説明

エネルギー吸収のために調整されたプロペラシャフト用プランジング型等速ジョイント

エネルギー吸収プランジング型等速ジョイントは、外部ジョイント部分(50)及び外部拡張軸方向範囲を含む。ジョイントはまた、前記外部ジョイント部分内に配置された内部ジョイント部分(44)と、前記外部ジョイント部分及び前記内部ジョイント部分間で通常軸方向範囲の範囲内に案内される複数のトルク伝達機構(58)とを含む。ジョイントは更に、前記外部ジョイント部分上で通常軸方向範囲より遠位にある拡張軸方向範囲内に配置された1つ又はそれ以上のエネルギー吸収面を含む。外部ジョイント部分上のエネルギー吸収面(71、48)は、前記外部ジョイント部分が前記通常軸方向範囲を越えて作動する時に、前記内部ジョイント部分又は前記複数のトルク伝達機構の少なくとも1つと干渉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、自動車用プロペラシャフトに関し、より具体的には、自動車用プロペラシャフト内の耐衝突性とエネルギー吸収能力が改善された等速ジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
等速ジョイントは、自動車において一般的な構成要素である。通常、等速ジョイントは、一定速度の回転運動が所望され且つ必要とされる場所で使用される。等速ジョイントの一般的なタイプには、エンドモーション型又はプランジング型、及び固定モーション型設計が含まれる。特に関心が高いのは、トライポッド型ジョイント、ダブルオフセット型ジョイント、クロスグルーブ型ジョイント、クロスグルーブハイブリッド型ジョイントを含む、エンドモーション型又はプランジング型の等速ジョイントである。これらのプランジング型ジョイントの中でもトライポッド型等速ジョイントはトルク伝達部材としてローラーを使用し、他のものはトルク伝達部材としてボールを使用する。通常これらのタイプのジョイントは、車両のフロントサイドシャフトの内方(車両の中央に向って)及びリアのサイドシャフトにおいて内方と外方側、並びに、後輪駆動、全輪駆動、四輪駆動車両において見られるプロペラシャフト上で使用される。
【0003】
プロペラシャフトは、後輪駆動や全輪駆動車両におけるように、トルクと回転運動を車両の前方からリアアクスルディファレンシャルに伝達するために自動車で一般的に使用される。プロペラシャフトはまた、四輪駆動車両においてトルクと回転運動をフロントアクスルディファレンシャルに伝達するのにも使用される。特に、ツーピースプロペラシャフトは、車両のフロント駆動ユニットとリアアクスルとの間の距離が大きい場合に通常使用される。同様にサイドシャフトは、自動車においてトルクをディファレンシャルから車輪に伝達するのに通常使用される。プロペラシャフトとサイドシャフトは、ジョイント又は一連のジョイントによってこれらそれぞれの駆動入力及び出力構成要素に連結される。プロペラシャフトとサイドシャフトの連結に使用されるジョイントのタイプには、カルダン型ジョイント、ルゼッパ型ジョイント、トライポッド型ジョイント、その他種々のボール型ジョイントが含まれる。
【0004】
トルクと回転運動の伝達に加えて、プロペラシャフトとサイドシャフトは、多くの自動車用途における軸方向移動を可能にする。具体的には、軸方向移動は、エンドモーション型又はプランジング型等速ジョイントを用いることによりツーピースプロペラシャフト内に設計される。
【0005】
機械的エネルギーの伝達と軸方向移動への対応に加えて、プランジング型等速ジョイントが適切な耐衝突性を有することが望ましい。特に、等速ジョイントを軸方向で短くして、プロペラシャフト又はサイドシャフトの座屈、室内貫通、或いはプロペラシャフト又はサイドシャフトに近接する別の車両構成要素の損傷を防止するのが望ましい。多くの衝突状況においては、車両のボディは、加速度を低減するエネルギー吸収によって短縮され、変形され、更には乗員と車両を保護する。従って、プロペラシャフトが衝突時に長さを短縮可能であり、等速ジョイントがその作動長を超えて移動可能であることが望ましい。プロペラシャフト内で等速ジョイントが衝突時にかなりの量の変形エネルギーを吸収することも望ましい。衝突状況時でのプロペラシャフト長の短縮は、プロペラシャフトを伸縮自在に収納してその後エネルギーを吸収させることによって達成される場合が多い。
【0006】
伸縮自在なプロペラシャフト組立体では、ジョイントは、プロペラシャフトの伸縮自在性を実現する前に、等速ジョイントの制限を越えて平行移動する必要がある。幾つかの設計では、プロペラシャフトは、トルクを伝達し、伸縮自在能力を維持する必要がある。別の設計では、ジョイントの伸縮自在性は、ジョイント、ジョイントケージ、又は特定のタイプのジョイント保持リングが破壊された後にだけに生じる。更に別の設計では、ジョイントは、伸縮自在特性が軸方向のジョイント変位のために使用可能となる前に、最初にボールをレース区域から離脱させ平行移動させる必要がある。伸縮自在能力の限界は、衝突状況において軸方向変位が発生し得る前に等速ジョイントが使用不能となる必要があることである。従って、衝突時に軸方向変位に対応可能な等速ジョイントを有することに対する要望が存在する。
【0007】
更に、エネルギー吸収は、等速ジョイントの機能的限界を超えた後にだけ生じる。これは、プロペラシャフトのエネルギー吸収の時間的遅延を引き起こす。この時初めてエネルギー吸収が完遂され、通常、力の段階的又はインパルスエネルギー吸収パターンを有する。最初のエネルギー吸収の後では通常、プロペラシャフト内に追加のエネルギー吸収は存在しない。しかし別の状況では、ジョイントボールが成功裏にジョイントレースを離脱してプロペラシャフト上に平行移動した後だけではあるが、追加のエネルギー吸収が存在する。従って、特にジョイントの正常な作動範囲を超えたときに、ジョイントの軸方向移動距離範囲にわたって力エネルギー吸収分布が制御され又は調整される等速ジョイントを有する要望が存在する。
【0008】
トライポッド型ジョイントにおいて上述の特徴を有することは有利となるであろう。自動車製造や供給業者は、トライポッド型ジョイントをGI型ジョイントとして一般的に認知している。本明細書の以下の本発明は、このタイプのジョイントに関する。トライポッド型ジョイントは、回転運動とトルクを伝達しながら、プロペラシャフトにおける角度変位や軸方向変位に対応するのに使用される。同様にプロペラシャフトとサイドシャフトは、駆動ユニットすなわちトランスミッションをリアアクスルギアボックス又はディファレンシャルに連結するのに使用される。トライポッド型ジョイントは、縦方向に延びる複数のトラックの間に円周方向に間隔を置いた複数の外部ボアを内部に有する外部ジョイント部分を含む。各トラックは、対向して配置された2つの縦方向サイドトラック間に間隔を置いた底部を有する。前記外部ジョイント部分内に配置され、複数のトラニオンの間に円周方向に間隔を置いた複数のスパイダー側部を有する内部ジョイント部分が存在する。各トラニオンは、トップレースとインナーレースを有し、前記トラニオンでは、内部ボアを有する複数のローラーが各前記トラニオンの前記インナーレース上に装着される。角度方向と軸方向変位は、内部ジョイントと外部ジョイントとの間に発生する。
【0009】
クロスグルーブ型ジョイントにおいて上述の特徴を有することもまた有利となるであろう。クロスグルーブ型ジョイントは、自動車製造と供給業者によってVL型ジョイントとして一般に知られており、以下の本明細書での本発明は、このタイプのジョイントに関する。VLジョイントは、自動車のプロペラシャフトにおいて回転方向と軸方向変位に対応するため、及び連接(角度的に移動)可能に連結された少なくとも2つのシャフト部分を有するリアアクスルギアボックスに駆動ユニットを連結するために使用される。ジョイントは、外部ボールトラックを備える外部ジョイント部分と、内部ボールトラックを備える内部ジョイント部分と、各々が互いに関連付けられた外部と内部ボールトラック内に案内される複数のトルク伝達ボールとを有する。一方の関連付けられた外部ボールトラックや他方の関連付けられた内部ボールトラックが、ジョイントの中心軸に対して交差する角度を形成し、これらは大きさが同じで方向が反対に設定される。ボールは、ボールケージによってジョイントが軸方向に変位しているか又は連接されている場合に等速平面内に保持され、該ボールケージは、各々がボールの1つに対応する複数のケージウィンドウを備えている。外部ジョイント部分は中空シャフトに連結され、内部ジョイント部分は、軸方向変位を許容する連結シャフトに連結される。
【0010】
クロスグルーブハイブリッド型ジョイントにおいて上述の特徴を有することも有利となるであろう。クロスグルーブハイブリッド型ジョイントは、自動車製造や供給業者によってSX型又はXL型ジョイントとして一般に知られており、以下の本明細書の本発明はこのタイプのジョイントに関する。SX型ジョイントは、プロペラシャフトにおいて角度方向と軸方向変位に対応するために使用される。プロペラシャフトは、同様に、少なくとも2つの連接可能に連結されたシャフト部分を有するリアアクスルギアボックスに駆動ユニットすなわちトランスミッションを連結するために使用される。ジョイントは、外部ボールトラックを備える外部ジョイント部分と、内部ボールトラックを備える内部ジョイント部分と、互いに関連付けられた外部と内部ボールトラック内に各々が案内される複数のトルク伝達ボールとを有する。一方の関連付けられた外部ボールトラックと、他方の関連付けられた内部ボールトラックとがジョイントの中心軸に対して交差する角度を形成し、これらは大きさが同じで方向が反対に設定される。これらの関連付けられた外部と内部トラックは、軸線に対し軸方向に直線状である内部ボールトラックと外部ボールトラックの対応するペアと交互している。ボールは、ボールケージによってジョイントが軸方向に変位しているか又は連接されている場合に等速平面内に保持され、該ボールケージは、各々がボールの1つに対応する複数のケージウィンドウを備えている。外部ジョイント部分は中空シャフトに連結され、内部ジョイント部分は、軸方向変位を許容する連結シャフトに連結される。
【0011】
ダブルオフセット型ジョイントにおいて上述の特徴を有することも有利となるであろう。ダブルオフセット型ジョイントは、自動車製造や供給業者によってDO型ジョイントとして一般に知られており、以下の本明細書での本発明は、このタイプのジョイントに関する。ダブルオフセット型ジョイントは、プロペラシャフトにおいて角度方向と軸方向変位に対応するために使用される。プロペラシャフトは、同様に、駆動ユニットすなわちトランスミッションをリアディファレンシャルに連結するために使用される。該ディファレンシャルは、複数の直線型ボールトラックがその内部円筒面上に軸方向に形成される外部ジョイント部分を有する。外部ジョイント部分は、内部ジョイント部分を収容し、該内部ジョイント部分内には、複数の直線型ボールトラックが、その外部球面上に軸方向に形成され、等しい数のトルク伝達ボールが、ボールケージ内のケージウィンドウによって保持され、更に、外部と内部ボールトラックのペア内に位置付けされる。ケージの外部球面の球中心と内部凹面の球中心とが、ケージウィンドウの中心から軸方向で反対側にオフセットしているので、これらは、「ダブルオフセット型」と呼ばれる。この種類のジョイントが動作角を取りながらトルクを伝達すると、ケージは、内部ジョイント部分の傾斜に応答してボールトラック内を移動するトルク伝達ボールの位置まで回転し、動作角と交差する等速平面上にトルク伝達ボールを保持する。更に、外部ジョイント部分と内部ジョイント部分とが軸方向で相対的に変位すると、ケージの外部球面と外部ジョイント部分の内部円筒面との間にスリップが生じ、平滑な軸方向変位(プランジング)が確実なものとする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、耐衝突性及びエネルギー吸収性を改善するための少なくとも1つのエネルギー吸収要素を有する、車両用ドライブラインで使用する等速ジョイントに関する。特に、本明細書で説明する等速ジョイントの少なくとも1つのエネルギー吸収要素は、ジョイントの通常の軸方向移動範囲を越えた軸方向変位に対してジョイントのエネルギー吸収を制御するように調整される。
【0013】
本発明の1つの実施態様は、耐衝突性の改善を目的としたエネルギー吸収プランジング型等速ジョイントを提供する。具体的には、等速ジョイントは、通常軸方向範囲と拡張軸方向範囲を内部に備え、さらに、縦方向に延びる複数のトラックの間に円周方向に間隔を置いた複数の外部ボアを内部に備える外部ジョイント部分を有する。各トラックは、対向して配置された2つのサイドトラックの間に間隔を置いた底部を有する。更に、内部ジョイント部分は、前記外部ジョイント部分内に配置されて、複数のトラニオン間に円周方向に間隔を置いた複数のスパイダー側部を有する。各トラニオンは、トップ部及びインナーレースを有する。加えて、各々が内部ボアを有する複数のローラーは、各トラニオンのインナーレースに近接して装着される。角度方向と軸方向変位は、内部ジョイント部分と外部ジョイント部分との間に発生する。少なくとも1つのエネルギー吸収面は、外部ジョイント部分上で拡張軸方向範囲内に配置される。この場合、ジョイントが前記通常軸方向範囲を越えて作動するときにエネルギー吸収面が内部ジョイント部分と干渉し、ジョイントがスラストエネルギーを吸収する。
【0014】
本発明の更なる実施態様は、耐衝突性の改善を目的としたエネルギー吸収プランジング型等速ジョイントを提供する。具体的には、等速ジョイントは、外部ジョイント部分、内部ジョイント部分、複数のトルク伝達ボール、ボールケージを有し、そのボールケージは外部と内部ジョイント部分の外部と内部ボールトラック内にトルク伝達ボールを保持するためのケージウィンドウを備える。トルク伝達ボールは、ボールケージによって等速平面内に保持されて、外部と内部ボールトラックの対応するペアによって案内される。外部と内部ボールトラックは、軸線に対して交差する角度を形成し、該角度は、大きさが同一であるが互いに反対方向のセットである。外部ジョイント部分と内部ジョイント部分は、プロペラシャフトにおいてトルクを伝達する際に通常軸方向範囲内で作動する。内部ジョイント部分と外部ジョイント部分が通常軸方向範囲を越えてスラストされたときに軸方向運動に対応することができる内部拡張軸方向範囲及び外部拡張軸方向範囲が存在する。外部拡張軸方向範囲内又は内部拡張軸方向範囲内に配置された少なくとも1つのエネルギー吸収面が存在する。エネルギー吸収面は、ジョイントが前記通常軸方向範囲を越えて作動するときにトルク伝達ボールの少なくとも1つに干渉し、ジョイントがスラストエネルギーを吸収するのを可能にする。
【0015】
本発明の更に別の実施態様は、耐衝突性の改善を目的としたエネルギー吸収プランジング型等速ジョイントを提供する。具体的には、等速ジョイントは、外部ジョイント部分、内部ジョイント部分、複数のトルク伝達ボール、ボールケージを有し、そのボールケージは、外部と内部ジョイント部分の外部と内部ボールトラック内にトルク伝達ボールを保持するためのケージウィンドウを備える。トルク伝達ボールは、ボールケージによって等速平面内に保持されて、外部と内部ボールトラックの対応するペアによって案内される。外部と内部ボールトラックは、軸線に対して交差する角度を形成し、該角度は、大きさが同じだが、互いに逆方向に設定される。外部と内部ボールトラックの対応するペアは、軸線に対して軸方向で直線状である内部ボールトラックと外部ボールトラックに対応する別のペアと変えることができる。外部ジョイント部分と内部ジョイント部分は、プロペラシャフトにおいてトルクを伝達するときに通常軸方向範囲内で作動する。内部ジョイント部分と外部ジョイント部分が通常軸方向範囲を越えてスラストされたときに軸方向運動に対応できる内部拡張軸方向範囲と外部拡張軸方向範囲が存在する。外部拡張軸方向範囲内に又は内部拡張軸方向範囲内に位置付けられた少なくとも1つのエネルギー吸収面が存在する。エネルギー吸収面は、ジョイントが前記通常軸方向範囲を越えて作動するときにトルク伝達ボールの少なくとも1つと干渉して、ジョイントがスラストエネルギーを吸収するのを可能にする。
【0016】
本発明の更なる実施態様は、耐衝突性の改善を目的としたエネルギー吸収プランジング型等速ジョイントを提供する。具体的には、等速ジョイントは、外部ジョイント部分、内部ジョイント部分、複数のトルク伝達ボール、ボールケージを有し、そのボールケージは、外部と内部ジョイント部分の外部と内部ボールトラック内にトルク伝達ボールを保持するためのケージウィンドウを備える。トルク伝達ボールは、ボールケージによって等速平面内に保持され、外部と内部ボールトラックの対応するペアによって案内される。ボールケージは、外部ジョイント部分の内部ボアによって接触して案内される外部球面、及び、内部ジョイント部分の凸面によって接触して回転可能に案内される内部凹面を有する。外部ジョイント部分は、通常軸方向範囲、拡張軸方向範囲、その拡張軸方向範囲内に配置された少なくとも1つのエネルギー吸収面を有する。この場合、エネルギー吸収面は、ジョイントが通常軸方向範囲を越えて作動する時にトルク伝達ボールの少なくとも1つに干渉して、ジョイントがスラストエネルギーを吸収するのを可能にする。
【0017】
本発明の1つの特徴は、ジョイントがその通常軸方向範囲を越えてスラストされたときに拡張軸方向範囲内でエネルギーを吸収することである。本発明自体は、更なる目的及び意図された利点と共に添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって最も良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明をより完全に理解するために、添付図面において極めて詳細に図示され、本発明の実施例を用いて以下で説明する実施形態を参照する必要がある。
【0019】
以下の説明では、種々の動作パラメータと構成要素が1つの構成された実施形態について説明される。これらの特定のパラメータと構成要素は、例として含められ、限定を意図するものではない。
【0020】
本発明は、車両のプロペラシャフト内での耐衝突性を改善した装置に関して説明するが、以下の装置は、自動車の駆動アクスルや伸縮可能プロペラシャフト組立体を必要とする他の車両や非車両用途を含む種々の目的に適応させることが可能である。
【0021】
次に図1を参照すると、本発明による等速ジョイント11を使用することによりって利点をもたらすことができる四輪駆動車両用ドライブライン10の平面図を示す。図1に示すドライブラインは、四輪駆動車両において典型的であるが、本発明による等速ジョイント11はまた、後輪駆動専用車両、前輪駆動専用車両、全輪駆動車両、四輪駆動車両においても使用可能である点に留意されたい。車両用ドライブライン10は、トランスミッション16に連結されたエンジン14やトランスファーケース18のような動力取出し装置を含む。フロントディファレンシャル20は、右側サイドシャフト22と左側サイドシャフト24とを含み、その各々が車輪に連結されて、これらに動力を伝達する。右側フロントサイドシャフト22と左側フロントサイドシャフト24の両端部上に、等速ジョイント12がある。フロントプロペラシャフト25は、フロントディファレンシャル20をトランスファーケース18に連結する。プロペラシャフト26は、トランスファーケース18をリアディファレンシャル28に連結し、該リアディファレンシャル28は、リア右側サイドシャフト30とリア左側サイドシャフト32に連結され、これらの各々が、それぞれの車輪に連結される。等速ジョイント12は、後輪をリアディファレンシャル28に連結するサイドシャフト30、32の両端部上に配置される。図1に示すプロペラシャフト26は、ツーピースプロペラシャフトである。各端部は、カルダンジョイント、或いは等速ジョイント又は非等速ジョイントの幾つかの種類のいずれか1つを含むことができるロータリージョイント34を含む。プロペラシャフト26の2つの部品間には、本発明による高速度等速ジョイント11と中間シャフト軸受のような支持部36がある。等速ジョイント11、12、34は、車輪又はシャフト25、26が車両のサスペンションの操舵又は昇降に起因した変化する角度を有する場合でさえも、プロペラシャフト26、フロントプロペラシャフト25、サイドシャフト22、24、30、32を介して動力を車輪に伝達する。等速ジョイント11、12、34は、プランジングトライポッド型ジョイント、クロスグルーブ型ジョイント、クロスグルーブハイブリッド型ジョイント又はダブルオフセット型ジョイント、或いは他のいずれかのタイプの等速ジョイントなどの公知で且つ有利に使用される標準的なタイプのいずれかとすることができる。
【0022】
図2は、本発明の実施形態による1つ又はそれ以上の等速ジョイント11、34を含む車両用プロペラシャフト26組立体の半断面図を示す。プロペラシャフト26組立体は、等速ジョイント11、34の1つ、2つ、又はその組み合わせを含むことができる。等速ジョイントは、一体鋳造型、ディスク型、フランジ型、又は、当該技術分野で公知の別の型であってもよい。プロペラシャフト26組立体は、プロペラシャフト26によりトルクをトランスミッション16からリアディファレンシャル28に伝達する。等速ジョイント11、34は、軸方向にプランジング可能である。等速ジョイント11、34は、内部ジョイント部分38と外部ジョイント部分40とを有する。等速ジョイント11の外部ジョイント部分40は、中空シャフト42の一方端部に、例えば摩擦溶接によって連結される。中空シャフト42は、その外径よりも小さな内径と2つの開口端部とを備える円筒型シェルを有するものとして定義される。中空シャフト42の他端部は、プロペラシャフト26の向きに応じてリアディファレンシャル28又はトランスミッション16に連結可能なロータリージョイント35に連結される。内部ジョイント部分38内には連結シャフト44が挿入されており、該連結シャフト44は、ジョイント11から一定の距離でシャフト軸受36によって支持される。
【0023】
同様に、組み合わせて、代替として、等速ジョイント34の外部ジョイント部分40は、中空シャフト43の一端部に例えば図示していないボルト連結によって連結される。中空シャフト43の他端部は、連結シャフト44の反対側にあるシャフト軸受36に連結される。内部ジョイント部分38内には、連結シャフト45が挿入されており、該連結シャフトは、プロペラシャフト26の向きに応じてトランスミッション16又はリアディファレンシャル28に連結可能である。プロペラシャフト26組立体は、プロペラシャフト26によりトルクをトランスミッション16からリアディファレンシャル28に伝達する。
【0024】
トルクの伝達に加えて、プロペラシャフト26は、等速ジョイント11、34内で軸方向と角度方向変位に対応することができる。中空シャフト43、43の軸方向移動と連接は、連結シャフト44、45に対して相対的である。軸方向移動は、シャフト中心線に対して相対的である。しかしながら、特定の衝突状況では、連結シャフト44、45は、調整されたエネルギー吸収面と係合しながらジョイントの正常な作動範囲を越えてシャフト42、43へ向って軸方向にスラストする。調整されたエネルギー吸収面は、等速ジョイント11、34の拡張軸方向範囲にわたって延びる。この拡張軸方向範囲を超過し、ジョイント部品が中空シャフト42、43内に開放されるか、又は中空シャフト42、43によって阻止されるまではエネルギーを吸収することができる。エネルギー吸収面によって引き起こされる干渉量の増加又は減少により軸方向移動に必要なスラストを増加又は減少させることが可能である。
【0025】
以下の本開示事項を明確にするために、内部ジョイント部分52を図3、図4、図5の半断面図において円筒で示し、該断面図はトラック60のローラー58の1つを示すことができる。図3、図4、図5を検討する際には、図6、図7、図8も同様に参照する。
【0026】
図3は、プロペラシャフト組立体における本発明の1つの実施形態による等速ジョイント11の半断面図を示す。ジョイント11は、軸方向にプランジング可能なトライポッド型等速ジョイントであり、外部ジョイント部分50、内部ジョイント部分52、複数のローラー58を含む。外部ジョイント部分50は、通常軸方向範囲N、拡張軸方向範囲E、複数の外部ボア74を内部に含み、複数の外部ボア74は縦方向に延びる複数のトラック60の間に円周方向に間隔を置いて配置され、各トラック60は、対向して配置された2つのサブトラック80間に間隔を置いた底部86を有する。
【0027】
内部ジョイント部分52は、前記外部ジョイント部分50内に配置され、複数のトラニオン53の間に円周方向に間隔を置いた複数のスパイダー側部54を有する。トラニオン53の各々は、トップ部55とインナーレース56を有する。複数のローラー58は内部ボア59を有する。ローラー58の各々は、トラニオン53の1つのインナーレース56上に装着される。このように、外部ジョイント部分50と内部ジョイント部分52は、縦方向に延びるトラック60内に配置されたローラー58を介して駆動可能に連結され、内部ジョイント部分52と外部ジョイント部分50との間の角度方向と軸方向変位を可能にする。
【0028】
外部ジョイント部分50は、例えば摩擦溶接によって外部ジョイント部分に固定される中空シャフト42に連結される。中空シャフト42はまた、フランジを付けられて、例えばボルトにより外部ジョイント部分に連結されてもよい。
【0029】
内部ジョイント部分52内に連結シャフト44が挿入されている。プレートキャップ46は、外部ジョイント部分50に固定される。回旋形状ブート47が、プレートキャップ46を連結シャフト44に対してシールする。円筒状開口端部66における、すなわち中空シャフト42に向うジョイント11の他の端部は、グリースカバー48によってシールされる。加えて、グリースカバー48は、連結シャフト44が等速ジョイント11の拡張軸方向範囲Eを越えてスラストされる場合に幾らかのエネルギー吸収をもたらすことができる。等速ジョイント11は、その通常軸方向範囲N内で動作するように設計されるが、衝突又は偶発的なスラストによる圧縮は、拡張軸方向範囲E内又はこれを過ぎて内部ジョイント部分52とローラー58を押し進めるように印加される。
【0030】
本発明のこの実施形態では、ジョイントは、サークリップ71である調整されたエネルギー吸収面70を有する。サークリップ71は、拡張軸方向範囲Eで円周方向に配置されて、外部ジョイント部分50の内面51に結合される。本実施形態では、サークリップ71は、好ましくは金属又はプラスチックの変形可能材料で作られた環状リングであり、縦方向に延びるトラック60内にあるように外部ジョイント部分50内に位置決めされる。衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト44が、内部ジョイント部分52とローラー58と共にジョイント11の通常軸方向範囲Nを越えて拡張軸方向範囲E内にスラストされると、内部ジョイント部分52のローラー58、トップ部55又はスパイダー側部54は、サークリップ71と干渉するか、又はサークリップ71によって阻止される。サークリップ71の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント11とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。サークリップ71は、ジョイント11の構成要素の運動を阻止している間、除去、変形、又は破断される可能性がある。サークリップ71は、様々なレベルの力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント11内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、サークリップ71の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。図示しないが、1つより多いサークリップ71が、等速ジョイント11の拡張軸方向範囲E内に配置されてもよい。
【0031】
このように、通常の動作条件下では、内部ジョイント部分52とローラー58は、等速ジョイント11の通常軸方向範囲N内で動作する。しかしながら、特定の衝突状況では、連結シャフト44が、内部ジョイント部分52とローラー58と共に中空シャフト42に向かってスラストされ、外部ジョイント部分50の内面51上でのサークリップ71の阻止によって引き起こされる拡張軸方向範囲Eに沿ってトラックとボアのエネルギーを吸収することが可能となる。サークリップ71は、塑性エネルギーを吸収する拡張軸方向範囲E上に存在する異物とすることができることが企図される。
【0032】
図4は、本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図を示す。本実施形態では、ジョイントは、ボア表面75である調整されたエネルギー吸収面73を有する。ボア表面75は拡張軸方向範囲E内に円周方向に配置され、傾斜Θを有し、縦方向に延びる2つの何らかのトラック60間で外部ジョイント部分50の外部ボア74に結合される。加えて又は代替的に、ボア表面75は、複数の傾斜、段階的傾斜又は可変傾斜を有することができる。ボア表面75は、何らかの1つ又はそれ以上の縦方向に延びるトラック60間に、或いは拡張軸方向範囲Eにおける全ての外部ボア上全体に配置することができる。ボア表面75は、外部ボア74上への材料の積層化(すなわち溶接)によって、又は、機械加工中の外部ボア74のアンダーカットによって加工することができる。1つの実施形態では、機械加工中に外部ボア74を縮径して拡張軸方向範囲E内に傾斜Θを形成することにより、外部ジョイント部分50と同じ材料でボア表面75を加工することが企図される。しかしながら、当業者であれば、ボア表面75は、幾つかの方法の中でも、外部ボア74上に材料のタッキング、スタッキング又はリベット締めを行うことによって形成される(図7を参照)ことを理解するであろう。このように、衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト44が、内部ジョイント部分52とローラー58と共にジョイント11の通常軸方向範囲Nを越えて拡張軸方向範囲E内にスラストされると、内部ジョイント部分52のスパイダー側部54は、ボア表面75と干渉するか、或いはボア表面75によって阻止される。ボア表面75の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント11とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。ボア表面75は、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント11内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、ボア表面75の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。図3に示すように、等速ジョイント11の拡張軸方向範囲Eにおいてあらゆる数のボア表面75をあらゆる数のサークリップ71と組み合わせて、調整され、制御されたエネルギー吸収速度を実現することができる。
【0033】
このように、通常の動作条件下では、内部ジョイント部分52とローラー58は、等速ジョイント11の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、内部ジョイント部分52とローラー58と共に連結シャフト44が中空シャフト42に向かってスラストされ、外部ジョイント部分50のボア表面75の阻止によって引き起こされる拡張軸方向範囲Eに沿ったボアのエネルギー吸収が可能となる。
【0034】
更に、底面88である、調整されたエネルギー吸収面87を有するジョイントの代替的な実施形態を図4に示す。底面88は、拡張軸方向範囲Eにおいて円周方向に配置され、傾斜Θ1を有し、縦方向に延びるトラック60の対向して配置された2つの何らかのサイドトラック80間で外部ジョイント部分50の底部86に連結される。加えて又は代替的に、底面88は、複数の傾斜、段階的傾斜、又は可変傾斜を有することができる。3つの傾斜を本実施形態の底面88において図4に示す。底面88は、拡張軸方向範囲Eにおいて1つ又はそれ以上の縦方向に延びるトラック60のいずれかの間に配置することができる。底面88は、底部86上への材料の積層化(すなわち溶接)によって、又は、ブローチ加工中の底面88のアンダーカットによって加工することができる。1つの実施形態では、機械加工中に底面88を縮径して拡張軸方向範囲E内に傾斜Θ1を形成することにより、外部ジョイント部分50と同じ材料で底面88を加工することが企図される。しかしながら、当業者であれば、底面88は、幾つかの方法の中でも、底部86上に材料のタッキング、スタッキング又はリベット締めを行うことによって形成される(図7を参照)ことを理解するであろう。このように、衝突などの偶発的な力が作用した結果として、内部ジョイント部分52とローラー58と共に連結シャフト44が、ジョイント11の通常軸方向範囲Nを越えて拡張軸方向範囲E内にスラストされると、内部ジョイント部分52のトップ部55は、底面88と干渉するか、又は底面88によって阻止される。底面88の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント11とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。底面88は、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント11内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、底面88の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。等速ジョイント11の拡張軸方向範囲Eにおいてあらゆる数の底面88をあらゆる数のサークリップ71又はボア表面75と組み合わせて、調整され制御可能なエネルギー吸収速度を実現することができる。
【0035】
このように、通常の動作条件下では、内部ジョイント部分52とローラー58は、等速ジョイント11の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、内部ジョイント部分52とローラー58と共に連結シャフト44が中空シャフト42に向かってスラストされ、外部ジョイント部分50の底面88の阻止によって引き起こされる拡張軸方向範囲Eに沿った底部のエネルギー吸収が可能となる。
【0036】
図5は、本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図を示す。本実施形態では、ジョイントは、トラック面82である調整されたエネルギー吸収面81を有する。トラック面82は、テーパ84を有し、外部ジョイント部分50の縦方向に延びるトラック60の拡張軸方向範囲Eにおいてサイドトラック80上に配置される。他のサイドトラック80のいずれかの上に配置された1つ又はそれ以上のトラック面82が存在してもよい。テーパ84は、図示のように拡張軸方向範囲E全体にわたり直線的に延びることができる。或いは、図示はしないが、トラック面は、寸法が増大又は減少する可変テーパ又は階段状テーパを有してもよい。トラック面82は、サイドトラック80上への材料の積層化(すなわち溶接)によって、又は、ブローチ加工中のトラック面82のアンダーカットによって加工することができる。1つの実施形態では、機械加工中に拡張軸方向範囲Eにおいてトラック面82テーパを縮小することにより、トラック面82が外部ジョイント部分50と同じ材料で加工される点が企図される。しかしながら、当業者であれば、トラック面82は、幾つかの方法の中でも、底部86上に材料のタッキング、スタッキング又はリベット締めを行うことによって形成される(図7を参照)ことを理解するであろう。このように、衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト44が、内部ジョイント部分52とローラー58と共にジョイント11の通常軸方向範囲Nを越えて拡張軸方向範囲E内にスラストされると、ローラー58は、トラック面82と干渉するか、又はトラック面82によって阻止される。トラック面82の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント11とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。トラック面82は、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント11内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、トラック面82の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。
【0037】
このように、通常の動作条件下では、内部ジョイント部分52とローラー58は、等速ジョイント11の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、内部ジョイント部分52とローラー58と共に連結シャフト44が中空シャフト42に向かってスラストされ、外部ジョイント部分50のトラック面82上での内部ジョイント部分52のローラー58の阻止によって引き起こされる拡張軸方向範囲Eに沿ったトラックのエネルギー吸収が可能となる。
【0038】
図6は、本発明による等速ジョイントの外部ジョイント部分の断面図を示す。外部ボア74と縦方向に延びるトラック60とを有する外部ジョイント部分50が示されている。縦方向に延びるトラック60は、対向して配置された2つの縦方向サイドトラック80間に間隔を置いた底部86を有する。拡張軸方向範囲には、エネルギー吸収面73、81、87があり、これらはそれぞれ、ボア表面75、トラック面82、底面88である。ボア表面75は、外部ボア74上に配置され、トラック面82は、サイドトラック80上に配置され、底面88は、底部86上に配置され、これらの全ては、外部ジョイント部分50の拡張軸方向範囲に存在する。
【0039】
1つ又はそれ以上のトラック面82、1つ又はそれ以上のサークリップ71、1つ又はそれ以上の底面88、1つ又はそれ以上のボア表面75を組み合わせて、等速ジョイント11がその通常軸方向範囲Nを越えて作動する際に、制御され、調整されたエネルギー吸収速度を実現することができる。
【0040】
図10は、プロペラシャフト組立体における本発明の1つの実施形態による等速ジョイント111の半断面図を示す。ジョイント111は、軸方向にプランジング可能なクロスグルーブ型等速ジョイントである。等速ジョイント111は、外部ジョイント部分150、内部ジョイント部分152、ボールケージ154を含み、さらにケージウィンドウ158内に各々が保持される1つより多いトルク伝達ボール156を含む。外部ジョイント部分150は、中空シャフト142に近接して配置された円筒状開口端部166と、通常軸方向範囲N及び外部拡張軸方向範囲Eを有する外部ジョイント部分150の長さ全体にわたって縦方向に延びる外部ボールトラック160とを含む。内部ジョイント部分152は、通常軸方向範囲N及び内部拡張軸方向範囲IEを有する内部ジョイント部分152の長さ全体にわたって縦方向に延びる内部ボールトラック161を含む。内部ジョイント部分152の内部拡張軸方向範囲IEは、外部ジョイント部分150の外部拡張軸方向範囲Eから反対方向で通常軸方向範囲N付近に対応して位置付けられる。各内部ボールトラック161は、対応する外部ボールトラック160と関連付けられ、軸線に対して交差する角度を形成する。この角度は、大きさは同じで逆方向に設定し、内部ボールトラック161と外部ボールトラック160に対応する。各内部ボールトラック161の長さは、各外部ボールトラック160の長さと同じ大きさであるが、図面では本発明の態様を明確にするために長さが異なるように示している。或いは、内部ボールトラック161と外部ボールトラック160は、様々な長さを有することが可能であり、これらの短い方は、2つの長い方の交差角に対応して比例することが理解できる。従って、外部ジョイント部分150と内部ジョイント部分152は、ボールトラック160、161内に配置されたトルク伝達ボール156を介して駆動可能に連結され、ボールトラック160、161の各対応するペアに対して1つのトルク伝達ボール156が存在する。トルク伝達ボール156は、ボールケージ154によって等速平面内に位置決めされて維持され、ここではボールケージ154が2つのジョイント部分150、152の間に配置される。ボールケージ154が内部ジョイント部分152と外部ジョイント部分150に位置決め可能に係合していないので、等速ジョイント111は軸方向移動を可能にする。
【0041】
外部ジョイント部分150は、例えば摩擦溶接によって外部ジョイント部分に固定される中空シャフト142に連結される。中空シャフト142はまた、フランジを付けられて、例えばボルトにより外部ジョイント部分に連結されてもよい。
【0042】
内部ジョイント部分152内に連結シャフト144が挿入されている。プレートキャップ146は、外部ジョイント部分150に固定される。回旋状ブート147が、プレートキャップ146を連結シャフト144に対してシールする。円筒状開口端部166における、すなわち中空シャフト142に向うジョイント111の他の端部は、グリースカバー148によってシールされる。加えて、カバー148は、連結シャフト144が等速ジョイント111の拡張軸方向範囲Eを越えてスラストされる場合に幾らかのエネルギー吸収をもたらすことができる。等速ジョイント111は、その通常軸方向範囲N内で動作するように設計されるが、衝突又は偶発的なスラストによる圧縮は、両方のジョイント構成要素の拡張軸方向範囲E、IE内へ又はこれを過ぎて内部ジョイント部分152、ボールケージ154、トルク伝達ボール156を押し進めるように印加される。
【0043】
本発明の本実施形態では、ジョイントは、サークリップ176である調整されたエネルギー吸収面174を有する。サークリップ176は、外部拡張軸方向範囲Eで円周方向に配置されて、外部ジョイント部分150に結合される。本実施形態では、サークリップ176は、好ましくは金属又はプラスチックの変形可能材料で作られた環状リングであり、外部ボールトラック160内にあるように外部ジョイント部分150内に位置決め可能である。衝突などの偶発的な力が作用した結果として、内部ジョイント部分152、トルク伝達ボール156、ボールケージ154と共に連結シャフト144が、ジョイント111の通常軸方向範囲Nを越えて外部拡張軸方向範囲E内にスラストされると、トルク伝達ボール156は、サークリップ176と干渉するか、又はサークリップ176によって阻止される。サークリップ176の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント111とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。サークリップ176は、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント111内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、サークリップ176の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。1つより多いサークリップ176が、等速ジョイント111の外部拡張軸方向範囲E内に配置されてもよい。
【0044】
加えて又は代替的に、サークリップ176は、内部拡張軸方向範囲IE内に円周方向に配置されて、内部ジョイント部分152(図3には示さず)に結合されもよい。衝突などの偶発的な力が作用した結果として、内部ジョイント部分152、トルク伝達ボール156、ボールケージ154と共に連結シャフト144が、ジョイント111の通常軸方向範囲Nを越えて内外部拡張軸方向範囲IE内にスラストされると、トルク伝達ボール156は、サークリップ176と干渉するか、又はサークリップ176によって阻止される。サークリップ176の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント111とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。
【0045】
このように、通常の動作条件下では、トルク伝達ボール156は、等速ジョイント111の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、内部ジョイント部分152、ボールケージ154、トルク伝達ボール156と共に連結シャフト144が、中空シャフト142に向かってスラストされ、外部ジョイント部分150上か又は内部ジョイント部分152に対するそれぞれサークリップ176の阻止によって引き起こされる外部拡張軸方向範囲E又は内部拡張軸方向範囲IEに沿ったトラックとボアのエネルギー吸収が可能となる。本ジョイントが、外部拡張軸方向範囲E内に位置付けられるときには、ジョイントはこれに対応して内部拡張軸方向範囲IE内に位置付けられる。サークリップ176は、この実施形態において与えられたリングと同等のエネルギー吸収効果を有し、塑性エネルギーを吸収する、外部拡張軸方向範囲E又は内部拡張軸方向範囲IE上に存在する異物とすることができることが企図される。
【0046】
図11は、本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図を示す。本実施形態では、ボア表面182である調整されたエネルギー吸収面180が存在する。ボア表面182は、拡張軸方向範囲E内に円周方向に配置され、傾斜Θを有し、2つの何らかのボールトラック160間で外部ジョイント部分150の内部ボア164に結合される。加えて又は代替的に、ボア表面182は、複数の傾斜、段階的傾斜又は可変傾斜を有することができる。ボア表面182は、1つ又はそれ以上の外部ボールトラック160の何らかのセットの間に、或いは外部拡張軸方向範囲Eにおける内部ボア表面164全体に配置することができる。ボア表面182は、外部ジョイント部分150の内部ボア表面164上への材料の積層化(すなわち溶接)によって、又は、機械加工中の内部ボア表面164のアンダーカットによって加工することができる。1つの実施形態では、機械加工中に内部ボア164を縮径して外部拡張軸方向範囲E内に傾斜Θを形成することにより、外部ジョイント部分150と同じ材料でボア表面182を加工することが企図される。しかしながら、当業者であれば、ボア表面182は、幾つかの方法の中でも、内部ボア164上に材料のタッキング、スタッキング又はリベット締めを行うことによって形成されることを理解するであろう。このように、衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト144が、内部ジョイント部分152、トルク伝達ボール156、ボールケージ154と共に、ジョイント111の通常軸方向範囲Nを越えて外部拡張軸方向範囲E内にスラストされると、ボールケージ154は、ボア表面182と干渉するか、又はボア表面182によって阻止される。ボア表面182の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント111とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。ボア表面182は、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント111内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、ボア表面182の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。
【0047】
加えて又は代替的に、エネルギー吸収面180は、内部ジョイント部分152の外面162上で内部拡張軸方向範囲IE内に配置された内部エネルギー吸収面181とすることができる。衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト144が、内部ジョイント部分152、トルク伝達ボール156、ボールケージ154と共に、ジョイント111の通常軸方向範囲Nを越えて内部拡張軸方向範囲IE内にスラストされると、ボールケージ154は、内部エネルギー吸収面181と干渉するか、又は内部エネルギー吸収面181によって阻止される。内部エネルギー吸収面181の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント111とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。
【0048】
このように、通常の動作条件下では、ボールケージ154は、等速ジョイント111の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、連結シャフト144が、内部ジョイント部分152、ボールケージ154、トルク伝達ボール156と共に中空シャフト142に向かってスラストされ、外部ジョイント部分150又は内部ジョイント部分152に対するそれぞれエネルギー吸収面180の阻止によって引き起こされる外部拡張軸方向範囲E及び又は内部拡張軸方向範囲IEに沿ったボアのエネルギー吸収が可能となる。
【0049】
等速ジョイント111の外部拡張軸方向範囲E又は内部拡張軸方向範囲IEにおいて、あらゆる数の内部エネルギー吸収面181又はボア表面182を図10に示すあらゆる数のサークリップ176と組み合わせて、調整され、制御されたエネルギー吸収特性を実現することができる。
【0050】
図12は、本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図を示す。本実施形態では、トラック面188である調整されたエネルギー吸収面186が存在する。トラック面188は、テーパ190を有し、外部ジョイント部分150の外部ボールトラック160の外部拡張軸方向範囲Eにおいて縦方向に配置される。他の外部ボールトラック160のいずれかの1つの上に配置された1つ又はそれ以上のトラック面188が存在してもよい。テーパ190は、図13の配置図に示すように外部拡張軸方向範囲E全体にわたり直線的に延びることができる。或いは、トラック面は、寸法が増大又は減少する可変テーパ又は階段状テーパを有してもよい。このように、衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト144が、内部ジョイント部分152、トルク伝達ボール156、ボールケージ154と共に、ジョイント111の通常軸方向範囲Nを越えて外部拡張軸方向範囲E内にスラストされると、トルク伝達ボール156は、トラック面188と干渉するか、又はトラック面188によって阻止される。トラック面188の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント111とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。トラック面188は、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント111内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、トラック面188の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。サークリップ176は、図12に示すようにトラック面188と組み合わせられるが、任意選択的であり必須ではない。
【0051】
加えて又は代替的に、テーパ191を有するトラック面189は、内部ジョイント部分152の内部ボールトラック161の内部拡張軸方向範囲IEにおいて縦方向に配置される。他の内部ボールトラック161のいずれかの1つの上に配置された1つ又はそれ以上のトラック面189が存在してもよい。テーパ191は、図14の配置図に示すように内部拡張軸方向範囲IE全体にわたり直線的に延びることができる。或いは、トラック面は、寸法が増大又は減少する可変テーパ又は階段状テーパを有してもよい。このように、衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト144が、内部ジョイント部分152、トルク伝達ボール156、ボールケージ154と共に、ジョイント111の通常軸方向範囲Nを越えて内部拡張軸方向範囲IE内にスラストされると、トルク伝達ボール156は、トラック面189と干渉するか、又はトラック面189によって阻止される。トラック面189の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント111とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。
【0052】
このように、通常の動作条件下では、トルク伝達ボール156は、等速ジョイント111の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、連結シャフト144が、内部ジョイント部分152、ボールケージ154、トルク伝達ボール156と共に、中空シャフト142に向かってスラストされ、外部ジョイント部分150又は内部ジョイント部分152にそれぞれ対するトラック面188、189の阻止によって引き起こされる外部拡張軸方向範囲E及び又は内部拡張軸方向範囲IEに沿ったトラックのエネルギー吸収が可能となる。
【0053】
1つ又はそれ以上のトラック面188、189、1つ又はそれ以上のサークリップ176、1つ又はそれ以上の内部エネルギー吸収面181、1つ又はそれ以上のボア表面182を組み合わせて、等速ジョイント111が通常軸方向範囲Nを越えて作動する際に、制御され、調整されたエネルギー吸収速度を実現することができる。
【0054】
図13は、本発明の1つの実施形態による外部ボールトラック160の配置図を示す。本配置図は、等速ジョイント111の拡張軸方向範囲E内に配置されたテーパ190を備えたトラック面188を有する、外部ボールトラック160を表している。図14は、本発明の1つの実施形態による内部ボールトラック161の配置図を示す。本配置図は、等速ジョイント111の内部拡張軸方向範囲IE内に配置されたテーパ191を備えたトラック面189を有する、典型的な内部ボールトラック161である。
【0055】
図15は、プロペラシャフト組立体における本発明の1つの実施形態による等速ジョイントの半断面図である。ジョイント211は、軸方向にプランジング可能なクロスグルーブハイブリッド型等速ジョイントである。等速ジョイント211は、外部ジョイント部分250、内部ジョイント部分252、ボールケージ254を含み、さらにケージウィンドウ158内に各々が保持される1つより多いトルク伝達ボール256を含む。外部ジョイント部分250は、中空シャフト242に近接して配置された円筒状開口端部266と、通常軸方向範囲N及び外部拡張軸方向範囲Eを有する外部ジョイント部分250の長さ全体にわたって縦方向に延びる外部ボールトラック260とを含む。内部ジョイント部分252は、通常軸方向範囲N及び内部拡張軸方向範囲IEを有する内部ジョイント部分252の長さ全体にわたって縦方向に延びる内部ボールトラック261を含む。内部ジョイント部分252の内部拡張軸方向範囲IEは、外部ジョイント部分250の外部拡張軸方向範囲Eから反対方向で通常軸方向範囲N付近に対応して位置付けられる。各内部ボールトラック261は、対応する外部ボールトラック260と関連付けられる。外部ボールトラック260と内部ボールトラック261の対応するセットは、軸線に対し直線状であるトラックと軸線に対して交差する角度を形成するトラックとの間を交互する。この交差する角度は、大きさは同じで逆方向に設定し、内部ボールトラック261と外部ボールトラック260に対応する。各内部ボールトラック261の長さは、各外部ボールトラック260の長さと同じ大きさである。或いは、内部ボールトラック261と外部ボールトラック260は、様々な長さを有することが可能であり、これらの短い方は、2つの長い方の交差角に対応して比例することが理解できる。従って、外部ジョイント部分250及び内部ジョイント部分252は、ボールトラック260、261内に配置されたトルク伝達ボール256を介して駆動可能に連結され、ボールトラック260、261の交互するセットの各対応するペアに対して1つのトルク伝達ボール256が存在する。トルク伝達ボール256は、ボールケージ254によって等速平面内に位置決めされて維持され、ここではボールケージ254が、2つのジョイント部分250、252の間に配置される。ボールケージ254が内部ジョイント部分252と外部ジョイント部分250に位置決め可能に係合していなので、等速ジョイント211は軸方向移動を可能にする。
【0056】
外部ジョイント部分250は、例えば摩擦溶接によって外部ジョイント部分に固定される中空シャフト242に連結される。中空シャフト242はまた、フランジを付けられて、例えばボルトにより外部ジョイント部分に連結されてもよい。
【0057】
内部ジョイント部分252の内に連結シャフト244が挿入されている。プレートキャップ246は、外部ジョイント部分250に固定される。回旋状ブート247が、プレートキャップ246を連結シャフト244に対してシールする。円筒状開口端部266における、すなわち中空シャフト242に向うジョイント211の他の端部は、グリースカバー248によってシールされる。加えて、カバー248は、連結シャフト244が等速ジョイント211の拡張軸方向範囲Eを越えてスラストされる場合に幾らかのエネルギー吸収をもたらすことができる。等速ジョイント211は、その通常軸方向範囲N内で動作するように設計されるが、衝突又は偶発的なスラストによる圧縮が、両方のジョイント構成要素の拡張軸方向範囲E、IE内へ又はこれを過ぎて内部ジョイント部分252、ボールケージ254、トルク伝達ボール256を押し進めるように印加される。
【0058】
本発明の本実施形態では、ジョイントは、サークリップ276である調整されたエネルギー吸収面274を有する。サークリップ276は、外部拡張軸方向範囲Eで円周方向に配置されて、外部ジョイント部分250に結合される。本実施形態では、サークリップ276は、好ましくは金属又はプラスチックの変形可能材料で作られた環状リングであり、外部ボールトラック260内にあるように外部ジョイント部分250内に位置決め可能である。衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト244が、内部ジョイント部分252、トルク伝達ボール256、ボールケージ254と共に、ジョイント211の通常軸方向範囲Nを越えて外部拡張軸方向範囲E内にスラストされると、トルク伝達ボール256は、サークリップ276と干渉するか、又はサークリップ276によって阻止される。サークリップ276の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント211とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。サークリップ276は、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント211内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、サークリップ276の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。1つより多いサークリップ276が、等速ジョイント211の外部拡張軸方向範囲E内に配置されてもよい。加えて又は代替的に(図15に示さず)、サークリップ276は、内部拡張軸方向範囲IE内に円周方向に配置されて、内部ジョイント部分252に結合されもよい。
【0059】
このように、通常の動作条件下では、トルク伝達ボール256は、等速ジョイント211の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、連結シャフト244が、内部ジョイント部分252、ボールケージ254、トルク伝達ボール256と共に、中空シャフト242に向かってスラストされ、外部ジョイント部分250又は内部ジョイント部分252に対するそれぞれサークリップ276の阻止によって引き起こされる外部拡張軸方向範囲E又は内部拡張軸方向範囲IEに沿ったトラックとボアのエネルギー吸収が可能となる。本ジョイントが、外部拡張軸方向範囲E内に位置付けられるときには、ジョイントはこれに対応して内部拡張軸方向範囲IE内に位置付けられる。サークリップ276は、この実施形態で与えられたリングと同等のエネルギー吸収効果を有し、塑性エネルギーを吸収する、外部拡張軸方向範囲E又は内部拡張軸方向範囲IE上に存在する異物とすることができることが企図される。
【0060】
図16は、本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図を示す。本実施形態では、ボア表面282である調整されたエネルギー吸収面280が存在する。ボア表面282は、拡張軸方向範囲E内に円周方向に配置され、傾斜Θを有し、2つの何らかの外部ボールトラック260間で外部ジョイント部分250の内部ボア264に結合される。加えて又は代替的に、ボア表面282は、複数の傾斜、段階的傾斜又は可変傾斜を有することができる。ボア表面282は、1つ又はそれ以上の外部ボールトラック260の何らかのセットの間に、或いは、外部拡張軸方向範囲Eにおける内部ボア表面264全体に配置することができる。ボア表面282は、外部ジョイント部分250の内部ボア表面264上への材料の積層化(すなわち溶接)によって、又は、機械加工中の内部ボア表面264のアンダーカットによって加工することができる。1つの実施形態では、機械加工中に内部ボア264を縮径して外部拡張軸方向範囲E内に傾斜Θを形成することにより、外部ジョイント部分250と同じ材料でボア表面282を加工することが企図される。しかしながら、当業者であれば、ボア表面282は、幾つかの方法の中でも、内部ボア264上に材料のタッキング、スタッキング又はリベット締めを行うことによって形成されることを理解するであろう。このように、衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト244が、内部ジョイント部分252、トルク伝達ボール256、ボールケージ254と共に、ジョイント211の通常軸方向範囲Nを越えて外部拡張軸方向範囲E内にスラストされると、ボールケージ254は、ボア表面282と干渉するか、又はボア表面282によって阻止される。ボア表面282の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント211とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。ボア表面282を、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント211内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、ボア表面282の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。
【0061】
加えて又は代替的に、エネルギー吸収面280は、内部ジョイント部分252の外面262上で内部拡張軸方向範囲IE内に配置された内部エネルギー吸収面281とすることができる。衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト244が、内部ジョイント部分252、トルク伝達ボール256、ボールケージ254と共に、ジョイント211の通常軸方向範囲Nを越えて内部拡張軸方向範囲IE内にスラストされると、ボールケージ254は、内部エネルギー吸収面281と干渉するか、又は内部エネルギー吸収面281によって阻止される。内部エネルギー吸収面281の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント211とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。
【0062】
このように、通常の動作条件下では、ボールケージ254は、等速ジョイント211の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、連結シャフト244が、内部ジョイント部分252,ボールケージ254、トルク伝達ボール256と共に、中空シャフト242に向かってスラストされ、外部ジョイント部分250又は内部ジョイント部分252に対するそれぞれエネルギー吸収面280の阻止によって引き起こされる外部拡張軸方向範囲E及び又は内部拡張軸方向範囲IEに沿ったボアのエネルギー吸収が可能となる。
【0063】
等速ジョイント211の外部拡張軸方向範囲E又は内部拡張軸方向範囲IEにおいて、あらゆる数の内部エネルギー吸収面281又はボア表面282を、図15に示すあらゆる数のサークリップ276と組み合わせて、調整され、制御されたエネルギー吸収特性を実現することができる。
【0064】
図17は、本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図を示す。本実施形態では、トラック面288である調整されたエネルギー吸収面286が存在する。トラック面288は、テーパ290を有し、外部ジョイント部分250の外部ボールトラック260の外部拡張軸方向範囲E内に長手方向に配置される。他の外部ボールトラック260のいずれかの1つの上に配置された1つ又はそれ以上のトラック面288が存在してもよい。テーパ290は、図18の配置図に示すように外部拡張軸方向範囲E全体にわたり直線的に延びることができる。或いは、トラック面は、寸法が増大又は減少する可変テーパ又は階段状テーパを有してもよい。このように、衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト244が、内部ジョイント部分252、トルク伝達ボール256、ボールケージ254と共に、ジョイント211の通常軸方向範囲Nを越えて外部拡張軸方向範囲E内にスラストされると、トルク伝達ボール256は、トラック面288と干渉するか、又はトラック面288によって阻止される。トラック面288の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント211とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。トラック面288は、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント211内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、トラック面288の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。サークリップ276は、図17に示すようにトラック面288と組み合わせられるが、任意選択的であり必須ではない。
【0065】
加えて又は代替的に、トラック面289である調整されたエネルギー吸収面286は、テーパ291を有し、内部ジョイント部分252の内部ボールトラック261の内部拡張軸方向範囲IEにおいて長手方向に配置される。別の内部ボールトラック261のいずれかの1つの上に配置された1つ又はそれ以上のトラック面289が存在してもよい。テーパ291は、図19の配置図に示すように内部拡張軸方向範囲IE全体にわたり直線的に延びることができる。或いは、トラック面は、寸法が増大又は減少する可変テーパ又は階段状テーパを有してもよい。このように、衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト244が、内部ジョイント部分252、トルク伝達ボール256、ボールケージ254と共に、ジョイント211の通常軸方向範囲Nを越えて内部拡張軸方向範囲IE内にスラストされると、トルク伝達ボール256は、トラック面289と干渉するか、又はトラック面289によって阻止される。トラック面289の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント211とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。
【0066】
このように、通常の動作条件下では、トルク伝達ボール256は、等速ジョイント211の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、連結シャフト244が、内部ジョイント部分252,ボールケージ254、トルク伝達ボール256と共に、中空シャフト242に向かってスラストされ、外部ジョイント部分250又は内部ジョイント部分252にそれぞれ対するトラック面288、289の阻止によって引き起こされる外部拡張軸方向範囲E又は内部拡張軸方向範囲IEに沿ったトラックのエネルギー吸収が可能となる。
【0067】
1つ又はそれ以上のトラック面288、289、1つ又はそれ以上のサークリップ276、1つ又はそれ以上の内部エネルギー吸収面281、1つ又はそれ以上のボア表面282を組み合わせて、等速ジョイント211が通常軸方向範囲Nを越えて作動する際に、制御され、調整されたエネルギー吸収速度を実現することができる。
【0068】
図18は、本発明の代替的な実施形態による外部ボールトラックの配置図を示す。本配置図は、通常軸方向範囲N及び拡張軸方向範囲E全体にわたり軸方向に延びる交互する複数の外部ボールトラック260を有する、軸線の周りで展開された外部ジョイント部分250を表している。エネルギー吸収面286、280、274は、全て外部ジョイント部分250の拡張軸方向範囲Eの範囲内にある。トラック面288であるエネルギー吸収面286の1つの実施形態は、テーパ290を有するように示されている。別の代替的な実施形態は、外部ボールトラック260内で材料の溶接、タッキング、又はリベット締めすることによるものであり、トラック面292であるエネルギー吸収面286を形成する。或いは、内部ボア264上への溶接ビード283の積層化又は材量284のリベット締めは、外部ジョイント部分250上にエネルギー吸収面280を形成する。
【0069】
図19は、本発明の代替的な実施形態による内部ボールトラックの配置図を示す。本配置図は、通常軸方向範囲Nと内部拡張軸方向範囲IEにわたり軸方向に延びる交互する複数の内部ボールトラック261を有する、軸線の周りで展開された内部ジョイント部分252を表している。エネルギー吸収面286、280、274は全て、内部ジョイント部分252の内部拡張軸方向範囲IEの範囲内にある。トラック面289であるエネルギー吸収面286の1つの実施形態は、テーパ291を有して示されている。別の代替的な実施形態は、外部ボールトラック261内の材料の溶接、タッキング、又はリベット締めによるものであり、トラック面293であるエネルギー吸収面286を形成する。或いは、内部ボア264上への溶接ビード285の積層化は、外部ジョイント部分250上にエネルギー吸収面280を形成する。
加えて、図18、図19は、ジョイント211の特定の連接方向と軸方向変位に対するトルク伝達ボール256の位置を対応して示している。
【0070】
図20は、プロペラシャフト組立体における本発明の1つの実施形態による等速ジョイント311の半断面図である。ジョイント311は、軸方向にプランジング可能なダブルオフセット型等速ジョイントである。等速ジョイント311は、外部ジョイント部分350、内部ジョイント部分352、ボールケージ354を含み、さらにケージウィンドウ358内に各々が保持される1つより多いトルク伝達ボール356を含む。外部ジョイント部分350は、内部ボア364と、中空シャフト342に近接して内部ボア364の端部に配置された円筒状開口端部366と、外部ジョイント部分350の長さ全体にわたって長手方向に延びる1つより多い外部ボールトラック360と、通常軸方向範囲Nと、拡張軸方向範囲Eとを含む。内部ジョイント部分352は、凸状案内面370と、内部ジョイント部分352の長さ全体にわたって長手方向に延びる1つより多い内部ボールトラック361とを含む。各内部ボールトラック361は、対応する外部ボールトラック360を有する。このように、外部ジョイント部分350と内部ジョイント部分352は、軸方向に直線状であるボールトラック360、361内に配置されたトルク伝達ボール356を介して駆動可能に連結され、各対応するボールトラックのペア360、361に対して1つのトルク伝達ボール356が存在する。トルク伝達ボール356は、ボールケージ354によって等速平面内に位置決めされて維持される。ボールケージ354は、2つのジョイント部分350、352間に配置され、軸方向にオフセットした外部球面362と等速平面を定める凹状案内面363を有する。内部ジョイント部分352の凸状案内面370が、ボールケージ354の凹状案内面363と位置決め可能に係合して、外部ジョイント部分350の内部ボア364が、ボールケージ354の外部球面362を案内するので、等速ジョイント311は軸方向移動を可能にする。
【0071】
外部ジョイント部分350は、例えば摩擦溶接によって外部ジョイント部分に固定される中空シャフト342に連結される。中空シャフト342はまた、フランジを付けられて、例えばボルトにより外部ジョイント部分に連結されてもよい。
【0072】
内部ジョイント部分352の内に連結シャフト344が挿入されている。プレートキャップ346は、外部ジョイント部分350に固定される。回旋状ブート347が、プレートキャップ346を連結シャフト344に対してシールする。円筒状開口端部366における、すなわち中空シャフト342に向うジョイント311の他の端部は、グリースカバー348によってシールされる。加えて、カバー348は、連結シャフト344が等速ジョイント311の拡張軸方向範囲Eを越えてスラストされる場合に幾らかのエネルギー吸収をもたらすことができる。等速ジョイント311は、その通常軸方向範囲N内で動作するように設計されるが、衝突又は偶発的なスラストによる圧縮は、拡張軸方向範囲E内に又はこれを過ぎて内部ジョイント部分352、ボールケージ354、トルク伝達ボール356を押し進めるように印加される。
【0073】
本発明の本実施形態では、サークリップ376である調整されたエネルギー吸収面374がある。サークリップ376は、拡張軸方向範囲E内で円周方向に配置されて、外部ジョイント部分350の内面351に結合される。本実施形態では、サークリップ376は、好ましくは金属又はプラスチックの変形可能材料で作られた環状リングであり、外部ボールトラック360内にあるように外部ジョイント部分350内に位置決め可能である。衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト344は、内部ジョイント部分352、トルク伝達ボール356、ボールケージ354と共に、ジョイント311の通常軸方向範囲Nを越えて拡張軸方向範囲E内にスラストされると、トルク伝達ボール356は、サークリップ376と干渉するか、又はサークリップ376によって阻止される。サークリップ376の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント311とプロペラシャフト326によるエネルギーの吸収が可能になる。サークリップ376は、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント311内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、サークリップ376の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。図示はしないが、1つより多いサークリップ376が、等速ジョイント311の拡張軸方向範囲E内に配置されてもよい。
【0074】
このように、通常の動作条件下では、トルク伝達ボール356は、等速ジョイント311の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、連結シャフト344が、内部ジョイント部分352、ボールケージ354、トルク伝達ボール356と共に、中空シャフト342に向かってスラストされ、外部ジョイント部分350の内面351に対しサークリップ376の阻止によって引き起こされる拡張軸方向範囲Eに沿ったトラックとボアのエネルギー吸収が可能となる。サークリップ376は、塑性エネルギーを吸収する、拡張軸方向範囲E上に存在する異物とすることができることが企図される。
【0075】
図21は、本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図を示す。本実施形態では、ボア表面382である調整されたエネルギー吸収面380が存在する。ボア表面382は、拡張軸方向範囲E内に円周方向に配置され、傾斜Θを有し、2つの何らかの近接するボールトラック360間で外部ジョイント部分350の内部ボア364に結合される。加えて又は代替的に、ボア表面382は、複数の傾斜、段階的傾斜又は可変傾斜を有することができる。ボア表面382は、1つ又はそれ以上の外部ボールトラック360の何らかのセットの間に、或いは、拡張軸方向範囲Eにおける内部ボア表面364全体に配置することができる。ボア表面382は、内部ボア表面364上への材料の積層化(すなわち溶接)によって、又は、機械加工中の内部ボア表面364のアンダーカットによって加工することができる。1つの実施形態では、機械加工中に内部ボア364を縮径して拡張軸方向範囲E内に傾斜Θを形成することにより、外部ジョイント部分350と同じ材料でボア表面382を加工することが企図される。しかしながら、当業者であれば、ボア表面382は、幾つかの方法の中でも、内部ボア364上に材料のタッキング、スタッキング又はリベット締めを行うことによって形成されることを理解するであろう。このように、衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト344が、内部ジョイント部分352、トルク伝達ボール356、ボールケージ354と共に、ジョイント311の通常軸方向範囲Nを越えて拡張軸方向範囲E内にスラストされると、ボールケージ354は、ボア表面382と干渉するか、又はボア表面382によって阻止される。ボア表面382の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント311とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。ボア表面382を、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント311内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整を、ボア表面382の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。等速ジョイント311の拡張軸方向範囲Eにおいて、あらゆる数のボア表面382は、図20に示すようにあらゆる数のサークリップ376と組み合わせて、調整され且つ制御可能なエネルギー吸収速度を実現することができる。
【0076】
このように、通常の動作条件下では、ボールケージ354は、等速ジョイント311の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、連結シャフト344が、内部ジョイント部分352、ボールケージ354、トルク伝達ボール356と共に、中空シャフト342に向かってスラストされ、外部ジョイント部分350の内面351に対するボア表面382の阻止によって引き起こされる拡張軸方向範囲Eに沿ったボアのエネルギー吸収が可能となる。
【0077】
図22は、本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図を示す。本実施形態では、トラック面388である調整されたエネルギー吸収面386が存在する。トラック面388は、テーパ390を有し、外部ジョイント部分350の外部ボールトラック360の拡張軸方向範囲E内に長手方向に配置される。他の外部ボールトラック360のいずれかの1つの上に配置された1つ又はそれ以上のトラック面388が存在してもよい。テーパ390は、図23の配置図に示すように拡張軸方向範囲E全体にわたり直線的に延びることができる。或いは、図示はしないが、トラック面は、寸法が増大又は減少する可変テーパ又は階段状テーパを有してもよい。このように、衝突などの偶発的な力が作用した結果として、連結シャフト344が、内部ジョイント部分352、トルク伝達ボール356、ボールケージ354と共に、ジョイント311の通常軸方向範囲Nを越えて拡張軸方向範囲E内にスラストされると、トルク伝達ボール356は、トラック面388と干渉するか、又はトラック面388によって阻止される。トラック面388の阻止により、軸方向運動に要するスラストが増大し、等速ジョイント311とプロペラシャフト26によるエネルギーの吸収が可能になる。トラック面388は、様々な水準の力をもたらすように調整することができ、等速ジョイント311内で制御されたエネルギー吸収分布の設計を可能にする。この調整は、トラック面388の寸法、形状、材質又は位置を変更することによって行うことができる。サークリップ376は、図22に示すようにトラック面388と組み合わせられるが、必須ではない。
【0078】
このように、通常の動作条件下では、トルク伝達ボール356は、等速ジョイント311の通常軸方向範囲N内で作動する。しかしながら、特定の衝突状況では、連結シャフト344が、内部ジョイント部分352、ボールケージ354、トルク伝達ボール356と共に、中空シャフト342に向かってスラストされ、外部ジョイント部分350の内面351に対するトラック面388の阻止によって引き起こされる拡張軸方向範囲Eに沿ったトラックのエネルギー吸収が可能となる。
【0079】
1つ又はそれ以上のトラック面388、1つ又はそれ以上のサークリップ376、1つ又はそれ以上のボア表面382を組み合わせて、等速ジョイント311が通常軸方向範囲Nを越えて作動する際に、制御され、調整されたエネルギー吸収速度を実現することができる。
【0080】
図23は、本発明の1つの実施形態による外部ボールトラック360の配置図を示す。本配置図は、等速ジョイント311の拡張軸方向範囲E内に配置されたテーパ390を備えたトラック面388を有する、外部ボールトラック360を表している。
【0081】
上記から、新規の改善された耐衝突性のある等速ジョイントが当技術分野にもたらされたことが理解できたであろう。本発明を1つ又はそれ以上の実施形態に関連して説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことを理解されたい。反対に、本発明は、添付の請求項の精神及び範囲内に含めることができる全ての代替物、修正物、均等物を保護する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の使用により利点をもたらすことができる四輪駆動車両用ドライブラインの平面図である。
【図2】本発明の1つの実施形態による1つ又はそれ以上の等速ジョイントを含む車両用プロペラシャフト組立体の半断面図である。
【図3】プロペラシャフト組立体における本発明の1つの実施形態による等速ジョイントの半断面図である。
【図4】本発明の1つの代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図である。
【図5】本発明の1つの代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図である。
【図6】本発明による等速ジョイントの外部ジョイント部分の断面図である。
【図7】本発明による等速ジョイントの外部ジョイント部分の端面図である。
【図8】本発明による等速ジョイントの内部ジョイント部分の平面図である。
【図9】図8の内部ジョイント部分の断面図である。
【図10】プロペラシャフト組立体における本発明の1つの実施形態による等速ジョイントの半断面図である。
【図11】本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図である。
【図12】本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図である。
【図13】本発明の1つの実施形態による外部ボールトラックの配置図である。
【図14】本発明の1つの実施形態による内部ボールトラックの配置図である。
【図15】プロペラシャフト組立体における本発明の1つの実施形態による等速ジョイントの半断面図である。
【図16】本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図である。
【図17】本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図である。
【図18】本発明の代替的な実施形態による外部ボールトラックの配置図である。
【図19】本発明の代替的な実施形態による内部ボールトラックの配置図である。
【図20】プロペラシャフト組立体における本発明の1つの実施形態による等速ジョイントの半断面図である。
【図21】本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図である。
【図22】本発明の代替的な実施形態による等速ジョイントの部分図である。
【図23】本発明の1つの実施形態による外部ボールトラックの配置図である。
【符号の説明】
【0083】
11 等速ジョイント、42 中空シャフト、44 連結シャフト、46 プレートキャップ、47 回旋状ブート、48 グリースカバー、50 外部ジョイント部分、52 内部ジョイント部分、58 ローラー、60 トラック、70 エネルギー吸収面、71 サークリップ、74 外部ボア、80 サブトラック、86 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ジョイント部分と外部拡張軸方向範囲と、
前記外部ジョイント部分内に配置された内部ジョイント部分と、
前記外部ジョイント部分と前記内部ジョイント部分との間を通常軸方向範囲内で案内される複数のトルク伝達機構と、
前記通常軸方向範囲より遠位にあり、前記外部ジョイント部分に対し拡張軸方向範囲内に配置された1つ又はそれ以上のエネルギー吸収面と、
を含み、
前記外部ジョイント部分上のエネルギー吸収面が、前記外部ジョイント部分が前記通常軸方向範囲を越えて作動する際に、前記内部ジョイント部分又は少なくとも1つの前記複数のトルク伝達機構と干渉することを特徴とするエネルギー吸収プランジング型等速ジョイント。
【請求項2】
前記エネルギー吸収面の1つがサークリップであることを特徴とする請求項1に記載のジョイント。
【請求項3】
前記サークリップが、変形可能材料で作られることを特徴とする請求項2に記載のジョイント。
【請求項4】
前記変形可能材料が金属であることを特徴とする請求項3に記載のジョイント。
【請求項5】
前記変形可能材料がプラスチックであることを特徴とする請求項3に記載のジョイント。
【請求項6】
前記サークリップがリングであることを特徴とする請求項2に記載のジョイント。
【請求項7】
エネルギー吸収面の1つが、前記外部ジョイント部分の長手方向に延びるトラック上に配置された底面であることを特徴とする請求項1に記載のジョイント。
【請求項8】
前記底面が、1つ又はそれ以上の傾斜、段階的傾斜又は可変傾斜を有することを特徴とする請求項7に記載のジョイント。
【請求項9】
前記底面が、前記外部ジョイント部分と同一の材料要素で作られることを特徴とする請求項7に記載のジョイント。
【請求項10】
前記エネルギー吸収面の1つがボア表面であることを特徴とする請求項1に記載のジョイント。
【請求項11】
前記ボア表面が、1つ又はそれ以上の傾斜、段階的傾斜又は可変傾斜を有することを特徴とする請求項10に記載のジョイント。
【請求項12】
前記ボア表面が、前記外部ジョイント部分と同一の材料要素で作られることを特徴とする請求項10に記載のジョイント。
【請求項13】
前記エネルギー吸収面の1つがトラック面であることを特徴とする請求項1に記載のジョイント。
【請求項14】
前記トラック面が、1つ又はそれ以上のテーパ又は段階的テーパを有することを特徴とする請求項13に記載のジョイント。
【請求項15】
前記トラック面が、前記外部ジョイント部分と同一の材料要素で作られることを特徴とする請求項14に記載のジョイント。
【請求項16】
前記外部ジョイント部分が、前記外部ジョイント部分の前記通常軸方向範囲より遠位にあり、且つ前記拡張軸方向範囲に近接して配置された円筒状開口端部と、前記円筒状開口端部にシール可能に取り付けられたグリースカバーとを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のジョイント。
【請求項17】
前記グリースカバーが、前記ジョイントが前記拡張軸方向範囲を越えて軸方向に移動する時に変位可能であることを特徴とする請求項16に記載のジョイント。
【請求項18】
前記エネルギー吸収面の1つ又はそれ以上が、前記拡張軸方向範囲内で前記外部ジョイント部分内に機械加工され、鍛造され又は積み重ねられることを特徴とする請求項1に記載のジョイント。
【請求項19】
車両用プロペラシャフト組立体におけるエネルギー吸収プランジング型等速ジョイントであって、該ジョイントが、
外部ジョイント部分と外部拡張軸方向範囲と、
前記外部ジョイント部分内に配置された内部ジョイント部分と、
前記外部ジョイント部分と前記内部ジョイント部分との間を通常軸方向範囲内で案内される複数のトルク伝達機構と、
前記通常軸方向範囲より遠位にあり、且つ前記外部ジョイント部分上で拡張軸方向範囲内に配置された1つ又はそれ以上のエネルギー吸収面と、
を含み、
前記外部ジョイント部分上のエネルギー吸収面が、前記外部ジョイント部分が前記通常軸方向範囲を越えて作動する際に、前記内部ジョイント部分又は少なくとも1つの前記複数のトルク伝達機構と干渉することを特徴とするジョイント。
【請求項20】
前記外部ジョイント部分が、前記外部ジョイント部分の前記通常軸方向範囲より遠位にあり且つ前記拡張軸方向範囲に近接して配置された円筒状開口端部と、前記円筒状開口端部にシール可能に取り付けられたグリースカバーとを更に含み、
前記グリースカバーが、前記ジョイントが前記拡張軸方向範囲を越えて軸方向に移動するときに変位可能であることを特徴とする請求項19に記載のジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2007−513305(P2007−513305A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542738(P2006−542738)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/040322
【国際公開番号】WO2005/057035
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(393002852)ジーケーエヌ・ドライブライン・ノースアメリカ・インコーポレーテッド (20)