説明

エアブロア

【課題】空気の噴射量を高めると共に製造コストの低減。
【解決手段】弾性変形によって空気を噴射する中空体10の指圧に基づく応力が加わる面に中空体10を構成する材料よりも硬質の材料からなる板状部材12を取付ける。板状部材12の取付面積は前記指圧の面積よりも大きく設定される。中空体10は例えば円筒部100の両端に応力が加わる曲面部101を有する。板状部材12は曲面部101において着脱自在に設けるとよい。例えば、中空体10における板状部材12の取付面には凸部が形成される一方、板状部材12における中空体10との接触面には前記凸部と嵌合して係止する凹部が形成される。凸部は例えば円柱状の軸部102の上部に円盤状の頭部103を有する。凹部は前記凸部と相似形に形成され、開口部120は頭部103の下面に係止する係止部121を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラ等の精密機器の清掃に用いられるエアブロアに関する。
【背景技術】
【0002】
図3は従来のエアブロアを示した外観図である。尚、このエアブロアを開示する文献としては例えば特許文献1(実公昭31−12965号公報)がある。
【0003】
エアブロア3は、ゴム等に例示される弾性部材で構成され、円筒部300の両端に曲面部301を設けてなる中空体30と、この中空体30の円筒部300の側面に接続され中空体30内の空気を噴射する噴射管31とからなる。
【0004】
エアブロア3は、外部から加えられた応力によって生じた曲面部301の歪みの変化により中空体30内の空気を噴射する。この噴射された空気によって精密機器の某所に付着した塵を強制排除している。そして、前記応力が解除されると、中空体30は弾性変形して元の形態に復元する。この際、空気が噴射管31を介して中空体30内に導入され充満する。
【特許文献1】実公昭31−12965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エアブロア3は、外部から加える応力としてエアブロア3を保持している指の圧力すなわち指圧により曲面部301に歪みを起こさせて中空体30内の空気を噴射している。したがって、この空気の噴射量は、エアブロア3を保持している指と曲面部301との接触面積に依存するので、除塵するのに不十分な場合がある。そこで、指圧するための指を増やして曲面部301を指圧すれば空気の噴射量は増えるが、この操作はエアブロア3を保持している指及び手が疲労しやすく長時間の清掃作業には適さない。
【0006】
また、エアブロア3において応力が加わる曲面部301の中心付近には、通常、前記エアブロアの商品名や製造者名等の商品情報が刻印されている。このようなエアブロア3は予め前記情報の型を形成された前記エアブロアの金型によって成型される。この製造法は大量製造には適しているが、少ないロットで受注した場合には却って製造コストが高くなることがある。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その目的は空気の噴射量を高めことさらには製造コストも低減できるエアブロアの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のエアブロアは、弾性変形によって空気を噴射する中空体を備え、この中空体の指圧に基づく応力が加わる面には前記中空体を構成する材料よりも硬質の材料からなる板状部材が取付けられ、この板状部材の取付面積は前記指圧の面積よりも大きく設定したことを特徴する。
【0009】
請求項2記載のエアブロアは、請求項1記載のエアブロアにおいて、前記中空体は円筒部の両端に応力が加わる曲面部を設けてなり、この曲面部に前記中空体を構成する材料よりも硬質の材料からなる板状部材が取付られることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載のエアブロアは、請求項1または2記載のエアブロアにおいて、前記中空体の構成成分がゴム組成物である場合、前記板状部材は前記ゴム組成物よりも硬質なプラスチック組成物を構成成分とすることを特徴とする。
【0011】
請求項1〜3記載のエアブロアによれば、前記中空体に取付けられた板状部材の一部に前記応力が加わっても、前記板状部材が取付された部分全体で前記中空体を歪ませることができる。
【0012】
前記板状部材の形状は任意であり例えば中空体の形状に基づき定まる。前記中空体が弾性を有し、前記板状部材が前記中空体よりも硬質であればよく、前記板状部材及び中空体はいかなる材料で構成してもよい。前記ゴム組成物及びプラスチック組成物は既知のものを採用してもよい。尚、前記プラスチック組成物は前記ゴム組成物と反応しないもの(ゴム組成物によって溶解しないもの)を採用するとなおよい。
【0013】
請求項4記載のエアブロアは、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアブロアにおいて、前記中空体の前記板状部材が取付けられる面の中央部には弾性変形自在の凸部が形成される一方、前記板状部材の前記中空体が接触する面には前記凸部に着脱自在に取付けられる凹部が形成されることを特徴する。
【0014】
請求項4記載のエアブロアによれば、前記板状部材は前記中空体において着脱自在であるので、前記板状部材と中空体の形状を標準規格化することができる。前記凸部は前記中空体と同種の材料で形成するとよい。前記板状部材と中空体との接触面には接着剤を塗布するとなおよい。前記接着剤は前記板状部材と中空体とを接着できるものであれば既知のものを用いればよい。
【0015】
請求項5記載のエアブロアは、請求項4記載のエアブロアにおいて、前記凸部は円柱状の軸部の上部に円盤状の頭部を備える一方、前記凹部は前記凸部と相似形に形成され、前記凹部の開口部は、前記頭部の下面に係止する係止部を有することを特徴とする。
【0016】
請求項5記載のエアブロアによれば、板状部材が中空体に取付けられる際、前記頭部が弾性変形して前記開口部を通過し前記凹部内に収まったとき前記頭部の下面は前記係止部の上面と係止する。これにより、中空体からの板状部材の脱落を防止できる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1〜5記載のエアブロアによれば、中空体に設けられた板状部材の一部に指圧に基づく応力が加わっても、前記板状部材が取付された部分全体で前記中空体を歪ませることができるので、従来のエアブロアよりも多くの空気を噴射できるようになる。
【0018】
特に、請求項4記載のエアブロアによれば、前記板状部材は前記中空体において着脱自在となっており、前記板状部材と中空体の形状を標準規格化できるので、少ないロットで受注した場合でも、低コストでエアブロアを製造できるようになる。
【0019】
また、請求項5記載のエアブロアによれば、中空体からの板状部材の脱落を防止できるので、支障なくエアブロアを使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態例について説明するが、本発明の本質的内容はこの実施形態例に限定されるものではない。
【0021】
図1は本発明に係るエアブロアの実施形態例を示した概略図で、特に(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はA−A断面図を示す。
【0022】
また、図2は前記エアブロアに設けられた板状部材の具体例を示した概略図で、特に(a)は平面図、(b)は中空体と接触する面の平面図、(c)はB−B断面図を示す。
【0023】
図1に示されたエアブロア1は、円筒部100の両端に応力が加わる曲面部101を設けてなる中空体10と、中空体10に加えられた応力によって排出された中空体10内の空気を噴射する噴射管11とを備える。両方の曲面部101には当該曲面部と同心の板状部材12が着脱自在に設けられている。また、噴射管11は中空体10の側面に形成されている。噴射管11は中空体10と共に既知の金型成型法によって形成される。
【0024】
図示された中空体10は、エアブロアを作成する当業者の間で通常採用されている既知のゴム組成物を構成成分とし、上底と下底が曲面状に膨張した円柱形状に成型されている。尚、本発明に係るエアブロアの中空体の形状はこの形態に限定されず例えばラグビーボール状に形成してもよい。
【0025】
板状部材12は中空体10を構成する材料よりも硬質の材料から構成される。本実施形態例の中空体10は既知のゴム組成物からなるので、板状部材12の材料としては前記ゴム組成物よりも硬質である既知のプラスチック組成物が採用されている。前記プラスチック組成物としてはゴム組成物と反応しないもの(ゴム組成物によって溶解されないもの)が好ましい。
【0026】
板状部材12の形状は中空体の形状に基づき定まる。本実施形態例では中空体10が前記円柱形状に構成されているので、板状部材12は図2に示されたように円盤状に形成されている。より詳細に述べると、図2(a)〜図2(c)に示されたように、板状部材12は指圧に基づく応力が加わる面が曲面となっていると共に曲面部101との取付面が平面となっている。このとき、曲面部101は、図1(c)に示されたように、板状部材12に形成された前記平面部と応じるように当該板状部材との接触面が平面を成している。
【0027】
また、板状部材12は前述のように曲面部101において着脱自在に設けられるので、中空体10の曲面部101の中央部には凸部が形成される。前記凸部は弾性変形自在である。前記凸部の材料は中空体と同種のものが採用される。前記凸部は中空体10及び噴射管11と共に既知の金型成型法によって形成すればよい。
【0028】
曲面部101に形成された凸部は、より具体的には図1(c)に示された形態例のように、円柱状の軸部102の上部に円盤状の頭部103を備えてなる。頭部103の径は少なくも軸部102の径よりも大きく設定される。
【0029】
一方、板状部材12には前記凸部と嵌合して係止する凹部が形成されている。前記凹部は、前記凸部と相似形に形成され、内径が前記軸部102の外径と同等の開口部120と、少なくとも前記頭部103を収納できる容積が確保されている収納部122とを有する。また、前記凹部の開口部120の内面には、図2(c)で示されたように、頭部103の下面で係止する円環状の係止部121が形成されている。このような構成にすると、板状部材12を中空体10に取付ける際、板状部材12を中空体10方向に押し込むと、頭部103が弾性変形して開口部120を通過し収納部122内に収まる。このとき、頭部103の下面が係止部121の上面に係止する。これにより、中空体10からの板状部材12の脱落が防止される。尚、板状部材12を中空体10から取り外す際、板状部材12を引っ張れば、頭部103が弾性変形して開口部120を通過し、板状部材12は中空体10から脱離する。
【0030】
また、板状部材12と曲面部101との接触面には接着剤を塗布するとよい。接着剤は板状部材12と曲面部101とを接着できるもの、すなわちプラスチック製品とゴム製品を接着できるものであれば既知のものを用いればよい。
【0031】
以上の実施形態例に係るエアブロアのように、弾性変形によって空気を噴射する中空体10を備え、この中空体10において指圧に基づく応力が加わる面には中空体10を構成する材料よりも硬質の材料からなる板状部材12を設け、さらに、この板状部材12の取付面積を前記指圧の面積よりも大きく設定したことで、板状部材12の一部に前記応力が加わっても、板状部材12が取付された部分全体で中空体10を歪ませることができる。したがって、従来のエアブロアよりも多くの空気を噴射できるようになる。
【0032】
また、板状部材12は中空体10において着脱自在であるので、板状部材12と中空体10の形状を標準規格化することができる。したがって、少ないロットで受注した場合でも低コストでエアブロアを製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るエアブロアの実施形態例を示した概略図で、特に(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はA−A断面図。
【図2】本発明に係るエアブロアに設けられた板状部材の概略図で、特に(a)は平面図、(b)は中空体と接触する面の平面図、(c)はB−B断面図。
【図3】従来のエアブロアを示した外観図。
【符号の説明】
【0034】
1…エアブロア
10…中空体、100…円筒体、101…曲面部、102…軸部、103…頭部
11…噴射管
12…板状部材、120…開口部、121…係止部、122…収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形によって空気を噴射する中空体を備え、
この中空体の指圧に基づく応力が加わる面には前記中空体を構成する材料よりも硬質の材料からなる板状部材が取付けられ、
この板状部材の取付面積は前記指圧の面積よりも大きく設定したこと
を特徴するエアブロア。
【請求項2】
前記中空体は円筒部の両端に応力が加わる曲面部を設けてなり、
この曲面部に前記中空体を構成する材料よりも硬質の材料からなる板状部材が取付けられること
を特徴とする請求項1記載のエアブロア。
【請求項3】
前記中空体の構成成分がゴム組成物である場合、前記板状部材は前記ゴム組成物よりも硬質なプラスチック組成物を構成成分とすること
を特徴とする請求項1または2記載のエアブロア。
【請求項4】
前記中空体の前記板状部材が取付けられる面の中央部には弾性変形自在の凸部が形成される一方、前記板状部材の前記中空体が接触する面には前記凸部に着脱自在に取付けられる凹部が形成されること
を特徴する請求項1から3のいずれか1項に記載のエアブロア。
【請求項5】
前記凸部は円柱状の軸部の上部に円盤状の頭部を備える一方、前記凹部は前記凸部と相似形に形成され、
前記凹部の開口部は、前記頭部の下面に係止する係止部を有すること
を特徴とする請求項4記載のエアブロア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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