説明

ウエットティッシュ容器

【課題】ウエットティッシュ容器における容器本体と蓋体との嵌合する部分からの液体の漏れ出しを無くして、ウエットティッシュ容器における容器本体の表面が汚れるといった問題を解消する。
【解決手段】上部を開口し、その内部に切り離して一枚ずつ引き出し可能となるウエットティッシュ30を収納する容器本体1と、この容器本体1の上部に着脱自在に嵌合すると共に、高低差のある傾斜面状の天面板25を備えて、この天面板25にウエットティッシュ30を引き出すための引き出し孔42を設けた蓋体2と、からなるウエットティッシュ容器において、蓋体2の天面板25の内面における引き出し孔42の位置より低い側となる位置を含む引き出し孔42の周囲の位置に、下方に向かうリング状の液体滴下壁50を設けることにより、ウエットティッシュ30に含浸した液体が天面板25の内面に付着し、天面板25の内面を伝わって下方へと流れ出しても、液体滴下壁50によって下方に滴下するようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエットティッシュを内部に収納する容器本体と、この容器本体の上部に着脱自在に嵌合する蓋体とからなり、内部に収納したウエットティッシュを引き出して使用するウエットティッシュ容器に関し、特に、その蓋体において、高低差のある傾斜面状の天面板を備えるようにしたウエットティッシュ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に収納したウエットティッシュを引き出して使用するウエットティッシュ容器にあっては、上部を開口する容器本体の内部に、一枚ずつ切り離し可能となるロール状のウエットティッシュを収納すると共に、この容器本体の上部に蓋体を着脱自在に嵌合し、この蓋体にはその天面板にウエットティッシュを引き出すための引き出し孔を設けていた。
【0003】
このような構成となるウエットティッシュ容器において、近年、そのデザイン性やウエットティッシュ引き出し時の操作性を考慮して、例えば、特開平7−206055号公報に開示されているように、蓋体において、高低差のある傾斜面状の天面板を備えるようにしたウエットティッシュ容器があった。
【0004】
そして、このようなウエットティッシュ容器にあっては、単なる手を拭くためのものから、レンジまわり、電子レンジ、冷蔵庫といったキッチン周辺の汚れを落とすためのもの、さらには、テーブル、イス、タンス等の家具の汚れを落とすためのものといった使用用途の多様化に伴って、内部に収納するウエットティッシュは目付の薄いものから厚いものまで様々であり、特に厚手のものでは1枚当りに水分、アルコール分等の液体を大量に含浸させたものが増えてきた。
【0005】
【特許文献1】特開平7−206055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のウエットティッシュ容器において、内部に収納するウエットティッシュに大量の液体を含浸させたものにあっては、蓋体の天面板に設けた引き出し孔よりウエットティッシュを引き出す際、この引き出し孔によってウエットティッシュが絞られ、ウエットティッシュに含浸させた液体が蓋体の天面板の内面に付着する。そして、蓋体の天面板の内面に付着した液体が天面板の内面を伝わって下方へと流れ出し容器本体と蓋体との嵌合する部分より外部へと漏れ出してウエットティッシュ容器における容器本体の表面が漏れ出した液体によって汚れるといった問題が生じるおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑み、ウエットティッシュ容器における容器本体と蓋体との嵌合する部分からの液体の漏れ出しを無くしてウエットティッシュ容器における容器本体の表面が汚れるといった問題を解消することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上部を開口し、その内部に切り離して一枚ずつ引き出し可能となるウエットティッシュを収納する容器本体と、この容器本体の上部に着脱自在に嵌合すると共に、高低差のある傾斜面状の天面板を備えて、この天板にウエットティッシュを引き出すための引き出し孔を設けた蓋体と、からなるウエットティッシュ容器において、蓋体の天面板の内面における引き出し孔の位置より低い側となる位置に、下方に向かう液体滴下壁を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓋体の天面板の内面における引き出し孔の位置より低い側となる位置に、下方に向かう液体滴下壁を設けたことにより、蓋体の天面板の引き出し孔よりウエットティッシュを引き出す際、この引き出し孔において絞られたウエットティッシュに含浸した液体が天面板の内面に付着し、天面板の内面を伝わって下方へと流れ出しても、この液体が液体滴下壁によって下方に滴下するようになり、これにより、容器本体と蓋体との嵌合する部分に液体が流れるのを防止して、ここからの液体の漏れ出しを無くすことができ、ウエットティッシュ容器における容器本体の表面が汚れるといった問題を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明によるウエットティッシュ容器の一実施形態について説明する。
図1、図2、図3、図4に示しように、ウエットティッシュ容器としては、上部を開口し、その内部にウエットティッシュ30を収納する容器本体1と、この容器本体1の上部に着脱自在に嵌合すると共に、天面板25にウエットティッシュ30を引き出すための引き出し孔42を設けた蓋体2と、から構成する。
【0011】
前記容器本体1は、平らな前面板11及び後面板12、前後中央が膨らんで湾曲した左側面板13及び右側面板14、そして底面板15、をそれぞれ備えて、その上部に蓋体2を嵌合するための凹状嵌合部16を略全周にわたって形成すると共に、上部を円形に開口する。なお、この容器本体1あるいは後述する蓋体2にあっては、このような形状のものに限定されるものではなく、円筒形、四角筒形、多角筒形等の単純な形状のものから動物等の外形を象った複雑な立体形状のもの等、他の形状のものでも良い。また、嵌合方法についても、これに限定されるものではない。
【0012】
そして、この容器本体1の内部に、一定の間隔で切り取り線31を入れて、この切り取り線31に沿って切り離して一枚ずつ引き出し可能となるロール状のウエットティッシュ30を収納する。このウエットティッシュ30には、水やアルカリ電解水等の水分、発酵アルコール等のアルコール分等の液体、さらには界面活性剤や植物エキス、防腐剤等を添加した液体を大量に含浸させている。
【0013】
前記蓋体2は、容器本体1の前面板11、後面板12、左側面板13、右側面板14それぞれに連続するようになる前面板21、後面板22、左側面板23、右側面板24を備え、さらに天面板25を備える。また、天面板25にあっては、前面板21を低く、後面板22を高くすることで、前方に向かって低くなる、すなわち高低差のある若干湾曲した傾斜面状にする。なお、この傾斜面状の天面板25にあっては、湾曲することなく直線の傾斜面でも良い。また、傾斜についても一方向に傾斜するのではなく、多方向わたって傾斜する複雑な傾斜面のものでも良い。
【0014】
そして、この蓋体2の下部には、その内面に容器本体1の凹状嵌合部16に嵌合する凸状嵌合部26を略全周にわたって形成する。この容器本体1の凹状嵌合部16と蓋体2の凸状嵌合部26とにより、蓋体2が容器本体1の上部に着脱自在に嵌合するようになり、これにより、容器本体1の内部に収納するウエットティッシュ30が無くなったら、蓋体2を容器本体1から取り外して、新たなウエットティッシュ30を容器本体1の内部に収納するようにしてウエットティッシュ30の詰め替えを行う。
【0015】
また、図5に示すように、天面板25には、前後に向かって窪み部41を形成して、この窪み部41の中央にウエットティッシュ30を引き出すための引き出し孔42を設ける。この引き出し孔42は小円を有しつつ十字状の切れ目を有したものである。なお、この引き出し孔42にあっては、前述のものに限定されるものではなく、他の形状のものでも良い。
【0016】
そして、この天面板25には引き出し孔42を含む窪み部41全体を覆うようになるカバー43を備え、このカバー43は、その後部において枢着することにより開閉自在となり、さらに、窪み部41の引き出し孔42の周囲に、円形のリング状となる内嵌合片44を設けると共に、カバー43の内側に、窪み部41に設けた内嵌合片44に嵌合する円形のリング状となる外嵌合片45を設けて、この内嵌合片44と外嵌合片45を嵌合することにより、カバー43が天面板25の窪み部41に確実に閉じるようにする。また、このカバー43の前端では、天面板25の窪み部41との間に隙間を形成することにより、カバー43の前端に指が引っ掛かるようにして、カバー43を天面板25の窪み部41より容易に上方に開けることができるようにする。なお、窪み部41、カバー43及び天面板25にあっては、前述のものに限定されるものではなく、例えば、窪み部41を形成することなく、天面板25の上に引き出し孔42を覆うように単にキャップ状のカバー43を備えたもの等、他のものでも良い。また、内嵌合片44についても円形に限らず外嵌合片45としっかり嵌合する形状であれば、他の形状でも良い。さらに、外嵌合片45の内嵌合片44と接する部分よりも内側に、ウエットティッシュ30の乾燥を防ぐためのインナーリングを設けるようにしても良い。
【0017】
このような構成となるウエットティッシュ容器において、蓋体2の天面板25の内面に下方に向かって垂下する液体滴下壁50を設ける。図6に示すように、この液体滴下壁50は、円形のリング状として、天面板25に設けた引き出し孔42の位置より低い側となる位置を含む引き出し孔42の周囲の位置に設けて、この液体滴下壁50によって引き出し孔42の周り全周を囲んでいる。
【0018】
そして、この液体滴下壁50にあっては、その垂下する長さとしては5〜10mm程度とするのが良いが、液体の粘性、含浸量等によって、5mm以下にしても良く、あるいは、10mm以上にする場合もある。要するに、蓋体2の天面板25の内面において、引き出し孔42より天面板25の内面を伝わって下方へ流れてきた液体を、所望の場所に確実に誘導して滴下することができるものであれば良い。
【0019】
また、この液体滴下壁50は、下方に向かって真っ直ぐに垂下するものに限定されるものではなく、下方に向かって多少狭まるように斜めに、あるいは多少広がるように斜めにしたものでも良い。
【0020】
このように蓋体2の天面板25の内面における引き出し孔42の位置より低い側となる位置を含む引き出し孔42の周囲の位置に、下方に向かって垂下する液体滴下壁50を設けたことにより、図7に示すように、ウエットティッシュ30を蓋体2の天面板25の引き出し孔42より引き出す際、この引き出し孔42において絞られたウエットティッシュ30に含浸した液体が天面板25の内面に付着し、天面板25の内面を伝わって下方へと流れ出しても、この液体が液体滴下壁50によって下方に滴下するようになる。そして、滴下した液体は、容器本体1の内部に収納したウエットティッシュ30に再び含浸するようになっている。これにより、容器本体1と蓋体2との嵌合する部分に液体が流れるのを防止して、ここからの液体の漏れ出しを無くすことができる。
【0021】
また、この蓋体2において、傾斜面状の天面板25における傾斜角が小さい、すなわち高低差が少ない天面板25にした場合、ウエットティッシュ30に含浸させた水等の液体が天面板25の内面を下方へと流れ出すことなく引き出し孔42の周囲に付着したままとなることがある。このため、ウエットティッシュ30の詰め替えを行う際、天面板25の内面に付着した液体が蓋体2の取り外し時の勢いによって周りに飛び散ってしまうといった問題が生じるおそれがあったが、蓋体2の天面板25の内面における引き出し孔42の周囲の位置に全周にわたって液体滴下壁50を設けたことにより、天面板25の内面に付着した液体が液体滴下壁50によって周りに飛び散るのを防ぐことができ、ウエットティッシュ30の詰め替え作業おいて、使用者の手が濡れてしまうといった問題も無くすことができる。
【0022】
次に、蓋体2の天面板25の内面に設けた液体滴下壁50の別の例について述べる。
別の例としては、図8に示すように、天面板25に設けた引き出し孔42の位置より低い側となる位置に、円形の半リング状となる液体滴下壁50を設けて、引き出し孔42の位置より高い側となる位置には液体滴下壁50を設けないようにする。これによっても、引き出し孔42において絞られたウエットティッシュ30に含浸した液体が天面板25の内面に付着し、天面板25の内面を伝わって下方へと流れ出しても、この液体を液体滴下壁50によって下方に滴下させることができる。
【0023】
また、別の例としては、図9に示すように、天面板25に設けた引き出し孔42の位置より低い側となる位置に、V字状となる液体滴下壁50を設ける。これによっても、引き出し孔42において絞られたウエットティッシュ30に含浸した液体が天面板25の内面に付着し、天面板25の内面を伝わって下方へと流れ出しても、この液体を液体滴下壁50によって下方に滴下させることができる。なお、蓋体2において傾斜面状の天面板25における傾斜角が小さい場合等は、このV字状となる液体滴下壁50におけるV字の角度を小さくすることによって液体滴下壁50の端部を引き出し孔42の左右横の際に設けるようにして、ウエットティッシュ30の詰め替えを行う際、天面板25の内面に付着した液体が液体滴下壁50によって周りに飛び散るのを極力無くすようにしても良い。
【0024】
さらに、別の例としては、図10に示すように、一つの連続した液体滴下壁50にするのではなく、これを複数に分けて、例えば、左右の液体滴下壁50a,50bと前側の液体滴下壁50cの三つに分けて、この三つの液体滴下壁50a,50b,50cを、少なくとも天面板25に設けた引き出し孔42の位置より低い側となる位置に設ける。このとき、左右の液体滴下壁50a,50bにあっては、引き出し孔42の左右横の際に設けるようにする。これによって、引き出し孔42において絞られたウエットティッシュ30に含浸した液体が天面板25の内面に付着し、天面板25の内面を伝わって下方へと流れ出しても、この液体を三つの液体滴下壁50a,50b,50cによって下方に滴下させることができると共に、さらにウエットティッシュ30の詰め替えを行う際、天面板25の内面に付着した液体が左右の液体滴下壁50a,50b等によって周りに飛び散るのを極力無くすこともできる。
【0025】
なお、この液体滴下壁50にあっては、前述した例に限定されるものではなく、天面板25の内面を伝わって下方へ流れてきた液体を、この液体滴下壁50によって確実に滴下することができるものであれば、どのような形状のものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のウエットティッシュ容器の側面図である。
【図2】本発明のウエットティッシュ容器の上面図である。
【図3】本発明のウエットティッシュ容器の斜視図である。
【図4】本発明のウエットティッシュ容器の断面図である。
【図5】本発明のウエットティッシュ容器における蓋体の斜視図である。
【図6】本発明のウエットティッシュ容器における蓋体を下方から見た下面図である。
【図7】本発明のウエットティッシュ容器における作用状態を示す説明図である。
【図8】本発明のウエットティッシュ容器における別の例の蓋体を下方から見た下面図である。
【図9】本発明のウエットティッシュ容器における別の例の蓋体を下方から見た下面図である。
【図10】本発明のウエットティッシュ容器における別の例の蓋体を下方から見た下面図である。
【符号の説明】
【0027】
1…容器本体、2…蓋体、11…前面板、12…後面板、13…左側面板、14…右側面板、15…底面板、16…凹状嵌合部、21…前面板、22…後面板、23…左側面板、24…右側面板、25…天面板、26…凸状嵌合部、30…ウエットティッシュ、31…切り取り線、41…窪み部、42…引き出し孔、43…カバー、44…内嵌合片、45…外嵌合片、50…液体滴下壁、50a…液体滴下壁、50b…液体滴下壁、50c…液体滴下壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部を開口し、その内部に切り離して一枚ずつ引き出し可能となるウエットティッシュ30を収納する容器本体1と、この容器本体1の上部に着脱自在に嵌合すると共に、高低差のある傾斜面状の天面板25を備えて、この天面板25にウエットティッシュ30を引き出すための引き出し孔42を設けた蓋体2と、からなるウエットティッシュ容器において、
前記蓋体2の天面板25の内面における引き出し孔42の位置より低い側となる位置に、下方に向かう液体滴下壁50を設けたことを特徴とするウエットティッシュ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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