説明

エステル変性ジカルボキシレートポリマー

ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートを含むポリマー、ならびに、アルキレンジオール、テレフタル酸、および下記の式1の部分とを反応させることによるその調製であって、
X−I−(A−I)−A−X 式1
Aは、アンヒドロ糖アルコールまたはジアンヒドロ糖アルコールからのエステル残基であり、Iは、二塩基酸またはそのジアルキルエステルからのエステル残基であり、Xは、残基Aに結合する場合はH、二塩基酸から誘導される残基Iに結合する場合はOH、二塩基酸のジアルキルエステルから誘導される残基Iに結合する場合はORであり、Rは、C1〜C4の直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、aおよびbは、独立して0または1であり、nは、1〜10であることを特徴とする調製。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二塩基酸とジアンヒドロ糖アルコールのコポリマーと、ポリエステルへの前記コポリマーの組み込みとに関する。本発明のポリエステルは、重要な特性の改善を提供する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、現在係属中の、2002年12月19日に出願された米国仮特許出願第60/434,758号の本出願である。米国国内出願は、2003年6月10に出願され、現在係属中である。
【背景技術】
【0003】
米国特許公報(特許文献1)において、シャーボノー(Charbonneau)らは、ジアンヒドロ糖アルコール(例、1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール等、以下該慣用名により、「イソソルビド」と記載する)を組み込むことにより、テレフタレートポリエステル(例、ポリ(1,3−プロパンジオールテレフタレート)等)のガラス遷移温度(T)をかなり上げることが可能であると示した。ポリ(1,3−プロパンジオールテレフタレート)は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)として公知であり、以下3GTと略記する。3GTのガラス遷移温度(Tg)は、比較的に低い(約45−50℃)ので、高温で保存される場合、上記ポリマーの粘着性が非常に低くなる原因となりうる。この一例は、暑い熱帯諸国の倉庫に保存されている繊維のスプールで時々立証される。Tgの上昇は、粘着性を弱める。さらに、気温が高い条件下で保存される場合、Tgが低いと、スパン繊維は不安定となる。上記のような条件下で一部延伸された繊維は、結晶化され、目の詰んだ相を形成し、繊維の縮みやデニールの変化を起こす傾向があり、さらに保管中に他の望ましくない物理的特性の変化が生じる傾向がある。しかしながら、イソソルビドとテレフタル酸のエステル化またはエジアルキルテレフタレートとのエステル交換反応は、第二ヒドロキシルの反応を伴い、第一グリコール(例、エチレングリコールまたは1,3−プロピレングリコール等)の反応と比較すると、ゆっくり進む。これは、イソソルビドの非効率な組み込みの原因となる傾向がある。従来型の縮重合を用いると、未反応のイソソルビドが、続いての重合に不利に作用するので、上記の反応性の低さが、低分子量を有する最終ポリエステルを生じる原因となりうる。
【0004】
製品ポリエステルにおける結果としてのいかなる劣化も著しい発色も望ましくないので、イソソルビドとテレフタル酸またはそのエステルとのエステル化もしくはエステル交換反応を、高い反応温度で実行させることが可能な範囲には、限界がある。さらに、1,3−プロパンジオールから合成されるポリエステルは、重合温度が高すぎると、アクロレインを生成しうる。
【0005】
エーデルマン(Adelman)らの米国特許公報(特許文献2)は、ポリ(1,3−プロピレン−コ−イソソルビド)テレフタレート(以下、3GITと略記する)を調製するための方法の改良を記載している。しかしながら、二塩基酸またはそのジアルキルエステルとイソソルビドの第二ヒドロキシル基との反応性は、対応する1,3−プロパンジオールの第一ヒドロキシル基の反応性よりもかなり低い。この反応性における差が、多くの作用をもたらす。そのうちのひとつは、良好な紡糸特性のため、ポリマーの固有粘度が約1.1dl/gまで高くなる、固相重合工程、最終手順のために必要とされる時間が長くなることである。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,063,464号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/172,112号明細書
【特許文献3】米国特許第6,166,170号明細書
【特許文献4】米国特許第6,255,442号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
低明度の着色で、3GTのTg(45〜50℃)よりも高いTgを有する3GITを調製することが望まれている。低明度の着色と高いTgの両方とも最も重要なことである。上記の改良された特性は、飲料用のビン、フィルムまたはシート、繊維、単繊維、および光学製品(例えば、CDまたはDVD)をはじめとする様々な市場での3GITの使用の一助となる。上記の様々な市場において、美観は重要であり、低着色力の樹脂を有することは、かなり望まれている。
【0008】
本発明は、ポリ(アルキレンエステル)ポリマー中に組み込んだ、ジアンヒドロ糖アルコールと酸との容易く調製されるエステルを提供する。上記のエステルオリゴマーは、ポリエステルにアンヒドロ糖アルコールを有効に組み込むための容易な方法を提供し、結果として生成されるポリエステルは、有益な特性を有し、繊維、フィルム、および工業用プラスチックの製造に適切である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートポリマーを含む。
【0010】
本発明は、アルキレンジオール、ジカルボン酸、および下記の式1の部分との反応生成物を含むポリマーであって、
X−I−(A−I)−A−X 式1
Aは、アンヒドロ糖アルコールまたはジアンヒドロ糖アルコールからのエステル残基であり、
Iは、二塩基酸またはそのジアルキルエステルからのエステル残基であり、
Xは、残基Aに結合する場合はH、二塩基酸から誘導される残基Iに結合する場合はOH、二塩基酸のジアルキルエステルから誘導される残基Iに結合する場合はORであり、
Rは、C1〜C4の直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、
aおよびbは、独立して0または1であり、
nは、1〜10であることを特徴とするポリマーをさらに含む。
【0011】
本発明は、さらに下記の式1を含むエステルであって、
X−I−(A−I)−A−X 式1
Aは、アンヒドロ糖アルコールまたはジアンヒドロ糖アルコールからのエステル残基であり、
Iは、二塩基酸またはそのジアルキルエステルからのエステル残基であり、
Xは、残基Aに結合する場合はH、二塩基酸から誘導される残基Iに結合する場合はOH、二塩基酸のジアルキルエステルから誘導される残基Iに結合する場合はORであり、
Rは、C1〜C4の直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、
aおよびbは、独立して0または1であり、
nは、1〜10であることを特徴とするエステルを含む。
【0012】
本発明は、さらに、
A)ジアンヒドロ糖アルコールを酸と接触させてエステルを生成、またはジアルキルエステルをジアンヒドロ糖アルコールと接触させてエステルを生成する工程と、
B)前記エステルをポリアルキレンエステルオリゴマーと重縮合させる工程と
を含むポリエステルにジアンヒドロ糖アルコールを組み込む方法を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、商標を大文字で表す。
【0014】
本発明は、少なくとも約50、好ましくは少なくとも約54のTgを有するポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートポリマーを含む。ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)テレフタレートポリマーが好適である。本発明は、ポリエステルおよびコ−ポリエステルポリマー(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)やポリ(テトラメチレンテレフタレート)、およびポリ(アルキレン1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)を含む)に、ジアンヒドロ糖ジオールを含有する架橋部分を組み込む重合方法も記載する。上記の方法は、テレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルとのイソソルビドの直接エステル化もしくはエステル交換反応の反応速度の遅さにより生じる問題を回避する。本発明の方法は、先行技術と比較すると、下記の式1の予備形成された架橋部分を調製することにより、ポリエステル中へのジアンヒドロ糖アルコールの組み込みをかなり改善し、
X−I−(A−I)−A−X 式1
Aは、アンヒドロ糖アルコールまたはジアンヒドロ糖アルコールからのエステル残基であり、
Iは、二塩基酸またはそのジアルキルエステルからのエステル残基であり、
Xは、残基Aに結合する場合はH、二塩基酸から誘導される残基Iに結合する場合はOH、二塩基酸のジアルキルエステルから誘導される残基Iに結合する場合はORであり、
Rは、C1〜C4の直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、
aおよびbは、独立して0または1であり、
nは、1〜10である。
【0015】
二塩基酸からのエステル残基は、除去されるヒドロキシル基を有する二塩基酸である。アルコールからのエステル残基は、除去されるヒドロキシル基の水素を有するアルコールである。
【0016】
式1は、アンヒドロヘキシトール(例、二無水イソソルビド(1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール)等)と二塩基酸(例、イソフタル酸およびフタル酸等)とのエステルを含み、酸とジオールのエステル化により、或いは二塩基酸とジオールとのジアルキルエステルのエステル交換反応により調製される。以下、上記のエステルを「架橋部分」として示す。本発明は、さらに、ポリエステルポリマーに上記架橋部分を組み込むポリエステルの組成物と、前記ポリエステルポリマーに上記の架橋部分を組み込む方法とを含む。
【0017】
イソソルビドと、イソフタル酸またはジメチルイソスフタル酸とから調製される式1(式中、aは0であり、bは0であり、かつnは1〜10である)の架橋部分の構造の一例は、式IIの構造を有する。
【0018】
【化1】

【0019】
実際の架橋部分は、通常、上記のnが1〜約10の値を有するエステルと、ほとんどがn=1を有するエステルとの混合である。
【0020】
式IIに示される架橋部分は、酸のエステル化、或いはイソフタル酸ジメチルとイソソルビドとのエステル交換反応により調製された後に、ポリエステルオリゴマー(例、3GT等)に上記架橋部分を添加することにより、予備形成されたエステルセグメントを重縮合させる。重縮合に先立って、使用されるポリエステルオリゴマーは、遊離のジオールを本質的に除去するために、真空下(例えば、0.1〜2.0mmHg(13〜267Pa))、200〜260℃で10〜60分間過熱して調製される。得られたポリエステル/イソソルビド/イソフタレートコポリマーは、結果として増量されたイソソルビドの含有量のため、かなり高いTgを有する。
【0021】
架橋部分の二塩基酸基として、これらに限定されないが、ナフタレート、テレフタレート、イソフタレート、およびベンゾアートから誘導された二塩基酸基が挙げられる。二塩基酸基の具体的な例として、イソフタル酸、フタル酸、2,5−フランジカルボン酸、2,5−チオフェンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルスルフィドジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシル)ジカルボン酸、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、4,4'−メチレン−ビス(安息香酸)、トランス−4,4'−スチルベンジカルボン酸、フマル酸、二量体酸、レソルシノール二酢酸、およびスルホイソフタル酸、および4,4'−ビベンゾイック酸が挙げられる。二塩基酸は、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルから誘導される必要はないし、またはテレフタロイル部分を含む他の化合物からも誘導される必要はない。少量の多官能基酸または無水物を用いてもよい(例えば、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、ピロメリト酸およびピロメリト酸二無水物)。さらに、「芳香族」および「脂環式」により、置換芳香族または脂環式化合物(例えば、脂肪族の基で置換された芳香族化合物)を含むことを意味する。好適な二塩基酸部分は、イソフタル酸である。
【0022】
架橋部分におけるアンヒドロまたはジアンヒドロ糖アルコール基として、これに限定されないが、イソソルビド、1,4:3,6−ジアンヒドロマンニトール;1,4:3,6−ジアンヒドロイジトール;および1,4−アンヒドロエリトリトールが挙げられる。好適なジアンヒドロ糖アルコール基は、イソソルビドである。
【0023】
上記の架橋部分は、二塩基酸とジアンヒドロ糖アルコールを触媒の存在下で加熱して調製される。該手順は、本明細書ではイソフタル酸とイソソルビドに関して記載するが、適切な触媒の形態(例、希ガス雰囲気下でのn−ブチルスズ酸等)でのスズ約90〜140マイクログラム/gの存在下で、0〜100モル%過剰のイソソルビド、好ましくは約20〜約40モル%過剰のイソソルビドを、イソフタル酸と共に加熱することを含む。該温度は、約210〜約290℃、好ましくは約240〜約260℃である。水が留出される。約30分後に、透明な溶液が得られる。水の留出がなくなり、エステル化反応の終了を示すまで、通常約1〜2時間、加熱を続ける。
【0024】
使用されうる触媒として、Li、Ca、Mg、Zr、Mn、Zn、Pb、Sb、Sn、およびTiの塩(例、酢酸塩、およびグリコール付加物を含む酸化物等)と、Tiアルコキシドおよびキレートが挙げられる。上記の触媒は、通常、当技術分野では公知であり、当業者は、使用する具体的な触媒または触媒の組み合わせもしくは配列を容易に選択できる。二塩基酸のモノマーが、遊離の二塩基酸として、もしくはアルキルエステルとして、或いは二酸クロリドとして、重合されるか否かを基準として、好適な触媒および好適な条件が、選択される。
【0025】
好適な触媒は、Sb(III)塩、Ti(IV)塩、Co(II)、Zn(II)またはSb(II)の酢酸塩、Co(II)またはSb(III)のアルカン酸塩、Sb(II)、Sb(III)またはGe(IV)の酸化物、Sb(II)、Ge(IV)またはSb(III)のグリコール可溶性酸化物、オルトチタネートエステル(好ましくはTi(OR)(式中、Rは、2〜12個の炭素原子を有するアルキル基(例、テトラブチルチタン酸またはテトライソプロピルチタン酸等)である))、溶剤性のキレート有機チタン酸(例えば、本願特許出願人のタイザー(TYZOR)AAまたはTE触媒)、水溶性のキレート有機チタン酸(例えば、本願特許出願人のタイザーLA触媒)または米国特許公報(特許文献3)にPutzigにより記載された触媒、オルトジルコン酸エステル(好ましくはZr(OR)が2〜12個の炭素原子を有するアルキル基(例、ジルコン酸テトラ−n−プロピルまたはジルコニウム酸テトラ−n−ブチル等)である)(本願特許出願人)、溶剤性のキレート有機ジルコン酸塩、および水溶性のキレート有機ジルコン酸塩、およびそれらの組み合わせである。Tiの酸化物が、好適である。Geの酸化物(例、GeO等)は、結果として、重縮合段階中に固有粘度(IV)がゆっくり増加するので、好ましくない。溶剤性のキレート有機チタン酸および水溶性のキレート有機チタン酸が、最も好適である。
【0026】
重縮合触媒の好適な量は、通常、約10〜300ppmであり、さらに具体的には、テレフタル酸に対する触媒のモル比は、約1:1,000〜約1:7,300、好ましくは少なくとも約1:2,200、好ましくは最大で約1:4,400である。触媒を用いて、エステル化またはエステル交換反応を促進することが可能であり、重縮合触媒は、エステル交換反応において、特に有用である。上記に記載される重縮合触媒を用いて、エステル交換反応に触媒作用を及ぼすことが可能であり、また上記重縮合触媒が、直接エステル化中に存在することも可能である。エステル化反応における触媒作用において当技術分野で有用な公知の触媒(スズおよび亜鉛触媒等)も用いることが可能である。混合物におよび/またはプロセスのすべての適切な段階で、触媒を添加することが可能である。
【0027】
好ましくない手順において、別法として、架橋部分は、二塩基酸のジアルキルエステル(例えば、イソフタル酸ジメチル)をジアンヒドロ糖アルコール(例えば、イソソルビド)と共に、希ガス雰囲気下で、テトライソプロピルチタネートとして、ジアルキルイソフタレートの重量を基準として約50マイクログラム/gのチタン(タイザーTPTとして入手可能、本願特許出願人から入手可能のテトライソプロピルチタネート)の存在下で、過熱することにより、調製される。他のTi触媒は、本明細書に記載する触媒である。
【0028】
ジアンヒドロ糖アルコール:ジアルキルエステルのモル比は、好ましくは約1.4:1である。アルコール(イソフタル酸ジメチルを用いる具体的な場合においてメタノール)が留出し始める際に、攪拌した混合物を窒素パージ下で、約250℃まで過熱する。アルコールの留出がなくなりエステル交換反応の完了を示すまで(通常、約2時間を越える)、約250℃で、加熱と攪拌を続ける。
【0029】
二塩基酸とジアルキルエステルの両方の経路において、所望であるならば、未反応のイソソルビドは、真空下での加熱により、直ちに除去されうる(以下参照)。しかし、通常、次の重縮合中に、除去されるのが好ましい。
【0030】
上記の通り合成された架橋部分は、その後、ポリ(アルキレンエステル)プレポリマーを、ポリ(アルキレンエステル)プレポリマーの重量を基準として約0.5〜約50%、好ましくは約2〜約20%、最も好ましくは約4〜約10%の架橋部分と混合することにより、重縮合される。ポリ(アルキレンエステル)プレポリマーは、ポリ(アルキレンテレフタレート)プレポリマーであるのが好ましい。ポリ(アルキレンテレフタレート)プレポリマーは、約0.02〜約0.6dl/gの範囲で、固有粘度を有する。ポリ(アルキレンテレフタレート)プレポリマーは、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)オリゴマーであるのが好ましい。ポリエステルプレポリマーが、NMRで測定したように、1重量%未満の未反応のジオールを含有することは、重要である。このような未反応のジオールは、重縮合中に起こるエステル交換反応プロセスを干渉するからである。真空除去により、未反応のジオールを除去することが可能である。触媒は、チタン酸アルキルの形態で、プレポリマー/架橋部分の重量を基準として約10〜約200、好ましくは約20〜約100、最も好ましくは約30〜約60マイクログラム/gのチタンの量において、混合する。希ガス雰囲気下、約210〜290℃、好ましくは約240〜260℃、約0.4mmHg(0.05kPa)未満の圧力で、該固有粘度(IV)が少なくとも約0.8dl/gに達するまで、通常1〜2時間、上記混合物を熱溶融する。未反応のイソソルビドを、真空加熱中に除去する。生成ポリマーの組成は、通常、仕込んだ成分の組成と異なる。
【0031】
上記に記載したように、固相重合工程のために、未反応のイソソルビドを最小限に抑える。重縮合工程中に、溶融試料において実施された、固有粘度(および分子量)は、最大平衡水準まで増加する。
【0032】
本発明のポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートは、少なくとも50、好ましくは少なくとも約54、さらに好ましくは少なくとも約60のガラス遷移温度(Tg)を有する。高温で保存される場合に、上記のより高いTgにより、ポリマーの粘着性が低くなる。Tgが高いほど、本発明の方法を用いる高濃度のジアンヒドロ糖アルコールの組み込みと組み合わさって、本発明のポリマーから調製される繊維において、高められた安定性を提供する。
【0033】
本発明の好適なポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートとして、ポリ(エチレン−コ−イソソルビドイソフタレート)テレフタレート、ポリ(トリメチレン−コ−イソソルビドイソフタレート)テレフタレート、およびポリ(テトラメチレン−コ−イソソルビドイソフタレート)テレフタレートが挙げられる。
【0034】
着色剤、好ましくは染料および/または顔料を用いて、本発明のポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート生成物の着色を改良する。着色は、一般的に、試料の明るさ或いは暗さ(「L」)、赤−緑目盛(scale)の明度(「a」)、黄−青目盛の明度(「b」)に対応し、以下に記載の通りに測定されるハンター番号(Hunter numbers)の形で表される。少なくとも70、好ましくは少なくとも約80、最も好ましくは少なくとも約90、最大100の「L」を有するポリマーを合成することが、通常望まれている。同様に、低い明度のポリマーに関して、「a」および「b」は、好ましくは約2.0未満〜約−2.0、さらに好ましくは約1.5未満、さらに好ましくは約−1.5まである。上記の目的が、色修正剤を使用することにより、およびプロセスの各段階での臨界プロセスパラメーター、特に温度および圧力を制御することにより、本発明の重縮合された最終ポリマーで満たされることが、判明している。上記染料および顔料は、青から赤の範囲である。適切ないずれの着色剤を単独または組み合わせて用いることが可能である。染料および顔料は、酢酸コバルト、HS−325 サンドプラスト(SANDOPLAST)赤BB、HS−510 サンドプラスト青2B、ポリシンスレン(POLYSYNTHREN)青R、およびクラリアント(CLARIANT)RSB紫からなる群から選択されるのが好ましい。HS−325 サンドプラスト赤BB、HS−510サンドプラスト青2B、ポリシンスレン青R、およびクラリアントRSB紫は、ロードアイランド州コベントリーのクラリアント社(Clariant Corporation(Coventry,Rhode Island))から入手可能である。
【0035】
低明度の製品、特に3GITに関して、一部の部分出発材料に存在する発色不純物を除去する、もしくは少なくとも最小限に抑えることも重要である。1,3−プロパンジオールおよびイソソルビドのUV吸光度は、220nmで約0.20未満であるのが好ましく、約0.10未満であるのがさらに好ましい。
【0036】
本発明のポリマーは、赤外線吸収剤、着色剤、染料、顔料、艶消し剤、難燃剤、およびUV安定剤からなる群から選択される添加剤をさらに含有する。上記ポリマーが成形された製品もしくは他の製品に製造される場合を含むいかなる場合にも、上記の添加剤を添加することが可能である。好適な一代替方法は、酸とジオールおよびジアンヒドロ糖アルコールとの縮合から出た水を少なくとも80%除去した後、赤外線吸収剤、着色剤、染料、顔料、艶消し剤、難燃剤および/またはUV安定剤をプロセスに加えることである。赤外線吸収剤は、グラファイトまたはカーボンブラックであるのが好ましい。
【0037】
重縮合工程後の、ジアンヒドロ糖アルコール部分を全く含有しない対照試料と比較する生成したポリマーに関する測定は、より高いガラス遷移温度(T)およびより高い冷結晶化温度(Tcc)を提供するジアンヒドロ糖アルコール部分の組み込みを示し、繊維、フィルム、表面、および工学熱可塑性成分におけるいくつかの最終用途に対して、有効な値を提供する。
【0038】
解析測定から、本発明の方法は、高分子量で良好な着色を有する、ジアンヒドロ糖アルコール基を含有するコポリマー(例、イソソルビドおよびイソフタロイル単位)を調製することが、わかる。ガラス遷移温度(T)および冷結晶化温度(Tcc)の両方とも、ポリマー中のイソソルビドおよびイソフタロイル単位の増加と共に、高くなる。
【0039】
重縮合されたポリマー生成物の固有粘度は、約0.5〜約2.5dl/gである。約0.8dl/g未満の固有粘度は、数種の最終製品(例、スパン繊維等)を製作するための至適な特性に対して、低すぎる。従って、上記の製品に関して、低いIVを有する重縮合物は、低速窒素流下で約300mmHg(39kPa)の真空での真空オーブン内における融点(約190℃)より20℃低い温度のオーブン内で、その後に固相重合されるのが好ましい。この固相重合より、固有粘度は、続いての繊維の紡糸に必要とされる固有粘度(0.9〜1.0)まで高くなる。固相重合を完了する時間は、反応器、温度、および圧力によって異なる。具体的な温度は、重縮合された製品の融点を基準とする。約0.85もしくは以下の最終IVおいて、ポリマーは、不良な繊維特性を示す。約1.2もしくはそれ以上の最終IVは、加工および紡糸に問題が生じる。
【0040】
本発明の他の実施形態において、これらに限定されないが、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、ポリ(アルキレン1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)および同種のオリゴマーを含む他のポリエステルオリゴマーと架橋部分を重縮合することが可能である。
【0041】
本発明のポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートポリマーは、場合により、約30重量%までのコポリマーをさらに含有する。従って、上記ポリマーは、少なくとも70モル%のポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートの繰り返し単位と最大30モル%までのホモポリマーまたはコポリエステルの繰り返し単位を含む。本発明のポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート組成物は、3種のモノマー、アルキレンジオール、アンヒドロ糖アルコールエステル、およびジカルボン酸を含有する。別の実施形態において、コポリマーは、各々2つのエステル生成基を有する4種もしくはそれ以上の反応物を用いて合成されたコポリエステルを含有してもよい。例えば、1種のコポリ[(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレート]は、コポリエステルを合成するのに用いるコモノマーが、4〜12個の炭素原子を有する直鎖、環式、および分枝鎖の脂肪族ジカルボン酸(例えば、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸、および1,4−シクロ−ヘキサンジカルボン酸);テレフタル酸以外の8〜12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸);直鎖状、環式、および分枝鎖の2〜8個の炭素原子を有する脂肪族ジオール(1,3−プロパンジオール以外、例えば、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、および1,4−シクロヘキサンジオール);および脂肪族および芳香族の4〜10個の炭素原子を有するエーテルグリコール(例えば、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、またはジエチレンエーテルグリコールをはじめとする1種の約460未満の分子量を有するポリ(エチレンエーテル)グリコール)からなる群から選択される場合に、使用されうる。コモノマーは、通常、約0.5〜約15モル%の濃度範囲でコポリエステル中に存在し、30モル%の量まで存在することが可能である。
【0042】
さらに別の実施形態において、ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートを30モル%までの他のポリマーとブレンドすることが可能である。例として、他のジオール(例、上記に記載したジオール等)から調製されるポリエステルが挙げられる。好適なポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートは、少なくとも85モル%、さらに好ましくは少なくとも90モル%、もっとさらに好ましくは少なくとも95または少なくとも98モル%、最も好ましくは約100モル%の、ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートポリマーを含有する。
【0043】
架橋部分とポリエステルプレポリマーとの重縮合により生成された本発明の最終ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートポリマーは、高められた安定性を有する繊維の製造において、コーティング、積層体、および接着剤の製造における射出成形、吹込成形、押出および圧縮成形、反応押出による熱可塑性の成形された製品の製造において、包装フィルムおよび工業フィルムの製造において、他の溶融加工可能な製品(例、ポリウレタン、ポリエーテルアミド、およびポリウレタン尿素繊維等)の製造において、フォームおよびキャストエラストマーの製造において、出発材料のひとつとして、有用である。
【0044】
(試験方法)
(試験方法1.示差走査型熱量計(DSC)および結晶化測定(Crystallization Measurement))
生産者の取り扱い説明書に従って用いられる本願特許出願人のDuPont DSC Instrument Model 2100を用いる米国材料試験協会の手順ASTM D−3418(1988)を用いて、融点、結晶化温度およびガラス遷移温度を測定した。加熱および冷却速度は、1分当たり10℃であった。
【0045】
各試料を0℃から250℃まで加熱して、該試料を周囲温度まで冷却させて、結晶化温度の範囲を決めた。DSCスキャンから、Tg、結晶化温度Tc、融点Tm、および冷結晶化温度Tccを決定し、表1に示す。
【0046】
(試験方法2.固有粘度)
ASTM D2857.95に示される通り、公知のポリマー濃度の溶液の流動度、および毛細粘度計中のポリマー溶液の流動度を測って、固有粘度を検定した。
【0047】
(試験方法 3.着色および明るさ)
米国材料試験協会(ASTM)の方法D−2244に基づいて、ハンター・カラー・ラボ(Hunter color lab)測定を測った。
【0048】
カルフォニア州パロアルトのバリアン社(Varian(Palo Alto CA))の拡散反射アクセサリを有するキャリー(Cary)5 UV/Vis/NIR分光光度計を用いて、3GIT試料の着色および明るさを検定した。2度の観測者角およびCIE A光源を有するGrams/32ソフトウェア内のカラー分析アプリケーションを用いて、反射率のデータを処理した。ハンターL、aおよびbを計算した。Lの座標は、明るさを示し、0は黒であり、100は白であった。aの値は、正または負になり得、正の値は、赤色の標示であり、負の値は、緑の標示であった。bの値も同様であり、正の値は、黄色の標示であり、負の値は、青の標示であった。
【実施例】
【0049】
以下の実施例は、例証および記載の目的のため、存在する。開示した明確な形態に網羅されるまたは本発明を限定する意図はない。本明細書に記載される実施形態の変形形態および変更形態が、当業者には、上記の開示を考慮して、明らかになるだろう。本発明の範囲は、本明細書に添付の請求項、およびそれらの対応特許によってのみ、限定される。イソフタル酸は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ社(Aldrich,Milwaukee WI)から入手した。イソソルビドは、フランス、レストレムのロケットフェレール(Roquette Freres(Lestrem,France))から入手した。
【0050】
米国特許公報(特許文献4)(クリアン(Kurian)ら)により記載される通り、トリメチレンテレフタレートプレポリマーを調製した。
【0051】
n−ブチルスズ酸は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ社から入手した。
【0052】
タイザー触媒は、本願特許出願人から入手した。
【0053】
(実施例1)
攪拌器、窒素掃引、真空連結、留出液を回収する装置、加熱および攪拌のための手段を備えた250mL丸底フラスコに、66.5gのイソフタル酸(IPA)、80gのイソソルビド、および14mgのn−ブチルスズ酸(最終ポリマーを基準として90マイクログラム/gのスズに相当する)を仕込んだ。イソソルビド:IPAのモル比は、1.4:1であった。上記フラスコを窒素でパージして、フラスコ内の液体を攪拌しながら、過熱した。水が留出し始める際に、温度を250℃まで上昇させ、約20分間放置した。250℃で約30分後に、透明な溶液になった。エステル化反応の終了を示唆する水の留出がなくなるまで、さらに約1.5時間、250℃で攪拌を続けた。
【0054】
上記の通り調製した架橋部分の試料(11g)を以下に記載の比較例Aの場合のように調製した75gのビス(3−ヒドロキシプロピル)テレフタレートおよび15mgのタイザーTPTテトライソプロピルチタネート触媒を、窒素下250mLのフラスコ内で混合して、重縮合させ、250℃の温度、0.3mmHg(40Pa)の圧力で、2時間加熱した。獲得したポリマーは、0.838dl/gの固有粘度を有した。仕込んだ材料を基準として、上記コポリマーの組成は、各々約10モル%のイソソルビドとイソフタロイル部分である。物理的特性を表1に示す。
【0055】
上記の通り調製された重縮合されたポリマーの1種の試料を約300mmHg(39kPa)の圧力下のオーブンに入れ、190℃の温度(その融点より20℃低い)で、一晩中(16時間)ゆっくり進む窒素の放出下で、過熱した。固有粘度は、0.838から1.03dl/gまで高くなった。
【0056】
(実施例2および3)
各々実施例1で調製した5.5g(実施例2)と22g(実施例3)の量の架橋部分を実施例1の通りに重縮合して、約5モル%のイソソルビドと20モル%のイソフタロイル部分を含有するコポリマーが生じた。物理的特性を表1に示す。
【0057】
(実施例4)
実施例1で調製した架橋部分の試料(11g)を、追加の15mgのタイザーTPTテトライソプロピルチタネート触媒と共に30分間、250mLフラスコ内で250℃真空下にした75gのポリ(トリメチレンテレフタレート)に添加して、重縮合した。温度250℃、圧力0.2mmHg(26Pa)で1.5時間、重縮合を行った。獲得したポリマーは、61℃のTg有した。仕込んだ材料を基準として、このコポリマーの組成は、各々約10モル%のイソソルビドとイソフタロイル部分である。物理的特性を表1に示す。
【0058】
(実施例5)
実施例1で調製した5.5gの量の架橋部分を、実施例4の通りに重縮合して、各々約5モル%のイソソルビドとイソフタロイル部分を含有するコポリマーが生じた。物理的特性を表1に示す。
【0059】
(実施例6)
攪拌器、窒素掃引、真空連結、留出液を回収する装置、加熱および攪拌のための手段を備えた250mL丸底フラスコに、58.5gのイソフタル酸ジメチル(DMI)、64gのイソソルビド、および25mgのタイザーTPT(最終ポリマーを基準として50マイクログラム/gのTiに相当する)を仕込んだ。イソソルビド:DMIのモル比は、1.4:1であった。上記フラスコを窒素でパージして、フラスコ内の液体を攪拌しながら過熱した。温度を250℃まで上昇させ、メタノールが留出し始めた。エステル交換反応の終了を示唆するメタノールの留出がなくなるまで、250℃で2時間攪拌を続けた。
【0060】
上記の5.5gの量の架橋部分エステルを、実施例4の通りに重縮合して、各々約5モル%のイソソルビドとイソフタロイル部分を含有するコポリマーが生じた。物理的特性を表1に示す。
【0061】
(比較例A)
本比較例は、テレフタル酸ジメチルからの3GTポリマー(即ち、イソソルビドを含有しない)の調製を示す。
【0062】
1.8:1の1,3−プロパンジオール:DMTのモル比の、58.5gのテレフタル酸ジメチル、40gの1,3−プロパンジオール、および18.5mgのタイザーTPTを、250mlフラスコに仕込んだ。温度を210℃まで上昇させ、1.5時間保った。発生したメタノールを蒸留により、凝縮液として除去した。
【0063】
メタノールの留出が止まった後、生成された部分、ビス(3−ヒドロキシプロピル)テレフタレートを、同一フラスコ内で、温度250℃、0.2mmHg(26Pa)の圧力で、2時間重合した。獲得したポリマーは、47.3℃のTgを有した。物理的特性を表1に示す。
【0064】
上記ポリマーを、実施例1のポリマーのように、固相重合した。
【0065】
(比較例B)
2Lの攪拌ステンレス鋼の槽に、873.90gのテレフタル酸ジメチル、367.08gの1,3−プロパンジオール、149.94gのイソソルビド、0.75mLの触媒A、および1.8mLのテトラメチル水酸化アンモニウム水溶液(25重量%)を加えた。メタノールが、カラムから除去される間に、バッチ温度を最大240℃まで上昇させた。288gの凝縮液を除去した際、反応器内の物質を温度250℃で重縮合するために、2.6mmHg(0.35kPa)まで下げた。そのIVを0.50dl/gと測定し、Tgは、63.5℃であった。ハンター明度は、L=78.5、a=0.02、およびb=7.7であった。イソソルビド含有率は、5.07モル%であり、ポリマーは、0.07モル%のジ−1,3−プロピレングリコールを有した。
【0066】
【表1】

【0067】
表1から、3GTポリマーへのイソソルビドの組み込みは、そのTgを高くすることがわかる。先行技術と比較すると、本発明の実施例4、5および6は、イソソルビドの組み込み量がより多く、またプロセスがより容易である(例、より短い反応時間、および高いIV値)利点を有する。実施例4、5および6において、重縮合に先立って、3GTポリエステルプレポリマーからの遊離のジオールを除去することにより、実施例1および2と比較すると、イソソルビドの組み込みがかなり改善されたこともわかる。本発明の実施例は、イソソルビドを本発明に用いたエステル架橋部分の代わりに二塩基酸と反応させた比較例Bと比較すると、より高いIV値を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)ジカルボキシレートを含むことを特徴とするポリマー。
【請求項2】
ポリ(アルキレン−コ−ジアンヒドロ糖エステル)テレフタレートを含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記ジアンヒドロ糖エステルが、1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール、1,4:3,6−ジアンヒドロマンニトール、1,4:3,6−ジアンヒドロイジトール、および1,4−ジアンヒドロエリトリトールからなる群から選択されるジアンヒドロ糖アルコールのエステルであることを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
前記ジアンヒドロ糖エステルが、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルスルフィドジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシル)ジカルボン酸、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、4,4'−メチレン―ビス(安息香酸)、トランス−4,4'―スチルベンジカルボン酸、フマル酸、二量体酸、レソルシノール二酢酸、スルホイソフタル酸、および4,4'―ビベンゾイック酸からなる群から選択される二塩基酸から調製されることを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記ジアンヒドロ糖エステルが、イソソルビドであることを特徴とする請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
ポリ(トリメチレン−コ−イソソルビドイソフタレート)テレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
ポリ(エチレン−コ−イソソルビドイソフタレート)テレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
ポリ(テトラメチレン−コ−イソソルビドイソフタレート)テレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【請求項9】
着色剤、艶消し剤、染料、顔料、赤外線吸収剤、難燃剤、またはUV安定剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【請求項10】
約0.5〜約2.5のIVを有することを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【請求項11】
約30モル%までのコポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【請求項12】
少なくとも約54のTgを有することを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【請求項13】
少なくとも約60のTgを有することを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【請求項14】
アルキレンジオール、ジカルボン酸、および下記の式1の部分との反応生成物を含むポリマーであって、
X−I−(A−I)−A−X 式1
Aは、アンヒドロ糖アルコールまたはジアンヒドロ糖アルコールからのエステル残基であり、
Iは、二塩基酸またはそのジアルキルエステルからのエステル残基であり、
Xは、残基Aに結合する場合はH、二塩基酸から誘導される残基Iに結合する場合はOH、二塩基酸のジアルキルエステルから誘導される残基Iに結合する場合はORであり、
Rは、C1〜C4の直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、
aおよびbは、独立して0または1であり、
nは、1〜10であることを特徴とするポリマー。
【請求項15】
約30モル%までの他のポリエステルをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載のポリマー。
【請求項16】
C)ジアンヒドロ糖アルコールを酸と接触させてエステルを生成、またはジアルキルエステルをジアンヒドロ糖アルコールと接触させてエステルを生成する工程と、
D)前記エステルをポリアルキレンエステルオリゴマーと重縮合させる工程と
を含むことを特徴とするポリエステルにジアンヒドロ糖アルコールを組み込む方法。
【請求項17】
工程Aの前記エステルが、過剰モルのジアンヒドロ糖アルコールを二塩基酸と共に、触媒の存在下で、加熱することにより調製されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程Aの前記エステルが、ジアルキルエステルとジアンヒドロ糖アルコールとを、触媒の存在下で、加熱することにより調製されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリアルキレンエステルオリゴマーが、約0.5%〜約50%の前記エステルと共に、約210℃〜約290℃の温度で加熱されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリアルキレンエステルオリゴマーが、約1重量%未満のジオールを含有するポリアルキレンテレフタレートオリゴマーであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記触媒が、スズまたはチタネート触媒であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項22】
下記の式1を含むエステルであって、
X−I−(A−I)−A−X 式1
Aは、アンヒドロ糖アルコールまたはジアンヒドロ糖アルコールからのエステル残基であり、
Iは、二塩基酸またはそのジアルキルエステルからのエステル残基であり、
Xは、残基Aに結合する場合はH、二塩基酸から誘導される残基Iに結合する場合はOH、二塩基酸のジアルキルエステルから誘導される残基Iに結合する場合はORであり、
Rは、C1〜C4の直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、
aおよびbは、独立して0または1であり、
nは、1〜10であることを特徴とするエステル。
【請求項23】
Aが、1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール、1,4:3,6−ジアンヒドロマンニトール、1,4:3,6−ジアンヒドロイジトール、または1,4−ジアンヒドロエリトリトールのエステル残基であることを特徴とする請求項22に記載のエステル。
【請求項24】
Aが、アンヒドロヘキシトールまたはジアンヒドロヘキシトールのエステル残基であることを特徴とする請求項22に記載のエステル。
【請求項25】
前記二塩基酸が、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルスルフィドジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、3,4'−および4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシル)ジカルボン酸、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、4,4'−メチレン−ビス(安息香酸)、トランス−4,4'−スチルベンジカルボン酸、フマル酸、二量体酸、レソルシノール二酢酸、スルホイソフタル酸、および4,4'−ビベンゾイック酸からなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載のエステル。
【請求項26】
トリメチレン−コ−イソソルビドイソフタレートであることを特徴とする請求項22に記載のエステル。

【公表番号】特表2006−511688(P2006−511688A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508516(P2005−508516)
【出願日】平成15年6月12日(2003.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/018636
【国際公開番号】WO2004/060939
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】