説明

エネルギー移動検出系のためのジオキセタンナノ粒子アセンブリ、そのアセンブリを作製する方法、およびバイオアッセイにおいてそのアセンブリを使用する方法

ナノ粒子と、ジオキセタンのような化学ルミネセンス基質とを含むアセンブリが提供される。このアセンブリは、サンプルにおける単一の分析物または複数の分析物の存在および/または量を検出するためのアッセイにおいて使用され得る。励起状態のジオキセタンドナーフラグメントからナノ粒子アクセプターへエネルギー移動(ET)可能なジオキセタンナノ粒子アセンブリの設計が、本明細書中に開示される。これらのアセンブリは、新規の検出系において使用され得、ここでこのジオキセタンは、ナノ粒子ルミネセンスの生成のための励起エネルギーの供給源として作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
本願は、2004年9月9日に出願された米国仮特許出願第60/608,130号の利益を主張する。米国仮特許出願第60/608,130号は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本願は、一般的に、ナノ粒子アセンブリ、およびナノ粒子と化学ルミネセンス基質とを含むアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
(技術の背景)
量子ドットは、独特の光物理的特性を有する。例えば、量子ドットは、狭く(例えば、最大半減(fwhm)において30〜50nmの全幅)かつ対称的なスペクトルを示し、1つの励起源によって励起され得る。量子ドットは、以下の引用文献において開示されている:非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8。
【0004】
量子ドットへのエネルギー移動が報告されている。例えば、非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14。しかしながら、量子ドットをエネルギー移動系において一般的に使用するには、制限が存在する。例えば、非特許文献15;非特許文献16。例えば、量子ドットのサイズ(例えば、2〜10nm)は、代表的に、効率的なエネルギー移動に必要とされるForsterドナー−アクセプター距離(例えば、2〜6nm)の範囲内にある。したがって、アクセプターまたはドナー色素は、量子ドットの表面に接近して会合しなければならず、そのことによって量子ドットエネルギー移動アセンブリの有用性を制限している。
【0005】
ジオキセタンは、加水分解性酵素または酵素標識された生体分子(例えば、DNAおよびRNA)の非常に高感度の検出のための化学ルミネセンス基質として使用されている。ジオキセタン基質は、以下の米国特許において開示されている;特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6;特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;特許文献12;特許文献13;特許文献14;および特許文献15。これらの基質は、代表的に、青色領域(すなわち、約460nm Emax)において放射する。赤色移動発色極大を有するジオキセタン基質もまた、報告されている。例えば、特許文献16および特許文献17:非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19;および非特許文献20。しかしながら、代表的なジオキセタン発光バンド幅は、fwhmにおいて100nm〜150nm、またはそれを超える範囲であり得る。したがって、青色に発色するジオキセタンからの赤色のテーリングは、赤色移動ジオキセタンの発色スペクトルと重複し得る。これらの発光特性は、マルチチャネル系におけるジオキセタンの使用を制限する。例えば、狭いバンド幅フィルターが、マルチチャネル系における広範なジオキセタン発光の分解のために必要とされ得る。
【0006】
したがって、狭く、容易に分解可能な発光バンド幅および赤色移動発光極大を有する、酵素活性化ジオキセタン基質の、器具の単純性と検出感度とを合わせる、ジオキセタンベースの化学ルミネセンス検出法が、特にマルチチャネル系において特に所望される。
【特許文献1】米国特許第4,931,223号明細書
【特許文献2】米国特許第4,931,569号明細書
【特許文献3】米国特許第4,978,614号明細書
【特許文献4】米国特許第5,112,960号明細書
【特許文献5】米国特許第5,145,772号明細書
【特許文献6】米国特許第5,326,882号明細書
【特許文献7】米国特許第5,330,900号明細書
【特許文献8】米国特許第5,336,596号明細書
【特許文献9】米国特許第5,543,295号明細書
【特許文献10】米国特許第5,538,847号明細書
【特許文献11】米国特許第5,547,836号明細書
【特許文献12】米国再発行特許発明第36,536号明細書
【特許文献13】米国特許第5,582,980号明細書
【特許文献14】米国特許第5,851,771号明細書
【特許文献15】米国特許第6,218,135号明細書
【特許文献16】米国特許第4,952,707号明細書
【特許文献17】米国特許第6,355,441号明細書
【非特許文献1】LiglerおよびTaitt編、「Optical Biosensor:Present and Future,Colloidal Semiconductor Quantum Dot Conjugates in Biosensing」、(2002)p.537−569
【非特許文献2】W.C.W.ChanおよびS.Nie.Science 1998,281:2016−2018
【非特許文献3】X.GaoおよびS.Nie.Trends in Biotech.2003,21:371−373
【非特許文献4】X,Wuら、Nature Biotech.2003,21:4146
【非特許文献5】B.Dubertretら、Science 2002,298:1759−1762
【非特許文献6】D.Larsonら、Science 2003,300:1434−1436
【非特許文献7】J.Jaiswalら、Nature Biotech.2003,21:47−51
【非特許文献8】M.Akermanら、Proc.Nat.Acad.Sci.2002,99:12617−12621
【非特許文献9】van Ordenら、Nano Lett.2001,1:469−474
【非特許文献10】Mattoussiら、Nature Mat.2003,2:630−638
【非特許文献11】Phys.Rev.B,1996,54:8633−8643
【非特許文献12】Phys.Rev.Lett.2002,89:186802−1〜86801−4
【非特許文献13】Abstracts of Papers,223rd ACS National Meeting,2002年4月,COLL−172
【非特許文献14】Nano Lett.2002,2:817−822
【非特許文献15】Mattoussiら、Nature Mat.2003,2:630−638
【非特許文献16】Mattoussiら、J.Am.Chem.Soc.2004,126:301−310
【非特許文献17】Edwardsら、J.Org.Chem.1990,55:6225
【非特許文献18】Matsumotoら、Luminescence 1999,14:345−348
【非特許文献19】Matsumotoら、Tetrahedron 1999,55:631−6840
【非特許文献20】Matsumotoら、Tetrahedron Letters 1999,40:4571−4574
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(詳細な説明)
(定義)
本明細書中で記載される場合、「ナノ粒子」とは、最大1000nmまでのサイズを有するルミネセンス粒子をいう。このナノ粒子は、約1nm〜約100nmのサイズを有し得る。このナノ粒子は、約1nm〜約50nmのサイズを有し得る。「サイズ」または「ナノ粒子サイズ」によって、本発明者らは、独特のルミネセンス発光スペクトルを決定する、粒子のサイズおよび/または形状、あるいは粒子の特徴を意味する。このナノ粒子は、組成物中のナノ結晶または非結晶であり得、無機エレメントまたは無機化合物を含み得る。例示的なルミネセンスナノ粒子としては、CdS、CdSe、CdTe、CdS/ZnS、CdSe/ZnS、CdTe/ZnS、ナノ多孔性Si、Siナノ粒子、およびドープされた酸化金属ナノ結晶のような半導体ナノ結晶が挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
励起状態のジオキセタンドナーフラグメントからナノ粒子アクセプターへエネルギー移動(ET)可能なジオキセタンナノ粒子アセンブリの設計が、本明細書中に開示される。これらのアセンブリは、新規の検出系において使用され得、ここでこのジオキセタンは、ナノ粒子ルミネセンスの生成のための励起エネルギーの供給源として作用する。従って、加水分解酵素または化学的活性化によってジオキセタンのフラグメント化が開始されるときに、4員の過酸化物環の潜在的エネルギーが放出され、このアリールエステルフラグメントを一重項の励起状態に励起する。この一重項の励起状態のフラグメントの定常状態への緩和は、近接するナノ粒子アクセプターにエネルギーを移動させ、このことが次いでナノ粒子のサイズに支配される発光でルミネセンスさせる。
【0009】
いくつかの実施形態によると、ジオキセタン−ナノ粒子エネルギー移動アセンブリは、ドナーおよびアクセプターET成分を一緒に結合させるために、静電気荷電誘引を使用し得る。例えば、ナノ粒子のアニオン性シェルは、ポリカチオン性強化ポリマー(例えば、BDMQ、Sapphire、Sapphire 11、TPQ、THQ、ホスホニウムポリマー、および/またはアンモニウムのコポリマーおよび/またはホスホニウムモノマー)でコーティングされ得;次いで、負に荷電したジオキセタン基質(例えば、CDP−StarまたはTFE−CDP−Star)が、そのポリカチオン性強化コーティングに会合し得、その後ジオキセタンの分解の際にナノ粒子アクセプターにエネルギーを移動させる。
【0010】
イオン性で会合したジオキセタン基質を含む化学ルミネセンス基質/ナノ粒子アセンブリが、図1に示される。図1に示されるように、アニオン性に荷電した表面(12)を有するナノ粒子(10)は、ポリカチオン性強化ポリマーでコーティングされ得、正に荷電した表面(14)の粒子を提供する。負に荷電したジオキセタン(16)は、次いで、正に荷電した表面(14)にイオン性会合し得る。
【0011】
あるいは、ポリマーエンハンサー−ジオキセタンハイブリッド(ジオキセタンはそのエンハンサーポリマーに共有結合する)は、ナノ粒子シェルにイオン性会合し得、表面をコーティングする。
【0012】
いくつかの実施形態によると、荷電したナノ粒子表面は、高分子電解質多層(PEM)コーティングのための支持として作用し得る。このPEMは、反対に荷電する有機分子の連続的アセンブリによって産生される。上述のイオン性アセンブリの例のように、負に荷電したジオキセタンは、PEMコーティングの外側のカチオン性表面と会合し得、そしてジオキセタン分解の際に、励起エネルギーを移動させてナノ粒子ルミネセンスを生成する。高分子電解質多層コーティングは、Decher,G.ら編、「Multilayer thin films:sequential assembly of nanocomposite materials」,Wiley−VCH,(2003);Harris.J.Jら、J.Am.Chem.Soc.1999,121:1978−1979;およびLocascio,L.E.ら、米国特許公開第2002−053514号に開示される。
【0013】
イオン性会合したジオキセタン基質と高分子電解質多層(PEM)とを含む化学ルミネセンス基質/ナノ粒子アセンブリは、図2に示される。図2に示されるように、アニオン性に荷電した表面(22)を有するナノ粒子(20)の外側のシェルは、ポリカチオン性ポリマー(24)とポリアニオン性ポリマー(26)との交互の層からなる高分子電解質多層(PEM)でコーティングされ得、正に荷電した表面(28)を有する粒子を提供し得る。負に荷電したジオキセタン(29)は、次いで、正に荷電する表面(28)にイオン性会合し得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子表面は、全体的なカチオン性シェル荷電を生成する共有結合したアルキルアンモニウム、ホスホニウム基、またはペルアルキル化(peralkylating)表面アミノ基を含む。このpH非依存性ペルアルキルアンモニウム荷電は、負に荷電したジオキセタンを引き付けるための不変の強力なカチオン荷電の表面を提示する。
【0015】
イオン性会合したジオキセタン基質と、アルキルアンモニウム基に共有結合したナノ粒子とを含む化学ルミネセンス基質/ナノ粒子アセンブリが、図3に示される。図3に示されるように、ナノ粒子(30)の外側のシェルは、複数のアルキルアンモニウム基(32)を含む。負に荷電したジオキセタン(34)は、正に荷電したアルキルアンモニウム基(32)にイオン性会合し得る。
【0016】
アニオン交換様式で他のポテンシャル使用を可能にするカチオン性ナノ粒子シェルそれ自体が、新規の発明を意味する。本発明者らが知る限りでは、細菌記載されたナノ粒子表面は全て、中性または負に荷電している。
【0017】
化学的にトリガーされたジオキセタンからCdSe/ZnSナノ粒子へのエネルギー移動もまた、非常に特異的な有機溶媒系において観察されている。この実験において、AMPPD−OAC 460nm発光(図4A)は、CdSe/ZnSナノ粒子の存在下でクエンチされ、赤色移動した555nmの発光をもたらす(図4B)。
【0018】
さらなる実施形態によると、シリコンナノ粒子またはナノ多孔性Siの酸化したシリコンシェルにおける標準的なガラス表面改変化学が、有用なナノ粒子表面への慣習的な手段を提供するために使用され得、種々の生物学的用途におけるイオン会合したジオキセタン−ナノ粒子アセンブリの形成および性能を最適化する。
【0019】
イオン性会合がナノ粒子とポリイオン性強化層とジオキセタンとのアセンブリを緊密に保持するのに効率的である場合は、ジオキセタンを含むナノ粒子の化学励起は、水性ベースの分析物のための新規かつ潜在的に高感度のエネルギー移動検出法を提供する。この強化ポリマー層および/またはPEMは、1〜50nmのコーティング厚の範囲で、ナノ粒子上にコーティングされ得る。イオン性会合した化学励起種の透過能は、ナノ粒子表面の性質および厚さに依存して変わり得る。
【0020】
ジオキセタンが上で説明されているが、一般的に、任意のイオン性会合した化学ルミネセンス部分が、ナノ粒子ルミネセンスのための化学励起供給源として使用され得る。潜在的な化学ルミネセンスドナーの他の例としては、アクリジウム塩活性エステル、アクリダンエステルまたはチオエステル、アクリダンエノールホスフェートおよび他のエノールホスフェート、およびルミノール基質が挙げられるが、これらに限定されない。反対に、アニオン性ナノ粒子表面は、カチオン性荷電した化学ルミネセンス基質とイオン性会合し得る。
【0021】
ナノ粒子ビーズもまた提供され、ここで、アクセプターは、包埋されたナノ粒子を有するナノ粒子−包埋ポリマービーズを含む。このビーズは、ビーズ表面上のナノ粒子の集団を、量子にエネルギーを移動させることができる化学励起種に曝露し得る。これらの化学ルミネセンス基質/ナノ粒子イオン性アセンブリは、ジオキセタンのような化学ルミネセンス部分の化学励起によって開始される赤色移動ルミネセンスを提供する。この励起法は、ノイズを減らし、外部の励起光源を必要とせず、そして生物学的物質および細胞物質に関連する代表的な自己蛍光バンド幅を超えるルミネセンスシグナル赤色移動を提供する。この化学ルミネセンス基質/ナノ粒子イオン性アセンブリは、相同性検出において、連続的な検出または物理的に分離した検出チャネルまたは同時検出のマルチチャネル検出において使用され得る。ナノ粒子アクセプターの狭い発光バンド幅により、マルチチャネル検出系において容易に分解可能なルミネセンスシグナルが可能になる。
【0022】
ジオキセタン−ナノ粒子イオン性アセンブリは、チップ形式における酵素標識および溶液中または固体支持体上での生物学的アッセイのための高感度の化学ルミネセンス検出基質として使用され得る。このイオン性会合した化学ルミネセンス基質/ナノ粒子アセンブリはまた、ナノ粒子の表面もしくはナノ粒子ビーズの表面に結合するか、またはナノ粒子の表面もしくはナノ粒子ビーズの表面によって捕捉された分析物を検出するためにも使用され得る。例えば、酵素標識された分析物がナノ粒子またはビーズ表面に結合する場合は、酵素標識によるイオン性会合したジオキセタンのその後の酵素活性化が、ナノ粒子ルミネセンスの化学励起を開始し得る。
【0023】
いくつかの実施形態によると、1つのジオキセタン分子または多数のジオキセタン分子(例えば、2〜100個またはそれより多くのジオキセタン)は、ナノ粒子表面に共有結合し得、その結果、エネルギードナー(例えば、励起したジオキセタンフラグメント)とアクセプター(ナノ粒子)との間の距離は、最適なエネルギー移動のために最小にされる。
【0024】
図5は、共有結合したジオキセタン−ナノ粒子アセンブリを示す。図5に示されるように、複数のジオキセタン(52)が、ナノ粒子(50)の表面に共有結合され得る。同様に図5に示されるように、ナノ粒子表面に共有結合した励起したジオキセタンフラグメント(54)は、ナノ粒子にエネルギーを移動させ得、ナノ粒子からの光ルミネセンス発光(56)をもたらす。このナノ粒子発光は、480nm〜700nmの波長を有し得る。
【0025】
いくつかの実施形態によると、ポリマー性化学ルミネセンスエンハンサーおよび化学ルミネセンス基質(例えば、ジオキセタン)はいずれも、別個の物体としてナノ粒子表面に共有結合または非共有結合してもよいし、またはポリマー性エンハンサーおよびジオキセタンは、ハイブリッドポリマー性エンハンサー−ジオキセタン構造としてナノ粒子シェルに共有結合してもよい。ここでこのジオキセタンもまた、エンハンサーポリマーに共有結合される。この特定のエネルギー移動アセンブリ設計は、エネルギードナーをナノ粒子表面の非常に近くに固定し、その結果、ナノ粒子サイズによって与えられる大きなFosterエネルギー移動距離が、最小に維持される。
【0026】
いくつか〜多数のジオキセタンを共有結合できる能力は、ナノ粒子ルミネセンスのマルチ励起をもたらす。酵素標識された検出系に適用される場合は、多数の化学励起された種によるナノ粒子表面上での多数のエネルギー移動事象によるナノ粒子のマルチ励起によって増加した、化学ルミネセンス基質の酵素ターンオーバー(tuenover)によるシグナルの酵素増幅が、顕著に増幅したルミネセンスシグナルを与えるはずである。このルミネンスシグナルは、効率的なナノ粒子単独へのエネルギー移動およびナノ粒子単独からの発光によって強化されることもできるし、そのルミネセンスシグナルは、溶液にポリカチオン性エンハンサーポリマーを加えることによって、またはポリカチオン性エンハンサーポリマーを共有結合ジオキセタン−ナノ粒子を含む固体支持体へ適用することによって、またはポリカチオン性ポリマーをナノ粒子表面に直接的に適用することによって、さらに強化されることもできる。
【0027】
一般的に、任意の共有結合した化学ルミネセンス部分が、ナノ粒子ルミネセンスのための化学励起供給源として使用され得る。潜在的な化学ルミネセンスドナーの他の例としては、アクリジニウム塩活性エステル、アクリダンエステルまたはチオエステル、アクリダンエノールホスフェートおよび他のエノールホスフェート、ならびにルミノール基質が挙げられるが、これらに限定されない。ナノ粒子ビーズもまた使用され得、ここでアクセプターは、ナノ粒子−包埋ポリマービーズである。このビーズは、ビーズ表面上のナノ粒子の集団を、共有結合した化学ルミネセンス前駆体から生成される、量子にエネルギーを移動させることができる化学励起種に曝露し得る。
【0028】
ナノ粒子の酸化シリコンシェルについて、または多孔性SiまたはSiナノ粒子の表面についての標準的なガラス表面改変化学が、ナノ粒子に種々の光化学的または生物学的に有用な部分を共有結合させるための官能基を提供するために、使用され得る。
【0029】
ナノ粒子シェル表面に共有結合され得る化学的に反応性の官能基を有するジオキセタンもまた、提供される。例えば、リンカーアームの末端がNHS−エステルで改変されたジオキセタンまたはエノールエーテル前駆体が、標準的な文献の条件を使用して、ナノ粒子上でアミン、チオールまたはアルコールと結合され得る。あるいは、リンカーアームの末端が求核基(例えば、アミン、チオールまたはアルコール)で改変されたジオキセタンまたはエノールエーテル前駆体が、ナノ粒子表面上に存在する部分(例えば、活性化エステルまたはハロゲン化アルキル)に結合され得る。
【0030】
ナノ粒子表面への共有結合のために使用され得るNHSリンカーアームを含む例示的なジオキセタンの化学構造は、図6に示される。図6に示される構造において、置換基「PG」は、化学的または酵素的に切断され得る保護基を示す。
【0031】
図7A〜図7Cは、共有結合したジオキセタン−ナノ粒子アセンブリを合成するための、種々の共有結合ストラテジーを示す。図7Aは、ジオキセタンの、第1級アミン基を含むナノ粒子表面への共有結合のための種々のストラテジーを示す。図7Bは、ジオキセタンの、−C(=O)−N−ヒドロキシコハク酸イミジル(CONHS)基を含むナノ粒子表面への共有結合のためのストラテジーを示す。図7Cは、ジオキセタンの、−SH基を含むナノ粒子表面への共有結合のためのストラテジーを示す。図7A〜図7Cにおいて、「DXT」はジオキセタンを表し、「EE」はエノールエーテル前駆体を表し、そして「X」は活性化基を表す。
【0032】
標準的なガラス表面改変化学が、シリコンベースのナノ粒子の表面上の共有結合のための官能基を提供するために使用され得る。シリコンベースのナノ粒子の使用により、Cdベースのナノ粒子に付随する潜在的な毒性の問題を回避する(例えば、Bhatiaら、「Probing the Cytotoxicity of Semiconductor Quantum Dots」、Nano Letters 2004,4:11−18を参照のこと)。
【0033】
ナノ粒子表面へのZn−S結合またはZn−N結合のために使用され得るリンカーアームを含む例示的なジオキセタンの化学構造は、図8に示される。図8に示される構造において、置換基「PG」は、化学的または酵素的に切断可能な保護基を表す。ナノ粒子表面への結合は、その表面とリンカー基Mとの相互作用によって生じる。このリンカー基Mは、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアミノ基またはヘテロアリールアミノ基であり得、5.0〜9.0のpKa範囲において置換可能なプロトンを有する。
【0034】
共有結合したジオキセタン−ナノ粒子アセンブリは、連続的な検出のマルチチャネル検出系または物理的に別個の検出チャネルにおいて使用され得る。共有結合したジオキセタン−ナノ粒子アセンブリは、同時のマルチチャネル検出系において使用され得る。複数の別個のジオキセタン−ナノ粒子アセンブリ(例えば、アセンブリA〜D)の混合物が、同時に複数の分析物(例えば、分析物a〜d)を測定するために使用され得る。量子ドットアクセプターの狭い発光バンド幅により、マルチチャネル検出系における容易に分解可能なルミネセンスシグナルが可能になる。
【0035】
共有結合したジオキセタン−ナノ粒子アセンブリは、チップ形式の酵素標識および溶液中または固体支持体上の生物学的アッセイのための、高感度化学ルミネセンス検出基質として、使用され得る。これらのエネルギー移動アセンブリはまた、溶液中または固体支持体上でのマイクロアレイおよびイムノアッセイのような、相同な形式における同時マルチチャネル検出のためにも使用され得る。ジオキセタン−ナノ粒子アセンブリはまた、細胞アッセイにおいても使用され得る。
【0036】
ジオキセタンおよびナノ粒子は、低い細胞毒性(ジオキセタンについての内部観察;Dubertretら、Science 2002,298:1759−1762;Wuら、Nature Biotech.2003,21:41−46;GaoおよびNic,Trends in Biotech.2003,21:371−373;Akermanら、Proc.Nat.Acad.Sci.2002,99:12617−12621;Mattoussiら、Nature Biotech.2003,21:47−51;Webbら、Science 2003,300:1434−1436)および赤色移動を生成する能力を有するようであり、狭い発光バンドにより細胞環境の青色自己蛍光の外側でのルミネセンスシグナル検出が可能になる。ナノ粒子ルミネセンスを駆動するための化学励起エネルギーの効率的なエネルギー移動により、現在可能な市販のジオキセタン適用である細胞毒性のポリカチオン性ポリマー性エンハンサーに対して、魅力的な大体のルミネセンスシグナル強化形態が可能になる。この型の適用は、Appplied Biosystems 1700またはApplied Biosystems 8200 Cellular Detection Systemのようなシステムと一緒に使用され得、ここで励起ランプはオフにされている。
【0037】
化学ルミネセンス基質−ナノ粒子−生物分析物結合体アセンブリが、励起状態のジオキセタンドナーフラグメントからナノ粒子アクセプターへのエネルギー移動(ET)によって、ナノ粒子表面上に捕捉された分析物の検出のための高感度アッセイ系において使用され得る。一実施形態によると、ナノ粒子表面上でのバイオアッセイは、量子ドット表面上に結合体化またはイオン会合した1〜50またはそれより多い分子の捕捉因子(例えば、抗体、オリゴヌクレオチド、レセプター、レクチンおよびアプタマー)を含み得る。
【0038】
イムノアッセイの場合には、捕捉因子による分析物の捕捉は、サンドイッチアッセイにおける検出抗体に結合されているか、または捕捉された分析物に結合されている、加水分解酵素標識を用いて検出され得る。ジオキセタンのフラグメント化が加水分解酵素の活性化によって開始される場合は、4員の過酸化物環の潜在的エネルギーが放出され、アリールエステルフラグメントを一重項の励起状態へ励起させる。一重項の励起状態フラグメントの定常状態への緩和が、近接するナノ粒子アクセプターにエネルギーを移動させ、これが次いで、ナノ粒子サイズによって支配される発光を伴うルミネセンスを生じる。
【0039】
化学ルミネセンス基質/ナノ粒子アセンブリを使用するサンドイッチ型イムノアッセイが、図9に示される。図9に示されるように、複数の共有結合された抗体(92)を含むナノ粒子(90)が提供される。捕捉抗体(92)は、サンプルにおける分析物(94)に結合し得る。結合した分析物(94)は、次いで、酵素標識された検出抗体(96)に結合し得る。サンプルに加えられたジオキセタン(97)の酵素活性化により、化学励起された種(98)の生成がもたらされる。この化学励起された種(98)は、ナノ粒子にエネルギーを移動させ、そのナノ粒子からの光ルミネセンス発光(99)をもたらす。このナノ粒子からの光ルミネセンス発光は、480nm〜700nm未満の波長を有し得る。
【0040】
従って、ジオキセタンは、ナノ粒子ルミネセンスの生成のための励起エネルギーの供給源として作用する。本発明のジオキセタン−ナノ粒子エネルギー移動アセンブリは、ドナーおよびアクセプターエネルギー移動成分を一緒に結合させるための静電気引力(すなわち、イオン性会合)か、またはナノ粒子表面へのジオキセタン基質の共有結合(すなわち、共有結合)のいずれかを使用し得る。捕捉因子およびジオキセタンは、標準的な生物結合体化化学を使用して、結合部位として例えばアミン、チオール、カルボン酸、ホウ酸、またはアルコールを有する官能化ナノ粒子表面に共有結合され得る。イオン性会合は、ジオキセタン上の負に荷電した基と、ナノ粒子表面上の正に荷電したオニウム基(例えば、アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム)を有する化学励起したドナーフラグメントとの相互作用によって、または反対の設計によって、生じ得る。別の例の結合相互作用は、ジオキセタン上のチオールまたはヘテロアリールアミン基ZnS表面と化学励起したドナーフラグメントとの間の相互作用によって起こり、Zn−SまたはZn−N結合を形成する。これらの型のナノ粒子ジオキセタン検出アセンブリおよびそれらの利点は、詳細に上に記載されている。
【0041】
ナノ粒子ビーズを使用するアッセイもまた提供され、ここで、固体支持体/エネルギー移動アクセプターは、ナノ粒子が包埋されたポリマービーズである。このビーズは、表面に結合体化された捕捉因子の多数の分子を含み、ビーズ表面上のナノ粒子の集団を、そのナノ粒子にエネルギーを移動させることができる化学励起された種に曝露し得る。
【0042】
ナノ粒子によって支持されるバイオアッセイ設計により、ナノ粒子を使用する(hosting)多重バイオアッセイの定量化が可能になり、ここで別個のナノ粒子は、別個のアッセイを担い得る。アッセイ支持としてナノ粒子を使用することは、放射状の拡散に起因するより迅速なアッセイ時間、数千〜100万の複製物によるより優れた再現性を提供し、そしてより少ないサンプルおよび試薬しか必要としない(例えば、Natanら、「Nanoparticles for Bioanalysis」、Current Opinion in Chemical Biology 2003,7:609−615を参照のこと)。化学励起により開始されたナノ粒子光ルミネセンスは、ノイズを減らし、外部励起光源を必要とせず、そして生物学的物質および細胞物質に関する代表的自己蛍光バンド幅を超えるルミネセンスシグナル赤色移動を提供する。ナノ粒子アクセプターの狭い発光バンド幅は、マルチチャネルまたはマルチビーズバイオアッセイ系において、容易に分解可能なルミネセンスシグナルを可能にする。ナノ粒子バイオアッセイはまた、相同的アッセイ形態も可能にし、ここで局在した酵素のターンオーバーが、隣接する捕捉された分析物の検出に相関するナノ粒子支持体の局所的化学励起を生成する。
【0043】
ジオキセタン−ナノ粒子−生物分析物結合体アセンブリは、チップ形式における酵素標識されたバイオアッセイおよび溶液アッセイのための高感度バイオアッセイナノ粒子として使用され得る。これらはまた、細胞内における酵素結合または酵素発現アッセイのためにも使用され得る。自己蛍光バンドからルミネセンスシグナルを赤色移動させることができること、および化学励起からそのシグナルを開始することができることにより、顕著に低いバックグラウンド、ノイズに対するシグナルの増加、および検出感度の向上が提供される。
【0044】
表面が改変されたナノ粒子、ナノ粒子/化学ルミネセンス基質アセンブリの種々の例示的実施形態およびこれらの表面が改変されたナノ粒子およびナノ粒子アセンブリを使用するアッセイが、以下に記載される。
【0045】
いくつかの実施形態によると、無機半導体を含むナノ粒子が提供される。この無機半導体は、非放射性エネルギー移動によって励起の際に光ルミネセンス発光を生じ得る。ここで、このナノ粒子の表面は、カチオン性部分を含む。例えば、このナノ粒子は、カチオン性コーティングを備える。例示的なカチオン性コーティングとしては、ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーは、アンモニウム部分、ホスホニウム部分またはスルホニウム部分を含み得る。このポリカチオン性ポリマーは、第四級オニウム部分を含み得る。例示的なポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーとしては、TBQ、TPQ、THQおよびTOPが挙げられる。あるいは、このコーティングは、高分子電解質多層(PEM)コーティングを含み得る。このPEMコーティングは、ポリアニオン性ポリマー(例えば、ポリ(アクリレート)、ポリ(L−グルタミン酸)、ポリ(スチレンスルホン酸)、もしくはヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせ)と、ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマー(例えば、TBQ、TPQ、THQ、BDMQ、TOP、ポリ(塩酸アリルアミン)、ポリ(L−リシン)、ポリ(エチレンイミン)もしくはポリ(L−アルギニン)、またはこれらの組み合わせ)との交互の層からなる。このカチオン性部分は、樹枝状結晶リガンド(dendron ligand)であり得る。この実施形態によると、上記無機半導体は、CdSe、CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、MgTe、HgTe、SiまたはSi化合物および/またはこれらの組み合わせを含み得る。例えば、無機半導体は、CdSeおよびZnS、またはCdTeおよびZnSを含み得る。
【0046】
いくつかの実施形態によると、アッセイが提供される。このアッセイは、化学ルミネセンス化合物、無機半導体を含むナノ粒子および分析物を含むサンプルを、水溶液中で合わせる工程を包含し、この分析物は、酵素を含み、そしてこの化学ルミネセンス化合物は、酵素によって活性化されて励起状態のドナーを生じ得、ここでこの励起状態のドナーは、その励起状態のドナーが非放射性プロセスによってナノ粒子の該無機半導体にエネルギーを移動させ、それによって光ルミネセンス発光を生じるようにそのナノ粒子に会合する。分析物は酵素自体でもあり得るし、または分析物は酵素で標識され得る。化学ルミネセンス化合物は、ジオキセタン、アクリジニウム塩活性エステル、アクリダンエステル、アクリダンチオエステル、アクリダンエノールホスフェート、エノールホスフェート、およびルミノールであり得る。例示的なジオキセタンとしては、以下の式1〜7:
【0047】
【化8】

【0048】
【化9】

【0049】
【化10】

のうちの1つによって表されるジオキセタンが挙げられ、ここで、nは1〜16の整数であり、Xはホスフェートまたはβ−ガラクトシド基であり、Mは、Na、K、Li、ピリジニウムイオン、ペルアルキルアンモニウムイオンまたはアンモニウムイオンである。
【0050】
いくつかの実施形態によると、酵素基質が提供される。この酵素基質は、無機半導体を含むナノ粒子;およびそのナノ粒子に会合する化学ルミネセンス化合物の少なくとも1つの分子、を含み、ここで、この化学ルミネセンス化合物は、酵素によって活性化され得て、励起状態のドナーを生成し得;そしてこの励起状態のドナーは、非放射性プロセスによって該半導体にエネルギーを移動させ、それによって光ルミネセンス発光を生じる。いくつかの実施形態において、1〜100,000分子の化学ルミネセンス化合物が、ナノ粒子と会合され得る。いくつかの実施形態において、100,000より多い分子の化学ルミネセンス化合物が、ナノ粒子と会合され得る。この化学ルミネセンス化合物は、ジオキセタン、アクリジニウム塩活性エステル、アクリダンエステル、アクリダンチオエステル、アクリダネノールホスフェート、エノールホスフェートまたはルミノールであり得る。この化学ルミネセンス化合物は、共有結合によってナノ粒子と会合され得る。この化学ルミネセンス化合物は、以下の式8〜13:
【0051】
【化11】

のうちの1つによって表される部分を含み、
ここで、上の式の各々におけるXは、ホスフェート基またはβ−ガラクトシド基である。上の式における波線の結合は、部分とナノ粒子表面との間の共有結合またはその部分をナノ粒子の表面へ結合させているリンカー基のいずれかを表す。無機半導体は、CdSe、CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、MgTe、HgTe、SiまたはSi化合物および/またはこれらの組み合わせを含み得る。例えば、無機半導体は、CdSeおよびZnS、またはCdTeおよびZnSを含み得る。このナノ粒子は、ポリマーmなたはコポリマー中に包埋された無機半導体の複数のナノ粒子を含むビーズであり得る。
【0052】
酵素基質の化学ルミネセンス化合物もまた、イオン性結合によってナノ粒子と会合され得る。無機半導体の表面は、第四級オニウム部分(例えば、第四級アンモニウム部分、スルホニウム部分またはホスホニウム部分)のようなカチオン性部分を含み得る。ナノ粒子はコーティングを備え得、化学ルミネセンス化合物は、そのナノ粒子のコーティングに会合され得る。このコーティングは、ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーを含み得る。このポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーは、第四級オニウム部分(例えば、第四級アンモニウム部分、スルホニウム部分またはホスホニウム部分)を含み得る。例示的なポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーとしては、TBQ、TPQ、THQおよびTOPが挙げられるが、これらに限定されない。化学ルミネセンス化合物は、以下の式1〜7:
【0053】
【化12】

【0054】
【化13】

【0055】
【化14】

のうちの1つによって表されるジオキセタンであり得、
ここで、nは1〜16の整数であり、上の式におけるXは、ホスフェート基またはβ−ガラクトシド基であり、そしてMは、Na、K、Li、ピリジニウム、ペルアルキルアンモニウムまたはアンモニウムイオンである。
【0056】
酵素基質の化学ルミネセンス化合物はまた、Zn−S結合またはZn−N結合によってもナノ粒子に会合され得る。無機半導体の表面は、チオール基またはヘテロアリールアミン基を有する化学ルミネセンス化合物と会合するZnSまたはZnSeコーティングを備え得る。ナノ粒子表面への結合は、その表面とリンカー上の基Mとの相互作用によって起こる。この基Mは、5.0〜9.0のpKa範囲において置換可能なプロトンを有する、アルキルチオ、アリールチオ、アリールアミノまたはヘテロアリールアミノであり得る。
【0057】
化学ルミネセンス化合物は、以下の式14〜19:
【0058】
【化15】

のうちの1つによって表されるジオキセタンであり得、
ここで、Xはホスフェートまたはβ−ガラクトシドであり、Mは−SHまたはヘテロ環式アミノ基である。例示的なヘテロ環式アミノ基としては、以下:
【0059】
【化16】

が挙げられる。
【0060】
酵素基質は、ナノ粒子の表面に会合した1分子以上の捕捉因子をさらに含み得る。この1分子以上の捕捉因子は、共有結合またはイオン結合によって、ナノ粒子の表面に会合され得る。いくつかの実施形態において、1〜1,000分子の捕捉因子が、ナノ粒子の表面に会合され得る。いくつかの実施形態において1,000分子より多い捕捉因子が、ナノ粒子の表面に会合され得る。この捕捉因子は、抗体、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、レセプター、レクチンまたはアプタマーであり得る。
【0061】
いくつかの実施形態によると、アッセイが提供される。このアッセイは上述の実施形態のいずれかに記載の酵素基質と、化学ルミネセンス化合物を活性化することができる分析物を含むサンプルとを接触させる工程、そのサンプル中の分析物に、化学ルミネセンス化合物を活性化させる工程、およびナノ粒子からの光ルミネセンス発光を検出する工程、を包含する。この化学ルミネセンス化合物の酵素活性化は励起状態の産物を生成し、この励起状態の産物は、非放射性プロセスでエネルギーを移動させて、前記無機半導体を励起させて光ルミネセンス発光を生じさせ、そしてこのナノ粒子からの光ルミネセンス発光は、サンプル中の分析物の存在および/または量を示す。その分析物は、化学ルミネセンス化合物を活性化して、励起状態のドナーを生成することができる酵素であり得るか、またはこの分析物は、化学ルミネセンス基質を活性化して励起状態のドナーを生成することができる酵素で標識され得る。このアッセイは、溶液中または固体支持体上で行われ得る。このアッセイはまた、細胞アッセイでもあり得る。
【0062】
いくつかの実施形態によると、1分子以上の捕捉因子をさらに含む酵素基質と、分析物を含むサンプルとを接触させる工程;そのサンプル中の分析物をその捕捉因子に会合させる工程;およびナノ粒子からの光ルミネセンスを検出する工程を包含するアッセイもまた、提供される。ここで、この捕捉因子は分析物に会合することができ、光ルミネセンス化合物の酵素活性化が励起状態のドナーを生成し、この励起状態のドナーは非放射性プロセスでエネルギーを移動させて無機半導体を励起させ、光ルミネセンス発光を生じ、そしてこのナノ粒子からの光ルミネセンス発光がサンプルにおける分析物の存在および/または量を示す。
【0063】
分析物および捕捉因子は、いずれも、ポリヌクレオチドを含み得、ここでこの捕捉因子は分析物にハイブリダイズすることができる。あるいは、分析物および捕捉鎖(capture strand)は、いずれも、ポリペプチドを含み得、ここでこの捕捉因子は、タンパク質−タンパク質相互作用によって分析物と会合し得る。この分析物はまた抗原を含み得、捕捉鎖(capture strand)は、その抗原に結合し得る抗体であり得、ここでその捕捉因子は抗原−抗体結合によって分析物と会合する。サンプル中の分析物は、化学ルミネセンス基質を活性化して励起状態のドナーを生成し得る酵素で標識され得る。上記アッセイはさらに、サンプル中の分析物を捕捉因子に会合させた後に、基質と、捕捉因子に会合した分析物に結合することができる酵素標識された種とを接触させる工程を包含する。ここで、その酵素標識は、化学ルミネセンス化合物を活性化して、励起状態のドナーを生成することができる。このアッセイはさらに、サンプル中の分析物を捕捉因子に会合させた後に、基質と、捕捉因子に会合した分析物に結合することができる酵素標識された抗体とを接触させる工程を包含し、ここで、この酵素標識は、化学ルミネセンス化合物を活性化して励起状態のドナーを生成することができる。このアッセイは、特異的結合対アッセイであり得る。分析物は、化学ルミネセンス化合物を活性化して励起状態のドナーを生成することができる酵素を含み得る。例えば、分析物は、化学ルミネセンス化合物を活性化して、励起状態のドナーを生成することができる酵素で標識され得る。捕捉因子および分析物は、抗原:抗体、DNA:DNA結合体、DNA:RNA結合体、DNA:PNA結合体、PNA:PNA結合体、PNA:RNA結合体、ビオチン−アビジン結合体、およびタンパク質−タンパク質複合体からなる群より選択される特異的結合対のメンバーであり得る。このアッセイは、溶液中または固体支持体上で行われ得る。このアッセイはまた、細胞アッセイであり得る。細胞アッセイは、細胞内の事象のインビボ検出であり得、または細胞溶解によって曝露された細胞成分における因子のインビトロ検出であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態によると、第一の分析物および第二の分析物を含むサンプルと、無機半導体のナノ粒子およびそのナノ粒子に会合した少なくとも1分子の第一の化学ルミネセンス化合物を含む第一の基質とを接触させる工程を包含するアッセイが提供される。ここで、この第一の化学ルミネセンス化合物は、第一の酵素によって活性化されて励起状態のドナーを生成し、このドナーは、非放射性プロセスにおいてエネルギーを無機半導体に移動させ、それによって第一の光ルミネセンス発光を生じ、そして第一の分析物は、第一の化学ルミネセンス化合物を活性化することができる。このアッセイはさらに、そのサンプルと第二の基質とを接触させる工程を包含し、この第二の基質は無機半導体のナノ粒子およびそのナノ粒子に会合した少なくとも1分子以上の第二の化学ルミネセンス化合物を含み、ここでその第二の化学ルミネセンス化合物は、第二の酵素によって活性化されて励起状態のドナーを生じ得、このドナーが、非放射性プロセスにおいてナノ粒子にエネルギーを移動させ、それによって第一の光ルミネセンス発光とはスペクトルが異なる第二の光ルミネセンス発光を生じ、そしてここで、第二の分析物は、第二の化学ルミネセンス化合物を活性化することができる。
【0065】
このアッセイはさらに、第一および/または第二の光ルミネセンス発光を検出する工程を包含する。ここで、第一の光ルミネセンス発光は、サンプルにおける第一の分析物の存在および/または量を示し、第二の光ルミネセンス発光は、サンプルにおける第二の分析物の存在および/または量を示す。上述のアッセイにおいて、第一の分析物は第一の酵素で標識され得、そして第二の分析物は第二の酵素で標識され得る。あるいは、第一の分析物は第一の酵素であり得、第二の分析物は第二の酵素であり得る。
【0066】
これらの実施形態に従うアッセイは、溶液中または固体支持体上で行われ得る。このアッセイは、細胞アッセイであり得る。第一の化学ルミネセンス化合物および第二の化学ルミネセンス化合物は異なったものであり得、ナノ粒子(このナノ粒子に、この第一および第二の化学ルミネセンス化合物が会合し得る)は、異なる特性(例えば、サイズ)を有し得、その結果、それらはスペクトルが異なる光ルミネセンス発光を生じる。
【0067】
上記アッセイが溶液中で行われる場合、化学ルミネセンスエンハンサーが、その溶液に加えられ得る。例示的な化学ルミネセンスエンハンサーとしては、第四級オニウム部分(例えば、第四級アンモニウム部分、スルホニウム部分またはホスホニウム部分)を含むポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーとしては、TBQ、TPQ、THQおよびTOPが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
いくつかの実施形態に従うと、サンプルにおける第一および/または第二の分析物の存在を検出するためのアッセイが、提供される。このアッセイは、サンプルと第一の基質とを接触させる工程を包含する。この第一の基質は、ナノ粒子、このナノ粒子に会合した少なくとも1分子の第一の化学ルミネセンス化合物、およびこのナノ粒子に会合した少なくとも1分子の第一の捕捉因子を含み、この第一の捕捉因子は、第一の分析物と会合し得、第一の化学ルミネセンス化合物は、第一の酵素によって活性化されて励起状態のドナーを生成し得、この励起状態のドナーが、非放射性プロセスにおいてナノ粒子にエネルギーを移動させ、それによって第一の光ルミネセンス発光を生じる。このアッセイはさらに、そのサンプルと、第二の基質とを接触させる工程を包含する。この第二の基質は、ナノ粒子、このナノ粒子に会合した少なくとも1分子の第二の化学ルミネセンス化合物、およびこのナノ粒子に会合した少なくとも1分子の第二の捕捉因子を含み、この第二の捕捉因子は、第二の分析物に会合し得、この第二の化学ルミネセンス化合物は、第二の酵素によって活性化されて励起状態のドナーを生成し得、この励起状態のドナーは、非放射性プロセスにおいてナノ粒子にエネルギーを移動させ、それによって第一の光ルミネセンス発光とはスペクトルが異なる第二の光ルミネセンス発光を生じる。このアッセイはさらに、サンプル中の第一の分析物を第一の捕捉因子と会合させる工程、サンプル中の第二の分析物を第二の捕捉因子に会合させる工程、ならびに第一および第二の光ルミネセンス発光を検出する工程を包含し、ここで、この第一の光ルミネセンス発光はそのサンプルにおける第一の分析物の存在および/または量を示し、そして第二の光ルミネセンス発光はそのサンプルにおける第二の分析物の存在および/または量を示す。
【0069】
上述のアッセイにおいて、第一および/または第二の分析物、ならびに第一および/または第二の捕捉因子は、ポリヌクレオチドを含み、ここで、その第一の捕捉因子は第一の分析物にハイブリダイズすることができ、第二の捕捉因子は第二の分析物にハイブリダイズすることができる。あるいは、第一の分析物および第二の分析物、ならびに第一および第二の捕捉因子の各々がポリペプチドを含み、ここで、その第一の捕捉因子は、タンパク質−タンパク質相互作用によって第一の分析物に会合し得、そして第二の捕捉因子は、タンパク質−タンパク質相互作用によって第二の分析物に会合し得る。さらに、第一および第二の分析物は各々抗原を含み、第一および第二の捕捉鎖(capture strand)は、第一および第二の分析物にそれぞれ結合することができる抗体を含み、そして第一および第二の捕捉因子は、抗原−抗体結合によって第一および第二の分析物に会合する。第一の分析物は第一の酵素で標識され得、第二の分析物は第二の酵素で標識される。この第一の捕捉因子と第一の分析物と、および第二の分析物と第二の捕捉因子とは、特異的結合対のメンバーであり得る。例えば、第一および第二の捕捉因子ならびに第一および第二の分析物は、各々、特異的結合対のメンバーであり得る。例示的な結合対としては、以下:抗原:抗体複合体、DNA:DNA複合体、DNA:RNA複合体、DNA:PNA複合体、PNA:PNA複合体、PNA−RNA複合体、ビオチン−アビジン複合体、およびタンパク質−タンパク質複合体が挙げられる。
【0070】
上述のアッセイはさらに、サンプル中の第一の分析物を第一の捕捉因子と会合させた後に、第一の基質と、第一の捕捉因子に会合した第一の分析物に結合することができる第一の種とを接触させる工程であって、この第一の種は第一の酵素で標識されている、工程;ならびにサンプル中の第二の分析物を第二の捕捉因子と会合させた後に、第二の基質と、第二の捕捉因子に会合した第二の分析物に結合することができる第二の種とを接触させる工程であって、この第二の種は第二の酵素で標識されている、工程、を包含する。この第一および第二の種は、第一および第二の分析物にそれぞれ結合することができる抗体であり得る。
【0071】
これらの実施形態に従うアッセイは、溶液中または固体支持体上で行われ得る。このアッセイはまた、細胞アッセイであり得る。第一および/または第二の光ルミネセンス発光は、同時または連続的に検出され得る。このサンプルはまた、第一および第二の基質と、同時または連続的に接触され得る。第一および第二の化学ルミネセンス化合物、ならびに第一および第二の酵素は同じものであり得、ナノ粒子(このナノ粒子に対して、第一および第二の化学ルミネセンス化合物が会合する)は、異なる特性(例えば、サイズ)を有し得、その結果、それらはスペクトルが異なる光ルミネセンス発光を生じる。
【実施例】
【0072】
(実験)
(水溶性カルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子)
CdSe/ZnSナノ粒子(8〜20mg)を、0.1〜0.2mlのメルカプト酢酸に懸濁し、130℃に3分間加熱した。得られた混合物を室温まで冷却し、ジクロロメタン(5×3ml)で摩砕し、そしてオレンジ色の固体を風乾した。改変されたナノ粒子を、0.2MのNaOH中に、30mg/ml以下の濃度において溶解し、所望の濃度まで、0.1MのAMP(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)緩衝液(pH9.5)で希釈するか、または水で希釈した。
【0073】
図10Aは、カルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子の構造を示す概略図である。図10Bおよび図10Cは、0.1MのAMP緩衝液(pH9.5)におけるカルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子の新鮮溶液(図10A)および古い溶液(すなわち、4ヶ月の古さ)(図10B)についての、波長の関数としての発光強度を示すグラフである。
【0074】
(水溶性アンモニウムコーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子の合成)
CdSe/ZnSナノ粒子(9mg)を、固体の塩酸2−アミノエタンチオールと混合し、固体が融けて溶解するまで約100℃に加熱した。得られた融解物を室温に冷却し、その固体を水(2ml)に溶解し、小さいペーパープラグ(paper plug)を通して濾過して白色の固体を取り出した。次いで、オレンジ色の溶液を遠心分離によってCentricon YM−30フィルター(30kD MWCO)を通して濾過し、そのフィルター上に粘稠性のオレンジ色のナノ粒子溶液を残した。このオレンジ色のナノ粒子の「ゲル」を、水中に溶解し、洗浄(3×2ml)して、過剰のメルカプト酢酸を除去した。その濾液は清澄かつ無色であり、このことは、改変されたナノ粒子がフィルターメンブレン上に残っていたことを示す。この洗浄されたナノ粒子を、次いで、所望の濃度まで水中に溶解して、その溶液をピペットによってフィルターメンブレンから回収した。
【0075】
図11Aは、アンモニウムコーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子の構造を示す概略図である。図11Bは、アンモニウムコーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子についての波長の関数としての発光強度を示すグラフである。
【0076】
(CDP−Star(登録商標)からカルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子へのエネルギー移動)
A.単純な混合:カルボン酸コーティングされたナノ粒子(1mg)を、0.2MのNaOH(0.2ml)に溶解し、その溶液を0.1MのAMP緩衝液(pH9.5)(0.8ml)に溶解した。SapphireII溶液(10mg/ml;0.2ml)およびCOF−Star(登録商標)(12.5mg/ml;50ml)を、カルボン酸ナノ粒子に加えた。アルカリホスファターゼ(Biozyme Laboratories #ALP112G、1:1000に希釈、10ml)を加えて、COP−Star(登録商標)の分解を開始し、得られたルミネセンス発光を、化学ルミネセンスモードにおいてSpex Fluorolog Spectrometer上で収集した。化学ルミネセンス発光データは、波長の関数としての発光強度のグラフである図12Aに示される。図12Aから分かり得るように、このデータは、ほとんどのCDV−Star(登録商標)発光が470nmの極大であり、いくらかのカルボン酸ナノ粒子発光が559nmの極大において観察されたことを示した。赤色移動ナノ粒子発光は、励起状態のCDP−Star(登録商標)分解フラグメントからのエネルギー移動による、カルボン酸ナノ粒子の励起に帰因する。
【0077】
TBQ−処理されたカルボン酸ナノ粒子:カルボン酸コーティングされたナノ粒子(8mg)を、0.2MのNaOH(0.1ml)に溶解し、その溶液を0.1MのAMP緩衝液(pH9.5)(0.5ml)で希釈した。この溶液に、SapphireII溶液(10mg/ml;0.2ml)を加えた。赤色の固体がすぐに沈殿した。この反応混合物を、3mlの総容量まで水で希釈し、遠心分離し、そして空気によって減圧下で乾燥させて、Sapphire処置されたカルボン酸ナノ粒子固体(7mg)を得た。このナノ粒子固体(7mg)を、0.1MのAMP緩衝液(pH9.5)(1ml)で1時間超音波処理し、懸濁液を形成した。懸濁液の一部(0.2ml)を、ウェル中に入れ;CDP−Star(登録商標)(12.5mg/ml;50ml)およびアルカリホスファターゼ(Biozyme Laboratories #ALP1 12G、1:1000に希釈、10ml)を加えて、CDY−Star(登録商標)分解を開始した。得られたルミネセンス発光を、化学ルミネセンスモードにおいて、Cary Eclipse Spectrometerにおいて収集した。この化学ルミネセンス発光データは、波長の関数としての発光強度のグラフである図12Bに示される。図12Bから分かり得るように、このデータは、559nmの極大における増加したカルボン酸ナノ粒子発光を示し、CDV−Star(登録商標)発光もまた、470nm極大波長において明白であった。赤色移動したナノ粒子発光は、励起状態のCDP−Star(登録商標)分解フラグメントからのエネルギー移動による、カルボン酸ナノ粒子の励起に帰因する。
【0078】
(ジオキセタン−N(Me)からカルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子へのエネルギー移動)
カルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子(3mg)を、0.2MのNaOH(0.1ml)に溶解し、水(0.6ml)で希釈した。この溶液に、トリメチルアンモニウムジオキセタン(20mg/ml、DMSO、0.1ml)の溶液を加えた。過剰のNaOHによって、トリメチルアンモニウムジオキセタン分解を開始し、得られたルミネセンス発光データを、化学ルミネセンスモードにおいてSpex Fluorolog Spectrometerで収集した。この化学ルミネセンス発光データは、図13Bにおいてグラフで示される。図13Bは、559nmの発光極大を示すカルボン酸ナノ粒子の存在下での、トリエチルアンモニウムジオキセタンについての波長の関数としての発光強度を示すグラフである。図13Bから分かり得るように、このデータは、559nmにおける極大を有するカルボン酸ナノ粒子発光を示した。赤色移動したナノ粒子発光は、励起状態のトリメチルアンモニウムジオキセタン分解フラグメントからのエネルギー移動によるカルボン酸ナノ粒子の励起に帰因する。カルボン酸コーティングされたナノ粒子の非存在下では、NaOHによって開始されるジオキセタン分解によって生成されるトリメチルアンモニウムジオキセタン発光は、約470nmの極大を示した。図13Aは、約470nmの発光極大を示す、カルボン酸ナノ粒子の非存在下におけるトリエチルアンモニウムジオキセタンについての波長の関数としての発光強度を示すグラフである。
【0079】
本願において使用される章の見出しは、組織化する目的のみのためのものであり、いずれの様式においても本明細書中に記載される主題を限定するものとしては解釈されない。
【0080】
上述の明細書は、例示の目的のために提供される実施例と共に、本発明の原理を教示するが、本発明の真の範囲を逸脱することなく、形式および詳細における種々の変化がなされ得ることが、本開示を読むことによって、当業者に認識される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
(図面の簡単な説明)
当業者は、以下に説明される図面は、例示目的のみのためのものであることが、当業者に理解される。図面は、あらゆる様式において、本教示の範囲を制限するように意図されない。
【図1】図1は、イオン性で会合したジオキセタン−ナノ粒子エネルギー移動アセンブリの図である。このアセンブリは、カチオン性化学ルミネセンス強化ポリマーでコーティングされたアニオン荷電された表面を有するナノ粒子と、そのカチオン性コーティングにイオン性で会合した負に荷電したジオキセタン基質とを含む。
【図2】図2は、イオン性で会合したジオキセタン−ナノ粒子エネルギー移動アセンブリの図示である。このアセンブリは、反対に荷電した有機分子の連続的アセンブリによって生成された高分子電解質多層(すなわち、PEM)でコーティングされたアニオン性に荷電した表面を有するナノ粒子を含み、そして負に荷電したジオキセタン基質は、そのコーティングの最も外側のカチオン層にイオン性で会合する。
【図3】図3は、イオン性で会合したジオキセタン−ナノ粒子エネルギー移動アセンブリの図示である。このアセンブリは、表面にアルキルアンモニウム基を共有結合させて、全体的なカチオン性表面荷電を生成するように改変された表面を有するナノ粒子と、そのナノ粒子表面上のカチオン荷電とイオン性で会合した負に荷電したジオキセタン基質とを含む。
【図4】図4Aおよび図4Bは、化学的にトリガーされたジオキセタンからCdSe/ZnSナノ粒子へのエネルギー移動を図示する。ここで、図4Aは、基質(AMPPD−OAc)からの化学ルミネセンス発光を示す。図4Bは、ナノ粒子/基質アセンブリからの光ルミネセンス発光を示す。
【図5】図5は、共有結合したジオキセタン−ナノ粒子エネルギー移動アセンブリを図示する。このアセンブリは、ナノ粒子の表面に共有結合した複数のジオキセタンを含み、ここで励起状態のドナーが、共有結合したジオキセタンの酵素的脱保護によって生成される。
【図6】図6は、ナノ粒子表面への共有結合のために使用され得るNHSリンカーアームを有するジオキセタンの化学構造を示す。
【図7】図7A〜図7Cは、ジオキセタンのナノ粒子への共有結合のための種々のカップリングストラテジーを図示する。
【図8】図8は、S−ZnまたはN−Zn結合によってナノ粒子表面へ結合され得るチオール基またはヘテロアリールアミノ基を含む種々のリンカージオキセタンを図示する。
【図9】図9は、ナノ粒子光ルミネセンスが化学励起により開始したナノ粒子についてのサンドイッチイムノアッセイを示す概略図であり、ここで酵素標識(例えば、アルカリホスファターゼ)された検出抗体(96)が、ジオキセタン酵素基質(97)を脱保護して励起状態のドナー種(98)を生成し、それによってそのドナーからナノ粒子への非放射性エネルギー移動によってナノ粒子の光ルミネセンスを開始する。
【図10】図10Aは、カルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子の構造を示す概略図である。図10Bおよび図10Cは、0.1MのAMP緩衝液(pH9.5)におけるカルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子の新鮮溶液(図10A)および古い溶液(すなわち、4ヶ月の古さ)(図10B)についての、波長の関数としての発光強度を示すグラフである。
【図11】図11Aは、アンモニウムコーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子の構造を示す概略図である。図11Bは、アンモニウムコーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子についての波長の関数としての発光強度を示すグラフである。
【図12】図12Aは、アルカリホスファターゼによって活性化された、カルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子、SapphireIIおよびCDP−Star(登録商標)化学ルミネセンスジオキセタン基質の溶液についての波長の関数としての発光強度のグラフである。図12Bは、アルカリホスファターゼによって活性化された、カルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子およびSapphireIIの混合物についての波長の関数としての発光強度のグラフである。
【図13】図13Aは、カルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子の非存在下での、トリメチルアンモニウムジオキセタンについての波長の関数としての発光強度を示すグラフである。図13Bは、カルボン酸コーティングされたCdSe/ZnSナノ粒子の存在下での、トリメチルアンモニウムジオキセタンについての波長の関数としての発光強度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非放射性エネルギー移動による励起の際に光ルミネセンス発光を生じ得る無機半導体を含むナノ粒子であって、該ナノ粒子の表面はカチオン性部分を含む、ナノ粒子。
【請求項2】
前記ナノ粒子は、カチオン性コーティングを含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
前記カチオン性コーティングは、ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーを含む、請求項2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
前記ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーは、アンモニウム部分、ホスホニウム部分またはスルホニウム部分を含む、請求項3に記載のナノ粒子。
【請求項5】
前記ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーは、第四級オニウム部分を含む、請求項3に記載のナノ粒子。
【請求項6】
前記ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーは、TBQ、TPQ、THQおよびTOPからなる群より選択される、請求項3に記載のナノ粒子。
【請求項7】
前記コーティングは高分子電解質多層(PEM)を含み、該PEMは、ポリアニオン性およびポリカチオン性のポリマーまたはコポリマーの交互の層を含む、請求項2に記載のナノ粒子。
【請求項8】
前記ポリアニオン性ポリマーまたはコポリマーは、ポリ(アクリレート)、ポリ(L−グルタミン酸)、ポリ(スチレンスルホン酸)、ヒアルロン酸およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項7に記載のナノ粒子。
【請求項9】
前記ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーは、TBQ、TPQ、THQ、BDMQ、TOP、ポリ(塩酸アリルアミン)、ポリ(L−リシン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(L−アルギニン)およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項7に記載のナノ粒子。
【請求項10】
前記カチオン性部分は、樹枝状結晶リガンドである、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項11】
前記無機半導体は、CdSe、CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、MgTe、HgTe、Si、Si化合物またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項12】
前記無機半導体は、CdSeおよびZnS、またはCdTeおよびZnSを含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項13】
アッセイであって:
化学ルミネセンス化合物、無機半導体を含むナノ粒子および分析物を含むサンプルを、水溶液中で合わせる工程を包含し;
該分析物は、酵素を含み;そして
該化学ルミネセンス化合物は、酵素によって活性化されて励起状態のドナーを生じ得、ここで該励起状態のドナーは、該励起状態のドナーが非放射性プロセスによって該ナノ粒子の該無機半導体にエネルギーを移動させ、それによって光ルミネセンス発光を生じるように該ナノ粒子に会合する、アッセイ。
【請求項14】
前記分析物は酵素である、請求項13に記載のアッセイ。
【請求項15】
前記分析物は、前記酵素で標識されている、請求項13に記載のアッセイ。
【請求項16】
前記化学ルミネセンス化合物は、ジオキセタン、アクリジニウム塩活性エステル、アクリダンエステル、アクリダンチオエステル、アクリダンエノールホスフェート、エノールホスフェート、およびルミノールからなる群より選択される、請求項13に記載のアッセイ。
【請求項17】
前記化学ルミネセンス化合物は、ジオキセタンである、請求項13に記載のアッセイ。
【請求項18】
前記化学ルミネセンス化合物は、以下の式1〜7:
【化1】

【化2】

のうちの1つによって表されるジオキセタンであり、
ここで、nは1〜16の整数であり、Xはホスフェートまたはβ−ガラクトシド基であり、そしてMは、Na、K、Li、ピリジニウムイオン、ペルアルキルアンモニウムイオンまたはアンモニウムイオン.
【請求項19】
酵素基質であって、以下:
無機半導体を含む、ナノ粒子;および
該ナノ粒子に会合する化学ルミネセンス化合物の少なくとも1つの分子、
を含み、
該化学ルミネセンス化合物は、酵素によって活性化され得て、励起状態のドナーを生成し得;そして
該励起状態のドナーは、非放射性プロセスによって該半導体にエネルギーを移動させ、それによって光ルミネセンス発光を生じる、酵素基質。
【請求項20】
前記化学ルミネセンス化合物の1〜100,000分子が、前記ナノ粒子に会合する、請求項19に記載の基質。
【請求項21】
前記化学ルミネセンス化合物の100,000を超える分子が、ナノ粒子に会合する、請求項19に記載の基質。
【請求項22】
前記化学ルミネセンス化合物は、ジオキセタン、アクリジニウム塩活性エステル、アクリダンエステル、アクリダンチオエステル、アクリダネノールホスフェート、エノールホスフェートまたはルミノールである、請求項19に記載の基質。
【請求項23】
前記化学ルミネセンス化合物は、共有結合によって前記ナノ粒子に会合する、請求項19に記載の基質。
【請求項24】
前記化学ルミネセンス化合物は、以下の式8〜13:
【化3】

のうちの1つによって表される部分を含み、
ここで、該式の各々におけるXはホスフェート基またはβ−ガラクトシド基であり、そして該式における波線の結合は、該部分と該ナノ粒子の表面との間の共有結合または該部分を該ナノ粒子の表面に連結しているリンカー基のいずれかを表す、請求項23に記載の基質。
【請求項25】
前記無機半導体は、CdSe、CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、MgTe、HgTe、Si、Si化合物またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項19に記載の基質。
【請求項26】
前記無機半導体は、CdSeおよびZnS、またはCdTeおよびZnSを含む、請求項19に記載の基質。
【請求項27】
前記ナノ粒子は、ポリマーまたはコポリマー中に包埋された無機半導体の複数のナノ粒子を含むビーズである、請求項19に記載の基質。
【請求項28】
前記化学ルミネセンス化合物は、イオン結合によって前記ナノ粒子に会合する、請求項19に記載の基質。
【請求項29】
前記無機半導体の表面は、カチオン性部分を含む、請求項19に記載の基質。
【請求項30】
前記無機半導体の表面は、第四級オニウム部分を含む、請求項29に記載の基質。
【請求項31】
前記半導体の表面は、第四級アンモニウム、スルホニウムまたはホスホニウム部分を含む、請求項30に記載の基質。
【請求項32】
前記ナノ粒子はコーティングを含み、前記化学ルミネセンス化合物は、該ナノ粒子上のコーティングに会合する、請求項28に記載の基質。
【請求項33】
前記コーティングは、ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーを含む、請求項32に記載の基質。
【請求項34】
前記ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーは、第四級オニウム部分を含む、請求項33に記載の基質。
【請求項35】
前記ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーは、第四級アンモニウム部分、スルホニウム部分またはホスホニウム部分を含む、請求項34に記載の基質。
【請求項36】
前記ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーは、TBQ、TPQ、THQおよびTOPを含む、請求項33に記載の基質。
【請求項37】
前記化学ルミネセンス化合物は、以下の式1〜7:
【化4】

【化5】

のうちの1つによって表されるジオキセタンであり、
ここで:nは1〜16に記載の整数であり、Xはホスフェート基またはβ−ガラクトシド基であり;Mは、Na、K、Li、ピリジニウムイオン、ペルアルキルアンモニウムイオンまたはアンモニウムイオンである、請求項28に記載の基質。
【請求項38】
前記化学ルミネセンス化合物は、Zn−SまたはZn−N結合によって前記ナノ粒子に会合されている、請求項19に記載の基質。
【請求項39】
前記無機半導体の表面は、ZnSまたはZnSeコーティングを含み、前記化学ルミネセンス化合物は、チオールまたは複素環式アミノ基を含み、該コーティングは該化学ルミネセンス化合物の該チオールまたは複素環式アミノ基に会合する、請求項19に記載の基質。
【請求項40】
前記チオールまたは複素環式アミノ基は、リンカーに会合され、該リンカーは、前記化学ルミネセンス化合物に会合される、請求項39に記載の基質。
【請求項41】
前記チオールまたは複素環式アミノ基は、5.0〜9.0の範囲のpKaにおいて置換可能なプロトンを有するアルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアミノ基またはヘテロアリールアミノ基である、請求項40に記載の基質。
【請求項42】
前記化学ルミネセンス化合物は、以下の式14〜19:
【化6】

のうちの1つによって表され、
ここで、Xはホスフェート基またはβ−ガラクトシド基であり、Mは−SHまたは複素環式アミノ基である、請求項39に記載の基質。
【請求項43】
前記化学ルミネセンス化合物は、以下の式20または式21:
【化7】

の複素環式アミノ基を含む、請求項39に記載の基質。
【請求項44】
前記ナノ粒子の表面に会合した1つ以上の捕捉因子の分子をさらに含む、請求項19に記載の基質。
【請求項45】
前記捕捉因子の1つ以上の分子は、共有会合またはイオン会合によって前記ナノ粒子の表面に会合する、請求項44に記載の基質。
【請求項46】
前記捕捉因子の1〜1,000個の分子が、前記ナノ粒子の表面に会合する、請求項44に記載の基質。
【請求項47】
前記捕捉因子の1,000個を超える分子が、前記ナノ粒子の表面に会合する、請求項44に記載の基質。
【請求項48】
前記捕捉因子は抗体、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、レセプター、レクチンまたはアプタマーである、請求項44に記載の基質。
【請求項49】
アッセイであって、以下:
請求項19に記載の酵素基質を、分析物を含むサンプルと接触させる工程であって、該分析物は、前記化学ルミネセンス化合物を活性化し得る酵素を含む、工程;
該サンプル中の該分析物によって、化学ルミネセンス化合物を活性化させる工程、
を包含し、ここで、該化学ルミネセンス化合物の酵素活性化は、励起状態の産物の生成をもたらし、該産物は非放射性プロセスにおいて該ナノ粒子にエネルギーを移動させ、それによって、光ルミネセンス発光を生じさせ、そして該ナノ粒子からの該光ルミネセンス発光は、該サンプルにおける分析物の存在および/または量を示す、アッセイ。
【請求項50】
前記分析物は、前記化学ルミネセンス化合物を活性化させて励起状態のドナーを生成し得るか、または該分析物は、該化学ルミネセンス基質を活性化して、励起状態のドナーを生成し得る酵素で標識される、請求項49に記載のアッセイ。
【請求項51】
前記アッセイは、溶液中または固体支持体上で行われる、請求項49に記載のアッセイ。
【請求項52】
前記アッセイは細胞アッセイである、請求項49に記載のアッセイ。
【請求項53】
アッセイであって、以下:
請求項44に記載の酵素基質と、分析物を含むサンプルとを接触させる工程;
該サンプル中の分析物を、前記捕捉因子に会合させる工程;および
前記ナノ粒子からの光ルミネセンス発光を検出する工程、
を包含し、該捕捉因子は、該分析物に会合することができ、該化学ルミネセンス化合物の酵素活性化は励起状態のドナーを生成し、該励起状態のドナーは、非放射性プロセスによってエネルギーを移動させて、前記無機半導体を励起させて光ルミネセンス発光を生じさせ、そして該ナノ粒子からの光ルミネセンス発光は、該サンプル中の分析物の存在および/または量を示す、アッセイ。
【請求項54】
前記分析物および前記捕捉因子は各々ポリヌクレオチドを含み、該捕捉因子は、該分析物にハイブリダイズし得る、請求項53に記載のアッセイ。
【請求項55】
前記分析物および前記捕捉因子は各々ポリペプチドを含み、該捕捉因子はタンパク質−タンパク質相互作用によって該分析物に結合する、請求項53に記載のアッセイ。
【請求項56】
前記分析物は抗原を含み、前記捕捉因子は該抗原に会合し得る抗体であり、そして該捕捉因子は、抗原−抗体結合により該分析物に会合する、請求項53に記載のアッセイ。
【請求項57】
前記基質と酵素標識された種とを接触させる工程をさらに包含し、該種は、前記サンプル中の分析物を前記捕捉因子と会合させた後に、該捕捉因子に会合した分析物に結合することができ、ここで該酵素標識は、化学ルミネセンス化合物を活性化し得、励起状態のドナーを生成し得る、請求項53に記載のアッセイ。
【請求項58】
前記基質と酵素標識された抗体とを接触させる工程をさらに包含し、該抗体は、前記サンプル中の分析物を前記捕捉因子と会合させた後に、該捕捉因子に会合した分析物に結合することができ、ここで該酵素標識は、化学ルミネセンス化合物を活性化し得、励起状態のドナーを生成し得る、請求項53に記載のアッセイ。
【請求項59】
前記アッセイは、特異的結合対アッセイである、請求項53に記載のアッセイ。
【請求項60】
前記分析物は、前記化学ルミネセンス化合物を活性化して励起状態のドナーを生成し得る、請求項53に記載のアッセイ。
【請求項61】
前記分析物は、前記化学ルミネセンス化合物を活性化して励起状態のドナーを生成し得る酵素で標識されている、請求項60に記載のアッセイ。
【請求項62】
前記捕捉因子および分析物は、抗原:抗体、DNA:DNA結合体、DNA:RNA結合体、DNA:PNA結合体、PNA:RNA結合体、PNA:PNA結合体、ビオチン−アビジン結合体、およびタンパク質−タンパク質複合体からなる群より選択され、該アッセイは、溶液中または固体支持体上で行われる、請求項59に記載のアッセイ。
【請求項63】
前記アッセイは細胞アッセイである、請求項53に記載のアッセイ。
【請求項64】
前記アッセイは、細胞の内部における事象の検出のためのインビボアッセイ、または細胞溶解によって曝露された細胞成分における因子の検出のためのインビトロアッセイである、請求項63に記載のアッセイ。
【請求項65】
アッセイであって、以下:
第一の分析物および第二の分析物を含むサンプルと、第一の基質とを接触させる工程であって、該第一の基質は、無機半導体のナノ粒子、および該ナノ粒子に会合した少なくとも1分子の第一の化学ルミネセンス化合物を含み、ここで該第一の化学ルミネセンス化合物は、第一の酵素によって活性化されて励起状態のドナーを生成し得、該励起状態のドナーは、非放射性プロセスにおいて該無機半導体にエネルギーを移動させ、それによって第一の光ルミネセンス発光を生じ、そして該第一の分析物は、該第一の化学ルミネセンス化合物を活性化し得る、工程;
該サンプルと第二の基質とを接触させる工程であって、該第二の基質は、無機半導体のナノ粒子、および該ナノ粒子に会合した少なくとも1分子の第二の化学ルミネセンス化合物を含み、該第二の化学ルミネセンス化合物は、第二の酵素によって活性化されて、励起状態のドナーを生じ得、該励起状態のドナーは、非放射性プロセスにおいて該ナノ粒子にエネルギーを移動させ、それによって該第一の光ルミネセンス発光からスペクトルが異なる第二の光ルミネセンス発光を生じ、かつ該第二の分析物は、該第二の化学ルミネセンス化合物を活性化し得る、工程;
該第一の光ルミネセンス発光および該第二の光ルミネセンス発光を検出する工程;
を包含し、ここで該第一の光ルミネセンス発光は該サンプルにおける該第一の分析物の存在および/または量を示し、該第二の光ルミネセンス発光は、該サンプルにおける該第二の分析物の存在および/または量を示す、アッセイ。
【請求項66】
前記第一の分析物は前記第一の酵素で標識され、前記第二の分析物は前記第二の酵素で標識されている、請求項65に記載のアッセイ。
【請求項67】
前記第一の分析物は前記第一の酵素であり、前記第二の分析物は前記第二の酵素である、請求項65に記載のアッセイ。
【請求項68】
前記アッセイは、溶液中または固体支持体上で行われる、請求項65に記載のアッセイ。
【請求項69】
前記アッセイが細胞アッセイである、請求項65に記載のアッセイ。
【請求項70】
前記第一の化学ルミネセンス化合物と前記第二の化学ルミネセンス化合物とが異なっている、請求項65に記載のアッセイ。
【請求項71】
前記ナノ粒子は、スペクトルが異なる光ルミネセンス発光を生じ、該ナノ粒子に対して前記第一の化学ルミネセンス化合物および前記第二の化学ルミネセンス化合物が会合する、請求項65に記載のアッセイ。
【請求項72】
前記アッセイは溶液中で行われ、化学ルミネセンスエンハンサーが該溶液に加えられる、請求項65に記載のアッセイ。
【請求項73】
前記化学ルミネセンスエンハンサーは、第四級オニウム部分を含むポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーである、請求項72に記載のアッセイ。
【請求項74】
前記第四級オニウム部分は、第四級アンモニウム部分、スルホニウム部分およびホスホニウム部分からなる群より選択される、請求項73に記載のアッセイ。
【請求項75】
前記ポリカチオン性ポリマーまたはコポリマーは、TBQ、TPQ、THQおよびTOPからなる群より選択される、請求項74に記載のアッセイ。
【請求項76】
サンプルにおける第一の分析物および第二の分析物の存在を検出するためのアッセイであって、該アッセイは、以下:
該サンプルと、第一の基質とを接触させる工程であって、該第一の基質はナノ粒子、該ナノ粒子と会合した少なくとも1分子の化学ルミネセンス化合物、および該ナノ粒子と会合した少なくとも1分子の第一の捕捉因子を含み、該第一の捕捉因子は、該第一の分析物と会合し得、該第一の化学ルミネセンス化合物は第一の酵素によって活性化されて励起状態のドナーを生成し得、該励起状態のドナーは非放射性プロセスにおいて該ナノ粒子にエネルギーを移動させ、それによって第一の光ルミネセンス発光を生じる、工程;
該サンプルと、第二の基質とを接触させる工程であって、該第二の基質はナノ粒子、該ナノ粒子と会合した少なくとも1分子の第二の化学ルミネセンス化合物、および該ナノ粒子と会合した少なくとも1分子の第二の捕捉因子を含み、該第二の捕捉因子は該第二の分析物と会合し得、該第二の化学ルミネセンス化合物は第二の酵素によって活性化されて励起状態のドナーを生成し得、該励起状態のドナーは、非放射性プロセスにおいて該ナノ粒子にエネルギーを移動させ得、それによって該第一の光ルミネセンス発光とはスペクトルが異なる第二の光ルミネセンス発光を生じる、工程;
該サンプルにおける該第一の分析物を、該第一の捕捉因子と会合させ、そして該第二のサンプルにおける該第二の分析物を、該第二の捕捉因子に会合させる工程;
を包含し、該第一の光ルミネセンス発光は該サンプルにおける該第一の分析物の存在および/または量を示し、該第二の光ルミネセンス発光は該サンプルにおける該第二の分析物の存在および/または量を示す、アッセイ。
【請求項77】
前記第一の分析物および第二の分析物、ならびに前記第一の捕捉因子および第二の捕捉因子の各々がポリヌクレオチドを含み、該第一の捕捉因子は該第一の分析物にハイブリダイズし得、該第二の捕捉因子は該第二の分析物にハイブリダイズし得る、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項78】
前記第一の分析物および第二の分析物、ならびに前記第一の捕捉因子および第二の捕捉因子の各々がポリペプチドを含み、該第一の捕捉因子は、タンパク質−タンパク質相互作用によって該第一の分析物と会合し得、該第二の捕捉因子は、タンパク質−タンパク質相互作用によって該第二の分析物と会合し得る、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項79】
前記第一の分析物および第二の分析物が各々抗原を含み、前記第一の捕捉因子および第二の捕捉因子が各々、それぞれ該第一の分析物および第二の分析物に結合し得る抗体を含み、該第一の捕捉因子および第二の捕捉因子は、抗原−抗体結合によって該第一の分析物および第二の分析物に会合する、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項80】
前記第一の分析物は前記第一の酵素で標識され、前記第二の分析物は前記第二の酵素で標識される、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項81】
前記第一の捕捉因子および前記第一の分析物および前記第二の捕捉因子および前記第二の分析物は、特異的結合対のメンバーである、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項82】
前記特異的結合対は、抗原:抗体複合体、DNA:DNA複合体、DNA:RNA複合体、DNA:PNA複合体、PNA:PNA複合体、PNA:RNA複合体、ビオチン−アビジン複合体、およびタンパク質−タンパク質複合体からなる群より選択される、請求項81に記載のアッセイ。
【請求項83】
さらに、以下:
前記サンプル中の第一の分析物を前記第一の捕捉因子と会合させた後に、前記第一の基質と、該第一の捕捉因子と会合した該第一の分析物に結合し得る第一の種とを接触させる工程であって、該第一の種は、前記第一の酵素で標識されている、工程;および
前記サンプル中の第二の分析物を前期第二の捕捉因子と会合させた後に、前記第二の基質と、該第二の捕捉因子と会合した該第二の分析物に結合し得る第二の種とを接触させる工程であって、該第二の種は、前記第二の酵素で標識されている、工程、
を包含する、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項84】
前記第一の種および第二の種は、それぞれ前記第一の分析物および第二の分析物に結合し得る抗体である、請求項83に記載のアッセイ。
【請求項85】
前記アッセイは、溶液中または固体支持体上で行われる、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項86】
前記アッセイは細胞アッセイである、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項87】
前記第一の光ルミネセンス発光および第二の光ルミネセンス発光は、同時または別個に検出される、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項88】
前記サンプルは、前記第一の基質および第二の基質と、同時または別個に接触される、請求項76に記載のアッセイ。
【請求項89】
前記第一の化学ルミネセンス化合物および第二の化学ルミネセンス化合物、ならびに前記第一の酵素および第二の酵素は同一であり、前記ナノ粒子はスペクトルが異なる光ルミネセンス発光を生じ、該ナノ粒子に該第一の化学ルミネセンス化合物および第二の化学ルミネセンス化合物が会合する、請求項76に記載のアッセイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−514737(P2008−514737A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531358(P2007−531358)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/032130
【国際公開番号】WO2006/029302
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(502342071)アプレーラ コーポレイション (3)
【氏名又は名称原語表記】Applera Corporation
【住所又は居所原語表記】35 Wiggins Avenue, Bedford, Massachusetts 01730, U.S.A.
【Fターム(参考)】