エルボ継手
【課題】溶接部の漏れ、接合箇所の段差、腐食の発生等から完全に解放され、流路内における圧力損失を低下させ、取付けた状態でのスリーブとナットの角度位置の設定を簡単な操作で可能とする簡素な構造と少ない部品点数のエルボ継手。
【解決手段】本体と、本体に螺合させて取り付けられるナット２と、本体に接続されるチューブの外径面とナットの内径面との間に介在されるスリーブ３と、チューブの内径と実質的に等しい内径を有する該エルボ継手本体１の第１の端部１１と、本体１の第２の端部１２には伸長部７と、伸長部７の外周には中心軸に対して回転可能に嵌合されたオサエネジ部６と、を備えて、スリーブ３がナット２から中心軸方向に脱出することを規制する第１の組み付け構造と、オサエネジ部６が伸長部７から中心軸方向に脱出することを規制する第２の組み付け構造として、ストップリング４を用いると共に、流れ方向を徐々に旋回させる曲部１０を有する。
【解決手段】本体と、本体に螺合させて取り付けられるナット２と、本体に接続されるチューブの外径面とナットの内径面との間に介在されるスリーブ３と、チューブの内径と実質的に等しい内径を有する該エルボ継手本体１の第１の端部１１と、本体１の第２の端部１２には伸長部７と、伸長部７の外周には中心軸に対して回転可能に嵌合されたオサエネジ部６と、を備えて、スリーブ３がナット２から中心軸方向に脱出することを規制する第１の組み付け構造と、オサエネジ部６が伸長部７から中心軸方向に脱出することを規制する第２の組み付け構造として、ストップリング４を用いると共に、流れ方向を徐々に旋回させる曲部１０を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば塗装用の塗料を流すためのテフロンチューブのように、たわめることが可能なチューブを接続するための継手であって、特に取付け作業が簡単で、流路内部の圧力損失が小さいエルボ継手に関する。
【背景技術】
【０００２】
空圧、液圧機器の配管用などに利用される継手に関して、例えば、特許文献１に記載されたナット締め付けタイプの継手が知られている。ここでは、プラスチックチューブ、銅管、鋼管等のパイプを固定する役割や、配管時にナット締め付けによるチューブの共回りをなくす役割をするために、継手本体とチューブとの間に介在させるスリーブが、チューブに食い付いて取り外しが困難となること、また、スリーブを入れ忘れたり紛失したりすることや誤った取付け方向で固定したりすることのない継手であって、更にスリーブとナットとを一体化することによる作業効率の向上性を図った継手が提案されている。
【０００３】
しかし、特許文献１の技術は、配管を実質上真っ直ぐに接続する継手である。そして、ここに示されたナット締め付けタイプの構造を、エルボ継手本体に適用した継手として、例えば図３に示されたものが、従来から用いられている。（以下、これを「従来品」という。）
【０００４】
しかし、この従来品については、次の点が留意される。
(1) 従来品の継手では、固定用のオサエネジ部品6が継手本体1から落下しないようにはめあいする必要性から、継手の伸長部7にオサエネジ部品6を嵌合した後、該伸長部7を継手本体1に溶接していた。そのため、溶接作業が必要となることに加えて、溶接箇所があることから、流路内面の接合箇所9には、小さな段差が生じて液溜まりになること、溶接が不十分の場合に漏れの発生があること、さらに表面が荒れることにより液残りがあること。また、溶接箇所8には腐食が発生することがあること。
【０００５】
(2) 従来品の継手では、管との接続部分に段差13,14が存在するので、管内に強い乱流を生じて、流路抵抗が高くなることに加えて、管内を流れる流体の成分等によっては、その成分や性質に悪影響を与えること。
【０００６】
(3) 従来品の継手では、製造上の理由から、一端側11の流路と他端側12の流路が略直角に交わるような構造であり、流路抵抗により高い圧力損失となること。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００３−２２７５９０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、以上のような従来品に観察された留意点の解決を課題として、製造する上で溶接工程を要さないことから、従来品の溶接部の漏れ、接合箇所の段差、腐食の発生等の事象から完全に解放され、流路内における圧力損失を低下させ、かつ、取付けた状態でのスリーブとナットの角度位置の設定を簡単な操作で可能とし、更に簡単な構造と少ない部品点数により製造コストの観点からも経済的に有利なエルボ継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記課題を解決するため、本発明のエルボ継手は、エルボ継手本体と、該エルボ継手本体に螺合させて取り付けられるナットと、該エルボ継手本体の第１の端部に接続されるチューブの外径面と該ナットの内径面との間に介在されるスリーブと、該エルボ継手本体に接続されるチューブの内径と実質的に等しい内径を有する該エルボ継手本体の第１の端部と、該エルボ継手本体の第２の端部には伸長部と、該伸長部の外周には該伸長部の中心軸に対して回転可能に嵌合されたオサエネジ部と、を備えて、該エルボ継手本体の該第１の端部には、該チューブの接続端部を固定する固着構造と、該スリーブが該ナットから中心軸方向に脱出することを規制する第１の組み付け構造と、該オサエネジ部が該伸長部から中心軸方向に脱出することを規制する第２の組み付け構造を有することを特徴とする。
【００１０】
また、本発明のエルボ継手は、エルボ継手本体と、該エルボ継手本体に螺合させて取り付けられるナットと、該エルボ継手本体の第１の端部に接続されるチューブの外径面と該ナットの内径面との間に介在されるスリーブであって該ナットの内径面に対して回転可能に嵌合されると共に該エルボ継手本体の該第１の端部に向けて該チューブの外径面を押圧するように保持するスリーブと、該エルボ継手本体の第２の端部に伸長部と、該伸長部の外周には該伸長部の中心軸に対して回転可能に嵌合されたオサエネジ部と、を備えて、該スリーブが該ナットから中心軸方向に脱出することを規制する第１の組み付け構造と、該オサエネジ部が該伸長部から中心軸方向に脱出することを規制する第２の組み付け構造を有することを特徴とする。
【００１１】
本発明のエルボ継手は、上記の特徴に加えて、次の点を有するものである。
前記エルボ継手本体の前記第１の端部の内径と、前記接続される前記チューブの内径が、実質的に等しいことを特徴とする。
【００１２】
前記第２の組み付け構造は、中心軸方向に摺動する壁面に形成された溝に嵌合されたオサエネジストップリングであることを特徴とする。
【００１３】
前記エルボ継手内の形成された流路は、その中心軸線及び周面が内部を流れる流体の流線に略沿うように曲がる曲部を有することを特徴とする。
【００１４】
前記流路の断面積は、前記第１及び第２の端部の間で一定であることを特徴とする。
【００１５】
前記流路の断面積は、前記第１及び第２の端部の間で徐々に拡大又は縮小のいずれか一方の形状をとることを特徴とする。
【００１６】
前記エルボ継手の第１及び第２の端部のなす角度位置が、実質的に直角であることを特徴とする。
【００１７】
前記エルボ継手の第１及び第２の端部のなす角度位置が、鈍角であることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１８】
本発明によれば、製品寿命の長く、流路内における圧力損失が少なく、取付けた状態でのスリーブとナットの角度位置を自由に設定でき、かつ、製造が簡単であって製造コストの観点からも経済的で有利なエルボ継手を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明に係るエルボ継手の実施例１の断面図を示す。
【図２】本発明に係るエルボ継手の実施例２の断面図を示す。
【図３】従来品のエルボ継手の断面図を示す。
【図４】従来品のエルボ継手の溶接部分の一部断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
[実施例１]
以下、本発明の実施例を説明する。
図１は、本発明に係るエルボ継手の実施例１の断面図を示す。
【００２１】
エルボ継手の本体1は、金属や樹脂材料で形成され、内径部には全長を貫通する流路11, 12が設けられる。エルボ継手の本体1は、その一端側から他端側までの長さ方向に沿って折れ曲がった形状をとり、少なくとも一端側及び他端側では、円形断面を有している。
【００２２】
本体1の一端側の第１の端部11に、ナット2、スリーブ3、ストップリング4を備えて（図示省略した）チューブが接続され、他端側の伸長部7の第２の端部12には、オサエネジ部6、オサエネジストップリング5を備えて、オサエネジ部6に形成されたオサエネジ6’を対象機器等の接続部に捩じ込むことにより固定される。
【００２３】
ナット2は、エルボ継手本体1と同様の素材で形成され、該本体1の段部に形成されたネジ部に取付けられており、その外径面は、着脱操作のための六角ナット状又は二面幅形状である。ナット2の内径面は、継手本体1の前記ネジ部と螺合するネジ部と、スリーブ3を嵌合させる嵌合部と、ナット2からスリーブ3が脱出するのを規制する凸部と、チューブの挿入口となる挿入部とからなる４段から形成されている。
【００２４】
スリーブ3は、リング状であって、その外径部は２段に構成され、ナット2の前記嵌合部に回転可能に嵌合する第１嵌合部と、ナット2の前記凸部の内径に嵌合し回転可能で、第１嵌合部より小径である第２嵌合部とからなり、この第２嵌合部の面の外側位置には溝が全周にわたりリング状に形成され、ここにストップリング4が嵌め込まれる。こうして、ナット2の前記凸部と、スリーブ3の第２嵌合部に形成されたリング状の溝内のストップリング4により、スリーブ3の中心軸方向の動きが規制されている。
【００２５】
図示しないチューブに、ナット2とスリーブ3とをストップリング4を用いて組み立てたものを予め挿通しておき、本体1の第１の端部11にチューブ先端内径を押し広げて嵌め込み、ナット2のネジ部を継手本体1のネジ部にねじ込むことにより取り付ける。チューブの外径は、スリーブ3を介してナット2の嵌合部及び凸部によって押圧され、チューブの内径は継手本体1の第１の端部のリング状の突起に食い込むのでチューブは強固に保持される。
【００２６】
ここで、継手本体1の第１の端部の内径は、接続されるチューブの内径と実質的に等しく形成されているので、流路を流れる流体に与える圧力損失等の影響を最小限度まで低下させることができる。
【００２７】
エルボ継手の本体1は、その第２の端部側に伸長部7を備え、伸長部7の外周には、オサエネジ部6が回転可能に嵌合されている。オサエネジ部6の内周面の本体1側には溝が全周にわたりリング状に形成され、そこにオサエネジストップリング5が嵌め込まれ、オサエネジ部6が伸長部7から軸方向に脱出することを規制している。
【００２８】
オサエネジ部6の外周にはオサエネジ6’が形成されており、オサエネジ部6のこのオサエネジ6’を対象機器等の接続部に捩じ込むことにより、オサエネジ部6は対象機器等の接続部にしっかりと固定される。しかし、エルボ継手の本体1の伸長部7は、オサエネジ部6に対して円周方向に回転可能であるので、固定する際にはエルボ継手の本体1を回転することなく固定作業をすすめることができるし、また、オサエネジ部6を固定側の機器に締め付けることにより、オサエネジ部6の内面に設けられた溝内に収納されたオサエネジストップリング5が、エルボ継手本体1の伸長部7の外周に設けられた角部に当接し、その軸方向の摺動のみを制限するので、オサエネジ部6の締付けが完了すると、エルボ継手本体1は、その伸長部7の軸方向で固定されるが、その軸を中心として回転は可能となる。それゆえ、この第１の端部に接続されたチューブの円周方向の位置を自由に変更することができる。
【００２９】
実施例１のエルボ継手を対象機器等の接続部に捩じ込まれた状態から取り外す場合にも、エルボ継手の本体1を回転させることなく、オサエネジ部6のみを回転させることにより、取り外しが可能であるから、エルボ継手の本体1から（図示しない）チューブを取り外す必要がなく、取り外し作業を簡単に効率的に進めることができる。
【００３０】
また、エルボ継手の本体1内に第１の端部11から第２の端部12まで形成された流路は、その中心軸線及び周面が内部を流れる流体の流線に沿って曲がる曲部10を備えるので、流路内の流れに与える流路抵抗を比較的低く抑えることができる。
【００３１】
さらに、エルボ継手の本体1及び伸長部7は、材質に応じて鍛造又は成形又は切削により一体に形成することができるので、従来品では必須であった溶接作業を省略することができる。したがって、溶接部の存在に伴って発生した経年変化による漏れ、接合箇所の段差、腐食の発生等の事象からは完全に解放されることとなる。
【００３２】
したがって、エルボ継手の製品寿命を長くすると共に、内部を流れる流体に与える種々の悪影響、例えば腐食片の混入、圧力損失の低下等、を抑えることができる。
【００３３】
なお、本発明の実施例１は、図１に示すように、エルボ継手の第１の端部11から第２の端部12まで、流れの向きを実質的に直角に曲げるものであるが、本発明は、直角より大きい鈍角状のもの、また、直角より小さい鋭角状のものにも適用可能である。
【００３４】
[実施例２]
図２は、本発明に係るエルボ継手の実施例２の断面図を示す。
実施例２は、エルボ継手の第１の端部11の断面積が第２の端部12の断面積よりも大きくなるように構成されており、かつ、曲部10が、実施例１と比較してより大きな曲率半径を有するように構成されている。
【００３５】
実施例２では、エルボ継手の第１の端部11から第２の端部12に流れるとき、流体は絞られて流速が速くなり、反対に第２の端部12から第１の端部11に流れるとき、流体は拡散して流速が遅くなる。いずれの場合においても、大きな曲率半径を有する曲部10が流れを緩やかに転向させるので、エルボ継手を通過する流体の圧力損失を抑えることができる。
【００３６】
上記の実施例１及び２では、いずれもエルボ継手の第１及び第２の端部間で曲がる角度が直角であるものと示したが、本発明は直角に限定されるものではなく、直角以外でもよく、特に鈍角のエルボ継手は、使用目的との関係で望ましい場合がある。
【産業上の利用可能性】
【００３７】
本発明は、塗装用の塗料を流すためのエルボ継手に限定されることなく、各種の液体、気体、粉体等の流動性のある物質を流すためのエルボ継手に広く利用可能である。
【符号の説明】
【００３８】
1 エルボ継手本体
2 ナット
3 スリーブ
4 ストップリング
5 オサエネジストップリング
6 オサエネジ部
6’ オサエネジ
7 エルボ継手本体の伸長部
8 溶接部
9 接合箇所
10 曲部
11 第１の端部
12 第２の端部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば塗装用の塗料を流すためのテフロンチューブのように、たわめることが可能なチューブを接続するための継手であって、特に取付け作業が簡単で、流路内部の圧力損失が小さいエルボ継手に関する。
【背景技術】
【０００２】
空圧、液圧機器の配管用などに利用される継手に関して、例えば、特許文献１に記載されたナット締め付けタイプの継手が知られている。ここでは、プラスチックチューブ、銅管、鋼管等のパイプを固定する役割や、配管時にナット締め付けによるチューブの共回りをなくす役割をするために、継手本体とチューブとの間に介在させるスリーブが、チューブに食い付いて取り外しが困難となること、また、スリーブを入れ忘れたり紛失したりすることや誤った取付け方向で固定したりすることのない継手であって、更にスリーブとナットとを一体化することによる作業効率の向上性を図った継手が提案されている。
【０００３】
しかし、特許文献１の技術は、配管を実質上真っ直ぐに接続する継手である。そして、ここに示されたナット締め付けタイプの構造を、エルボ継手本体に適用した継手として、例えば図３に示されたものが、従来から用いられている。（以下、これを「従来品」という。）
【０００４】
しかし、この従来品については、次の点が留意される。
(1) 従来品の継手では、固定用のオサエネジ部品6が継手本体1から落下しないようにはめあいする必要性から、継手の伸長部7にオサエネジ部品6を嵌合した後、該伸長部7を継手本体1に溶接していた。そのため、溶接作業が必要となることに加えて、溶接箇所があることから、流路内面の接合箇所9には、小さな段差が生じて液溜まりになること、溶接が不十分の場合に漏れの発生があること、さらに表面が荒れることにより液残りがあること。また、溶接箇所8には腐食が発生することがあること。
【０００５】
(2) 従来品の継手では、管との接続部分に段差13,14が存在するので、管内に強い乱流を生じて、流路抵抗が高くなることに加えて、管内を流れる流体の成分等によっては、その成分や性質に悪影響を与えること。
【０００６】
(3) 従来品の継手では、製造上の理由から、一端側11の流路と他端側12の流路が略直角に交わるような構造であり、流路抵抗により高い圧力損失となること。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００３−２２７５９０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
本発明は、以上のような従来品に観察された留意点の解決を課題として、製造する上で溶接工程を要さないことから、従来品の溶接部の漏れ、接合箇所の段差、腐食の発生等の事象から完全に解放され、流路内における圧力損失を低下させ、かつ、取付けた状態でのスリーブとナットの角度位置の設定を簡単な操作で可能とし、更に簡単な構造と少ない部品点数により製造コストの観点からも経済的に有利なエルボ継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記課題を解決するため、本発明のエルボ継手は、エルボ継手本体と、該エルボ継手本体に螺合させて取り付けられるナットと、該エルボ継手本体の第１の端部に接続されるチューブの外径面と該ナットの内径面との間に介在されるスリーブと、該エルボ継手本体に接続されるチューブの内径と実質的に等しい内径を有する該エルボ継手本体の第１の端部と、該エルボ継手本体の第２の端部には伸長部と、該伸長部の外周には該伸長部の中心軸に対して回転可能に嵌合されたオサエネジ部と、を備えて、該エルボ継手本体の該第１の端部には、該チューブの接続端部を固定する固着構造と、該スリーブが該ナットから中心軸方向に脱出することを規制する第１の組み付け構造と、該オサエネジ部が該伸長部から中心軸方向に脱出することを規制する第２の組み付け構造を有することを特徴とする。
【００１０】
また、本発明のエルボ継手は、エルボ継手本体と、該エルボ継手本体に螺合させて取り付けられるナットと、該エルボ継手本体の第１の端部に接続されるチューブの外径面と該ナットの内径面との間に介在されるスリーブであって該ナットの内径面に対して回転可能に嵌合されると共に該エルボ継手本体の該第１の端部に向けて該チューブの外径面を押圧するように保持するスリーブと、該エルボ継手本体の第２の端部に伸長部と、該伸長部の外周には該伸長部の中心軸に対して回転可能に嵌合されたオサエネジ部と、を備えて、該スリーブが該ナットから中心軸方向に脱出することを規制する第１の組み付け構造と、該オサエネジ部が該伸長部から中心軸方向に脱出することを規制する第２の組み付け構造を有することを特徴とする。
【００１１】
本発明のエルボ継手は、上記の特徴に加えて、次の点を有するものである。
前記エルボ継手本体の前記第１の端部の内径と、前記接続される前記チューブの内径が、実質的に等しいことを特徴とする。
【００１２】
前記第２の組み付け構造は、中心軸方向に摺動する壁面に形成された溝に嵌合されたオサエネジストップリングであることを特徴とする。
【００１３】
前記エルボ継手内の形成された流路は、その中心軸線及び周面が内部を流れる流体の流線に略沿うように曲がる曲部を有することを特徴とする。
【００１４】
前記流路の断面積は、前記第１及び第２の端部の間で一定であることを特徴とする。
【００１５】
前記流路の断面積は、前記第１及び第２の端部の間で徐々に拡大又は縮小のいずれか一方の形状をとることを特徴とする。
【００１６】
前記エルボ継手の第１及び第２の端部のなす角度位置が、実質的に直角であることを特徴とする。
【００１７】
前記エルボ継手の第１及び第２の端部のなす角度位置が、鈍角であることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１８】
本発明によれば、製品寿命の長く、流路内における圧力損失が少なく、取付けた状態でのスリーブとナットの角度位置を自由に設定でき、かつ、製造が簡単であって製造コストの観点からも経済的で有利なエルボ継手を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明に係るエルボ継手の実施例１の断面図を示す。
【図２】本発明に係るエルボ継手の実施例２の断面図を示す。
【図３】従来品のエルボ継手の断面図を示す。
【図４】従来品のエルボ継手の溶接部分の一部断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【００２０】
[実施例１]
以下、本発明の実施例を説明する。
図１は、本発明に係るエルボ継手の実施例１の断面図を示す。
【００２１】
エルボ継手の本体1は、金属や樹脂材料で形成され、内径部には全長を貫通する流路11, 12が設けられる。エルボ継手の本体1は、その一端側から他端側までの長さ方向に沿って折れ曲がった形状をとり、少なくとも一端側及び他端側では、円形断面を有している。
【００２２】
本体1の一端側の第１の端部11に、ナット2、スリーブ3、ストップリング4を備えて（図示省略した）チューブが接続され、他端側の伸長部7の第２の端部12には、オサエネジ部6、オサエネジストップリング5を備えて、オサエネジ部6に形成されたオサエネジ6’を対象機器等の接続部に捩じ込むことにより固定される。
【００２３】
ナット2は、エルボ継手本体1と同様の素材で形成され、該本体1の段部に形成されたネジ部に取付けられており、その外径面は、着脱操作のための六角ナット状又は二面幅形状である。ナット2の内径面は、継手本体1の前記ネジ部と螺合するネジ部と、スリーブ3を嵌合させる嵌合部と、ナット2からスリーブ3が脱出するのを規制する凸部と、チューブの挿入口となる挿入部とからなる４段から形成されている。
【００２４】
スリーブ3は、リング状であって、その外径部は２段に構成され、ナット2の前記嵌合部に回転可能に嵌合する第１嵌合部と、ナット2の前記凸部の内径に嵌合し回転可能で、第１嵌合部より小径である第２嵌合部とからなり、この第２嵌合部の面の外側位置には溝が全周にわたりリング状に形成され、ここにストップリング4が嵌め込まれる。こうして、ナット2の前記凸部と、スリーブ3の第２嵌合部に形成されたリング状の溝内のストップリング4により、スリーブ3の中心軸方向の動きが規制されている。
【００２５】
図示しないチューブに、ナット2とスリーブ3とをストップリング4を用いて組み立てたものを予め挿通しておき、本体1の第１の端部11にチューブ先端内径を押し広げて嵌め込み、ナット2のネジ部を継手本体1のネジ部にねじ込むことにより取り付ける。チューブの外径は、スリーブ3を介してナット2の嵌合部及び凸部によって押圧され、チューブの内径は継手本体1の第１の端部のリング状の突起に食い込むのでチューブは強固に保持される。
【００２６】
ここで、継手本体1の第１の端部の内径は、接続されるチューブの内径と実質的に等しく形成されているので、流路を流れる流体に与える圧力損失等の影響を最小限度まで低下させることができる。
【００２７】
エルボ継手の本体1は、その第２の端部側に伸長部7を備え、伸長部7の外周には、オサエネジ部6が回転可能に嵌合されている。オサエネジ部6の内周面の本体1側には溝が全周にわたりリング状に形成され、そこにオサエネジストップリング5が嵌め込まれ、オサエネジ部6が伸長部7から軸方向に脱出することを規制している。
【００２８】
オサエネジ部6の外周にはオサエネジ6’が形成されており、オサエネジ部6のこのオサエネジ6’を対象機器等の接続部に捩じ込むことにより、オサエネジ部6は対象機器等の接続部にしっかりと固定される。しかし、エルボ継手の本体1の伸長部7は、オサエネジ部6に対して円周方向に回転可能であるので、固定する際にはエルボ継手の本体1を回転することなく固定作業をすすめることができるし、また、オサエネジ部6を固定側の機器に締め付けることにより、オサエネジ部6の内面に設けられた溝内に収納されたオサエネジストップリング5が、エルボ継手本体1の伸長部7の外周に設けられた角部に当接し、その軸方向の摺動のみを制限するので、オサエネジ部6の締付けが完了すると、エルボ継手本体1は、その伸長部7の軸方向で固定されるが、その軸を中心として回転は可能となる。それゆえ、この第１の端部に接続されたチューブの円周方向の位置を自由に変更することができる。
【００２９】
実施例１のエルボ継手を対象機器等の接続部に捩じ込まれた状態から取り外す場合にも、エルボ継手の本体1を回転させることなく、オサエネジ部6のみを回転させることにより、取り外しが可能であるから、エルボ継手の本体1から（図示しない）チューブを取り外す必要がなく、取り外し作業を簡単に効率的に進めることができる。
【００３０】
また、エルボ継手の本体1内に第１の端部11から第２の端部12まで形成された流路は、その中心軸線及び周面が内部を流れる流体の流線に沿って曲がる曲部10を備えるので、流路内の流れに与える流路抵抗を比較的低く抑えることができる。
【００３１】
さらに、エルボ継手の本体1及び伸長部7は、材質に応じて鍛造又は成形又は切削により一体に形成することができるので、従来品では必須であった溶接作業を省略することができる。したがって、溶接部の存在に伴って発生した経年変化による漏れ、接合箇所の段差、腐食の発生等の事象からは完全に解放されることとなる。
【００３２】
したがって、エルボ継手の製品寿命を長くすると共に、内部を流れる流体に与える種々の悪影響、例えば腐食片の混入、圧力損失の低下等、を抑えることができる。
【００３３】
なお、本発明の実施例１は、図１に示すように、エルボ継手の第１の端部11から第２の端部12まで、流れの向きを実質的に直角に曲げるものであるが、本発明は、直角より大きい鈍角状のもの、また、直角より小さい鋭角状のものにも適用可能である。
【００３４】
[実施例２]
図２は、本発明に係るエルボ継手の実施例２の断面図を示す。
実施例２は、エルボ継手の第１の端部11の断面積が第２の端部12の断面積よりも大きくなるように構成されており、かつ、曲部10が、実施例１と比較してより大きな曲率半径を有するように構成されている。
【００３５】
実施例２では、エルボ継手の第１の端部11から第２の端部12に流れるとき、流体は絞られて流速が速くなり、反対に第２の端部12から第１の端部11に流れるとき、流体は拡散して流速が遅くなる。いずれの場合においても、大きな曲率半径を有する曲部10が流れを緩やかに転向させるので、エルボ継手を通過する流体の圧力損失を抑えることができる。
【００３６】
上記の実施例１及び２では、いずれもエルボ継手の第１及び第２の端部間で曲がる角度が直角であるものと示したが、本発明は直角に限定されるものではなく、直角以外でもよく、特に鈍角のエルボ継手は、使用目的との関係で望ましい場合がある。
【産業上の利用可能性】
【００３７】
本発明は、塗装用の塗料を流すためのエルボ継手に限定されることなく、各種の液体、気体、粉体等の流動性のある物質を流すためのエルボ継手に広く利用可能である。
【符号の説明】
【００３８】
1 エルボ継手本体
2 ナット
3 スリーブ
4 ストップリング
5 オサエネジストップリング
6 オサエネジ部
6’ オサエネジ
7 エルボ継手本体の伸長部
8 溶接部
9 接合箇所
10 曲部
11 第１の端部
12 第２の端部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
エルボ継手本体と、
該エルボ継手本体に接続されるチューブの内径と実質的に等しい内径を有する該エルボ継手本体の第１の端部を備え、
該エルボ継手本体の第２の端部には伸長部を含み、
前記エルボ継手本体の前記第１の端部から前記伸長部の外端までの流路は、該流路内部に段差又は凹凸又は角部がなく、流体に与える流路抵抗を最小限に抑えつつ、該流体の向きを変えるように構成されていることを特徴とするエルボ継手。
【請求項２】
エルボ継手本体と、
該エルボ継手本体に螺合させて取り付けられるナットと、
該エルボ継手本体の第１の端部に接続されるチューブの外径面と該ナットの内径面との間に介在されるスリーブと、
該エルボ継手本体に接続されるチューブの内径と実質的に等しい内径を有する該エルボ継手本体の第１の端部と、を備え
該エルボ継手本体の第２の端部には伸長部を含み、
該伸長部の外周には該伸長部の中心軸に対して回転可能に嵌合されたオサエネジ部と、を備えて、
該エルボ継手本体の該第１の端部には、該チューブの接続端部を固定する固着構造と、
該スリーブが該ナットから中心軸方向に脱出することを規制する第１の組み付け構造と、
該オサエネジ部が該伸長部から中心軸方向に脱出することを規制する第２の組み付け構造を有することを特徴とするエルボ継手。
【請求項３】
エルボ継手本体と、
該エルボ継手本体に螺合させて取り付けられるナットと、
該エルボ継手本体の第１の端部に接続されるチューブの外径面と該ナットの内径面との間に介在されるスリーブであって該ナットの内径面に対して回転可能に嵌合されると共に該エルボ継手本体の該第１の端部との間で該チューブの外径面を押圧するように保持するスリーブと、を備え、
該エルボ継手本体の第２の端部には伸長部を含み、
該伸長部の外周には該伸長部の中心軸に対して回転可能に嵌合されたオサエネジ部と、を備えて、
該スリーブが該ナットから中心軸方向に脱出することを規制する第１の組み付け構造と、
該オサエネジ部が該伸長部から中心軸方向に脱出することを規制する第２の組み付け構造を有することを特徴とするエルボ継手。
【請求項４】
請求項３に記載されたエルボ継手において、前記エルボ継手本体の前記第１の端部の内径と、前記接続される前記チューブの内径が、実質的に等しいことを特徴とするエルボ継手。
【請求項５】
請求項２から４のいずれかの請求項に記載されたエルボ継手において、前記第２の組み付け構造は、前記オサエネジ部の摺動する内壁面に形成された溝に嵌合されたオサエネジストップリングであることを特徴とするエルボ継手。
【請求項６】
請求項１から５のいずれかの請求項に記載されたエルボ継手において、前記エルボ継手本体内に形成された流路は、その中心軸線及び内周面が内部を流れる流体の流線に略沿うように曲がる曲部を有することを特徴とするエルボ継手。
【請求項７】
請求項６に記載されたエルボ継手において、前記流路の断面積は、前記第１及び第２の端部の間で一定であることを特徴とするエルボ継手。
【請求項８】
請求項６に記載されたエルボ継手において、前記流路の断面積は、前記第１及び第２の端部の間で徐々に拡大又は縮小のいずれか一方の形状であることを特徴とするエルボ継手。
【請求項９】
請求項１から８のいずれかの請求項に記載されたエルボ継手において、前記エルボ継手の第１及び第２の端部間の曲がる角度が、実質的に直角であることを特徴とするエルボ継手。
【請求項１０】
請求項１から８のいずれかの請求項に記載されたエルボ継手において、前記エルボ継手の第１及び第２の端部間の曲がる角度が、鈍角であることを特徴とするエルボ継手。
【請求項１】
エルボ継手本体と、
該エルボ継手本体に接続されるチューブの内径と実質的に等しい内径を有する該エルボ継手本体の第１の端部を備え、
該エルボ継手本体の第２の端部には伸長部を含み、
前記エルボ継手本体の前記第１の端部から前記伸長部の外端までの流路は、該流路内部に段差又は凹凸又は角部がなく、流体に与える流路抵抗を最小限に抑えつつ、該流体の向きを変えるように構成されていることを特徴とするエルボ継手。
【請求項２】
エルボ継手本体と、
該エルボ継手本体に螺合させて取り付けられるナットと、
該エルボ継手本体の第１の端部に接続されるチューブの外径面と該ナットの内径面との間に介在されるスリーブと、
該エルボ継手本体に接続されるチューブの内径と実質的に等しい内径を有する該エルボ継手本体の第１の端部と、を備え
該エルボ継手本体の第２の端部には伸長部を含み、
該伸長部の外周には該伸長部の中心軸に対して回転可能に嵌合されたオサエネジ部と、を備えて、
該エルボ継手本体の該第１の端部には、該チューブの接続端部を固定する固着構造と、
該スリーブが該ナットから中心軸方向に脱出することを規制する第１の組み付け構造と、
該オサエネジ部が該伸長部から中心軸方向に脱出することを規制する第２の組み付け構造を有することを特徴とするエルボ継手。
【請求項３】
エルボ継手本体と、
該エルボ継手本体に螺合させて取り付けられるナットと、
該エルボ継手本体の第１の端部に接続されるチューブの外径面と該ナットの内径面との間に介在されるスリーブであって該ナットの内径面に対して回転可能に嵌合されると共に該エルボ継手本体の該第１の端部との間で該チューブの外径面を押圧するように保持するスリーブと、を備え、
該エルボ継手本体の第２の端部には伸長部を含み、
該伸長部の外周には該伸長部の中心軸に対して回転可能に嵌合されたオサエネジ部と、を備えて、
該スリーブが該ナットから中心軸方向に脱出することを規制する第１の組み付け構造と、
該オサエネジ部が該伸長部から中心軸方向に脱出することを規制する第２の組み付け構造を有することを特徴とするエルボ継手。
【請求項４】
請求項３に記載されたエルボ継手において、前記エルボ継手本体の前記第１の端部の内径と、前記接続される前記チューブの内径が、実質的に等しいことを特徴とするエルボ継手。
【請求項５】
請求項２から４のいずれかの請求項に記載されたエルボ継手において、前記第２の組み付け構造は、前記オサエネジ部の摺動する内壁面に形成された溝に嵌合されたオサエネジストップリングであることを特徴とするエルボ継手。
【請求項６】
請求項１から５のいずれかの請求項に記載されたエルボ継手において、前記エルボ継手本体内に形成された流路は、その中心軸線及び内周面が内部を流れる流体の流線に略沿うように曲がる曲部を有することを特徴とするエルボ継手。
【請求項７】
請求項６に記載されたエルボ継手において、前記流路の断面積は、前記第１及び第２の端部の間で一定であることを特徴とするエルボ継手。
【請求項８】
請求項６に記載されたエルボ継手において、前記流路の断面積は、前記第１及び第２の端部の間で徐々に拡大又は縮小のいずれか一方の形状であることを特徴とするエルボ継手。
【請求項９】
請求項１から８のいずれかの請求項に記載されたエルボ継手において、前記エルボ継手の第１及び第２の端部間の曲がる角度が、実質的に直角であることを特徴とするエルボ継手。
【請求項１０】
請求項１から８のいずれかの請求項に記載されたエルボ継手において、前記エルボ継手の第１及び第２の端部間の曲がる角度が、鈍角であることを特徴とするエルボ継手。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１１−２０８６５９（Ｐ２０１１−２０８６５９Ａ）
【公開日】平成２３年１０月２０日（２０１１．１０．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−７４１８５（Ｐ２０１０−７４１８５）
【出願日】平成２２年３月２９日（２０１０．３．２９）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．テフロン
【出願人】（５９３０７５４１８）株式会社アオイ (17)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１０月２０日（２０１１．１０．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年３月２９日（２０１０．３．２９）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．テフロン
【出願人】（５９３０７５４１８）株式会社アオイ (17)
【Ｆターム（参考）】
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