エキシマランプ
【課題】化学的に安定な六フッ化硫黄、四フッ化炭素、または三フッ化窒素といったガスを用いても、高照度で、かつ照度安定性の高いエキシマランプを提供すること。
【解決手段】発光管2内に希ガスとフッ化物が封入され、発光管2の外面に少なくとも一方の電極10,11が配置されたエキシマランプにおいて、発光管2内のガス圧が全圧で13.3kPa以上であり、前記フッ化物が、六フッ化硫黄、四フッ化炭素、または三フッ化窒素のいずれかであり、前記フッ化物の全ガスに対するモル比が0.001%ないし10%であり、前記希ガスが、アルゴン、クリプトン、またはキセノンのいずれか1つとヘリウムおよび/またはネオンとからなり、該ヘリウムおよび/または該ネオンの希ガス全体に対するモル比が90%ないし99.5%であることを特徴とするエキシマランプである。
【解決手段】発光管2内に希ガスとフッ化物が封入され、発光管2の外面に少なくとも一方の電極10,11が配置されたエキシマランプにおいて、発光管2内のガス圧が全圧で13.3kPa以上であり、前記フッ化物が、六フッ化硫黄、四フッ化炭素、または三フッ化窒素のいずれかであり、前記フッ化物の全ガスに対するモル比が0.001%ないし10%であり、前記希ガスが、アルゴン、クリプトン、またはキセノンのいずれか1つとヘリウムおよび/またはネオンとからなり、該ヘリウムおよび/または該ネオンの希ガス全体に対するモル比が90%ないし99.5%であることを特徴とするエキシマランプである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプに係わり、特に、発光管の外面に電極を設けたエキシマランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、誘電体となる放電容器内に、適宜の発光ガスとハロゲンを充填し、放電容器内における誘電体エキシマ放電によりエキシマ分子を生成して、エキシマ分子からエキシマ光を放射させるエキシマランプが知られている。エキシマランプは、例えば、光化学反応用の紫外線光源として利用されている。
【0003】
このようなエキシマランプは、放電用ガスとして、得ようとするエキシマ光の波長に応じて、希ガス(アルゴン、クリプトン、キセノン等)または希ガスとハロゲン(フッ素、塩素、臭素、沃素等)の組み合わせが用いられる。例えば、アルゴン−フッ素からなる放電用ガスでは、193nmの光が放射され、クリプトン−フッ素からなる放電用ガスでは248nmの光が放射され、キセノン−フッ素からなる放電用ガスでは351nmの光が放射される。これらの光は、表面改質、殺菌等の用途に利用される。特に、リソグラフィに広く用いられている193nm、248nmの放射が得られるアルゴン−フッ素、クリプトン−フッ素のエキシマランプでは、レジストの特性試験、周辺露光、マスク検査等の幅広い用途に利用されている。
【0004】
エキシマランプの発光管にフッ素を封入し、発光管が石英ガラス(SiO2)である場合、石英ガラス(SiO2)に含まれるシリカ(Si)とフッ素イオンとの反応性が高いため、ランプ点灯中に、フッ素イオンと接する発光管の材料としては、石英ガラス(SiO2)を用いることができない。このため、発光管としては、フッ素イオンの吸収の少ない材料からなるシリカ(Si)を含まない材料が用いられ、発光管の材料としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするサファイア(単結晶アルミナ)やアルミナ(多結晶アルミナ)のような金属酸化物が用いられる。
【0005】
また、エキシマランプに封入されるフッ素源としては、F2は、発生あるいは排気にフッ素によって腐食されない、または反応しない特殊な設備が必要であり、しかも取扱いが難しいので用いることはできない。そのため、化学的に安定なSF6、CF4、NF3といったガスを用いることが提案されている。特に、SF6を用いた紫外線ランプが、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特許2913294号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、SF6、CF4、NF3といったガスは化学的安定性が高く、電子付着性の高い(換言すれば、電子を捕獲する性質の強い)ガスであり、電離により生じた電子を高い確率で捕獲する。そのため、特許文献1に記載の紫外線ランプでは、SF6の濃度が高く、発光管内のガス全体に占めるSF6のモル比が、6.6〜10%となっており、その結果、照度安定性が悪い。また、この紫外線ランプでは、ガス全体の圧力が0.7〜7kPaと低いため、紫外線の発光量が少なく、結果として、照射面での照度が低く、実用的なランプとしては利用できなかった。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、化学的に安定な六フッ化硫黄、四フッ化炭素、または三フッ化窒素といったガスを用いても、高照度で、かつ照度安定性の高いエキシマランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、次の手段を採用した。
第1の手段は、発光管内に希ガスとフッ化物が封入され、該発光管の外面に少なくとも一方の電極が配置されたエキシマランプにおいて、前記発光管内のガス圧が全圧で13.3kPa以上であり、前記フッ化物が、六フッ化硫黄、四フッ化炭素、または三フッ化窒素のいずれかであり、前記フッ化物の全ガスに対するモル比が0.001%ないし10%であり、前記希ガスが、アルゴン、クリプトン、またはキセノンのいずれか1つとヘリウムおよび/またはネオンとからなり、該ヘリウムおよび/または該ネオンの希ガス全体に対するモル比が90%ないし99.5%であることを特徴とするエキシマランプである。
第2の手段は、第1の手段において、前記発光管の材料が、酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするサファイア(単結晶アルミナ)もしくはアルミナ(多結晶アルミナ)、二フッ化マグネシウム(MgF2),フッ化リチウム(LiF),二フッ化カルシウム(CaF2),二フッ化バリウム(BaF2),またはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)であることを特徴とするエキシマランプである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、照度にして1mW/cm2以上の照度が得られ、照射面おける照度の変動範囲が±10%以内となる照度安定性が得られ、種々の応用面での実用化が可能なエキシマランプを提供することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、発光管は、150〜400nmの光に対して光透過性を有すると共に、フッ素イオンの吸収の少ない材料から構成されるので、封入されたフッ化物の減少を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施形態を図1ないし図19を用いて説明する。
図1は、本実施形態の発明に係るエキシマランプの斜視図、図2(a)は図1に示したエキシマランプの管軸を通る切断面から見た断面図、図2(b)は図2(a)のA−Aの切断面から見た断面図である。
【0011】
これらの図に示すように、エキシマランプ1の発光管2は、直管状からなり、150〜400nmの光に対して光透過性を有すると共に、フッ素イオンの吸収の少ない材料から構成される。発光管2の材料としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするサファイア(単結晶アルミナ)やアルミナ(多結晶アルミナ)のような金属酸化物を用いる。またその他に発光管2に用いる材料としては、二フッ化マグネシウム(MgF2),フッ化リチウム(LiF),二フッ化カルシウム(CaF2),二フッ化バリウム(BaF2),YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)のようなフッ化物を用いることもできる。
なお、発光管2の光透過性材料として、石英ガラス(SiO2)を用いることも考えられるが、先にも述べたように、石英ガラス(SiO2)に含まれるシリカ(Si)は、フツ素イオンとの反応性が高いため、ランプ点灯中に、フッ素イオンと接することになるため、石英ガラス(SiO2)は用いることができない。このため、フッ素イオンの吸収の少ない材料からなる、シリカ(Si)を含まない材料が用いられることになる。
【0012】
発光管2の長手方向における両端は開放されており、その両端にはカップ状の蓋部材3、4が設けられる。蓋部材3,4は、例えば、鉄(Fe)にニッケル(Ni)およびコバルト(Co)を配合した合金、いわゆるコバールにより形成される。なお、蓋部材3,4は金属に限定されるものではなく、耐紫外線性を有していれば良いので、発光管2と同一の材料からなる、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするサファイア(単結晶アルミナ)などを用いても良い。
【0013】
発光管2と蓋部材3,4との間には、封止材5,6が充填されることにより、発光管2と蓋部材3,4とが結合され、発光管2と蓋部材3,4と封止材5,6とからなる放電容器が形成される。封止材5,6の材料としては、例えば、銀と銅との合金(Ag−Cu合金)からなるロウ材が用いられる。エキシマランプ1の点灯時、封止材5,6には、紫外線が照射されると共に、エキシマランプ1からの点灯熱により加熱されるため、耐紫外線性および耐熱性を有するものであることが必要である。特に、銀と銅との合金(Ag−Cu合金)のようなフッ素イオンの吸収の少ないものであれば、好適に用いることができる。
【0014】
第2の蓋部材4にはガス管7が設けられており、放電容器の内部8がガス管7により排気されて減圧された後、放電用ガスとして希ガスと化学的安定性の高いフッ化物が封入される。放電用ガスの封入後、ガス管7は圧接等で封止部9が形成されることにより、放電容器は密閉構造となる。
【0015】
放電容器の内部8に封入される放電用ガスとして、アルゴン(Ar),クリプトン(Kr)またはキセノン(Xe)のいずれかとヘリウム(He)および/またはネオン(Ne)からなる希ガスと、六フッ化硫黄(SF6),四フッ化炭素(CF4)または三フッ化窒素(NF3)からなるフッ化物とが用いられる。
【0016】
発光管2の外面には、図2(b)に示すように、一対の外部電極10,11が互いに電気的に対向するように配置されると共に、図2(a)に示すように、発光管2の管軸方向に沿って延びるように設けられる。さらに、外部電極10,11は封止材5,6および蓋部材3,4から離して設けられる。外部電極10,11は、例えば、銅をペースト状にしたものを発光管2の外面に塗布して形成したり、または板状の、例えば、アルミニウムを接着剤等によって発光管2の外面に接着して形成される。外部電極10,11の長手方向の各々の一端にはリード12,13が半田14,15等により電気的に接続され、リード12,13には図示しない電源が接続され、エキシマランプ1の点灯時に給電される。
【0017】
エキシマランプ1の点灯時、一対の外部電極10,11間に電圧が印加されることにより、発光管2を介して外部電極10,11間で放電が発生する。放電用ガスの希ガスが、例えばアルゴン(Ar)と、フッ化物が、例えば六フッ化硫黄(SF6)の場合、これらのガスが電離されて、アルゴンイオンやフッ素イオンが形成され、アルゴン−フッ素からなるエキシマ分子が形成され、193nmの波長近傍の光を発光し、発光管2の外部に放射される。
【0018】
エキシマランプ1の点灯時には、発光管2の管軸方向に距離L1の範囲で延びる外部電極11,12間で、発光管2を介してエキシマ放電が行われる。発光管2がフッ素イオンの吸収の少ない材料として、シリカ(Si)を含まない材料で構成されているので、電離されたフッ素イオンが発光管2に吸収されることはない。
【0019】
発光管2内に封入された放電用ガスは、希ガスとしてのアルゴン、クリプトン、またはキセノンのいずれかとヘリウムおよび/またはネオンのうち、発光ガスとしてのアルゴン、クリプトン、またはキセノンのいずれかと、フッ化物としての六フッ化硫黄、四フッ化炭素、または三フッ化窒素のフッ素イオンとが反応して、エキシマ分子となり光を放射するガスである。なお、希ガスのうち、ヘリウムおよび/またはネオンは、発光に寄与しないバッファーガスである。
【0020】
発光管2内に放電用ガスとして、上記の希ガスとフッ化物を封入し、外部電極11,12間に高電圧を印加して放電容器8内に放電を誘起させて、エキシマ発光を得る場合、発光に至るメカニズムは概略次の通りであると推定される。例えば、希ガスとしてアルゴン(Ar)およびフッ化物としてと六フッ化硫黄(SF6)を封入した場合、放電によりSF6はFとSFx等に分解し、生じたFよりArとエキシマ(エキシマ(ArF*)を生じ、エキシマ発光(ArF*→ArF+hν(193nm))を得ることができる。なお、他の希ガスとしてクリプトン、またはキセノン、フッ化物として四フッ化炭素、または三フッ化窒素を用いても、同様の発光に至るメカニズムを呈することが推定される。
【0021】
エキシマランプの実際の種々の応用面での使用を考慮すると、照度は1mW/cm2以上、照度安定性は、照射面における照度の変動範囲が±10%以内であることが条件となる。
【0022】
次に、図1に示したエキシマランプ1の構成を有するエキシマランプにおいて、ガス成分比を種々異ならして、照度と照度安定性を調べるために行った実験について説明する。
図3は、4種類の実験1〜実験4の態様を示す図であり、実験1は、発光ガスとしてアルゴン(Ar)、バッファーガスとしてネオン(Ne)、フッ化物として六フッ化硫黄(SF6)を用い、実験2は、発光ガスとしてアルゴン(Ar)、バッファーガスとしてヘリウム(He)、フッ化物として六フッ化硫黄(SF6)を用い、実験3は、発光ガスとしてクリプトン(Kr)、バッファーガスとしてネオン(Ne)、フッ化物として六フッ化硫黄(SF6)を用い、実験4は、発光ガスとしてキセノン(Xe)、バッファーガスとしてネオン(Ne)、フッ化物として六フッ化硫黄(SF6)を用いて、各々図1に示すエキシマランプ1を用いて、照度と照度安定性を調べた実験である。なお、ここで照度安定性が良いとは、点灯開始後1時間以内での照度の変動範囲が±10%以内であるものを安定性ありとした。
【0023】
図4は、実験1(1)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図5は、実験1(2)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図6は、実験1(3)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図7は、実験1(4)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【0024】
図8は、実験2(1)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、He/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図9は、実験2(2)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図10は、実験2(3)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図11は、実験2(4)において、SF6/(He+Ar+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【0025】
図12は、実験3(1)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Kr)を0〜99.8%の範囲、Kr/(ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図13は、実験3(2)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(Ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図14は、実験3(3)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図15は、実験3(4)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(Ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【0026】
図16は、実験4(1)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図17は、実験4(2)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図18は、実験4(3)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図19は、実験4(4)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【0027】
これらの実験結果から、明らかなように、照度を高くするために発光ガスの封入量を増すと放電が安定しないものとなる。一方、バッファーガスの封入量を増すと放電が安定し照度安定性が良くなるが、封入し過ぎると照度が低下する。さらに、SF6の封入量を増やすことも考えられるが、SF6は絶縁性ガスあるいは消弧性ガスとして知られており、電子を捕獲する性質(電子付着性)が極めて高いため、その分圧が高くなる程放電により生じた電子がSF6に捕獲されて放電が阻害される確率が増す。放電を維持するためにはより高い電圧を印加し電子をより多く生じさせなければならないので、SF6の分圧が大きい程放電を維持するために必要な電圧が高くなり実用的ではない。
【0028】
上記の実験から、照度にして1mW/cm2以上の照度が得られ、照射面おける照度の変動範囲が±10%以内となる照度安定性がよい範囲は、発光管内の全圧が100Torr(13.3kPa)以上であって、発光管内の全ガスに対するフッ化物のモル比が0.001%〜10%であり、なおかつ、発光管内の希ガス全体に占めるバッファーガスのモル比((バッファーガス/(バッファーガス+発光ガス))で90%〜99.5%の範囲であることが分かる。
【0029】
ここで、高照度かつ照度安定性のメカニズムについて説明する。希ガスとして、NeとArとを封入したモデルで説明すると、希ガスとしての放電はNeがArより遥かに安定であり、従って実験1(1)〜実験1(4)に示すように、Neのガス比が高い封入ガス圧であっても安定な放電が得られる。一方、バッファーガスは発光には寄与せず、Ne放電による励起でエキシマとなった後、Arと衝突してArイオンを生成し、Arイオンはフッ素イオンとの衝突によりアルゴン−フッ素エキシマを形成し、発光に寄与すると考えられる。即ち、例えば、発光ガスAr、バッファーガスNe、フッ化物SF6を封入したエキシマランプにおける放電中の反応は次のごとく進むと推測される。
Ne+e−→Ne*+e−(1)
Ne*+Ar→Ne+Ar+(2)
SF6+e−→SF5+F−(3)
Ar++F−→ArF*(4)
ArF*→ArF+hν(193nm)(5)
【0030】
また、バッファーガスとしてNeに代えてHeを用いた場合も、同様の結果が得られる。即ち、例えば、発光ガスAr、バッファーガスHe、フッ化物SF6を封入したエキシマランプにおける放電中での反応は次のごとく進むと推測される。
He+e−→He*+e−(6)
He*+Ar→He+Ar+(7)
SF6+e−→SF5+F−(8)
Ar++F−→ArF*(9)
ArF*→ArF+hν(193nm)(10)
【0031】
なお、バッファーガスとしてNeとHeを混合して用いても、発光のメカニズムは変わらず、同様の結果が得られる。また、フッ化物として、SF6に代えて、SF4またはNF3を用いても発光メカニズムに変わりがないので同様の結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るエキシマランプの斜視図である。
【図2】図1に示したエキシマランプの管軸を通る切断面から見た断面図およびA−A切断面から見た断面図である。
【図3】4種類の実験1〜実験4の態様を示す図である。
【図4】実験1(1)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図5】実験1(2)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図6】実験1(3)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図7】実験1(4)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図8】実験2(1)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、He/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図9】実験2(2)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図10】実験2(3)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図11】実験2(4)において、SF6/(He+Ar+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図12】実験3(1)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Kr)を0〜99.8%の範囲、Kr/(ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図13】実験3(2)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(Ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図14】実験3(3)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図15】実験3(4)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(Ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図16】実験4(1)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図17】実験4(2)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図18】実験4(3)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図19】実験4(4)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【符号の説明】
【0033】
1 エキシマランプ
2 発光管
3,4 蓋部材
5,6 封止材
7 ガス管
8 放電容器の内部
9 封止部
10,11 外部電極
12,13 リード
14,15 半田
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプに係わり、特に、発光管の外面に電極を設けたエキシマランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、誘電体となる放電容器内に、適宜の発光ガスとハロゲンを充填し、放電容器内における誘電体エキシマ放電によりエキシマ分子を生成して、エキシマ分子からエキシマ光を放射させるエキシマランプが知られている。エキシマランプは、例えば、光化学反応用の紫外線光源として利用されている。
【0003】
このようなエキシマランプは、放電用ガスとして、得ようとするエキシマ光の波長に応じて、希ガス(アルゴン、クリプトン、キセノン等)または希ガスとハロゲン(フッ素、塩素、臭素、沃素等)の組み合わせが用いられる。例えば、アルゴン−フッ素からなる放電用ガスでは、193nmの光が放射され、クリプトン−フッ素からなる放電用ガスでは248nmの光が放射され、キセノン−フッ素からなる放電用ガスでは351nmの光が放射される。これらの光は、表面改質、殺菌等の用途に利用される。特に、リソグラフィに広く用いられている193nm、248nmの放射が得られるアルゴン−フッ素、クリプトン−フッ素のエキシマランプでは、レジストの特性試験、周辺露光、マスク検査等の幅広い用途に利用されている。
【0004】
エキシマランプの発光管にフッ素を封入し、発光管が石英ガラス(SiO2)である場合、石英ガラス(SiO2)に含まれるシリカ(Si)とフッ素イオンとの反応性が高いため、ランプ点灯中に、フッ素イオンと接する発光管の材料としては、石英ガラス(SiO2)を用いることができない。このため、発光管としては、フッ素イオンの吸収の少ない材料からなるシリカ(Si)を含まない材料が用いられ、発光管の材料としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするサファイア(単結晶アルミナ)やアルミナ(多結晶アルミナ)のような金属酸化物が用いられる。
【0005】
また、エキシマランプに封入されるフッ素源としては、F2は、発生あるいは排気にフッ素によって腐食されない、または反応しない特殊な設備が必要であり、しかも取扱いが難しいので用いることはできない。そのため、化学的に安定なSF6、CF4、NF3といったガスを用いることが提案されている。特に、SF6を用いた紫外線ランプが、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特許2913294号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、SF6、CF4、NF3といったガスは化学的安定性が高く、電子付着性の高い(換言すれば、電子を捕獲する性質の強い)ガスであり、電離により生じた電子を高い確率で捕獲する。そのため、特許文献1に記載の紫外線ランプでは、SF6の濃度が高く、発光管内のガス全体に占めるSF6のモル比が、6.6〜10%となっており、その結果、照度安定性が悪い。また、この紫外線ランプでは、ガス全体の圧力が0.7〜7kPaと低いため、紫外線の発光量が少なく、結果として、照射面での照度が低く、実用的なランプとしては利用できなかった。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、化学的に安定な六フッ化硫黄、四フッ化炭素、または三フッ化窒素といったガスを用いても、高照度で、かつ照度安定性の高いエキシマランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、次の手段を採用した。
第1の手段は、発光管内に希ガスとフッ化物が封入され、該発光管の外面に少なくとも一方の電極が配置されたエキシマランプにおいて、前記発光管内のガス圧が全圧で13.3kPa以上であり、前記フッ化物が、六フッ化硫黄、四フッ化炭素、または三フッ化窒素のいずれかであり、前記フッ化物の全ガスに対するモル比が0.001%ないし10%であり、前記希ガスが、アルゴン、クリプトン、またはキセノンのいずれか1つとヘリウムおよび/またはネオンとからなり、該ヘリウムおよび/または該ネオンの希ガス全体に対するモル比が90%ないし99.5%であることを特徴とするエキシマランプである。
第2の手段は、第1の手段において、前記発光管の材料が、酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするサファイア(単結晶アルミナ)もしくはアルミナ(多結晶アルミナ)、二フッ化マグネシウム(MgF2),フッ化リチウム(LiF),二フッ化カルシウム(CaF2),二フッ化バリウム(BaF2),またはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)であることを特徴とするエキシマランプである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、照度にして1mW/cm2以上の照度が得られ、照射面おける照度の変動範囲が±10%以内となる照度安定性が得られ、種々の応用面での実用化が可能なエキシマランプを提供することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、発光管は、150〜400nmの光に対して光透過性を有すると共に、フッ素イオンの吸収の少ない材料から構成されるので、封入されたフッ化物の減少を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施形態を図1ないし図19を用いて説明する。
図1は、本実施形態の発明に係るエキシマランプの斜視図、図2(a)は図1に示したエキシマランプの管軸を通る切断面から見た断面図、図2(b)は図2(a)のA−Aの切断面から見た断面図である。
【0011】
これらの図に示すように、エキシマランプ1の発光管2は、直管状からなり、150〜400nmの光に対して光透過性を有すると共に、フッ素イオンの吸収の少ない材料から構成される。発光管2の材料としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするサファイア(単結晶アルミナ)やアルミナ(多結晶アルミナ)のような金属酸化物を用いる。またその他に発光管2に用いる材料としては、二フッ化マグネシウム(MgF2),フッ化リチウム(LiF),二フッ化カルシウム(CaF2),二フッ化バリウム(BaF2),YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)のようなフッ化物を用いることもできる。
なお、発光管2の光透過性材料として、石英ガラス(SiO2)を用いることも考えられるが、先にも述べたように、石英ガラス(SiO2)に含まれるシリカ(Si)は、フツ素イオンとの反応性が高いため、ランプ点灯中に、フッ素イオンと接することになるため、石英ガラス(SiO2)は用いることができない。このため、フッ素イオンの吸収の少ない材料からなる、シリカ(Si)を含まない材料が用いられることになる。
【0012】
発光管2の長手方向における両端は開放されており、その両端にはカップ状の蓋部材3、4が設けられる。蓋部材3,4は、例えば、鉄(Fe)にニッケル(Ni)およびコバルト(Co)を配合した合金、いわゆるコバールにより形成される。なお、蓋部材3,4は金属に限定されるものではなく、耐紫外線性を有していれば良いので、発光管2と同一の材料からなる、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするサファイア(単結晶アルミナ)などを用いても良い。
【0013】
発光管2と蓋部材3,4との間には、封止材5,6が充填されることにより、発光管2と蓋部材3,4とが結合され、発光管2と蓋部材3,4と封止材5,6とからなる放電容器が形成される。封止材5,6の材料としては、例えば、銀と銅との合金(Ag−Cu合金)からなるロウ材が用いられる。エキシマランプ1の点灯時、封止材5,6には、紫外線が照射されると共に、エキシマランプ1からの点灯熱により加熱されるため、耐紫外線性および耐熱性を有するものであることが必要である。特に、銀と銅との合金(Ag−Cu合金)のようなフッ素イオンの吸収の少ないものであれば、好適に用いることができる。
【0014】
第2の蓋部材4にはガス管7が設けられており、放電容器の内部8がガス管7により排気されて減圧された後、放電用ガスとして希ガスと化学的安定性の高いフッ化物が封入される。放電用ガスの封入後、ガス管7は圧接等で封止部9が形成されることにより、放電容器は密閉構造となる。
【0015】
放電容器の内部8に封入される放電用ガスとして、アルゴン(Ar),クリプトン(Kr)またはキセノン(Xe)のいずれかとヘリウム(He)および/またはネオン(Ne)からなる希ガスと、六フッ化硫黄(SF6),四フッ化炭素(CF4)または三フッ化窒素(NF3)からなるフッ化物とが用いられる。
【0016】
発光管2の外面には、図2(b)に示すように、一対の外部電極10,11が互いに電気的に対向するように配置されると共に、図2(a)に示すように、発光管2の管軸方向に沿って延びるように設けられる。さらに、外部電極10,11は封止材5,6および蓋部材3,4から離して設けられる。外部電極10,11は、例えば、銅をペースト状にしたものを発光管2の外面に塗布して形成したり、または板状の、例えば、アルミニウムを接着剤等によって発光管2の外面に接着して形成される。外部電極10,11の長手方向の各々の一端にはリード12,13が半田14,15等により電気的に接続され、リード12,13には図示しない電源が接続され、エキシマランプ1の点灯時に給電される。
【0017】
エキシマランプ1の点灯時、一対の外部電極10,11間に電圧が印加されることにより、発光管2を介して外部電極10,11間で放電が発生する。放電用ガスの希ガスが、例えばアルゴン(Ar)と、フッ化物が、例えば六フッ化硫黄(SF6)の場合、これらのガスが電離されて、アルゴンイオンやフッ素イオンが形成され、アルゴン−フッ素からなるエキシマ分子が形成され、193nmの波長近傍の光を発光し、発光管2の外部に放射される。
【0018】
エキシマランプ1の点灯時には、発光管2の管軸方向に距離L1の範囲で延びる外部電極11,12間で、発光管2を介してエキシマ放電が行われる。発光管2がフッ素イオンの吸収の少ない材料として、シリカ(Si)を含まない材料で構成されているので、電離されたフッ素イオンが発光管2に吸収されることはない。
【0019】
発光管2内に封入された放電用ガスは、希ガスとしてのアルゴン、クリプトン、またはキセノンのいずれかとヘリウムおよび/またはネオンのうち、発光ガスとしてのアルゴン、クリプトン、またはキセノンのいずれかと、フッ化物としての六フッ化硫黄、四フッ化炭素、または三フッ化窒素のフッ素イオンとが反応して、エキシマ分子となり光を放射するガスである。なお、希ガスのうち、ヘリウムおよび/またはネオンは、発光に寄与しないバッファーガスである。
【0020】
発光管2内に放電用ガスとして、上記の希ガスとフッ化物を封入し、外部電極11,12間に高電圧を印加して放電容器8内に放電を誘起させて、エキシマ発光を得る場合、発光に至るメカニズムは概略次の通りであると推定される。例えば、希ガスとしてアルゴン(Ar)およびフッ化物としてと六フッ化硫黄(SF6)を封入した場合、放電によりSF6はFとSFx等に分解し、生じたFよりArとエキシマ(エキシマ(ArF*)を生じ、エキシマ発光(ArF*→ArF+hν(193nm))を得ることができる。なお、他の希ガスとしてクリプトン、またはキセノン、フッ化物として四フッ化炭素、または三フッ化窒素を用いても、同様の発光に至るメカニズムを呈することが推定される。
【0021】
エキシマランプの実際の種々の応用面での使用を考慮すると、照度は1mW/cm2以上、照度安定性は、照射面における照度の変動範囲が±10%以内であることが条件となる。
【0022】
次に、図1に示したエキシマランプ1の構成を有するエキシマランプにおいて、ガス成分比を種々異ならして、照度と照度安定性を調べるために行った実験について説明する。
図3は、4種類の実験1〜実験4の態様を示す図であり、実験1は、発光ガスとしてアルゴン(Ar)、バッファーガスとしてネオン(Ne)、フッ化物として六フッ化硫黄(SF6)を用い、実験2は、発光ガスとしてアルゴン(Ar)、バッファーガスとしてヘリウム(He)、フッ化物として六フッ化硫黄(SF6)を用い、実験3は、発光ガスとしてクリプトン(Kr)、バッファーガスとしてネオン(Ne)、フッ化物として六フッ化硫黄(SF6)を用い、実験4は、発光ガスとしてキセノン(Xe)、バッファーガスとしてネオン(Ne)、フッ化物として六フッ化硫黄(SF6)を用いて、各々図1に示すエキシマランプ1を用いて、照度と照度安定性を調べた実験である。なお、ここで照度安定性が良いとは、点灯開始後1時間以内での照度の変動範囲が±10%以内であるものを安定性ありとした。
【0023】
図4は、実験1(1)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図5は、実験1(2)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図6は、実験1(3)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図7は、実験1(4)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【0024】
図8は、実験2(1)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、He/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図9は、実験2(2)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図10は、実験2(3)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図11は、実験2(4)において、SF6/(He+Ar+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【0025】
図12は、実験3(1)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Kr)を0〜99.8%の範囲、Kr/(ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図13は、実験3(2)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(Ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図14は、実験3(3)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図15は、実験3(4)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(Ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【0026】
図16は、実験4(1)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図17は、実験4(2)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図18は、実験4(3)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
図19は、実験4(4)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【0027】
これらの実験結果から、明らかなように、照度を高くするために発光ガスの封入量を増すと放電が安定しないものとなる。一方、バッファーガスの封入量を増すと放電が安定し照度安定性が良くなるが、封入し過ぎると照度が低下する。さらに、SF6の封入量を増やすことも考えられるが、SF6は絶縁性ガスあるいは消弧性ガスとして知られており、電子を捕獲する性質(電子付着性)が極めて高いため、その分圧が高くなる程放電により生じた電子がSF6に捕獲されて放電が阻害される確率が増す。放電を維持するためにはより高い電圧を印加し電子をより多く生じさせなければならないので、SF6の分圧が大きい程放電を維持するために必要な電圧が高くなり実用的ではない。
【0028】
上記の実験から、照度にして1mW/cm2以上の照度が得られ、照射面おける照度の変動範囲が±10%以内となる照度安定性がよい範囲は、発光管内の全圧が100Torr(13.3kPa)以上であって、発光管内の全ガスに対するフッ化物のモル比が0.001%〜10%であり、なおかつ、発光管内の希ガス全体に占めるバッファーガスのモル比((バッファーガス/(バッファーガス+発光ガス))で90%〜99.5%の範囲であることが分かる。
【0029】
ここで、高照度かつ照度安定性のメカニズムについて説明する。希ガスとして、NeとArとを封入したモデルで説明すると、希ガスとしての放電はNeがArより遥かに安定であり、従って実験1(1)〜実験1(4)に示すように、Neのガス比が高い封入ガス圧であっても安定な放電が得られる。一方、バッファーガスは発光には寄与せず、Ne放電による励起でエキシマとなった後、Arと衝突してArイオンを生成し、Arイオンはフッ素イオンとの衝突によりアルゴン−フッ素エキシマを形成し、発光に寄与すると考えられる。即ち、例えば、発光ガスAr、バッファーガスNe、フッ化物SF6を封入したエキシマランプにおける放電中の反応は次のごとく進むと推測される。
Ne+e−→Ne*+e−(1)
Ne*+Ar→Ne+Ar+(2)
SF6+e−→SF5+F−(3)
Ar++F−→ArF*(4)
ArF*→ArF+hν(193nm)(5)
【0030】
また、バッファーガスとしてNeに代えてHeを用いた場合も、同様の結果が得られる。即ち、例えば、発光ガスAr、バッファーガスHe、フッ化物SF6を封入したエキシマランプにおける放電中での反応は次のごとく進むと推測される。
He+e−→He*+e−(6)
He*+Ar→He+Ar+(7)
SF6+e−→SF5+F−(8)
Ar++F−→ArF*(9)
ArF*→ArF+hν(193nm)(10)
【0031】
なお、バッファーガスとしてNeとHeを混合して用いても、発光のメカニズムは変わらず、同様の結果が得られる。また、フッ化物として、SF6に代えて、SF4またはNF3を用いても発光メカニズムに変わりがないので同様の結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るエキシマランプの斜視図である。
【図2】図1に示したエキシマランプの管軸を通る切断面から見た断面図およびA−A切断面から見た断面図である。
【図3】4種類の実験1〜実験4の態様を示す図である。
【図4】実験1(1)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図5】実験1(2)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図6】実験1(3)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図7】実験1(4)において、SF6/(Ne+Ar+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(Ne+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図8】実験2(1)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、He/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図9】実験2(2)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図10】実験2(3)において、SF6/(He+Ar+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図11】実験2(4)において、SF6/(He+Ar+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(He+Ar)を0〜99.8%の範囲、Ar/(He+Ar)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図12】実験3(1)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Kr)を0〜99.8%の範囲、Kr/(ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図13】実験3(2)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(Ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図14】実験3(3)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図15】実験3(4)において、SF6/(Ne+Kr+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Ar)を0〜99.8%の範囲、Kr/(Ne+Kr)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図16】実験4(1)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.001%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図17】実験4(2)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.02%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図18】実験4(3)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を0.1%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【図19】実験4(4)において、SF6/(Ne+Xe+SF6)を10%の時、全圧を90〜400Torrの範囲、Ne/(Ne+Xe)を0〜99.8%の範囲、Xe/(Ne+Xe)を100〜0.2%の範囲で変化させさせた時の、初期照度(mW/cm2)と照度安定性(変動範囲±10%)、および総合評価を示す表である。
【符号の説明】
【0033】
1 エキシマランプ
2 発光管
3,4 蓋部材
5,6 封止材
7 ガス管
8 放電容器の内部
9 封止部
10,11 外部電極
12,13 リード
14,15 半田
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管内に希ガスとフッ化物が封入され、該発光管の外面に少なくとも一方の電極が配置されたエキシマランプにおいて、
前記発光管内のガス圧が全圧で13.3kPa以上であり、
前記フッ化物が、六フッ化硫黄、四フッ化炭素、または三フッ化窒素のいずれかであり、前記フッ化物の全ガスに対するモル比が0.001%ないし10%であり、
前記希ガスが、アルゴン、クリプトン、またはキセノンのいずれか1つとヘリウムおよび/またはネオンとからなり、該ヘリウムおよび/または該ネオンの希ガス全体に対するモル比が90%ないし99.5%であることを特徴とするエキシマランプ。
【請求項2】
前記発光管の材料が、酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするサファイア(単結晶アルミナ)もしくはアルミナ(多結晶アルミナ)、二フッ化マグネシウム(MgF2),フッ化リチウム(LiF),二フッ化カルシウム(CaF2),二フッ化バリウム(BaF2),またはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)であることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
【請求項1】
発光管内に希ガスとフッ化物が封入され、該発光管の外面に少なくとも一方の電極が配置されたエキシマランプにおいて、
前記発光管内のガス圧が全圧で13.3kPa以上であり、
前記フッ化物が、六フッ化硫黄、四フッ化炭素、または三フッ化窒素のいずれかであり、前記フッ化物の全ガスに対するモル比が0.001%ないし10%であり、
前記希ガスが、アルゴン、クリプトン、またはキセノンのいずれか1つとヘリウムおよび/またはネオンとからなり、該ヘリウムおよび/または該ネオンの希ガス全体に対するモル比が90%ないし99.5%であることを特徴とするエキシマランプ。
【請求項2】
前記発光管の材料が、酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするサファイア(単結晶アルミナ)もしくはアルミナ(多結晶アルミナ)、二フッ化マグネシウム(MgF2),フッ化リチウム(LiF),二フッ化カルシウム(CaF2),二フッ化バリウム(BaF2),またはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)であることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−163965(P2009−163965A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341541(P2007−341541)
【出願日】平成19年12月29日(2007.12.29)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月29日(2007.12.29)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]