説明

ウォータージェット装置

【課題】 周辺の生活環境に影響を与えるような大きな振動、騒音が発生するようなことがなく、また、高圧水、研磨材等が周囲に飛散して作業環境を悪化させるようなことがないウォータージェット装置を提供する。
【解決手段】 高圧水を発生させるポンプを有するポンプユニットと、前記ポンプを回転させるモータを有するモータユニットと、前記ポンプで発生させた高圧水を噴射させるノズルを有するノズルユニット45とを備えたウォータージェット装置であって、前記ノズルユニット45は、対象物との間に閉空間を形成するノズルガイド61を備え、前記閉空間内に前記ノズル80の噴射口が開口されるように、前記ノズル80が前記ノズルガイド61に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータージェット装置に関し、特に、例えば、既設のコンクリート構造物の耐震補強等のリニューアル工事において、コンクリート構造物の躯体の表層部を除去するのに有効なウォータージェット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既設のコンクリート構造物に対して耐震補強等のリニューアル工事を行う場合、躯体の基層部の上部に積層された表層部(仕上げモルタル層等)を除去し、その後に耐震補強等のための補修や改修の工事を行っている。
【0003】
このようなリニューアル工事においては、従来、電動ピッチングマシンや高速回転カッター装置等を用いて表層部を除去していたが、工事の際に生じる振動や騒音によって周辺の生活環境に影響を与えるため、近年では、振動や騒音の発生を抑えた各種のウォータージェット装置が用いられている。
【0004】
ウォータージェット装置は、例えば、非特許文献1、2に記載されているように、高圧水を発生させる高圧ポンプを有するポンプユニット、高圧ポンプを回転させるモータを有するモータユニット、高圧ポンプで発生させた高圧水を噴射させるノズルを有するノズルユニット、ノズルに研磨材を供給する研磨材供給ユニット等を備え、ポンプユニットの高圧ポンプで発生させた高圧水を研磨材供給ユニットからの研磨材と共にノズルから噴射させることにより、躯体の表層部を基層部の上部から除去することができるものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】株式会社ジェットホームページ、online、平成21年2月4日検索、インターネット<URL:http//www.water−jet/robot.html
【非特許文献2】株式会社ユアーズホームページ、online、平成21年2月4日検索、インターネット<http//www.yours−tk.co.jp/waterjet.htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような構成のウォータージェット装置にあっては、電動ピッチングマシンや高速回転カッター装置等のような大きな振動や騒音が発生することはないが、周辺の生活環境に影響を与えない程度まで振動や騒音を抑えることはできない。また、コンクリート構造物の躯体の表層部を除去する際に使用した高圧水や研磨材等が周囲に飛散し、作業環境を悪化させる問題も生じる。
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、周辺の生活環境に影響を与えるような大きな振動や騒音が発生することがなく、また、使用した高圧水や研磨材等が周囲に飛散して作業環境を悪化させるようなことがない、ウォータージェット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、高圧水を発生させるポンプを有するポンプユニットと、前記ポンプを回転させるモータを有するモータユニットと、前記ポンプで発生させた高圧水を噴射させるノズルを有するノズルユニットとを備えたウォータージェット装置であって、前記ノズルユニットは、対象物との間に閉空間を形成するノズルガイドを備え、前記閉空間内に前記ノズルの噴射口が開口されるように、前記ノズルが前記ノズルガイドに取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明のウォータージェット装置によれば、ノズルガイドによって対象物との間に閉空間が形成され、この閉空間内に噴射口が開口するようにノズルがノズルガイドに取り付けられているので、ノズルの噴射口から高圧水を噴射させて対象物を切断したり、対象物に溝等を形成する際に生じる振動や騒音が閉空間外に漏出するのを防止できる。また、ノズルから噴射させた高圧水等が閉空間外に漏出して周辺に飛散するのを防止できる。
【0010】
また、本発明において、前記ノズルガイドは、ガイド本体と、該ガイド本体に設けられるとともに、前記対象物との間をシールするシール部材と、前記ガイド本体に設けられるとともに、前記閉空間内を、前記ノズルの噴射口を開口させる第1空間と、それ以外の第2空間とに仕切る仕切り部材とを備えていることとしてもよい。
【0011】
本発明のウォータージェット装置によれば、対象物との間をシール部材によってシールしているので、対象物を切断したり、対象物に溝等を形成する際に、使用した高圧水が閉空間外に漏出するのを効果的に防止できるとともに、高圧水を噴射する際の振動や騒音が閉空間外に漏出するのを効果的に防止できる。また、閉空間内は、仕切り部材によって第1空間と第2空間とに仕切られ、第1空間内にノズルの噴射口が開口しているので、ノズルの噴射口から高圧水を噴射させる際の音が閉空間外に漏出するのを効果的に防止できる。
【0012】
さらに、本発明において、前記ノズルガイドには、前記ノズルから噴射させた高圧水を回収する回収ホースが接続されていることとしてもよい。
【0013】
本発明のウォータージェット装置によれば、ノズルから噴射させた高圧水は、閉空間内から回収ホースを介して回収されることになる。
【0014】
さらに、本発明において、前記ノズルガイドには、前記閉空間内に外気を取り込む外気取込口が設けられていることとしてもよい。
【0015】
本発明のウォータージェット装置によれば、外気取込口から閉空間内に外気を取り込むことにより、閉空間内外の圧力差を調整できることになる。
【0016】
さらに、本発明において、前記ノズルガイドは、案内手段によって移動可能に支持されていることとしてもよい。
【0017】
本発明のウォータージェット装置によれば、ノズルガイドを案内手段を介して移動させることにより、ノズルガイドと一体にノズルを移動させることができ、ノズルの移動軌跡に応じて対象物を切断したり、対象物に溝等を形成することができる。
【0018】
さらに、本発明において、前記案内手段は、ガイドレールと、該ガイドレールに沿って移動可能なスライダーとを備え、前記スライダーに前記ノズルガイドが取り付けられていることとしてもよい。
【0019】
本発明のウォータージェット装置によれば、ガイドレールに沿ってスライダーを移動させることにより、スライダーと一体にノズルガイド及びノズルが移動し、ノズルの移動軌跡に応じて対象物を切断したり、対象物に溝等を形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明したように、本発明のウォータージェット装置によれば、対象物との間に閉空間が形成され、この閉空間内にノズルの噴射口が開口することになるので、ノズルの噴射口から高圧水を噴射させて対象物に溝等を形成する際に生じる振動や騒音が閉空間外に漏出するのを防止できる。また、使用した高圧水等が閉空間外に漏出して周囲に飛散するのを防止でき、作業環境が悪化するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるウォータージェット装置の一実施の形態の全体を示した概略平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】ノズルユニットの平面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】図3の左側面図である。
【図6】図3のノズルの詳細図である。
【図7】図4のA方向から見た部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態のウォータージェット装置1は、既設のコンクリート構造物に耐震補強等のリニューアル工事を行う場合に適用され、躯体の基層部の上部に積層された表層部(仕上げモルタル層等)を除去し、その後に耐震補強等のための補修や改修の工事を行うのに有効なものであって、図1及び図2に示すように、高圧水を発生させる高圧ポンプ6を有するポンプユニット2と、ポンプユニット2の高圧ポンプ6を回転させるモータ14を有するモータユニット10と、ポンプユニット2の高圧ポンプ6で発生させた高圧水を噴射させるノズル80を有するノズルユニット45とを備えている。
【0023】
ポンプユニット2は、図1及び図2に示すように、台車(以下、第1台車3という。)の上部に搭載される高圧ポンプ6と、第1台車3の上部に搭載される高圧ポンプ6の周辺機器(バックアップポンプ、フィルタ、調圧弁等)とを備え、後述するモータユニット150と連結手段20を介して分離可能に連結されている。
【0024】
第1台車3は、C形鋼等の鋼材からなる一対の縦枠と一対の横枠とを四方枠組みし、隣接する縦枠と横枠との間を溶接等によって一体に連結して四角形状に形成した基枠(以下、第1基枠4という。)と、この第1基枠4の下部の四隅に設けられるキャスター5とを備え、第1基枠4の図1の左側面に後述するモータユニット10の第2台車11の第2基枠12が連結手段20を介して連結されるようになっている。
【0025】
なお、第1台車3の第1基枠4の下部の各キャスター5に隣接する部分に、それぞれアジャストボルト(図示せず)を設け、このアジャストボルトによって第1基枠4のレベルを調整可能に構成してもよい。また、第1基枠4の上部に手押し用のハンドル(図示せず)を設けるように構成してもよい。
【0026】
高圧ポンプ6は、例えば、プランジャー方式のポンプであって、本実施の形態においては、3連プランジャー方式の高圧ポンプ6(定格回転数;180回転、プランジャー径;10mm、ストローク;65.6mm、定格圧力;200MPa、流量;2.5L/min、マルヤマエクセル株式会社製)を用いている。高圧ポンプ6は、第1台車3の第1基枠4の上部に納まる寸法に形成されている。
【0027】
第1基枠4には、高圧ポンプ6の入力軸8の周囲を覆うようにカバー(図示せず)が設けられ、このカバーによって入力軸8及び入力軸8に連結される後述する連結手段20の自在継手21の第1継手部22の周囲が覆われるようになっている。また、カバーの内部には、第1継手部22に連結される後述する連結機構32の連結ブッシュ33が収納可能に構成されている。
【0028】
モータユニット10は、図1及び図2に示すように、台車(以下、第2台車11という。)の上部に搭載されるモータ14と、第2台車11の上部に搭載される配線、配管等の中継ボックスとを備え、前述したポンプユニット2と連結手段20を介して分離可能に連結されている。
【0029】
第2台車11は、C形鋼等の鋼材からなる一対の縦枠と一対の横枠とを四方枠組みし、隣接する縦枠と横枠との間を溶接等によって一体に連結して四角形状に形成した基枠(以下、第2基枠12という。)と、この第2基枠12の下部の四隅に設けられるキャスター13とを備え、第2基枠12の図1の右側面がポンプユニット2の第1基枠4の図1の左側面に連結手段20を介して連結されるようになっている。
【0030】
なお、第2台車11の第2基枠12の下部の各キャスター13に隣接する部分に、それぞれアジャストボルト(図示せず)を設け、このアジャストボルトによって第2基枠12のレベルが調整可能に構成してもよい。また、第2基枠12の一部に手押し用のハンドル(図示せず)を設けるように構成してもよい。
【0031】
モータ14は、例えば、ギヤードモータであって、本実施の形態においては、出力;15kw、定格回転数;180回転、減速比;1/10のギヤードモータを用いている。 モータ14には、第2基枠12の上部に納まる寸法のものが用いられている。
【0032】
第2基枠12の上部には、モータ14の出力軸15の周囲を覆うようにカバー(図示せず)が設けられ、このカバーによって出力軸15及び出力軸15に連結される後述する連結手段20の自在継手21の第2継手部27の周囲が覆われるようになっている。また、カバーの内部には、後述する第2継手部27に連結される連結機構32の連結軸34が収納可能に構成されている。
【0033】
連結手段20は、ポンプユニット2の高圧ポンプ6の入力軸8とモータユニット10のモータ14の出力軸15とを切り離し可能に連結する自在継手21と、ポンプユニット2の第1台車3とモータユニット10の第2台車11とを切り離し可能に連結するとともに、高圧ポンプ6の入力軸8とモータ14の出力軸15とを自在継手21を介して連結した状態に固定する固定部材40とを備えている。
【0034】
自在継手21は、ポンプユニット2の高圧ポンプ6の入力軸8に連結される屈曲可能な第1継手部22と、モータユニット10のモータ14の出力軸15に連結される屈曲可能な第2継手部27と、第1継手部22と第2継手部27とを切り離し可能に連結する連結機構32とを備えている。
【0035】
連結機構32は、第1継手部22に設けられる連結ブッシュ33と、第2継手部27に設けられるとともに、連結ブッシュ33と相互に嵌合可能な連結軸34とを備えている。
【0036】
連結ブッシュ33は、内面が多角形、楕円形等に形成され、この連結ブッシュ33の内面と合致した多角形、楕円形等に連結軸34の外面が形成され、これにより、両者の相対的な回動が阻止される。
なお、連結ブッシュ33の内面及び連結軸34の外面は、上記の形状に限らず、両者の相対的な回動を阻止できる形状であればよい。また、連結ブッシュ33の内面を円形に形成し、それに合致する形状に連結軸34の外面を形成してもよいものであり、その場合には、両者間にキーを嵌合させて両者の相対的な回動を阻止するように構成すればよい。
【0037】
第1継手部22側の連結ブッシュ33と第2継手部27側の連結軸34とを相互に嵌合させることで、第1継手部22と第2継手部27とが連結機構32を介して連結され、高圧ポンプ6の入力軸8とモータ14の出力軸15とが自在継手21を介して相互に連結される。
【0038】
固定部材40は、高圧ポンプ6の入力軸8及びモータ14の出力軸15を両側から挟むように、ポンプユニット2の第1基枠4の図1の左側面とモータユニット10の第2基枠12の図1の右側面との間に一対設けられ、この一対の固定部材40、40を介してポンプユニット2の第1基枠4とモータユニット10の第2基枠12とが相互に連結されるようになっている。
【0039】
固定部材40は、例えば、C形鋼、平鋼等を組み合わせて形成した上部が開口する箱形状をなすものであって、長手方向の一端がヒンジ41を介してモータユニット10の第2基枠12の図1の右側の部分に連結されている。固定部材40は、両端をポンプユニット2の第1基枠4及びモータユニット10の第2基枠12から切り離した状態で、ヒンジ41を介して上方に回動させることにより、モータユニット10の第2台車11側に収納されるようになっている。
【0040】
固定部材40は、ポンプユニット2の第1基枠4の図1の左側面とモータユニット10の第2基枠12の図1の右側面との間に介在させ、長手方向の一端のねじ挿通用孔とポンプユニット2の第1基枠4のねじ挿通用孔との間にボルトを挿通させ、長手方向の他端のねじ挿通用孔とモータユニット10の第2基枠12のねじ挿通用孔との間にボルトを挿通させ、各ボルトにワッシャを介してナットを締め付けることにより、ポンプユニット2の第1基枠4とモータユニット10の第2基枠12とを一体に連結し、高圧ポンプ6の入力軸8とモータ14の出力軸15とを自在継手21を介して連結した状態に固定する。
【0041】
ノズルユニット40は、図3〜図5に示すように、案内手段46と、案内手段46によって移動可能に支持されるノズルガイド61と、ノズルガイド61と一体に移動可能なノズル80とを備えている。
【0042】
案内手段46は、ガイドレール47と、ガイドレール47に沿って移動可能なスライダー51と、スライダー51をガイドレール47に沿って移動させる駆動源56とを備え、スライダー51にノズルガイド61が設けられている。
【0043】
ガイドレール47は、長方形状の下板48と、下板48の上部に間隔をおいて一体に立設される一対の長方形状の側板49、49と、各側板49の上部に下板48と平行をなすように、かつ端部が各側板49の外面から外方に張り出るように、一体に設けられる長方形状の上板50とから構成されている。
【0044】
スライダー51は、ガイドレール47の両上板50、50の上部に移動可能に設けられる移動板52と、移動板52の下面側の両端部に垂下した状態に設けられる一対の側板53、53と、移動板52の下面側の中心部に設けられる一対の第1ローラ59、59と、各側板53の内面にそれぞれ設けられる一対の第2ローラ60、60とから構成されている。
【0045】
スライダー51は、一対の第1ローラ59、59がガイドレール47の両側板49、49の内面間に介装され、各一対の第2ローラ60、60が各上板50の下面と下板48の上面との間に介装され、これにより、ガイドレール47の長手方向に移動可能に構成されている。
【0046】
スライダー51の図5の左側の側板53の外面には第1取付部54が設けられ、この第1取付部54に駆動源であるステッピングモータ56が取り付けられ、このステッピングモータ56の駆動軸にピニオンギヤ57が取り付けられている。ピニオンギヤ57は、ガイドレール47の下板48の上面側の端部に設けられているラック58と相互に噛合するようになっている。ステッピングモータ56を駆動させて、ピニオンギヤ57を回転させることにより、スライダー51がガイドレール47の長手方向に移動するようになっている。
【0047】
スタイダー51の図5の右側の側板53の外面には第2取付部55が設けられ、この第2取付部55にノズルガイド61及びノズル80が取り付けられ、スライダー51と一体にガイドレール47の長手方向に移動するようになっている。
【0048】
ノズルガイド61は、環状の周板63と、周板63の上端開口部を閉塞する天板64とからなるガイド本体62と、ガイド本体62の下端開口部に取り付けられる環状のシール部材71とを備え、ガイド本体62の天板64を第2取付部55にボルトによって固定することにより、第2取付部55に取り付けられるようになっている。
【0049】
シール部材71は、ゴム等の弾性体からなるものであって、基端部に設けられる取付溝内にガイド本体62の周板63の下端部を嵌合させることで、ガイド本体62の下端開口部に取り付けられるようになっている。
【0050】
シール部材71の先端部は、図7に示すように、ガイド本体62の内方(周板63の内方)に湾曲され、この湾曲されている先端部を躯体の表層部の表面に接触させることにより表層部の表面との間がシールされ、ノズルガイド61の内側に閉空間75が形成される。
【0051】
ガイド本体62の天板64には、図3に示すように、閉空間75内に後述するノズル80を挿通させるノズル孔65と、閉空間75内から高圧水、研磨材等を回収する回収孔66とが設けられ、回収孔66にホースジョイントを介して回収ホース67の一端が接続されるようになっている。
【0052】
ノズル80は、図5及び図6に示すように、スライダー51の第2取付部55にボルトによって取り付けられるノズル本体81と、ノズル本体81の先端部に着脱自在に取り付けられる噴射ノズル82とを備え、ノズル本体81の後端部にホースジョイントを介して高圧ホース83の一端が接続され、ノズル本体81の側部にホースジョイントを介して研磨材ホース84の一端が接続されている。
ノズル本体81は、スライダー51の第2取付部55に対する上下方向の位置、及び第2取付部55に対する取付角度が調整可能に構成され、これにより、噴射ノズル82の上下方向の位置、及び噴射角度が調整可能に構成されている。
【0053】
高圧ホース83の他端は、ポンプユニット2の高圧ポンプ6の吐出口に接続され、研磨材ホース84の他端は、研磨材供給ユニットの研磨材の供給口に接続され、ポンプユニット2から高圧ホース83を介してノズル本体81に高圧水が供給され、研磨材供給ユニットから研磨材ホース84を介してノズル本体81に研磨材が供給され、高圧水と研磨材とが一緒になってノズル本体81から噴射ノズル82に導かれて噴射される。
【0054】
回収ホース67の他端は、真空ポンプ等を備えた回収ユニットに接続され、回収ユニットの駆動により、回収ホース67を介して空間75内から高圧水、研磨材等が吸引され、回収ユニットに回収されて処理される。
なお、回収ユニットは、真空ポンプ等の駆動モータの回転数を検知し、回転数に応じてON−OFFが制御されるようになっている。なお、回収ユニットの真空ポンプ等を手動で駆動させるようにしてもよい。
【0055】
ガイド本体62の天板64には、図3に示すように、空間75の内外を貫通する3つの外気取込孔68が横並びに設けられ、この外気取込孔68を介して空間75内に外気が取り込まれるようになっている。この場合、天板64の上部には、3つの外気取込孔68と同一形状、大きさの調整孔70を同一間隔で設けた調整板69が設けられ、この調整板69の天板64に対する取付位置を調整して、各外気取込孔68の開口面積を調整することにより、閉空間75内に取り込む外気の量を調整できるようになっている。
【0056】
図3及び図7に示すように、ガイド本体62の天板64の略中央部には仕切り部材72が設けられ、この仕切り部材72によって閉空間75内が噴射ノズル82及び回収孔66が設けられる側の第1空間76と、外気取込孔68が設けられる側の第2空間77とに区画されている。
【0057】
仕切り部材72は、天板64に一体に設けられる略L形状の仕切り部材本体73と、仕切り部材本体73の先端部に取り付けられるシール部材74とを備え、シール部材74の先端部が躯体の表層部の表面に接触するようになっている。なお、仕切り部材72は、略L形状に限らず、他の形状であってもよい。
【0058】
シール部材74は、ゴム等の弾性体からなるものであって、基端部の取付溝内に仕切り部材本体73の先端部を嵌合させることで、仕切り部材本体73の先端部に取り付けられるようになっている。
【0059】
シール部材74の先端部は、図7に示すように、内方(ガイド本体62の内方)に湾曲され、この湾曲されている先端部を躯体の表層部の表面に接触させることにより表層部との間がシールされ、閉空間75内を第1空間76と第2空間77とに仕切るようになっている。
【0060】
そして、上記のように構成した本実施の形態によるウォータージェット装置1を用いて、コンクリート構造物の躯体の表層部の改修や補修等の工事を行うには、まず、案内手段46のガイドレール47を躯体の表層部の表面に取り付ける。
【0061】
次に、ポンプユニット2、モータユニット10、研磨材供給ユニット、及び回収ユニットを駆動させ、ポンプユニット2から高圧ホース83を介してノズル本体81に高圧水を供給し、研磨材供給ユニットから研磨材供給ホース84を介してノズル本体81に研磨材を供給し、高圧水及び研磨材をノズル本体81から噴射ノズル82に導き、噴射ノズル82から躯体の表層部に向けて高圧水及び研磨材を噴射させる。
【0062】
次に、ステッピングモータ56を駆動させて、スライダー51をガイドレール47に沿って移動させ、スライダー51に追従させてノズルガイド61及び噴射ノズル82を移動させることにより、躯体の表層部に噴射ノズル82の移動軌跡に応じた溝等を形成する。この場合、躯体の表層部の溝等の形成に使用した高圧水及び研磨材は、閉空間75内から回収ホース67を介して吸引され、回収ユニットに回収されて処分される。
【0063】
このようにして、躯体の表層部に溝等を形成し、躯体の表層部を基層部の上部から除去した後に、ステッピングモータ56を停止させるとともに、ポンプユニット2、モータユニット10、研磨材供給ユニット、及び回収ユニットを停止させ、ガイドレール47を表層部の表面から取り外す。
【0064】
上記のように構成した本実施の形態によるウォータージェット装置1にあっては、ノズルガイド61によって躯体の表層部の表面との間に閉空間75を形成し、この閉空間75内に噴射ノズル82の噴射口を開口させるように構成したので、噴射ノズル82の噴射口から高圧水及び研磨材を噴射して躯体の表層部に溝等を形成する際に生じる振動や騒音が閉空間75外に漏出するのを防止でき、周辺の生活環境に影響を与えるのを防止できる。
【0065】
また、閉空間75内を仕切り部材72によって第1空間76と第2空間77とに区画し、第1空間76内に噴射ノズル82の噴射口及び回収孔66を開口させ、第2空間77内に外気取込孔68を開口させているので、噴射ノズル82の噴射口から高圧水及び研磨材を噴射させる際の音及び振動を仕切り部材72によって減衰することができ、周辺の生活環境に影響を与えるのを更に効果的に防止できる。
【0066】
さらに、閉空間75内で噴射ノズル82から高圧水及び研磨材を噴射しているので、高圧水及び研磨材が閉空間75外に漏出して周囲に飛散するようなことはなく、作業環境が悪化するようなことはない。
【0067】
なお、本実施の形態のウォータージェット装置1は、ポンプユニット2とモータユニット10とを分離可能に連結しているので、ポンプユニット2とモータユニット10とを分離した状態とすることにより、例えば、コンクリート構造物の既設の小型のエレベータに搭載して現場に搬入し、又は現場から搬出することができるものである。
【0068】
なお、前記の説明においては、案内手段46のガイドレール47を長方形板状としたが、ガイドレール47を曲線状又はその他の形状に形成し、そのガイドレール47に沿ってスライダー51を介して噴射ノズル82を移動させるように構成してもよい。
【0069】
また、前記の説明においては、案内手段46によってノズルガイド61及びノズル80を移動可能に支持したが、案内手段46を使用せずに、作業者が手動によってノズルガイド61及びノズル80を移動させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 ウォータージェット装置 2 ポンプユニット
3 第1台車 4 第1基枠
5 キャスター 6 高圧ポンプ
7 プランジャー 8 入力軸
10 モータユニット 11 第2台車
12 第2基枠 13 キャスター
14 モータ 15 出力軸
20 連結手段 21 自在継手
22 第1継手部 23 第1ヨーク
24 第2ヨーク 25 結合手段
26 継手カバー 27 第2継手部
28 第1ヨーク 29 第2ヨーク
30 結合手段 31 継手カバー
32 連結機構 33 連結ブッシュ
34 連結軸 40 固定部材
41 ヒンジ 45 ノズルユニット
46 案内手段 47 ガイドレール
48 下板 49 側板
50 上板 51 スライダー
52 移動板 53 側板
54 第1取付部 55 第2取付部
56 駆動源(ステッピングモータ) 57 ピニオンギヤ
58 ラック 59 第1ローラ
60 第2ローラ 61 ノズルガイド
62 ガイド本体 63 周板
64 天板 65 ノズル孔
66 回収孔 67 回収ホース
68 外気取込孔 69 調整板
70 調整孔 71 シール部材
72 仕切り部材 73 仕切り部材本体
74 シール部材 75 閉空間
76 第1空間 77 第2空間
80 ノズル 81 ノズル本体
82 噴射ノズル 83 高圧ホース
84 研磨材ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧水を発生させるポンプを有するポンプユニットと、前記ポンプを回転させるモータを有するモータユニットと、前記ポンプで発生させた高圧水を噴射させるノズルを有するノズルユニットとを備えたウォータージェット装置であって、
前記ノズルユニットは、対象物との間に閉空間を形成するノズルガイドを備え、
前記閉空間内に前記ノズルの噴射口が開口されるように、前記ノズルが前記ノズルガイドに取り付けられていることを特徴とするウォータージェット装置。
【請求項2】
前記ノズルガイドは、ガイド本体と、該ガイド本体に設けられるとともに、前記対象物との間をシールするシール部材と、前記ガイド本体に設けられるとともに、前記閉空間内を、前記ノズルの噴射口を開口させる第1空間と、それ以外の第2空間とに仕切る仕切り部材とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のウォータージェット装置。
【請求項3】
前記ノズルガイドには、前記ノズルから噴射させた高圧水を回収する回収ホースが接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のウォータージェット装置。
【請求項4】
前記ノズルガイドには、前記閉空間内に外気を取り込む外気取込口が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のウォータージェット装置。
【請求項5】
前記ノズルガイドは、案内手段によって移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のウォータージェット装置。
【請求項6】
前記案内手段は、ガイドレールと、該ガイドレールに沿って移動可能なスライダーとを備え、
前記スライダーに前記ノズルガイドが取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載のウォータージェット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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