説明

エレベータのかご室照明装置

【課題】 照明器ユニットをかご室の天井部から抜き取る前に、その照明器ユニットの照明器具を直接目視して異状部分の有無を確認し、その確認で異状がある場合にのみ、照明器ユニットを天井部から抜き取って効率的に保守点検の作業を実施することができるエレベータのかご室照明装置を提供する。
【解決手段】 エレベータのかご室1の天井板2に形成された開口8と、開口8に脱着可能に装着された蓋板9の下面に、かご室照明用の蛍光ランプ13を有する照明器具10を一体的に取り付けてなる照明器ユニット15と、蓋板9に形成され、天井板2の上方から照明器具10を目視することを可能にする確認窓20とを具備する。保守点検の際には、照明器ユニット15を抜き取る前に、確認窓20を通して照明器具10を目視して異状部分の有無を確認し、異状がある場合にのみ照明器ユニット15を抜き取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータのかご室の天井部に設けられ、そのかご室内を照明する光源を有するエレベータのかご室照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にかご室の照明装置は、例えば特開2007−84220公報に見られるように、かご室の天井板の下面に照明ケースを取り付け、この照明ケースの内側において、天井板の下面に照明器具を取り付け、照明ケースの下面の開口部に照明板を脱着可能に装着し、照明器具の光源の光を照明板を通して照射し、かご室内を照明する構造となっている。
【0003】
そして、照明器具の保守点検などの際には、照明ケースの下面の照明板を取り外し、照明ケースの下面の開口部を通してその作業を行なっている。
【0004】
しかしながら、照明器具の保守点検の都度、大型な照明板を照明ケースから取り外すのでは大掛かりで手間のかかる作業となり、能率が低下する。
【0005】
そこで、かご室の天井部に照明器具に対応する開口を形成し、その各開口に脱着可能に蓋板を装着し、これら蓋板の下面に照明器具を取り付けてユニット化し、保守点検の際にその蓋板と照明器具とからなるユニット体を天井部の開口から抜き取って保守点検の作業を行なうようにすることが考えられる。この場合には、照明ケースの下面の開口部に装着されている大型の照明板をいちいち取り外す必要がなく、したがって能率よく保守点検の作業を実施することができる。
【特許文献1】特開2007−84220公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、照明器具の保守点検に当っては、照明器具を目視して気掛かりな異状部分の有無を確認し、異状部分がある場合にその部分を補修したり改修したりすることになる。
【0007】
しかしながら、上述のように、蓋板に照明器具を取り付けて一体的な照明器ユニットとして構成されている場合、その照明器具を直接目視することができず、一旦、照明器ユニットをかご室の天井部から抜き取らなければ目視による確認ができず、その確認で異状部分がないと判断されたときには、照明器ユニットの抜き取りが無駄となり、保守点検の作用能率が低下することになってしまう。
【0008】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、照明器ユニットをかご室の天井部から抜き取る前に、その照明器ユニットの照明器具を直接目視して異状部分の有無を確認し、その確認で異状がある場合にのみ、照明器ユニットを天井部から抜き取って効率的に保守点検の作業を実施することができるエレベータのかご室照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、請求項1の発明は、エレベータのかご室の天井部に形成された開口と、前記開口に脱着可能に装着された蓋板の下面に、かご室照明用の光源を有する照明器具を一体的に取り付けてなる照明器ユニットと、前記蓋板に形成され、前記天井部の上方から前記照明器具を目視することを可能にする確認窓とを具備することを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、前記確認窓にはその開閉用のカバーが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、照明器ユニットをかご室の天井部から抜き取る前に、その照明器ユニットの照明器具を直接目視して異状部分の有無を確認し、その確認で異状がある場合にのみ、照明器ユニットを天井部から抜き取って効率的に保守点検の作業を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1にはエレベータのかご室1の断面図を示してあり、このかご室1は上部に天井部としての天井板2を備え、この天井板2の下面に照明ケース3が取り付けられている。照明ケース3は下面に開口部4を有し、この開口部4に透光性を有する合成樹脂材料で形成された照明板5が取り付けられている。
【0014】
図2にはかご室1を斜め上方から見た外観図を、図3にはその一部の拡大図を、図4にはその一部の断面図をそれぞれ示してあり、かご室1の天井板2には、例えば均等的な4箇所において、それぞれ矩形状の開口8が形成され、これら開口8にそれぞれ蓋板9が脱着可能に装着されている。
【0015】
各蓋板9の下面には、照明器具10を構成する複数のホルダ12と、これらホルダ12を介して支持された光源としての例えば環形の蛍光ランプ13と、この蛍光ランプ13を点灯させる点灯部品(図示せず)などが設けられ、これら照明器具10と蓋板9とで一体的な照明器ユニット15が構成されている。
【0016】
各蓋板9は、図4に示すように、開口8の縁部に形成された段部8aの上に載置され、複数の止めねじ16を介して段部8aに締結されている。そして各蓋板9の一部、すなわち照明器具10やその周辺を外部から目視することができる部分に確認窓20が形成され、これら確認窓20にカバー21が設けられている。カバー21はヒンジ22を介して確認窓20の縁部に回動可能に枢着され、その回動で確認窓20を開閉することができるようになっている。なお、図1に示す27はかご室1の前面に設けられた出入口、28はその出入口27を開閉するドア装置、29はかご室1内に設けられた操作盤である。
【0017】
このような構成において、照明器具10に対する保守点検の際には、作業員がエレベータ昇降路内に入り込んでかご室1の上に乗り込む。そして、図3および図4に示すように、蓋板9のカバー21を上方に回動して確認窓20を開き、この確認窓20を通して蓋板9の下面側の照明器具10を外部から目視し、その異状の有無を確認する。
【0018】
この確認の作業で、照明器具10に異状がなければそのままカバー21を下方に回動して確認窓20を閉じ、異状がある場合には、一旦、カバー21を下方に回動して確認窓20を閉じる。そして、止めねじ16を外し、図4に示すように、蓋板9と一体にその下面側の照明器具10を開口8から抜き取る。つまり、蓋板9と照明器具10とからなる照明器ユニット15をかご室1の上に取り出す。そしてこの照明器ユニット15を反転し、照明器具10を上に向け、この状態で照明器具10の異状について再点検し、必要な処置を施す。
【0019】
この際、照明器具10の全体は、かご室1から分離され、蛍光ランプ13などの周辺が大きく開放されており、このため照明器具10の再点検の作業や必要な処置を施す作業を容易に能率よく行なうことができる。
【0020】
このような作業をかご室1の天井部の各照明器ユニット15に対して行なう。そして作業の終了後には、各照明器ユニット15の蓋板9をその照明器具10が下方を向く状態で天井板2の各開口8に装着して各照明器具10を天井板2の下方に配置させるとともに、各蓋板9を止めねじ16で天井板2に締結固定する。
【0021】
以上のように、本実施形態では、照明器ユニット15をかご室1の天井部から抜き取る前に、確認窓20のカバー21を開き、その確認窓20を通して照明器ユニット15の照明器具10をかご室1の外部から直接目視してその照明器具10の異状の有無を確認することができ、したがって異状がない照明器ユニット15を天井部から抜き取ってしまうような無駄がなく、異状のある照明器ユニット15のみを抜き取って必要な処置を講じることができ、効率的に保守点検の作業を進めることができる。
【0022】
なお、照明器具10を目視するための確認窓20は、照明器ユニット15の蓋板9に形成するとともに、さらに天井板2に形成するようにしてもよい。また、照明器具10の光源としては、蛍光ランプ13に限らず、冷陰極管やLEDなどを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態に係る照明装置を備えるかご室の断面図。
【図2】この発明の一実施形態に係る照明装置を備えるかご室の斜視図。
【図3】そのかご室の天井部の一部を拡大して示す斜視図。
【図4】そのかご室の天井部の一部を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
【0024】
1…かご室
2…天井板
3…照明ケース
4…開口部
5…照明板
8…開口
8a…段部
9…蓋板
10…照明器具
12…ホルダ
13…蛍光ランプ
15…照明器ユニット
20…確認窓
21…カバー
22…ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかご室の天井部に形成された開口と、
前記開口に脱着可能に装着された蓋板の下面に、かご室照明用の光源を有する照明器具を一体的に取り付けてなる照明器ユニットと、
前記蓋板に形成され、前記天井部の上方から前記照明器具を目視することを可能にする確認窓と、
を具備することを特徴とするエレベータのかご室照明装置。
【請求項2】
前記確認窓にはその開閉用のカバーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータのかご室照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−42913(P2010−42913A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208627(P2008−208627)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】