説明

エレクトロクロミック素子およびその製造方法

【課題】 高コントラストなエレクトロクロミック素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のエレクトロクロミック素子10は、第1の電極13と、第2の電極14と、電解質層16と、エレクトロクロミック組成物層15とを含み、第1の電極13の上に、エレクトロクロミック組成物層15が積層され、エレクトロクロミック組成物層15の上に、電解質層16が積層され、第2の電極14が、電解質層16およびエレクトロクロミック組成物層15の少なくとも一方の側面に配置され、第1の電極13と第2の電極14との間で、電解質層16およびエレクトロクロミック組成物層15に電圧を印加可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミック素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学反応により色が変化するエレクトロクロミズム(CE:Electrochromism)方式による表示デバイス(エレクトロクロミック素子)は、その表示面と平行な一対の透明電極を使用して形成されるのが一般的である。この表示デバイスの一例を、図8の縦断面図に示す。図8に示すように、表示デバイスの1画素にあたるセル101が、隔壁108により分割されている。セル101は、対向する一対の透明電極である、透明絶縁基材102に形成された第1の透明導電膜104と、ベース基材109に形成された第2の透明導電膜103との間に、電解質層106とエレクトロクロミック組成物層105とが挟みこまれた構造である。前記両透明導電膜間に電場を掛けると、電解質層106を介してエレクトロクロミック組成物層105に電場が注入され、着色状態となる。また、エレクトロクロミック組成物層105から電場が抜ければ、消色状態(無色透明)となる。EC方式では、着色していないセルは、無色透明となるため、着色していない部分を白色としたい場合には、例えば、図8に示すように、ベース基材109と第2の透明導電膜103との間に、白色層107を設ける。前記各セルには、マトリックス状に配線(例えば、図8に示すY座標配線111、および、図8に示していないX座標配線)が形成され、着色したいセルのX座標・Y座標に対応する配線に通電することで、所望のセルを着色できる。
【0003】
また、エレクトロクロミック素子として、例えば、ライン状の第1の電極とライン状の第2の電極とが立体交差する領域をセルとする構造の素子も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−32911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8に示す表示デバイス(エレクトロクロミック素子)では、表示面に電極を配置する必要がある。このため、このような構造では、少なくとも、一対の電極のうちのいずれか一方の電極に透明導電膜を使用する。しかしながら、透明導電膜では、光が完全には透過しないため、コントラストが低下し、画面が暗くなる問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、高コントラストなエレクトロクロミック素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のエレクトロクロミック素子は、
第1の電極と、第2の電極と、電解質層と、エレクトロクロミック組成物層とを含み、
前記第1の電極の上に、前記エレクトロクロミック組成物層が積層され、
前記エレクトロクロミック組成物層の上に、前記電解質層が積層され、
前記第2の電極が、前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層の少なくとも一方の側面に配置され、
前記第1の電極と前記第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層に電圧を印加可能であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のエレクトロクロミック素子の製造方法は、
第1の電極の上に、エレクトロクロミック組成物層を形成するエレクトロクロミック組成物層形成工程と、
前記エレクトロクロミック組成物層の上に、電解質層を形成する電解質層形成工程と、
前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層の少なくとも一方の側面に、前記第1の電極と第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層に電圧を印加可能であるように、第2の電極を形成する第2の電極形成工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高コントラストなエレクトロクロミック素子およびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のエレクトロクロミック素子の一例(実施形態1)の構成を示す縦断面図である。
【図2】図2は、図1に示すエレクトロクロミック素子のA−A方向に見た横断面図である。
【図3】図3は、前記実施形態1における第2の電極のその他の例を示す横断面図である。
【図4】図4は、前記実施形態1における第2の電極のさらにその他の例を示す縦断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明のエレクトロクロミック素子のその他の例(実施形態2)の構成を示す平面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示すエレクトロクロミック素子のB−B方向に見た縦断面図である。
【図6A】図6Aは、前記実施形態2におけるエレクトロクロミック組成物層のその他の例を示す平面図である。
【図6B】図6Bは、図6Aに示すエレクトロクロミック素子のC−C方向に見た縦断面図である。
【図7A】図7Aは、前記実施形態2のエレクトロクロミック素子の製造方法の一工程を説明する図である。(a)は一工程を説明する平面図、(b)は(a)に示す工程のD−D方向に見た縦断面図である。
【図7B】図7Bは、前記実施形態2のエレクトロクロミック素子の製造方法のその他の工程を説明する図である。(a)はその他の工程を説明する平面図、(b)は(a)に示す工程のE−E方向に見た縦断面図である。
【図7C】図7Cは、前記実施形態2のエレクトロクロミック素子の製造方法のさらにその他の工程を説明する図である。(a)はさらにその他の工程を説明する平面図、(b)は(a)に示す工程のF−F方向に見た縦断面図である。
【図7D】図7Dは、前記実施形態2のエレクトロクロミック素子の製造方法のさらにその他の工程を説明する図である。(a)はさらにその他の工程を説明する平面図、(b)は(a)に示す工程のG−G方向に見た縦断面図である。
【図7E】図7Eは、前記実施形態2のエレクトロクロミック素子の製造方法のさらにその他の工程を説明する図である。(a)はさらにその他の工程を説明する平面図、(b)は(a)に示す工程のH−H方向に見た縦断面図である。
【図7F】図7Fは、前記実施形態2のエレクトロクロミック素子の製造方法のさらにその他の工程を説明する図である。(a)はさらにその他の工程を説明する平面図、(b)は(a)に示す工程のI−I方向に見た縦断面図である。
【図7G】図7Gは、前記実施形態2のエレクトロクロミック素子の製造方法のさらにその他の工程を説明する図である。(a)はさらにその他の工程を説明する平面図、(b)は(a)に示す工程のJ−J方向に見た縦断面図である。
【図7H】図7Hは、前記実施形態2のエレクトロクロミック素子の製造方法のさらにその他の工程を説明する図である。(a)はさらにその他の工程を説明する平面図、(b)は(a)に示す工程のK−K方向に見た縦断面図である。
【図8】図8は、本発明に関連するエレクトロクロミック素子の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、前記「の上に」は、特に断らない限り、上面に直接接触している状態に限定されず、間に他の構成要素等が存在し、直接接触していない状態も含む。また、本発明において、前記「第1の電極の上」は、前記第1の電極の、エレクトロクロミック素子における表示面側上である。前記「エレクトロクロミック組成物層の上」は、前記エレクトロクロミック組成物層の、エレクトロクロミック素子における表示面側上である。
【0012】
本発明において、前記「側面に」は、特に断らない限り、側面に直接接触している状態に限定されず、間に他の構成要素等が存在し、直接接触していない状態も含む。
【0013】
本発明において、「積層」は、特に断らない限り、層と層とが直接接して積層されている状態に限定されず、層と層との間に、他の構成要素等が存在し、直接接していない状態で積層されている場合も含む。
【0014】
つぎに、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。なお、以下の図1〜図7において、同一部分には、同一符号を付している。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なる場合がある。
【0015】
[実施形態1]
図1および図2に、本実施形態のエレクトロクロミック素子の構成を示す。図1は、本実施形態のエレクトロクロミック素子の構成を示す縦断面図である。図2は、図1に示すエレクトロクロミック素子のA−A方向に見た横断面図である。
【0016】
(1)全体構成
図1および図2に示すように、本実施形態のエレクトロクロミック素子10は、第1の電極13と、第2の電極14と、エレクトロクロミック組成物層15と、電解質層16とを主要な構成要素として含む。第1の電極13の上には、エレクトロクロミック組成物層15が積層されており、エレクトロクロミック組成物層15の上には、電解質層16が積層されている。第2の電極14は、電解質層16の側面の全部を囲むように形成されている。図1において、本実施形態のエレクトロクロミック素子10の表示面側は、電解質層16側である。
【0017】
(2)エレクトロクロミック組成物層
エレクトロクロミック組成物層15は、電気化学的な酸化または還元により変色する性質を有する着色材料(エレクトロクロミック材料)を含んでいる。前記エレクトロクロミック材料は、従来公知のものが使用でき、例えば、無機系材料、有機系材料等があげられる。前記無機系材料は、例えば、導電性高分子、遷移金属酸化物、遷移金属錯体、遷移金属塩等があげられる。前記遷移金属酸化物は、例えば、WO3型の材料等があげられる。前記遷移金属錯体は、例えば、プルシアンブルー型の材料等があげられる。前記エレクトロクロミック材料の色が複数であれば、例えば、エレクトロクロミック素子毎に、エレクトロクロミック材料を塗り分けることでカラー表示も可能となる。
【0018】
(3)電解質層
電解質層16は、電解質を含み、エレクトロクロミック組成物層15に電解質を供給する層である。前記電解質は、特に制限されず、前記エレクトロクロミック材料の選択に応じて、適宜選択できる。前記電解質は、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等があげられる。電解質層16の形態は、特に制限されず、例えば、固体でも、液体でも、ゲル体でもよい。
【0019】
(4)第1の電極
第1の電極13は、前記表示面側とは反対側に配置された電極である。第1の電極13は、例えば、製造工程または電気特性の要求に応じて、適宜選択できる。第1の電極13の形成材料は、特に制限されず、従来公知の材料を使用できる。
【0020】
(5)第2の電極
第2の電極14は、前述のように、電解質層16の側面の全部を囲むように形成された電極である。第2の電極14の形成材料は、特に制限されず、電気配線として使用できる材料であればよい。第2の電極14は、例えば、スパッタもしくは蒸着による金属箔膜、メッキによる金属膜とすることができる。また、第2の電極14は、例えば、樹脂と導電性フィラーを含む導電性ペーストを使用し、印刷により形成してもよい。前記導電性ペーストにおいて、前記樹脂は、特に制限されず、例えば、エポキシ、フェノール、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン等があげられる。前記導電性フィラーは、特に制限されず、例えば、銀、金、銅、ニッケル、パラジウム、白金の担体、または、これらの合金があげられ、好ましくは銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金等を銀で被覆したものである。前記導電性フィラーは、一種類を単独で使用してもよいし、複数種類を併用してもよい。前記導電性フィラーのフィラー形状は、特に制限されず、例えば、粒子状、球状、燐片状、針状、またはこれらの組み合わせが好ましい。粒子状の導電性フィラーは、導電性粒子ということができる。前記導電性粒子は、例えば、金属粒子があげられる。金属粒子の粒子径は、例えば、前記粒子径が大きすぎると印刷性が低下するため、例えば、5μm以下が好ましい。前記金属粒子において、その粒度分布のピークは、1つである必要は無く、例えば、前記金属粒子は、ミクロンオーダの金属粒子と、100nm以下の金属微粒子とを、ともに含有してもよい。ナノサイズの金属は低温で融着する性質があり、例えば、この融着により導電性粒子間の接触を金属結合とすることで低抵抗化を実現できる。前記導電性粒子は、前記金属粒子の他に、例えば、電性カーボン粒子、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等があげられる。
【0021】
(6)エレクトロクロミック素子の作動
本実施形態のエレクトロクロミック素子10は、例えば、以下のように作動する。すなわち、まず、第2の電極14および第1の電極13を電源装置(図示せず)に接続する。つぎに、第2の電極14が第1の電極13に対して正の電位となるように、第2の電極14および第1の電極13の間に電圧を印加する。前記電圧印加により、エレクトロクロミック組成物層15に含まれる前記エレクトロクロミック材料に電場が注入され着色する。この状態で、第2の電極14が第1の電極13に対して負の電位となるように、第2の電極14および第1の電極13の間に電圧を印加する。前記印加により、前記エレクトロクロミック材料から電場が抜け、例えば、消色状態(無色透明)となる。
【0022】
本実施形態のエレクトロクロミック素子10では、前述のように、第1の電極13は、前記表示面側とは反対側に配置され、そして、第2の電極14は、電解質層16の側面に形成されている。したがって、前記表示面には、透明電極等の光の透過を妨げる構成が存在しない。このため、本実施形態のエレクトロクロミック素子10は、コントラストが高い。また、前記表示面側にITO等の高価な透明電極を使用しないため、例えば、エレクトロクロミック素子を低コストで製造できる。また、透明導電膜を使用するタッチパネル等の入力デバイスを、本実施形態のエレクトロクロミック素子10の表示面上に配置したとしても、例えば、コントラストの低下を抑制できる。
【0023】
また、本実施形態のエレクトロクロミック素子10では、前述のように、第2の電極14を、電解質層16の側面に形成している。このため、例えば、特開2006−030829号公報および特開2006−323191号公報に記載のエレクトロクロミック素子(横電界型)のように、第2の電極の配置のためのスペースを必要としない。したがって、本実施形態のエレクトロクロミック素子10は、例えば、小型化が可能である。この結果、本実施形態のエレクトロクロミック素子10は、例えば、表示装置における表示の高精細化にも対応できる。
【0024】
(7)その他の形態
本実施形態のエレクトロクロミック素子10では、前述のように、第2の電極14は、電解質層16の側面の全部を囲むように形成されている。このような形態であれば、第2の電極14の面積を大きくできるため好ましいが、本発明は、これには限定されない。例えば、図3(a)および図3(b)の横断面図に示すように、第2の電極14は、電解質層16の側面の一部のみに形成されてもよい。また、第1の電極13と第2の電極14との間で、電解質層16およびエレクトロクロミック組成物層15に電圧を印加可能であれば、例えば、図4(a)の縦断面図に示すように、電解質層16の側面に加えて、エレクトロクロミック組成物層15の側面に形成されてもよいし、図4(b)の縦断面図に示すように、電解質層16の側面に加えて、エレクトロクロミック組成物層15の上面に形成されていてもよい。これらの形態でも、コントラストが高いという、本発明の効果が得られる。
【0025】
[実施形態2]
本実施形態のエレクトロクロミック素子は、反射型不揮発性表示素子の一例である。図5Aおよび図5Bに、本実施形態のエレクトロクロミック素子の構成を示す。図5Aは、本実施形態のエレクトロクロミック素子の一部の構成を示す平面図である。図5Bは、図5Aに示すエレクトロクロミック素子のB−B方向に見た縦断面図である。
【0026】
(1)全体構成
図5Aおよび図5Bに示すように、本実施形態のエレクトロクロミック素子は、導電性、または、表面に導電層(第1の電極)を設けたベース基材23上に、白色層27およびエレクトロクロミック組成物層25が、前記順序で積層されている。ベース基材23と、ベース基材23と対向するように配置された透明絶縁基材22との間に、電解質層26が挟み込まれている。そして、絶縁性隔壁28(第1の絶縁層)により、各画素21が形成されている。なお、図5Aでは、説明の便宜上、透明絶縁基材22を二点鎖線で示している(以下、図6Aおよび図7Hにおいて同様。)。第1の絶縁層28の内部には、X座標配線31およびY座標配線30が形成されている。X座標配線31とY座標配線30との交差部分は、第2の絶縁層29により絶縁されている。第1の絶縁層28の側面には、セル電極(第2の電極)24が形成されている。このセル電極24のON・OFFを制御するスイッチとして、第1の絶縁層28上に、TFT32が形成されている。
【0027】
本実施形態のエレクトロクロミック素子における、導電層(第1の電極)23、セル電極(第2の電極)24、エレクトロクロミック組成物層25および電解質層26は、例えば、前記実施形態1で示した各構成部材と同様のものが使用できる。
【0028】
(2)ベース基材
ベース基材23の形成材料は、特に制限されず、例えば、絶縁基材上に導電体が形成された構成の場合には、前記絶縁基材として、例えば、ガラスエポキシ、紙フェノール等の基板材料、ポリイミド、PET、PEN等の樹脂フィルム、ガラス、紙等を選択できる。前記絶縁基板の表面に形成する導電層(第1の電極)、白色層27、エレクトロクロミック組成物層25を形成する際に、熱硬化性の材料を使用する場合には、例えば、これら材料のキュア(硬化)条件に対する耐熱性を有する材料を選定する。
【0029】
(3)白色層
白色層27は、エレクトロクロミック組成物層25が消色状態の時に反射層として機能する。白色層27の形成材料は、例えば、反射層として機能させるために白色であり、ベース基材23の導電体、セル電極24、X座標配線31およびY座標配線30を絶縁する材料である。一方で、エレクトロクロミック組成物層25および白色層27の厚みが厚いと、絶縁性が高くなりすぎ、セル電極24からベース基材23の導電体まで電流が流れなくなる。このため、白色層27は、薄く形成するか、または、例えば、酸化チタンのナノ粒子を焼成させた多孔質な層とすることが好ましい。白色層27を、前述のような構造とすることで、セル電極24内部の電解質層26が多孔質に入り、セル電極24とベース基材23の導電体との間で電流を流すことができる。なお、この場合、この孔部の一部または全部にエレクトロクロミック組成物層25に含まれるエレクトロクロミック材料を入れてもよい。このようにすることで、例えば、エレクトロクロミック組成物層25と白色層27との密着性を向上できる。また、エレクトロクロミック組成物層25の表面積が大きくなり、電場の注入が早くできるため、例えば、結果として着消色(着色および/または消色)の速さを向上できる。
【0030】
(4)第1の絶縁層
第1の絶縁層28は、セル電極24と、X座標配線31およびY座標配線30の間を絶縁できればよく、その形成材料は、例えば、エポキシ、アクリル、フェノール、シリコーン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等があげられる。前記形成材料は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。ペースト化した樹脂を印刷塗布する場合には、例えば、前記樹脂中にシリカ、アルミナ等の絶縁性微粒子を含有させることが好ましい。このような微粒子を用いて粘度を適正に調整することで、例えば、印刷時のペーストのダレを抑制できる。前記印刷では、セルの開口面積を大きく取るため、絶縁可能な範囲で、できる限り薄くペーストを塗布することが好ましい。
【0031】
(5)第2の絶縁層
第2の絶縁層29は、X座標配線31およびY座標配線30を絶縁する。第2の絶縁層29の形成材料は、特に制限されず、例えば、第1の絶縁層28の形成材料と同様のものが使用できる。第2の絶縁層29の形成方法は、特に制限されず、例えば、第1の絶縁層28の形成方法と同様の方法が使用できる。
【0032】
(6)透明絶縁基材
透明絶縁基材22は、例えば、透明なポリイミド、PET、PEN等の樹脂フィルム、または、ガラス等を使用できる。透明絶縁基材22として、熱硬化性の材料を使用する場合には、例えば、これらの材料のキュア(硬化)条件に対する耐熱性を有する材料を選定する。
【0033】
(7)X座標配線
X座標配線31の形成材料は、特に制限されず、例えば、前述の第2の電極の形成材料と同様のものを使用できる。また、X座標配線31の形成方法も、特に制限されず、例えば、前述の第2の電極の形成方法と同様の方法を使用できる。
【0034】
(8)Y座標配線
Y座標配線30の形成材料は、特に制限されず、例えば、前述の第2の電極の形成材料と同様のものを使用できる。また、Y座標配線30の形成方法も、特に制限されず、例えば、前述の第2の電極の形成方法と同様の方法を使用できる。
【0035】
(9)TFT(薄膜トランジスタ)
TFT32の形成方法は、特に限定されず、例えば、シリコン、金属酸化物、有機半導体等をスパッタを使用して製膜する方法、または、有機半導体、半導体の性質を有するカーボンナノチューブ(CNT)を分散させたインクを印刷塗布する方法等を使用できる。エレクトロクロミック素子では、注入した電場量により着色速さが決まる。このため、比較的大きな電流が流せるTFTが好ましい。したがって、TFT32を印刷法で形成する場合には、前記有機半導体より電流を多く流せるTFTを形成可能なCNTインクを使用してTFT32を形成するのが好ましい。なお、第1の絶縁層28上に、TFT32を形成するには、第1の絶縁層28のX座標と平行な辺、もしくはY座標と平行な辺の一方は、あらかじめTFT32の大きさ分だけ厚くしておくことが好ましい。
【0036】
(10)製造方法
つぎに、図7A〜7Hを参照して、本実施形態のエレクトロクロミック素子の製造方法を説明する。ただし、以下で説明する製造方法は一例であり、本発明はこの例により、なんら制限されない。また、図7A〜図7Hにおいて、(a)は、各工程を説明する平面図であり、(b)は、(a)中で示される断面線の方向に見た縦断面図である。
【0037】
まず、図7Aに示すように、透明絶縁基材22上に、X座標配線31およびY座標配線30を、格子状に一括形成する。透明絶縁基材22は、例えば、ポリイミド、PET、PEN等の樹脂フィルム、または、ガラス等を使用できる。透明絶縁基材22として、熱硬化性の材料を使用する場合には、例えば、これらの材料のキュア(硬化)条件に対する耐熱性を有する材料を選定する。X座標配線31およびY座標配線30の交点は、絶縁しておく必要があるため、図7Aでは、X座標配線31のY座標配線30との交点部分を断線させている。前述の導電性樹脂を使用して印刷で、前記両配線を形成する場合には、その印刷工法は、特に制限されず、例えば、孔版を使用したスクリーン印刷が、厚膜可能で比較的微細印刷が可能なため好ましい。前記印刷工法には、例えば、スクリーン印刷の他に、凸版印刷、凹版印刷、これらのオフセット印刷、インクジェット法等を使用できる。
【0038】
つぎに、図7Bに示すように、第1の絶縁層28を、X座標配線31およびY座標配線30の表面を覆うように形成する。第1の絶縁層28の形成方法は、特に制限されず、例えば、感光性樹脂を使用したフォトリソ法、絶縁性ペーストを使用した印刷工法等があげられる。前記印刷工法を使用する場合、前記印刷工法は、特に制限されず、例えば、前述と同様の印刷方法が使用できる。第1の絶縁層28は、セル電極24と、X座標配線31およびY座標配線30との間を絶縁できればよく、その形成材料は、例えば、エポキシ、アクリル、フェノール、シリコーン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等があげられる。前記形成材料は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。ペースト化した樹脂を印刷塗布する場合には、例えば、前記樹脂中にシリカ、アルミナ等の絶縁性微粒子を含有させることが好ましい。このような微粒子を用いて粘度を適正に調整することで、例えば、印刷時のペーストのダレを抑制できる。前記印刷では、セルの開口面積を大きく取るため、絶縁可能な範囲で、できる限り薄くペーストを塗布することが好ましい。
【0039】
続いて、図7Cに示すように、第1の絶縁層28の表面をさらに覆うように、セル電極24となる導電部材を形成する。前記導電部材の形成方法は、特に限定されず、例えば、電気配線として使用できるものであればよく、例えば、スパッタもしくは蒸着による金属箔膜、メッキによる金属膜とすることができる。また、前記導電部材は、例えば、樹脂と導電性フィラーを含む導電性ペーストを使用し、印刷法により形成してもよい。前記導電性ペーストは、前述のとおりである。前記印刷法は、特に制限されず、セルの開口面積を大きく取るため、所望の電流が流せる範囲で、塗布厚を薄くするのが好ましい。
【0040】
続いて、図7Dに示すように、透明絶縁基材22上の、X座標配線31、Y座標配線30、第1の絶縁層28およびセル電極24が積層された(印刷された)箇所の先端部を除去し、X座標配線31、Y座標配線30、第1の絶縁層28およびセル電極24の各表面を露出させる。これにより、セル電極24は、第1の絶縁層28により個々に独立される。前記印刷箇所の除去方法は、特に限定されず、例えば、研磨または研削等の機械加工、レーザ、化学機械研磨(CMP)等を使用できる。
【0041】
前述のようにして、露出させたX座標配線31、Y座標配線30の交点部分に、図7Eに示すように、第2の絶縁層29を形成する。続いて、図7Fに示すように、断線している各X座標配線31相互を接続するように配線を接続し、X座標配線31およびY座標配線30を完成させる。なお、この例では、X座標配線31を断線させるように配線を形成しているが、これには限定されず、例えば、Y座標配線30を断線させるようなパターンとしてもよい。第2の絶縁層29の形成方法は、特に限定されず、第1の絶縁層28と同様に、例えば、感光性樹脂を使用したフォトリソ法、絶縁性ペーストを使用した印刷工法等があげられる。
【0042】
第2の絶縁樹脂29の形成後、X座標配線31およびY座標配線30がON状態となったときに、セル電極24へ電流を流すスイッチとして、図7Gに示すように、第1の絶縁層28上に、TFT32を形成する。TFT32の形成方法は、特に限定されず、例えば、シリコン、金属酸化物、有機半導体等をスパッタを使用して製膜する方法、または、有機半導体、半導体の性質を有するカーボンナノチューブ(CNT)を分散させたインクを印刷塗布する方法等を使用できる。エレクトロクロミック素子では、注入した電場量により着色速さが決まる。このため、比較的大きな電流が流せるTFTが好ましい。したがって、TFT32を印刷法で形成する場合には、前記有機半導体より電流を多く流せるTFTを形成可能なCNTインクを使用して、TFT32を形成するのが好ましい。なお、第1の絶縁層28上に、TFT32を形成には、第1の絶縁層28のX座標と平行な辺、もしくはY座標と平行な辺の一方は、あらかじめTFT32の大きさ分だけ厚くしておくことが好ましい。この例では、図7Gに示すように、X座標配線31と平行な辺の第1の絶縁層28が厚く形成されており、第1の絶縁層28上に、TFT32を形成している。
【0043】
そして、図7Hに示すように、図7Gまでで作成した透明絶縁基材22を、電解質層26を挟むように、白色層27、エレクトロクロミック組成物層25を予め形成したベース基材23に貼り合わせる。このようにして、本実施形態のエレクトロクロミック素子を製造できる。ベース基材23の形成材料は、特に制限されず、例えば、絶縁基材上に導電体が形成された構成の場合には、前記絶縁基材として、例えば、ガラスエポキシ、紙フェノール等の基板材料、ポリイミド、PET、PEN等の樹脂フィルム、ガラス、紙等と選択できる。前記絶縁基板の表面に形成する導電層、白色層27、エレクトロクロミック組成物層25を形成する際に、熱硬化性の材料を使用する場合には、例えば、これら材料のキュア(硬化)条件に対する耐熱性を有する材料を選定する。エレクトロクロミック組成物層25は、電場の注入により着色されるエレクトロクロミック材料を含めばよく、有機系材料、無機系材料等を使用できる。前記無機系材料は、例えば、WO3型、プルシアンブルー型等があげられる。このエレクトロクロミック材料の色が複数あれば、セルごとに色の異なる着色材料を塗り分けることで、例えば、カラー表示も可能となる。白色層27の形成材料は、例えば、反射層として機能させるために白色であり、ベース基材23の導電体、セル電極24、X座標配線31およびY座標配線30を絶縁する材料である。一方で、エレクトロクロミック組成物層25および白色層27の厚みが厚いと、絶縁性が高くなりすぎ、セル電極24からベース基材23の導電体まで電流が流れなくなる。このため、白色層27は、薄く形成するか、または、例えば、酸化チタンのナノ粒子を焼成させた多孔質な層とすることが好ましい。白色層27を、前述のような構造とすることで、セル電極24内部の電解質層26が多孔質に入り、セル電極24とベース基材23の導電体との間で電流を流すことができる。なお、この場合、この孔部の一部または全部にエレクトロクロミック組成物層25に含まれるエレクトロクロミック材料を入れてもよい。このようにすることで、例えば、エレクトロクロミック組成物層25と白色層27との密着性を向上できる。また、エレクトロクロミック組成物層25の表面積が大きくなり、電場の注入が早くできるため、例えば、結果として着消色(着色および/または消色)の速さを向上できる。
【0044】
本実施形態のエレクトロクロミック素子の製造方法によれば、例えば、従来困難であった高コントラスト、高反射な反射型不揮発性表示デバイス(エレクトロクロミック素子)を、より簡易に製造できる。ただし、本発明のエレクトロクロミック素子を製造する方法は、この例には限定されない。
【0045】
(11)その他の形態
本実施形態のエレクトロクロミック素子は、前述のように、エレクトロクロミック材料の色を複数準備することで、カラー表示にも対応し得る。具体的には、例えば、図6Aおよび図6Bに示すように、各セル21において、色の異なる着色材料(エレクトロクロミック材料)を含むエレクトロクロミック組成物層25aおよび25bを適用する。このようにすることで、セル21ごとに着色材料を塗り分けることができ、例えば、カラー表示も可能となる。
【0046】
以上のように、本発明によれば、高コントラストで、さらに、例えば、高反射のエレクトロクロミック素子を提供できる。したがって、本発明のエレクトロクロミック素子は、例えば、不揮発性表示デバイス等の用途に適用できる。ただし、その用途は限定されず、広い分野に適用可能である。
【0047】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載しうるが、以下には限定されない。
【0048】
(付記1)
第1の電極と、第2の電極と、電解質層と、エレクトロクロミック組成物層とを含み、
前記第1の電極の上に、前記エレクトロクロミック組成物層が積層され、
前記エレクトロクロミック組成物層の上に、前記電解質層が積層され、
前記第2の電極が、前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層の少なくとも一方の側面に配置され、
前記第1の電極と前記第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層に電圧を印加可能であることを特徴とする、エレクトロクロミック素子。
【0049】
(付記2)
さらに、絶縁性隔壁を含み、
前記絶縁性隔壁が、前記第2の電極の外周に配置されていることを特徴とする付記1記載のエレクトロクロミック素子。
【0050】
(付記3)
さらに、透明絶縁基材を含み、
前記電解質層上に、前記透明絶縁基材が配置されていることを特徴とする付記1または2記載のエレクトロクロミック素子。
【0051】
(付記4)
前記絶縁性隔壁が、前記エレクトロクロミック組成物層および前記透明絶縁基材に接して配置され、
前記エレクトロクロミック組成物層と、前記透明絶縁基材と、前記絶縁性隔壁とに囲まれた領域に、前記電解質層が配置されていることを特徴とする付記3記載のエレクトロクロミック素子。
【0052】
(付記5)
さらに、白色層を含み、
前記白色層が、前記第1の電極と前記エレクトロクロミック組成物層との間に配置されていることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
【0053】
(付記6)
前記第2の電極が、前記電解質層の側面および前記エレクトロクロミック組成物層の側面に配置されていることを特徴とする付記1から5のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
【0054】
(付記7)
さらに、着色制御配線を含み、
前記着色制御配線が、前記絶縁性隔壁内部に配置され、前記エレクトロクロミック素子の着色を制御可能であることを特徴とする付記2から6のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
【0055】
(付記8)
さらに、着色制御素子を含み、
前記着色制御配線は、第1の着色制御配線および第2の着色制御配線を含み、
前記第1の着色制御配線および第2の着色制御配線が、前記着色制御素子に電気的に接続され、
前記着色制御素子が、前記第2の電極に電気的に接続され、
前記着色制御素子が、第1の着色制御配線および第2の着色制御配線の双方から信号を受け取って、前記第2の電極に電流を流すことにより、前記エレクトロクロミック素子の着色を制御可能であることを特徴とする付記7記載のエレクトロクロミック素子。
【0056】
(付記9)
前記白色層が、酸化チタンを含む多孔質層であり、
前記多孔質層に形成された孔の少なくとも一部に、電解質およびエレクトロクロミック材料の少なくとも一方が含まれていることを特徴とする付記5から8のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
【0057】
(付記10)
前記第2の電極が、前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層の少なくとも一方の側面の全部または一部に配置されていることを特徴とする付記1から9のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
【0058】
(付記11)
前記エレクトロクロミック組成物層が、プルシアンブルー型のエレクトロクロミック材料を含むことを特徴とする付記1から10のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
【0059】
(付記12)
前記透明絶縁基材が、ポリイミド、PET、PENおよびガラスからなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする付記3から11のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
【0060】
(付記13)
前記第2の電極および前記着色制御配線が、透明性樹脂または金属ナノ粒子の焼成体から形成されていることを特徴とする付記7から12のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
【0061】
(付記14)
前記着色制御素子が、トランジスタであり、
前記トランジスタが、半導体材料としてカーボンナノチューブを含むことを特徴とする付記8から13のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
【0062】
(付記15)
第1の電極の上に、エレクトロクロミック組成物層を形成するエレクトロクロミック組成物層形成工程と、
前記エレクトロクロミック組成物層の上に、電解質層を形成する電解質層形成工程と、
前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層の少なくとも一方の側面に、前記第1の電極と第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層に電圧を印加可能であるように、第2の電極を形成する第2の電極形成工程とを含むことを特徴とする、エレクトロクロミック素子の製造方法。
【0063】
(付記16)
さらに、前記第2の電極の外周に、絶縁性隔壁を形成する絶縁性隔壁形成工程と、
前記電解質層上に、透明絶縁基材を配置する透明絶縁基材配置工程と、
前記絶縁性隔壁内部に、前記エレクトロクロミック素子の着色を制御する第1の着色制御配線および第2の着色制御配線を配置する着色制御配線配置工程と、
前記第1の着色制御配線および前記第2の着色制御配線の双方から信号を受け取って、前記第2の電極に電流を流すことにより、前記エレクトロクロミック素子の着色を制御可能な着色制御素子を、前記第2の電極に電気的に接続する着色制御素子接続工程とを含むことを特徴とする付記15記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
【符号の説明】
【0064】
10 エレクトロクロミック素子
13 第1の電極
14 第2の電極
15、25、25a、25b エレクトロクロミック組成物層
16、26 電解質層
21 画素(セル)
22 透明絶縁基材
23 ベース基材(第1の電極)
24 セル電極(第2の電極)
27 白色層
28 第1の絶縁層(絶縁性隔壁)
29 第2の絶縁層
30 Y座標配線(ソース配線)
31 X座標配線(ゲート配線)
32 TFT(着色制御素子)
101 セル
102 透明絶縁基材
103 第2の透明導電膜
104 第1の透明導電膜
105 エレクトロクロミック組成物層
106 電解質層
107 白色層
108 隔壁
109 ベース基材
111 Y座標配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、第2の電極と、電解質層と、エレクトロクロミック組成物層とを含み、
前記第1の電極の上に、前記エレクトロクロミック組成物層が積層され、
前記エレクトロクロミック組成物層の上に、前記電解質層が積層され、
前記第2の電極が、前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層の少なくとも一方の側面に配置され、
前記第1の電極と前記第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層に電圧を印加可能であることを特徴とする、エレクトロクロミック素子。
【請求項2】
さらに、絶縁性隔壁を含み、
前記絶縁性隔壁が、前記第2の電極の外周に配置されていることを特徴とする請求項1記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項3】
さらに、透明絶縁基材を含み、
前記電解質層上に、前記透明絶縁基材が配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項4】
前記絶縁性隔壁が、前記エレクトロクロミック組成物層および前記透明絶縁基材に接して配置され、
前記エレクトロクロミック組成物層と、前記透明絶縁基材と、前記絶縁性隔壁とに囲まれた領域に、前記電解質層が配置されていることを特徴とする請求項3記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項5】
さらに、白色層を含み、
前記白色層が、前記第1の電極と前記エレクトロクロミック組成物層との間に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項6】
前記第2の電極が、前記電解質層の側面および前記エレクトロクロミック組成物層の側面に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項7】
さらに、着色制御配線を含み、
前記着色制御配線が、前記絶縁性隔壁内部に配置され、前記エレクトロクロミック素子の着色を制御可能であることを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項8】
さらに、着色制御素子を含み、
前記着色制御配線は、第1の着色制御配線および第2の着色制御配線を含み、
前記第1の着色制御配線および第2の着色制御配線が、前記着色制御素子に電気的に接続され、
前記着色制御素子が、前記第2の電極に電気的に接続され、
前記着色制御素子が、第1の着色制御配線および第2の着色制御配線の双方から信号を受け取って、前記第2の電極に電流を流すことにより、前記エレクトロクロミック素子の着色を制御可能であることを特徴とする請求項7記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項9】
第1の電極の上に、エレクトロクロミック組成物層を形成するエレクトロクロミック組成物層形成工程と、
前記エレクトロクロミック組成物層の上に、電解質層を形成する電解質層形成工程と、
前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層の少なくとも一方の側面に、前記第1の電極と第2の電極との間で、前記電解質層および前記エレクトロクロミック組成物層に電圧を印加可能であるように、第2の電極を形成する第2の電極形成工程とを含むことを特徴とする、エレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項10】
さらに、前記第2の電極の外周に、絶縁性隔壁を形成する絶縁性隔壁形成工程と、
前記電解質層上に、透明絶縁基材を配置する透明絶縁基材配置工程と、
前記絶縁性隔壁内部に、前記エレクトロクロミック素子の着色を制御する第1の着色制御配線および第2の着色制御配線を配置する着色制御配線配置工程と、
前記第1の着色制御配線および前記第2の着色制御配線の双方から信号を受け取って、前記第2の電極に電流を流すことにより、前記エレクトロクロミック素子の着色を制御可能な着色制御素子を、前記第2の電極に電気的に接続する着色制御素子接続工程とを含むことを特徴とする請求項9記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−211965(P2012−211965A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76914(P2011−76914)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】