説明

エアシャワー装置

【課題】建物に入る前に衣服に付着したアレルゲン物質またはウイルス等の付着塵を効率よく除去することが可能な装置を提供する。また、毛髪や衣服が乱れることなく、付着塵を効率よく除去する装置を提供する。
【解決手段】アレルゲン物質やウイルスが、人が居住又は活動する生活空間へ外来体によって持ち込まれることを防ぐエアシャワー装置である。このエアシャワー装置は、外来体が出入りするエアシャワー室と、エアシャワー室の空気を吸込む送風機、及びエアシャワー室の空気に含まれるアレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵を除去し空気を清浄化するフィルタを有する機械室と、エアシャワー室または機械室に設けられエアシャワー室の外来体に清浄化された空気を吹き付けるノズルとを有し、当該ノズルはエアシャワー室の外来体の上部から下部へ順に清浄化された空気を吹き付けるエアシャワー装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアシャワー装置に関し、特に居住空間又は居室において人間に影響を及ぼすことがあるアレルゲン物質またはウイルスを除去するためのエアシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大気中には人間の目に見えないさまざまな粉塵が飛散しており、時としてその粉塵が人間に及ぼす影響が問題視されている。例えば、春先において飛散するスギ花粉の影響は、重病にまで至らないまでも人間の健康面に及ぼす影響が大きく、また、鳥インフルエンザやノロウイルスのようにウイルスは集団感染を引き起こす原因となっており、今日では社会問題とまでなっている。
【0003】
大気中を飛散する花粉は、人の衣類などに付着して建物内に持ち込まれることから、建物の入口にエアシャワーと呼ばれるエアシャワー装置を設置する方策が検討されている。例えば、居住空間に入る際に不可避的に通過する制限空間に空気吹き付け手段、空気排気手段、花粉捕集手段を設けた花粉症防御システムなるものが開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−58953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しなしながら、従来の花粉排気手段は、少なくとも人の正面から空気が吹き付けられるため、毛髪や衣服が乱れるという問題がある。また、一旦外来体から払い落としたアレルゲン物質またはウイルスが、舞い上がり、再度人に付着するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑み、建物に入る前に衣服に付着したアレルゲン物質またはウイルス等の付着塵を効率よく除去することが可能な装置を提供することを目的とする。また、毛髪や衣服が乱れることなく、付着塵を効率よく除去する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一は、アレルゲン物質やウイルスが、人が居住又は活動する生活空間へ外来体によって持ち込まれることを防ぐエアシャワー装置である。このエアシャワー装置は、外来体が出入りするエアシャワー室と、エアシャワー室の空気を吸込む送風機、及びエアシャワー室の空気に含まれるアレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵を除去し空気を清浄化するフィルタを有する機械室と、エアシャワー室または機械室に設けられエアシャワー室の外来体に清浄化された空気を吹き付けるノズルとを有し、当該ノズルはエアシャワー室の外来体の上部から下部へ順に清浄化された空気を吹き付けるエアシャワー装置である。
【0007】
また、本発明の一は、上記エアシャワー装置の機械室において、アレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を分解または不活性化してエアシャワー室の空気を清浄化する装置を有するエアシャワー装置である。アレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を分解または不活性化する装置とは、アレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を分解または不活性化するイオンまたはプラズマを発生させる装置である。
【0008】
また、本発明において、エアシャワー室の外来体の上部から下部へ順に清浄化された空気を吹き付けることが可能なノズルの代表例としては、エアシャワー室内に設けられるエアーナイフがある。また、ノズルの代表例としては、エアシャワー室の側壁に設けられ吹き出し口から吹出される清浄化された空気の風向きを調整する揺動機構がある。なお、この場合、揺動機構の開閉角度を制御する制御装置が機械室に設けられる。また、ノズルの代表例としては、エアシャワー室の側壁に設けられ複数組の吹き出し口及び開閉機構がある。なお、この場合は、複数の開閉機構を上部から下部へと順に開閉させる制御装置が機械室に設けられる。
【0009】
また、本発明において、エアシャワー室の床には吸込み口が設けられてもよい。当該吸込み口からエアシャワー室の空気を機械室の送風機に吸込むことができる。
【0010】
なお、外来体とは人間のみでなく、人が居住又は活動する生活空間へ運び込まれる物品、ペットなどの動物も含まれるものとする。また、アレルゲンとは、代表的には樹木、草等の花粉、細菌、カビやカビの胞子、排気ガス、ダニ、綿ほこり等があるがこれに限定されない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外来体に付着したアレルゲン物質またはウイルス等の付着塵を効率よく除去して、人が居住又は活動する生活空間を清浄に保つことができる。また、毛髪や衣服が乱れることなく、アレルゲン物質またはウイルス等の付着塵を効率よく除去して、人が居住又は活動する生活空間を清浄に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の態様について図面を参照して説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細をさまざまに変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
(実施の形態1)
本実施の形態に係るエアシャワー装置は、エアシャワー室と、機械室と、エアシャワー室に入ってきた外来体の上部から下部へ清浄化された空気を吹き付けるノズルと、エアシャワー室内の空気を吸込むと共に、ノズルに清浄化された空気を送り込む送風機と、送風機に取り込まれる空気の粉塵を除去して清浄化するフィルタと有する。送風機及びフィルタは機械室に設けられる。また、清浄化された空気を吹き付けるノズルはエアシャワー室または機械室に設けられる。この構成に加え、エアシャワー室には人体を映す鏡が設けられてもよい。また、アレルゲン物質またはウイルス等の粉塵量を測定する測定器と、測定器で測定したアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵量を表示するモニターがエアシャワー室に設けられてもよい。また、外気を吸込む外気取込ユニットが設けられてもよい。また、エアシャワー室内の空気を外部へ排出する排気ユニットが設けられてもよい。
【0014】
図9は、本実施の形態に係るエアシャワー装置の前面斜視図を示す。図1(A)は本実施の形態に係るエアシャワー装置の概略上面図を示し、図1(B)、図1(C)、及び図2は本実施の形態にかかるエアシャワー装置の概略縦断面図を示す。
【0015】
エアシャワー装置は、図9(A)に示すように、箱状に形成された本体100内にエアシャワー室11が設けられ、エアシャワー室の側面には機械室10が設けられている。また、本体100の一部には図9(A)に示すように、蝶番103で扉101が設けられ、エアシャワー室11は外気と遮断された密閉された空間を形成している。なお、扉101は片開きでも両開きでもよい。また、自動ドアでも引き戸でもよい。
【0016】
また、エアシャワー装置は、図9(B)に示すように、箱状に形成された本体110内部にエアシャワー室11が設けられ、エアシャワー室の側面には機械室10が隣接されている。また、本体110の一方の壁には出入り口111がある。このような形状の場合、本体110に触れずに、容易にエアシャワー装置内のエアシャワー室11に入ることができる。
【0017】
また、エアシャワー室は、図9(C)に示すように、箱状に形成された本体120内部にエアシャワー室11が設けられ、エアシャワー室の側面には機械室10が隣接されている。また、本体120の一方の壁には入り口121があり、入口の対向する壁には出口122が設けられている。このような場合、エアシャワー装置のエアシャワー室を通過するだけで、人体の表面に付着したアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を除去することができる。
【0018】
次に、本実施の形態にかかるエアシャワー装置の詳細について、図1及び図2を用いて説明する。
【0019】
図1(A)及び図1(B)示すように、エアシャワー室11には、人体に清浄化された空気を吹き付けるノズル17が設けられている。また、エアシャワー室11の両脇には、送風機14、ダクト22、フィルタ等を設ける機械室10が設けられる。エアシャワー室11及び機械室10の間に設けられる側壁の下方には吸込み口12が形成される。
【0020】
送風機14は、吸込み口12からエアシャワー室11の空気を吸込むと共に、吸込んだ空気をダクト22さらにはノズル17へと送り出すものである。代表的にはプロペラファン、シロッコファン、クロスフローファン等を用いることができる。
【0021】
また、送風機14として、複数の送風機を設けてもよい。例えば、エアシャワー室11の空気を吸込むための送風機と、ノズルへ空気を送り出す送風機とを設けてもよい。複数の送風機を設けることで、吸込み口から吸込む空気の量と、ノズル17から吹出す清浄化された空気の量を適宜制御することが可能である。
【0022】
また、送風機14として、コンプレッサ及び圧縮空気を溜めるタンクを用いてもよい。この場合、タンクからは圧縮された空気がノズル17に吹出されるため、集塵フィルタ15を送風機14の吸込み口に設けたほうが集塵フィルタの耐久性を考慮する点で好ましい。送風機14としてコンプレッサを用いることで、風速の速い清浄化された空気を外来体に吹き付けることが可能である。また、断続的に清浄化された空気を外来体に吹き付けることが可能である。
【0023】
吸込み口12の機械室10側には、吸い込んだ空気に含まれる繊維状の塵、毛髪、砂等の比較的大きい塵を取り除くプレフィルタ13が設けられる。また、ダクト22はホース16を介してエアシャワー室11に設けられるノズル17とつながる。また、ダクト22とホース16の間には集塵フィルタ15が設けられる。集塵フィルタ15は除去したい大気中の塵埃のサイズによって選択される。例えば、2月から4月にかけて大気中に飛散する花粉や、カビやカビの胞子、排気ガス、ダニ、綿ほこりを除去するには、その粒径が10〜100μmであるので、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)若しくはULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)を用いれば効果的に除去することができる。
【0024】
これらのフィルタは各国の工業規格等で規定されているものである。例えば日本においては、HEPAフィルタについては「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ」、ULPAフィルタについては「定格風量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ」と規定されている。勿論、本実施の形態はこのような規格のフィルタに限定されるものではなく、花粉等のアレルゲン物質を除去できるフィルタであれば他のフィルタを適用することもできる。
【0025】
ホース16は、伸縮可能なホースを用いることが好ましい。また、ノズル17にはスリット状または円形の吹出し口を有し、清浄化された空気をエアシャワー室の外来体に吹き付ける。外来体に付着したアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を払い落とすためには、清浄化された空気をノズル17から噴射して外来体に吹き付けることが好ましい。また、ここでは、ノズル17として線状の吹出し口を有するノズルを示しているが、円形状の吹出し口を有するノズルが複数設けられたノズルを用いることができる。
【0026】
ノズル17は、支持部18によって上下可動なように固定されている。支持部18には、レール、油圧シリンダ等の駆動手段が設けられており、ノズル17を上下に移動させる。ノズル17は、ホースから清浄化された空気が供給される。また、清浄化された空気を上から下へ移動しながらエアシャワー室11に居る外来体に吹き付けられる。この結果、外来体に付着したアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を巻き上げることなく除去することができる。
【0027】
次に、本実施の形態のエアシャワー装置の動作方法について示す。また、空気の流れを破線矢印で示す。
【0028】
外来体がエアシャワー室に入ると図示しないセンサにより送風機14が駆動する。すると、吸込み口12からエアシャワー室11内の空気がプレフィルタ13を経て送風機14に吸い込まれる。このとき、プレフィルタ13では、空気に含まれる比較的大きな塵が捕集される。
【0029】
送風機14に吸い込まれた空気はダクト22を通過し、集塵フィルタ15を経てホース16及びノズル17へ送り込まれる。このとき、集塵フィルタ15を経ることにより、空気に含まれていたアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵が除去され、清浄化される。ノズル17へ送り込まれた空気は、外来体に吹き付けられる。このとき、ノズル17が支持部18を下降しながら清浄化された空気を外来体に吹き付けることで、外来体の表面に付着していたアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵をエアシャワー室11の下方に落とすことができる。また、エアシャワー室11の下方においては、吸込み口から空気が吸込まれるため、エアシャワー室11の下方に落下したアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵は、外来体の上方に巻き上がることなく効率よく吸込み口12に吸込まれる。図1(C)は、ノズル17が清浄化された空気を外来体へ吹きつけながら下方へ移動したときの図を示す。
【0030】
なお、ここでは、エアシャワー室に設けたセンサによって送風機14が駆動する例を示したが、その代わりに、スイッチボタンをエアシャワー室に設け、外来体がスイッチボタンを押してエアシャワー装置を駆動してもよい。また、図9(A)に示すように、エアシャワー装置の本体に扉が設けられている場合、扉にセンサを設け、扉が閉まったらエアシャワー装置が駆動してもよい。
【0031】
なお、図2(A)に示すように、ダクト31をエアシャワー室11の天井部に設け、ホース33をエアシャワー室11の天井部から下ろしてノズル17を設けてもよい。さらには、送風機14をエアシャワー室11の天井部に設けてもよい。このような構造とすることで、エアシャワー装置の設置面積を小さくすることが可能である。
【0032】
また、図2(B)に示すように、エアシャワー室11の床に吸込み口を設けてもよい。具体的には床を金網やパンチング穴の開いた床とすることができる。ここでは、吸込み口が設けられた床として金網35を示す。また、金網35の下方に風通路38を設けてもよい。金網35の表面を第1の吸込み口36とし、風通路38及び機械室10の間に第2の吸込み口12を設ける。エアシャワー室11の空気を第1の吸込み口36から、風通路38、第2の吸込み口36、及びプレフィルタ37を経て機械室10に吸い込むことができる。このため、外来体から払い落としたアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を巻き上げず、効率よく機械室に吸込むことができる。
【0033】
また、エアシャワー室11の側壁には、人体を映す鏡24を設けてもよい。鏡24を設けることにより、外来体の身だしなみを整えることができる。また、エアシャワー室11の側壁に携帯用のノズルを設けてもよい。携帯用のノズルは、ダクトにホースが接続されたノズルであり、外来体が選択する場所に清浄化された空気を吹き付けることが可能である。このような携帯用のノズルを設けることで、さらに外来体に付着するアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を効率よく取り除くことができる。
【0034】
また、図3に示す様に、機械室10において、プレフィルタ13の下流、即ちプレフィルタ及び送風機14の間に光触媒が担持されたフィルタ27及び当該フィルタ27の光触媒を活性化されるためのランプ28を設けてもよい。フィルタ27に担持される光触媒としては、光が照射されることで光エネルギーを吸収し光触媒分子が活性化し、電離し酸化力または還元力が高まる材料を用いることが好ましい。このような光触媒としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ビスマス、チタン酸塩、タンタル酸塩、ニオブ酸塩、硫化カドミウム、硫化亜鉛などをあげることができる。また、酸化チタンの結晶構造としては、アナターゼ型、ルチル型、またはこれらの混合物を用いることができる。ランプ28としては、光触媒を活性化させるための光を照射するものであり、紫外光を発光する蛍光灯、キセノン灯、水銀灯等を用いることが好ましい。光触媒が担持されたフィルタを設けることにより、エアシャワー室の空気に含まれる臭気物質やホルムアルデヒド等の有害有機物、汚染物質等を分解することができる。
【0035】
また、外来体に付着したアレルゲン物質やウイルス等の粉塵量を計測し、計測結果を外来体が認識できるように表示装置を設けることは有効である。例えば、図4(A)に示すように、機械室10のプレフィルタ13の下流に、即ちプレフィルタ13及び送風機14の間に粉塵計測器29を設け、図4(B)またエアシャワー室11の前方側面に表示装置25を設ける。表示装置25としては、液晶表示装置、発光装置、電気泳動表示装置等を適宜用いることができる。また、表示装置25は、インターネット回線や電波を介して気象情報提供業者により提供される花粉の飛散量やウイルスの感染流行情報を文字放送やインターネットの情報として表示することができる。人が当該エアシャワー室に入った場合、上記情報を把握し、花粉症や感染病の対策をとることができる。
【0036】
粉塵計測器29の一例を図4(C)に示す。粉塵計測器29は、少なくとも発光装置43、受光素子47、検出器48を有する。発光装置43から発光した光44を、プレフィルタ13を通過した空気に照射する。当該空気にはアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵45が含まれるため、当該粉塵によって光44が遮蔽または反射される。粉塵により遮蔽または反射されずに透過した光46が受光素子47に照射する。このときの光44及び光46の割合から、即ち発光装置43から発光した光44の透過率の変化から粉塵量を計測することができる。また、当該計測結果を表示装置25で表示する。なお、ここでは、アレルゲン物資またはウイルス等の粉塵に発光装置43からの光がアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を透過した量を計測しているが、発光装置43のからの光がアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵で反射した光を測定しても良い。
【0037】
表示装置25に表示される粉塵量について以下に示す。外来者がエアシャワー室に入った瞬間は、エアシャワー室内の空気中の粉塵量が表示装置25に表示される。ノズル17から清浄化された空気が外来体に吹き付けられた後は、外来体に付着した粉塵を含む空気の粉塵量を粉塵計測器29で計測するため、表示装置25に示される粉塵量が急増する。ノズル17がエアシャワー室の下方まで移動し、外来体の上部から下部まで清浄化された空気を吹き付けた後は、外来体の花粉は除去されているため、粉塵計測器29で計測される粉塵の量は低減し、表示装置で示される粉塵量も低減する。このように、粉塵量を計測する計測器を設けることで、外来体に付着したレルゲン物質またはウイルス等の粉塵が低減する様子を観察することができる。
【0038】
また、プレフィルタ13の下流と共に集塵フィルタ15の下流、即ちホース16内にアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵計測器29を設けてもよい。この場合は、プレフィルタの下流に設けられたアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵計測器とホース内に設けられたアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵計測器内の粉塵量をそれぞれ表示することで、粉塵の捕集量及びエアシャワー室の空気の清浄化された程度を表示装置25に表示することができる。さらには、エアシャワー室11内にアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵計測器を設け、エアシャワー室11内のアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵量を計測した結果をも表示装置25に表示することができる。
【0039】
上記のようなエアシャワー装置に、大気中に含まれるアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵の量に応じて除塵能力を調節する機能を持たせて、アレルギー反応及びウイルス感染低減システムを構築することは有効である。例えば、大気中に飛散するアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵の量に応じてエアシャワー装置における送風機14の回転数を増加させ、ノズルから吹出す風量を調節する。すなわち、アレルゲン物質またはウイルス等の粉塵の多い日は送風機14の風量を大きくし、また送風時間を長くする。一方、アレルゲン物質またはウイルス等の粉塵の少ない日は送風機14の回転数を増加させ、ノズルから吹出す風量を小さくし、また送風時間を短くする。このように、エアシャワー装置において除塵能力を細かく設定することで消費電力を節約することができる。また、利用者に対しては、エアシャワー室11内で強風に耐える負担を軽減することができる。
【0040】
このような大気中に飛散する粉塵量に応じてエアシャワー室11の風量を制御するシステムとして、送風機14に風量制御ユニットを適宜設けることは好ましい形態となる。風量制御ユニットは粉塵量に関する情報を得て送風量の制御を行う。粉塵量に関する情報としては、気象情報提供業者により提供される花粉の飛散量やウイルスの感染流行情報を利用することができる。
【0041】
また、エアシャワー室11から排気される空気中のアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵の量を粉塵計測器29で検出して風量制御ユニットにフィードバックをかけても良い。広い地域から不特定多数の利用者が集まるような場所でこのエアシャワー装置を利用する場合には、移動してきた経路の環境により身体に付着したアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵の量も異なる。そのような場合にも、エアシャワー室11から吸込んだ空気中のアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵の量を検出して、その情報を風量制御ユニットに出力して、風量の制御に用いることで、身体に付着したアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵等を効果的に除去することができる。
【0042】
なお、エアシャワー室が図9(A)に示すように、外気と遮断された密閉された空間を形成している場合、エアシャワー室11の空気を機械室に吸込むと共に、外気を吸込む外気取込ユニットが設けられてもよい。外気取込ユニットには、プレフィルタが設けられており、外気に浮遊する比較的大きな塵を捕集する。また、エアシャワー室11内の空気は排気ユニットにより排出されてもよい。排気ユニットには排気フィルタが取り付けられており、エアシャワー室11の中で浮遊する比較的大きな塵を捕集する。排気ユニットから排出された空気にはアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵等の塵埃が含まれている場合があるので、集塵フィルタを設けてエアシャワー室11から排気された空気中の塵埃を捕集しても良い。
【0043】
本実施の形態に係るエアシャワー装置を、生活空間へ入るときに不可避的に通過しなければならない入口、代表的には建物の玄関または部屋の入口に設けると、人が居住又は活動する生活空間へ花粉症の原因となるアレルゲン物質や感染病の原因であるウイルスが外来体によって持ち込まれることを防ぐことができる。また、毛髪や衣服が乱れることなく、アレルゲン物質またはウイルス等の付着塵を効率よく除去して、人が居住又は活動する生活空間を清浄に保つことができる。
【0044】
(実施の形態2)
本実施の形態では、外来体へ清浄化された空気を吹き付けるノズルの構造が実施の形態1と異なる形態について、図5を用いて説明する。
【0045】
図5(A)は、本実施の形態のエアシャワー装置の概略上断面図を示し、図5(B)及び図5(D)は、本実施の形態のエアシャワー装置の概略縦断面図を示し、図5(C)及び図5(D)は、エアシャワー装置のエアシャワー室の概略前面斜視図を示す。
【0046】
図5(A)、図5(B)、及び図5(D)において示すように、エアシャワー室11の側面には機械室10が設けられる。エアシャワー室11の側壁下部には吸込み口12が設けられる。機械室10には、実施の形態1と同様に、プレフィルタ13、送風機14、ダクト22、集塵フィルタ15が設けられる。また、本実施の形態のエアシャワー装置には、エアシャワー室11の側壁上方に清浄化された空気の吹出し口42があり、吹出し口42を覆うように揺動機構41aが可動可能なように設けられる。揺動機構41は、吹出し口42から吹出す清浄化された空気の風向き(方向)を制御するために設けられ、代表的にはルーバー、風向弁がある。
【0047】
次に、本実施の形態に示すエアシャワー装置において、外来体の花粉を除去する方法において、図5(B)乃至図5(E)を用いて説明する。また、空気の流れを破線矢印で示す。
【0048】
人体がエアシャワー室に入ると、図示しないセンサにより送風機14が駆動する。すると、吸込み口12からエアシャワー室11内の空気がプレフィルタ13を経て送風機14に吸い込まれる。このとき、プレフィルタ13では、空気に含まれる比較的大きな塵が捕集される。
【0049】
送風機14に吸い込まれた空気はダクト22を通過し、集塵フィルタ15を経て吹出し口42からエアシャワー室11へ清浄化された空気が吹き出す。このとき、集塵フィルタ15を経ることにより、空気に含まれていたアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵が除去され、清浄化される。また、揺動機構41aが60〜90°程度開いた状態とすることで、清浄化された空気を外来体の上方に吹き付けることができる。図5(C)は、図5(B)のエアシャワー室11の前面斜視図であり、揺動機構41aが60〜90°で開いていることが分かる。
【0050】
次に、徐々に揺動機構41aを閉じると、清浄化された空気が外来体の上方から下方へと清浄化された空気を移動させることができる。このため、外来体の表面に付着していたアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵をエアシャワー室11の下方に落下させることができる。また、エアシャワー室11の下方においては、吸込み口から空気が吸込まれるため、エアシャワー室11の下方に落下したアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵は、外来体の上方に巻き上がることなく効率よく吸込み口に吸込まれる。なお、図5(E)は、図5(D)のエアシャワー室11の前面斜視図であり、揺動機構41bが図5(C)と比較して閉じていることが分かる。
【0051】
なお、本実施の形態の構造を実施の形態1に適宜適用することができる。
【0052】
本実施の形態に係るエアシャワー装置を、生活空間へ入るときに不可避的に通過しなければならない入口、代表的には建物の玄関または部屋の入口に設けると、人が居住又は活動する生活空間へ花粉症の原因となるアレルゲン物質や感染病の原因であるウイルスが外来体によって持ち込まれることを防ぐことができる。また、毛髪や衣服が乱れることなく、アレルゲン物質またはウイルス等の付着塵を効率よく除去して、人が居住又は活動する生活空間を清浄に保つことができる。
【0053】
(実施の形態3)
本実施の形態では、外来体へ清浄化された空気を吹き付けるノズルの構造が実施の形態1及び実施の形態2と異なる形態について、図6を用いて説明する。
【0054】
図6(A)及び図6(C)は、本実施の形態のエアシャワー装置の概略縦断面図を示し、図6(B)及び図6(D)は、エアシャワー装置のエアシャワー室の概略前面斜視図を示す。
【0055】
図6(A)、及び図6(C)において示すように、エアシャワー室11、エアシャワー室11の側面には機械室10が設けられる。エアシャワー室11の側壁には吸込み口12が設けられる。機械室10には、実施の形態1と同様に、プレフィルタ13、送風機14、ダクト22、集塵フィルタ15が設けられる。また、本実施の形態のエアシャワー装置には、エアシャワー室11の側壁に複数の吹出し口があり、吹出し口を覆うように開閉機構51a〜51fが可動するように設けられる。また、図示しないが開閉機構51a〜51fの開閉を制御する制御装置が設けられる。
【0056】
開閉機構51a〜51fは、エアシャワー室側壁の上方から下方へ順に清浄化された空気を噴出すために、上方の開閉機構(例えば51a)から下方の隣接する開閉機構へと順に開閉するように制御装置で制御することにより、吹出し口から吹出す清浄化された空気を上方から下方へと制御することができる。開閉機構51a〜51fとしては、ルーバー、開閉弁等がある。
【0057】
次に、本実施の形態に示すエアシャワー装置において、外来体に付着したアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を除去する方法において、図6(A)乃至図6(D)を用いて説明する。また、空気の流れを破線矢印で示す。
【0058】
人体がエアシャワー室に入ると図示しないセンサにより送風機14が駆動する。すると、吸込み口12からエアシャワー室11内の空気がプレフィルタ13を経て送風機14に吸い込まれる。このとき、プレフィルタ13では、空気に含まれる比較的大きな塵が捕集されている。
【0059】
送風機14に吸い込まれた空気はダクト22を通過し、集塵フィルタ15を経て吹出し口からエアシャワー室11へ清浄化された空気が吹き出す。このとき、集塵フィルタ15を経ることにより、空気に含まれていたアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵が除去され、清浄化される。また、開閉機構51aが開いた状態とすることで、清浄化された空気を外来体の上方に吹き付けることができる。図6(B)は、図6(A)のエアシャワー室11の前面斜視図であり、開閉機構51aが開いていることが分かる。
【0060】
次に、開閉機構51aが閉じた後、開閉機構51aの下方に隣接する開閉機構51bを開く。すると、吹出し口が下方へ移動し、清浄化された空気が外来体へ吹き付ける領域も下方へ移動する。このように、隣接する開閉機構の開閉を上方から下方へ移動させることにより、清浄化された空気が外来体の上方から下方へと清浄化された空気を移動させることができる。このため、外来体の表面に付着していたアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を、エアシャワー室11の下方に落とすことができる。また、エアシャワー室11の下方においては、吸込み口から空気が吸込まれるため、エアシャワー室11の下方におちたアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵は、外来体の上方に巻き上がることなく効率よく吸込み口に吸込まれる。なお、図6(E)は、図6(D)のエアシャワー室11の前面斜視図であり、開閉機構51fが図6(C)と比較して閉じていることが分かる。
【0061】
なお、隣接する開閉機構の開閉タイミングとして、上方の開閉機構が開いている間に、隣接する下方の開閉機構も開き始め、隣接する下方の開閉機構が十分開いたら上方の開閉機構を閉じてもよい。このような開閉タイミングとすることで、絶え間なく清浄化された空気を外来体の上部から下部へ順に吹き付けることが可能であり、効率よくアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を下方へ落とすことができる。
【0062】
なお、本実施の形態の構造を実施の形態1に適宜適用することができる。
【0063】
本実施の形態に係るエアシャワー装置を、生活空間へ入るときに不可避的に通過しなければならない入口、代表的には建物の玄関または部屋の入口に設けると、人が居住又は活動する生活空間へ花粉症の原因となるアレルゲン物質や感染病の原因であるウイルスが外来体によって持ち込まれることを防ぐことができる。また、毛髪や衣服が乱れることなく、アレルゲン物質またはウイルス等の付着塵を効率よく除去して、人が居住又は活動する生活空間を清浄に保つことができる。
【0064】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態3と比較して更に空気を清浄化することが可能なエアシャワー装置について、図7を用いて説明する。ここでは、代表的に実施の形態1に示すエアシャワー装置を用いて説明するが、実施の形態2及び実施の形態3に適用可能である。
【0065】
図7(A)は、本実施の形態に示すエアシャワー装置の概略縦断面図である。図7(A)に示すように、エアシャワー室11、エアシャワー室11の側面には機械室10が設けられる。エアシャワー室11の側壁には吸込み口12が設けられる。機械室10には、実施の形態1と同様に、送風機14、ダクト22、集塵フィルタ15が設けられる。また、本実施の形態のエアシャワー装置には、機械室10の吸込み口12に空気浄化装置61が設けられる。また、空気の流れを破線矢印で示す。
【0066】
空気浄化装置61としては、空気中のアレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵を不活性化または分解する装置である。
【0067】
空気浄化装置61の具体例について、図7(B)乃至図7(D)を用いて説明する。図7(B)乃至図7(D)は、空気浄化装置61の概略縦断面図である。また、空気の流れを破線矢印で示す。
【0068】
図7(B)に示す空気浄化装置61は、プレフィルタ62と、突起電極63、対向電極64、及び静電フィルタ65を有する。突起電極63は、針状の電極が設けられる。また、突起電極63及び対向電極64には、それぞれプレフィルタ62を経た空気が通過するように複数の開口部が形成されている。突起電極63及び対向電極64に電圧を印加すると、コロナ放電、バリア放電、ストリーマ放電等の放電を生じさせることができる。突起電極63及び対向電極64は、代表的には、タングステン、モリブデン、ステンレス等の酸化されにくい金属を用いて形成する。また、突起電極63及び対向電極64には、高周波数で極小パルス幅の電圧を図示しない電圧印加装置により印加することが好ましい。このような電圧を印加することにより、放電エネルギーの高いストリーマ放電を生じさせやすい。静電フィルタ65は、イオン化またはラジカル化によって帯電されたアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を捕集するフィルタである。
【0069】
突起電極63及び対向電極64に電圧を印加することにより、コロナ放電、バリア放電、ストリーマ放電等が発生し、電極間にプラズマ66を発生させる。当該プラズマ66の間を空気が通過すると、空気中に含まれるアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵がイオン化またはラジカル化され、アレルゲン物質またはウイルス等の粉塵は帯電する。イオン化またはラジカル化によって帯電したアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を含む空気が静電フィルタ65を通過する際、イオン化またはラジカル化によって帯電したアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵は静電フィルタに捕集される。この結果、粉塵を含む空気から粉塵を除去し清浄化することができる。
【0070】
また、プラズマに含まれるイオン、ラジカル、または加速電子が複数回衝突することで、空気中に含まれるアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を分解または不活性化することができる。
【0071】
なお、突起電極63は対向電極64に対して垂直に形成されている必要は無く、図7(C)に示すように、空気の流れに対して平行に配置された放電電極67及び対向電極68を用い、プラズマ69を発生させることができる。また、放電電極67の表面に複数の突起を設けることでさらに放電しやすくなる。
【0072】
図7(D)に示す空気浄化装置61は、プレフィルタ62と、電解水73を形成する一対の電極74及び水槽72と、電解水73が含浸されるフィルタ75を有する。
【0073】
水槽72に満たされた液体に一対の電極74を挿入し、一対の電極74に電圧を印加すると、液体の電気分解が行われ、水槽72には電解水73が形成される。当該電解水73に、次亜塩素酸、オゾン、過酸化水素等が含まれることで、アレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を不活性化することが可能である。また、当該電解水73を含むフィルタ75を空気が通過すると、当該フィルタ75でアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を捕集しつつ不活性化することができるため、空気の清浄化が可能である。
【0074】
なお、水槽に満たされる液体としては、塩素を含む水道水が好ましい。水道水は電気分解により殺菌力の高い次亜塩素酸を発生させることができる。また、塩素の含有量が少ない水道水においては、電気分解により殺菌力を有するオゾンまたは過酸化水素を発生させることができる。
【0075】
また、水槽72には、図示しないが水槽72に供給する配管が設けられ、当該配管には流量を調節する流量調整弁と、水槽72へ液体を供給する開閉弁とが順次設けられている。また、水槽72には、液体量計測器及び濃度計測器が設けられ、液体の量及び濃度によって、開閉弁を開閉し、水槽72中の液体の量を調節する。なお、水槽72に含まれる液体が水道水の場合、水槽72に設けられる配管は水道管に接続される。
【0076】
また、水槽72をタンク式にし、取り外しできるようにしてもよい。タンク式にすることで、容易に水槽72に液体を補充することができるため、装置を簡易化することができる。
【0077】
本実施の形態に係るエアシャワー装置を、生活空間へ入るときに不可避的に通過しなければならない入口、代表的には建物の玄関または部屋の入口に設けると、人が居住又は活動する生活空間へ花粉症の原因となるアレルゲン物質や感染病の原因であるウイルスが外来体によって持ち込まれることを防ぐことができる。また、毛髪や衣服が乱れることなく、アレルゲン物質またはウイルス等の付着塵を効率よく除去して、人が居住又は活動する生活空間を清浄に保つことができる。
【0078】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4に関し、エアシャワー室内の外来体に付着するアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を直接不活性化させることが可能なエアシャワー装置について、図8を用いて説明する。ここでは、代表的に実施の形態1に示すエアシャワー装置を用いて説明するが、実施の形態2乃至実施の形態4に適用可能である。
【0079】
図8(A)は、本実施の形態に示すエアシャワー装置の概略縦断面図である。図8(A)に示すように、エアシャワー室11の側面には機械室10が設けられる。エアシャワー室11の側壁には吸込み口12が設けられる。機械室10には、実施の形態1と同様に、送風機14、ダクト22が設けられる。また、本実施の形態のエアシャワー装置には、機械室10の吸込み口12にプレフィルタ82及び集塵フィルタ83を有する。また、ダクト22とホース16の間には活性種発生装置81が設けられる。
【0080】
活性種発生装置81は、アレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を不活性化または分解する活性種を含む気体を発生する装置であり、活性種を含む気体としては過酸化水素、水酸化ラジカルを含む気体がある。また、活性種を含む気体としては次亜塩素酸、オゾン、または過酸化水素を含む霧がある。
【0081】
活性種発生装置81の具体例について、図8(B)乃至図8(D)を用いて説明する。図8(B)乃至図8(D)は、活性種発生装置の概略縦断面図である。また、空気の流れを破線矢印で示す。
【0082】
図8(B)に示す活性種発生装置81は、第1の電極86と、第1の誘電体87と、第2の電極88とを少なくとも有する。また、第1の電極86を覆う第2の誘電体85を有してもよい。第1の電極86及び第2の電極88は、タングステン、モリブデン、ステンレス等を用いることができる。第1の電極86及び第2の電極88は、沿面放電が生じる形状であることが好ましい。代表的には、格子状、縞状等がある。第1の誘電体87及び第2の誘電体85は、セラミックスやアルミナ等を用いることができる。
【0083】
第1の電極86及び第2の電極88に交流の高電圧(パルス電圧)を印加すると電極間にプラズマ89が発生し、プラスイオン及びマイナスイオンが発生する。プラスイオン及びマイナスイオンが同時に発生すると、空気中で化学反応が生じ、活性種である過酸化水素またはヒドロキラジカルが生成される。過酸化水素及びヒドロキラジカルは極めて反応性が高く、アレルゲン物質やウイルスを分解または不活性化することができる。
【0084】
よって、ダクト22及びホース16の間に活性種発生装置81を設けることにより、アレルゲン物質やウイルス等の粉塵を分解または不活性化する活性種を含む清浄化された空気をノズルから外来体に吹き付ける(放出する)ことが可能である。
【0085】
図8(B)と異なる活性種発生装置を図8(C)に示す。図8(C)に示す活性種発生装置81は、エアーポンプ91と、電解水95を形成する一対の電極94及び水槽93と、散気管96を有する。
【0086】
水槽93に満たされた液体に一対の電極94を挿入し、一対の電極94に電圧を印加すると、液体の電気分解が行われ、水槽には電解水95が形成される。エアーポンプから送られてきた空気を散気管96によって電解水中に散気する。電解水中に送り込まれた空気が水面ではじけるとき、電解水を含む霧が発生する。当該電解水95において、次亜塩素酸、オゾン、過酸化水素等の活性種を含むことで、霧にも当該活性種が含まれる。このため、活性種を含む霧はアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を不活性化することが可能である。
【0087】
よって、ダクト22及びホース16の間に活性種発生装置81を設けることにより、アレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を分解または不活性化する活性種を含む霧をノズルから外来体に吹き付けることが可能である。
【0088】
また、活性種を含む霧の発生装置として散気管96の代わりに超音波発生器を用いることできる。
【0089】
図8(D)に示す活性種発生装置81は、エアーポンプ91と、電解水95を形成する一対の電極94及び水槽93と、超音波発生装置97を有する。
【0090】
水槽93に満たされた液体に一対の電極94を挿入し、一対の電極94に電圧を印加すると、液体の電気分解が行われ、水槽93には電解水95が形成される。超音波発生装置97によって電解水に超音波振動を与えると、水面から電解水を含む電解水を含む霧が発生する。当該電解水95において、次亜塩素酸、オゾン、過酸化水素等の活性種を含むことで、霧にも当該活性種が含まれる。このため、活性種を含む霧はアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を不活性化することが可能である。
【0091】
よって、ダクト22及びホース16の間に活性種発生装置81を設けることにより、アレルゲン物質やウイルス等の粉塵を分解または不活性化する活性種を含む霧をノズルから外来体に吹き付けることが可能である。
【0092】
なお、水槽93に満たされる液体としては、塩素を含む水道水が好ましい。水道水は電気分解により殺菌力の高い次亜塩素酸を発生させることができる。また、塩素の含有量が少ない水道水においては、電気分解により殺菌力を有するオゾンまたは過酸化水素を発生させることができる。
【0093】
また、水槽93には、図示しないが水槽93に供給する配管が設けられ、当該配管には流量を調節する流量調整弁と、水槽93へ液体の供給を行う開閉弁とが順次設けられている。また、水槽93には、液体量計測器及び濃度計測器が設けられ、液体の量及び濃度によって、開閉弁を開閉し、水槽72中の液体の量を調節する。なお、水槽93に含まれる液体が水道水の場合、水槽93に設けられる配管は水道管に接続される。
【0094】
また、水槽93をタンク式にし、取り外しできるようにしてもよい。タンク式にすることで、容易に水槽93に液体を補充することができるため、装置を簡易化することができる。
【0095】
以上により、外来体に付着するアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を分解または不活性化すると共に、外来体に付着するアレルゲン物質またはウイルス等の粉塵を捕集子、清浄化することができる。このため、生活空間へ入るときに不可避的に通過しなければならない入口、代表的には建物の玄関または部屋の入口に設けると、当該エアシャワー装置を生活空間へ花粉症の原因となるアレルゲン物質や感染病の原因であるウイルスが外来体によって持ち込まれることを防ぐことができる。
【0096】
本実施の形態に係るエアシャワー装置を、生活空間へ入るときに不可避的に通過しなければならない入口、代表的には建物の玄関または部屋の入口に設けると、人が居住又は活動する生活空間へ花粉症の原因となるアレルゲン物質や感染病の原因であるウイルスが外来体によって持ち込まれることを防ぐことができる。また、毛髪や衣服が乱れることなく、アレルゲン物質またはウイルス等の付着塵を効率よく除去して、人が居住又は活動する生活空間を清浄に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明のエアシャワー装置の概略を示す上面図及び断面図である。
【図2】本発明のエアシャワー装置の概略を示す断面図である。
【図3】本発明のエアシャワー装置の概略を示す断面図である。
【図4】本発明のエアシャワー装置の概略を示す斜視図及び断面図である。
【図5】本発明のエアシャワー装置の概略を示す斜視図及び断面図である。
【図6】本発明のエアシャワー装置の概略を示す斜視図及び断面図である。
【図7】本発明のエアシャワー装置の概略を示す断面図である。
【図8】本発明のエアシャワー装置の概略を示す断面図である。
【図9】本発明のエアシャワー装置の概略を示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気を浮遊するアレルゲン物質またはウイルスが外来体によって人が居住又は活動する生活空間へ持ち込まれることを防ぐエアシャワー装置であって、
外来体が出入りするエアシャワー室と、
エアシャワー室に隣接する機械室と、
前記機械室に設けられ、エアシャワー室内の空気を吸込むと共にノズルに清浄化された空気を送風する送風機と、
前記機械室に設けられ、前記送風機で吸込まれた前記空気からアレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵を除去して前記空気を清浄化するフィルタと、
前記エアシャワー室または前記機械室に設けられ、前記清浄化された空気を前記エアシャワー室の外来体の上部から下部に順に吹き付けるノズルと、
を有することを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項2】
大気を浮遊するアレルゲン物質またはウイルスが外来体によって人が居住又は活動する生活空間へ持ち込まれることを防ぐエアシャワー装置であって、
外来体が出入りするエアシャワー室と、
エアシャワー室に隣接する機械室と、
前記機械室に設けられ、エアシャワー室内の空気を吸込むと共にノズルに清浄化された空気を送風する送風機と、
前記機械室に設けられ、前記送風機で吸込まれた前記空気からアレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵の一部を除去すると共に、アレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵の他部を不活性化して前記空気を清浄化する装置と、
前記エアシャワー室または前記機械室に設けられ、前記エアシャワー室の外来体に前記清浄化された空気を吹き付けるノズルと、
を有することを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項3】
請求項2において、前記機械室に設けられ、前記送風機で吸込まれた前記空気からアレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵の一部を除去すると共に、アレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵の他部を不活性化して前記空気を清浄化する装置は、
前記粉塵の一部を除去するフィルタと、前記アレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵の他部を不活性化するためのイオンを放出する装置を有することを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項4】
請求項2において、前記機械室に設けられ、前記送風機で吸込まれた前記空気からアレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵の一部を除去すると共に、アレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵の他部を不活性化して前記空気を清浄化する装置は、
前記粉塵の一部を除去するフィルタと、
前記アレルゲン物質またはウイルスを含む粉塵の他部を不活性化するためのプラズマを発生させる装置を有することを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記ノズルは上下可動なエアーナイフであることを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記ノズルは前記エアシャワー室の側壁に設けられる一対の吹出し口及び揺動機構と、前記揺動機構の角度を制御して前記吹出し口から吹出される前記清浄化された空気の吹き出し方向を調整する制御装置を有することを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記ノズルは前記エアシャワー室の側壁に設けられる複数の開閉機構及び開口部と、前記開閉機構の開閉を制御する制御装置を有することを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、前記送風機及びノズルの間に活性種発生装置を設け、前記ノズルから活性種を含む清浄化された空気を吹出すことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項9】
請求項8において、前記活性種は、過酸化水素、水酸化ラジカル、次亜塩素酸、またはオゾンであることを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、前記エアシャワー室の床に吸込み口が設けられ、前記エアシャワー室の空気を前記吸込み口から前記送風機に吸込むことを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項において、前記エアシャワー室の側壁に外来体を映し出す鏡が設けられていることを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項において、前記機械室において、前記エアシャワー室の空気にふくまれるアレルゲン物質またはウイルスの量を計測する計測器と、前記エアシャワー室の側壁に設けられ、前記計測器で計測した値を表示する表示装置とを有することを特徴とするエアシャワー装置。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれか一項において、前記シャワー室の側壁に表示装置が設けられ、前記表示装置は文字放送またはインターネットの情報を表示することを特徴とするエアシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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