エレベータかご内除菌装置
【課題】出入口の扉を開いた際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかごを昇降する際にエレベータかご内の除菌効果の低下を抑制する。
【解決手段】エレベータかご内除菌装置2は、静電霧化により帯電微粒子液を発生させる静電霧化手段3と、この静電霧化手段3で発生された帯電微粒子水をエレベータかご1内に放出する排気口4と、静電霧化手段3へと送風する空気を前記エレベータかご1内から吸引する吸気口5とを備える。エレベータかご1の出入口12が設けられた壁面13以外の壁面14上方の天井11部位に排気口4と前記吸気口5とを設ける。排気口4から出入口12が設けられた壁面13以外の壁面14に沿って帯電微粒子液を含んだ空気が下方に放出され、この帯電微粒子水を含んだ空気が上方の前記吸気口5へと吸引されることで、この帯電微粒子水を含んだ空気がエレベータかご1内を循環するようにした。
【解決手段】エレベータかご内除菌装置2は、静電霧化により帯電微粒子液を発生させる静電霧化手段3と、この静電霧化手段3で発生された帯電微粒子水をエレベータかご1内に放出する排気口4と、静電霧化手段3へと送風する空気を前記エレベータかご1内から吸引する吸気口5とを備える。エレベータかご1の出入口12が設けられた壁面13以外の壁面14上方の天井11部位に排気口4と前記吸気口5とを設ける。排気口4から出入口12が設けられた壁面13以外の壁面14に沿って帯電微粒子液を含んだ空気が下方に放出され、この帯電微粒子水を含んだ空気が上方の前記吸気口5へと吸引されることで、この帯電微粒子水を含んだ空気がエレベータかご1内を循環するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータかご内除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベータかご内を除菌する技術を開示している。
【0003】
特許文献1は、エレベータかごの天井にイオン発生装置と送風装置を配置している。このイオン発生装置は、内部電極と外部電極の間に正電圧と負電圧からなる高圧パルス電圧を印加し、プラズマ放電を起こすことで外部電極の周囲空気をイオン化して略同数の正イオンと負イオンを発生するものである。
【0004】
特許文献1は、送風装置を駆動して天井に設けた吸気口から空気を吸気して天井に設けた開口部からエレベータかご内に送風すると共に、イオン発生装置で発生させた正負イオンを送風にのせて開口部からエレベータかご内に放出するように動作する。
【0005】
このように、プラズマ放電で外部電極の周囲空気をイオン化して生成した正負イオンをエレベータかご内に放出することで、エレベータかご内の浮遊菌等の不活性化をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−99205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に示された従来例は、イオン発生装置と送風装置をエレベータかごの出入口を設けた壁面の直上の天井部位に配置し、正負イオンを放出する開口部が出入口の真上の天井部分に開口している。
【0008】
このため、出入口の扉が開くと、天井に設けた開口部から正負イオンをエレベータかご内に放出しても、出入口から外に逃げ易い。特に、出入口の扉が開き、エレベータかご内から人が外(エレベータ乗り場)に出る際、外に出る人の動きに伴ってエレベータかご内から外に向けてわずかな空気の流れが生じ、この空気の流れに乗って正負イオンが外に逃げ易い。
【0009】
このように従来は、出入口の扉が開く毎に、出入口から正負イオンが逃げるという問題がある。
【0010】
ところで、エレベータかご内の除菌は、特に出入口の扉を開いて搭乗者が出入りする際、及び、扉を閉じて直ぐに搭乗者を乗せてエレベータかごを昇降する際にエレベータかご内を除菌することが重要である。
【0011】
しかしながら、従来は、前述のように出入口の扉が開く毎に、出入口から正負イオンが逃げるので、エレベータかご内に滞留する正負イオンが少なくなり、搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかごを昇降する際における除菌効果が低下する。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みて発明したものであって、出入口の扉を開けて搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかごを昇降する際におけるエレベータかご内の除菌効果の低下を抑制できるエレベータかご内除菌装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のエレベータかご内除菌装置は、静電霧化により帯電微粒子液を発生させる静電霧化手段と、この静電霧化手段で発生された帯電微粒子水をエレベータかご内に放出する排気口と、前記静電霧化手段へと送風する空気を前記エレベータかご内から吸引する吸気口と、を備えたエレベータかご内除菌装置であって、前記エレベータかごの出入口が設けられた壁面以外の壁面上方の天井部位に前記排気口と前記吸気口とを設け、前記排気口から前記出入口が設けられた壁面以外の壁面に沿って前記帯電微粒子液を含んだ空気が下方に放出され、この帯電微粒子水を含んだ空気が上方の前記吸気口へと吸引されることで、この帯電微粒子水を含んだ空気が前記エレベータかご内を循環するようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、前記静電霧化手段が、霧化電極に供給された水を静電霧化して帯電微粒子水を生成するものであることが好ましい。
【0015】
また、前記排気口と前記吸気口とを前記出入口が設けられた壁面と対向する奥側の壁面に沿って隣接配設することが好ましい。
【0016】
また、前記出入口が設けられた壁面以外の壁面に沿ってその巾方向の中程の部位で前記排気口と前記吸気口とを隣接配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、出入口の扉を開け際に帯電微粒子水が出入口から外に逃げ難くなり、この結果、搭乗者が出入りする際、及び、扉を閉じて直ぐに搭乗者を乗せてエレベータかごを昇降する際における帯電微粒子水によるエレベータかご内の除菌効果の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の概略斜視図である。
【図2】同上の図1のX−X線断面図である。
【図3】同上の図1のY−Y線断面図である。
【図4】同上の平面図である。
【図5】同上に用いる静電霧化手段の概略構成図である。
【図6】同上の循環空気の流れを示す正面図である。
【図7】同上の循環空気の流れを示す側面図である。
【図8】本発明の他の実施形態の平面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態の平面図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の平面図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0020】
図1、図1乃至図7は一実施形態を示す。図1に示すように、エレベータかご1は、エレベータかご1内を除菌するエレベータかご内除菌装置2を備えている。
【0021】
エレベータかご内除菌装置2は、図2に示すように、液体を静電霧化して帯電微粒子液を発生させる静電霧化手段3と、この静電霧化手段3で発生された帯電微粒子水をエレベータかご1内に放出する排気口4と、静電霧化手段3へと送風する空気をエレベータかご1内から吸引する吸気口5を備えている。
【0022】
図2の実施形態においてエレベータかご内除菌装置2は、送風流路6を設けたハウジング7の下面に排気口4と吸気口5を有するグリル8を設け、送風流路6内に吸気口5から排気口4側にかけ順に送風ファン9、脱臭フィルタ10、静電霧化手段3を配設している。
【0023】
なお、本実施形態において、静電霧化手段3、送風ファン9を制御する制御部をハウジング7の送風流路6を設けた部分以外の部分に内装している。
【0024】
静電霧化手段3は、液体供給手段により霧化電極15に供給した液体に高電圧を印加することで、液体を静電霧化して活性種をナノメータサイズの帯電微粒子液を生成するようになっている。
【0025】
図5にはその一例を示し、液体供給手段として、空気中の水分を結露水として生成して霧化電極15に供給する例を示している。以下液体として水を例として説明し、同様に帯電微粒子液として帯電微粒子水を例として説明する。
【0026】
すなわち静電霧化手段3は、霧化電極15と、空気中の水分を結露水として生成することで霧化電極15に水を供給するための冷却部16と、供給した結露水を静電霧化するために霧化電極15に高電圧を印加するための高電圧印加部17とを備えている。
【0027】
図5に示す実施形態においてはペルチェユニットのような熱交換器18の冷却部16により空気中の水分を冷却して結露水を生成することで霧化電極15に水を供給するようになっている。
【0028】
図5には熱交換器18としてペルチェユニットの例を示している。ペルチェユニットは熱伝導性の高いアルミナや窒化アルミニウムからなる絶縁板の片面側に回路を形成してある一対のペルチェ回路板19を、互いの回路が向き合うように対向させ、多数列設してある熱電素子20を両ペルチェ回路板19間で挟持すると共に隣接する熱電素子20同士を両側の回路で電気的に接続して構成している。
【0029】
そして熱電素子20への通電により一方のペルチェ回路板19側から他方のペルチェ回路板19側に向けて熱が移動するように構成している。
【0030】
一方の側のペルチェ回路板19の外側には冷却部16を接続し、また、他方の側のペルチェ回路板19の外側には放熱部26を接続している。実施形態では放熱部26として放熱フィンの例を示している。ペルチェユニットの冷却部16には霧化電極15の後端部を接続している。
【0031】
霧化電極15は絶縁材料からなる筒体21で囲まれており、筒体21の周壁には筒体21内外を連通する開口22が設けている。また、筒体21の先端開口部にリング状をした対向電極23を配設し、霧化電極15の軸心の延長線上にリング状の対向電極23のリングの中心が位置するように霧化電極15と対向電極23とが対向している。なお、本発明においては対向電極23を設けないものも含む。
【0032】
上記静電霧化手段3は、ペルチェユニットに通電することで、冷却部16を冷却し、冷却部16を冷却することで霧化電極15を冷却し、空気中の水分を結露して霧化電極15に水(結露水)を供給するようになっている。
【0033】
このように霧化電極15に水が供給された状態で上記霧化電極15と対向電極23との間に高電圧を印加すると、霧化電極15と対向電極23との間にかけられた高電圧により霧化電極15の先端部に供給された水と対向電極23との間にクーロン力が働き、水の液面が局所的に錐状に盛り上がる。
【0034】
このように水の液面が錐状に盛り上がってテーラーコーンを形成すると、該テーラーコーンの先端に電荷が集中してこの部分における電界強度が大きくなって、これによりこの部分に生じるクーロン力が大きくなり、更にテーラーコーンが成長する。
【0035】
このようにテーラーコーンが成長し該テーラーコーンの先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となると、テーラーコーンの先端部分の水が大きなエネルギー(高密度となった電荷の反発力)を受け、表面張力を超えて分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返して活性種を含むマイナス又はプラスに帯電したナノメータサイズの帯電微粒子水を大量に生成させて筒体21の先端開口部から送風流路6内に放出するように構成している。
【0036】
前記構成のエレベータかご内除菌装置2は、エレベータかご1の天井11部位に配置する。
【0037】
本実施形態においては、天井11に設けた孔にエレベータかご内除菌装置2を嵌め込み、エレベータかご内除菌装置2の大部分を天井11の上方に配設し、天井11下面においてグリル8部分のみがエレベータかご1内に露出するように配置する。
【0038】
これにより、グリル8に設けた排気口4と吸気口5が天井11の下面側においてエレベータかご1内に開口する。
【0039】
また、排気口4と吸気口5は、出入口12が設けられた壁面13以外の壁面14に沿ってその巾方向の中程の部位の上方の天井11部位に隣接配置するのが好ましい。
【0040】
本実施形態では、図1、図3、図4に示すように、エレベータかご1の出入口12が設けられた壁面13と対向する奥側の壁面14の上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を設けている。
【0041】
また、この実施形態では、図1、図2、図4に示すように、奥側の壁面14の巾方向の中程の部位の上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を奥側の壁面14に沿って隣接配置している。
【0042】
エレベータかご1の前記出入口12が設けられた壁面13又はそれ以外の壁面14のいずれかに静電霧化手段3を操作するための操作部24を設けている。
【0043】
操作部24を操作して静電霧化手段3をオンにすると、ペルチェユニットに通電して冷却部16により霧化電極15を冷却し、空気中の水分を結露して霧化電極15に水(結露水)を供給する。
【0044】
この霧化電極15に供給された水に高電圧を印加して静電霧化することで活性種を含むナノメータサイズの帯電微粒子水を大量に生成し、送風流路6内に放出する。
【0045】
このような帯電微粒子水の生成と同時に送風ファン9を駆動し、吸気口5からエレベータかご1内の空気を送風流路6に吸い込み、送風流路6内に放出された帯電微粒子水を含んだ空気を排気口4からエレベータかご1内に放出する。
【0046】
排気口4から下方に放出された帯電微粒子水を含んだ空気は、排気口4を出入口12が設けられた壁面13と対向する奥側の壁面14上方の天井11部位に設けてあるので、排気口4の下方の壁面14に沿ってエレベータかご1の下部に流れる。
【0047】
また、エレベータかご1の下部の帯電微粒子水を含んだ空気は、出入口12が設けられた壁面13と対向する奥側の壁面14に沿って上方に流れて該壁面14の上方の吸気口5から送風流路6内に吸引される。
【0048】
送風流路6に吸引された空気は、帯電微粒子水が放出される部分に供給され、帯電微粒子水を含んだ空気が再び排気口4から、出入口12が設けられた壁面13と対向する奥側の壁面14に沿ってエレベータかご1の下部の下部に流れる。
【0049】
このようにして送風流路6を介してエレベータかご1内を循環する帯電微粒子水を含んだ空気の循環流が形成される。
【0050】
この帯電微粒子水を含んだ空気の循環流は図6、図7の矢印のようにエレベータかご1内を流れることになる。
【0051】
放出された帯電微粒子水は既に述べたように活性種を含んでいるので、エレベータかご1内を浮遊する細菌やウイルスを不活性化する効果(これを除菌効果と称する)があり、また、脱臭効果、花粉を不活性化する効果等がある。
【0052】
既に述べたように、エレベータかご1内の除菌はエレベータかごに搭乗者がいない時に内部を除菌するだけでなく、出入口12の扉27を開いて搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかご1を昇降する際にも内部を効果的に除菌することが重要である。
【0053】
ここで、帯電微粒子水を含んだ空気は前述のように出入口12から離れた壁面14に沿って循環するので、エレベータかご1の出入口12に設けた扉27を開いても帯電微粒子水が出入口12から外(乗り場)に流出し難くなる。
【0054】
また、出入口12の扉27が開き、エレベータかご1内から搭乗者が外に出る際に、エレベータかご1内から外に向けてわずかに空気流が生じるが、前記のように出入口12から離れたところで循環流が形成されるので、搭乗者が外に出る際も帯電微粒子水が外に逃げ難い。
【0055】
この結果、出入口12の扉27が開いて搭乗者が出入りしている間におけるエレベータかご1内における帯電微粒子水の浮遊量の減少を抑制でき、帯電電微粒子水によるエレベータかご1内の除菌効果、脱臭効果の低下を抑制できる。
【0056】
したがって、出入口12の扉27を開いて搭乗者がエレベータかご1内に入いる際に搭乗者と共にエレベータかご1内に侵入する細菌やウイルスに対して、エレベータかご1内を浮遊する十分な量の帯電微粒子水により侵入と同時に効果的に除菌、脱臭ができる。
【0057】
同様に、出入口12の扉27を閉じてエレベータかご1を昇降している間も、出入口12の扉27を閉じた直後であるといえども、エレベータかご1内を十分な量の帯電微粒子水が浮遊しているので、効果的に除菌、脱臭ができる。
【0058】
また、天井11に設けた排気口4から放出された帯電微粒子水を含む空気が出入口12と対向する壁面14に沿って下方に流れる際、該空気は壁面14に沿いながら次第に下広がりになって下降し、これに伴い、帯電微粒子水も次第に下広がりに分散しながら下降し、一部は空気流から離れてエレベータかご1内を浮遊する。
【0059】
一方、エレベータかご1の下部の空気は、出入口12が設けられた壁面13と対向する奥側の壁面14に沿って下から上に向けて次第に奥側の壁面14側に集めながら吸気口5に吸引されるので、エレベータかご1内の空気の循環が効果的に行われる。
【0060】
したがって、エレベータかご内除菌装置2の運転中、エレベータかご1内は帯電微粒子水が隅々まで飛翔する状態を維持できる。
【0061】
ここで、奥側の壁面14に沿って下降する空気流は、床面付近での流速をほぼゼロに近い流速にしてもよい。
【0062】
このようにすることで、奥側の壁面14に沿って下降する空気流に乗って下方に移送された帯電微粒子水が床面に当たって付着する量を減らし、エレベータかご1内を浮遊する量を増大し、除菌効果や脱臭効果を向上できる。
【0063】
また、図2に示すように、送風流路6内に脱臭フィルタ10を配置することで、吸気口5から送風流路6内に吸引した空気を、この脱臭フィルタ10によっても脱臭することができ、脱臭効果がより向上する。
【0064】
ここで、脱臭フィルタ10を静電霧化手段3よりも上流側に配置しているので、静電霧化手段3で生成した帯電微粒子水のラジカルは、清浄な空気に含まれて排気口4からエレベータかご1内に放出されることになる。
【0065】
この結果、帯電微粒子水に含まれたラジカルが未反応の状態で排気口4からエレベータかご1内に放出されて、エレベータかご1内を浮遊しながら細菌や臭気と反応して不活性化することになり、エレベータかご1内における除菌効果や脱臭効果がより向上する。
【0066】
なお、操作部24をオンすることで、エレベータかご内除菌装置2を連続運転し、オフすることで、連続運転を停止するようにしてもよいが、操作部24をオンすることで、エレベータかご内除菌装置2を一定時間運転し、その後自動的に所定時間運転を停止し、その後、再び一定時間運転するということを交互に繰り返すような間欠運転をおこなってもよい。
【0067】
間欠運転の例としては、例えば30分運転し、その後、1時間運転停止をし、これを交互に繰り返す例を例示できるが、必ずしもこれにのみ限定されるものではない。
【0068】
前記実施形態では、エレベータかご1の一壁面13に出入口12を設け、この出入口12を設けた壁面13と対向する奥側の壁面14の上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を設けた例を示したが必ずしもこれにのみ限定されるものではない。
【0069】
図8は他の実施形態を示す。
【0070】
本実施形態は、エレベータかご1の一壁面13に出入口12を設け、この出入口12を設けた壁面13に隣接する両壁面14のうち一方の壁面14の上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を設けている。
【0071】
本実施形態においても、前述の実施形態と同じく出入口12から帯電微粒子水が外に逃げるのを抑制し、搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかご1を昇降する際における帯電微粒子水によるエレベータかご1内の除菌効果の低下を抑制できる。
【0072】
また、本実施形態では、出入口12を設けた壁面13に隣接する一壁面14に沿ってその巾方向の中程の部位、又は巾方向の両側寄りに排気口4と吸気口5を配置する。この場合、排気口4を出入口12から離れる側に配置するとともに吸気口5を出入口12に近い側に配置するのが好ましい。
【0073】
これにより、排気口4から放出する空気に含ませた帯電微粒子水を出入口12から外に逃げ難くし、エレベータかご1内の隅々まで帯電微粒子水を浮遊させることができる。
【0074】
また、図9は更に他の実施形態を示す。
【0075】
本実施形態は、エレベータかご1の一壁面13に出入口12を設け、出入口12を設けた壁面13に隣接する両壁面14のうち一方の壁面14の上方の天井11部位に排気口4を設け、両壁面14のうち他方の壁面14の上方の天井11部位に吸気口5を設けている。本実施形態では排気口4、静電霧化手段3、送風ファン9等を備えたハウジング7から吸気口5を分離し、吸気口5と排気口4とを送風流路6の一部を構成するダクトにより連通接続している。
【0076】
本実施形態においても、前述の実施形態と同じく出入口12から帯電微粒子水が外に逃げるのを抑制し、搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかご1を昇降する際における帯電微粒子水によるエレベータかご1内の除菌効果の低下を抑制できる。
【0077】
図10、図11はそれぞれ更に他の実施形態を示す。
【0078】
この図10、図11示す本実施形態は、エレベータかご1の2壁面に出入口12を設けた例であり、出入口12を設けた2壁面13以外の壁面14上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を設けている。
【0079】
図10はエレベータかご1の対向する2壁面13にそれぞれ出入口12を設け、出入口12を設けた壁面13以外の2壁面のうち一壁面14上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を設けている。排気口4と吸気口5は上記天井11の端部の一壁面14の巾方向の中程に対応する位置に巾方向に沿って隣接して配置している。
【0080】
本実施形態は、いずれの出入口12が開いても、帯電微粒子水が外に逃げるのを抑制し、搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかご1を昇降する際における帯電微粒子水によるエレベータかご1内の除菌効果の低下を抑制できる。
【0081】
図11はエレベータかご1の対向する2壁面13にそれぞれ出入口12を設け、出入口12を設けた壁面13以外の2壁面のうち一壁面14の巾方向の中程上方の天井11部位に排気口4を設けると共に、2壁面のうち他壁面14の巾方向の中程上方の天井11部位に吸気口5を設けている。
【0082】
本実施形態は、帯電微粒子水を含んだ空気をエレベータかご1内で効果的に循環させ、いずれの出入口12が開いても、帯電微粒子水が外に逃げるのを抑制し、搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかご1を昇降する際における帯電微粒子水によるエレベータかご1内の除菌効果の低下を抑制できる。
【0083】
なお、前述の例では天井11に設けた孔にかご内除菌装置2を嵌め込んで下面側が天井11の下面側に露出し且つ上面側が天井11の上に突出するように配設した例を示したが、かご内除菌装置2全体を天井11の下面側に取付けてもよい。
【0084】
この場合、既存のエレベータかご1の天井11に簡単にかご内除菌装置2を取付けることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 エレベータかご
2 エレベータかご内除菌装置
3 静電霧化手段
4 排気口
5 吸気口
11 天井
12 出入口
13 壁面
14 壁面
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータかご内除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベータかご内を除菌する技術を開示している。
【0003】
特許文献1は、エレベータかごの天井にイオン発生装置と送風装置を配置している。このイオン発生装置は、内部電極と外部電極の間に正電圧と負電圧からなる高圧パルス電圧を印加し、プラズマ放電を起こすことで外部電極の周囲空気をイオン化して略同数の正イオンと負イオンを発生するものである。
【0004】
特許文献1は、送風装置を駆動して天井に設けた吸気口から空気を吸気して天井に設けた開口部からエレベータかご内に送風すると共に、イオン発生装置で発生させた正負イオンを送風にのせて開口部からエレベータかご内に放出するように動作する。
【0005】
このように、プラズマ放電で外部電極の周囲空気をイオン化して生成した正負イオンをエレベータかご内に放出することで、エレベータかご内の浮遊菌等の不活性化をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−99205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に示された従来例は、イオン発生装置と送風装置をエレベータかごの出入口を設けた壁面の直上の天井部位に配置し、正負イオンを放出する開口部が出入口の真上の天井部分に開口している。
【0008】
このため、出入口の扉が開くと、天井に設けた開口部から正負イオンをエレベータかご内に放出しても、出入口から外に逃げ易い。特に、出入口の扉が開き、エレベータかご内から人が外(エレベータ乗り場)に出る際、外に出る人の動きに伴ってエレベータかご内から外に向けてわずかな空気の流れが生じ、この空気の流れに乗って正負イオンが外に逃げ易い。
【0009】
このように従来は、出入口の扉が開く毎に、出入口から正負イオンが逃げるという問題がある。
【0010】
ところで、エレベータかご内の除菌は、特に出入口の扉を開いて搭乗者が出入りする際、及び、扉を閉じて直ぐに搭乗者を乗せてエレベータかごを昇降する際にエレベータかご内を除菌することが重要である。
【0011】
しかしながら、従来は、前述のように出入口の扉が開く毎に、出入口から正負イオンが逃げるので、エレベータかご内に滞留する正負イオンが少なくなり、搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかごを昇降する際における除菌効果が低下する。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みて発明したものであって、出入口の扉を開けて搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかごを昇降する際におけるエレベータかご内の除菌効果の低下を抑制できるエレベータかご内除菌装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のエレベータかご内除菌装置は、静電霧化により帯電微粒子液を発生させる静電霧化手段と、この静電霧化手段で発生された帯電微粒子水をエレベータかご内に放出する排気口と、前記静電霧化手段へと送風する空気を前記エレベータかご内から吸引する吸気口と、を備えたエレベータかご内除菌装置であって、前記エレベータかごの出入口が設けられた壁面以外の壁面上方の天井部位に前記排気口と前記吸気口とを設け、前記排気口から前記出入口が設けられた壁面以外の壁面に沿って前記帯電微粒子液を含んだ空気が下方に放出され、この帯電微粒子水を含んだ空気が上方の前記吸気口へと吸引されることで、この帯電微粒子水を含んだ空気が前記エレベータかご内を循環するようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、前記静電霧化手段が、霧化電極に供給された水を静電霧化して帯電微粒子水を生成するものであることが好ましい。
【0015】
また、前記排気口と前記吸気口とを前記出入口が設けられた壁面と対向する奥側の壁面に沿って隣接配設することが好ましい。
【0016】
また、前記出入口が設けられた壁面以外の壁面に沿ってその巾方向の中程の部位で前記排気口と前記吸気口とを隣接配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、出入口の扉を開け際に帯電微粒子水が出入口から外に逃げ難くなり、この結果、搭乗者が出入りする際、及び、扉を閉じて直ぐに搭乗者を乗せてエレベータかごを昇降する際における帯電微粒子水によるエレベータかご内の除菌効果の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の概略斜視図である。
【図2】同上の図1のX−X線断面図である。
【図3】同上の図1のY−Y線断面図である。
【図4】同上の平面図である。
【図5】同上に用いる静電霧化手段の概略構成図である。
【図6】同上の循環空気の流れを示す正面図である。
【図7】同上の循環空気の流れを示す側面図である。
【図8】本発明の他の実施形態の平面図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態の平面図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の平面図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0020】
図1、図1乃至図7は一実施形態を示す。図1に示すように、エレベータかご1は、エレベータかご1内を除菌するエレベータかご内除菌装置2を備えている。
【0021】
エレベータかご内除菌装置2は、図2に示すように、液体を静電霧化して帯電微粒子液を発生させる静電霧化手段3と、この静電霧化手段3で発生された帯電微粒子水をエレベータかご1内に放出する排気口4と、静電霧化手段3へと送風する空気をエレベータかご1内から吸引する吸気口5を備えている。
【0022】
図2の実施形態においてエレベータかご内除菌装置2は、送風流路6を設けたハウジング7の下面に排気口4と吸気口5を有するグリル8を設け、送風流路6内に吸気口5から排気口4側にかけ順に送風ファン9、脱臭フィルタ10、静電霧化手段3を配設している。
【0023】
なお、本実施形態において、静電霧化手段3、送風ファン9を制御する制御部をハウジング7の送風流路6を設けた部分以外の部分に内装している。
【0024】
静電霧化手段3は、液体供給手段により霧化電極15に供給した液体に高電圧を印加することで、液体を静電霧化して活性種をナノメータサイズの帯電微粒子液を生成するようになっている。
【0025】
図5にはその一例を示し、液体供給手段として、空気中の水分を結露水として生成して霧化電極15に供給する例を示している。以下液体として水を例として説明し、同様に帯電微粒子液として帯電微粒子水を例として説明する。
【0026】
すなわち静電霧化手段3は、霧化電極15と、空気中の水分を結露水として生成することで霧化電極15に水を供給するための冷却部16と、供給した結露水を静電霧化するために霧化電極15に高電圧を印加するための高電圧印加部17とを備えている。
【0027】
図5に示す実施形態においてはペルチェユニットのような熱交換器18の冷却部16により空気中の水分を冷却して結露水を生成することで霧化電極15に水を供給するようになっている。
【0028】
図5には熱交換器18としてペルチェユニットの例を示している。ペルチェユニットは熱伝導性の高いアルミナや窒化アルミニウムからなる絶縁板の片面側に回路を形成してある一対のペルチェ回路板19を、互いの回路が向き合うように対向させ、多数列設してある熱電素子20を両ペルチェ回路板19間で挟持すると共に隣接する熱電素子20同士を両側の回路で電気的に接続して構成している。
【0029】
そして熱電素子20への通電により一方のペルチェ回路板19側から他方のペルチェ回路板19側に向けて熱が移動するように構成している。
【0030】
一方の側のペルチェ回路板19の外側には冷却部16を接続し、また、他方の側のペルチェ回路板19の外側には放熱部26を接続している。実施形態では放熱部26として放熱フィンの例を示している。ペルチェユニットの冷却部16には霧化電極15の後端部を接続している。
【0031】
霧化電極15は絶縁材料からなる筒体21で囲まれており、筒体21の周壁には筒体21内外を連通する開口22が設けている。また、筒体21の先端開口部にリング状をした対向電極23を配設し、霧化電極15の軸心の延長線上にリング状の対向電極23のリングの中心が位置するように霧化電極15と対向電極23とが対向している。なお、本発明においては対向電極23を設けないものも含む。
【0032】
上記静電霧化手段3は、ペルチェユニットに通電することで、冷却部16を冷却し、冷却部16を冷却することで霧化電極15を冷却し、空気中の水分を結露して霧化電極15に水(結露水)を供給するようになっている。
【0033】
このように霧化電極15に水が供給された状態で上記霧化電極15と対向電極23との間に高電圧を印加すると、霧化電極15と対向電極23との間にかけられた高電圧により霧化電極15の先端部に供給された水と対向電極23との間にクーロン力が働き、水の液面が局所的に錐状に盛り上がる。
【0034】
このように水の液面が錐状に盛り上がってテーラーコーンを形成すると、該テーラーコーンの先端に電荷が集中してこの部分における電界強度が大きくなって、これによりこの部分に生じるクーロン力が大きくなり、更にテーラーコーンが成長する。
【0035】
このようにテーラーコーンが成長し該テーラーコーンの先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となると、テーラーコーンの先端部分の水が大きなエネルギー(高密度となった電荷の反発力)を受け、表面張力を超えて分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返して活性種を含むマイナス又はプラスに帯電したナノメータサイズの帯電微粒子水を大量に生成させて筒体21の先端開口部から送風流路6内に放出するように構成している。
【0036】
前記構成のエレベータかご内除菌装置2は、エレベータかご1の天井11部位に配置する。
【0037】
本実施形態においては、天井11に設けた孔にエレベータかご内除菌装置2を嵌め込み、エレベータかご内除菌装置2の大部分を天井11の上方に配設し、天井11下面においてグリル8部分のみがエレベータかご1内に露出するように配置する。
【0038】
これにより、グリル8に設けた排気口4と吸気口5が天井11の下面側においてエレベータかご1内に開口する。
【0039】
また、排気口4と吸気口5は、出入口12が設けられた壁面13以外の壁面14に沿ってその巾方向の中程の部位の上方の天井11部位に隣接配置するのが好ましい。
【0040】
本実施形態では、図1、図3、図4に示すように、エレベータかご1の出入口12が設けられた壁面13と対向する奥側の壁面14の上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を設けている。
【0041】
また、この実施形態では、図1、図2、図4に示すように、奥側の壁面14の巾方向の中程の部位の上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を奥側の壁面14に沿って隣接配置している。
【0042】
エレベータかご1の前記出入口12が設けられた壁面13又はそれ以外の壁面14のいずれかに静電霧化手段3を操作するための操作部24を設けている。
【0043】
操作部24を操作して静電霧化手段3をオンにすると、ペルチェユニットに通電して冷却部16により霧化電極15を冷却し、空気中の水分を結露して霧化電極15に水(結露水)を供給する。
【0044】
この霧化電極15に供給された水に高電圧を印加して静電霧化することで活性種を含むナノメータサイズの帯電微粒子水を大量に生成し、送風流路6内に放出する。
【0045】
このような帯電微粒子水の生成と同時に送風ファン9を駆動し、吸気口5からエレベータかご1内の空気を送風流路6に吸い込み、送風流路6内に放出された帯電微粒子水を含んだ空気を排気口4からエレベータかご1内に放出する。
【0046】
排気口4から下方に放出された帯電微粒子水を含んだ空気は、排気口4を出入口12が設けられた壁面13と対向する奥側の壁面14上方の天井11部位に設けてあるので、排気口4の下方の壁面14に沿ってエレベータかご1の下部に流れる。
【0047】
また、エレベータかご1の下部の帯電微粒子水を含んだ空気は、出入口12が設けられた壁面13と対向する奥側の壁面14に沿って上方に流れて該壁面14の上方の吸気口5から送風流路6内に吸引される。
【0048】
送風流路6に吸引された空気は、帯電微粒子水が放出される部分に供給され、帯電微粒子水を含んだ空気が再び排気口4から、出入口12が設けられた壁面13と対向する奥側の壁面14に沿ってエレベータかご1の下部の下部に流れる。
【0049】
このようにして送風流路6を介してエレベータかご1内を循環する帯電微粒子水を含んだ空気の循環流が形成される。
【0050】
この帯電微粒子水を含んだ空気の循環流は図6、図7の矢印のようにエレベータかご1内を流れることになる。
【0051】
放出された帯電微粒子水は既に述べたように活性種を含んでいるので、エレベータかご1内を浮遊する細菌やウイルスを不活性化する効果(これを除菌効果と称する)があり、また、脱臭効果、花粉を不活性化する効果等がある。
【0052】
既に述べたように、エレベータかご1内の除菌はエレベータかごに搭乗者がいない時に内部を除菌するだけでなく、出入口12の扉27を開いて搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかご1を昇降する際にも内部を効果的に除菌することが重要である。
【0053】
ここで、帯電微粒子水を含んだ空気は前述のように出入口12から離れた壁面14に沿って循環するので、エレベータかご1の出入口12に設けた扉27を開いても帯電微粒子水が出入口12から外(乗り場)に流出し難くなる。
【0054】
また、出入口12の扉27が開き、エレベータかご1内から搭乗者が外に出る際に、エレベータかご1内から外に向けてわずかに空気流が生じるが、前記のように出入口12から離れたところで循環流が形成されるので、搭乗者が外に出る際も帯電微粒子水が外に逃げ難い。
【0055】
この結果、出入口12の扉27が開いて搭乗者が出入りしている間におけるエレベータかご1内における帯電微粒子水の浮遊量の減少を抑制でき、帯電電微粒子水によるエレベータかご1内の除菌効果、脱臭効果の低下を抑制できる。
【0056】
したがって、出入口12の扉27を開いて搭乗者がエレベータかご1内に入いる際に搭乗者と共にエレベータかご1内に侵入する細菌やウイルスに対して、エレベータかご1内を浮遊する十分な量の帯電微粒子水により侵入と同時に効果的に除菌、脱臭ができる。
【0057】
同様に、出入口12の扉27を閉じてエレベータかご1を昇降している間も、出入口12の扉27を閉じた直後であるといえども、エレベータかご1内を十分な量の帯電微粒子水が浮遊しているので、効果的に除菌、脱臭ができる。
【0058】
また、天井11に設けた排気口4から放出された帯電微粒子水を含む空気が出入口12と対向する壁面14に沿って下方に流れる際、該空気は壁面14に沿いながら次第に下広がりになって下降し、これに伴い、帯電微粒子水も次第に下広がりに分散しながら下降し、一部は空気流から離れてエレベータかご1内を浮遊する。
【0059】
一方、エレベータかご1の下部の空気は、出入口12が設けられた壁面13と対向する奥側の壁面14に沿って下から上に向けて次第に奥側の壁面14側に集めながら吸気口5に吸引されるので、エレベータかご1内の空気の循環が効果的に行われる。
【0060】
したがって、エレベータかご内除菌装置2の運転中、エレベータかご1内は帯電微粒子水が隅々まで飛翔する状態を維持できる。
【0061】
ここで、奥側の壁面14に沿って下降する空気流は、床面付近での流速をほぼゼロに近い流速にしてもよい。
【0062】
このようにすることで、奥側の壁面14に沿って下降する空気流に乗って下方に移送された帯電微粒子水が床面に当たって付着する量を減らし、エレベータかご1内を浮遊する量を増大し、除菌効果や脱臭効果を向上できる。
【0063】
また、図2に示すように、送風流路6内に脱臭フィルタ10を配置することで、吸気口5から送風流路6内に吸引した空気を、この脱臭フィルタ10によっても脱臭することができ、脱臭効果がより向上する。
【0064】
ここで、脱臭フィルタ10を静電霧化手段3よりも上流側に配置しているので、静電霧化手段3で生成した帯電微粒子水のラジカルは、清浄な空気に含まれて排気口4からエレベータかご1内に放出されることになる。
【0065】
この結果、帯電微粒子水に含まれたラジカルが未反応の状態で排気口4からエレベータかご1内に放出されて、エレベータかご1内を浮遊しながら細菌や臭気と反応して不活性化することになり、エレベータかご1内における除菌効果や脱臭効果がより向上する。
【0066】
なお、操作部24をオンすることで、エレベータかご内除菌装置2を連続運転し、オフすることで、連続運転を停止するようにしてもよいが、操作部24をオンすることで、エレベータかご内除菌装置2を一定時間運転し、その後自動的に所定時間運転を停止し、その後、再び一定時間運転するということを交互に繰り返すような間欠運転をおこなってもよい。
【0067】
間欠運転の例としては、例えば30分運転し、その後、1時間運転停止をし、これを交互に繰り返す例を例示できるが、必ずしもこれにのみ限定されるものではない。
【0068】
前記実施形態では、エレベータかご1の一壁面13に出入口12を設け、この出入口12を設けた壁面13と対向する奥側の壁面14の上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を設けた例を示したが必ずしもこれにのみ限定されるものではない。
【0069】
図8は他の実施形態を示す。
【0070】
本実施形態は、エレベータかご1の一壁面13に出入口12を設け、この出入口12を設けた壁面13に隣接する両壁面14のうち一方の壁面14の上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を設けている。
【0071】
本実施形態においても、前述の実施形態と同じく出入口12から帯電微粒子水が外に逃げるのを抑制し、搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかご1を昇降する際における帯電微粒子水によるエレベータかご1内の除菌効果の低下を抑制できる。
【0072】
また、本実施形態では、出入口12を設けた壁面13に隣接する一壁面14に沿ってその巾方向の中程の部位、又は巾方向の両側寄りに排気口4と吸気口5を配置する。この場合、排気口4を出入口12から離れる側に配置するとともに吸気口5を出入口12に近い側に配置するのが好ましい。
【0073】
これにより、排気口4から放出する空気に含ませた帯電微粒子水を出入口12から外に逃げ難くし、エレベータかご1内の隅々まで帯電微粒子水を浮遊させることができる。
【0074】
また、図9は更に他の実施形態を示す。
【0075】
本実施形態は、エレベータかご1の一壁面13に出入口12を設け、出入口12を設けた壁面13に隣接する両壁面14のうち一方の壁面14の上方の天井11部位に排気口4を設け、両壁面14のうち他方の壁面14の上方の天井11部位に吸気口5を設けている。本実施形態では排気口4、静電霧化手段3、送風ファン9等を備えたハウジング7から吸気口5を分離し、吸気口5と排気口4とを送風流路6の一部を構成するダクトにより連通接続している。
【0076】
本実施形態においても、前述の実施形態と同じく出入口12から帯電微粒子水が外に逃げるのを抑制し、搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかご1を昇降する際における帯電微粒子水によるエレベータかご1内の除菌効果の低下を抑制できる。
【0077】
図10、図11はそれぞれ更に他の実施形態を示す。
【0078】
この図10、図11示す本実施形態は、エレベータかご1の2壁面に出入口12を設けた例であり、出入口12を設けた2壁面13以外の壁面14上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を設けている。
【0079】
図10はエレベータかご1の対向する2壁面13にそれぞれ出入口12を設け、出入口12を設けた壁面13以外の2壁面のうち一壁面14上方の天井11部位に排気口4と吸気口5を設けている。排気口4と吸気口5は上記天井11の端部の一壁面14の巾方向の中程に対応する位置に巾方向に沿って隣接して配置している。
【0080】
本実施形態は、いずれの出入口12が開いても、帯電微粒子水が外に逃げるのを抑制し、搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかご1を昇降する際における帯電微粒子水によるエレベータかご1内の除菌効果の低下を抑制できる。
【0081】
図11はエレベータかご1の対向する2壁面13にそれぞれ出入口12を設け、出入口12を設けた壁面13以外の2壁面のうち一壁面14の巾方向の中程上方の天井11部位に排気口4を設けると共に、2壁面のうち他壁面14の巾方向の中程上方の天井11部位に吸気口5を設けている。
【0082】
本実施形態は、帯電微粒子水を含んだ空気をエレベータかご1内で効果的に循環させ、いずれの出入口12が開いても、帯電微粒子水が外に逃げるのを抑制し、搭乗者が出入りする際、及び、搭乗者を乗せてエレベータかご1を昇降する際における帯電微粒子水によるエレベータかご1内の除菌効果の低下を抑制できる。
【0083】
なお、前述の例では天井11に設けた孔にかご内除菌装置2を嵌め込んで下面側が天井11の下面側に露出し且つ上面側が天井11の上に突出するように配設した例を示したが、かご内除菌装置2全体を天井11の下面側に取付けてもよい。
【0084】
この場合、既存のエレベータかご1の天井11に簡単にかご内除菌装置2を取付けることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 エレベータかご
2 エレベータかご内除菌装置
3 静電霧化手段
4 排気口
5 吸気口
11 天井
12 出入口
13 壁面
14 壁面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電霧化により帯電微粒子液を発生させる静電霧化手段と、この静電霧化手段で発生された帯電微粒子水をエレベータかご内に放出する排気口と、前記静電霧化手段へと送風する空気を前記エレベータかご内から吸引する吸気口と、を備えたエレベータかご内除菌装置であって、前記エレベータかごの出入口が設けられた壁面以外の壁面上方の天井部位に前記排気口と前記吸気口とを設け、前記排気口から前記出入口が設けられた壁面以外の壁面に沿って前記帯電微粒子液を含んだ空気が下方に放出され、この帯電微粒子水を含んだ空気が上方の前記吸気口へと吸引されることで、この帯電微粒子水を含んだ空気が前記エレベータかご内を循環するようにしたことを特徴とするエレベータかご内除菌装置。
【請求項2】
前記静電霧化手段が、霧化電極に供給された水を静電霧化して帯電微粒子水を生成するものであることを特徴とする請求項1記載のエレベータかご内除菌装置。
【請求項3】
前記排気口と前記吸気口とを前記出入口が設けられた壁面と対向する奥側の壁面に沿って隣接配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエレベータかご内除菌装置。
【請求項4】
前記出入口が設けられた壁面以外の壁面に沿ってその巾方向の中程の部位で前記排気口と前記吸気口とを隣接配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のエレベータかご内除菌装置。
【請求項1】
静電霧化により帯電微粒子液を発生させる静電霧化手段と、この静電霧化手段で発生された帯電微粒子水をエレベータかご内に放出する排気口と、前記静電霧化手段へと送風する空気を前記エレベータかご内から吸引する吸気口と、を備えたエレベータかご内除菌装置であって、前記エレベータかごの出入口が設けられた壁面以外の壁面上方の天井部位に前記排気口と前記吸気口とを設け、前記排気口から前記出入口が設けられた壁面以外の壁面に沿って前記帯電微粒子液を含んだ空気が下方に放出され、この帯電微粒子水を含んだ空気が上方の前記吸気口へと吸引されることで、この帯電微粒子水を含んだ空気が前記エレベータかご内を循環するようにしたことを特徴とするエレベータかご内除菌装置。
【請求項2】
前記静電霧化手段が、霧化電極に供給された水を静電霧化して帯電微粒子水を生成するものであることを特徴とする請求項1記載のエレベータかご内除菌装置。
【請求項3】
前記排気口と前記吸気口とを前記出入口が設けられた壁面と対向する奥側の壁面に沿って隣接配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエレベータかご内除菌装置。
【請求項4】
前記出入口が設けられた壁面以外の壁面に沿ってその巾方向の中程の部位で前記排気口と前記吸気口とを隣接配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のエレベータかご内除菌装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−71914(P2012−71914A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216226(P2010−216226)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(505356468)パナソニック ホームエレベーター株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(505356468)パナソニック ホームエレベーター株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
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