説明

ウレタンフォーム、その製造方法及び使用

本発明は、少なくとも1種の疎水性ポリオールを含むポリオール成分とポリイソシアネート成分とを発泡剤の存在下で反応させて得られる、水を通さない柔軟性ウレタンフォームに関する。本発明は、その50%圧縮のための圧縮力が12kPa以下であることを特徴とする。本発明のフォームの密度は、有利には150kg/m2以下であり、好ましくは60kg/m2である。このフォームは、横たわる発泡体を製造する方法により、又は成形により、得ることができる。本発明の発泡体は水を通さない接合部として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールとして用いることができる気泡材料の分野に関し、より詳細には、ウレタンフォーム、その製造及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車組み立て分野においては、寸法の変動が広い公差で許容される大量生産部品間をシールする問題に対する解決策を提供することは簡単ではない。
【0003】
この問題は、シール材料がいくつかの機能、すなわち振動の軽減、空気に対する不透過性及び水(雨降り時及び高圧水を使用しての洗浄時の流れ)に対する不透過性を有する、外部車体要素に取り付けられるか又はエンジン室を乗員室に接続する部品の場合に、なお一層重大である。従って、シールしようとする部品を変形することなしに寸法公差に適応するのに十分柔軟性であるシール材料が追求される。しかし、一般に材料の柔軟性は、シール性能、特に水に対するシールのそれを害する傾向にあり、漏れの危険性はシールが柔軟性になればなるほど高くなる。
【0004】
自動車産業では、最適な材料は、必要とされる密度と柔軟性レベルを達成するのを可能にするポリウレタンである。しかし、この材料は一般に、水不透過性の望ましいレベルを提供しない。
【0005】
本出願人により開発された一つの技術は、部品の表面上を案内される押出しヘッドによるシール組成物の現場被着により、各部品上に気泡シールを作ることに存する。例えばヨーロッパ特許第930323号明細書に記載されているこの技術は、特に材料の水不透過性を保証する、シールの全表面上に不透過性表層を形成するのを可能にする。
【0006】
しかし、この技術は各製造作業場で適切な設備を使用するのを前提としており、これはコストの点で必ずしも適当であるとは限らない。
【0007】
これが、すぐに使える気泡材料、特に随意的に自己接着性のテープの形態をとるものを手に入れることが望ましいことの理由である。
【0008】
こうした材料は、一般に、最大厚さが200mmの発泡体の架橋シートを製造するように処理(一般に熱処理)ステーションを通り抜けるコンベヤベルト上に発泡性組成物を比較的厚い層として流延する、流延発泡体技術と呼ばれる技術を用いて製造することが可能である。シートをその後巻き上げてロールにし、それを細断してスライスにし、それ自体の上に巻き上げられるテープを提供する。細断してスライスにするため、テープはその側表上に表層を持たず、発泡体の気泡は直接大気と接触する。
【0009】
スラブストック法と呼ばれるこの方法の変更版では、1に近い高さ/幅比を得るように発泡性材料の量がより多くなる。一般的に約1〜2メートルの発泡材料の厚さを作りだすように、多量の発泡性混合物を受入れベルト上に流す。塊は中心まで確実にすっかり架橋するのに要する時間保持され、その後細断して、それ自体を上述のように細断してテープにすることが可能である水平スライスにされる。これらの細断の結果として、材料は表層を持たず、発泡体の気泡は全ての側面で大気と直接接触する。
【0010】
これらの方法は一般に、気泡が閉じるときに起こる収縮現象を避けるために、開放気泡を有する発泡体を作りだす。しかし、気泡を環境にさらすことは、シール性の観点からは不利である。
【0011】
しかし、これらの技術は、自動車産業における公差に適応することができる柔軟性ウレタンフォームを製造するのを可能にする。
【0012】
従って、これらの方法により製造することができる柔軟性発泡体の構成材料を、より良好な水不透過性を達成する目的で疎水性にするための種々の手段が提案されている。
【0013】
第1は、ワックス、タール、ビチューメン、ポリブタジエン、フタル酸ジアルキル、C4-9分解留分の重合により得られる石油樹脂を取入れることにより、発泡体に疎水性物質を含浸させることを基にする(特開昭55−71777号公報参照)。
【0014】
別のアプローチは、重合混合物の成分として疎水性ポリオールを用いることにある。例えば、米国特許第4264743号明細書には、ポリイソシアネート成分、及び主要部分が脂肪酸二量体又はヒマシ油から誘導されるポリオールからなるポリオール成分から出発する柔軟性又は半硬質ウレタンフォームの製造が記載されている。
【0015】
脂肪酸二量体又はヒマシ油の親油性鎖の存在は、発泡体の構成材料と水との接触角を90°以上に増大させ、それによって不透過特性を改善する。ポリオールとポリイソシアネートとの反応は、少なくとも0.9の混合物中のポリイソシアネート/活性水素比(一般にNCO/OHモル比で表される指標)で、発泡剤(水又は他の作用物質)、発泡安定剤としてのシリコーン界面活性剤、及び触媒の存在下で行われる。
【0016】
水不透過性は、発泡体の正方形の中心に丸い孔を切り込み、この発泡体片を水平に保持した2枚のPMMA(プレキシグラス)シートと密接に接触させ、発泡体を75%圧縮し、水を上部のPMMAシートにあけた孔を通して空洞中に導入し、そして所定の水圧に対して発泡体の正方形の全ての周囲の漏れを測定することにより測定される。
【0017】
この組成物の製品の例には、NHK及びRecticelにより市販されている商標名SUPERSEAL及びSUPERSHEETの製品がある。しかし、これらの製品は、一部の用途で要求されることがあるほど柔軟性あるいは不透過性でないことが分かっており、従ってそれらは、満足のいく水不透過性を保ちながら柔軟性の観点から改善すること、又は同様の柔軟性を保ちながら水不透過性の観点から改善することはできなかろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
この目標及び以下に示される他の目標は、本発明により解決される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
従って、本発明の対象は、発泡剤の存在下で少なくとも1種の疎水性ポリオールを含むポリオール成分を少なくとも1種のポリイソシアネート成分と反応させることにより得られる水不透過性の柔軟性ウレタンフォームであって、ASTM D3574E規格による50%圧縮のための圧縮力が12kPa以下であることを特徴とする水不透過性の柔軟性ウレタンフォームである。
【0020】
本願において、用語「ポリオール成分」は、単一のポリオール化合物又はいくつかのポリオール化合物の混合物を意味する。同様に、用語「ポリイソシアネート成分」は、単一のポリイソシアネート又は複数のポリイソシアネートの混合物を意味する。
【0021】
本発明によれば、水不透過性は「Uテスト」と呼ばれる試験により測定され、この試験では、正方形又は長方形断面のストリップを発泡体シートから切り出し、このストリップをU形状にして一緒に把持した2枚の透明ガラス板の間に配置し、U形状の窪みの中に所望の水圧を生じさせるのに十分な高さまで水を注ぎ入れ、そしてUの外部輪郭の周りの漏れの出現を板との界面で、且つまた発泡体の厚さを通して観察する。この試験によると、本発明の発泡体は、10cmの水高さ及び30%のみの発泡体圧縮に対して、少なくとも1時間不透過性シールを提供する。
【0022】
本発明は、これまで知られなかった柔軟性と水不透過性の歩み寄りを達成し、発泡体の柔軟性は、その圧縮力が不透過性を危うくすることなしに約8kPa(50%圧縮に対して)ほどの低いものであるようなものであることが可能である。
【0023】
本発明による発泡体は、150kg/m3以下、特に100kg/m3以下の密度を有することが可能である。好ましい態様では、発泡体は、低密度、例えば60kg/m3を超えない、特に約45〜60kg/m3の密度を有する。
【0024】
本発明による発泡体の柔軟性は、恐らく組み合わせることが可能である種々の方法でもって、ポリウレタン網状組織の三次元的広がりを制限することにより得ることができる。
【0025】
一つの態様によれば、ポリオール成分、特に少なくとも一つの疎水性ポリオール、及びポリイソシアネート成分からの少なくとも一つの成分が、厳密に2を超える、特に少なくとも2.1の官能性を有し、且つ0.90未満の指標を選ぶことにより混合物の化学量論に作用する原料が選ばれる。
【0026】
本発明によれば、上記の指標は、イソシアネート官能基の、当該イソシアネートと反応する反応性官能基、一般的にはアルコール型化合物又は水が有するヒドロキシル基、に対するモル比として定義される。
【0027】
詳細には、ポリオール及びポリイソシアネート成分のそれぞれは、2を超える、特に2と2.5の間の官能性を有することが可能である。
【0028】
ポリオール及び/又はポリイソシアネート成分の2を超える官能性は、これらの化合物間の反応から生じるポリウレタンの分子量の急激な増加をもたらす。比較的低い指標は、ポリオール又は他のアルコール官能基が過剰であることに対応し、その結果それと反応しようとするイソシアネート基が見つからないOH基を末端に有する高分子鎖の存在をもたらして、そのため三次元網状組織は破壊される。しかし、系にとっては申し分なく架橋されることで十分であり、これは溶媒抽出試験により有機物質が回収されないことによって確認することができる。
【0029】
好ましくは、ポリオール及びポリイソシアネート成分は、剛性の要因である網状組織の三次元的広がりを制限するために、比較的制限された官能性を有する。有利には、ポリオール成分は2.1と2.3の間の官能性を有し、ポリイソシアネート成分は2.1と2.3の間の官能性を有する。
【0030】
更に、0.9未満、好ましくは0.85以下、特にほぼ0.70〜0.85の指標が、発泡体の柔軟性の観点から特に有利であることが判明する。
【0031】
別の態様によれば、反応の化学量論を、1に近く、特に1.1を超えない指標で、但しこの混合物中に、停止剤として作用してそれにより三次元の広がりを制限する化合物の、単官能性アミン又はアルコールタイプ(そのOH又はNH2基の活性水素が指標の計算に用いられる)の少なくとも1種の化合物を取入れることにより、維持することが可能である。この場合には、二官能性を超えるポリオール及び/又はポリイソシアネート原料が選択され、すなわち、ポリオール成分及び/又はポリイソシアネート成分は厳密に2より大きい官能性を有する。こうした単官能性アミン又はアルコール化合物は、置換されてもよく置換されなくてもよい直鎖、分岐鎖、環式又は複素環式脂肪族アルコール、例えば、脂肪族又は脂肪鎖、特にC12-22鎖を有する、C1-22アルコール、例えばメタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、イソオクタノール、ドデカノール、C6以上の芳香族アルコール、又は実際のところヒドロキシル基を末端に持つポリマーから、特に選択することが可能である。
【0032】
疎水性ポリオール化合物の使用は、発泡体の疎水性に大いに寄与する。
【0033】
本発明による有用な疎水性ポリオール化合物は、特に少なくとも12個、好ましくは少なくとも16又は18個の炭素原子を含有する、脂肪炭化水素鎖を有するのが有利である。
【0034】
本発明による一つの特に好ましいポリオールは、脂肪酸二量体から得られる。有利には、それはC20-44、好ましくはC32-36の脂肪鎖を有する。それは、好ましくは、ポリオールによる脂肪酸二量体の二重エステル化の結果として得られる。実例として、日立社により供給される商標名TESLACの製品を挙げることができる。
【0035】
幾分それほどは好ましくない態様によれば、ポリオール成分は、疎水性ポリオールと非疎水性ポリオール、特にポリエーテル又はポリエステル鎖を有するものの、疎水性ポリオールの量が支配的である混合物であることが可能である。非疎水性ポリオール成分は、実際には、水不透過性に悪影響を及ぼさないために限定された量で用いられる。
【0036】
更に、ポリイソシアネート成分は、p−フェニレンジイソシアネート、trans−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネート−メチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)及びその異性体、4,4’−メチレンビスフェニルイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)(2,4’−MDI)、2,2’−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)(2,2’−MDI)、原料のまま又は高分子のMDI、2,4−トルエンジイソシアネート(TDI)及び2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)から選択される、低分子量で少なくとも2に等しい官能性の少なくとも1種の成分を含むことが可能である。好ましくは、それは主としてメチレン−ビス−4,4’−フェニルイソシアネート(MDI)を、随意的に他のポリイソシアネート、例えば上述のものなどとの混合物として、含む。この化合物は、ポリウレタンの硬質部分の結晶性を壊す2,4’異性体を有意の割合、例えば少なくとも30モル%、含有することが、特に最も有利であることが分かる。
【0037】
幾分それほどは好ましくない態様によれば、ポリイソシアネート成分は随意的に、イソシアネート末端オリゴマー又はポリマー、特に、ポリエーテル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリジメチルシロキサン、又はポリカプロラクトンオリゴマー又はポリマーを含むことが可能であり、このオリゴマー又はポリマーの分子量は10000g/モルを超えず、好ましくは約250〜4000g/モル、特に300〜1000g/モルである。好ましくは、オリゴマー主鎖は、脂肪族及び/又は芳香族ポリエステルタイプのもの、好ましくは本質的に芳香族、とりわけ脂肪族グリコール、できるならばジエチレングリコール、及び脂肪族及び/又は芳香族の酸から得られるもの、あるいは、ポリエーテルタイプのもの、とりわけポリエチレンオキシド及び/又はポリプロピレンオキシド又はポリテトラヒドロフランのものである。ポリイソシアネート化合物の例は、BASFのLUPRANAT、HuntsmanandのSUPRAEC、BayerのMONDURの商標名の製品である。こうしたオリゴマーのポリイソシアネート化合物は、好ましくは、水不透過性に悪影響を及ぼさないように制限された量で用いられる。
【0038】
発泡体を製造するために用いられる発泡剤は、好ましくは、化学発泡剤、すなわち気泡形成ガスを放出するために反応混合物の成分と反応するそれである。発泡性混合物の組成の一部を構成するこうした反応剤は、有利には水である。それは発泡に寄与する二酸化炭素を発生するためにイソシアネートと反応する。それは、別のタイプの物理的発泡剤(加圧ガス又は溶解した揮発性ガス)と組み合わせるか、又はそれで置き換えることが可能である。
【0039】
混合物は、好ましくはポリイソシアネート化合物又はポリオール化合物と反応する少なくとも1つの反応性官能基を有する、発泡体安定用界面活性剤を含むのが更に有利である。これらの反応性官能基は、界面活性剤とポリウレタンポリマーそれ自体との間に化学結合が生じさせて、それにより、例えば、換気が実質的な距離にわたり粒子を同伴する可能性がある自動車におけるように、発泡体に近くなくとも、冷たい表面上に目に見える堆積物を生じさせる傾向のある、フォギングとして知られる有機化合物放出の現象を制限するのを可能にする。
【0040】
このタイプの界面活性剤の例は、ヒドロキシル基でグラフト化される、例えばペンダントのヒドロキシル基を有するポリマーでグラフト化されるポリジメチルシロキサンの誘導体、特にヒドロキシル末端ポリエーテル鎖によりグラフト化されるものの誘導体である。
【0041】
本発明によるウレタンフォームはまた、染料又は顔料、充填剤、チキソトロープ剤、難燃剤、酸化防止剤、殺菌剤及び殺生剤などの、1種以上の他の標準的添加剤を含有することも可能である。界面活性剤と同じように、こうした別の添加剤には、それがポリマー網状組織中に組み込まれそれと連結されて、フォギング現象を制限するように、ポリイソシアネート又はポリオール化合物と反応する反応性官能基を持たせることが可能である。
【0042】
本発明による発泡体は、種々の方法により、特に発泡体シートを形成する流延発泡体法により、あるいは成形法、とりわけ三次元発泡体部品を形成することができる射出成形又は開放金型中への注型による成形法により、得ることが可能である。
【0043】
本発明の対象はまた、こうしたウレタンフォームを製造するための方法である。それは、以下の工程、すなわち、
ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及び発泡剤を含む反応混合物を調製する工程、
反応混合物をコンベヤベルト上に流延する工程、及び、
コンベヤベルト及び流延した混合物を架橋オーブンを通過させる工程、
を含む。有利には、流延混合物の上に上部保護膜を被着させ、そしてコンベヤベルトと上部保護膜により覆われた流延混合物を架橋オーブンを通過させる。上部保護膜の使用は、不透過性上部表層の形成を可能とし、そして発泡体形成ガスが流延混合物の表面を介して逃げるのを防ぎ、こうして低密度発泡体の形成に寄与する。
【0044】
他方の面の不透過性表層の形成を制御するように、コンベヤベルト上に事前に下部保護膜を配置することも可能である。
【0045】
有利には、下部保護膜又は上部保護膜に、自己接着性発泡体を構成するように、その反応混合物と接触する面に接着剤を提供することが可能である。
【0046】
下部保護膜及び/又は上部保護膜を除去し、接着剤を備えた別の膜を発泡体ストリップの自由な面につけることも可能である。
【0047】
本発明の対象はまた、反応混合物を密閉又は開放の金型中に射出するか又は注型し、混合物を金型中で架橋させるもう一つの方法である。
【0048】
最後に、本発明の対象は、上に定義される発泡体を水不透過性シールとして使用することである。
【0049】
次に、以下の限定しない例でもって本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0050】
〔反応混合物の調製と適用〕
これらは、図1に示した装置のような流延発泡体製造装置で行われる。
【0051】
1種以上のポリオール化合物2を、界面活性剤3、及び他の添加剤、例えば染料、顔料又は充填剤4、発泡剤としての水5、そして触媒6などと、室温で混合することにより、ポリオール相を1で調製する。また、7で、適切な場合にはいくつかのイソシアネート化合物8及び9を混合することにより、ポリイソシアネート相を調製する。
【0052】
次に、それ自体は公知の混合ヘッド10を用いて、ポリオール相をポリイソシアネート相と混合する。気泡構造体の再現性をより良好にするために、従来技術により材料中に含有されるガスの量を制御するのが有利であろう。
【0053】
ポリオール相/ポリイソシアネート相混合物を、11において、こびりついてもよくこびりつかなくてもよい伸びない連続基材を形成する下部膜12上に望ましい厚さで流し出す。こびりつかない被覆の例には、シリコーン処理紙及びテフロン(登録商標)被覆の布帛などの材料である。被覆直後に、膜12と同じか又は異なる上部膜13を、混合物層に貼り付ける。その後、組立て品全体は、種々の独立に制御される温度領域に分割してもよい架橋オーブン14を、架橋を完了させるために十分な速度で且つ十分な時間通り抜ける。オーブンの出口には、架橋工程でリサイクルすることができる上部膜13を剥ぎ取るためと、それをロールの形態で回収するための装置15があってもよい。
【0054】
〔発泡体の評価〕
これは、得られた発泡体について、できる限りそれを保護する膜を除去し、従って発泡体シートの主表面に形成された2つの表層を暴露して、行われる。
【0055】
この場合、発泡体の密度とASTM D3574E規格による50%圧縮力を測定する。
【0056】
上述の不透過性試験を行い、すなわち、長さが300mmで幅が少なくとも12mmの、好ましくは断面が正方形のストリップを、発泡体シートから切り出す。このストリップを、イソプロピルアルコールを用いて前もって洗浄した2枚の透明ガラス板の間にU字状にして取り付け、表層のあるストリップの表面はガラスに接触して配置する一方、切断により生じた側表面はガラス板の間の空間に露出させる。ストリップがその最初の厚さに比べて30%圧縮されるように、スペーサを用いてガラス板の間隔を離す。組立て品全体を23±2℃で30分間放置して安定させる。次に、最大深さが100mmになるように、Uの窪みに水を注ぐ。Uの外側輪郭周りの漏れの出現を、板との界面で、及び発泡体の厚さを通して、両方で測定する。この試験を通過するためには、接触面への水圧に対する耐性の不足か、あるいは発泡体の厚さを通しての毛管作用のいずれかによる漏れが、60分後に検出されてはならない。
【0057】
〔例1〕
この例では、脂肪酸二量体から得られるポリオール成分と高分子MDIに基にするポリイソシアネート成分に基づく配合を用いた。混合物の成分は次のとおり、すなわち、
・ポリオール化合物A1a: 官能性が2.2及びOH数が71のC32-36脂肪酸二量体に基づくポリオール、
・ポリイソシアネート化合物B1: 官能性が2.1、自由なイソシアネートの割合が27.8%、そして2,4’異性体含量が約70モル%の高分子MDI、
・ポリイソシアネート化合物B2: 官能性が2.7、自由なイソシアネートの割合が31.2%、そして2,4’異性体含量が約35モル%の高分子MDI、
・発泡剤: 水、
・OH数が125のWitco社からのヒドロキシルでグラフト化したシリコーン界面活性剤NIAX、
・黒色顔料: フタル酸ジイソデシル(DIDP)中の20wt%カーボンブラック分散液、及び、
・ゲル化触媒、
であった。
【0058】
〔例2〜5〕
これらの例は、NCO/OH比及びポリイソシアネート成分の性質をいろいろに変えたものを例示する。
【0059】
〔例6〕
この例は、高官能性のイソシアネートを用いることによる、より硬質の発泡体の製造を例示する。
【0060】
〔比較例1〕
この例では、脂肪酸二量体から得られるポリオールとトルエンジイソシアネートとに基づく、SUPERSHEET Hの商品名で市販されている柔軟性発泡体を評価した。
【0061】
〔比較例2〕
この例では、スラブストック法により得られる発泡体であり、SUPERSEALの商品名で市販されている、二量体酸から得られるポリオールに基づく柔軟性発泡体を評価した。
【0062】
〔比較例3〕
この例では、ポリエーテルポリオールタイプの非疎水性ポリオールから得られ、下記の特性、すなわち、
・ポリオールA2.1: 官能性=3、OH数=42
・ポリオールA2.2: 官能性=4、OH数=475
・ポリオールA2.3: 官能性=3、OH数=29
を有する、柔軟性発泡体を評価した。
【0063】
配合の詳細と生成物の特性を下記の表に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
例1、2及び3を比べることにより、低指標を選択すると水不透過性を台なしにすることなしに柔軟性が極めて大幅に改善することを理解することができる。
【0066】
例4及び5では、ポリイソシアネート成分のより低い官能性によって柔軟性が改善されている。
【0067】
例6では、高官能性のイソシアネートの使用によってより高密度及びより硬質の発泡体が得られる。
【0068】
例1では、比較生成物1の水不透過性と比較生成物2の柔軟性との歩み寄りを実現している。
【図面の簡単な説明】
【0069】
原文に記載なし。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤の存在下で少なくとも1種の疎水性ポリオールを含むポリオール成分を少なくとも1種のポリイソシアネート成分と反応させることにより得られる水不透過性の柔軟性ウレタンフォームであって、50%圧縮のための圧縮力が12kPa以下であること、且つ、イソシアネート官能基のアルコール官能基及び反応性官能基全体に対するモル比(指標)が0.90未満であることを特徴とする水不透過性の柔軟性ウレタンフォーム。
【請求項2】
50%圧縮のための圧縮力が約8〜12kPaであることを特徴とする、請求項1に記載のウレタンフォーム。
【請求項3】
密度が150kg/m3を超えず、好ましくは60kg/m3を超えないことを特徴とする、請求項1又は2に記載のウレタンフォーム。
【請求項4】
ポリオール成分及びポリイソシアネート成分からの少なくとも1つの成分が、厳密に2よりも大きい、とりわけ少なくとも2.1の官能性を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1つに記載のウレタンフォーム。
【請求項5】
イソシアネート指標が0.85以下、とりわけ約0.70〜0.85であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1つに記載のウレタンフォーム。
【請求項6】
ポリオール成分が単官能アルコール又はアミン成分の存在下でポリイソシアネート成分と反応することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1つに記載のウレタンフォーム。
【請求項7】
疎水性ポリオールが脂肪炭化水素鎖を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1つに記載のウレタンフォーム。
【請求項8】
疎水性ポリオールが脂肪酸二量体から得られ、とりわけポリオールによる脂肪酸二量体の二重エステル化から得られるものであることを特徴とする、請求項7に記載のウレタンフォーム。
【請求項9】
ポリイソシアネート成分が主として4,4’−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)(4,4’MDI)を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1つに記載のウレタンフォーム。
【請求項10】
ポリイソシアネート成分が少なくとも30モル%の2,4’MDI異性体を含有することを特徴とする、請求項9に記載のウレタンフォーム。
【請求項11】
発泡剤が水を含むことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1つに記載のウレタンフォーム。
【請求項12】
少なくとも1種の添加剤、とりわけポリイソシアネート化合物又はポリオール化合物と反応する少なくとも1つの反応性官能基を有する界面活性剤の存在下で得られることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1つに記載のウレタンフォーム。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1つに記載のウレタンフォームを製造するための方法であって、以下の工程、すなわち、
ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及び発泡剤を含む反応混合物を調製する工程、
反応混合物をコンベヤベルト上に流延する工程、及び、
コンベヤベルト及び流延した混合物を架橋オーブンを通過させる工程、
を含むことを特徴とするウレタンフォーム製造方法。
【請求項14】
流延した混合物上に上部保護膜を被着させ、そしてコンベヤベルトと上部保護膜で被覆した流延混合物を架橋オーブンを通過させることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コンベヤベルト上に事前に下部保護膜を配置することを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
下部保護膜又は上部保護膜の反応混合物と接触するその面に接着剤を供給することを特徴とする、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
下部保護膜及び/又は上部保護膜を除去し、接着剤を備えた別の膜を発泡体ストリップの自由面に取り付けることを特徴とする、請求項14から16までの1つに記載の方法。
【請求項18】
請求項1から12までのいずれか1つに記載のウレタンフォームを製造するための方法であって、以下の工程、すなわち、
・ポリオール成分、ポリイソシアネート成分及び発泡剤を含む反応混合物を調製する工程、
・反応混合物を密閉又は開放の金型に射出又は注型する工程、及び、
・混合物を金型中で架橋させる工程、
を含むことを特徴とするウレタンフォーム製造方法。
【請求項19】
請求項1から12までのいずれか1つに記載のウレタンフォームの水不透過性シールとしての使用。

【公表番号】特表2007−500772(P2007−500772A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522270(P2006−522270)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008145
【国際公開番号】WO2005/014684
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(506036574)
【Fターム(参考)】