説明

エステル化合物の製造方法

【課題】特定の構造式を有するエステル化合物を、容易な操作により、高選択率で得る方法を提供する。
【解決手段】特定の構造を有するアルコール(1)と、必要に応じてpH調整剤を含有し、特定の測定方法で得られたpH値が4〜9となるアルコール原料と、特定の構造を有するエステル原料(3)とを含有する反応原液を、酵素存在下で反応させることにより、特定の構造式を有するエステル化合物(2)を得るエステル化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエステル化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エステル化合物を得るためのエステル化反応としては、例えば、酸無水物を使用したエステル交換法、金属触媒存在下におけるエステル交換法及び酵素を利用したエステル交換法が挙げられる。
酵素を利用したエステル交換法としては、例えば、特許文献1では酵素としてリパーゼ等を使用して特定のエステル化合物を製造する方法が提案されている。
【0003】
しかしながら、下式(1)で示されるアルコールのように反応活性を有する置換基が2つ以上ある化合物を使用して目的反応物を得ようとする場合、上述のエステル交換反応では下式(1)で示されるアルコールとの反応の選択性が充分ではなく、式(1)に存在する置換基R中の水酸基とも反応して、不純分となる副生物であるジエステルを形成する可能性がある。この副生物であるジエステルを含むエステル化合物を、例えば、リソグラフィー用レジストの樹脂製造に使用した場合には、ジエステル等の不純物は樹脂の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
【化1】

(Rは水酸基を有する炭素数6〜12の、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。
また、特許文献1には、本発明の目的とする下式(2)で示されるエステル化合物を容易な操作により高選択率で得る条件については何ら開示されていない。
【0005】
【化2】

(Rは水酸基を有する炭素数6〜12の、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表し、炭化水素基は直鎖状でも分岐状であってもよく、不飽和結合を有していてもよい。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開2008/153784号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、式(2)で示されるエステル化合物を容易な操作により高選択率で得る方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の要旨は、下記測定方法で得られたpH値が4〜9となる下式(1)のアルコールを含有する原料及び下式(3)のエステル原料を含有する反応原液を、酵素存在下で反応させることにより、下式(2)のエステル化合物を得るエステル化合物の製造方法である。
【0009】
【化1】

(Rは水酸基を有する炭素数6〜12の、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。)
【0010】
【化2】

(Rは水酸基を有する炭素数6〜12の、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表し、炭化水素基は直鎖状でも分岐状であってもよく、不飽和結合を有していてもよい。)
【0011】
【化3】

(R及びRはそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基を表す。炭化水素基は直鎖状でも分岐状であってもよく、不飽和結合を有していてもよい。)
【0012】
<pH値の測定方法−1>
室温において、上記式(1)のアルコール1質量部を含有するアルコール原料に、上記式(1)のアルコール1質量部に対して30質量部となる量のイオン交換水を添加し、30分攪拌した後に固液分離して得られる水溶液のpHを測定して得られた値を、上記式(1)のアルコールのpH値とする。
【0013】
また、本発明の第二の要旨は、下式(1)のアルコールと、下式(1)のアルコール1質量部に対して、下記測定方法で得られたpH値が4〜9となる添加比率と同一量のpH調整剤とを含有するアルコール原料;及び下式(3)のエステル原料;を含有する反応原液を、酵素存在下で反応させることにより、下式(2)のエステル化合物を得るエステル化合物の製造方法である。
【0014】
【化4】

(Rは水酸基を有する炭素数6〜12の、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。)
【0015】
【化5】

(Rは水酸基を有する炭素数6〜12の、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表し、炭化水素基は直鎖状でも分岐状であってもよく、不飽和結合を有していてもよい。)
【0016】
【化6】

(R及びRはそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基を表す。炭化水素基は直鎖状でも分岐状であってもよく、不飽和結合を有していてもよい。)
【0017】
<pH値の測定方法−2>
室温において、上記式(1)のアルコール1質量部と、pH調整剤とを含有するアルコール原料に、上記式(1)のアルコール1質量部に対して30質量部となる量のイオン交換水を添加し、30分攪拌した後に固液分離して得られる水溶液のpHを測定して得られた値を、上記アルコール原料のpH値とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法により本エステル化合物を容易な操作により高選択率で得ることができることから、リソグラフィー用レジスト等の純度の高い樹脂の製造用原料として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<式(1)のアルコール>
本発明において、上記式(1)のアルコールは、上記式(1)中のRが水酸基を有する炭素数6〜12の脂環式炭化水素基又は水酸基を有する炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である化合物である。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基及びシクロペンチル基が挙げられる。
また、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
上記式(1)のアルコールの具体例としては、下式(4)で示される2−ヒドロキシ−6−ナフチルメタノールが挙げられる。
【0020】
【化7】

【0021】
<アルコール原料>
本発明において、アルコール原料は、上記式(1)のアルコールと、必要の応じて、後述するpH調整剤を含有する。
本発明において、上記pH値測定法−1で得られた式(1)のアルコールのpH値が4〜9である場合には、後述するpH調整剤を添加せずに、式(1)のアルコールをアルコール原料として使用することができる。
また、上記pH値測定法−1で得られた式(1)のアルコールのpH値が4〜9でない場合には、後述するpH調整剤を添加することにより、所望のアルコール原料として使用する。
上記アルコール原料のpH値が4〜9となるようにすることにより良好な酵素活性が得られる。
【0022】
<pH調整剤>
本発明においては、上記式(1)のアルコールに、必要に応じて、上記式(1)のアルコール1質量部に対して、上記pH値測定法−2で得られたpH値が4〜9となる添加比率と同一量のpH調整剤を添加することにより、所望のアルコール原料を調整することができる。
【0023】
pH調整剤としては、例えば、酸、塩基及び緩衝剤の粉末並びにそれらの水溶液が挙げられる。
酸の具体例としては、リン酸、硫酸及び塩酸が挙げられる。
塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムが挙げられる。
緩衝剤の具体例としては、リン酸二水素ナトリウムとリン酸水素二ナトリウムとの混合粉末及びリン酸二水素ナトリウムと水酸化ナトリウムとの混合粉末が挙げられる。
【0024】
<固液分離>
上記pH値測定法−1及びpH値測定法−2においては、上記式(1)のアルコール、イオン交換水及び必要に応じてpH調整剤の混合物は固液分離した後にpH測定に使用される。
固液分離の方法としては、例えば、自然濾過法、加圧濾過法、吸引濾過法、遠心分離法及び沈殿分離法が挙げられる。
【0025】
<エステル原料>
本発明で使用されるエステル原料は、上記式(3)中のR及びRがそれぞれ炭素数1〜10の、直鎖状又は分岐状の炭化水素基で、不飽和結合を有することができる化合物である。
炭素数1〜10の、直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−プロペニル基及び1−ブテニル基が挙げられる。
本発明で使用されるエステル原料の具体例としてはメタクリル酸ビニルが挙げられる。
【0026】
<反応原液>
本発明において、反応原液としては、上記アルコール原料と上記エステル原料とを含有する反応原液が使用される。
上記反応原液中には、必要に応じて、溶媒又は水を添加することができる。
なお、本発明において、水分の測定方法としては、例えば、カールフィッシャー法が挙げられる。
【0027】
<酵素>
本発明においては、上記反応原液を酵素の存在下で反応させて、後述するエステル化合物が得られる。
本発明で使用される酵素としては、例えば、エステル生成能力を有するものが挙げられる。
本発明で使用される酵素の形態としては、例えば、粉末及び担体に固定化したものが挙げられる。反応終了後にろ過による簡便な除去が可能である点で担体に固定化した酵素が好ましい。
エステル生成能力を有する酵素としては、例えば、市販品として天野エンザイム(株)製のリパーゼPS「アマノ」IM及びリパーゼPS「アマノ」C1(いずれも商品名)が挙げられる。
酵素の添加量としては、経済性、反応速度及び生成物選択率の点で、上記式(1)のアルコール100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましい。
上記反応原液中への酵素の添加方法としては、例えば、上記反応原液中での反応を開始させる時に一括して添加する方法及び酵素を任意数に分割して、その一部を、反応を開始させる時に添加し、残りの分割分を反応の途中で逐次添加する方法が挙げられる。
【0028】
<反応>
本発明における反応(以下、「本反応」という)は、上記アルコール原料と上記エステル原料とから、本発明の目的物である、後述のエステル化合物(以下、「本エステル化合物」という)を得る反応である。
【0029】
本反応では、必要に応じて、上記反応原液中に溶媒又は水を含有することができる。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等の炭素数1〜4のアルコール及び1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の炭素数4〜6のエーテルが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
【0030】
本反応の温度は使用する溶媒の沸点に応じて任意に設定できるが、本反応の温度としては、本反応における操作性や経済性の点で、0〜100℃が好ましい。また、本反応の温度としては、本反応における反応速度や生成物選択率の点を加味して20〜80℃がより好ましい。
本反応の温度がこれより低温だと反応速度が低下して原料が残存し、後工程に除去精製等の負荷がかかる恐れがある。また、本反応の温度がこれより高温だと、選択率低下や、本エステル化合物が重合性物質の場合には重合の恐れがある。
【0031】
本反応の反応時間としては、経済性及び生成物選択率の点で0.5〜60時間が好ましく、1〜40時間がより好ましい。
【0032】
本発明においては、上記式(1)のアルコール及び上記エステル原料から選ばれる少なくとも1種として重合性化合物を使用する場合には、上記反応原液中に必要に応じて重合禁止剤を添加することができる。
重合禁止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物及びN−オキシル系化合物が挙げられる。
重合禁止剤の添加量としては、経済性や重合禁止効果の点で、重合性化合物に対して0.1〜1,000ppmが好ましい。
【0033】
本反応においては、上記アルコール原料、上記エステル原料、酵素及び必要に応じて重合禁止剤等の原料の添加時期については、その順番や添加方法は特に限定されるものではなく、一括で添加してもよいし、各原料を逐次添加してもよい。
【0034】
<本エステル化合物>
本エステル化合物は、本発明で得られる目的物であり、上記式(2)で示されるものである。
担体に固定化されている酵素を使用する場合には、反応が終了した上記エステル化合物(2)を含有する反応液中に存在する酵素をろ過、遠心分離、沈殿分離等の操作により反応液から分離することができる。
上記の操作で得られるものを含め、未溶解物がない、上記反応原液を反応させて得られる反応液から、上記エステル化合物を取り出す方法としては、例えば、再結晶、蒸留等の公知の精製方法による精製の後に溶媒の留去等により、本エステル化合物を単離する方法が挙げられる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を説明する。
なお、上記アルコール原料のpH値は、以下の測定方法により求めた。
また、本発明で得られる上記エステル化合物の生成率を以下の方法により求め、本エステル化合物を得る方法における選択率の評価基準とした。
【0036】
<pH値測定法>
室温において、イオン交換水51gに2−ヒドロキシ−6−ナフチルメタノール1.7g及び必要に応じてpH調整液を添加し、30分攪拌した後に5分間静置した。
得られた水溶液の上清のpH値を測定し、水溶液のpH値を、上記アルコール原料のpH値とした。
【0037】
<エステル化合物の生成率の測定方法>
まず、アセトニトリルと水の混合体積比が1:1であるアセトニトリル水溶液を調製した。
続いて、生成率測定用の反応液に、生成率測定用の反応液に対して10倍質量の上記のアセトニトリル水溶液を添加した。
得られたアセトニトリル水溶液で希釈した生成率測定用の反応液の水溶液をメンブレンフィルター(ADVANEC社製、商品名:DISMIC−13)にてろ過して固定化酵素を除去し、生成率測定用本エステル化合物水溶液を得た。
生成率測定用エステル化合物水溶液を使用して、HPLC((株)島津製作所製)にて、エステル化合物の定量分析を実施した。
HPLCの分析では、検出器としては示差屈折検出器(RI検出器)を用いた。また、溶離液としてアセトニトリルと水の混合液(体積比1:1)、HPLCカラムにInertsil ODS−3V(GL Sciences社製)を使用した。
エステル化合物の生成率はクロマトグラムの面積百分率から下式により算出した。
生成率(%)={(本エステル化合物のクロマトグラム面積)/(本エステル化合物、未反応原料及び副生成物の合計クロマトグラム面積)}×100
【0038】
[実施例1]
<2−ヒドロキシ−6−ナフチルメタノールのpH値の測定>
50mLのナスフラスコに2−ヒドロキシ−6−ナフチルメタノール1.7g及びイオン交換水51gを加えて30分攪拌して得られる懸濁液を静置し、上清について、上記pH値測定法におけるpH値を測定したところ、pH値は7.0だった。
【0039】
<pH7.0のリン酸緩衝液を調整>
濃度1モル/Lのリン酸二水素ナトリウム水溶液に濃度1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pH7.0のリン酸緩衝液を調整した。
【0040】
<本エステル化合物の合成>
温度計、攪拌棒及び冷却管を装備した50mLの二口のナスフラスコに、室温にてメタクリル酸ビニル1.7g、テトラヒドロフラン17mL(15.1g)、2−ヒドロキシ−6−ナフチルメタノール1.7g、イオン交換水0.17g及び天野エンザイム(株)製のリパーゼPS「アマノ」IM0.17gを添加した。
次いで、上記の反応容器中に前記のpH7.0のリン酸緩衝液0.10mLを添加して、上記反応原液中の水分を1質量%に調整した。
更に、メタクリル酸ビニル、テトラヒドロフラン、2−ヒドロキシ−6−ナフチルメタノール、イオン交換水及びリン酸緩衝液の合計量に対して4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル 1−オキシル100ppmを添加し、反応容器中の反応用の原料を撹拌しながら50℃で8時間反応させ、下式(5)で示される本エステル化合物(2−1)を得た。反応時間2時間、6時間及び8時間における本エステル化合物(2−1)の生成率を表1に示す。
【0041】
【化8】

【0042】
【表1】

【0043】
[実施例2〜5及び比較例1〜3]
<2−ヒドロキシ−6−ナフチルメタノールのpH値の測定>
50mLのナスフラスコに、2−ヒドロキシ−6−ナフチルメタノール1.7g及びイオン交換水51gを加えて30分攪拌した後に、表1に記載のpH調整液を、表1に記載の添加量で添加して得られる懸濁液を静置し、上清について、上記pH値測定法におけるpH値を測定した。得られたpH値を表1に示す。
【0044】
<エステル化合物の合成>
温度計、攪拌棒及び冷却管を装備した50mLの二口のナスフラスコに、室温にてメタクリル酸ビニル1.7g、テトラヒドロフラン17mL(15.1g)、2−ヒドロキシ−6−ナフチルメタノール1.7g、表1に記載のpH調整剤、イオン交換水0.17g及び天野エンザイム(株)製のリパーゼPS「アマノ」IM0.17gを添加した。
次いで、上記の反応容器中に実施例1で使用したものと同様のpH7.0のリン酸緩衝液0.10mLを添加して、上記反応原液中の水分を1質量%に調整した。
更に、メタクリル酸ビニル、テトラヒドロフラン、2−ヒドロキシ−6−ナフチルメタノール、イオン交換水及びリン酸緩衝液の合計量に対して4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル 1−オキシル100ppmを添加し、反応容器中の反応用の原料を撹拌しながら50℃で8時間反応させ、下式(5)で示される本エステル化合物(2−1)を得た。反応時間2時間、6時間及び8時間における本エステル化合物(2−1)の生成率を表1に示す。
【0045】
[実施例6]
上記反応原液中にイオン交換水を添加して水分濃度を表1に記載の濃度に調整する以外は実施例1と同様にして本エステル化合物(2−1)を得た。反応時間2時間、6時間及び8時間における本エステル化合物(2−1)の生成率を表1に示す。
【0046】
実施例1〜6及び比較例1〜3の本エステル化合物(2−1)の生成率の結果から明らかなように、下式(1)のアルコールとして、上記pH値測定法におけるpH値が4〜9となるものを使用することにより、良好な生成率で本エステル化合物(2−1)が得られることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記測定方法で得られたpH値が4〜9となる下式(1)のアルコールを含有する原料;及び
下式(3)のエステル原料;
を含有する反応原液を、酵素存在下で反応させることにより、下式(2)のエステル化合物を得るエステル化合物の製造方法。
【化1】

(Rは、水酸基を有する炭素数6〜12の、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。)
【化2】

(Rは水酸基を有する炭素数6〜12の、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表し、炭化水素基は直鎖状でも分岐状であってもよく、不飽和結合を有していてもよい。)
【化3】

(R及びRはそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基を表す。炭化水素基は直鎖状でも分岐状であってもよく、不飽和結合を有していてもよい。)
<pH値の測定方法>
室温において、式(1)のアルコール1質量部を含有するアルコール原料に、式(1)のアルコール1質量部に対して30質量部となる量のイオン交換水を添加し、30分攪拌した後に固液分離して得られる水溶液のpHを測定して得られた値を式(1)のアルコール原料のpH値とする。
【請求項2】
下式(1)のアルコールと、下式(1)のアルコール1質量部に対して、下記測定方法で得られたpH値が4〜9となる添加比率と同一量のpH調整剤とを含有するアルコール原料;及び
下式(3)のエステル原料;
を含有する反応原液を、酵素存在下で反応させることにより、下式(2)のエステル化合物を得るエステル化合物の製造方法。
【化1】

(Rは水酸基を有する炭素数6〜12の、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。)
【化2】

(Rは水酸基を有する炭素数6〜12の、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。Rは炭素数1〜10の炭化水素基を表し、炭化水素基は直鎖状でも分岐状であってもよく、不飽和結合を有していてもよい。)
【化3】

(R及びRはそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基を表す。炭化水素基は直鎖状でも分岐状であってもよく、不飽和結合を有していてもよい。)
<pH値の測定方法>
室温において、上記式(1)のアルコール1質量部と、pH調整剤とを含有するアルコール原料に、上記式(1)のアルコール1質量部に対して30質量部となる量のイオン交換水を添加し、30分攪拌した後に固液分離して得られる水溶液のpHを測定して得られた値をアルコール原料のpH値とする。
【請求項3】
式(1)のアルコールにおいて、Rは水酸基が直接結合した、置換基を有していてもよいフェニル基又は水酸基が直接結合した、置換基を有していてもよいナフチル基である請求項1に記載のエステル化合物の製造方法。
【請求項4】
式(1)のアルコールにおいて、Rは水酸基が直接結合した、置換基を有していてもよいフェニル基又は水酸基が直接結合した、置換基を有していてもよいナフチル基である請求項2に記載のエステル化合物の製造方法。

【公開番号】特開2011−167072(P2011−167072A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22699(P2010−22699)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】