説明

エアリブ

【課題】損傷しにくく、保守が容易なエアリブを提供する。
【解決手段】荷室の内壁面をなす板材1に向き合う細長い基板部分2と、基板部分2の長辺Lに連なり且つ短辺に接して閉空間3を形成する張殻部分4とを備えている。
基板部分2の長辺Lには、その全長にわたって延び且つ前記板材1に面接触する細長い突起5が形作られ、基板部分2の各突起5間の中央には、両面粘着テープ6により板材1に接着される平らな仮付けエリア7が形作られている。
また、基板部分2の各突起5の傍には、板材1に対して間隔をおき且つ接着剤8が塗布されるに平らな本付けエリア9が形作られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷室の内壁面に取り付けるエアリブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍食品や生鮮食料品を輸送するトラックの箱形荷台、あるいはコンテナなどの荷室の内壁面には、エアリブと呼ばれる上下に延びる細長い外形の部材が取り付けられている。
【0003】
このエアリブは、輸送対象物品が荷室の内壁面に密着しないように支えて、冷気が通る間隙を確保し、また、荷室の内壁面の露で物品が濡れないようする役割を担う。
【0004】
従来のエアリブには、断面形状がいわゆるハット型のもの(例えば、特許文献1参照)やM字型のものがあり、これらは荷室の内壁面にリベット止めされている。
【特許文献1】実開平5−8363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トラックの箱形荷台の内壁面をなす板材の厚みは0.5mm程度なので、この内壁面にリベットの「かしめ加工」により取り付けてあるエアリブに物品が強くぶつかった場合、衝撃でリベットが破壊してエアリブが内壁面から外れることがある。
【0006】
リベットが内壁面をなす板材を貫通している孔から荷室壁の内部に水が入り、この水が凍って膨張すると、荷室の内壁面が波状に歪んでしまい、荷室の見栄えが低下する。
【0007】
エアリブと荷室の内壁面との間の狭隘で細長い空隙に入り込んだ塵埃は、取り除くことが困難である。
【0008】
本発明は、上述した実情に鑑みてなしたもので、損傷しにくく、保守が容易なエアリブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、荷室内壁面に向き合う細長い基板部分と、該基板部分の長辺に連なり且つ短辺に接して閉空間を形成する張殻部分とを備え、前記基板部分を荷室内壁面に接着している。
【0010】
これに加えて、基板部分の長辺全長にわたって延び且つ荷室内壁面に面接触する細長い突起を形作り、基板部分の突起の間を荷室内壁面に接着した構成を採る。
【0011】
更に、基板部分の各突起の間に、両面粘着テープにより荷室内壁面に接着される平らな仮付けエリアと、荷室内壁面に対して間隔をおき且つ接着剤により当該荷室内壁面に接着される平らな本付けエリアとを形作った構成を採る。
【0012】
また、基板部分の本付けエリアと仮付けエリアとの間に、当該本付けエリアよりも荷室内壁面に対して間隔をおくように窪む接着剤溜まりを形作った構成を採る。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエアリブによれば、下記のような優れた効果を奏し得る。
【0014】
(1)基板部分を荷室内壁面に接着するので、エアリブに物品が強くぶつかっても荷室内壁面から外れず、また、エアリブ内が閉空間なので塵埃が入り込まない。
【0015】
(2)荷室内壁面にエアリブ固定用の孔を穿設していないので、水の凍結で荷室内壁面が波状に歪むことがない。
【0016】
(3)基板部分を荷室内壁面に接着する手立てに両面粘着テープを併用すれば、接着剤が硬化するまでの間、エアリブを荷室内壁面に確実に保持できる。
【0017】
(4)接着剤溜まりを設ければ、本付けエリアへの接着剤の塗布量が過多であっても、当該接着剤が突起を超えて外部へ漏出することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0019】
図1〜図3は本発明のエアリブの一例であって、荷室の内壁面をなす板材1に向き合う細長い基板部分2と、該基板部分2の長辺Lに連なり且つ短辺Sに接して閉空間3を形成する張殻部分4とを備えている。
【0020】
基板部分2の長辺Lには、その全長にわたって延び且つ前記板材1に面接触する細長い突起5が形作られている。
【0021】
基板部分2の各突起5間の中央には、両面粘着テープ6により前記板材1に接着される平らな仮付けエリア7が形作られている。
【0022】
また、基板部分2の各突起5の傍には、前記板材1に対して間隔をおき且つ接着剤8が塗布される平らな本付けエリア9が形作られている。
【0023】
基板部分2の本付けエリア9と仮付けエリア7との間には、本付けエリア9よりも前記板材1に対して間隔をおくように窪む接着剤溜まり10を形作られている。
【0024】
このエアリブの主要材料には、アルミニウム合金の押出し加工により一体成形され且つ基板部分2と張殻部分4で閉断面をなす長尺の中空構造体を用いており、突起5、仮付けエリア7、本付けエリア9、及び接着剤溜まり10は、基板部分2と同時に形作られる。
【0025】
従って、実質的には、上記の中空構造体を所定の長さに切り出す作業と、張殻部分4の端をプレス加工により基板部分2の短辺Sに密着した状態に塑性変形させる作業とを行うことになる。
【0026】
特に中空構造体を、板に近い形状の基板部分2、並びに当該基板部分2に対して膨らむような形状の張殻部分4とで構成しているので、一回のプレス加工で、張殻部分4の端を基板部分2の短辺Sに確実に密着させることができる。
【0027】
エアリブを荷室の内壁面をなす板材1に取り付ける際には、仮付けエリア7に両面粘着テープ6の一方の粘着剤塗布面を接着し、本付けエリア9に接着剤8を塗布する。
【0028】
この接着剤8には、硬化後の強度が高く耐衝撃性に優れ、しかも熱伸縮が小さく雰囲気温度の変化に対応可能なエポキシ樹脂系の二液性のものなどを用いる。
【0029】
次に、両面粘着テープ6の他方の粘着剤塗布面を板材1に接着することにより、硬化前の接着剤8を同じ板材1に接触させる。
【0030】
つまり、接着剤8が完全に硬化する前は、両面粘着テープ6によって基板部分2が板材1に保持され、接着剤8が硬化した後は、従来のリベットを用いた例に比べてエアリブが強固に板材1に取り付けられ、物品が強くぶつかったとしても、エアリブが荷室の内壁をなす板材1から外れない。
【0031】
板材1に孔を穿設していないので、水の凍結で荷室の内壁面をなす板材1が波状に歪むことがなく、また、エアリブの閉空間3には塵埃が入り込まない。
【0032】
また、接着剤溜まり10を設けたので、本付けエリア9への接着剤8の塗布量が過多であると、余剰分が接着剤溜まり10へ逃げるので、当該接着剤8が突起5を超えて外部へ漏出することがなく、両面粘着テープ6にも付着しない。
【0033】
なお、本発明のエアリブは、上述した実施の形態のみだけに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のエアリブは様々な荷室に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のエアリブの一例を示す水平断面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】図1のIII−III矢視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 板材(荷室内壁面)
2 基板部分
3 閉空間
4 張殻部分
5 突起
6 両面粘着テープ
7 仮付けエリア
8 接着剤
9 本付けエリア
10 接着剤溜まり
L 長辺
S 短辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室内壁面に向き合う細長い基板部分と、該基板部分の長辺に連なり且つ短辺に接して閉空間を形成する張殻部分とを備え、前記基板部分を荷室内壁面に接着したことを特徴とするエアリブ。
【請求項2】
基板部分の長辺全長にわたって延び且つ荷室内壁面に面接触する細長い突起を形作り、基板部分の突起の間を荷室内壁面に接着した請求項1に記載のエアリブ。
【請求項3】
基板部分の各突起の間に、両面粘着テープにより荷室内壁面に接着される平らな仮付けエリアと、荷室内壁面に対して間隔をおき且つ接着剤により当該荷室内壁面に接着される平らな本付けエリアとを形作った請求項2に記載のエアリブ。
【請求項4】
基板部分の本付けエリアと仮付けエリアとの間に、当該本付けエリアよりも荷室内壁面に対して間隔をおくように窪む接着剤溜まりを形作った請求項3に記載のエアリブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−103380(P2009−103380A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276526(P2007−276526)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000232911)株式会社トランテックス (11)
【Fターム(参考)】