エアゾール容器
【課題】使用を開始した後に噴射器からエアゾール容器本体が外れるのを防止できるとともに、エアゾール容器本体内に収容された内容物の使用回数を正確にカウントできるエアゾール容器を提供する。
【解決手段】容器収容部30は、エアゾール容器本体2がステム21側(一端側)から挿入される上端開口部37を有し、噴射器3は、容器収容部30の上端開口部37に取り外し不能に固着されることにより、容器20の底部における少なくとも一部を覆うカバー体41を備え、カバー体41には、容器20の底部を押圧するための押下孔47が形成されていることを特徴とする。
【解決手段】容器収容部30は、エアゾール容器本体2がステム21側(一端側)から挿入される上端開口部37を有し、噴射器3は、容器収容部30の上端開口部37に取り外し不能に固着されることにより、容器20の底部における少なくとも一部を覆うカバー体41を備え、カバー体41には、容器20の底部を押圧するための押下孔47が形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を噴射させる噴射器を備えたエアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエアゾール容器として、従来から、例えば喘息薬等の薬剤(内容物)を収容したエアゾール容器本体と、そのエアゾール容器本体に装着された噴射器と、を備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、上記したエアゾール容器本体は、液状の内容物を収容した容器と、容器から容器の外方へ付勢状態で突出されたステムと、を備えており、ステムが容器内に押し込まれることで容器内の内容物がステムを通って噴射される。一方、上記した噴射器は、容器を収容する有底筒状の容器収容部と、容器収容部の下端部の側面に突設された筒状の噴射口部と、容器収容部の下端部の内側に形成されてステムが挿入された挿入孔と、この挿入孔に連通されて噴射口部に向けて開口されたノズルと、を備えている。
このような構成からなるエアゾール容器では、噴射口部を患部(例えば口腔内)に向けた状態で、容器の上端(倒立状態における容器の底部)を指等で押圧して容器を押し下げることで、ステムが容器内に押し込まれ、容器内の内容物がステムを通ってノズルから噴射口部内に向けて霧状に噴射され、患部に内容物が投与される。
【0004】
ところで、エアゾール容器本体内に収容される内容物の種類によっては、内容物の総使用量を厳格に管理する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3487866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したエアゾール容器では、内容物を使い切る前に噴射器とエアゾール容器本体とが分離し、エアゾール容器本体内から内容物が意図せず噴射される虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記した従来の問題点を解決するものであり、使用を開始した後に噴射器からエアゾール容器本体が外れるのを防止して、エアゾール容器本体内の内容物を確実に使い切らせることができるエアゾール容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエアゾール容器は、内容物が収容された容器、及び、該容器の一端から一方側へ向けて付勢した状態で突出したステム、が備えられたエアゾール容器本体と、前記容器が収容される容器収容部、前記ステムが挿入される挿入孔、及び、該挿入孔に連通されたノズル、が備えられた噴射器と、を備えており、前記容器の他端を押圧して該容器を前記噴射器に対して相対的に一方側へ押し込むことで、前記ステムが前記容器内に押し込まれ、該容器内の内容物が前記ステムを通って前記ノズルから外部に噴射されるエアゾール容器であって、前記容器収容部は、他方側に向けて開口するとともに、前記エアゾール容器本体が一端側から挿入される開口部を有し、前記噴射器は、前記容器収容部の前記開口部に取り外し不能に固着されることにより、前記容器の他端における少なくとも一部を他方側から覆うカバー体を備え、前記カバー体には、前記容器の他端を押圧するための押下孔が形成されていることを特徴としている。
【0009】
このような特徴により、容器収容部の開口部にカバー体を取り外し不能に固着すると、カバー体が、容器収容部の他方側から容器の他端における少なくとも一部を覆う。したがって、エアゾール容器の使用を開始してから内容物を使い切るまでの間に、エアゾール容器を落として噴射器からエアゾール容器本体が外れそうになったり、噴射器からエアゾール容器本体を故意に取り外そうとしたりして、エアゾール容器本体全体が噴射器に対して他方側に移動しようとしても、容器の他端がカバー体の内面に突き当たる。これにより、エアゾール容器本体の他方側への移動が規制され、噴射器からエアゾール容器本体が外れるのを防止できる。したがって、使用を開始した後に噴射器からエアゾール容器本体が外れるのを防止して、エアゾール容器本体内の内容物を確実に使い切らせることができる
【0010】
また、本発明に係るエアゾール容器は、前記カバー体は、前記容器収容部に接着されることが好ましい。
【0011】
これにより、容器収容部またはカバー体の接着面に接着剤を介在させるだけで、容器収容部とカバー体とを簡単、かつ強固に固着できる。
【0012】
また、本発明に係るエアゾール容器は、前記容器収容部及び前記カバー体には、互いに係合可能な係合部がそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0013】
これにより、容器収容部とカバー体とを固着させる際に、例えば容器収容部とカバー体とを端面同士で接着する場合に比べて、両者の位置決めを簡単に行うことができる。また、容器収容部及びカバー体が固着される前であっても、容器収容部とカバー体とが組み付けられた状態で維持されるので、固着作業を簡単に行うことができ、製造効率を向上できる。
さらに、容器収容部とカバー体とを端面同士で接着する場合に比べて固着面積を増加できるため、両者をより強固に固着できる。
【0014】
また、本発明に係るエアゾール容器は、前記噴射器には、前記内容物の噴射回数をカウントするカウンターが内蔵され、前記カウンターは、前記容器の押し込み動作の度に押圧され、その押圧回数をカウントするカウント部と、前記カウント部でカウントした前記押圧回数を表示する表示部とを有していることが好ましい。
【0015】
これにより、カウント部により容器の押圧回数をカウントすることで、エアゾール容器内の内容物を噴射するたびにカウンターでその噴射回数をカウントできる。そして、カウント部による押圧回数を表示部に表示することで、内容物の噴射回数を容易に確認できる。
特に、本発明に係るエアゾール容器では、上記したように噴射器からエアゾール容器本体が外れるのを防止できるので、一旦使用を開始したエアゾール容器本体を取り外した状態で、内容物を噴射したり、エアゾール容器本体が未装着の状態で、噴射器のカウント部を押下したりすることがない。そのため、表示部に正確な噴射回数を表示させることができるので、噴射回数を正確に把握でき、この噴射回数に基づいて内容物の総使用量や残量を厳格に管理できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るエアゾール容器によれば、使用を開始した後に噴射器からエアゾール容器本体が外れるのを防止して、エアゾール容器本体内の内容物を確実に使い切らせることができる
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】エアゾール容器を上方からみた平面図(上面図)である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図2に相当する断面図であり、エアゾール容器の使用時を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るエアゾール容器の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態におけるエアゾール容器1を上方からみた平面図(上面図)であり、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。
なお、本実施形態におけるエアゾール容器1は、後述するエアゾール容器本体2のステム21を下向きにした状態で使用されるエアゾール容器であり、後述する容器20からみてステム21が突出した方向(図2における下側)を「下側」とし、その反対側(容器20の底部側(図2における上側))を「上側」とする。上記した「下側」が本発明における「一方側」に相当し、上記した「上側」が本発明における「他方側」に相当する。また、図面に示す鎖線Oはエアゾール容器本体2の中心軸線を示しており、以下、単に「軸線O」と記す。また、本実施の形態では、軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに直交する方向を「径方向」とし、軸線O回りの方向を「周方向」とする。
【0019】
図1,図2に示すように、エアゾール容器1は、例えば喘息薬等の薬剤(内容物)を霧状にして口から吸引させるための器具であり、その概略構成としては、エアゾール容器本体2と、エアゾール容器本体2が装着される噴射器3と、を備えている。
【0020】
エアゾール容器本体2は、既知の(一般的な)構造のものを採用することができ、液状等の薬剤が収容された容器20と、その容器20の下端から下方付勢状態で突出したステム21と、を備えている。
【0021】
ステム21は、軸方向に延在する筒部であり、軸線Oを共通軸にして容器20と同軸上に配設されている。また、ステム21は容器20に対して相対的に押し上げ可能に配設されており、エアゾール容器本体2は、ステム21が容器20に対して相対的に上方に移動して容器20内に押し込まれることで、容器20内の薬剤がステム21内に流入する構成となっている。
【0022】
噴射器3は、上記した容器20が収容される有底筒状の容器収容部30と、容器収容部30の上端開口部37を閉塞するカバー体41と、容器収容部30の下端部の側面に突設された筒状の噴射口部31と、後述するカウンター5が収容されたカウンター収容部38と、上記したステム21が挿入される挿入孔32と、その挿入孔32に連通されたノズル33と、を備えている。
【0023】
容器収容部30は、上方に向けて開口する上端開口部37を有し、この上端開口部37から容器収容部30内にエアゾール容器本体2が挿入される。
噴射口部31は、容器収容部30の下端部の側面に形成された開口30aの縁部から径方向外側に向けて突出されており、径方向に延設されている。この噴射口部31の先端は、外部に向けて開放されており、また、噴射口部31の基端は、上記した開口30aを介して容器収容部30の内側に開放されており、噴射口部31の内側と容器収容部30の内側とは連通されている。また、噴射口部31には、その外径が縮径された縮径部31aが形成されており、この縮径部31aにキャップ39が着脱可能に嵌合されている。なお、本実施形態において、容器収容部30からみて噴射口部31側(図2における左側)を正面側とし、その反対側(図2における右側)を背面側とする。
【0024】
容器収容部30の内側の底面(下端)には、上方に向けて延在する突出部34が立設されており、この突出部34の上端部に、上記した挿入孔32が形成されており、また、突出部34の正面側の側部に上記したノズル33が形成されており、さらに、その内部に、ノズル33と挿入孔32とを連通する連通孔35が形成されている。
【0025】
挿入孔32は、軸方向に延在する有底孔であり、軸線Oを共通軸にしてステム21と同軸上に配設されている。この挿入孔32の上端部は上方に向かうに従いテーパー状に漸次拡径されており、挿入孔32の上端は突出部34の上端面で開口されている。
ノズル33は、噴射口部31の内側に向けて薬剤を霧状(拡散状態)で噴射するためのものであり、噴射口部31の基端開口面(開口30a)に対向する位置に配設されている。また、ノズル33は、背面側から正面側に向かうに従いテーパー状に漸次拡径されている。
連通孔35は、ステム21の先端から流出した薬剤をノズル33に送るための流通孔であり、挿入孔32の底面(下端)から下方に向かって延びた有底孔である。また、連通孔35の下端部の側面には、ノズル33の背面側の端部が開放されている。
【0026】
また、カウンター収容部38は、容器収容部30の下端部の背面側(突出部34の背面側)が、径方向外側に向けて張り出されて形成されている。カウンター収容部38には、下面から背面側にかけて開口する開口38aが形成され、この開口38aからカウンター5が挿入されている。また、カウンター収容部38の上面には、カウンター収容部38内と容器収容部30内とを連通させる連通孔38bが形成されている。
【0027】
カウンター5は、既知の構成によるカウンターであり、カウント部51が押される度にその回数をカウントしてその回数を表示部53に表示するものである。
カウント部51は、カウンター本体50の上面に上方付勢状態で立設されたものであり、上記した連通孔38bを通って容器収容部30内に臨むように配置される。この時、カウント部51は、上記した容器20の下端縁(肩部)に上下方向で対向する位置に配設される。表示部53は、カウンター本体50の背面側の側面に設けられており、カウンター収容部38の開口38aから露出するように配設されている。
【0028】
そして、カウンター収容部38の開口38aは、蓋体36で閉塞されている。蓋体36は、カウンター収容部38の下端から背面側までを覆うように設けられ、カウンター収容部38の開口38aにアンダーカット嵌合もしくは固着(接着)されている。この場合、蓋体36の外面は、カウンター収容部38及び容器収容部30の外面に連続するように略面一に形成されている。また、蓋体36におけるカウンター5の表示部53に対向する位置には、外面が凸状に湾曲形成された透明なレンズ部36aが形成されている。
【0029】
ここで、容器収容部30には、上端開口部37を覆うようにカバー体41が設けられている。カバー体41は、容器収容部30と同軸上に配設される有頂筒状に形成されている。
【0030】
カバー体41は、容器収容部30の上端開口部37内に嵌合されて接着されている。具体的に、カバー体41の周壁43の下端外周面には、外径を縮径して形成された段差部45が形成されるとともに、段差部45の下端には径方向外側に向かって突出する係合突部(係合部)46が全周に亘って形成されている。一方、容器収容部30の上端内周面には、内径を拡径して形成された段差部30fが形成されるとともに、段差部30fの上端には径方向内側に向けて突出する係合突部(係合部)30gが全周に亘って形成されている。
そして、カバー体41及び容器収容部30は、各段差部45,30f間に接着剤(不図示)を介在させ、かつ、各係合突部46,30f同士がアンダーカット嵌合された状態で、接着されている。すなわち、カバー体41及び容器収容部30は、接着剤を介して取り外し不能に組み付けられている。この場合、容器収容部30及びカバー体41の外周面は、連続的に略面一に形成されている。
【0031】
また、カバー体41は、周壁43の上端側を覆う天壁部44(上面)を有している。天壁部44には、カバー体41を貫通して容器収容部30内に連通する押下孔47が形成されている。この押下孔47は、エアゾール容器1を使用する際、容器20を下方に向けて押圧するための孔であって、容器収容部30内に指等を挿入可能な大きさに形成されている。具体的に、押下孔47は、カバー体41の天壁部44において、中央部から背面側に亘って配置されており、天壁部44と周壁43との角部を乗り越えて、周壁43の背面側に至っている。
【0032】
これにより、カバー体41の天壁部44は、上面視背面側に向けて開口するU字状に形成されている。そして、天壁部44は、容器20の上面(底部)の外周側を上方から覆っている。そのため、容器収容部30内に収容されたエアゾール容器本体2は、その上面(底部)の縁部が正面側、両側面側の3方向で覆われた状態で上方への移動が規制され、噴射器3から取り外し不能に構成されている。
【0033】
次に、上記した構成からなるエアゾール容器1の作用について説明する。
【0034】
まず、噴射器3内にエアゾール容器本体2を装着する方法について説明する。図1,図2に示すように、ステム21を下方に向けた状態で、容器収容部30の上端開口部37から下方に向けて挿入するとともに、ステム21の先端が挿入孔32の底面に当接するまで容器20を下方へ押し込む。
【0035】
次に、容器収容部30とカバー体41とを接着固定する。具体的に、容器収容部30の段差部30fまたはカバー体41の段差部45に接着剤を塗布し、容器収容部30の上端開口部37及びカバー体41の下端開口部42を対向させた状態で、カバー体41及び容器収容部30を互いに上下方向に接近移動させる。すると、カバー体41の係合突部46が容器収容部30の係合突部30gを乗り越えアンダーカット嵌合され、カバー体41の段差部45が容器収容部30の段差部30f内に収容される。これにより、容器収容部30の上端開口部37がカバー体41に覆われるとともに、容器収容部30及びカバー体41がアンダーカット嵌合された状態で、接着剤により接着固定される。
そして、噴射器3へのエアゾール容器本体2の装着が完了し、容器収容部30とカバー体41とが接着固定された状態で、エアゾール容器1が提供される。このように、容器収容部30とカバー体41とを接着剤を用いて固着することで、容器収容部30またはカバー体41の少なくとも一方における接着面に接着剤を介在させるだけで、両者を簡単、かつ強固に固着できる。
【0036】
図3は、図2に相当する断面図であり、エアゾール容器の使用時を示す図である。
次に、上記したエアゾール容器1を使用する際には、まず、図1〜図3に示すように、縮径部31aからキャップ39を取り外し、噴射口部31を使用者の口の中に向ける。この状態で、押下孔47を通して容器収容部30内に指等を挿入して容器20の上端(底部)を押圧することにより、容器20を噴射器3に対して相対的に下方へ押し下げる。この時、ステム21の先端が挿入孔32の底面に当接しており、ステム21の下方への移動が規制されているため、ステム21は容器20に対して相対的に押し上げられて容器20の内側に押し込まれる。その結果、容器20内の内容物がステム21を通ってノズル33から噴射口部31に向けて噴射される。
【0037】
また、容器20が下げられることで、容器20の下端縁がカウント部51の上端面に当接してカウント部51が押下される。その結果、カウンター5が噴射をカウントし、表示部53にカウント数が表示される。
【0038】
続いて、容器20の上端から指等を離して容器20の上端への押圧を解除する。これにより、ステム21の付勢力によって容器20が押し上げられて容器20が元の位置に戻り、ノズル33からの噴射が停止される。この時、容器20が上昇することで、カウント部51の押下が解除される。
【0039】
このように容器20を押し下げる度に、ノズル33から薬剤が噴射されるとともに、カウント部51が押されて噴射回数がカウントされ、表示部53にカウント数が表示される。なお、表示部53は、カウンター収容部38に形成されたレンズ部36aを通して目視で確認することが可能である。この場合、レンズ部36aを通すことで、表示部53に表示されるカウント数を拡大表示できるため、視認性を向上できる。
【0040】
ここで、本実施形態では、エアゾール容器1の組み付け時に、容器収容部30とカバー体41とを接着しておくことで、容器収容部30からカバー体41を取り外そうとしても、容器収容部30とカバー体41とが分離しないようになっている。
そして、本実施形態のエアゾール容器1では、エアゾール容器1の使用を開始してから薬物を使い切るまでの間に、エアゾール容器1を落として噴射器3からエアゾール容器本体2が外れそうになったり、噴射器3からエアゾール容器本体2を故意に取り外そうとしたりして、エアゾール容器本体2全体が噴射器3に対して上方に移動しようとしても、容器20の上面(底部)がカバー体41の天壁部44の内面に突き当たる。これにより、エアゾール容器本体2の上方への移動が規制され、噴射器3からエアゾール容器本体2が取り外せないようになっている。
【0041】
本実施形態によれば、上記したように容器収容部30の上端開口部37を上方から覆うようにカバー体41を接着することで、使用を開始した後に容器収容部30からカバー体41が分離するのを防止できるとともに、噴射器3内からエアゾール容器本体2が外れるのを防止できる。これにより、エアゾール容器本体2内の薬剤を確実に使い切らせることができる。また、一旦使用を開始したエアゾール容器本体2を取り外した状態で、薬剤を噴射したり、エアゾール容器本体2が未装着の状態で、噴射器3のカウント部51を押下したりすることがない。そのため、表示部53に正確な噴射回数を表示させることができるので、噴射回数を正確に把握でき、この噴射回数に基づいて薬剤の総使用量を厳格に管理できる。
【0042】
また、本実施形態では、容器収容部30とカバー体41とを接着する際に、両者がアンダーカット嵌合されるため、例えば容器収容部30とカバー体41とを端面同士で接着する場合に比べて、両者の径方向における位置決めを簡単に行うことができる。また、接着剤が乾燥する前であっても、容器収容部30とカバー体41とが組み付けられた状態で維持されるので、接着作業を簡単に行うことができ、製造効率を向上できる。
さらに、容器収容部30とカバー体41とを端面同士で接着する場合に比べて接着面積を増加できるため、両者をより強固に接着固定できる。
また、カバー体41の押下孔47を、天壁部44から周壁43の背面側に至るまで形成することで、エアゾール容器1の使用時に噴射器3を背面側から把持した状態で、指等を容器収容部30内に挿入し易くなる。そのため、使用時の取り扱いが容易になる。
【0043】
以上、本発明に係るエアゾール容器の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施形態では、噴射口部31が容器収容部30(軸線O)に対して垂直に突設されているが、本発明は、噴射口部31が容器収容部30(軸線O)に対して斜めに突設された構成や、容器収容部30(軸線O)に平行に突設された構成にすることも可能であり、或いは、噴射口部31を突設しない構成(開口のみ)にすることも可能である。
【0044】
また、上記した実施形態では、カウンター5の表示部53が背面側に配設されているが、本発明は、表示部53が下面側や側面側に配設されていてもよい。
また、上記した実施の形態では、カウンター5が容器収容部30の内側に収容されているが、本発明は、カウンター5が容器収容部30の外側に取り付けられていてもよい。また、必ずしもカウンター5を内蔵する必要はない。
【0045】
また、上記した実施形態で内臓されるカウンター5としては、デジタル式のカウンターや、デジタル式以外のカウンターが備えられていてもよく、例えば、ラチェット機構を用いた機械式のカウンターが備えられていてもよい。このような機械式のカウンターの構成としては、一方向への回転が許容されているとともに他方への回転が規制部材によって規制されたピニオンが備えられ、カウント部が押下されると、ピニオンが一方向に回転して回数をカウントする構成等が考えられる。
【0046】
また、上述した実施形態では、カバー体41の天壁部44が容器20の上端面の外周側を覆うように形成したが、天壁部44が容器20の上端面(底部)における少なくとも一部を覆い、かつ容器20を押圧するための押下孔47が形成されていれば、天壁部44の形成範囲は適宜設計変更が可能である。
また、上述した実施形態では、容器収容部30とカバー体41とを接着剤を介して固定する場合について説明したが、両者が固着されていれば、溶着等を用いても構わない。
【0047】
また、上記した実施の形態では、エアゾール容器本体2のステム21を下向きにした姿勢でエアゾール容器1が配置され、容器20を押し下げることで薬剤を噴射させる構成になっているが、本発明は、上記した姿勢で使用されるエアゾール容器に限定されるものではない。例えば、エアゾール容器本体2のステム21を上向きにした姿勢、斜め向きにした姿勢、横向きにした姿勢などでエアゾール容器1を用いることも可能である。
さらに、エアゾール容器本体2内に収容される内容物は、薬剤に限らず、用途に応じて種々の内容物を収容することが可能である。
また、上述した実施形態では容器収容部30の内周面及びカバー体41の外周面に係合突部30g, 46を形成し、カバー体41を容器収容部30に内嵌固定する構成について説明したが、容器収容部30の外周面及びカバー体41の内周面に係合突部30g, 46を形成し、カバー体41を容器収容部30に外嵌固定する構成にしても構わない。
【0048】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 エアゾール容器
2 エアゾール容器本体
3 噴射器
5 カウンター
20 容器
21 ステム
30 容器収容部
30f 係合突部(係合部)
32 挿入孔
33 ノズル
37 上端開口部(開口部)
41 カバー体
46 係合突部(係合部)
47 押下孔
51 カウント部
53 表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を噴射させる噴射器を備えたエアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエアゾール容器として、従来から、例えば喘息薬等の薬剤(内容物)を収容したエアゾール容器本体と、そのエアゾール容器本体に装着された噴射器と、を備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、上記したエアゾール容器本体は、液状の内容物を収容した容器と、容器から容器の外方へ付勢状態で突出されたステムと、を備えており、ステムが容器内に押し込まれることで容器内の内容物がステムを通って噴射される。一方、上記した噴射器は、容器を収容する有底筒状の容器収容部と、容器収容部の下端部の側面に突設された筒状の噴射口部と、容器収容部の下端部の内側に形成されてステムが挿入された挿入孔と、この挿入孔に連通されて噴射口部に向けて開口されたノズルと、を備えている。
このような構成からなるエアゾール容器では、噴射口部を患部(例えば口腔内)に向けた状態で、容器の上端(倒立状態における容器の底部)を指等で押圧して容器を押し下げることで、ステムが容器内に押し込まれ、容器内の内容物がステムを通ってノズルから噴射口部内に向けて霧状に噴射され、患部に内容物が投与される。
【0004】
ところで、エアゾール容器本体内に収容される内容物の種類によっては、内容物の総使用量を厳格に管理する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3487866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したエアゾール容器では、内容物を使い切る前に噴射器とエアゾール容器本体とが分離し、エアゾール容器本体内から内容物が意図せず噴射される虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記した従来の問題点を解決するものであり、使用を開始した後に噴射器からエアゾール容器本体が外れるのを防止して、エアゾール容器本体内の内容物を確実に使い切らせることができるエアゾール容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエアゾール容器は、内容物が収容された容器、及び、該容器の一端から一方側へ向けて付勢した状態で突出したステム、が備えられたエアゾール容器本体と、前記容器が収容される容器収容部、前記ステムが挿入される挿入孔、及び、該挿入孔に連通されたノズル、が備えられた噴射器と、を備えており、前記容器の他端を押圧して該容器を前記噴射器に対して相対的に一方側へ押し込むことで、前記ステムが前記容器内に押し込まれ、該容器内の内容物が前記ステムを通って前記ノズルから外部に噴射されるエアゾール容器であって、前記容器収容部は、他方側に向けて開口するとともに、前記エアゾール容器本体が一端側から挿入される開口部を有し、前記噴射器は、前記容器収容部の前記開口部に取り外し不能に固着されることにより、前記容器の他端における少なくとも一部を他方側から覆うカバー体を備え、前記カバー体には、前記容器の他端を押圧するための押下孔が形成されていることを特徴としている。
【0009】
このような特徴により、容器収容部の開口部にカバー体を取り外し不能に固着すると、カバー体が、容器収容部の他方側から容器の他端における少なくとも一部を覆う。したがって、エアゾール容器の使用を開始してから内容物を使い切るまでの間に、エアゾール容器を落として噴射器からエアゾール容器本体が外れそうになったり、噴射器からエアゾール容器本体を故意に取り外そうとしたりして、エアゾール容器本体全体が噴射器に対して他方側に移動しようとしても、容器の他端がカバー体の内面に突き当たる。これにより、エアゾール容器本体の他方側への移動が規制され、噴射器からエアゾール容器本体が外れるのを防止できる。したがって、使用を開始した後に噴射器からエアゾール容器本体が外れるのを防止して、エアゾール容器本体内の内容物を確実に使い切らせることができる
【0010】
また、本発明に係るエアゾール容器は、前記カバー体は、前記容器収容部に接着されることが好ましい。
【0011】
これにより、容器収容部またはカバー体の接着面に接着剤を介在させるだけで、容器収容部とカバー体とを簡単、かつ強固に固着できる。
【0012】
また、本発明に係るエアゾール容器は、前記容器収容部及び前記カバー体には、互いに係合可能な係合部がそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0013】
これにより、容器収容部とカバー体とを固着させる際に、例えば容器収容部とカバー体とを端面同士で接着する場合に比べて、両者の位置決めを簡単に行うことができる。また、容器収容部及びカバー体が固着される前であっても、容器収容部とカバー体とが組み付けられた状態で維持されるので、固着作業を簡単に行うことができ、製造効率を向上できる。
さらに、容器収容部とカバー体とを端面同士で接着する場合に比べて固着面積を増加できるため、両者をより強固に固着できる。
【0014】
また、本発明に係るエアゾール容器は、前記噴射器には、前記内容物の噴射回数をカウントするカウンターが内蔵され、前記カウンターは、前記容器の押し込み動作の度に押圧され、その押圧回数をカウントするカウント部と、前記カウント部でカウントした前記押圧回数を表示する表示部とを有していることが好ましい。
【0015】
これにより、カウント部により容器の押圧回数をカウントすることで、エアゾール容器内の内容物を噴射するたびにカウンターでその噴射回数をカウントできる。そして、カウント部による押圧回数を表示部に表示することで、内容物の噴射回数を容易に確認できる。
特に、本発明に係るエアゾール容器では、上記したように噴射器からエアゾール容器本体が外れるのを防止できるので、一旦使用を開始したエアゾール容器本体を取り外した状態で、内容物を噴射したり、エアゾール容器本体が未装着の状態で、噴射器のカウント部を押下したりすることがない。そのため、表示部に正確な噴射回数を表示させることができるので、噴射回数を正確に把握でき、この噴射回数に基づいて内容物の総使用量や残量を厳格に管理できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るエアゾール容器によれば、使用を開始した後に噴射器からエアゾール容器本体が外れるのを防止して、エアゾール容器本体内の内容物を確実に使い切らせることができる
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】エアゾール容器を上方からみた平面図(上面図)である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図2に相当する断面図であり、エアゾール容器の使用時を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るエアゾール容器の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態におけるエアゾール容器1を上方からみた平面図(上面図)であり、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。
なお、本実施形態におけるエアゾール容器1は、後述するエアゾール容器本体2のステム21を下向きにした状態で使用されるエアゾール容器であり、後述する容器20からみてステム21が突出した方向(図2における下側)を「下側」とし、その反対側(容器20の底部側(図2における上側))を「上側」とする。上記した「下側」が本発明における「一方側」に相当し、上記した「上側」が本発明における「他方側」に相当する。また、図面に示す鎖線Oはエアゾール容器本体2の中心軸線を示しており、以下、単に「軸線O」と記す。また、本実施の形態では、軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに直交する方向を「径方向」とし、軸線O回りの方向を「周方向」とする。
【0019】
図1,図2に示すように、エアゾール容器1は、例えば喘息薬等の薬剤(内容物)を霧状にして口から吸引させるための器具であり、その概略構成としては、エアゾール容器本体2と、エアゾール容器本体2が装着される噴射器3と、を備えている。
【0020】
エアゾール容器本体2は、既知の(一般的な)構造のものを採用することができ、液状等の薬剤が収容された容器20と、その容器20の下端から下方付勢状態で突出したステム21と、を備えている。
【0021】
ステム21は、軸方向に延在する筒部であり、軸線Oを共通軸にして容器20と同軸上に配設されている。また、ステム21は容器20に対して相対的に押し上げ可能に配設されており、エアゾール容器本体2は、ステム21が容器20に対して相対的に上方に移動して容器20内に押し込まれることで、容器20内の薬剤がステム21内に流入する構成となっている。
【0022】
噴射器3は、上記した容器20が収容される有底筒状の容器収容部30と、容器収容部30の上端開口部37を閉塞するカバー体41と、容器収容部30の下端部の側面に突設された筒状の噴射口部31と、後述するカウンター5が収容されたカウンター収容部38と、上記したステム21が挿入される挿入孔32と、その挿入孔32に連通されたノズル33と、を備えている。
【0023】
容器収容部30は、上方に向けて開口する上端開口部37を有し、この上端開口部37から容器収容部30内にエアゾール容器本体2が挿入される。
噴射口部31は、容器収容部30の下端部の側面に形成された開口30aの縁部から径方向外側に向けて突出されており、径方向に延設されている。この噴射口部31の先端は、外部に向けて開放されており、また、噴射口部31の基端は、上記した開口30aを介して容器収容部30の内側に開放されており、噴射口部31の内側と容器収容部30の内側とは連通されている。また、噴射口部31には、その外径が縮径された縮径部31aが形成されており、この縮径部31aにキャップ39が着脱可能に嵌合されている。なお、本実施形態において、容器収容部30からみて噴射口部31側(図2における左側)を正面側とし、その反対側(図2における右側)を背面側とする。
【0024】
容器収容部30の内側の底面(下端)には、上方に向けて延在する突出部34が立設されており、この突出部34の上端部に、上記した挿入孔32が形成されており、また、突出部34の正面側の側部に上記したノズル33が形成されており、さらに、その内部に、ノズル33と挿入孔32とを連通する連通孔35が形成されている。
【0025】
挿入孔32は、軸方向に延在する有底孔であり、軸線Oを共通軸にしてステム21と同軸上に配設されている。この挿入孔32の上端部は上方に向かうに従いテーパー状に漸次拡径されており、挿入孔32の上端は突出部34の上端面で開口されている。
ノズル33は、噴射口部31の内側に向けて薬剤を霧状(拡散状態)で噴射するためのものであり、噴射口部31の基端開口面(開口30a)に対向する位置に配設されている。また、ノズル33は、背面側から正面側に向かうに従いテーパー状に漸次拡径されている。
連通孔35は、ステム21の先端から流出した薬剤をノズル33に送るための流通孔であり、挿入孔32の底面(下端)から下方に向かって延びた有底孔である。また、連通孔35の下端部の側面には、ノズル33の背面側の端部が開放されている。
【0026】
また、カウンター収容部38は、容器収容部30の下端部の背面側(突出部34の背面側)が、径方向外側に向けて張り出されて形成されている。カウンター収容部38には、下面から背面側にかけて開口する開口38aが形成され、この開口38aからカウンター5が挿入されている。また、カウンター収容部38の上面には、カウンター収容部38内と容器収容部30内とを連通させる連通孔38bが形成されている。
【0027】
カウンター5は、既知の構成によるカウンターであり、カウント部51が押される度にその回数をカウントしてその回数を表示部53に表示するものである。
カウント部51は、カウンター本体50の上面に上方付勢状態で立設されたものであり、上記した連通孔38bを通って容器収容部30内に臨むように配置される。この時、カウント部51は、上記した容器20の下端縁(肩部)に上下方向で対向する位置に配設される。表示部53は、カウンター本体50の背面側の側面に設けられており、カウンター収容部38の開口38aから露出するように配設されている。
【0028】
そして、カウンター収容部38の開口38aは、蓋体36で閉塞されている。蓋体36は、カウンター収容部38の下端から背面側までを覆うように設けられ、カウンター収容部38の開口38aにアンダーカット嵌合もしくは固着(接着)されている。この場合、蓋体36の外面は、カウンター収容部38及び容器収容部30の外面に連続するように略面一に形成されている。また、蓋体36におけるカウンター5の表示部53に対向する位置には、外面が凸状に湾曲形成された透明なレンズ部36aが形成されている。
【0029】
ここで、容器収容部30には、上端開口部37を覆うようにカバー体41が設けられている。カバー体41は、容器収容部30と同軸上に配設される有頂筒状に形成されている。
【0030】
カバー体41は、容器収容部30の上端開口部37内に嵌合されて接着されている。具体的に、カバー体41の周壁43の下端外周面には、外径を縮径して形成された段差部45が形成されるとともに、段差部45の下端には径方向外側に向かって突出する係合突部(係合部)46が全周に亘って形成されている。一方、容器収容部30の上端内周面には、内径を拡径して形成された段差部30fが形成されるとともに、段差部30fの上端には径方向内側に向けて突出する係合突部(係合部)30gが全周に亘って形成されている。
そして、カバー体41及び容器収容部30は、各段差部45,30f間に接着剤(不図示)を介在させ、かつ、各係合突部46,30f同士がアンダーカット嵌合された状態で、接着されている。すなわち、カバー体41及び容器収容部30は、接着剤を介して取り外し不能に組み付けられている。この場合、容器収容部30及びカバー体41の外周面は、連続的に略面一に形成されている。
【0031】
また、カバー体41は、周壁43の上端側を覆う天壁部44(上面)を有している。天壁部44には、カバー体41を貫通して容器収容部30内に連通する押下孔47が形成されている。この押下孔47は、エアゾール容器1を使用する際、容器20を下方に向けて押圧するための孔であって、容器収容部30内に指等を挿入可能な大きさに形成されている。具体的に、押下孔47は、カバー体41の天壁部44において、中央部から背面側に亘って配置されており、天壁部44と周壁43との角部を乗り越えて、周壁43の背面側に至っている。
【0032】
これにより、カバー体41の天壁部44は、上面視背面側に向けて開口するU字状に形成されている。そして、天壁部44は、容器20の上面(底部)の外周側を上方から覆っている。そのため、容器収容部30内に収容されたエアゾール容器本体2は、その上面(底部)の縁部が正面側、両側面側の3方向で覆われた状態で上方への移動が規制され、噴射器3から取り外し不能に構成されている。
【0033】
次に、上記した構成からなるエアゾール容器1の作用について説明する。
【0034】
まず、噴射器3内にエアゾール容器本体2を装着する方法について説明する。図1,図2に示すように、ステム21を下方に向けた状態で、容器収容部30の上端開口部37から下方に向けて挿入するとともに、ステム21の先端が挿入孔32の底面に当接するまで容器20を下方へ押し込む。
【0035】
次に、容器収容部30とカバー体41とを接着固定する。具体的に、容器収容部30の段差部30fまたはカバー体41の段差部45に接着剤を塗布し、容器収容部30の上端開口部37及びカバー体41の下端開口部42を対向させた状態で、カバー体41及び容器収容部30を互いに上下方向に接近移動させる。すると、カバー体41の係合突部46が容器収容部30の係合突部30gを乗り越えアンダーカット嵌合され、カバー体41の段差部45が容器収容部30の段差部30f内に収容される。これにより、容器収容部30の上端開口部37がカバー体41に覆われるとともに、容器収容部30及びカバー体41がアンダーカット嵌合された状態で、接着剤により接着固定される。
そして、噴射器3へのエアゾール容器本体2の装着が完了し、容器収容部30とカバー体41とが接着固定された状態で、エアゾール容器1が提供される。このように、容器収容部30とカバー体41とを接着剤を用いて固着することで、容器収容部30またはカバー体41の少なくとも一方における接着面に接着剤を介在させるだけで、両者を簡単、かつ強固に固着できる。
【0036】
図3は、図2に相当する断面図であり、エアゾール容器の使用時を示す図である。
次に、上記したエアゾール容器1を使用する際には、まず、図1〜図3に示すように、縮径部31aからキャップ39を取り外し、噴射口部31を使用者の口の中に向ける。この状態で、押下孔47を通して容器収容部30内に指等を挿入して容器20の上端(底部)を押圧することにより、容器20を噴射器3に対して相対的に下方へ押し下げる。この時、ステム21の先端が挿入孔32の底面に当接しており、ステム21の下方への移動が規制されているため、ステム21は容器20に対して相対的に押し上げられて容器20の内側に押し込まれる。その結果、容器20内の内容物がステム21を通ってノズル33から噴射口部31に向けて噴射される。
【0037】
また、容器20が下げられることで、容器20の下端縁がカウント部51の上端面に当接してカウント部51が押下される。その結果、カウンター5が噴射をカウントし、表示部53にカウント数が表示される。
【0038】
続いて、容器20の上端から指等を離して容器20の上端への押圧を解除する。これにより、ステム21の付勢力によって容器20が押し上げられて容器20が元の位置に戻り、ノズル33からの噴射が停止される。この時、容器20が上昇することで、カウント部51の押下が解除される。
【0039】
このように容器20を押し下げる度に、ノズル33から薬剤が噴射されるとともに、カウント部51が押されて噴射回数がカウントされ、表示部53にカウント数が表示される。なお、表示部53は、カウンター収容部38に形成されたレンズ部36aを通して目視で確認することが可能である。この場合、レンズ部36aを通すことで、表示部53に表示されるカウント数を拡大表示できるため、視認性を向上できる。
【0040】
ここで、本実施形態では、エアゾール容器1の組み付け時に、容器収容部30とカバー体41とを接着しておくことで、容器収容部30からカバー体41を取り外そうとしても、容器収容部30とカバー体41とが分離しないようになっている。
そして、本実施形態のエアゾール容器1では、エアゾール容器1の使用を開始してから薬物を使い切るまでの間に、エアゾール容器1を落として噴射器3からエアゾール容器本体2が外れそうになったり、噴射器3からエアゾール容器本体2を故意に取り外そうとしたりして、エアゾール容器本体2全体が噴射器3に対して上方に移動しようとしても、容器20の上面(底部)がカバー体41の天壁部44の内面に突き当たる。これにより、エアゾール容器本体2の上方への移動が規制され、噴射器3からエアゾール容器本体2が取り外せないようになっている。
【0041】
本実施形態によれば、上記したように容器収容部30の上端開口部37を上方から覆うようにカバー体41を接着することで、使用を開始した後に容器収容部30からカバー体41が分離するのを防止できるとともに、噴射器3内からエアゾール容器本体2が外れるのを防止できる。これにより、エアゾール容器本体2内の薬剤を確実に使い切らせることができる。また、一旦使用を開始したエアゾール容器本体2を取り外した状態で、薬剤を噴射したり、エアゾール容器本体2が未装着の状態で、噴射器3のカウント部51を押下したりすることがない。そのため、表示部53に正確な噴射回数を表示させることができるので、噴射回数を正確に把握でき、この噴射回数に基づいて薬剤の総使用量を厳格に管理できる。
【0042】
また、本実施形態では、容器収容部30とカバー体41とを接着する際に、両者がアンダーカット嵌合されるため、例えば容器収容部30とカバー体41とを端面同士で接着する場合に比べて、両者の径方向における位置決めを簡単に行うことができる。また、接着剤が乾燥する前であっても、容器収容部30とカバー体41とが組み付けられた状態で維持されるので、接着作業を簡単に行うことができ、製造効率を向上できる。
さらに、容器収容部30とカバー体41とを端面同士で接着する場合に比べて接着面積を増加できるため、両者をより強固に接着固定できる。
また、カバー体41の押下孔47を、天壁部44から周壁43の背面側に至るまで形成することで、エアゾール容器1の使用時に噴射器3を背面側から把持した状態で、指等を容器収容部30内に挿入し易くなる。そのため、使用時の取り扱いが容易になる。
【0043】
以上、本発明に係るエアゾール容器の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施形態では、噴射口部31が容器収容部30(軸線O)に対して垂直に突設されているが、本発明は、噴射口部31が容器収容部30(軸線O)に対して斜めに突設された構成や、容器収容部30(軸線O)に平行に突設された構成にすることも可能であり、或いは、噴射口部31を突設しない構成(開口のみ)にすることも可能である。
【0044】
また、上記した実施形態では、カウンター5の表示部53が背面側に配設されているが、本発明は、表示部53が下面側や側面側に配設されていてもよい。
また、上記した実施の形態では、カウンター5が容器収容部30の内側に収容されているが、本発明は、カウンター5が容器収容部30の外側に取り付けられていてもよい。また、必ずしもカウンター5を内蔵する必要はない。
【0045】
また、上記した実施形態で内臓されるカウンター5としては、デジタル式のカウンターや、デジタル式以外のカウンターが備えられていてもよく、例えば、ラチェット機構を用いた機械式のカウンターが備えられていてもよい。このような機械式のカウンターの構成としては、一方向への回転が許容されているとともに他方への回転が規制部材によって規制されたピニオンが備えられ、カウント部が押下されると、ピニオンが一方向に回転して回数をカウントする構成等が考えられる。
【0046】
また、上述した実施形態では、カバー体41の天壁部44が容器20の上端面の外周側を覆うように形成したが、天壁部44が容器20の上端面(底部)における少なくとも一部を覆い、かつ容器20を押圧するための押下孔47が形成されていれば、天壁部44の形成範囲は適宜設計変更が可能である。
また、上述した実施形態では、容器収容部30とカバー体41とを接着剤を介して固定する場合について説明したが、両者が固着されていれば、溶着等を用いても構わない。
【0047】
また、上記した実施の形態では、エアゾール容器本体2のステム21を下向きにした姿勢でエアゾール容器1が配置され、容器20を押し下げることで薬剤を噴射させる構成になっているが、本発明は、上記した姿勢で使用されるエアゾール容器に限定されるものではない。例えば、エアゾール容器本体2のステム21を上向きにした姿勢、斜め向きにした姿勢、横向きにした姿勢などでエアゾール容器1を用いることも可能である。
さらに、エアゾール容器本体2内に収容される内容物は、薬剤に限らず、用途に応じて種々の内容物を収容することが可能である。
また、上述した実施形態では容器収容部30の内周面及びカバー体41の外周面に係合突部30g, 46を形成し、カバー体41を容器収容部30に内嵌固定する構成について説明したが、容器収容部30の外周面及びカバー体41の内周面に係合突部30g, 46を形成し、カバー体41を容器収容部30に外嵌固定する構成にしても構わない。
【0048】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 エアゾール容器
2 エアゾール容器本体
3 噴射器
5 カウンター
20 容器
21 ステム
30 容器収容部
30f 係合突部(係合部)
32 挿入孔
33 ノズル
37 上端開口部(開口部)
41 カバー体
46 係合突部(係合部)
47 押下孔
51 カウント部
53 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容された容器、及び、該容器の一端から一方側へ向けて付勢した状態で突出したステム、が備えられたエアゾール容器本体と、
前記容器が収容される容器収容部、前記ステムが挿入される挿入孔、及び、該挿入孔に連通されたノズル、が備えられた噴射器と、
を備えており、
前記容器の他端を押圧して該容器を前記噴射器に対して相対的に一方側へ押し込むことで、前記ステムが前記容器内に押し込まれ、該容器内の内容物が前記ステムを通って前記ノズルから外部に噴射されるエアゾール容器であって、
前記容器収容部は、他方側に向けて開口するとともに、前記エアゾール容器本体が一端側から挿入される開口部を有し、
前記噴射器は、前記容器収容部の前記開口部に取り外し不能に固着されることにより、前記容器の他端における少なくとも一部を他方側から覆うカバー体を備え、
前記カバー体には、前記容器の他端を押圧するための押下孔が形成されていることを特徴とするエアゾール容器。
【請求項2】
前記カバー体は、前記容器収容部に接着されることを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器。
【請求項3】
前記容器収容部及び前記カバー体には、互いに係合可能な係合部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のエアゾール容器。
【請求項4】
前記噴射器には、前記内容物の噴射回数をカウントするカウンターが内蔵され、
前記カウンターは、前記容器の押し込み動作の度に押圧され、その押圧回数をカウントするカウント部と、前記カウント部でカウントした前記押圧回数を表示する表示部とを有していることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のエアゾール容器。
【請求項1】
内容物が収容された容器、及び、該容器の一端から一方側へ向けて付勢した状態で突出したステム、が備えられたエアゾール容器本体と、
前記容器が収容される容器収容部、前記ステムが挿入される挿入孔、及び、該挿入孔に連通されたノズル、が備えられた噴射器と、
を備えており、
前記容器の他端を押圧して該容器を前記噴射器に対して相対的に一方側へ押し込むことで、前記ステムが前記容器内に押し込まれ、該容器内の内容物が前記ステムを通って前記ノズルから外部に噴射されるエアゾール容器であって、
前記容器収容部は、他方側に向けて開口するとともに、前記エアゾール容器本体が一端側から挿入される開口部を有し、
前記噴射器は、前記容器収容部の前記開口部に取り外し不能に固着されることにより、前記容器の他端における少なくとも一部を他方側から覆うカバー体を備え、
前記カバー体には、前記容器の他端を押圧するための押下孔が形成されていることを特徴とするエアゾール容器。
【請求項2】
前記カバー体は、前記容器収容部に接着されることを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器。
【請求項3】
前記容器収容部及び前記カバー体には、互いに係合可能な係合部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のエアゾール容器。
【請求項4】
前記噴射器には、前記内容物の噴射回数をカウントするカウンターが内蔵され、
前記カウンターは、前記容器の押し込み動作の度に押圧され、その押圧回数をカウントするカウント部と、前記カウント部でカウントした前記押圧回数を表示する表示部とを有していることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のエアゾール容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2011−246167(P2011−246167A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121617(P2010−121617)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
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