説明

ウエハ温度シミュレーション装置、ウエハ温度シミュレーション方法及びそのプログラム

【課題】ウエハ面内の温度分布を時系列にシミュレーションすることができる装置を提供する。
【解決手段】ウエハ温度シミュレーション装置は、素子部被覆率計算部32と、実効放射率計算部33と、モデル作成部34と、熱拡散方程式解法部35とを具備する。素子部被覆率計算部32は、素子領域を有するウエハのレイアウトデータに基づき、ウエハ材料の拡散長を超えない長さに分割された複数の領域の各々毎に、当該領域に占める素子領域の割合を示す被覆率を算出する。実効放射率計算部33は、領域毎に、被覆率と設定された素子領域の放射率及び素子分離領域の放射率とに基づき、実効放射率を求める。モデル作成部34は、ウエハ表面に実効放射率を、ランプに温度の時間変化及び放射率を設定したモデルを作成する。熱拡散方程式解法部35は、モデルに基づき、ランプ加熱工程でのウエハ表面の過渡熱拡散を計算しウエハの温度分布を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ温度シミュレーション装置、ウエハ温度シミュレーション方法及びそのプログラムに関し、特に半導体ウエハの熱処理工程におけるウエハ温度をシミュレーションするウエハ温度シミュレーション装置、ウエハ温度シミュレーション方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスにおいて、半導体ウエハを熱処理することが知られている。例えば、ソース/ドレイン用の拡散層形成工程では、不純物イオン注入工程後に、半導体ウエハを熱処理する場合がある。その熱処理方法としては、例えば、高速昇温ランプアニール(RTA;Rapid Thermal Annealing)を用いる方法が知られている。このような熱処理では、半導体ウエハの面内温度分布ができるだけ均一であることが望ましい。
【0003】
RTAによる半導体ウエハの温度分布の解析が、非特許文献1(E.H.A.Granneman,et al.,“3D Pattern Effects in RTA Radiative vs Conductive Heating”,ECS Transactions,Vol.3,Issue2,PP.85−96,2006)に開示されている。この文献では、RTAを用いたシリコン基板の熱処理における3次元パターン(主に凹凸)の影響を、理論的及び実験的に解析している。
【0004】
関連する技術として、特許文献1(特開2006−283173号公報:対応米国出願US2007292598(A1))に、基板処理方法及び基板処理装置が開示されている。この基板処理方法は、予め被処理基板の熱特性を測定し、その測定値に応じて、被処理基板の複数の領域に対し独立して温度調節をして被処理基板を処理する。この文献では、半導体ウエハを搭載するサセプタをヒータ加熱する装置において、半導体ウエハ上に形成された膜の有無によりサセプタの温度上昇率が変化することが記載されている。
【0005】
また、特許文献2(特開2004−72054号公報:対応米国出願US2005166836(A1))に、気相成長装置及び気相成長方法が開示されている。この気相成長装置は、密閉可能な反応炉と、該反応炉内に設置され所定の位置にウエハを配置するためのウエハ収容体と、ウエハに向けて原料ガスを供給するためのガス供給手段と、ウエハを加熱するための加熱手段と、を少なくとも備える。この気相成長装置は、反応炉内において加熱手段によりウエハ収容体を介してウエハを加熱しつつ、高温状態で原料ガスを供給することにより、ウエハ表面に成長膜を形成する。ウエハ収容体は、ウエハを収容するための空部が形成された熱流制御部と、該熱流制御部に接合され、空部に収容されたウエハに熱を伝導するための熱流伝導部とで構成される。熱流制御部と熱流伝導部とが近接する平面及び曲面間には均一な熱抵抗Rが存在する。この文献では、ウエハが搭載されたサセプタの温度分布をウエハの熱抵抗とサセプタの熱抵抗を考慮して全体の放熱率を計算して、ウエハ面内の温度分布が一定になるように設計する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−283173号公報
【特許文献2】特開2004−72054号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】E.H.A.Granneman,et al.,“3D Pattern Effects in RTA Radiative vs Conductive Heating”,ECS Transactions,Vol.3,Issue2,PP.85−96,2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」ともいう)の熱処理では、ウエハの面内温度分布ができるだけ均一であることが望ましい。ウエハをランプアニールする場合、加工がされていない(素子などが形成されていない)ウエハの面内温度分布は均一とすることができる。しかし、ウエハの加工が進み、ウエハ内の各チップのデータ率に差がでてくると、各チップ間で温度差が生じる場合がある。例えば、ソース/ドレインの拡散層の形成工程における熱処理の場合、各チップの拡散層のデータ率に差があると、各チップ間で温度差が生じる場合がある。それは主に、拡散層が露出した領域とそれ以外の絶縁層で覆われた領域とで熱放射率が異なるため、それぞれの領域でランプヒータの放射熱の吸収度合いが異なるからである。このような温度差が生じると、チップ内の素子(例示:トランジスタ)に電気特性の規格外れが生じる懸念がある。このような事態に対応するためには、各チップ表面の素子のレイアウトと熱処理時の温度分布との関係を事前に的確に把握することが重要と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
本発明のウエハ温度シミュレーション装置は、素子分離領域と素子領域とを有するウエハの温度分布をシミュレーションする。このウエハ温度シミュレーション装置は、素子部被覆率計算部(32)と、実効放射率計算部(33)と、モデル作成部(34)と、熱拡散方程式解法部(35)とを具備する。素子部被覆率計算部(32)は、ウエハのレイアウトデータに基づいて、ウエハ材料の拡散長を超えない長さに分割された複数の領域の各々毎に、当該領域に占める素子領域又は素子分離領域の割合を示す被覆率を算出する。実効放射率計算部(33)は、複数の領域の各々毎に、被覆率と予め設定された素子領域の放射率及び素子分離領域の放射率とに基づいて、実効放射率を求める。モデル作成部(34)は、実効放射率をウエハ表面に境界条件として設定し、ランプに温度の時間変化及び放射率を設定したモデルを作成する。熱拡散方程式解法部(35)は、モデルに基づいて、ランプでの加熱工程におけるウエハ表面の過渡熱拡散を計算し、ウエハの温度分布を算出する。
【0011】
本発明では、加熱処理中に熱(温度)が伝導する距離である拡散長を基準にしてウエハの領域を分割している。このような加熱処理中の熱(温度)の伝導距離を考慮することで、熱処理工程での熱の影響を的確に把握することができる。これら複数の領域はシミュレーションの最小メッシュサイズに相当する。従って、熱拡散を用いた温度分布のシミュレーションにおいて、計算の精度をほとんど落とすことなく最小メッシュサイズの数を大幅に減らすことができる。加えて、本発明では、ウエハにおける実際の複雑なレイアウト形状をそのまま反映した放射率の分布を計算するわけではなく、領域毎に素子領域又は素子分離領域の割合を用いた実効放射率(平均の放射率に相当する)を用いる。これらにより、シミュレーションの計算量を大幅に削減することが可能となり、ウエハ面内の温度分布の過渡解析が可能となる。
【0012】
本発明のウエハ温度シミュレーション方法は、素子分離領域と素子領域とを有するウエハの温度分布をシミュレーションする。このウエハ温度シミュレーション方法は、ウエハのレイアウトデータに基づいて、ウエハ材料の拡散長を超えない長さに分割された複数の領域の各々毎に、当該領域に占める素子領域又は素子分離領域の割合を示す被覆率を算出するステップと、複数の領域の各々毎に、被覆率と予め設定された素子領域の放射率及び素子分離領域の放射率とに基づいて、実効放射率を求めるステップと、実効放射率をウエハ表面に境界条件として設定し、ランプに温度の時間変化及び放射率を設定したモデルを作成するステップと、モデルに基づいて、ランプでの加熱工程におけるウエハ表面の過渡熱拡散を計算し、ウエハの温度分布を算出するステップとを具備する。
【0013】
本発明のプログラムは、素子分離領域と素子領域とを有するウエハの温度分布をシミュレーションするウエハ温度シミュレーション方法をコンピュータに実行させる。このプログラムは、素子部被覆率計算部(32)が、ウエハのレイアウトデータに基づいて、ウエハ材料の拡散長を超えない長さに分割された複数の領域の各々毎に、当該領域に占める素子領域又は素子分離領域の割合を示す被覆率を算出するステップと、実効放射率計算部(33)が、複数の領域の各々毎に、被覆率と予め設定された素子領域の放射率及び素子分離領域の放射率とに基づいて、実効放射率を求めるステップと、モデル作成部(34)が、実効放射率をウエハ表面に境界条件として設定し、ランプに温度の時間変化及び放射率を設定したモデルを作成するステップと、熱拡散方程式解法部(35)が、モデルに基づいて、ランプでの加熱工程におけるウエハ表面の過渡熱拡散を計算し、ウエハの温度分布を算出するステップとを具備する方法をコンピュータに実行させる。
【0014】
上記本発明のウエハ温度シミュレーション方法を及びそのプログラムにおいても、上記本発明のウエハ温度シミュレーション装置と同様の作用効果を得ることが出来る。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、半導体ウエハにおける各チップ表面の素子のレイアウトに依存した温度分布を過渡的にシミュレーションすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、現在使用されている一般的なRTA装置の構成の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係るRTA装置のモデルを示す概略図である。
【図4A】図4Aは、ウエハの上部の構成を示す概略部分断面図である。
【図4B】図4Bは、ウエハの全体の構成を示す概略部分断面図である。
【図5】図5は、ランプの上面の温度固定境界における温度と時刻との関係を示すグラフである。
【図6A】図6Aは、本発明の第1の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図6B】図6Bは、本発明の第1の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態に係るランプの合わせこみ結果を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の第1の実施の形態に係る工程(2)で計算対象としたウエハのパターンの一例を示す模式図である。
【図9】図9は、本発明の第1の実施の形態に係るシミュレーション結果の一例を示す等温線図である。
【図10A】図10Aは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(2)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図10B】図10Bは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(2)で計算対象としウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図10C】図10Cは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(2)で計算対象としウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図10D】図10Dは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(2)で計算対象としウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図10E】図10Eは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(2)で計算対象としウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図10F】図10Fは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(2)で計算対象としウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図10G】図10Gは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(2)で計算対象としウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図11】図11は、本発明の第1の実施の形態に係るシミュレーション結果の他の例を示すグラフである。
【図12】図12は、本発明の第1の実施の形態に係るウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図13】図13は、本発明の第1の実施の形態に係るシミュレーション結果の他の例を示すグラフである。
【図14A】図14Aは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの例を示す模式図である。
【図14B】図14Bは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの例を示す模式図である。
【図14C】図14Cは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの例を示す模式図である。
【図14D】図14Dは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの例を示す模式図である。
【図14E】図14Eは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの例を示す模式図である。
【図15】図15は、本発明の第1の実施の形態に係る図14A〜図14Eの各パターンの条件を示す表である。
【図16A】図16Aは、本発明の第1の実施の形態に係るシミュレーション結果の他の例を示す等温線図である。
【図16B】図16Bは、本発明の第1の実施の形態に係るシミュレーション結果の他の例を示す等温線図である。
【図16C】図16Cは、本発明の第1の実施の形態に係るシミュレーション結果の他の例を示す等温線図である。
【図17】図17は、本発明の第1の実施の形態に係るシミュレーション結果の他の例を示すグラフである。
【図18A】図18Aは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図18B】図18Bは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図18C】図18Cは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図18D】図18Dは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図18E】図18Eは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図18F】図18Fは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図18G】図18Gは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図18H】図18Hは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図19】図19は、本発明の第1の実施の形態に係る図18A〜図18Hの各パターンの条件を示す表である。
【図20】図20は、本発明の第1の実施の形態に係るシミュレーション結果の他の例を示すグラフである。
【図21A】図21Aは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図21B】図21Bは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図21C】図21Cは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図21D】図21Dは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図21E】図21Eは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図22】図22は、本発明の第1の実施の形態に係るシミュレーション結果の他の例を示すグラフである。
【図23A】図23Aは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図23B】図23Bは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図23C】図23Cは、本発明の第1の実施の形態に係る工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。
【図24】図24は、本発明の第2の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図25】図25は、本発明の第2の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のウエハ温度シミュレーション装置、ウエハ温度シミュレーション方法及びそのプログラムの実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。ウエハ温度シミュレーション装置1は、本発明のウエハ温度シミュレーションプログラム(ウエハ温度シミュレーション方法)がインストールされた情報処理装置であり、パーソナルコンピュータに例示される。ウエハ温度シミュレーションプログラムは、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」ともいう)における各チップ表面の素子のレイアウトに依存した温度分布を過渡的にシミュレーションする。ウエハ温度シミュレーション装置1は、データ入力部2と、シミュレーション部3と、データ出力部4と、記憶部5とを具備する。
【0019】
データ入力部2は、ユーザ又は他の情報処理装置からのデータの入力を受け付ける。データ入力部2は、キーボードやマウス、通信ポートに例示される。データ出力部4は、シミュレーション部3でのシミュレーション結果を出力する。データ出力部4は、ディスプレイやプリンタに例示される。記憶部5は、ウエハ温度シミュレーションプログラムやそのプログラムに使用されるデータ(例示:レイアウトパターンのデータ、素子を形成していないベタウエハでの温度計測データ、所定パターンを有するウエハでのポリシリコン抵抗による温度データなど)やそのプログラムの実行結果が格納された記憶装置である。記憶部5は、HDD(Hard Disk Drive)に例示される。
【0020】
シミュレーション部3は、ウエハ温度シミュレーションプログラムを実行し、ウエハにおける各チップ表面の素子のレイアウトに依存した温度分布を過渡的にシミュレーションする。シミュレーション部3は、CPU(Central Processing Unit)、メインメモリ、及びそれらに実行されるプログラムに例示される。すなわち、シミュレーション部3は、記憶部5から読み出されたウエハ温度シミュレーションプログラムをメインメモリに展開し、CPUにより実行する。シミュレーション部3は、計算条件設定部31、素子部被覆率計算部32、実行放射率設定部33、モデル作成部34、熱拡散方程式解法部35、判定部36を備える。
【0021】
計算条件設定部31は、シミュレーションの諸条件を設定する。例えば、解析条件を過渡解析に設定し、シミュレーションに用いる各種パラメータを設定する。素子部被覆率計算部32は、レイアウトデータに基づいて、ウエハの拡散長より短いサイズの領域ごとに、その領域内で平均した素子部の被覆率を計算する。実効放射率設定部33は、その素子部被覆率と、素子部の放射率と、素子部以外の部分(素子分離部)の放射率とに基づいて、その領域ごとに実効放射率を計算する。モデル作成部34は、RTA装置のモデルを作成する。例えば、その実効放射率をウエハ表面に境界条件として設定し、ランプ裏面に温度を設定し、ランプの放射面に放射率を設定してランプからの放射とウエハ表面の放射を授受させてモデルを構築する。熱拡散方程式解法部35は、そのモデルに基づいて、ウエハ面内及び深さ方向も含む3次元での過渡熱解析によりウエハの温度を求める過渡熱拡散方程式を解き、ウエハ表面の面内におけるチップの表面の素子のレイアウトに依存した温度ばらつきの時間依存性を予測する。判定部36は、チップの表面の温度ばらつきの予測値と実測値とを比較し、モデルが所定の精度を有するか否かを判定する。
【0022】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置に適用されるRTA装置のモデルについて説明する。
【0023】
まず、実物のRTA装置について説明する。図2は、現在使用されている一般的なRTA装置の構成の一例を示す概略図である。このRTA装置10は、光の放射によりウエハ12を加熱する。RTA装置10は、ウエハ加熱部11と、反射板13と、温度計測部14と、ランプ駆動部15と、温度制御部16とを具備する。
【0024】
ウエハ加熱部11は、タングステン−ハロゲンランプに例示される複数のランプ11aを備える。複数のランプ11aは、ウエハ保持具(図示されず)に保持されたウエハ12と対向するように設けられている。すなわち、ウエハ12の表面側には複数のランプ11aが対面する。反射板13は、ウエハ12の裏面側に設けられている。反射板13は、複数のランプ11aからの光をウエハ12及びランプ11aの側に反射する。ウエハ加熱部11と、ウエハ12と、反射板13とは、不活性ガスの流通するチャンバに格納されている。温度計測部14は、反射板13に埋め込まれた複数の光ファイバ14aにより、ウエハ12の裏面からの光をモニタして温度を測定する。温度計測部14は、パイロメータに例示される。ランプ駆動部15は、ウエハ加熱部11の複数のランプ11aを駆動する。温度制御部16は、温度計測部14の温度測定結果を参照して、ウエハ12における昇温及び降温の温度プロファイルが所望のパターンになるようにランプ駆動部15でウエハ加熱部11の加熱動作を制御する。
【0025】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るRTA装置のモデルについて説明する。まず、図3は、本発明の第1の実施の形態に係るRTA装置のモデルを示す概略図である。ただし、本図では、上側にRTA装置10の概略図を示し、下側にそれに対応するモデル20を示す。
【0026】
本図の上側のRTA装置10に示すように、ウエハ12は、複数のランプ11aの熱放射及びウエハ12表面からの放射熱の吸収により加熱される。一方、ウエハ12の裏面側は反射板13が置かれている。ここで、ウエハ温度シミュレーション装置1におけるメモリ及び計算時間の制約のために、ウエハ12の全面を計算することをせず、ウエハ12から必要な部分を切り出して繰り返しパターンを生成し、シミュレーション計算を行うこととする。本図の下側のモデル20は、その繰り返しパターンのモデルを示している。
【0027】
本図の下側のモデル20は、RTA装置10をシミュレーション用にモデル化したものである。モデル20は、ウエハ加熱部11のランプ11aのモデルであるランプ21と、ウエハ12のモデルであるウエハ22(繰り返しパターンの一つ)を有する。なお、RTA装置10では、ウエハ12の裏面に対向して反射板13が置かれているが、後述されるようにウエハ22の側面22c及び裏面22bを反射境界(熱を通さない100%反射する境界)としたので、モデル20では反射板13を省略できる。また、実際のウエハ12は、チャンバ内を流れる不活性ガスにより囲まれているが、不活性ガスとウエハ12表面の熱伝達による熱のやりとりは省略した。
【0028】
次に、ウエハ22について説明する。
ウエハ22は、シミュレーションの計算のしやすさのために、熱拡散長を基準にして複数の領域に分割される。すなわち、各領域の形状は、熱拡散長程度を基準とし、それよりもやや小さい長さの辺を有する矩形として設定される。各領域の面積は、熱拡散長程度の長さを一辺とする正方形を基準として、それよりもやや小さめに設定される。ここで、やや小さいとは、例えば、元の50%〜90%の範囲である。ウエハ22の上面22aは、この面積で均等に分割される。その領域は、シミュレーションのウエハ面内の最小メッシュサイズに対応する。なお、ウエハの深さ方向についても、熱拡散長を基準として、最小メッシュがきられる。
【0029】
ウエハ22をこのように分割してシミュレーションするのは以下の理由による。熱拡散長Lは、温度拡散率(熱拡散係数を単位体積あたりの熱容量で割ったもの)χを周波数で割り(すなわち時間を掛け)平方根をとったものである。具体的には、
L=(χ・t)0.5 …(0)
で表される。ここで、時間tは、ウエハ12が所望の熱処理温度になっている時間である。すなわち、熱拡散長Lは、上記時間tの間に熱(温度)が物質中を拡散していく距離を示していると考えられる。このような実効的な熱処理時間である時間tにおける熱(温度)の移動距離を考慮することで、熱処理工程での熱の影響を計算に的確に反映させることができる。したがって、ウエハ22をこのような複数の領域に分割し、各領域において計算を行うことで、ウエハ12の温度変化を十分にシミュレーションすることが可能であると考えられる。このように、本実施の形態では、温度の拡がりを考慮して、熱拡散長を基準にして領域を適度に分割しているので、熱拡散のシミュレーション精度をほとんど落とすことなく分割数を減らすことができる。
【0030】
実際の熱拡散長Lは、以下のように求められる。ここでは、ウエハ22全体をシリコンとみなして(後述)計算する。温度拡散率χは、熱伝導率κ、密度ρ、比熱Cpとすると、χ=κ/(ρ・Cp)、と表される。κ=20.63J/sec/m/K(1027℃:所望の熱処理温度)、密度ρ=2.332g/cm、比熱Cp=683.8J/K/kgとすると、χ=1.289×10−5/secとなる。熱拡散長Lは、L=(χ・t)0.5と表されるから、時間tを約1秒(後述)とすれば、熱拡散長Lは約3.5mm程度になる。
【0031】
ウエハ22は所要パターン(例示:5mm角のパターンが5x6(計30個)程度入るような大きさのパターン)の3x3繰り返し構造を有するとする。その理由は以下のとおりである。放射を含む計算では、周期的境界条件がとれない場合があり、その場合には端部が存在する。その端部の影響(ランプが無限大に大きくないので、端部ほどランプのないところを見るため受ける放射が減る)をなるべく抑えられるように繰り返し構造をとり、真ん中の所要パターンで温度差を評価するためである。
【0032】
ウエハ22の厚みを800μm程度とする。これは、SD(Source−Drain)RTA工程を直径300mmのウエハで行う場合の実際のウエハ厚みと同等である。更に、ウエハ22の特性を以下のように設定する。図4A及び図4Bは、それぞれウエハ12の上部及び全体の構成を示す概略部分断面図である。図4Aに示されるように、SDRTA工程において、ウエハ12の表面は、主に、拡散層やポリシリコン層(ゲート、配線等)などが上部に露出した素子領域12aと、STI(Shallow Trench Isolation)が露出した素子分離領域12bとに分けることができる。素子分離領域12bは、素子領域12aと比較して、放射熱(エネルギー)の吸収が大きい。従って、ウエハ22では、表面を素子領域と素子分離領域とに分けて考えることとする。そして、素子領域の被覆率Rを、
被覆率R=(素子領域の面積)/(素子領域の面積+素子分離領域の面積) …(1)
で定義し、各領域に平均の素子領域の被覆率を設定する。この場合、被覆率Rは実質的にデータ率と同じである。素子領域の平均の被覆率は、元のレイアウトパターンのデータから計算することができる。なお、被覆率として素子分離領域12bの被覆率を算出しても良い。
【0033】
図4Bに示されるように、素子分離領域12bのSTIのはSi基板厚さにくらべて薄いので無視し、材質はSiのみとする。実際のウエハ12では、素子分離領域12bのSTI(SiO)部分や、素子領域12aの拡散層やポリシリコン層など(Si)の部分を含む表面部分12cは、表面から0.5μm以下の厚みである。一方、表面部分12cを除いたウエハ12の残りの部分12d(Si)は、800μm程度の厚みである。従って、シミュレーションでは深さ方向の材質の変化はほとんど考慮する必要はないので、ウエハ22の材質は全てシリコンとする。
【0034】
図3を参照して、ウエハ22の上面22aに熱放射境界を設定する。すなわち、ウエハ22の上面22aに、領域ごとに、その領域で平均した素子領域の被覆率から求めた実効放射率εeffを境界条件として設定する。実効放射率εeff
εeff=εSi・RSi+εSiO2(1.0−RSi) …(2)
で定義する。ただし、それぞれ、εSiはSi(素子領域)の放射率、εSiO2はSiO(素子分離領域)の放射率、及び、RSiは素子領域の被覆率である。なお、被覆率として素子分離領域の被覆率RSiO2を算出した場合、式(2)は、
εeff=εSi(1.0−RSiO2)+εSiO2・RSiO2 …(2)
となる。
【0035】
なお、ウエハ22のウエハ裏面22b及び側面22cは、反射境界とする。すなわち、裏面22b及び側面22cは熱を通さないこととする。
【0036】
次に、ランプ21について説明する。
ランプ11aの部分を薄い直方体形状のランプ21として近似する。このとき、ランプ21の面積は、ウエハ22(ウエハ12のモデル)の面積の9倍とする。すなわち、ウエハ22から見てランプ21の底面21a(ウエハ22に対面する側)からの放射がウエハ22の端でも均一に見込めるようにランプ21を大きくする。
【0037】
ランプ21の底面21aは放射率(emissivity)を設定した熱放射境界とする。ここでは、放射率として「1」を設定する。また、ランプ21の側面21cは、反射境界とする。すなわち、側面21cは熱を通さないこととする。
【0038】
ランプ21の上面21bは温度を均一に設定する温度固定境界(時間依存の荷重)とし、温度と時刻を組み合わせて指定し、ランプ21の温度を変化させる。すなわち、ランプ21の上面21bに時間に依存した温度を設定する。その結果、ウエハ22に対向する底面21aには上面21bに設定した温度が伝わって、底面21aから熱放射する。このとき、上面21bと底面21aとの温度差が少なくなるように、ランプ21の厚みを十分薄くしておく(例示:100μm)。
【0039】
図5は、ランプ21の上面21bの温度固定境界における温度と時刻との関係を示すグラフである。縦軸は温度、横軸は時刻をそれぞれ示している。この場合、初期状態(時刻0でランプ上面の温度550℃)と、最高温度Temp_maxと、所望の熱処理温度以上となる時間ΔTimeとを設定する。それにより、曲線Aのような温度と時刻との関係を設定し、それに基づいて、ランプ21の動作をシミュレーションする。
【0040】
図3を参照して、ランプ21の上面21bは、全面に均一の温度が設定され、その設定温度は図5のグラフのように時刻と共に変化する。ランプ21の底面21aについては、以下の熱伝導方程式(3)を解いて、ランプ21の底面21a内のある位置xj、ある時刻tにおける温度変化T(xj、t)を求める。
【数1】

この場合、式(3)における密度ρj、比熱Cpj、熱伝導率κjは、いずれもランプ21の値であるが、例えば、それぞれ、シリコンの物性値を用いてもよい。後述するように、ランプ21のモデルの合わせこみが行われるためである。既述のように、ランプ21の底面21aでの放射率εlampは1.0、すなわち黒体輻射とする。また、F(xj,xi)は、ランプ21の底面21aの位置xjから、ウエハ22の上面22aの位置xiを見たときの形状因子である。T(xj,t)はある時間tでのランプ21の底面21aの位置xjでの温度、T(xi,t)はある時間tでのウエハ22の上面の位置xiでの温度を示す。ここでの温度は絶対温度を指す。
【0041】
ランプ21の底面21aとウエハ22の上面22aとの間の熱の授受は、以下の熱拡散方程式(4)を解いて、ウエハ22の上面22a内のある位置xi、ある時刻tにおける温度変化T(xi、t)を求める。
【数2】

この場合、式(4)における密度ρ、比熱Cp、熱伝導率κは、いずれもウエハ22の値であり、例えば、それぞれシリコンの密度ρ=2.332g/cm、比熱Cp=683.8J/K/kg、熱伝導率κ=20.63(1027℃)〜51.80(427℃)J/sec/m/Kである。σは、Stefan Boltzman定数(ここでは5.67×10−8W・m−2・K−4)である。また、ウエハ22の上面22aでの実効放射率εeffは上記の式(2)のとおりである。F(xi,xj)はウエハ22の上面22a(表面i:xi)からランプ21の底面21a(表面j:xj)を見たときのview factor(形状因子)である。なお、実効放射率εeffは、素子等が形成されていないベタのウエハでは全ての面が同じ放射率(放射率が、シリコンの放射率で一定)になる。
【0042】
ウエハ22の内部(上面22aと裏面22bとの間)は、以下の熱伝導方程式(5)を解いて、ウエハ22内のある位置xi、ある時刻tにおける温度変化T(xi、t)を求める。
【数3】

この場合、式(5)における密度ρ、比熱Cp、熱伝導率κは、いずれも上記のようにウエハ22の値であり、例えば、上記のシリコンの値である。
【0043】
以上のように、本実施の形態におけるウエハモデル(ウエハ22)では、ウエハでの温度(熱)の拡がりを考慮してウエハ表面を適度に分割し(実際にはシミュレーションの最小メッシュサイズに相当)、分割した表面領域ごとにレイアウト依存のシリコン素子領域の被覆率から実効放射率を計算し利用する。そのため、シミュレーション用に過度に微細なメッシュを張る負担が軽減される。その結果、ウエハ面内及び深さ方向の3次元の過渡熱伝導シミュレーションが可能となり、これにより、後述のようなウエハ面内の温度分布の時間依存性をシミュレーションすることが可能となる。
【0044】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の動作(ウエハ温度シミュレーション方法及びそのプログラム)について説明する。図6A及び図6Bは、本発明の第1の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の動作(ウエハ温度シミュレーション方法及びそのプログラム)を示すフローチャートである。このウエハ温度シミュレーションの動作では、(1)ランプ21(モデル)の合わせこみ工程、(2)ウエハ22(モデル)の合わせこみ工程、及び(3)シミュレーション工程、を備えている。図6Aは工程(1)及び(2)用のフローチャートであり、図6Bは工程(3)用のフローチャートである。
【0045】
(1)ランプ21(モデル)の合わせこみ工程
この工程では、まず、全体のモデル20を仮に設定する。この場合、ウエハ22は、素子などが形成されていないベタのウエハとする。その後、仮のモデル20を用いてシミュレーションした結果と、素子などが形成されていないベタのウエハ12に関する温度変化の実測値(温度計測部14による)とを比較する。そして、両者の結果が概ね等しくなるように、ランプ21の合わせ込みを行う。
(2)ウエハ22(モデル)の合わせこみ工程
この工程では、まず、合わせ込みが終了したランプ21と、仮に設定されたウエハ22によるモデル20を設定する。その後、そのモデル20を用いてシミュレーションした結果と、抵抗計測可能なポリシリコンパターンを有するウエハ12に関する温度変化の実測値(ポリシリコンの抵抗値による)とを比較する。そして、両者の結果が概ね等しくなるように、ウエハ22の合わせ込みを行う。
(3)シミュレーション工程
この工程では、上記工程(1)及び(2)により完成したモデル20を用いて、実際に評価したいウエハ12について、シミュレーションを行う工程である。評価したいRTA装置10に関して、上記工程(1)及び(2)を一度行っておけば、その後は工程(3)だけを実施することで、所望のウエハに関するシミュレーションができる。
【0046】
以下、各工程について説明する。
まず、工程(1)について、図6Aを参照して説明する。ここでは、まず、ランプ21の合わせ込みを行う。そのため、ウエハ11、21は、素子などが形成されていないベタのウエハである。
【0047】
計算条件設定部31は、解析条件を過渡解析(時間依存性解析)のモードに設定する。また、用いる材質の熱伝導率や、比重、比熱(例示:ランプの熱伝導率κ、比重ρ、比熱Cp、シリコンの熱伝導率κ、比重ρ、比熱Cp)を設定する。また、放射計算に用いる定数(例示:Stefan Boltzman定数σ)を設定する。更に、後述のステップS07〜S11における昇温ステップの条件(例示:時間を6等分しそれぞれの温度を図5のように与える)を設定する(ステップS01)。
【0048】
素子部被覆率計算部32は、熱拡散長Lを式(0)より計算し、ウエハ12をその熱拡散長Lよりもやや小さい複数の領域に分割する。そして、各領域で平均した素子領域の被覆率Rを、レイアウトパターンのデータに基づいて式(1)により計算する。各領域の素子領域の被覆率Rは、記憶部5に蓄積される(ステップS02)。本工程(1)では、素子などが形成されていないベタのウエハなので、Siが露出した素子領域が100%である。従って、被覆率R=1(100%)となる。
【0049】
実効放射率計算部33は、素子領域の被覆率R(RSi)と、素子領域の放射率εSiと、素子分離領域の放射率εSiO2から、例えば、式(2)により実効放射率εeffを計算する(ステップS03)。SiO(素子分離領域)とSi(素子領域)とではランプの光の吸収率(及び反射率)が異なるため、ウエハ表面近くでの熱の発生量が異なって来る。これを、本シミュレーションではウエハ表面での放射率の違い(εSiO2,εSi)で表現している。そして、シミュレーションの精度を高めるために、後述の工程(2)において、シミュレーション結果を実測値に近づけるべく、放射率(εSiO2,εSi)の合わせこみが行われる。本工程(1)では、素子などが形成されていないベタのウエハ(R=1)であるから、εeff=εSiである。
【0050】
モデル作成部34は、ランプ11のモデルとしてランプ21の形状及び諸条件を設定する(ステップS04)。ランプ21の詳細は図3、及び図5に示したとおりである。本工程(1)では、シミュレーションの精度を高めるために、シミュレーション結果を実測値に近づけるべく、図5に示すランプ21の上面21bの温度固定境界における温度と時刻との関係の合わせこみが行われる。
【0051】
更に、モデル作成部34は、ウエハ12のモデルとしてウエハ22の形状及び諸条件を設定する(ステップS05)。ウエハ22の詳細は図3、図4A、及び図4Bに示したとおりである。更に、モデル作成部34は、先に計算した各領域の実効放射率εeffをウエハ22の表面の各領域に境界条件として設定する(ステップS06)。本工程(1)では、素子などが形成されていないベタのウエハであるから、全領域においてεeff=εSiである。
【0052】
次に、熱拡散方程式解法部35は、昇温ステップをステップS01で設定された値に初期化する(ステップS07)。その後、熱拡散方程式解法部35は、ステップS04で設定した図5で示される温度プロファイル及び昇温ステップに従って、ランプ21の上面21bに熱解析を行う温度を設定する(ステップS08)。そして、熱拡散方程式解法部35は、各領域について、過渡的に熱解析を設定時間まで解き、結果のデータを記憶部5に記録する(ステップS09)。例えば、ランプ21及びウエハ22について、各領域で、上記式(3)〜(5)を解き、その結果のデータを記憶部5に記録する。次に、熱拡散方程式解法部35は、昇温ステップを更新する(ステップS10)。全昇温ステップを終えていない場合(ステップS11:No)ステップS08へ戻る。全昇温ステップを終えた場合(ステップS11:Yes)、熱拡散方程式解法部35は、熱解析計算を終了してステップS12に進む。
【0053】
判定部36は、記憶部5に記録された解析結果のデータと実測データ(予め計測され、記憶部5に格納された素子などが形成されていないベタのウエハを温度計測部14で裏面から計測したデータ)とを比較する(ステップS12)。比較の結果、両データの相違が所定の許容範囲に収まる場合(ステップS12:Yes)、ランプ21がモデルとして適正であると評価して、記憶部5にランプ21のデータを格納する。そして、データ出力部4は、時間ごとのウエハ表面温度を出力する(ステップS13)。両データの相違が所定の許容範囲に収まらない場合(ステップS12:No)、ステップS03又はステップS04に戻り、ステップS04においてランプ21を変更する。この場合、本工程(1)では、ステップS04において図5に示すランプ21の上面21bの温度固定境界における温度と時刻との関係(曲線A)を変更(例示:最高温度Temp_max及び時間ΔTimeのうちの少なくとも一方を所定の値分だけ増加又は減少する)して、再度その後のステップを繰り返す。
【0054】
図7は、ランプ21の合わせこみ結果を示すグラフである。縦軸は温度、横軸は時刻をそれぞれ示している。ランプ21の上面21bの温度と時間との関係を示す曲線A(図5の曲線Aに対応)に基づいて、ウエハ22の温度変化をシミュレーションした結果(ステップS11)が曲線Bである。また、曲線Cは、素子などが形成されていないベタのウエハ12を温度計測部14で裏面から計測した実測データを示している。本工程(1)では、実測値である曲線Cとシミュレーション結果である曲線Bとの相違が所定の許容範囲に収まるように(ステップS12)、最高温度Temp_maxと時間ΔTimeとを変更しながら(ステップS04)各ステップを繰り返す。それにより、本図に示されるように、曲線Cと曲線Bとが所定の範囲内で一致するようなランプ21(曲線A)を得ることができる。
【0055】
なお、工程(1)は、RTA装置10におけるランプ10aの温度プロファイル(図7の曲線Aに相当)が予め判明している場合には、省略することが出来る。例えば、複数のランプ10aの底面近傍に温度センサが更に設けられ、RTA装置10の加熱工程が、当該温度センサの温度計測により制御されている場合には、当該温度センサの実測値(時間変化)が、図7の曲線Aに相当し、ウエハの温度の実測値(時間変化)が図7の曲線Cに相当すると考えることが出来る。
【0056】
次に、工程(2)について、図6Aを参照して説明する。
ここでは、工程(1)でのランプ21の合わせこみに続いて、ウエハ22の合わせこみを行う。この場合、ウエハ11、21は、所定のパターンが形成されたウエハを用いる。
【0057】
計算条件設定部31は、上述したステップS01を実行する。これは、工程(1)と同じであるから省略してもよい。
【0058】
素子部被覆率計算部32は、上述したステップS02を実行する。本工程(2)では、ウエハ22に設けられたパターン40は、所定のパターン40aの3x3繰り返し構造を有する。図8は、工程(2)で計算対象としたウエハ22のパターン40の一例を示す模式図である。パターン40は、パターン40aの3x3繰り返し構造を有する。パターン40aは、素子領域のデータ率が45%である第1領域41の中央に、素子領域のデータ率が25%の第2領域42が設けられている。素子部被覆率計算部32は、図8に示されるパターン40をウエハ22を熱拡散長Lよりもやや小さい複数の領域に分割し、各領域の被覆率Rを計算する。この場合では、被覆率Rは0.25〜0.45(25%〜45%)の値となる。
【0059】
実効放射率計算部33は、上述したステップS03を実行する。本工程(2)では、工程(1)の被覆率R(RSi)=1(一定)とは異なり、図8のパターンを用いているので、領域ごとに被覆率R(RSi)の値が異なる。そのため、領域ごとに、式(2)により実効放射率εeffを計算する。例えば、被覆率R=0.25の場合、εeff=0.25εSi+0.75εSiO2となり、被覆率R=0.45の場合、εeff=0.45εSi+0.55εSiO2となる。そして、本工程(2)において、シミュレーション結果と実測値とが異なる場合、この放射率(εSi,εSiO2)を変化させて、両者が一致するように合わせこみを行う。
【0060】
モデル作成部34は、上述したステップS04を実行する。本工程(2)では、工程(1)で決定されたランプ21の温度プロファイル(図5、図7の曲線A)を、ランプ21の上面21bの温度固定境界における温度と時刻との関係として設定する。
【0061】
更に、モデル作成部34は、上述したステップS05、06を実行する。本工程(2)では、図8のパターンを用いているので、ステップS03で求めた各領域で異なる実効放射率εeffが設定される。
【0062】
次に、熱拡散方程式解法部35は、上述したステップS07〜ステップS11を実行する。
判定部36は、熱解析計算の終了後、記憶部5に記録された解析結果のデータと、実測データ(予め計測され、記憶部5に格納された図8のパターンを有するウエハ12でのポリシリコン抵抗による温度計測データ)とを比較する(ステップS12)。比較の結果、両データの相違が所定の許容範囲に収まる場合(ステップS12:Yes)、ウエハ22がモデルとして適正であると評価して、記憶部5にウエハ22のデータ(放射率(εSiO2,εSi))を格納する。そして、データ出力部4は、時間ごとのウエハ表面温度を出力する(ステップS13)。両データの相違が所定の許容範囲に収まらない場合(ステップS12:No)、ステップS03に戻り、ウエハ22を変更する。この場合、本工程(2)では、式(2)で用いる放射率(εSiO2,εSi)の値を変更(例示:εSiO2及びεSiのうちの少なくとも一方を所定の値分だけ増加又は減少する)して、再度その後のステップを繰り返す。
【0063】
図9は、図8のパターンに関するシミュレーション結果の一例を示す等温線図である。第2領域42に対応する部分の温度T2が高く、第1領域41に対応する部分の温度T1が低く、両者にdT(=T2−T1)の温度差が発生している様子が示されている。本実施の形態では、このような工程(2)を種々のパターンについて実行し、パターンに依存しない最適な放射率(εSiO2,εSi)を求める。
【0064】
図10A〜図10Gは、工程(2)で計算対象としたウエハ22のパターン40の他の例を示す模式図である。図10A〜図10Gに示す各パターン40は、いずれもパターン40aの3x3繰り返し構造を有する。パターン40aは、いずれも素子領域のデータ率が45%である第1領域41の中央に、素子領域のデータ率が20%の第2領域42が設けられている。ただし、各図の場合、第2領域42の面積が互いに異なっている。すなわち、図10Aの場合、第2領域42の形状は1×2の長方形であり、面積は2である。図10Bの場合、第2領域42の形状は1×3の長方形であり、面積は3である。図10Cの場合、第2領域42の形状は1×4の長方形であり、面積は4である。図10Dの場合、第2領域42の形状は2×2の正方形であり、面積は4である。図10Eの場合、第2領域42の形状は2×3の長方形であり、面積は6である。図10Fの場合、第2領域42の形状は3×3の正方形であり、面積は9である。図10Gの場合、第2領域42の形状は3×4の長方形であり、面積は12である。なお、熱拡散長Lよりもやや小さい領域の被覆率Rは0.20〜0.45(20%〜45%)の値となる。なお、図8の場合、第2領域42は1×1の正方形である。
【0065】
図11は、図10A〜図10Gのパターンに関するシミュレーション結果の一例を示すグラフである。縦軸は、第2領域42に対応する部分の温度T2(最高温度)と、第1領域41に対応する部分の温度T1(最低温度)との温度差deltaTであり、図9のdTに例示される。横軸は、第2領域42の面積である。また、グラフ中、塗り潰し四角はシミュレーション結果であり、白抜き四角は実測値である。工程(2)により適正な放射率(εSiO2,εSi)を設定することにより、シミュレーション結果と実測値とが極めて良好な一致を示していることがわかる。また、このグラフは、パターン(第2領域のパターン)のサイズと温度差との関係を示していると見ることができる。すなわち、第2領域42の面積が大きくなるほど、第1領域41と第2領域42との温度差が大きくなることが分かる。
【0066】
図12は、ウエハ22のパターン40の他の例を示す模式図である。図12に示すパターン40は、基本的に図8と同じである。ただし、パターン40aは、素子領域のデータ率が45%である第1領域41の中央に、素子領域のデータ率が、例えばX%で第2領域42が設けられている。ここで、X%は、例えば、15%〜35%の範囲の値をとる。すなわち、Xの値の異なる(データ率の異なる)複数のパターン40について、上記工程(2)を行う。
【0067】
図13は、データ率の異なる図12のパターンに関するシミュレーション結果の一例を示すグラフである。縦軸は、図11と同じく温度T2(最高温度)と温度T1(最低温度)との温度差deltaTである。横軸は、第2領域42のデータ率である。また、グラフ中、塗り潰し四角はシミュレーション結果であり、白抜き四角は実測値である。工程(2)により適正な放射率(εSiO2,εSi)を設定するにより、シミュレーション結果と実測値とが良好な一致を示していることがわかる。また、このグラフは、パターン(第2領域のパターン)のデータ率と温度差との関係を示していると見ることができる。すなわち、第2領域42のデータ率が大きくなるほど、第1領域41と第2領域42との温度差が大きくなることが分かる。
【0068】
図11や図13に示されるように、工程(2)により適切な放射率(εSiO2,εSi)を設定するにより、実測値に極めて近い結果を得ることの可能なウエハ22(モデル)を設定することができる。
【0069】
次に、工程(3)について、図6Bを参照して説明する。
図6Aと図6Bとは、実測値(データ)との比較(ステップS12,S13)の有無の点で異なるが、基本的な動作は同様である。ここでは、工程(1)でのランプ21の合わせこみ、及び工程(2)でのウエハ22(放射率)の合わせこみの終了後、任意のパターンを有するウエハ12について、温度変化のシミュレーションを実行する。
【0070】
計算条件設定部31は、シミュレーションに関する諸条件(解析条件(過渡解析)、用いる材質(ランプ、Si)の熱伝導率や、比重、比熱、放射計算に用いる定数(Stefan Boltzman定数)、昇温ステップの条件など)を設定する(ステップS21)。
【0071】
素子部被覆率計算部32は、熱拡散長Lを式(0)より計算し、任意のパターンのウエハ12をその熱拡散長Lよりもやや小さい複数の領域に分割する。そして、各領域で平均した素子領域の被覆率R(RSi)を、ウエハ12のレイアウトパターンのデータに基づいて式(1)により計算する(ステップS22)。
【0072】
実効放射率計算部33は、上記の素子領域の被覆率R(RSi)と、工程(2)で決定された素子領域の放射率εSi及び素子分離領域の放射率εSiO2とから、例えば、式(2)により実効放射率εeffを計算する(ステップS23)。
【0073】
モデル作成部34は、工程(1)の決定内容を反映させて、ランプ11のモデルとしてランプ21の形状、及び諸条件を設定する(ステップS24)。ランプ21の詳細は、図3、及び図7(図5)に示したとおりである。ただし、工程(1)の決定内容が反映されている。
【0074】
更に、モデル作成部34は、ウエハ12のモデルとしてウエハ22の形状及び諸条件を設定する(ステップS25)。ウエハ22の詳細は、図3、図4A、及び図4Bに示したとおりである。更に、モデル作成部34は、工程(2)の決定内容を反映させて、先に計算した各領域の実効放射率εeffをウエハ22の表面の各領域に境界条件として設定する(ステップS26)。
【0075】
次に、熱拡散方程式解法部35は、昇温ステップをステップ21で設定された値に初期化する(ステップS27)。その後、熱拡散方程式解法部35は、ステップS24で設定した図7で示される温度プロファイル及び昇温ステップに従って、ランプ21の底面21aに熱解析を行う温度を設定する(ステップS28)。そして、熱拡散方程式解法部35は、各領域について、過渡的に熱解析を設定時間まで解き、結果のデータを記憶部5に記録する(ステップS29)。例えば、ランプ21及びウエハ22について、各領域で、上記式(3)〜(5)を解き、その結果のデータを記憶部5に記録する。次に、熱拡散方程式解法部35は、昇温ステップを更新する(ステップS30)。全昇温ステップを終えていない場合(ステップS31:No)ステップS28へ戻る。全昇温ステップを終えた場合(ステップS31:Yes)、熱拡散方程式解法部35は、熱解析計算を終了し、記憶部5にシミュレーション結果を格納する。データ出力部4は、時間ごとのウエハ表面温度を出力する。
【0076】
図14A〜図14Eは、工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの例を示す模式図である。各パターンは、実際に計算した水準のパターンを示している。各パターンは、5mm角のチップを単位として、5x6のショットパターンになっている。各パターンは、シミュレーション時には、繰り返しパターンで特徴的なパターンが中央に来るようにずらして計算した。理由は、パターンが偏っていると、温度分布が偏り最大最小値の傾向を抽出しにくくなるためである。なお、各パターン(5x6の一かたまり)は、図8におけるパターン40aに相当する。以後、図14A〜図14Eの各パターンを、それぞれ水準1〜水準5という。
【0077】
図15は、図14A〜図14Eの各パターンの条件を示す表である。図14A〜図14Eの各パターン(水準1〜水準5)では、10mm角(5mm角4個分)でのデータ率差が振られている。すなわち、10mm角(5mm角4個分)のデータ率と、残りの部分(5mm角26個分)のデータ率とのデータ率差を変更した場合である。図14A(水準1)の場合、10mm角が45%、その他(地)が40%、よってデータ率差が5%である。図14B(水準2)の場合、10mm角が45%、その他(地)が35%、よってデータ率差が10%である。図14C(水準3)の場合、10mm角が45%、その他(地)が30%、よってデータ率差が15%である。図14D(水準4)の場合、10mm角が50%、その他(地)が30%、よってデータ率差が20%である。図14E(水準5)の場合、10mm角が55%、その他(地)が25%、よってデータ率差が30%である。
【0078】
図16A〜図16Cは、それぞれ図14A、図14C、及び図14Eのパターンに関するシミュレーション結果の一例を示す等温線図である。各図は、ウエハ温度が最高(図5のTemp_maxに相当)になる2.54秒付近(加熱開始からの時間)での、温度分布を示している。データ率差が大きくなるほど、温度差が広がることが分かる。それをまとめたのが図17である。図17は、図14A〜図14Eのパターンに関するシミュレーション結果の一例を示すグラフである。縦軸は、図11と同じく温度T2(最高温度)と温度T1(最低温度)との温度差deltaTである。横軸は、データ率差である。このグラフは、サイズ(面積)一定の場合における、温度差のデータ率差に対する依存を示している。データ率差に、比例して温度差が大きくなっているのが分かる。すなわち、10mm角において、データ率差が大きい場合、温度差が顕著に生じることなる。したがって、データ率差が大きい場合、パターン内のトランジスタの特性が規格外れになることが懸念される。
【0079】
図18A〜図18Hは、工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。この場合も、各パターンは、5mm角のチップを単位として、5x6のショットパターンになっている。各パターンは、シミュレーション時には、必要に応じて、繰り返しパターンで特徴的なパターンが中央に来るようにずらして計算した。以後、図18A〜図18Hの各パターンを、それぞれ水準14、水準2、水準17、水準6、水準18、水準7、水準19、水準15という。
【0080】
図19は、図18A〜図18Hの各パターンの条件を示す表である。図18A〜図18Hの各パターン(水準14、水準2、水準17、水準6、水準18、水準7、水準19、水準15)では、データ率差は10%に固定されて、パターンのサイズ(面積)が振られている。すなわち、全体の面積750mm(データ率35%)に対して、データ率45%の部分のサイズ(面積)を変更した場合である。図18A(水準14)の場合、データ率45%の部分の面積(サイズ)は25mm(1×1個)である。図18B(水準2)の場合、データ率45%の部分の面積(サイズ)は100mm(2×2個)である。図18C(水準17)の場合、データ率45%の部分の面積(サイズ)は150mm(2×3個)である。図18D(水準6)の場合、データ率45%の部分の面積(サイズ)は225mm(3×3個)である。図18E(水準18)の場合、データ率45%の部分の面積(サイズ)は300mm(3×4個)である。図18F(水準7)の場合、データ率45%の部分の面積(サイズ)は400mm(4×4個)である。図18G(水準19)の場合、データ率45%の部分の面積(サイズ)は5000mm(4×5個)である。図18H(水準15)の場合、データ率45%の部分の面積(サイズ)は725mm(29個)である。
【0081】
図20は、図18A〜図18Hのパターンに関するシミュレーション結果の一例を示すグラフである。縦軸は、図11と同じく温度T2(最高温度)と温度T1(最低温度)との温度差deltaTである。横軸は、サイズ(面積)である。ウエハ温度が最高になる2.54秒付近(加熱開始からの時間)での、温度分布での温度差を用いている。このグラフは、データ率差一定の場合における、温度差のサイズ(面積)に対する依存を示している。温度差はデータ率45%の部分のサイズ(面積)と共に大きくなる。しかし、データ率45%の部分が全体の領域の半分以上になると温度差は飽和傾向になる。そして、データ率45%の部分が支配的になると温度差が小さくなる。35%領域と45%領域が反転すると模様は反転するが、温度差は同じ値になることが分かる(サイズ25mmと725mm)。
【0082】
図21A〜図21Eは、工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。この場合も、各パターンは、5mm角のチップを単位として、5x6のショットパターンになっている。各パターンは、シミュレーション時には、必要に応じて、繰り返しパターンで特徴的なパターンが中央に来るようにずらして計算した。以後、図21A〜図21Eの各パターンを、それぞれ水準2、水準8、水準16、水準9、水準10という。
【0083】
図21A〜図21Eの各パターン(水準2、水準8、水準16、水準9、水準10)では、10mm角のパターンをいろいろな変化を持たせて配置した場合を示している。すなわち、全体の面積750mm(データ率35%)に対して、データ率に変化を持たせた10mm角をいろいろな位置に配置した場合である。図21A(水準2)の場合、10mm角(全てデータ率45%)が一箇所設けられている。図21B(水準8)の場合、10mm角(全てデータ率45%)が二箇所設けられている。図21C(水準16)の場合、10mm角(全てデータ率45%)が二箇所、図21Bとは異なる位置に設けられている。図21D(水準9)の場合、10mm角(データ率40%一個、45%二個、50%三個)が二箇所設けられている。図21E(水準10)の場合、10mm角(データ率35%一個、45%二個、55%三個)が二箇所設けられている
【0084】
図22は、図21A〜図21Eのパターンに関するシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
縦軸は、図11と同じく温度T2(最高温度)と温度T1(最低温度)との温度差deltaTである。横軸は、各水準である。各パターン(水準2、水準8、水準16、水準9、水準10)の温度差は、パターンを色々変えても1.3℃〜2.2℃というごく狭い範囲に収まることが分かる。水準2の10mm角の温度差を越えるものは見つからなかった。
【0085】
図23A〜図23Cは、工程(3)で計算対象としたウエハのパターンの他の例を示す模式図である。この場合も、各パターンは、5mm角のチップを単位として、5x6のショットパターンになっている。以後、図23A〜図23Cの各パターンを、それぞれ水準11、水準12、水準13という。
【0086】
図23A〜図23Cの各パターン(水準11、水準12、水準13)では、データ率を平均で40%としつつ細かいパターンを組み合わせて配置した場合を示している。すなわち、データ率をパターン全体の平均で40%となるように、データ率に変化を持たせた5mm角をいろいろな位置に配置した場合である。図23A(水準11)の場合、中央の一列にデータ率40%の5mm角を配置し、両側にデータ率35%及びデータ率45%の5mm角を千鳥格子上に配置している。図23B(水準12)の場合、中央の一列にデータ率40%の5mm角を配置し、両側にデータ率30%及びデータ率50%の5mm角を千鳥格子上に配置している。図23C(水準13)の場合、中央の一列にデータ率40%の5mm角を配置し、両側にデータ率25%及びデータ率55%の5mm角を千鳥格子上に配置している。
【0087】
上記図23A〜図23Cに示される各パターン(水準11、水準12、水準13)の温度差はほとんど無く、0.5℃以内というごく狭い範囲に以内に収まることが分かった。
【0088】
上記図14A〜図14E、乃至、図23A〜図23Cの図と共に説明した結果は、水準データとして記憶部5に格納され、後述される第2の実施の形態で用いることができる。
【0089】
本実施の形態では、加熱処理中に熱が伝導する長さである拡散長を基準にしてウエハの領域を分割している。このような加熱処理中の熱(温度)の伝導距離を考慮することで、熱処理工程での熱の影響を的確に把握することができる。これら複数の領域は実際にはシミュレーションの最小メッシュサイズに相当する。従って、熱拡散を用いた温度分布のシミュレーションの精度をほとんど落とすことなく分割数を大幅に減らすことができる。加えて、本発明では、ウエハにおける実際の複雑なレイアウト形状をそのまま反映した放射率の分布を計算するわけではなく、領域毎に素子領域又は素子分離領域の割合を用いた実効放射率(平均の放射率に相当する)を用いる。これらにより、シミュレーションの計算量を大幅に削減することが可能となり、基板を赤外線等のランプにより急速に加熱させるときに、ウエハ面内の温度分布を時系列にシミュレーション(過渡解析)が可能となる。
【0090】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の構成について説明する。
図24は、本発明の第2の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。ウエハ温度シミュレーション装置61は、本発明のウエハ温度シミュレーションプログラム(ウエハ温度シミュレーション方法)がインストールされた情報処理装置であり、パーソナルコンピュータに例示される。ウエハ温度シミュレーションプログラムは、ウエハにおける各チップ表面の素子のレイアウトに依存した温度分布を過渡的にシミュレーションする。ウエハ温度シミュレーション装置61は、データ入力部2と、レイアウト設定部71と、シミュレーション部3と、記憶部5と、温度差判定部72と、データ出力部4とを具備する。
【0091】
データ入力部2は、第1の実施の形態と同様である。データ出力部4は、シミュレーション部3、又はシミュレーション部3及び温度差判定部72でのシミュレーション結果を出力する。データ出力部4は、ディスプレイやプリンタに例示される。記憶部5は、プログラム(例示:ウエハ温度シミュレーションプログラム、レイアウト設定プログラム、温度差判定プログラム、など)やそのプログラムに使用されるデータ(例示:レイアウトパターンのデータ、素子を形成していないベタウエハでの温度計測データ、所定パターンを有するウエハでのポリシリコン抵抗による温度データ、第1の実施の形態で設定されたモデル20のデータ、第1の実施の形態で算出された各水準のデータ、など)やそのプログラムの実行結果が格納された記憶装置である。記憶部5は、HDDに例示される。
【0092】
レイアウト設定部71は、ユーザからの入力や他のデータベースからの入力に基づいて、ウエハ12上のチップ配置や、チップ内のパターン(ダミーパターンを含む)を設定するプログラムを実行する。また、レイアウト設定部71は、温度差判定部72の判定結果に基づいて、最大温度差が規格より小さくなるように、チップ内のパターンやレイアウトを変更するプログラムを実行する。レイアウト設定部71は、CPU、メインメモリ、及びそれらに実行されるプログラムに例示される。レイアウト設定部71は、記憶部5から読み出されたレイアウト設定に関するプログラムをメインメモリに展開し、CPUにより実行する。シミュレーション部3は、第1の実施の形態と同様である。温度差判定部72は、シミュレーション部3又は記憶部5からのシミュレーション結果(温度分布)に基づいて、ウエハ中の最大温度差とその場所を抽出し、その最大温度差が規格より大きいか否かを判定するプログラムを実行する。温度差判定部72は、CPU、メインメモリ、及びそれらに実行されるプログラムに例示される。温度差判定部72は、記憶部5から読み出された温度差判定に関するプログラムをメインメモリに展開し、CPUにより実行する。
【0093】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の動作(ウエハ温度シミュレーション方法及びそのプログラム)について説明する。図25は、本発明の第2の実施の形態に係るウエハ温度シミュレーション装置の動作(ウエハ温度シミュレーション方法及びそのプログラム)を示すフローチャートである。ただし、本実施の形態では、第1の実施の形態における工程(1)〜工程(2)は既に完了し、モデル20が完成しているものとする。また、上記図14A〜図14E、乃至、図23A〜図23Cの図と共に説明した結果が水準データとして記憶部5に格納され、利用可能となっているものとする。
【0094】
まず、レイアウト設定部71は、ユーザからの入力や他のデータベースからの入力に基づいて、ウエハ12上のチップ配置や、チップ内のパターン(ダミーパターンを含む)を設定する(ステップS41)。
次に、シミュレーション部3は、設定されたパターンに基づいて、RTA工程におけるランプ加熱時の温度推移を計算する(ステップS42)。
【0095】
その後、温度分布判定部72は、シミュレーションの結果のデータに基づいて、パターン中の最大温度差を発生する場所と、その最大温度差を抽出する(ステップS43)。そして、その最大温度差が規格(記憶部5に格納)の範囲内か否かを判定する(ステップS44)。最大温度差が規格の範囲内ではない場合(ステップS44:No)、最大温度差を発生する場所とその最大温度差とをレイアウト設定部71へ出力する。
【0096】
その場合、レイアウト設定部71は、最大温度差を与える場所に対応する部分について、ダミーパターンを追加/又は削除する(ステップS41)。すなわち、その部分の素子領域の被覆率と、その周囲の素子領域の被覆率との差が小さくなるように(所定の範囲以内になるように)、ダミーパターンを配置する。あるいは、その部分の素子分離領域の被覆率と、その周囲の素子分離領域の被覆率との差が小さくなるように(所定の範囲以内になるように)、ダミーパターンを配置する。その際、配置配線ルールは遵守される。又は、最大温度差を与えるチップについて、チップ配置を変更する(ステップS41)。すなわち、そのチップの素子領域の平均の被覆率と、その周囲のチップの素子領域の平均の被覆率との差が小さくなるように(所定の範囲以内になるように)、チップを再配置する。あるいは、そのチップの素子分離領域の平均の被覆率と、その周囲のチップの素子分離領域の平均の被覆率との差が小さくなるように(所定の範囲以内になるように)、チップを再配置する。その後、ステップS42〜S44を実行する。
【0097】
なお、ステップS41のようにダミーパターンを追加/削除したり、チップの再配置を行ったりするのは、例えば、図17のグラフのデータに基づいて行う。すなわち、例えば、データ率差が大きい場合、温度差が顕著に生じることを参考にしている。ステップS41は、上記第1の実施の形態で得られた他のデータを含めて、他の方法で温度差を低減することも可能である。
【0098】
最大温度差が規格の範囲内である場合(ステップS44:Yes)、シミュレーションの結果のデータを記憶部5に格納すると共に、データ出力部4へ出力する。
【0099】
本実施の形態では、RTA装置を用いた昇温プロセスにおいて、ウエハ面内で所定の値以上の温度差が発生しないようにするために、上記シミュレーション装置を用いて、事前にウエハ面内の温度分布を把握して、それに基づいてレイアウトを変更することができる。それにより、レイアウトを反映した温度差の発生を抑制する設計が可能となる。
【0100】
なお、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、RTA装置を用いて説明を行ってきたが、同様の原理を用いた他の装置、例えば、より短時間でのアニールを行うフラッシュランプアニールでの温度推移の計算にも同様に適用することが可能である。
【0101】
本発明のプログラム、データ構造は、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録され、その記憶媒体から情報処理装置に読み込まれても良い。
【0102】
本発明は上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。
【符号の説明】
【0103】
1、61 ウエハ温度シミュレーション装置
2 データ入力部
3 シミュレーション部
4 データ出力部
5 記憶部
10 RTA装置
11 ウエハ加熱部
11a ランプ
12 ウエハ
12a 素子領域
12b 素子分離領域
12c 表面部分
12d 部分
13 反射板
14 温度計測部
14a 光ファイバ
15 ランプ駆動部
16 温度制御部
20 モデル
21 ランプ
21a 底面
21b 上面
21c 側面
22 ウエハ
22a 上面
22b 裏面
22c 側面
31 計算条件設定部
32 素子部被覆率計算部
33 実行放射率設定部
34 モデル作成部
35 熱拡散方程式解法部
36 判定部
40、40a パターン
41 第1領域
42 第2領域
71 装置レイアウト設定部
72 温度差判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子分離領域と素子領域とを有するウエハの温度分布をシミュレーションするウエハ温度シミュレーション装置であって、
前記ウエハのレイアウトデータに基づいて、ウエハ材料の拡散長を超えない長さに分割された複数の領域の各々毎に、当該領域に占める前記素子領域又は前記素子分離領域の割合を示す被覆率を算出する素子部被覆率計算部と、
前記複数の領域の各々毎に、前記被覆率と予め設定された前記素子領域の放射率及び前記素子分離領域の放射率とに基づいて、実効放射率を求める実効放射率計算部と、
前記実効放射率を前記ウエハ表面に境界条件として設定し、ランプに温度の時間変化及び放射率を設定したモデルを作成するモデル作成部と、
前記モデルに基づいて、前記ランプでの加熱工程における前記ウエハ表面の過渡熱拡散を計算し、前記ウエハの温度分布を算出する熱拡散方程式解法部と
を具備する
ウエハ温度シミュレーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウエハ温度シミュレーション装置において、
前記ウエハの温度分布の算出結果と、ウエハの温度分布の実測値との相違が許容範囲に収まるか否かを判定する判定部を更に具備し、
前記許容範囲に収まらない場合、前記実効放射率計算部は、前記素子領域の放射率及び前記素子分離領域の放射率のうちの少なくとも一方を変更して前記実効放射率を変更する
ウエハ温度シミュレーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のウエハ温度シミュレーション装置において、
前記許容範囲に収まらない場合、前記モデル作成部は、前記温度の時間変化を変更して前記モデルを再度作成する
ウエハ温度シミュレーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のウエハ温度シミュレーション装置において、
前記ウエハの前記レイアウトデータを設定するレイアウト設定部と、
算出された前記ウエハの温度分布に所定の値以上の温度差が生じている第1領域を抽出する温度差判定部と
を更に具備し、
前記レイアウト設定部は、前記第1領域における素子分離領域又は素子領域の被覆率と、前記第1領域の周辺の第2領域の素子分離領域又は素子領域の被覆率との差が小さくなるように、前記第1領域を再配置する
ウエハ温度シミュレーション装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のウエハ温度シミュレーション装置において、
前記ウエハの前記レイアウトデータを設定するレイアウト設定部と、
算出された前記ウエハの温度分布に所定の値以上の温度差が生じている第1領域を抽出する温度差判定部と
を更に具備し、
前記レイアウト設定部は、前記第1領域における素子分離領域又は素子領域の被覆率と、前記第1領域の周辺の第2領域の素子分離領域又は素子領域の被覆率との差が小さくなるように、前記第1領域の前記素子分離領域又は前記素子領域のレイアウトを変更する
ウエハ温度シミュレーション装置。
【請求項6】
素子分離領域と素子領域とを有するウエハの温度分布をシミュレーションするウエハ温度シミュレーション方法であって、
前記ウエハのレイアウトデータに基づいて、ウエハ材料の拡散長を超えない長さに分割された複数の領域の各々毎に、当該領域に占める前記素子領域又は前記素子分離領域の割合を示す被覆率を算出するステップと、
前記複数の領域の各々毎に、前記被覆率と予め設定された前記素子領域の放射率及び前記素子分離領域の放射率とに基づいて、実効放射率を求めるステップと、
前記実効放射率を前記ウエハ表面に境界条件として設定し、ランプに温度の時間変化及び放射率を設定したモデルを作成するステップと、
前記モデルに基づいて、前記ランプでの加熱工程における前記ウエハ表面の過渡熱拡散を計算し、前記ウエハの温度分布を算出するステップと
を具備する
ウエハ温度シミュレーション方法。
【請求項7】
請求項6に記載のウエハ温度シミュレーション方法において、
前記ウエハの温度分布の算出結果と、ウエハの温度分布の実測値との相違が許容範囲に収まるか否かを判定するステップ判定部を更に具備し、
前記許容範囲に収まらない場合、前記実効放射率を求めるステップは、前記素子領域の放射率及び前記素子分離領域の放射率のうちの少なくとも一方を変更して前記実効放射率を変更するステップを備える
ウエハ温度シミュレーション方法。
【請求項8】
請求項7に記載のウエハ温度シミュレーション方法において、
前記許容範囲に収まらない場合、前記モデルを作成するステップは、前記温度の時間変化を変更して前記モデルを再度作成するステップを備える
ウエハ温度シミュレーション方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一項に記載のウエハ温度シミュレーション方法において、
前記ウエハの前記レイアウトデータを設定するステップと、
算出された前記ウエハの温度分布に所定の値以上の温度差が生じている第1領域を抽出するステップと
を更に具備し、
前記前記レイアウトデータを設定するステップは、前記第1領域における素子分離領域又は素子領域の被覆率と、前記第1領域の周辺の第2領域の素子分離領域又は素子領域の被覆率との差が小さくなるように、前記第1領域を再配置するステップを備える
ウエハ温度シミュレーション方法。
【請求項10】
請求項6乃至8のいずれか一項に記載のウエハ温度シミュレーション方法において、
前記ウエハの前記レイアウトデータを設定するステップと、
算出された前記ウエハの温度分布に所定の値以上の温度差が生じている第1領域を抽出するステップと
を更に具備し、
前記レイアウトデータを設定するステップは、前記第1領域における素子分離領域又は素子領域の被覆率と、前記第1領域の周辺の第2領域の素子分離領域又は素子領域の被覆率との差が小さくなるように、前記第1領域の前記素子分離領域又は前記素子領域のレイアウトを変更するステップを備える
ウエハ温度シミュレーション方法。
【請求項11】
素子分離領域と素子領域とを有するウエハの温度分布をシミュレーションするウエハ温度シミュレーション方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
素子部被覆率計算部が、前記ウエハのレイアウトデータに基づいて、ウエハ材料の拡散長を超えない長さに分割された複数の領域の各々毎に、当該領域に占める前記素子領域又は前記素子分離領域の割合を示す被覆率を算出するステップと、
実効放射率計算部が、前記複数の領域の各々毎に、前記被覆率と予め設定された前記素子領域の放射率及び前記素子分離領域の放射率とに基づいて、実効放射率を求めるステップと、
モデル作成部が、前記実効放射率を前記ウエハ表面に境界条件として設定し、ランプに温度の時間変化及び放射率を設定したモデルを作成するステップと、
熱拡散方程式解法部が、前記モデルに基づいて、前記ランプでの加熱工程における前記ウエハ表面の過渡熱拡散を計算し、前記ウエハの温度分布を算出するステップと
を具備する
方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
判定部が、前記ウエハの温度分布の算出結果と、ウエハの温度分布の実測値との相違が許容範囲に収まるか否かを判定するステップを更に具備し、
前記許容範囲に収まらない場合、前記実効放射率を求めるステップは、前記実効放射率計算部が、前記素子領域の放射率及び前記素子分離領域の放射率のうちの少なくとも一方を変更して前記実効放射率を変更するステップを備える
プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムにおいて、
前記許容範囲に収まらない場合、前記モデルを作成するステップは、前記モデル作成部が、前記温度の時間変化を変更して前記モデルを再度作成するステップを備える
プログラム。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
レイアウト設定部が、前記ウエハの前記レイアウトデータを設定するステップと、
温度差判定部が、算出された前記ウエハの温度分布に所定の値以上の温度差が生じている第1領域を抽出するステップと
を更に具備し、
前記前記レイアウトデータを設定するステップは、前記レイアウト設定部が、前記第1領域における素子分離領域又は素子領域の被覆率と、前記第1領域の周辺の第2領域の素子分離領域又は素子領域の被覆率との差が小さくなるように、前記第1領域を再配置するステップを備える
プログラム。
【請求項15】
請求項11乃至13のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
レイアウト設定部が、前記ウエハの前記レイアウトデータを設定するステップと、
温度差判定部が、算出された前記ウエハの温度分布に所定の値以上の温度差が生じている第1領域を抽出するステップと
を更に具備し、
前記レイアウトデータを設定するステップは、前記レイアウト設定部が、前記第1領域における素子分離領域又は素子領域の被覆率と、前記第1領域の周辺の第2領域の素子分離領域又は素子領域の被覆率との差が小さくなるように、前記第1領域の前記素子分離領域又は前記素子領域のレイアウトを変更するステップを備える
プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図18E】
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【図18F】
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【図18G】
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【図18H】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図21E】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−219462(P2010−219462A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67313(P2009−67313)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)