説明

エポシロン組成物

【課題】エポシロンの医薬製剤、および特に非経口的、例えば、静脈内投与可能な医薬製剤の提供。
【解決手段】エポシロンは16員マクロライド系で分解に特に不安定である、更に乏しい溶解性が、非経口投与用医薬製剤の形成を困難にしている、そこで賦形剤として知られているマンニトールやβ−シクロデキストリンを加え薬学的に許容される溶媒に溶解し、凍結乾燥する。これを水性媒体で希釈して、輸液溶液を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポシロンの医薬製剤、および特に非経口的、例えば、静脈内投与可能な医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
エポシロンは式Iの微小管安定化細胞毒性剤(Gerth, K. et al., J. Antibiot. 49, 560-3 (1966);またはHoefle et al., DE4138042参照)である。典型的な代表例は、Rが水素であるエポシロンAおよびRがメチル基であるエポシロンBを含む。
【化1】

【0003】
これらは7個のキラル中心を含む16員環マクロライドであり、また種々の官能性により特徴付けられる。例えば、それらはエポキシドおよび/またはチアゾール環のような他の環系を含み得る。それらは、2つの遊離、誘導体化可能ヒドロキシル基を含み得、マクロライドそれ自体エステル結合を含み得る。エポシロンおよびそれらの合成は、例えば、公開PCT出願WO93/10121およびDE4138042A2に記載され、その内容は引用して本明細書に包含させる。典型的エポシロン誘導体およびその合成は、公開PCT出願WO97/19086およびWO98/25929に記載され、その内容は引用して本明細書に包含させる。エポシロンの言及は、好ましくはエポシロンAまたはエポシロンBまたはそれらの塩および適当な場合それらの誘導体または混合物を意味することを意図する。エポシロンAまたはBは単独で使用し得またはAとBの混合物で使用し得るが、好ましくは、しかしA単独またはB単独、最も好ましくはB単独で使用する。
【0004】
細胞毒性剤は、腫瘍の処置に既知である。多くのこれらの化合物の抗腫瘍活性は細胞増殖の阻害および続くアポトーシスおよび細胞死の誘導に依存する。細胞毒性剤の多くは、その作用をDNAおよび/またはRNA合成の干渉を通して発揮する。しかし、ある細胞毒性剤、例えば、タキサンファミリー、例えばパクリタキセル、およびエポシロンに関して、その活性は微小管動力学の干渉に依存する。微小管は、新規抗癌製剤の開発の重要で魅力的な標的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE4138042
【特許文献2】WO93/10121
【特許文献3】DE4138042A2
【特許文献4】WO97/19086
【特許文献5】WO98/25929
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Gerth, K. et al., J. Antibiot. 49, 560-3 (1966)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、エポシロンに適した製剤に関する刊行物はほとんどない。我々は、16員マクロライド系が分解に特に不安定であることを発見している。更に、これらの化合物の乏しい溶解性が、非経口投与用医薬製剤の形成を非常に困難にしている。乏しい溶解性の化合物は、溶解過程の間溶媒を温めることにより溶液とし得る。しかし、これらの化合物が高い反応性であるとすれば、それらは上昇した温度で分解し得る傾向にある。更に、これらの非常に反応性の化合物は、水性溶液としての長時間の貯蔵期間にわたり分解し得る。静脈内投与前に水性媒体中に希釈できる微小管剤Taxol(登録商標)の濃縮溶液が記載されている。しかしこのような溶液はCremophor(登録商標)(ポリエトキシル化ヒマシ油)のような界面活性剤を慣用的に用いる。Cremophor(登録商標)のような界面活性剤は患者でアレルギー反応をもたらし得ることは既知である。
【0008】
従って、エポシロンに適した商業的に許容される医薬製剤、例えば、冷蔵庫中、例えば、2−8℃で貯蔵可能な医薬製剤の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
我々は、驚くべきことに、本発明により、エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBの溶解性を改善する、および/または界面活性剤、例えば、10またはそれ以上のHLB値を有する界面活性剤、例えば、Cremophor(登録商標)の使用なしにおよびその可能性のある不利な作用なしに、より急速な溶解性を付与する手段を発見した。
【0010】
したがって、本発明はその一つの態様において、エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBを含む医薬製剤(これは以後本発明の製剤と呼ぶことがある)を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい態様において、本発明はエポシロンと薬学的に許容される有機溶媒を、例えば、10またはそれより大きいHLB値の界面活性剤、例えば、Cremophor(登録商標)の非存在下で含む、輸液濃縮物の形の医薬製剤を提供する。輸液濃縮物はエポシロン、例えばエポシロンAおよびBの溶解性を改善するためにおよび/またはより早い溶解性を付与するために界面活性剤の使用を必要としない。上記のように、例えば、10より大きいHLB値の多水素化天然または水素化ヒマシ油、例えばCremophor(登録商標)はアレルギー反応をもたらし得、それらはまた標準PVC容器、管材料から可塑剤を浸出し得る。その結果、それらを用いた場合、特別な注入装置、例えば、ニトログリセリン管材料およびガラスのような非可塑化容器、管などの使用が要求され得る。
【0012】
前記の薬学的に許容される有機溶媒は、当分野で既知の任意のこのような有機溶媒から選択され得る。該溶媒は、個々にまたは他の溶媒と組合わせて使用し得る。好ましくは該溶媒は室温で液体である。好ましくは、溶媒は(i)少なくとも2の炭素鎖長の、例えばC−C、例えばCまたはCまたはCのアルコール、または(ii)N−アルキルピロリドン、例えばC−C、例えばN−メチルピロリドンから選択される。アルコールの典型的な例は、例えば水混和性アルコール、例えば無水エタノールまたはグリセロールである。他のアルコールはグリコール、例えば、エチレンオキサイドのようなオキサイドから得られるグリコール、例えばプロピレングリコールを含む。他の例は、ポリオール、例えば、ポリアルキレングリコール、例えばポリ(C2−3)アルキレングリコールである。典型的な例は、例えば、好ましい分子量200−600ダルトン、より好ましくは200−400ダルトン、特に300ダルトンのポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールは蒸留形で使用し得、例えば、1個またはそれ以上の以下の性質により特徴付けられ得る:(i)最大20ppm、典型的に1ppmより少ない、例えば0.1から0.5ppmのエチレンオキサイド含量:(ii)4.0から7.0の間のpH値および(iii)還元物質およびアルデヒド非存在(引用して本明細書に包含させるEuropean Pharmacopoeia, Third Edition, 1997, Council of Europe, Strasbourg, Chapter 2.2.2. Degree of coloration of liquidに記載の方法に従った試験する液体の着色程度を塩化鉄(III)塩(黄色溶液)または塩化コバルト塩(赤色溶液)含有対照溶液と比較することにより測定)。当業者は、種々の分子量のポリエチレングリコールをそれらが生理学的に許容である限り使用し得ることを認識する。前記溶媒はもちろんその製造中に発生する、または大気から取りこまれる水を、例えば飽和まで、例えば2%まで、例えば0.5%まで、典型的に0.1%より少なく、例えば0.01から0.05%まで含み得る。所望により、薬学的に許容される溶媒を水、例えば約45%まで、例えば30%まで、例えば20%まで、例えば5%までの水(“添加水”)と混合し得る。典型的な例は、エタノール/水混合物、例えば70%エタノール重量/容量、またはポリエチレングリコール/水混合物、例えば90%ポリエチレングリコールw/vを含む。
【0013】
エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBは、0.1から100mg/ml、例えば1から100mg/ml、より好ましくは0.5から50mg/ml、より好ましくは0.5から10mg/ml、最も好ましくは1mg/mlの濃度で輸液濃縮物に存在し得る。
【0014】
エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBは、個々にまたはエポシロン類の混合物として、例えばエポシロンAおよびBの混合物として使用し得る。より強い抗腫瘍活性のエポシロンBの場合、製剤中でエポシロンAより低い濃度で用い得る。単独で使用する場合、0.1から100mg/ml、例えば10から100mg/ml、好ましくは0.1から50mg/ml、例えば20から50mg/ml、および特に1mg/mlの濃度のエポシロンAを使用するのが好ましい。エポシロンBは、単独で使用する場合、好ましくは0.1から50mg/ml、例えば10から50mg/ml、例えば1から50mg/ml、および特に1mg/mlの濃度で用いる。
【0015】
輸液濃縮物の形の本発明の医薬製剤は、例えば、本発明の薬学的に許容される溶媒に、エポシロンを所望により他の賦形剤と共に溶解することにより製造し得る。好ましくは、他の賦形剤は存在しない。もし存在する場合、それらは5%より少ない量、例えば2%より少ない、例えば0.1から1.5%の間の量で存在する。
【0016】
本発明の輸液濃縮物は、簡便には適当な容器、例えば、バイアル、ダブルチャンバーバイアルシステム、またはアンプルに貯蔵する。典型的にバイアルまたはアンプルはガラス、例えばホウ珪酸またはソーダ石灰ガラスから成る。バイアルまたはアンプルは、当分野で慣用的な容量であり得、好ましくは1から5ml、より好ましくは2mlの輸液濃縮物を入れるのに適している。容器は好ましくは穴を開けられるストッパー、例えば滅菌生ゴムストッパーに適し得、それは、液体の他の容器からまたは他の容器への移動をさせるために容器に適当な密封封印を提供し得る。
【0017】
本発明の輸液濃縮物は、例えば、実施例に記載するような標準安定性試験で示されるように、例えば12から36、例えば24ヶ月の間、少なくとも2から8℃の温度で安定であり得る。
【0018】
更に、輸液濃縮物は殆ど蒸発せず、それらは慣用の器具を使用して製造し得、例えば防爆性装置は必要ではなく、それらは、容器中で保存されるとき、例えば、ストッパーを分解することなく、生ゴムストッパーに耐容性である。
【0019】
輸液濃縮物は、エポシロンが非経口的に、例えば静脈内的に患者に投与される前に、輸液を製造するための静脈内投与に適した薬学的に許容される有機溶媒、例えば水性媒体で希釈し得る。非経口投与は、点滴または注射による投与を含むと理解される。
【0020】
従って、本発明は、他の態様において、前記で定義の輸液濃縮物および、好ましくは水性媒体である薬学的に許容される有機溶媒から選択される希釈剤の混合物を含む輸液溶液を提供する。
【0021】
希釈剤として使用する薬学的に許容される有機溶媒は、輸液濃縮物で使用される任意の溶媒または溶媒の組合わせであり得る。しかし、好ましくは、それは水、例えば注射用水から成る。輸液溶液は、好ましくは、体液と同じまたは本質的に同じ浸透圧を有する。従って、希釈剤は、好ましくは、輸液の浸透圧を体液と同じまたは本質的に同じにする等張剤(複数もある)を含む。
【0022】
等張剤(複数もある)は、当分野で既知のもの、例えば、マンニトール、デキストロース、グルコースおよび塩化ナトリウムから選択され得る。好ましくは、等張剤はグルコースまたは塩化ナトリウムである。等張剤(複数もある)は、輸液に体液と同じまたは本質的に同じ浸透圧を付与する量で使用する。必要な正確な量は、慣用的実験で決定でき、輸液溶液の組成および等張剤(複数もある)の性質に依存する。具体的な等張剤(複数もある)の選択は、エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBの性質に関してなし得る。例えば、エポシロンBを単独でまたはエポシロンAとの組合わせで使用するとき、ある等張剤(複数もある)の使用は輸液を濁らせ得る。濁りはエポシロン、例えばエポシロンBの溶解によるものであり得る。
【0023】
驚くべきことに、我々はグルコースを等張剤として用いた場合、濁りは、あったとしても、長期間、例えば24時間を超えて現れないことを発見した。
【0024】
水性媒体中の等張剤(複数もある)の濃度は、使用する具体的な等張剤(複数もある)の性質に依存し、好ましくは濃度は5%またはそれ以下である。グルコースを使用するとき、好ましくは1から5%w/v、より具体的には5%w/vの濃度で使用する。等張剤が塩化ナトリウムであるとき、好ましくは1%w/vまで、特に0.9w/vまでの量で用いる。
【0025】
本発明の輸液溶液は、静脈内投与する他の製剤で一般的に用いる他の賦形剤を含み得る。賦形剤は抗酸化剤を含む。抗酸化剤は、酸化的分解に対してエポシロン、例えばエポシロンBを保護するために用い得る。抗酸化剤は、当分野で既知であり、静脈内製剤に適したものから選択し得る。抗酸化剤の量は、慣用の実験で決定し得る。酸化剤の添加の代わりに、またはそれに加えて、抗酸化作用を、輸液溶液を酸素(空気)との接触から離すことにより達成し得る。これは、簡便には該輸液溶液を含む容器を、不活性ガス、例えば窒素でパージすることにより達成し得る。
【0026】
輸液溶液を形成するために輸液濃縮物との混合物中に使用する希釈剤の量は、輸液溶液中のエポシロン、例えばエポシロンBの所望の濃度にしたがって選択する。好ましくは、輸液溶液は上記の輸液濃縮物のバイアルまたはアンプルを、希釈剤、例えば、適当な容器、例えば、輸液袋またはビン中の注射用水中の5%w/vグルコース溶液と混合し、希釈剤で50mlから1000ml、例えば200mlから1000mlまたは好ましくは50mlから100mlの間の量にすることにより調製する。このようにして作った輸液溶液は、好ましくは直ぐにまたは作ってから短時間、例えば6時間以内に使用し得る。あるいは、輸液濃縮物および予定した量の希釈剤を、ダブルチャンバーバイアルシステムの別々のチャンバーに充填し、患者への静脈内投与直前にのみ混合し得る。
【0027】
別の態様において、本発明の医薬製剤は、エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBを含む凍結乾燥組成物の形であり得る。エポシロンAおよびBの乏しい溶解性に鑑み、エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBのみからなる凍結乾燥物は、簡便に取扱うのに、例えば、許容可能な成分均一性を確保するのに適当な容積の凍結乾燥組成物を提供しないか、または視覚的に検出するのが困難であり得る程度にさえ非常に小さいことがあり得る。従って、本発明の凍結乾燥組成物中に、固体含量、従って凍結乾燥組成物の容積を増加させるために働く賦形剤を使用し得る。適当な賦形剤は単独または組合わせで使用して、エポシロンを不安定にするか、またはそうでなければその効果を減少させるようなエポシロンとの不利な相互作用なしに、凍結乾燥組成物の容積を増加させる賦形剤であり得る。更に、賦形剤は医薬製剤、例えば、非経口、例えば静脈内医薬組成物への使用に適している必要性がある。従って、賦形剤(複数もある)を選択するとき、凍結乾燥組成物の性質だけでなく、最終医薬形の性質も考慮しなければならない。適当な賦形剤の例は、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、ラクトースならびにデキストロース、マンニトールおよびデキストランのような他の炭水化物、および静脈内への使用に適したシクロデキストリン、例えばβ−シクロデキストリンを含む。典型的なシクロデキストリンはまたシクロデキストリン誘導体、例えばアルキル−、アリル−誘導体またはヒドロキシアルキル誘導体を含み、それらは、例えば、β−シクロデキストリンとオキサイド、例えばプロピレンオキサイドとの縮合反応により形成される。より好ましい態様において、β−シクロデキストリン誘導体は、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンであり得る。好ましくは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンは、Roger A., Rajewski et al., Journal of Pharmaceutical Science, Vol. 85, No.11, November 1996, 1142から1169頁に記載のものを含み得、この文献は引用して本明細書に包含させる。
【0028】
賦形剤の賢明な選択を通して、出願人は、エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBを含む、エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBの改善された溶解特性を示す、またはエポシロンをより速く溶解するようにするが、エポシロンの効果に不利に作用しない、適当に嵩高い凍結乾燥組成物が形成され得ることを発見した。
【0029】
賦形剤またはその混合物は、凍結乾燥組成物の全固体含量の50から99.9%、より好ましくは90から99%、例えば該組成物の全固体の95%を構成し得る。
エポシロンは、凍結乾燥組成物の全固体含量の100%を構成し得るが、好ましくは全固体の0.1から10%、より好ましくは0.1から1.5%、例えば1.2%を構成し得る。
【0030】
エポシロンおよびシクロデキストリン、またはマンニトールが凍結乾燥組成物の全固体含量の100%を提供しない限り、固体のバランスは、薬学的使用へ再構成される、凍結乾燥の分野で一般的に使用される賦形剤、例えば、上記の他の賦形剤により提供され得る。
【0031】
本発明の凍結乾燥組成物は、エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBおよび上記で定義の適当な賦形剤を含む溶液(以後、“オリジナル溶液”と呼ぶ)から形成され得る。このようなオリジナル溶液に適当な溶媒は、水単独または薬学的に許容される水混和性有機溶媒、例えばアルコール、より具体的にはエタノールまたはプロピレングリコールを含む水ベースの溶媒である。
【0032】
オリジナル溶液は0.01%から0.5%(w/v)のエポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBを含み得る。
オリジナル溶液は、エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBをおよび賦形剤を適当な溶媒中に溶解し、その後溶液をフィルター、例えば、滅菌0.22ミクロンフィルターを通して濾過することにより製造し得る。このようにして作ったオリジナル溶液は、適当な容量、好ましくは30mlの容量で4.2mlの充填容量のバイアルに充填し得る。
【0033】
更に別の態様において、本発明は(i)エポシロン、例えばエポシロンAまたはエポシロンBと、薬学的に許容される賦形剤、例えばマンニトールまたはシクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを適当な溶媒中混合し、オリジナル溶液を作り、(ii)オリジナル溶液を脱水する段階を含む、凍結乾燥組成物の製造法を提供する。
【0034】
凍結乾燥は既知の方法に従って行い得る。好ましい過程において、前記充填容器を凍結乾燥チャンバーに約3時間、共融点より低い温度、好ましくは約−40℃で凍結させる。その後、凍結乾燥チャンバーを約0.1から0.2ミリトルに排気する。チャンバーの温度を、次いで凍結液体の昇華をおこさせるために上昇させる。好ましくは、温度を約0℃に上昇させ、この温度を8から15時間維持し、凍結乾燥を行う。
【0035】
凍結乾燥組成物は、非経口投与製剤の製品として使用し得、従って凍結乾燥過程は好ましくは滅菌条件下で、例えば、無菌製造過程を使用して、または照射により行う。薬理活性化合物含有無菌製剤、バイアルの無菌充填および無菌条件下の凍結乾燥は、当業者に既知である。
【0036】
このように製造した凍結乾燥組成物の水分含量は、組成物の全重量の3%またはそれ以下であり得る。しかし、所望により、滅菌水蒸気を凍結乾燥チャンバーに、大気圧でまたは前記の減圧で挿入し得る加湿段階を、凍結乾燥に続いて使用し得る。もちろん、加湿段階を減圧下で行う場合、圧力は水蒸気の導入により変化し得、圧力変化を追跡でき、必要な場合、圧力を当分野で既知の方法を使用して調節できる。加湿段階は、大気圧で行うか、減圧下で行うかに依存して、4から8時間の時間で完了し得る。
【0037】
加湿段階を使用して得た凍結乾燥組成物は、以後、水和凍結乾燥物と呼ぶ。該水和凍結乾燥物は、0.1から5重量%の水を含み得る。
【0038】
本発明の凍結乾燥組成物は、単一投与量容器形で提供し得る。単一投与量容器形は、適当なサイズであり得る。“適当なサイズ”は、凍結乾燥組成物を再構成するのに必要な溶液の量に関する適切なサイズを意味する。適当な容器は、これらの投与形を提供するために使用し得る。“適当”は、無菌充填工程に使用し得る、および滅菌環境の維持が可能である、および凍結乾燥組成物と非反応性である容器を意味する。好ましい容器は、ガラス、例えばタイプIガラスの形であり得、またストッパー、例えば、密封封印を提供するために容器の壁と協同し得る滅菌生ゴムストッパーを受入れる手段を有し得る。好ましいストッパーはまた溶媒、例えば、注射用水の凍結乾燥組成物への挿入の目的で容器の中への挿入を可能にし得る。
【0039】
本発明の凍結乾燥組成物は、2から30℃の温度で24から36ヶ月貯蔵安定であり得る。これらの期間貯蔵された凍結乾燥組成物は分解の兆項を示さず、可溶性特性は影響されないままである。
エポシロンの非経口、例えば静脈内形の提供が望まれるとき、凍結乾燥組成物を、好ましくは使用直前に再構成し得る。
【0040】
再構成は、水または前記のような他の薬学的に許容される溶媒、例えば、生理食塩水、薬学的に許容されるアルコール、例えばエタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール300等の水溶液、または他の滅菌注射可能物に、凍結乾燥組成物を無菌条件下溶解させることを含み得る。単一投与量容器形は、非経口投与に必要なエポシロン、例えば、エポシロンAまたはエポシロンBの所望の濃度に関する適当な量の溶媒と共に充填し得る。このような再構成凍結乾燥組成物は、好ましくは、形成して直ぐ、または短時間内、例えば、6時間以内に使用する。
【0041】
非経口、例えば、静脈内投与に適した形の本発明の医薬組成物、例えば、輸液濃縮物の希釈により調製した輸液溶液または再構成凍結乾燥組成物(以後、本発明の希釈製剤と呼ぶ)は、該医薬製剤と非反応性の慣用の容器から選択された容器に充填し得る。前記のガラスタイプから製造されたガラス容器が適しているが、プラスチック容器、例えば、プラスチック輸液袋の使用が好ましい。
【0042】
プラスチック容器は、原則として熱可塑性ポリマーからなるものである。プラスチック材料は、更に添加剤、例えば、可塑剤、充填剤、抗酸化剤、静電気防止剤および当分野で慣用の他の添加剤を含み得る。
【0043】
本発明の希釈製剤に適したプラスチックは、加熱滅菌に必要な上昇した温度に耐性でなければならない。好ましいプラスチック輸液袋は、当分野で既知のPVCプラスチック材料からなるものである。
広範囲の容器サイズを用い得る。容器サイズを選択するとき、具体的な溶媒におけるエポシロンの溶解性および取扱い、および、適当である場合、容器の貯蔵の容易さを考慮し得る。約200から1000ml、例えば、250から1000mlの本発明の希釈製剤を収容できる容器の使用が好ましい。
【0044】
本発明の希釈製剤は、好ましくは滅菌し得る。これは、例えば、照射、または該希釈製剤の滅菌濾過膜を通した濾過により容易に達成し得る。液体形の組成物の滅菌製剤、滅菌充填バイアルおよび/または非経口使用の液体と滅菌希釈剤の無菌条件下での組み合わせは、当業者に既知である。
【0045】
本発明の希釈製剤は、悪性増殖性疾患、例えば、その内容を引用して本明細書に包含させるWO93/10121およびDE4138042A2に記載の処方および条件の処置および予防に有用である。より具体的に、それらは腫瘍疾病、例えば、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、神経芽細胞腫、頭頚部癌、膀胱癌、腎臓癌、胃または好ましくは結腸直腸、前立腺、胸部、肺(特に非小細胞肺癌)または上皮、特に類表皮、例えば、子宮頸癌の処置に有用であり得る。更に、本発明の希釈製剤は、Paclitaxel(登録商標)を使用するものと同じ条件の処置に、同じ方法で有益である。ある腫瘍に関して、エポシロンはPaclitaxel(登録商標)と比較して促進された有益な効果を提供する。ある腫瘍、例えば、あるタイプの肺癌、例えば、A549肺に関して、エポシロンBはPaclitaxel(登録商標)と比較して促進された有益な効果を提供する。
【0046】
一般に、本発明の希釈製剤は、エポシロン、例えばエポシロンAおよび/またはB、特にエポシロンBの投与により処置できる増殖疾病に対する治療効果を有する量で投与し得る。このような増殖疾病は、上記の増殖疾病、特に腫瘍疾病を含み、治療的に有効な量への応答は、好ましくはそれ自体、増殖の減少、例えば、腫瘍成長の減少または(より好ましくは)腫瘍退行または(最も好ましくは)腫瘍消滅でさえ、明らかに示す。正確な量および投与期間は、エポシロン、例えば、エポシロンA、エポシロンBまたは両方の混合物の性質、具体的な腫瘍を特徴付ける具体的な悪性増殖細胞のタイプ、状態の重症度、投与速度、ならびに患者の健康および処置への反応に依存し得る。
【0047】
また、非経口投与に適した形の本発明の医薬製剤、例えば、輸液濃縮物を希釈して、または凍結乾燥組成物を再構成して製造した輸液溶液は、当業者に既知の他の腫瘍処置、例えば、照射と組合わせ得、または少なくとも一つの他の化学療法剤を含む組み合わせ治療の一部として投与し得る。活性剤の組合わせの投与は、同時、またはいずれか一方の活性剤を最初に投与する連続的であり得る。組合わせ治療の活性剤の投与量は、各活性剤の効果および活性部位、ならびに組合わせ治療で使用する薬剤の間の相乗効果に依存し得る。
【0048】
他の化学療法剤は、特に、以下のクラスに由来する化学療法剤のような、腫瘍疾病の処置に使用されている、または使用できる化学療法剤を含み得る:
(A)アルキル化剤、好ましくは架橋化学療法剤、好ましくはビスアルキル化剤、
(B)抗腫瘍抗生物質、好ましくはドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標));
(C)代謝拮抗物質;
(D)植物アルカロイド;
(E)ホルモン剤およびアンタゴニスト;
(F)生理学的応答修飾剤、好ましくはリンホカインまたはインターフェロン;
(G)タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤;
(H)アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体;または
(I)他のまたは既知の作用機構を有する雑多な薬剤(複数もある)、好ましくはTaxeneクラス、特にTaxotere(登録商標)または最も具体的にはパクリタキセル(Taxol(登録商標))。
【0049】
本発明の希釈製剤は、従って、単一抗癌製剤として、または種々の腫瘍の処置のための組合わせレジメの一部として有用であり得る。
本発明の希釈製剤の利用性は、例えば、エポシロンの同等な血中レベルを投与する、エポシロン投与の既知の処方における標準臨床試験;例えば、75kgの哺乳類、例えば、1.73mの成人ヒトにおいて、約0.1から6mg/mのエポシロンを1週間に1回の処置に、そして約0.3から18mg/mのエポシロンを3週間に1回のエポシロンの投与量を使用して、および標準動物モデルで観察され得る。例えば、単一投与レジメの抗腫瘍効果は、ヒト卵巣癌SKOV3およびU373神経膠腫モデルにおいて調査される。
【0050】
本発明の希釈製剤の形で投与したエポシロンの増加したバイオアベイラビリティーは、例えば、上記したような標準動物試験および臨床試験で観察し得る。当然、投与するエポシロンのおよび医薬製剤の正確な量は、多くの因子、例えば、処置する条件、正確なエポシロン、処理する所望の期間およびエポシロンの投与速度に依存し得る。例えば、必要なエポシロンの量およびその投与速度は、どの程度の期間、血漿中に特定のエポシロン濃度が治療効果の許容される濃度で残っているかを決定する、例えば、上記のような、既知のインビボおよびインビトロ法を基本にして決定し得る。
【0051】
本発明の希釈製剤は、簡便には静脈内に約0.1から100mg/m、例えば、0.2から100mg/mエポシロンAおよび約0.1から50mg/m、例えば、0.2から50mg/mエポシロンBの量で投与し得る。好ましくは、週1回の処置では0.1から6mg/m、好ましくは0.1から5mg/m、より好ましくは0.1から3mg/m、より更に好ましくは0.1から1.7mg/m、最も好ましくは0.1から1mg/mの間の投与量;3週間に1回の処置では、0.3から18mg/m、好ましくは0.3から15、より好ましくは0.3から12、より更に好ましくは0.3から7.5mg/m、最も好ましくは1.0から3.0mg/mの間の投与量である。この投与量は、ヒトに、2から180分、好ましくは、2から120分、より好ましくは5から30分、最も好ましくは10から30分、例えば、30分にわたる静脈内投与により投与する。
【0052】
好ましくは、濃度および投与強度は、0.5から15mg/日、より好ましくは1から10mg/日、より好ましくは2から8mg/日の有効な投与レベルを達成するものであり得る。静脈投与により投与された投与量および血液濃度は、既知のインビボおよびインビトロ法を基にして正確に決定し得る。
【0053】
更に別の態様において本発明は、エポシロンをエポシロン処置を必要とする患者に投与する方法であって、このような処置を必要とする患者に本発明の希釈製剤を非経口的に投与することを含む方法を提供する。より具体的に、このようなエポシロンの投与法は、(a)例えば、輸液濃縮物または凍結乾燥組成物の形の本発明の医薬製剤を、水性媒体で希釈し、非経口、例えば、静脈内投与に適した溶液を形成する、そして(b)このような溶液を患者に投与することを含む。
【0054】
更に別の本発明の態様において、非経口投与に適した医薬の製造におけるエポシロンの使用を提供する。
本発明を、本発明の範囲を限定する意図ではない以下の実施例の方法で説明する。全ての割合は特記しない限り重量/重量である。医薬製剤の任意の成分は、更に、その内容を引用して本明細書に包含させるFiedler, H.P. “Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete”, Editio Cantor, D-7960 Aulendorf, 第4改訂および拡大版(1996)に記載されているものであり得る。
【実施例】
【0055】
実施例1
エポシロン(15mgのBまたは50mgのA)を98−100%プロピレングリコール(1.0ml)に溶解する。溶液を0.22ミクロンのポアサイズフィルターを通して濾過滅菌し、1mlアンプルに入れる。充填アンプルは貯蔵および輸送に使用する。充填アンプルは、少なくとも12ヶ月、2から8℃の温度で安定である。静脈内投与の前に、アンプルの中に250から1000mlの注射用水中の5%グルコース溶液を添加する。このようにして形成した静脈内用溶液は、室温で8時間安定である。
【0056】
実施例2から7
実施例1の実験を、無水および水性エタノール溶媒系および種々のポリエチレングリコール溶媒系(表1)を使用して繰り返す。
【表1】

実施例2から7で得た輸液溶液は、全て8時間、室温で安定である。
【0057】
実施例8
種々の溶媒系への溶解度を表2に要約する。特記しない限り、全ての溶解度データはT=22℃に関する。
【表2】

【0058】
中性pHでのエポシロンBの水への溶解度は約160mg/lであり、有意に高い溶解度がPEG/水、プロピレングリコール/水、またはEtOH/水混合物で達成される。比較して、先に報告されたエポシロンAの水性溶解度は940mg/lおよびエポシロンAおよびBの混合物に関して700mg/lである。
【0059】
実施例9
種々の温度での異なる濃度のエポシロンBを含む水性対非水性ポリエチレングリコール輸液濃縮物の安定性を測定する。典型的に、既知量のエポシロンBを、各々1.0mlの種々の溶媒系に溶解し、各溶液を濾過滅菌し、灰色生ゴムストッパーおよび灰色フリップオフ(flip-off)キャップを備えた1ml白色ガラスバイアルに充填する。表3は、7ヶ月にわたる期間中に形成された分解産物の量を記載する。安定性は、各輸液濃縮物における分解産物の形成を、時間および温度の関数として測定することにより分析する。各サンプルをHPLCで分析、サンプルを濃縮物の水性媒体での希釈により調製する。全輸液濃縮物の、2から8℃で3ヶ月後の安定性は同等である。高い温度、例えば25℃で、PEG含有非水性溶媒系は一般にPEG含有水性溶媒系よりも高い安定性を示す。
【0060】
【表3】

【0061】
実施例10
水性溶液は、エポシロンB(5.0mg)およびマンニトール(1500mg)を注射用水に溶解し、30ml溶液とすることにより調製する。溶液を滅菌0.22ミクロンポアサイズ膜フィルターを通し、無菌的にガラスバイアル中に溶液を入れ、その後、乾燥過程の準備を整えて無菌的に滅菌ストッパーをバイアルに合わせる。次いで、充填バイアルを凍結乾燥チャンバーに入れ、約−40℃の温度に冷却する。凍結乾燥凝縮装置を約−60℃に冷却し、チャンバーを約0.1ミリトルに排気する。約20時間の乾燥後、チャンバー圧は約0.2ミリトルに上昇しており、乾燥段階は完了したと考えられる。チャンバーの圧力を、無菌的に滅菌空気または窒素をチャンバー内に入れることにより大気圧に増加させる。その後、ストッパーを無菌的にバイアル上に合わせ、密封封印を提供する。密封バイアルは、エポシロンBの一回投与量容器を提供し、それは投与直前に注射のために25mlの水で再構成する。適量を静脈内に投与する。凍結乾燥生産物は、本発明の凍結乾燥組成物に必要な所望の特性を有する。
【0062】
実施例11から14
実施例10の方法を、下記に明示のような表に関して行い、凍結乾燥生産物を形成する(表4)。
【表4】

実施例11から14に従って形成した凍結乾燥生産物は、本発明の凍結乾燥組成物に必要な所望の特性を有する。
本発明の好適な実施態様には、以下のものが含まれる:
〔1〕 エポシロンと薬学的に許容される有機溶媒を含む、輸液濃縮物の形の医薬製剤。
〔2〕 エポシロンおよび薬学的に許容される有機溶媒を、10またはそれより大きいHLB値の界面活性剤、例えば、Cremophor(登録商標)の非存在下で含む、輸液濃縮物の形の医薬製剤。
〔3〕 エポシロンと、(i)アルコールまたは(ii)N−アルキルピロリドンから選択される薬学的に許容される有機溶媒を含む、医薬製剤。
〔4〕 薬学的に許容される有機溶媒がポリエチレングリコールである、上記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の医薬製剤。
〔5〕 更に水を含む、上記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の医薬製剤。
〔6〕 水が約45%w/vの量までで存在する、上記〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の医薬製剤。
〔7〕 水が0.5%w/vの量までで存在する、上記〔7〕に記載の医薬製剤。
〔8〕 エポシロンが1から5mg/mlの濃度である、上記〔1〕から〔7〕のいずれかに記載の医薬製剤。
〔9〕 上記〔1〕から〔8〕のいずれかに記載の製剤と薬学的に許容される溶媒を含む、輸液溶液。
〔10〕 (i)エポシロンと(ii)マンニトールまたはシクロデキストリンを含む、凍結乾燥組成物。
〔11〕 エポシロンとヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含む、凍結乾燥組成物。
〔12〕 エポシロンが全固体の0.1から1.5%を構成する、上記〔10〕または〔11〕記載の凍結乾燥組成物。
〔13〕 エポシロンが全固体の0.1から1.5%を構成し、シクロデキストリンが全固体の90から99%を構成する、上記〔10〕または〔11〕記載の凍結乾燥組成物。
〔14〕 上記〔10〕から〔13〕のいずれかに記載の医薬製剤を薬学的に許容される溶媒中に含む、再構成凍結乾燥組成物。
〔15〕 (a) 上記〔1〕から〔8〕のいずれかに記載の輸液濃縮物を水性媒体で希釈し、輸液溶液を形成する、そして
(b)本輸液溶液を患者に静脈内投与することを含む
エポシロンの投与法。
〔16〕 (a)上記〔10〕から〔13〕のいずれかに記載の凍結乾燥組成物を水性媒体で希釈し、輸液溶液を形成する、そして
(b)本輸液溶液を患者に静脈内投与することを含む
エポシロンの投与法。
〔17〕 上記〔9〕記載の輸液溶液を、処置を必要とする患者に非経口的に投与することを含む、エポシロンをエポシロン処置を必要とする患者に投与する方法。
〔18〕 上記〔14〕記載の再構成凍結乾燥組成物を、処置を必要とする患者に非経口的に投与することを含む、エポシロンをエポシロン処置を必要とする患者に投与する方法。
〔19〕 非経口投与に適した医薬の製造におけるエポシロンの使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)エポシロンと(ii)マンニトールまたはシクロデキストリンを含む、凍結乾燥組成物。
【請求項2】
エポシロンとヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含む、凍結乾燥組成物。
【請求項3】
エポシロンが全固体の0.1から1.5%を構成する、請求項1または2記載の凍結乾燥組成物。
【請求項4】
エポシロンが全固体の0.1から1.5%を構成し、シクロデキストリンが全固体の90から99%を構成する、請求項1または2記載の凍結乾燥組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の医薬製剤を薬学的に許容される溶媒中に含む、再構成凍結乾燥組成物。
【請求項6】
(a)水性媒体で希釈して、輸液溶液を形成し、そして
(b)この輸液溶液を静脈内投与することによって使用される、請求項1から4のいずれかに記載の凍結乾燥組成物。
【請求項7】
非経口投与によって使用される、請求項5記載の再構成凍結乾燥組成物。
【請求項8】
非経口投与に適した医薬の製造に使用する請求項1から4のいずれかに記載の凍結乾燥組成物。
【請求項9】
10またはそれ以上のHLB値を有する界面活性剤を含まない、請求項1に記載の組成物。

【公開番号】特開2010−90147(P2010−90147A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278624(P2009−278624)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【分割の表示】特願2000−530194(P2000−530194)の分割
【原出願日】平成11年2月3日(1999.2.3)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】