で報告された。
【0002】
WNVの蔓延はいくつかの因子によって影響を受ける。蚊はウイルスのためのベクターでありそしてWNVを存続させるので、蚊個体群の成長および発達を行なう生態学的な条件は、WNVの蔓延の影響を有する。WNVの蔓延を防ぐ努力において蚊個体群を制御するために使用されたいくつかの戦法が存在する。これらの戦法は、殺虫剤、忌避剤、蚊と動物との間の接触を防ぐ物理的障壁の使用、蚊の繁殖を持続させる環境の排除、および免疫化の使用を含む。WNVの典型的な兆候は、中枢神経系に罹患する様々な症状を含む。脳炎の症状がしばしば見られ、そしてそれは、ウイルス血症、中枢神経系の組織病理学的病変、食欲不振、うつ病、発熱、衰弱、異常歩行、後足の麻痺、視力障害、運動失調、目的のない徘徊、痙攣、嚥下不能、昏睡、および死亡を含む。
【0003】
WNVに対して指向されるいくつかのワクチンが導入されたが、これらは様々な理由から望ましくない。例えば、あるワクチンは、カナリアポックスをベクターとしてウエストナイルウイルスから産生された。別のセットのワクチンは、ウエストナイルウイルスの組換えキメラタンパク質から産生され、ここで、キメラタンパク質ワクチンは、改変形の細菌フラゲリン(STF2デルタ)をWNVエンベロープタンパク質のEIIIドメインに融合することによって設計された。別のワクチンは、アジュバントとして代謝可能な油を必要とする、不活性化された初期北米ウエストナイル株を含んだ。最後に、弱毒生キメラワクチンが、プレメンブランおよびエンベロープタンパク質が対応するWN(4)の遺伝子によって置換された黄熱病17Dウイルスの感染性クローンから産生された。
【0004】
前記したワクチンに固有のいくつかの問題が存在する。生のウイルス性生物を含むワクチンは、動物がワクチン接種を通してウイルスに感染し、病気およびさらには死にさえ至るリスクを有する。キメラタンパク質ワクチン、組換え発現ワクチン、およびいくつかのサブユニットワクチンは、ワクチン組成物に含まれるタンパク質の数に関連した、制限された免疫学的な活性および効果の問題を有する。これらのタイプのワクチンの効力は通常制限されており、そしてウイルスによる感染のリスクまたは野生型ウイルスへの復帰がよく見られる。さらに、一般的なワクチンに使用されるアジュバントの中には、代謝可能な油からなり、これは生体から比較的急速に除去され、そしてワクチン接種動物の免疫系が免疫学的に活性な組成物に応答し得る持続時間を制限するものもある。ワクチン接種動物においてアレルギー反応および望ましくない作用を引き起こし得るアジュバントもある。さらに、これらのワクチンは、WNV以外の他の病原体に対する免疫を刺激するための抗原を含まず、よってそれらは、いくつかの疾患に対して簡便性および安全性の両方でもって動物を防御できない。また、全ての以前のワクチンは、もはや環境に存在せず、従って、もはや動物に感染できずそして疾患を引き起こすことができないWNVの初期単離株に由来していた。
【0005】
従って、当技術分野において必要なのは、妊娠動物を含む全ての年齢の動物への投与に対して安全であり、そしてワクチンの免疫原性効果および持続時間を助けるのに適したアジュバントを含み、そして天然環境に存在したままであり、そして疾患(これに対して、このようなワクチンが防御を与えるであろう)を引き起こすWNVの現代のまたは優性な単離株から調製される、ワクチンである。ウエストナイルウイルスによる疾患または感染に関連した臨床兆候の排除または予防に至るかこれを含む発生率および/または重度を減少させるワクチンがさらに必要とされる。さらに必要とされるのは、ウエストナイルウイルス抗原を他のウマ科病原体由来の抗原と組み合わせて含み、これにより、ウエストナイルウイルスおよび他の病原体(群)の両方に由来する疾患の臨床兆候の発生率または重度を減少させることによってさらなる防御を与える、ウエストナイルウイルスに対するワクチンである。
【0006】
発明の要約
本発明は、従来技術に固有の問題を克服し、そして最新技術における明確な進歩を提供する。より特定すると、本発明は、ウエストナイルウイルスの1つ以上の株または単離株を含む免疫原性的に活性な抗原性成分を含む、ワクチンまたは免疫原性組成物を提供する。いくつかの好ましい態様において、前記組成物は、アジュバント、好ましくはカルボマー、および薬学的に許容される担体をさらに含む。好ましくは、ウエストナイルウイルス抗原は、死滅または不活性化されている。この組成物は、ウエストナイルウイルスに罹患しやすい動物において免疫原性応答を誘導し、そしてあらゆる年齢の動物にとって安全なワクチンを提供する。
【0007】
本発明はさらに、免疫原性的に活性であり、そして以前に記載されたワクチン組成物の限界を克服する、ワクチン組成物を提供する。本発明は、不活性化されたワクチンを提供し、これにより、妊娠雌を含むワクチン接種動物に対して独特な安全性を提供する。さらに、本発明の免疫原性組成物は、ワクチン接種動物における受動的に獲得された母子免疫からの干渉を克服し、そして能動免疫を刺激する。有利には、本発明は、病原性WNVの多くのまたは全ての関連する抗原性成分およびタンパク質を含む、広範囲で効果的な免疫原性的に活性な組成物を提供する。本発明の免疫原性組成物は、それが組成物中にWNVの現代単離株または疫学的に優性な単離株の抗原を含み、今日、ウマを含む動物において最もよく見られる単離株に対する免疫に至るかそれを含む、WNV感染の臨床兆候の発生率および/または重度を減少させることによる防御的な免疫原性応答を提供する点において独特である。好ましい態様において、WNVのそのような現代単離株は、北米ウエストナイルウイルス単離株または北米優性ウエストナイルウイルス単離株の一部である単離株を含む。本発明の目的のために、WN02はWNV株の代表例であり、これを北米優性ウエストナイルウイルス株または単離株ということができる。特に、北米優性株および単離株は、少なくとも1ヌクレオチドの変化を有し、これによってWN99単離株からの1アミノ酸の変化がもたらされたものである。NY99株(GenBankアクセッションナンバーAF196835)は、株または単離株が北米優性であるかどうかを決定するための参照株として作用する。さらに、これらの株または単離株は、1つ以上のサイレントなアミノ酸変化を有し得る。好ましい態様において、ヌクレオチド変化により株または単離株のエンベロープタンパク質のアミノ酸の変化が生じ、より好ましくはヌクレオチド変化によりバリンからアラニンへのアミノ酸の変化が生じる。好ましくは、このアミノ酸変化は、中間宿主、すなわち蚊における、より大きな複製能に関連している。より好ましくは、北米優性株は、それぞれ1442位および2466位におけるUからCへの突然変異およびCからUへの突然変異(北米株、例えばNY99および配列番号23と比較して)のいずれか(および好ましくは両方)を含む。さらにより好ましくは、北米優性株または単離株はさらに、Eタンパク質をコードするヌクレオチド配列中における突然変異、およびNS5タンパク質をコードする配列中の9352位におけるCからUへの突然変異(ここでも、北米株、例えばNY99および配列番号23と比較して)を含む。これらの好ましい突然変異は、実施例10およびPhylogenetic Analysis of North American West Nile Virus Isolates, 2001-2004: Evidence For the Emergence of a Dominant Genotype, C. Todd Davis, et. al, Virology 342, p. 252-265 (2005)(この教義および内容は参照により本明細書に組み入れられる)に示される。
【0008】
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物の製造法を提供する。前記方法は、一般に、ウエストナイルウイルス抗原と、賦形剤または薬学的もしくは獣医学的に許容される担体とを組み合わせる工程を含む。好ましい態様はさらに、1つ以上の追加のウマ科抗原を添加する工程を含む。別の態様において、前記方法はさらに、適切なアジュバントを前記組成物に添加する工程を含む。
【0009】
1つの好ましい態様において、本発明は、WNV抗原と、ワクチン接種動物の免疫系が免疫原性的に活性な組成物に応答し得る持続時間を延長するための代謝不可能な油アジュバント、好ましくは鉱物油とを含む。代謝不可能な油は、抗原と共に投与された場合、投与後に生体において代謝されない油であると理解される。好ましい代謝不可能な油は鉱物油である。他の好ましい形態において、カルボマーアジュバントおよび代謝不可能な油(好ましくは鉱物油)の両方がWNV抗原に加えて存在する。アジュバント(群)を、本明細書において記載された任意の組成物において使用することができる。
【0010】
追加の態様において、本発明の組成物は、WNV抗原、好ましくは北米優性株由来の不活性化または死滅WNVを含み、そして実質的に全く油を含まないかまたは油をベースとしたアジュバントを含まない。このような態様において、他のアジュバント、好ましくはカルボマーを含めることができる。
【0011】
別の態様において、ウマ科微生物病原体由来の他の抗原と組み合わせたWNV抗原を含むワクチン組成物が、動物に広範囲の防御を付与するために提供される。このような態様において、WNV抗原は前記した任意の形態である。
【0012】
1つの好ましい態様において、本発明は、ベネズエラウマ科脳脊髄炎(VEE)、東部ウマ科脳脊髄炎(EEE)、西部ウマ科脳脊髄炎(WEE)、破傷風トキソイド(T)、ウマ科ヘルペスウイルス(EHV)(1型および4型を含む)、ウマ科インフルエンザウイルス(EIV)およびその組合せからなる群より選択された1つ以上の抗原性成分の免疫学的有効量と組み合わせた前記したWNV抗原を、薬学的に許容されうる担体と共に含む、ワクチン組成物を提供する。好ましくは、そのような態様は、アジュバント、好ましくはカルボマー、および薬学的に許容されうる担体を含むだろう。さらに、代謝不可能な油、好ましくは鉱物油も存在し得るが、しかしながら、このような油は必要ではない。
【0013】
好ましい態様はまた、前記したようなWNV抗原を:東部ウマ科脳脊髄炎;西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎;破傷風トキソイド;東部ウマ科脳脊髄炎および西部ウマ科脳脊髄炎;東部ウマ科脳脊髄炎およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;東部ウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイド;東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイド;東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイド;西部ウマ科脳脊髄炎およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;西部ウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイド;西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイド;ベネズエラウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイド;並びに東部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイドと組み合わせて含む。これらの明記した組合せの最も好ましい組合せは、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイドの抗原または抗原性成分と組み合わせたWNV抗原を含む。各々のこのような明記した組合せにおいて、アジュバントまたはアジュバントの組合せを、カルボマーと共に、さらにより好ましくはカルボポール(特に好ましい)と共に使用することができる。WNVと、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイドとの組合せの最も好ましい形態において、油(代謝可能または代謝不可能)は全く存在しない。東部ウマ科脳脊髄炎のNJO株、西部ウマ科脳脊髄炎株のフレミング株、およびベネズエラウマ科脳脊髄炎株のTC−83株は全て、これらのワクチン成分の代表的な株である。
【0014】
本発明のさらに好ましい態様を、前記に列挙した明記した各々の組合せワクチンを使用して、そしてウマ科ヘルペスウイルス、好ましくは1型、4型(EHV1および/またはEHV4)、またはその組合せに由来する抗原に添加することによって作製することができる。
【0015】
EHV1および/またはEHV4を含む組合せワクチンを含む、前記に列挙した明記した各々の組合せワクチンのさらに他の変種を、ウマ科インフルエンザウイルス(EIV)由来の抗原に添加することによって作製することができる。ウマ科インフルエンザウイルスを取り込んだ好ましい態様は、ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、および破傷風トキソイド;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、および東部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、東部ウマ科脳脊髄炎、および西部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎;およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、および東部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、および西部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、東部ウマ科脳脊髄炎、および西部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、東部ウマ科脳脊髄炎、およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、西部ウマ科脳脊髄炎、およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、西部ウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイド;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイド;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイド;並びにウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、東部ウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイドを含む。各々の明記した態様において、ウマ科インフルエンザのいずれか1つ以上の株または単離株が存在し得る。好ましいウマ科インフルエンザウイルス株は、インフルエンザA/イークワイン−2/オハイオ/03、インフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93、インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95、およびその組合せを含む。前記に列挙した全ての組合せにおいて、少なくとも2つのウマ科インフルエンザ株を使用することが好ましく、そして少なくとも3つのウマ科インフルエンザ株を使用することがさらにより好ましい。
【0016】
ウマ科ヘルペスウイルスを取り込んだ好ましい態様は:ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、東部ウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎;ベネズエラウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、および東部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、西部ウマ科脳脊髄炎およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、東部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、西部ウマ科脳脊髄炎、破傷風トキソイド、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、破傷風トキソイド、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、破傷風トキソイド、およびウマ科ヘルペスウイルス;並びにウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、東部ウマ科脳脊髄炎、破傷風トキソイド、およびウマ科ヘルペスウイルスを含む。前記に列挙した全ての組合せにおいて、少なくとも2つのウマ科インフルエンザ株を使用することが好ましく、そして少なくとも3つのウマ科インフルエンザ株を使用することがさらにより好ましい。さらに、前記の全ての組合せにおいて、ウマ科ヘルペスウイルスの「少なくとも1つの」株は、EHV−1およびEHV−4からなる群より選択されることが好ましい。いくつかの好ましい形態において、EHV−1およびEHV−4の両方の株が、免疫原性組成物に含まれるだろう。他の好ましい形態において、EHV−1だけが含まれるだろう。組合せのWNV成分は、好ましくは、本明細書に記載したような不活性化または死滅北米優性株であろう。
【0017】
ワクチン組成物を、任意の免疫原性的に有効な用量で投与することができる。好ましい態様において、ワクチン組成物は、1回量として投与される。好ましくは、用量は、約0.5ml〜2.5ml、より好ましくは約0.6ml〜2.0ml、さらにより好ましくは約0.7ml〜1.75ml、さらにより好ましくは約0.8ml〜1.5ml、さらにより好ましくは約0.9ml〜1.25mlの全容量を有し、1.0mlの1回量が最も好ましい。
【0018】
別の態様において、ワクチンは、初回量が2回目の(ブースター)用量の投与よりも前に投与されるというように投与される。好ましくは、2回目の用量は、初回量よりも少なくとも15日後に投与される。より好ましくは、2回目の用量は、初回量の15〜28日後に投与される。さらにより好ましくは、2回目の用量は、初回量の少なくとも17日後に投与される。さらにより好ましくは、2回目の用量は、初回量の17〜25日後に投与される。さらにより好ましくは、2回目の用量は、初回量の少なくとも19日後に投与される。さらにより好ましくは、2回目の用量は、初回量の19〜23日後に投与される。最も好ましくは、2回目の用量は、初回量の少なくとも21日後に投与される。好ましい態様において、ワクチンの初回量および2回目の用量の両方が同じ量である。好ましくは、各々の用量は、前記に明記した好ましい量であり、初回および2回目の用量について1mlの用量が最も好ましい。初回量および2回目の用量のレジメンに加えて、代替的な態様はさらにその後の用量を含む。例えば、3回目、4回目または5回目の用量をこれらの態様において投与することができる。好ましくは、その後の3回目、4回目および5回目の用量レジメンは、初回量と同じ量で投与され、用量の間の時間枠は、前記に記載した初回量と2回目の用量との間のタイミングと一致する。
【0019】
さらに好ましい態様において、本発明の組成物の各々の用量において、WNV抗原は、少なくとも102.0TCID50/用量を含む。より好ましくは、WNV抗原は、約102.0TCID50/用量から1010.0TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、少なくとも102.5TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、約102.5TCID50/用量から約109.5TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、少なくとも103.0TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、約103.0TCID50/用量から約109.0TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、少なくとも103.5TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、約103.5TCID50/用量から約109.0TCID50/用量を含む。最も好ましくは、WNV抗原は、107.0TCID50/用量から109.0TCID50/用量を含む。不活性化WNVワクチンまたは任意の他の不活性化ワクチンのTCID50値は、一般に、最終ワクチンにおける抗原含量をいい、これはしかしながら、その抗原の不活性化前にワクチン組成物について計算した抗原含量と等価である。好ましくは、本発明の免疫原性組成物は、市販されている検出アッセイにおいてまたは当業者に公知の手順を使用して決定した場合に、1:4以上の力価でWNVに対する血清中和抗体を刺激し、本明細書に代表例を提供する。好ましい態様において、追加のウマ科抗原を含む本発明の態様の各々の用量において、任意の用量中の東部ウマ科脳脊髄炎またはベネズエラウマ科脳脊髄炎の量は、好ましくは少なくとも105.5TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は、約105.5TCID50/用量から109.5TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は、少なくとも106.5TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は約106.0TCID50/用量から109.0TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は少なくとも106.5TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は約106.5TCID50/用量から109.5TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は少なくとも107.0TCID50/用量である。最も好ましくは、用量は106.7TCID50/用量から109.2TCID50/用量である。
【0020】
好ましくは、西部ウマ科脳脊髄炎抗原は、本発明の組成物中に存在する場合、少なくとも106.2PFU/mlの量である。さらにより好ましくは、量は106.2PFU/mlから1010.2PFU/mlである。さらにより好ましくは、量は少なくとも106.7PFU/mlである。さらにより好ましくは、量は106.5PFU/mlから109.7PFU/mlである。さらにより好ましくは、量は少なくとも107.2PFU/mlである。さらにより好ましくは、量は、約107.2PFU/mlから109.2PFU/mlである。さらにより好ましくは、量は少なくとも107.7PFU/mlであり、106.5PFU/用量から109.0PFU/mlが最も好ましい。
【0021】
別の好ましい態様において、破傷風トキソイドの量は、本発明の組成物中に存在する場合、少なくとも3CPU、より好ましくは約3CPUから20CPU、さらにより好ましくは少なくとも4CPU、最も好ましくは少なくとも5CPUの量であるが、20CPUを超えない量である。
【0022】
代替的な態様において、1つ以上のウマ科インフルエンザウイルス株が存在する場合、組成物中に存在するウマ科インフルエンザの量は、少なくとも105.0TCID50/mLの量である。より好ましくは、ウマ科インフルエンザは、約105.0TCID50/mLから109.0TCID50/mL、より好ましくは少なくとも106.0TCID50/mLの量である。さらにより好ましくは、量は、約106.0TCID50/mLから108.0TCID50/mLであり、より好ましくは量は少なくとも106.5TCID50/mlである。さらにより好ましくは、量は約106.5TCID50/mLから107.0TCID50/mLであり、最も好ましい量は約106.7TCID50/mlから107.0である。
【0023】
ウマ科ヘルペスウイルスを含む態様において、各用量中のウマ科ヘルペスウイルスの量は、少なくとも106.0TCID50/mLである。より好ましくは、ウマ科ヘルペスウイルスは、組成物中に、106.0TCID50/mLから109.5TCID50/mLの量で、より好ましくは約107.0TCID50/mLの量で存在する。さらにより好ましくは、ウマ科ヘルペスウイルスは、107.5TCID50/mLから109.0TCID50/mLの量で、より好ましくは約108.0TCID50/mLの量で存在する。さらにより好ましくは、ウマ科ヘルペスウイルスは、108.0TCID50/mLから109.0TCID50/mLの量で、最も好ましくは約108.50TCID50/mLの量で存在する。
【0024】
さらに別の好ましい態様において、経時的に現代で疫学的に流行しているWNV株を含むワクチン組成物が提供される。このような組成物は、一般に、前記組成物の効力を向上させるだろう。好ましくは、このような流行株は、ウマの組織から単離される。このような入手源は、総合的に安全で効果的なWNVワクチンが特に必要とされる種、すなわちウマのための免疫学的組成物のためのワクチンシードウイルスを調製するための好ましいWNV入手源である。さらに、本発明は、ウマの組織に由来する不活性化された低継代のWNV株を含むワクチン組成物を開示し、これにより、高継代弱毒化ワクチン、サブユニットワクチン、またはタンパク質の完全補完体未満を発現する組換え技術によって産生された他の組成物のいずれかに見られるタンパク質抗原の不適切な制限されたレパートリーを有する以前のワクチンの限界を克服する。ウマ組織から単離された、この不活性化された低継代WNV株は以前のワクチンに固有な欠陥を克服し、そして低継代の高度に病原性のウマ科株から産生されたために、これにより、ウマのワクチン接種のために以前には入手できなかった独特で総合的に効果的でしかし安全な免疫原性組成物を含む、最も関連性のある多くの免疫原性タンパク質を提供する。さらに、好ましい経時的に現代で疫学的に流行しているWNV株は、本明細書に定義したように北米優性WNV株である。
【0025】
本発明は、伝統的な免疫原性組成物またはワクチン組成物よりも広い範囲の防御を提供する。なぜなら、本発明は、特定の抗原の広い範囲の単離株に対する防御を提供するからである。本発明の組成物の効力を評価するために使用したチャレンジモデルは異種チャレンジ株を使用し、特定の株以外の単離株および株または動物のワクチン接種に使用された単離株に対する防御を提供する組成物の能力を証明する。これは本発明の独特な特徴である。
【0026】
本発明はさらに、野生型感染と比較した場合、動物、好ましくはウマにおけるウエストナイルウイルス感染に関連した臨床兆候の発生率および/または重症度の減少法を提供する。このような方法は、一般に、死滅または不活性化したウエストナイルウイルス単離株、好ましくは北米優性WNV株、および薬学的に許容される担体を含む、ワクチン組成物を投与する工程を含む。本出願のいくつかの好ましい態様において、アジュバントが前記組成物に添加され、そして他の好ましい形態において、アジュバントは全く提供されない。代替的な好ましい態様において、前記方法は、1つ以上の死滅または不活性化ウエストナイルウイルス単離株(群)を、他のウマ科病原体に由来する抗原性成分の免疫学的有効量と組み合わせて含む、ワクチン組成物を投与することを含む。好ましくは、そのような単離株は、東部ウマ科脳脊髄炎抗原、西部ウマ科脳脊髄炎抗原、ベネズエラウマ科脳脊髄炎抗原、破傷風トキソイド、およびその組合せからなる群より選択され、より好ましくは前記したそのような組合せである。別の好ましい態様において、本発明のワクチンは、適切なアジュバント、希釈剤、または薬学的に許容される担体と組み合わせられる。
【0027】
本発明は、野生型感染と比較した場合、群れにおけるウエストナイルウイルス感染に関連した臨床症状の発生率および/または重症度の減少を提供する。好ましくは、本発明の免疫原性組成物を受けている動物における臨床症状の重症度および/または発生率は、両方の群(前記組成物を受けている動物および受けていない動物)がWNVによる野生型感染でチャレンジされるかまたはそれに曝された場合、このような投与を受けていない動物と比較して少なくとも10%減少する。より好ましくは、発生率または重症度は、少なくとも20%、さらにより好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも100%減少し、本発明の組成物を受けている動物は臨床症状を全く示さない。好ましくは、WNV株は、北米優性WNV株である。有利には、本発明はまた、異種株(前記組成物に使用される株と比較して)の病原体からの防御を提供する。
【0028】
本発明はさらに、本明細書に記載の本発明による組成物を投与することによって、WNV、WEE、VEE、EEE、EHV、EIVおよびその組合せからなる群より選択される病原体に対する血清中和抗体または血清血球凝集抗体を刺激する方法を提供する。好ましくは、本発明の組成物は、1:4以上の力価でWNVに対する血清中和抗体を刺激し、これによりWNVによるウイルス血症を予防または減少する。
【0029】
本発明の免疫原性組成物は、ワクチン中に存在する全ての抗原に対して、より長時間の免疫持続時間を提供する。好ましくは、ウエストナイルに対する免疫持続時間は少なくとも1カ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24カ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24カ月間である。
【0030】
好ましくは、EIVに対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0031】
好ましくは、EHVに対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0032】
好ましくは、西部ウマ科脳脊髄炎に対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0033】
好ましくは、東部ウマ科脳脊髄炎に対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0034】
好ましくは、ベネズエラウマ科脳脊髄炎に対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0035】
好ましくは、破傷風トキソイドに対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0036】
好ましくは、少なくとも12ヶ月間の免疫持続時間はさらに、本発明の免疫原性組成物を形成する抗原の任意の組合せに関連する。
【0037】
前記したようなEIVおよび/またはEHV抗原を含む別の好ましい態様において、免疫原性組成物は、感染性EIVまたはEHVの排出を寛解することにより、他の感受性動物へのウイルスの蔓延を防ぐ。
【0038】
さらに別の好ましい態様において、本明細書に記載の本発明による組成物は、EIVに対してワクチン接種された動物において受動的に獲得された母子免疫からの干渉を克服し、そして能動免疫、およびEIV感染の臨床兆候の発生率または重症度の減少を刺激する。
【0039】
本発明の別の好ましい態様において、VEE、WEE、EEE、破傷風、WNV、ウマ科鼻腔肺炎およびウマ科インフルエンザを含む免疫原性組成物は、全て本明細書において記載したように、本発明に従って投与した後、VEE、WEE、EEE、破傷風、WNV、ウマ科鼻腔肺炎およびウマ科インフルエンザに対する効力を実証する。好ましくは、このような組成物はさらに、アジュバント、好ましくは鉱物油および/またはカルボマー、および獣医学的に許容される担体を含む。好ましい形態において、前記組成物は1mlの1回量で投与されるだろう。
【0040】
WNV抗原を含む本明細書に記載した各々の免疫原性組成物を、ウエストナイルウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるように、記載のように投与することができる。
【0041】
EIV抗原を含む本明細書に記載した各々の免疫原性組成物を、ウマ科インフルエンザに関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるように、記載のように投与することができる。
【0042】
本発明はまた、ウマ科ヘルペスウイルス抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウマ科ヘルペスウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0043】
本発明はまた、本明細書に記載したようなウエストナイルウイルスを含む免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウエストナイルウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少させるための方法を提供する。
【0044】
本発明はまた、ウマ科インフルエンザ抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウマ科インフルエンザウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少させるための方法を提供する。
【0045】
本発明はさらに、ウマ科ヘルペスウイルス抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウマ科ヘルペスウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少させるための方法を提供する。
【0046】
本発明はまた、前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウマ科インフルエンザウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少させる方法を提供し、前記免疫原性組成物を受けていない動物と比較した臨床兆候の減少は、少なくとも10%の臨床兆候の減少である。
【0047】
本発明は、前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおける感染の発生率を減少させる方法を提供する。
【0048】
本発明は、前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおける感染の発生率を減少させる方法を提供し、前記免疫原性組成物を受けていない群れと比較して感染の発生率の減少は、約10%〜50%の減少である。
【0049】
本発明は、群れにおけるEHVの臨床症状の発生率および重症度を減少させる方法を提供し、前記臨床症状は、呼吸器疾患、流産、生殖合併症、神経疾患、中枢神経系の疾患およびその組合せからなる群より選択される。
【0050】
本発明は、ウマ科ヘルペスウイルス抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウマ科ヘルペスウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0051】
本発明は、ウマ科インフルエンザ抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおけるウマ科インフルエンザに関連した臨床症状の重症度を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0052】
本発明は、ウエストナイルウイルス抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおけるウエストナイルウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0053】
本発明は、東部ウマ科脳脊髄炎抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおける東部ウマ科脳脊髄炎に関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0054】
本発明はさらに、西部ウマ科脳脊髄炎抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおける西部ウマ科脳脊髄炎に関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0055】
本発明はさらに、ベネズエラウマ科脳脊髄炎抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおけるベネズエラウマ科脳脊髄炎に関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0056】
本発明はまた、ウエストナイルウイルス抗原を適切な賦形剤または薬学的担体と組み合わせる工程を含む、前記および本明細書において記載したような本発明の免疫原性組成物のいずれか1つを製造する方法を提供する。好ましい形態において、この方法はさらに、1つ以上のウマ科抗原を添加する工程を含む。ウマ科抗原の好ましい群は、西部ウマ科脳脊髄炎、東部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、破傷風トキソイド、EHV、EIVおよびその組合せからなる群より選択される。いくつかの好ましい形態において、本明細書に記載した方法はさらにろ過工程を含み得、最終産物は精製形である。
【0057】
本明細書において使用したような「アジュバント」は、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム、サポニン、例えばQuil A、QS-21 (Cambridge Biotech Inc., Cambridge MA)、GPI-0100 (Galenica Pharmaceuticals, Inc., Birmingham, AL)、代謝不可能な油、鉱物油および/または植物(plant)油/植物(vegetable)油および/または動物油、ポリマー、カルボマー、界面活性剤、天然有機化合物、植物抽出液、炭水化物、コレステロール、脂質、油中水滴型エマルション、水中油滴型エマルション、水中油中水滴型エマルションを含み得る。エマルションは、特に、軽質流動パラフィン油(欧州薬局方型);イソプレノイド油、例えばスクアランまたはスクアレン;アルケン、特にイソブテンまたはデセンのオリゴマー化から生じた油;直鎖アルキル基を含む酸またはアルコールのエステル、より特定すると植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコールジ−(カプリレート/カプレート)、グリセリルトリ−(カプリレート/カプレート)またはプロピレングリコールジオレエート;分岐脂肪酸またはアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステルに基づき得る。油を乳化剤と組み合わせて使用し、エマルションを形成する。乳化剤は、好ましくは、非イオン性界面活性剤、特にソルビタンのエステル、マンニドのエステル(例えば、アンヒドロマンニトールオレエート)、グリコールのエステル、ポリグリセロールのエステル、プロピレングリコールのエステル、およびオレイン酸、イソステアリン酸、リシノレン酸またはヒドロキシステアリン酸のエステル(場合によってエトキシ化される)、並びにポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンコポリマーブロック、特にプルロニック社(Pluronic)の製品、特にL121である。Hunter et al., The Theory and Practical Application of Adjuvants (Ed.Stewart-Tull, D. E. S.). John Wiley and Sons, NY, pp51-94 (1995) and Todd et al., Vaccine 15:564-570 (1997)を参照されたい。好ましい態様において、アジュバントは、最終産物の容量の、約0.01〜50%の濃度、好ましくは約2%〜30%の濃度、より好ましくは約5%〜25%の濃度、さらにより好ましくは約7%〜22%の濃度、最も好ましくは10%〜20%の濃度である。本発明と組み合わせて使用される可能なアジュバントの中で、代謝可能な油を使用しないことが好ましい。好ましい態様において、アジュバントは少なくとも代謝不可能な油であり、好ましくは鉱物油である。代替的な好ましい態様において、ワクチン組成物は本質的に油をベースとしたアジュバントを全く含まない。最も好ましい態様において、ワクチン組成物は、代謝不可能な油、好ましくは鉱物油とカルボマーとの両方をアジュバントとして含む。
【0058】
さらに、本発明の免疫原性組成物およびワクチン組成物は、1つ以上の獣医学的に許容され得る担体を含み得る。本明細書において使用したような「獣医学的に許容され得る担体」は、任意および全ての溶媒、分散培地、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存剤、賦形剤、抗細菌剤および抗真菌剤、抗微生物剤、等張化剤、吸収遅延剤などを含む。いくつかの好ましい態様において、そして特に凍結乾燥した免疫原性組成物を含む態様において、本発明において使用するための安定化剤は、凍結乾燥またはフリーズドライのための安定化剤を含む。
【0059】
「希釈剤」は、水、食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどを含み得る。等張化剤は、とりわけ、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを含み得る。安定化剤は、とりわけ、アルブミンおよびエチレンジアミンテトラ酢酸のアルカリ塩を含む。
【0060】
好ましい態様において、保存剤および安定化剤を含む本発明の免疫原性組成物が調製され;より好ましくは、ゲンタマイシン、EDTA、グリセロールおよびその組合せを含む本発明の免疫原性組成物が調製される。
【0061】
「免疫原性組成物または免疫学的組成物」は、対象の組成物またはワクチンに対して細胞性および/または抗体媒介性免疫応答の免疫学的応答を宿主において誘起する、少なくとも1つの抗原を含む問題の組成物をいう。通常、「免疫学的応答」は、以下の効果の1つ以上を含むがこれらに限定されるわけではない:対象の組成物またはワクチンに含まれる抗原または抗原群に特異的に指向される、抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、および/または細胞障害性T細胞および/またはガンマ・デルタT細胞の産生または活性化。好ましくは、宿主は、新たな感染に対する抵抗性が増強されそして/または疾患の臨床的重症度が減少するように、治療的または防御的な免疫学的応答のいずれかを示すだろう。このような防御は、感染宿主によって通常示される臨床兆候の減少もしくは消滅、より迅速な回復時間および/または持続時間の減少または感染宿主の組織もしくは体液もしくは外分泌液における細菌力価の減少のいずれかによって実証されるだろう。
【0062】
本明細書において使用したような用語「このような投与を必要とする」または「このような投与処置を必要とする」は、投与/処置が、本発明による免疫原性組成物を受けた動物の健康または健康に対する任意の他のプラスの医薬的効果のブーストまたは改善に関連することを意味する。
【0063】
用語「ウエストナイルウイルス」抗原は、動物中に存在する場合に免疫原性であるWNVビリオンの成分、最も特定すると動物中に存在する場合に体液性または細胞性免疫応答を誘起するWNVのエンベロープおよび非構造タンパク質などのタンパク質成分を意味するがこれらに限定されるわけではない。このような抗原は、DNA、タンパク質サブユニット、改変された生ウイルス、および死滅または不活性化されたウイルスを含み得る。本発明の好ましい形態において、WNV抗原または抗原群は、不活性化または死滅した、さらにより好ましくは北米優性のWNV株を含む。
【0064】
用語「北米ウエストナイルウイルス(株)」は、北米大陸上で今までに発見されたあらゆるウエストナイルウイルス株または単離株をいうがこれらに限定されるわけではない。好ましくは、北米ウエストナイルウイルス株は、NY99株(GenBankアクセッションナンバーAF196835またはNCBI参照配列NC_00942.1 (配列番号23))に対して少なくとも97%、さらにより好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも98.5%、より好ましくは少なくとも99%、さらにより好ましくは少なくとも99.2%、最も好ましくは少なくとも99.4%の配列同一性を有する。
【0065】
「配列同一性」は、当技術分野において公知であるように、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列間の、すなわち、参照配列と、参照配列と比較しようとする所与の配列との間の関係をいう。配列同一性は、所与の配列を参照配列と、このような配列ストリング間でのマッチによって決定される最高度の配列類似性を産生するように配列を最適にアラインさせた後、比較することによって決定される。このようなアラインメント時に、配列同一性は、1つ1つの位置に基づいて確認され、例えば配列は、特定の位置において、もしその位置においてヌクレオチドまたはアミノ酸残基が同一であるならば「同一」である。その後、このような位置同一性の全数を、参照配列中のヌクレオチドまたは残基の全数によって割ることにより、配列同一性%が得られる。配列同一性は、Computational Molecular Biology, Lesk, A. N., ed., Oxford University Press, New York (1988), Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York (1993); Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey (1994); Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinge, G., Academic Press (1987); Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York (1991); and Carillo, H., and Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988)(これらの教義は参照により本明細書に組み入れられる)に記載された方法を含むがこれらに限定されるわけではない公知の方法によって容易に計算することができる。配列同一性を決定するための好ましい方法は、試験する配列間で最大のマッチが得られるように設計される。配列同一性を決定するための方法は、所与の配列間の配列同一性を決定する公共的に入手可能なコンピュータープログラムにおいて体系化されている。このようなプログラムの例は、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al., Nucleic Acids Research, 12(1):387 (1984))、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Altschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215:403-410 (1990)を含むがこれらに限定されるわけではない。BLASTXプログラムは、NCBIおよび他の入手源(BLAST Manual, Altschul, S. et al., NCVI NLM NIH Bethesda, MD 20894, Altschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215:403-410 (1990)(これらの教義は参照により本明細書に組み入れられる)から公共的に入手可能である。これらのプログラムは、デフォルトギャップウェイトを使用して配列を最適にアラインさせることにより、所与の配列と参照配列との間の最高レベルの配列同一性を産生する。説明として、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも例えば85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の「配列同一性」を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによって、所与のポリヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチド毎に15まで、好ましくは10まで、さらにより好ましくは5までの点突然変異を含み得ることを除いて、所与のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることを意味する。別の言葉で言えば、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにおいて、参照配列中の15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までのヌクレオチドを、欠失し得るかまたは別のヌクレオチドで置換し得るか、あるいは、参照配列中の全ヌクレオチドの15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までの数のヌクレオチドを参照配列中に挿入し得る。参照配列のこれらの突然変異は、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位置において、または、参照配列中のヌクレオチド間に個々にもしくは参照配列内の1つ以上の連続基内のいずれかに散在したそのような末端位置間のいずれかの場所において起こり得る。同様に、参照アミノ酸配列に対して少なくとも例えば85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の配列同一性を有する所与のアミノ酸配列を有するポリペプチドによって、所与のポリペプチド配列が、参照アミノ酸配列の100アミノ酸毎に15まで、好ましくは10まで、さらにより好ましくは5までのアミノ酸変化を含み得ることを除き、所与のポリペプチドのアミノ酸配列が参照配列と同一であることを意味する。別の言葉で言えば、参照アミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の配列同一性を有する所与のポリペプチド配列を得るために、参照配列中の15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までのアミノ酸残基を欠失し得るかまたは別のアミノ酸で置換し得るか、あるいは、参照配列中のアミノ酸残基の全数の15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までの数のアミノ酸を、参照配列中に挿入し得る。参照配列のこれらの変化は、参照アミノ酸配列のアミノもしくはカルボキシ末端位置において、または、参照配列中の残基間に個々にもしくは参照配列内の1つ以上の連続基内のいずれかに散在したそのような末端位置間のいずれかの場所において起こり得る。好ましくは、同一ではない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。しかしながら、保存的置換は、配列同一性を決定する場合にマッチとして含まれない。
【0066】
用語「北米優性ウエストナイルウイルス」株および単離株は、Phylogenetic Analysis of North American West Nile Virus Isolates, 2001-2004: Evidence For the Emergence of a Dominant Genotype, C. Todd Davis, et. al, Virology 342, p. 252-265 (2005)(この教義および内容は参照により本明細書に組み入れられる)などで定義されたような株または単離株をいう。本明細書において注記したように、北米優性WNV株または単離株は少なくとも1つのヌクレオチド変化を有し、これはWN99単離株からの1つのアミノ酸の変化を生じる。NY99株(GenBankアクセッションナンバーAF196835)(この例は、配列番号23に提供される)は、株または単離株が北米優性であるかどうかを決定するための参照株として作用する。好ましい態様において、ヌクレオチド変化は、株または単離株のエンベロープタンパク質の1アミノ酸変化をもたらし、より好ましくはヌクレオチド変化は、重要なエンベロープタンパク質の159位におけるバリンからアラニンへのアミノ酸変化または「E159」をもたらす。好ましくは、このアミノ酸変化は、中間宿主、すなわち蚊における複製能の増大に関連する。さらに、これらの株または単離株は、1つ以上のサイレントなアミノ酸変化を有し得る。好ましくは、北米優性株はまた、それぞれ1442位および2466位(北米株、例えばNY99および配列番号23と比較して)におけるUからCへの突然変異およびCからUへの突然変異のいずれか(および好ましくは両方)を含む。さらにより好ましくは、北米優性株または単離株は、Eタンパク質をコードするヌクレオチド配列における突然変異、およびNS5タンパク質をコードする配列中の9352位におけるCからUへの突然変異をさらに含む(ここでも北米株、例えばNY99および配列番号23と比較)。これらの好ましい突然変異は、特異的領域について実施例10および図10〜17に詳細に示されている。代表的な北米優性WNV株が本出願において列挙されている。さらに、本発明の目的のために、北米優性およびWN02は同義語として使用される。
【0067】
本発明の目的のために、ウマ起源2005株、ノース・アメリカン・イークワインE159、E159(ウマ起源)、NAEE159、米農務省単離株405330(USDA2005)ウマ起源、およびE159株は同義語として使用される。本発明の目的のために、ロバ起源2004株、米農務省単離株292206(USDA2004)ロバ起源、E159(ロバ起源)、およびノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)は同義語として使用される。E159は、エンベロープタンパク質におけるバリンからアラニンへのアミノ酸変化が前記のように159位において起こることを示す。
【0068】
ウエストナイルウイルス株または単離株は、本発明の目的のために、ウマおよびウマ科ウエストナイルウイルス株に限定されるわけではないが、トリ起源、ロバ起源、ブタ起源、ヒト起源、哺乳動物起源およびウマ科起源のそのようなウエストナイルウイルス株を包含するがこれらに限定されるわけではない。
【0069】
本発明の目的のために、用語「株」および「単離株」は同じ意味を有し、そして同義語として使用される。
【0070】
本明細書において使用されるような「薬学的に」または「獣医学的に許容され得る担体」または「薬学的な担体」は、任意および全ての溶媒、成長培地、分散媒体、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤、吸収遅延剤などを含む。
【0071】
「免疫原性組成物または免疫学的組成物」は、対象の組成物またはワクチンに対して細胞性および/または抗体媒介性免疫応答の免疫学的応答を宿主において誘起する、少なくとも1つの抗原を含む問題の組成物をいう。通常、「免疫学的応答」は、以下の効果の1つ以上を含むがこれらに限定されるわけではない:対象の組成物またはワクチンに含まれる抗原または抗原群に特異的に指向される、抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、および/または細胞障害性T細胞および/またはガンマ・デルタT細胞、および/またはウイルス中和抗体の産生または活性化。好ましくは、宿主は、新たな感染に対する抵抗性が増強されそして/または疾患の臨床的重症度が減少するように、治療的または防御的な免疫学的応答のいずれかを示すだろう。このような防御は、感染宿主によって通常示される臨床兆候の減少もしくは消滅、より迅速な回復時間および/または臨床疾患の持続時間の減少または感染宿主の組織もしくは体液もしくは外分泌液におけるより高いウイルス抗体力価、または血中におけるウイルス血症の減少、または感染に因る全体的もしくは組織病理学的な病変の減少のいずれかによって実証されるだろう。
【0072】
さらに、本発明の免疫原性組成物およびワクチン組成物は、1つ以上の獣医学的に許容され得る担体を含み得る。本明細書において使用したような「獣医学的に許容され得る担体」は、任意および全ての溶媒、分散培地、細胞培養培地および細胞培養構成成分、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤、吸収遅延剤などを含む。「希釈剤」は、水、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどを含み得る。等張化剤は、とりわけ、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを含み得る。安定化剤は、とりわけ、アルブミンおよびエチレンジアミンテトラ酢酸のアルカリ塩を含む。
【0073】
ウエストナイルウイルスの「臨床兆候」は、本発明の目的のために、脳炎、ウイルス血症、食欲不振、うつ病、発熱、衰弱、異常歩行、後足の麻痺、視力障害、運動失調、目的のない徘徊、痙攣、嚥下不能、昏睡、後側虚弱、麻痺、協調性低下、うつ病および関連挙動、振戦、痙攣、足のパドリング、神経学的問題、中枢神経系の腫脹、死亡およびその組合せを含むがこれらに限定されるわけではない。感染動物によって示される臨床兆候は、感染の重症度に依存して変化する。
【0074】
ウマ科ヘルペスウイルスの「臨床兆候」は、本発明の目的のために、流産、神経学的障害、呼吸器疾患、生殖系障害および不全、並びに中枢神経系に関連した症状を含むがこれれらに限定されるわけではない。さらに、EHV1の臨床症状は、EHV1に感染し、呼吸器合併症を示し、より高齢の群れのメンバー(その後、流産を含む生殖障害を示す)にウイルスを移す仔ウマの現象、および中枢神経系において通常示される神経学的障害を含むがこれらに限定されるわけではない。
【0075】
東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎およびベネズエラウマ科脳脊髄炎の「臨床兆候」は、本発明の目的のために、発熱、音への過敏などの神経学的兆候、興奮期間、および焦燥感、脳病変、傾眠、垂れ耳、旋回、異常歩行、麻痺、食欲不振、うつ病、頭部押し付け、協調性欠如、長期身体障害、脳外傷、死亡およびその組合せを含むがこれらに限定されるわけではない脳炎に関連することが通常知られている症状である。本明細書において使用したような「安全性」は、ワクチンウイルスが病原性へと復帰する可能性、および持続的な全身的な病気またはワクチン投与部位における許容不可能な炎症などの臨床的に重大な副作用を含むがこれらに限定されるわけではない、ワクチン接種後にワクチン接種動物において有害な結果のないことをいう。
【0076】
本明細書において言及したような「臨床兆候の発生率および/または重症度の減少」または「臨床症状の発生率および/または重症度の減少」は、野生型感染と比較して、群における感染動物の数の減少、感染の臨床兆候を示す動物数の減少もしくは排除、または動物に存在するあらゆる臨床兆候の重症度の減少をいう。例えば、本明細書における実験において、このような臨床兆候は、ウイルス血症、発熱、抗体応答および組織病理を含んだ。好ましくは、これらは、感染し得るワクチン接種を受けていない動物と比較して、本発明の組成物を受けた動物において少なくとも10%減少する。より好ましくは、臨床兆候は、本発明の組成物を受けた動物において少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%減少する。
【0077】
本明細書において使用したような「免疫持続時間」は、動物がウイルスに罹患することに対して比較的免疫がありそして/または本明細書に記載したような臨床兆候の発生率および/または重症度の減少の恩恵を受けるように、動物が免疫原性応答を産生する最小日数をいう。
【0078】
本明細書において使用したような用語「株」および「単離株」は同義語として使用されることを意味する。
【0079】
本明細書において使用したような用語「ワクチン」および「免疫原性組成物」は同義語として使用されることを意味する。
【0080】
あらゆるウエストナイルウイルス株(群)または単離株(群)を本発明に従って使用することができる。好ましい態様において、単離株は、以下の1つ以上:ニューヨーク(北東部北米)単離株(WN-NY 99)・ウマ起源・1999、ニューヨーク(北東部北米)単離株(WN-NY 99)・カラス起源・1999、米農務省単離株292206 (USDA 2004)・ロバ起源、米農務省単離株405330 (USDA 2005)・ウマ起源、北米単離株(WN-テキサス-2002/2003)、南東部テキサス沿岸部単離株2002、メキシコ(タバスコ)単離株2003およびその組合せから選択され、そしてより好ましい態様において、単離株は、以下の1つ以上から選択される:米農務省単離株292206 (USDA 2004)・ロバ起源、米農務省単離株 405330 (USDA 2005)・ウマ起源、北米単離株(WN-テキサス-2002/2003)、南東部テキサス沿岸部単離株2002、メキシコ(タバスコ)単離株2003およびその組合せ。最も好ましい態様において、単離株は、米農務省単離株405330 (USDA 2005)ウマ起源単独でまたは前記に列挙した1つ以上の単離株と組み合わせてである。さらに好ましい態様において、北米ウエストナイルウイルス単離株の一部であるそのような単離株が含まれる。さらに別の好ましい態様において、北米優性ウエストナイルウイルス単離株が含まれる。前記に列挙した単離株に加えて、具体的な単離株は、WN NY99単離株からの少なくとも1つのアミノ酸の変化を生じる、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらにより好ましくは少なくとも3つのヌクレオチド変化を有するWN02および単離株を含むがこれらに限定されるわけではなく、そして最も好ましいのは、エンベロープタンパク質の159位におけるバリンからアラニンへのアミノ酸変化を有する株である。最も好ましい北米優性株は、NY2002ナッソー、NY2002クリントン、NY2002クイーンズ、GA20021、GA20022、TX20021、TX20022、IN2002、NY2003アルバニー、NY2003サフォーク、NY2003シャトークア、CO20031、CO20032、TX2003、TX2003ハリス4、TX2003ハリス6、TX2003ハリス7、TX2003ハリス10、AZ2004およびTX2004ハリス4およびその組合せを含むがこれらに限定されるわけではない。本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用なウエストナイルウイルス株は、あらゆる株または単離株であり得る。好ましい態様において、使用される北米優性ウエストナイルウイルス株はE−159(ウマ起源)またはE−159(ロバ起源)のいずれかである。このような北米優性WNV株の代表的な株は、ブダペスト条約の条項の下で2008年8月14日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801に所在するATCCに寄託されたウマ起源2005株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)を含む。本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用なウマ科インフルエンザ株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、ATCCアクセッションナンバーPTA−9522として寄託されたEqui−2/オハイオ/03、ATCCアクセッションナンバーPTA−9523として寄託されたEqui−2/ケンタッキー/95、およびATCCアクセッションナンバーPTA−9524として寄託されたEqui−2/ニューマーケット/2/93を含む。代表的な株であるATCCアクセッションナンバーPTA−9522、PTA−9523およびPTA−9524は各々、ブダペスト条約の条項の下で2008年9月23日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801のATCCに寄託された。
【0081】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用なウマ科ヘルペスウイルス(「EHV」)株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、ATCCアクセッションナンバーPTA−9525として寄託されたEHVサブタイプ1、およびATCCアクセッションナンバーPTA−9526として寄託されたEHVサブタイプ4を含む。代表的な株であるATCCアクセッションナンバーPTA−9525およびPTA−9526は各々、ブダペスト条約の条項の下で2008年9月23日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801のATCCに寄託された。
【0082】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用な西部ウマ科脳脊髄炎株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、ブダペスト条約の条項の下で2008年8月14日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801に所在するATCCに寄託されたフレミング株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9410)を含む。
【0083】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用なベネズエラウマ科脳脊髄炎株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、ブダペスト条約の条項の下で2008年8月14日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801に所在するATCCに寄託されたTC−83株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9411)を含む。
【0084】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用な東部ウマ科脳脊髄炎株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、ブダペスト条約の条項の下で2008年8月14日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801に所在するATCCに寄託されたNJO株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9412)を含む。
【0085】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用な破傷風トキソイド株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、マサチューセッツ州ボストンにあるマサチューセッツ州公衆衛生局、研究所からのクロストリジウム・テタニのマスターシードから採取される。
【0086】
本発明のワクチンは、任意の年齢および任意の生殖段階(妊娠雌を含む)におけるWNV感受性種、特にウマ科における投与に対して安全である。好ましい態様において、本発明は、12か月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは、10カ月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは、8か月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは、6カ月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは、4カ月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは、2カ月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは1カ月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、さらにより好ましくは1日齢から1カ月齢の仔ウマへの投与に対して安全であり、最も好ましくは、1日齢以上の仔ウマへの投与に対して安全である。
【0087】
本発明の組成物は、任意の慣用的な方法で投与することができる。投与法の例は、経口、経皮/皮内、静脈内、皮下、筋肉内、眼内、腹腔内、直腸内、膣内、鼻腔内、胃内、気管内、肺内またはその任意の組合せを含む、免疫系の細胞が免疫原性組成物に近づける任意の方法を含む。好ましい態様において、ワクチンは、非経口、好ましくは鼻腔内、皮下または筋肉内に投与され、そして最も好ましい態様においてワクチンは筋肉内に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、全臨床スコア平均のグラフ表示である。
【図2】図2は、排出率のグラフ表示である。
【図3】図3は、鼻漏スコアのグラフ表示である。
【図4】図4は、ウイルス排出率のグラフ表示である。
【図5】図5は、結膜炎スコアのグラフ表示である。
【図6】図6は、血清中和力価のグラフ表示である。
【図7】図7は、EHV−1陽性率のグラフ表示である。
【図8】図8は、白血球数平均のグラフ表示である。
【図9】図9は、陽性率(熱性)のグラフ表示である。
【図10】図10は、WNV単離株のHE領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図11】図11は、WNV単離株のDE領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図12】図12は、WNV単離株のD NS5領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図13】図13は、WNV単離株のH NS5領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図14】図14は、WNV単離株のH WN05E NS5領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図15】図15は、WNV単離株のH WN05領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図16】図16は、WNV単離株のNS5領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図17】図17は、WNV単離株のE領域のヌクレオチドアラインメントである。
【0089】
詳細な説明
実施例
以下の実施例は本発明の具体的な態様を説明するために以下に示される。これらの実施例は単に説明的なものであり、そして本発明の範囲または根底にある原理を制限するものではないと理解される。
【0090】
実施例1
本実施例は、本発明による好ましいワクチン組成物を説明する。
【0091】
材料および方法
ワーキングセルストックの調製のために、純度、同一性および核学について試験した、ウエストナイルウイルスを増殖させることが知られているVero細胞株からなるマスターセルストック(MCS)を解凍し、そして使用して、T25cm2からT150cm2までの範囲の容器または1050cm2のローラーボトル、あるいはバイオリアクターまたは他の適切な滅菌容器に接種した。解凍した細胞を、容器容量に依存して、1容器あたり0.0015mLから5.0Lまでの割合で成長培地中に懸濁する。その後、細胞を36〜38℃で7日間までインキュベーションした。凍結ストックから蒔いた培養液に、必要であれば、蒔いてから36時間後以内に培地をリフィードして、残留DMSOを除去した。培養液に、必要であれば、生長期間中に培地をリフィードすることにより、過剰な残屑を除去するか、またはコンフルエンスに達していない培養液の成長を刺激するか、またはコンフルエントな培養液の生存度を維持した。
【0092】
スペント培地をデカントし、その後、容器容量に依存して、5〜500mLの0.25%トリプシン−EDTA溶液を各容器に添加することによって細胞を1〜20回継代した。細胞が表面から脱落するまで、容器を穏やかに撹拌した。その後、細胞を成長培地で濯ぐことによって容器から取り出し、そして一緒にプールした。接種前に、細胞成長培地を、少なくとも55%コンフルエントであるVeroワーキングセルからデカントした。記載したウイルス成長培地を各容器に表面積1cm2あたり0.15〜0.4mLで添加した。少なくとも2つの代表的な容器の細胞数計測を行なうことによって決定された0.000001〜0.0002の感染多重度(MOI)を感染に使用した。感染したローラーボトル培養液を、36〜38℃で、2〜5日間、0.1〜0.8rpmでインキュベーションした。
【0093】
成長期間中、培養液を、典型的なCPEについて顕微鏡で、および全体的なコンタミについて肉眼で確認した。不適切な培養液を滅菌後に廃棄した。培養液を標準的な技術を使用して弱毒化し得るか、または弱毒化せずに使用し得る。
【0094】
その後、微生物を産生目的のために収集した。CPEが85%以上に達した場合にウイルス液を収集した。ローラーボトルを回旋させて遊離細胞および液体を取り出し、その後、清澄化に適切な滅菌された2〜20Lのガラス製、プラスチック製もしくはPETG製のボトル、20Lの滅菌ポリプロピレン容器、または2〜500Lの滅菌ステンレス鋼タンク容器にプールした。
【0095】
次に、産物を調製した。清澄化した液体を、ホルムアルデヒド溶液(USP、0.2容量%)または別の効果的な不活性化剤を用いて不活性化し、二次容器に移し、そして20〜25℃(室温)で撹拌しながら48時間保持した。少なくとも12mLの不活性化液体の試料を、濃縮前に不活性化確認試験(下記)のために採取した。不活性化が完了した後、不活性化されたロットの材料を、2〜7℃で60日間まで保持し、その後、濃縮した。多くの適切なアジュバント、最も好ましくは代謝不可能な油、好ましくは鉱物油および/またはカルボマーをワクチン調合物に添加し得る。典型的な処理工程、例えば、アジュバントおよび/または収集したウイルス抗原と他の成分との混合、ブレンド、ミクロ流動化および乳化を使用し得る。
【0096】
その後、産物を標準化した。十分な容量の清澄化され不活性化され濃縮(場合により)
されたロットを合わせて、最終産物中の各株の1用量あたり少なくとも104.0TCID50の計算力価を得た。複数のロットをブレンドして、1用量あたりの力価の必要量を達成した。
【0097】
その後、産物を最終調合物へと会合させた。所望の最終連続容量に基づいて、抗原性成分、アジュバント、安定化剤および希釈剤の量を、以下のように計算した:
a.ウエストナイルウイルス・ウマ起源2005(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409):最小104.0TCID50/用量
b.アジュバント:シリアルにおける、全アジュバント濃度、好ましくは代謝不可能な油、より好ましくは鉱物油および/またはカルボマーは少なくとも10%v/vであり、そしてシリアルバッチング/会合の時点で添加される。
c.希釈剤:適切な容量のリン酸緩衝食塩水(PBS)を添加して、最終容量を所望の容量とする。
d.追加のホルマリン:適切な容量の37%ホルマリンを添加して、適切なレベルを維持する。
e.硫酸ゲンタマイシン。
【0098】
必要量のアジュバントおよびPBSを滅菌容器中に合わせた。この混合物のpHを、必要であれば10N NaOHまたは5N HClを用いて約4.9〜5.1に調整した。清澄化し殺滅し濃縮したウエストナイルウイルス、並びにゲンタマイシンおよびホルマリンを添加し、そしてpHを6.9〜7.1に調整した。これを2〜6℃で少なくとも8時間、しかし48時間を超えない時間、混合した。
【0099】
ワクチンは典型的な皮下注射によって投与され、所望であればブースターワクチン接種を行なった。最も好ましくは、初回量およびブースター用量は、21日間の間隔で筋肉内に投与された1mLの容量であった。初回量およびブースター用量のワクチン接種レジメンは、最も好ましい1mLの投与容量で、ウマ、他のウマ科、および他のWNV感受性種に投与され、WNV感染の臨床兆候の発生率およびまたは重症度を減少させ、好ましくはWNVによる感染を予防し、並びにワクチン接種後のより長い期間におよびウエストナイルウイルス感染に因る疾患を予防した。
【0100】
結果および考察
ワクチンは、様々な適切な非経口経路、投与容量および投与レジメンによって、ナイーブおよび受動抗体を有する動物を含む、WNVに対する様々な免疫学的状態の動物に投与され、そして、ワクチン接種後の少なくとも2年間以内および2年間を超える長期免疫持続時間を提供した。ワクチンは、任意の年齢および任意の生殖段階(妊娠雌を含む)におけるWNV感受性種、特にウマ科における投与に対して安全であった。
【0101】
実施例2
この治験は、ウエストナイルウイルス(WNV)を用いてのチャレンジからウマを防御するワクチンの効力の評価を得るために行なわれた。
【0102】
材料および方法
全30頭のウマを各々15頭のウマの群に無作為に分けた。全20頭のウマが21日間隔で2用量のワクチンを受け、そして10頭のウマを対照のために使用した。各群のウマ、すなわちブロック1およびブロック2は、10頭のワクチン接種ウマおよび5頭の対照ウマを含んだ。ワクチンは、WNV抗原、特に不活性化または死滅北米優性WNV株・ウマ起源2005(ATCC寄託番号PTA−9409)、並びに、以下のようにおよそ調合したベネズエラウマ科脳脊髄炎TC−83株(ATCC寄託番号PTA−9411)、東部ウマ科脳脊髄炎NJO株(ATCC寄託番号PTA−9412)、西部ウマ科脳脊髄炎フレミング株(ATCC寄託番号PTA−9410)および破傷風トキソイドの抗原性成分を含む、組合せであった:
【0103】
東部ウマ科脳脊髄炎 106.7 -109.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎 106.7 -109.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎 106.7-109.2 TCID50/mL
ウエストナイルウイルス 107.0 -109.TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU/mL
アジュバント 100-200μl/mL
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1%)
【0104】
全ての群に、約105pfuの異種WNV株(NY99、4132、カラス単離株)を含む1mlのPBSのくも膜下腔内接種を用いてチャレンジした。チャレンジは、ケタミン−キシラジン麻酔下で行なわれた。
【0105】
ウマを最大で14日間モニタリングし、その後、人道的に安楽死させた。14日目より前に重度の疾患を発症したウマは中途で安楽死させた。
【0106】
以下のデータを回収して、ワクチンの効力を評価した:
・基本的な臨床評価
・体温
・ウイルス血症についてのアッセイ
・病理組織:2つの脳幹切片が米認定獣医病理学者によって評価された。
【0107】
適切な日に回収した血清を、チャレンジに対する血清学的応答の特徴について評価した。
【0108】
結果および考察
チャレンジ後のウイルス血症および血清中和力価を、本研究における主要な成績変数と判断した。ワクチン接種された第一ブロックのウマは、本研究においてチャレンジ後にウイルス血症から100%防御された。比較すると、5頭中4頭の対照ウマが、チャレンジ後4〜5日間ウイルス血症を示し、そして5頭中1頭の対照ウマが1つの時点でウイルス血症を示した。さらに、ワクチン接種ウマの血清中和力価は、ワクチン接種後に検査した各時点において対照ウマのそれよりも統計学的に有意により高かった。さらに、データは、1:4以上の血清中和力価を与えるWNVワクチンは、WNVウイルス血症を予防するのに効果的であることを確立する。ブロック1についてのチャレンジ後の血清力価およびウイルス血症を以下の表1に要約する:
【0109】
【表1】
【0110】
チャレンジ後のウイルス血症および血清中和力価をまた、本研究において第二ブロックのウマにおける主要な成績変数と判断した。第二ブロックのウマにおいては、唯一頭のワクチン接種群のウマが、全チャレンジ期間を通じて任意の時点のウイルス血症を示した。そのウマは3回の朝において3回の別々の時点を有し(同じ日の晩ではない)、最小解読値は5であった(5未満は陰性である)。研究における全ての対照ウマ(中途で研究を終了したが、確定的なWNV組織病理を示しそして評価から除外された1頭のウマを除く)が、チャレンジ後の1〜8の時点において高レベルのウイルス血症を示した。
【0111】
ウイルス血症は、ウイルスが血液脳関門を通過してWNV脳炎を引き起こし得る前の必要条件であるので、ウイルス血症は、このタイプの実験研究における防御評価のための主要なパラメーターとして十分に正当化されている。
【0112】
本研究は、4〜5カ月齢の仔ウマに投与された2用量の実験的な組合せワクチンが、確実にそして効果的に防御的で血清学的な血清中和力価を刺激したことを実証した。さらに、データは、この実験的な組合せワクチンにおける効果的に1回分にまとめられた抗原量のウエストナイルウイルスを使用したワクチン接種から生じた1:4という低いワクチン接種後の血清中和力価が、異種ウエストナイルウイルス株を用いての重度のくも膜下腔内へのチャレンジ後に、ウイルス血症、臨床疾患、および組織病理から、ワクチン接種ウマを防御したことを確認する。
【0113】
組織病理はまた、2つの群の間で異なり、病原性ウエストナイルウイルスを用いてチャレンジした対照動物における病変の確率に比べて、ワクチン接種動物における病変の確率はブロック2においては40%少なく、ブロック1においては100%少なかった。
【0114】
さらに、対照群のウマはチャレンジ後9日目に後足が弱くなり、そして次第に悪化し、もはや立つことができなくなった。このウマからの脳橋および髄質の組織病理は、本研究におけるあらゆる他のウマに由来する疾患の兆候よりも蔓延したWNV病理に一致した重度の脳炎および脊髄炎を示した。
【0115】
本研究における2頭のブロック2の対照ウマが、ウエストナイルウイルスによる感染に関連した3日間の各臨床兆候を示した。1頭の他の対照ウマが、疾患に因る1時点の衰弱を示した。別の対照ウマは、どの時点でも臨床兆候を示さなかったが、何日も続くウイルス血症を有していた。研究における数頭のワクチン接種されたブロック2のウマは、クモ膜下腔内のWNVチャレンジの結果として組織における軽度から中等度の組織病理学的変化を有していたが、2頭の対照ウマにおける何日も続く臨床疾患および第3の対照ウマにおける1日間の臨床疾患と比較して、1頭のワクチン接種されたウマについては研究のある1日においてほんの非常に軽度な臨床疾患(軽度な頭部振戦)が認められただけであった。
【0116】
結果は、ワクチンが効果的であり、そしてワクチンを投与された動物において免疫原性反応が誘導されたことを実証した。ワクチンの効力は、本実施例において、WNVウイルス血症の減少によって、WNVに対する高い血清中和力価の刺激によって、並びに脳および髄膜におけるWNV関連臨床兆候および組織病理の予防によって証明された。このワクチンは、長時間持続する代謝不可能なアジュバントを含む独特な構成成分を含み、最近の起源および高度に疫学的に蔓延している免疫原性の高い低継代の完全な不活性化ウイルスWNV単離株として、および感染ウマの組織から単離されたWNVとして、高度の安全性を提供するために少量の1mLという投与容量で調合されたので、それは現在入手できる他のワクチンよりもより全体的な安全性および効力を提供する。さらに、動物に投与した場合に安全なワクチンを提供する効果も有する。
【0117】
実施例3
本実施例は、EHV−4による感染に対する本発明の免疫原性組成物の効力を説明する。
【0118】
材料および方法
4〜5カ月齢の37頭のウマを本研究において使用した。ウマを、無作為な番号発生機によってワクチン接種群または対照群のいずれかに無作為に割り当て、その後、ワクチン接種した。24頭のウマがワクチン接種ウマとして作用し、そして13頭のウマが偽ワクチン接種対照ウマであった。全ウマが、感染に感受性のウマの指標となる、研究開始前の低い(1:14以下、平均=1:7)EHV−4血清中和(SN)力価を有していた。使用したワクチンは実験的なワクチンであり、そして以下の成分を有していた:
【0119】
最終の調合されたワクチンは、1mLの用量あたり以下の成分を含む:
【0120】
EHV−1(PTA-9525) 107.0-9.0 TCID50/mL
インフルエンザA2/オハイオ/03(PTA-9522) 106.0-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/KY/95 (PTA-9523) 106.0-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/ニューマーケット/2/93(PTA-9524) 106.0-9.5 TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU
東部ウマ科脳脊髄炎(ATCC寄託番号PTA-9412) 106.7-9.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎(ATCC寄託番号PTA-9410) 106.7-9.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎(ATCC寄託番号PTA-9411) 106.7-9.2TCID50/mL
ウエストナイルウイルス・ウマ起源2005(ATCC寄託番号PTA-9409) 107.0-9.0 TCID50/mL
アジュバント 100-200μl
グリセロール 100-200μl
EDTA 240mM溶液 10-20μl
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1〜0.2%)
【0121】
実験ワクチンを、1mLの投与容量で、ワクチン接種群の各24頭のウマに筋肉内投与した。対照群における13頭のウマが、9通りのワクチンに使用された賦形剤(ゲンタマイシンおよびホルムアルデヒド)を含むが全く抗原を含まない、1mL用量のアジュバント化DMEM(ロット004)を受けた。病原性EHV−4HRA005株ウイルスのチャレンジ接種を、ブースターワクチン接種の15日後に行なった。
【0122】
各々のワクチン接種ウマおよび対照ウマを、EHV−4ウイルス株(HRA005)を用いてチャレンジした。希釈チャレンジウイルスの力価は、ワクチン接種されていないウマにおいてEHV感染に因る疾患を誘起するのに十分であった。
【0123】
鎮静薬および鎮痛薬であるSedivet(登録商標)(塩酸ロミフィジン)を、チャレンジ前に各ウマに50μg/kg(体重)の用量で静脈内投与した。その後、各ウマを、EHV−4HRA005ウイルス株を用いてチャレンジした。チャレンジウイルスを、ネブライザーによって産生されたエアゾールとしてウマ科用エアロマスク(Trudell Medical International, Ontario, Canada)中に鼻腔内投与した。
【0124】
毎朝の直腸温度を、較正された電子体温計(GSA Electronics)プローブを用いて、チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、37頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々について記録した。毎日の直腸温度を、華氏温度(°F)で記録した。
【0125】
全血球数
37頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々に由来する静脈血を、毎日、チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、全血球数のためにバキュテナーEDTA二ナトリウムチューブ中に直接回収した。
【0126】
鼻滲出液の評価
全ての鼻滲出液の観察は、鼻咽頭スワブの回収前に行なった。チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、37頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々の鼻道および鼻口部を検査し、そして以下に列挙した等級化およびスコア化記載を使用して等級化した。
【0127】
0〜6のスコア化等級を、以下の各分類によって示される疾患の重度に基づいて割り当てた:
【0128】
【表2】
【0129】
鼻咽頭ウイルス単離法
各観察試験日において、各々のワクチン接種および対照の各々の鼻道を、滅菌スワブを用いて深くから試料採取した。回収時に、2つの各々のスワブを直ちに、4mLの冷却した輸送培地(2%FBS、2×Pen/Strep、2×ゲンタマイシンおよび2×アムホテリシンBの補充されたダルベッコ最小必須培地(DMEM))を含む単一のチューブに入れた。
【0130】
ウイルスの単離のために、チューブを混合し、スワブを無菌的に取り出し、そして培地を1500rpmで10分間遠心分離にかけて微粒子状物質を除去した。培地を0.2μmのシリンジフィルターを通してろ過し、その後、組織培養細胞上に接種した。1mLの清澄化した輸送培地を使用して、成長培地を無菌的に除去しておいた24ウェルの組織培養プレート中で成長した2cm2の1日齢のED細胞単層に接種した。接種後、接種材料を、5%CO2雰囲気を含む加湿インキュベーター中、37℃で、1時間、細胞単層上に吸着させた。吸着期間後、追加の1mLのリフィード培地(2〜5%のウシ胎児血清(FBS)、2mMのL−グルタミンおよび3×ゲンタマイシンおよび2×アムホテリシンBを含むDMEM)を各ウェルに添加した。リフィード培地の添加後、次いで、プレートを37℃でCO2インキュベーター中でインキュベーションした。各試験組織培養ウェルおよび対照組織培養ウェルを、7日間、EHV−4チャレンジウイルスに典型的な細胞変性効果(CPE)の兆候について顕微鏡により検査した。7日間の観察期間の終了時に陰性であったウェルを新たな細胞上に継代培養し、そしてさらに7日間観察した。
【0131】
血清中和試験手順
標準的なマイクロタイター血清中和試験を本研究において使用した。全血清を、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で、1希釈につき5つのウェルおよび5つの試験ウェルの各々について8つのウェルの希釈シリーズを使用して試験した。5つの試験ウェルの各々は、25μlの指標ウイルスと、約5×104個の細胞を含む150μlの新たに蒔いたED細胞懸濁液とが混合された、25μlの血清希釈液を含んだ。使用した試験指標ウイルスは、EHV−4HRA005ロット033106SNストックウイルスであった。全試験において、指標ウイルス逆滴定力価は、68〜149のTCID50/25μlの範囲であった。血清中和抗体力価は、Reed-MuenchID50力価として表現する。
【0132】
試験の実行のために、各試験血清の2倍希釈液を、1つの試験血清あたり5つの複製ウェルおよび8つのウェルの希釈シリーズを使用して、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で作製した。希釈は、滅菌マイクロタイターチップを使用して、容量の調整可能なシングルまたはマルチチャンネルピペッティング装置を用いて作製した。第一横列の5つのウェルの各々に添加された血清の容量は50μlであった。全ての他のウェルは25μlのDMEM(FBSを全く含まない)を含んだ。プレートの下へと連続希釈した後、25μlを最後の横列から廃棄した。25μlの指標ウイルスの予め決定された希釈液を、各試験ウェルに添加した。その後、プレートを混合し、そして1時間37℃で5%CO2中でインキュベーションした。インキュベーション期間の終了時に、5×104個のED細胞を含む150μlの懸濁液を、各試験ウェルおよび細胞対照ウェルに添加した。プレートを37℃でCO2インキュベーター中で5〜7日間インキュベーションし、その時点でプレートをEHV−4に典型的なCPEについて顕微鏡により検査した。しかしながら、任意の他の市販されている試験または従来技術において記載された任意の試験をこの目的のために使用できた。
【0133】
結果および結論
鼻滲出液の評価
日により変動するワクチン接種群は、鼻漏スコアについて統計学的に有意であった(P<0.05、表1)。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の6〜10日目および14日目に見られた(ワクチン接種群においてより低い鼻腔スコア)。
【0134】
毎日のスコアを、チャレンジ後の期間におよび合計した場合、ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも低い全スコアを有していた(P<0.05、表1)。軽減された割合は、0.824と推定された(95%ASE CI:0.629、1.000)。
【0135】
【表3】
【0136】
結膜炎
日により変動するワクチン接種群は、結膜炎スコアについて統計学的に有意であった。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の6、7、9、10、13および14日目に見られた(6日間中5日間においてワクチン接種群においてより低いスコア、P<0.05、図2)。
【0137】
血清学的研究
力価を、統計学的分析の前にlog変換した。日により変動するワクチン接種群は、SN力価について統計学的に有意であった。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の0日目(ワクチン接種前;対照群の力価>ワクチン接種群の力価)、35日目(チャレンジ日)並びに7および14日目(研究の42日目および49日目)に見られた。ワクチン接種群におけるウマは、35、42および49日目において対照群のウマよりも高い力価を有していた(P<0.05、表4)。
【0138】
【表4】
【0139】
白血球(WBC)数およびリンパ球数
日により変動するワクチン接種群は、WBC数およびリンパ球数について統計学的に有意であった。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の4〜6日目(WBC)並びに4および5日目(リンパ球)に見られた。ワクチン接種群におけるウマは、EHV4疾患に因る白血球減少症から防御され、そして対照群のウマよりも高いWBC数およびリンパ球数を有していた(P<0.05)。
【0140】
考察および結論
本研究において、EHV−4感染の中等度および適切な臨床兆候が、チャレンジ後に見られた。鼻滲出液の有意により少ない臨床兆候が、チャレンジ後の6〜10日目および14日目においてワクチン接種ウマにおいて見られた。結膜炎スコアは、チャレンジ後7、9、10、13および14日目にワクチン接種ウマにおいて有意により低かった。チャレンジ後の臨床兆候の適切な提示にも関わらず、鼻腔スワブ試料中のウイルス排出は、このEHV−4チャレンジ後には稀であった。鼻腔スワブを細胞培養液中のウイルスの単離によって検査した。
【0141】
WBCおよびリンパ球について有意な群の効果は、4〜6日目(WBC)および4〜5日目(リンパ球)において見られ、ワクチン接種動物は、対照ウマよりも高いWBC数およびリンパ球数を示した。これらの値は、対照ウマが、ヘルペスウイルスによる感染によってもたらされた免疫抑制に屈したことを確立し、そしてまた、EHV−1の交差防御株を用いてのワクチン接種は、ワクチン接種ウマに、ヘルペスウイルス感染の免疫抑制特性からより逸れることを可能としたことを実証する。さらに、ワクチン接種群におけるウマは、35、42および49日目において対照群のウマよりも高い血清中和力価を有していた。
【0142】
本研究からのデータは、EHV−1を含む多成分ワクチンを用いてワクチン接種されたウマは、異種EHV−4チャレンジ生物を用いてチャレンジした場合に交差防御免疫を示すことを確認する。
【0143】
実施例4
本実施例は、本発明の組合せワクチンの効力並びに免疫持続時間を説明するためのものである。
【0144】
材料および方法
本研究において評価したワクチンにおいて使用したインフルエンザウイルス抗原を、メイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞上で産生した。成長後、ウイルス液をろ過し、ホルマリンで不活性化し、そして濃縮した。不活性化ウイルス液を、不活性化後の残留生ウイルスについて試験した。満足のいく残留生ウイルス試験の終了時に、次いで、不活性化ウイルス液を使用して、不活性化ベネズエラウマ科脳脊髄炎TC−83株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9411)ウイルス、東部ウマ科脳脊髄炎NJO株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9412)ウイルス、および西部ウマ科脳脊髄炎フレミング株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9410)ウイルス、不活性化EHV−1(ATCCアクセッションナンバーPTA−9525)ウイルス、不活性化インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95(ATCCアクセッションナンバーPTA−9523)ウイルス、およびインフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93(ATCCアクセッションナンバーPTA−9524)ウイルス、不活性化ウエストナイルウイルス・ウマ起源2005(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)および破傷風トキソイドも含むワクチンを調合した。
【0145】
ワクチンを、製品に含まれる全抗原について適切な規格へと調合した。インフルエンザA/equi−2/オハイオ/03(ATCCアクセッションナンバーPTA−9522)抗原を、106.7TCID50/mLの不活性化前の力価でワクチンに添加した。
【0146】
最終の調合されたワクチンは、1mLの用量あたり以下の成分を含む:
【0147】
EHV−1 107.0-9.0 TCID50/mL
インフルエンザA2/オハイオ/03 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/KY/95 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/ニューマーケット/2/93 106.7-9.5 TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU
東部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2TCID50/mL
ウエストナイルウイルス 107.0-9.0 TCID50/mL
アジュバント(好ましくは鉱物油) 100-200μl
グリセロール 100-200μl
EDTA 240mM溶液 10-20μl
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1〜0.2%)
【0148】
4〜5カ月齢の26頭のウマを本研究において使用した。15頭のウマがワクチン接種ウマとして作用し、11頭のウマが偽ワクチン接種対照ウマであった。
【0149】
ワクチンを、1mLの投与容量で、ワクチン接種群の各15頭のウマに筋肉内投与した。対照群における11頭のウマが、9通りのワクチンに使用された賦形剤(ゲンタマイシンおよびホルムアルデヒド)を含むが全く抗原を含まない、1mL用量のアジュバント化DMEM(ロット004)を受けた。病原性インフルエンザA/equi−2/オハイオ/03株ウイルスのチャレンジ接種を、ブースターワクチン接種の4カ月後に行なった。
【0150】
血清学的評価のための血清試料を、初回ワクチン接種前、初回用量のワクチン接種後の21日目(ブースターワクチン接種日)、チャレンジ日、並びにチャレンジ後の7および14日目にワクチン接種ウマおよび対照ウマから回収した。体温、全血球試料、および鼻腔スワブを、チャレンジ日および10日間のチャレンジ後の観察期間中毎日、全11日間の観察日において各ウマから得た。臨床データもまた、11日間の観察期間の間、各ウマについて毎日記録した。
【0151】
チャレンジ
インフルエンザA/equi−2/オハイオ/03のチャレンジウイルスシードを卵において産生した。チャレンジウイルスを、チャレンジの朝に組織培養培地で1:20に希釈して、ワクチン接種されていないチャレンジされたウマにおいて臨床インフルエンザを引き起こすに十分な力価に罹らせた。
【0152】
鎮静薬および鎮痛薬であるSedivet(登録商標)(塩酸ロミフィジン)を、チャレンジ前に各ウマに50μg/kg(体重)の用量で静脈内投与した。その後、各ウマを、インフルエンザA/equi−2/オハイオ/03ウイルスを用いてチャレンジした。チャレンジウイルスを、以下の方法によって、ネブライザーによって産生されたエアゾールとしてウマ科用エアロマスク(Trudell Medical International, Ontario, Canada)中に鼻腔内投与した:
【0153】
4mLのチャレンジウイルスを、エアロマスク装置中のネブライザーカップに入れた。耐圧ホースを空気圧縮機からネブライザーの入口部に取り付けた。その後、排出チューブを、チャレンジするウマの頭部に付着させたエアロマスクに挿入し、そして空気圧を入口部にかけた。この間、約2mLのチャレンジウイルス液が、チャレンジするウマの鼻孔中に直接的にエアロゾル化された。
【0154】
温度
毎日の直腸温度を、較正された電子体温計(GSA Electronics)プローブを用いて、チャレンジ日およびチャレンジ後10日間、26頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々について記録した。毎日の直腸温度を、華氏温度(°F)で記録した。
【0155】
白血球数
26頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々に由来する静脈血を、毎日、チャレンジ日およびチャレンジ後10日間、白血球数のためにバキュテナーEDTA二ナトリウムチューブ中に直接回収した。
【0156】
鼻滲出液の評価
全ての鼻滲出液の観察は、鼻咽頭スワブの回収前に行なった。チャレンジ日およびチャレンジ後10日間、26頭の各々のワクチン接種ウマおよび対照ウマの鼻道および鼻口部を検査し、そして以下に列挙した等級化およびスコア化記載を使用して等級化した。
【0157】
0〜6のスコア化等級を、以下の各分類によって示される疾患の重度に基づいて割り当てた:
【0158】
【表5】
【0159】
咳嗽
各観察日における咳嗽発作を、全観察期間中に各ウマについて、個々の動物がその時に研究者によって検査されたかどうかに関係なく計測した。研究者以外の観察者は、観察期間中の各々の個々のウマの咳嗽発作の数を記録した。咳嗽発作のスコア化は、ウマ1頭あたりの実際の咳嗽発作の計数であった。
【0160】
結膜炎
結膜炎を、毎日、鼻滲出液の評価時に評価した。結膜炎スコアを、0=正常;1=軽度から中等度の結膜炎、および2=重度の結膜炎として記録した。
【0161】
鼻咽頭ウイルス単離/血球凝集(HA)法
各観察試験日において、各々のワクチン接種および対照の各々の鼻道を、滅菌スワブを用いて深くから試料採取した。回収時に、2つの各々のスワブを直ちに、4mLの冷却した輸送培地(2%FBS、2×Pen/Strep、2×アムホテリシンBの補充されたダルベッコ最小必須培地(DMEM))を含む単一のチューブに入れた。
【0162】
ウイルスの単離のために、チューブを混合し、スワブを無菌的に取り出し、そして培地を1500rpmで10〜15分間遠心分離にかけて微粒子状物質を除去した。培地を0.2μのシリンジフィルターを通してろ過し、その後、組織培養細胞上に接種した。ろ過後、4〜6%の滅菌85%スクロース溶液を、全試料を同時に試験するために−80℃で凍結させるために各試料に加えた。
【0163】
全試料を、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で、1希釈につき5つのウェルおよび5つの試験ウェルの各々について4つのウェルの希釈シリーズを使用して試験した。解凍時に、22μLの清澄化した試料培地を使用して、成長培地を無菌的に除去しそして200μlのインフルエンザ成長培地(5〜10単位/mLの10,000Uブタトリプシンストック溶液、2mMのL−グルタミン、1×Pen-Strepおよび1×アムホテリシンBを含むDMEM)で置換しておいた1日齢のMDCK−S細胞単層に接種した。その後、プレートを35℃でCO2インキュベーター中で5〜7日間インキュベーションした。5〜7日間のインキュベーション期間後、滴定プレートの全ウェルからの50μlを、ラベルした96ウェルビニルHAプレートに直接移した。ニワトリ赤血球を各ウェルに添加し、そして室温で30〜90分間静置した。ウェルを、ウマ科インフルエンザウイルスの存在の証拠としての陽性の凝集について解読した。
【0164】
血球凝集阻害(HI)試験手順
血清試料を、0.15mlの各試料を試験チューブに分注し、そして0.3mLの0.01Mの過ヨウ素酸ナトリウム溶液を用いて室温で15分間かけて抽出することによって調製した。グリセロール溶液3%(0.125mL)を各チューブに加え、混合し、そして室温で15分間インキュベーションした。その後、全試料を56℃で30分間かけて熱により不活性化させた。
【0165】
0.5%のニワトリ赤血球溶液をPBS(SAFCカタログ番号59321C)中で調製し、そして550nmにおける吸光度を0.5へと標準化した。
【0166】
抽出した血清試料を、丸底ポリスチレンプレート中、1:4から1:256の範囲のPBS中の2倍希釈スキーム(1ウェルあたり25μl)を使用して二重に試験した。インフルエンザA/Equi2/オハイオ03ストックウイルス(25μL)を血清試料希釈液に加えた。プレートを穏やかにたたいて混合させ、そして室温で30分間インキュベーションした。インキュベーション後、ニワトリ赤血球を各ウェルに加え、そしてかき回さないようにして室温で1〜1.5時間インキュベーションした。結果を、各ウェルにおける凝集した赤血球の有無についてプレートを観察することによって解読した。抗体力価を、凝集が起こらなかった血清の最大希釈率として決定した。
【0167】
結果および結論
チャレンジ後の全時点にかけてプールした場合、ワクチン接種動物は、対照動物よりも低い全臨床スコアを有していた。毎日の全スコアを、チャレンジ後の期間におよび合計した場合、ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも低い全スコアを有していた(P<0.05)。軽減された割合は、0.6485と推定された(95%ASE CI:0.3258、0.9712)。
【0168】
【表6】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、チャレンジ後の経時的なワクチン接種の効果を評価した。結果を太文字の数値を通して解釈した。
【0169】
【表7】
1 ウィルコクソン順位和検定からのP値
2 鼻漏スコア、結膜炎スコアおよび咳嗽スコアを、各動物について日ごとおよび全時点におよび合計し、その後、軽減された割合の推定のために順位付けた。
3 平均順位
【0170】
鼻漏
ワクチン接種の主な効果は統計学的に有意であり、そしてインフルエンザチャレンジに因る鼻漏を減少させた。チャレンジ後の全時点におよびプールした場合、ワクチン接種動物は、対照動物よりも低い鼻漏スコアを有していた。
【0171】
【表8】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、チャレンジ後の経時的なワクチン接種の効果を評価した。結果を太文字の数値を通して解釈した。
【0172】
結膜炎
結膜炎についてのワクチン接種の主な効果は統計学的に有意であった。チャレンジ後の全時点におよびプールした場合、ワクチン接種動物では、対照動物よりも低い結膜炎スコアによって実証されるように、インフルエンザ感染に因る結膜炎が減少していた。
【0173】
【表9】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、チャレンジ後の経時的なワクチン接種の効果を評価した。結果を太文字の数値を通して解釈した。
【0174】
咳嗽
ワクチンはまた、ウマ科インフルエンザ感染から生じた咳嗽に対して防御した。ワクチン接種動物は、チャレンジ後の3、5、7、8および9日目において、対照動物よりも低いスコア(P<0.05)を有していた。
【0175】
【表10】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、チャレンジ後の経時的なワクチン接種の効果を評価した。結果を太文字の数値を通して解釈した。
【0176】
ウイルス排出(鼻腔スワブ)
ワクチン接種はまた、ウイルスを排出するウマの比率も減少させた(P<0.05)。以下の図は、ウイルスを排出するワクチン接種動物の比率は、チャレンジ後の3、4および5日目において、対照動物よりも低かったことを示す(P<0.05)。
【0177】
【表11】
1 ウィルコクソン順位和検定からのP値
2 ウイルス排出日数を計算し、その後、軽減された割合の推定のために順位付けた。漸近標準誤差(ASE)を使用して、95%信頼区間(CI)を推定した。
3 陽性日数の中央値は、ウイルス単離アッセイから得られた
【0178】
HI力価
ワクチンはまた、ウマ科インフルエンザウイルスに対する防御抗体力価を誘起するのに効果的であった。ワクチン接種ウマにおける統計学的に有意なより高い力価が、36日目(ワクチン接種に対して)、154日目(チャレンジ日)、159日目および164日目に見られた。ワクチン接種群におけるウマは、これらの各々の日において、対照群のウマよりも高い力価を有していた(P<0.05)。
【0179】
白血球数およびリンパ球数
ワクチン接種はまた、インフルエンザウイルスチャレンジ後に見られる白血球数の減少からウマを防御した(P<0.05)。組合せワクチンを用いてのワクチン接種は、白血球数について2日目および7日目に、並びにチャレンジ後2、6、7および8日目に見られた、統計学的に有意な防御を提供した。ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも高い白血球数およびリンパ球数を有していた(P<0.05)。4カ月間の持続時間の免疫チャレンジを行ない、3つのウマ科インフルエンザA/equi−2ウイルス株、ATCCアクセッションナンバーPTA−9522、PTA−9523およびPTA−9524(この各々は現在、米国、欧州およびアジアのウマ科個体群に関連性がある)を含むウエストナイルウイルスワクチン(脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン、東部、西部およびベネズエラの死滅ウイルス、破傷風トキソイド)を含む多成分ワクチンのインフルエンザウイルス画分の効力を実証した。26頭のウマ(15頭のワクチン接種および11頭の対照)を2回3週間間隔で1mLの用量のワクチンを用いてワクチン接種するか、またはウイルス抗原を含まないワクチンのアジュバント化培地成分を用いて偽ワクチン接種した。ブースターワクチン接種から4カ月後、ウマを、病原性生ウマ科インフルエンザA/equi−2/オハイオ03ウイルスを用いてチャレンジした。この病原性ウイルスは、国際獣疫事務局によってワクチンへの封入に推奨される現在のウマ科インフルエンザA/equi−2株であり、そして米国での大流行に関与する最も妥当な株として現在認識されている。
【0180】
この4カ月のDOIチャレンジ研究からの結果は、インフルエンザおよび他の妥当なウマ科抗原を含む組合せウエストナイルウイルスワクチンである試験ワクチンを用いてのワクチン接種によるチャレンジからの、有意な防御効果を示す。重要には、ワクチン接種ウマは、インフルエンザウイルスの統計学的により少ない全臨床兆候(鼻漏、結膜炎および咳嗽、P=0.0055)を示し、軽減された割合は0.6485と推定された(95%ASE CI:0.3258、0.9712)。さらに、ウイルス排出は、対照ウマよりもワクチン接種ウマの方が統計学的により少なく(P=0.0004)、軽減された割合は0.7939と推定された(95%ASE CI:0.5343、1.0000)。血球凝集阻害力価は対照ウマよりもワクチン接種ウマの方が有意に高く、そして、白血球数およびリンパ球数は、何日間もの研究日において対照ウマのそれよりも、ワクチン接種ウマの方が有意により高いままであった。直腸温度の差異は2つの群の間で全く決定されなかった。
【0181】
結論として、本研究からのデータは、21日間隔で4〜5カ月齢の仔ウマに投与された2回の1mLの筋肉内用量のこのウエストナイルウイルス組合せワクチンの投与が、ウマ科インフルエンザA/equi−2/オハイオ03ウイルスを用いての病原性チャレンジに対して防御し、そしてこの製品について少なくとも4ヶ月間の免疫持続時間を提供したことを実証する。
【0182】
実施例5
本実施例は、EHV−1(ウマ科1型ヘルペスウイルス)を用いてチャレンジした場合の本発明の免疫原性組成物の効力を説明する。
【0183】
材料および方法
本研究において評価したワクチンにおいて使用したEHV−1ウイルス抗原を、メイディン・ダービー・ウシ腎臓(MDBK)細胞上で産生した。成長後、ウイルス液をろ過し、BPLで不活性化し、そして濃縮した。不活性化ウイルス液を、不活性化後の残留生ウイルスについて試験した。満足のいく残留生ウイルス試験の終了時に、次いで、不活性化ウイルス液を使用して、不活性化ベネズエラウマ科脳脊髄炎TC−83株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9411)ウイルス、東部ウマ科脳脊髄炎NJO株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9412)ウイルス、および西部ウマ科脳脊髄炎フレミング株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9410)ウイルス、不活性化インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95(ATCCアクセッションナンバーPTA−9523)ウイルス、インフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93(ATCCアクセッションナンバーPTA−9524)ウイルスおよびインフルエンザA/イークワイン−2/オハイオ/03(ATCCアクセッションナンバーPTA−9522)ウイルス、不活性化ウエストナイルウイルス(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)および破傷風トキソイドも含むワクチンを調合した。
【0184】
ワクチンを、製品に含まれる全抗原について最小の規格へと調合した。EHV−1抗原を、107.0TCID50/mLの不活性化前の力価でワクチンに添加した。
【0185】
最終の調合されたワクチンは、1mLの用量あたり以下の成分を含む:
【0186】
EHV−1 107.0-9.0 TCID50/mL
インフルエンザA2/オハイオ/03 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/KY/95 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/ニューマーケット/2/93 106.7-9.5 TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU
東部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2TCID50/mL
ウエストナイルウイルス 107.0-9.0 TCID50/mL
アジュバント(好ましくは鉱物油) 100-200μl
グリセロール 100-200μl
EDTA 240mM溶液 10-20μl
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1〜0.2%)
【0187】
4〜5カ月齢の40頭のウマを本研究において使用した。ウマを、ワクチン接種群または対照群のいずれかに無作為に割り当て、そしてマイクロチップを埋め込み、その後、ワクチン接種した。24頭のウマがワクチン接種ウマとして作用し、そして20頭のウマが偽ワクチン接種対照ウマであった。全ウマが、感染に感受性のウマの指標となる、研究開始前の陰性から低い(1:6未満)EHV−1血清中和(SN)力価を有していた。
【0188】
ワクチンを、1mLの投与容量で、ワクチン接種群の各20頭のウマに筋肉内投与した。対照群における20頭のウマが、9通りのワクチンに使用された賦形剤(ゲンタマイシンおよびホルムアルデヒド)を含むが全く抗原を含まない、1mL用量のアジュバント化DMEM(ロット004)を受けた。病原性EHV−1 A183株ウイルスのチャレンジ接種を、ブースターワクチン接種の15日後に行なった。
【0189】
血清学的評価のための血清試料を、初回ワクチン接種前、初回用量のワクチン接種後の21日目(ブースターワクチン接種日)、チャレンジ日、並びにチャレンジ後の7および14日目にワクチン接種ウマおよび対照ウマから回収した。体温、全血球試料、および鼻腔スワブを、チャレンジ日および14日間のチャレンジ後の観察期間中毎日、全15日間の観察日において各ウマから得た。臨床データもまた、15日間の観察期間の間、各ウマについて毎日記録した。
【0190】
チャレンジ手順
チャレンジウイルス
本チャレンジ研究において使用した元来のチャレンジウイルスシードは、ウマ科皮膚(ED)細胞上での元来のシードウイルスの初代継代物であった。このチャレンジウイルスを収集し、そして106.2TCID50/mLの力価で凍結させた。
【0191】
鼻腔内チャレンジ法
鎮静薬および鎮痛薬であるSedivet(登録商標)(塩酸ロミフィジン)を、チャレンジ前に各ウマに50μg/kg(体重)の用量で静脈内投与した。その後、各ウマを、約106.5TCID50のEHV−1株を用いてチャレンジした。チャレンジウイルスを、以下の方法によって、ネブライザーによって産生されたエアゾールとしてウマ科用エアロマスク(Trudell Medical International, Ontario, Canada)中に鼻腔内投与した。
【0192】
耐圧ホースを空気圧縮機からネブライザーの入口部に取り付けた。その後、排出チューブを、チャレンジするウマの頭部に付着させたエアロマスクに挿入し、そして約10psiの空気圧を入口部に4分間かけた。この間、約2mLの106.2TCID50/mLのチャレンジウイルス液が、チャレンジするウマの鼻孔中に直接的にエアロゾル化された。
【0193】
チャレンジ前および後の評価パラメータ
温度
毎朝の直腸温度を、較正された電子体温計(GSA Electronics)プローブを用いて、チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、40頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々について記録した。毎日の直腸温度を、華氏温度(°F)で記録した。
【0194】
白血球数
40頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々に由来する静脈血を、毎日、チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、白血球数のためにバキュテナーEDTA二ナトリウムチューブ中に直接回収した。
【0195】
鼻滲出液の評価
全ての鼻滲出液の観察は、鼻咽頭スワブの回収前に行なった。チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、40頭の各々のワクチン接種ウマおよび対照ウマの鼻道および鼻口部を検査し、そして以下に列挙した等級化およびスコア化記載を使用して等級化した。
【0196】
0〜6のスコア化等級を、以下の各分類によって示される疾患の重症度に基づいて割り当てた:
(EN)本質的に正常とは、ウマが清潔であり、そして本質的に鼻滲出液がなかったことを示す、スコア0;
(C−1)疾患を患うウマおよび正常なウマの両方に頻繁に観察され得る、僅かで透明な漿液の排泄、スコア1;
(C−2)中等度の透明な漿液の排泄は、通常観察される容量を超える、容量の確実な増加を示す、スコア2;
(C−3)疾患を患うウマにしか一般に観察されない多量の透明な漿液の排泄、スコア3;
(VSM)非常に僅かな粘液膿性の排泄は、粘液が、いずれか片方または両方の鼻孔に少量で確実に存在したことを示す、スコア1.5;
(SM)僅かに粘液膿性は、片方または両方の鼻孔に容易に観察される排泄である、スコア2;
(MM)中等度に粘液膿性は、粘液性排泄が両方の鼻孔に大量に存在したことを示す、スコア4;および
(HM)重度の粘液膿性は、大量の粘液性排泄が両方の鼻孔を満たしたことを示す、スコア6。
【0197】
鼻咽頭ウイルス単離法
各観察試験日において、各々のワクチン接種および対照の各々の鼻道を、滅菌スワブを用いて深くから試料採取した。回収時に、2つの各々のスワブを直ちに、4mLの冷却した輸送培地(2%FBS、2×Pen/Strep、2×ゲンタマイシンおよび2×アムホテリシンBの補充されたダルベッコ最小必須培地(DMEM))を含む単一のチューブに入れた。
【0198】
ウイルスの単離のために、チューブを混合し、スワブを無菌的に取り出し、そして培地を1500rpmで10分間遠心分離にかけて微粒子状物質を除去した。培地を0.2μのシリンジフィルターを通してろ過し、その後、組織培養細胞上に接種した。1mLの清澄化した輸送培地を使用して、成長培地を無菌的に除去しておいた24ウェルの組織培養プレート中で成長した2cm2の1日齢のED細胞単層に接種した。接種後、接種材料を、5%CO2雰囲気を含む加湿インキュベーター中、37℃で、1時間、細胞単層上に吸着させた。吸着期間後、追加の1mLのリフィード培地(2〜5%のウシ胎児血清(FBS)、2mMのL−グルタミンおよび3×ゲンタマイシンおよび2×アムホテリシンBを含むDMEM)を各ウェルに添加した。リフィード培地の添加後、次いで、プレートを37℃でCO2インキュベーター中でインキュベーションした。各試験組織培養ウェルおよび対照組織培養ウェルを、7日間、EHV−1A183チャレンジウイルスに典型的な細胞変性効果(CPE)の兆候について顕微鏡により検査した。7日間の観察期間の終了時に陰性であったウェルを新たな細胞上に継代培養し、そしてさらに7日間観察した。
【0199】
白血球バフィーコートウイルス単離
40頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々に由来する静脈血を、チャレンジ日およびチャレンジ後14日間の間毎日、バキュテナーによってEDTA二ナトリウムチューブ中に回収した。EDTAで抗凝固処置された血液のチューブ中の赤血球を重量により沈降させた後、血漿および白血球をピペットで取り出し、そして5mLの滅菌スナップキャップチューブに入れた。血漿および白血球混合物を1500RPMで10〜15分間遠心分離にかけて、白血球をペレット化した。ペレットを、2回、2×Pen/Strep、2×ゲンタマイシン、および2×アムホテリシンBを含む3mLのリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄した。その後、細胞を、2%ウシ胎児血清(FBS)および2×Pen/Strep、2×ゲンタマイシン、および2×アムホテリシンBの補充された4mLのDMEMに懸濁した。1mLのバフィーコート懸濁液を使用して、成長培地を無菌的に除去しておいた24ウェルの組織培養プレート中で成長した2cm2の1日齢のED細胞単層に接種した。接種後、接種材料を、5%CO2雰囲気を含む加湿インキュベーター中、37℃で、1時間、細胞単層上に吸着させた。吸着期間後、追加の1mLのリフィード培地(5〜7%のウシ胎児血清(FBS)、2mMのL−グルタミンおよび1×ゲンタマイシンを含むDMEM)を各ウェルに添加した。リフィード培地の添加後、次いで、プレートを37℃でCO2インキュベーター中でインキュベーションした。単層上に静置された大容量の白血球に因りウェルを顕微鏡により観察することができなかった。それ故、7日間の終了時に、全ウェルを、接種材料として0.5mlの初代継代物を使用して新たなED細胞上に継代培養した。継代培養物を、チャレンジウイルス感染に典型的なCPEについて7日間観察した。
【0200】
血清中和試験手順
標準的なマイクロタイター血清中和試験を本研究において使用した。全血清を、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で、1希釈につき5つのウェルおよび5つの試験ウェルの各々について8つのウェルの希釈シリーズを使用して試験した。5つの試験ウェルの各々は、25μlの指標ウイルスと、約5×104個の細胞を含む150μlの新たに蒔いたED細胞懸濁液とが混合された、25μlの血清希釈液を含んだ。使用した試験指標ウイルスは、EHV−1サブタイプ1 A183株であった。全試験において、指標ウイルス逆滴定力価は、109〜263のTCID50/25μlの範囲であった。血清中和抗体力価は、Reed-MuenchID50力価として表現する。
【0201】
試験の実行のために、各試験血清の2倍希釈液を、1つの試験血清あたり5つの複製ウェルおよび8つのウェルの希釈シリーズを使用して、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で作製した。希釈は、滅菌マイクロタイターチップを使用して、容量の調整可能なシングルまたはマルチチャンネルピペッティング装置を用いて作製した。第一横列の5つのウェルの各々に添加された血清の容量は50μlであった。全ての他のウェルは25μlのDMEM(FBSを全く含まない)を含んだ。プレートの下へと連続希釈した後、25μlを最後の横列から廃棄した。25μlの指標ウイルスの予め決定された希釈液を、各試験ウェルに添加した。その後、プレートを混合し、そして1時間37℃で5%CO2中でインキュベーションした。インキュベーション期間の終了時に、5×104個のED細胞を含む150μlの懸濁液を、各試験ウェルおよび細胞対照ウェルに添加した。プレートを37℃でCO2インキュベーター中で3日間インキュベーションし、その時点でプレートをEHV−1に典型的なCPEについて顕微鏡により検査した。あるいは、任意の慣用的なもしくは市販されているアッセイを使用できるか、または当業者は本明細書におけるガイダンスを追随できるだろう。
【0202】
結果および結論
鼻漏スコア、鼻腔からのEHV−1の排出、および結膜炎スコアを、主要な成績変数と判断した。全ての他の成績は二番目と考えた。
【0203】
【表12】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、チャレンジ後の経時的なワクチン接種の効果を評価した。結果を太文字の数値を通して解釈した。
【0204】
鼻漏評価
日により変動するワクチン接種群は、鼻漏スコアについて統計学的に有意であった(P<0.05)。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の4、5日目および7〜11日目に見られた(ワクチン接種群におけるより低い鼻腔スコア、P<0.05)。毎日のスコアをチャレンジ後の期間におよび合計した場合、ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも低い全スコアを有していた(P<0.05)。軽減された割合は0.7250と推定された(95%ASE CI:0.4886、0.9614)。
【0205】
【表13】
1 ウィルコクソン順位和検定からのP値
2 鼻漏スコアおよび結膜炎スコアを、全時点におよび合計し、その後、軽減された割合の推定のために順位付けた。ウイルス排出日数を計算し、その後、軽減された割合の推定のために順位付けた。漸近標準誤差(ASE)を使用して、95%信頼区間(CI)を推定した。
【0206】
【表14】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、鼻漏スコアに対する経時的なワクチン接種の効果を評価した。
【0207】
結膜炎
日により変動するワクチン接種群は、結膜炎スコアについて統計学的に有意であった(P<0.05)。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の5および6日目並びに9〜14日目に見られた(ワクチン接種群においてより低いスコア、P<0.05)。毎日のスコアをチャレンジ後の期間におよび合計した場合、ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも低い全スコアを有していた(P<0.05)。軽減された割合は0.5300と推定された(95%ASE CI:0.2463、0.8137)。
【0208】
【表15】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、経時的なワクチン接種の効果を評価した。
【0209】
鼻咽頭スワブからのウイルス単離
ワクチン接種群の主な効果は統計学的に有意であった(ワクチン接種群においては排出する動物はより少ない、P<0.05)。排出日数を評価した場合、ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも少ないウイルス排出日数を有していた(P<0.05、表2)。軽減された割合は0.4925と推定された(95%ASE CI:0.1896、0.7954)。
【0210】
【表16】
【0211】
白血球数
日により変動するワクチン接種群は、白血球数について統計学的に有意であった(P<0.05、表1)。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の2および3日目に見られた。ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも高い白血球数を有し、このことは、ワクチンが、EHV1による感染によって引き起こされる白血球減少症にウマが罹患することを予防したことを示す(P<0.05)。
【0212】
【表17】
1 ANOVAからのP値
【0213】
血清学的研究
力価を、統計学的分析の前にlog変換した。日により変動するワクチン接種群は、SN力価について統計学的に有意であった(P<0.05)。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の35日目(チャレンジ日)並びに7および14日目(研究の42日目および49日目)に見られた。ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも高い力価を有していた(P<0.05)。
【0214】
【表18】
1 ANOVAからのP値。血清中和力価を、統計学的分析の前にlog(自然対数)変換した。
【0215】
結果および考察
ウマ科1型ヘルペスウイルスによって引き起こされる呼吸器疾患は、通常、生後1年以内に、通常秋および冬の月に起こる、ナイーブな離乳したおよび一年仔のウマの流行病である。急性感染の兆候は、106°Fまでの発熱、ウイルス血症および白血球減少症および/または好中球減少症を含む。鼻漏は、通常、この最初の曝露の発熱期間中において明らかである。EHV−1による自然感染は、呼吸器の永久免疫をもたらさない。実際に、ウマは、生涯におよび3〜6カ月毎に自然に再感染し得る。このウイルスによる最初の経験後に、再感染はウイルスの産生をもたらすが、通常疾患の臨床兆候は伴わず、これにより、ウイルスの自然宿主として作用するキャリアー動物がもたらされる。
【0216】
この報告において記載されるウマ科ヘルペスウイルス−1多成分ワクチンは、ウマ科1型ヘルペスウイルスの病原性異種株を用いてチャレンジしたウマの呼吸器の徴候、臨床症状、および鼻滲出液からのウイルス排出を減少させるのに効果的であることが示された。呼吸経路からのウイルス排出の減少は、これがナイーブ動物への天然の曝露経路であることに因り、並びに、自然感染を経験した動物から群れ仲間へと再感染するために、疫学的に重要である。それはまた、研究ウマにおけるワクチン使用の後に全身またはワクチン投与部位のいずれにおいても全く有害反応が観察されない安全なワクチンであった。
【0217】
本研究において、日により変動するワクチン接種群は、主要な成績変数である鼻漏スコアおよび結膜炎について統計学的有意性を示した。統計学的に有意な群の効果は、ワクチン接種群において鼻漏についてチャレンジ後の4、5および7〜11日目に見られた。結膜炎についての群の効果もまた、ワクチン接種群においてより低いスコアを示し、5および6および9〜14日目において統計学的に有意であった(P<0.05)。EHV−1ウイルスは繊細でありそして容易に環境において生き残らないので、これは疫学的に重要である。密接な接触は、病原性EHV−1ウイルスを含む鼻分泌物を通した疾患の伝染にとって重要である(Campbell and Studdert, 1983)。
【0218】
重要には、本研究における別の主要な成績変数である鼻滲出液中のウイルス排出は、統計学的有意としてワクチン接種の主要な効果を示した(P<0.05)。ワクチン接種群におけるウマはまた、対照群のウマよりも統計学的により少ないウイルス排出日数を有していた(P<0.05)。
【0219】
血清中和力価は、対照ウマと比較してワクチン接種ウマにおいてワクチン接種後および全チャレンジ期間を通して統計学的に有意であった(P<0.05)。体液性免疫および粘膜抗体は、EHV−1感染が増殖性感染事象または限定的な感染事象になるかどうかを決定する上で重要であり得る(Kidd, Smith, Hannant, et. al, 1994)。
【0220】
実施例6
本実施例は、ウエストナイルウイルスを用いてチャレンジした場合に本発明の免疫原性組成物の効力および6カ月間の免疫持続時間を説明する。
【0221】
材料および方法
本研究において評価したワクチンにおいて使用したWNVウイルス抗原を、実施例1に記載したようなEvero細胞上で産生した。全15頭のウマを群に無作為に分け、1つは5頭のウマの対照群であった。10頭のウマのワクチン接種群は、21日間隔で2用量のワクチンを受けた。満足のいく残留生ウイルス試験の終了時に、次いで、不活性化ウイルス液を使用して、不活性化ベネズエラウマ科脳脊髄炎TC−83株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9411)ウイルス、東部ウマ科脳脊髄炎NJO株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9412)ウイルス、および西部ウマ科脳脊髄炎フレミング株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9410)ウイルス、不活性化インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95(ATCCアクセッションナンバーPTA−9523)ウイルス、インフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93(ATCCアクセッションナンバーPTA−9523)ウイルス、およびインフルエンザA/イークワイン−2/オハイオ/03(ATCCアクセッションナンバーPTA−9522)ウイルス、不活性化ウエストナイルウイルス(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)および破傷風トキソイドも含むワクチンを調合した。ワクチンを、製品に含まれる全抗原について最小の規格へと調合した。
【0222】
最終の調合されたワクチンは、1mLの用量あたり以下の成分を含む:
【0223】
EHV−1 107.0-9.0 TCID50/mL
インフルエンザA2/オハイオ/03 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/KY/95 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/ニューマーケット/2/93 106.7-9.5 TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU
東部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2TCID50/mL
ウエストナイルウイルス 107.0-9.0 TCID50/mL
アジュバント(好ましくは鉱物油) 100-200μl
グリセロール 100-200μl
EDTA 240mM溶液 10-20μl
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1〜0.2%)
【0224】
15頭のウマを本研究において使用した。ウマを、ワクチン接種群または対照群のいずれかに無作為に割り当て、その後、ワクチン接種した。10頭のウマがワクチン接種ウマとして作用し、そして5頭のウマが偽ワクチン接種対照ウマであった。
【0225】
ワクチンを、1mLの投与容量で、ワクチン接種群の各ウマに筋肉内投与した。各対照は、9通りのワクチンに使用された賦形剤(ゲンタマイシンおよびホルムアルデヒド)を含むが全く抗原を含まない、1mL用量のアジュバント化DMEMを受けた。
【0226】
全ての群を、約105pfuの異種WNV株(NY99、4132、カラス単離株)を含む1mlのPBSのくも膜下腔内接種を用いてワクチン接種した約6カ月後にチャレンジした。チャレンジは、ケタミン−キシラジン麻酔下で行なわれた。
【0227】
ウマを最大で14日間モニタリングした。
【0228】
結果および考察
チャレンジ後のウイルス血症を本研究における主要な成績変数と判断した。ワクチン接種されたウマは、本研究においてチャレンジ後にウイルス血症から90%防御された。比較すると、5頭の対照ウマの全てが、チャレンジ後3〜5日間ウイルス血症を示した。
【0229】
さらに、ワクチン接種ウマの血清中和力価は、ワクチン接種後の対照ウマのそれよりも有意に高かった。全てのワクチン接種ウマが、ワクチン接種後に測定可能な血清中和力価を発達させ、一方、対照はいずれもWNVに対する力価を全く示さなかった。この研究は、2用量の実験組合せワクチンが、確実にそして効果的に防御的で血清学的な血清中和力価を刺激したことを実証した。
【0230】
ウイルス血症は、ウイルスが血液脳関門を通過してWNV脳炎を引き起こし得る前の必要条件であるので、ウイルス血症は、このタイプの実験研究における防御評価のための主要なパラメーターとして十分に正当化されている。
【0231】
結果は、免疫原性反応が、ワクチンを投与された動物において誘導され、そしてワクチンがワクチン接種後少なくとも6ヶ月間防御を与えるのに効果的であることを実証した。ワクチンの効力は、本実施例において、WNVウイルス血症の減少によって、およびWNVに対する高い血清中和力価の刺激によって証明された。このワクチンは、長時間持続する代謝不可能なアジュバントを含む独特な構成成分を含み、最近の起源および高度に疫学的に蔓延している免疫原性の高い低継代の完全な不活性化ウイルスWNV単離株として(北米優性WNV株)、および感染ウマの組織から単離されたWNVとして、高度の安全性を提供するために少量の1mLという投与容量で調合されるので、それは現在入手できる他のワクチンよりもより全体的な安全性および少なくとも6ヶ月間の持続時間という長く持続する効力を提供する。さらに、それは、動物に、特にウマに投与された場合に安全なワクチンを提供する効果を有する。
【0232】
実施例7
本実施例は、脳脊髄炎抗原を破傷風トキソイド抗原と共に含む本発明の免疫原性組成物の1つの態様の効力を示す。
【0233】
材料および方法
宿主動物および実験動物の免疫化/血清学を評価して、東部、西部およびベネズエラ脳脊髄炎の死滅ウイルスおよび破傷風トキソイドを含む、脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン中の脳脊髄炎抗原および破傷風トキソイド抗原画分の効力を実証した。ウマ科脳脊髄炎ウイルスワクチンおよび破傷風トキソイド画分に対する効力および干渉の欠如は、組合せワクチンの実験動物効力試験によって明解に実証することができる。ウマへのワクチン接種後の血清学的応答の実証もまた、ワクチン−トキソイドの効力を示す。従って、実験動物の効力および宿主動物の血清学の両方を本研究において使用して、実験ワクチンの効力を確認した。ワクチンを、ウマを含む動物における安全性についても評価した。
【0234】
ワクチン接種されていない雌ウマからの4〜5カ月齢のウマを、不活性化ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルスTC−83株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9411)、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルスNJO株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9412)、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルスフレミング株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9410)、ウエストナイルウイルス(WNV)・ウマ起源2005(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)、ウマ科1型ヘルペスウイルス(ATCCアクセッションナンバーPTA−9525)(EHV−1)、インフルエンザA/イークワイン−2/オハイオ/03(ATCCアクセッションナンバーPTA−9522)、インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95(ATCCアクセッションナンバーPTA−9523)、インフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93(ATCCアクセッションナンバーPTA−9524)および破傷風トキソイドを含むWNV組合せワクチンの効力シリアルを用いてワクチン接種した。ウマを研究の0日目および21日目にワクチン接種した。血液試料を、0日目、21日目および35日目に回収した。0日目および35日目の血清学的結果を本明細書において報告する。
【0235】
さらに、ウマのワクチン接種に使用したのと同じWNV組合せワクチンを、モルモットにおける効力について試験した。本報告において提示されたデータは、本研究において試験した各抗原(EEE、VEE、WEE、破傷風)の効力を総合的にそして確定的に確立し、そしてまたWNV組合せワクチンの安全性を確認する。
【0236】
大量のロットのEEE、WEEおよびVEEウイルス並びに破傷風トキソイドを産生した。成長後、ウイルス液をろ過し、ホルマリンで不活性化し、そして濃縮した。不活性化ウイルス液を、不活性化後に残留生ウイルスについて試験した。
【0237】
前記した不活性化ウイルス液およびトキソイド液を使用して、不活性化ウマ科1型ヘルペスウイルス、不活性化インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95ウイルス、インフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93ウイルスおよびインフルエンザA/イークワイン−2/オハイオ/03ウイルスも含むワクチンを調合した。
【0238】
ワクチンを、製品に含まれる全抗原について規格へと調合した。
【0239】
最終の調合されたワクチンは、1mLの用量あたり以下の成分を含んだ:
【0240】
EHV−1 107.0-9.0 TCID50/mL
インフルエンザA2/オハイオ/03 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/KY/95 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/ニューマーケット/2/93 106.7-9.5 TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU
東部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2TCID50/mL
ウエストナイルウイルス 107.0-9.0 TCID50/mL
アジュバント(好ましくは鉱物油) 100-200μl
グリセロール 100-200μl
EDTA 240mM溶液 10-20μl
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1〜0.2%)
【0241】
4〜5カ月齢の40頭のウマを本研究において使用した。ウマはワクチン接種全期間を通じて放牧地にその雌親と共に留まり、そしてブースターから2週間後の血清を回収した時にその雌親から離乳させた。ウマを2つの処置群のいずれか1つに無作為に割り当てると、それらを1.0mlの用量を用いて筋肉内(IM)にワクチン接種した。一次免疫の3週間後に1.0mlのIMブースターワクチン接種を行なった。20頭のウマがワクチンを受けた。20頭のウマがプラセボを受けた。
【0242】
モルモットもまた、同じ組合せWNVワクチンを用いてワクチン接種した。
【0243】
ウマにワクチン接種し、そして血清試料を以下のスケジュールを使用して回収した:
【表19】
【0244】
モルモットにワクチン接種し、そして血清を9 CFR、113.207(b)および113.114(c.)によって概略を示されたスケジュールを使用して回収した。
【0245】
本研究におけるウマからの血清を一般的なガイドラインに従って試験した。アッセイを改変して、0日目の試料については1:2および1:10の希釈率、そしてブースターの2週間後の血清試料については1:10および1:40の希釈率で試験することによって力価を決定した。血清を、EEE、WEEおよびVEE抗体について試験し、そして破傷風トキソイド抗体について試験した。
【0246】
結果および考察
EEE、WEEおよびVEEについてのウマの血清学的評価
研究の0日目において、全ての仔ウマが、脳脊髄炎ウイルスに対して血清陰性であったわけではなかった。ワクチン接種された仔ウマの5頭が、EEEウイルスに対して有意な(1:10を超える)残留移行抗体を有していた。さらに、ワクチン接種された仔ウマの2頭が、WEEウイルスに対して残留移行抗体(1:10を超える)を有していた。WNV組合せワクチンの初回用量の投与時における既存で干渉の可能性のある受動的に獲得された移行抗体にも関わらず、3つ全ての画分についての力価は、ワクチン接種後に実質的に増加したが(EEEについて試験したウマの80%において4倍超、WEEについて試験したウマの90%において4倍超、およびVEEについて試験したウマの100%において4倍超)、ワクチン接種されていない仔ウマについては陰性または低いままであった。個々の仔ウマのデータを以下に提示する。
【0247】
EEE、WEEおよびVEEのウマ科の血清学的力価
【0248】
【表20】
【0249】
EEE、WEE、VEEおよび破傷風トキソイドについてのモルモットの血清学的評価
組合せワクチンを用いてワクチン接種された10匹中9匹のモルモットが、EEEウイルスに対して(1:40以上)で満足に血清転換した。10匹中10匹のモルモットがVEEウイルスに対して満足のいく力価(1:4以上)を有し、そして10匹中10匹のモルモットがWEEウイルスに対して満足のいく血清転換をした(1:40以上)。また10匹のワクチン接種されたモルモットからの血清プールを、破傷風抗体について試験し、そして4.3抗毒素単位/ml(AU/ml)の値により満足のいくことが示された。
【0250】
モルモットの効力試験が完了し、そして破傷風トキソイド、EEE、VEEおよびWEEを含む4つ全ての抗原について満足のいくことが判明した。
【0251】
ワクチンをまた、一次免疫を介してウマ(20頭のワクチン接種および20頭の対照)に投与し、次いで3週間後にブースター免疫化を行なった。ブースターワクチン接種から14日後に、ウマを出血させ、そして血清を全ての血清学的試験のために回収した。脳脊髄炎抗原に対するウマ科の応答を、24ウェルプレート中の2つの希釈率(0日目の試料については1:2および1:10、そして35日目の試料については1:10および1:40)を使用して試験し、抗体力価を決定した。
【0252】
満足のいくモルモット効力試験は、結論的に、9つの抗原を含むワクチン−トキソイドとしてのウエストナイルウイルス組合せワクチン中の4つの抗原(VEE、EEE、WEEおよび破傷風トキソイド)の効力を確立する。さらに、満足のいく効力の結果が、宿主動物ウマ血清学データによって実証および確認され、この中でワクチン接種ウマは、ワクチン接種後に各脳脊髄炎ウイルス画分に対する力価の実質的な上昇を実証した。さらに、あらゆるワクチン接種ウマまたはモルモットにおけるあらゆる有害反応が観察されかったことは、動物におけるWNV組合せワクチンの安全性を確認する。
【0253】
実施例8
本実施例は、本発明によるワクチンまたは免疫原性組成物が、少なくとも1年間の免疫持続時間を有することを説明する。
【0254】
材料および方法
宿主動物のワクチン接種およびブースターワクチン接種から少なくとも1年後におけるチャレンジを使用して、ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)と称された北米優性WNV単離株から調製された脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン、東部、西部およびベネズエラの死滅ウイルス、破傷風トキソイドにおけるウエストナイルウイルス抗原画分に対する免疫持続時間を確認した。
【0255】
【表21】
【0256】
4〜5カ月齢の30頭のウマ(20頭のワクチン接種および10頭の対照)を本研究において使用した。ウマを、2つの処置群の1つに無作為に割り当て、そして1.0mLの用量の割り当てられたワクチンまたは対照製品を用いて筋肉内(IM)にワクチン接種した。一次免疫の3週間後に1.0mLのIMのブースターワクチン接種を行なった。
【0257】
ウマを1回ワクチン接種し、その後、約30日後に再度ワクチン接種した。ウマをワクチン群または対照群のいずれかに無作為に割り当てた。20頭のウマが、VEWT/WNV/EHV−1/インフルエンザワクチンを受けるワクチン群を受けた。10頭のウマが、ワクチンに使用された賦形剤(ゲンタマイシンおよびホルムアルデヒド)を含むが全く抗原を含まない、アジュバント化DMEMを受けた。全ての投与に使用される代謝不可能な油アジュバントは、好ましくは、鉱物油であった。
【0258】
病原性異種WNV NY99株ウイルス株のチャレンジ接種を、ブースターワクチン接種から380日後に行なった。第二ウマ集団を、同じようにブースター接種から408日後にチャンレジした。
【0259】
血清学的評価のための血清試料を、初回ワクチン接種前、初回用量のワクチン接種後の21日目(ブースターワクチン接種日)、ブースターの1カ月後、チャレンジ日、並びにチャレンジ後の7および14日目にワクチン接種ウマおよび対照ウマから回収した。体温および血清試料を、各ウマから、チャレンジ日に、チャレンジ後の1日目から6日目に1日2回、およびチャレンジ後7〜10日目の毎日および14日目に得た。臨床データもまた、15日間の観察期間中のそのような同じ期間の間に記録した。
【0260】
WNV NY99と称される異種チャレンジウイルスは、感染カラスの脳から最初に単離された(CDC, Ft. Collins, CO)。チャレンジ日に、ストックウイルスを氷上で解凍し、そしてウイルスをウマへの接種直前にリン酸緩衝食塩水中で所望の濃度まで希釈した。
【0261】
直腸温度を、較正された電子体温計(GSA Electronics)プローブを用いて、チャレンジ日前日、チャレンジ日、およびチャレンジ後1〜14日目に1日2回、その後、チャレンジ後14〜21日目に毎日、ワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々について記録した。毎日の直腸温度を、華氏温度(°F)で記録した。
【0262】
ワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々からの静脈血を、チャレンジ日、チャレンジ後1〜6日目に1日2回、並びにチャレンジ後7〜10日目の毎日および14日目にバキュテナーによってSSTチューブ中に回収した。遠心分離後、血清をアリコート化し、そして直ちに凍結した。
【0263】
Vero細胞を6ウェルプレートにおいて集密となるまで成長させた。プラークアッセイを実施するために、血清の連続10倍希釈液を96ウェルプレート中において、BA−1培地(50mMトリス(pH7.6)中に1%BSA、250mg/L重炭酸ナトリウム、50μlのゲンタマイシンおよび2.5μgのアムホテリシンB/mLを含むMEM塩)中で調製した。血清希釈液(0.1mL)を6ウェルプレートの各ウェルに接種し、そして15分毎に振とうしながら45〜60分間インキュベーションした。インキュベーション期間後、2mLのオーバーレイ(正常濃度の2倍で調製され、そして4%FBS、200IUのペニシリンG/mLおよび100μgのストレプトマイシン/mLの補充されたフェノールレッドを含まないMEMを含む2×培地−45℃まで加温)を各ウェルに加えた。プレートを37℃でインキュベーションした。
【0264】
接種の2日後、等容量の2×培地と2×アガロースとを混合することによって調製された2×アガロースを含む2mLの第二オーバーレイを各ウェルに加えた。プレートを検査し、そして各ウェル中のプラーク数を、接種後3、4および5日目に記録した。最初の材料1mLあたりのウイルス力価は、1つのウェル中のプラーク数(または同じ希釈率で接種した複数のウェルの平均)×計測するウェルについての希釈率×10として計算される。
【0265】
標準的なマイクロタイター血清中和試験を本研究において使用した。全血清を、滅菌された平底96ウェルマイクロタイタープレート中で、1希釈につき5つのウェルおよび5つの試験ウェルの各々について8つのウェルの希釈シリーズを使用して試験した。5つの試験ウェルの各々は、25μLの指標ウイルスと、約4×104個の細胞を含む150μLの新たに蒔いたVero細胞懸濁液とが混合された、25μLの血清希釈液を含んだ。使用した試験指標ウイルスは、WNV NY99であった。血清中和抗体力価は、Reed-MuenchID50力価として表現する。
【0266】
試験の実行のために、各試験血清の2倍希釈液を、1つの試験血清あたり5つの複製ウェルおよび8つのウェルの希釈シリーズを使用して、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で作製した。希釈は、滅菌マイクロタイターチップを使用して、容量の調整可能なシングルまたはマルチチャンネルピペッティング装置を用いて作製した。第一横列の5つのウェルの各々に添加された血清の容量は50μLであった。全ての他のウェルは25μlのDMEM(FBSを全く含まない)を含んだ。プレートの下へと連続希釈した後、25μLを最後の横列から廃棄した。25μLの指標ウイルスの予め決定された希釈液を、各試験ウェルに添加した。その後、プレートを混合し、そして1時間37℃で5%CO2中でインキュベーションした。インキュベーション期間の終了時に、4×104個のVero細胞を含む150μLの懸濁液を、各試験ウェルおよび細胞対照ウェルに添加した。プレートを37℃でCO2インキュベーター中で5〜7日間インキュベーションし、その時点でプレートをWNVに典型的なCPEについて顕微鏡により検査した。
【0267】
組織病理は、米認定獣医病理学者によって評価された。脳橋または髄質における欠陥の記載に使用したスコア化システムは以下の通りであった:
【0268】
スコア:
0=切片における有意な病変無し
0.5=実質全体に散在する稀で小さな多巣性のグリア小結節
1=軽度で非化膿性の脳炎。これは、リンパ球および形質細胞および稀な好中球を含む軽度な多巣性囲管性細胞浸潤、並びにグリア細胞といくつかの単核炎症細胞とを含む散在した多巣性グリア結節によって特徴付けられる。時折、この等級内で、最小の囲管性細胞浸潤およびより中等度の散在したグリア結節が存在し得る。
2=多くの血管の周囲の中等度のリンパ形質細胞性の囲管性細胞浸潤および実質全体に散在したグリア結節の多巣性蓄積によって特徴付けられる中等度の非化膿性脳炎。
3=実質全体におよぶ複数の散在したグリア結節を含む重度で厚いリンパ形質細胞性の囲管性細胞浸潤によって特徴付けられる重度の非化膿性脳炎。
【0269】
結果および考察
いずれの投与時点においてもワクチン投与に対する有害な反応は全くなかった。実験ワクチンを受けた4〜5カ月齢の全ての仔ウマが、研究において全身性または注射部位における有害反応がなかった。これは、NAEE159単離株から調製された北米優性WNV抗原を含むWNVに対する本発明のワクチンの優れた安全性を確認する。
【0270】
異種ウエストナイルウイルスを用いてのウマへのチャレンジ
【0271】
ウイルス血症
10頭の各々の対照ウマ(100%)が、チャレンジ後少なくとも1日間はウイルス血症性であり、一方、WNVワクチン群における20頭中僅か2頭(10%)のウマがウイルス血症性であった。
【0272】
臨床兆候
対照群における10頭中7頭(70%)のウマが、ウエストナイルウイルス感染に一致した脳脊髄炎の兆候を発達させた。これらの各動物は、チャレンジ期間中少なくとも1日間はウイルス血症性であった。WNVワクチン群において、20頭中1頭(5%)のウマが、ウエストナイルウイルス感染に一致した兆候を発達させた。顕著には臨床兆候は、対照の70%およびワクチン接種の僅か5%において死亡または安楽死へと進行した。全ての対照の死亡はウイルス血症であり、WNVに因る致命的な脳炎と確認され、一方、死亡した2頭中1頭のみのワクチン接種動物がチャレンジ期間中にウイルス血症性であった。
【0273】
血清中和力価
全てのワクチン接種ウマが、ワクチン接種後に防御レベルの血清中和(SN)抗体を発達させることによってWNVワクチンに好ましく応答した。ワクチン接種後の1年間におよび、20頭中17頭(85%)のワクチン接種ウマが防御的SN力価を維持した。これに対し、対照ウマはいずれも、病原性WNVチャレンジ前にSN力価の上昇を発達させなかった。また、全てのワクチン接種ウマが、病原性WNVチャレンジ後にSN力価の既往の上昇を示した。
【0274】
組織病理
重度のスコアが、髄質および脳橋の両方について提供された。またこの効力パラメーターに関して、NAEE159単離株から調製された北米優性WNV抗原を含むWNVワクチンが非常に効果的であると証明された。対照ウマの中で、50%が、WNV脳炎の重度病変を示したが、一方、ワクチン接種の僅か10%が同じように罹患した。
【0275】
考察および結論
WNVワクチンは、特異的な優性WNV遺伝子型が出現した北米流行期中の2005年にウマから得られたウイルス単離株(ノース・アメリカン・イークワインE159)から調製された。この遺伝子型は、ウイルスのエンベロープ(E)タンパク質中の159番目のアミノ酸における特異的なバリンからアラニンへのアミノ酸変化によって特徴付けられ(ATCCアクセッションナンバーAF196835を有するWNV−NY99単離株について公共的に入手可能な配列と比較した場合)、この変化は全てのこのような単離株をより頑強にそして多産性とし、これは、他のWNV単離株を置き換え、そしてこの遺伝子型を、北米において疾患を引き起こすWNV単離株の中で優性なものとさせた。それは優性遺伝子型から調製されたので、本研究において使用したワクチンは、このEタンパク質プロファイルおよび結果として生じる多産生を有する全てのこのような北米優性単離株から調製されたワクチンを用いて達成可能な独特な安全性および効力を示す。顕著には、全ての以前に試験したWNVワクチンは、異なる遺伝子型および異なるEタンパク質アミノ酸配列を有するより多産性の低い単離株、すなわちWNV NY99から調製されていた。核酸配列、Eタンパク質アミノ酸配列、ウイルス多産性、および流行を引き起こす独特な能力におけるこの差異に基づいて、北米優性単離株は、環境からNY99にとって代わりつつあるかまたはとって代わった。独特な遺伝子型および表現型(多産性)、および最も重要には、北米優性WNV単離株の圧倒的な環境中での存在およびWNV NY99の不在が、北米優性ウエストナイルウイルスワクチンの優位性についての説得力のある証拠である。このような優位性は、北米優性単離株のノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)から調製されたワクチンを使用するこのチャレンジ研究において実証されたような、ワクチンの安全性および効力によって確認される。
【0276】
本研究において、4〜5カ月齢のウマに、NAEE159c単離株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)から調製された北米優性WNV抗原であるWNV成分を含む適切な抗原量で1回分にまとめられた多成分VEWT/WNV/EHV−1ウマ科インフルエンザワクチンを用いて安全かつ効果的にワクチン接種した。
【0277】
研究ウマを、ブースターワクチン接種から少なくとも380日後に105PFUの病原性異種ウエストナイルウイルス株を用いてクモ膜下腔内にチャレンジした。ウマを、臨床兆候(温度および死亡率を含む)、ウイルス血症、血清中和力価、並びに安楽死および部検後に採取した脳橋および髄質の切片からの組織病理スコアについてチャレンジ後14日間評価した。
【0278】
チャレンジ後のウイルス血症および血清中和力価は、ワクチン効力の非常に指標となる、本研究における重要な成績変数であった。VEWT/WNV/EHV−1/インフルエンザ・ロット916を用いて1年以上前にワクチン接種されていたウマは、本研究においてチャレンジ後にウイルス血症から90%防御された。比較すると、対照ウマの100%が、チャレンジ後にウイルス血症を示した。さらに、ワクチン接種ウマの血清中和力価は、チャレンジ後14日目において対照ウマのそれよりも有意に高く、そして異種の病原性WNVチャレンジ後に効果的なワクチンに典型的な既往の応答を示した。
【0279】
さらに、NAEE159単離株から調製された北米優性WNV抗原を含むワクチンは、病原性WNVを用いての異種チャレンジ後に脳脊髄炎から生じる臨床兆候および死亡率を減少させた。ワクチン接種の少なくとも1年後のワクチン効力はまた、WNV感染に典型的な病変の減少によっても確認された。
【0280】
本研究は、4〜5カ月齢の仔ウマに投与されたNAEE159単離株から調製された北米優性WNV抗原を含む適切な抗原用量で調製された、2用量の実験組合せワクチンが、安全に、確実にそして効果的に、ウエストナイルウイルスを用いての病原性異種チャレンジ後にウイルス血症、臨床兆候、死亡率および脳炎病変からの防御を伴う少なくとも1年間の免疫持続時間をもたらす、防御的で血清学的な血清中和力価を刺激したことを初めて実証した。
【0281】
実施例9
本研究において、組合せワクチンを、北米優性WNV単離株であるノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)を使用して調製した。この脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン、東部、西部およびベネズエラの死滅ウイルス、破傷風トキソイドを用いてワクチン接種されたモルモットからの2回目のワクチン接種から14日後の血清試料を回収し、そしてウエストナイルウイルスプラーク減少中和(PRN)について試験した。ワクチン接種モルモットからの血清を、北米優性WNV単離株およびWNV NY99単離株の両方に対する中和抗体について試験した。顕著には、ワクチンは、NY99WNVとは逆に、北米優性WNVに対する中和抗体の刺激において優れた活性を示した。これらのデータは、NY99WNV単離株からまたはそれに基づいて調製されたより初期の効果のより低いワクチンとは対照的な、北米優性WNV単離株から調製されたWNVワクチンの優れた効力の結論を支持する。
【0282】
さらに、追加の北米優性WNV単離株のノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)から調製されたワクチンは、同じように、前記したように、以前のNY99に基づいたワクチンを超えるこのようなワクチンの優れた効力を実証する。従って、独特な北米区域を起源とする様々な宿主種から培養され、そして北米の様々な時期に得られた複数の北米優性単離株からのデータは、ワクチン調製のための北米優性WNV単離株の意外であるが優れた効力を確認するだろう。
【0283】
プラーク減少中和アッセイからのデータはまた、ワクチン接種モルモットにおいて1:12以上の力価を刺激し、ワクチン接種モルモットの少なくとも90%において50%のウイルスプラーク減少を提供する、北米優性WNV単離株から調製されたワクチンが、ウマにおけるWNVチャレンジに対するワクチン防御に相関し、そして少なくとも1年間の免疫持続時間を提供することを確立した。1用量あたり107.6−9.0TCID50以上の用量の抗原封入レベルにおけるウマにおけるウエストナイルウイルスワクチン接種/チャレンジデータは、これらのモルモットのPRN力価結果に相関し、そしてウマにおける1年間以上の免疫持続時間を提供するWNV免疫化用量を確認した。モルモットにおける対応する用量はまた、モルモットにおいて北米優性WNVに対して少なくとも1:12の力価まで血清中和抗体を刺激する。
【0284】
本報告において提示されたデータは、総合的に、北米優性WNV単離株から調製されたワクチンの意外な効力を実証し、ウマおよびモルモットの血清中和抗体レベルにおけるワクチン効力間の相関を規定し、モルモットにおける1:12以上の力価が、少なくとも1年間の免疫持続時間を与える効果的なウマ科ワクチンを同定することを確認し、そして極めて顕著には、NY99WNVとは対照的な、北米優性WNVから調製されたワクチンの優れた効力を実証する。
【0285】
材料および方法
脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン、東部、西部およびベネズエラの死滅ウイルス、破傷風トキソイドにおいて、北米優性WNV単離株であるノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)を使用して調製された、ウエストナイルウイルス抗原の効力を実証するために、そしてウマまたはモルモットにおいて測定可能な有効量を確立するために、宿主動物のワクチン接種/チャレンジ研究を、モルモットワクチン接種/血清学研究と共に行なった。本研究において、脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン、東部、西部およびベネズエラの死滅ウイルス、破傷風トキソイドを用いてワクチン接種されたモルモットからの2回目のワクチン接種から14日後の血清試料を回収し、そして試験した。さらに、プラーク減少中和アッセイを展開して、宿主動物におけるチャレンジに対する防御に相関した力価を測定した。この力価は、モルモットにおいて1:12以上と決定された。
【0286】
ワクチン製剤
実験用シリアル(防御用量のワクチン)
実験シリアルを調合して、ワクチン中の全ての抗原についての防御的な抗原の規格を確認した。
【0287】
【表22】
【0288】
実験シリアル916を、宿主動物のワクチン接種研究のために調合した。実験シリアル916は、VEWT−WNV−EHV−1および3株のウマ科A2型インフルエンザウイルスを含む、多成分ワクチンである。実験シリアル916は、107.6−9.2TCID50/mLのウエストナイルウイルス抗原のノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)で1回分にまとめらている。それは、ウマにおける1mL用量のワクチンである。
【0289】
このワクチンはまた、宿主動物へのワクチン接種時にモルモットにおいて試験され、WNV効力および実験動物の効能を確認した。4回反復するモルモット血清希釈実験を、実験シリアル916について行ない、この1年間の免疫持続時間(DOI、duration of immunity)のワクチンについてのモルモットのアッセイ基準を検証した。
【0290】
実験シリアル507(比較効力シリアル)
実験シリアル507からのデータが本報告に含められ、北米優性WNV抗原単離株を用いて調合されたシリアルは、より初期のNY99単離株と比較して、関連する北米優性WNV単離株の優れた効力(モルモット力価として測定された)を示すことを実証する。
【0291】
モルモットの血清学的評価
血清を、以下のようにWNV抗体について試験した:
1)ウエストナイルウイルス指標株:ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)およびノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)
2)Vero細胞のための成長培地は、DMEM+5%FBS、2mMのL−グルタミンおよび30μg/mLのゲンタマイシンである
3)試験血清のための希釈剤は、DMEM+30μg/mLのゲンタマイシンである。
4)指標ウイルスワーキング溶液のための希釈剤は、DMEM+10%の正常なモルモット血清である(WNVアッセイに特異的)
5)モルモット試験血清を1:12に希釈する
7)3mLの代わりに4mLのオーバーレイを使用する(WNVアッセイに特異的)
8)力価を50%プラーク減少を使用して計算する
9)10匹中9匹のワクチン接種モルモットが、効力を実証するためには1:12以上の抗体力価を有さなければならず、そして陰性モルモットは、1:4未満でなければならない(SAMにおけるVEEアッセイと同じ基準)
【0292】
結果および考察
ウエストナイルウイルスについての血清学的評価
ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)を指標ウイルスとして使用した実験シリアル916反復Iウエストナイルモルモットのプラーク減少中和結果
【0293】
研究を開始し、そしてモルモットを25日後に出血させた。
【0294】
【表23】
【0295】
【表24】
【0296】
【表25】
【0297】
【表26】
【0298】
実験シリアル507(これはノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)ワクチンの優れた効力を実証し、そしてノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)などの他の北米優性ワクチンはNY99ワクチンよりも優れた効力を提供するだろう)
ウエストナイルウイルスについてのモルモットの血清学的評価
【0299】
【表27】
【0300】
【表28】
【0301】
考察および結論
モルモットをワクチン接種し、そして血清をウエストナイルウイルス抗体について試験した。このアッセイは、ワクチン接種モルモットにおける1:12の力価が、ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)などの北米優性WNV単離株を使用して調製したWNVワクチンについて少なくとも1年間の免疫持続時間を提供するウマワクチン接種/チャレンジ研究における防御に相関することを確立した。
【0302】
モルモットワクチン接種と同時に、北米優性WNV単離株であるノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)を使用して調製したWNVワクチンもまた、一次免疫を介してウマ(20頭のワクチン接種および10頭の対照)に投与し、その後、3週間後にブースター免疫化した。ブースターワクチン接種から1年以上後に、ウマを病原性ウエストナイルウイルスチャレンジにかけ、そしてワクチン接種されていない対照と比較した場合に防御された。ワクチン接種ウマは、ウエストナイルウイルスを用いての病原性異種チャレンジ後に、ウイルス血症、臨床兆候、死亡、および脳炎病変から防御された。
【0303】
さらに、データは、WNV NY99に由来する以前に開発されたワクチンとは逆の、北米優性WNVを使用して調製したWNVワクチンの優れた効力を実証する。ワクチン接種モルモットからの血清を、北米優性WNV単離株およびWNV NY99単離株の両方に対する中和抗体について試験した。北米に頻繁に存在する単離株、すなわち北米優性単離株(NAEE159)に対する力価は、北米においてもはや存在しないかまたは疾患を引き起こさないと報告されている単離株であるWNV NY99に対する力価と比較して、ワクチン接種モルモットにおいて一貫してより高かった。従って、ワクチンは、NY99 WNVとは逆の、北米優性WNVに対する中和抗体を刺激する上で優れた活性を示した。これらのデータは、NY99 WNV単離株からまたはそれに基づいて調製されたより初期のより効果の低いワクチンとは対照的な、北米優性WNV単離株から調製されたWNVワクチンの優れた効力の結論を支持する。
【0304】
実施例10
本実施例は、本発明に使用したような、北米WNV株と北米優性WNV株との間の遺伝子的差異を説明する。
【0305】
材料および方法
新規で優れたワクチンの調製に適したWNV NY99単離株および北米優性WNV単離株のゲノムの関連領域をシークエンスし、そして比較して重要な遺伝子的差異を確認した。ワクチン調製物に使用された北米優性単離株の例は、ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)およびノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)を含む。
【0306】
結果および結論
これらのWNV単離株における非常に重要なエンベロープ(E)タンパク質および非構造5(NS5)タンパク質を、標準的な実験技術を使用してシークエンスし、WNV NY99とは対照的なヌクレオチド配列中の遺伝子的差異を決定した。顕著には、北米優性単離株(その具体例は、ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)およびノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)である)は、北米優性WNV単離株を特徴付け、そしてそれらをNY99 WNVから区別する変化、すなわち、Eタンパク質をコードするヌクレオチド配列中のそれぞれ1442位および2466位におけるUからCへの突然変異およびCからUへの突然変異、並びにNS5タンパク質をコードする配列中の9352位におけるCからUへの突然変異を示した。図10〜17は、単離株の様々な領域の配列アラインメントを示す。E領域におけるアラインメントは、NY99単離株(AY590210としてGenBankに寄託)およびAY590223としてGenBankに寄託された北米優性単離株(WN02単離株)についての公共的に入手可能な参照配列に関する。NS5領域におけるアラインメントはまた、NY99単離株(AY369442としてGenBankに寄託)およびAY369440としてGenBankに寄託された北米優性単離株(WN02単離株)についての公共的に入手可能な参照配列に関する。これらのアラインメントによって示されるように、北米優性WNV単離株は、北米優性WNV単離株についての定義において定義された配列変化と同じ、NY99単離株に対する配列変化を有する。これらの配列は、本明細書において配列番号1〜22として提供され、WN99単離株の全長ゲノムは配列番号23として提供され、そして配列番号23の全長ゲノムによってコードされるタンパク質は配列番号24として提供される。
【技術分野】
【0001】
背景
ウエストナイルウイルス(「WNV」)はフラビウイルス科に存する。通常、昆虫刺咬を通して移す媒介蚊を通して感染にかかる。ウエストナイルは、世界中の全タイプの動物および鳥類に感染する。このウイルスは初めて1999年に北米領域において発見され、最初の診断はカナダのウマにおいてであった。現在では、ウエストナイルウイルスは米国において風土病化し、全タイプの鳥類、ヒトおよび動物に罹患する。2002年にウエストナイルウイルスの確認された14,700超の症例が43の州で報告された。
【0002】
WNVの蔓延はいくつかの因子によって影響を受ける。蚊はウイルスのためのベクターでありそしてWNVを存続させるので、蚊個体群の成長および発達を行なう生態学的な条件は、WNVの蔓延の影響を有する。WNVの蔓延を防ぐ努力において蚊個体群を制御するために使用されたいくつかの戦法が存在する。これらの戦法は、殺虫剤、忌避剤、蚊と動物との間の接触を防ぐ物理的障壁の使用、蚊の繁殖を持続させる環境の排除、および免疫化の使用を含む。WNVの典型的な兆候は、中枢神経系に罹患する様々な症状を含む。脳炎の症状がしばしば見られ、そしてそれは、ウイルス血症、中枢神経系の組織病理学的病変、食欲不振、うつ病、発熱、衰弱、異常歩行、後足の麻痺、視力障害、運動失調、目的のない徘徊、痙攣、嚥下不能、昏睡、および死亡を含む。
【0003】
WNVに対して指向されるいくつかのワクチンが導入されたが、これらは様々な理由から望ましくない。例えば、あるワクチンは、カナリアポックスをベクターとしてウエストナイルウイルスから産生された。別のセットのワクチンは、ウエストナイルウイルスの組換えキメラタンパク質から産生され、ここで、キメラタンパク質ワクチンは、改変形の細菌フラゲリン(STF2デルタ)をWNVエンベロープタンパク質のEIIIドメインに融合することによって設計された。別のワクチンは、アジュバントとして代謝可能な油を必要とする、不活性化された初期北米ウエストナイル株を含んだ。最後に、弱毒生キメラワクチンが、プレメンブランおよびエンベロープタンパク質が対応するWN(4)の遺伝子によって置換された黄熱病17Dウイルスの感染性クローンから産生された。
【0004】
前記したワクチンに固有のいくつかの問題が存在する。生のウイルス性生物を含むワクチンは、動物がワクチン接種を通してウイルスに感染し、病気およびさらには死にさえ至るリスクを有する。キメラタンパク質ワクチン、組換え発現ワクチン、およびいくつかのサブユニットワクチンは、ワクチン組成物に含まれるタンパク質の数に関連した、制限された免疫学的な活性および効果の問題を有する。これらのタイプのワクチンの効力は通常制限されており、そしてウイルスによる感染のリスクまたは野生型ウイルスへの復帰がよく見られる。さらに、一般的なワクチンに使用されるアジュバントの中には、代謝可能な油からなり、これは生体から比較的急速に除去され、そしてワクチン接種動物の免疫系が免疫学的に活性な組成物に応答し得る持続時間を制限するものもある。ワクチン接種動物においてアレルギー反応および望ましくない作用を引き起こし得るアジュバントもある。さらに、これらのワクチンは、WNV以外の他の病原体に対する免疫を刺激するための抗原を含まず、よってそれらは、いくつかの疾患に対して簡便性および安全性の両方でもって動物を防御できない。また、全ての以前のワクチンは、もはや環境に存在せず、従って、もはや動物に感染できずそして疾患を引き起こすことができないWNVの初期単離株に由来していた。
【0005】
従って、当技術分野において必要なのは、妊娠動物を含む全ての年齢の動物への投与に対して安全であり、そしてワクチンの免疫原性効果および持続時間を助けるのに適したアジュバントを含み、そして天然環境に存在したままであり、そして疾患(これに対して、このようなワクチンが防御を与えるであろう)を引き起こすWNVの現代のまたは優性な単離株から調製される、ワクチンである。ウエストナイルウイルスによる疾患または感染に関連した臨床兆候の排除または予防に至るかこれを含む発生率および/または重度を減少させるワクチンがさらに必要とされる。さらに必要とされるのは、ウエストナイルウイルス抗原を他のウマ科病原体由来の抗原と組み合わせて含み、これにより、ウエストナイルウイルスおよび他の病原体(群)の両方に由来する疾患の臨床兆候の発生率または重度を減少させることによってさらなる防御を与える、ウエストナイルウイルスに対するワクチンである。
【0006】
発明の要約
本発明は、従来技術に固有の問題を克服し、そして最新技術における明確な進歩を提供する。より特定すると、本発明は、ウエストナイルウイルスの1つ以上の株または単離株を含む免疫原性的に活性な抗原性成分を含む、ワクチンまたは免疫原性組成物を提供する。いくつかの好ましい態様において、前記組成物は、アジュバント、好ましくはカルボマー、および薬学的に許容される担体をさらに含む。好ましくは、ウエストナイルウイルス抗原は、死滅または不活性化されている。この組成物は、ウエストナイルウイルスに罹患しやすい動物において免疫原性応答を誘導し、そしてあらゆる年齢の動物にとって安全なワクチンを提供する。
【0007】
本発明はさらに、免疫原性的に活性であり、そして以前に記載されたワクチン組成物の限界を克服する、ワクチン組成物を提供する。本発明は、不活性化されたワクチンを提供し、これにより、妊娠雌を含むワクチン接種動物に対して独特な安全性を提供する。さらに、本発明の免疫原性組成物は、ワクチン接種動物における受動的に獲得された母子免疫からの干渉を克服し、そして能動免疫を刺激する。有利には、本発明は、病原性WNVの多くのまたは全ての関連する抗原性成分およびタンパク質を含む、広範囲で効果的な免疫原性的に活性な組成物を提供する。本発明の免疫原性組成物は、それが組成物中にWNVの現代単離株または疫学的に優性な単離株の抗原を含み、今日、ウマを含む動物において最もよく見られる単離株に対する免疫に至るかそれを含む、WNV感染の臨床兆候の発生率および/または重度を減少させることによる防御的な免疫原性応答を提供する点において独特である。好ましい態様において、WNVのそのような現代単離株は、北米ウエストナイルウイルス単離株または北米優性ウエストナイルウイルス単離株の一部である単離株を含む。本発明の目的のために、WN02はWNV株の代表例であり、これを北米優性ウエストナイルウイルス株または単離株ということができる。特に、北米優性株および単離株は、少なくとも1ヌクレオチドの変化を有し、これによってWN99単離株からの1アミノ酸の変化がもたらされたものである。NY99株(GenBankアクセッションナンバーAF196835)は、株または単離株が北米優性であるかどうかを決定するための参照株として作用する。さらに、これらの株または単離株は、1つ以上のサイレントなアミノ酸変化を有し得る。好ましい態様において、ヌクレオチド変化により株または単離株のエンベロープタンパク質のアミノ酸の変化が生じ、より好ましくはヌクレオチド変化によりバリンからアラニンへのアミノ酸の変化が生じる。好ましくは、このアミノ酸変化は、中間宿主、すなわち蚊における、より大きな複製能に関連している。より好ましくは、北米優性株は、それぞれ1442位および2466位におけるUからCへの突然変異およびCからUへの突然変異(北米株、例えばNY99および配列番号23と比較して)のいずれか(および好ましくは両方)を含む。さらにより好ましくは、北米優性株または単離株はさらに、Eタンパク質をコードするヌクレオチド配列中における突然変異、およびNS5タンパク質をコードする配列中の9352位におけるCからUへの突然変異(ここでも、北米株、例えばNY99および配列番号23と比較して)を含む。これらの好ましい突然変異は、実施例10およびPhylogenetic Analysis of North American West Nile Virus Isolates, 2001-2004: Evidence For the Emergence of a Dominant Genotype, C. Todd Davis, et. al, Virology 342, p. 252-265 (2005)(この教義および内容は参照により本明細書に組み入れられる)に示される。
【0008】
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物の製造法を提供する。前記方法は、一般に、ウエストナイルウイルス抗原と、賦形剤または薬学的もしくは獣医学的に許容される担体とを組み合わせる工程を含む。好ましい態様はさらに、1つ以上の追加のウマ科抗原を添加する工程を含む。別の態様において、前記方法はさらに、適切なアジュバントを前記組成物に添加する工程を含む。
【0009】
1つの好ましい態様において、本発明は、WNV抗原と、ワクチン接種動物の免疫系が免疫原性的に活性な組成物に応答し得る持続時間を延長するための代謝不可能な油アジュバント、好ましくは鉱物油とを含む。代謝不可能な油は、抗原と共に投与された場合、投与後に生体において代謝されない油であると理解される。好ましい代謝不可能な油は鉱物油である。他の好ましい形態において、カルボマーアジュバントおよび代謝不可能な油(好ましくは鉱物油)の両方がWNV抗原に加えて存在する。アジュバント(群)を、本明細書において記載された任意の組成物において使用することができる。
【0010】
追加の態様において、本発明の組成物は、WNV抗原、好ましくは北米優性株由来の不活性化または死滅WNVを含み、そして実質的に全く油を含まないかまたは油をベースとしたアジュバントを含まない。このような態様において、他のアジュバント、好ましくはカルボマーを含めることができる。
【0011】
別の態様において、ウマ科微生物病原体由来の他の抗原と組み合わせたWNV抗原を含むワクチン組成物が、動物に広範囲の防御を付与するために提供される。このような態様において、WNV抗原は前記した任意の形態である。
【0012】
1つの好ましい態様において、本発明は、ベネズエラウマ科脳脊髄炎(VEE)、東部ウマ科脳脊髄炎(EEE)、西部ウマ科脳脊髄炎(WEE)、破傷風トキソイド(T)、ウマ科ヘルペスウイルス(EHV)(1型および4型を含む)、ウマ科インフルエンザウイルス(EIV)およびその組合せからなる群より選択された1つ以上の抗原性成分の免疫学的有効量と組み合わせた前記したWNV抗原を、薬学的に許容されうる担体と共に含む、ワクチン組成物を提供する。好ましくは、そのような態様は、アジュバント、好ましくはカルボマー、および薬学的に許容されうる担体を含むだろう。さらに、代謝不可能な油、好ましくは鉱物油も存在し得るが、しかしながら、このような油は必要ではない。
【0013】
好ましい態様はまた、前記したようなWNV抗原を:東部ウマ科脳脊髄炎;西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎;破傷風トキソイド;東部ウマ科脳脊髄炎および西部ウマ科脳脊髄炎;東部ウマ科脳脊髄炎およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;東部ウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイド;東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイド;東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイド;西部ウマ科脳脊髄炎およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;西部ウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイド;西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイド;ベネズエラウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイド;並びに東部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイドと組み合わせて含む。これらの明記した組合せの最も好ましい組合せは、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイドの抗原または抗原性成分と組み合わせたWNV抗原を含む。各々のこのような明記した組合せにおいて、アジュバントまたはアジュバントの組合せを、カルボマーと共に、さらにより好ましくはカルボポール(特に好ましい)と共に使用することができる。WNVと、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎および破傷風トキソイドとの組合せの最も好ましい形態において、油(代謝可能または代謝不可能)は全く存在しない。東部ウマ科脳脊髄炎のNJO株、西部ウマ科脳脊髄炎株のフレミング株、およびベネズエラウマ科脳脊髄炎株のTC−83株は全て、これらのワクチン成分の代表的な株である。
【0014】
本発明のさらに好ましい態様を、前記に列挙した明記した各々の組合せワクチンを使用して、そしてウマ科ヘルペスウイルス、好ましくは1型、4型(EHV1および/またはEHV4)、またはその組合せに由来する抗原に添加することによって作製することができる。
【0015】
EHV1および/またはEHV4を含む組合せワクチンを含む、前記に列挙した明記した各々の組合せワクチンのさらに他の変種を、ウマ科インフルエンザウイルス(EIV)由来の抗原に添加することによって作製することができる。ウマ科インフルエンザウイルスを取り込んだ好ましい態様は、ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、および破傷風トキソイド;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、および東部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、東部ウマ科脳脊髄炎、および西部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎;およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、および東部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、および西部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、東部ウマ科脳脊髄炎、および西部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、東部ウマ科脳脊髄炎、およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、西部ウマ科脳脊髄炎、およびベネズエラウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、西部ウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイド;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイド;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイド;並びにウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、東部ウマ科脳脊髄炎、および破傷風トキソイドを含む。各々の明記した態様において、ウマ科インフルエンザのいずれか1つ以上の株または単離株が存在し得る。好ましいウマ科インフルエンザウイルス株は、インフルエンザA/イークワイン−2/オハイオ/03、インフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93、インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95、およびその組合せを含む。前記に列挙した全ての組合せにおいて、少なくとも2つのウマ科インフルエンザ株を使用することが好ましく、そして少なくとも3つのウマ科インフルエンザ株を使用することがさらにより好ましい。
【0016】
ウマ科ヘルペスウイルスを取り込んだ好ましい態様は:ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、東部ウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、破傷風トキソイド、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎;ベネズエラウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、および東部ウマ科脳脊髄炎;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、西部ウマ科脳脊髄炎およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、東部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、西部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、西部ウマ科脳脊髄炎、破傷風トキソイド、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、破傷風トキソイド、およびウマ科ヘルペスウイルス;ウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎、破傷風トキソイド、およびウマ科ヘルペスウイルス;並びにウエストナイルウイルス、少なくとも1つのウマ科インフルエンザウイルス株、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、東部ウマ科脳脊髄炎、破傷風トキソイド、およびウマ科ヘルペスウイルスを含む。前記に列挙した全ての組合せにおいて、少なくとも2つのウマ科インフルエンザ株を使用することが好ましく、そして少なくとも3つのウマ科インフルエンザ株を使用することがさらにより好ましい。さらに、前記の全ての組合せにおいて、ウマ科ヘルペスウイルスの「少なくとも1つの」株は、EHV−1およびEHV−4からなる群より選択されることが好ましい。いくつかの好ましい形態において、EHV−1およびEHV−4の両方の株が、免疫原性組成物に含まれるだろう。他の好ましい形態において、EHV−1だけが含まれるだろう。組合せのWNV成分は、好ましくは、本明細書に記載したような不活性化または死滅北米優性株であろう。
【0017】
ワクチン組成物を、任意の免疫原性的に有効な用量で投与することができる。好ましい態様において、ワクチン組成物は、1回量として投与される。好ましくは、用量は、約0.5ml〜2.5ml、より好ましくは約0.6ml〜2.0ml、さらにより好ましくは約0.7ml〜1.75ml、さらにより好ましくは約0.8ml〜1.5ml、さらにより好ましくは約0.9ml〜1.25mlの全容量を有し、1.0mlの1回量が最も好ましい。
【0018】
別の態様において、ワクチンは、初回量が2回目の(ブースター)用量の投与よりも前に投与されるというように投与される。好ましくは、2回目の用量は、初回量よりも少なくとも15日後に投与される。より好ましくは、2回目の用量は、初回量の15〜28日後に投与される。さらにより好ましくは、2回目の用量は、初回量の少なくとも17日後に投与される。さらにより好ましくは、2回目の用量は、初回量の17〜25日後に投与される。さらにより好ましくは、2回目の用量は、初回量の少なくとも19日後に投与される。さらにより好ましくは、2回目の用量は、初回量の19〜23日後に投与される。最も好ましくは、2回目の用量は、初回量の少なくとも21日後に投与される。好ましい態様において、ワクチンの初回量および2回目の用量の両方が同じ量である。好ましくは、各々の用量は、前記に明記した好ましい量であり、初回および2回目の用量について1mlの用量が最も好ましい。初回量および2回目の用量のレジメンに加えて、代替的な態様はさらにその後の用量を含む。例えば、3回目、4回目または5回目の用量をこれらの態様において投与することができる。好ましくは、その後の3回目、4回目および5回目の用量レジメンは、初回量と同じ量で投与され、用量の間の時間枠は、前記に記載した初回量と2回目の用量との間のタイミングと一致する。
【0019】
さらに好ましい態様において、本発明の組成物の各々の用量において、WNV抗原は、少なくとも102.0TCID50/用量を含む。より好ましくは、WNV抗原は、約102.0TCID50/用量から1010.0TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、少なくとも102.5TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、約102.5TCID50/用量から約109.5TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、少なくとも103.0TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、約103.0TCID50/用量から約109.0TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、少なくとも103.5TCID50/用量を含む。さらにより好ましくは、WNV抗原は、約103.5TCID50/用量から約109.0TCID50/用量を含む。最も好ましくは、WNV抗原は、107.0TCID50/用量から109.0TCID50/用量を含む。不活性化WNVワクチンまたは任意の他の不活性化ワクチンのTCID50値は、一般に、最終ワクチンにおける抗原含量をいい、これはしかしながら、その抗原の不活性化前にワクチン組成物について計算した抗原含量と等価である。好ましくは、本発明の免疫原性組成物は、市販されている検出アッセイにおいてまたは当業者に公知の手順を使用して決定した場合に、1:4以上の力価でWNVに対する血清中和抗体を刺激し、本明細書に代表例を提供する。好ましい態様において、追加のウマ科抗原を含む本発明の態様の各々の用量において、任意の用量中の東部ウマ科脳脊髄炎またはベネズエラウマ科脳脊髄炎の量は、好ましくは少なくとも105.5TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は、約105.5TCID50/用量から109.5TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は、少なくとも106.5TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は約106.0TCID50/用量から109.0TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は少なくとも106.5TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は約106.5TCID50/用量から109.5TCID50/用量である。さらにより好ましくは、用量は少なくとも107.0TCID50/用量である。最も好ましくは、用量は106.7TCID50/用量から109.2TCID50/用量である。
【0020】
好ましくは、西部ウマ科脳脊髄炎抗原は、本発明の組成物中に存在する場合、少なくとも106.2PFU/mlの量である。さらにより好ましくは、量は106.2PFU/mlから1010.2PFU/mlである。さらにより好ましくは、量は少なくとも106.7PFU/mlである。さらにより好ましくは、量は106.5PFU/mlから109.7PFU/mlである。さらにより好ましくは、量は少なくとも107.2PFU/mlである。さらにより好ましくは、量は、約107.2PFU/mlから109.2PFU/mlである。さらにより好ましくは、量は少なくとも107.7PFU/mlであり、106.5PFU/用量から109.0PFU/mlが最も好ましい。
【0021】
別の好ましい態様において、破傷風トキソイドの量は、本発明の組成物中に存在する場合、少なくとも3CPU、より好ましくは約3CPUから20CPU、さらにより好ましくは少なくとも4CPU、最も好ましくは少なくとも5CPUの量であるが、20CPUを超えない量である。
【0022】
代替的な態様において、1つ以上のウマ科インフルエンザウイルス株が存在する場合、組成物中に存在するウマ科インフルエンザの量は、少なくとも105.0TCID50/mLの量である。より好ましくは、ウマ科インフルエンザは、約105.0TCID50/mLから109.0TCID50/mL、より好ましくは少なくとも106.0TCID50/mLの量である。さらにより好ましくは、量は、約106.0TCID50/mLから108.0TCID50/mLであり、より好ましくは量は少なくとも106.5TCID50/mlである。さらにより好ましくは、量は約106.5TCID50/mLから107.0TCID50/mLであり、最も好ましい量は約106.7TCID50/mlから107.0である。
【0023】
ウマ科ヘルペスウイルスを含む態様において、各用量中のウマ科ヘルペスウイルスの量は、少なくとも106.0TCID50/mLである。より好ましくは、ウマ科ヘルペスウイルスは、組成物中に、106.0TCID50/mLから109.5TCID50/mLの量で、より好ましくは約107.0TCID50/mLの量で存在する。さらにより好ましくは、ウマ科ヘルペスウイルスは、107.5TCID50/mLから109.0TCID50/mLの量で、より好ましくは約108.0TCID50/mLの量で存在する。さらにより好ましくは、ウマ科ヘルペスウイルスは、108.0TCID50/mLから109.0TCID50/mLの量で、最も好ましくは約108.50TCID50/mLの量で存在する。
【0024】
さらに別の好ましい態様において、経時的に現代で疫学的に流行しているWNV株を含むワクチン組成物が提供される。このような組成物は、一般に、前記組成物の効力を向上させるだろう。好ましくは、このような流行株は、ウマの組織から単離される。このような入手源は、総合的に安全で効果的なWNVワクチンが特に必要とされる種、すなわちウマのための免疫学的組成物のためのワクチンシードウイルスを調製するための好ましいWNV入手源である。さらに、本発明は、ウマの組織に由来する不活性化された低継代のWNV株を含むワクチン組成物を開示し、これにより、高継代弱毒化ワクチン、サブユニットワクチン、またはタンパク質の完全補完体未満を発現する組換え技術によって産生された他の組成物のいずれかに見られるタンパク質抗原の不適切な制限されたレパートリーを有する以前のワクチンの限界を克服する。ウマ組織から単離された、この不活性化された低継代WNV株は以前のワクチンに固有な欠陥を克服し、そして低継代の高度に病原性のウマ科株から産生されたために、これにより、ウマのワクチン接種のために以前には入手できなかった独特で総合的に効果的でしかし安全な免疫原性組成物を含む、最も関連性のある多くの免疫原性タンパク質を提供する。さらに、好ましい経時的に現代で疫学的に流行しているWNV株は、本明細書に定義したように北米優性WNV株である。
【0025】
本発明は、伝統的な免疫原性組成物またはワクチン組成物よりも広い範囲の防御を提供する。なぜなら、本発明は、特定の抗原の広い範囲の単離株に対する防御を提供するからである。本発明の組成物の効力を評価するために使用したチャレンジモデルは異種チャレンジ株を使用し、特定の株以外の単離株および株または動物のワクチン接種に使用された単離株に対する防御を提供する組成物の能力を証明する。これは本発明の独特な特徴である。
【0026】
本発明はさらに、野生型感染と比較した場合、動物、好ましくはウマにおけるウエストナイルウイルス感染に関連した臨床兆候の発生率および/または重症度の減少法を提供する。このような方法は、一般に、死滅または不活性化したウエストナイルウイルス単離株、好ましくは北米優性WNV株、および薬学的に許容される担体を含む、ワクチン組成物を投与する工程を含む。本出願のいくつかの好ましい態様において、アジュバントが前記組成物に添加され、そして他の好ましい形態において、アジュバントは全く提供されない。代替的な好ましい態様において、前記方法は、1つ以上の死滅または不活性化ウエストナイルウイルス単離株(群)を、他のウマ科病原体に由来する抗原性成分の免疫学的有効量と組み合わせて含む、ワクチン組成物を投与することを含む。好ましくは、そのような単離株は、東部ウマ科脳脊髄炎抗原、西部ウマ科脳脊髄炎抗原、ベネズエラウマ科脳脊髄炎抗原、破傷風トキソイド、およびその組合せからなる群より選択され、より好ましくは前記したそのような組合せである。別の好ましい態様において、本発明のワクチンは、適切なアジュバント、希釈剤、または薬学的に許容される担体と組み合わせられる。
【0027】
本発明は、野生型感染と比較した場合、群れにおけるウエストナイルウイルス感染に関連した臨床症状の発生率および/または重症度の減少を提供する。好ましくは、本発明の免疫原性組成物を受けている動物における臨床症状の重症度および/または発生率は、両方の群(前記組成物を受けている動物および受けていない動物)がWNVによる野生型感染でチャレンジされるかまたはそれに曝された場合、このような投与を受けていない動物と比較して少なくとも10%減少する。より好ましくは、発生率または重症度は、少なくとも20%、さらにより好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも100%減少し、本発明の組成物を受けている動物は臨床症状を全く示さない。好ましくは、WNV株は、北米優性WNV株である。有利には、本発明はまた、異種株(前記組成物に使用される株と比較して)の病原体からの防御を提供する。
【0028】
本発明はさらに、本明細書に記載の本発明による組成物を投与することによって、WNV、WEE、VEE、EEE、EHV、EIVおよびその組合せからなる群より選択される病原体に対する血清中和抗体または血清血球凝集抗体を刺激する方法を提供する。好ましくは、本発明の組成物は、1:4以上の力価でWNVに対する血清中和抗体を刺激し、これによりWNVによるウイルス血症を予防または減少する。
【0029】
本発明の免疫原性組成物は、ワクチン中に存在する全ての抗原に対して、より長時間の免疫持続時間を提供する。好ましくは、ウエストナイルに対する免疫持続時間は少なくとも1カ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24カ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24カ月間である。
【0030】
好ましくは、EIVに対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0031】
好ましくは、EHVに対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24カ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0032】
好ましくは、西部ウマ科脳脊髄炎に対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0033】
好ましくは、東部ウマ科脳脊髄炎に対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0034】
好ましくは、ベネズエラウマ科脳脊髄炎に対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0035】
好ましくは、破傷風トキソイドに対する免疫持続時間は少なくとも1ヶ月間であり、より好ましくは免疫持続時間は少なくとも2ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも3ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも4〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも6〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも7〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも8〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも9〜24ヶ月間であり、さらにより好ましくは免疫持続時間は少なくとも10〜24ヶ月間であり、最も好ましくは免疫持続時間は少なくとも12〜24ヶ月間である。
【0036】
好ましくは、少なくとも12ヶ月間の免疫持続時間はさらに、本発明の免疫原性組成物を形成する抗原の任意の組合せに関連する。
【0037】
前記したようなEIVおよび/またはEHV抗原を含む別の好ましい態様において、免疫原性組成物は、感染性EIVまたはEHVの排出を寛解することにより、他の感受性動物へのウイルスの蔓延を防ぐ。
【0038】
さらに別の好ましい態様において、本明細書に記載の本発明による組成物は、EIVに対してワクチン接種された動物において受動的に獲得された母子免疫からの干渉を克服し、そして能動免疫、およびEIV感染の臨床兆候の発生率または重症度の減少を刺激する。
【0039】
本発明の別の好ましい態様において、VEE、WEE、EEE、破傷風、WNV、ウマ科鼻腔肺炎およびウマ科インフルエンザを含む免疫原性組成物は、全て本明細書において記載したように、本発明に従って投与した後、VEE、WEE、EEE、破傷風、WNV、ウマ科鼻腔肺炎およびウマ科インフルエンザに対する効力を実証する。好ましくは、このような組成物はさらに、アジュバント、好ましくは鉱物油および/またはカルボマー、および獣医学的に許容される担体を含む。好ましい形態において、前記組成物は1mlの1回量で投与されるだろう。
【0040】
WNV抗原を含む本明細書に記載した各々の免疫原性組成物を、ウエストナイルウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるように、記載のように投与することができる。
【0041】
EIV抗原を含む本明細書に記載した各々の免疫原性組成物を、ウマ科インフルエンザに関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるように、記載のように投与することができる。
【0042】
本発明はまた、ウマ科ヘルペスウイルス抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウマ科ヘルペスウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0043】
本発明はまた、本明細書に記載したようなウエストナイルウイルスを含む免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウエストナイルウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少させるための方法を提供する。
【0044】
本発明はまた、ウマ科インフルエンザ抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウマ科インフルエンザウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少させるための方法を提供する。
【0045】
本発明はさらに、ウマ科ヘルペスウイルス抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウマ科ヘルペスウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少させるための方法を提供する。
【0046】
本発明はまた、前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウマ科インフルエンザウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少させる方法を提供し、前記免疫原性組成物を受けていない動物と比較した臨床兆候の減少は、少なくとも10%の臨床兆候の減少である。
【0047】
本発明は、前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおける感染の発生率を減少させる方法を提供する。
【0048】
本発明は、前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおける感染の発生率を減少させる方法を提供し、前記免疫原性組成物を受けていない群れと比較して感染の発生率の減少は、約10%〜50%の減少である。
【0049】
本発明は、群れにおけるEHVの臨床症状の発生率および重症度を減少させる方法を提供し、前記臨床症状は、呼吸器疾患、流産、生殖合併症、神経疾患、中枢神経系の疾患およびその組合せからなる群より選択される。
【0050】
本発明は、ウマ科ヘルペスウイルス抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、ウマ科ヘルペスウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0051】
本発明は、ウマ科インフルエンザ抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおけるウマ科インフルエンザに関連した臨床症状の重症度を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0052】
本発明は、ウエストナイルウイルス抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおけるウエストナイルウイルスに関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0053】
本発明は、東部ウマ科脳脊髄炎抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおける東部ウマ科脳脊髄炎に関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0054】
本発明はさらに、西部ウマ科脳脊髄炎抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおける西部ウマ科脳脊髄炎に関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0055】
本発明はさらに、ベネズエラウマ科脳脊髄炎抗原を含む前記した免疫原性組成物のいずれか1つを動物に投与する工程を含む、群れにおけるベネズエラウマ科脳脊髄炎に関連した臨床症状の発生率を減少または重症度を低減させるための方法を提供する。
【0056】
本発明はまた、ウエストナイルウイルス抗原を適切な賦形剤または薬学的担体と組み合わせる工程を含む、前記および本明細書において記載したような本発明の免疫原性組成物のいずれか1つを製造する方法を提供する。好ましい形態において、この方法はさらに、1つ以上のウマ科抗原を添加する工程を含む。ウマ科抗原の好ましい群は、西部ウマ科脳脊髄炎、東部ウマ科脳脊髄炎、ベネズエラウマ科脳脊髄炎、破傷風トキソイド、EHV、EIVおよびその組合せからなる群より選択される。いくつかの好ましい形態において、本明細書に記載した方法はさらにろ過工程を含み得、最終産物は精製形である。
【0057】
本明細書において使用したような「アジュバント」は、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム、サポニン、例えばQuil A、QS-21 (Cambridge Biotech Inc., Cambridge MA)、GPI-0100 (Galenica Pharmaceuticals, Inc., Birmingham, AL)、代謝不可能な油、鉱物油および/または植物(plant)油/植物(vegetable)油および/または動物油、ポリマー、カルボマー、界面活性剤、天然有機化合物、植物抽出液、炭水化物、コレステロール、脂質、油中水滴型エマルション、水中油滴型エマルション、水中油中水滴型エマルションを含み得る。エマルションは、特に、軽質流動パラフィン油(欧州薬局方型);イソプレノイド油、例えばスクアランまたはスクアレン;アルケン、特にイソブテンまたはデセンのオリゴマー化から生じた油;直鎖アルキル基を含む酸またはアルコールのエステル、より特定すると植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコールジ−(カプリレート/カプレート)、グリセリルトリ−(カプリレート/カプレート)またはプロピレングリコールジオレエート;分岐脂肪酸またはアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステルに基づき得る。油を乳化剤と組み合わせて使用し、エマルションを形成する。乳化剤は、好ましくは、非イオン性界面活性剤、特にソルビタンのエステル、マンニドのエステル(例えば、アンヒドロマンニトールオレエート)、グリコールのエステル、ポリグリセロールのエステル、プロピレングリコールのエステル、およびオレイン酸、イソステアリン酸、リシノレン酸またはヒドロキシステアリン酸のエステル(場合によってエトキシ化される)、並びにポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンコポリマーブロック、特にプルロニック社(Pluronic)の製品、特にL121である。Hunter et al., The Theory and Practical Application of Adjuvants (Ed.Stewart-Tull, D. E. S.). John Wiley and Sons, NY, pp51-94 (1995) and Todd et al., Vaccine 15:564-570 (1997)を参照されたい。好ましい態様において、アジュバントは、最終産物の容量の、約0.01〜50%の濃度、好ましくは約2%〜30%の濃度、より好ましくは約5%〜25%の濃度、さらにより好ましくは約7%〜22%の濃度、最も好ましくは10%〜20%の濃度である。本発明と組み合わせて使用される可能なアジュバントの中で、代謝可能な油を使用しないことが好ましい。好ましい態様において、アジュバントは少なくとも代謝不可能な油であり、好ましくは鉱物油である。代替的な好ましい態様において、ワクチン組成物は本質的に油をベースとしたアジュバントを全く含まない。最も好ましい態様において、ワクチン組成物は、代謝不可能な油、好ましくは鉱物油とカルボマーとの両方をアジュバントとして含む。
【0058】
さらに、本発明の免疫原性組成物およびワクチン組成物は、1つ以上の獣医学的に許容され得る担体を含み得る。本明細書において使用したような「獣医学的に許容され得る担体」は、任意および全ての溶媒、分散培地、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存剤、賦形剤、抗細菌剤および抗真菌剤、抗微生物剤、等張化剤、吸収遅延剤などを含む。いくつかの好ましい態様において、そして特に凍結乾燥した免疫原性組成物を含む態様において、本発明において使用するための安定化剤は、凍結乾燥またはフリーズドライのための安定化剤を含む。
【0059】
「希釈剤」は、水、食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどを含み得る。等張化剤は、とりわけ、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを含み得る。安定化剤は、とりわけ、アルブミンおよびエチレンジアミンテトラ酢酸のアルカリ塩を含む。
【0060】
好ましい態様において、保存剤および安定化剤を含む本発明の免疫原性組成物が調製され;より好ましくは、ゲンタマイシン、EDTA、グリセロールおよびその組合せを含む本発明の免疫原性組成物が調製される。
【0061】
「免疫原性組成物または免疫学的組成物」は、対象の組成物またはワクチンに対して細胞性および/または抗体媒介性免疫応答の免疫学的応答を宿主において誘起する、少なくとも1つの抗原を含む問題の組成物をいう。通常、「免疫学的応答」は、以下の効果の1つ以上を含むがこれらに限定されるわけではない:対象の組成物またはワクチンに含まれる抗原または抗原群に特異的に指向される、抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、および/または細胞障害性T細胞および/またはガンマ・デルタT細胞の産生または活性化。好ましくは、宿主は、新たな感染に対する抵抗性が増強されそして/または疾患の臨床的重症度が減少するように、治療的または防御的な免疫学的応答のいずれかを示すだろう。このような防御は、感染宿主によって通常示される臨床兆候の減少もしくは消滅、より迅速な回復時間および/または持続時間の減少または感染宿主の組織もしくは体液もしくは外分泌液における細菌力価の減少のいずれかによって実証されるだろう。
【0062】
本明細書において使用したような用語「このような投与を必要とする」または「このような投与処置を必要とする」は、投与/処置が、本発明による免疫原性組成物を受けた動物の健康または健康に対する任意の他のプラスの医薬的効果のブーストまたは改善に関連することを意味する。
【0063】
用語「ウエストナイルウイルス」抗原は、動物中に存在する場合に免疫原性であるWNVビリオンの成分、最も特定すると動物中に存在する場合に体液性または細胞性免疫応答を誘起するWNVのエンベロープおよび非構造タンパク質などのタンパク質成分を意味するがこれらに限定されるわけではない。このような抗原は、DNA、タンパク質サブユニット、改変された生ウイルス、および死滅または不活性化されたウイルスを含み得る。本発明の好ましい形態において、WNV抗原または抗原群は、不活性化または死滅した、さらにより好ましくは北米優性のWNV株を含む。
【0064】
用語「北米ウエストナイルウイルス(株)」は、北米大陸上で今までに発見されたあらゆるウエストナイルウイルス株または単離株をいうがこれらに限定されるわけではない。好ましくは、北米ウエストナイルウイルス株は、NY99株(GenBankアクセッションナンバーAF196835またはNCBI参照配列NC_00942.1 (配列番号23))に対して少なくとも97%、さらにより好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも98.5%、より好ましくは少なくとも99%、さらにより好ましくは少なくとも99.2%、最も好ましくは少なくとも99.4%の配列同一性を有する。
【0065】
「配列同一性」は、当技術分野において公知であるように、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列間の、すなわち、参照配列と、参照配列と比較しようとする所与の配列との間の関係をいう。配列同一性は、所与の配列を参照配列と、このような配列ストリング間でのマッチによって決定される最高度の配列類似性を産生するように配列を最適にアラインさせた後、比較することによって決定される。このようなアラインメント時に、配列同一性は、1つ1つの位置に基づいて確認され、例えば配列は、特定の位置において、もしその位置においてヌクレオチドまたはアミノ酸残基が同一であるならば「同一」である。その後、このような位置同一性の全数を、参照配列中のヌクレオチドまたは残基の全数によって割ることにより、配列同一性%が得られる。配列同一性は、Computational Molecular Biology, Lesk, A. N., ed., Oxford University Press, New York (1988), Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York (1993); Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey (1994); Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinge, G., Academic Press (1987); Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York (1991); and Carillo, H., and Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988)(これらの教義は参照により本明細書に組み入れられる)に記載された方法を含むがこれらに限定されるわけではない公知の方法によって容易に計算することができる。配列同一性を決定するための好ましい方法は、試験する配列間で最大のマッチが得られるように設計される。配列同一性を決定するための方法は、所与の配列間の配列同一性を決定する公共的に入手可能なコンピュータープログラムにおいて体系化されている。このようなプログラムの例は、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al., Nucleic Acids Research, 12(1):387 (1984))、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Altschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215:403-410 (1990)を含むがこれらに限定されるわけではない。BLASTXプログラムは、NCBIおよび他の入手源(BLAST Manual, Altschul, S. et al., NCVI NLM NIH Bethesda, MD 20894, Altschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215:403-410 (1990)(これらの教義は参照により本明細書に組み入れられる)から公共的に入手可能である。これらのプログラムは、デフォルトギャップウェイトを使用して配列を最適にアラインさせることにより、所与の配列と参照配列との間の最高レベルの配列同一性を産生する。説明として、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも例えば85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の「配列同一性」を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによって、所与のポリヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチド毎に15まで、好ましくは10まで、さらにより好ましくは5までの点突然変異を含み得ることを除いて、所与のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることを意味する。別の言葉で言えば、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにおいて、参照配列中の15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までのヌクレオチドを、欠失し得るかまたは別のヌクレオチドで置換し得るか、あるいは、参照配列中の全ヌクレオチドの15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までの数のヌクレオチドを参照配列中に挿入し得る。参照配列のこれらの突然変異は、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位置において、または、参照配列中のヌクレオチド間に個々にもしくは参照配列内の1つ以上の連続基内のいずれかに散在したそのような末端位置間のいずれかの場所において起こり得る。同様に、参照アミノ酸配列に対して少なくとも例えば85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の配列同一性を有する所与のアミノ酸配列を有するポリペプチドによって、所与のポリペプチド配列が、参照アミノ酸配列の100アミノ酸毎に15まで、好ましくは10まで、さらにより好ましくは5までのアミノ酸変化を含み得ることを除き、所与のポリペプチドのアミノ酸配列が参照配列と同一であることを意味する。別の言葉で言えば、参照アミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%の配列同一性を有する所与のポリペプチド配列を得るために、参照配列中の15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までのアミノ酸残基を欠失し得るかまたは別のアミノ酸で置換し得るか、あるいは、参照配列中のアミノ酸残基の全数の15%まで、好ましくは10%まで、さらにより好ましくは5%までの数のアミノ酸を、参照配列中に挿入し得る。参照配列のこれらの変化は、参照アミノ酸配列のアミノもしくはカルボキシ末端位置において、または、参照配列中の残基間に個々にもしくは参照配列内の1つ以上の連続基内のいずれかに散在したそのような末端位置間のいずれかの場所において起こり得る。好ましくは、同一ではない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。しかしながら、保存的置換は、配列同一性を決定する場合にマッチとして含まれない。
【0066】
用語「北米優性ウエストナイルウイルス」株および単離株は、Phylogenetic Analysis of North American West Nile Virus Isolates, 2001-2004: Evidence For the Emergence of a Dominant Genotype, C. Todd Davis, et. al, Virology 342, p. 252-265 (2005)(この教義および内容は参照により本明細書に組み入れられる)などで定義されたような株または単離株をいう。本明細書において注記したように、北米優性WNV株または単離株は少なくとも1つのヌクレオチド変化を有し、これはWN99単離株からの1つのアミノ酸の変化を生じる。NY99株(GenBankアクセッションナンバーAF196835)(この例は、配列番号23に提供される)は、株または単離株が北米優性であるかどうかを決定するための参照株として作用する。好ましい態様において、ヌクレオチド変化は、株または単離株のエンベロープタンパク質の1アミノ酸変化をもたらし、より好ましくはヌクレオチド変化は、重要なエンベロープタンパク質の159位におけるバリンからアラニンへのアミノ酸変化または「E159」をもたらす。好ましくは、このアミノ酸変化は、中間宿主、すなわち蚊における複製能の増大に関連する。さらに、これらの株または単離株は、1つ以上のサイレントなアミノ酸変化を有し得る。好ましくは、北米優性株はまた、それぞれ1442位および2466位(北米株、例えばNY99および配列番号23と比較して)におけるUからCへの突然変異およびCからUへの突然変異のいずれか(および好ましくは両方)を含む。さらにより好ましくは、北米優性株または単離株は、Eタンパク質をコードするヌクレオチド配列における突然変異、およびNS5タンパク質をコードする配列中の9352位におけるCからUへの突然変異をさらに含む(ここでも北米株、例えばNY99および配列番号23と比較)。これらの好ましい突然変異は、特異的領域について実施例10および図10〜17に詳細に示されている。代表的な北米優性WNV株が本出願において列挙されている。さらに、本発明の目的のために、北米優性およびWN02は同義語として使用される。
【0067】
本発明の目的のために、ウマ起源2005株、ノース・アメリカン・イークワインE159、E159(ウマ起源)、NAEE159、米農務省単離株405330(USDA2005)ウマ起源、およびE159株は同義語として使用される。本発明の目的のために、ロバ起源2004株、米農務省単離株292206(USDA2004)ロバ起源、E159(ロバ起源)、およびノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)は同義語として使用される。E159は、エンベロープタンパク質におけるバリンからアラニンへのアミノ酸変化が前記のように159位において起こることを示す。
【0068】
ウエストナイルウイルス株または単離株は、本発明の目的のために、ウマおよびウマ科ウエストナイルウイルス株に限定されるわけではないが、トリ起源、ロバ起源、ブタ起源、ヒト起源、哺乳動物起源およびウマ科起源のそのようなウエストナイルウイルス株を包含するがこれらに限定されるわけではない。
【0069】
本発明の目的のために、用語「株」および「単離株」は同じ意味を有し、そして同義語として使用される。
【0070】
本明細書において使用されるような「薬学的に」または「獣医学的に許容され得る担体」または「薬学的な担体」は、任意および全ての溶媒、成長培地、分散媒体、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤、吸収遅延剤などを含む。
【0071】
「免疫原性組成物または免疫学的組成物」は、対象の組成物またはワクチンに対して細胞性および/または抗体媒介性免疫応答の免疫学的応答を宿主において誘起する、少なくとも1つの抗原を含む問題の組成物をいう。通常、「免疫学的応答」は、以下の効果の1つ以上を含むがこれらに限定されるわけではない:対象の組成物またはワクチンに含まれる抗原または抗原群に特異的に指向される、抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、および/または細胞障害性T細胞および/またはガンマ・デルタT細胞、および/またはウイルス中和抗体の産生または活性化。好ましくは、宿主は、新たな感染に対する抵抗性が増強されそして/または疾患の臨床的重症度が減少するように、治療的または防御的な免疫学的応答のいずれかを示すだろう。このような防御は、感染宿主によって通常示される臨床兆候の減少もしくは消滅、より迅速な回復時間および/または臨床疾患の持続時間の減少または感染宿主の組織もしくは体液もしくは外分泌液におけるより高いウイルス抗体力価、または血中におけるウイルス血症の減少、または感染に因る全体的もしくは組織病理学的な病変の減少のいずれかによって実証されるだろう。
【0072】
さらに、本発明の免疫原性組成物およびワクチン組成物は、1つ以上の獣医学的に許容され得る担体を含み得る。本明細書において使用したような「獣医学的に許容され得る担体」は、任意および全ての溶媒、分散培地、細胞培養培地および細胞培養構成成分、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤、吸収遅延剤などを含む。「希釈剤」は、水、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどを含み得る。等張化剤は、とりわけ、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを含み得る。安定化剤は、とりわけ、アルブミンおよびエチレンジアミンテトラ酢酸のアルカリ塩を含む。
【0073】
ウエストナイルウイルスの「臨床兆候」は、本発明の目的のために、脳炎、ウイルス血症、食欲不振、うつ病、発熱、衰弱、異常歩行、後足の麻痺、視力障害、運動失調、目的のない徘徊、痙攣、嚥下不能、昏睡、後側虚弱、麻痺、協調性低下、うつ病および関連挙動、振戦、痙攣、足のパドリング、神経学的問題、中枢神経系の腫脹、死亡およびその組合せを含むがこれらに限定されるわけではない。感染動物によって示される臨床兆候は、感染の重症度に依存して変化する。
【0074】
ウマ科ヘルペスウイルスの「臨床兆候」は、本発明の目的のために、流産、神経学的障害、呼吸器疾患、生殖系障害および不全、並びに中枢神経系に関連した症状を含むがこれれらに限定されるわけではない。さらに、EHV1の臨床症状は、EHV1に感染し、呼吸器合併症を示し、より高齢の群れのメンバー(その後、流産を含む生殖障害を示す)にウイルスを移す仔ウマの現象、および中枢神経系において通常示される神経学的障害を含むがこれらに限定されるわけではない。
【0075】
東部ウマ科脳脊髄炎、西部ウマ科脳脊髄炎およびベネズエラウマ科脳脊髄炎の「臨床兆候」は、本発明の目的のために、発熱、音への過敏などの神経学的兆候、興奮期間、および焦燥感、脳病変、傾眠、垂れ耳、旋回、異常歩行、麻痺、食欲不振、うつ病、頭部押し付け、協調性欠如、長期身体障害、脳外傷、死亡およびその組合せを含むがこれらに限定されるわけではない脳炎に関連することが通常知られている症状である。本明細書において使用したような「安全性」は、ワクチンウイルスが病原性へと復帰する可能性、および持続的な全身的な病気またはワクチン投与部位における許容不可能な炎症などの臨床的に重大な副作用を含むがこれらに限定されるわけではない、ワクチン接種後にワクチン接種動物において有害な結果のないことをいう。
【0076】
本明細書において言及したような「臨床兆候の発生率および/または重症度の減少」または「臨床症状の発生率および/または重症度の減少」は、野生型感染と比較して、群における感染動物の数の減少、感染の臨床兆候を示す動物数の減少もしくは排除、または動物に存在するあらゆる臨床兆候の重症度の減少をいう。例えば、本明細書における実験において、このような臨床兆候は、ウイルス血症、発熱、抗体応答および組織病理を含んだ。好ましくは、これらは、感染し得るワクチン接種を受けていない動物と比較して、本発明の組成物を受けた動物において少なくとも10%減少する。より好ましくは、臨床兆候は、本発明の組成物を受けた動物において少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも50%減少する。
【0077】
本明細書において使用したような「免疫持続時間」は、動物がウイルスに罹患することに対して比較的免疫がありそして/または本明細書に記載したような臨床兆候の発生率および/または重症度の減少の恩恵を受けるように、動物が免疫原性応答を産生する最小日数をいう。
【0078】
本明細書において使用したような用語「株」および「単離株」は同義語として使用されることを意味する。
【0079】
本明細書において使用したような用語「ワクチン」および「免疫原性組成物」は同義語として使用されることを意味する。
【0080】
あらゆるウエストナイルウイルス株(群)または単離株(群)を本発明に従って使用することができる。好ましい態様において、単離株は、以下の1つ以上:ニューヨーク(北東部北米)単離株(WN-NY 99)・ウマ起源・1999、ニューヨーク(北東部北米)単離株(WN-NY 99)・カラス起源・1999、米農務省単離株292206 (USDA 2004)・ロバ起源、米農務省単離株405330 (USDA 2005)・ウマ起源、北米単離株(WN-テキサス-2002/2003)、南東部テキサス沿岸部単離株2002、メキシコ(タバスコ)単離株2003およびその組合せから選択され、そしてより好ましい態様において、単離株は、以下の1つ以上から選択される:米農務省単離株292206 (USDA 2004)・ロバ起源、米農務省単離株 405330 (USDA 2005)・ウマ起源、北米単離株(WN-テキサス-2002/2003)、南東部テキサス沿岸部単離株2002、メキシコ(タバスコ)単離株2003およびその組合せ。最も好ましい態様において、単離株は、米農務省単離株405330 (USDA 2005)ウマ起源単独でまたは前記に列挙した1つ以上の単離株と組み合わせてである。さらに好ましい態様において、北米ウエストナイルウイルス単離株の一部であるそのような単離株が含まれる。さらに別の好ましい態様において、北米優性ウエストナイルウイルス単離株が含まれる。前記に列挙した単離株に加えて、具体的な単離株は、WN NY99単離株からの少なくとも1つのアミノ酸の変化を生じる、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらにより好ましくは少なくとも3つのヌクレオチド変化を有するWN02および単離株を含むがこれらに限定されるわけではなく、そして最も好ましいのは、エンベロープタンパク質の159位におけるバリンからアラニンへのアミノ酸変化を有する株である。最も好ましい北米優性株は、NY2002ナッソー、NY2002クリントン、NY2002クイーンズ、GA20021、GA20022、TX20021、TX20022、IN2002、NY2003アルバニー、NY2003サフォーク、NY2003シャトークア、CO20031、CO20032、TX2003、TX2003ハリス4、TX2003ハリス6、TX2003ハリス7、TX2003ハリス10、AZ2004およびTX2004ハリス4およびその組合せを含むがこれらに限定されるわけではない。本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用なウエストナイルウイルス株は、あらゆる株または単離株であり得る。好ましい態様において、使用される北米優性ウエストナイルウイルス株はE−159(ウマ起源)またはE−159(ロバ起源)のいずれかである。このような北米優性WNV株の代表的な株は、ブダペスト条約の条項の下で2008年8月14日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801に所在するATCCに寄託されたウマ起源2005株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)を含む。本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用なウマ科インフルエンザ株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、ATCCアクセッションナンバーPTA−9522として寄託されたEqui−2/オハイオ/03、ATCCアクセッションナンバーPTA−9523として寄託されたEqui−2/ケンタッキー/95、およびATCCアクセッションナンバーPTA−9524として寄託されたEqui−2/ニューマーケット/2/93を含む。代表的な株であるATCCアクセッションナンバーPTA−9522、PTA−9523およびPTA−9524は各々、ブダペスト条約の条項の下で2008年9月23日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801のATCCに寄託された。
【0081】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用なウマ科ヘルペスウイルス(「EHV」)株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、ATCCアクセッションナンバーPTA−9525として寄託されたEHVサブタイプ1、およびATCCアクセッションナンバーPTA−9526として寄託されたEHVサブタイプ4を含む。代表的な株であるATCCアクセッションナンバーPTA−9525およびPTA−9526は各々、ブダペスト条約の条項の下で2008年9月23日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801のATCCに寄託された。
【0082】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用な西部ウマ科脳脊髄炎株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、ブダペスト条約の条項の下で2008年8月14日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801に所在するATCCに寄託されたフレミング株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9410)を含む。
【0083】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用なベネズエラウマ科脳脊髄炎株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、ブダペスト条約の条項の下で2008年8月14日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801に所在するATCCに寄託されたTC−83株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9411)を含む。
【0084】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用な東部ウマ科脳脊髄炎株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、ブダペスト条約の条項の下で2008年8月14日に、20110-2209、バージニア州、マナサス、ユニバーシティーブルーバード10801に所在するATCCに寄託されたNJO株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9412)を含む。
【0085】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物に有用な破傷風トキソイド株は、あらゆる株または単離株であり得る。代表的な株は、マサチューセッツ州ボストンにあるマサチューセッツ州公衆衛生局、研究所からのクロストリジウム・テタニのマスターシードから採取される。
【0086】
本発明のワクチンは、任意の年齢および任意の生殖段階(妊娠雌を含む)におけるWNV感受性種、特にウマ科における投与に対して安全である。好ましい態様において、本発明は、12か月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは、10カ月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは、8か月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは、6カ月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは、4カ月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは、2カ月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、より好ましくは1カ月齢以上の仔ウマへの投与に対して安全であり、さらにより好ましくは1日齢から1カ月齢の仔ウマへの投与に対して安全であり、最も好ましくは、1日齢以上の仔ウマへの投与に対して安全である。
【0087】
本発明の組成物は、任意の慣用的な方法で投与することができる。投与法の例は、経口、経皮/皮内、静脈内、皮下、筋肉内、眼内、腹腔内、直腸内、膣内、鼻腔内、胃内、気管内、肺内またはその任意の組合せを含む、免疫系の細胞が免疫原性組成物に近づける任意の方法を含む。好ましい態様において、ワクチンは、非経口、好ましくは鼻腔内、皮下または筋肉内に投与され、そして最も好ましい態様においてワクチンは筋肉内に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、全臨床スコア平均のグラフ表示である。
【図2】図2は、排出率のグラフ表示である。
【図3】図3は、鼻漏スコアのグラフ表示である。
【図4】図4は、ウイルス排出率のグラフ表示である。
【図5】図5は、結膜炎スコアのグラフ表示である。
【図6】図6は、血清中和力価のグラフ表示である。
【図7】図7は、EHV−1陽性率のグラフ表示である。
【図8】図8は、白血球数平均のグラフ表示である。
【図9】図9は、陽性率(熱性)のグラフ表示である。
【図10】図10は、WNV単離株のHE領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図11】図11は、WNV単離株のDE領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図12】図12は、WNV単離株のD NS5領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図13】図13は、WNV単離株のH NS5領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図14】図14は、WNV単離株のH WN05E NS5領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図15】図15は、WNV単離株のH WN05領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図16】図16は、WNV単離株のNS5領域のヌクレオチドアラインメントである。
【図17】図17は、WNV単離株のE領域のヌクレオチドアラインメントである。
【0089】
詳細な説明
実施例
以下の実施例は本発明の具体的な態様を説明するために以下に示される。これらの実施例は単に説明的なものであり、そして本発明の範囲または根底にある原理を制限するものではないと理解される。
【0090】
実施例1
本実施例は、本発明による好ましいワクチン組成物を説明する。
【0091】
材料および方法
ワーキングセルストックの調製のために、純度、同一性および核学について試験した、ウエストナイルウイルスを増殖させることが知られているVero細胞株からなるマスターセルストック(MCS)を解凍し、そして使用して、T25cm2からT150cm2までの範囲の容器または1050cm2のローラーボトル、あるいはバイオリアクターまたは他の適切な滅菌容器に接種した。解凍した細胞を、容器容量に依存して、1容器あたり0.0015mLから5.0Lまでの割合で成長培地中に懸濁する。その後、細胞を36〜38℃で7日間までインキュベーションした。凍結ストックから蒔いた培養液に、必要であれば、蒔いてから36時間後以内に培地をリフィードして、残留DMSOを除去した。培養液に、必要であれば、生長期間中に培地をリフィードすることにより、過剰な残屑を除去するか、またはコンフルエンスに達していない培養液の成長を刺激するか、またはコンフルエントな培養液の生存度を維持した。
【0092】
スペント培地をデカントし、その後、容器容量に依存して、5〜500mLの0.25%トリプシン−EDTA溶液を各容器に添加することによって細胞を1〜20回継代した。細胞が表面から脱落するまで、容器を穏やかに撹拌した。その後、細胞を成長培地で濯ぐことによって容器から取り出し、そして一緒にプールした。接種前に、細胞成長培地を、少なくとも55%コンフルエントであるVeroワーキングセルからデカントした。記載したウイルス成長培地を各容器に表面積1cm2あたり0.15〜0.4mLで添加した。少なくとも2つの代表的な容器の細胞数計測を行なうことによって決定された0.000001〜0.0002の感染多重度(MOI)を感染に使用した。感染したローラーボトル培養液を、36〜38℃で、2〜5日間、0.1〜0.8rpmでインキュベーションした。
【0093】
成長期間中、培養液を、典型的なCPEについて顕微鏡で、および全体的なコンタミについて肉眼で確認した。不適切な培養液を滅菌後に廃棄した。培養液を標準的な技術を使用して弱毒化し得るか、または弱毒化せずに使用し得る。
【0094】
その後、微生物を産生目的のために収集した。CPEが85%以上に達した場合にウイルス液を収集した。ローラーボトルを回旋させて遊離細胞および液体を取り出し、その後、清澄化に適切な滅菌された2〜20Lのガラス製、プラスチック製もしくはPETG製のボトル、20Lの滅菌ポリプロピレン容器、または2〜500Lの滅菌ステンレス鋼タンク容器にプールした。
【0095】
次に、産物を調製した。清澄化した液体を、ホルムアルデヒド溶液(USP、0.2容量%)または別の効果的な不活性化剤を用いて不活性化し、二次容器に移し、そして20〜25℃(室温)で撹拌しながら48時間保持した。少なくとも12mLの不活性化液体の試料を、濃縮前に不活性化確認試験(下記)のために採取した。不活性化が完了した後、不活性化されたロットの材料を、2〜7℃で60日間まで保持し、その後、濃縮した。多くの適切なアジュバント、最も好ましくは代謝不可能な油、好ましくは鉱物油および/またはカルボマーをワクチン調合物に添加し得る。典型的な処理工程、例えば、アジュバントおよび/または収集したウイルス抗原と他の成分との混合、ブレンド、ミクロ流動化および乳化を使用し得る。
【0096】
その後、産物を標準化した。十分な容量の清澄化され不活性化され濃縮(場合により)
されたロットを合わせて、最終産物中の各株の1用量あたり少なくとも104.0TCID50の計算力価を得た。複数のロットをブレンドして、1用量あたりの力価の必要量を達成した。
【0097】
その後、産物を最終調合物へと会合させた。所望の最終連続容量に基づいて、抗原性成分、アジュバント、安定化剤および希釈剤の量を、以下のように計算した:
a.ウエストナイルウイルス・ウマ起源2005(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409):最小104.0TCID50/用量
b.アジュバント:シリアルにおける、全アジュバント濃度、好ましくは代謝不可能な油、より好ましくは鉱物油および/またはカルボマーは少なくとも10%v/vであり、そしてシリアルバッチング/会合の時点で添加される。
c.希釈剤:適切な容量のリン酸緩衝食塩水(PBS)を添加して、最終容量を所望の容量とする。
d.追加のホルマリン:適切な容量の37%ホルマリンを添加して、適切なレベルを維持する。
e.硫酸ゲンタマイシン。
【0098】
必要量のアジュバントおよびPBSを滅菌容器中に合わせた。この混合物のpHを、必要であれば10N NaOHまたは5N HClを用いて約4.9〜5.1に調整した。清澄化し殺滅し濃縮したウエストナイルウイルス、並びにゲンタマイシンおよびホルマリンを添加し、そしてpHを6.9〜7.1に調整した。これを2〜6℃で少なくとも8時間、しかし48時間を超えない時間、混合した。
【0099】
ワクチンは典型的な皮下注射によって投与され、所望であればブースターワクチン接種を行なった。最も好ましくは、初回量およびブースター用量は、21日間の間隔で筋肉内に投与された1mLの容量であった。初回量およびブースター用量のワクチン接種レジメンは、最も好ましい1mLの投与容量で、ウマ、他のウマ科、および他のWNV感受性種に投与され、WNV感染の臨床兆候の発生率およびまたは重症度を減少させ、好ましくはWNVによる感染を予防し、並びにワクチン接種後のより長い期間におよびウエストナイルウイルス感染に因る疾患を予防した。
【0100】
結果および考察
ワクチンは、様々な適切な非経口経路、投与容量および投与レジメンによって、ナイーブおよび受動抗体を有する動物を含む、WNVに対する様々な免疫学的状態の動物に投与され、そして、ワクチン接種後の少なくとも2年間以内および2年間を超える長期免疫持続時間を提供した。ワクチンは、任意の年齢および任意の生殖段階(妊娠雌を含む)におけるWNV感受性種、特にウマ科における投与に対して安全であった。
【0101】
実施例2
この治験は、ウエストナイルウイルス(WNV)を用いてのチャレンジからウマを防御するワクチンの効力の評価を得るために行なわれた。
【0102】
材料および方法
全30頭のウマを各々15頭のウマの群に無作為に分けた。全20頭のウマが21日間隔で2用量のワクチンを受け、そして10頭のウマを対照のために使用した。各群のウマ、すなわちブロック1およびブロック2は、10頭のワクチン接種ウマおよび5頭の対照ウマを含んだ。ワクチンは、WNV抗原、特に不活性化または死滅北米優性WNV株・ウマ起源2005(ATCC寄託番号PTA−9409)、並びに、以下のようにおよそ調合したベネズエラウマ科脳脊髄炎TC−83株(ATCC寄託番号PTA−9411)、東部ウマ科脳脊髄炎NJO株(ATCC寄託番号PTA−9412)、西部ウマ科脳脊髄炎フレミング株(ATCC寄託番号PTA−9410)および破傷風トキソイドの抗原性成分を含む、組合せであった:
【0103】
東部ウマ科脳脊髄炎 106.7 -109.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎 106.7 -109.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎 106.7-109.2 TCID50/mL
ウエストナイルウイルス 107.0 -109.TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU/mL
アジュバント 100-200μl/mL
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1%)
【0104】
全ての群に、約105pfuの異種WNV株(NY99、4132、カラス単離株)を含む1mlのPBSのくも膜下腔内接種を用いてチャレンジした。チャレンジは、ケタミン−キシラジン麻酔下で行なわれた。
【0105】
ウマを最大で14日間モニタリングし、その後、人道的に安楽死させた。14日目より前に重度の疾患を発症したウマは中途で安楽死させた。
【0106】
以下のデータを回収して、ワクチンの効力を評価した:
・基本的な臨床評価
・体温
・ウイルス血症についてのアッセイ
・病理組織:2つの脳幹切片が米認定獣医病理学者によって評価された。
【0107】
適切な日に回収した血清を、チャレンジに対する血清学的応答の特徴について評価した。
【0108】
結果および考察
チャレンジ後のウイルス血症および血清中和力価を、本研究における主要な成績変数と判断した。ワクチン接種された第一ブロックのウマは、本研究においてチャレンジ後にウイルス血症から100%防御された。比較すると、5頭中4頭の対照ウマが、チャレンジ後4〜5日間ウイルス血症を示し、そして5頭中1頭の対照ウマが1つの時点でウイルス血症を示した。さらに、ワクチン接種ウマの血清中和力価は、ワクチン接種後に検査した各時点において対照ウマのそれよりも統計学的に有意により高かった。さらに、データは、1:4以上の血清中和力価を与えるWNVワクチンは、WNVウイルス血症を予防するのに効果的であることを確立する。ブロック1についてのチャレンジ後の血清力価およびウイルス血症を以下の表1に要約する:
【0109】
【表1】
【0110】
チャレンジ後のウイルス血症および血清中和力価をまた、本研究において第二ブロックのウマにおける主要な成績変数と判断した。第二ブロックのウマにおいては、唯一頭のワクチン接種群のウマが、全チャレンジ期間を通じて任意の時点のウイルス血症を示した。そのウマは3回の朝において3回の別々の時点を有し(同じ日の晩ではない)、最小解読値は5であった(5未満は陰性である)。研究における全ての対照ウマ(中途で研究を終了したが、確定的なWNV組織病理を示しそして評価から除外された1頭のウマを除く)が、チャレンジ後の1〜8の時点において高レベルのウイルス血症を示した。
【0111】
ウイルス血症は、ウイルスが血液脳関門を通過してWNV脳炎を引き起こし得る前の必要条件であるので、ウイルス血症は、このタイプの実験研究における防御評価のための主要なパラメーターとして十分に正当化されている。
【0112】
本研究は、4〜5カ月齢の仔ウマに投与された2用量の実験的な組合せワクチンが、確実にそして効果的に防御的で血清学的な血清中和力価を刺激したことを実証した。さらに、データは、この実験的な組合せワクチンにおける効果的に1回分にまとめられた抗原量のウエストナイルウイルスを使用したワクチン接種から生じた1:4という低いワクチン接種後の血清中和力価が、異種ウエストナイルウイルス株を用いての重度のくも膜下腔内へのチャレンジ後に、ウイルス血症、臨床疾患、および組織病理から、ワクチン接種ウマを防御したことを確認する。
【0113】
組織病理はまた、2つの群の間で異なり、病原性ウエストナイルウイルスを用いてチャレンジした対照動物における病変の確率に比べて、ワクチン接種動物における病変の確率はブロック2においては40%少なく、ブロック1においては100%少なかった。
【0114】
さらに、対照群のウマはチャレンジ後9日目に後足が弱くなり、そして次第に悪化し、もはや立つことができなくなった。このウマからの脳橋および髄質の組織病理は、本研究におけるあらゆる他のウマに由来する疾患の兆候よりも蔓延したWNV病理に一致した重度の脳炎および脊髄炎を示した。
【0115】
本研究における2頭のブロック2の対照ウマが、ウエストナイルウイルスによる感染に関連した3日間の各臨床兆候を示した。1頭の他の対照ウマが、疾患に因る1時点の衰弱を示した。別の対照ウマは、どの時点でも臨床兆候を示さなかったが、何日も続くウイルス血症を有していた。研究における数頭のワクチン接種されたブロック2のウマは、クモ膜下腔内のWNVチャレンジの結果として組織における軽度から中等度の組織病理学的変化を有していたが、2頭の対照ウマにおける何日も続く臨床疾患および第3の対照ウマにおける1日間の臨床疾患と比較して、1頭のワクチン接種されたウマについては研究のある1日においてほんの非常に軽度な臨床疾患(軽度な頭部振戦)が認められただけであった。
【0116】
結果は、ワクチンが効果的であり、そしてワクチンを投与された動物において免疫原性反応が誘導されたことを実証した。ワクチンの効力は、本実施例において、WNVウイルス血症の減少によって、WNVに対する高い血清中和力価の刺激によって、並びに脳および髄膜におけるWNV関連臨床兆候および組織病理の予防によって証明された。このワクチンは、長時間持続する代謝不可能なアジュバントを含む独特な構成成分を含み、最近の起源および高度に疫学的に蔓延している免疫原性の高い低継代の完全な不活性化ウイルスWNV単離株として、および感染ウマの組織から単離されたWNVとして、高度の安全性を提供するために少量の1mLという投与容量で調合されたので、それは現在入手できる他のワクチンよりもより全体的な安全性および効力を提供する。さらに、動物に投与した場合に安全なワクチンを提供する効果も有する。
【0117】
実施例3
本実施例は、EHV−4による感染に対する本発明の免疫原性組成物の効力を説明する。
【0118】
材料および方法
4〜5カ月齢の37頭のウマを本研究において使用した。ウマを、無作為な番号発生機によってワクチン接種群または対照群のいずれかに無作為に割り当て、その後、ワクチン接種した。24頭のウマがワクチン接種ウマとして作用し、そして13頭のウマが偽ワクチン接種対照ウマであった。全ウマが、感染に感受性のウマの指標となる、研究開始前の低い(1:14以下、平均=1:7)EHV−4血清中和(SN)力価を有していた。使用したワクチンは実験的なワクチンであり、そして以下の成分を有していた:
【0119】
最終の調合されたワクチンは、1mLの用量あたり以下の成分を含む:
【0120】
EHV−1(PTA-9525) 107.0-9.0 TCID50/mL
インフルエンザA2/オハイオ/03(PTA-9522) 106.0-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/KY/95 (PTA-9523) 106.0-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/ニューマーケット/2/93(PTA-9524) 106.0-9.5 TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU
東部ウマ科脳脊髄炎(ATCC寄託番号PTA-9412) 106.7-9.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎(ATCC寄託番号PTA-9410) 106.7-9.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎(ATCC寄託番号PTA-9411) 106.7-9.2TCID50/mL
ウエストナイルウイルス・ウマ起源2005(ATCC寄託番号PTA-9409) 107.0-9.0 TCID50/mL
アジュバント 100-200μl
グリセロール 100-200μl
EDTA 240mM溶液 10-20μl
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1〜0.2%)
【0121】
実験ワクチンを、1mLの投与容量で、ワクチン接種群の各24頭のウマに筋肉内投与した。対照群における13頭のウマが、9通りのワクチンに使用された賦形剤(ゲンタマイシンおよびホルムアルデヒド)を含むが全く抗原を含まない、1mL用量のアジュバント化DMEM(ロット004)を受けた。病原性EHV−4HRA005株ウイルスのチャレンジ接種を、ブースターワクチン接種の15日後に行なった。
【0122】
各々のワクチン接種ウマおよび対照ウマを、EHV−4ウイルス株(HRA005)を用いてチャレンジした。希釈チャレンジウイルスの力価は、ワクチン接種されていないウマにおいてEHV感染に因る疾患を誘起するのに十分であった。
【0123】
鎮静薬および鎮痛薬であるSedivet(登録商標)(塩酸ロミフィジン)を、チャレンジ前に各ウマに50μg/kg(体重)の用量で静脈内投与した。その後、各ウマを、EHV−4HRA005ウイルス株を用いてチャレンジした。チャレンジウイルスを、ネブライザーによって産生されたエアゾールとしてウマ科用エアロマスク(Trudell Medical International, Ontario, Canada)中に鼻腔内投与した。
【0124】
毎朝の直腸温度を、較正された電子体温計(GSA Electronics)プローブを用いて、チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、37頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々について記録した。毎日の直腸温度を、華氏温度(°F)で記録した。
【0125】
全血球数
37頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々に由来する静脈血を、毎日、チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、全血球数のためにバキュテナーEDTA二ナトリウムチューブ中に直接回収した。
【0126】
鼻滲出液の評価
全ての鼻滲出液の観察は、鼻咽頭スワブの回収前に行なった。チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、37頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々の鼻道および鼻口部を検査し、そして以下に列挙した等級化およびスコア化記載を使用して等級化した。
【0127】
0〜6のスコア化等級を、以下の各分類によって示される疾患の重度に基づいて割り当てた:
【0128】
【表2】
【0129】
鼻咽頭ウイルス単離法
各観察試験日において、各々のワクチン接種および対照の各々の鼻道を、滅菌スワブを用いて深くから試料採取した。回収時に、2つの各々のスワブを直ちに、4mLの冷却した輸送培地(2%FBS、2×Pen/Strep、2×ゲンタマイシンおよび2×アムホテリシンBの補充されたダルベッコ最小必須培地(DMEM))を含む単一のチューブに入れた。
【0130】
ウイルスの単離のために、チューブを混合し、スワブを無菌的に取り出し、そして培地を1500rpmで10分間遠心分離にかけて微粒子状物質を除去した。培地を0.2μmのシリンジフィルターを通してろ過し、その後、組織培養細胞上に接種した。1mLの清澄化した輸送培地を使用して、成長培地を無菌的に除去しておいた24ウェルの組織培養プレート中で成長した2cm2の1日齢のED細胞単層に接種した。接種後、接種材料を、5%CO2雰囲気を含む加湿インキュベーター中、37℃で、1時間、細胞単層上に吸着させた。吸着期間後、追加の1mLのリフィード培地(2〜5%のウシ胎児血清(FBS)、2mMのL−グルタミンおよび3×ゲンタマイシンおよび2×アムホテリシンBを含むDMEM)を各ウェルに添加した。リフィード培地の添加後、次いで、プレートを37℃でCO2インキュベーター中でインキュベーションした。各試験組織培養ウェルおよび対照組織培養ウェルを、7日間、EHV−4チャレンジウイルスに典型的な細胞変性効果(CPE)の兆候について顕微鏡により検査した。7日間の観察期間の終了時に陰性であったウェルを新たな細胞上に継代培養し、そしてさらに7日間観察した。
【0131】
血清中和試験手順
標準的なマイクロタイター血清中和試験を本研究において使用した。全血清を、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で、1希釈につき5つのウェルおよび5つの試験ウェルの各々について8つのウェルの希釈シリーズを使用して試験した。5つの試験ウェルの各々は、25μlの指標ウイルスと、約5×104個の細胞を含む150μlの新たに蒔いたED細胞懸濁液とが混合された、25μlの血清希釈液を含んだ。使用した試験指標ウイルスは、EHV−4HRA005ロット033106SNストックウイルスであった。全試験において、指標ウイルス逆滴定力価は、68〜149のTCID50/25μlの範囲であった。血清中和抗体力価は、Reed-MuenchID50力価として表現する。
【0132】
試験の実行のために、各試験血清の2倍希釈液を、1つの試験血清あたり5つの複製ウェルおよび8つのウェルの希釈シリーズを使用して、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で作製した。希釈は、滅菌マイクロタイターチップを使用して、容量の調整可能なシングルまたはマルチチャンネルピペッティング装置を用いて作製した。第一横列の5つのウェルの各々に添加された血清の容量は50μlであった。全ての他のウェルは25μlのDMEM(FBSを全く含まない)を含んだ。プレートの下へと連続希釈した後、25μlを最後の横列から廃棄した。25μlの指標ウイルスの予め決定された希釈液を、各試験ウェルに添加した。その後、プレートを混合し、そして1時間37℃で5%CO2中でインキュベーションした。インキュベーション期間の終了時に、5×104個のED細胞を含む150μlの懸濁液を、各試験ウェルおよび細胞対照ウェルに添加した。プレートを37℃でCO2インキュベーター中で5〜7日間インキュベーションし、その時点でプレートをEHV−4に典型的なCPEについて顕微鏡により検査した。しかしながら、任意の他の市販されている試験または従来技術において記載された任意の試験をこの目的のために使用できた。
【0133】
結果および結論
鼻滲出液の評価
日により変動するワクチン接種群は、鼻漏スコアについて統計学的に有意であった(P<0.05、表1)。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の6〜10日目および14日目に見られた(ワクチン接種群においてより低い鼻腔スコア)。
【0134】
毎日のスコアを、チャレンジ後の期間におよび合計した場合、ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも低い全スコアを有していた(P<0.05、表1)。軽減された割合は、0.824と推定された(95%ASE CI:0.629、1.000)。
【0135】
【表3】
【0136】
結膜炎
日により変動するワクチン接種群は、結膜炎スコアについて統計学的に有意であった。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の6、7、9、10、13および14日目に見られた(6日間中5日間においてワクチン接種群においてより低いスコア、P<0.05、図2)。
【0137】
血清学的研究
力価を、統計学的分析の前にlog変換した。日により変動するワクチン接種群は、SN力価について統計学的に有意であった。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の0日目(ワクチン接種前;対照群の力価>ワクチン接種群の力価)、35日目(チャレンジ日)並びに7および14日目(研究の42日目および49日目)に見られた。ワクチン接種群におけるウマは、35、42および49日目において対照群のウマよりも高い力価を有していた(P<0.05、表4)。
【0138】
【表4】
【0139】
白血球(WBC)数およびリンパ球数
日により変動するワクチン接種群は、WBC数およびリンパ球数について統計学的に有意であった。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の4〜6日目(WBC)並びに4および5日目(リンパ球)に見られた。ワクチン接種群におけるウマは、EHV4疾患に因る白血球減少症から防御され、そして対照群のウマよりも高いWBC数およびリンパ球数を有していた(P<0.05)。
【0140】
考察および結論
本研究において、EHV−4感染の中等度および適切な臨床兆候が、チャレンジ後に見られた。鼻滲出液の有意により少ない臨床兆候が、チャレンジ後の6〜10日目および14日目においてワクチン接種ウマにおいて見られた。結膜炎スコアは、チャレンジ後7、9、10、13および14日目にワクチン接種ウマにおいて有意により低かった。チャレンジ後の臨床兆候の適切な提示にも関わらず、鼻腔スワブ試料中のウイルス排出は、このEHV−4チャレンジ後には稀であった。鼻腔スワブを細胞培養液中のウイルスの単離によって検査した。
【0141】
WBCおよびリンパ球について有意な群の効果は、4〜6日目(WBC)および4〜5日目(リンパ球)において見られ、ワクチン接種動物は、対照ウマよりも高いWBC数およびリンパ球数を示した。これらの値は、対照ウマが、ヘルペスウイルスによる感染によってもたらされた免疫抑制に屈したことを確立し、そしてまた、EHV−1の交差防御株を用いてのワクチン接種は、ワクチン接種ウマに、ヘルペスウイルス感染の免疫抑制特性からより逸れることを可能としたことを実証する。さらに、ワクチン接種群におけるウマは、35、42および49日目において対照群のウマよりも高い血清中和力価を有していた。
【0142】
本研究からのデータは、EHV−1を含む多成分ワクチンを用いてワクチン接種されたウマは、異種EHV−4チャレンジ生物を用いてチャレンジした場合に交差防御免疫を示すことを確認する。
【0143】
実施例4
本実施例は、本発明の組合せワクチンの効力並びに免疫持続時間を説明するためのものである。
【0144】
材料および方法
本研究において評価したワクチンにおいて使用したインフルエンザウイルス抗原を、メイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞上で産生した。成長後、ウイルス液をろ過し、ホルマリンで不活性化し、そして濃縮した。不活性化ウイルス液を、不活性化後の残留生ウイルスについて試験した。満足のいく残留生ウイルス試験の終了時に、次いで、不活性化ウイルス液を使用して、不活性化ベネズエラウマ科脳脊髄炎TC−83株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9411)ウイルス、東部ウマ科脳脊髄炎NJO株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9412)ウイルス、および西部ウマ科脳脊髄炎フレミング株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9410)ウイルス、不活性化EHV−1(ATCCアクセッションナンバーPTA−9525)ウイルス、不活性化インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95(ATCCアクセッションナンバーPTA−9523)ウイルス、およびインフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93(ATCCアクセッションナンバーPTA−9524)ウイルス、不活性化ウエストナイルウイルス・ウマ起源2005(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)および破傷風トキソイドも含むワクチンを調合した。
【0145】
ワクチンを、製品に含まれる全抗原について適切な規格へと調合した。インフルエンザA/equi−2/オハイオ/03(ATCCアクセッションナンバーPTA−9522)抗原を、106.7TCID50/mLの不活性化前の力価でワクチンに添加した。
【0146】
最終の調合されたワクチンは、1mLの用量あたり以下の成分を含む:
【0147】
EHV−1 107.0-9.0 TCID50/mL
インフルエンザA2/オハイオ/03 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/KY/95 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/ニューマーケット/2/93 106.7-9.5 TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU
東部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2TCID50/mL
ウエストナイルウイルス 107.0-9.0 TCID50/mL
アジュバント(好ましくは鉱物油) 100-200μl
グリセロール 100-200μl
EDTA 240mM溶液 10-20μl
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1〜0.2%)
【0148】
4〜5カ月齢の26頭のウマを本研究において使用した。15頭のウマがワクチン接種ウマとして作用し、11頭のウマが偽ワクチン接種対照ウマであった。
【0149】
ワクチンを、1mLの投与容量で、ワクチン接種群の各15頭のウマに筋肉内投与した。対照群における11頭のウマが、9通りのワクチンに使用された賦形剤(ゲンタマイシンおよびホルムアルデヒド)を含むが全く抗原を含まない、1mL用量のアジュバント化DMEM(ロット004)を受けた。病原性インフルエンザA/equi−2/オハイオ/03株ウイルスのチャレンジ接種を、ブースターワクチン接種の4カ月後に行なった。
【0150】
血清学的評価のための血清試料を、初回ワクチン接種前、初回用量のワクチン接種後の21日目(ブースターワクチン接種日)、チャレンジ日、並びにチャレンジ後の7および14日目にワクチン接種ウマおよび対照ウマから回収した。体温、全血球試料、および鼻腔スワブを、チャレンジ日および10日間のチャレンジ後の観察期間中毎日、全11日間の観察日において各ウマから得た。臨床データもまた、11日間の観察期間の間、各ウマについて毎日記録した。
【0151】
チャレンジ
インフルエンザA/equi−2/オハイオ/03のチャレンジウイルスシードを卵において産生した。チャレンジウイルスを、チャレンジの朝に組織培養培地で1:20に希釈して、ワクチン接種されていないチャレンジされたウマにおいて臨床インフルエンザを引き起こすに十分な力価に罹らせた。
【0152】
鎮静薬および鎮痛薬であるSedivet(登録商標)(塩酸ロミフィジン)を、チャレンジ前に各ウマに50μg/kg(体重)の用量で静脈内投与した。その後、各ウマを、インフルエンザA/equi−2/オハイオ/03ウイルスを用いてチャレンジした。チャレンジウイルスを、以下の方法によって、ネブライザーによって産生されたエアゾールとしてウマ科用エアロマスク(Trudell Medical International, Ontario, Canada)中に鼻腔内投与した:
【0153】
4mLのチャレンジウイルスを、エアロマスク装置中のネブライザーカップに入れた。耐圧ホースを空気圧縮機からネブライザーの入口部に取り付けた。その後、排出チューブを、チャレンジするウマの頭部に付着させたエアロマスクに挿入し、そして空気圧を入口部にかけた。この間、約2mLのチャレンジウイルス液が、チャレンジするウマの鼻孔中に直接的にエアロゾル化された。
【0154】
温度
毎日の直腸温度を、較正された電子体温計(GSA Electronics)プローブを用いて、チャレンジ日およびチャレンジ後10日間、26頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々について記録した。毎日の直腸温度を、華氏温度(°F)で記録した。
【0155】
白血球数
26頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々に由来する静脈血を、毎日、チャレンジ日およびチャレンジ後10日間、白血球数のためにバキュテナーEDTA二ナトリウムチューブ中に直接回収した。
【0156】
鼻滲出液の評価
全ての鼻滲出液の観察は、鼻咽頭スワブの回収前に行なった。チャレンジ日およびチャレンジ後10日間、26頭の各々のワクチン接種ウマおよび対照ウマの鼻道および鼻口部を検査し、そして以下に列挙した等級化およびスコア化記載を使用して等級化した。
【0157】
0〜6のスコア化等級を、以下の各分類によって示される疾患の重度に基づいて割り当てた:
【0158】
【表5】
【0159】
咳嗽
各観察日における咳嗽発作を、全観察期間中に各ウマについて、個々の動物がその時に研究者によって検査されたかどうかに関係なく計測した。研究者以外の観察者は、観察期間中の各々の個々のウマの咳嗽発作の数を記録した。咳嗽発作のスコア化は、ウマ1頭あたりの実際の咳嗽発作の計数であった。
【0160】
結膜炎
結膜炎を、毎日、鼻滲出液の評価時に評価した。結膜炎スコアを、0=正常;1=軽度から中等度の結膜炎、および2=重度の結膜炎として記録した。
【0161】
鼻咽頭ウイルス単離/血球凝集(HA)法
各観察試験日において、各々のワクチン接種および対照の各々の鼻道を、滅菌スワブを用いて深くから試料採取した。回収時に、2つの各々のスワブを直ちに、4mLの冷却した輸送培地(2%FBS、2×Pen/Strep、2×アムホテリシンBの補充されたダルベッコ最小必須培地(DMEM))を含む単一のチューブに入れた。
【0162】
ウイルスの単離のために、チューブを混合し、スワブを無菌的に取り出し、そして培地を1500rpmで10〜15分間遠心分離にかけて微粒子状物質を除去した。培地を0.2μのシリンジフィルターを通してろ過し、その後、組織培養細胞上に接種した。ろ過後、4〜6%の滅菌85%スクロース溶液を、全試料を同時に試験するために−80℃で凍結させるために各試料に加えた。
【0163】
全試料を、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で、1希釈につき5つのウェルおよび5つの試験ウェルの各々について4つのウェルの希釈シリーズを使用して試験した。解凍時に、22μLの清澄化した試料培地を使用して、成長培地を無菌的に除去しそして200μlのインフルエンザ成長培地(5〜10単位/mLの10,000Uブタトリプシンストック溶液、2mMのL−グルタミン、1×Pen-Strepおよび1×アムホテリシンBを含むDMEM)で置換しておいた1日齢のMDCK−S細胞単層に接種した。その後、プレートを35℃でCO2インキュベーター中で5〜7日間インキュベーションした。5〜7日間のインキュベーション期間後、滴定プレートの全ウェルからの50μlを、ラベルした96ウェルビニルHAプレートに直接移した。ニワトリ赤血球を各ウェルに添加し、そして室温で30〜90分間静置した。ウェルを、ウマ科インフルエンザウイルスの存在の証拠としての陽性の凝集について解読した。
【0164】
血球凝集阻害(HI)試験手順
血清試料を、0.15mlの各試料を試験チューブに分注し、そして0.3mLの0.01Mの過ヨウ素酸ナトリウム溶液を用いて室温で15分間かけて抽出することによって調製した。グリセロール溶液3%(0.125mL)を各チューブに加え、混合し、そして室温で15分間インキュベーションした。その後、全試料を56℃で30分間かけて熱により不活性化させた。
【0165】
0.5%のニワトリ赤血球溶液をPBS(SAFCカタログ番号59321C)中で調製し、そして550nmにおける吸光度を0.5へと標準化した。
【0166】
抽出した血清試料を、丸底ポリスチレンプレート中、1:4から1:256の範囲のPBS中の2倍希釈スキーム(1ウェルあたり25μl)を使用して二重に試験した。インフルエンザA/Equi2/オハイオ03ストックウイルス(25μL)を血清試料希釈液に加えた。プレートを穏やかにたたいて混合させ、そして室温で30分間インキュベーションした。インキュベーション後、ニワトリ赤血球を各ウェルに加え、そしてかき回さないようにして室温で1〜1.5時間インキュベーションした。結果を、各ウェルにおける凝集した赤血球の有無についてプレートを観察することによって解読した。抗体力価を、凝集が起こらなかった血清の最大希釈率として決定した。
【0167】
結果および結論
チャレンジ後の全時点にかけてプールした場合、ワクチン接種動物は、対照動物よりも低い全臨床スコアを有していた。毎日の全スコアを、チャレンジ後の期間におよび合計した場合、ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも低い全スコアを有していた(P<0.05)。軽減された割合は、0.6485と推定された(95%ASE CI:0.3258、0.9712)。
【0168】
【表6】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、チャレンジ後の経時的なワクチン接種の効果を評価した。結果を太文字の数値を通して解釈した。
【0169】
【表7】
1 ウィルコクソン順位和検定からのP値
2 鼻漏スコア、結膜炎スコアおよび咳嗽スコアを、各動物について日ごとおよび全時点におよび合計し、その後、軽減された割合の推定のために順位付けた。
3 平均順位
【0170】
鼻漏
ワクチン接種の主な効果は統計学的に有意であり、そしてインフルエンザチャレンジに因る鼻漏を減少させた。チャレンジ後の全時点におよびプールした場合、ワクチン接種動物は、対照動物よりも低い鼻漏スコアを有していた。
【0171】
【表8】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、チャレンジ後の経時的なワクチン接種の効果を評価した。結果を太文字の数値を通して解釈した。
【0172】
結膜炎
結膜炎についてのワクチン接種の主な効果は統計学的に有意であった。チャレンジ後の全時点におよびプールした場合、ワクチン接種動物では、対照動物よりも低い結膜炎スコアによって実証されるように、インフルエンザ感染に因る結膜炎が減少していた。
【0173】
【表9】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、チャレンジ後の経時的なワクチン接種の効果を評価した。結果を太文字の数値を通して解釈した。
【0174】
咳嗽
ワクチンはまた、ウマ科インフルエンザ感染から生じた咳嗽に対して防御した。ワクチン接種動物は、チャレンジ後の3、5、7、8および9日目において、対照動物よりも低いスコア(P<0.05)を有していた。
【0175】
【表10】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、チャレンジ後の経時的なワクチン接種の効果を評価した。結果を太文字の数値を通して解釈した。
【0176】
ウイルス排出(鼻腔スワブ)
ワクチン接種はまた、ウイルスを排出するウマの比率も減少させた(P<0.05)。以下の図は、ウイルスを排出するワクチン接種動物の比率は、チャレンジ後の3、4および5日目において、対照動物よりも低かったことを示す(P<0.05)。
【0177】
【表11】
1 ウィルコクソン順位和検定からのP値
2 ウイルス排出日数を計算し、その後、軽減された割合の推定のために順位付けた。漸近標準誤差(ASE)を使用して、95%信頼区間(CI)を推定した。
3 陽性日数の中央値は、ウイルス単離アッセイから得られた
【0178】
HI力価
ワクチンはまた、ウマ科インフルエンザウイルスに対する防御抗体力価を誘起するのに効果的であった。ワクチン接種ウマにおける統計学的に有意なより高い力価が、36日目(ワクチン接種に対して)、154日目(チャレンジ日)、159日目および164日目に見られた。ワクチン接種群におけるウマは、これらの各々の日において、対照群のウマよりも高い力価を有していた(P<0.05)。
【0179】
白血球数およびリンパ球数
ワクチン接種はまた、インフルエンザウイルスチャレンジ後に見られる白血球数の減少からウマを防御した(P<0.05)。組合せワクチンを用いてのワクチン接種は、白血球数について2日目および7日目に、並びにチャレンジ後2、6、7および8日目に見られた、統計学的に有意な防御を提供した。ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも高い白血球数およびリンパ球数を有していた(P<0.05)。4カ月間の持続時間の免疫チャレンジを行ない、3つのウマ科インフルエンザA/equi−2ウイルス株、ATCCアクセッションナンバーPTA−9522、PTA−9523およびPTA−9524(この各々は現在、米国、欧州およびアジアのウマ科個体群に関連性がある)を含むウエストナイルウイルスワクチン(脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン、東部、西部およびベネズエラの死滅ウイルス、破傷風トキソイド)を含む多成分ワクチンのインフルエンザウイルス画分の効力を実証した。26頭のウマ(15頭のワクチン接種および11頭の対照)を2回3週間間隔で1mLの用量のワクチンを用いてワクチン接種するか、またはウイルス抗原を含まないワクチンのアジュバント化培地成分を用いて偽ワクチン接種した。ブースターワクチン接種から4カ月後、ウマを、病原性生ウマ科インフルエンザA/equi−2/オハイオ03ウイルスを用いてチャレンジした。この病原性ウイルスは、国際獣疫事務局によってワクチンへの封入に推奨される現在のウマ科インフルエンザA/equi−2株であり、そして米国での大流行に関与する最も妥当な株として現在認識されている。
【0180】
この4カ月のDOIチャレンジ研究からの結果は、インフルエンザおよび他の妥当なウマ科抗原を含む組合せウエストナイルウイルスワクチンである試験ワクチンを用いてのワクチン接種によるチャレンジからの、有意な防御効果を示す。重要には、ワクチン接種ウマは、インフルエンザウイルスの統計学的により少ない全臨床兆候(鼻漏、結膜炎および咳嗽、P=0.0055)を示し、軽減された割合は0.6485と推定された(95%ASE CI:0.3258、0.9712)。さらに、ウイルス排出は、対照ウマよりもワクチン接種ウマの方が統計学的により少なく(P=0.0004)、軽減された割合は0.7939と推定された(95%ASE CI:0.5343、1.0000)。血球凝集阻害力価は対照ウマよりもワクチン接種ウマの方が有意に高く、そして、白血球数およびリンパ球数は、何日間もの研究日において対照ウマのそれよりも、ワクチン接種ウマの方が有意により高いままであった。直腸温度の差異は2つの群の間で全く決定されなかった。
【0181】
結論として、本研究からのデータは、21日間隔で4〜5カ月齢の仔ウマに投与された2回の1mLの筋肉内用量のこのウエストナイルウイルス組合せワクチンの投与が、ウマ科インフルエンザA/equi−2/オハイオ03ウイルスを用いての病原性チャレンジに対して防御し、そしてこの製品について少なくとも4ヶ月間の免疫持続時間を提供したことを実証する。
【0182】
実施例5
本実施例は、EHV−1(ウマ科1型ヘルペスウイルス)を用いてチャレンジした場合の本発明の免疫原性組成物の効力を説明する。
【0183】
材料および方法
本研究において評価したワクチンにおいて使用したEHV−1ウイルス抗原を、メイディン・ダービー・ウシ腎臓(MDBK)細胞上で産生した。成長後、ウイルス液をろ過し、BPLで不活性化し、そして濃縮した。不活性化ウイルス液を、不活性化後の残留生ウイルスについて試験した。満足のいく残留生ウイルス試験の終了時に、次いで、不活性化ウイルス液を使用して、不活性化ベネズエラウマ科脳脊髄炎TC−83株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9411)ウイルス、東部ウマ科脳脊髄炎NJO株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9412)ウイルス、および西部ウマ科脳脊髄炎フレミング株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9410)ウイルス、不活性化インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95(ATCCアクセッションナンバーPTA−9523)ウイルス、インフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93(ATCCアクセッションナンバーPTA−9524)ウイルスおよびインフルエンザA/イークワイン−2/オハイオ/03(ATCCアクセッションナンバーPTA−9522)ウイルス、不活性化ウエストナイルウイルス(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)および破傷風トキソイドも含むワクチンを調合した。
【0184】
ワクチンを、製品に含まれる全抗原について最小の規格へと調合した。EHV−1抗原を、107.0TCID50/mLの不活性化前の力価でワクチンに添加した。
【0185】
最終の調合されたワクチンは、1mLの用量あたり以下の成分を含む:
【0186】
EHV−1 107.0-9.0 TCID50/mL
インフルエンザA2/オハイオ/03 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/KY/95 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/ニューマーケット/2/93 106.7-9.5 TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU
東部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2TCID50/mL
ウエストナイルウイルス 107.0-9.0 TCID50/mL
アジュバント(好ましくは鉱物油) 100-200μl
グリセロール 100-200μl
EDTA 240mM溶液 10-20μl
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1〜0.2%)
【0187】
4〜5カ月齢の40頭のウマを本研究において使用した。ウマを、ワクチン接種群または対照群のいずれかに無作為に割り当て、そしてマイクロチップを埋め込み、その後、ワクチン接種した。24頭のウマがワクチン接種ウマとして作用し、そして20頭のウマが偽ワクチン接種対照ウマであった。全ウマが、感染に感受性のウマの指標となる、研究開始前の陰性から低い(1:6未満)EHV−1血清中和(SN)力価を有していた。
【0188】
ワクチンを、1mLの投与容量で、ワクチン接種群の各20頭のウマに筋肉内投与した。対照群における20頭のウマが、9通りのワクチンに使用された賦形剤(ゲンタマイシンおよびホルムアルデヒド)を含むが全く抗原を含まない、1mL用量のアジュバント化DMEM(ロット004)を受けた。病原性EHV−1 A183株ウイルスのチャレンジ接種を、ブースターワクチン接種の15日後に行なった。
【0189】
血清学的評価のための血清試料を、初回ワクチン接種前、初回用量のワクチン接種後の21日目(ブースターワクチン接種日)、チャレンジ日、並びにチャレンジ後の7および14日目にワクチン接種ウマおよび対照ウマから回収した。体温、全血球試料、および鼻腔スワブを、チャレンジ日および14日間のチャレンジ後の観察期間中毎日、全15日間の観察日において各ウマから得た。臨床データもまた、15日間の観察期間の間、各ウマについて毎日記録した。
【0190】
チャレンジ手順
チャレンジウイルス
本チャレンジ研究において使用した元来のチャレンジウイルスシードは、ウマ科皮膚(ED)細胞上での元来のシードウイルスの初代継代物であった。このチャレンジウイルスを収集し、そして106.2TCID50/mLの力価で凍結させた。
【0191】
鼻腔内チャレンジ法
鎮静薬および鎮痛薬であるSedivet(登録商標)(塩酸ロミフィジン)を、チャレンジ前に各ウマに50μg/kg(体重)の用量で静脈内投与した。その後、各ウマを、約106.5TCID50のEHV−1株を用いてチャレンジした。チャレンジウイルスを、以下の方法によって、ネブライザーによって産生されたエアゾールとしてウマ科用エアロマスク(Trudell Medical International, Ontario, Canada)中に鼻腔内投与した。
【0192】
耐圧ホースを空気圧縮機からネブライザーの入口部に取り付けた。その後、排出チューブを、チャレンジするウマの頭部に付着させたエアロマスクに挿入し、そして約10psiの空気圧を入口部に4分間かけた。この間、約2mLの106.2TCID50/mLのチャレンジウイルス液が、チャレンジするウマの鼻孔中に直接的にエアロゾル化された。
【0193】
チャレンジ前および後の評価パラメータ
温度
毎朝の直腸温度を、較正された電子体温計(GSA Electronics)プローブを用いて、チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、40頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々について記録した。毎日の直腸温度を、華氏温度(°F)で記録した。
【0194】
白血球数
40頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々に由来する静脈血を、毎日、チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、白血球数のためにバキュテナーEDTA二ナトリウムチューブ中に直接回収した。
【0195】
鼻滲出液の評価
全ての鼻滲出液の観察は、鼻咽頭スワブの回収前に行なった。チャレンジ日およびチャレンジ後14日間、40頭の各々のワクチン接種ウマおよび対照ウマの鼻道および鼻口部を検査し、そして以下に列挙した等級化およびスコア化記載を使用して等級化した。
【0196】
0〜6のスコア化等級を、以下の各分類によって示される疾患の重症度に基づいて割り当てた:
(EN)本質的に正常とは、ウマが清潔であり、そして本質的に鼻滲出液がなかったことを示す、スコア0;
(C−1)疾患を患うウマおよび正常なウマの両方に頻繁に観察され得る、僅かで透明な漿液の排泄、スコア1;
(C−2)中等度の透明な漿液の排泄は、通常観察される容量を超える、容量の確実な増加を示す、スコア2;
(C−3)疾患を患うウマにしか一般に観察されない多量の透明な漿液の排泄、スコア3;
(VSM)非常に僅かな粘液膿性の排泄は、粘液が、いずれか片方または両方の鼻孔に少量で確実に存在したことを示す、スコア1.5;
(SM)僅かに粘液膿性は、片方または両方の鼻孔に容易に観察される排泄である、スコア2;
(MM)中等度に粘液膿性は、粘液性排泄が両方の鼻孔に大量に存在したことを示す、スコア4;および
(HM)重度の粘液膿性は、大量の粘液性排泄が両方の鼻孔を満たしたことを示す、スコア6。
【0197】
鼻咽頭ウイルス単離法
各観察試験日において、各々のワクチン接種および対照の各々の鼻道を、滅菌スワブを用いて深くから試料採取した。回収時に、2つの各々のスワブを直ちに、4mLの冷却した輸送培地(2%FBS、2×Pen/Strep、2×ゲンタマイシンおよび2×アムホテリシンBの補充されたダルベッコ最小必須培地(DMEM))を含む単一のチューブに入れた。
【0198】
ウイルスの単離のために、チューブを混合し、スワブを無菌的に取り出し、そして培地を1500rpmで10分間遠心分離にかけて微粒子状物質を除去した。培地を0.2μのシリンジフィルターを通してろ過し、その後、組織培養細胞上に接種した。1mLの清澄化した輸送培地を使用して、成長培地を無菌的に除去しておいた24ウェルの組織培養プレート中で成長した2cm2の1日齢のED細胞単層に接種した。接種後、接種材料を、5%CO2雰囲気を含む加湿インキュベーター中、37℃で、1時間、細胞単層上に吸着させた。吸着期間後、追加の1mLのリフィード培地(2〜5%のウシ胎児血清(FBS)、2mMのL−グルタミンおよび3×ゲンタマイシンおよび2×アムホテリシンBを含むDMEM)を各ウェルに添加した。リフィード培地の添加後、次いで、プレートを37℃でCO2インキュベーター中でインキュベーションした。各試験組織培養ウェルおよび対照組織培養ウェルを、7日間、EHV−1A183チャレンジウイルスに典型的な細胞変性効果(CPE)の兆候について顕微鏡により検査した。7日間の観察期間の終了時に陰性であったウェルを新たな細胞上に継代培養し、そしてさらに7日間観察した。
【0199】
白血球バフィーコートウイルス単離
40頭のワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々に由来する静脈血を、チャレンジ日およびチャレンジ後14日間の間毎日、バキュテナーによってEDTA二ナトリウムチューブ中に回収した。EDTAで抗凝固処置された血液のチューブ中の赤血球を重量により沈降させた後、血漿および白血球をピペットで取り出し、そして5mLの滅菌スナップキャップチューブに入れた。血漿および白血球混合物を1500RPMで10〜15分間遠心分離にかけて、白血球をペレット化した。ペレットを、2回、2×Pen/Strep、2×ゲンタマイシン、および2×アムホテリシンBを含む3mLのリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄した。その後、細胞を、2%ウシ胎児血清(FBS)および2×Pen/Strep、2×ゲンタマイシン、および2×アムホテリシンBの補充された4mLのDMEMに懸濁した。1mLのバフィーコート懸濁液を使用して、成長培地を無菌的に除去しておいた24ウェルの組織培養プレート中で成長した2cm2の1日齢のED細胞単層に接種した。接種後、接種材料を、5%CO2雰囲気を含む加湿インキュベーター中、37℃で、1時間、細胞単層上に吸着させた。吸着期間後、追加の1mLのリフィード培地(5〜7%のウシ胎児血清(FBS)、2mMのL−グルタミンおよび1×ゲンタマイシンを含むDMEM)を各ウェルに添加した。リフィード培地の添加後、次いで、プレートを37℃でCO2インキュベーター中でインキュベーションした。単層上に静置された大容量の白血球に因りウェルを顕微鏡により観察することができなかった。それ故、7日間の終了時に、全ウェルを、接種材料として0.5mlの初代継代物を使用して新たなED細胞上に継代培養した。継代培養物を、チャレンジウイルス感染に典型的なCPEについて7日間観察した。
【0200】
血清中和試験手順
標準的なマイクロタイター血清中和試験を本研究において使用した。全血清を、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で、1希釈につき5つのウェルおよび5つの試験ウェルの各々について8つのウェルの希釈シリーズを使用して試験した。5つの試験ウェルの各々は、25μlの指標ウイルスと、約5×104個の細胞を含む150μlの新たに蒔いたED細胞懸濁液とが混合された、25μlの血清希釈液を含んだ。使用した試験指標ウイルスは、EHV−1サブタイプ1 A183株であった。全試験において、指標ウイルス逆滴定力価は、109〜263のTCID50/25μlの範囲であった。血清中和抗体力価は、Reed-MuenchID50力価として表現する。
【0201】
試験の実行のために、各試験血清の2倍希釈液を、1つの試験血清あたり5つの複製ウェルおよび8つのウェルの希釈シリーズを使用して、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で作製した。希釈は、滅菌マイクロタイターチップを使用して、容量の調整可能なシングルまたはマルチチャンネルピペッティング装置を用いて作製した。第一横列の5つのウェルの各々に添加された血清の容量は50μlであった。全ての他のウェルは25μlのDMEM(FBSを全く含まない)を含んだ。プレートの下へと連続希釈した後、25μlを最後の横列から廃棄した。25μlの指標ウイルスの予め決定された希釈液を、各試験ウェルに添加した。その後、プレートを混合し、そして1時間37℃で5%CO2中でインキュベーションした。インキュベーション期間の終了時に、5×104個のED細胞を含む150μlの懸濁液を、各試験ウェルおよび細胞対照ウェルに添加した。プレートを37℃でCO2インキュベーター中で3日間インキュベーションし、その時点でプレートをEHV−1に典型的なCPEについて顕微鏡により検査した。あるいは、任意の慣用的なもしくは市販されているアッセイを使用できるか、または当業者は本明細書におけるガイダンスを追随できるだろう。
【0202】
結果および結論
鼻漏スコア、鼻腔からのEHV−1の排出、および結膜炎スコアを、主要な成績変数と判断した。全ての他の成績は二番目と考えた。
【0203】
【表12】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、チャレンジ後の経時的なワクチン接種の効果を評価した。結果を太文字の数値を通して解釈した。
【0204】
鼻漏評価
日により変動するワクチン接種群は、鼻漏スコアについて統計学的に有意であった(P<0.05)。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の4、5日目および7〜11日目に見られた(ワクチン接種群におけるより低い鼻腔スコア、P<0.05)。毎日のスコアをチャレンジ後の期間におよび合計した場合、ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも低い全スコアを有していた(P<0.05)。軽減された割合は0.7250と推定された(95%ASE CI:0.4886、0.9614)。
【0205】
【表13】
1 ウィルコクソン順位和検定からのP値
2 鼻漏スコアおよび結膜炎スコアを、全時点におよび合計し、その後、軽減された割合の推定のために順位付けた。ウイルス排出日数を計算し、その後、軽減された割合の推定のために順位付けた。漸近標準誤差(ASE)を使用して、95%信頼区間(CI)を推定した。
【0206】
【表14】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、鼻漏スコアに対する経時的なワクチン接種の効果を評価した。
【0207】
結膜炎
日により変動するワクチン接種群は、結膜炎スコアについて統計学的に有意であった(P<0.05)。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の5および6日目並びに9〜14日目に見られた(ワクチン接種群においてより低いスコア、P<0.05)。毎日のスコアをチャレンジ後の期間におよび合計した場合、ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも低い全スコアを有していた(P<0.05)。軽減された割合は0.5300と推定された(95%ASE CI:0.2463、0.8137)。
【0208】
【表15】
1 GLIMMIX手順は収束しないであろうため、ANOVAアプローチを使用して、経時的なワクチン接種の効果を評価した。
【0209】
鼻咽頭スワブからのウイルス単離
ワクチン接種群の主な効果は統計学的に有意であった(ワクチン接種群においては排出する動物はより少ない、P<0.05)。排出日数を評価した場合、ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも少ないウイルス排出日数を有していた(P<0.05、表2)。軽減された割合は0.4925と推定された(95%ASE CI:0.1896、0.7954)。
【0210】
【表16】
【0211】
白血球数
日により変動するワクチン接種群は、白血球数について統計学的に有意であった(P<0.05、表1)。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の2および3日目に見られた。ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも高い白血球数を有し、このことは、ワクチンが、EHV1による感染によって引き起こされる白血球減少症にウマが罹患することを予防したことを示す(P<0.05)。
【0212】
【表17】
1 ANOVAからのP値
【0213】
血清学的研究
力価を、統計学的分析の前にlog変換した。日により変動するワクチン接種群は、SN力価について統計学的に有意であった(P<0.05)。統計学的に有意な群の効果は、チャレンジ後の35日目(チャレンジ日)並びに7および14日目(研究の42日目および49日目)に見られた。ワクチン接種群におけるウマは、対照群のウマよりも高い力価を有していた(P<0.05)。
【0214】
【表18】
1 ANOVAからのP値。血清中和力価を、統計学的分析の前にlog(自然対数)変換した。
【0215】
結果および考察
ウマ科1型ヘルペスウイルスによって引き起こされる呼吸器疾患は、通常、生後1年以内に、通常秋および冬の月に起こる、ナイーブな離乳したおよび一年仔のウマの流行病である。急性感染の兆候は、106°Fまでの発熱、ウイルス血症および白血球減少症および/または好中球減少症を含む。鼻漏は、通常、この最初の曝露の発熱期間中において明らかである。EHV−1による自然感染は、呼吸器の永久免疫をもたらさない。実際に、ウマは、生涯におよび3〜6カ月毎に自然に再感染し得る。このウイルスによる最初の経験後に、再感染はウイルスの産生をもたらすが、通常疾患の臨床兆候は伴わず、これにより、ウイルスの自然宿主として作用するキャリアー動物がもたらされる。
【0216】
この報告において記載されるウマ科ヘルペスウイルス−1多成分ワクチンは、ウマ科1型ヘルペスウイルスの病原性異種株を用いてチャレンジしたウマの呼吸器の徴候、臨床症状、および鼻滲出液からのウイルス排出を減少させるのに効果的であることが示された。呼吸経路からのウイルス排出の減少は、これがナイーブ動物への天然の曝露経路であることに因り、並びに、自然感染を経験した動物から群れ仲間へと再感染するために、疫学的に重要である。それはまた、研究ウマにおけるワクチン使用の後に全身またはワクチン投与部位のいずれにおいても全く有害反応が観察されない安全なワクチンであった。
【0217】
本研究において、日により変動するワクチン接種群は、主要な成績変数である鼻漏スコアおよび結膜炎について統計学的有意性を示した。統計学的に有意な群の効果は、ワクチン接種群において鼻漏についてチャレンジ後の4、5および7〜11日目に見られた。結膜炎についての群の効果もまた、ワクチン接種群においてより低いスコアを示し、5および6および9〜14日目において統計学的に有意であった(P<0.05)。EHV−1ウイルスは繊細でありそして容易に環境において生き残らないので、これは疫学的に重要である。密接な接触は、病原性EHV−1ウイルスを含む鼻分泌物を通した疾患の伝染にとって重要である(Campbell and Studdert, 1983)。
【0218】
重要には、本研究における別の主要な成績変数である鼻滲出液中のウイルス排出は、統計学的有意としてワクチン接種の主要な効果を示した(P<0.05)。ワクチン接種群におけるウマはまた、対照群のウマよりも統計学的により少ないウイルス排出日数を有していた(P<0.05)。
【0219】
血清中和力価は、対照ウマと比較してワクチン接種ウマにおいてワクチン接種後および全チャレンジ期間を通して統計学的に有意であった(P<0.05)。体液性免疫および粘膜抗体は、EHV−1感染が増殖性感染事象または限定的な感染事象になるかどうかを決定する上で重要であり得る(Kidd, Smith, Hannant, et. al, 1994)。
【0220】
実施例6
本実施例は、ウエストナイルウイルスを用いてチャレンジした場合に本発明の免疫原性組成物の効力および6カ月間の免疫持続時間を説明する。
【0221】
材料および方法
本研究において評価したワクチンにおいて使用したWNVウイルス抗原を、実施例1に記載したようなEvero細胞上で産生した。全15頭のウマを群に無作為に分け、1つは5頭のウマの対照群であった。10頭のウマのワクチン接種群は、21日間隔で2用量のワクチンを受けた。満足のいく残留生ウイルス試験の終了時に、次いで、不活性化ウイルス液を使用して、不活性化ベネズエラウマ科脳脊髄炎TC−83株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9411)ウイルス、東部ウマ科脳脊髄炎NJO株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9412)ウイルス、および西部ウマ科脳脊髄炎フレミング株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9410)ウイルス、不活性化インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95(ATCCアクセッションナンバーPTA−9523)ウイルス、インフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93(ATCCアクセッションナンバーPTA−9523)ウイルス、およびインフルエンザA/イークワイン−2/オハイオ/03(ATCCアクセッションナンバーPTA−9522)ウイルス、不活性化ウエストナイルウイルス(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)および破傷風トキソイドも含むワクチンを調合した。ワクチンを、製品に含まれる全抗原について最小の規格へと調合した。
【0222】
最終の調合されたワクチンは、1mLの用量あたり以下の成分を含む:
【0223】
EHV−1 107.0-9.0 TCID50/mL
インフルエンザA2/オハイオ/03 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/KY/95 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/ニューマーケット/2/93 106.7-9.5 TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU
東部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2TCID50/mL
ウエストナイルウイルス 107.0-9.0 TCID50/mL
アジュバント(好ましくは鉱物油) 100-200μl
グリセロール 100-200μl
EDTA 240mM溶液 10-20μl
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1〜0.2%)
【0224】
15頭のウマを本研究において使用した。ウマを、ワクチン接種群または対照群のいずれかに無作為に割り当て、その後、ワクチン接種した。10頭のウマがワクチン接種ウマとして作用し、そして5頭のウマが偽ワクチン接種対照ウマであった。
【0225】
ワクチンを、1mLの投与容量で、ワクチン接種群の各ウマに筋肉内投与した。各対照は、9通りのワクチンに使用された賦形剤(ゲンタマイシンおよびホルムアルデヒド)を含むが全く抗原を含まない、1mL用量のアジュバント化DMEMを受けた。
【0226】
全ての群を、約105pfuの異種WNV株(NY99、4132、カラス単離株)を含む1mlのPBSのくも膜下腔内接種を用いてワクチン接種した約6カ月後にチャレンジした。チャレンジは、ケタミン−キシラジン麻酔下で行なわれた。
【0227】
ウマを最大で14日間モニタリングした。
【0228】
結果および考察
チャレンジ後のウイルス血症を本研究における主要な成績変数と判断した。ワクチン接種されたウマは、本研究においてチャレンジ後にウイルス血症から90%防御された。比較すると、5頭の対照ウマの全てが、チャレンジ後3〜5日間ウイルス血症を示した。
【0229】
さらに、ワクチン接種ウマの血清中和力価は、ワクチン接種後の対照ウマのそれよりも有意に高かった。全てのワクチン接種ウマが、ワクチン接種後に測定可能な血清中和力価を発達させ、一方、対照はいずれもWNVに対する力価を全く示さなかった。この研究は、2用量の実験組合せワクチンが、確実にそして効果的に防御的で血清学的な血清中和力価を刺激したことを実証した。
【0230】
ウイルス血症は、ウイルスが血液脳関門を通過してWNV脳炎を引き起こし得る前の必要条件であるので、ウイルス血症は、このタイプの実験研究における防御評価のための主要なパラメーターとして十分に正当化されている。
【0231】
結果は、免疫原性反応が、ワクチンを投与された動物において誘導され、そしてワクチンがワクチン接種後少なくとも6ヶ月間防御を与えるのに効果的であることを実証した。ワクチンの効力は、本実施例において、WNVウイルス血症の減少によって、およびWNVに対する高い血清中和力価の刺激によって証明された。このワクチンは、長時間持続する代謝不可能なアジュバントを含む独特な構成成分を含み、最近の起源および高度に疫学的に蔓延している免疫原性の高い低継代の完全な不活性化ウイルスWNV単離株として(北米優性WNV株)、および感染ウマの組織から単離されたWNVとして、高度の安全性を提供するために少量の1mLという投与容量で調合されるので、それは現在入手できる他のワクチンよりもより全体的な安全性および少なくとも6ヶ月間の持続時間という長く持続する効力を提供する。さらに、それは、動物に、特にウマに投与された場合に安全なワクチンを提供する効果を有する。
【0232】
実施例7
本実施例は、脳脊髄炎抗原を破傷風トキソイド抗原と共に含む本発明の免疫原性組成物の1つの態様の効力を示す。
【0233】
材料および方法
宿主動物および実験動物の免疫化/血清学を評価して、東部、西部およびベネズエラ脳脊髄炎の死滅ウイルスおよび破傷風トキソイドを含む、脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン中の脳脊髄炎抗原および破傷風トキソイド抗原画分の効力を実証した。ウマ科脳脊髄炎ウイルスワクチンおよび破傷風トキソイド画分に対する効力および干渉の欠如は、組合せワクチンの実験動物効力試験によって明解に実証することができる。ウマへのワクチン接種後の血清学的応答の実証もまた、ワクチン−トキソイドの効力を示す。従って、実験動物の効力および宿主動物の血清学の両方を本研究において使用して、実験ワクチンの効力を確認した。ワクチンを、ウマを含む動物における安全性についても評価した。
【0234】
ワクチン接種されていない雌ウマからの4〜5カ月齢のウマを、不活性化ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルスTC−83株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9411)、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルスNJO株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9412)、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルスフレミング株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9410)、ウエストナイルウイルス(WNV)・ウマ起源2005(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)、ウマ科1型ヘルペスウイルス(ATCCアクセッションナンバーPTA−9525)(EHV−1)、インフルエンザA/イークワイン−2/オハイオ/03(ATCCアクセッションナンバーPTA−9522)、インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95(ATCCアクセッションナンバーPTA−9523)、インフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93(ATCCアクセッションナンバーPTA−9524)および破傷風トキソイドを含むWNV組合せワクチンの効力シリアルを用いてワクチン接種した。ウマを研究の0日目および21日目にワクチン接種した。血液試料を、0日目、21日目および35日目に回収した。0日目および35日目の血清学的結果を本明細書において報告する。
【0235】
さらに、ウマのワクチン接種に使用したのと同じWNV組合せワクチンを、モルモットにおける効力について試験した。本報告において提示されたデータは、本研究において試験した各抗原(EEE、VEE、WEE、破傷風)の効力を総合的にそして確定的に確立し、そしてまたWNV組合せワクチンの安全性を確認する。
【0236】
大量のロットのEEE、WEEおよびVEEウイルス並びに破傷風トキソイドを産生した。成長後、ウイルス液をろ過し、ホルマリンで不活性化し、そして濃縮した。不活性化ウイルス液を、不活性化後に残留生ウイルスについて試験した。
【0237】
前記した不活性化ウイルス液およびトキソイド液を使用して、不活性化ウマ科1型ヘルペスウイルス、不活性化インフルエンザA/イークワイン−2/ケンタッキー/95ウイルス、インフルエンザA/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93ウイルスおよびインフルエンザA/イークワイン−2/オハイオ/03ウイルスも含むワクチンを調合した。
【0238】
ワクチンを、製品に含まれる全抗原について規格へと調合した。
【0239】
最終の調合されたワクチンは、1mLの用量あたり以下の成分を含んだ:
【0240】
EHV−1 107.0-9.0 TCID50/mL
インフルエンザA2/オハイオ/03 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/KY/95 106.7-9.5 TCID50/mL
インフルエンザA2/ニューマーケット/2/93 106.7-9.5 TCID50/mL
破傷風トキソイド 5-10 CPU
東部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 TCID50/mL
西部ウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2 PFU/mL
ベネズエラウマ科脳脊髄炎 106.7-9.2TCID50/mL
ウエストナイルウイルス 107.0-9.0 TCID50/mL
アジュバント(好ましくは鉱物油) 100-200μl
グリセロール 100-200μl
EDTA 240mM溶液 10-20μl
希釈剤−DMEM含有 適量
ゲンタマイシン(希釈剤の容量に対して30μg/mL)
ホルムアルデヒド(希釈剤の容量の0.1〜0.2%)
【0241】
4〜5カ月齢の40頭のウマを本研究において使用した。ウマはワクチン接種全期間を通じて放牧地にその雌親と共に留まり、そしてブースターから2週間後の血清を回収した時にその雌親から離乳させた。ウマを2つの処置群のいずれか1つに無作為に割り当てると、それらを1.0mlの用量を用いて筋肉内(IM)にワクチン接種した。一次免疫の3週間後に1.0mlのIMブースターワクチン接種を行なった。20頭のウマがワクチンを受けた。20頭のウマがプラセボを受けた。
【0242】
モルモットもまた、同じ組合せWNVワクチンを用いてワクチン接種した。
【0243】
ウマにワクチン接種し、そして血清試料を以下のスケジュールを使用して回収した:
【表19】
【0244】
モルモットにワクチン接種し、そして血清を9 CFR、113.207(b)および113.114(c.)によって概略を示されたスケジュールを使用して回収した。
【0245】
本研究におけるウマからの血清を一般的なガイドラインに従って試験した。アッセイを改変して、0日目の試料については1:2および1:10の希釈率、そしてブースターの2週間後の血清試料については1:10および1:40の希釈率で試験することによって力価を決定した。血清を、EEE、WEEおよびVEE抗体について試験し、そして破傷風トキソイド抗体について試験した。
【0246】
結果および考察
EEE、WEEおよびVEEについてのウマの血清学的評価
研究の0日目において、全ての仔ウマが、脳脊髄炎ウイルスに対して血清陰性であったわけではなかった。ワクチン接種された仔ウマの5頭が、EEEウイルスに対して有意な(1:10を超える)残留移行抗体を有していた。さらに、ワクチン接種された仔ウマの2頭が、WEEウイルスに対して残留移行抗体(1:10を超える)を有していた。WNV組合せワクチンの初回用量の投与時における既存で干渉の可能性のある受動的に獲得された移行抗体にも関わらず、3つ全ての画分についての力価は、ワクチン接種後に実質的に増加したが(EEEについて試験したウマの80%において4倍超、WEEについて試験したウマの90%において4倍超、およびVEEについて試験したウマの100%において4倍超)、ワクチン接種されていない仔ウマについては陰性または低いままであった。個々の仔ウマのデータを以下に提示する。
【0247】
EEE、WEEおよびVEEのウマ科の血清学的力価
【0248】
【表20】
【0249】
EEE、WEE、VEEおよび破傷風トキソイドについてのモルモットの血清学的評価
組合せワクチンを用いてワクチン接種された10匹中9匹のモルモットが、EEEウイルスに対して(1:40以上)で満足に血清転換した。10匹中10匹のモルモットがVEEウイルスに対して満足のいく力価(1:4以上)を有し、そして10匹中10匹のモルモットがWEEウイルスに対して満足のいく血清転換をした(1:40以上)。また10匹のワクチン接種されたモルモットからの血清プールを、破傷風抗体について試験し、そして4.3抗毒素単位/ml(AU/ml)の値により満足のいくことが示された。
【0250】
モルモットの効力試験が完了し、そして破傷風トキソイド、EEE、VEEおよびWEEを含む4つ全ての抗原について満足のいくことが判明した。
【0251】
ワクチンをまた、一次免疫を介してウマ(20頭のワクチン接種および20頭の対照)に投与し、次いで3週間後にブースター免疫化を行なった。ブースターワクチン接種から14日後に、ウマを出血させ、そして血清を全ての血清学的試験のために回収した。脳脊髄炎抗原に対するウマ科の応答を、24ウェルプレート中の2つの希釈率(0日目の試料については1:2および1:10、そして35日目の試料については1:10および1:40)を使用して試験し、抗体力価を決定した。
【0252】
満足のいくモルモット効力試験は、結論的に、9つの抗原を含むワクチン−トキソイドとしてのウエストナイルウイルス組合せワクチン中の4つの抗原(VEE、EEE、WEEおよび破傷風トキソイド)の効力を確立する。さらに、満足のいく効力の結果が、宿主動物ウマ血清学データによって実証および確認され、この中でワクチン接種ウマは、ワクチン接種後に各脳脊髄炎ウイルス画分に対する力価の実質的な上昇を実証した。さらに、あらゆるワクチン接種ウマまたはモルモットにおけるあらゆる有害反応が観察されかったことは、動物におけるWNV組合せワクチンの安全性を確認する。
【0253】
実施例8
本実施例は、本発明によるワクチンまたは免疫原性組成物が、少なくとも1年間の免疫持続時間を有することを説明する。
【0254】
材料および方法
宿主動物のワクチン接種およびブースターワクチン接種から少なくとも1年後におけるチャレンジを使用して、ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)と称された北米優性WNV単離株から調製された脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン、東部、西部およびベネズエラの死滅ウイルス、破傷風トキソイドにおけるウエストナイルウイルス抗原画分に対する免疫持続時間を確認した。
【0255】
【表21】
【0256】
4〜5カ月齢の30頭のウマ(20頭のワクチン接種および10頭の対照)を本研究において使用した。ウマを、2つの処置群の1つに無作為に割り当て、そして1.0mLの用量の割り当てられたワクチンまたは対照製品を用いて筋肉内(IM)にワクチン接種した。一次免疫の3週間後に1.0mLのIMのブースターワクチン接種を行なった。
【0257】
ウマを1回ワクチン接種し、その後、約30日後に再度ワクチン接種した。ウマをワクチン群または対照群のいずれかに無作為に割り当てた。20頭のウマが、VEWT/WNV/EHV−1/インフルエンザワクチンを受けるワクチン群を受けた。10頭のウマが、ワクチンに使用された賦形剤(ゲンタマイシンおよびホルムアルデヒド)を含むが全く抗原を含まない、アジュバント化DMEMを受けた。全ての投与に使用される代謝不可能な油アジュバントは、好ましくは、鉱物油であった。
【0258】
病原性異種WNV NY99株ウイルス株のチャレンジ接種を、ブースターワクチン接種から380日後に行なった。第二ウマ集団を、同じようにブースター接種から408日後にチャンレジした。
【0259】
血清学的評価のための血清試料を、初回ワクチン接種前、初回用量のワクチン接種後の21日目(ブースターワクチン接種日)、ブースターの1カ月後、チャレンジ日、並びにチャレンジ後の7および14日目にワクチン接種ウマおよび対照ウマから回収した。体温および血清試料を、各ウマから、チャレンジ日に、チャレンジ後の1日目から6日目に1日2回、およびチャレンジ後7〜10日目の毎日および14日目に得た。臨床データもまた、15日間の観察期間中のそのような同じ期間の間に記録した。
【0260】
WNV NY99と称される異種チャレンジウイルスは、感染カラスの脳から最初に単離された(CDC, Ft. Collins, CO)。チャレンジ日に、ストックウイルスを氷上で解凍し、そしてウイルスをウマへの接種直前にリン酸緩衝食塩水中で所望の濃度まで希釈した。
【0261】
直腸温度を、較正された電子体温計(GSA Electronics)プローブを用いて、チャレンジ日前日、チャレンジ日、およびチャレンジ後1〜14日目に1日2回、その後、チャレンジ後14〜21日目に毎日、ワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々について記録した。毎日の直腸温度を、華氏温度(°F)で記録した。
【0262】
ワクチン接種ウマおよび対照ウマの各々からの静脈血を、チャレンジ日、チャレンジ後1〜6日目に1日2回、並びにチャレンジ後7〜10日目の毎日および14日目にバキュテナーによってSSTチューブ中に回収した。遠心分離後、血清をアリコート化し、そして直ちに凍結した。
【0263】
Vero細胞を6ウェルプレートにおいて集密となるまで成長させた。プラークアッセイを実施するために、血清の連続10倍希釈液を96ウェルプレート中において、BA−1培地(50mMトリス(pH7.6)中に1%BSA、250mg/L重炭酸ナトリウム、50μlのゲンタマイシンおよび2.5μgのアムホテリシンB/mLを含むMEM塩)中で調製した。血清希釈液(0.1mL)を6ウェルプレートの各ウェルに接種し、そして15分毎に振とうしながら45〜60分間インキュベーションした。インキュベーション期間後、2mLのオーバーレイ(正常濃度の2倍で調製され、そして4%FBS、200IUのペニシリンG/mLおよび100μgのストレプトマイシン/mLの補充されたフェノールレッドを含まないMEMを含む2×培地−45℃まで加温)を各ウェルに加えた。プレートを37℃でインキュベーションした。
【0264】
接種の2日後、等容量の2×培地と2×アガロースとを混合することによって調製された2×アガロースを含む2mLの第二オーバーレイを各ウェルに加えた。プレートを検査し、そして各ウェル中のプラーク数を、接種後3、4および5日目に記録した。最初の材料1mLあたりのウイルス力価は、1つのウェル中のプラーク数(または同じ希釈率で接種した複数のウェルの平均)×計測するウェルについての希釈率×10として計算される。
【0265】
標準的なマイクロタイター血清中和試験を本研究において使用した。全血清を、滅菌された平底96ウェルマイクロタイタープレート中で、1希釈につき5つのウェルおよび5つの試験ウェルの各々について8つのウェルの希釈シリーズを使用して試験した。5つの試験ウェルの各々は、25μLの指標ウイルスと、約4×104個の細胞を含む150μLの新たに蒔いたVero細胞懸濁液とが混合された、25μLの血清希釈液を含んだ。使用した試験指標ウイルスは、WNV NY99であった。血清中和抗体力価は、Reed-MuenchID50力価として表現する。
【0266】
試験の実行のために、各試験血清の2倍希釈液を、1つの試験血清あたり5つの複製ウェルおよび8つのウェルの希釈シリーズを使用して、滅菌された平底マイクロタイタープレート中で作製した。希釈は、滅菌マイクロタイターチップを使用して、容量の調整可能なシングルまたはマルチチャンネルピペッティング装置を用いて作製した。第一横列の5つのウェルの各々に添加された血清の容量は50μLであった。全ての他のウェルは25μlのDMEM(FBSを全く含まない)を含んだ。プレートの下へと連続希釈した後、25μLを最後の横列から廃棄した。25μLの指標ウイルスの予め決定された希釈液を、各試験ウェルに添加した。その後、プレートを混合し、そして1時間37℃で5%CO2中でインキュベーションした。インキュベーション期間の終了時に、4×104個のVero細胞を含む150μLの懸濁液を、各試験ウェルおよび細胞対照ウェルに添加した。プレートを37℃でCO2インキュベーター中で5〜7日間インキュベーションし、その時点でプレートをWNVに典型的なCPEについて顕微鏡により検査した。
【0267】
組織病理は、米認定獣医病理学者によって評価された。脳橋または髄質における欠陥の記載に使用したスコア化システムは以下の通りであった:
【0268】
スコア:
0=切片における有意な病変無し
0.5=実質全体に散在する稀で小さな多巣性のグリア小結節
1=軽度で非化膿性の脳炎。これは、リンパ球および形質細胞および稀な好中球を含む軽度な多巣性囲管性細胞浸潤、並びにグリア細胞といくつかの単核炎症細胞とを含む散在した多巣性グリア結節によって特徴付けられる。時折、この等級内で、最小の囲管性細胞浸潤およびより中等度の散在したグリア結節が存在し得る。
2=多くの血管の周囲の中等度のリンパ形質細胞性の囲管性細胞浸潤および実質全体に散在したグリア結節の多巣性蓄積によって特徴付けられる中等度の非化膿性脳炎。
3=実質全体におよぶ複数の散在したグリア結節を含む重度で厚いリンパ形質細胞性の囲管性細胞浸潤によって特徴付けられる重度の非化膿性脳炎。
【0269】
結果および考察
いずれの投与時点においてもワクチン投与に対する有害な反応は全くなかった。実験ワクチンを受けた4〜5カ月齢の全ての仔ウマが、研究において全身性または注射部位における有害反応がなかった。これは、NAEE159単離株から調製された北米優性WNV抗原を含むWNVに対する本発明のワクチンの優れた安全性を確認する。
【0270】
異種ウエストナイルウイルスを用いてのウマへのチャレンジ
【0271】
ウイルス血症
10頭の各々の対照ウマ(100%)が、チャレンジ後少なくとも1日間はウイルス血症性であり、一方、WNVワクチン群における20頭中僅か2頭(10%)のウマがウイルス血症性であった。
【0272】
臨床兆候
対照群における10頭中7頭(70%)のウマが、ウエストナイルウイルス感染に一致した脳脊髄炎の兆候を発達させた。これらの各動物は、チャレンジ期間中少なくとも1日間はウイルス血症性であった。WNVワクチン群において、20頭中1頭(5%)のウマが、ウエストナイルウイルス感染に一致した兆候を発達させた。顕著には臨床兆候は、対照の70%およびワクチン接種の僅か5%において死亡または安楽死へと進行した。全ての対照の死亡はウイルス血症であり、WNVに因る致命的な脳炎と確認され、一方、死亡した2頭中1頭のみのワクチン接種動物がチャレンジ期間中にウイルス血症性であった。
【0273】
血清中和力価
全てのワクチン接種ウマが、ワクチン接種後に防御レベルの血清中和(SN)抗体を発達させることによってWNVワクチンに好ましく応答した。ワクチン接種後の1年間におよび、20頭中17頭(85%)のワクチン接種ウマが防御的SN力価を維持した。これに対し、対照ウマはいずれも、病原性WNVチャレンジ前にSN力価の上昇を発達させなかった。また、全てのワクチン接種ウマが、病原性WNVチャレンジ後にSN力価の既往の上昇を示した。
【0274】
組織病理
重度のスコアが、髄質および脳橋の両方について提供された。またこの効力パラメーターに関して、NAEE159単離株から調製された北米優性WNV抗原を含むWNVワクチンが非常に効果的であると証明された。対照ウマの中で、50%が、WNV脳炎の重度病変を示したが、一方、ワクチン接種の僅か10%が同じように罹患した。
【0275】
考察および結論
WNVワクチンは、特異的な優性WNV遺伝子型が出現した北米流行期中の2005年にウマから得られたウイルス単離株(ノース・アメリカン・イークワインE159)から調製された。この遺伝子型は、ウイルスのエンベロープ(E)タンパク質中の159番目のアミノ酸における特異的なバリンからアラニンへのアミノ酸変化によって特徴付けられ(ATCCアクセッションナンバーAF196835を有するWNV−NY99単離株について公共的に入手可能な配列と比較した場合)、この変化は全てのこのような単離株をより頑強にそして多産性とし、これは、他のWNV単離株を置き換え、そしてこの遺伝子型を、北米において疾患を引き起こすWNV単離株の中で優性なものとさせた。それは優性遺伝子型から調製されたので、本研究において使用したワクチンは、このEタンパク質プロファイルおよび結果として生じる多産生を有する全てのこのような北米優性単離株から調製されたワクチンを用いて達成可能な独特な安全性および効力を示す。顕著には、全ての以前に試験したWNVワクチンは、異なる遺伝子型および異なるEタンパク質アミノ酸配列を有するより多産性の低い単離株、すなわちWNV NY99から調製されていた。核酸配列、Eタンパク質アミノ酸配列、ウイルス多産性、および流行を引き起こす独特な能力におけるこの差異に基づいて、北米優性単離株は、環境からNY99にとって代わりつつあるかまたはとって代わった。独特な遺伝子型および表現型(多産性)、および最も重要には、北米優性WNV単離株の圧倒的な環境中での存在およびWNV NY99の不在が、北米優性ウエストナイルウイルスワクチンの優位性についての説得力のある証拠である。このような優位性は、北米優性単離株のノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)から調製されたワクチンを使用するこのチャレンジ研究において実証されたような、ワクチンの安全性および効力によって確認される。
【0276】
本研究において、4〜5カ月齢のウマに、NAEE159c単離株(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)から調製された北米優性WNV抗原であるWNV成分を含む適切な抗原量で1回分にまとめられた多成分VEWT/WNV/EHV−1ウマ科インフルエンザワクチンを用いて安全かつ効果的にワクチン接種した。
【0277】
研究ウマを、ブースターワクチン接種から少なくとも380日後に105PFUの病原性異種ウエストナイルウイルス株を用いてクモ膜下腔内にチャレンジした。ウマを、臨床兆候(温度および死亡率を含む)、ウイルス血症、血清中和力価、並びに安楽死および部検後に採取した脳橋および髄質の切片からの組織病理スコアについてチャレンジ後14日間評価した。
【0278】
チャレンジ後のウイルス血症および血清中和力価は、ワクチン効力の非常に指標となる、本研究における重要な成績変数であった。VEWT/WNV/EHV−1/インフルエンザ・ロット916を用いて1年以上前にワクチン接種されていたウマは、本研究においてチャレンジ後にウイルス血症から90%防御された。比較すると、対照ウマの100%が、チャレンジ後にウイルス血症を示した。さらに、ワクチン接種ウマの血清中和力価は、チャレンジ後14日目において対照ウマのそれよりも有意に高く、そして異種の病原性WNVチャレンジ後に効果的なワクチンに典型的な既往の応答を示した。
【0279】
さらに、NAEE159単離株から調製された北米優性WNV抗原を含むワクチンは、病原性WNVを用いての異種チャレンジ後に脳脊髄炎から生じる臨床兆候および死亡率を減少させた。ワクチン接種の少なくとも1年後のワクチン効力はまた、WNV感染に典型的な病変の減少によっても確認された。
【0280】
本研究は、4〜5カ月齢の仔ウマに投与されたNAEE159単離株から調製された北米優性WNV抗原を含む適切な抗原用量で調製された、2用量の実験組合せワクチンが、安全に、確実にそして効果的に、ウエストナイルウイルスを用いての病原性異種チャレンジ後にウイルス血症、臨床兆候、死亡率および脳炎病変からの防御を伴う少なくとも1年間の免疫持続時間をもたらす、防御的で血清学的な血清中和力価を刺激したことを初めて実証した。
【0281】
実施例9
本研究において、組合せワクチンを、北米優性WNV単離株であるノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)を使用して調製した。この脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン、東部、西部およびベネズエラの死滅ウイルス、破傷風トキソイドを用いてワクチン接種されたモルモットからの2回目のワクチン接種から14日後の血清試料を回収し、そしてウエストナイルウイルスプラーク減少中和(PRN)について試験した。ワクチン接種モルモットからの血清を、北米優性WNV単離株およびWNV NY99単離株の両方に対する中和抗体について試験した。顕著には、ワクチンは、NY99WNVとは逆に、北米優性WNVに対する中和抗体の刺激において優れた活性を示した。これらのデータは、NY99WNV単離株からまたはそれに基づいて調製されたより初期の効果のより低いワクチンとは対照的な、北米優性WNV単離株から調製されたWNVワクチンの優れた効力の結論を支持する。
【0282】
さらに、追加の北米優性WNV単離株のノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)から調製されたワクチンは、同じように、前記したように、以前のNY99に基づいたワクチンを超えるこのようなワクチンの優れた効力を実証する。従って、独特な北米区域を起源とする様々な宿主種から培養され、そして北米の様々な時期に得られた複数の北米優性単離株からのデータは、ワクチン調製のための北米優性WNV単離株の意外であるが優れた効力を確認するだろう。
【0283】
プラーク減少中和アッセイからのデータはまた、ワクチン接種モルモットにおいて1:12以上の力価を刺激し、ワクチン接種モルモットの少なくとも90%において50%のウイルスプラーク減少を提供する、北米優性WNV単離株から調製されたワクチンが、ウマにおけるWNVチャレンジに対するワクチン防御に相関し、そして少なくとも1年間の免疫持続時間を提供することを確立した。1用量あたり107.6−9.0TCID50以上の用量の抗原封入レベルにおけるウマにおけるウエストナイルウイルスワクチン接種/チャレンジデータは、これらのモルモットのPRN力価結果に相関し、そしてウマにおける1年間以上の免疫持続時間を提供するWNV免疫化用量を確認した。モルモットにおける対応する用量はまた、モルモットにおいて北米優性WNVに対して少なくとも1:12の力価まで血清中和抗体を刺激する。
【0284】
本報告において提示されたデータは、総合的に、北米優性WNV単離株から調製されたワクチンの意外な効力を実証し、ウマおよびモルモットの血清中和抗体レベルにおけるワクチン効力間の相関を規定し、モルモットにおける1:12以上の力価が、少なくとも1年間の免疫持続時間を与える効果的なウマ科ワクチンを同定することを確認し、そして極めて顕著には、NY99WNVとは対照的な、北米優性WNVから調製されたワクチンの優れた効力を実証する。
【0285】
材料および方法
脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン、東部、西部およびベネズエラの死滅ウイルス、破傷風トキソイドにおいて、北米優性WNV単離株であるノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)を使用して調製された、ウエストナイルウイルス抗原の効力を実証するために、そしてウマまたはモルモットにおいて測定可能な有効量を確立するために、宿主動物のワクチン接種/チャレンジ研究を、モルモットワクチン接種/血清学研究と共に行なった。本研究において、脳脊髄炎−鼻腔肺炎−インフルエンザ−ウエストナイルウイルスワクチン、東部、西部およびベネズエラの死滅ウイルス、破傷風トキソイドを用いてワクチン接種されたモルモットからの2回目のワクチン接種から14日後の血清試料を回収し、そして試験した。さらに、プラーク減少中和アッセイを展開して、宿主動物におけるチャレンジに対する防御に相関した力価を測定した。この力価は、モルモットにおいて1:12以上と決定された。
【0286】
ワクチン製剤
実験用シリアル(防御用量のワクチン)
実験シリアルを調合して、ワクチン中の全ての抗原についての防御的な抗原の規格を確認した。
【0287】
【表22】
【0288】
実験シリアル916を、宿主動物のワクチン接種研究のために調合した。実験シリアル916は、VEWT−WNV−EHV−1および3株のウマ科A2型インフルエンザウイルスを含む、多成分ワクチンである。実験シリアル916は、107.6−9.2TCID50/mLのウエストナイルウイルス抗原のノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)で1回分にまとめらている。それは、ウマにおける1mL用量のワクチンである。
【0289】
このワクチンはまた、宿主動物へのワクチン接種時にモルモットにおいて試験され、WNV効力および実験動物の効能を確認した。4回反復するモルモット血清希釈実験を、実験シリアル916について行ない、この1年間の免疫持続時間(DOI、duration of immunity)のワクチンについてのモルモットのアッセイ基準を検証した。
【0290】
実験シリアル507(比較効力シリアル)
実験シリアル507からのデータが本報告に含められ、北米優性WNV抗原単離株を用いて調合されたシリアルは、より初期のNY99単離株と比較して、関連する北米優性WNV単離株の優れた効力(モルモット力価として測定された)を示すことを実証する。
【0291】
モルモットの血清学的評価
血清を、以下のようにWNV抗体について試験した:
1)ウエストナイルウイルス指標株:ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)およびノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)
2)Vero細胞のための成長培地は、DMEM+5%FBS、2mMのL−グルタミンおよび30μg/mLのゲンタマイシンである
3)試験血清のための希釈剤は、DMEM+30μg/mLのゲンタマイシンである。
4)指標ウイルスワーキング溶液のための希釈剤は、DMEM+10%の正常なモルモット血清である(WNVアッセイに特異的)
5)モルモット試験血清を1:12に希釈する
7)3mLの代わりに4mLのオーバーレイを使用する(WNVアッセイに特異的)
8)力価を50%プラーク減少を使用して計算する
9)10匹中9匹のワクチン接種モルモットが、効力を実証するためには1:12以上の抗体力価を有さなければならず、そして陰性モルモットは、1:4未満でなければならない(SAMにおけるVEEアッセイと同じ基準)
【0292】
結果および考察
ウエストナイルウイルスについての血清学的評価
ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)を指標ウイルスとして使用した実験シリアル916反復Iウエストナイルモルモットのプラーク減少中和結果
【0293】
研究を開始し、そしてモルモットを25日後に出血させた。
【0294】
【表23】
【0295】
【表24】
【0296】
【表25】
【0297】
【表26】
【0298】
実験シリアル507(これはノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)ワクチンの優れた効力を実証し、そしてノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)などの他の北米優性ワクチンはNY99ワクチンよりも優れた効力を提供するだろう)
ウエストナイルウイルスについてのモルモットの血清学的評価
【0299】
【表27】
【0300】
【表28】
【0301】
考察および結論
モルモットをワクチン接種し、そして血清をウエストナイルウイルス抗体について試験した。このアッセイは、ワクチン接種モルモットにおける1:12の力価が、ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)などの北米優性WNV単離株を使用して調製したWNVワクチンについて少なくとも1年間の免疫持続時間を提供するウマワクチン接種/チャレンジ研究における防御に相関することを確立した。
【0302】
モルモットワクチン接種と同時に、北米優性WNV単離株であるノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)を使用して調製したWNVワクチンもまた、一次免疫を介してウマ(20頭のワクチン接種および10頭の対照)に投与し、その後、3週間後にブースター免疫化した。ブースターワクチン接種から1年以上後に、ウマを病原性ウエストナイルウイルスチャレンジにかけ、そしてワクチン接種されていない対照と比較した場合に防御された。ワクチン接種ウマは、ウエストナイルウイルスを用いての病原性異種チャレンジ後に、ウイルス血症、臨床兆候、死亡、および脳炎病変から防御された。
【0303】
さらに、データは、WNV NY99に由来する以前に開発されたワクチンとは逆の、北米優性WNVを使用して調製したWNVワクチンの優れた効力を実証する。ワクチン接種モルモットからの血清を、北米優性WNV単離株およびWNV NY99単離株の両方に対する中和抗体について試験した。北米に頻繁に存在する単離株、すなわち北米優性単離株(NAEE159)に対する力価は、北米においてもはや存在しないかまたは疾患を引き起こさないと報告されている単離株であるWNV NY99に対する力価と比較して、ワクチン接種モルモットにおいて一貫してより高かった。従って、ワクチンは、NY99 WNVとは逆の、北米優性WNVに対する中和抗体を刺激する上で優れた活性を示した。これらのデータは、NY99 WNV単離株からまたはそれに基づいて調製されたより初期のより効果の低いワクチンとは対照的な、北米優性WNV単離株から調製されたWNVワクチンの優れた効力の結論を支持する。
【0304】
実施例10
本実施例は、本発明に使用したような、北米WNV株と北米優性WNV株との間の遺伝子的差異を説明する。
【0305】
材料および方法
新規で優れたワクチンの調製に適したWNV NY99単離株および北米優性WNV単離株のゲノムの関連領域をシークエンスし、そして比較して重要な遺伝子的差異を確認した。ワクチン調製物に使用された北米優性単離株の例は、ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)(ATCCアクセッションナンバーPTA−9409)およびノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)を含む。
【0306】
結果および結論
これらのWNV単離株における非常に重要なエンベロープ(E)タンパク質および非構造5(NS5)タンパク質を、標準的な実験技術を使用してシークエンスし、WNV NY99とは対照的なヌクレオチド配列中の遺伝子的差異を決定した。顕著には、北米優性単離株(その具体例は、ノース・アメリカン・イークワインE159(NAEE159)およびノース・アメリカン・ドンキーE159(NADE159)である)は、北米優性WNV単離株を特徴付け、そしてそれらをNY99 WNVから区別する変化、すなわち、Eタンパク質をコードするヌクレオチド配列中のそれぞれ1442位および2466位におけるUからCへの突然変異およびCからUへの突然変異、並びにNS5タンパク質をコードする配列中の9352位におけるCからUへの突然変異を示した。図10〜17は、単離株の様々な領域の配列アラインメントを示す。E領域におけるアラインメントは、NY99単離株(AY590210としてGenBankに寄託)およびAY590223としてGenBankに寄託された北米優性単離株(WN02単離株)についての公共的に入手可能な参照配列に関する。NS5領域におけるアラインメントはまた、NY99単離株(AY369442としてGenBankに寄託)およびAY369440としてGenBankに寄託された北米優性単離株(WN02単離株)についての公共的に入手可能な参照配列に関する。これらのアラインメントによって示されるように、北米優性WNV単離株は、北米優性WNV単離株についての定義において定義された配列変化と同じ、NY99単離株に対する配列変化を有する。これらの配列は、本明細書において配列番号1〜22として提供され、WN99単離株の全長ゲノムは配列番号23として提供され、そして配列番号23の全長ゲノムによってコードされるタンパク質は配列番号24として提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の死滅もしくは不活性化ウエストナイルウイルス株またはその任意の抗原を含む免疫原性組成物。
【請求項2】
前記免疫原性組成物が、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルスおよびベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルス、破傷風トキソイド、およびその組合せからなる群より選択される1つ以上の追加の株の少なくとも1つの抗原をさらに含む、請求項1記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記免疫原性組成物が、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルスおよびベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルス、破傷風トキソイド、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加の株を含む、請求項1または2記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記免疫原性組成物が、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルスおよび破傷風トキソイドの1つ以上の株を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記免疫原性組成物が、ウマ科ヘルペスイルスの少なくとも1つの抗原または1つの追加の株を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記免疫原性組成物が、ウマ科ヘルペスイルスの少なくとも1つの追加の株を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記免疫原性組成物が、ウマ科インフルエンザウイルスの少なくとも1つの抗原または1つの追加の株を含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
前記免疫原性組成物が、ウマ科インフルエンザウイルスの少なくとも1つの追加の株を含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
前記免疫原性組成物が、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルス、ウマ科インフルエンザウイルス、ウマ科ヘルペスイルスおよび破傷風トキソイドの1つ以上の株を含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記ウエストナイルウイルスが、北米分離株である、請求項1〜9のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記ウエストナイルウイルスが、北米優性単離株である、請求項1〜10のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記ウエストナイルウイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9409の下で寄託されたウマ起源2005;アクセッションナンバー405330の下で米農務省単離株に寄託されたNAEE159;NY2002ナッソー;NY2002クリントン;NY2002クイーンズ;GA20021;GA20022;TX20021;TX20022;IN2002;NY2003アルバニー;NY2003サフォーク;NY2003シャトークア;CO20031;CO20032;TX2003;TX2003ハリス4;TX2003ハリス6;TX2003ハリス7;TX2003ハリス10;AZ2004;TX2004ハリス4;およびその組合せからなる群より選択される株の1つである、請求項1〜11のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
前記西部ウマ科脳脊髄炎ウイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9410の下で寄託された株である、請求項1〜12のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
前記ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9411の下で寄託された株である、請求項1〜13のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
前記東部ウマ科脳脊髄炎ウイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9412の下で寄託された株である、請求項1〜14のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
前記ウマ科ヘルペスイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9525またはPTA−9526の下で寄託された株およびその組合せからなる群より選択される、請求項6〜15のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
前記ウマ科インフルエンザウイルスが、インフルエンザ/イークワイン−2/オハイオ/03、インフルエンザ/イークワイン−2/KY/95、インフルエンザ/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93、およびその組合せからなる群より選択される、請求項7〜16のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
前記ウマ科インフルエンザウイルスが、インフルエンザ/イークワイン−2/オハイオ/03、インフルエンザ/イークワイン−2/KY/95、およびインフルエンザ/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93である、請求項7〜17のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
前記ウマ科インフルエンザウイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9522、PTA−9523またはPTA−9524で寄託された株およびその組合せからなる群より選択される、請求項7〜18のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
前記株のいずれかが、1用量あたり約102.0TCID50/mL〜1010.0TCID50/mLの量で存在する、請求項1〜19のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
前記免疫原性組成物が、適切な賦形剤または薬学的担体をさらに含む、請求項1〜20のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項22】
前記の適切な賦形剤または薬学的担体が、希釈剤、アジュバント、抗微生物剤、不活性化剤、およびその組合せからなる群より選択される、請求項21記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
前記アジュバントが、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマー、代謝されない油、およびその組合せからなる群より選択される、請求項21または22記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
前記組成物が、ウマ科に投与される、請求項1〜23のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
前記免疫原性組成物が、1以上の用量で投与される、請求項1〜24のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
前記免疫原性組成物の1用量が、0.5mlから2.5mlで調合される、請求項1〜25のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項27】
前記免疫原性組成物が、1用量の投与後に少なくとも12ヶ月間の免疫持続時間を提供する、請求項1〜26のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項28】
前記免疫原性組成物が、4カ月齢以上の仔ウマまたはウマへの使用に対して安全である、請求項1〜27のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか一項記載の免疫原性組成物をそれを必要とする動物に投与する工程を含む、1匹の動物または動物の群れにおけるウエストナイルウイルスに関連するかまたはそれによって引き起こされる臨床症状の発生率を減少させるかまたはその重症度を低減させるための方法。
【請求項30】
請求項2〜28のいずれか一項記載の免疫原性組成物をそれを必要とする動物に投与する工程を含む、1匹の動物または動物の群れにおけるウエストナイルウイルス、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルスおよびクロストリジウム・テタニからなる群より選択される1つ以上の病原体に関連するかまたはそれによって引き起こされる臨床症状の発生率を減少させるかまたはその重症度を低減させるための方法。
【請求項31】
請求項5〜28のいずれか一項記載の免疫原性組成物をそれを必要とする動物に投与する工程を含む、1匹の動物または動物の群れにおける東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルス、ウマ科ヘルペスイルスおよびクロストリジウム・テタニからなる群より選択される1つ以上の病原体に関連するかまたはそれによって引き起こされる臨床症状の発生率を減少させるかまたはその重症度を低減させるための方法。
【請求項32】
請求項7〜28のいずれか一項記載の免疫原性組成物をそれを必要とする動物に投与する工程を含む、1匹の動物または動物の群れにおけるウエストナイルウイルス、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルス、ウマ科ヘルペスイルス、ウマ科インフルエンザウイルスおよびクロストリジウム・テタニからなる群より選択される1つ以上の病原体に関連するかまたはそれによって引き起こされる臨床症状の発生率を減少させるかまたはその重症度を低減させるための方法。
【請求項33】
動物の群れにおける前記病原体の1つ以上によって引き起こされる臨床症状の発生率が、前記免疫原性組成物を受けていない群れと比較して約10%〜50%減少する、請求項29〜32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
前記免疫原性組成物の少なくとも1用量の投与が、前記の1つ以上の病原体に対して少なくとも12カ月間の免疫持続時間を提供する、請求項29〜33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
前記動物がウマである、請求項29〜34のいずれか一項記載の方法。
【請求項1】
1つ以上の死滅もしくは不活性化ウエストナイルウイルス株またはその任意の抗原を含む免疫原性組成物。
【請求項2】
前記免疫原性組成物が、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルスおよびベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルス、破傷風トキソイド、およびその組合せからなる群より選択される1つ以上の追加の株の少なくとも1つの抗原をさらに含む、請求項1記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記免疫原性組成物が、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルスおよびベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルス、破傷風トキソイド、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つの追加の株を含む、請求項1または2記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記免疫原性組成物が、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルスおよび破傷風トキソイドの1つ以上の株を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記免疫原性組成物が、ウマ科ヘルペスイルスの少なくとも1つの抗原または1つの追加の株を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記免疫原性組成物が、ウマ科ヘルペスイルスの少なくとも1つの追加の株を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記免疫原性組成物が、ウマ科インフルエンザウイルスの少なくとも1つの抗原または1つの追加の株を含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
前記免疫原性組成物が、ウマ科インフルエンザウイルスの少なくとも1つの追加の株を含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
前記免疫原性組成物が、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルス、ウマ科インフルエンザウイルス、ウマ科ヘルペスイルスおよび破傷風トキソイドの1つ以上の株を含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記ウエストナイルウイルスが、北米分離株である、請求項1〜9のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記ウエストナイルウイルスが、北米優性単離株である、請求項1〜10のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記ウエストナイルウイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9409の下で寄託されたウマ起源2005;アクセッションナンバー405330の下で米農務省単離株に寄託されたNAEE159;NY2002ナッソー;NY2002クリントン;NY2002クイーンズ;GA20021;GA20022;TX20021;TX20022;IN2002;NY2003アルバニー;NY2003サフォーク;NY2003シャトークア;CO20031;CO20032;TX2003;TX2003ハリス4;TX2003ハリス6;TX2003ハリス7;TX2003ハリス10;AZ2004;TX2004ハリス4;およびその組合せからなる群より選択される株の1つである、請求項1〜11のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
前記西部ウマ科脳脊髄炎ウイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9410の下で寄託された株である、請求項1〜12のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
前記ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9411の下で寄託された株である、請求項1〜13のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
前記東部ウマ科脳脊髄炎ウイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9412の下で寄託された株である、請求項1〜14のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
前記ウマ科ヘルペスイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9525またはPTA−9526の下で寄託された株およびその組合せからなる群より選択される、請求項6〜15のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
前記ウマ科インフルエンザウイルスが、インフルエンザ/イークワイン−2/オハイオ/03、インフルエンザ/イークワイン−2/KY/95、インフルエンザ/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93、およびその組合せからなる群より選択される、請求項7〜16のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
前記ウマ科インフルエンザウイルスが、インフルエンザ/イークワイン−2/オハイオ/03、インフルエンザ/イークワイン−2/KY/95、およびインフルエンザ/イークワイン−2/ニューマーケット/2/93である、請求項7〜17のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
前記ウマ科インフルエンザウイルスが、ATCCにアクセッションナンバーPTA−9522、PTA−9523またはPTA−9524で寄託された株およびその組合せからなる群より選択される、請求項7〜18のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
前記株のいずれかが、1用量あたり約102.0TCID50/mL〜1010.0TCID50/mLの量で存在する、請求項1〜19のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
前記免疫原性組成物が、適切な賦形剤または薬学的担体をさらに含む、請求項1〜20のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項22】
前記の適切な賦形剤または薬学的担体が、希釈剤、アジュバント、抗微生物剤、不活性化剤、およびその組合せからなる群より選択される、請求項21記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
前記アジュバントが、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマー、代謝されない油、およびその組合せからなる群より選択される、請求項21または22記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
前記組成物が、ウマ科に投与される、請求項1〜23のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
前記免疫原性組成物が、1以上の用量で投与される、請求項1〜24のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
前記免疫原性組成物の1用量が、0.5mlから2.5mlで調合される、請求項1〜25のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項27】
前記免疫原性組成物が、1用量の投与後に少なくとも12ヶ月間の免疫持続時間を提供する、請求項1〜26のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項28】
前記免疫原性組成物が、4カ月齢以上の仔ウマまたはウマへの使用に対して安全である、請求項1〜27のいずれか一項記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか一項記載の免疫原性組成物をそれを必要とする動物に投与する工程を含む、1匹の動物または動物の群れにおけるウエストナイルウイルスに関連するかまたはそれによって引き起こされる臨床症状の発生率を減少させるかまたはその重症度を低減させるための方法。
【請求項30】
請求項2〜28のいずれか一項記載の免疫原性組成物をそれを必要とする動物に投与する工程を含む、1匹の動物または動物の群れにおけるウエストナイルウイルス、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルスおよびクロストリジウム・テタニからなる群より選択される1つ以上の病原体に関連するかまたはそれによって引き起こされる臨床症状の発生率を減少させるかまたはその重症度を低減させるための方法。
【請求項31】
請求項5〜28のいずれか一項記載の免疫原性組成物をそれを必要とする動物に投与する工程を含む、1匹の動物または動物の群れにおける東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルス、ウマ科ヘルペスイルスおよびクロストリジウム・テタニからなる群より選択される1つ以上の病原体に関連するかまたはそれによって引き起こされる臨床症状の発生率を減少させるかまたはその重症度を低減させるための方法。
【請求項32】
請求項7〜28のいずれか一項記載の免疫原性組成物をそれを必要とする動物に投与する工程を含む、1匹の動物または動物の群れにおけるウエストナイルウイルス、東部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、西部ウマ科脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラウマ科脳脊髄炎ウイルス、ウマ科ヘルペスイルス、ウマ科インフルエンザウイルスおよびクロストリジウム・テタニからなる群より選択される1つ以上の病原体に関連するかまたはそれによって引き起こされる臨床症状の発生率を減少させるかまたはその重症度を低減させるための方法。
【請求項33】
動物の群れにおける前記病原体の1つ以上によって引き起こされる臨床症状の発生率が、前記免疫原性組成物を受けていない群れと比較して約10%〜50%減少する、請求項29〜32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
前記免疫原性組成物の少なくとも1用量の投与が、前記の1つ以上の病原体に対して少なくとも12カ月間の免疫持続時間を提供する、請求項29〜33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
前記動物がウマである、請求項29〜34のいずれか一項記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図10I】
【図10J】
【図10K】
【図10L】
【図10M】
【図10N】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図11I】
【図11J】
【図11K】
【図11L】
【図11M】
【図11N】
【図11O】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図12H】
【図12I】
【図12J】
【図12K】
【図12L】
【図12M】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
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【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図13I】
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【図13K】
【図13L】
【図13M】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
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【図14H】
【図14I】
【図14J】
【図14K】
【図14L】
【図14M】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
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【図15E】
【図15F】
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【図15I】
【図15J】
【図15K】
【図15L】
【図15M】
【図15N】
【図15O】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
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【図16I】
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【図16K】
【図17A】
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【図17C】
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【図17F】
【図17G】
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【図17I】
【図17J】
【図17K】
【図17L】
【図17M】
【図17N】
【図17O】
【図17P】
【図17Q】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図10I】
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【図10K】
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【図10M】
【図10N】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
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【図11E】
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【図11I】
【図11J】
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【図11L】
【図11M】
【図11N】
【図11O】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図12H】
【図12I】
【図12J】
【図12K】
【図12L】
【図12M】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図13I】
【図13J】
【図13K】
【図13L】
【図13M】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
【図14F】
【図14G】
【図14H】
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【図14K】
【図14L】
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【図15A】
【図15B】
【図15C】
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【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図15H】
【図15I】
【図15J】
【図15K】
【図15L】
【図15M】
【図15N】
【図15O】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図16H】
【図16I】
【図16J】
【図16K】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
【図17F】
【図17G】
【図17H】
【図17I】
【図17J】
【図17K】
【図17L】
【図17M】
【図17N】
【図17O】
【図17P】
【図17Q】
【公表番号】特表2012−501350(P2012−501350A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525279(P2011−525279)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/055564
【国際公開番号】WO2010/025469
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(503345374)ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/055564
【国際公開番号】WO2010/025469
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(503345374)ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】
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