説明

エリア分割アナログ抵抗膜タッチパネル

【課題】 本発明はエリア分割アナログ抵抗膜タッチパネルに関し、エリア分割に伴って配線パターンの本数が増えることに関連して発生する問題を解決して、信頼性の向上を図ることを課題とする。
【解決手段】 ガラス板111上には、分散した中継電極118−1〜118−4と整列した外部接続用端子120−1〜120−4との間に配線パターン119−1〜119−4が形成してある。フィルム130の下面の4つの上部分割透明導電膜部133−1〜133−4は、夫々中継電極118−1〜118−4と接続してある。フィルム130には配線パターンが形成されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエリア分割アナログ抵抗膜タッチパネルに係り、特に、同一タッチパネル内に複数の独立したアナログ入力エリアを有し多点同時入力を可能にするエリア分割アナログ抵抗膜タッチパネルに関する。
【0002】
エリア分割アナログ抵抗膜タッチパネルは、異なるエリアを同時に押す操作を行った場合に各エリア毎に押し操作された点の座標を出力できるという多点同時入力機能を備えたものである。よって、エリア分割アナログ抵抗膜タッチパネルを使用すれば、別々の箇所を順次押す操作の他に、キーボードにおいて入力キーとシフトキーとを同時に押し下げ操作をすると同じような操作をすることが可能となる。
【0003】
エリアを分割すると各エリア毎に外部接続端子へ延在する配線パターンが必要になって配線パターンの数が増えることになる。この増えた複数本の配線パターンをタッチパネルの信頼性を損ねないようにして配置することが重要となる。
【背景技術】
【0004】
図1は従来のエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル10を分解して示す。図2(A)はフィルム下面の透明導電膜及び配線パターンを示し、同図(B)はガラス板上面の透明導電膜、配線パターン及びダイオード等を示す。図3は図1に示すタッチパネル10からガラス板上面の透明導電膜に電位勾配を形成する手段を取り除いた構成、即ち、各エリアの押し操作された座標の電位を上部透明導電膜を通して取り出す部分の構成を示す。X1−X2が横方向、Y1−Y2が縦方向、Z1−Z2が厚さ方向である。
【0005】
エリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル10は、下側の長方形のガラス板11の上側にフィルム30が周囲を両面テープでもって接着してあり、且つ、フレキシブルケーブル40がX1方向に延びている構成であり、同時に押し操作することが可能である四つのエリア1〜4を有する。
【0006】
ガラス板11は、四つの辺11a〜11dを有する。ガラス板11上面の全面に絶縁膜12が形成され、絶縁膜12上の中央にアナログ抵抗膜である長方形の下部透明導電膜13が形成してある。下部透明導電膜13の周囲の部分が額縁11eである。額縁11eの部分に、L字形状の配線パターン14,15、複数のダイオードチップ16a、16b、16c、16d、多数の点電極17a、17b、17c、17d、整列している中継電極18−1〜18−4、配線パターン19−1〜19−4、外部接続用端子20−1〜20−6等が形成してある。電圧モニター用の手段は省略してある。また、額縁13の部分には、最上面に絶縁膜21が形成してあり、配線パターン14,15等が覆われており、外部接続用端子20−1〜20−6及び中継電極18−1〜18−4は露出している。
【0007】
配線パターン14、15はガラス板11の対角の位置に配置しており、X方向に延在する配線パターン部分14X,15XとY方向に延在する配線パターン部分部分14Y,15Yとを有する。ダイオードチップ16aは配線パターン部分14Yと点電極17aとの間に、ダイオードチップ16bは配線パターン部分15Yと点電極17bとの間に、共にX2が順方向である向きで接続してある。ダイオードチップ16cは配線パターン部分15Xと点電極17cとの間に、ダイオードチップ16dは配線パターン部分14Xと点電極17dとの間に、共にY1が順方向である向きで接続してある。また、配線パターン14、15は夫々外部接続用端子20−5、20−6を有する。外部接続用端子20−5にVccを印加し、外部接続用端子20−6をグランド電位とすると、点電極17bに電圧が印加され、下部透明導電膜13には点電極17bから点電極17aに向かって即ちX2側からX1方向に向かって電位が下がる電位勾配が形成される。上記とは逆に外部接続用端子20−6にVccを印加し、外部接続用端子20−5をグランド電位とすると、点電極17cに電圧が印加され、下部透明導電膜13には点電極17cから点電極17dに向かって即ちY1側からY2方向に向かって電位が下がる電位勾配が形成される。L字形状の配線パターン14,15、複数のダイオードチップ16a、16b、16c、16d、多数の点電極17a、17b、17c、17dが、電圧を印加されて下部透明導電膜13にX方向及びY方向の電位勾配を形成させる電位勾配形成手段を構成する。
【0008】
フィルム30は、X1側の辺にフレキシブルケーブル40の接続のための切欠31を有する。切欠31は上記の外部接続用端子20−1〜20−6が露出する大きさである。フィルム30の下面には、その中央に、上部透明導電膜33が形成してある。上部透明導電膜33はエッチングで形成された十字のスリット32でもって4つの上部分割透明導電膜部33−1〜33−4に分割されている。また、フィルム30の下面には、前記の中継電極18−1〜18−4に対応して中継電極34−1〜34−4が整列して形成してあり、更に、上部分割透明導電膜部33−1から延在して中継電極34−1に到る配線パターン35−1、上部分割透明導電膜部33−2から延在して中継電極34−2に到る配線パターン35−2、上部分割透明導電膜部33−3から延在して中継電極34−3に到る配線パターン35−3、上部分割透明導電膜部33−4から延在して中継電極34−4に到る配線パターン35−4が形成してある。特に、配線パターン35−4、34−3は、切欠31の奥側の狭い部分30aを通って延びている。
【0009】
フレキシブルケーブル40は、フレキシブルなテープ状のシート上に複数の配線パターンが平行に形成してあり、X2端側部分40aは上記切欠31に対応する大きさであり、ここに、上記の外部接続用端子20−1〜20−6に対応して端子が並んでいる構成である。
【0010】
ガラス板11とフィルム30とは、上部分割透明導電膜部33−1〜33−4がスペーサによって形成される隙間を介して下部透明導電膜13上に対向し、中継電極34−1〜34−4が夫々中継電極18−1〜18−4と接続された状態にある。フレキシブルケーブル40のX2端側部分40aがフィルム30の切欠31内に収まってガラス板11上に接着してあり、フレキシブルケーブル40の端子40aが外部接続用端子20−1〜20−6と接続されている。
【0011】
制御回路装置によってフレキシブルケーブル40を通して点電極17b及び点電極17cに電圧Vccが交互に印加され下部透明導電膜13にX方向の電位勾配及びY方向の電位勾配が交互に形成される。エリア1を押す操作を行うと、上部分割透明導電膜部33−1のうち下部透明導電膜13と接触された点に応じた電位の信号が上部分割透明導電膜部33−1、配線パターン35−1、中継電極34−1、中継電極18−1、配線パターン19−1、外部接続用端子20−1、フレキシブルケーブル40を介して制御回路装置に送られる。即ち、押し操作した点の電位が上部分割透明導電膜部33−1を通して検出され、押し操作した点のX,Y座標が割り出される。エリア2を押す操作を行うと、押し操作した点の電位が上部分割透明導電膜部33−2、配線パターン35−2、中継電極34−2、中継電極18−2、配線パターン19−2、外部接続用端子20−2、フレキシブルケーブル40を介して検出され、押し操作した点のX,Y座標が割り出される。エリア3を押す操作を行うと、押し操作した点の電位が上部分割透明導電膜部33−3、配線パターン35−3、中継電極34−3、中継電極18−3、配線パターン19−3、外部接続用端子20−3、フレキシブルケーブル40を介して検出され、押し操作した点のX,Y座標が割り出される。エリア4を押す操作を行うと、押し操作した点の電位が上部分割透明導電膜部33−4、配線パターン35−4、中継電極34−4、中継電極18−4、配線パターン19−4、外部接続用端子20−4、フレキシブルケーブル40を介して検出され、押し操作した点のX,Y座標が割り出される。
【0012】
よって、エリア1〜4を同時に押し操作すると、各押し操作した点のX,Y座標が別々に且つ同時に割り出される。
【特許文献1】特開平11−161425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここでガラス板11上に配線パターンを形成する場合と、フィルム30上に配線パターンを形成する場合とを比較してみる。配線パターンは何れも導電ペーストをスクリーン印刷する手法によって形成されている。フィルム30については上部透明導電膜33の十字のスリット32をエッチングで形成していることから表面に洗浄の残りや保護膜の残渣が残り易く、印刷性がよくない。また、フィルム30上に形成された配線パターンは、タッチパネルの操作によってストレスを受ける虞れがあり、また、タッチパネルの表面が損傷した場合にその影響を受ける虞れもある。
【0014】
上記のエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル10では、中継電極18−1〜18−4及び中継電極34−1〜34−4がフレキシブルケーブル40が接続される個所の近くに配置してある。このため、フィルム30側に比較的長い経路の配線パターン35−1〜35−4が形成してある構成となっており、エリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル10は信頼性の点で問題があった。
【0015】
また、フィルム30には切欠31が形成してあるので、切欠31に臨んでいる部分30aは狭くなっており、この部分を通る配線パターン35−3、35−4は、幅を例えば0.5mm程度にまで狭くする必要があり、信頼性が低下してしまい、押し操作したときの上部分割透明導電膜部から外部接続端子までの区間の電気抵抗であるON抵抗も増大してしまう。図1では図示の便宜上、部分30aは広くなっているけれども、実際には、部分30aは非常に狭い。
【0016】
また、エリヤの数を増やすと、フィルム30に形成する配線パターンの数が多くなって、特に上記の狭い部分30aを通る配線パターンの数が多くなって、配線パターンの幅を更に狭くする必要がある。しかし、これは殆ど不可能であり、エリヤの数を例えば5以上に増やすことは殆ど不可能であった。
【0017】
そこで、本発明は上記の課題を解決したエリア分割アナログ抵抗膜タッチパネルタッチパネル及びタッチパネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そこで、本発明は、上部板に上部透明導電膜が形成してあり、該上部透明導電膜がスリットで分割された複数の上部分割透明導電膜部を有する構成であり、且つ、下部板に、アナログ抵抗膜である下部透明導電膜、電圧を印加されて上記下部透明導電膜にX方向及びY方向の電位勾配を形成させる電位勾配形成手段、外部に接続するための外部接続用端子を有する構成であり、且つ、押し操作された位置の電位が上記上部透明導電膜を通して検出される構成であるエリア分割アナログ抵抗膜タッチパネルにおいて、
上記各上部分割透明導電膜部から上記外部接続用端子までの配線パターンを専ら上記下部板に形成してなる構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、各上部分割透明導電膜部から外部接続用端子までの配線パターンを専ら下部板に形成した構成であるため、エリア分割に伴って配線パターンの本数が増えることに関連して発生する問題を解決して、信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0021】
図4は本発明の実施例1になるエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110を分解して示す。図5(A)はフィルム下面の透明導電膜及び配線パターンを示し、同図(B)はガラス板上面の透明導電膜、配線パターン及びダイオード等を示す。図6は図4に示すタッチパネル110からガラス板上面の透明導電膜に電位勾配を形成する手段を取り除いた構成、即ち、各エリアの押し操作された座標の電位を上部透明導電膜を通して取り出す部分の構成を示す。X1−X2が横方向、Y1−Y2が縦方向、Z1−Z2が厚さ方向である。
【0022】
図4、図5、図6中、図1乃至図3に示す構成部分と対応する部分には100を加算した符号を付す。
【0023】
エリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110は、下部板としての長方形のガラス板111の上側に上部板としてのフィルム130が周囲を両面テープでもって接着してあり、且つ、フレキシブルケーブル140がX1方向に延びている構成であり、同時に押し操作することが可能である四つのエリア1〜4を有する。
【0024】
ガラス板111は、四つの辺111a〜111dを有する。ガラス板111上面の全面に絶縁膜112が形成され、絶縁膜112上の中央にアナログ抵抗膜である長方形の下部透明導電膜113が形成してある。下部透明導電膜113の周囲の部分が額縁111eである。額縁111eの部分に、L字形状の配線パターン114,115、複数のダイオードチップ116a、116b、116c、116d、多数の点電極117a、117b、117c、117d、分散している中継電極118−1〜118−4、分散している配線パターン119−1〜119−4、X1側に整列している外部接続用端子120−2、120−1、120−3〜120−6等が形成してある。電圧モニター用の手段は省略してある。また、額縁113の部分には、最上面に絶縁膜21が形成してあり、配線パターン114,115、配線パターン119−1〜119−4等が覆われており、外部接続用端子120−1〜120−6及び中継電極118−1〜118−4は露出している。配線パターン114,115、119−1〜119−4は全て幅の制約を受けず、全て幅は1.0mmである。
【0025】
配線パターン114、115はガラス板111の対角の位置に配置しており、X方向に延在する配線パターン部分114X,115XとY方向に延在する配線パターン部分114Y,115Yとを有する。ダイオードチップ116aは配線パターン部分114Yと点電極117aとの間に、ダイオードチップ116bは配線パターン部分115Yと点電極117bとの間に、共にX2が順方向である向きで接続してある。ダイオードチップ116cは配線パターン部分115Xと点電極117cとの間に、ダイオードチップ116dは配線パターン部分114Xと点電極117dとの間に、共にY1が順方向である向きで接続してある。また、配線パターン114、115は夫々外部接続用端子120−5、120−6を有する。外部接続用端子120−5にVccを印加し、外部接続用端子120−6をグランド電位とすると、点電極117bに電圧が印加され、下部透明導電膜113には点電極117bから点電極117aに向かって即ちX2側からX1方向に向かって電位が下がる電位勾配が形成される。上記とは逆に外部接続用端子120−6にVccを印加し、外部接続用端子120−5をグランド電位とすると、点電極117cに電圧が印加され、下部透明導電膜113には点電極117cから点電極117dに向かって即ちY1側からY2方向に向かって電位が下がる電位勾配が形成される。L字形状の配線パターン114,115、複数のダイオードチップ116a、116b、116c、116d、多数の点電極117a、117b、117c、117dが、電圧を印加されて下部透明導電膜113にX方向及びY方向の電位勾配を形成させる電位勾配形成手段を構成する。
【0026】
フィルム130は、X1側の辺にフレキシブルケーブル140の接続のための切欠131を有する。切欠131は上記の外部接続用端子120−1〜120−6が露出する大きさである。フィルム130の下面には、その全面に、上部透明導電膜133が形成してある。上部透明導電膜133はエッチングで形成された十字のスリット132でもって4つの上部分割透明導電膜部133−1〜133−4に分割されている。133−1a〜133−4aはエリア対応上部分割透明導電膜部であり、上部分割透明導電膜部133−1〜133−4のうち下部透明導電膜113に対向する部分、即ち、エリア1〜4に対応する部分である。
【0027】
134−1〜134−4は導電接着予定部であり、点形状であり、夫々上部分割透明導電膜部133−1〜133−4の中であって、夫々エリア対応上部分割透明導電膜部133−1a〜133−4aに近い場所に配置してある。この導電接着予定部134−1〜134−4が上部分割透明導電膜部133−1〜133−4に形成してあるので、図1及び図2(A)に示されている配線パターン35−1〜35−4に対応する配線パターン及び中継電極34−1〜34−4に対応する中継電極は形成されていない。このようにフィルム130には配線パターンが一切形成されていないため、エリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110は図1に示す従来のエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル10に比較して高い信頼性を有する。
【0028】
なお、ガラス板111上の中継電極118−1〜118−4は、上記の導電接着予定部134−1〜134−4の配置に対応して配置してある。
【0029】
フレキシブルケーブル140は、フレキシブルなテープ状のシート上に複数の配線パターンが平行に形成してあり、X2端側部分140aは上記切欠131に対応する大きさであり、ここに、上記の外部接続用端子120−1〜120−6に対応して端子が並んでいる構成である。
【0030】
ガラス板111とフィルム130とは、エリア対応上部分割透明導電膜部133−1a〜133−4aがスペーサによって形成される隙間を介して下部透明導電膜113上に対向し、導電接着予定部134−1〜134−4が夫々中継電極118−1〜118−4と導電接着されて接続された状態にある。フレキシブルケーブル140のX2端側部分140aがフィルム130の切欠131内に収まってガラス板111上に接着してあり、フレキシブルケーブル140の端子140aが外部接続用端子120−1〜120−6と接続されている。
【0031】
制御回路装置によってフレキシブルケーブル140を通して点電極117b及び点電極117cに電圧Vccが交互に印加され下部透明導電膜113にX方向の電位勾配及びY方向の電位勾配が交互に形成される。エリア1を押す操作を行うと、エリア対応上部分割透明導電膜部133−1aのうち下部透明導電膜13と接触された点に応じた電位の信号がエリア対応上部分割透明導電膜部133−1a、上部分割透明導電膜部133−1のうちエリア対応上部分割透明導電膜部133−1aの外側の部分、導電接着予定部134−1、中継電極118−1、配線パターン119−1、外部接続用端子120−1、フレキシブルケーブル140を介して制御回路装置に送られる。即ち、押し操作した点の電位が上部分割透明導電膜部133−1を通して検出され、押し操作した点のX,Y座標が割り出される。エリア2を押す操作を行うと、押し操作した点の電位がエリア対応上部分割透明導電膜部133−2a、上部分割透明導電膜部133−2のうちエリア対応上部分割透明導電膜部133−2aの外側の部分、導電接着予定部134−2、中継電極118−2、配線パターン119−2、外部接続用端子120−2、フレキシブルケーブル40を介して検出され、押し操作した点のX,Y座標が割り出される。エリア3を押す操作を行うと、押し操作した点の電位がエリア対応上部分割透明導電膜部133−3a、上部分割透明導電膜部133−3のうちエリア対応上部分割透明導電膜部133−3aの外側の部分、導電接着予定部134−3、中継電極118−3、配線パターン119−3、外部接続用端子120−3、フレキシブルケーブル40を介して検出され、押し操作した点のX,Y座標が割り出される。エリア4を押す操作を行うと、押し操作した点の電位がエリア対応上部分割透明導電膜部133−4a、上部分割透明導電膜部133−4のうちエリア対応上部分割透明導電膜部133−4aの外側の部分、導電接着予定部134−4、中継電極118−4、配線パターン119−4、外部接続用端子120−4、フレキシブルケーブル140を介して検出され、押し操作した点のX,Y座標が割り出される。
【0032】
エリア1〜4を同時に押し操作すると、各押し操作した点のX,Y座標が別々に且つ同時に割り出される。
【0033】
上記のエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110は、フィルム130には配線パターンが一切形成されていない状態で構成してあるため、フィルム130上に配線パターンを形成した場合の問題点、即ち、印刷性がよくない、タッチパネルの操作によってストレスを受ける虞れがある、タッチパネルの表面が損傷した場合にその影響を受ける虞れがある、切欠131に臨んでいる部分を通る配線パターンは幅を狭くする必要がある等の問題点が全て解決され、従来に比較して高い信頼性を有する。また、各エリア対応上部分割透明導電膜部と外部接続用端子との間を接続する全ての配線パターン119−1〜119−4がガラス板111上に形成されているため、幅を少しも狭くしないで配線パターンの数を増やすことが可能となり、よって、エリアの数を5以上の数に増やすことも可能である。
【実施例2】
【0034】
図7は本発明の実施例2になるエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110Aを分解して示す。図8は図4に示すタッチパネル110からガラス板上面の透明導電膜に電位勾配を形成する手段を取り除いた構成、即ち、各エリアの押し操作された座標の電位を上部透明導電膜を通して取り出す部分の構成を示す。図7及び図8中、図4及び図6と対応する部分には同じ符号を付す。
【0035】
エリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110Aは、フィルム130に上部透明導電膜133Aをエリア1〜4に対応する部分に限って有し、各エリア対応上部分割透明導電膜部133−1a〜133−4aの外側の縁に沿ってL字形状の電極200−1〜200−4を有し、各L字形状電極200−1〜200−4が夫々ガラス板111上の中継電極118−1〜118−4と接続されている構成である。L字形状の電極200−1はエリア対応上部分割透明導電膜部133−1aのX方向に延在する縁に沿う電極部200−1XとY方向に延在する縁に沿う電極部200−1Yとよりなる。他のL字形状の電極200−2、200−3、200−4も同じである。301〜304は各L字形状電極200−1〜200−4のうち中継電極118−1〜118−4と接続される接続予定部である。
【0036】
各エリア1〜4を押す操作を行った場合に、押し操作した点の電位は、エリア対応上部分割透明導電膜部133−1a〜133−4aを通してL字形状電極200−1〜200−4のうち押し操作した点に最も近い部分でピックアップされ、ON抵抗は大きくはならない。
【0037】
図4に示すエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110においては、各エリア1〜4の面積が大きい場合であって、各エリア1〜4のうち導電接着予定部134−1〜134−4から遠い場所を押し操作した場合には、ON抵抗が大きくなりすぎて座標の検出が不能となる虞れがある。即ち、各エリア1〜4のうち導電接着予定部134−1〜134−4から遠い場所は不感場所となる虞れがある。
【0038】
しかし、上記の実施例2になるエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110Aにおいては、各エリア1〜4の面積が大きい場合であっても、座標の検出が不能となる不感場所が形成されてしまうことがなくなる。
【実施例3】
【0039】
図9は本発明の実施例3になるエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110Bを簡略化して示す。エリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110Bは、図7及び図8に示す上記の実施例2になるエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110Aの変形例的なものであり、所定のサイズである各L字形状電極200−1〜200−4のうち中継電極118−1〜118−4との接続予定部301a〜304aが外部接続用端子120−1〜120−4が並んでいる側であるX1側寄りの場所であるようにしてある。各L字形状電極200−1〜200−4は共にX1側寄りに位置する接続予定部301a〜304aで各中継電極118−1〜118−4と接続されている。
【0040】
この構成によれば、ガラス板111上の配線パターン119−1〜119−4の長さが図7及び図8のエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110Aの対応する配線パターンの長さに比べて短くなる。よって、ON抵抗が更に低くなり、また、配線パターンを形成する材料も節約できる。
【実施例4】
【0041】
図10は本発明の実施例4になるエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110Cを簡略化して示す。エリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110Cは、図4乃至図6に示す上記の実施例1になるエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110の変形例的なものであり、導電接着予定部134−1a〜134−4aが各上部分割透明導電膜部133−1〜133−4のうち外部接続用端子120−1〜120−4が並んでいる側であるX1側寄りの場所であるようにしてある。各上部分割透明導電膜部133−1〜133−4は共にX1側寄りに位置する導電接着予定部134−1a〜134−4aで各中継電極118−1〜118−4と接続されている。
【0042】
この構成によれば、ガラス板111上の配線パターン119−1〜119−4の長さが図4乃至図6のエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル110の対応する配線パターンの長さに比べて短くなる。よって、ON抵抗が更に低くなり、また、配線パターンを形成する材料も節約できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】従来のエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネルを分解して示す図である。
【図2】(A)はフィルム下面の透明導電膜及び配線パターンを示し、(B)はガラス板上面の透明導電膜、配線パターン及びダイオード等を示す図である。
【図3】図1のタッチパネルにおいて、各エリアの押し操作された座標の電位を上部透明導電膜を通して取り出す部分の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例1のエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネルを分解して示す図である。
【図5】(A)はフィルム下面の透明導電膜及び配線パターンを示し、(B)はガラス板上面の透明導電膜、配線パターン及びダイオード等を示す図である。
【図6】図4のタッチパネルにおいて、各エリアの押し操作された座標の電位を上部透明導電膜を通して取り出す部分の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例2のエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネルを分解して示す図である。
【図8】図7のタッチパネルにおいて、各エリアの押し操作された座標の電位を上部透明導電膜を通して取り出す部分の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例3のエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネルを概略的に示す図である。
【図10】本発明の実施例4のエリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネルを概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1〜4 エリア
110,110A〜110C エリア4分割アナログ抵抗膜タッチパネル
111 ガラス板
111e 額縁
112,121 絶縁膜
113 下部透明導電膜
116a〜116d ダイオードチップ
117a〜117d 点電極
118−1〜118−4 中継電極
119−1〜119−4 配線パターン
120−1〜120−6 外部接続用端子
130 フィルム
132 スリット
133 上部透明導電膜
133−1〜133−4 上部分割透明導電膜部
133−1a〜133−4a エリア対応上部分割透明導電膜部
134−1〜134−4、134−1a〜134−4a 導電接着予定部
140 フレキシブルケーブル
200−1〜200−4 L字形状電極
301〜304、301a〜304a 接続予定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部板に上部透明導電膜が形成してあり、該上部透明導電膜がスリットで分割された複数の上部分割透明導電膜部を有する構成であり、且つ、下部板に、アナログ抵抗膜である下部透明導電膜、電圧を印加されて上記下部透明導電膜にX方向及びY方向の電位勾配を形成させる電位勾配形成手段、外部に接続するための外部接続用端子を有する構成であり、且つ、押し操作された位置の電位が上記上部透明導電膜を通して検出される構成であるエリア分割アナログ抵抗膜タッチパネルにおいて、
上記各上部分割透明導電膜部から上記外部接続用端子までの配線パターンを専ら上記下部板に形成してなる構成としたことを特徴とするエリア分割アナログ抵抗膜タッチパネル。
【請求項2】
請求項1に記載のエリア分割タッチパネルにおいて、
上記下部板に形成してある上記配線パターンが、上記各上部分割透明導電膜部の一部と接続してある構成としたことを特徴とするエリア分割アナログ抵抗膜タッチパネル。
【請求項3】
請求項2に記載のエリア分割タッチパネルにおいて、
上記下部板に形成してある上記配線パターンが上記各上部分割透明導電膜部の一部と接続してある場所が、各上部分割透明導電膜部のうち上記外部接続用端子に近い場所であるように構成したことを特徴とするエリア分割アナログ抵抗膜タッチパネル。
【請求項4】
請求項1に記載のエリア分割タッチパネルにおいて、
上記各上部分割透明導電膜部は、その縁に沿ってL字形状の電極を有し、
上記下部板に形成してある上記配線パターンが上記L字形状電極と接続してある構成としたことを特徴とするエリア分割アナログ抵抗膜タッチパネル。
【請求項5】
請求項4に記載のエリア分割タッチパネルにおいて、
上記下部板に形成してある上記配線パターンが上記L字形状電極と接続してある場所が、上記L字形状電極のうち上記外部接続用端子に近い場所であるように構成したことを特徴とするエリア分割アナログ抵抗膜タッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−39667(P2006−39667A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214605(P2004−214605)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】