説明

エマルジョン、その製造方法、およびシリコーンオイル組成物

【課題】 反応性基を有するシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有するシリコーンオイルのエマルジョン、その製造方法、および反応性基を有するシリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子を均一に分散するシリコーンオイル組成物を提供する。
【解決手段】 水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンであって、前記シリコーンオイルがエポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないものであり、前記架橋シリコーン粒子がヒドロシリル化反応により形成されたものであるエマルジョン、このエマルジョンから水を除去してなる、架橋シリコーン粒子とシリコーンオイルから少なくともなるシリコーンオイル組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に分散したシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有するシリコーンオイルのエマルジョン、その製造方法、および架橋シリコーン粒子とシリコーンオイルからなるシリコーンオイル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3には、水中に分散したシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有するシリコーンオイルのエマルジョンが記載され、架橋反応に関与しないシリコーンオイルを、架橋性シリコーン組成物の架橋物が前記シリコーンオイルを保持し得る量を超える量含有する架橋性シリコーン組成物を水中で架橋することにより、前記エマルジョンを製造することが記載されている。具体的には、架橋性シリコーン組成物がヒドロシリル化反応により架橋する場合、架橋反応に関与しないシリコーンオイルとして、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、環状ジメチルシロキサンが用いられている。
【0003】
しかし、特許文献1〜3には、水中に分散したシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有するシリコーンオイルのエマルジョンであって、前記架橋シリコーン粒子がヒドロシリル化反応架橋性シリコーン組成物により形成され、前記シリコーンオイルが、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有するシリコーンオイルからなるエマルジョンについては記載されてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−281523号公報
【特許文献2】特開2000−281903号公報
【特許文献3】特開2002−249588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、反応性基を有するシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有するシリコーンオイルのエマルジョン、その製造方法、および反応性基を有するシリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子を均一に分散するシリコーンオイル組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエマルジョンは、水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンであって、前記シリコーンオイルがエポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないものであり、前記架橋シリコーン粒子がヒドロシリル化反応により形成されたものである。
【0007】
本発明のエマルジョンの製造方法は、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないシリコーンオイルを含有しているヒドロシリル化反応架橋性シリコーン組成物(但し、前記シリコーンオイルの含有量は、架橋性シリコーン組成物の架橋物がこのシリコーンオイルを保持し得る量を超える量である。)を水中に分散させて架橋反応させることを特徴とする。
【0008】
本発明のシリコーンオイル組成物は、水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンであって、前記シリコーンオイルがエポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないものであり、前記架橋シリコーン粒子がヒドロシリル化反応により形成されたものであるエマルジョンから水を除去してなるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエマルジョンは、反応性基を有するシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有することを特徴とする。また、本発明の製造方法は、このようなエマルジョンを効率よく製造できるという特徴がある。さらに、本発明のシリコーンオイル組成物は、反応性基を有するシリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子を均一に分散しているという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
はじめに、本発明のエマルジョンを詳細に説明する。
このエマルジョンにおいて、水中に分散しているシリコーンオイル液滴を形成するシリコーンオイルは、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないものである。このエポキシ基としては、3−グリシドキシプロピル、4−グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基等のエポキシシクロヘキシルアルキル基;4−オキシラニルブチル基、8−オキシラニルオクチル基等のオキシラニルアルキル基が例示される。アクリル基としては、3−アクリロキシプロピル基、4−アクリロキシブチル基等のアクリロキシアルキル基が例示される。メタクリル基としては、3−メタクリロキシプロピル基、4−メタクリロキシブチル基等のメタクリロキシアルキル基が例示される。ケイ素原子結合アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が例示される。これらの反応性基以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等のケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を除く一価炭化水素基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。このシリコーンオイルの分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、分岐鎖状が挙げられ、好ましくは、直鎖状である。このシリコーンオイルは25℃において液状であれば特にその粘度は限定されないが、25℃における粘度は、好ましくは、1〜100,000,000mPa・sの範囲内であり、特に好ましくは、2〜10,000,000mPa・sの範囲内である。
【0011】
このようなシリコーンオイルとしては、分子鎖両末端がグリシドキシアルキル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端がグリシドキシアルキル基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたグリシドキシアルキル(メチル)ポリシロキサン、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・グリシドキシアルキル(メチル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端がエポキシシクロヘキシルアルキル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端がエポキシシクロヘキシルアルキル基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたエポキシシクロヘキシルアルキル(メチル)ポリシロキサン、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・エポキシシクロヘキシルアルキル(メチル)シロキサン共重合体等のエポキシ基を有するシリコーンオイル;分子鎖両末端がメタクリロキシアルキル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端がメタクリロキシアルキル基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端がアクリロキシアルキル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端がアクリロキシアルキル基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたメタクリロキシアルキル(メチル)ポリシロキサン、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メタクリロキシアルキル(メチル)シロキサン共重合体等のアクリル基またはメタクリル基を有するシリコーンオイル;分子鎖両末端がアルコキシシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端がアルコキシシリル基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端がアルコキシシリルアルキル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端がアルコキシシリルアルキル基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたアルコキシ(メチル)ポリシロキサン、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・アルコキシシリルアルキル(メチル)シロキサン共重合体等のケイ素原子結合アルコキシ基を有するシリコーンオイル;分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体が例示される。
【0012】
このエマルジョンにおいて、シリコーンオイル液滴の平均粒径は0.1〜500μmの範囲内であり、好ましくは、0.5〜200μmの範囲内である。これは、平均粒径が上記範囲の下限未満であるエマルジョンを調製することが困難であり、一方、上記範囲の上限を超えるエマルジョンは、その安定性が低下するようになるからである。
【0013】
このエマルジョンにおいて、架橋シリコーン粒子はヒドロシリル化反応により形成されたものである。この架橋シリコーン粒子の粒径は、水中に分散しているシリコーンオイル液滴中に含有されるため、前記シリコーンオイル液滴の粒径より小さい。このような架橋シリコーン粒子の平均粒径としては、好ましくは、0.1〜100μmの範囲内であり、特に好ましくは、0.5〜50μmの範囲内である。これは、平均粒径が上記範囲の下限未満である架橋シリコーン粒子を調製することが困難であり、一方、上記範囲の上限を超える架橋シリコーン粒子を含有するエマルジョンは、その安定性が低下するようになるからである。この架橋シリコーン粒子の形状は、例えば、球状、紡錘形状、偏平形状、不定形状が挙げられ、好ましくは、球状である。
【0014】
このエマルジョンにおいて、水の含有量は限定されないが、エマルジョン全体の5〜99質量%の範囲内であることが好ましく、特には、10〜80質量%の範囲内であることが好ましい。
【0015】
このエマルジョンの安定性を向上させるため、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、あるいはアニオン系界面活性剤を含有することが好ましく、特に、ノニオン系界面活性を含有することが好ましい。この界面活性剤の含有量は、架橋シリコーン粒子とシリコーンオイルの合計100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲内であることが好ましく、特には、0.5〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0016】
次に、本発明のエマルジョンの製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法で用いる架橋性シリコーン組成物は、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないシリコーンオイルを含有しているヒドロシリル化反応架橋性シリコーン組成物(但し、前記シリコーンオイルの含有量は、架橋性シリコーン組成物の架橋物がこのシリコーンオイルを保持し得る量を超える量である。)を水中に分散させて架橋反応させることを特徴とする。
【0017】
このヒドロシリル化反応架橋性シリコーン組成物としては、
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するシリコーンオイル、
(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するシリコーンオイル、
(C)エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないシリコーンオイル、および
(D)ヒドロシリル化反応用触媒から少なくともなるものが用いられる。
【0018】
(A)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基が例示され、好ましくは、ビニル基、ヘキセニル基である。また、(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。また、(A)成分の分子構造としては、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が例示され、エラストマー状の架橋シリコーン粒子を形成するためには、直鎖状、あるいは一部分岐を有する直鎖状であることが好ましい。また、(A)成分の25℃における粘度は特に限定されないが、好ましくは、20〜100,000mPa・sの範囲内であり、特に好ましくは、20〜10,000mPa・sの範囲内である。
【0019】
このような(A)成分のシリコーンオイルとしては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体が例示される。
【0020】
(B)成分中の水素原子以外のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。(B)成分の分子構造としては、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が例示される。また、(B)成分の25℃における粘度は特に限定されず、好ましくは、1〜10,000mPa・sの範囲内である。
【0021】
このような(B)成分のシリコーンオイルとしては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンが例示される。
【0022】
(B)成分の含有量は、前記(A)成分中のアルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5〜20モルとなる量であることが好ましい。これは、(B)成分の含有量が上記範囲の下限未満となる量であると、架橋シリコーン粒子を形成することが困難となるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる架橋シリコーン粒子の物理特性が経時的に変化するようになるからである。
【0023】
(C)成分のシリコーンオイルは前記のとおり、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないものである。(C)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、分岐鎖状が挙げられ、好ましくは、直鎖状である。(C)成分の25℃における粘度は限定されないが、好ましくは、1〜100,000,000mPa・sの範囲内であり、特に好ましくは、2〜10,000,000mPa・sの範囲内である。このような(C)成分としては、前記と同様のシリコーンオイルが例示される。
【0024】
(C)成分の含有量は、この架橋性シリコーン組成物の架橋物が、その架橋物中に(C)成分を保持することができる量(その架橋物が含有できる量)を超える量である。(C)成分の含有量は架橋性シリコーン組成物と(C)成分との組み合わせにより異なるが、一般には、架橋性シリコーン組成物中の(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは、200〜5,000質量部の範囲内であり、特に好ましくは、250〜2,000質量部の範囲内である。
【0025】
(D)成分は、前記(A)成分と前記(B)成分とのヒドロシリル化反応を促進するためのヒドロシリル化反応用触媒であり、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示され、好ましくは、白金系触媒である。この白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金黒、白金担持のシリカが例示される。
【0026】
この製造方法において、前記(D)成分を予め架橋性シリコーン組成物に配合した状態で水中に分散してもよく、また、前記(D)成分を除いた架橋性シリコーン組成物を水中に分散した後、前記(D)成分のエマルジョンを添加してもよい。予め、前記(D)成分のエマルジョンを形成する場合には、前記(D)成分を平均粒径1μm以下に分散させることが好ましい。
【0027】
(D)成分の添加量は、前記(A)成分と前記(B)成分のヒドロシリル化反応を促進するに十分な量であればよく、例えば、(D)成分として白金系触媒を用いる場合には、前記(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して、白金金属が1×10−7〜1×10−3質量部の範囲内であることが好ましい。
【0028】
また、前記の架橋性シリコーン組成物には、その流動性を調節したり、得られる架橋シリコーン粒子の機械強度を向上させるための任意の成分として充填剤を配合してもよい。この充填剤としては、沈澱シリカ、フュームドシリカ、焼成シリカ、フュームド酸化チタン等の補強充填剤;粉砕石英、ケイ藻土、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の非補強充填剤、これらの表面をヘキサメチルシラザン、トリメチルクロルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン等の有機ケイ素化合物により処理してなる充填剤が例示される。
【0029】
この製造方法において、水の使用量は限定されないが、エマルジョン全体の5〜99質量%の範囲内であることが好ましく、特には、10〜80質量%の範囲内であることが好ましい。
【0030】
この製造方法において、架橋性シリコーン組成物を水中に安定性よく分散させるためには、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、あるいはアニオン系界面活性剤を用いることが好ましく、特には、ノニオン系界面活性を用いることが好ましい。この界面活性剤の使用量は、架橋性シリコーン組成物100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲内であることが好ましく、特には、0.5〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0031】
この製造方法では、前記(A)成分〜(D)成分から少なくともなる架橋性シリコーン組成物を水中に分散した状態でヒドロシリル化反応させることを特徴とする。この架橋性シリコーン組成物を水中に分散させるため、ホモミキサー、パドルミキサー、ヘンシェルミキサー、ホモディスパー、コロイドミキサー、プロペラ攪拌機、ホモディスパー、ホモジナイザー、インライン式連続乳化機、超音波乳化機、真空式練合機等の混合装置を用いることができる。
【0032】
架橋性シリコーン組成物をヒドロシリル化反応させるため、架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを加熱してもよい。しかし、加熱するとエマルジョンの安定性が低下するため、架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを室温でヒドロリシリル化反応させることが好ましい。また、架橋性シリコーン組成物を架橋して得られる架橋シリコーン粒子の性状は特に限定されないが、ゴム状、ゲル状等のエラストマー状であることが好ましい。
【0033】
続いて、本発明のシリコーンオイル組成物を詳細に説明する。
本発明のシリコーンオイル組成物は、水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンであって、前記シリコーンオイルがエポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないものであり、前記架橋シリコーン粒子がヒドロシリル化反応により形成されたものであるエマルジョンから水を除去してなるものである。
【0034】
前記エマルジョから水を除去する方法が特に限定されず、例えば、エマルジョンを風乾する方法、加熱により水を除去する方法が挙げられる。
【0035】
このようにして得られるシリコーンオイル組成物は、前記架橋シリコーン粒子と前記シリコーンオイルからなり、前記架橋シリコーン粒子が前記シリコーンオイル中に均一に分散していることを特徴とする。
【0036】
また、この組成物には、その他任意の成分として充填剤を配合してもよい。この充填剤としては、沈澱シリカ、フュームドシリカ、焼成シリカ、フュームド酸化チタン等の補強充填剤;粉砕石英、ケイ藻土、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の非補強充填剤、これらの表面をヘキサメチルシラザン、トリメチルクロルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン等の有機ケイ素化合物により処理してなる充填剤が例示される。
【実施例】
【0037】
本発明のエマルジョン、その製造方法、およびシリコーン組成物を実施例により詳細に説明する。なお、実施例、粘度は25℃における値である。また、エマルジョンの平均粒径、架橋シリコーン粒子の平均粒径、およびシリコーン組成物の特性を、次のようにして求めた。
【0038】
[エマルジョンの平均粒径]
エマルジョンの粒径を、レーザー回折式粒度分布測定器(堀場製作所製のLA−500)により測定し、得られたメジアン径(累積分布の50%に相当する粒径)を平均粒径とした。
【0039】
[実施例1]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48質量%)19.87質量部、粘度47mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.31質量%)1.03質量部(上記ジメチルポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が0.9モルとなる量)、平均式:
【化1】

で表される、粘度22mPa・sのグリシドキシプロピル基含有シリコーンオイル80.0質量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。次に、これをポリオキシエチレンアルキルエーテル(三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)0.5質量部と純水30質量部を混合して乳化し、さらに純水58質量部を加えて架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。このエマルジョンの平均粒径は3.2μmであった。
【0040】
次に、上記の架橋性シリコーン組成物のエマルジョンに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を主成分とする1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる白金系触媒を水中に乳化したエマルジョン(白金系触媒の平均粒径=0.05μm、白金金属濃度=0.05質量%)を、上記の架橋性シリコーン組成物のエマルジョン中の固形分に対して白金金属が質量単位で20ppmとなるように均一に混合して、架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。
【0041】
このエマルジョンを室温で1日間放置することによりヒドロシリル化反応により架橋させて、水中に分散しているグリシドキシプロピル基含有シリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有するシリコーンオイルのエマルジョンを調製した。
【0042】
次に、このエマルジョンを直径5cmのアルミ皿に移して、ドラフト内で1週間風乾することにより水を除去して、グリシドキシプロピル基含有シリコーンオイルと架橋シリコーン粒子からなるシリコーンオイル組成物を調製した。このシリコーンオイル組成物はクリーム状であった。このシリコーンオイル組成物をデンタルミキサーで混合した後、回転粘度計で測定したところ、粘度は17,460mPa・sであった。実体顕微鏡で観察したところ、シリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子が均一に分散しており、この架橋シリコーン粒子の形状が球状であることがわかった。
【0043】
[実施例2]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48質量%)19.87質量部、粘度47mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.31質量%)1.03質量部(上記ジメチルポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が0.9モルとなる量)、平均式:
【化2】

で表される、粘度40mPa・sのメタクリロキシプロピル基含有シリコーンオイル80.0質量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。次に、これをポリオキシエチレンアルキルエーテル(三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)0.5質量部と純水30質量部を混合して乳化し、さらに純水58質量部を加えて架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。エマルジョンの平均粒径は4.4μmであった。
【0044】
次に、上記の架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を主成分とする1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる白金系触媒を水中に乳化したエマルジョン(白金系触媒の平均粒径=0.05μm、白金金属濃度=0.05質量%)を、上記の架橋性シリコーン組成物中の固形分に対して白金金属が質量単位で20ppmとなるように均一に混合して、架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。
【0045】
このエマルジョンを室温で1日間放置することによりヒドロシリル化反応により架橋させて、水中に分散しているメタクリロキシプロピル基含有シリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンを調製した。
【0046】
次に、このエマルジョンを直径5cmのアルミ皿に移して、ドラフト内で1週間風乾することにより水を除去して、メタクリロキシプロピル基含有シリコーンオイルと架橋シリコーン粒子からなるシリコーンオイル組成物を調製した。このシリコーンオイル組成物はクリーム状であった。このシリコーンオイル組成物をデンタルミキサーで混合した後、回転粘度計で測定したところ、粘度は123,000mPa・sであった。実体顕微鏡で観察したところ、メタアクリロキシ基含有シリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子が均一に分散しており、この架橋シリコーン粒子の形状が球状であることがわかった。
【0047】
[実施例3]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48質量%)19.87質量部、粘度47mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.31質量%)1.03質量部(上記ジメチルポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が0.9モルとなる量)、平均式:
【化3】

で表される、粘度10mPa・sのメタクリロキシプロピル基含有シリコーンオイル80.0質量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。次に、これをポリオキシエチレンアルキルエーテル(三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)0.5質量部と純水30質量部を混合して乳化し、さらに純水58質量部を加えて架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。このエマルジョンの平均粒径は2.92μmであった。
【0048】
次に、上記の架橋性シリコーン組成物のエマルジョンに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を主成分とする1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる白金系触媒を水中に乳化したエマルジョン(白金系触媒の平均粒径=0.05μm、白金金属濃度=0.05質量%)を、上記の架橋シリコーン組成物のエマルジョン中の固形分に対して白金金属が質量単位で20ppmとなるように均一に混合して、架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。
【0049】
このエマルジョンを室温で1日間放置することによりヒドロシリル化反応のより架橋して、水中に分散しているメタクリロキシプロピル基含有シリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルエマルジョンを調製した。
【0050】
次に、このエマルジョンを直径5cmのアルミ皿に移して、ドラフト内で1週間風乾することにより水を除去して、メタクリロキシプロピル基含有シリコーンオイルと架橋シリコーン粒子からなるシリコーンオイル組成物を調製した。このシリコーンオイル組成物はクリーム状であった。このシリコーンオイル組成物をデンタルミキサーで混合した後、回転粘度計で測定したところ、粘度は4,400mPa・sであった。実体顕微鏡で観察したところ、シリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子が均一に分散しており、この架橋シリコーン粒子の形状が球状であることがわかった。
【0051】
[実施例4]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48質量%)19.87質量部、粘度47mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.31質量%)1.03質量部(上記ジメチルポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が0.9モルとなる量)、平均式:
(CH3)3SiO[(CH3){(C2H5O)3SiCH2CH2}SiO]4[(CH3)2SiO]6Si(CH3)3
で表される、粘度15mPa・sのトリエトキシシリルエチル基含有シリコーンオイル80.0質量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。次に、これをポリオキシエチレンアルキルエーテル(三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)0.5質量部と純水30質量部を混合して乳化し、さらに純水58質量部を加えて架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。このエマルジョンの平均粒径は3.7μmであった。
【0052】
次に、上記の架橋性シリコーン組成物の水系エマルジョンに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を主成分とする1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる白金系触媒を水中に乳化したエマルジョン(白金系触媒の平均粒径=0.05μm、白金金属濃度=0.05質量%)を、上記の架橋性シリコーン組成物のエマルジョン中の固形分に対して白金金属が質量単位で20ppmとなるように均一に混合して、架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。
【0053】
このエマルジョンを室温で1日間放置することによりヒドロシリル化反応により架橋して、水中に分散しているトリエトキシシリルエチル基含有シリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンを調製した。
【0054】
次に、このエマルジョンを直径5cmのアルミ皿に移して、ドラフト内で1週間風乾することにより水を除去して、トリエトキシシリルエチル基含有シリコーンオイルと架橋シリコーン粒子からなるシリコーンオイル組成物を調製した。このシリコーンオイル組成物はクリーム状であった。このシリコーンオイル組成物をデンタルミキサーで混合した後、回転粘度計で測定したところ、粘度は1,670mPa・sであった。実体顕微鏡で観察したところ、シリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子が均一に分散しており、この架橋シリコーン粒子の形状が球状であることがわかった。
【0055】
[実施例5]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48質量%)19.87質量部、粘度47mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.31質量%)1.03質量部(上記ジメチルポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が0.9モルとなる量)、平均単位式:
[(CH3)2SiO2/2]0.67(C6H5SiO3/2)0.33
で表され、粘度13mPa・sのケイ素原子結合メトキシ基を含有するシリコーンオイル(ケイ素原子結合メトキシ基の含有量=18質量%)80.0質量部を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。ポリオキシエチレンアルキルエーテル(三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)0.5質量部と純水30質量部を混合して乳化し、さらに純水58質量部を加えて架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。このエマルジョンの平均粒径は3.7μmであった。
【0056】
次に、上記の架橋性シリコーン組成物のエマルジョンに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を主成分とする1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる白金系触媒を水中に乳化したエマルジョン(白金系触媒の平均粒径=0.05μm、白金金属濃度=0.05質量%)を、上記の架橋性シリコーン組成物のエマルジョン中の固形分に対して白金金属が質量単位で20ppmとなるように均一に混合して、架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。
【0057】
このエマルジョンを室温で1日間放置することによりヒドロシリル化反応により架橋して、水中に分散しているケイ素原子結合メトキシ基含有シリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンを調製した。
【0058】
次に、このエマルジョンを直径5cmのアルミ皿に移して、ドラフト内で1週間風乾することにより水を除去して、ケイ素原子結合メトキシ基含有シリコーンオイルと架橋シリコーン粒子からなるシリコーンオイル組成物を調製した。このシリコーンオイル組成物はクリーム状であった。このシリコーンオイル組成物をデンタルミキサーで混合した後、回転粘度計で測定したところ、粘度は1,670mPa・sであった。実体顕微鏡で観察したところ、シリコーンオイル中に架橋シリコーン粒子が均一に分散しており、この架橋シリコーン粒子の形状が球状であることがわかった。
【0059】
[比較例1]
粘度400mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.48質量%)19.87質量部、粘度47mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.31質量%)1.03質量部(上記ジメチルポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、ケイ素原子結合水素原子が0.9モルとなる量)を混合して架橋性シリコーン組成物を調製した。次に、これをポリオキシエチレンアルキルエーテル(三洋化成工業株式会社製のサンノニックSS120)0.5質量部と純水30質量部を混合して乳化し、さらに純水58質量部を加えて架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。このエマルジョンの平均粒径は2.1μmであった。
【0060】
次に、上記の架橋性シリコーン組成物のエマルジョンに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を主成分とする1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液からなる白金系触媒を水中に乳化したエマルジョン(白金系触媒の平均粒径=0.05μm、白金金属濃度=0.05質量%)を、上記の架橋性シリコーン組成物のエマルジョン中の固形分に対して白金金属が質量単位で20ppmとなるように均一に混合して、架橋性シリコーン組成物のエマルジョンを調製した。
【0061】
このエマルジョンを室温で1日間放置することによりヒドロシリル化反応により架橋させて、水中に分散している架橋シリコーン粒子の水分散液を調製した。
【0062】
次に、この水分散液を直径5cmのアルミ皿に移して、ドラフト内で1週間風乾することにより水を除去して架橋シリコーン粒子を調製した。この架橋シリコーン粒子に、平均式:
【化4】

で表される、粘度22mPa・sのグリシドキシプロピル基含有シリコーンオイル80.0質量部を混合し、乳鉢で混合したが、均一な組成物を得ることはできず、ぱさぱさした凝集粉体が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のエマルジョンは、水中に分散しているシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有するエマルジョンであって、前記シリコーンオイルが反応性基を有するので、このエマルジョンから水を除去して得られるシリコーンオイル組成物は、硬化性有機樹脂の添加剤として、また、これに硬化剤や架橋剤、あるいは増感剤を添加することにより架橋性シリコーン組成物とすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンであって、前記シリコーンオイルがエポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないものであり、前記架橋シリコーン粒子がヒドロシリル化反応により形成されたものであるエマルジョン。
【請求項2】
シリコーンオイルの25℃における粘度が1〜100,000,000mPa・sである、請求項1記載のエマルジョン。
【請求項3】
エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないシリコーンオイルを含有しているヒドロシリル化反応架橋性シリコーン組成物(但し、前記シリコーンオイルの含有量は、架橋性シリコーン組成物の架橋物がこのシリコーンオイルを保持し得る量を超える量である。)を水中に分散させて架橋反応させることを特徴とする、水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンの製造方法。
【請求項4】
シリコーンオイルの25℃における粘度が1〜100,000,000mPa・sである、請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
水中に分散している平均粒径0.1〜500μmのシリコーンオイル液滴中に架橋シリコーン粒子を含有しているシリコーンオイルのエマルジョンであって、前記シリコーンオイルがエポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ケイ素原子結合アルコキシ基、またはケイ素原子結合水酸基を有し、ケイ素原子結合水素原子およびアルケニル基を有さないものであり、前記架橋シリコーン粒子がヒドロシリル化反応により形成されたものであるエマルジョンから水を除去してなる、前記架橋シリコーン粒子と前記シリコーンオイルから少なくともなるシリコーンオイル組成物。
【請求項6】
シリコーンオイルの25℃における粘度が1〜100,000,000mPa・sである、請求項5記載のシリコーンオイル組成物。

【公開番号】特開2011−57950(P2011−57950A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212461(P2009−212461)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】