説明

エスカレータの欄干照明装置

【課題】踏段を効率よく照明できるエスカレータの欄干照明装置を提供する。
【解決手段】エスカレータ30の欄干照明装置10は、エスカレータ30に設置され、欄干パネル33が、踏段31側に開口部13を有し、欄干パネル33の移動手摺35の近傍に、欄干パネル32,33内を透過して開口部13から踏段31に向けて光を照射する光源11を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータを照明するエスカレータの欄干照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、欄干パネルの側面に欄干パネル内部の光の乱反射を誘発する加工が施されたエスカレータの欄干照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−176229号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、光を欄干パネルの側面で乱反射させることにより、光量をむだなく使用でき、欄干パネルの模様に応じた斬新で奇抜な光模様を創り出せる。
しかし、特許文献1は、光が欄干パネルの側面で乱反射して光模様を創り出せるものの、例えば足元を確認でき難い老人等の足元を明るく照明して安全な移動を手助けすることができない。
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、踏段を効率よく照明できるエスカレータの欄干照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエスカレータの欄干照明装置は、無端状に連結されて循環移動する踏段と、前記踏段の両側に配置される一対の欄干パネルと、前記欄干パネルの周縁部を移動する移動手摺とを備えるエスカレータに設置され、前記欄干パネルが、前記踏段側に開口部を有し、前記欄干パネルの前記移動手摺の近傍に、前記欄干パネル内を透過して前記開口部から前記踏段に向けて光を照射する光源を備える。
【0007】
本発明に係るエスカレータの欄干照明装置は、前記光源からの光を前記踏段に向けるための反射板を備える。
【0008】
本発明に係るエスカレータの欄干照明装置は、前記欄干パネルが、内面に鏡面を有する。
【0009】
本発明に係るエスカレータの欄干照明装置は、前記欄干パネルが、前記開口部に透過性を有する透過パネルを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るエスカレータの欄干照明装置によれば、踏段を効率よく照明できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る一実施形態のエスカレータの欄干照明装置の側面視垂直断面図
【図2】本発明に係る一実施形態のエスカレータの欄干照明装置の正面視垂直断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る一実施形態のエスカレータの欄干照明装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明に係る一実施形態のエスカレータの欄干照明装置10が適用されるエスカレータ30は、建築物1の上階床2と下階床3との間に亘って配置される。
エスカレータ30は、上階床2と下階床3との間に亘って建築物1に設置されるトラス4内において長楕円軌道に沿って配置される。
エスカレータ30は、無端状に連結された多数の踏段31と、これら踏段31の両側に配置されたそれぞれ一対の外側欄干パネル32および内側欄干パネル33とを備える。
【0013】
外側欄干パネル32は、光を透過させない不透過性板部材である。同様に、内側欄干パネル33も光を透過させない不透過性板部材である。
エスカレータ30は、内側欄干パネル33の下方において上階床2の乗降口から下階床3の乗降口の間に亘って設けられたスカート部34を備える。
【0014】
エスカレータ30は、外側欄干パネル32および内側欄干パネル33の周縁部にそれぞれ装着された無端状の移動手摺35を備える。
移動手摺35は、不図示の駆動手段の駆動により踏段31が循環移動されると同時に、外側欄干パネル32および内側欄干パネル33の周縁部を踏段31と同期して循環移動する。
【0015】
移動手摺35は、踏段31が下階側から上階側へ移動する上昇方向の運転時に、下階床3の乗降口側でスカート部34内より外部に現れ、上階床2の乗降口側でスカート部34内に入り込んで、下階床3の乗降口側へと移動する。
これとは異なり、移動手摺35は、踏段31が上階側から下階側へ移動する下降方向の運転時に、上階床2の乗降口側でスカート部34内より外部に現れ、下階床3の乗降口側でスカート部34内に入り込んで、上階床2の乗降口側へと移動する。
このように、移動手摺35は、外側欄干パネル32および内側欄干パネル33の上端部において循環移動することにより利用者が手で掴む。
【0016】
図2に示すように、エスカレータ30は、外側欄干パネル32および内側欄干パネル33の上端部に手摺デッキ36を備える。
手摺デッキ36は、上階床2と下階床3との間において外側欄干パネル32および内側欄干パネル33の上端部に取り付けられる。
エスカレータ30は、手摺デッキ36の両側部に、移動手摺35を移動自在に支持する鍔状の一対の案内レール37を備える。
【0017】
欄干照明装置10は、手摺デッキ36に取り付けられる光源であるLEDユニット11と、外側欄干パネル32および内側欄干パネル33の間に取り付けられる透過パネル12と、内側欄干パネル33の踏段31側に形成された開口部13とを備える。
欄干照明装置10は、開口部13に取り付けられる乳白パネル14と、外側欄干パネル32の内面に形成された鏡面15と、内側欄干パネル33の内面に形成された鏡面16とを備える。
欄干照明装置10は、透過パネル12の下端部に取り付けられた反射板17を備える。
【0018】
LEDユニット11は、外側欄干パネル32および内側欄干パネル33の上端面に沿って配置された手摺デッキ36の長手方向に取り付けられたLED基板18に複数のLED19がライン状に封止されている。
LEDユニット11は、LED基板18が不図示の電源ユニットに電気的に接続される。そのため、電源ユニットが駆動されることにより、LED19が発光され、LED19からの光が透過パネル12内に出射される。
【0019】
開口部13は、上階床2と下階床3との間に亘って配置される内側欄干パネル33の踏段31側に形成される。
そして、乳白パネル14は、乳白色の透過部材であって、透過パネル12の下端部寄りにおいて開口部13に取り付けられる。
そのため、開口部13および乳白パネル14は、上階床2と下階床3との間に亘って配置される内側欄干パネル33の長さに沿って踏段31側に配置される。
反射板17は、透過パネル12の下端部において、透過パネル12内を透過してきたLED19の光を、踏段31に向けるための反射面20を有する。
【0020】
このようなエスカレータ30は、駆動手段の駆動により踏段31が循環移動されると同時に、移動手摺35が外側欄干パネル32および内側欄干パネル33の周縁部を踏段31と同期して循環移動する。
そして、同時的に、欄干照明装置10の電源ユニットからの通電により、LEDユニット11のLED19が発光され、LED19からの光が透過パネル12内に出射される。
【0021】
透過パネル12内に出射されたLED19からの光は、外側欄干パネル32の鏡面15および内側欄干パネル33の鏡面16により反射を繰り返しながら反射板17に向けて進行され、反射板17の反射面20により開口部13に向けて反射される。
そして、反射板17の反射面20により反射された光は、乳白パネル14を介して踏段31を照射することになる。
【0022】
以上、説明したように一実施形態のエスカレータ30の欄干照明装置10によれば、LEDユニット11のLED19からの光が、外側欄干パネル32および内側欄干パネル33の間の透過パネル12を介して開口部13から踏段31に向けて照射される。
従って、一実施形態のエスカレータ30の欄干照明装置10によれば、踏段31を効率よく照明できる。
【0023】
また、一実施形態のエスカレータ30の欄干照明装置10によれば、LED19からの光が反射板17の反射面20により開口部13に向けて反射されるために、光を無駄なく踏段31に向けて進行できる。
【0024】
そして、一実施形態のエスカレータ30の欄干照明装置10によれば、外側欄干パネル32の内面に形成された鏡面15および内側欄干パネル33に形成された鏡面16により、LED19からの光を反射板17に対して無駄なく進行できる。
【0025】
さらに、一実施形態のエスカレータ30の欄干照明装置10によれば、内側欄干パネル33の開口部13に乳白パネル14が取り付けられるために、踏段31に対して光を演出できる。
【0026】
なお、本発明のエスカレータの欄干照明装置においてエスカレータを構成する踏段,外側欄干パネル,内側欄干パネル,移動手摺等は、前述した一実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 欄干照明装置
11 LEDユニット(光源)
12 透過パネル
13 開口部
14 乳白パネル(透過パネル)
15 鏡面
16 鏡面
17 反射板
30 エスカレータ
31 踏段
32 外側欄干パネル(欄干パネル)
33 内側欄干パネル(欄干パネル)
35 移動手摺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結されて循環移動する踏段と、
前記踏段の両側に配置される一対の欄干パネルと、
前記欄干パネルの周縁部を移動する移動手摺とを備えるエスカレータに設置され、
前記欄干パネルが、前記踏段側に開口部を有し、
前記欄干パネルの前記移動手摺の近傍に、前記欄干パネル内を透過して前記開口部から前記踏段に向けて光を照射する光源を備えるエスカレータの欄干照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエスカレータの欄干照明装置において、
前記光源からの光を前記踏段に向けるための反射板を備えるエスカレータの欄干照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエスカレータの欄干照明装置において、
前記欄干パネルが、内面に鏡面を有するエスカレータの欄干照明装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載のエスカレータの欄干照明装置において、
前記欄干パネルが、前記開口部に透過性を有する透過パネルを有するエスカレータの欄干照明装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−218913(P2012−218913A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88435(P2011−88435)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】