説明

ウマの予防用ポリヌクレオチドワクチン製剤

【課題】四足動物、特にウマの病理を防ぐためのワクチン製剤の提供。
【解決手段】宿主細胞でインビボで発現可能な形で四足動物の病原結合価の遺伝子に結合したプラスミドからなる少なくとも3つのポリヌクレオチドワクチンの結合価を含む。この結合価はウマ鼻腔肺炎ウィルスEHV、馬インフルエンザウィルスEIVおよび破傷風ウィルからなる群の中から選ばれ、プラスミドは各結合価に対して、ウマ鼻腔肺炎ウィルスのgBおよびgD、馬インフルエンザウィルスのHA、NPおよびNから成る群の中から選択される一つまたは複数の遺伝子および破傷風トキシンのサブユニットCの全部または一部をコードする遺伝子からから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は四足動物(equides)、特にウマにワクチン接種するためのワクチン製剤に関するものであり、また、そのワクチン接種方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウマの病理はかなり広範囲に存在している。ウマは、特にアメリカ大陸では、よく知られた呼吸の病気、例えば鼻腔肺炎(rhinopneumonitis)およびインフルエンザ以外に種種の脳脊髄炎に罹る。さらに、ウマはその他のいろいろなな病理に罹り、特に、強縮(tetanos)、ライム(Lyme)病および馬動脈炎が挙げられる。狂犬病ウィルスに曝されていることも忘れてはならない。
かなり遠い距離を陸路や飛行機で輸送できるようになって、ウマが多様な病原微生物に曝される状況および感染の危険度は増加する傾向にある。
動物交配業者にとっては、コストの高い動物、特に種馬や競馬馬はできるだけ感染の危険を避け、これらの動物が利用できなくなる期間を減らすことが経済的に重要である。ウマワクチンは既に多数存在するが、その効能は千差万別である。
【0003】
各種の馬ヘルペスウィルス(EHV)株を用いて作った馬の鼻腔肺炎用不活化サブユニット・ワクチンが開発されているが、保護が不完全であり、保護期間が短かく、使用するアジュバントに関連して安全性に問題がある。
馬のインフルエンザも重大な問題である。その予防にワクチン接種が行われている。これに使用されるワクチンは不活化ワクチンすなわちサブユニットワクチンで、一定の効果はあるが、問題もある。すなわち、保護が完全でないことが多く、保護期間が比較的短く、その結果、鼻腔肺炎の場合には再種痘が必要になる。また、安全性に問題がある場合もある。
抗破傷風トキソイド(anatoxine antitetanique)をベースにしたワクチンはも開発されており、明らかに効果的である。
【0004】
脳脊髄炎(encephalite)、東洋脳脊髄炎、西洋脳脊髄炎およびベネズエラ脳脊髄炎を防ぐためのワクチンも存在する。薬効は低い。
経済的理由および合理的な馬のワクチン接種管理の観点から、これらの感染症の複数を防ぐための多価ワクチン製剤が既に提案されている。
本出願人は、弱毒ワクチンまたは生ワクチン、必要に応じてこれらのワクチンの混合ものを用いて多価ワクチン製剤を開発してきたが、結合価(valence)の適合性(compatibilite)および安定度に問題があった。すなわち、使用する異なる抗原の面および製剤自身の面で、特に弱毒ワクチンと生ワクチンとを同時に組み合わせたときには、異なる結合価間の適合性を確実にする必要がある。また、この種の混合ワクチンには安定性に問題があり、特に、アジュバントを含む場合には接種法に問題がある。また、これらのワクチンは一般にかなり高価である。
【0005】
さらに、これらの製剤は主要結合価、すなわち、馬インフルエンザ、鼻腔肺炎、特にEHV-1およびEHV-4、破傷風の3つの結合価をせることができなかった。例えば、インフルエンザ結合価と脳脊髄炎結合価との組合せまたは鼻腔肺炎結合価と脳脊髄炎結合価との組合せが知れている。
国際特許第WO-A-90 11092、WO-A-93 19 183、WO-A-94 21 797およびWO-A-95 20 660には最近開発されたポリヌクレオチドワクチンの技術を使用することが提案されている。これらのワクチンはプラスミドに挿入された抗原の宿主細胞で発現できるプラスミドを利用している。全ての投与径路(腹膜内、静脈内、筋内、経皮、皮内、粘膜、その他)が提案されている)。また、各種のワクチン接種法を用いることができる。例えば、金の粒子に堆積させたDNAを動物の皮ふ内に深く入るように噴射する方法(Tang達(Nature 356,152-154,1992))、皮膚、筋肉、脂肪質組織および乳房組織にトランスフェクション可能な液体ジェットでワクチン接種する方法(Furth達(Analytical Biochemistry,205,365-368,1992)がある。
【0006】
このポリヌクレオチド・ワクチンは裸のDNAのほかリポソームまたはカチオン性リピドの形のDNAが使用できる。
HAまたはNT遺伝子を統合したポリヌクレオチド・ベクターはハツカネズミ、白イタチおよびニワト鼻腔インフルエンザウィルスで試用されたが、ウマに関するデータはない。
破傷風に関しては、Cフラグメントを用いたテタヌス(tetanique)トキシンの非毒性C末端領域を発現するプラスミドでハツカネズミを免疫化して、ハツカネズミの血漿保護抗体を誘発することが最近報告されている。しかし、寿命が短いこれらの動物で得られた結果を他の哺乳類、特に大きな哺乳類に直接置き換えることはできない。
従って、四足動物、特にウマを感染性の病理から保護する方法の改善は常に必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、一定数の病理作因を防ぐために四足動物、特にウマに予防注射可能な多価ワクチン製剤を提供することにある。
本発明の別の目的は、互いに異なる結合価間の結合価の適合性と安定性に必要な基準を満たした状態で、互いに異なる結合価を組み合せた上記ワクチン製剤を提供することである。
本発明の別の目的は、同じ一つの賦形剤中に互いに異なる結合価を組み合せる上記ワクチン製剤を提供することにある。
本発明の別の目的は、実行するのが簡単なおよび安いこの種のワクチン製剤を提供することである。
本発明の別の目的は、多価保護を含む保護が得られ、安全性が高く、効果が長時持続し、効能のレベルが高いウマの予防注射製剤および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、宿主細胞でインビボで発現可能な形で四足動物の病原結合価の遺伝子に結合したプラスミドからなる少なくとも3つのポリヌクレオチドワクチンの結合価を含む、四足動物、特にウマの病理を防ぐためのワクチン製剤であって、結合価がウマ鼻腔肺炎ウィルスEHV、馬インフルエンザウィルスEIVおよび破傷風(Cl.tetani)ウィルからなる群の中から選ばれ、プラスミドが、各結合価に対して、ウマ鼻腔肺炎ウィルスのgBおよびgD、馬インフルエンザウィルスのHA、NPおよびNから成る群の中から選択される一つまたは複数の遺伝子および破傷風トキシンのサブユニットCの全部または一部をコードする遺伝子からから成るワクチン製剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で「抗原結合価(valence)」とは、問題の病原体ウイルスに対する保護を提供する少なくとも1つの抗原を意味し、この抗原結合価は問題の病原体の1つまたは複数の株の天然または修飾された遺伝子をサブ抗原結合価として含むことができる。
【0010】
病原体の遺伝子とは、完全な遺伝子だけでなく、保護反応を誘発する能力を保持する断片も含めた変化した塩基配列を意味する。遺伝子の概念には実施例に詳細に記載したものと同じ塩基配列と均等なもの、すなわち、異なる配列で同じ蛋白質をコードする配列が包まれる。さらに、交雑保護または株または株群に特異的な保護を提供する問題の病原体の他の株の塩基配列も含まれる。遺伝子の概念にはさらに、宿主動物による生体内の発現を容易にするために修飾された同じ蛋白質をコードする塩基配列も含まれる。
特に好ましくは、本発明の馬鼻腔肺炎結合価には、EHV-1株の少なくとも一つの抗原と、EHV-4株からの少なくとも一つの抗原と、同じ種類の抗原を含む。
上記ポリヌクレオチド結合価の治療に有効な量が、好ましくは筋内投与で動物に投与可能な適切な賦形剤中に含まれるか、入れられる。賦形剤は油性成分を含まない水溶賦形剤であるのが好ましい。
【0011】
馬の鼻腔肺炎結合価ではHHV株、特に、株1から株4のgBおよびgD遺伝子を組み合わせるのが好ましい。
馬インフルエンザ結合価ではヘムアグルチニンHAをコードする遺伝子を使用するか、HAおよびNPをコードする遺伝子と組み合わせるのが好ましい。好ましくは、インフルエンザウィルスHA配列、特に、特にこの分野で見られる異なる株のHA配列を同じワクチン内で適当に組合せるのが好ましい。NPは交差防御するので、一つのウィルス株からの配列を入れることができる。
破傷風結合価ではCサブユニット、必要に応じて突然変異または欠失で変性させたものが好ましい。
【0012】
一つの同じ結合価または一つの結合価の同じ株の複数の抗原をコードする遺伝子の組み合わせは、単一抗原を発現するプラスミドを混ぜるか、一つの同じプラスミドにいくつかの遺伝子を入れて行うことができる。
本発明のワクチンの互いに異なる結合価を組み合わせは、各結合価の一つまたは複数の抗原を発現するポリヌクレオチドプラスミドの混合で行うことができるが、プラスミドの同じベクター型で複数の結合価の複数の抗原を発現させることもできる。
本発明の変形例では、ワクチン製剤が東洋脳脊髄炎EEV、西洋脳脊髄炎WEV、ベネズエラ脳脊髄炎ウイルス(VEV)を含み、好ましくはこれら全てを含む。これらの結合価の中には、ライム病結合価、ウマ動脈炎ウィルスおよび馬狂犬病ウィルスも挙げることができる。
脳脊髄炎の遺伝子の中では、CおよびE2抗原遺伝子を用い、好ましくはE2を単独で用いるか、CとE2を組み合わせて用いる。
Lyme病の結合価はOspA、OspBおよびp100遺伝子の中から選択し、OspAが好ましい。
馬動脈炎ではE、M、N遺伝子を単独または組み合わせて用いる。
馬狂犬病ではG遺伝子が挙げられる。
【0013】
本発明のワクチン製剤は0.1から1ml、特に1から5mlの投与量で存在することができる。
投与量は一般にプラスミド型1個当り10ngから1mg、好ましくは100ngから500μg、さらに好ましくは0.1μgから50μgである。
裸のプラスミドを予防接種媒体、一般に生理食塩水(0.9% NaCl)、超高純水、TE緩衝液、その他に単に入れたものを使用するのが好ましい。当然、従来法の全ての型のポリヌクレオチドワクチンと同じ形で利用することができる。
各プラスミドは宿主細胞に挿入された遺伝子を確実に発現することができるプロモータである。これは一般に強い真核生物プロモータ、特にヒトまたはネズミに由来のサイトメガロウイルスの初期プロモータCMV-IEあるいは由来の異なるCMV-IEプロモータ、例えばラット、ブタまたはモルモット由来のプロモータである。
【0014】
一般的には、プロモータはウイルス由来または細胞由来のプロモータにすることができる。CMV-IE以外のウイルスプロモータとしてはSV40ウイルスの初期または後期プロモータまたはラウス肉腫ウイルスLTRプロモータを挙げることができる。遺伝子は得られるウイルスのプロモータ、例えば遺伝子固有のプロモータにすることもできる。
細胞プロモータとしては、細胞骨格遺伝子のプロモータ、例えばデスミンプロモータ(Bolmont達,Journal of Submicroscopic Cytology and Pathology, 1990, 22, 117-122; and Zhenlin達, Gene, 1989, 78, 243-254)またはアクチンプロモータを挙げることができる。
複数の遺伝子が同じブラスミド内に存在する場合は、これらは同じ転写ユニットまたは異なる2つのユニット内に存在することができる。
本発明の他の対象は、特定の病原体、特に東洋脳脊髄炎EEV、西洋脳脊髄炎WEV、ベネズエラ脳脊髄炎ウイルス、ライム病結合価、ウマ動脈炎ウィルスおよびその他の上記ウィルスの遺伝子をコードする一つまたは複数のプラスミドから成る単価ワクチン製剤にあり、その特徴は遺伝子の選択、組合せ、プラスミド組成、投与量、投与回数などに関しては上記特性を有することにある。
本発明のさらに他の対象は、上記の単価、多価のワクチン製剤の有効量の投与を含む四足動物、特に馬用の感染症の、予防接種方法にある。この予防接種方法はワクチン製剤の1回または数回の投与を含み、ポリヌクレオチドワクチンの公知の投与経路では投与できる。筋肉経路が好ましい。
【0015】
また、液体ジェットによって皮内径路で予防注射することもできる。特に、5から6つの穴またはノズルを有する注射器、例えばPigjet注射器(Endoscoptic,Laons、フランス)を用いて注射できる。
この注射器の投与量は0.1から0.9ml、特に0.2から0.6ml、特に0.4から0.5mlが好ましい。これらの容積は一回以上、好ましくは2回にわけて投与することができる。
上記単価ワクチンは本発明の多価ワクチンを調製するのに利用できる。
単価ワクチン製剤は他の病理を防ぐための他の型(生ワクチン、不活化全ワクチン、組換え型またはサブユニット)と組み合わせるか、ワクチンの追加抗原刺激(ブースター)として使うこともできる。
本発明のさらに他の対象は、特に全生ワクチン、弱毒化全ワクチン、サブユニットワクチン、組換えワクチンより成る群の中から選択された従来型の一般的な初期ワクチン(一価または多価)であって、交雑保護を提供するプラスミドまたは抗原によってコードされた抗原を有する(すなわち含むまたは発現可能な)初期ワクチンを用いて最初の予防接種で動物に予防接種するためのウマ用ワクチンの製造での本発明のプラスミドの使用にある。
【0016】
このポリヌクレオチドワクチンが強力なブースター(免疫追加)効果を有し、免疫応答を増幅させ、持続性のある免疫が得られる点は注目すべきである。
一般に、初期予防接種用ワクチンは種々の獣医学用ワクチンメーカーから入手可能な市販のワクチンの中から選択することができる。
本発明方法の好ましい実施例では、有効量の一般的なワクチン、特に不活性化ワクチン、生ワクチン、弱毒または組換えワクチン型またはサブユニットワクチンを動物に投与して第1の予防接種を提供した後、好ましくは2から6週間後に本発明の多価または一価のワクチンを投与する。
【0017】
本発明のさらに他の対象は、本発明のワクチン製剤と、上記の初期ワクチン接種用ワクチンとを組み合せたワクチン接種キットにある。本発明はさらに、上記の初期ワクチン接種用ワクチンの追加抗原刺激(ブスター)として使用することが記載された指示書が添付さワクチン製剤にある。
本発明はさらに、上記ワクチン製剤の製造、その結合価の製造およびその混合液の調製方法に関するものである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施例をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
ウィルスの培養
ウイルスは適当な細胞系で細胞変性効果が得られるまで培養する。各ウイルスに使用される細胞系は当業者に周知なものである。要約すると、用いるウイルスに対して敏感な細胞をイーグル(Eagle's)の最小必須培地(MEM培地)または他の適当な媒体で培養されたものに感染効率1でウイルス株を接種する。
次いで、感染した細胞を細胞変性効果が完全に現れるのに要する時間だけ37℃でインキュベートする(平均36時間)。
【実施例2】
【0019】
バクテリアの培養
破傷風バクテリアは適当な培地で、遺伝形質物を抽出するのに充分なバクテリアのバイオマスが得られる当業者に周知の条件で培養する。
本抽出はSambrook J.達(Molecular Cloning:A Laboratory Manual.2nd Edition.Cold Spring Harbor Laboratory.Cold Spring Harbor.New York.1989)が記載の慣用的な技術で実行される。
Borrelia burgdorfariの株を適当な培地で、当業者に周知の条件で培養する。
これらの条件および培地はA.Barbour(J.Biol.Med.1984.57.71-75)が記載している。細菌DNAはW.シンプソン達(Infect.Immun.1990.58.847-853)が記載の条件で抽出した。J.Sambrook達(Molacular Cloning:A Laboratory Manual.2nd Edition.Cold Spring Harbor Laboratory.Cold Spring Harbor.New York.1989)が開示の慣用技術を用いることもできる。
【実施例3】
【0020】
ウィルスのゲノムDNAの抽出
培養後、上澄みと溶解した細胞とを回収し、ウイルス懸濁液全体を+4℃で10分間、1000gで遠心分離して細胞片を除去する。次いで、ウイルス粒子を回収し、+4℃で1時間、400,000gで超遠心分離する。このペレットを最小量のバッファー(10mM Tris、1mM EDTA)に取り、硫酸ドデシルナトリウム(SDS)(最終濃度0.5%)の存在下、プロテイナーゼK(最終濃度100μg/ml)で37℃で2時間処理する。次いで、ウイルスDNAをフェノール/クロロホルム混合液を用いて抽出し、これを2容量の無水エタノールを用いて沈殿させる。・20℃で一晩放置した後、DNAを+4℃で15分間、10,000gで遠心分離する。DNAペレットを乾燥させ、次いで最小量の滅菌した超純水に取る。制限酵素で処理できる状態にある。
【実施例4】
【0021】
ウイルスゲノムRNAの単離
RNAウイルスを当業者に周知な方法で精製した。次いで、各ウイルスのゲノムウイルスRNAをP.Chromczynski and N.Sacchi(Anal.Biochem.,1987.162,156-159)が開示の「チオシアン酸グアニジウム/フェノール・クロロホルム」抽出方法を用いて単離した。
【実施例5】
【0022】
分子生物学的方法
全てのプラスミドの作製はサムブルック(Sambrook)達のMolecularCloning:ALaboratoryManual.第2版、ColdSpringHarborLaboratory.ColdSpringHarborNewYork.1989)に記載の分子生物学の標準的手法で行った。本発明で使用した全ての制限酵素断片はジェネクリーン(Geneclean)キット(BIO101Inc.LaJolla,CA)を用いて単離した。
【実施例6】
【0023】
RT-PCR技術
特異的なオリゴヌクレオチド(増幅断片のクロ−ニングを容易にするために5'末端に制限部位を有する)を合成し、増幅すべき遺伝子のコード領域(特定の実施例参照)を完全にカバーした。逆転写(RT)反応およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を標準的手法(Sambrook J達、1989)に従って行った。各RT・PCR反応は一対の特定の増幅器を用いて行い、鋳型として抽出したゲノムRNAを用いた。増幅した相補DNAをフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)で抽出し、次いで制限酵素で処理した。
【実施例7】
【0024】
プラスミドpVRlOl2
プラスミドpVR1012(図1)はサンディエゴ、カナダ、米国のバイカル社(Vical Inc.,)で得られた。この作製法はJ.Hartikka達.(Human Gene Therapy,1996,7,1205−1217)が開示している。
【実施例8】
【0025】
プラスミドpAB042(EHA-1 gD 遺伝子)の作製
PCR反応を馬ヘルペスウィルスタイプ1(EHV-1)(ケンタッキーD株)(P.Guo達J.Virol、1990、64、2399-2406)のゲノムDNAと、下記オリゴヌクレオチドとを用いて行い、糖蛋白gB(EHV-1 gB)をコードする遺伝子をPstI-NotI断片の形で単離した:
AB013(32mer)(配列番号.1)
5'AAAACTGCAGCCGTCATGTCCTCTGGTTGCCG 3'
AB014(39mer)(配列番号.2)
5'ATAAGAAGCGGCCGCTAAACATGTTTACCATTTTTTC 3'
精製の後、2981bpのPCR生産物は、PstIおよびNotIで消化し、2959bpのPstI/NotI断片を単離させた。この断片を予めPstIとBglIIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドpAB042(7841bp)(図2)を得た。
【実施例9】
【0026】
プラスミドpAB031(EHA-4 gD 遺伝子)の作製
PCR反応を馬ヘルペスウィルス タイプ4(EHV-4)(株1942)(M.Riggio達、J. Virol、1989、63、1123−1133)のゲノムDNAと、下記オリゴヌクレオチドとを用いて行い、糖蛋白gB(EHV-4gB)をコードする遺伝子をPstI-NotI断片の形で単離した:
AB071(38mer)(配列番号.3)
5'AAAACTGCAGACATGTCCACTTGTTGCCGTGCTATTTG 3'
AB074(36mer)(配列番号.4)
5'CTAGTCTAGATTAAACCATTTTTTCGCTTTCCATGG 3'
精製後、PCR生成物をPstIとXbaIで処理して2931bpのPstI/XbaI断片を単離した。この断片を予めPstIとXbaIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドpAB042(7841bp)(図3)を得た。
【実施例10】
【0027】
プラスミドpAB013(EHV-1 gD 遺伝子)の作製
タイプ1の馬ヘルペスウィルス(EHV−1)(ケンタッキーD株)(J.C.Audonnet達J.Gen.Virol.1990.71.2969-2978)のゲノムDNAと、下記オリゴヌクレオチドとを用いてPCR反応を行い、糖蛋白gB(EHV-1 gD)をコードする遺伝子をPstI/BamHI断片の形で単離した:
AB030(32mer)(配列番号.5)
5'AAAACTGCAGCATGTCTACCTTCAAGCTTATG 3'
AB031(37mer)(配列番号.6)
5'CGCGGATCCTTACGGAAGCTGGGTATATTTAACATCC 3'
精製後、1228bpのPCR生成物をPstIとBamHIで処理して1211bpのPstI/BamHI断片を単離した。この断片を予めPstIとBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドpAB0l3(6070bp)(図4)を得た。
【実施例11】
【0028】
プラスミドpABO32(EHV-4 gD 遺伝子)の作製
タイプ4の馬ヘルペスウィルス(EHV-4)(A.Cullinane達J.Gen.Virol.1993.74.1959-1964)のゲノムDNAと、下記オリゴヌクレオチドとを用いてPCR反応を行って、EHV-4(EHV-4 gD)のgD糖蛋白をPstI/BamHI断片の形でコードする遺伝子を単離した:
AB075(33mer)(配列番号.7)
5'AAAACTGCAGATATGTCTACCTTCAAGCCTATG 3'
AB076(33mer)(配列番号.8)
5'CGCGGATCCTTACGGAAGCTGAGTATATTTGAC 3'
精製後、1230bpのPCR生成物をPstIとBamHIで処理して1212bpのPstI/BamHI断片を単離した。この断片を予めPstIとBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドpAB032(6071bp)(図5)を得た。
【実施例12】
【0029】
プラスミドpAB043(プラハ株の馬インフルエンザのHA遺伝子)の作成
実施例4に記載の方法で、実施例6(馬のインフルエンザウィルス(EIV)(H7N7プラハ株)(J.マコーリー、Genbank配列番号=X62552アクセス可能)のDNAと、下記オリゴヌクレオチドとを用いて、RT-PCR反応を行って、馬インフルエンザウィルスのHA糖蛋白をSalI/BamHI断片の形でコードする遺伝子を単離した:
AB015(36mer)(配列番号.9)
5'ACGCGTCGACATGAACACTCAAATTCTAATATTAGC 3'
AB016(35mer)(配列番号.10)
5'CGCGGATCCCTTATATACAAATAGTGCACCGCATG 3'
精製後、1733bpのPCR生成物をSalIとびBamHIで処理して1720bpのSalI/BamHI断片を単離した。この断片を予めSalI/BamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドpAB043(6588bp)(図6)を得た。
【実施例13】
【0030】
プラスミドpAB033(サフォーク株の馬インフルエンザのHA遺伝子)の製作
実施例6のRT・PCR反応を、実施例4の方法に従って調製した馬のインフルエンザウィルス(EIV)(サフォーク株)(M.ビンズ、Genbank配列番号=X68437でアクセス可能)のゲノムRNAと、下記オリゴヌクレオチドとを用いて行い、馬のインフルエンザウィルスのHA糖蛋白をSalI/BamHI断片の形でコードする遺伝子を単離した:
AB077(33mer)(配列番号.11)
5'ACGCGTCGACGCATGAAGACAACCATTATTTTG 3'
AB078(34mer)(配列番号.12)
5'CGCGGATCCTCAAATGCAAATGTTGCATCTGATG 3'
精製後、1729bp RT-PCR生産物をSalIおよびBamHIで処理して1717bpのSalI/BamHI断片を単離した。この断片を予めSalIおよびBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドpAB033(6584bp)(図7)を得た。
【実施例14】
【0031】
プラスミドpAB099(Fontainebleau株の馬インフルエンザのHA遺伝子)の製作
実施例4.によって調製された馬のインフルエンザウィルス(EIV)(Fontainebleau株)のDNAと、下記オリゴヌクレオーチドとを使用していた実施例6の実施例6のRT・PCR反応を実行して、馬インフルエンザウィルス(Fontainebleau株)のHA糖蛋白をコードしている遺伝子をNotI/NotI断片の形で単離した(図8および配列番号.15):
AB186(32mer)(配列番号.13)
5'TTTGCGGCCGCATGAAGACAACCATTATTTTG 3'
AB187(35mer)(配列番号.14)
5'TTTGCGGCCGCTTACTCAAATGCAAATGTTGCATC 3'
精製後、1724bpのRT-PCR生産物をNotIで処理して1710bpのNotI/NotI断片を単離した。この断片を予めNotIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドpAB099(6625bp)(図9)を得た。こらはプロモータに対して正しい向きでHA遺伝子を有するFontainebleau株の馬インフルエンザ株を含む。
【実施例15】
【0032】
プラスミドpAB085(プラハ株の馬インフルエンザのNP遺伝子)の製作
実施例4の技術によって調製した馬インフルエンザウィルス(EIV)(H7N7プラハ株)(O.ゴーマン達、J.Virol、1991、65、3704-3714)のDNAと、以下のオリゴヌクレオチドを使用して、実施例6のRT・PCR反応を実行して、馬のインフルエンザウィルスのNP核蛋白質をコードする遺伝子をSalI/BamHI断片の形で単離した:
AB156(32mer)(配列番号.16)
5'CCGGTCGACATGGCGTCTCAAGGCACCAAACG 3'
AB159(34mer)(配列番号.17)
5'CGCGGATCCTTAATTGTCAAACTCTTCTGCATTG 3'
精製後、1515bpのRT-PCR生産物をSalIおよびBamHIで処理して1503bpのSalI/BamHI断片を単離した。この断片を予めSalIおよびBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドブラスミドpAB085(6371bp)(図10)を得た。
【実施例16】
【0033】
プラスミドpAB084(Jillin株の馬インフルエンザのNP遺伝子)の製作
実施例4の技術によって調製した馬のインフルエンザウィルス(EIV)(H3N8 Jillin株)(O.ゴーマン達J.Virol、1991、65、3704-3714)のDNAと、、以下のオリゴヌクレオチドを使用して、実施例6のRT・PCR反応を実行して、馬のインフルエンザウィルスのNP核蛋白質をコードする遺伝子をSalI/BamHI断片の形で単離した:
AB156(32mer)(配列番号。16)
5'CCGGTCGACATGGCGTCTCAAGGCACCAAACG 3'
AB157(34mer)(配列番号.18)
5'CGCGGATCCTTAATTGTCATATTCCTCTGCATTG 3'
精製後、1515bpのRT-PCR生産物をSalIおよびBamHIで処理して1503bpのSalI/BamHI断片を単離した。この断片を予めSalIおよびBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドプラスミドpAB084(6371bp)(図11))を得た。
【実施例17】
【0034】
プラスミドpABO7O(テタヌストキシンCサブユニット遺伝子)の製作
実施例2によって調製したClostridium tetani(CN3911株)(N.フェアウェザー達J.Bact,1986,165,21−27)のゲノムと、以下のオリゴヌクレオチドtoを使用して、実施例6のRT・PCR反応を実行して、Clostridi tetaniのトキシンのサブユニットCをコードする配列をPstI/BamHI断片の形で単離した:
AB128(34mer)(配列番号.19)
5'AAACTGCAGATGAAAAATCTGGATTGTTGGGTTG 3'
AB129(30mer)(配列番号.20)
5'TTTGGATCCTTAATCATTTGTCCATCCTTC 3'
精製後、1377bpのRT-PCR生産物をPstIおよびBamHIで処理して1361bpのPstI/BamHI断片を単離した。この断片を予めPstIおよびBamHで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドプラスミドpAB070(6219bp)(図12)を得た。
【実施例18】
【0035】
プラスミドpAB017(Borrelia burgdorferiのospA 遺伝子)の製作
実施例2によって調製したBorrelia burgdorferi(B31.株)(S.Bergstrom達、Mol、Microbiol、1989、3、479−486)のゲノムDNAと、以下のオリゴヌクレオチドとを使用して、実施例6のRT・PCR反応を実行して、OspA膜蛋白質をコードしている遺伝子をSalI/BamHI断片の形で単離した:
AB038(37mer)(配列番号.21)
5'ACGCGTCGACTATGAAAAAATATTTATTGGGAATAGG 3'
AB039(34mer)(配列番号.22)
5'CGCGGATCCCTTATTTTAAAGCGTTTTTAATTTC 3'
精製後、842bpのRT-PCR生産物をSalIおよびBamHIで処理して829bpのSalI/BamHI断片を単離した。この断片を予めSalIおよびBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドプラスミドpAB017(5698bp)(図13)を得た。
【実施例19】
【0036】
プラスミドpAB094(東洋脳脊髄炎ウイルスのE2遺伝子)の製作
実施例4によって調製した東洋脳脊髄炎ウイルス(EEV)(北アメリカ株82V2137)(S.Weaver達、Virology、1993、197、375-390)のゲノムDNAと、以下のオリゴヌクレオチドとを使用して、実施例6のRT・PCR反応を実行して、EEVのE2糖蛋白をコードする遺伝子をPstI/BamHI断片の形で単離した:
AB176(34mer)(配列番号.23)
5'AAACTGCAGATGGATTTGGACACTCATTTCACCC 3'
AB177(44mer)(配列番号.24)
5'CGCGGATCCTCAATAAAAATCATGCCCTCGTCGGCTTAATGCAG 3'
精製後、1294bpのRT-PCR生産物をPstIおよびBamHIで処理して1278bpのPstI/BamHI断片を単離した。この断片を予めPstIおよびBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドプラスミドpAB094(6136bp)(図14)を得た。
【実施例20】
【0037】
プラスミドpAB093(東洋脳脊髄炎ウイルスのC遺伝子)の製作
実施例4によって調製した東洋脳脊髄炎ウイルス(EEV)(北アメリカ株82V2137)(S.Weaver達、Virology、1993、197、375-390)のゲノムDNAと、以下のオリゴヌクレオチドとを使用して、実施例6のRT・PCR反応を実行して、カプシドたんぱく質C(EEV C)をコードする遺伝子をPstI/BglII断片の形で単離した:
AB174(33mer)(配列番号.25)
5'AAACTGCAGATGTTCCCATACCCTACACTTAAC 3'
AB175(45mer)(配列番号.26)
5'TGAAGATCTTCAATAAAAATCACCATGGCTCTGACCCCTCTGGTG 3'
精製後、801bpのRT-PCR生産物をPstIおよびBglIIで処理して785bpのPstI/BglII断片を単離した。この断片を予めPstIおよびBglIIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドプラスミドpAB093(5650bp)(図15)を得た。
【実施例21】
【0038】
プラスミドpAB096(西洋脳脊髄炎ウイルスのE2遺伝子)の製作
実施例4によって調製した西洋脳脊髄炎ウイルス(WEV)(BSF 1703株)(C.ハーン達、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1988.85.5997−6001)のゲノムDNAと、以下のオリゴヌクレオチドとを使用して、実施例6のRT・PCR反応を実行して、WEVのE2糖蛋白をコードする遺伝子をSalI/BamHI断片の形で単離した:
AB180(35mer)(配列番号.27)
5'ACGCGTCGACATGAGCATTACCGATGACTTCACAC 3'
AB181(44mer)(配列番号.28)
5'CGCGGATCCTCAATAAAAATCAAGCGTTGGTTGGCCGAATACAG 3'
精製後、1304bpのRT-PCR生産物をSalIおよびBamHIで処理して1291bpのSalI/BamHI断片を単離した。この断片を予めSalIおよびBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドプラスミドpAB096(6159bp)(図16)を得た。
【実施例22】
【0039】
プラスミドpAB095(西洋脳脊髄炎ウイルスのC遺伝子)の製作
実施例4によって調製した西洋脳脊髄炎ウイルス(WEV)(BSF 1703株)(C.Hahn et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1988.85.5997-6001)のゲノムDNAと、以下のオリゴヌクレオチドとを使用して、実施例6のRT・PCR反応を実行して、WEVウィルスのCカプシドたんぱく質をコードする遺伝子をSalI/BamHI断片の形で単離した:
AB178(34mer)(配列番号.29)
5'ACGCGTCGACATGTTTCCATACCCTCAGCTGAAC 3'
AB179(44mer)(配列番号.30)
5'CGCGGATCCTCAATAAAAATCACCACGGTTCAGAACCTTCGGGG 3'
精製後、809bpのRT-PCR生産物をSalIおよびBamHIで処理して796bpのSalI/BamHI断片を単離した。この断片を予めSalIおよびBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドプラスミドpAB095(5664bp)(図17)を得た。
【実施例23】
【0040】
プラスミドpAB098(ベネズエラ脳脊髄炎ウイルスのE2遺伝子)の製作
実施例4によって調製したベネズエラ脳脊髄炎ウイルス(VEV)(P676株(IC型)(R.Kinney et al.Virology.1992.191.569-580)のゲノムDNAと、以下のオリゴヌクレオチドとを使用して、実施例6のRT・PCR反応を実行して、VEVウィルスのE2糖蛋白をコーする遺伝子をSalI/BamHI断片の形で単離した:
AB184(35mer)(配列番号.31)
5'ACGCGTCGACATGTCCACCGAGGAGCTGTTTAAGG 3'
AB185(44mer)(配列番号.32)
5'CGCGGATCCTCAATAAAAATCAGGCCCGGGCAGTGCGGGCGCA G 3'
精製後、1304bpのRT-PCR生産物をSalIおよびBamHIで処理して1291bpのSalI/BamHI断片を単離した。この断片を予めSalIおよびBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドプラスミドpAB098(6159bp)(図18)を得た。
【実施例24】
【0041】
プラスミドpAB097(ベネズエラ脳脊髄炎ウイルスのC遺伝子)の製作
実施例4によって調製したベネズエラ脳脊髄炎ウイルス(VEV)(P676株(IC型)(R.Kinney et al.Virology.1992.191.569-580)のゲノムDNAと、以下のオリゴヌクレオチドとを使用して、実施例6のRT・PCR反応を実行して、VEVウィルスのCカプシドたんぱく質をコードする遺伝子をPstI/BamHI断片の形で単離した:
AB182(30mer)(配列番号.33)
5'AAACTGCAGATGTTCCCGTTCCAGCCAATG 3'
AB183(45mer)(配列番号.34)
5'CGCGGATCCTCAATAAAA.ATCACCATTGCTCGCAGTTCTCCGGAG 3'
精製後、856bpのRT-PCR生産物をPstIおよびBamHIで処理して839bpのSalI/BamHI断片を単離した。この断片を予めPstIおよびBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドプラスミドpAB097(5698bp)(図19)を得た。
【実施例25】
【0042】
プラスミドDAB04l(狂犬病ウィルスのG遺伝子)の製作
実施例4によって調製した狂犬病ウィルス(ERA株)(A.Anilionis et al.Nature.1981.294.275-278)のゲノムDNAと、以下のオリゴヌクレオチドとを使用して、実施例6のRT・PCR反応を実行して、狂犬病ウィルスのG蛋白をコードする遺伝子を含む1589bpの断片を増幅した:
ABO11(33mer)(配列番号.35)
5'CTGCAGAGATGGTTCCTCAGGCTCTCCTG 3'
AB012(34mer)(配列番号.36)
5'CGCGGATCCTCACAGTCTGGTCTCACCCCCACTC 3'
精製後、RT-PCR生産物をPstIおよびBamHIで処理して1578bpのSalI/BamHI断片を単離した。この断片を予めPstIおよびBamHIで処理したベクターpVR1012(実施例7)に導入してプラスミドプラスミドpAB04l(6437bp)(図20)を得た。
【実施例26】
【0043】
プラスミドの調製と精製
動物の予防接種用のプラスミドを調製するためにスーパーコイル状の精製したプラスミドの懸濁液が得られる任意の方法を用いることができる。これらの方法は当業者に周知である。特に、アルカリ法の後に臭化エチジウムの存在下、塩化セシウム勾配で連続2回の超遠心分離を行うサムブルック(Sambrook)達(Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory.Cold Spring Harbor New York.1989)が記載の方法を挙げることができる。参考文献としては、予防接種に使用可能なプラスミドの工業規模の製造方法を記載した国際特許出願PCT WO 95/21250号およびPCT WO 96/02658号も挙げることができる。ワクチンを製造するためには(実施例17参照)、精製したプラスミドを再懸濁して貯蔵可能な高濃度(>2mg/ml)の溶液を得る。このために、プラスミドを超純水またはTEバッファー(10mM Tris−HCl、1mM EDTA,pH8.0)に再懸濁する。
【実施例27】
【0044】
組み合せワクチンの製造
組み合せワクチンの製造に必要な各プラスミドをそれぞれの濃厚溶液(実施例16)から混合する。この混合液を各プラスミドの最終濃度が各プラスミドの有効量に対応するように調製する。ワクチンの最終濃度を調節するのに使用できる溶液は0.9%NaCl溶液またはPBSバッファーにすることができる。
このワクチンの製造には特殊配合物、例えばリポソーム、カチオン脂質も使用できる。
【実施例28】
【0045】
ウマへの予防注射
プラスミド1個当り100、250または500μgの投与量でウマに予防注射した。注射は注射針を用いる筋肉内経路によって行うことができる。ネック筋肉に無針注射で筋内径路で2mlの投与量を投与する。
注射は0.2mlの投与量を5つのポイント(注射点当たり0.04ml)(例えばOPIGJETOの器具)に液体ジェット注射器(可動子なし)を使用している皮内の径路を用いて、実行されることができる。この場合、0.2または0.4mlの体積(それぞれ1回または2回の投与に対応)を投与する。
PIGJETの注射器を使用2回連続投与する場合には、2つの注射区域が互いに約1から2センチメートル離れるように空間をあける。
【0046】
配列番号リスト
配列番号.1:オリゴヌクレオチドABO13
配列番号.2:オリゴヌクレオチドAB014
配列番号.3:オリゴヌクレオチドAB071
配列番号.4:オリゴヌクレオチドAB074
配列番号.5:オリゴヌクレオチドAB030
配列番号.6:オリゴヌクレオチドABO31
配列番号.7:オリゴヌクレオチドAB075
配列番号.8:オリゴヌクレオチドAB076
配列番号.9:オリゴヌクレオチドAB015
配列番号.10:オリゴヌクレオチド016
配列番号.11:オリゴヌクレオチド077
配列番号.12:オリゴヌクレオチドAB078
配列番号.13:オリゴヌクレオチドAB186
配列番号.14:オリゴヌクレオチドAB187
配列番号.15:Fontainebleau馬インフルエンザ株のHA遺伝子配列
配列番号.16:オリゴヌクレオチドAB156
配列番号.17:オリゴヌクレオチドAB159
配列番号.18:オリゴヌクレオチドAB157
配列番号.19:オリゴヌクレオチドAB128
配列番号.20:オリゴヌクレオチドAB129
配列番号.21:オリゴヌクレオチドAB038
配列番号.22:オリゴヌクレオチドAB039
配列番号.23:オリゴヌクレオチドAB176
配列番号.24:オリゴヌクレオチドAB177
配列番号.25:オリゴヌクレオチドAB174
配列番号.26:オリゴヌクレオチドAB175
配列番号.27:オリゴヌクレオチドAB180
配列番号.28:オリゴヌクレオチドAB181
配列番号.29:オリゴヌクレオチドAB178
配列番号.30:オリゴヌクレオチドAB179
配列番号.31:オリゴヌクレオチドAB184
配列番号.32:オリゴヌクレオチドAB185
配列番号.33:オリゴヌクレオチドAB182
配列番号.34:オリゴヌクレオチドAB183
配列番号.35:オリゴヌクレオチドABOll
配列番号.36:オリゴヌクレオチドAB012
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】プスミドPVR1012
【図2】プラスミドpAB042
【図3】プラスミドpAB031
【図4】プラスミドpABOl3
【図5】プラスミドpAB032
【図6】プラスミドpAB043
【図7】プラスミドpAB033
【図8−1】Fontainbleau株の馬インフルエンザHA遺伝子の配列
【図8−2】Fontainbleau株の馬インフルエンザHA遺伝子の配列
【図9】プラスミドpAB099
【図10】プラスミドpAB085
【図11】プラスミドpAB084
【図12】プラスミドpAB070
【図13】プラスミドpAB017
【図14】プラスミドpAB094
【図15】プラスミドpAB093
【図16】プラスミドpAB096
【図17】プスミドpAB095
【図18】プラスミドpAB098
【図19】プラスミドpAB097
【図20】プラスミドpAB04l

【特許請求の範囲】
【請求項1】
EHV gB、gD、又はgB及びgDをコードする(1又は複数の)配列を有する(1又は複数の)核酸分子を含み、ウマ宿主細胞においてインビボで発現させる少なくとも1つのプラスミドと、薬学的に許容される担体とを含む、ウマ宿主にウマ鼻腔肺炎ウイルス(EHV)に対する免疫応答を誘導するための免疫原性組成物。

【請求項2】
EHV gB及びgDをコードする(1又は複数の)配列を有する(1又は複数の)核酸分子を含み、ウマ宿主細胞においてインビボで発現させるプラスミドを含む、請求項1記載の免疫原性組成物。

【請求項3】
EHV gBをコードする配列を有する核酸分子を含み、ウマ宿主細胞においてインビボで発現させる第1プラスミドと、EHV gDをコードする配列を有する核酸分子を含み、ウマ宿主細胞においてインビボで発現させる第2プラスミドとを含む、請求項1記載の免疫原性組成物。

【請求項4】
EHVが、EHV−1であることを特徴とする、請求項1記載の免疫原性組成物。

【請求項5】
EHVが、EHV−1であることを特徴とする、請求項2記載の免疫原性組成物。

【請求項6】
EHVが、EHV−1であることを特徴とする、請求項3記載の免疫原性組成物。

【請求項7】
EHVが、EHV−4であることを特徴とする、請求項1記載の免疫原性組成物。

【請求項8】
EHVが、EHV−4であることを特徴とする、請求項2記載の免疫原性組成物。

【請求項9】
EHVが、EHV−4であることを特徴とする、請求項3記載の免疫原性組成物。

【請求項10】
(1又は複数の)核酸分子が、EHV−1由来の核酸分子と、EHV−4由来の核酸分子とを含むことを特徴とする、請求項1記載の免疫原性組成物。

【請求項11】
(1又は複数の)核酸分子が、EHV−1由来の核酸分子と、EHV−4由来の核酸分子とを含むことを特徴とする、請求項2記載の免疫原性組成物。

【請求項12】
(1又は複数の)核酸分子が、EHV−1由来の核酸分子と、EHV−4由来の核酸分子とを含むことを特徴とする、請求項3記載の免疫原性組成物。

【請求項13】
脳脊髄炎ウイルスC、E2、又はC及びE2タンパク質をコードする(1又は複数の)配列を有する(1又は複数の)核酸分子を含み、ウマ宿主細胞においてインビボで発現させる少なくとも1つのプラスミドと、薬学的に許容される担体とを含む、ウマ宿主に脳脊髄炎ウイルスに対する免疫応答を誘導するための免疫原性組成物。

【請求項14】
脳脊髄炎ウイルスE2タンパク質をコードする配列を有する核酸分子を含み、ウマ宿主細胞においてインビボで発現させるプラスミドを含む、請求項13記載の免疫原性組成物。

【請求項15】
脳脊髄炎ウイルスCタンパク質をコードする配列を有する核酸分子を含み、ウマ宿主細胞においてインビボで発現させる第1プラスミドと、脳脊髄炎ウイルスE2タンパク質をコードする配列を有する核酸分子を含み、ウマ宿主細胞においてインビボで発現させる第2プラスミドとを含む、請求項13記載の免疫原性組成物。

【請求項16】
脳脊髄炎ウイルスC及びE2タンパク質をコードする(1又は複数の)配列を有する(1又は複数の)核酸分子を含み、ウマ宿主細胞においてインビボで発現させるプラスミドを含む、請求項13記載の免疫原性組成物。

【請求項17】
脳脊髄炎ウイルスが、東洋脳脊髄炎ウイルス、西洋脳脊髄炎ウイルス、及びベネズエラ脳脊髄炎ウイルスからなる群より選択されることを特徴とする、請求項13記載の免疫原性組成物。

【請求項18】
脳脊髄炎ウイルスが、東洋脳脊髄炎ウイルス、西洋脳脊髄炎ウイルス、及びベネズエラ脳脊髄炎ウイルスからなる群より選択されることを特徴とする、請求項14記載の免疫原性組成物。

【請求項19】
脳脊髄炎ウイルスが、東洋脳脊髄炎ウイルス、西洋脳脊髄炎ウイルス、及びベネズエラ脳脊髄炎ウイルスからなる群より選択されることを特徴とする、請求項15記載の免疫原性組成物。

【請求項20】
脳脊髄炎ウイルスが、東洋脳脊髄炎ウイルス、西洋脳脊髄炎ウイルス、及びベネズエラ脳脊髄炎ウイルスからなる群より選択されることを特徴とする、請求項16記載の免疫原性組成物。

【請求項21】
(1又は複数の)核酸分子が、東洋脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子、西洋脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子、及びベネズエラ脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子を含むことを特徴とする、請求項13記載の免疫原性組成物。

【請求項22】
(1又は複数の)核酸分子が、東洋脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子、西洋脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子、及びベネズエラ脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子を含むことを特徴とする、請求項14記載の免疫原性組成物。

【請求項23】
(1又は複数の)核酸分子が、東洋脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子、西洋脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子、及びベネズエラ脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子を含むことを特徴とする、請求項15記載の免疫原性組成物。

【請求項24】
(1又は複数の)核酸分子が、東洋脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子、西洋脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子、及びベネズエラ脳脊髄炎ウイルス由来の核酸分子を含むことを特徴とする、請求項16記載の免疫原性組成物。

【請求項25】
全生ワクチン、不活性化全ワクチン、サブユニットワクチン、及び組換えワクチンからなる群より選択されるワクチンをウマに投与し、その後請求項1〜12、及び13〜24のいずれかに記載の免疫原性組成物を前記ウマに投与することを含む、ウマに免疫応答を誘導する方法。

【請求項26】
請求項1〜12、及び13〜24のいずれかに記載の免疫原性組成物をウマに投与することを含む、ウマに免疫応答を誘導する方法。

【請求項27】
(i)請求項1〜12、及び13〜24のいずれかに記載の免疫原性組成物と、(ii)全生ワクチン、不活性化全ワクチン、サブユニットワクチン、及び組換えワクチンからなる群より選択されるウマ用ワクチン、とを含むキット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−143900(P2008−143900A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316669(P2007−316669)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【分割の表示】特願平9−532943の分割
【原出願日】平成9年7月15日(1997.7.15)
【出願人】(304022218)
【Fターム(参考)】