説明

エマルジョン燃料システム

【課題】エマルジョン燃料システムにおいて、生成したエマルジョン燃料の貯蔵を必要とせずに、システムの圧力損失の増加を回避しながら需要元の要求に応じてエマルジョン燃料の供給量を変更可能にする
【解決手段】エマルジョン生成装置105は、水と燃料油の混合物から水と燃料油のエマルジョン燃料を生成する。エマルジョン生成装置が生成したエマルジョン燃料の流量を調節する圧力調整弁106と、この圧力調整弁を通過したエマルジョン流体の圧力を検出する手段103と、圧力検出手段の圧力に基づいて圧力調整弁を調整する制御装置109と、圧力調整弁の下流側で分岐し、一方がエマルジョン燃料を燃焼する燃焼手段に接続する配管であり、他方がエマルジョン燃料生成装置の上流側に戻る配管110である分岐配管とを有する。燃焼手段で消費しきれないエマルジョン燃料を自動的にエマルジョン燃料生成装置の上流側に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエマルジョン燃料システムに係り、特に生成したエマルジョン燃料を発電装置に導入するエマルジョン燃料システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料油(重油、灯油、軽油、廃油等)に水(と界面活性剤(乳化剤)等)を添加し、機械的に撹拌して燃料油中に水を分散させれば、「エマルジョン燃料」として用いることが可能である。ここで、エマルジョンとは、水と油のように互いに溶解しない2液に対しせん断力を加え、水中に油が分散した状態もしくは油中に水が分散した状態である。なお、この状態は、「乳化」、「エマルジョン」、「エマルジョン」等と呼ばれているが、以下では「エマルジョン」と呼ぶ。
【0003】
エマルジョン燃料を用いると、燃焼時において、(1)PM(粒子状物質)の削減効果、(2)NOx(窒素酸化物)の削減効果、(3)燃焼効率の向上効果がある。コスト面および環境への配慮から、従来の燃料油に代わってエマルジョン燃料を用いることが、特許文献1〜3に記載されている。
【0004】
この特許文献1〜3では、燃料油、水、界面活性剤を入れたタンクをそれぞれ設け、燃料油、水、界面活性剤をポンプでエマルジョン生成装置に導き、エマルジョン燃料を生成している。そして、生成したエマルジョン燃料を貯蔵容器に貯蔵し、必要に応じてエンジン等の燃焼装置を動力とする発電装置に導入している。
【0005】
エマルジョン燃料生成の他の例として、大型の容器に燃料油と水を投入し、撹拌・混合することにより一度に大量のエマルジョン燃料を生成する、分散法を用いたバッチ式生成法が提案されている。例えば特許文献4では、必要に応じて必要な量だけ(オンデマンドで)エマルジョン溶液を生成するために、水をSPG(シラス多孔質ガラス)等の小さい膜を通すことにより微粒子化し、燃料油中に水を分散させている。また、特許文献5では、燃料油と水からなる溶液を分割および合流を繰り返して、燃料油中に水を分散させている。
【0006】
また特許文献6、7に記載のように、マイクロ加工技術などにより作製されたいわゆるマイクロデバイス内の微細な流路内で、油と水を混合してエマルジョン化することも提案されている。この特許文献6では、燃料油と水からなる分散液を撹拌し、絞り部を通した後に減速させて、水のエマルジョン粒子を生成している。特許文献7では、分散相(水)を内側に連続相(油)を外側にしたシースフローを形成し、シースフローの内側を流れる分散相が分断されることで乳化粒子を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4239187号公報
【特許文献2】特許第4252735号公報
【特許文献3】特開2009−127945号公報
【特許文献4】特開2006−182890号公報
【特許文献5】特公平1−32878号公報
【特許文献6】特開2007−313466号公報
【特許文献7】特開2009−61382公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載のエマルジョン燃料システムでは、生成したエマルジョン燃料を一旦貯蔵しているので、貯蔵中にエマルジョン燃料が分離しないよう、界面活性剤を用いている。ここで、界面活性剤は高価であるとともに、界面活性剤を使うと、発電装置内で不純物が発生し発電装置の劣化につながる。できるだけ界面活性剤の量を減らし、界面活性剤を含まない、もしくは界面活性剤の量が少ないエマルジョン燃料が望まれる。
【0009】
生成したエマルジョン燃料の貯蔵による不具合を解消するために、発電装置の負荷に応じてオンデマンドでエマルジョン燃料を生成させると、発電装置でのエマルジョン燃料の燃焼効率を一定にするために、エマルジョン燃料の性能(主にエマルジョン粒子の粒径)がエマルジョン燃料の生成速度(生成流量)に依存しないようにしなければならない。
【0010】
上記特許文献4に記載した装置では、膜を通して水のエマルジョン粒子を1個ずつ生成しているので、所望のエマルジョン粒子の粒径に応じた膜を用いなければならない。この方法では、生成速度を速くするために高圧にすると、エマルジョン粒子の粒径がばらつき、エマルジョンの状態が不安定になるので、生産速度を遅くせざるを得ない。したがって、生成量に応じて膜全体の大きさを変える(膜の数を増やす)必要がある。
【0011】
また、特許文献7に記載した装置では、粒径が揃ったエマルジョン粒子を得ることはできるが、1個ずつエマルジョン粒子を作っているので、発電装置に必要な量を生産できるほどに生産速度を速くすることが困難である。さらに、エマルジョン粒子のサイズに応じて、燃料油および水が流れる流路の幅を変更する必要があるが、所望のエマルジョン粒子の粒径が小さくなるほど流路幅を小さくしなければならず、生成速度を速くするためには高圧での送液が必要となる。
【0012】
特許文献5や特許文献6に記載した装置では、比較的低圧での送液が可能であるが、高流量範囲での生産を対象にしているため、発電装置の負荷が小さくなり、流量が減少するとエマルジョン化が困難になる。低流量下では、エマルジョン燃料の性能が安定せず、発電装置の燃焼効率にバラつきが生じる。それとともに、発電装置内に油水分離した燃料が導入され、発電装置の内壁に水が直接触れて発電装置内に錆が発生するおそれがある。
【0013】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、エマルジョン燃料システムにおいて、生成したエマルジョン燃料の貯蔵を必要とせずに、システムの圧力損失の増加を回避しながら需要元の要求に応じてエマルジョン燃料の供給量を変更可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明は、水と燃料油とからエマルジョン生成装置でエマルジョン燃料を生成し、生成したエマルジョン燃料を燃焼手段へ供給するエマルジョン燃料システムであって、前記エマルジョン生成装置は水と燃料油の混合物から水と燃料油のエマルジョン燃料を生成し、このエマルジョン生成装置が生成したエマルジョン燃料の流量を調節する圧力調整弁と、この圧力調整弁を通過したエマルジョン流体の圧力を検出する手段と、この圧力検出手段の圧力に基づいて前記圧力調整弁を調整する制御装置と、前記圧力調整弁の下流側で分岐し、前記エマルジョン燃料生成装置の上流側に戻る配管を設け、前記燃焼手段で消費しきれないエマルジョン燃料を自動的にエマルジョン燃料生成装置の上流側に戻すようにしたものである。
【0015】
この構成において、エマルジョン生成装置が、2台以上並列に配置されていてもよく、前記エマルジョン生成装置は、燃料油をこのエマルジョン装置に導入する燃料油導入部と、水をこのエマルジョン装置に導入する水導入部と、燃料油と水の分散液を微細化する少なくとも1個の微小な絞り部と、前記絞り部で生成したエマルジョン燃料を排出する排出部とを有し、前記水導入部と前記燃料油導入部を並列に構成し末端側で結合し、この結合部から、前記絞り部、前記排出部まで連続した流路として一体化していてもよい。
【0016】
また上記構成において、絞り部が複数設けられており、その複数の絞り部の断面積が下流側にいくにつれて小さくなるのがよく、絞り部を複数設けるために、前記エマルジョン生成装置を複数台直列に配置し、このエマルジョン生成装置を用いて、絞り部を多段に形成するものでもよい。さらに、前記エマルジョン生成装置は、水と燃料油が混合されて導入される合流部と、燃料油と水の分散液を微細化しエマルジョン燃料を作成する微小な絞り部と、前記絞り部で生成したエマルジョン燃料を排出する排出部とを有しており、前記合流部と前記絞り部と前記排出部とを連続した流路として一体化した同一部材から構成するものが好ましく、前記エマルジョン生成装置の絞り部の断面積を、下流側にいくにつれて大きくしてもよい。
【0017】
さらに上記構成において、水と燃料油のエマルジョン燃料は水と燃料油だけから構成されており、界面活性剤を含まないことが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エマルジョン燃料システムにおいて、
システムの圧力損失を大きくせずに需要元の要求に応じてエマルジョン燃料の生成量を変更することが可能なとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るエマルジョン燃料システムの一実施例(実施例1)のブロック図である。
【図2A】図1に示したエマルジョン燃料システムが備えるエマルジョン生成装置の(a)斜視図および(b)(a)図のA−A断面図、(c)本装置の性能を説明する図である。
【図2B】図1に示したエマルジョン燃料システムが備えるエマルジョン生成装置の変形例であり、(d)および(e)は(a)図のA−A断面図、(f)は斜視図である。
【図3】図2に示したエマルジョン生成装置内の流体の流れを説明する図である。
【図4】図1に示したエマルジョン燃料システムの動作のフローチャートである。
【図5】本発明に係るエマルジョン燃料システムの他の実施例(実施例2)のブロック図である。
【図6】図5に示したエマルジョン燃料システムが備えるエマルジョン生成装置の(a)斜視図および(b)(a)図のB−B断面図である。
【図7】図5に示したエマルジョン燃料システムが備えるエマルジョン生成装置内の流体の流れを説明する図である。
【図8】図5に示したエマルジョン燃料システムの動作のフローチャートである。
【図9】本発明に係るエマルジョン燃料システムの変形例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るエマルジョン燃料システムの一実施例を、図面を用いて説明する。なお、本実施例では、発電装置を備えたエマルジョン燃料システムについて説明するが、発電装置に代えて発電機能を有さない燃焼装置(エンジン)を用いてもよい。
【実施例1】
【0021】
図1〜図4を用いて、本発明の実施例1について説明する。図1は、エマルジョン燃料システム50の一実施例のブロック図である。本エマルジョン燃料システムは、攪拌機能を有する水・燃料油混合タンク101、送液ポンプ102、圧力センサ103、リリーフバルブ104、エマルジョン生成装置105、圧力バルブ106、圧力調整用リターン配管107、燃料の燃焼によって発電する発電装置108、制御装置109、供給量調整用リターン配管110、自動バルブ111a、111b、燃料油タンク112から構成されている。
【0022】
エマルジョン燃料システム50では、水・燃料油混合タンク101の中に予め最適なエマルジョン燃料混合比率で水と燃料油を投入する。水・燃料油混合タンク101に付属した攪拌機101aが、水と燃料油を大まかに混合する。この水と燃料油が大まかに混合されたものを、送液ポンプ102がエマルジョン生成装置105に導入する。エマルジョン生成装置105ではエマルジョン燃料を生成し、生成されたエマルジョン燃料は自動バルブ111a、圧力バルブ106および圧力センサ103を順次経由して、発電装置108に導入され、発電装置108内で燃焼する。
【0023】
ここで制御装置109は、上記一連の動作を、監視・操作する。すなわち、水・燃料油混合タンク101に付属する攪拌機101aと送液ポンプ102と自動バルブ111a,111bとは、図1中の矢印を付した破線で示す制御およびフィードバックラインにしたがって、制御装置109が制御する。
【0024】
制御装置109は圧力センサ103を監視し、例えば目詰まり等により配管内の圧力が異常に上昇したら、送液ポンプ102を非常停止させる。さらに安全のために、リリーフバルブ104を予め許容圧力値内に設定しておけば、配管内で圧力が異常に上昇しても、このリリーフバルブ104から水と燃料油が排出されて事故等を回避できる。なお、図示しないが、電源スイッチや異常時用の非常停止スイッチ、通信用コネクタ、エマルジョン生成装置105と配管を接続する接続継手なども、本システム50には含まれる。
【0025】
負荷の変動に対応して燃料噴射量を制御できるよう、発電装置108は適切な量の燃料供給方法を有さなければならない。負荷に対して燃料が足りないと、発電装置108の回転数は低下し、電力周波数が低下する。逆に、負荷に対して燃料が過剰であれば、発電装置108の回転数が上昇し、電力周波数も上昇する。負荷に応じて発電装置の回転数は変化するが、ガバナー(速度調整装置)の機能を利用して、電力周波数を一定とするように制御することは可能であるが、負荷に応じた燃料の供給は必要である。
【0026】
例えば、発電装置108が必要とするエマルジョン燃料供給圧力とするため、送液ポンプ102はエマルジョン燃料供給圧力以上の圧力で、水と燃料油を送液する。そして、圧力バルブ106を使用して圧力調整し、発電装置108が必要とするエマルジョン燃料供給圧力に低下させる。なお、圧力調整のため不要となったエマルジョン燃料は、圧力調整用リターン配管107を経て、水・燃料油混合タンク101へ戻される。
【0027】
さらに、発電装置108が必要なエマルジョン燃料供給量を確保するため、送液ポンプ102はエマルジョン燃料供給量以上の送液速度で、水と燃料油を送液する。そして、発電装置108に必要なエマルジョン燃料供給量を超えたエマルジョン燃料は、供給量調整用リターン配管110を経て、水・燃料油混合タンク101へ戻される。
【0028】
したがって、上流側に圧力センサ103を設け、エマルジョン燃料システム50内の圧力をモニタリングすれば、最高使用圧力以上の圧力がエマルジョン生成装置105、あるいは発電装置108に付加されるのを回避できる。それとともに、エマルジョン燃料システム50内の配管やエマルジョン生成装置内105に生じた詰まり(閉塞)などの異常事態をモニタリングして、必要に応じてエマルジョン燃料の生成を停止することもできる。またエマルジョン燃料システム50が、圧力バルブ106を備えているので、エマルジョン燃料の生成速度が遅いときでも、発電装置108に必要なエマルジョン燃料供給圧力を担保できる。なお、圧力センサ103は、異常事態をモニタリングする。
【0029】
発電装置108の負荷に応じてエマルジョン燃料を生成できるよう、送液ポンプ102の送液量は可変になっている。エマルジョン燃料の作成開始時および終了時に、燃料油のみを送液したりすることができるように、自動バルブ111a、111bを制御装置109が制御する。この自動バルブ111a、111bを操作して、燃料油タンク112内へ空気を一定の圧力で加えれば、燃料油タンク112内の燃料油を発電装置108へ圧送により供給できる。
【0030】
エマルジョン生成装置105は、発電装置108の最大負荷に対応できるよう、複数個設けてもよい。エマルジョン生成装置105の数は、送液ポンプ102の最大送液速度と最大送液圧力およびエマルジョン燃料システム50の全体の圧力とに応じて決定される。
【0031】
エマルジョン生成装置105では、生成されるエマルジョン燃料の性能を一定範囲内に保持するため、生成速度範囲が設定されている。そのため、発電装置108の負荷に応じて送液ポンプ102の送液速度を変化させるが、設定した生成速度範囲内でエマルジョン燃料が生成されるよう、使用するエマルジョン生成装置105の数を変化させている。
【0032】
さらに、エマルジョン生成装置105で生成したエマルジョン燃料のうち、発電装置108に供給されずに水・燃料油混合タンク101に戻ってきた分については、再度送液ポンプ102がエマルジョン生成装置105へ供給し、エマルジョン燃料として用いる。
【0033】
本実施例では、エマルジョン生成装置105を1個だけとしているが、図9に詳述するように、エマルジョン生成装置105は1個に限定されるものではない。複数個のエマルジョン生成装置105を並列に配置してもよい。ただし、エマルジョン生成装置105の数が増えれば、各エマルジョン生成装置105に同じ送液量を分岐して流す機構が必要となり、装置が複雑化するので、現実的には10個以内、好ましくは5個以内とする。なお、エマルジョン生成装置105としては、以下に詳述するエマルジョン生成装置105の他にも、市販のマイクロリアクタやT字管又はY字管、スタティックミキサなどを用いることもできる。
【0034】
エマルジョン生成装置105を2個以上使用する場合には、エマルジョン生成装置105の上流側配管は、複数のエマルジョン生成装置105に送液できるよう分岐している。また、エマルジョン生成装置105の下流側配管は、複数のエマルジョン生成装置105から得られたエマルジョン燃料を合流している。分岐または合流の方法としては、2個のエマルジョン生成装置105に分岐するのであればT字管を、3個のエマルジョン生成装置105に分岐するのであれば十字管を用いればよい。
【0035】
または、図9に示すように、複数分岐用の接続管を製作して使用してもよい。図9は、図1に示したエマルジョン装置の変形例のブロック図であり、エマルジョン生成装置105を複数台並列に配置した場合である。エマルジョン生成装置105を複数台並列に配置した点の外は、図1に示した実施例と同様の構成となっている。
【0036】
さらに、2個に分岐したものをさらに複数に分岐するなど、分岐部を多段に設けてもよい。ただし、各エマルジョン生成装置105で所定の性能のエマルジョン燃料を生成するために、送液ポンプ102からエマルジョン生成装置105に導入するまでの圧力損失を一定にし、水および燃料油の分岐が均等に行われるようにするのが望ましい。
【0037】
以上により、所定品質のエマルジョン燃料を、発電装置108の負荷に対する必要量だけ供給することが可能になる。また、発電装置108に供給する直前にエマルジョン燃料を生成できるので、エマルジョン燃料を保持するための貯蔵容器を必要とせず、エマルジョン状態を安定維持するための界面活性剤を添加する必要がない。
【0038】
図2A、図2Bに、図1に示したエマルジョン燃料システムが備えるエマルジョン生成装置105のいくつかの例を示す。図2Aの(a)は、エマルジョン生成装置105の斜視図であり、図2Aの(b)は、図2Aの(a)のA−A断面図である。図2Aの(c)は、エマルジョン生成装置105内に形成された流路の絞り部の数の影響を説明する図であり、エマルジョン粒子の粒径の変化によりエマルジョン粒子が存在する確率を計算で求めたものである。また、図2Bの(d)、(e)は、図2Aの(b)の変形例であり、(d)は下流に行くに従い、絞り部208、210、212の径が小さくなる場合であり、(e)は下流に行くに従い絞り部の径208、210、212が大きくなる場合である。図2Bの(f)は、直列に2段にエマルジョン生成装置105を接続した例の斜視図である。
【0039】
エマルジョン生成装置105は上下に長い直方体をしており、中央部に、上下方向に延びる流路が形成されている。流路には、図2Aの(b)に示すように、拡大部分と絞り部分とが交互に形成されており、拡大部分は上下方向長さが場所ごとに異なっている。つまり、下方から撹拌部207、第1の減速・撹拌部209、第2の減速・撹拌部211、減速部213が略円柱状の空間として形成されており、これら各部間には、断面が略円形の孔が下方から第1の絞り部208、第2の絞り部210、第3の絞り部212として形成されている。なお、絞り部208、210、212は、後述するように、断面積が上流から下流(図2Aでは下方から上方)に向けて順次小さくなる構成であれば、この図2Aに記載の形状と異なっていてもよい。
【0040】
図2Aの(b)に示すように、エマルジョン生成装置105は、水と燃料油が合流する合流部206、燃料油中に水を分散させる撹拌部207、エマルジョン粒子の微細化を行う第1の絞り部208、圧力損失を低減させるとともに微細化したエマルジョン粒子を再分散させる第1の減速・撹拌部209、エマルジョン粒子を再微細化する第2の絞り部210、圧力損失を低減させるとともに微細化したエマルジョン粒子を再分散させる第2の減速・撹拌部211、エマルジョンを再微細化させる第3の絞り部212、圧力損失を低減させる減速部213、生成したエマルジョン燃料を排出するエマルジョン燃料排出部214を有している。ここで、第2の絞り部210は第1の絞り部208よりもより断面積が小さく、第3の絞り部212は第2の絞り部210よりもより断面積が小さい。
【0041】
水と燃料油が混合された状態で流入する合流部206は、図示しないネジ部と接続継手で送液用配管と接続される。そして、図2Aの(b)中に示す矢印の流れのように水201、燃料油202を導入する。エマルジョン燃料排出部214は、図示しないネジ部と接続継手によりエマルジョン燃料送液用配管と接続され、図2Aの(b)中に示す矢印203の流れのようにエマルジョン燃料を排出する。
【0042】
ここで、図2Aの(b)では、エマルジョン粒子を微細化する絞り部208、210、212が3個となっているが、絞り部の数はこれに限らない。絞り部の数が増えるにつれて、図2Aの(c)に示すようにエマルジョン粒子の粒径分布が狭くなり、エマルジョン燃料の性能が安定化する。ただし、絞り部の数が増えるほどエマルジョン生成装置105で発生する圧力損失が増大する。絞り部の数は、好ましくは2個もしくは3個である。
【0043】
また、絞り部の断面積をすべて同じではなく、図2Bの(d)に示すように下流側にいくにつれて順に小さくすれば、装置で発生する圧力損失を低減できる。これとは逆に、図2Bの(e)に示すように、下流に行くにつれて絞り部の面積を大きくすれば、圧力損失が低減するので、絞りの多段化が容易になる。なお、図2Bの(f)に示すように、エマルジョン生成装置105を複数台直列に配置し、絞り部が複数となるようにしてもよい。
【0044】
エマルジョン生成装置105の材質としては、エマルジョン化プロセスに悪影響を与えないものであればよく、適宜変更することもでき、例えば、ステンレス、シリコン、金、ガラス、ハステロイ、シリコン樹脂、フッ素系樹脂などを用いる。また、グラスライニング、金属の表面にニッケルや金などのコーティングをしたもの、シリコンの表面を酸化させたものなど、いわゆる耐食性を向上させたものを用いてもよい。
【0045】
エマルジョン生成装置105は、このエマルジョン生成装置105内に連続する流路が構成されていればよく、液漏れが発生しなければ、削り出しの一体型でもよく、分割して加工した部品を接着、溶接、ネジ等で締結して組み立てたものでもよい。ただし、ネジ締結で分解可能な構造であれば、流路内部で閉塞が生じた場合などに分解して洗浄することが可能となり、メンテナンス性が向上する。分割した部品の組み合わせを変えることにより、目的に応じて絞り部の数を変更することや、絞り部の径を変更することもできる。
【0046】
エマルジョン生成装置105を分割型として組み立てる構造にした場合、液漏れ防止にシール材を使用するが、このシール材としてパッキンを用いた場合には、パッキンの材質を、エマルジョン化プロセスに悪影響を与えないものにする必要がある。例えば、シリコン樹脂やフッ素系樹脂などを用いる。
【0047】
図3に、上記構成のエマルジョン生成装置105における流体の流れ挙動を示す。合流部206から導入された水201と燃料油202は、撹拌部207内で旋回流302を生じる。そして、燃料油中に水のエマルジョン粒子301が分散した状態となる。その後、第1の絞り部208を通過する際に、水が微細化されエマルジョン溶液となる。第1の絞り部208は、微小な直径で長さが短い円筒形であり、この第1の絞り部208を流れるエマルジョン溶液は、流路断面積の減少に伴い急激に加速される。このとき、第1の絞り部208の壁面との間にせん断力が発生し、水は瞬間的に微細化される。第1の減速・撹拌部209では、断面積が急拡大するので微細化したエマルジョン粒子が分散し、さらに旋回流302が生じることもあり、エマルジョン粒子の分散が維持されて圧力損失が低減される。
【0048】
第1の減速・撹拌部209から第2の絞り部210へ流入する際は、第2の絞り部210で水が再び微細化され、微細化されたたエマルジョン溶液が生成される。第2の絞り部210は、微小な直径で長さが短い円筒形であり、上述したように第1の絞り部208より断面積が小さい。第2の減速・撹拌部211では、断面積が急拡大したので微細化したエマルジョン粒子が分散するとともに、圧力損失が低減される。
【0049】
第2の減速・撹拌部211から第3の絞り部212へ流入する際は、水が再び微細化され、微細化されたエマルジョン溶液が生成される。第3の絞り部212は、微小な直径で長さが短い円筒形であり、上述したように第2の絞り部210よりさらに断面積が小さい。第3の減速・撹拌部213では、断面積が急拡大するので微細化したエマルジョン粒子が分散するとともに、圧力損失が低減される。そして、エマルジョン生成装置105から流出するための直進流303をエマルジョン燃料排出部214が発生し、このエマルジョン燃料排出部214から生成されたエマルジョン燃料が排出される。
【0050】
本実施例では加工の容易さから第1〜第3絞り部208、210、212の形状を単純な円筒形としたが、十分なせん断力を与えられるのであれば、絞り部208、210、212の断面形状は三角形や四角形などの多角形でもよい。
【0051】
このように、エマルジョン生成装置105では、絞り部を複数回通過させることにより、従来の絞り部が1個のときに比べて生成したエマルジョン燃料の粒径が狭い範囲に分布するようになり、性能が安定化する。また、第1〜第3絞り部208、210、212の断面積を、下流側ほど小さくしたので、エマルジョン生成装置109内で発生する圧力損失を低減できる。
【0052】
エマルジョン燃料を生成するのに必要な工程を、一体化した構造のエマルジョン生成装置105で実行しているので、絞り部から次の絞り部に到達するまでに余計な継手や配管が不要となり、流動中のエマルジョン状態の変化を最小限に抑えることができる。これにより、エマルジョン燃料の性能の安定性がより向上する。
【0053】
図4に、上記エマルジョン燃料システム50におけるエマルジョン燃料の生成プロセスを、フローチャートで示す。エマルジョン燃料システム50を稼働させると、自動バルブ111aを閉に、自動バルブ111bを開に切り替える(ステップ401)。予め燃料タンク112内は加圧状態にしてあるので、燃料タンク112内の燃料油だけがエマルジョン生成装置105に送液される(ステップ402)。
【0054】
発電装置108を起動し、起動が完了したら(ステップ403)、ステップ404に進む。ここで、起動完了の判断は、所定時間が経過したか否かで判断するようにしてもよいし、発電装置108の動作を確認するようにしてもよい。
【0055】
発電装置108の起動が完了したら、送液ポンプ102を起動し、エマルジョン生成装置に燃料油と水を流す(ステップ404)。その後、自動バルブ111aを開に、自動バルブ111bを閉に切り替える(ステップ405)。燃料油と水を、必要量だけ送液する(ステップ406)。
【0056】
ここで、圧力センサ103が下流側にある発電装置108への流入流体の圧力をセンシングし、制御装置103がこの圧力センサ103の値に基づいて圧力バルブ106を制御しているので、発電装置108が使いきれない燃料油と水のエマルジョンは、自動的に供給量調整用リターン配管110を経て、水・燃料油混合タンク101に戻る。
【0057】
発電装置108の運転終了が指示されているか否かを判断する(ステップ407)。発電装置108の運転終了が指示されていなければステップ406に戻り、発電装置108の運転終了の指示があればステップ408に進む。ここで、発電装置108の運転終了は、正常終了だけではなく、発電装置108に導入される燃料がワーキング圧力に達していない、あるいは燃料の送液圧力が異常に高い場合などに指示される。
【0058】
発電装置108の運転終了を指示されたら、自動バルブ111aを閉に、自動バルブ111bを開に切り替える(ステップ408)。そして、燃料油だけをエマルジョン生成装置109に送液する(ステップ409)。予め設定した燃料油の供給時間が終了したか否かを判断する(ステップ410)。設定時間が終了していなければステップ409に戻り、設定時間が終了していれば、送液ポンプ102の稼動を終了し、エマルジョン燃料生成の動作を終了する(ステップ411)。
【0059】
起動時に燃料油だけを送液すると、特に寒冷地などでは、安定した発電装置の立ち上げが可能となる。また、停止時にも燃料油だけを送液すると、発電装置108内に水が残存するのを防止でき、錆の発生を回避できる。
【0060】
本実施例1によれば、エマルジョン燃料システムで生成したエマルジョン燃料を貯蔵する必要がなく、エマルジョン燃料システムの圧力損失も増大しない。また、必要に応じてエマルジョン燃料の生成量を調整できる。
【実施例2】
【0061】
図5〜図8を用いて、本発明に係るエマルジョン燃料システム50の他の実施例(実施例2)を説明する。図5に、エマルジョン燃料システム50をブロック図で示す。エマルジョン燃料システム50は、水タンク121、水送液ポンプ122、燃料油タンク123、燃料油送液ポンプ124、圧力センサ103、エマルジョン生成装置105、圧力バルブ106、燃料の燃焼によって発電する発電装置108、制御装置109、供給量調整用リターン配管110、水・燃料油分離膜125等を備えている。以下の説明では、実施例1と異なる部分を中心にして、説明する。
【0062】
本エマルジョン燃料システム50では、水送液ポンプ122が水タンク121内の水をエマルジョン生成装置105に供給している。また、燃料油送液ポンプ124が燃料タンク123内の燃料をエマルジョン生成装置105に供給している。エマルジョン生成装置105で生成したエマルジョン燃料は、圧力バルブ106および圧力センサ103を経て、発電装置108に導入され、燃焼する。
【0063】
制御装置109は、このエマルジョン燃料システム50の各圧力センサ103a〜103cを監視し、2台のポンプ、すなわち水送液ポンプ122と燃料油送液ポンプ124を制御する。例えば、目詰まり等により配管内圧力が異常に上昇したら、水送液ポンプ122と燃料油送液ポンプ124を非常停止させる。図示しないが、電源スイッチや異常動作用の非常停止スイッチ、通信用コネクタ、エマルジョン生成装置105と配管を接続する接続継手なども、エマルジョン燃料システム50は有している。
【0064】
発電装置108に必要なエマルジョン燃料供給圧力を得るため、水送液ポンプ122と燃料油送液ポンプ124はエマルジョン燃料供給圧力以上の圧力で、水と燃料油を送液する。そして、圧力バルブ106が発電装置108に必要な圧力まで減圧して、エマルジョン燃料供給圧力を得る。
【0065】
発電装置108に必要なエマルジョン燃料供給量を得るため、水送液ポンプ122と燃料油送液ポンプ124はエマルジョン燃料供給量を超える送液速度で、水と燃料油を送液する。そして、発電装置108に必要なエマルジョン燃料供給量を超えたエマルジョン燃料は、供給量調整用リターン配管110から、水・燃料油分離膜125を経由して、水タンク121および燃料油タンク123へ戻される。
【0066】
上流側に設けた圧力センサ103a、103bは、エマルジョン燃料システム50内の圧力をモニタリングし、最高使用圧力以上の圧力が、エマルジョン生成装置105あるいは発電装置108に付加されないようにしている。それとともに、エマルジョン燃料システム50内の配管やエマルジョン生成装置105内に生じた詰まり(閉塞)などの異常事態の発生も監視している。発電装置108の負荷に応じてエマルジョン燃料を調整できるよう、水送液ポンプ122と燃料油送液ポンプ124の送液量は可変である。これらのポンプ122、124は、エマルジョン燃料の作成開始時および終了時に、燃料油だけを送液できるようにも制御される。
【0067】
エマルジョン生成装置105で生成されたエマルジョン燃料のうち、発電装置108に供給されなかった分は、供給量調整用リターン配管110から再び水・燃料油分離膜125へ導かれ、この水・燃料油分離膜125で水と燃料油に分離されて、それぞれ水タンク121と燃料油タンク123へ戻される。その後、再度水送液ポンプ122と燃料油送液ポンプ124がエマルジョン生成装置105へ供給する。
【0068】
図6に、本実施例2が備えるエマルジョン生成装置105の一例を、斜視図((a)図)および(a)図のB−B断面図((b)図)で示す。本実施例が実施例1で使用しているもの(図2)と異なる点は、図2に示したものは水・燃料油が混合状態でエマルジョン生成装置105へ導かれていたので導入部は1箇所であったが、本実施例では、水導入部204と燃料油導入部205の2箇所の導入部を形成したことにある。その他は、図2のエマルジョン生成装置105と同じである。
【0069】
図7に、図6に示したエマルジョン生成装置105内における流体の流れ挙動を示す。水導入部204から導入された水201と燃料油導入部205から導入された燃料油202は、合流部206で合流する。そして、撹拌部207で旋回流302を生じ、燃料油中に水のエマルジョン粒子301が分散する。撹拌部207以降は、実施例1と同様の挙動を示す。
【0070】
図8に、本実施例2におけるエマルジョン燃料システム50の動作をフローチャートで示す。エマルジョン燃料の生成開始とともに、燃料油送液ポンプ124だけが稼働し(ステップ401)、燃料油だけがエマルジョン生成装置105に送液される(ステップ402)。その後、発電装置108を起動し、起動が完了したら(ステップ403)、ステップ404に進む。起動が完了しているか否かは、所定の時間が経過したか否か、または発電装置108の動作確認により判断する。
【0071】
発電装置108の起動が完了したら、水送液ポンプ122を起動し(ステップ404)、エマルジョン生成装置105に燃料油と水が流れるように燃料油と水を必要量送液する(ステップ405)。発電装置108の運転終了が指示されているか否かを判断する(ステップ406)。運転終了を指示されていなければステップ405に戻り、発電装置108の運転終了が指示されていればステップ407に進む。ここで、発電装置108の運転終了が指示される場合は、正常終了だけではなく、発電装置108に導入される燃料がワーキング圧力に達していない、あるいは燃料の送液圧力が異常に高い場合も含まれる。
【0072】
発電装置108の運転終了が指示されていたら、水送液ポンプ122を停止する(ステップ407)。燃料油送液ポンプ124だけを稼働させて、燃料油だけをすべてのエマルジョン生成装置105に送液する(ステップ408)。予め設定した燃料油設定時間が終了したか否かを判断する(ステップ409)。設定時間が終了していなければステップ408に戻り、設定時間が終了していれば燃料油送液ポンプ124の稼動を終了し、エマルジョン燃料作成を終了する(ステップ410)。
【0073】
本実施例2でも、起動時に燃料油だけを送液するので、特に寒冷地などで安定した発電装置108の立ち上げが可能となる。また、停止時にも燃料油だけを送液するので、発電装置108内に水が残存せず、錆の発生を防止できる。また本実施例2のエマルジョン燃料システムでも、生成したエマルジョン燃料の貯蔵が不要であり、エマルジョン燃料システムの圧力損失を増加させずに、エマルジョン燃料の生成量を可変とすることができる。
【0074】
なお、上記各実施例では、燃料油と水とからなるエマルジョン燃料について説明している。燃料油の材質は、燃料油として使用可能なものであれば何でもよく、例えば重油、灯油、軽油、廃油、バイオ燃料等を使用できる。また、水の物質は、燃料油とエマルジョン化させた際に水のエマルジョンを形成するものであれば何でもよく、例えば水道水、水浄化装置により得られた浄水、純水等を使用できる。ただし、水中に不純物が多量に含まれていると、エマルジョン燃料システム内の配管やエマルジョン生成装置、発電装置の接液部分を腐食させたり、閉塞させたりするおそれがあるので、そのような物質を使用するときは水浄化装置などと組み合わせて用いる。
【0075】
さらにななお、上記各実施例では水を用いてエマルジョン燃料を生成したが、水に代えてメタノールやエタノール等のアルコールを用いてエマルジョン燃料を生成してもよい。これらのアルコールを用いても、エマルジョンを形成できるので、上記各実施例と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0076】
50 エマルジョン燃料システム
101 水・燃料油混合タンク
102 送液ポンプ
103、103a、103b 圧力センサ
104 リリーフバルブ
105 エマルジョン生成装置
106 圧力バルブ
107 圧力調整用リターン配管
108 発電装置
109 制御装置
110 供給量調整用リターン配管
111a、111b 自動バルブ
112 燃料油タンク
121 水タンク
122 水送液ポンプ
123 燃料油タンク
124 燃料油送液ポンプ
125 水・燃料油分離膜
201 水
202 燃料油
203 エマルジョン燃料
204 水導入部
205 燃料油導入部
206 合流部
207 撹拌部
208 第1の絞り部
210 第2の絞り部
212 第3の絞り部
209 第1の減速・撹拌部
211 第2の減速・撹拌部
213 減速部
214 エマルジョン燃料排出部
301 エマルジョン粒子
302 旋回流
303 直進流。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と燃料油とからエマルジョン生成装置でエマルジョン燃料を生成し、生成したエマルジョン燃料を燃焼手段へ供給するエマルジョン燃料システムであって、前記エマルジョン生成装置は水と燃料油の混合物から水と燃料油のエマルジョン燃料を生成し、このエマルジョン生成装置が生成したエマルジョン燃料の流量を調節する圧力調整弁と、この圧力調整弁を通過したエマルジョン流体の圧力を検出する手段と、この圧力検出手段の圧力に基づいて前記圧力調整弁を調整する制御装置と、前記圧力調整弁の下流側で分岐し、前記エマルジョン燃料生成装置の上流側に戻る配管を設け、前記燃焼手段で消費しきれないエマルジョン燃料を自動的にエマルジョン燃料生成装置の上流側に戻すようにしたことを特徴とするエマルジョン燃料システム。
【請求項2】
前記エマルジョン生成装置が、2台以上並列に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のエマルジョン燃料システム。
【請求項3】
前記エマルジョン生成装置は、燃料油をこのエマルジョン装置に導入する燃料油導入部と、水をこのエマルジョン装置に導入する水導入部と、燃料油と水の分散液を微細化する少なくとも1個の微小な絞り部と、前記絞り部で生成したエマルジョン燃料を排出する排出部とを有し、前記水導入部と前記燃料油導入部を並列に構成し末端側で結合し、この結合部から、前記絞り部、前記排出部まで連続した流路として一体化していることを特徴とする請求項2に記載のエマルジョン燃料システム。
【請求項4】
前記絞り部が複数設けられており、その複数の絞り部の断面積が下流側にいくにつれて小さくなることを特徴とする請求項3に記載のエマルジョン燃料システム。
【請求項5】
前記エマルジョン生成装置は複数台直列に配置されており、このエマルジョン生成装置を用いて、多段に絞り部を形成したことを特徴とする請求項3に記載のエマルジョン燃料システム。
【請求項6】
前記エマルジョン生成装置は、水と燃料油が混合されて導入される合流部と、燃料油と水の分散液を微細化しエマルジョン燃料を作成する微小な絞り部と、前記絞り部で生成したエマルジョン燃料を排出する排出部とを有しており、前記合流部と前記絞り部と前記排出部とを連続した流路として一体化した同一部材から構成したことを特徴と請求項5に記載のエマルジョン燃料システム。
【請求項7】
前記エマルジョン生成装置の絞り部の断面積を、下流側にいくにつれて大きくしたことを特徴とする請求項6に記載のエマルジョン燃料システム。
【請求項8】
前記水と燃料油のエマルジョン燃料は水と燃料油だけから構成されており、界面活性剤を含まないことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のエマルジョン燃料システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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