説明

エアマッサージ機

【課題】エアポンプの振動のハウジングへの伝播を抑制し、静粛性の高いエアマッサージ機を提供する。
【解決手段】消音器32と電磁弁33とを接続すべく、消音器32の第1ホース接続口35に接続された可撓性を有する第1ホース36と、電磁弁33の第2ホース接続口39に接続された可撓性を有する第2ホース38とが直交(交差)するようにL型ジョイント部材37にて相互がジョイントされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアポンプによる空気の給排によって空気袋を膨縮させるエアマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エアポンプによる空気の給排によって空気袋を膨縮させて使用者にマッサージを行うエアマッサージ機が広く知られており、例えば、特許文献1には、エアポンプから空気袋(気室)への空気の供給及び空気袋内の空気の排出を行う制御部材(切換器)を適宜制御してマッサージを行うエアマッサージ機が開示されている。
【0003】
特許文献1の図10に示されるエアマッサージ機では、エアポンプの排出口(一般的に消音器が備えられる)が可撓性ホース(チューブ)を介して切換器の吸気口と直線状に最短経路で接続され、エアポンプからの空気を切換器に供給している。そして、切換器の接続口がチューブを介して空気袋と接続して空気袋に空気が供給され、空気袋の膨張により使用者にマッサージを行うものである。
【特許文献1】特開平7−59822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のエアマッサージ機では、近年の使用者のニーズに対応するために、空気の圧力や流量が大きいエアポンプを使用する傾向があり、それに伴ってエアポンプの駆動により発生する振動が大きくなっていた。そして、エアポンプと切換器とは可撓性ホースにて直線状に接続されていることから、エアポンプからの振動の内、可撓性ホースの横方向成分(ホース径方向成分)は十分に吸収できるもの縦方向成分(ホース延出方向成分)は該ホースを介して切換器に伝播し、切換器からハウジングに伝播することで所謂ビビリ音が発生する虞があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、エアポンプの振動のハウジングへの伝播を抑制し、静粛性の高いエアマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、空気の供給及び排気を行うエアポンプと、該エアポンプと接続されその給排気音を抑制するとともに前記エアポンプと剛体連結されて配置される消音器と、該消音器と接続されるとともに前記エアポンプからの空気の給排気を制御する制御部材とをハウジング内に備え、前記制御部材と接続される空気袋を前記エアポンプによる空気の給排気によって膨縮させて使用者に施療を行うエアマッサージ機であって、前記消音器と前記制御部材とを接続すべく、前記消音器の第1ホース接続口に接続された可撓性を有する第1ホースと、前記制御部材の第2ホース接続口に接続された可撓性を有する第2ホースとが交差するようにジョイント部材にて相互がジョイントされたことをその要旨とする。
【0007】
この発明では、消音器と制御部材とを接続すべく、消音器の第1ホース接続口に接続された可撓性を有する第1ホースと、制御部材の第2ホース接続口に接続された可撓性を有する第2ホースとが交差するようにジョイント部材にて相互がジョイントされる。これにより、エアポンプの駆動に伴って発生し消音器を介して伝播される振動が、交差するようにジョイントした可撓性を有する第1ホース及び第2ホースとで、縦方向成分と横方向成分の振動のそれぞれを好適に抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記第1ホースと前記第2ホースとがL字状にジョイントされたことをその要旨とする。
この発明では、第1ホースと第2ホースとがL字状即ち直交方向にジョイントされるため、より好適に振動を抑制することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のエアマッサージ機において、前記消音器の第1ホース接続口が前記制御部材に、前記制御部材の第2ホース接続口が前記消音器にそれぞれ向かない態様に設定されたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、消音器の第1ホース接続口が制御部材に、制御部材の第2ホース接続口が消音器にそれぞれ向かない態様に設定される。これにより、第1ホース接続口と第2ホース接続口とを対向させた場合と比較して、交差する態様で設けられる第1ホース及び第2ホースの取り回しを容易とすることが可能となる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のエアマッサージ機において、前記消音器の第1ホース接続口と、前記制御部材の第2ホース接続口とが同方向に向けられたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、消音器の第1ホース接続口と、前記制御部材の第2ホース接続口とが同方向に向けられる。これにより、第1ホースと第2ホースとを容易に取り付けることが可能となる。また、第1ホース及び第2ホースを短く構成することができ、エアマッサージ機全体の省スペース化に寄与できる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアマッサージ機において、前記ジョイント部材は、前記第1及び第2ホースよりも剛性を有して構成されたことをその要旨とする。
【0014】
この発明では、ジョイント部材が第1及び第2ホースよりも剛性を有して構成される。つまり、第1ホースと第2ホースと比較して剛性の高いジョイント部材により、好適に振動を抑制できるように確実に第1ホースと第2ホースの交差した状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エアポンプの振動のハウジングへの伝播を抑制し、静粛性の高いエアマッサージ機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、マッサージ椅子10の脚部11は図示しない床面に載置されるとともに、その脚部11の上部には使用者が着座可能な座部12が固定されている。その座部12の後側には、使用者が背中をもたれ掛けさせるための背もたれ部13が傾動可能に設けられるとともに、座部12の前側には使用者の脚を載せることができるオットマン14が設けられている。また、使用者の腕を置くための肘掛け部15が背もたれ部13から座部12の両側前方にかけて設けられている。
【0017】
背もたれ部13はその全体がカバー16で覆ったものであり、そのカバー16内には、使用者に対して機械的なマッサージを行うマッサージ機構17が上下方向に往復移動可能に組み込まれている。このマッサージ機構17には、駆動モータ(図示略)が備えられており、マッサージ機構17の上下動や該マッサージ機構17に備えられる一対の施療子17aの所定施療動作が行われるようになっている。この施療子17aの所定施療動作により、施療子17aはカバー16と摺接しつつ使用者の肩や腰、背中といった各施療部位に対し、揉みや擦り、叩きなどの各種マッサージを施すようになっている。
【0018】
また、本実施形態のマッサージ椅子10には、空気を利用して使用者に対して施療を行うエアマッサージ機20が設けられている。エアマッサージ機20は、図1又は図5に示すように、椅子型のマッサージ椅子10の脚部11内に設けられたエア供給装置21と、このエア供給装置21と給排気ホース22により接続されるとともにマッサージ椅子10の各所に設けられる複数の空気袋23(図1にはオットマン14と肘掛け部15の下部に図示)とから構成されている。尚、空気袋23は必要に応じて、背もたれ部13や座部12の表面に設けてもよい。
【0019】
図2〜図5に示すようにエア供給装置21は、下側ハウジング30aと上側ハウジング30bとで形成される収容空間内に、空気の給排気を行うエアポンプ31と、エアポンプ31の給排時の給排音を低減させる消音器32と、エアポンプ31からの空気の給排気を制御する複数(本実施形態では9つ)の制御部材としての電磁弁33と、エアポンプ31及び電磁弁33を制御する制御回路34とを備えている。尚、両ハウジング30a,30bはその体積をコンパクトにするために、上側ハウジング30bには、大型のエアポンプ31の位置する箇所のみをエアポンプ31の形状に合わせて凸状をなすポンプ収容部30cが形成されている。
【0020】
下側ハウジング30aに載置されるエアポンプ31は、空気の給排気を行うタイミングや給排気される空気量を制御する制御回路34と接続されている。エアポンプ31は、その上部にエアポンプ31の給排音を低減させる消音器32が接触配置され、該消音器32と接続されている。
【0021】
消音器32は、複数の前記空気袋23への空気の給排気を制御回路34の制御に基づいて切り換える複数(本実施形態では9つ)の電磁弁33と接続されている。より詳しくは、消音器32に設けられた第1ホース接続口35は、電磁弁33に向かない態様に形成されており、弾性を有する第1ホース36が接続されている。また、第1ホース36はL型ジョイント部材37を介して、第2ホース38と交差する態様で接続されている。そして、第2ホース38は、電磁弁33に設けられ消音器32に向かない態様且つ第1ホース接続口35同一方向に向く態様で形成された第2ホース接続口39と接続されている。尚、L型ジョイント部材37は、第1及び第2ホース36,38よりも剛性の高い材質で構成されている。
【0022】
電磁弁33は、空気袋23側に空気の給排気を行う円筒状のホース接続部33aが形成され、該ホース接続部33aには可撓性を有する給排気ホース22が接続されている。電磁弁33は立設されるとともに、そのホース接続部33aは、給排気ホース22と接続される先端側を鉛直方向上向きとなるように設けられている。また、ホース接続部33aは、図3に示すように、上側ハウジング30bに形成された挿通孔40から突出させるようにして設けられるとともに、その突出部分に対して給排気ホース22の基端が装着されている。挿通孔40は、ホース接続部33aの外径より大きく、挿通孔40の内周とホース接続部33aの外周との間には隙間が設けられている。また、上側ハウジング30bの挿通孔40周りの外側面30dには、環状の突起41が設けられている。
【0023】
給排気ホース22の基端は、その外径が挿通孔40よりも大きく形成されるとともに前記突起41と接触し、挿通孔40を塞ぐ態様で電磁弁33のホース接続部33aと接続されている。給排気ホース22の先端は、マッサージ椅子10の各所に内在された空気袋23に接続されている。また、各電磁弁33のホース接続部33aと各空気袋23とにそれぞれ接続される各給排気ホース22は、色分けにて識別がなされるとともに、上側ハウジング30bの挿通孔40周囲には、給排気ホース22の色に対応するように色識別シール42が貼り付けられており、給排気ホース22とホース接続部33aとの対応関係を容易に知ることができ、接続間違いが起こらないようになっている。
【0024】
上記の構成にて、エアマッサージ機20は、エアポンプ31からの空気の給排により空気袋23を膨縮させ、マッサージ椅子10に着座した使用者に対して脚や大腿部等のマッサージを施すようになっている。
【0025】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)消音器32と電磁弁33とを接続すべく、消音器32の第1ホース接続口35に接続された可撓性を有する第1ホース36と、電磁弁33の第2ホース接続口39に接続された可撓性を有する第2ホース38とが交差するようにL型ジョイント部材37にて相互がジョイントされる。これにより、エアポンプ31の駆動に伴って発生し消音器32を介して伝播される振動が、交差する可撓性を有する第1ホース36及び第2ホース38とで、縦方向成分と横方向成分の振動のそれぞれを好適に抑制することができる。また、L型ジョイント部材37を用いていることから、第1ホース36及び第2ホース38とが直交方向にジョイントされるためより好適に振動を抑制することができる。
【0026】
(2)消音器32の第1ホース接続口35が電磁弁33に、この電磁弁33の第2ホース接続口39が消音器32にそれぞれ向かない態様に設定される。これにより、第1ホース接続口35と第2ホース接続口39とを対向させた場合と比較して、交差する態様で設けられる第1ホース36及び第2ホース38の取り回しを容易とすることが可能となる。
【0027】
(3)消音器32の第1ホース接続口35と、電磁弁33の第2ホース接続口39とが同方向に向けられる。これにより、第1ホース36と第2ホース38とを容易に取り付けることが可能となる。また、第1ホース36及び第2ホース38を短く構成することができ、エアマッサージ機全体の省スペース化に寄与できる。
【0028】
(4)L型ジョイント部材37が第1及び第2ホース36,38よりも剛性を有して構成される。つまり、第1ホース36と第2ホース38と比較して剛性の高いL型ジョイント部材37により、好適に振動を抑制できるように確実に第1ホース36と第2ホース38の交差した状態を維持することができる。
【0029】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、L型ジョイント部材37を用いて第1ホース36及び第2ホース38を交差する態様に接続しているが、L型でなくてもよい。
【0030】
・上記実施形態では、電磁弁33を用いて空気の給排を切り換え制御するようにしているが、これに限らず、エアポンプ31からの空気の給排気を制御する他の制御部材を用いて制御してもよい。
【0031】
・上記実施形態では、消音器32をエアポンプ31と接触配置(剛体連結)しているが、これに限らず、消音器32とエアポンプ31との間に剛体を介在させて離間配置させてもよい。
【0032】
・上記実施形態では、消音器32の第1ホース接続口35と電磁弁33の第2ホース接続口39とが同方向に向けられているが、これに限らない。また、消音器32の第1ホース接続口35が電磁弁33に、電磁弁33の第2ホース接続口39が消音器32にそれぞれ向かないように構成されているが、これに限らない。
【0033】
・上記実施形態では、マッサージ椅子10にエアマッサージ機20を設けているが、ベッド式のマッサージ機などにエアマッサージ機20を適用してもよい。また、エアマッサージ機20単体のものに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態におけるマッサージ椅子を示す斜視図である。
【図2】エアマッサージ機の斜視図である。
【図3】エアマッサージ機の電磁弁部分の断面図である。
【図4】エアマッサージ機のハウジング内部の斜視図である。
【図5】エアマッサージ機の作動構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
20…エアマッサージ機、23…空気袋、30a…下側ハウジング(ハウジング)、30b…上側ハウジング(ハウジング)、31…エアポンプ、32…消音器、33…電磁弁(制御部材)、33a…ホース接続部、35…第1ホース接続口、36…第1ホース、37…L型ジョイント部材(ジョイント部材)、38…第2ホース、39…第2ホース接続口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の供給及び排気を行うエアポンプと、該エアポンプと接続されその給排気音を抑制するとともに前記エアポンプと剛体連結されて配置される消音器と、該消音器と接続されるとともに前記エアポンプからの空気の給排気を制御する制御部材とをハウジング内に備え、前記制御部材と接続される空気袋を前記エアポンプによる空気の給排気によって膨縮させて使用者に施療を行うエアマッサージ機であって、
前記消音器と前記制御部材とを接続すべく、前記消音器の第1ホース接続口に接続された可撓性を有する第1ホースと、前記制御部材の第2ホース接続口に接続された可撓性を有する第2ホースとが交差するようにジョイント部材にて相互がジョイントされたことを特徴とするエアマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のエアマッサージ機において、
前記第1ホースと前記第2ホースとがL字状にジョイントされたことを特徴とするエアマッサージ機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエアマッサージ機において、
前記消音器の第1ホース接続口が前記制御部材に、前記制御部材の第2ホース接続口が前記消音器にそれぞれ向かない態様に設定されたことを特徴とするエアマッサージ機。
【請求項4】
請求項3に記載のエアマッサージ機において、
前記消音器の第1ホース接続口と、前記制御部材の第2ホース接続口とが同方向に向けられたことを特徴とするエアマッサージ機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアマッサージ機において、
前記ジョイント部材は、前記第1及び第2ホースよりも剛性を有して構成されたことを特徴とするエアマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−172290(P2009−172290A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16416(P2008−16416)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】