説明

エアフィルタ用シート及びその製造方法並びにエアフィルタ

【解決課題】 機能剤の担持量が多く、且つ該機能剤が担体から脱落し難いエアフィルタ用シート及びその製造方法、並びに除去性能が高く、寿命が長く、且つ機能剤が脱落し難いエアフィルタを提供すること。
【解決手段】 繊維質担体に、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂を含有するスラリーを塗布若しくはスプレーした後、又は繊維質担体を、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂を含有するスラリーに浸漬した後、乾燥処理を行い、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を得、次いで、該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、加熱圧縮処理することを特徴とするエアフィルタ用シートの製造方法。機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、加熱圧縮して得られることを特徴とするエアフィルタ用シート。該エアフィルタ用シートを成形して得られることを特徴とするエアフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体・液晶製造工場等のクリーンルーム及び製造装置から発生するイオン性ガス状汚染物質及びTOC(Total organic compound)の除去、自動車製造工場、プラスチック製造工場、印刷工場内等の揮発性有機化合物(VOC)の除去、冷蔵庫、冷凍庫、トイレ、病院、食堂、貯蔵庫内等の脱臭、液晶や半導体の製造工場、コピー機、プリンター等で発生するオゾンの分解等に用いられるエアフィルタを製造するために用いられるエアフィルタ用シート及び該エアフィルタ用シートの製造方法、並びに該エアフィルタ用シートを成形して得られるエアフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造・液晶製造等の先端産業では、製品の歩留まりや品質、信頼性を確保するため、クリーンルーム内における空気や製品表面の汚染制御が重要となっている。特に半導体産業分野では製品の高集積度化が進むにつれ、HEPA、ULPA等を用いた粒子状汚染物質の制御に加え、イオン性ガス状汚染物質及びTOCの制御が不可欠となっている。
【0003】
イオン性ガス状汚染物質には、塩基性ガスや酸性ガスがある。このうち、例えば塩基性ガスであるアンモニアは、半導体製造時の露光工程において、露光時の解像性の悪化や、ウェハー表面の曇りの原因になるとされている。また、酸性ガスであるSOは、半導体製造時の熱酸化膜形成工程において、基板内に積層欠陥を引き起こしてデバイス特性や信頼性を悪化させる原因となる。
【0004】
このようにイオン性ガス状汚染物質は半導体製造等において種々の困難を引き起こすため、半導体製造等で使用されるクリーンルーム内ではイオン性ガス状汚染物質の濃度が数ug/m以下であることが望まれている。
【0005】
また、自動車製造工場では、塗装等に使用される塗料に含まれる有機溶剤が、印刷工場では、インクに含まれる有機溶剤が揮発する。そして、工場内の空気を大気へ排出する際には、排出規制値以下の濃度になるまで該有機溶剤を除去しなければならない。
【0006】
また、半導体や液晶の製造工場では、フォトレジスト液等の分解に、紫外線照射装置が使用されており、紫外線の照射の際に高濃度のオゾンが発生する。また、半導体や液晶の洗浄には、オゾン水が使用されている。また、コピー機やプリンターでの印刷の際には、高電圧をかける時にオゾンが発生する。オゾンは人体に有害であるため、大気へ排出されないように、該オゾンを分解しなければならない。
【0007】
そこで、従来より、被処理空気中の除去対象物を除去するために、イオン交換樹脂、活性炭、ゼオライト、金属酸化物触媒等の機能剤が担持されたエアフィルタが使用されてきた。
【0008】
例えば、特開2001−259339号公報(特許文献1)には、粒径が0.1〜100μmで、イオン交換容量が0.5〜10meq/gである粉末状イオン交換樹脂を、パルプや熱可塑性樹脂等と混抄させた紙からなるエアフィルタ用濾材が開示されている。
【0009】
また、該エアフィルタには、除去対象物を一定濃度以下まで除去できるという初期の除去性能に加え、該除去性能が長時間持続すること、すなわち寿命が長いことも要求されている。そのため、該エアフィルタには、吸着剤を多量に導入する必要がある。
【0010】
例えば、特開2003−24725公報(特許文献2)には、ガス機能剤と熱可塑性樹脂とを含有する濾材シートで囲まれた多数のエア通路を平行に集積した開放セル構造体であって、前記エア通路に直行する横断面での開口率が20%以上、前記濾材シートの密度が0.35g/cm以上、前記開放セル構造体の単位体積当りのセル表面積が1.0m/Lであるエアフィルタ用開放セル構造体が開示されている。該濾材シートには、ガス機能剤が高密度に担持されている。
【0011】
【特許文献1】特開2001−259339号公報
【特許文献2】特開2003−24725公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、特開2001−259339号公報に記載されているエアフィルタは、イオン交換樹脂が担体(基材)のパルプ等の繊維に静電気力又は摩擦力で保持されている。このため、イオン交換樹脂の比率を高くすると、相対的に繊維の比率が下がり、該イオン交換樹脂の量が、保持可能な量を超えてしまうため、該イオン交換樹脂が脱落し易くなる。従って、該イオン交換樹脂の担持量を多くし、且つ該イオン交換樹脂を脱落し難くするために、エアフィルタを構成するシート中の繊維の量を増やさなければならない。このことにより、エアフィルタを構成するシートの厚さが厚くなり、エアフィルタの単位体積当りの開口面積が小さくなって、圧力損失が高くなるという問題があった。
【0013】
また、特開2003−24725公報には、多数の種類の機能剤が担持されているエアフィルタ用開放セル構造体が開示されているが、該エアフィルタ用開放セル構造体では、特開2001−259339号公報に記載されているエアフィルタと同様の方法で、機能剤が担持されているため、上記と同様に担持量を多くすると機能剤が脱落し易いという問題があった。
【0014】
従って、本発明の目的は、機能剤の担持量が多く、且つ該機能剤が担体から脱落し難いエアフィルタ用シート及びその製造方法、並びに除去性能が高く、寿命が長く、且つ機能剤が脱落し難いエアフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、加熱圧縮することにより、(i)エアフィルタ用シートの緻密化を図り、薄くて密度の高い、すなわち、単位体積当りの担持量の高いエアフィルタ用シートを得ることができ、該繊維質担体に対する該機能剤粉末の重量比を大きくし過ぎることなく、該機能剤粉末の単位体積当りの担持量を多くすることができ、且つ(ii)該熱可塑性樹脂により、該機能剤粉末を該繊維質担体に強固に接着させることができるので、該機能剤粉末の担持量が多くても、脱落し難いエアフィルタ用シートを製造できること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明(1)は、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、加熱圧縮して得られるエアフィルタ用シートを提供するものである。
【0017】
また、本発明(2)は、繊維質担体に、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂を含有するスラリーを塗布若しくはスプレーした後、又は繊維質担体を、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂を含有するスラリーに浸漬した後、乾燥処理を行い、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を得、次いで、該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、加熱圧縮処理するエアフィルタ用シートの製造方法を提供するものである。
【0018】
また、本発明(3)は、前記本発明(1)記載のエアフィルタ用シートを成形して得られるエアフィルタを提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明のエアフィルタ用シートは、機能剤粉末の担持量が多く、且つ該機能剤粉末が担体から脱落し難い。また、本発明のエアフィルタ用シートの製造方法は、機能剤粉末の担持量が多く、且つ該機能剤が担体から脱落し難いエアフィルタ用シートを製造することができる。また、本発明のエアフェイルタは、機能剤粉末の担持量が多いので、除去性能が高く且つ寿命が長く、更に機能剤粉末が脱落し難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のエアフィルタ用シートは、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、加熱圧縮して得られるエアィルタ用シートである。
【0021】
機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、加熱圧縮することにより、エアフィルタ用シートを緻密化、すなわち、該繊維質担体を構成する繊維(以下、担体繊維と記載する。)に対する該機能剤粉末の重量比(機能剤粉末/担体繊維)を大きくし過ぎることなく、エアフィルタ用シートの単位体積当りの機能剤粉末の担持量を高くすることができる。そのため、本発明のエアフィルタ用シートは、該機能剤粉末の担持量が多く且つ該機能剤粉末が脱落し難い。
【0022】
本発明のエアフィルタ用シート中で、該熱可塑性樹脂は、該機能剤粉末同士を接着させる接着剤として、及び該担体繊維に、該機能剤粉末を担持させる接着剤として機能している。このことにより、該機能剤粉末は、該エアフィルタ用シートに強固に担持されている。また、該熱可塑性樹脂は、複数の該担体繊維と付着し又は複数の該担体繊維を包み込んで存在している。該エアフィルタ用シートは、該機能剤粉末及び該熱可塑性樹脂が付着されている該繊維質担体を、加熱圧縮して製造されるが、もし、該熱可塑性樹脂が無いと、該担体繊維が圧縮前の状態に戻ろうとするため、圧縮後の該エアフィルタ用シートの厚みを維持することができない。すなわち、該熱可塑性樹脂は、該機能剤粉末を該担体繊維に担持させる役目に加え、近傍に存在している該担体繊維同士が離れるのを防ぎ、該エアフィルタ用シートの厚みを維持する役目も担っている。
【0023】
該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を加熱圧縮する際の圧縮率は、好ましくは10〜50%、特に好ましくは15〜35%である。該圧縮率が、10%未満だと該機能剤粉末の担持量が少なくなり易く、また、50%を超えると該担体繊維の反発力が大きくなり、該繊維質担体の厚みが復元し易くなる。なお、該圧縮率の求め方については、後述する。
【0024】
本発明のエアフィルタ用シートに係る繊維質担体は、繊維により構成される織布又は不繊布であり、該繊維間に多数の空隙(以下、繊維間空隙とも記載する。)を有する多孔質の織布又は不繊布である。該繊維(担体繊維)としては、例えば、シリカ・アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維、ガラス繊維、ロックウール繊維、炭素繊維等の無機繊維;及びポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等のポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、アラミド繊維、パルプ繊維、レーヨン繊維等の有機繊維が挙げられる。また、該担体繊維は、1種単独又は2種以上の組合わせであっても良い。該無機繊維及び該有機繊維の組合わせが、該エアフィルタの機械的強度が高くなる点で好ましく、シリカ・アルミナ繊維又はボロンレスのガラス繊維、及びポリエチレンテレフタレート繊維の組合わせが特に好ましい。また、該担体繊維として、パルプ繊維以外の繊維を用いることが、パルプ繊維の断裂物若しくは分解物、又はパルプ中のナトリウム等の無機物により、アウトガスが汚染されることがない点で好ましい。
【0025】
該担体繊維の平均繊維径は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜100μm、特に好ましくは0.5〜50μmであり、該担体繊維の平均繊維長は、好ましくは0.1〜50mm、特に好ましくは1〜10mmである。該平均繊維径及び該平均繊維長が該範囲内にあることにより、該繊維質担体の機械的強度が高くなる。
【0026】
該機能剤粉末としては、被処理空気中の除去対象物を除去するために一般的に用いられている機能剤粉末であれば、特に制限されず、例えば、イオン交換樹脂粉末、活性炭粉末、ゼオライト粉末、金属酸化物触媒粉末等が挙げられ、1種単独又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0027】
該機能剤粉末の平均粒径は、0.1〜150μm、好ましくは1〜30μmである。該平均粒径が、0.1μm未満だと該担体繊維間の空隙に対する該機能剤粉末の大きさが、小さくなり過ぎるため、該機能剤粉末が該繊維質担体から脱落し易くなり、また、150μmを超えると該機能剤粉末の1個当たりの重量が大きくなり過ぎるため、十分な接着強度が得られ難くなり、該機能剤粉末が該繊維質担体から脱落し易くなる。
【0028】
本発明のエアフィルタ用シートに係るイオン交換樹脂粉末は、主に、イオン性ガス状汚染物質の除去に用いられる機能剤である。該イオン交換樹脂粉末は、陽イオン交換樹脂粉末又は陰イオン交換樹脂粉末の少なくとも一方であっても、又は陽イオン交換樹脂粉末及び陰イオン交換樹脂粉末の両方であってもよい。このうち、該陽イオン交換樹脂粉末に用いられる陽イオン交換樹脂の種類としては、例えば、強酸性陽イオン交換樹脂等が挙げられる。また、該陰イオン交換樹脂粉末に用いられる陰イオン交換樹脂の種類としては、例えば、強塩基性陰イオン交換樹脂等が挙げられる。
【0029】
また、該イオン交換樹脂粉末は、イオン交換容量が、通常1〜10m当量/g、好ましくは3〜6m当量/gである。イオン交換容量が1m当量/g未満であると、イオン性ガス状汚染物質との反応量が小さくなり、除去性能が低下し易い。また、イオン交換容量が10m当量/gを超えると、イオン交換樹脂粉末を構成するイオン交換樹脂の化学的安定性が劣り、イオン交換樹脂粉末自体からイオン交換基が脱離し易くなる。
【0030】
また、被処理空気が、塩基性ガス(アンモニア、アミン類等)及び酸性ガス(SO、NO等)の両方を含む場合、該イオン交換樹脂粉末が、陽イオン交換樹脂粉末及び陰イオン交換樹脂粉末の両方であると、塩基性ガス及び酸性ガスの両方を除去することができる点で好ましい。
【0031】
該イオン交換樹脂粉末が、陽イオン交換樹脂粉末及び陰イオン交換樹脂粉末を含む場合、該陽イオン交換樹脂粉末と該陰イオン交換樹脂粉末の重量比は、20:80〜80:20である。該重量比が、20:80〜80:20の範囲外であると該陽イオン交換樹脂粉末又は該陰イオン交換樹脂粉末のいずれかの粉末のイオン性ガス状汚染物質との反応量が低下し易い。
【0032】
本発明のエアフィルタ用シートに係る活性炭粉末は、主にTOCの除去、オゾンの分解等に用いられる機能剤である。該活性炭粉末は、原料の種類により、木材系、石炭系、ヤシ殻系等があるが、特に制限されない。また、炭酸カリウム等の無機塩を添加した、一般に添着炭と呼ばれる活性炭粉末であってもよい。これらのうち、ヤシ殻系の活性炭粉末が、性能及び価格のバランスが良い点で好ましい。また、TOC除去用の場合は、比表面積が大きく、且つ細孔容積が大きいものが好ましく、オゾン分解用の場合は、添着炭が好ましい。
【0033】
本発明のエアフィルタ用シートに係るゼオライト粉末は、親水性のものと疎水性のものがある。親水性のゼオライト粉末は、主にイオン性ガス状汚染物質の除去、脱臭等に用いられる機能剤であり、疎水性のゼオライト粉末は、主にTOCの除去、脱臭等に用いられる機能剤である。合成により得られる該ゼオライト粉末は、通常、酸点の対イオンがナトリウムであるナトリウム型ゼオライトであるが、該ナトリウムイオンの一部又は全部が他の金属イオンでイオン交換されたもの、脱ナトリウムしたもの、脱アルミニウムしたもの等であってもよい。また、結晶構造としては、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、ベータ型ゼオライト、モルデナイト、フェリエライト、ZSM−5等が挙げられる。これらのうち、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト及びZSM−5が、安価な点で好ましい。
【0034】
本発明のエアフィルタ用シートに係る金属酸化物触媒粉末は、主にオゾンの分解、脱臭等に用いられる機能剤である。該金属酸化物触媒粉末としては、特に制限されず、例えば、酸化マンガン、酸化マンガン−酸化銅の混合触媒、酸化マンガン−酸化コバルトの混合触媒等が挙げられる。該金属酸化物触媒粉末の表面で、トリエチルアミン、メチルメルカプタン等の悪臭物質が分解されることにより、脱臭され、また、オゾンは酸化されて酸素分子になる。
【0035】
また、該金属酸化物触媒粉末及び該活性炭粉末の併用が、複写機、プリンター又はFAX等の印字機器の排出ガスの浄化フィルタ用の該機能剤粉末として、好ましい。
【0036】
本発明のエアフィルタ用シートの単位体積当たりの該機能剤粉末の含有量は、250kg/m以上、好ましくは400〜700kg/mであり、特に、該機能剤粉末が、該イオン交換樹脂粉末の場合、400kg/m以上、好ましくは600〜1000kg/mであり、該ゼオライト粉末の場合、500kg/m以上、好ましくは700〜1200kg/mであり、該金属酸化物触媒粉末の場合、500kg/m以上、好ましくは700〜1200kg/mであり、該活性炭粉末の場合、250kg/m以上、好ましくは400〜700kg/mであり、該金属酸化物触媒粉末及び該活性炭粉末の併用の場合(該金属酸化物触媒粉末及び該活性炭粉末の含有量の合計)、250kg/m以上、好ましくは400〜700kg/mである。該エアフィルタ用シートの単位体積当たり該機能剤粉末の含有量が、上記含有量未満だと、エアフィルタの捕集効率が低くなるか、あるいは寿命が短くなる。なお、本発明のおいて、エアフィルタ用シートの体積とは、該担体繊維間の繊維間空隙も含めた該エアフィルタ用シートの見かけ体積のことである。
【0037】
また、該機能剤粉末が、該イオン交換樹脂粉末の場合、該エアフィルタ用シートの単位体積当たりのイオン交換容量は、1200当量/m以上、好ましくは1500〜6000当量/m、特に好ましくは2000〜4000当量/mである。
【0038】
該繊維質担体を構成する該担体繊維に対する該機能剤粉末の重量比(機能剤粉末/担体繊維)は、1〜8、好ましくは3〜5であり、特に、該機能剤粉末が、該イオン交換樹脂粉末の場合、1〜10、好ましくは3〜7であり、該ゼオライト粉末の場合、1〜15、好ましくは3〜8であり、該金属酸化物触媒粉末の場合、1〜15、好ましくは3〜8であり、該活性炭粉末の場合、1〜8、好ましくは3〜5であり、該金属酸化物触媒粉末及び該活性炭粉末の併用の場合(該金属酸化物触媒粉末及び該活性炭粉末の重量の合計/担体繊維)、1〜8、好ましくは3〜5である。該機能剤粉末の重量比が、上記重量比未満だと該機能剤粉末の担持量が少なくなり、また、上記重量比を超えると該機能剤粉末が脱落し易い。
【0039】
従来は、機能剤粉末の担持量を多くするために、担体繊維に対する機能剤粉末の重量比を大きくすることが行われてきた。ところが、該機能剤粉末の担持量を多くするために、該担体繊維に対する該機能剤粉末の重量比を大きくし過ぎると、該機能剤粉末が担持されるべき担体繊維間の空隙及び繊維質担体の表面積が少なくなる。そのため、該機能剤粉末が十分に担持されず、該繊維質担体から脱落し易くなる。一方、本発明のエアフィルタ用シートは、機能剤粉末の担持量が多いにもかかわらず、担体繊維に対する該機能剤粉末の重量比が、上記範囲にあるので、該機能剤粉末が脱落し難い。
【0040】
該エアフィルタ用シートの単位面積当たりの該機能剤粉末の含有量は、50g/m以上、好ましくは80〜200g/mであり、特に、該機能剤粉末が、該イオン交換樹脂粉末の場合、100g/m以上、好ましくは150〜300g/mであり、該ゼオライト粉末の場合、150g/m以上、好ましくは200〜400g/mであり、該金属酸化物触媒粉末の場合、150g/m以上、好ましくは200〜400g/mであり、該活性炭粉末の場合、50g/m以上、好ましくは80〜200g/mであり、該金属酸化物触媒粉末及び活性炭粉末の併用の場合(該金属酸化物触媒粉末及び活性炭粉末の含有量の合計)、50g/m以上、好ましくは80〜200g/mである。該エアフィルタ用シートの単位面積当たりの該機能剤粉末の含有量が、上記含有量未満だとエアフィルタの初期性能が低くなるか、又は寿命が短くなる。
【0041】
また、該機能剤粉末が、該イオン交換樹脂粉末の場合、該エアフィルタ用シートの単位面積当たりのイオン交換容量は、300m当量/m以上、好ましくは400〜2000m当量/m、特に好ましくは800〜1500m当量/mである。
【0042】
該熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらのうち、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂又はアクリル樹脂が、接着力が高い点で好ましい。
【0043】
該機能剤粉末と該熱可塑性樹脂の重量比率(機能剤粉末:熱可塑性樹脂)は、97:3〜60:40、好ましくは95:5〜80:20である。該機能剤粉末の重量比率が、上記範囲より少ないと、該熱可塑性樹脂が該機能剤粉末の表面を覆う面積が多くなるので、エアフィルタの除去性能が低くなり易く、また、上記範囲より多いと該機能剤粉末の接着が不十分となり、該機能剤粉末が脱落し易くなる。
【0044】
該エアフィルタ用シートの厚みは、0.1〜0.5mm、好ましくは0.2〜0.3mmである。該エアフィルタ用シートの厚みが、0.1mm未満だと該エアフィルタ用シートの機械的強度が低くなり易く、成形性が悪くなり易い。また、該エアフィルタ用シートの厚みが、0.5mmを超えると、ハニカム構造にした時に形成されるセルの開口面積が小さくなるので、セル内の通風速度が大きくなり、除去性能が低くなり易い。
【0045】
また、該エアフィルタ用シートの厚みを0.2〜0.3mmとすることが、該エアフィルタ用シートの成形性が高くなる点で特に好ましい。平坦状のシートをコルゲート状シートへ成形する際に、シートの厚みが大きいと、ピッチが短いコルゲート状シート、例えば、ピッチの長さが3mm以下のコルゲート状シートへ成形することが困難となる。そのため、ピッチの短いコルゲート状シートへ成形するためには、シートの厚みを薄くしなければならなかった。ところが、従来のエアフィルタ用シートでは、シートの厚みを小さくするためには、繊維質担体の厚みを小さくしなければならなかったので、機能剤粉末の担持量が少なくなってしまい、厚みが小さいシートを用いて成形されるエアフィルタの性能は低かった。すなわち、従来のエアフィルタ用シートでは、該エアフィルタ用シートの成形性を向上させることと、機能剤粉末の担持量を多くすることは、相反する関係にあった。一方、本願発明のエアフィルタ用シートは、単位体積当りの担持量が多いので、シートの厚みを小さくしても、エアフィルタに必要な性能を維持できる程度の、機能剤粉末の担持量を確保することができる。すなわち、本発明のエアフィルタ用のシートを用いることにより、機能剤粉末の担持量が多く且つピッチの長さが短いコルゲート状ハニカム構造のエアフィルタを製造できる。
【0046】
該本発明のエアフィルタ用シート中の該担体繊維の含有量は、10〜50重量%、好ましくは15〜30重量%であり、特に該機能能剤粉末が、該イオン交換樹脂粉末の場合は、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%であり、該ゼオライト粉末の場合は、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%であり、該金属酸化物触媒粉末の場合は、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%であり、該活性炭粉末の場合は、10〜50重量%、好ましくは15〜30重量%であり、該金属酸化物触媒粉末及び該活性炭粉末の併用の場合は、10〜50重量%、好ましくは15〜30重量%である。該エアフィルタ用シート中の該担体繊維の含有量が、上記範囲にあることにより、該エアフィルタ用シートの成形加工性が高く、且つ該機能剤粉末が脱落し難い。該エアフィルタ用シート中の該担体繊維の含有量が、上記範囲未満だと該機能剤粉末が脱落し易くなり、また、上記範囲を超えると成形性が悪くなり易い。また、該エアフィルタ用シート中の該担体繊維の含有量が、上記範囲にあることにより、該担体繊維の表面の大部分が該機能剤粉末に覆われる。
【0047】
このように、本発明のエアフィルタ用シートは、該イオン交換樹脂粉末、該活性炭粉末、該ゼオライト粉末又は該金属酸化物触媒等の該機能剤粉末の担持量が多く、また、該担体繊維に対する該機能剤粉末の重量比が前記範囲にあり、且つ該熱可塑性樹脂により該機能剤粉末が強固に担持されているので、該繊維質担体から該機能剤粉末が脱落し難い。
【0048】
本発明のエアフィルタ用シートの製造方法は、(i)繊維質担体に、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂を含有するスラリーを塗布(以下、塗布処理とも記載する。)若しくはスプレー(以下、スプレー処理とも記載する。)した後、又は(ii)繊維質担体を、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂を含有するスラリーに浸漬(以下、浸漬処理とも記載する。)した後、乾燥処理を行い、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を得、次いで、該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、加熱圧縮処理することにより行われる。
【0049】
本発明のエアフィルタ用シートの製造方法に係る繊維質担体は、担体繊維により構成される織布又は不織布であり、該担体繊維間に多数の空隙を有する多孔質の織布又は不織布である。本発明のエアフィルタ用シートの製造方法に係る担体繊維は、前記本発明のエアフィルタ用シートに係る担体繊維と同様である。また、該担体繊維は、1種単独又は2種以上の組合わせであっても良い。該無機繊維及び該有機繊維の組合わせが、該エアフィルタの成形性が良くなる点で好ましく、シリカ・アルミナ繊維又はボロンレスガラス繊維、及びポリエチレンテレフタレート繊維の組合わせが特に好ましい。
【0050】
本発明のエアフィルタ用シートの製造方法に係る繊維質担体の繊維間空隙率は、特に制限されないが、好ましくは50〜95%、特に好ましくは70〜95%である。該繊維間空隙率とは、該繊維質担体の見かけ体積から、該繊維質担体中の該担体繊維の体積を引いた部分(繊維間空隙)が、該繊維質担体の見かけ体積中に占める割合をいう。該繊維間空隙率が該範囲内にあることにより、該機能剤粉末が繊維質担体の外側表面だけでなく繊維間空隙にも担持されるので、該機能剤粉末の担持量が多くなる。
【0051】
該繊維質担体の厚みは、特に制限されないが、好ましくは0.1〜1.0mm、特に好ましくは0.2〜0.7mmである。該厚みが、0.1mm未満だと該機能剤粉末の担持量が少なくなり、また、1.0mmを超えるとエアフィルタ用シートの厚みが大きくなり過ぎる。
【0052】
該繊維質担体を製造する方法としては、例えば、該担体繊維を、湿式抄紙する方法又は乾式成形する方法が挙げられる。
【0053】
本発明のエアフィルタ用シートの製造方法に係る機能剤粉末は、前記本発明のエアフィルタ用シートに係る機能剤粉末と同様である。
【0054】
本発明のエアフィルタ用シートの製造方法に係る該熱可塑性樹脂の種類は、前記本発明のエアフィルタ用シートに係る熱可塑性樹脂と同様である。また、該スラリー中での該熱可塑性樹脂の形態は、特に制限されず、粉末状、繊維状、又は微粒子の水分散体であるエマルジョン若しくはディスパージョン等が挙げられる。また、該熱可塑性樹脂の大きさは、例えば、粉末状の場合は、平均粒径が0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μmであり、繊維状の場合は、平均繊維径が0.1〜50μm、好ましくは1〜20μmであり、平均繊維長が0.1〜10mm、好ましくは0.3〜5mmであり、エマルジョン又はディスパージョンの場合は、平均粒径が0.01〜100μm、好ましくは0.05〜10μmである。該平均粒径が100μmを超えると、又は該平均繊維長が10mmを超えると、該塗布処理、該スプレー処理又は該浸漬処理の際に、該熱可塑性樹脂が該繊維間空隙に入り難くなるので、本発明の効果を得難くなる。
【0055】
該スラリーは、水に、該機能剤粉末及び該熱可塑性樹脂を加え、調製することができる。該水としては、特に制限されず、例えば、イオン交換水、蒸留水、水道水、工業用水等が挙げられる。また、該熱可塑性樹脂が水に分散されているエマルジョン又はディスパージョン、あるいは、該熱可塑性樹脂が有機溶媒に溶解されている熱可塑性樹脂溶液等を用いて、該スラリーを調製することもできる。該有機溶媒に溶解されている熱可塑性樹脂溶液を用いる場合は、極性溶媒に溶解されている熱可塑性樹脂溶液であることが好ましい。
【0056】
該スラリーは、無機バインダーを含有することができる。該無機バインダーとしては、特に制限されず、通常、エアフィルタの機能剤粉末を繊維質担体に担持するために用いられる無機バインダーを適宜用いることができる。該無機バインダーにより、乾燥後の繊維質担体に、該機能剤粉末及び該熱可塑性樹脂が付着される。
【0057】
また、該スラリーは、必要に応じて、フィラー、分散剤、消泡剤、浸透剤等を含有することができる。
【0058】
該スラリー中の該機能剤粉末の含有量は、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%であり、特に、該機能剤粉末が、該イオン交換樹脂粉末の場合、15〜40重量%、好ましくは20〜35重量%であり、該ゼオライト粉末の場合、20〜50重量%、好ましくは25〜40重量%であり、該金属酸化物触媒粉末の場合、20〜50重量%、好ましくは25〜40重量%であり、該活性炭粉末の場合、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%であり、該金属酸化物触媒粉末及び該活性炭粉末の併用の場合(該金属酸化物触媒粉末及び該活性炭粉末の含有量の合計)、10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%である。該スラリー中の該機能剤粉末の含有量が、上記範囲未満だと該塗布処理等を行う回数が多くなり、効率が悪くなり易く、また、上記範囲を超えると該スラリーの粘度が高くなり、繊維間空隙に該スラリーが入り難くなる。
【0059】
該スラリー中の該熱可塑性樹脂の含有量は、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%である。
【0060】
該スラリー中に占める該機能剤粉末及び該熱可塑性樹脂の合計量は、10〜70重量%、好ましくは20〜50重量%である。該機能剤粉末及び該熱可塑性樹脂の合計量が、上記範囲未満だと該塗工処理等を行う回数が多くなり、効率が悪くなり易く、また、上記範囲を超えると該スラリーの粘度が高くなり、該繊維間空隙に該スラリーが入り難くなる。
【0061】
そして、該スラリーを用いて、該塗布処理、該スプレー処理又は該浸漬処理を行い、該繊維質担体の外部表面及び繊維間空隙に、該スラリーを付着させる。該塗布処理を行う方法としては、例えば、ロールコータ又はフローコーターを用いて連続的に該繊維質担体に該スラリーを塗布する方法等があげられ、該スプレー処理を行う方法としては、例えば、該スラリーを霧状で噴射することができるスプレー等により、該繊維質担体に該スラリーを吹き付ける方法が挙げられ、該浸漬処理としては、例えば、該スラリーが入れられている浸漬槽に、該繊維質担体を一定時間静置する方法、又は該浸漬槽中で該繊維質担体を移動させる方法等が挙げられる。また、該浸漬処理の浸漬時間は、特に制限されないが、好ましくは1〜30分、特に好ましくは5〜15分である。これらのうち、ロールコータを用いて塗布する方法が、該繊維質担体の外部表面及び該繊維間空隙に、該スラリーを均一に付着させることができる点で好ましい。
【0062】
次いで、乾燥処理を行う。該乾燥処理の乾燥温度は、60〜150℃、好ましくは80〜130℃である。該乾燥処理の乾燥時間は、特に制限されないが、5〜120分である。該乾燥処理により、該スラリー中の水分を除去すると共に、該熱可塑性樹脂又は該バインダーにより該機能剤粉末を該繊維質担体に付着させることができる。
【0063】
そして、該乾燥処理を行うことにより、該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を得る。
【0064】
また、該塗布処理、該スプレー処理又は該浸漬処理、及び該乾燥処理は、2回以上行なうこともできる。
【0065】
該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体において、該繊維質担体を構成する該担体繊維に対する該機能剤粉末の重量比(機能剤粉末/担体繊維)は、1〜8、好ましくは3〜5であり、特に、該機能剤粉末が、該イオン交換樹脂粉末の場合、1〜10、好ましくは3〜7であり、該ゼオライト粉末の場合、1〜15、好ましくは3〜8であり、該金属酸化物触媒粉末の場合、1〜15、好ましくは3〜8であり、該活性炭粉末の場合、1〜8、好ましくは3〜5であり、該金属酸化物触媒粉末及び該活性炭粉末の併用の場合(該金属酸化物触媒粉末及び該活性炭粉末の重量の合計/担体繊維)、1〜8、好ましくは3〜5である。該機能剤粉末の重量比が、上記重量比未満だと該機能剤粉末の担持量が少なくなり、また、上記重量比を超えると該機能剤粉末が脱落し易い。なお、該重量比の調節は、該スラリー中の該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂の濃度、処理の回数等、該塗工処理、該スプレー処理又は該浸漬処理の条件を適宜選択することにより行われる。
【0066】
該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を得る方法の形態例を、図1及び図2を用いて説明する。図1及び図2は共に本発明に係る機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、ロールコータを用いて製造する方法の模式的な説明図であって、図1は塗布装置20を一方の側面から見た図であり、図2は塗布装置20を他方の側面から見た図、すなわち図1と反対方向の側面から見た図である。
【0067】
先ず、図1に示すようにベルトコンベア21上の平坦状の繊維質担体2を矢印Aの方向に連続的に繰り出し、ロールコータ22により、平坦状の繊維質担体2の上面(第1塗布面31)にスラリー11を塗布、乾燥して、平坦状の繊維質担体2の上側の外部表面(第1塗布面31)及び繊維間空隙に、該機能剤粉末及び該熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体3aを得る。次に、図2に示すように該機能剤粉末及び該熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体3aを塗布面(第1塗布面31)が下面、未塗布面(第2塗布面32)が上面になるように図1と上下逆にして塗布装置20にセットし、該機能剤粉末及び該熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体3aを矢印Bの方向に連続的に繰り出し、図1と同様にして該未塗布面(第2塗布面32)にスラリー11を塗布、乾燥して、平坦状の繊維質担体2の両外部表面(第1塗布面31及び第2塗布面32)及び繊維間空隙に、該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体3bを得る。
【0068】
なお、該スラリー11を繊維質担体2等に塗布した後の乾燥処理は、乾燥機23を用い、図中矢印Xで示す方向に熱又は熱風を当てることにより行われる。該乾燥処理の乾燥温度は、通常50〜130℃、乾燥時間は通常5〜30分である。
【0069】
次いで、加熱圧縮処理を行う。該加熱圧縮処理は、該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、加熱しながら圧縮する処理である。このことにより、該エアフィルタ用シートの単位体積当りの該機能剤粉末の含有量(担持量)が多くなる。
【0070】
該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体の圧縮率は、特に制限されないが、好ましくは10〜50%、特に好ましくは15〜35%である。該圧縮率が、10%未満だと該機能剤粉末の担持量を多くし難く、また、50%を超えると該担体繊維の反発力が大きくなり、該繊維質担体の厚みが復元し易くなる。該圧縮率は、該加熱圧縮処理前の厚みをDmm、処理後の厚みをDmmとすると、次式(1);
{(D−D)/D}×100 (1)
により求められる。
【0071】
該加熱圧縮処理を行う際の加熱温度は、該熱可塑性樹脂の種類より異なるが、好ましくは80〜170℃、特に好ましくは100〜150℃である。
【0072】
該加熱圧縮処理を行う方法としては、特に制限されず、例えば、該加熱温度に加熱されたカレンダーロールに、該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を通す方法、該加熱温度に加熱されたプレス機で、該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体をプレスする方法等が挙げられる。
【0073】
このように、該加熱圧縮処理を行うことにより、該熱可塑性樹脂が、複数の該担体繊維と付着し又は複数の該担体繊維を包み込む。そのことにより、近傍に存在している該担体繊維同士が離れるのを防ぐことができるので、圧縮後の該エアフィルタ用シートの厚みを維持することができる。また、該加熱圧縮処理を行うことにより、該熱可塑性樹脂により、該機能剤粉末を該繊維質担体に強固に接着させることができる。
【0074】
該熱可塑性樹脂粉末が無いと、加熱圧縮処理後の機能剤粉末が付着されている繊維質担体は、厚みを維持することができず、処理前の厚みに戻ろうとする。そのため、エアフィルタ用シートの単位体積当たりの該機能剤粉末の担持量を多くすることが困難となる。従って、該熱可塑性樹脂粉末を用いずに、エアフィルタ用シートの単位体積当りの該機能剤粉末の担持量を多くするためには、該担体繊維に対する該機能剤粉末の重量比を、大きくしなければならない。ところが、該重量比を大きくし過ぎると、該機能剤粉末が該繊維質担体から脱落し易くなる。すなわち、該熱可塑性樹脂を使用しない場合には、機能剤粉末の担持量を多くすることと、該機能剤粉末が該繊維質担体から脱落し難くすることは、相反する関係にある。
【0075】
それに対し、該熱可塑性樹脂を使用する本発明のエアフィルタ用シートの製造方法は、該担体繊維に対する該機能剤粉末の重量比を大きくし過ぎることなく、該機能剤粉末の担持量を多くすることができる。従って、本発明のエアフィルタ用シート及びエアフィルタ用シートの製造方法により得られるエアフィルタ用シートは、該機能剤粉末の担持量が多く、且つ該機能剤粉末が脱落し難い。また、該加熱圧縮処理を行うことにより、該熱可塑性樹脂により、該機能剤粉末を繊維質担体に強固に接着させることができるので、該機能剤粉末が更に脱落し難くなる。
【0076】
本発明のエアフィルタ用シートの製造方法は、前記本発明のエアフィルタ用シートの製造に好適に用いられる。
【0077】
本発明のエアフィルタは、前記本発明のエアフィルタ用シートを、常法を用いて成形して得られる。該エアフィルタの形状としては、特に制限されず、例えば、コルゲート状の該エアフィルタ用シートと平坦状の該エアフィルタ用シートを交互に積層して得られる構造(コルゲート状ハニカム構造)、波折りに加工したプリーツ形状の該エアフィルタ用シートと通気方向に対して直角に平坦状の該エアフィルタ用シートを順に積層して得られる構造等が挙げられ、これらのうち、コルゲート状ハニカム構造が、被処理空気の流路が通気方向に対して平行流となるため、圧力損失が低く、周辺機器をコンパクトにでき、低コストが可能になる点で好ましい。
【0078】
該コルゲート状ハニカム構造について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本発明で用いられるコルゲート状ハニカム構造の模式的な斜視図である。エアフィルタ42は、平坦状エアフィルタ用シート43とコルゲート状エアフィルタ用シート44とが交互に積層されてなるものであり、平坦状エアフィルタ用シート43とコルゲート状エアフィルタ用シート44との間に、コルゲート状エアフィルタ用シートの山部45の連続した方向に延びた略半円柱状の空洞46が形成される。このような構造のコルゲート状ハニカム構造を有するケミカルフィルタでは、開口部47から被処理空気を導入すると、被処理空気が空洞46を通過することができるようになっている。
【0079】
平坦状エアフィルタ用シート43とコルゲート状エアフィルタ用シート44とを、コルゲート状エアフィルタ用シート44を中芯として交互に積層してコルゲート状ハニカム構造のエアフィルタ42を形成する。この場合、平坦状エアフィルタ用シート43と中芯であるコルゲート状エアフィルタ用シート44とは、コルゲート状エアフィルタ用シート44(中芯)の上下の山部45、45と平坦状エアフィルタ用シート43とを接着剤で接着して一体化したものとしてもよいし、接着等を行わずにこれらを単に積層し該積層したものを枠体等に収めて固定しただけのものとしてもよい。平坦状エアフィルタ用シート43とコルゲート状エアフィルタ用シート44との接着に用いられる接着剤としては、例えば、アクリル等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0080】
図4は、エアフィルタ42において開口部47に平行な面で切った模式的な断面図である。図4において、平坦状エアフィルタ用シート43とコルゲート状エアフィルタ用シート44とは、コルゲート状エアフィルタ用シート44の山部45が平坦状エアフィルタ用シート43と接着されている。本発明で用いられるエアフィルタ42の山高さ(図4中、符号h)は、通常0.5〜10mm、好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは1〜2mmである。また、該エアフィルタ2のピッチ(図4中、符号p)は、通常1〜20mm、好ましくは1〜5mm、さらに好ましくは2〜4mmである。本発明において、山高さ及びピッチが上記範囲内にあると、除去対象物の除去効率と圧力損失とのバランスがよいため好ましい。
【0081】
また、該エアフィルタに担持されている機能剤粉末が、イオン交換樹脂粉末の場合は、該エアフィルタの単位体積当たりのイオン交換容量は、800当量/m以上、好ましくは1000〜2000当量/mである。
【0082】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0083】
(実施例1)
(混合スラリーの調製)
強酸性陽イオン交換樹脂100重量部、及びポリエチレン樹脂固形分換算で10重量部のポリエチレンディスパージョンを、水150重量部に混合し、固形分濃度40重量%の混合スラリー(A)を調製した。
・強酸性陽イオン交換樹脂;ダイヤイオン、三菱化学社製、平均粒径20μm、イオン交換容量5.0m当量/g
・ポリエチレンディスパージョン;ケミパール、三井化学社製、ポリエチレン樹脂固形分45重量%、ポリエチレン樹脂の平均粒径0.1μm以下
【0084】
(エアフィルタ用シートの作製)
80重量%のボロンレスガラス繊維(平均繊維径13μm、平均繊維長20mm)及び20重量%のポリエチレンテレフタレート樹脂繊維(平均繊維径10μm、平均繊維長20mm)により構成される平坦状繊維質担体2(厚さ0.4mm、繊維間空隙率90%)の上面に、上記混合スラリー(A)11をロールコーター22を用いて塗布し、さらに乾燥機23で80℃に乾燥させて、平坦状繊維質担体2に強酸性イオン交換樹脂及びポリエチレン樹脂が付着された平坦状の片面塗布繊維質担体3aを巻き取った(図1)。次に、該片面塗布繊維質担体3aを上記塗布面が下面になるようにセットした後、塗布面が形成されていない上面について、上記と同様に混合スラリー(A)を塗布し乾燥させて、強酸性イオン交換樹脂及びポリエチレン樹脂が付着された平坦状の両面塗布繊維質担体3bを巻き取った。
【0085】
次に、平坦状の両面塗布繊維質担体3bを、圧延装置を用いて、120℃で、0.3mmに加熱圧縮し、平坦状エアフィルタ用シート(A)を得た。この時の圧縮率は25%であった。該平坦状エアフィルタ用シート(A)の単位体積当りの該強酸性イオン交換樹脂の含有量は650kg/m、単位体積当りのイオン交換容量は3250当量/m、担体繊維に対する強酸性イオン交換樹脂の重量比は5、該エアフィルタ用シート(A)中の担体繊維の含有量は16重量%であった。
【0086】
(エアフィルタの作製)
次に、上下一対の波形コルゲータの間に、該平坦状エアフィルタ用シート(A)を通して、コルゲート状エアフィルタ用シート(A)を作製した。該コルゲート状エアフィルタ用シート(A)の山部に接着剤としてアクリルエマルジョンを塗布した後、上記平坦状エアフィルタ用シート(A)を重ね合わせて積層した。該コルゲート状エアフィルタ用シート(A)と該平坦状エアフィルタ用シートの積層を、通気方向が同一方向になるようにして繰り返して行い、図3及び図4に示すような中芯のピッチ(図4中、符号p)が2.5mm、山高さ(図4中、符号h)が1.5mmのコルゲート状ハニカム構造を有するエアフィルタ(A)を得た。
【0087】
該エアフィルタAを、縦100mm×横100mm×厚さ40mmになるようにカットし、これをアルミニウム製の枠材に嵌め込んだ。
【0088】
該エアフィルタ(A)の単位体積当たりの強酸性イオン交換樹脂の担持量は260kg/m、単位体積当たりのイオン交換容量は1300当量/mであった。
【0089】
(エアフィルタの性能の測定)
該エアフィルタ(A)用い、下記条件でアンモニアの除去率の経時的変化及びエアフィルタ(A)の寿命を測定した。なお、実際のクリーンルームで問題となるアンモニア濃度は数μg/mであるが、加速試験とするために、アンモニア濃度を240μg/mにした。その結果、該エアフィルタ(A)の寿命は1500時間であった。また、この条件で該エアフィルタ(A)の圧力損失を測定したところ、35Paであった。なお、エアフィルタの寿命はアンモニアの除去率が90%まで低下した時点における時間とした。
【0090】
<試験条件>
・通気ガスの組成 :アンモニアを240μg/m含む空気
・通気ガスの温度及び湿度:23℃、50%RH
・除去対象ガス :アンモニア
・通気風速 :0.5m/s
【0091】
(比較例1)
(混合スラリーの調製)
実施例1と同様の方法で、混合スラリー(A)を調製した。
【0092】
(エアフィルタ用シートの作製)
80重量%のボロンレスガラス繊維(平均繊維径13μm、平均繊維長20mm)、及び20重量%のポリエチレンテレフタレート樹脂繊維(平均繊維径10μm、平均繊維長20mm)により構成される平坦状繊維質担体2(厚さ0.4mm、繊維間空隙率50%)の上面に、上記混合スラリー(A)11をロールコーター22を用いて塗布し、さらに乾燥機23で80℃に乾燥させて、平坦状繊維質担体2に強酸性イオン交換樹脂が担持された平坦状の片面塗布繊維質担体3aを巻き取った(図1)。次に、該片面塗布繊維質担体3aを上記塗布面が下面になるようにセットした後、塗布面が形成されていない上面について、上記と同様に混合スラリー(B)を塗布し乾燥させて、強酸性イオン交換樹脂が担持された平坦状の両面塗布繊維質担体3bを巻き取り、平坦状エアフィルタ用シート(B)を得た。該平坦状エアフィルタ用シート(B)の単位体積当りの該強酸性イオン交換樹脂の含有量は220kg/m、単位体積当りのイオン交換容量は1100当量/m、担体繊維に対する強酸性イオン交換樹脂の重量比は0.5、該平坦状エアフィルタ用シート(B)中の担体繊維の含有量は65重量%であった。
【0093】
(エアフィルタの作製)
該平坦状エアフィルタ用シート(A)に代えて、平坦状エアフィルタ用シート(B)とし、山高さを1.5mmにすることに代えて、山高さを1.7mmにする以外は実施例1と同様の方法で行い、エアフィルタ(B)を得た。
【0094】
該エアフィルタ(B)を、縦100mm×横100mm×厚さ40mmになるようにカットし、これをアルミニウム製の枠材に嵌め込んだ。
【0095】
該エアフィルタ(b)の単位体積当たり強酸性イオン交換樹脂の担持量は100kg/m、イオン交換容量は500当量/mであった。
【0096】
(エアフィルタの性能の測定)
エアフィルタ(A)に代えて、エアフィルタ(B)とする以外は実施例1と同様の方法で行った。その結果、該エアフィルタ(B)の寿命は600時間であった。また、この条件で該エアフィルタ(B)の圧力損失を測定したところ、45Paであった。
【0097】
(比較例2)
(混合スラリーの調製)
実施例1で用いた強酸性陽イオン交換樹脂100重量部、及びシリカ固形分換算で10重量部のコロイダルシリカを、水140重量部に混合し、固形分濃度40重量%の混合スラリー(B)を調製した。
・コロイダルシリカ;スノーテックス、日産化学社製、シリカ固形分30重量%
【0098】
(エアフィルタ用シートの作製)
80重量%のボロンレスガラス繊維(平均繊維径13μm、平均繊維長20mm)及び20重量%のポリエチレンテレフタレート樹脂繊維(平均繊維径10μm、平均繊維長20mm)により構成される平坦状繊維質担体2(厚さ0.4mm、繊維間空隙率97%)の上面に、上記混合スラリー(B)11をロールコーター22を用いて塗布し、さらに乾燥機23で80℃に乾燥させて、平坦状繊維質担体2に強酸性イオン交換樹脂が付着された平坦状の片面塗布繊維質担体3aを巻き取った(図1)。次に、該片面塗布繊維質担体3aを上記塗布面が下面になるようにセットした後、塗布面が形成されていない上面について、上記と同様に混合スラリー(B)を塗布し乾燥させて、強酸性イオン交換樹脂が付着された平坦状の両面塗布繊維質担体3bを巻き取った。
次に、平坦状の両面塗布繊維質担体3bを、圧延装置を用いて、120℃で、0.3mmに加熱圧縮し、平坦状エアフィルタ用シート(C)を得た。該加熱圧縮後、該平坦状エアフィルタ用シート(C)の厚さは、0.4mmに復元した。従って、この時の圧縮率は0%であった。厚さが復元した後の平坦状エアフィルタ用シート(C)の単位体積当りの該強酸性イオン交換樹脂の含有量は525kg/m、単位体積当りのイオン交換容量は2625当量/m、担体繊維に対する強酸性イオン交換樹脂の重量比は16、該エアフィルタ用シート(C)中の担体繊維の含有量は4重量%であった。
【0099】
(エアフィルタの作製)
上記エアフィルタ用シート(C)を上下一対の波形コルゲータの間に、該平坦状エアフィルタ用シート(C)を通して、コルゲート状エアフィルタ用シート(C)の作製を試みたが、該エアフィルタ用シート(C)からのイオン交換樹脂の脱落が激しく加工が困難であり、結果としてフィルタを作製することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、ロールコータを用いて製造する方法の一方から見た模式的な説明図である。
【図2】機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、ロールコータを用いて製造する方法の他方から見た模式的な説明図である。
【図3】コルゲート状ハニカム構造の模式的な斜視図である。
【図4】エアフィルタ42を開口部47に平行な面で切った模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0101】
2 繊維質担体
3a、3b 機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体
11 スラリー
20 塗布装置
21 ベルトコンベア
22 ロールコータ
23 乾燥機
31 第1塗布面
32 第2塗布面
42 エアフィルタ
43 平坦状エアフィルタ用シート
44 コルゲート状エアフィルタ用シート
45 山部
46 空洞
47 開口部
h 山高さ
p ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、加熱圧縮して得られることを特徴とするエアフィルタ用シート。
【請求項2】
前記エアフィルタ用シートの単位体積当りの機能剤粉末の含有量が250kg/m以上であることを特徴とする請求項1記載のエアフィルタ用シート。
【請求項3】
前記機能剤粉末が、イオン交換樹脂粉末、活性炭粉末、ゼオライト粉末及び金属酸化物触媒粉末から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項に記載のエアフィルタ用シート。
【請求項4】
前記機能剤粉末がイオン交換樹脂粉末であり、前記エアフィルタ用シートの単位体積当りのイオン交換樹脂粉末の含有量が400kg/m以上、前記繊維質担体を構成する担体繊維に対するイオン交換樹脂粉末の重量比が1〜10であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のエアフィルタ用シート。
【請求項5】
前記エアフィルタ用シートの単位体積当りのイオン交換容量が1200当量/m以上であることを特徴とする請求項4記載のエアフィルタ用シート。
【請求項6】
前記エアフィルタ用シートの単位面積当たりのイオン交換容量が、500m当量/m以上であることを特徴とする請求項4又は5いずれか1項に記載のエアフィルタ用シート。
【請求項7】
前記機能剤粉末がゼオライト粉末であり、前記エアフィルタ用シートの単位体積当りのゼオライト粉末の含有量が500kg/m以上、前記繊維質担体を構成する担体繊維に対するゼオライト粉末の重量比が1〜15であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のエアフィルタ用シート。
【請求項8】
前記機能剤粉末が金属酸化物触媒粉末であり、前記エアフィルタ用シートの単位体積当りの金属酸化物触媒粉末の含有量が500kg/m以上、前記繊維質担体を構成する担体繊維に対する金属酸化物触媒粉末の重量比が1〜15であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のエアフィルタ用シート。
【請求項9】
前記機能剤粉末が活性炭粉末であり、前記エアフィルタ用シートの単位体積当りの活性炭粉末の含有量が250kg/m以上、前記繊維質担体を構成する担体繊維に対する活性炭粉末の重量比が1〜8であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のエアフィルタ用シート。
【請求項10】
前記機能剤粉末が金属酸化物触媒粉末及び活性炭粉末であり、前記エアフィルタ用シートの単位体積当りの金属酸化物触媒粉末及び活性炭粉末の含有量の合計が250kg/m以上、前記繊維質担体を構成する担体繊維に対する金属酸化物触媒粉末及び活性炭粉末の合計重量の重量比が1〜8であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のエアフィルタ用シート。
【請求項11】
繊維質担体に、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂を含有するスラリーを塗布若しくはスプレーした後、又は繊維質担体を、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂を含有するスラリーに浸漬した後、乾燥処理を行い、機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を得、次いで、該機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体を、加熱圧縮処理することを特徴とするエアフィルタ用シートの製造方法。
【請求項12】
前記加熱圧縮処理における、前記機能剤粉末及び熱可塑性樹脂が付着されている繊維質担体の圧縮率が、10〜50%であることを特徴とする請求項11記載のエアフィルタ用シートの製造方法。
【請求項13】
前記請求項1〜10いずれか1項記載のエアフィルタ用シートを成形して得られることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項14】
前記請求項1〜6いずれか1項記載のエアフィルタ用シートを成形して得られるエアフィルタであって、該エアフィルタの単位体積当たりのイオン交換容量が、800当量/m以上であることを特徴とするエアフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−212509(P2006−212509A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26216(P2005−26216)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】