説明

エチレンの回収および精製

【課題】回収および精製されるべきオレフィン類よりも軽い成分および重い成分の両者を含む多成分ガス混合物からのエチレンおよび場合によってはプロピレンを回収し精製する方法を提供する。
【解決手段】エチレン分配蒸留塔および一部熱結合分配蒸留システムを用いる、重質成分および軽質成分を含む流から、更には特に、エチレン分配塔を用いるプロセスによる水蒸気分解炉の冷却流出物からのエチレンおよび場合によってはプロピレンを回収し精製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収および精製されるべきオレフィン類よりも軽い成分および重い成分の両者を含む多成分ガス混合物からのエチレンおよび場合によってはプロピレンの回収および精製に関し、特に、エチレン分配塔を用いるプロセスによる水蒸気分解炉の冷却流出物からのエチレンおよび場合によってはプロピレンの回収に関する。
政府援助研究または開発に関する陳述
本発明は、アメリカ合衆国Department of Energy Cooperative Agreement No. DE-FC07-01ID 14090による政府援助でなされたものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の方法は、一般にエチレンおよび場合によってはプロピレを回収し精製するために用いることができるが、本明細書においては水蒸気分解炉の流出物からエチレンおよび場合によってはプロピレンを回収し精製する文脈で記載する。典型的なエチレン製造プラントにおいて、炭化水素供給物は、必要に応じて気化され、予熱され、水蒸気と混合され、水蒸気分解炉に送られる。エタン、プロパン、ブタン、ナフサ、石油製品およびガス油を含む多くの異なる種類の炭化水素供給物を用いることができる。炭化水素類の混合物もまた用いることができるが、各供給物タイプ用の最適な炉条件が変動するので、異なる炭化水素類を隔離して、異なる炉内で分解することが好ましい。
【0003】
水蒸気分解炉において、比較的低圧の炭化水素および水蒸気混合物、典型的にはエチレン、メタン、水素および未転化供給物並びに供給物よりも重い数種の炭化水素類を含む炉流出ガス混合物に炭化水素を転化する高温にさらす。熱い炉流出ガスは、高圧水蒸気を上昇させることにより、さらに典型的には循環冷却クエンチオイルおよび/または循環冷却水と直接接触させることにより、冷却される。これらの冷却工程は、典型的には、比較的重い炭化水素類、典型的にはナフサ範囲およびこれより重いものを凝縮し少なくとも部分的に取り除く。
【0004】
未凝縮冷却流出ガスは、次いで、圧縮機区域に送られ、ガスは1以上のステージ(典型的には3〜5ステージ)内で高められた圧力まで圧縮される。各ステージからの流出物は、典型的には周囲温度媒体に対して冷却され、凝縮された液体は後続の圧縮ステージに入る前に取り除かれる。H2SおよびCO2などの酸性ガスは、一般に、これらの圧縮ステージの一つの後で、例えばアルカリ接触塔またはアミン浄化システムを用いて取り除かれる。圧縮され、浄化され、乾燥されたならば、炉流出ガスは分離区域に入る。
【0005】
典型的なエチレンプラント分離区域は、炉流出ガスからエチレンを回収し、ポリエチレンの製造など下流プロセスで用いるために充分なほどエチレンを精製するために、多数の蒸留塔を用いる。エチレン分離区域の設計に対しては多数の代替例が存在する。典型的には、エチレン分離設計は、C2およびC3成分を分離する目的(すなわち、プロピレンおよびプロパンからそれぞれエチレンおよびエタン)を有する少なくとも1の脱エタン塔、C2類よりも軽い任意の成分からC2成分を分離するための脱メタン塔およびエタンからエチレンを最終的に分離ためのC2スプリッターを用いるであろう。
【0006】
オレフィン類プラントからの生成物を精製するために蒸留を使用することは当該分野で周知である。慣用の蒸留スキームは、典型的には「シャープスプリット」蒸留を利用しており、各蒸留塔は同族系の隣接する成分間のシャープ分離をなすために用いられる。シャープスプリット蒸留シーケンスにおいて、各成分は単一の生成物流の形態で、塔頂または塔底のいずれかから蒸留塔を出る。回収可能な炭化水素成分を発生させるために必要な多数の相変化を考慮することによりシャープスプリット蒸留における固有の非効率性が観察される。例えば、典型的にはエチレンなどのC1+炭化水素類を含む炭化水素ガス供給物は、最初に脱メタン装置内で凝縮され、次いで脱エタン装置内で再度気化され、最終的にC2スプリッターからの液体生成物として再び凝縮される。全エチレンのために全3種の完全な相変化が達成されなければならない。同数の相変化がエタンおよびプロピレンに与えられる。
【0007】
エチレンなどの炭化水素成分を回収し精製するために必要なエネルギーは、慣用のシャープスプリット蒸留における改良を利用することにより削減することができる。このような改良は分配蒸留として知られている。このようなスキームは、慣用のシャープスプリットスキームよりも少ないエネルギーを要するにすぎない。分配蒸留スキームにおいて、成分間でシャープカットがなされる必要はない。代わりに、成分の1以上を1以上の蒸留塔の頂部と底部との間に「分配」する。この結果、シャープスプリットフローチャートと比較してエチレン生成物を製造するために必要な相変化の総数を減少させ、したがってプロセスの熱力学効率が改良されるので、部分的にエネルギー節約となる。さらに、分配蒸留はエネルギー最適化に対する自由度、すなわち各塔での分配成分の分配比を追加する。
【0008】
本発明は、さらに、エチレンの回収および精製用のエチレン分配塔の使用に関する。本発明のために、エチレン分配塔は、シャープスプリットがエチレンよりも軽い成分とエチレンよりも重い成分との間でなされるものである。したがって、エチレン分配塔頂流は、エチレン分配塔に入るエチレンおよびエチレンよりも軽い任意の成分を含む。特に、エチレン分配塔頂流は、この流から精製エチレン生成物を製造するためにさらなるエタン/エチレン分離を必要としない充分に低濃度のエタンを含む。エチレン分配塔底流はエチレン分配塔に入るエチレンおよびエチレンよりも重い任意の成分を含む。
【0009】
さらなるエネルギー節約は、ストリッピング蒸気すなわち塔の還流液体の全部もしくは少なくとも部分を下流塔からの蒸気もしくは側部抜き出し液体流により与えるように、熱結合(再循環結合とも呼ばれる)塔により与えることができる。さらに、所要の最も冷たいレベルの冷凍要求を与えるための混合冷凍システムの使用は、このような分離システムのエネルギー要求をさらに削減するであろう。完全に熱結合した分配蒸留システムの例は、Manleyらの米国特許5,675,054号明細書および5,746,066号明細書に開示されており、これらはエチレン分配塔および混合冷凍システムを完全に熱結合された分配蒸留システム内で用いることを開示する。いずれの特許もエチレン分離用の熱的に結合された実施形態を開示し、C2類分配塔、脱エタン塔、脱メタン塔、エチレン分配塔およびC2スプリッター塔の完全熱結合を利用するフロントエンド脱プロパン装置エチレン回収および精製プロセスを引用する実施形態を含む。塔の熱結合は、この従来技術のプロセスの請求されたエネルギー効率に積算される。
【0010】
Manleyの実施形態に引用されている塔のすべては、塔、交換器および配管を通しての典型的な流体圧力降下ゆえに圧力の違いを有するが略同じ圧力で運転する。塔間での実質的な圧力差は、塔間での蒸気圧縮または揚液を必要とするであろう。Manleyは、このような完全結合分配蒸留システムが熱結合していないシステムよりも低いエネルギー要求を有すると説明する。慣用の知識もまた、完全に熱結合されているそのような配置が、全く結合されていないかもしくは部分的にのみ熱結合されているスキームよりエネルギー効率的であると示唆する。
【0011】
さらに、これらの特許のいずれも、商品性のある生成物まで水素の回収を増加させるために有利となるであろうエチレン分配塔と脱メタン塔との中間での水素およびメタンの分離を開示していない。さらに、エネルギーの観点および運転性の観点の両者から、熱結合のいくつかを例えば標準リボイラーで置換して、ストリッピング蒸気をエチレン分配塔に与えることも有利であり得る。
【0012】
しかし、完全に熱結合された配置が最低の全体の加熱および冷却デューティを必要とする一方で、周囲デューティ以下(sub-ambient duties)を奏するために必要な冷凍圧縮エネルギーを考慮する場合に、必ずしも最も低いエネルギー解決を表すわけではない。これらの追加の設計特徴を考慮することにより、我々は驚くべきことに、Manleyにより記載された完全に結合されたスキームよりも実際によりエネルギー効率的な部分的に結合されたスキームを発見した。特に、Manleyらにより教示される熱結合の2つ、特にC2分配塔と脱エタン塔の間の熱結合およびエチレン分配塔と脱エタン塔もしくはC2スプリッターとの間の熱結合は、実際、慣用の分解装置に慣用の蒸気再圧縮冷凍システムを実装する場合にはプロセスに対するエネルギー要求を増加させる。したがって、本発明の蒸留システムは、これらの結合を含まず、Manleyらの発明と比較してエネルギー節約の点で予測できなかった改良を示す。さらに、これら2つの熱結合を除くことで、残りの蒸留シーケンスよりも低くより最適な圧力で脱エタン塔および/またはC2スプリッターを運転させることができることを知見した。一方、Manleyらにより示される完全な熱結合は、すべての塔をほぼ同じ圧力で運転することを要求するか、または塔間のエネルギー集約的蒸気圧縮を利用する。部分的に結合したスキームはさらに、完全に熱結合したスキームよりも操作性の観点から改良といえる。
【0013】
エチレン分配塔を使用する別の開示は、Kuechlerらの米国特許6,212,905号明細書であり、第2のエチレン生成物流を-55°Fよりも高い温度で混合ガス流から回収する。この特許は、エチレンよりも軽い成分からのエチレンの分離を開示せず、よってエチレン生成物流は多量のエチレンよりも軽い成分を有し得る。したがって、水蒸気分解の場合、この第2のエチレン生成物はメタンおよび水素の両者を望ましくない高レベルで含むことになり、ポリエチレンの製造などのほとんどのエチレン転化プロセスでの使用には適さないものにしてしまう。
【0014】
驚くべきことに、我々は、エチレン分配塔の下流とプラントの水素回収および精製区域の上流とでメタンおよび水素の大まかな分離を行うことが、エネルギーレベルをわずかに上昇させるだけでプロセスの水素回収を顕著に増加させることを知見した。標準の分配蒸留システムとは対照的に、水素枯渇ガスが膨張し、冷凍用に用いられ、非常に少量の水素が化学物質から燃料価まで分解する。これは、エチレン分配塔に基づく従来のエチレン回収システムの欠点の一つ、すなわち低水素回収を解消する。我々は、さらに、上述の大まかな分離からのメタンが豊富なガスが膨張し、冷凍されてプロセス全体に対する冷却デューティを提供し得ることを知見した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
本発明は、エチレン、エタン、アセチレン、メタン、水素およびエタンよりも重い成分を含むガス混合物からのエチレン回収方法であって、a)ガス混合物を第1蒸留塔に送り、第1蒸留塔から、エタン、エチレン、アセチレン、水素およびメタンを含む第1塔頂蒸気流と、エタンよりも重い成分を含む第1塔底流とを回収する工程;b)第1塔頂蒸気流からアセチレンを取り除いて、第1塔頂低アセチレン流を発生させる工程;c)第1塔頂低アセチレン流の少なくとも一部をエチレン分配蒸留塔に送り、エチレン分配蒸留塔から、エチレン、メタンおよび水素を含みエタンを実質的に含まないエチレン分配塔頂蒸気流と、エチレンおよびエタンを含むエチレン分配塔底流と、を回収する工程;d)エチレン分配塔頂蒸気流の少なくとも一部を冷凍する少なくとも1の工程を含み、エチレン分配塔頂蒸気流を水素が豊富な軽質流と、1以上の水素が枯渇していてエチレンを含む水素枯渇流とに分離する工程;e)1以上の水素枯渇流のうちの少なくとも1の少なくとも一部を脱メタン蒸留塔に送り、脱メタン蒸留塔から、メタンおよび水素を含みエチレンを実質的に含まない(例えば、約1mol%未満のエチレンを含む)脱メタン塔頂流と、精製エチレンを含む脱メタン塔底流とを抜き出す工程;およびf)エチレン分配塔底流から精製エチレン生成物を回収する工程を含む方法である。
【0016】
本発明は、さらに、エチレン、エタン、アセチレン、メタン、水素、C3成分およびプロパンよりも重い成分を含むガス混合物からエチレンを回収する方法であって、a)ガス混合物を第1蒸留塔に送り、第1蒸留塔から、エタン、エチレン、アセチレン、水素、メタンおよびC3成分を含む第1塔頂蒸気流と、プロパンよりも重い成分および場合によってはC3成分を含む第1塔底流とを回収する工程;b)第1塔頂蒸気流からアセチレンを取り除いて第1塔頂低アセチレン流を発生させる工程;c)第1塔頂低アセチレン流の少なくとも一部を、エチレン分配塔として作用する蒸留塔を含む1以上の蒸留塔を用いて分離して、エチレン、メタンおよび水素を含みエタンを実質的に含まないエタンフリー蒸気流と、エチレン、エタンおよびエタンよりも重い成分を含む第1液体流と、エチレンおよびエタンを含みエタンよりも重い成分を実質的に含まない第2液体流と、を回収する工程;d)エタンフリー蒸気流の少なくとも一部を冷凍する少なくとも1の工程を含み、工程(c)のエタンフリー蒸気流を水素が豊富な軽質流と、水素が枯渇していてエチレンを含む1以上の水素枯渇流とに分離する工程;e)1以上の水素枯渇流のうち少なくとも1の少なくとも一部を脱メタン蒸留塔に送り、脱メタン蒸留塔から、メタンおよび水素を含みエチレンを実質的に含まない脱メタン塔頂流と、精製エチレンを含む脱メタン塔底流とを抜き出す工程;およびf)C2類分配塔底流およびエチレン分配塔底流から第2精製エチレン生成物を回収する工程を含む方法である。
【実施形態の記載】
【0017】
本発明をより完全に理解するために、本発明の例示である添付図面および以下の記載により詳細に示される実施形態を参照されたい。
図1は、本発明の方法の好ましい実施形態の概略説明図である。
【0018】
図2は、本発明の別の好ましい実施形態の概略説明図である。
図面は縮尺図ではなく、本質の概略図である。いくつかの例において、本発明の理解に必要ではない詳細または視覚で関知するのが難しい他の詳細については省略していることもある。もちろん、本発明はここに示された特定の実施形態に限定される必要がないことは理解されるべきである。
発明の詳細な記載
本明細書では蒸気分解炉からの流出物を処理する文脈で記載されているけれども、本発明はエチレンおよび場合によってはプロピレンを回収し精製するために広範囲のプロセスにおいて用いることができることは認識されるべきである。本発明は、広範囲の供給物および供給物の混合物に対して用いることもできる。
【0019】
本発明は、工程(a)〜(f)を含み、エチレン、エタン、アセチレン、メタン、水素およびエタンよりも重い成分を含むガス混合物からエチレンを回収するためのプロセスである。本発明の方法の工程(a)は、ガス混合物を第1蒸留塔に送り、第1蒸留塔から、エタン、エチレン、アセチレン、水素およびメタンを含む第1塔頂蒸気流と、エタンよりも重い成分を含む第1塔底液体流とを回収することを含む。工程(a)の一実施形態において、第1蒸留塔は脱エタン塔であり、第1塔頂蒸気流はエタンよりも重い成分を実質的に含まない。工程(a)の別の実施形態において、第1蒸留塔は脱プロパン塔であり、第1塔頂蒸気流はプロパンよりも重い成分を実質的に含まない。工程(a)の好ましい実施形態において、ガス混合物は少なくとも2つのフラクションに分割され、第1のフラクションは第1塔頂蒸気流と間接熱交換接触させられて、このような第1フラクションを冷却し第1塔頂蒸気流を暖め、第2またはそれ以上のフラクションは異なる位置で第1蒸留塔に導入される。
【0020】
本発明の方法の工程(b)は、第1塔頂蒸気流からアセチレンを取り除いて第1塔頂低アセチレン流を発生させることを含む。工程(b)の一実施形態において、アセチレンを除く工程は、エチレンもしくはエタンまたは両者へのアセチレンの水添を含む。好ましくは、工程(b)は、適切な触媒の存在下で第1塔頂流に含まれるアセチレンと水素とを反応させて、アセチレン水添生成物を形成することを含む。第1塔頂蒸気流は、アセチレンが取り除かれる前に圧縮されてもよい。
【0021】
本発明の方法の工程(c)は、第1塔頂低アセチレン流の少なくとも一部をエチレン分配蒸留塔に送り、エチレン分配蒸留塔から、エチレン、メタンおよび水素を含みエタンを実質的に含まないエチレン分配塔頂流と、エチレンおよびエタンを含むエチレン分配塔底流とを回収することを含む。本発明の文脈において、エチレン含有流は、製品品質エチレン流を製造するためにエタンおよびエチレンのさらなる分離が必要ではない場合に、「エタンフリー」もしくは「エタンを実質的に含まない」という。このような流において、エチレンに対するエタンのモル比は、典型的には約0.005以下であろうが、いくつかの場合においてはより高い比率も許容される。一実施形態において、第1蒸留塔への還流液体の少なくとも一部は、エチレン分配蒸留塔からの側部抜き出し液体流により与えられる。別の実施形態において、エチレン分配蒸留塔への少なくとも1の供給物は上流蒸留塔の塔頂蒸気流を含み、側部抜き出し液体流はエチレン分配蒸留塔から取り出され、C2類分配塔または第1蒸留塔として作用するこのような上流塔への還流液体として送られる。エチレン分配塔は、第1蒸留塔の下流にある。エチレン分配蒸留塔は、好ましくは150psig〜550psigの間、より好ましくは150psig〜450psigの間の頂部圧力で運転する。
【0022】
別の好ましい実施形態において、工程(c)は工程(g)〜(m)を含み、このうち工程(g)はエチレン分配蒸留塔からのエチレン、メタンおよび水素を含む蒸気流を抜き出すことを含み;工程(h)は、工程(g)の蒸気流を-50°F以上の温度まで冷凍して一部凝縮蒸気流を発生させることを含み;工程(i)は、工程(h)の一部凝縮蒸気流を精留手段の底部まで送ることを含み;工程(j)は、精留手段からの塔頂蒸気流を抜き出すことを含み;工程(k)は、精留手段からの塔頂蒸気流をさらに冷凍して一部凝縮精留手段塔頂流を発生させることを含み;工程(l)は、一部凝縮精留手段塔頂流の液体フラクションの少なくとも一部を精留手段の頂部に還流液体として送ることを含み;および工程(m)は、一部凝縮精留手段塔頂流の蒸気部分をエチレン分配塔頂蒸気流として抜き出すことを含む。精留手段は、エチレン分配塔の上部区域またはエチレン分配塔下流の分離塔もしくは圧力シェルであってもよい。
【0023】
本発明の方法の工程(d)は、エチレン分配塔頂蒸気流を水素が豊富な軽質流と水素が枯渇していてエチレンを含む1以上の水素枯渇流とに分離することを含み、このような分離はエチレン分配塔頂蒸気流の少なくとも一部を冷凍する少なくとも1の工程を含む。好ましい実施形態において、工程(d)は、工程(g)、(h)および(i)を含み、工程(g)は、エチレン分配塔頂流の少なくとも一部を冷凍して一部凝縮することを含み;工程(h)は、エチレン分配塔頂蒸気流の一部凝縮部分に含まれる蒸気と液体とを分離することを含み、このような分離された液体は水素が枯渇していてエチレンを含む1以上の液体流のうちの1を含み;および工程(i)は、工程(h)の分離された蒸気からの水素が豊富な蒸気流を回収することを含む。より好ましくは、工程(h)の分離された蒸気の少なくとも一部はメタン精留塔内で精留され、水素が豊富な蒸気流を含む塔頂蒸気流はメタン精留塔から抜き出される。別の実施形態において、工程(d)は精留塔内でのエチレン分配塔頂流の少なくとも一部の精留と、精留塔から水素が豊富な蒸気流を含む塔頂蒸気流を抜き出すことを含む。
【0024】
本発明の方法の工程(e)は、1以上の水素枯渇流の少なくとも1の少なくとも一部を脱メタン蒸留塔に送り、脱メタン蒸留塔からメタンおよび水素を含みエチレンを実質的に含まない脱メタン塔頂流と、精製エチレンを含む脱メタン塔底流とを抜き出すことを含む。好ましくは、脱メタン蒸留塔は、エチレン分配蒸留塔が運転される圧力よりも少なくとも25psi低い圧力で運転される。
【0025】
本発明の方法の工程(f)は、エチレン分配塔底流から精製エチレン生成物を回収することを含む。好ましくは、工程(f)は、エチレン分配塔底流をC2スプリッター蒸留塔に送り、C2スプリッター蒸留塔の上部区域から第2精製エチレン生成物を抜き出すことを含む。より好ましくは、第2精製エチレン生成物は、C2スプリッター蒸留塔の頂部よりも下方の少なくとも1のトレイであるトレイから抜き出された液体であり、C2スプリッター蒸留塔の頂部からの塔頂蒸気流の一部は脱メタン蒸留塔の底部よりも上方の少なくとも1のトレイである位置に送られる。
【0026】
本発明の方法において、第1蒸留塔、エチレン分配蒸留塔および脱メタン蒸留塔のストリッピング蒸気の少なくとも一部は、リボイラー交換器内でのそれぞれの塔底液体流の少なくとも一部の気化により与えられる。好ましくは、作動流体内の1種以上の成分を含む冷凍システムが用いられて、エチレン分配蒸留塔および脱メタン蒸留塔の各々に対する塔頂凝縮デューティの少なくとも一部と、工程(d)における分離に必要な冷凍デューティの少なくとも一部とを与える。
【0027】
上述の工程(a)〜(f)、上述の工程(g)〜(i)および上述の工程(g)〜(m)の本発明のプロセスの別の実施形態において、初期ガス混合物はさらにC3成分およびプロパンよりも重い成分を含み、第1塔頂蒸気流はエタンよりも重い成分を実質的に含まず、第1塔底流はC3成分およびプロパンよりも重い成分を含む。
【0028】
また別の実施形態において、本発明はエチレン、エタン、アセチレン、メタン、水素、C3成分およびプロパンよりも重い成分を含むガス混合物からエチレンを回収するプロセスであり、工程(a)〜(f)を含む。この実施形態の工程(a)は、ガス混合物を第1蒸留塔に送り、第1蒸留塔から、エタン、エチレン、アセチレン、水素、メタンおよびC3成分を含む第1塔頂蒸気流と、プロパンよりも重い成分および場合によってはC3成分を含みC2成分を実質的に含まない第1塔底液体流とを回収することを含む。工程(a)の好ましい実施形態において、第1蒸留塔は脱プロパン塔であり、第1塔頂蒸気流はプロパンよりも重い成分を実質的に含まない。工程(a)の好ましい実施形態において、ガス混合物は少なくとも2つのフラクションに分割され、そのうちの一つは 第1塔頂蒸気流と間接熱交換接触して、このような第1フラクションを冷却し第1塔頂蒸気流を暖め、そのうちの第2またはそれ以上は異なる位置で第1蒸留塔に導入される。
【0029】
本発明の方法の工程(b)は、第1塔頂蒸気流からアセチレンを取り除いて第1塔頂低アセチレン流を発生させることを含む。工程(b)の一実施形態において、アセチレンを取り除く工程は、エチレンもしくはエタンまたは両者へのアセチレンの水添を含む。好ましくは、工程(b)は、適切な触媒の存在下で第1塔頂流内に含まれているアセチレンと水素を反応させてアセチレン水添生成物を形成させることを含む。第1塔頂蒸気流は、アセチレンを第1塔頂蒸気流から取り除く前に圧縮してもよい。
【0030】
本発明の方法の工程(c)は、エチレン分配塔として作用する塔を含む1以上の蒸留塔を用いて第1塔頂低アセチレン流の少なくとも一部を分離し、エチレン、メタンおよび水素を含みエタンを実質的に含まないエタンフリー蒸気流と、エチレン、エタンおよびエタンよりも重い成分を含む第1液体流と、エチレンおよびエタンを含みエタンよりも重い成分を実質的に含まない第2液体流とを回収することを含む。
【0031】
工程(c)の好ましい実施形態は、工程(g)〜(k)を取り入れる。工程(g)において、第1塔頂低アセチレン流の少なくとも一部はC2類分配蒸留塔に送られ、C2類分配蒸留塔から、エチレン、エタン、メタンおよび水素を含みエタンよりも重い成分を実質的に含まないC2類分配塔頂流と、エチレン、エタンおよびエタンよりも重い成分を含むC2類分配塔底流とを回収する。工程(h)において、C2類分配塔底流は、工程(c)の第1液体流として抜き出される。工程(i)において、C2類分配塔頂流の少なくとも一部はエチレン分配塔に送られ、エチレン分配塔から、エチレン、メタンおよび水素を含みエタンを実質的に含まないエチレン分配塔頂流と、エチレンおよびエタンを含むエチレン分配塔底流とを回収する。工程(j)において、エチレン分配塔頂流は工程(c)のエタンフリー蒸気流として抜き出される。工程(k)において、エチレン分配塔底流は工程(c)の第2液体流として抜き出される。より好ましい実施形態において、C2類分配塔への還流液体の少なくとも一部は、エチレン分配塔から取り出された側部抜き出し液体流により供給されてもよい。
【0032】
図1および2には示されていない工程(c)の別の好ましい実施形態は、工程(g)〜(m)を含む。工程(g)において、第1塔頂低アセチレン流の少なくとも一部はエチレン分配蒸留塔に送られて、エチレン分配蒸留塔から、エチレン、メタンおよび水素を含みエタンを実質的に含まないエチレン分配塔頂流と、エチレン、エタンおよびエタンよりも重い成分を含むエチレン分配塔底流とを回収する。工程(h)において、エチレン分配塔頂流は工程(c)のエタンフリー蒸気流として抜き出される。工程(i)において、エチレン分配塔底流は工程(c)の第1液体流として抜き出される。工程(j)において、側部抜き出し液体流は、エチレン分配塔の頂部と第1塔頂低アセチレン流がエチレン分配塔に入るポイントとの中間ポイントにてエチレン分配塔から抜き出される。側部抜き出し液体流は、メタン、エチレンおよびエタンを含み、エタンよりも重い成分を実質的に含まない。工程(k)において、側部抜き出し液体流はサイドストリッパー塔の頂部に送られ、サイドストリッパー塔から、エチレンおよびエタンを含みメタンを実質的に含まないサイドストリッパー塔底流と、メタンを含むサイドストリッパー塔頂流とを回収する。工程(l)において、サイドストリッパー塔底流は工程(c)の第2液体流として抜き出される。工程(m)において、サイドストリッパー塔頂流はエチレン分配塔に送られる。
【0033】
図1および2に示されていない工程(c)の第3の好ましい実施形態において、上述のエチレン分配塔およびサイドストリッパー塔の分離機能は単独の分割壁塔にまとめられる。分割壁塔は、工程(c)のエタンフリー蒸気流として抜き出される塔頂生成物と、工程(c)の第1および第2液体流として抜き出される2種の塔底液体生成物を発生させる。工程(c)のこの実施形態は、米国特許公開公報2004182751(全体を参照により特別に本願明細書に組み込む)に開示されている。
【0034】
本発明の方法の工程(d)は、工程(c)のエタンフリー蒸気流を水素が豊富な軽質流と、水素が枯渇していてエチレンを含む1以上の水素枯渇流に分離することを含み、このような分離はエタンフリー蒸気流の少なくとも一部を冷凍する少なくとも1の工程を含む。好ましい実施形態において、工程(d)は工程(g)、(h)および(i)を含み、工程(g)はエタンフリー蒸気流の少なくとも一部を冷凍し一部凝縮することを含み、工程(h)はエタンフリー蒸気流の一部凝縮部分内に含まれる蒸気と液体とを分離することを含み、このような分離された液体は水素が枯渇していてエチレンを含む1以上の液体流の1を含み、工程(i)は工程(h)の分離された蒸気から水素が豊富な蒸気流を回収することを含む。より好ましくは、工程(h)の分離された蒸気の少なくとも一部は精留塔内での精留に供され、水素が豊富な蒸気流を含む塔頂蒸気流は精留塔から抜き出される。別の実施形態において、工程(d)は、精留塔内での工程(c)からのエタンフリー蒸気流の少なくとも一部の精留と、水素が豊富な蒸気流を含む塔頂蒸気流の精留塔からの抜き出しを含む。
【0035】
本発明の方法の工程(e)は、1以上の水素枯渇流の少なくとも1の少なくとも一部を脱メタン蒸留塔に送り、脱メタン蒸留塔から、メタンおよび水素を含みエチレンを実質的に含まない脱メタン塔頂流と、精製エチレンを含む脱メタン塔底流とを抜き出すことを含む。好ましくは、脱メタン蒸留塔は、工程(c)のエチレン分配塔での圧力よりも少なくとも25psi低い圧力で運転される。
【0036】
本発明の方法の工程(f)は、工程(c)の第1および第2液体流からの精製エチレン生成物を回収することを含む。好ましくは、工程(f)は、第2液体流をC2スプリッター蒸留塔へ送り、C2スプリッター蒸留塔の上部区域から第2精製エチレン生成物を抜き出すことを含む。より好ましくは、第2精製エチレン生成物は、C2スプリッター蒸留塔の頂部よりも下方の少なくとも1のトレイであるトレイから抜き出された液体であり、C2スプリッター蒸留塔の頂部からの塔頂蒸気流の一部は、脱メタン蒸留塔の底部よりも上方の少なくとも1のトレイである位置に送られる。好ましくは、C2スプリッター蒸留塔は、工程(c)内で用いられる任意の蒸留塔内での任意の位置で存在する圧力よりも少なくとも25psi低い圧力で運転される。
【0037】
別の好ましい実施形態において、工程(c)の第2液体流はC2スプリッター蒸留塔に送られて主としてエタンを含むC2スプリッター塔底流を発生させ、C2スプリッター蒸留塔の上部区域から第2精製エチレン生成物を抜き出す。別の好ましい実施形態において、工程(f)は、工程(c)の第1液体流を脱エタン蒸留塔に送り、主としてエタンおよびエチレンを含む脱エタン塔頂流と、C3成分およびプロパンよりも重い成分を含む脱エタン塔底流とを発生させ、脱エタン塔頂流をC2スプリッター蒸留塔に送ることを含む。この場合において、精製プロピレン生成物を第1塔底流および脱エタン塔底流から回収してもよい。好ましくは、脱エタン蒸留塔への還流液体の少なくとも一部は、C2スプリッター蒸留塔からの側部抜き出し液体流により与えられる。
【0038】
本発明の方法において、第1蒸留塔、工程(c)内で用いられる1以上の蒸留塔の各々、および脱メタン蒸留塔へのストリッピング蒸気の少なくとも一部は、リボイラー交換器内の各塔底液体流の少なくとも一部の気化により与えられる。
【0039】
好ましくは、作動流体内の1以上の成分を含む冷凍システムが用いられて、工程(c)において用いられる蒸留塔および脱メタン蒸留塔の少なくとも1に対する塔頂凝縮デューティの少なくとも一部および工程(d)における分離に要する冷凍デューティの少なくとも一部を与える。
【0040】
図1は、比較的重い炭化水素類が供給される炉の流出物から軽質オレフィン類を回収し精製するために特に有利である本発明の第1の好ましい実施形態を示す。この実施形態において、炉供給物は純粋ナフサと仮定する。より詳細は上述したように、炉区域1は、加熱された炉流出ガス流2を発生させ、炉流出ガス流2はプラントのクエンチ区域3に入り、ここで典型的には水で熱い炉流出物がおよそ周囲温度まで冷却され、こうして高圧水蒸気を発生させ、高圧水蒸気はライン4で取り除かれ、さらにプロセスの他の部分へ熱を与える。冷却された炉流出ガス流5は、圧縮区域6に送られ、圧縮区域6で、この実施形態においては約130psigまで圧力が増加され、再びほぼ周囲温度まで冷却される。クエンチ区域3および圧縮区域6内で凝縮された任意の重質液体はそれぞれ流7および8として抜き出され、流9にまとめられ、所望に応じてさらに処理されてもよい。
【0041】
より高圧の流出ガス流10は、交換器11内で比較的暖かい冷媒に対して冷却され、流12を発生させる。流12は2つの流13と14に分割され、流13は交換器15内でさらに冷却されて流16を与え、流16は部分脱プロパン塔17の下部に送られる。流12の他の部分14は塔17からの塔頂流19に対する熱交換により交換器18内で冷却されて流20を与え、流20は塔17の上部に供給される。
【0042】
塔17は、3個の炭素原子を含む炭化水素類を塔頂流と塔底流との両者に分配する部分脱プロパン塔として作用する。このような塔は、C3類分配塔として当該分野で知られている。流19内の塔17からの塔頂蒸気流は、プロパン、プロピレン、メチルアセチレン、プロパジエンおよびプロパンよりも軽い成分を含む。流19は、プロパンよりも重い成分を実質的に含まず、例えば、約0.1mol%未満のプロパンよりも重い成分を含む。流21内の塔17の塔底生成物は、C3成分およびプロパンよりも重い成分を含み、プロピレンよりも軽い成分を実質的に含まず、例えば、約0.1mol%未満のプロピレンよりも軽い成分を含む。よって、C3類分配塔17は、C2成分とC4成分との間のシャープスプリットを行い、C3成分を塔頂流と塔底流との間で「分配」する。場合によっては、塔17は、全脱プロパン塔として運転することもあり、塔底流21はC3成分を実質的に含まず、例えば、約0.1mol%未満のC3成分を含む。本発明の範囲は、部分脱プロパン塔および全脱プロパン塔の両者としての塔17の運転を含む。流21は、流22と23との間で分割される。流22は加熱され、リボイラー交換器24内で少なくとも部分的に気化され、得られる流25はストリッピング蒸気として塔17に戻される。
【0043】
流23は、弁26を通して減圧され、得られる流27は脱プロパン塔28に入る。塔28は標準脱プロパン塔として作用し、C3成分を塔頂流29に、C4成分およびより重い成分を塔底流30に分離する。流30は流31と32に分割される。流31は加熱され、リボイラー交換器33内で少なくとも部分的に気化され、得られる流34はストリッピング蒸気として塔28に戻される。所望により、流32はどこかでより重い成分を精製もしくは回収するために処理されてもよい。塔頂流29は交換器35内で冷却され、得られる液体およびガスの流36は分離ドラム37に導入され、ガスは塔頂流38として取り除かれ、液体は塔28の頂部への還流液体として流39内に戻される。
【0044】
塔17の塔頂蒸気流すなわち流19は交換器18内で暖められ、得られる流40は最後の圧縮ステージ41に入る。圧縮器流出物42は、詳細な設計は当業者に周知である多数の交換器および反応器を含む標準フロントエンドアセチレン水添システム43に入る。図1に示された「フロントエンド」水添システムにおけるように、アセチレンはプロセスの早い時期に分解ガスから取り除かれなければならないので、アセチレン水添反応の位置は重要である。後述するように、エチレン(および存在するすべてのアセチレン)は下流分離区域を通る複数の経路を採るであろう。下流分離区域内に存在する多数のエチレン流内でアセチレンを水添することは経済的に実用的ではないだろう。
【0045】
アセチレン水添システムからの流出物すなわち流44は典型的には周囲温度近傍である。流44は交換器45内で冷凍され一部凝縮される。実際には、交換器45は、流44と1以上の冷凍レベルおよび/または周囲温度未満のプロセス流との間で熱交換する列状の多数の交換器を示すであろう。一部凝縮流46内の蒸気および液体はドラム47内で分離される。蒸気および液体はドラム47からそれぞれ流48および49として抜き出される。液体流49は流50と51に分割される。流50内の液体の圧力は弁52内で減圧され、得られる流53は還流として塔17に戻される。流51内のドラム47からの液体の残り(もしあれば)はC2類分配塔54に分流させられる。流48内のドラム47からの蒸気もまた塔54に送られる。所望により、塔56および17は熱結合されていてもよい。この場合、ドラム47は省略され、流46は塔54に直接入り、還流液体流50は側部抜き出し液体流として塔54から取り出される。この設計は、本発明の範囲に含まれる。
【0046】
塔54はC2類分配塔として作用する。塔54の塔頂蒸気流すなわち流55は、エタン、エチレンおよびエチレンよりも軽い成分を含み、エチレン分配塔56に送られる。塔54は、流55がC3成分を実質的に含まず、例えば約1moI%未満のC3成分を含むように、運転される。塔54の塔底生成物すなわち流57は、エチレン、エタンおよびエタンよりも重い成分を含み、エチレンよりも軽い成分を実質的に含まず、例えば約0.1moI%未満のエチレンよりも軽い成分を含む。よって、C2類分配塔54はC3成分とエチレンよりも軽い成分との間でシャープスプリットを行い、エタンおよびエチレンを塔頂流と塔底流とに「分配」する。流57は流58と59に分割され、流59は加熱され、リボイラー交換器60内で少なくとも部分的に気化され、得られる流61はストリッピング蒸気として塔54に戻される。
【0047】
好ましくは、塔54および56は熱結合され、塔 54への還流は、塔56からの側部抜き出し液体流である流62により与えられる。C2類分配塔54とエチレン分配塔56との間のこの熱結合はエネルギーおよび資本の両面を節約する点で有利である。所望により、C2類分配塔54は一部凝縮器を有する標準の熱結合されていない塔として運転されてもよいが、この運転モードではエネルギー効率が低くなるであろう。
【0048】
塔56はエチレン分配塔として作用する。塔56の正味塔頂蒸気流すなわち流63は、エチレンおよびエチレンよりも軽い成分を含む。塔56の塔底生成物すなわち流64は、主としてエチレン、エタンおよび塔に入るエタンよりも重い任意の成分を含み、エチレンよりも軽い成分を実質的に含まず、例えば、約0.1moI%未満のエチレンよりも軽い成分を含む。塔56は、塔頂流63がエタンを実質的に含まないように運転され、流内に含まれるエタンとエチレンとのさらなる分離を必要とせずに精製エチレン生成物を流63から発生させることができる。例えば、流63内のエチレンに対するエタンのモル比は典型的に約0.005未満であり、好ましくは約0.001未満である。よって、エチレン分配塔56はエタンとエチレンよりも軽い成分との間でシャープスプリットを行い、エチレンを塔頂流と塔底流とに「分配」する。塔底流64は流65と66に分割され、流66は加熱されリボイラー交換器67内で少なくとも部分的に気化され、得られる流68はストリッピング蒸気として塔56に戻される。
【0049】
流63内の蒸気は交換器69内で冷却され一部凝縮され、得られる液体および蒸気は流70内でドラム71に供給され、ここで液体と蒸気はそれぞれ流72と73として分離される。次いで液体は流74と75に分割され、流75内の部分は塔56に還流として戻され、残りは流74内、弁76を通して流77内で脱メタン塔78に送られる。
【0050】
当業者は、熱結合されたC2類分配塔54とエチレン分配塔56との組み合わせが多数の方法で実施され得ることを認めるであろう。図1に示した熱結合された塔を分離することに加えて、図示していない他の代替例も可能である。一代替実装例は、エチレン分配塔と熱結合されたサイドストリッパーとの組み合わせからなる。この実装例において、流48および51は中間位置でエチレン分配塔に入り、流63はエチレン分配塔の頂部から抜き出され、流57はエチレン分配塔の底部から抜き出される。側部液体流は、供給物が入るポイントと塔の頂部との間のポイントでエチレン分配塔から抜き出され、このとき塔内の液体はC3成分を実質的に含まず、例えば約1mol%未満のC3成分を含む。この側部抜き出し液体流はサイドストリッパー塔の頂部に送られ、サイドストリッパー塔ではメタンおよび水素などの軽質ガスが液体から除かれる。流64はサイドストリッパー塔底流として抜き出され、サイドストリッパー塔頂流は側部抜き出し液体流が取り出されるポイントの近くでエチレン分配塔に送り戻される。
【0051】
図示していない第2の代替実装例は、上述のエチレン分配塔およびサイドストリッパー塔の分離機能を単一のエチレン分配塔分割壁塔内にまとめる。このような実装は米国特許公開公報20044182751において教示されている。この場合、分割壁は塔の下部に存在し、塔内で中間ポイントから塔の底部まで全域にわたり延在する。こうして分割壁は、単一の精留区域を壁の上方に、2個の別個の半区域を塔の下部および壁のいずれかの側に与える。供給物流48および51は、分割壁の頂部よりも下方のポイントにて半区域の一方に入る。供給物が入る区域は上部精留区域と共に、上述のエチレン分配塔を作り上げる。他方の半区域は、上述のサイドストリッパー塔として機能する。流63はエチレン分配分割壁塔の頂部から抜き出され、流57はエチレン分配塔区域の底部から抜き出され、流64はサイドストリッパー半区域の底部から抜き出される。図1の塔54および56によって行われる分離を実行するために上記に示したすべての可能な塔設計オプションは本発明の範囲に含まれる。
【0052】
塔54および56は比較的広範囲の圧力で運転することができる。これらの塔の最適圧力は、用いられる冷凍システムのタイプ、塔に入る供給物の組成、エネルギーコスト、下流分離区域から精製水素生成物が望まれるか否か、製造されるかもしれない精製水素生成物の所要圧力を含む多数のファクターに依存するであろう。典型的には、これらの塔は150psig〜550psigの間、好ましくは150〜450psigの範囲内の圧力で運転するであろう。
【0053】
ドラム71からの蒸気すなわち流72は、交換器79内で冷凍され一部凝縮され、得られる液体および蒸気は流80でドラム81まで通過して、ここで液体と蒸気は分離される。蒸気は流82に抜き出され、液体は流83に抜き出され、次いで弁84を通して流85で塔78まで通過する。流82内の蒸気は交換器86内で冷却され、得られる蒸気および液体は流87でドラム88まで通過して、ここで蒸気と液体は分離されてそれぞれ流89および90に抜き出され、次いで液体は弁91および流92を通して塔78まで通過する。流89内の蒸気はドラム88からの未凝縮ガスであり、主として水素、メタンおよびいくらかのエチレンを含む。
【0054】
流89はメタン精留塔93に送られる。この塔は比較的少数の接触段を含み、典型的には10段未満の理論段数を含む。この塔の目的は、エネルギー効率的な態様で、流89からエチレンを分離し、次いで分離されたエチレンを塔底流94に回収することである。塔底流94は主としてメタン、エチレンおよび溶解した水素を含み、弁95および流96を通して脱メタン塔78に送られる。塔93からの塔頂蒸気流は流97に抜き出され、交換器98に入り、ここで冷たいプロセス流または冷媒流に対して一部凝縮される。図1の実施形態において、この冷たいプロセス流は、後述するように、塔78およびドラム106からの膨張した脱メタン塔頂蒸気流である。一部凝縮流99内の蒸気と液体はドラム100内で分離され、液体は流101で塔93に還流として戻される。ドラム100からの水素が豊富な蒸気すなわち流102は、主として水素およびメタンと比較的少量のエチレンとを含む。流102は典型的には当業者には周知である設計の水素回収区域に送られる。
【0055】
エチレン分配塔頂蒸気流72から水素が豊富な流102と1以上のメタンが豊富な液体流(流83、90および94)を製造するために、他の方法を用いることができることに留意すべきである。図1は、一方法として、メタン精留工程が続く2ステージの一部凝縮を示す。より多数またはより少数の一部凝縮ステージを用いてもよい。さらに、図1のメタン精留塔93の代わりにプロセスガス冷凍、一部凝縮および精留の要素の1以上をまとめる他の配置もまた用いることができる。なかでも、例えば1以上のデフレグメーターまたは米国特許6,343,487号明細書および4,496,381号明細書の改良型精留設計を用いてもよい。利用することができるこれらおよび他の方法はすべて本発明の範囲に含まれる。
【0056】
塔78は脱メタン塔として作用し、エチレンおよびエチレンよりも重い任意の成分をメタンおよび軽質成分から分離する。塔78の圧力が冷凍列ドラム71、81および88およびメタン精留塔93の圧力よりも低い場合には、種々の供給物流の圧力はそれぞれ弁76、84、91および95を通して減圧され得る。塔78は比較的広範囲の圧力で運転することができる。塔78の最適運転圧力は多数のファクター、中でも用いられる冷凍システムのタイプ、塔に入る供給物の組成およびエネルギーコストに依存する。典型的には、塔78は100psig〜500psigの間、好ましくは150〜300psigの間の圧力で運転するであろう。
【0057】
塔78の塔頂生成物は流103に抜き出され、交換器104内で冷却されて一部凝縮され、得られる蒸気と液体は流105でドラム106まで通過し、ここで蒸気と液体は分離され、それぞれ流107および108に抜き出される。流103はメタンおよび水素を含み、エチレンを実質的に含まず、例えば1mol%未満のエチレンを含む。塔78の正味塔頂生成物すなわち流107は主としてメタンおよび水素を含む。流107は膨張器109に送られ、減圧し温度が低下する。得られる冷却低圧流110は、次いで、プロセスを冷却するために用いることができる。図1は、流110内の膨張器流出物を用いてメタン精留塔凝縮器98に対する冷凍を与える1つの可能性のある設計を示す。得られる暖められた膨張流111は、典型的には他の交換器内でさらに暖められ、燃料として用いられる。図示していないが、熱平衡の必要に応じて、水素が豊富な流102の一部を膨張器109の入口に送り、追加の冷たい膨張器出口ガスを与えてもよい。ドラム106からの液体流108は、塔78の頂部に還流液体として戻される。塔78からの塔底生成物流112は流113と114に分割され、流114はリボイラー交換器115内で加熱され少なくとも部分的に気化され、得られる流116はストリッピング蒸気として塔78に戻される。流113は製品品質エチレンを含む。
【0058】
図1の実施形態は、プロセス冷却デューティを与えるために外部冷凍を必要とする。典型的なエチレンプラントにおいて、所要冷凍はカスケード型のプロピレンおよびエチレン冷凍システムにより与えられるであろう。我々は、冷凍要求がより暖かい冷凍レベル用のプロピレン冷凍システムとより冷たい冷凍レベル用の混合冷凍システムとの組み合わせにより与えられる場合に、本発明のプロセスが最大資本削減およびエネルギー節約の利点を呈することを知見した。図1の実施形態にとって、例えばプロピレン冷媒はなかでも交換器11、15、45および130内で利用できる。次いで、混合冷凍システムはなかでも交換器69、79、86および104に対する冷凍の少なくとも一部を提供する。当業者は所要デューティを提供する混合冷凍システムに対する多くの実行可能な設計があることを認めるであろう。同様に、作動流体として使用することができる多くの異なる混合冷媒組成物がある。典型的には、混合冷媒は、限定されるものではないが、C1〜C3炭化水素類および追加的に冷媒混合物の沸騰挙動を誂えるための他の軽質および重質成分を含む。混合冷凍システム設計のこのような詳細のすべては本発明の範囲内である。
【0059】
塔54の塔底生成物の一部である流58は、弁117および流118を通って脱エタン塔119に送られる。塔119はC2成分およびより軽い成分をC3成分およびより重い成分から分離する。流120内の塔119からの塔頂蒸気流は主としてエタンおよびエチレンを含み、C3成分を実質的に含まず、例えば1moI%未満のC3成分を含む。塔頂蒸気流はC2スプリッター塔121に送られる。好ましくは塔119および121は熱結合していて、塔119への還流は塔121からの側部抜き出し液体流である流122により与えられる。脱エタン塔119とC2スプリッター塔121との間のこの熱結合はエネルギーおよび資本の両者を節約する点で有利である。所望により、脱エタン塔は一部凝縮器もしくは全凝縮器を伴う標準の熱結合されていない塔として運転することもできるが、この運転モードはエネルギー効率があまりよくない。
【0060】
塔121はC2スプリッター塔であり、エチレンおよびエタンを精製エチレン塔頂生成物とエタンが豊富な塔底生成物に分離する。流120、塔119の塔頂生成物および流65、弁127および流128を通過する塔56の塔底生成物の一部とが一緒に供給される。塔121の塔頂生成物すなわち流129は、交換器130内で冷却され完全に凝縮され、得られる液体流131はドラム132に導入され、ドラム132から液体は流133に抜き出され、次いで流134と135に分割される。流134は製品品質エチレンを含む。流134は流113とまとめられて、まとめられた最終的なエチレン生成物流136を提供する。流135は還流液体として塔121の頂部に送られる。C2スプリッター塔121からの塔底生成物は流137に抜き出され、流138と139に分割される。流138はリボイラー交換器140内で加熱され少なくとも部分的に凝縮され、得られる流141はストリッピング蒸気として塔121に戻される。流139は主としてエタンを含み、典型的には炉区域1に再循環される。
【0061】
典型的には、塔119および121は塔54および56の圧力以下の圧力で運転されるであろう。この場合、流58および65の圧力はそれぞれ弁117および127を通して、あるいはいくつかの他の減圧手段を通して減圧されるであろう。塔119および121の最適運転圧力は、なかでも用いられる冷凍システムのタイプ、塔に入る供給物組成およびエネルギーコストを含む多数のファクターに依存するであろう。典型的には、これらの塔は70psig〜350psigの間、好ましくは約150〜300psigの間の圧力で運転するであろう。
【0062】
塔119の塔底生成物は流142に抜き出され、流143と144に分割される。流144はリボイラー交換器145内で加熱され少なくとも部分的に気化され、得られる流146はストリッピング蒸気として塔119に戻される。流143は主としてC3成分を含みC2成分を実質的に含まず、例えば1mol%未満のC2成分を含む。流143は流38と一緒に、図示するようにメチルアセチレンおよびプロパジエン(MAPD)水添システム147に送られる。MAPD水添システム流出物すなわち流148は、C3スプリッター塔149に送られて塔頂生成物流150および塔底生成物流151を発生させる。流150は交換器152内で冷却され一部凝縮されて、得られる蒸気および液体流153はドラム154に導入され、ここで蒸気と液体は分離される。蒸気は流155に抜き出され、製品品質プロピレンである。液体は流156に抜き出され、還流として塔149に戻される。所望により、塔頂流150は交換器152内で完全に凝縮されてもよく、精製プロピレン生成物は蒸気の代わりに液体として抜き出されてもよい。流151内の塔底生成物は流157と158に分割される。流158は交換器159内で加熱され少なくとも部分的に凝縮され、得られる流160はストリッピング蒸気として塔149に戻される。流157は主としてプロパンを含み、典型的には炉区域1に再循環される。
【0063】
図2は、比較的軽い炭化水素類が供給された炉流出物から軽質オレフィン類を回収し精製する際に特に有用な本発明の第2の好ましい実施形態を示す。初期炉、クエンチおよび圧縮工程は図1の実施形態に記載されたものと同様である。炉区域への供給物が異なるので、各流の組成は典型的には図1の各流の組成とはいくらか異なる。
【0064】
特に、炉区域201は加熱された炉流出ガス流202を発生させる。炉流出ガス流202はクエンチ区域203に入り、ここで熱いガス流出物は典型的には水でほぼ周囲温度まで冷却され、こうして高圧流を発生させる。高圧流はライン204に取り除かれ、さらにプロセスの他の部分に対する熱を与える。冷却流出ガス流205は圧縮区域206に供給され、ここで圧力は約170psigまで昇圧され、再び周囲温度近傍まで冷却される。クエンチ区域および圧縮区域内で凝縮された任意の重質液体はそれぞれ流207および208として抜き出され、流209内にまとめられ、所望であればさらに加圧されてもよい。より高圧の流出ガス流210は、交換器211内で再び比較的暖かい冷媒に対して冷却され一部凝縮され、得られる蒸気および液体流212はドラム213に導入され、ここで蒸気と液体は分離されて比較的重い液体流214と未凝縮蒸気流215を発生させる。液体流214は、示されているように、流209内で流207および208と一緒にされてもよい。流215は2つの流に分割される。一つは、流216として脱エタン塔217の下部に送られる。流218内の他の部分は交換器219内で冷却され、得られる冷却流220は交換器221内で塔217からの塔頂流222に対して再び冷却される。得られる冷却流223は塔 217の上部に送られる。
【0065】
塔217はフロントエンド脱エタン塔として作用する。塔頂流222はエタン、エチレンおよびエチレンよりも軽い成分を含み、C3成分を実質的に含まず、例えば、約1mol%未満のC3成分を含む。塔底流224はプロピレン、プロパンおよびプロパンよりも重い成分を含み、C2成分を実質的に含まず、例えば約0.1mol%未満のC2成分を含む。流224は流225と226に分割され、流226はリボイラー交換器227内で加熱され少なくとも部分的に気化され、得られる流228は塔217にストリッピング蒸気として戻される。流225は、所望であればC3類を回収するためにさらに処理されるかまたは燃料として用いられてもよい。塔頂流222は交換器221内で暖められ、流229内で圧縮の最後のステージ230に送られる。圧縮器流出物231は標準フロントエンドアセチレン水添システム232に入る。このシステムは、詳細設計は当業者に周知である多数の交換器および反応器を含む。図1の第1の実施形態と同様に、このアセチレン水添システムの任意の簡便な慣用の設計を用いることができ、プロセスのフロントエンドにおけるアセチレン水添反応器の位置が重要である。
【0066】
アセチレン水添システムからの流出物すなわち流233は、典型的には周囲温度近傍である。流233は交換器234内で冷凍され一部凝縮される。実際には、交換器234は流233と1以上の冷凍レベルおよび/または周囲温度以下のプロセス流との間で熱を交換する列状の多数の交換器を代表する。得られる冷凍流235はエチレン分配塔236に入る。エネルギーおよび資本節約の観点から、塔217および236は熱的に結合されていて、塔217への還流液体は塔236から弁238および流239を介しての側部抜き出し液体流237により与えられることが好ましい。所望により、塔217は図1における塔17と基本的に同様に、結合されていないモードで運転することもできる。
【0067】
塔236はエチレン分配塔として運転する。全体の塔頂蒸気流240はエチレンおよびエチレンよりも軽い成分を含み、エタンを実質的に含まない。例えば、流240内でエチレンに対するエタンのモル比は典型的には約0.005未満、好ましくは約0.001未満である。塔底生成物流241は主としてエチレンおよびエタンを含み、メタンを実質的に含まず、例えば約0.1mol%のメタンを含む。流241は、塔236に入るエタンよりも重い任意の成分をさらに含む。流241は流242と243に分割される。流243はリボイラー交換器244内で加熱され少なくとも部分的に気化され、得られる流245はストリッピング蒸気として塔236に戻される。
【0068】
本発明の一つのオプションとして、塔236は還流再加熱区域と一緒に頂部で運転する。塔236の全体の塔頂蒸気流すなわち240は主としてエチレン、メタンおよび水素を含む。流240は、交換器246内で比較的暖かい、例えばプロピレンレベルの冷媒に対して、および場合によっては周囲温度以下のプロセス流の加熱によって、可能な限り多く凝縮される。交換器246を出る得られた一部凝縮流247の温度は典型的には-35〜-45°Fの範囲にあるであろう。この流247は、比較的少数の接触段(典型的には10理論段数未満)を含む還流再加熱塔248に入る。流247内の蒸気および液体は、塔248の底部で解離する。蒸気は接触段を通して上昇し、下降する冷たい液体により冷却され部分的に精留される。塔248の塔頂を出る未凝縮の蒸気すなわち流249は、交換器256内でさらに冷凍され一部凝縮される。交換器256に対する冷凍は典型的には、比較的冷たい冷媒、例えばエチレンまたは混合冷凍システムにより少なくとも部分的に与えられる。交換器256からの流257内の蒸気および液体はドラム258内で分離される。ドラム258からの流259内の冷たい液体は、塔248の頂部に還流として入り、比較的暖かい上昇蒸気と接触する際に暖められ、より軽い成分が部分的にストリップされる。エチレン分配塔236の頂部に対するこの環流再加熱配置は、交換器246内の環流の少なくとも一部にプロピレン範囲冷媒を提供することによりエチレン分配塔を還流するために必要なエネルギーを減少させる。この配置はさらに、エチレンまたは混合冷媒交換器256に入る蒸気の温度を低下させ、こうしてこの交換器の冷凍要求を減少させる。
【0069】
当業者は、還流再加熱塔248をエチレン分配塔236と組み合わせることができることを認めるであろう。この場合、交換器246は組み合わされた塔の側部凝縮器であり、その下のエチレン分配塔トレイから蒸気を抜き出し、一部凝縮蒸気をエチレン分配塔トレイの上方に位置している還流再加熱器精留手段に送る。このような設計は本発明の範囲に含まれる。
【0070】
我々は、この還流再加熱器配置がエチレン分配塔の運転において大幅なエネルギー節約を提供することができ、この還流再加熱器配置は典型的にはエチレン分配塔の運転圧力が比較的高く、典型的には約400psigよりも高い場合に好ましく、したがって全体の塔頂蒸気流はプロピレン冷凍範囲すなわち約-45°Fよりも高い温度で少なくとも一部凝縮され得ることを知見した。全体の塔頂蒸気流がプロピレン範囲の冷凍に対して少なくとも一部凝縮され得ないようなより低い圧力、例えば約400psig以下で塔236を運転することが可能である。しかし、この場合、還流再加熱器配置の使用はあまり有利ではない。エチレン分配塔236の最適運転圧力は、用いられる冷凍システムのタイプ、塔に入る1種または複数種の供給物の組成、エネルギーコスト、下流分離区域から精製水素生成物が所望されるか否か、製造されるかもしれない精製水素生成物の所要圧力を含む多数のファクターに依存するであろう。典型的には、この塔は150〜550psigの間、好ましくは150〜450psigの範囲の圧力で運転するであろう。
【0071】
ドラム258からの蒸気は流260を通して抜き出され、交換器261内で冷却され一部凝縮される。蒸気および液体の得られる流262はドラム263に導入され、ここで蒸気と液体はそれぞれ流264および265として分離され抜き出される。液体流265は弁266および流267を通して塔255に送られる。
【0072】
ドラム263からの蒸気すなわち流264はメタン精留塔268に送られる。この塔は比較的少数の接触段、典型的には10未満の理論段数を含む。塔268の目的は、エネルギー効率的な態様で流264から塔底流269にエチレンを回収することである。塔底流269は主としてメタン、エチレンおよび溶解した水素を含み、弁270および流271を通して塔255に送られる。塔268からの流272内の塔頂蒸気流は交換器273に入る。流272内の塔頂蒸気流は交換器273内で冷たいプロセス流または冷媒流に対して冷却され一部凝縮される。得られる一部凝縮流274内の蒸気と液体はドラム275内で分離され、液体は塔268に還流277として戻される。ドラム275からの水素が豊富な塔頂蒸気流すなわち流276は主として水素およびメタンおよび比較的少量のエチレンを含む。流276は典型的には、設計が当業者には周知である水素回収区域に送られる。
【0073】
第1の実施形態のように、他の方法は、水素が豊富な流276および蒸気流260からの1以上のメタンが豊富な液体流(図2の流265および269)を製造するために用いることができることに留意すべきである。図2は、一方法として、メタン精留工程が続く一部凝縮のシングルステージを示す。より多数またはより少数の一部凝縮ステージを用いることができる。さらに、プロセスガス冷凍、一部凝縮および精留の要素の1以上を組み合わせる他の配置もまた図2のメタン精留塔268の代わりに用いることができる。例えば、なかでも、1以上のデフレグメーター、または米国特許6,343,487号明細書および4,496,381号明細書の改良型精留設計を用いてもよい。利用され得るこれらおよび他の方法はすべて本発明の範囲に含まれる。
【0074】
塔255は脱メタン塔として作用し、供給物中のエチレンおよび任意のより重い成分をメタンおよびより軽い成分から分離する。塔255の圧力が冷凍列ドラム263および塔248および268の圧力よりも低い場合には、示されているように、種々の供給流の圧力は弁266、253および270を通して減圧され得る。塔255は圧力の比較的広範囲にわたり運転することができる。塔255の最適運転圧力は、なかでも、用いられる冷凍システムのタイプ、塔に入る供給物の組成およびエネルギーコストを含む多数のファクターに依存するであろう。典型的には、塔255は100psig〜500psigの間、好ましくは100〜300psigの間の圧力で運転するであろう。
【0075】
塔255からの塔頂生成物および塔底生成物はそれぞれ流278および279を通して抜き出される。流279は流280と281に分割される。流281はリボイラー交換器282内で加熱され少なくとも部分的に気化され、得られる流283はストリッピング蒸気として塔255に戻される。流280は製品品質エチレンを含む。塔頂流278は交換器284内で冷却され一部凝縮され、得られる冷却された流285はドラム286に導入され、ここで蒸気と液体は分離される。ドラム286からの蒸気すなわち流287は、主としてメタンおよび水素を含み、エチレンを実質的に含まない。流288はドラム286からの液体を含み、還流として塔255に戻される。流287は膨張器289に送られ、流の温度および圧力は減少する。この流は、次いで、プロセスの冷却に用いることができる。図2は可能性のある一設計であり、メタン精留塔凝縮器273を冷却するために流290内の膨張器流出物を用いる。暖められた膨張流291は、典型的には他の交換器内でさらに暖められ、最終的には燃料として用いられ得る。図示していないが、熱平衡に必要であれば、水素が豊富な流276の一部を膨張器入口に送り、追加の冷たい膨張器出口ガスを提供することができる。
【0076】
エチレン分配塔236からの塔底流の一部である流242は、弁292および流293を通してC2スプリッター塔294に送られる。塔294は流293内に含まれるエタンとエチレンを分離して、塔頂部区域からの精製エチレン生成物およびエタンが豊富な塔底生成物を製造する作用をする。塔294は典型的には塔236よりも低い圧力で運転され、示されるように、流242の圧力は弁292を通して減圧される。C2スプリッター塔294は、典型的には150psig〜350psigの間の圧力で運転する。
【0077】
本発明の範囲に含まれるオプション配置を決定するために、塔294はその頂部で加圧区域と共に運転する。この区域は、エチレン生成物が大幅に低い濃度のメタンまたはより軽いガスを含むことを補助する。液体エチレン生成物である流295は、塔294の頂部から2,3段のトレイから抜き出され、流280と一緒になって最後的なエチレン生成物流296を形成する。塔294からの塔頂生成物は流297に抜き出され、交換器298内で冷却され一部凝縮され、得られる冷却された流299はドラム300に導入され、ここで蒸気と液体は分離される。蒸気排出流である流301は、C2スプリッター還流ドラム300から取り出され、脱メタン塔255の底部近くのポイントに導入され得る。流301は塔294に入る任意の軽質ガスと一緒に主としてエチレンを含み、流301に含まれる任意の軽質ガスが精製エチレン生成物流280に運ばれないように好ましくは塔255の底部よりも2,3段上に入る。ドラム300からの液体流302は塔294に還流として戻される。塔294の塔底生成物である流303は主としてエタンを含み、流304と305に分割される。流304は回収され、典型的には炉区域201に再循環される。流305はリボイラー交換器306内で加熱され少なくとも部分的に気化される。得られる流307はストリッピング蒸気として塔294に戻される。
【0078】
以下の特定の実施例は、本明細書に開示された本発明のいくつかの特定の実施形態を説明するためのものである。本実施例は、説明のためであり、本明細書に開示された発明の範囲を限定するものではない。当業者に明らかな多くの代替例や変形例があり、それらは開示された本発明の範囲に含まれる。
【実施例】
【0079】
本発明の第2の実施形態の一例を市販のシミュレーションパッケージを用いて模した。本実施例において模したプロセスは図2の好ましい実施形態と同一である。本実施例において炉への供給物は、70wt%のエタンおよび30wt%のプロパンの混合物の約345,000ポンド/hrであった。分解ガスは最初に172psigまで圧縮され、交換器211内のプロピレン冷媒に対して59°Fまで冷却された。図2における重要な流の流量および組成をTable 1に示し、重要な熱交換器デューティをTable 2に示す。
【0080】
本実施例のプロセスに対する比エネルギーはエチレンの5,100BTU/lbであると決定される。これは他の商業的に利用可能なプロセスの比エネルギーよりも実質的に低く、Hydrocarbon Processing、March 2003、pp. 96-98に報告されているように平均してエタン分解に対して約5,700BTU/lbである。本発明のプロセスのエネルギー挙動が現行の実施に対して大幅なエネルギー節約を表すことが明らかである。
【0081】
上記記載から、本発明の目的が達成されることは明らかである。いくつかの実施形態のみを記載したが、別の実施形態および種々の変形例は当業者にとって上記記載から明らかであろう。これらおよび他の代替例は均等であると考えられ、本発明の範囲に含まれる。
【0082】
【表1a】

【0083】
【表1b】

【0084】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は本発明の方法の好ましい実施形態の概略説明図である。
【図2】図2は本発明の別の好ましい実施形態の概略説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン、エタン、アセチレン、メタン、水素および場合によってはエタンよりも重い成分を含むガス混合物からエチレンを回収する方法であって、
(a)該ガス混合物を第1蒸留塔に送り、第1蒸留塔から、エタン、エチレン、アセチレン、水素およびメタンを含む第1塔頂蒸気流と、エタンよりも重い成分を含む第1塔底流とを回収する工程;
(b)該第1塔頂蒸気流からアセチレンを除いて、第1塔頂低アセチレン流を発生させる工程;
(c)該第1塔頂低アセチレン流の少なくとも一部をエチレン分配蒸留塔に送り、エチレン分配蒸留塔から、エチレン、メタンおよび水素を含みエタンを実質的に含まないエチレン分配塔頂蒸気流と、エチレンおよびエタンを含むエチレン分配塔低流と、を回収する工程;
(d)該エチレン分配塔頂蒸気流の少なくとも一部を冷凍する少なくとも1の工程を含み、該エチレン分配塔頂蒸気流を、水素が豊富な軽質流と、水素が枯渇しエチレンを含む1以上の水素枯渇流と、に分離する工程;
(e)1以上の該水素枯渇流のうち少なくとも1の水素枯渇流の少なくとも一部を脱メタン蒸留塔に送り、脱メタン蒸留塔から、メタンおよび水素を含みエチレンを実質的に含まない脱メタン塔頂流と、精製されたエチレンを含む脱メタン塔低流とを抜き出す工程;および
(f)精製エチレン生成物を該エチレン分配塔底流から回収する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記第1塔頂蒸気流は、エタンよりも重い成分を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の塔頂蒸気流は、プロパンよりも重い成分を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス混合物は、少なくとも2種のフラクションに分けられ、該フラクションの一方は、前記第1塔頂蒸気流との間接熱交換接触により第1塔頂蒸気流を暖め、該フラクションは冷やされ、前記ガス混合物の2種以上のフラクションは異なる位置で前記第1分配塔に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アセチレンを除く工程は、アセチレンをエチレンもしくはエタンまたは両者に水素化する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記工程(b)は、前記第1塔頂蒸気流に含まれるアセチレンと水素とを適切な触媒の存在下で反応させて、アセチレン水添物を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1塔頂蒸気流は、アセチレンを除く工程(b)に入る前に圧縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1分配塔用の還流液体の少なくとも一部は、前記エチレン分配蒸留塔からの側部抜き出し液体流により与えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エチレン分配蒸留塔への少なくとも1種の供給物は上流蒸留塔の塔頂蒸気流全体を含み、側部抜き出し液体流は該エチレン分配蒸留塔から取り出されて該上流蒸留塔に還流液体として送られ、該上流蒸留塔は前記第1蒸留塔の下流側にある、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記上流蒸留塔は、C2類分配塔である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記エチレン分配蒸留塔は、150psig〜550psigの間の頂部圧力で運転する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記エチレン分配蒸留塔は、150psig〜450psigの間の頂部圧力で運転する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記工程(d)は、
(g)前記エチレン分配塔頂流の少なくとも一部を冷凍および一部凝縮して、エチレン分配塔頂流の一部凝縮部分を与える工程;
(h)該エチレン分配塔頂流の一部凝縮部分に含まれる蒸気と液体とを分離し、分離された液体は水素が枯渇していてエチレンを含む1以上の水素枯渇液体流のうち1の水素枯渇液体流を含む工程;および
(i)前記工程(h)の分離された蒸気から水素が豊富な蒸気流を回収する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記工程(c)は、
(g)エチレン、メタンおよび水素を含む蒸気流を前記エチレン分配蒸留塔から抜き出す工程;
(h)前記工程(a)の蒸気流を-50゜F以上の温度まで冷凍して、一部凝縮蒸気流を発生させる工程;
(i)前記工程(h)の一部凝縮蒸気流を精留手段の底部に送る工程;
(j)該精留手段から塔頂蒸気流を抜き出す工程;
(k)該精留手段からの塔頂蒸気流を冷凍して、一部凝縮精留手段塔頂流を発生させる工程;
(l)該一部凝縮精留手段塔頂流の液体フラクションの少なくとも一部を該精留手段の頂部に還流液体として送る工程;
(m)該一部凝縮精留手段塔頂流の蒸気部分をエチレン分配塔頂蒸気流として抜き出す工程
を含む方法。
【請求項15】
前記工程(h)の分離された蒸気の少なくとも一部を精留塔内で精留し、水素が豊富な蒸気流を含む塔頂蒸気流は該精留塔から抜き出される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記工程(d)は、前記エチレン分配塔頂流の少なくとも一部を精留塔内で精留し、該精留塔から水素が豊富な蒸気流を含む塔頂蒸気流を抜き出すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記脱メタン蒸留塔は、前記エチレン分配蒸留塔の圧力よりも少なくとも25psi低い圧力で運転される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記工程(f)は、前記エチレン分配塔底流の少なくとも一部をC2スプリッター蒸留塔に送り、該C2スプリッター蒸留塔の上部区域から精製エチレン生成物を抜き出すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第2精製エチレン生成物は、前記C2スプリッター蒸留塔の頂部よりも下方の少なくとも1のトレイから抜き出される液体であり、前記C2スプリッター蒸留塔の頂部からの塔頂蒸気流の一部は前記脱メタン蒸留塔の底部よりも上方の少なくとも1のトレイの位置に送られる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1蒸留塔、前記エチレン分配蒸留塔および前記脱メタン蒸留塔のためのストリッピング蒸気の少なくとも一部は、それぞれの塔底液体流の少なくとも一部をリボイラー交換器内で気化することにより与えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
作動流体中に1種よりも多い成分を含む冷凍システムを用いて、エチレン分配蒸留塔用の塔頂凝縮デューティの少なくとも一部、脱メタン蒸留塔の塔頂凝縮デューティの少なくとも一部および工程(d)の分離に必要な冷凍デューティの少なくとも一部を与える、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
エチレン、エタン、アセチレン、メタン、水素、C3成分およびプロパンよりも重い成分を含むガス混合物からエチレンを回収する方法であって、
(a)該ガス混合物を第1蒸留塔に送り、第1蒸留塔から、エタン、エチレン、アセチレン、水素、メタンおよびC3成分を含む第1塔頂蒸気流と、プロパンよりも重い成分および場合によってはC3成分を含む第1塔底流と、を回収する工程;
(b)該第1塔頂蒸気流からアセチレンを除いて、第1塔頂低アセチレン流を発生させる工程;
(c)エチレン分配塔として作用する蒸留塔を含む1以上の蒸留塔を用いて、該第1塔頂低アセチレン流の少なくとも一部を分離して、エチレン、メタンおよび水素を含みエタンを実質的に含まないエタンフリー蒸気流と、エチレン、エタンおよびエタンよりも重い成分を含む第1液体流と、エチレンおよびエタンを含みエタンよりも重い成分を実質的に含まない第2液体流と、に分離する工程;
(d)前記工程(c)のエタンフリー蒸気流の少なくとも一部を冷凍する少なくとも1の工程を含み、前記工程(c)のエタンフリー蒸気流を水素が豊富な軽質流と、水素が枯渇していてエチレンを含む1以上の水素枯渇流とに分離する工程、
(e)前記1以上の水素枯渇流の少なくとも1の少なくとも一部を脱メタン蒸留塔に送り、脱メタン蒸留塔からメタンおよび水素を含みエチレンを実質的に含まない脱メタン塔頂流と、精製エチレンを含む脱メタン塔底流と、を抜き出す工程;および
(f)前記工程(c)の第1および第2液体流から第2精製エチレン生成物を回収する工程
を含む方法。
【請求項23】
前記工程(c)は、
(g)前記第1塔頂低アセチレン流の少なくとも一部をC2類分配蒸留塔に送り、C2類分配蒸留塔から、エチレン、エタン、メタンおよび水素を含みエタンよりも重い成分を実質的に含まないC2類分配塔頂流と、エチレン、エタンおよびエタンよりも重い成分を含みエチレンよりも軽い成分を実質的に含まないC2類分配塔低流と、を回収する工程;
(h)前記C2類分配塔底流を前記工程(c)の第1液体流として抜き出す工程;
(i)前記C2類分配塔頂流の少なくとも一部をエチレン分配塔に送り、エチレン分配塔から、エチレン、メタンおよび水素を含みエタンを実質的に含まないエチレン分配塔頂流と、エチレンおよびエタンを含みエチレンよりも軽い成分を実質的に含まないエチレン分配塔底流と、を回収する工程;
(j)エチレン分配塔頂流を前記工程(c)のエタンフリー蒸気流として抜き出す工程;および
(k)エチレン分配塔底流を前記工程(c)の第2液体流として抜き出す工程
を含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記C2類分配塔用の還流液体は、前記エチレン分配塔からの側部抜き出し液体流により与えられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記工程(c)は、
(g)第1塔頂低アセチレン流の少なくとも一部をエチレン分配蒸留塔に送り、エチレン分配蒸留塔から、エチレン、メタンおよび水素を含みエタンを実質的に含まないエチレン分配塔頂流と、エチレン、エタンおよびエタンよりも重い成分を含みエチレンよりも軽い成分を実質的に含まないエチレン分配塔低流と、を回収する工程;
(h)エチレン分配塔頂流を前記工程(c)のエタンフリー蒸気流として抜き出す工程;
(i)エチレン分配塔低流を前記工程(c)の第1液体流として抜き出す工程;
(j)エチレン分配塔の頂部と第1塔頂低アセチレン流がエチレン分配塔に入るポイントとの中間ポイントにて、エチレン分配塔から、メタン、エチレンおよびエタンを含みエタンよりも重い成分を実質的に含まない側部抜き出し液体流を抜き出す工程;
(k)側部抜き出し液体流をサイドストリッパー塔の頂部に送り、サイドストリッパー塔から、エチレンおよびエタンを含みエチレンよりも軽い成分を実質的に含まないサイドストリッパー塔底流と、メタンを含むサイドストリッパー塔頂流と、を回収する工程;
(l)該サイドストリッパー塔底流を前記工程(c)の第2液体流として抜き出す工程;
(m)該サイドストリッパー塔頂流をエチレン分配塔に送る工程
を含む請求項22に記載の方法。
【請求項26】
エチレン分配塔およびサイドストリッパー塔の分離機能は、単一の分割壁塔にまとめられる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記分割壁塔は、塔頂生成物および2種の別個の塔底液体生成物を発生させ、さらに、塔頂生成物は前記工程(c)のエタンフリー蒸気流として抜き出され、2種の塔底生成物は前記工程(c)の第1および第2液体流として抜き出される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記工程(f)は、第2液体流をC2スプリッター蒸留塔に送り、主としてエタンを含むC2スプリッター塔底流を発生させ、C2スプリッター蒸留塔の上部区域から第2精製エチレン生成物を抜き出すことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記工程(f)は、第1液体流を脱エタン蒸留塔に送り、主としてエタンおよびエチレンを含む脱エタン蒸留塔頂流と、C3成分とプロパンよりも重い成分を含む脱エタン塔底流とを発生させ、該脱エタン塔頂流をC2スプリッター蒸留塔に送ることをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
精製プロピレン生成物は、脱エタン塔底流および場合によっては第1塔底流から回収される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
脱エタン蒸留塔用の還流液体の少なくとも一部は、C2スプリッター蒸留塔からの側部抜き出し液体流により与えられる、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記第2精製エチレン生成物は、C2スプリッター蒸留塔の頂部よりも下方の少なくとも1のトレイから抜き出された液体であり、C2スプリッター蒸留塔の頂部からの塔頂蒸気流の一部は脱メタン蒸留塔の底部よりも上方の少なくとも1のトレイに送られる、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
脱メタン蒸留塔は、前記工程(c)のエチレン蒸留塔の圧力よりも少なくとも25psi低い圧力で運転する、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
C2スプリッター蒸留塔は、前記工程(c)で用いられる蒸留塔のいずれかの任意の位置での圧力よりも少なくとも25psi低い圧力で運転する、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記工程(d)は、
(g)前記工程(c)のエタンフリー蒸気流の少なくとも一部を冷凍して一部凝縮して、エタンフリー蒸気流の一部凝縮部分を与える工程;
(h)該エタンフリー蒸気流の一部凝縮部分内に含まれる蒸気と液体を分離して、分離された液体は工程(d)の水素が枯渇していてエチレンを含む1以上の水素枯渇液体流を含む工程;および
(i)前記工程(h)の分離された蒸気から水素が豊富な蒸気流を回収する工程
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記工程(h)の分離された蒸気の少なくとも一部を精留塔内で精留して、水素が豊富な蒸気流を含む塔頂蒸気流を精留塔から抜き出す、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記工程(d)は、前記工程(c)からのエタンフリー蒸気流の少なくとも一部を精留塔内で精留して、精留塔から水素が豊富な蒸気流を含む塔頂蒸気流を抜き出すことを含む、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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