説明

エレベータ、エスカレータ、および動く歩道のための構成部品を供給するコンピュータ支援による供給方法、および対応する配送ユニット

【課題】機械式輸送システムの製造に関するロジスティックスを改善するためのコンピュータ支援による方法を提案する。
【解決手段】エレベータ10、エスカレータ、または動く歩道の構成部品11から19を供給する配送ユニット、および対応するコンピュータ支援による供給方法。この場合において、
パーツリスト21を供給する工程と、
関連する組み立て情報22を供給する工程と、
構成部品11から19を荷造りする工程とが実行され、構成要素11から19は、配送ユニットUを形成するために、組み立て情報を考慮して梱包材によって荷造りされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のエレベータ、エスカレータ、および動く歩道のための構成部品を供給するコンピュータ支援による供給方法、ならびに請求項13に記載の配送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
システムまたはシステムの構成要素の製造、組み立て、梱包、および配送において、きわめて多種多様なシーケンスが使用されるようになってきている。特に、例えば材料および人々の輸送のために構成された、エレベータ、エスカレータ、または動く歩道など複雑なシステムの場合には、一方ではシステム自体がきわめて複雑でありながら、他方では組み立て時の作業者の安全性、ならびに製造または建設されるシステムに対し、きわめて高い要求が求められるため、作業者の適格性に対する要求がきわめて大きい。
【0003】
これは、余り慣れていない作業者で組み立てを行なわなければならない場合、または好ましくない外部環境のもとで行なわなければならない場合に、特に問題となりうる。
【0004】
さらに、このような設備を可能な限り迅速かつ経済的に供給および組み立てするという要請が、ますます強くなってきている。
【0005】
汎用のプロセス制御の分野において、顧客指向のサブアセンブリの構成を可能にする方法が知られている。例えば、米国特許出願公開第2004/0176867号明細書に示されている方法において、取り次ぎを必要とする顧客指定の部品がオーダされ、収集地点へと配送され、収集地点から仕上げ場所へと、必要な組み立て指示書と共に発送される。仕上げ場所において、今や個々の部品が完成(組み立て)され、全体パッケージとして顧客へと配送される。
【0006】
この点について、或るオーダに係るすべての部品が、まとめて仕上げ場所に供給され、仕上げ場所の従業員が、例えばサブアセンブリに属する部品を、組み立て指示に基づいて自ら仕分けをして、それら部品を正しい組み立てシーケンスにする点が、不都合である。これは、時間を要する。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0176867号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、機械式輸送システムの製造に関するロジスティックスを改善するためのコンピュータ支援による方法を提供し、それによって、上述の不都合を回避し、製造業者または供給業者による供給のみならず、顧客への配送も簡略化し、かつ合理的かつ安全な組み立てのための基盤を構成し、ならびに上記方法を実行するのに適した指定を有している、輸送システムの構成部品の配送ユニットを生成する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的が、方法の場合には独立請求項1の特徴によって、および配送ユニットの場合には独立請求項13の特徴によって、達成される。
【0009】
本発明の好ましい展開は、それぞれの従属請求項によって概説されている。
【0010】
本明細書の範囲においては、「輸送システム」という用語は、特に、物品および/または人間のためのエレベータ、ならびにエスカレータ、および動く歩道であると理解される。「配送ユニット」という用語は、可能な包装材を含めて、輸送システムの個々の構成部品、あるいはパッケージまたはパケットに含まれる複数の構成部品であると理解され、そのような配送ユニットは、帳簿に関して規定される配送ユニットと同一である必要はない。
【0011】
輸送システムは、多数の個々の構成部品またはサブアセンブリで構成される。輸送システムに必要な構成部品またはサブアセンブリが、パーツリストに含まれている。したがってパーツリストは、通常は、エレベータまたはエレベータ設備あるいは輸送システムを組み立てるための構成部品またはサブアセンブリ、ならびにそれらの必要数のリストである。
【0012】
輸送システムは、建物に一体化される。輸送システムは、個々の構成部品またはサブアセンブリの状態で建物へと配送され、そこで運搬システムへと組み立てられる。したがって、建物が、輸送システムが最終的に組み立てられる据え付け場所である。据え付け場所は、種々の組み立てセクタを有している。組み立てセクタは、据え付け場所の部分領域である。据え付け場所は、複数の組み立てセクタを有している。したがって、例えばエレベータの各レベルが、組み立てセクタを形成しており、あるいはエレベータ昇降路の階、エレベータ昇降路の天井、または制御室などが、それぞれ独自の組み立てセクタを形成することができる。
【0013】
輸送システムの組み立ては、いくつかの個々の組み立て工程を含んでいる。組み立て工程は、全体の組み立てシーケンス内の個々の組み立て作業を表している。
【0014】
輸送システムの構成部品は、全体が1つの製造業者によって製造されるか、あるいは個々の構成部品または事前に組み立てられたサブアセンブリが、別々の製造業者で製造される。さらに、ユーザまたは据え付け場所への配送を、様々なやり方で行なうことができ、各製造業者が、その構成部品またはサブアセンブリを直接建設現場へ配送するか、あるいは構成部品およびサブアセンブリが、主たる製造業者のもとに収集され、任意の部分組み立てプロセスの後に、そこからユーザまたは据え付け場所へと配送される。いずれの場合も、まずは構成部品が集められ、すなわち製造後にパーツリストを使用して特定されかつ準備される。これは、例えば、構成部品の保守容易性を確認すること、構成部品を仮にまたは最終的に予約すること、構成部品を呼び出すこと、またはいくつかの構成部品を組み合わせて、組み立てに適切なサブアセンブリを形成することを含んでいる。パーツリストは、必要なすべての構成部品が、意図された数で存在しているか否かを確実に確認する上で役に立つ。
【0015】
続いて、構成部品が、組み立てデータを考慮して、場所および/または時期に関してそれら部品の後の使用に応じて、配送グループに組み合わせられ、かつ特定の梱包材を使用して配送ユニットに荷造りされる。配送ユニットは、組み立てパケットをただ1つ含んでもよく、この場合、配送ユニットの梱包材が同時に、組み立てパケットの梱包材を形成する。配送ユニットが、2つ以上の組み立てパケットを含んでもよく、この場合には、内部に或る程度、組み立てパケットを荷造りするため追加の梱包材を使用することができる。組み立てパケットは、好ましくは組み立てシーケンスに共に属する構成部品またはサブアセンブリを含んでいる。荷造りの場合において、構成部品は、剛性または柔軟である面積梱包材によって部分的または完全に包まれ、この梱包材は、必要な場合には、さらに特に十分に保護され、および/または適切な細長い梱包材によって組み合わされ、および/またはカートンおよびコンテナなどの適切な容器に入れられる。その場合、配送ユニットが、構成部品から作られる。
【0016】
パーツリストによって特定された構成部品の組み合わせ(まとめ置き)および荷造りは、この点について、所定の組み立て情報の考慮に関連して、すなわち特定の組み立て基準に従って行なわれる。したがって、正しい設置場所および正しい組み立てセクタへの配送が保証され、後の据え付け場所の内部輸送が避けられ、かつ組み立て工程自体が簡略化される。組み立て情報は、各オーダに従って供給され、手作業で生成および準備されることができ、あるいはコンピュータによって生成および準備されることができる。組み立て情報は、搬送システムの実施の形態、ならびに例えば、階の数およびアクセス性、組み立て領域、建設の進捗など、据え付けの局所的状況を考慮している。組み立て情報は、好ましくは、コンピュータが、オーダ入力を記録した後に、コンピュータによって準備される。オーダ入力は、典型的には、必要な構成部品を特定するため、ならびにそれらの組み立ておよび組み立て工程についての記述を提供可能にするために必要な、すべての事項を含んでいる。オーダ入力は、顧客または建築家の要求に基づいて販売業者によって記録された、必要な顧客データを含んでいる。組み立てデータは、エレベータ建設業者によってそれらの基本的枠組みで予め定められており、オーダ入力および/または建設の進捗に適切に合わせられる。
【0017】
組み立て情報は、組み立てセクタについての情報および/または組み立て工程についての情報を含む。組み立てセクタに、配送ユニットおよび場合によっては組み立てパケットが輸送され、組み立てセクタで、これらは後の組み立てのために必要であり、組み立て工程は、特定の時間シーケンスにおいて特定の組み立てセクタで、場合によっては、据え付け場所の他の組み立てセクタの組み立て工程または組み立て状態を考慮して行なわれる。
【0018】
組み立て情報は、好ましくは、エレベータ、エスカレータ、または動く歩道を設置しようとする建物内、または建設場所の条件を考慮して、生成および準備される。組み立て情報は、好ましくは同様に、建物または建物の部分に据え付けされるエレベータの数を考慮に入れている。
【0019】
次いで、組み立て情報を考慮して、組み立てセクタ識別および/または組み立て工程識別が、各配送ユニットについて生成される。
【0020】
各セクタ識別は、配送ユニットが輸送されるべき据え付け場所の各組み立てセクタについての情報を含んでいる。セクタ識別は、例えば建築現場などの据え付け場所の責任作業者が、各配送ユニットを正しい組み立てセクタへと届けることができるようにする。
【0021】
各組み立て工程識別は、組み立て工程のシーケンスについての情報を含んでいる。組み立て工程識別は、責任作業者が、据え付け場所または組み立てセクタにおいて、正しいシーケンスで段階を追って組み立て工程を容易に実行できるようにする。
【0022】
各配送ユニットに、当該配送ユニットに属する識別が供給され、大きくおよび/または重い配送ユニットは、複数の場所に識別が提供されることも可能である。識別は、通常は梱包材上にまたは梱包材に取り付けられるが、構成部品のみが、束ねられてパッケージ状の配送ユニットを形成している場合や、場合によっては、構成部品が開放型のコンテナに収容されている場合には、識別が、構成部品自体のうちの1つに取り付けてもよい。識別を貼り付ける場合には、従来の種類の情報、例えば「上面」または「下面」など配送ユニットまたは組み立てパケットにおける貼り付け位置、重量の詳細、ならびに配送ユニットまたは組み立てパケットについて他の重量物の下での保管の禁止、あるいは特定の温度および湿度範囲の外での保管の禁止、または強い電磁界の近傍での保管の禁止などの情報も、必要であれば表示することができる。
【0023】
上記識別は、専門家によって理解することができる、文字および数字の組み合わせで表示でき、あるいは暗号で表示でき、あるいは絵文字またはバーコードで表示できる。当然ながら、識別は、理解可能または読み取り可能でなければならず、実際、それらの後の使用に関し、好ましくは機械によって読み取り可能であり、あるいは機械によってのみ読み取り可能である。RFタグを識別として使用してもよい。
【0024】
識別の生成の後、識別は、手作業または機械によって配送ユニットに貼り付けられ、特に、配送ユニットの梱包材にまたは梱包材上に貼り付けられ、あるいは構成部品の一部が見えるために開かれている場合には、構成部品自体へと貼り付けられる。
【0025】
配送ユニットが、複数の組み立てパケットを含んでいる場合、通常は、組み立て工程識別である識別が、個々の組み立てパケットについて生成され、それら組み立てパケット上または組み立てパケットに直接貼り付けられてもよい。
【0026】
次いで、識別が供給されて完成した配送ユニットが、製造業者によって配送され、据え付け場所へと輸送される。配送される代わりに、それら配送ユニットを集められてもよい。
【0027】
据え付け場所において、配送ユニットが、異なる組み立てセクタへと分配される。これは、配送ユニットがセクタ識別を有しているならば、きわめて簡単である。配送ユニットが、組み立て工程識別しか有していない場合には、この配送ユニットを正しい組み立てセクタへと供給するために、作業者の特定の専門知識および/または例えばチャート上の別個の補足事項が必要である。配送ユニットが、セクタ識別に基づいて正しい組み立てセクタに到着したが、それら配送ユニットが、組み立て工程識別を有していない場合には、組み立てのシーケンスを、特定の専門知識の助けによって、および/または追加の詳細の助けによって、実行されなければならない。当然ながら、この新規な方法の実行は、配送ユニットがセクタ識別だけでなく、組み立て工程識別をも有している場合に、きわめて簡単である。
【0028】
好ましくは、この新規な方法は、入ってくるオーダの処理へとさらに拡張される。この目的のため、構成部品を集める前に、エレベータについてのオーダの入力が、コンピュータの電子インターフェイスによって受信され、オーダ入力が、コンピュータがどの種類のエレベータがオーダされたのか、およびどの種類のエレベータを配送されるべきかを決定できるようにする情報を含んでいる。
【0029】
この新規な方法は、好ましくは、配送されるべきシステムの構成部品のリストが、コンピュータの助けによって準備される方法工程、および/またはこのリストが、例えばコンピュータのモニタ上および/または印刷物に表示される方法工程を含んでいる。
【0030】
この方法に、個々の構成部品をそれらの保管ステーションから事前組み立てまたは発送ステーションに運ぶ、内部の輸送システムを組み入れることが可能である。
【0031】
識別は、様々なやり方で生成されることができるが、人的な誤りの可能性を排除または低減するため、コンピュータによって支援されたやり方で識別を生成することが特に有利でありかつ推奨される。
【0032】
組み立てを簡単にするため、集める範囲内で、サブアセンブリを形成するために製造業者または製造業者の1つにおける事前組み立てによって、特定の構成部品を一体化し、すなわち事前組み立てすることができる。この目的のため、荷造りに先立って、構成部品の少なくとも一部の最適な事前組み立てまたは少なくともサブアセンブリに関する情報が、好ましくは呼び出して使用されることができ、このサブアセンブリが組み立てられることができる。次いで、荷造りの場合において、個々の構成部品だけでなく、サブアセンブリを形成するために事前組み立てされた構成部品も、荷造りされる。
【0033】
オーダの入力または処理の後に、すべての構成部品が存在するか否か、短期間で製造できるか否か、あるいは下請け業者から迅速に呼び集めることができるか否かが、コンピュータの助けによって確認されるなら、時間の節約になることが分かっている。これらの工程は、集合と称される作業工程の一部とみなすことができる。このやり方で、構成部品の在庫管理のシーケンスとオーダの入力からの構成部品の集合とがリンクされる。
【0034】
個々の構成部品またはサブアセンブリを形成するために事前組み立てされた構成部品が、据え付け場所または組み立てセクタにおいて損傷および紛失することがないよう、組み立てセクタに到着した後でのみ、組み立て工程識別を考慮して使用の直前に、構成部品を梱包材から取り出すと、有利である。
【0035】
識別は、好ましくは人間によって直接読み取りできるだけでなく、読み取り装置の助けによって機械で読み取り可能であり、あるいは機械的に検出可能であるよう、構成されるべきである。
【0036】
以下では、本発明のさらなる詳細および利点を、添付の図面を参照して例として説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1には、輸送システム10としてエレベータが示されており、実質的に以下の構成要素、すなわち負荷支持体12を形成する床を備えたエレベータケージ11、ケージ扉システム13、釣り合いおもり14、駆動システム15、エレベータケージ11または釣り合いおもり14のための案内レール16、昇降路扉17、制御システム19、および昇降路材料18を有している。図1から、輸送システム10の全体組み立てが、特に、機械の組み立てに比べて実質的に複雑であることが明らかである。なぜなら、個々の部品が、異なる組み立てセクタまたは別々の階にて必要とされ、それら部品を適切な階へと輸送するためのエレベータ設備が存在しておらず、あるいは個々の部品が、そのようなエレベータ設備にとって大きすぎるからである。組み立て時間を短縮するため、建物の複数のエレベータが、同時に組み立てられることがしばしばであり、さらに一方では機能上の理由から、他方では安全上の理由から、個々の組み立て工程を正確な時間におけるシーケンスで実行しなければならないことから、全体の組み立てがさらに複雑なものとなる。
【0038】
図2は、本発明の基本的考え方、および本発明の3つの変形A、B、Cを明らかにしている。
【0039】
局所軸xが、図2において垂直方向に示されている。局所軸xは、長さを比例尺で記述していると理解すべきではない。エレベータの場合には、局所軸xは、建設の実際の垂直軸に実質的に一致することができる。斜めまたは水平な輸送手段の場合、あるいは建物の同じ部分に配置された複数のエレベータを使用する場合、これらに対する局所軸xは、特定の場所の近傍に位置する組み立てセクタにおおむね対応し、この例では、4つの組み立てセクタx1、x2、x3、およびx4が示されている。1つ以上の配送ユニットUが、各組み立てセクタx1、x2、x3、およびx4に関連付けられている。配送ユニットUは、それらの輸送先であるそれぞれの組み立てセクタの指定によって、索引が付されている。配送ユニットUx1からUx4の構成部品が、組み立てセクタx1からx4における組み立ての場合に必要とされる。
【0040】
図2には、さらに時間軸tが水平方向に示されており、この時間軸tで、組み立て工程のシーケンスが明らかである。時間軸tまたは時間軸tに沿って示されている組み立て工程は、比例尺であると理解すべきではない。この例では、5つの組み立て工程t1、t2、t3、t4、およびt5が示されており、各組み立て工程に対して、1つ以上の配送ユニットUが供給される。配送ユニットUは、それらの組み立て工程の実行が意図される各組み立て工程の指定によって、索引が付されている。配送ユニットUt1の構成部品が、組み立て工程t1の実行に使用され、同様に配送ユニットUt2からUt5の構成部品が、組み立て工程t2からt5の実行に必要とされる。
【0041】
すでに述べたように、この新規な方法を実行するために、3つの変形A、B、およびCが可能である。
【0042】
変形Aにおいては、配送ユニットUが、セクタ識別K(x)を有しており、これによって各配送ユニットUを、正しい組み立てセクタへと輸送することが可能である。組み立て工程を実行するために、専門知識および/または追加の組み立て情報が、場合によってはセクタ識別K(x)との組み合わせで、必要とされる。
【0043】
変形Bにおいては、配送ユニットUが、組み立て工程識別K(t)のみを有しており、これにより、それぞれの組み立て工程に従って配送ユニットUから構成部品を取り出すことが可能である。配送ユニットUを正しい組み立てセクタへと配送するために、専門知識および/または追加の組み立て情報が、場合によっては組み立て工程識別との組み合わせにおいて、必要とされる。
【0044】
最適であると称することができる変形Cにおいては、配送ユニットUが、セクタ識別K(x)だけでなく、組み立て工程識別K(t)も有しており、したがって変形AおよびBの利点が、組み合わされて使用される。変形Cのための配送ユニットUは、図2において、それぞれの組み立てセクタまたはそれぞれの組み立て工程の指定によって、索引が付されている。建物の各部の複数のエレベータが、同じ時間セグメントにおいて据え付けされる場合、識別は、好ましくは全体の据え付けの最適化へと指向される。すなわち、例えば、複数のエレベータの釣り合いおもり14を、複数の連続する組み立て工程を含むことができる特定の組み立てセクションに取り付けることができる。
【0045】
図3は、この場合には図1に示したエレベータについての、輸送システム10の構成部品が収容される、配送ユニットUを示している。構成部品は、集合された後に、配送ユニットUを形成するために、適切な特定の梱包材によって荷造りされる。この例の配送ユニットUは、多くの場合と同様、パレット30上に配置され、あるいはパレット30を含んでいる。
【0046】
梱包材を囲むまたは梱包材を囲むことなく構成部品をまとめるため、テープ、綱、ワイヤなどに加えて、構成部品を完全または部分的に囲む問題となる梱包材として、例えば紙、プラスチックフィルム、ダンボール、木材、およびポリスチレンである。各配送ユニットに、少なくとも1つの識別K(x)および/またはK(t)が供給されることが必須である。
【0047】
さらに、配送ユニットUは、特別な工具または検査装置を含むことができ、特にそれぞれの配送ユニットに配置された構成部品の組み立てにのみ必要とされる、特別な工具および特別な検査装置を含むことができる。
【0048】
図4は、この例では識別K(x)、K(t)が貼り付けられているラベル40を示している。しかしながら、識別K(x)およびK(t)を、梱包材に直接貼り付けてもよく、あるいは場合によっては、構成部品自体に貼り付けてもよい。識別K(x)および識別子K(t)を、同じラベル、あるいは梱包材または構成部品の項目の同じ指定領域に貼り付けることができ、あるいは別個のラベルまたは別個の指定領域が、それぞれの識別のために供給されてもよい。共通のラベルまたは共通の指定領域の場合には、識別K(x)およびK(t)のための別個の識別フィールドが供給される。
【0049】
さらに、ラベルまたは指定領域は、さらなる詳細を入力することができるさらなる領域を含むことができる。さらに、ラベルが、例えば在庫管理、配送、または帳簿管理に関する確認に関連して使用できる、空白の領域を含んでもよい。
【0050】
識別K(x)、K(t)は、きわめて多種多様なやり方で構成されることができる。それら識別は、理解可能または読み取り可能でなければならず、好ましくは機械で読み取り可能であり、あるいは機械でのみ読み取り可能である。平文または暗号化詳細および略記による文字の組み合わせまたは数字の組み合わせ、特には絵文字などの絵による表示、バーコードが、特に問題になる。さらに、様々に色付けされた識別を含ませることが可能であり、あるいはRFタグを使用することが可能である。
【0051】
識別K(x)、K(t)は、ラベル40に、あるいは配送ユニットUの梱包材または構成部品に直接、接着剤、溶着、印刷、または押印によって、取り付けることができ、あるいは貼り付けることができる。
【0052】
配送ユニットUは、すでに述べたように、構成部品11から19または複数の構成部品を含んでいる。場合によっては、構成部品11から19の少なくとも一部を、配送ユニットUに含まれる少なくとも1つの組み立てユニットまたは組み立てパケットを形成するため、事前に荷造りされることができる。
【0053】
配送ユニットへと貼り付けられた識別K(x)、K(t)は、読み取り可能であり、好ましくは機械で読み取り可能である。識別K(x)、K(t)は、好ましくは、人間によって読み取ることができるだけでなく、読み取り装置によって機械的に読み取ることができるように形成される。
【0054】
識別K(t)が、組み立て指示への参照を含んでおり、あるいは読み取り装置による識別の読み取りによって、来たる組み立て工程についての情報が、映像画面または印刷物に示されると、トラブルなしの組み立てシーケンスのために、特に有利である。
【0055】
図5Aおよび図5Bは、以下の工程を有するこの新規な方法のシーケンスを、図式的に示している。
【0056】
オーダされるシステムが、コンピュータDによって規定または構成される。この工程は、任意である。これは、例えば、新たな建物を計画する建築家によって実行されることができ、あるいは既存のシステムの改造または取り外しに関することができる。この顧客の希望が、販売者または顧客によるオーダ入力に直接定められる。
【0057】
この工程が完了した後、オーダを、例えば標準化されたEDIオーダの形態で、あるいは別のやり方で、システムの生産者へと通信することができる。図5Aにおいては、この通信が、ネットワーク20によってコンピュータEへと行なわれる例が示されている。これらの工程を、示されているとおり、例えば慣習的なやり方(formulae)によって、従来からのルートで行なうことも可能である。
【0058】
次いで、パーツリスト21および関連する組み立て情報22を、コンピュータEによって用意することができる。これは、特に好ましい方法においては、すべての必要なパラメータおよび他の事項を、到来する情報(オーダ)またはコンピュータへと入力された情報から抽出することで、行なわれる。次いで、パーツリスト21および/または組み立て情報21が、これらパラメータおよび事項に基づいて決定される。その場合、純粋な管理上のパラメータおよび詳細は別として、本発明の目的のために、例えば建物部分のエレベータの数、駆動装置の種類、積載量、人間の数、公称速度、停止の数、入口の数、入口の位置、エンジンルームが上方であるか、下方であるか、あるいはエンジンルームが存在しないか、ケーブルガイドの種類、昇降路の平面図および立面図、停止点の距離、ケージの種類など、主要な技術的マグニチュード(magnitudes)が使用される。パーツリストは、通常、エレベータまたはエレベータ設備を組み立てるための構成部品またはサブアセンブリ、ならびにそれらの必要数のリストである。パーツリストは、例えば、例を1つだけ挙げるならば、構成部品の指定または特定、ならびに例えば長さ2.5mまたは5mの案内レールがいくつ必要であるかを示す部品のリストを含んでいる。
【0059】
組み立て情報22は、組み立てセクタx1からx4、および/または組み立て工程t1からt5についての詳細を含んでいる。好ましくは、これらの事項の提供および適切な適合が可能になるよう、コンピュータEが、データベースおよび/または知識ベースにアクセスする。組み立て情報22およびパーツリスト21の提供のため、好ましくは、取り次ぎ入力またはオーダ入力から推察できる詳細が使用される。データベースおよび/または知識ベースは、例えば、エレベータ建設業者によって前もって決定された基本的枠組みを含んでおり、これが、オーダ入力で文書化された顧客の希望にあわせて、適切に適合される。
【0060】
部品リスト21および組み立て情報22のどちらも、紙形式で存在する必要がない点に、留意されたい。情報の再現または提供について、他の形態もあり得る。
【0061】
供給されるべきシステムの構成要素11から19が、最初に集められる。この工程が、図5Aの下部に概略的に示されている。システムに必要な構成部品が、パーツリスト21に基づいて特定される。次いで、それら構成部品が、在庫されているか否か(図5Aにおいては、保管場所が保管棚23の形態で示されている)、あるいは構成部品が、供給業者によって供給されるべきものであるか否かが確認される。すべての構成部品が存在するとすぐに、それらが準備される。この準備は、必ずしも構成部品を棚から取り出すことを意味するわけではない。準備は、論理的な準備であってよい。これが、図5Aにおいて一番下に示されており、構成部品11から19が列に並べられている。
【0062】
コンピュータC(コンピュータEと同一であってよく、あるいはコンピュータEに接続されていてもよい)が、組み立て情報を準備する。これが、図5Bに複数の矢印24で示されている。組み立て情報自体は、マグニチュードx1、t1などの関数fとして示されている。
【0063】
組み立て情報に従い、パーツリスト21によって特定された構成部品11から19が、グループに組み合わされ、その場合に、組み立てセクタおよび組み立て工程が考慮される。集合段階は、この工程によって完了する。
【0064】
続いて、これらグループに適切な梱包材が供給され、各グループから配送ユニットUがもたらされる。図5Bにおいては、これらの配送ユニットが、四角い箱の形態で簡略化して示されている。
【0065】
次いで、セクタ識別K(x)および/または組み立て工程識別K(t)が、コンピュータCの情報によって、各配送ユニットについて同様に生成または準備される。このプロセスが、図5Bに矢印25で示されている。これらの識別K(x)、K(t)が、矢印26によって示されているとおり配送ユニットUに貼り付けられる。このようにして識別された配送ユニットUが、今や供給される。次いでこれらが、収集され、保管され、あるいは配送されることができる。
【0066】
このようにして識別された配送ユニットUが、引き続いて、あるいは後に、設置位置へと運ばれ、そこでセクタ識別K(x)に基づいて、組み立てセクタx1、x2へと運ばれる。組み立て工程識別K(t)に従い、構成部品を梱包材から取り出すことができる。
【0067】
最後の2つの工程は任意である。それらは、図5Bにおいて、図の下方の部分に概略的に示されている。
【0068】
さらなる任意の工程が、図5Bに示されている。組み立て情報または他の情報を、コンピュータCによって組立作業者へと伝えることができる。これは、例えば、情報を携帯型のコンピュータ(PDA)に再度記録することで、行なうことができる。
【0069】
以上説明した方法を変更でき、それぞれの詳細を適合できることは、明らかである。それぞれのシーケンスの自動化程度に応じて、この方法のより多数のまたはより少数の工程を、コンピュータに支援されたやり方で実行することができる。1つのコンピュータ、または接続された複数のコンピュータを、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】エレベータの形態である組み立て済みの輸送システムを、簡略化した図で示している。
【図2】本発明の原理を、概略的に示している。
【図3】図1に示した輸送システムの構成部品を簡略化して示しており、いずれの場合も、1つ以上の構成部品が配送ユニットに含まれている。
【図4】配送ユニットに貼り付けられる識別の例を、正面図で示している。
【図5A】本発明による方法のシーケンスを、図式的に示している。
【図5B】本発明による方法のシーケンスを、図式的に示している。
【符号の説明】
【0071】
10 輸送システム
11 エレベータケージ
12 負荷支持体
13 ケージ扉システム
14 釣り合いおもり
15 駆動システム
16 案内レール
17 昇降路扉
18 昇降路材料
19 制御システム
20 ネットワーク
21 パーツリスト
22 組み立て情報
23 保管棚
30 パレット
40 ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ(10)、エスカレータ、または動く歩道のための構成部品(11から19)を供給する、コンピュータ支援による供給方法であって、
特定のエレベータ(10)、エスカレータ、または動く歩道に必要とされる構成部品(11から19)、ならびに前記構成部品の数の規定を含む、パーツリスト(21)を供給する工程と、
前記エレベータ(10)、エスカレータ、または動く歩道の、組み立てセクタ(x1からx4)および/または組み立て工程(t1からt5)についての詳細を含んでいる組み立て情報(22)を供給する工程と、
パーツリスト(21)に従って、構成部品(11から19)を特定しかつ供給する工程と、
前記構成部品(11から19)を、配送グループを形成するために組み立て情報(22)を使用して組み合わせる工程とを含み、配送グループが、配送ユニット(U)を形成するために梱包材によって荷造される、方法。
【請求項2】
配送ユニット(U)が、読み取り可能であり、好ましくは機械で読み取り可能である、セクタ識別(K(x))および/またはシーケンス識別(K(t))を供給され、前記セクタおよび/またはシーケンス識別(K(x)、K(t))が、組み立て情報(22)の項目に対応して、
配送ユニット(U)が輸送されるべき据え付け位置でのそれぞれの組み立てセクタ(x1からx4)、および/または、
作業者が据え付け場所において段階を追って組み立て工程(t1からt5)を実行できるようにする、組み立て工程(t1からt5)のシーケンスを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
供給される構成部品(11から19)の少なくとも一部が、パーツリスト(21)および/または組み立て情報(22)を使用して集められることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記セクタおよび/またはシーケンス識別(K(x)、K(t))が、コンピュータ(C)によって生成または処理されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記セクタおよび/またはシーケンス識別(K(x)、K(t))を、配送ユニット(U)に手作業または機械によって貼り付ける工程と、
配送ユニット(U)を据え付け場所へと輸送する工程と、
前記セクタおよび/またはシーケンス識別(K(x)、K(t))に基づいて、据え付け場所の領域にある異なる組み立てセクタ(x1からx4)に配送ユニット(U)を分配する工程との1つ以上の工程を特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
セクタ識別(K(x))が存在し、配送ユニット(U)が、据え付け場所の組み立てセクタ(x1からx4)へセクタ識別に基づいて輸送され、好ましくは構成部品(11から19)が、組み立てセクタ(x1からx4)への到着後のみ、現場で梱包材から取り出されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
シーケンス識別(K(t))が存在し、好ましくは構成部品(11から19)が、組み立てセクタ(x1からx4)への到着後のみ、シーケンス識別(K(t))を考慮して、現場で梱包材から取り出されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
電子コンピュータインタフェースによって、特定のエレベータ(10)、エスカレータ、または動く歩道についてのオーダを受信するさらなる工程を特徴とし、該オーダの入力は、コンピュータがパーツリストおよび/または組み立て情報の準備に着手できるようにする情報を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
パーツリストおよび/または組み立て情報を、コンピュータによって提供する工程と、
パーツリストおよび/または組み立て情報を、コンピュータのスクリーン上または印刷物に表示する工程とのうちの1つ以上の工程を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
荷造りに先立って、
構成部品(11から19)の少なくとも一部の最適化された事前組み立てのための情報を呼び出す工程と、
引き続く荷造りにおいて、事前組み立てされた構成部品(11から19)も荷造りされるよう、構成部品(11から19)の前記一部の事前組み立てを行なう工程とが実行されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
集める場合において、すべての必要な構成部品(11から19)が入手可能であるか否かを、コンピュータによって確認することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記セクタおよび/またはシーケンス識別(K(x)、K(t))が、好ましくは人間によって読み取り可能なだけでなく、読み取り装置によって機械的にも読み取り可能であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
エレベータ(10)、エスカレータ、または動く歩道のための構成部品(11から19)を含み、かつ指定を有している配送ユニット(U)であって、
配送ユニット(U)が、いくつかの構成部品(11から19)を含み、該構成部品(11から19)が、特定の組み立て工程(t1からt5)に必要とされ、かつ/または特定の組み立てセクタ(x1からx4)において使用され、
指定が、供給ユニットの輸送先である据え付け場所の組み立てセクタ(x1からx4)についての情報を含んでいるセクタ識別(K(x))、および/または組み立て工程(t1からt4)についての情報を含んでいるシーケンス識別(K(t))を含み、組み立て工程(t1からt4)の間に、組み立て作業者が、据え付け場所において段階を追って組み立て工程(t1からt4)を実行できるように、配送ユニットの構成部品(11から19)が使用されることを特徴とする、配送ユニット(U)。
【請求項14】
構成部品(11から19)の少なくとも一部が、配送ユニット(U)に含まれる少なくとも1つの組み立てユニットまたは組み立てパケットを形成するために荷造りされることを特徴とする、請求項13に記載の配送ユニット(U)。
【請求項15】
識別(K(x)、K(t))が、読み取り可能であり、好ましくは機械によって読み取り可能であり、好ましくは識別(K(x)、K(t))が、人間によって読み取り可能なだけでなく、読み取り装置によって機械的にも読み取り可能であることを特徴とする、請求項13または14に記載の配送ユニット(U)。
【請求項16】
識別(K(x)、K(t))が、接着、溶着、印刷、または押印によって、配送ユニット(U)の梱包材または構成部品(11から19)に、取り付けまたは貼り付けられることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の配送ユニット(U)。
【請求項17】
識別(K(x)、K(t))が、組み立て指示への参照を含み、あるいは読み取り装置で識別を読むことによって、来たる組み立て工程に関する情報が、画面または印刷物に提示されることを特徴とする、請求項13から16のいずれか一項に記載の配送ユニット(U)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2006−315862(P2006−315862A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−116343(P2006−116343)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】