説明

エレベータの乗りかご内天井照明装置

【課題】直管蛍光灯型LEDランプを乗りかご内の天井部に取付けた場合において、直管蛍光灯型LEDランプから照射された光を照明板の方向に確実に向けることができるようにする。
【解決手段】エレベータの乗りかご内天井照明装置において、乗りかご内の天井部3に取付けられて水平方向で対向する一対の天井側ブラケット8と、一方の面に複数のLED11が配列された細長板状の基板12を円筒状の筒体10内に収容した直管蛍光灯型LEDランプ7の端部を保持するソケット17が取付けられた一対のソケット側ブラケット9と、を有し、ソケット側ブラケット9は天井側ブラケット8に対し、ソケット17間に保持された直管蛍光灯型LEDランプ7がその中心線回りに回転可能及び任意の回転位置で固定可能に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの乗りかご内天井照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかごには、乗りかご内を照明する乗りかご内天井照明装置が設けられている。このようなエレベータの乗りかご内天井照明装置は、下記特許文献1に記載されているように、乗りかご内の天井部に取付けられた直管型蛍光灯と、この直管型蛍光灯の下側に配置された透光性樹脂製の照明板とを備えている。
【0003】
照明板は、様々な形状、構造のものが使用されており、例えば、蛍光灯の真下に配置された平板状のものや、隣合って平行に位置する蛍光灯の間に配置されて天井側に凸状に湾曲したものが存在する。
【0004】
直管型蛍光灯からの光の照射方向は、直管型蛍光灯の径方向の全周に向けて均等である。このため、直管型蛍光灯の真下に平板状の照明板が配置されている場合でも、隣合って平行に位置する直管型蛍光灯の間に天井側に向けて凸状に湾曲した照明板が配置されている場合でも、直管型蛍光灯を天井部に取付ける場合の直管型蛍光灯の中心線回りの回転角度については何ら考慮する必要はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−58880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、消費電力が少なく、長寿命であるLEDランプが普及している。エレベータの乗りかご内天井照明装置においても、外観形状が直管型蛍光灯と同じであるLEDランプ(直管蛍光灯型LEDランプ)を使用する場合がある。
【0007】
直管蛍光灯型LEDランプは、一方の面に複数のLEDが配列された基板を有し、この基板が直管型蛍光灯の外観と略同じ形状の円筒状の筒体内に収容されている。したがって、直管蛍光灯型LEDランプからの光の照射方向は、基板におけるLEDが配列された面の方向のみとなる。このため、直管蛍光灯型LEDランプを乗りかごの天井部に取付ける場合には、直管蛍光灯型LEDランプから照射される光が照明板の方向を向くように、直管蛍光灯型LEDランプの中心線回りの回転角度を考慮する必要がある。
【0008】
ところで、エレベータの乗りかごの形式は一定ではなく、乗りかごの横幅寸法が異なったり、乗りかごの天井部に取付けられている照明板の形状や設置位置が異なったりする。このため、形式の異なる乗りかご内の天井部に直管蛍光灯型LEDランプを取付ける場合に同一構造の取付部品を用いると、直管蛍光灯型LEDランプから照射された光が照明板の方向を向かない場合が発生する。したがって、乗りかごの形式が異なる場合でも、乗りかご内の天井部に取付けた直管蛍光灯型LEDランプからの光の照射方向を照明板の方向に向けるためには、直管蛍光灯型LEDランプを乗りかご内の天井部に取付けるための複数種類の取付部品を準備しておき、乗りかごの形式に応じた最適な取付部品を使用して直管蛍光灯型LEDランプを取付ける必要がある。
【0009】
しかし、乗りかごの形式に応じて複数種類の取付部品を準備しておくことは、製造すべ
き取付部品の種類が増加し、エレベータ全体としての製造コストが上昇する。また、使用した取付部品が適正でなかった場合には、別の取付部品を用いて直管蛍光灯型LEDランプの取付けをやり直さなければならず、多大な手間と時間とがかかる。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、直管蛍光灯型LEDランプを乗りかご内の天井部に取付けた場合において、直管蛍光灯型LEDランプの中心線回りの回転角度を簡単に変えることができ、直管蛍光灯型LEDランプから照射された光を照明板の方向に確実に向けることができるエレベータのかご室天井照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態のエレベータの乗りかご内天井照明装置は、かご室の天井部に取付けられて水平方向で対向する一対の天井側ブラケットと、一方の面に複数のLEDが配列された細長板状の基板を円筒状の筒体内に収容した直管蛍光灯型LEDランプの端部を保持するソケットが取付けられた一対のソケット側ブラケットと、を有し、ソケット側ブラケットは天井側ブラケットに対し、ソケット間に保持された直管蛍光灯型LEDランプがその中心線回りに回転可能及び任意の回転位置で固定可能に連結されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態における乗りかご内の直管蛍光灯型LEDランプの配置状態を示す縦断側面図である。
【図2】直管蛍光灯型LEDランプを破断して示す斜視図である。
【図3】直管蛍光灯型LEDランプの取付状態を示す正面図である。
【図4】その縦断側面図である。
【図5】(a)は天井側ブラケットを示す側面図、(b)はその正面図である。
【図6】(a)はソケット側ブラケットを示す正面図、(b)はその側面図である。
【図7】光の出射方向を斜め下向きとした直管蛍光灯型LEDランプの取付状態を示す縦断側面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における直管蛍光灯型LEDランプの取付状態を示す正面図である。
【図9】(a)は天井側ブラケットを示す側面図、(b)はその正面図である。
【図10】(a)はソケット側ブラケットを示す正面図、(b)はその側面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態における直管蛍光灯型LEDランプの取付状態を示す正面図である。
【図12】(a)は天井側ブラケットを示す側面図、(b)はその正面図である。
【図13】(a)はソケット側ブラケットを示す正面図、(b)はその側面図である。
【図14】本発明の第4の実施形態における直管蛍光灯型LEDランプの取付状態を示す正面図である。
【図15】本発明の第5の実施形態における直管蛍光灯型LEDランプの取付状態を示す正面図である。
【図16】その縦断側面図である。
【図17】ソケット側ブラケットが天井側ブラケットに設けられて回転規制突起に当接して回転が規制された状態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を図1ないし図7に基づいて説明する。エレベータの乗りかご1は箱型に形成され、周囲の4面に側板2が設けられ、上部には天井部である天板3が設
けられ、下部にはかご床(図示せず)が設けられている。
【0014】
天板3には、図1に示すように照明ケース4が固定され、照明ケース4の中央部には開口部5が形成され、この開口部5には天板3側へ向けて凸状に湾曲した照明板6が取付けられている。照明ケース4は遮光性の樹脂により形成され、照明板6は透光性の樹脂により形成されている。
【0015】
照明ケース4の内側には、直管蛍光灯型LEDランプ7、及び、この直管蛍光灯型LEDランプ7を保持するための天井側ブラケット8とソケット側ブラケット9とが設置されている。
【0016】
直管蛍光灯型LEDランプ7は、図2に示すように、長尺円筒状の筒体10と、一方の面に複数のLED11が配列されて筒体10内に収容された細長板状の基板12と、筒体10の両端に固定されたキャップ13と、キャップ13から筒体10の外側へ向けて突出した端子14とを備えている。直管蛍光灯型LEDランプ7の端部は、端子14を後述するソケット17の端子穴(図示せず)に差し込んだ状態で一対のソケット17間に保持されている。
【0017】
天井側ブラケット8は図3に示すように、1つの直管蛍光灯型LEDランプ7を保持するために水平方向で対向する一対が1組となって設置されている。この実施形態の乗りかご1では、照明板6を挟んだ位置に2つの直管蛍光灯型LEDランプ7が設置されており、天井側ブラケット8は照明板6を挟んだ位置に一対ずつ設置されている。天井側ブラケット8は図5に示すように、一枚の板部材をL字型に折り曲げて形成されており、一方の折曲片8aが天板3にネジ止めされ、下向きに延出する他方の折曲片8bには保持穴15が形成されている。
【0018】
ソケット側ブラケット9は図3に示すように、天井側ブラケット8に1つずつ連結されている。ソケット側ブラケット9は図6に示すように、一枚の板部材をL字型に折り曲げて形成されており、一方の折曲片9bには保持軸であるスタッド16が固定され、他方の折曲片9aにはソケット17がネジ止めされている。スタッド16は、ソケット17間に保持された直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線の延長線上に位置して設けられ、天井側ブラケット8の保持穴15に中心線回りに回転可能に挿入されている。ソケット側ブラケット9の天井側ブラケット8への連結は、スタッド16を保持穴15に挿入することにより行われている。
【0019】
保持穴15に挿入されたスタッド16には、締結体である蝶ナット18が螺合されている。
【0020】
本実施形態では、スタッド16と保持穴15と蝶ナット18とが、ソケット17間に保持された直管蛍光灯型LEDランプ7をその中心線回りに回転させ及び任意の回転位置で固定する機構として設けられている。
【0021】
このような構成において、エレベータの乗りかご内天井照明装置は図3に示すように、天板3に一対の天井側ブラケット8が対向して固定され、各天井側ブラケット8にはソケット側ブラケット9が連結されている。この連結は、ソケット側ブラケット9のスタッド16を天井側ブラケット8の保持穴15に挿入することにより行われている。各ソケット側ブラケット9にはソケット17が固定され、対向して位置するソケット17間に直管蛍光灯型LEDランプ7が保持されている。保持穴15に挿入されたスタッド16には蝶ナット18が螺合されている。スタッド16に螺合された蝶ナット18を締付けることにより、折曲片8bと折曲片9bとが圧接され、天井側ブラケット8に対してソケット側ブラ
ケット9が固定される。これにより、直管蛍光灯型LEDランプ7はその中心線回りの回転が規制され、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向が固定される。
【0022】
直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向を変える場合には、締付けられている蝶ナット18を緩め、ソケット側ブラケット9をスタッド16の中心線回りに回転可能とする。そして、ソケット側ブラケット9をスタッド16の中心線回りに回転させると、ソケット側ブラケット9と共に直管蛍光灯型LEDランプ7がその中心線回りに回転し、直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転角度を変えることができる。この操作により、基板12におけるLED11が配列された面の向きを、例えば、図4に示した下方向きから、図7に示した斜め下方向きに変えることができる。これにより、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向を変えることができ、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光を正確に照明板6の方向に向けることができ、適正な乗りかご内照明を行うことができる。直管蛍光灯型LEDランプ7をその中心線回りに任意の位置に回転させた後は、蝶ナット18を締付けて直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転を規制する。
【0023】
ここで、直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転角度を変える操作は、締付けられている蝶ナット18を緩め、直管蛍光灯型LEDランプ7をソケット側ブラケット9と共にスタッド16の中心線回りに回転させ、回転操作後に蝶ナット18を締付けることにより、簡単に短時間で行える。
【0024】
また、直管蛍光灯型LEDランプ7を保持するために使用する部品である天井側ブラケット8とソケット側ブラケット9とに関しては1種類ずつ準備すればよく、その天井側ブラケット8とソケット側ブラケット9とを形式が異なる様々な乗りかご1で使用することができる。したがって、直管蛍光灯型LEDランプ7を乗りかご1内の天板3に取付けるために必要となる部品の種類を少なくすることができ、エレベータ全体としての製造コストを抑えることができる。
【0025】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図8ないし図10に基づいて説明する。なお、本実施形態及び以下に説明する他の実施形態において、先行して説明した実施形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0026】
第2の実施形態の基本的な構成は、第1の実施形態と同じである。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、ソケット17間に保持された直管蛍光灯型LEDランプ7をその中心線回りに回転させ及び任意の回転位置で固定する機構の構成である。この機構は図8に示すように、ソケット側ブラケット9に設けられた保持軸である丸棒状のピン21と、一方のソケット側ブラケット9に形成された第1固定穴22と、天井側ブラケット8に形成された保持穴23と、一方の天井側ブラケット8に形成された複数の第2固定穴24と、連通された第1固定穴22と第2固定穴24とに挿入されてソケット側ブラケット9を天井側ブラケット8に対して固定する締結体であるネジ25とにより構成されている。
【0027】
ピン21は図10に示すように、ソケット側ブラケット9の折曲片9bに固定され、ソケット17間に保持された直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線の延長線上に位置している。
【0028】
第1固定穴22は図10に示すように、一方のソケット側ブラケット9の折曲片9bに、ピン21の中心線上から所定寸法“h”離間して形成されている。
【0029】
保持穴23は、天井側ブラケット8の折曲片8bに形成され、ピン21がその中心線回りに回転可能に挿入される。
【0030】
複数の第2固定穴24は図9に示すように、一方の天井側ブラケット8の折曲片8bに、保持穴23の中心から所定寸法“h”離間した1つの円周上に位置して形成され、ソケット側ブラケット9を保持穴23に挿入されたピン21を中心として回転させることにより、第1固定穴22と選択的に連通される。即ち、第1固定穴22が形成されたソケット側ブラケット9と第2固定穴24が形成された天井側ブラケット8とは同じ側に位置して連結されたものであり、ピン21の中心線から第1固定穴22までの所定寸法“h”と、保持穴23の中心から第2固定穴24までの所定寸法“h”とが同じ寸法である。
【0031】
ネジ25は、連通されて位置する第1固定穴22と第2固定穴24とに挿入可能であり、連通された第1固定穴22と第2固定穴24とに挿入されたネジ25の先端にナット26が螺合されている。
【0032】
このような構成において、エレベータの乗りかご内天井照明装置は図8示すように、ソケット側ブラケット9のピン21が天井側ブラケット8の保持穴23に挿入され、ソケット側ブラケット9の第1固定穴22とこの第1固定穴22に連通された天井側ブラケット8の第2固定穴24とにネジ25が挿入され、ネジ25の先端にナット26が螺合されている。これにより、天井側ブラケット8に対してソケット側ブラケット9が固定され、直管蛍光灯型LEDランプ7はその中心線回りの回転が規制され、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向が固定されている。
【0033】
直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向を変える場合には、ネジ25を外し、ソケット側ブラケット9をピン21の中心線回りに回転可能とする。そして、ソケット側ブラケット9をピン21の中心線回りに回転させると、ソケット側ブラケット9と共に直管蛍光灯型LEDランプ7がその中心線回りに回転し、直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転角度を変えることができる。これにより、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向を変えることができ、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光を正確に照明板6の方向に向けることができ、適正な乗りかご内照明を行うことができる。直管蛍光灯型LEDランプ7をその中心線回りに任意の位置に回転させた後は、連通する第1固定穴22と第2固定穴24とにネジ25を挿入し、直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転を規制する。
【0034】
ここで、直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転角度を変える操作は、第1固定穴22と第2固定穴24とに挿入されているネジ25を外し、直管蛍光灯型LEDランプ7をソケット側ブラケット9と共にピン21の中心線回りに回転させ、回転操作後に連通する第1固定穴22と第2固定穴24とにネジ25を挿入することにより、簡単に短時間で行える。
【0035】
なお、本実施形態では、第1固定穴22を一方のソケット側ブラケット9に形成し、第2固定穴24を一方の天井側ブラケット8に形成した場合を例に挙げて説明したが、一対のソケット側ブラケット9の双方に第1固定穴22を形成するとともに一対の天井側ブラケット8の双方に第2固定穴24を形成し、天井側ブラケット8へのソケット側ブラケット9の固定を直管蛍光灯型LEDランプ7の両端側において行ってもよい。
【0036】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を図11ないし図13に基づいて説明する。第3の実施形態の基本的な構成は、第1の実施形態と同じである。第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、ソケット17間に保持された直管蛍光灯型LEDランプ7をその中心線回りに回
転させ及び任意の回転位置で固定する機構の構成である。この機構は図11に示すように、ソケット側ブラケット9に設けられた保持軸である丸棒状のピン21と、一方のソケット側ブラケット9に形成された突起31と、天井側ブラケット8に形成された保持穴23と、一方のソケット側ブラケット9に形成された複数の固定穴32と、他方の天井側ブラケット8と他方のソケット側ブラケット9との間に設けられた付勢体であるコイルバネ33とにより構成されている。
【0037】
突起31は図13に示すように、一方のソケット側ブラケット9におけるピン21の中心線上から所定寸法“h”離間した位置にピン21の突出方向と同じ方向に突出して形成されている。
【0038】
複数の固定穴32は図12に示すように、一方の天井側ブラケット8における保持穴23の中心から所定寸法“h”離間した1つの円周上に位置して形成されている。保持穴23に挿入されたピン21を中心としてソケット側ブラケット9を回転させることにより、突起31が固定穴32に選択的に対向するとともに突起31は固定穴32に挿入可能である。即ち、突起31が形成されたソケット側ブラケット9と固定穴32が形成された天井側ブラケット8とは同じ側に位置して連結されたものであり、ピン21の中心線から突起31までの所定寸法“h”と、保持穴23の中心から固定穴32までの所定寸法“h”とが同じ寸法である。
【0039】
コイルバネ33は図11に示すように、他方のソケット側ブラケット9の折曲片9bと他方の天井側ブラケット8の折曲片8bとの間に位置してピン21の外周に設置されている。コイルバネ33は、突起31が対向して位置する固定穴32に挿入される方向へソケット側ブラケット9と直管蛍光灯型LEDランプ7とを付勢している。
【0040】
このような構成において、エレベータの乗りかご内天井照明装置は図11示すように、ソケット側ブラケット9のピン21が天井側ブラケット8の保持穴23に挿入され、ソケット側ブラケット9の突起31が天井側ブラケット8の固定穴32に挿入されている。なお、固定穴32への突起31の挿入は、コイルバネ33の付勢力により行われている。これにより、天井側ブラケット8に対してソケット側ブラケット9が固定され、直管蛍光灯型LEDランプ7はその中心線回りの回転が規制され、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向が固定されている。
【0041】
直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向を変える場合には、ソケット側ブラケット9と直管蛍光灯型LEDランプ7とを突起31が固定穴32から外れる方向へスライドさせ、ソケット側ブラケット9をピン21の中心線回りに回転可能とする。そして、ソケット側ブラケット9をピン21の中心線回りに回転させると、ソケット側ブラケット9と共に直管蛍光灯型LEDランプ7がその中心線回りに回転し、直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転角度を変えることができる。これにより、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向を変えることができ、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光を正確に照明板6の方向に向けることができ、適正な乗りかご内照明を行うことができる。直管蛍光灯型LEDランプ7をその中心線回りに任意の位置に回転させた後は、直管蛍光灯型LEDランプ7から手を離すと、コイルバネ33の付勢力により突起31が対向する固定穴32に挿入され、直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転が規制される。
【0042】
ここで、直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転角度を変える操作は、突起31が固定穴32から外れる方向へ直管蛍光灯型LEDランプ7とソケット側ブラケット9とをスライドさせ、直管蛍光灯型LEDランプ7をソケット側ブラケット9と共にピン2
1の中心線回りに回転させることにより、簡単に短時間で行える。
【0043】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態を図14に基づいて説明する。第4の実施形態の基本的な構成は、第1の実施形態と同じである。第4の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、ソケット17間に保持された直管蛍光灯型LEDランプ7をその中心線回りに回転させ及び任意の回転位置で固定する機構の構成である。この機構は、ネジ棒41と、雌ネジ部であるナット42と、締結体である蝶ナット43とにより構成されている。
【0044】
ネジ棒41は、ソケット側ブラケット9の一方の折曲片9bに固定され、ソケット17間に保持された直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線の延長線上に位置している。
【0045】
ナット42は、天井側ブラケット8の一方の折曲片8bに固定され、ネジ棒41が螺合可能とされている。
【0046】
蝶ナット43は、ナット42に螺合されたネジ棒41に螺合されている。
【0047】
このような構成において、エレベータの乗りかご内天井照明装置は、ソケット側ブラケット9のネジ棒41が天井側ブラケット8のナット42に螺合され、ナット42に螺合されたネジ棒41に蝶ナット43が螺合されている。これにより、ネジ棒41の中心線回りの回転が規制されるとともに天井側ブラケット8に対してソケット側ブラケット9が固定され、直管蛍光灯型LEDランプ7はその中心線回りの回転が規制され、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向が固定されている。
【0048】
直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向を変える場合には、締付けられている蝶ナット43を緩め、ナット42に螺合されているネジ棒41をその中心線回りに回転可能とする。そして、ネジ棒41をその中心線回りに回転させると、ソケット側ブラケット9と共に直管蛍光灯型LEDランプ7がその中心線回りに回転し、直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転角度を変えることができる。これにより、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向を変えることができ、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光を正確に照明板6の方向に向けることができ、適正な乗りかご内照明を行うことができる。直管蛍光灯型LEDランプ7をその中心線回りに任意の位置に回転させた後は、蝶ナット43を締付けて直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転を規制する。
【0049】
ここで、直管蛍光灯型LEDランプ7の中心線回りの回転角度を変える操作は、締付けられている蝶ナット43を緩め、直管蛍光灯型LEDランプ7をソケット側ブラケット9と共にネジ棒41の中心線回りに回転させ、回転操作後に蝶ナット43を締付けることにより、簡単に短時間で行える。
【0050】
また、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向を変える場合において、蝶ナット43を緩めて直管蛍光灯型LEDランプ7をその中心線回りに回転させた場合に、回転させた位置で直管蛍光灯型LEDランプ7やソケット側ブラケット9から手を離しても、ネジ棒41とナット42との螺合部分の摩擦により、直管蛍光灯型LEDランプ7の回転角度を維持することができる。このため、直管蛍光灯型LEDランプ7をその中心線回りに回転させてから蝶ナット43を締付けるまのでの間に直管蛍光灯型LEDランプ7が回転して回転角度がずれるということが起こらず、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向を変える操作をより一層容易に行うことができる。
【0051】
なお、本実施形態では、蝶ナット43を片側のネジ棒41にのみ螺合させた場合を例に
挙げて説明したが、蝶ナット43は両側のネジ棒41に螺合させてもよい。
【0052】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態を図15ないし図17に基づいて説明する。第4の実施形態の基本的な構成は、第1の実施形態と同じである。第5の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、一方の天井側ブラケット8に回転規制突起51を設けた点である。回転規制突起51は図15に示すように、天井側ブラケット8に連結されているソケット側ブラケット9の方向に突出して設けられ、ソケット側ブラケット9のスタッド16の中心線回りの回転角度が所定角度に達した場合にソケット側ブラケット9に当接される。
【0053】
このような構成において、直管蛍光灯型LEDランプ7から照射される光の方向を変える場合には、締付けられている蝶ナット18を緩め、ソケット側ブラケット9を直管蛍光灯型LEDランプ7と共にスタッド16の中心線回りに回転させる。この場合において、ソケット側ブラケット9及び直管蛍光灯型LEDランプ7の回転角度が所定角度に達すると、図17に示すように、ソケット側ブラケット9が回転規制突起51に干渉し、それ以上の回転が規制される。
【0054】
これにより、ソケット側ブラケット9や直管蛍光灯型LEDランプ7が必要以上に回転することを防止することができ、ソケット側ブラケット9が必要以上に回転することによりソケット17から引き出されている配線ケーブル(図示せず)が捩じれることを防止することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 乗りかご
3 天板(天井部)
7 直管蛍光灯型LEDランプ
8 天井側ブラケット
9 ソケット側ブラケット
10 筒体
11 LED
12 基板
15 保持穴
16 スタッド(保持軸)
18 蝶ナット(締結体)
21 ピン(保持軸)
22 第1固定穴
23 保持穴
24 第2固定穴
31 突起
32 固定穴
33 コイルバネ(付勢体)
41 ネジ棒
42 ナット(雌ネジ部)
43 蝶ナット(締結体)
51 回転規制突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかご内の天井部に取付けられて水平方向で対向する一対の天井側ブラケットと、
一方の面に複数のLEDが配列された細長板状の基板を円筒状の筒体内に収容した直管蛍光灯型LEDランプの端部を保持するソケットが取付けられた一対のソケット側ブラケットと、
を有し、
前記ソケット側ブラケットは前記天井側ブラケットに対し、前記ソケット間に保持された前記直管蛍光灯型LEDランプがその中心線回りに回転可能及び任意の回転位置で固定可能に連結されていることを特徴とするエレベータの乗りかご内天井照明装置。
【請求項2】
前記ソケット間に保持された前記直管蛍光灯型LEDランプをその中心線回りに回転させ及び任意の回転位置で固定する機構として、
前記ソケット側ブラケットに固定されて前記ソケット間に保持された前記直管蛍光灯型LEDランプの中心線の延長線上に位置する保持軸と、
前記天井側ブラケットに形成されて前記保持軸がその中心線回りに回転可能に挿入される保持穴と、
前記保持穴に挿入された前記保持軸に取付けられることにより前記ソケット側ブラケットを前記天井側ブラケットに対して固定する締結体と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のエレベータの乗りかご内天井照明装置。
【請求項3】
前記ソケット間に保持された前記直管蛍光灯型LEDランプをその中心線回りに回転させ及び任意の回転位置で固定する機構として、
前記ソケット側ブラケットに固定されて前記ソケット間に保持された前記直管蛍光灯型LEDランプの中心線の延長線上に位置する保持軸と、
少なくともいずれか一方の前記ソケット側ブラケットにおける前記保持軸の中心線上から所定寸法離間した位置に形成された第1固定穴と、
前記天井側ブラケットに形成されて前記保持軸がその中心線回りに回転可能に挿入される保持穴と、
少なくともいずれか一方の前記天井側ブラケットにおける前記保持穴の中心から所定寸法離間した1つの円周上に位置して形成され、前記保持穴に挿入された前記保持軸を中心
として前記ソケット側ブラケットを回転させることにより前記第1固定穴と選択的に連通可能な複数の第2固定穴と、
連通されて位置する前記第1固定穴と前記第2固定穴とに挿入されることにより前記ソケット側ブラケットを前記天井側ブラケットに対して固定する締結体と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のエレベータの乗りかご内天井照明装置。
【請求項4】
前記ソケット間に保持された前記直管蛍光灯型LEDランプをその中心線回りに回転させ及び任意の回転位置で固定する機構として、
前記ソケット側ブラケットに固定されて前記ソケット間に保持された前記直管蛍光灯型LEDランプの中心線の延長線上に位置する保持軸と、
いずれか一方の前記ソケット側ブラケットにおける前記保持軸の中心線上から所定寸法離間した位置に形成された突起と、
前記天井側ブラケットに形成されて前記保持軸がその中心線回りに回転可能に挿入される保持穴と、
いずれか一方の前記天井側ブラケットにおける前記保持穴の中心から所定寸法離間した1つの円周上に位置して形成され、前記保持穴に挿入された前記保持軸を中心として前記
ソケット側ブラケットを回転させることにより前記突起に選択的に対向して該突起が挿入可能な複数の固定穴と、
他方の前記ソケット側ブラケットと他方の前記天井側ブラケットとの間に設置され、前
記突起が前記固定穴に挿入される方向へ前記ソケット側ブラケットと前記直管蛍光灯型LEDランプとを付勢する付勢体と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のエレベータの乗りかご内天井照明装置。
【請求項5】
前記ソケット間に保持された前記直管蛍光灯型LEDランプをその中心線回りに回転させ及び任意の回転位置で固定する機構として、
前記ソケット側ブラケットに固定されて前記ソケット間に保持された前記直管蛍光灯型LEDランプの中心線の延長線上に位置するネジ棒と、
前記天井側ブラケットに設けられて前記ネジ棒が螺合される雌ネジ部と、
前記雌ネジ部に螺合された前記ネジ棒に螺合されることにより前記ソケット側ブラケットを前記天井側ブラケットに対して固定する締結体と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のエレベータの乗りかご内天井照明装置。
【請求項6】
少なくともいずれか一方の前記天井側ブラケットに設けられ、前記ソケット間に保持された前記直管蛍光灯型LEDランプが中心線回りに回転する方向へ前記ソケット側ブラケットを所定角度回転させた場合に、前記ソケット側ブラケットに当接して前記ソケット側ブラケットの回転を規制する回転規制突起を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のエレベータの乗りかご内天井照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−131594(P2012−131594A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284148(P2010−284148)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】