説明

エポキシ樹脂用硬化剤

【課題】 80℃付近の低温領域と150℃付近の高温領域におけるエポキシ樹脂の硬化性能に差があり、150℃付近の高温領域で選択的にエポキシ樹脂の硬化反応を行なうことができるエポキシ樹脂用硬化剤を提供することを目的とすること。
【解決手段】下記一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物(A)からなることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤。


(R1〜R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはフェニル基、R4〜R6は炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基、XはO、S、CH、NH、nは1〜5の整数)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミダゾール系化合物を用いたエポキシ樹脂用硬化剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、エポキシ樹脂は、その硬化物が、機械的特性、電気的特性、熱的特性、耐薬品性等に優れた性能を有することから、塗料、電気電子用絶縁材料、接着剤等の幅広い用途に用いられており、エポキシ樹脂の硬化剤についても、イミダゾール類、アミン類、ジシアンジアミド、酸無水物類、フェノール類、ヒドラジン類、グアニジン類等の種々の硬化剤が広く用いられていた。
【0003】
これらの中でもイミダゾール系のエポキシ硬化剤は広い用途に用いられており、例えば特許文献1では、半導体装置の電子回路部品の封止用途に用いられるエポキシ樹脂の硬化剤(硬化促進剤)として1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール等の種々イミダゾール系化合物が使用されており、特許文献2では、繊維強化複合材料用途において、強化用繊維材料にエポキシ樹脂組成物を含浸させたて得られる所謂プリプレグを形成する際に2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物が使用されている。
【0004】
エポキシ樹脂の硬化条件については、その樹脂組成や使用される用途により、樹脂硬化の際の熱環境は大きく異なるものであるため、エポキシ樹脂の硬化の際に用いられるエポキシ硬化剤についても、近年、さまざまな温度条件で安定的、効率的にエポキシ硬化性能を発揮することが求められており、それぞれの用途に適したエポキシ硬化剤を選択、開発することが重要となっている。
【0005】
例えば、特許文献1のような電子回路部品の封止用途では、硬化剤は150〜170℃程度の高温領域で効果性能を示すものが使用されており、特許文献2のような繊維強化複合材料用途では、室温では硬化性能を示さず、80℃以下の温度領域での一次硬化性能、130℃以上の温度領域での二次硬化性能を示す硬化剤が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−68418
【特許文献2】特開2003−73456
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年ではエポキシ樹脂の使用用途は多様化してきており、上記特許文献1や特許文献2と同じように130〜170℃付近の高温領域でエポキシ樹脂の硬化が行なわれる場合であっても、60〜100℃付近の低温領域では非硬化性が求められるといった、選択的な硬化性が要求される用途も生じてきている。このような選択的な硬化性が求められる用途では、特許文献1や特許文献2に記載されている1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾールや、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化剤は使用することができないものであった。
【0008】
そこで、本発明では、このような背景下において、80℃前後と150℃前後におけるエポキシ樹脂の硬化性能に差があり、150℃付近で選択的にエポキシ樹脂の硬化反応を行なうことができるエポキシ樹脂用硬化剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
しかるに本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、イミダゾール系化合物からなるエポキシ樹脂用硬化剤において、イミダゾール系化合物の置換基として、シリル基を含有する置換基を用いることにより、80℃ではエポキシ樹脂に対する硬化性能を示さないか、或いは実用的ではないほど硬化速度が遅いが、150℃では短時間でエポキシ樹脂を硬化させることが可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明の要旨は、下記一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物(A)からなることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤に関するものである。
【0011】
【化1】


(R1〜R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはフェニル基、R4〜R6は炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基、XはO、S、CH、またはNH、nは1〜5の整数)
【0012】
更に、本発明において、上記一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物(A)が常温(25℃)で液体である場合には、「硬化剤の添加→均一分散→昇温→硬化」という一連のエポキシ樹脂の硬化工程において、常温で固体である公知のエポキシ硬化剤に比べ、エポキシ樹脂に添加後、混合の際に効率よく均一分散させることが可能であり、硬化後の硬化ムラや細部の未硬化等の硬化不良を防ぐことが可能であることも見出した。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、150℃付近で選択的にエポキシ樹脂の硬化反応を行なうことが可能となるのである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、エポキシ樹脂用硬化剤とは、硬化剤として働くもののみならず硬化促進剤(硬化助剤)として働くものも含めるものである。
【0015】
まず、下記一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物(A)(以下、「イミダゾール系化合物(A)」と略すことがある。)について説明する。
【0016】
【化2】


(R1〜R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはフェニル基、R4〜R6は炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基、XはO、S、CH、またはNH、nは1〜5の整数)
【0017】
上記一般式(1)中のR1〜R3は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。アルキル基の炭素数としては、好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは1〜6であり、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、特にR1〜R3の全ての置換基が水素原子であることが本発明の硬化性能を発揮しやすい点で好ましい。
【0018】
また、上記アルキル基およびフェニル基は置換基を有するものであってもよく、置換基としては、通常、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、スルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられ、好ましくは水酸基、アリール基である。
【0019】
上記一般式(1)中のR4〜R6は炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基である。アルキル基の炭素数としては、好ましくは炭素数1〜4、更に好ましくは1〜3であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、R4〜R6組み合わせとして、全ての置換基がメチル基、全ての置換基がエチル基、全ての置換基がイソプロピル基、1つがt−ブチル基で2つがフェニル基、1つがt−ブチル基で2つがメチル基であることが、工業的に原料を入手しやすい点で好ましく、特に好ましくは全ての置換基がメチル基、エチル基である。
【0020】
また、上記アルキル基およびフェニル基は置換基を有するものであってもよく、置換基としては、通常、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、スルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられ、好ましくは水酸基、アリール基である。
【0021】
上記一般式(1)中のXは、O、S、CH、NHのいずれかであり、イミダゾール環上の窒素原子に結合したアルキレン鎖とケイ素原子を連結するものである。これらの中でもO(酸素原子)であることが、合成が容易にでき、更に安定性が高い点で好ましい。
【0022】
上記一般式(1)中のnは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3、特に好ましくは2である。
【0023】
上記一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物としては、例えば、<X=Oでnが1の化合物>1−トリメチルシロキシメチルイミダゾール、1−トリエチルシロキシメチルイミダゾール、1−トリイソプロピルシロキシメチルイミダゾール、1−t−ブチルジメチルシロキシメチルイミダゾール、1−t−ブチルジフェニルシロキシメチルイミダゾール、<X=Oでnが2の化合物>1−(2−トリメチルシロキシエチル)イミダゾール、1−(2−トリエチルシロキシエチル)イミダゾール、1−(2−トリイソプロピルシロキシエチル)イミダゾール、1−(2−t−ブチルジメチルシロキシエチル)イミダゾール、1−(2−t−ブチルジフェニルシロキシエチル)イミダゾール、<X=Oでnが3の化合物>1−(3−トリメチルシロキシプロピル)イミダゾール、1−(3−トリエチルシロキシプロピル)イミダゾール、1−(3−トリイソプロピルシロキシプロピル)イミダゾール、1−(3−t−ブチルジメチルシロキシプロピル)イミダゾール、1−(3−t−ブチルジフェニルシロキシプロピル)イミダゾール、<X=Oでnが4の化合物>1−(4−トリメチルシロキシブチル)イミダゾール、1−(4−トリエチルシロキシブチル)イミダゾール、1−(4−トリイソプロピルシロキシブチル)イミダゾール、1−(4−t−ブチルジメチルシロキシブチル)イミダゾール、1−(4−t−ブチルジフェニルシロキシブチル)イミダゾール、<X=Oでnが5の化合物>1−(5−トリメチルシロキシペンチル)イミダゾール、1−(5−トリエチルシロキシペンチル)イミダゾール、1−(5−トリイソプロピルシロキシペンチル)イミダゾール、1−(5−t−ブチルジメチルシロキシペンチル)イミダゾール、1−(5−t−ブチルジフェニルシロキシペンチル)イミダゾール等が挙げられるが、これらの中でも、X=Oでnが2の化合物が、合成が容易にでき、かつ本発明の硬化性能を発揮しやすい点で好ましく、特に好ましくは1−(2−トリメチルシロキシエチル)イミダゾール、1−(2−トリエチルシロキシエチル)イミダゾールである。
【0024】
イミダゾール系化合物(A)の分子量としては、通常130〜750、好ましくは140〜500である。
【0025】
イミダゾール系化合物(A)の融点としては、通常−150〜250℃、好ましくは−140〜240℃、更に好ましくは−130〜230℃であり、高すぎると樹脂との相溶性が低下する為、硬化性能が低下する傾向がある。
【0026】
イミダゾール系化合物(A)のガラス転移温度(Tg)としては、通常−150〜250℃、好ましくは−140〜240℃、更に好ましくは−130〜230℃であり、高すぎると樹脂との相溶性が低下する為、硬化性能が低下する傾向がある。
【0027】
上記融点及びガラス転移温度の測定は、例えば、DSC2920(TA Instruments社製)を用いて、アルミニウムセルにサンプルを10mg秤量しシールして、DSCにサンプルとリファレンスサンプル(アルミニウム空セル)をセットし、窒素を50ml/minでパージしながら、液体窒素を用いて室温から−150℃まで冷却し、同温度で3分保ち、その後、昇温速度10℃/minで300℃まで昇温した際の昇温データチャートから測定する方法より行なうことができる。
【0028】
イミダゾール系化合物(A)の製造方法としては、例えば、<X=Oの場合>トリアルキルシリルハライドと水酸基含有イミダゾールのO−シリル化反応や1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンと水酸基含有イミダゾールのO−シリル化反応により製造することができ、<X=Sの場合>トリアルキルシリルハライドとメルカプト基含有イミダゾールのS−シリル化反応により製造することができ、<X=NHの場合>トリアルキルシリルハライドとアミノ基含有イミダゾールのN−シリル化反応やN−メチルーN−トリメチルシリルアセトアミドとアミノ基含有イミダゾールのN−シリル化反応により製造することができ、<X=CHの場合>イミダゾールとトリアルキルシリルアルキルハライドとN−アルキル化反応により製造することができる。
【0029】
本発明で使用するエポキシ樹脂は、特に限定されるものではなく平均して一分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであれば良い。
代表的なエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂、p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂、フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂、4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルー3’、4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキサイド等が挙げられ、これら1種または2種以上の混合したものでも良い。
【0030】
かかるエポキシ樹脂には、必要に応じて希釈剤、可撓性付与剤、シラン系カップリング剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、顔料、染料等の各種添加剤を加えることができる。
【0031】
本発明においては、上記イミダゾール系化合物(A)をエポキシ樹脂の硬化剤として使用するものであり、イミダゾール系化合物(A)の使用量としては、エポキシ樹脂100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは0.2〜25重量部、特に好ましくは0.3〜20重量部である。かかる使用量が多すぎると、硬化物の物性が低下する傾向があり、少なすぎると硬化反応が進行しにくくなる傾向がある。
【0032】
本発明におけるイミダゾール系化合物(A)は、硬化剤として単独で用いることもできるし、アミン類、ポリアミン類、ヒドラジン類、酸無水物、ジシアンジアミド、イミダゾール類、オニウム塩類、ポリチオール類、フェノール類、ケチミン等の一般的に使用されている硬化剤と併用することもできる。
また、公知一般のエポキシ樹脂用硬化促進剤(硬化助剤)を併用することも可能である。
【0033】
また、本発明におけるイミダゾール系化合物(A)からなるエポキシ樹脂用硬化剤は、上記公知一般の硬化剤と併用して、硬化性能を触媒的に促進させるために用いることができる。
【0034】
イミダゾール系化合物(A)をエポキシ樹脂と混合する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、所定量のイミダゾール系化合物(A)とエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂混合物を、ロール混練機、ニーダー、または押出機等を用いて混練すればよい。次いで、かかる混練後のエポキシ樹脂混合物を加熱することにより、エポキシ樹脂硬化物を得ることができる。加熱条件は、エポキシ樹脂の種類、硬化剤の種類、添加剤の種類、各成分の配合量を考慮し、加熱温度、加熱時間を適宜選択すればよい。
【0035】
かくして本発明においては、硬化剤としてイミダゾール系化合物(A)を用いることによりエポキシ樹脂硬化物を得ることができるものである。
【実施例】
【0036】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0037】
<製造例1>
『1−(2−トリメチルシロキシエチル)イミダゾールの製造』
100ml反応器に1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール33.5g(0.30mol)、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン27.0g(0.17mol)を加え、反応器外部から空気を流し込み、反応液をバブリングさせ反応液を混合した。次いで、バブリングし続けた状態で反応液温を80℃になるよう加温し、80℃で4時間反応を行った。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、減圧下50℃で未反応のヘキサメチルジシラザン等を除去した。得られた濃縮液を50℃で減圧下乾燥することで、1−(2−トリメチルシロキシエチル)イミダゾール(A−1)を49.7g取得した。収率は90%であった。
【0038】
<実施例1、比較例1>
上記製造例1で得られた1−(2−トリメチルシロキシエチル)イミダゾール(A−1)、および(A−1)のヒドロキシル基がシリル保護されていない1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾールについて、下記エポキシ樹脂硬化試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0039】
[エポキシ樹脂硬化試験]
常温において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER828、ジャパンエポキシレジン社製)100重量部に対し、上記硬化剤を5重量部添加し、混合することで混合組成物を調製した。
ついで、得られた混合組成物2gを用い、ゲルタイムテスター(安田精機製作所製)により、80℃および150℃におけるゲルタイム(硬化時間:ローターのトルクが約3.3Kg・cmに達するまでに要する時間)を測定した。
【0040】
【表1】

【0041】
上記試験結果より、20分(1200秒)という実用的な硬化所要時間内において、実施例1に記載の硬化剤は、80℃においてはエポキシ樹脂に対して硬化性能を示さないものの、150℃において良好な硬化性能を有するものであることから、150℃において選択的にエポキシ樹脂の硬化反応を行なうことができるものである。
一方、比較例1で用いた1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾールは、80℃および150℃のいずれにおいても硬化性を示すものであり、硬化性能における150℃での選択性は認められないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤は、150℃付近で選択的にエポキシ樹脂の硬化反応を行なうことが可能であり、プリプレグ(特には、繊維強化複合材料のマトリックス樹脂、プリント回路板や銅張積層板などのエポキシ樹脂系の積層板に使用するプリプレグ)等の幅広い用途において、温度選択的な硬化性が求められる場合に有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物(A)からなることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤。


(R1〜R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、またはフェニル基、R4〜R6は炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基、XはO、S、CH、NH、nは1〜5の整数)
【請求項2】
上記一般式(1)中のXがOであることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
【請求項3】
25℃で液体であることを特徴とする請求項1または2いずれか記載のエポキシ樹脂用硬化剤

【公開番号】特開2011−157429(P2011−157429A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18343(P2010−18343)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】