説明

エマルジョン燃料供給装置及びその方法

【課題】 低Nox、低SOx、低ばいじん燃焼が可能なだけでなく、安定した燃焼が可能で、しかもエマルジョン燃料の分離を抑制できるエマルジョン燃焼供給装置及びその方法を提供する。
【解決手段】 燃料、水及び添加剤を撹拌する撹拌槽10と、撹拌液を濾過するフィルタ33と、エマルジョン燃料を貯蔵するエマルジョン燃料タンク34と、燃料を撹拌槽に供給する上流バイパス管13と、エマルジョン燃料タンクに貯蔵されるエマルジョン燃料を排出する下流バイパス管36を備える。供給遮断弁よりも燃料タンク側において、上流バイパス管を燃料供給管に接続し、供給遮断弁よりも燃焼装置側において、下流バイパス管を燃料供給管に接続する。燃料と水との容積比が、65乃至90%:35乃至10%であり、エマルジョン燃料に対する添加剤の容積比が、0.25乃至0.45%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低Nox、低SOx、低ばいじん燃焼が可能なだけでなく、安定した燃焼が可能で、しかもエマルジョン燃料の分離を抑制できるエマルジョン燃焼供給装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、灯油や重油等の石油系燃料の使用量を削減すると共に、NOx、Sox、煤煙等を減少させるために、石油系燃料に水と少量の界面活性剤を添加混合してエマルジョン化したエマルジョン燃料を製造する技術が、種々提案されている。
【0003】
本来、燃料である石油系燃料と水とは混ざり合わず、無理に混ぜても直ちに分離してしまう。そこで、石油系燃料と水のみならず、界面活性剤などの乳化剤を添付し、エマルジョン燃料が得られている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開平5−279676号公報)は、エマルジョン燃料を得るための油と水の好ましい混合比を開示する。
【0005】
しかしながら、いずれの技術によっても、試験的・短期的には問題なく使用できたとしても、長期間継続して安定的に使用できるまでには至っていない状況にある。言い換えれば、エマルジョン燃料を燃焼させる燃焼装置(例えば、バーナー、ボイラー等)を連続的に安定して運転させることは困難であった。エマルジョン燃料に関する技術は、長い歴史を有しながらも、実務上今日まで、ほとんど実用化できていない。
【0006】
ここで昨今、石油系燃料の価格が異様に高騰し、また、環境問題の視点からも、安定したエマルジョン燃料による燃焼装置及びそれへの供給装置を求める要請が高まっている。
【0007】
しかしながら、現実的には、エマルジョン燃料による燃焼を安定的に実施できない、大きな要因には、エマルジョン燃料を生成した当初は、問題なくとも、その後時間が経過するにつれ、石油系燃料と水が分離してしまう点と、エマルジョン燃料による燃焼にムラが生じやすいという点がある。
【0008】
本発明者は、以上の点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、石油系燃料、水、添加剤の好ましい配分比を見いだし、エマルジョン燃料による安定した燃焼を実現し、本発明を完成するに至ったものである。
【特許文献1】特開平5−279676号公報
【特許文献2】特開2006−329438号公報
【特許文献3】特開2006−111666号公報
【特許文献4】特開2000−263062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
すなわち本発明は、低Nox、低SOx、低ばいじん燃焼が可能なだけでなく、安定した燃焼が可能で、しかもエマルジョン燃料の分離を抑制できるエマルジョン燃焼供給装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係るエマルジョン燃料供給装置は、供給される燃料、水及び添加剤を撹拌し、撹拌液となす撹拌槽と、撹拌液を濾過し、エマルジョン燃料を吐出するフィルタと、フィルタから吐出されたエマルジョン燃料を貯蔵するエマルジョン燃料タンクと、燃料を撹拌槽に供給する上流バイパス管と、エマルジョン燃料タンクに貯蔵されるエマルジョン燃料を排出する下流バイパス管とを備えるエマルジョン燃料供給装置であって、燃料を燃料タンクから燃焼装置へ供給する燃料供給管に設けられ燃料タンクから燃焼装置への燃料の供給を遮断する、供給遮断弁よりも燃料タンク側において、上流バイパス管を燃料供給管に接続し、供給遮断弁よりも燃焼装置側において、下流バイパス管を燃料供給管に接続してなり、しかも、燃料と水との容積比が、65乃至90%:35乃至10%であり、かつ、エマルジョン燃料に対する添加剤の容積比が、0.25乃至0.45%である。
【0011】
この構成において、通常は、上流バイパス管から下流バイパス管に至るエマルジョン燃料供給装置により、燃焼装置にエマルジョン燃料を供給する。しかしながら、もし、その供給に不備等の不都合を生じた場合には、エマルジョン燃料供給装置によるエマルジョン燃料の供給を停止し、供給遮断弁を開とすることにより、燃料タンクから燃焼装置へ直接燃料を供給することができ、トラブル時の復旧が可能となる。
【0012】
勿論、通常時には、エマルジョン供給装置により燃料そのものではなく、エマルジョン燃料を燃焼装置へ供給できる。
【0013】
この際、エマルジョン燃料には、水が混ぜられているので、完全燃焼を生じやすく、すすの発生を抑制して燃焼効率を向上できる。
【0014】
また、以上の比率を使用することにより、後述する例が証明するように、着火性が良好で、安定してムラの少ない燃焼を実施できる。しかも、エマルジョン燃料を生成してから数日間油と水が分離しない状態を保持でき、エマルジョン燃料の安定性を向上できる。
【0015】
第2の発明に係るエマルジョン燃料供給装置は、フィルタは、1μmのテフロン(登録商標)フィルタである。
【0016】
この構成により、撹拌液を濾過してエマルジョン燃料を生成する際、1μm以下の微粒子化することができ、エマルジョン燃料を極めて安定した状態とすることができる。
【0017】
第3の発明に係るエマルジョン燃料供給装置は、燃料と水との容積比が、70%:30%であり、かつ、エマルジョン燃料に対する添加剤の容積比が、0.3%である。
【0018】
これらの比は、後述する例が証明するように、極めて好ましいものであり、これにより、ムラの少ない安定した燃焼と、油と水の分離を長時間保持できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のように構成したので、低Nox、低SOx、低ばいじん燃焼が可能なだけでなく、ムラの少ない安定した燃焼が可能であり、エマルジョン燃料の分離を長時間抑制できる。
【0020】
万一、エマルジョン燃料の供給に不都合を生じた場合には、供給遮断弁を開とし、燃料タンクから燃焼装置へ直接燃料を供給することにより、容易に復旧できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態におけるエマルジョン燃料供給装置のブロック図である。
【0023】
図1に示すように、本形態のエマルジョン燃料供給装置は、既設の燃焼設備に追加的に設けられる。既設の燃焼設備は、次の要素を備える。
【0024】
まず、燃料タンク1には、灯油又は重油等の燃料2が溜められており、必要に応じて、ヒータ3を設け、燃料タンク1内の燃料2を加熱しておく。
【0025】
燃料タンク1から燃焼装置4に至る燃料供給管5を配管し、その途中に供給遮断弁6を設け、供給遮断弁6を開閉することにより、燃料2を燃料タンク1から燃焼装置4に供給したり、供給を停止したりする。
【0026】
なお、エマルジョン燃料の供給に不都合がない限り、供給遮断弁6は「閉」の状態にあり、万一、エマルジョン燃料の供給に不都合を生じた場合には、供給遮断弁6が「開」の状態にされ、燃焼装置4による燃焼を復旧させるようになっている。
【0027】
燃焼装置4は、エマルジョン燃料又は燃料2そのものを燃焼させ得るものであれば任意である。例えば、バーナーやボイラが好適に使用される。
【0028】
ここで、燃焼装置4には、例えば、ゴミ処分場、農場、火葬場等に使用される装置が含まれるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。但し、燃焼装置4には、万一の場合の安全性を考慮し、車両あるいは船舶等の動力を発生する内燃機関は含まないものとする。
【0029】
以上のような既設の燃焼設備に、次のように本形態のエマルジョン燃料供給装置が追加される。
【0030】
撹拌槽10は、内部に溜められる撹拌液を撹拌し保持する。図1の例では、撹拌槽10には、撹拌槽10内に回転自在に支持される撹拌羽根11と、撹拌羽根11を駆動して回転させるモータ12とが設けられているが、撹拌槽10の撹拌方式はこの方式に限定されない。
【0031】
例えば、他に水圧をかけて撹拌液を撹拌しても良いし、撹拌液を吹き上げて撹拌するようにしても差し支えない。なお、下記実験例では、モータ12として、100V(50/60Hz)3600回転/分のものを使用した。
【0032】
また、撹拌槽10の内部には、撹拌液が上限に達しているかどうかを検出するレベルセンサ38が配置される。
【0033】
上流バイパス管13は、燃料タンク1と供給遮断弁6との間において、燃料供給管5に接続され、撹拌槽10に燃料タンク1内の燃料2を供給する配管である。
【0034】
上流バイパス管13の途中には、それぞれ手動弁20、電磁弁23、流量計26が配設される。供給遮断弁6を「閉」とし、手動弁20、電磁弁23を「開」とすれば、撹拌槽10内に燃料2が供給され、その流量が流量計26により計測される。流量計26の計測の結果、撹拌槽10内に所定量の燃料2が供給されると、電磁弁23が「閉」とされ、燃料2の供給が停止される。
【0035】
水タンク14には、水15が溜められている。本形態の水15としては、特殊な水を使用する必要はなく、例えば水道水を用いても良い。よって、ランニングコストを安価にすることができる。
【0036】
水供給管16は、水タンク14と撹拌槽10とに接続され、撹拌槽10に水タンク14内の水15を供給する配管である。
【0037】
水供給管16の途中には、それぞれ手動弁21、電磁弁24、流量計27が配設される。手動弁21、電磁弁24を「開」とすれば、撹拌槽10内に水15が供給され、その流量が流量計27により計測される。流量計27の計測の結果、撹拌槽10内に所定量の水15が供給されると、電磁弁24が「閉」とされ、水15の供給が停止される。
【0038】
添加剤タンク17には、添加剤18が溜められている。本形態の添加剤18としては、界面活性剤を含むものが好ましい。
【0039】
以下の実験例では、市販の「精製鉱物油及び界面活性剤、溶剤等の混合物」が使用された。
【0040】
このものは、精製鉱物油(含有量:16%)、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(含有量:33%)、グリコールエーテル系溶剤を、その成分とする。
【0041】
添加剤供給管19は、添加剤タンク17と撹拌槽10とに接続され、撹拌槽10に添加剤タンク17内の添加剤18を供給する配管である。
【0042】
添加剤供給管19の途中には、それぞれ手動弁22、電磁弁25、流量計28が配設される。手動弁22、電磁弁25を「開」とすれば、撹拌槽10内に添加剤18が供給され、その流量が流量計28により計測される。流量計28の計測の結果、撹拌槽10内に所定量の添加剤18が供給されると、電磁弁25が「閉」とされ、添加剤18の供給が停止される。
【0043】
なお、燃料2、水15、添加剤18の混合比については、後に実例を挙げつつ詳細に説明する。
【0044】
撹拌槽10による撹拌が完了したら、撹拌槽10内の撹拌液は、撹拌液吐出管29を介してテフロン(登録商標)フィルタ33に至り濾過された後、エマルジョン燃料タンク34に蓄えられる。
【0045】
ここで、撹拌液吐出管29には、撹拌液吐出管29を開閉する電磁弁30と、撹拌液吐出管29内の撹拌液を圧送するポンプ31と、撹拌液吐出管29内の流量を計測する流量計32とがそれぞれ配設される。
【0046】
なお、下記実験例では、ポンプ31として、5.3A/5.0A(50/60Hz)1MPa:2.5リットル/分のものを使用した。
【0047】
本形態では、テフロン(登録商標)フィルタ33として1μmのテフロン(登録商標)フィルタを用いている。
【0048】
エマルジョン燃料タンク34には、上限センサ39及び下限センサ40が設けられ、エマルジョン燃料タンク34内には、所定量のエマルジョン燃料35が蓄えられるようになっている。
【0049】
エマルジョン燃料タンク34から燃料供給管5の供給遮断弁6と燃焼装置4との間に、下流バイパス管36が接続され、下流バイパス管36の途中には手動弁41が設けられる。
【0050】
供給遮断弁6を「閉」とし、手動弁41を「開」とすれば、エマルジョン燃料タンク34内のエマルジョン燃料35を燃焼装置4に供給できるようになっている。
<動作説明>
次に、図2を参照しながら、本形態のエマルジョン燃料供給装置の動作を説明する。
【0051】
始めに、燃料供給管5に設けられた供給遮断弁6を「閉」とし、電磁弁23、24、30、25を「閉」とし、手動弁20、21、22、41を「開」とする。
【0052】
ここで、エマルジョン燃料の供給に不都合があるときは、上述したように復旧作業を行うが、簡単のため以下では、この不都合はないと仮定して説明する。
【0053】
さてステップ1にて、下限センサ40がオンになっているかどうかをチェックする。もしオンならば、エマルジョン燃料タンク34内に十分な量のエマルジョン燃料35が残っていることになるため、そのまま待機する。
【0054】
下限センサ40がオフになっていれば、そのままでは今後エマルジョン燃料35が不足することになるため、エマルジョン燃料タンク34内へ撹拌液を補充する。即ち、ステップ2にてレベルセンサ38がオンになっているかどうかチェックする。
【0055】
もしオフになっていれば、撹拌槽10内に十分な量の撹拌液がないことになるため、ステップ3にて撹拌槽10内への供給を開始する。
【0056】
具体的には、電磁弁23、24、25を「開」とし、所定量の燃料2、水15、添加剤18を撹拌槽10内へ供給する。ここで、流量計26、27、28により各流量を計測し、燃料2、水15、添加剤18の容積比が所定値(詳細は後述。)となるようにしておく。
【0057】
そして、ステップ2にて、レベルセンサ38がオンになると、電磁弁23、24、25を「閉」としステップ3の供給を停止し、10分間撹拌を行う(ステップ4)。これにより、撹拌槽10内の撹拌液は十分撹拌されたことになる。
【0058】
ステップ5にて、ポンプ31を起動し、電磁弁30を「開」とする。その結果、撹拌液は、撹拌槽10から吐出されテフロン(登録商標)フィルタ33により濾過される。濾過の結果、撹拌液は微粒子化しエマルジョン燃料タンク34内に溜められる。ここでも、撹拌液吐出管29における撹拌液の流量を流量計32により計測しておく。
【0059】
ステップ6にて、上限センサ39がオンになったかどうかチェックする。なお、上限センサ39がオンであるときは、エマルジョン燃料タンク34内のエマルジョン燃料35が所定量になっていることになる。
【0060】
オンになっていなければ、ポンプ31による圧送を継続し、オンになるとポンプ31を停止し、電磁弁30を「閉」とする。
【0061】
その後、処理を終了すべきでない限り(ステップ8)、ステップ1へ処理が戻る。
【0062】
そして、手動弁41を「開」としてエマルジョン燃料35を燃料供給管5を介して燃焼装置4に供給し、燃焼装置4はエマルジョン燃料35を燃焼する。
【0063】
燃焼が継続すると、エマルジョン燃料タンク34のエマルジョン燃料35が減ってゆき、下限センサ40がオフになると、ステップ2以下の処理が繰り返される。
<実験例>
以下、本発明者が実施した実験例を説明する。
(添加剤の容積比の検討) まず、図1のエマルジョン燃料供給装置を用いて、灯油及び重油(A)を燃料として燃料3.5リットル、水1.5リットルに対し、上記添加剤「精製鉱物油及び界面活性剤、溶剤等の混合物」を0.1%〜0.5%(容積比)の範囲で容積比を変えて加え撹拌液とした。
【0064】
この撹拌液を、撹拌機(図1の例(プロペラ方式)だけでなく、水圧をかけて撹拌液を撹拌するもの、撹拌液を吹き上げて撹拌するものについても実験したが、どの方式よっても結果は、ほぼ同等であったので、図1の例のみを記載する。)で10分間撹拌した後、撹拌液をテフロン(登録商標)フィルタ33に通し、エマルジョン燃料タンク34に溜めた後、燃焼装置4(上述したボイラー)へ供給した。
【0065】
なお、分離の状態については、得られたエマルジョン燃料を1リットルの透明容器に入れ、数日静置し、目視で分離の状態を観察した。
【0066】
結果は、次のとおりである。
【0067】
【表1】

【0068】
(表1)から、以下の点が理解されよう。
(結果1)添加剤が容積比0.15%を下回ると、着火性が低下する。
(結果2)炎については、容積比0.2%を下回ると、良好でなくなる。
(結果3)分離の状態については、容積比0.25%を下回るか、あるいは容積比0.45%を超えると、良好でなくなる。
【0069】
結果1〜3を総合すると、添加剤の容積比は、0.25乃至0.45%が好ましく、更に好ましくは、0.3%であることが分かる。
(燃料、水の容積比の検討) また、添加剤の容積比を最も好ましい0.3%とした上で、燃料と水の容積比を変えて、同様のエマルジョン燃料供給装置で実験を繰り返した。
【0070】
結果は、次のとおりである。
【0071】
【表2】

【0072】
(表2)から、以下の点が理解されよう。
(結果4)水の容積比は少ない方が燃焼が安定する。また、目視の検査により、水の容積比が35%を超えると、火力が極端に低下していることが判明した。
【0073】
結果4により、燃料と水との容積比が、65乃至90%:35乃至10%であることが好ましく。次に述べる排ガスの検査を鑑みると、更に、好ましくは、概ね70%:30%であることが分かる。
【0074】
以上の燃料と水の容積比を、好ましい70%:30%とし、添加剤の容積比を好ましい0.3%とした上で、平成20年5月19日に、九電産業株式会社環境部において、燃焼試験を実施した。
【0075】
ここで、SOx(硫黄酸化物)については、JIS K0103−05 附属書3 中和滴定法により、
NOx(窒素酸化物)については、JIS K0104−00.5.4 P.D.S法により、
二酸化炭素については、JIS K0301−98.5.1 オルザット法により、
排ガス温度については、JIS Z8704−93.10.2 熱電対を用いる方法により、それぞれ計測した。
(排ガス温度試験) 燃料を、灯油、灯油由来のエマルジョン燃料、重油(A)、重油(A)由来のエマルジョン燃料とした、排ガス温度試験結果は、次のとおりである。
【0076】
【表3】

【0077】
(排ガス成分の分析) 燃料を、灯油、灯油由来のエマルジョン燃料とした、各物質の濃度は、次のとおりである。
【0078】
【表4】

【0079】
燃料を、重油(A)、重油(A)由来のエマルジョン燃料とした、各物質の濃度は、次のとおりである。
【0080】
【表5】

【0081】
以上の(表3)〜(表5)から、次のことが理解されよう。
(結果5)燃料と水の容積比を、70%:30%としているにもかかわらず、排ガス温度の低下率が10%以下となっており、ボイラーやバーナーの燃焼上、問題や支障なく燃焼を実施できる。
(結果6)SOx、NOx、二酸化炭素を実数値で、約30%程度減少できることは、環境貢献に寄与するところ大である。
【0082】
以上の説明から、本発明によれば、低Nox、低SOx、低ばいじん燃焼が可能であること、ムラの少ない安定した燃焼が可能であること、エマルジョン燃料が分離しにくく安定性が高いことが、それぞれ理解されよう。
【0083】
よって、エマルジョン燃料による実務的な燃焼が可能となり、実用的な効果が大である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施の形態におけるエマルジョン燃料供給装置のブロック図
【図2】本発明の一実施の形態におけるエマルジョン燃料供給装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0085】
1 燃料タンク
2 燃料
3 ヒータ
4 燃焼装置
6 供給遮断弁
10 撹拌槽
11 撹拌羽根
12 モータ
13 上流バイパス管
14 水タンク
15 水
16 水供給管
17 添加剤タンク
18 添加剤
19 添加剤供給管
21〜22、38、41 手動弁
23〜25、30 電磁弁
26〜28、32 流量計
29 撹拌液吐出管
31 ポンプ
33 テフロン(登録商標)フィルタ
34 エマルジョン燃料タンク
35 エマルジョン燃料
36 下流バイパス管
38 レベルセンサ
39 上限センサ
40 下限センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される燃料、水及び添加剤を撹拌し、撹拌液となす撹拌槽と、
前記撹拌液を濾過し、エマルジョン燃料を吐出するフィルタと、
前記フィルタから吐出されたエマルジョン燃料を貯蔵するエマルジョン燃料タンクと、
前記燃料を前記撹拌槽に供給する上流バイパス管と、
前記エマルジョン燃料タンクに貯蔵される前記エマルジョン燃料を排出する下流バイパス管とを備えるエマルジョン燃料供給装置であって、
前記燃料を燃料タンクから燃焼装置へ供給する燃料供給管に設けられ前記燃料タンクから前記燃焼装置への前記燃料の供給を遮断する、供給遮断弁よりも前記燃料タンク側において、前記上流バイパス管を前記燃料供給管に接続し、
前記供給遮断弁よりも前記燃焼装置側において、前記下流バイパス管を前記燃料供給管に接続してなり、
しかも、前記燃料と前記水との容積比が、65乃至90%:35乃至10%であり、かつ、前記エマルジョン燃料に対する前記添加剤の容積比が、0.25乃至0.45%であることを特徴とするエマルジョン燃料供給装置。
【請求項2】
前記フィルタは、1μmのテフロン(登録商標)フィルタである請求項1記載のエマルジョン燃料供給装置。
【請求項3】
前記燃料と前記水との容積比が、70%:30%であり、かつ、前記エマルジョン燃料に対する前記添加剤の容積比が、0.3%である請求項1または2記載のエマルジョン燃料供給装置。
【請求項4】
燃料を燃料タンクから燃焼装置へ供給する燃料供給管に設けられ前記燃料タンクから前記燃焼装置への前記燃料の供給を遮断する、供給遮断弁よりも前記燃料タンク側において、上流バイパス管の一端部を前記燃料供給管に接続し、
前記供給遮断弁よりも前記燃焼装置側において、前記下流バイパス管の一端部を前記燃料供給管に接続し、
供給される燃料、水及び添加剤を撹拌し、撹拌液となす撹拌槽に前記上流バイパス管の他端部を接続し、
エマルジョン燃料タンクに前記下流バイパス管の他端部を接続し、
フィルタにより前記撹拌液を濾過し、エマルジョン燃料を吐出し、
前記フィルタから吐出されたエマルジョン燃料を前記エマルジョン燃料タンクに貯蔵し、
前記エマルジョン燃料タンクに貯蔵される前記エマルジョン燃料を前記下流倍バス管を介して前記燃焼装置へ排出する、エマルジョン燃料供給方法であって、
前記燃料と前記水との容積比が、65乃至90%:35乃至10%であり、かつ、前記エマルジョン燃料に対する前記添加剤の容積比が、0.25乃至0.45%であることを特徴とするエマルジョン燃料供給方法。

【図1】
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【図2】
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