説明

エッジライト型面光源装置、およびこれを用いた電飾看板

【課題】複雑な設計を要することなく、光源付近の輝度が高くなりすぎることを防止し、輝度を均一化できる面光源装置を提供する。
【解決手段】反射シート11と、反射シート11の上方に位置する中空部12と、中空部12の少なくとも一側端部に配置された光源13と、中空部13の上方に配置された光学シート15とを備えてなり、反射シート11の光源13側の端部および、中空部12上の前記端部に対応する箇所の略全面に、光吸収部161、162を有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量化を可能としたエッジライト型の面光源装置、およびこれを用いた電飾看板に関する。
【背景技術】
【0002】
面光源装置の方式は、直下型とエッジライト型に大別される。ランプを画面直下に配置する直下型は導光板がないためエッジライト型よりも軽いが、厚みが増してしまう問題がある。一方、ランプを横に配置するエッジライト型は、直下型よりも装置自体を薄くできるが、画面を大型化すると光量確保のため導光板の厚みが必要になり、また面積も大きくなるため重くなってしまうという問題がある。
【0003】
そこで、近年、厚みを薄くしながら、重さを抑える面光源装置として、導光板をなくしたエッジライト型の面光源装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−250175号公報(段落番号0015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、エッジライト型の面光源装置では、導光板の背面にドットパターンを施すことにより、面内での輝度の均一化を図っている。
【0006】
しかし、特許文献1のエッジライト型面光源装置は、導光板を有さないものである。このため、反射面に綿密に設計された凸曲面処理により輝度の均一化を図っているが、複雑な設計が必要になるという問題があった。
【0007】
また、近年、面光源装置の光源としてLEDの採用が進んだ結果、面内での輝度差はより顕著な問題となってきている。
【0008】
そこで、本発明は、複雑な設計を必要とすることなく、輝度の均一化を図ることができる導光板レスのエッジライト型面光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明のエッジライト型面光源装置は、反射シートと、前記反射シートの上方に位置する中空部と、前記中空部の少なくとも一側端部に配置された光源と、前記中空部の上方に配置された光学シートとを備えてなり、前記反射シートの光源側の端部および、前記中空部上の前記端部に対応する箇所の略全面に、光吸収部を有することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のエッジライト型面光源装置は、好ましくは、前記光学シートがプリズムシート及び/又は光拡散シートであることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の電飾看板は、本発明のエッジライト型面光源装置の光学シート上に、光透過性の印刷物を配置してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエッジライト型面光源装置によれば、複雑な設計を要することなく、光源付近の輝度が高くなりすぎることを防止し、輝度を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のエッジライト型面光源装置の一実施例を示す断面図
【図2】本発明のエッジライト型面光源装置の他の実施例を示す断面図
【図3】本発明の電飾看板の一実施例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のエッジライト型面光源装置は、反射シートと、前記反射シートの上方に位置する中空部と、前記中空部の少なくとも一側端部に配置された光源と、前記中空部の上方に配置された光学シートとを備えてなり、前記反射シートの光源側の端部および、前記中空部上の前記端部に対応する箇所の略全面に、光吸収部を有することを特徴とするものである。以下、各構成要素の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明のエッジライト型面光源装置1の実施の形態を示す断面図である。図1に示すエッジライト型面光源装置1は、反射シート11と、反射シートの上方に位置する中空部12と、中空部の側端部に配置された光源13と、光源を収納するハウジング14と、中空部12の上方に配置された光学シート15とから構成されている。また、反射シート11の光源13側の端部および、中空部12上の前記端部に対応する箇所の略全面に、光吸収部161、162が形成されている。
【0016】
反射シートは光源から下方に向いた光を上方に反射する役割を有するものである。このような反射シートとしては、プラスチックフィルムに銀などの金属を蒸着した金属反射タイプのもの、プラスチックフィルム中に気泡や白色顔料を含有する白色反射タイプのものがあげられる。本発明では、いずれのタイプも用いることができるが、白色反射タイプが好適に使用される。本発明では導光板がないため、反射フィルムの材質感が視認者に感じられやすいが、白色反射フィルムを用いることにより材質感を感じさせにくくすることができ、また、白色反射フィルムは表面拡散するため輝度の均一化にも貢献することができる。反射シートの厚みは、通常30μm〜1.5mm程度である。
【0017】
反射シートの光源側の端部には光吸収部161が形成される(図1、2)。本発明では、反射シートの光吸収部161と、後述する中空部上の光吸収部162とによって、複雑な設計を要することなく、光源付近の輝度が高くなりすぎることを防止し、輝度を均一化することができる。なお、反射シートの光源を有しない側の端部に光吸収部を設けると当該側の輝度の低下を招くため、当該側には光吸収部を設けないことが好ましい。
【0018】
反射シート11上の光吸収部161の幅bは、反射シート11の幅aの5〜20%であることが好ましく、10〜15%であることがさらに好ましい(図1)。5%以上とすることにより、光源付近の輝度が高くなりすぎることを効果的に防止することができ、20%以下とすることにより、面光源装置の有効幅を必要以上に狭くすることを防止できる。
【0019】
中空部は、従来導光板が位置していた部分である。当該部分から導光板を除き、中空部(空気)としたことから、面光源装置の重量を軽くすることができる。中空部の厚みは光源を収納するハウジングの高さに依存するが、10〜30mm程度とすることが好ましい。
【0020】
中空部12上の、反射シート11の光吸収部161に対応する箇所の略全面には、光吸収部162が形成される(図1、2)。本発明では、中空部上の光吸収部と、上述した反射シートの光吸収部とによって、複雑な設計を要することなく、光源付近の輝度が高くなりすぎることを防止し、輝度を均一化することができる。
【0021】
中空部12上の光吸収部162は、反射シート11の光吸収部161に対応する箇所の略全面に形成されるが、ここでいう略全面とは100%の一致を言わない。中空部12上の光吸収部162は、反射シート11の光吸収部161の面積の80〜120%であることが好ましく、100〜110%であることが好ましい。
【0022】
中空部上の光吸収部162の光源と離れた側の端部と、反射シート上の光吸収部161の光源と離れた側の端部とは、位置を一致させることが好ましい(図1、2)。しかし、完全に一致させなくても、反射シート上の光吸収部の端部の位置の方が光源側に若干寄っているなどしても良い。
【0023】
また、中空部上の光吸収部162の光源側の端部と、反射シート上の光吸収部161の光源側の端部とは、位置を一致させることが好ましい(図2)。しかし、完全に一致させなくても、反射シート上の光吸収部161の光源側の端部の位置の方が若干光源に近くても良いし(図1)、反射シート上の光吸収部161の光源側の端部の位置の方が若干光源から遠くても良い(図示せず)。
【0024】
中空部上の光吸収部162のバックライト内での高さ方向の位置は、光学シート上であってもよいし(図1)、光学シートどうしの間であってもよいし(図2)、中空部と光学シートとの間であってもよい(図示せず)。
【0025】
反射シート上および中空部上の光吸収部は、反射シート・光学シート・シャーシ等に、カッティングした遮光シートを単に重ね合わせたりあるいは貼り付けたり、遮光塗料を塗布乾燥したりすることなどにより形成できる。遮光シートおよび遮光塗料は黒色のものが好適である。
【0026】
光吸収部は、輝度の均一化を図るため、光沢度(JIS Z8741:1997、入射受光角60°)が5%以下のものを用いることが好ましい。光沢度は、光吸収部を形成する黒色顔料、マット剤、バインダー樹脂の重量比率や黒色顔料、マット剤の粒子径等により調整することができる。
【0027】
光源は中空部の少なくとも一側端部に配置されるものである。配置箇所は側端部のうち一つでもよいし、全部であっても良い。一つの側端部における光源の数は一つであっても良いし、複数であっても良い。
【0028】
光源の種類としては、冷陰極管やLEDがあげられる。本発明ではLEDのような高輝度光源を用いても、輝度の均一化を図ることができる。なお、光を有効に利用するため、光源はハウジングやランプリフレクタ等で覆うことが好ましい。
【0029】
中空部の上方に設置する光学シートとしては、プリズムシートなどの輝度向上シート、光拡散性シートなどがあげられる。輝度向上シートや光拡散性シートとしては、従来公知のものを用いることができる。
【0030】
光学シート上には、プラスチック板、ガラス板などの透明板を設置することが好ましい。
【0031】
上述した反射シート11、中空部12、光源13、ハウジング14、光学シート15は、シャーシ17内に収納、固定して用いることが好ましい(図1)。なお、シャーシに遮光性を備えさせることにより、シャーシに中空部上の光吸収部162の機能を兼ね備えたものとすることができる。
【0032】
次に、本発明の電飾看板3は、本発明のエッジライト型面光源装置1の光学シート15上に、光透過性の印刷物2を配置してなることを特徴とするものである。
【0033】
図3は本発明の電飾看板3の実施の形態を示す断面図である。図3の電飾看板は、エッジライト型面光源装置1の光学シート15上に、光透過性の印刷物2を有する構成となっている。
【0034】
エッジライト型面光源装置としては、上述した本発明のエッジライト型面光源装置を用いることができる。
【0035】
光透過性の印刷物は、透明または半透明の光透過性を有する記録材料に画像を形成したものを用いることができる。光透過性を有する記録材料は従来公知のもの、画像の形成は従来公知の方法を用いることができる。
【0036】
光透過性の印刷物上には、プラスチック板、ガラス板などの透明板を設置することが好ましい。また、上述したエッジライト型面光源装置、光透過性の印刷物、透明板は、図示しない筐体内に収納、固定して用いることが好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明を更に説明する。
【0038】
[実施例1]
縦58cm×横83cm×高さ1.8cmの上面が全開放されたアルミ製シャーシを準備した。次いで、シャーシの底部に、縦50cm×横75cmにカットした厚み188μmの反射シート(東レ社:E60L)を設置した。次いで、反射シートの長辺側の両端部に、遮光シート(きもと社:カーボンフェザー100X2B、光沢度:2.0%)を6cmの幅にカットして貼り合わせ、光吸収部を形成した。次いで、反射シートの長辺側の両端部に、ハウジングに収納された白色LED光源(アットキュー社:ATZ−LE004、ハウジング高さ1.5cm)を8ブロック配置した。なお、用いたLED光源は、1ブロックあたり6個のLED光源を有してなり、駆動電圧DC20V、1ブロックの消費電力105mmA、光束700ルーメンのものである。
【0039】
次いで、光源のハウジング上に、プリズムシート(住友3M社:ビキュイティBEF2-T-155n、厚み150μm)のプリズム側が反射シート側を向くように設置した。ここまでの作業で、反射シートとプリズムシートとの間に、厚み1.5cmの中空部が形成されている。次いで、プリズムシート上に光拡散シート(きもと社:ライトアップPBU、厚み100μm)を設置した。なお、プリズムシートおよび光拡散シートは、反射シートと同様の大きさのものを用いた。次いで、光拡散シートの長辺側の両端部に、遮光シート(きもと社:カーボンフェザー100X2B、光沢度:2.0%)を6cmの幅にカットして貼り合わせ、光吸収部を形成した。次いで、光拡散シート上に、厚み2mmの透明アクリル板を重ね合わせ、実施例1のエッジライト型面光源装置を得た。面光源装置の有効面積は、縦50cm×横75cmから光吸収部を除いた縦38cm×横75cmとなっている。
【0040】
[比較例1]
反射シート上に遮光部を形成しない以外は実施例1と同様にして、比較例1のエッジライト型面光源装置を得た。
【0041】
[比較例2]
光拡散シート上に遮光部を形成しない以外は実施例1と同様にして、比較例2のエッジライト型面光源装置を得た。
【0042】
<輝度>
実施例1および比較例1、2のエッジライト型面光源装置について、有効面積(縦38cm×横75cm)内の9点の輝度を測定した。なお、9つの点は、面光源装置の有効面積で均等間隔になるように決定した。具体的には、縦38cm、横75cmがそれぞれ均等幅となるように3本の線を引き、縦横3本計6本の線が交わる9つの点を測定点とした。また、横75cmを基準とした3本の線のうちの中心線上の測定点を上から順にA、B、C、中心線から見て左側の線上の測定点を上から順にD、E、F、中心線から見て右側の線上の測定点を上から順にG、H、Iとした。A〜I点での輝度の測定結果(単位はcd/m2)を表1に示す。また、実施例1および比較例1、2について、それぞれの最低輝度を最高輝度で除した値(MIN/MAX)をあわせて表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
実施例1の面光源装置は、反射シートの光源側の端部および、中空部上の前記端部に対応する箇所の略全面に光吸収部を有するものである。したがって、測定点A〜Iの輝度差が少なく、輝度が均一に近いものであった。
【0045】
比較例1、2の面光源装置は、反射シートの光源側の端部もしくは中空部上の前記端部に対応する箇所に光吸収部を有さないものである。したがって、測定点A〜Iの輝度差が大きい(光源に遠いB、E、Hとその他の箇所の輝度差が大きい)ものであった。
【符号の説明】
【0046】
1・・・・エッジライト型面光源装置
11・・・反射シート
12・・・中空部
13・・・光源
14・・・ハウジング
15・・・光学シート
151・・プリズムシート
152・・光拡散性フィルム
161・・光吸収部
162・・光吸収部
17・・・シャーシ
2・・・光透過性の印刷物
3・・・電飾看板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射シートと、前記反射シートの上方に位置する中空部と、前記中空部の少なくとも一側端部に配置された光源と、前記中空部の上方に配置された光学シートとを備えてなり、
前記反射シートの光源側の端部および、前記中空部上の前記端部に対応する箇所の略全面に、光吸収部を有することを特徴とするエッジライト型面光源装置。
【請求項2】
前記光学シートがプリズムシート及び/又は光拡散シートであることを特徴とする請求項1記載のエッジライト型面光源装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のエッジライト型面光源装置の光学シート上に、光透過性の印刷物を配置してなることを特徴とする電飾看板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−159600(P2011−159600A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22635(P2010−22635)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000125978)株式会社きもと (167)
【Fターム(参考)】