説明

エアドライヤ搭載形パッケージ形圧縮機

【課題】設置面積を最小限にし、かつパッケージ内部温度上昇の小さいパッケージ形圧縮機を提供する。
【解決手段】筐体2内部に、圧縮機本体7、圧縮機本体7を駆動する電動機6、電気品を収納する電気品箱20、熱交換器13と冷却ファンを有するパッケージ形圧縮機において、前記筐体2内の空間を概略上部室4と下部室5とに区画し、前記下部室5に冷却風取入口19を、前記上部室4の上面に冷却風排気口14を配置し、前記下部室5内に圧縮機本体7、電動機6および電気品箱20を、前記上部室4内に熱交換器13およびターボ型の冷却ファン15を上下方向に配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ形圧縮機に係り、更に詳しくは設置面積が小さく、パッケージ内部の機器に対する冷却が優れたパッケージ形圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ形圧縮機は、パッケージ内に、圧縮機本体やこれを駆動する駆動モータ、圧縮気体と共に吐出された潤滑油を圧縮気体より分離するための油分離装置、この油分離装置において分離・回収された潤滑油を冷却するためのオイルクーラ等を収容している。 この種のパッケージ形圧縮機においては、パッケージ内の冷却効率を改善し、コンパクト化を図っているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−30227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、パッケージ形圧縮機において、その設置面積の小形化に対するニーズは益々高まりつつあり、また、パッケージ形圧縮機ユニットの小形化、構成部品の高密度配置化も進んでいる。
【0005】
パッケージの内部では、電動機等の電気部品による発熱、圧縮機本体による圧縮熱等により外気温度に対してパッケージ内温度は上昇するが、前述のようにパッケージの小形化、高密度な部品配置化により、パッケージ内部の温度上昇は上昇しがちである。
【0006】
また、近年の地球環境の温暖化防止、圧縮機を配置する圧縮機室の換気設備の簡素化等により、パッケージ形圧縮機配置場所の周囲温度も高まってきている。更には、パッケージ内部を換気する冷却ファン等の補器においても、省エネ化のため低出力化、可変速化による最低風量化が進んでいるので、パッケージ内部温度上昇はさらに高まってきている。このため、温度により寿命、特性に影響を受けやすい電気部品、樹脂部品等は過酷な条件で使われているのが実情である。
【0007】
本発明は、上述の事柄に基づいてなされたもので、設置面積が小さく、パッケージ内部の機器及び電気部品、樹脂部品等に対する冷却が優れたパッケージ形圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するために、第1の発明は、筐体内部に、圧縮機本体、圧縮機本体を駆動する電動機、電気品を収納する電気品箱、熱交換器と冷却ファンを有するパッケージ形圧縮機において、前記筐体内の空間を概略上部室と下部室とに区画し、前記下部室に冷却風取入口を、前記上部室の上面に冷却風排気口を配置し、前記下部室内に圧縮機本体、電動機および電気品箱を、前記上部室内に熱交換器およびターボ型の冷却ファンを上下方向に配置したことを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記ターボ型の冷却ファンを、前記熱交換器の上流側に配置したことを特徴とする。
【0010】
更に、第3の発明は、第1の発明において、前記ターボ型の冷却ファンを、前記熱交換器の下流側に配置したことを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記圧縮機本体と電動機は、前記下部室内に並設し、前記電気品箱は、前記下部室内の側方に配置したことを特徴とする。
【0012】
更に、第5の発明は、第4の発明において、前記電気品箱内に、圧縮機本体を駆動する電動機を可変速化するための可変速手段を配置したことを特徴とする。
【0013】
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明のいずれかにおいて、前記上部室内を複数に区画し、その区画した1つの室内に、熱交換器およびターボ型の冷却ファンを上下方向に配置し、区画したもう1つの室内に、エアドライヤを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるとパッケージ形圧縮機において、パッケージ内部の冷却に優れ、かつ設置面積の少ないパッケージ形圧縮機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のパッケージ形圧縮機の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1乃至図3は、本発明のパッケージ形圧縮機の一実施の形態を示すもので、図1は本発明のパッケージ形圧縮機の一実施の形態を一部断面にて示す正面図、図2はその左側面図、図3は本発明のパッケージ形圧縮機の一実施の形態に用いる冷却ファンの斜視図である。
これらの図において、パッケージ形圧縮機は、底板1とこの底板1上に設けた筐体2とを備えている。筐体2は、前面板2A,側面板2B,背面板2C,上面板2Dを組付けて構成されており、前面板2Aは、筐体2内の機器の点検作業等を可能とするために、着脱可能となっている。
【0016】
筐体2内部の空間は、仕切り板3により概略上部室4と下部室5とに仕切られている。下部室5内の底板1上には、電動機6と、圧縮機本体7と圧縮機本体7の下部に設けた油分離器8とが、筐体2の幅方向(図1の左右方向)に並置されている。電動機6と圧縮機本体7とは、ベルト9によって連結されている。
【0017】
圧縮機本体7の吸込側には、吸込絞り弁10、吸込フィルタ11が下部室5内に位置するように設けられている。圧縮機本体7の吐出側には、前述した油分離器8と、油分離フィルタ12と熱交換器13とが連結されるが、熱交換器13は、上部室4側に配置されている。
【0018】
熱交換器13は、上部室4内のフランジ等に固定配置されている。筐体2の上面板2Dには、冷却風排出口14が前述した熱交換器13に対向して設けられている。熱交換器13の上流側で、筐体2の前面板2A側の上部室4内には、ターボ型の冷却ファン15が配設されている。このターボ型の冷却ファン15は、縦方向(図1、2の上下方向)の配置したモータ16の回転軸に連結されている。モータ16は、仕切り板3に設けたモータ支持枠17に固定されている。
【0019】
ターボ型の冷却ファン15は、図3に示すように前面シュラウド15Aと、後面シュラウド15Bと、前面シュラウド15Aと後面シュラウド15Bとの間に周方向に沿って設けた羽根15Cとで構成され、高静圧大風量で低出力となっている。
【0020】
図1に戻り、仕切り板3におけるターボ型の冷却ファン15の吸込側に対向する部分には、通気孔18が形成されている。背面板2Cの下方部には、冷却風取込口19が形成されている。また、下部室5内の側方部、即ち一方の側面板2Bの内側で、仕切り板3の下方部分には、電気箱20が設けられている。この電気箱20内には、スイッチ類、電動機2を可変速化するインバータ(可変速手段)等が内蔵されている。
【0021】
次に、上述した本発明のパッケージ形圧縮機の一実施の形態の動作を、図面を用いて説明する。
下部室5内の機器の駆動により、下部室5内の機器および下部室5内の温度が上昇するが、その温度の低下は、上部室4内に配置した高静圧大風量で低出力であるターボ型冷却ファン15を駆動することにより、実現可能になる。即ち、ターボ型冷却ファン15をファンモータ16により運転することで、冷却風は、背面板2Cの下部に位置する冷却風取入口19より、下部室5内に導入され、電動機6、圧縮機本体7と圧縮機本体7の下部に設けた油分離器8、および電気品箱20を冷却した後、下部室5から上部室4内に流入し、ファンモータ16、熱交換器13を冷却し、上面板2Dに設けた冷却風排出口14より外部に排気される。
【0022】
上部室5内に配置した冷却ファンは、ターボ型の冷却ファン15としたので、その高静圧大風量機能により、下部室5は上部室4に比較して低圧になるので、下部室5への冷却風の流入が大となり、冷却性が向上する。また、ターボ型の冷却ファン15を、背面板2Cの下部に設けた冷却風取入口19とは反対側で、上部室4における前面板2A側に配置したので、冷却風取入口19から流入した冷却風は、下部室の背部下方から筐体2の前面側上方に向かって移行するので、下部室5内の電動機6、圧縮機本体7、圧縮機本体7の下部に設けた油分離器8、および電気品箱20を十分に冷却する。また、下部室5から上部室4内に流入する冷却風は、ターボ型の冷却ファン15の吐き出し大風量により、同様に冷却される。
【0023】
一例として37KWクラスの圧縮機についての冷却能力について以下述べると、仮に冷却風取入口18より、温度20℃、冷却風量:60m3/min、圧縮機本体7の表面からの発熱が0.5KW、電動機6の発熱が2.3KW、冷却空気の比重を1.2kg/m3、比熱を2.8×10-4kWh/℃kgと仮定すると、仕切り板3より下方の下部室5側の空間での冷却風は、平均的に約2.3℃上昇し22.3℃となるが、ファンモータ16、および熱交換器13を冷却するには十分冷却可能な冷却風温度を確保できる。
【0024】
この実施の形態によれば、パッケージ形圧縮機の筐体2内部の空間を、概略上下2分割して上部室4と下部室5とを形成し、その下部室5内に発熱量が大きい圧縮機本体7、電動機6および電気品箱21を配置し、上部室4内には、高静圧大風量で低出力であるターボ型冷却ファン15および熱交換器13を配置して、冷却風を、下部室5の背面下部から吸入し、圧縮機本体7、電動機6および電気品箱21を冷却した後、上部室4内に配置した熱交換器13を冷却し、その上面より排気される構成としたので、筐体2内部、筐体2内の各機器及び電気箱20内の温度により寿命、特性に影響を受けやすい電気部品や、樹脂部品等の冷却に優れ、かつ設置面積の少ないパッケージ形圧縮機を提供することできる。
【0025】
特に、温度により寿命、特性に影響を受けやすい電気部品や、樹脂部品等をも十分に冷却することができるので、これらの部品として、安価なものを使用することができ、その生産性も良好である。また、インバータの温度上昇を低減することができるので、その耐温度性が向上し、パッケージ形圧縮機の信頼性の向上を図ることができる。
【0026】
図4は、本発明のパッケージ形圧縮機の他の実施の形態を示す左側面図であり、この図において、図1乃至図3と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
この実施の形態は、上部室4を仕切り板21により左右方向に2つの室に区画し、図4上で右側の室内にターボ型冷却ファン15のファンモータ16、熱交換器13を配置し、さらに左側の室内にエアドライヤ22を配置したものである。
【0027】
この実施の形態においては、冷却風は前述した実施の形態と同様に、冷却風取入口19より導入され、圧縮機本体7、電動機6、電気品箱21等を冷却した後、上部室4の一方側室内のファンモータ16、熱交換器13を冷却し冷却風排気口14よりパッケージ外部に排気される。これにより、前述した実施の形態と同様に、筐体2内部、筐体2内の各機器及び電気箱20内の温度により寿命、特性に影響を受けやすい電気部品や、樹脂部品等の冷却に優れ、かつ設置面積の少ない、エアドライヤ22搭載形のパッケージ形圧縮機を提供することできる。
【0028】
特に、温度により寿命、特性に影響を受けやすい電気部品や、樹脂部品等をも十分に冷却することができるので、これらの部品として、安価なものを使用することができ、その生産性も良好である。また、インバータの温度上昇を低減することができるので、その耐温度性が向上し、パッケージ形圧縮機の信頼性の向上を図ることができる。
【0029】
なお、上述の実施の形態において、エアドライヤ22の搭載が必要無い場合は、左側の空内は空としておいても良い。また、上述の実施の形態においては、ファンモータ16の下側に冷却ファン15を配置したが、これとは逆にファンモータ16の上側に冷却ファン15を配置することも可能である。さらに、上述の実施の形態では、熱交換器13を冷却風で冷却する空冷式のものを示したが、水冷式の熱交換器を配置することも可能である。また、本発明は、油分離器8、油分離フィルタ12を用いないオイルフリー圧縮機、水潤滑式圧縮機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のパッケージ形圧縮機の一実施の形態を一部断面にて示す正面図である。
【図2】図1に示す本発明のパッケージ形圧縮機の一実施の形態の左側面図である。
【図3】図1に示す本発明のパッケージ形圧縮機の一実施の形態に用いる冷却ファンの斜視図である。
【図4】本発明のパッケージ形圧縮機の他の実施の形態の左側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 底板
2 筐体
3 仕切り板
4 上部室
5 下部室
6 電動機
7 圧縮機本体
8 油分離器
9 ベルト
10 吸込絞り弁
11 吸込フィルタ
12 油分離フィルタ
13 熱交換器
14 冷却風排出口
15 ターボ型の冷却ファン
16 ファンモータ
19 冷却風取入口
20 電気箱
22 エアドライヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内部に、圧縮機本体、圧縮機本体を駆動する電動機、電気品を収納する電気品箱、熱交換器と冷却ファンを有するパッケージ形圧縮機において、前記筐体内の空間を概略上部室と下部室とに区画し、前記下部室に冷却風取入口を、前記上部室の上面に冷却風排気口を配置し、前記下部室内に圧縮機本体、電動機および電気品箱を、前記上部室内に熱交換器およびターボ型の冷却ファンを上下方向に配置したことを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージ形圧縮機において、前記ターボ型の冷却ファンを、前記熱交換器の上流側に配置したことを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項3】
請求項1に記載のパッケージ形圧縮機において、前記ターボ型の冷却ファンを、前記熱交換器の下流側に配置したことを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のパッケージ形圧縮機において、前記圧縮機本体と電動機は、前記下部室内に並設し、前記電気品箱は、前記下部室内の側方に配置したことを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項5】
請求項4に記載のパッケージ形圧縮機において、前記電気品箱内に、圧縮機本体を駆動する電動機を可変速化するための可変速手段を配置したことを特徴とするパッケージ形圧縮機。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のパッケージ形圧縮機において、前記上部室内を複数に区画し、その区画した1つの室内に、熱交換器およびターボ型の冷却ファンを上下方向に配置し、区画したもう1つの室内に、エアドライヤを配置したことを特徴とするパッケージ形圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−122487(P2012−122487A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−71131(P2012−71131)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【分割の表示】特願2006−162229(P2006−162229)の分割
【原出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】