エレベータ制御装置
【課題】エレベータの無駄な待ち時間と到着時間のロスを削減する。
【解決手段】エレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1内の荷物専用ボタン1aが押下されたことを検知したとき、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1cで検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算する。エレベータ制御装置2は、乗場呼びボタン4−1乃至4−3が押下されたときに、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、エレベータカゴ1内の空きスペースが無いと判断した場合には、乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【解決手段】エレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1内の荷物専用ボタン1aが押下されたことを検知したとき、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1cで検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算する。エレベータ制御装置2は、乗場呼びボタン4−1乃至4−3が押下されたときに、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、エレベータカゴ1内の空きスペースが無いと判断した場合には、乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ制御装置に関し、特に、エレベータの無駄な待ち時間と到着時間のロスを削減するエレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータでは、自転車等の面積を多く必要とする荷物を乗せて運転中であっても、他階で乗場呼びがあった場合、その乗場呼びに応答する。しかしながら、エレベータ乗降者が乗るスペースがないために、エレベータ乗降者を乗せずに戸閉して次のカゴ呼びまたは乗場呼びに応答する。
【0003】
これでは、乗場階にいるエレベータ乗降者の待ち時間が増えてしまうだけでなく、エレベータカゴ内にいるエレベータ乗降者の目的階への到着時間にロスが生じてしまう。
【0004】
そこで、乗場階にいるエレベータ乗降者の待ち時間や、エレベータカゴ内にいるエレベータ乗降者の目的階への到着時間のロスを削減するために、特許文献1には、センサによって、エレベータカゴ内の荷物の大きさを1方向から検知し、満積時と判断した場合には満積通過する技術が提案されている。
【特許文献1】特開平5−201629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、1方向からエレベータカゴ内を検知しているため、エレベータカゴ内の占有面積は大雑把にしか把握することができない。そのため、実際には、エレベータカゴ内に空きスペースがあったとしても満積通過されてしまい、乗場階にいるエレベータ乗降者を無駄に待たせてしまう課題があった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、エレベータの無駄な待ち時間と到着時間のロスを削減するエレベータ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る特徴は、荷物専用ボタンの操作を検出する操作検出手段と、操作検出手段により荷物専用ボタンの操作が検出された場合、エレベータカゴ内の荷重と荷重の分布を検知する荷重検知手段と、荷重検知手段による検知結果から、エレベータカゴ内の空きスペースを演算する空きスペース演算手段と、空きスペース演算手段による演算結果に基づいて、エレベータカゴの呼び応答を制御する呼び応答制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エレベータの無駄な待ち時間と到着時間のロスを削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るエレベータの断面図である。図1には、エレベータ乗降者P1を乗せて昇降するエレベータカゴ1、エレベータカゴ1の荷重の状態を検知してエレベータ駆動装置3を制御するエレベータ制御装置2、エレベータカゴ1の昇降を制御するエレベータ駆動装置3が設けられている。
【0011】
また、図1の例では、1階乗場、2階乗場、3階乗場が図示されており、1階乗場の所定位置には、乗場呼びボタン4−1と荷物専用運転表示灯5−1が設けられ、2階乗場の所定位置には、乗場呼びボタン4−2と荷物専用運転表示灯5−2が設けられ、3階乗場の所定位置には、乗場呼びボタン4−3と荷物専用運転表示灯5−3が設けられている。
【0012】
エレベータカゴ1は、エレベータ乗降者P1を乗せて昇降し、目的階に移動する。エレベータカゴ1内の所定位置には、自転車S1などの積載面積を多く有する荷物を持ってエレベータカゴ1内に乗り込んだときにエレベータ乗降者P1により操作される荷物専用ボタン1a、および、目的階を登録するときにエレベータ乗降者P1により操作されるカゴ呼びボタン1bが設けられている。またエレベータカゴ1の床面には、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知する荷重検知装置1cが設置されている。
【0013】
エレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1内の荷物専用ボタン1aが押下されたことを検知したとき、荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。またエレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1内の荷物専用ボタン1aが押下されたことを検知したとき、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。
【0014】
ここで、荷重検知装置1cの荷重と荷重の分布を検知する例について説明する。
【0015】
図2は、エレベータカゴ1の内部を上部から見た透視図である。同図に示すように、エレベータカゴ1の床面に設置された荷重検知装置1cは、12行×8列の小さなシート状の荷重検知部の集合で構成されており、小さい面積単位でエレベータカゴ1内の荷重を検知することができる。以下、荷重検知部の1つを説明する場合、(m行,n列)の荷重検知部と称する。
【0016】
エレベータ乗降者P1は、例えば、自転車S1とともにエレベータ開閉扉1dからエレベータカゴ1に乗り込み、荷物専用ボタン1aを押下する。この操作を検出したエレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1の荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。
【0017】
図2の例では、(2,2)、(3,2)、(4,3)、(5,3)、(5,4)、(8,5)、(9,5)、(9,6)、(10,6)、(10,7)、(11,7)の荷重検知部で自転車S1の荷重が検知されるとともに、(6,6)、(6,7)、(6,8)、(7,6)、(7,7)、(7,8)の荷重検知部でエレベータ乗降者P1の荷重(体重)が検知される。また、荷重が検知された荷重検知部の各位置から荷重の分布が得られる。
【0018】
このように、荷重検知装置1cが、小さい面積単位のシート状の荷重検知部の集合で構成されていることから、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知することができる。
【0019】
エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1cで検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算する。エレベータ制御装置2は、乗場呼びボタン4−1乃至4−3が押下されたときに、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、エレベータカゴ1内の空きスペースが無いと判断した場合には、乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0020】
エレベータ駆動装置3は、エレベータ制御装置2の制御を受けて巻上機3aを駆動し、この駆動によってロープRの一端に連結されるエレベータカゴ1とロープRの他端に連結されている釣り合い重りWが昇降路内を昇降する。なお、以下ではエレベータ駆動装置3が巻上機3aを駆動することを、単にエレベータ制御装置2がエレベータ駆動装置3を制御する、と表わす。
【0021】
乗場呼びボタン4−1乃至4−3は、エレベータ乗降者P2が乗場呼びを登録する場合に操作することが可能になされている。
【0022】
荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3は、エレベータ制御装置2の制御の下、例えば、変調LED光を出して、荷物専用運転中である旨(図中では「自転車」)を表示する。
【0023】
なお、以下において、乗場呼びボタン4−1乃至4−3を個々に区別する必要が無い場合、単に乗場呼びボタン4と称し、荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3を個々に区別する必要が無い場合、単に荷物専用運転表示灯5と称する。
【0024】
図3は、エレベータ制御装置2の構成例を示すブロック図である。
【0025】
操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によって荷物専用ボタン1aが押下されたことを検出したとき、検出結果を荷重検知部2bおよび表示制御部2cに供給する。また操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によってカゴ呼びボタン1bから入力された乗場階を検出し、検出結果を呼び応答制御部2eに供給する。さらに操作検出部2aは、エレベータ乗降者P2によって乗場呼びボタン4から入力された乗場階を検出し、検出結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0026】
荷重検知部2bは、操作検出部2aから供給された、荷物専用ボタン1aが押下されたという検出結果に基づいて、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。荷重検知部2bは、荷重検知装置1cから取得したエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを検知結果として、空きスペース演算部2dに供給する。
【0027】
表示制御部2cは、操作検出部2aから供給された、荷物専用ボタン1aが押下されたという検出結果に基づいて、荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨(図1では「自転車」)を表示させる。
【0028】
空きスペース演算部2dは、荷重検知部2bから供給された荷重と荷重の分布に関するデータに基づいて、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0029】
呼び応答制御部2eは、操作検出部2aから供給された乗場階の検出結果に基づいて、乗場呼びまたはカゴ呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。また呼び応答制御部2eは、空きスペース演算部2dから供給された演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースが無いと判断した場合、乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0030】
次に、図4のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施の形態おけるエレベータ制御装置2が実行する呼び応答処理について説明する。この処理を開始するにあたり、例えば、エレベータ乗降者P1は、乗場階の乗場呼びボタン4を押下して乗場呼びを行い、自転車S1とともにエレベータカゴ1に乗り込んだものとする。
【0031】
ステップS1において、操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によりカゴ呼びボタン1bが押下されたか否かを判定し、カゴ呼びボタン1bが押下されるまで待機する。そして、操作検出部2aは、ステップS1において、カゴ呼びボタン1bが押下されたと判定した場合、ステップS2に進む。
【0032】
ステップS2において、操作検出部2aは、さらにエレベータ乗降者P1により荷物専用ボタン1aが押下されたか否かを判定し、荷物専用ボタン1aが押下されたと判定した場合、検出結果を表示制御部2cに供給してステップS3に進む。
【0033】
ステップS3において、表示制御部2cは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。図1の例では、「自転車」との文字が表示される。
【0034】
ステップS4において、操作検出部2aは、他のエレベータ乗降者P2により乗場呼びボタン4が押下されたか否かを判定し、乗場呼びボタン4が押下されたと判定した場合、検出結果を荷重検知部2bに供給してステップS5に進む。
【0035】
ステップS5において、荷重検知部2bは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。ステップS6において、空きスペース演算部2dは、ステップS5の処理により検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータから、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0036】
ステップS7において、呼び応答制御部2eは、ステップS6の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースがあるか否かを判定し、空きスペースがあると判定した場合、ステップS8に進む。ステップS8において、呼び応答制御部2eは、ステップS4の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。ただし、ステップS1の処理で検出された乗場階のカゴ呼びが優先される。
【0037】
例えば、エレベータカゴ1が1階乗場にあるときに、エレベータカゴ1内の「2階」のカゴ呼びボタン1bの押下が検出され(ステップS1)、3階乗場の乗場呼びボタン4−3の押下が検出された場合(ステップS4)、ステップS8において、呼び応答制御部2eは、先に「2階」のカゴ呼びに応答した後、「3階」の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0038】
また例えば、エレベータカゴ1が1階乗場にあるときに、エレベータカゴ1内の「3階」のカゴ呼びボタン1bの押下が検出され(ステップS1)、2階乗場の乗場呼びボタン4−2の押下が検出された場合(ステップS4)、ステップS8において、呼び応答制御部2eは、先に「2階」の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0039】
ステップS7において、呼び応答制御部2eは、ステップS6の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースが無いと判定した場合、ステップS9に進み、ステップS4の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0040】
ステップS2において、荷物専用ボタン1aが押下されていないと判定された場合、または、ステップS4において、乗場呼びボタン4が押下されていないと判定された場合、ステップS10に進み、呼び応答制御部2eは、ステップS1の処理で検出されたエレベータカゴ1内の通常のカゴ呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0041】
以上のように、エレベータで自転車S1などの多くの面積を有する荷物を運搬する際に、エレベータ乗降者P1が荷物専用ボタン1aを押下することによって、エレベータ制御装置2にエレベータカゴ1内の空きスペースを演算させることができる。そして、エレベータカゴ1内に空きスペースが無い場合には、乗場呼びを無視してエレベータカゴ1を無駄に到着させないようにすることができる。これにより、エレベータカゴ1内のエレベータ乗降者P1の目的階への到着時間、および他階の乗場で待つエレベータ乗降者P2の無駄な待ち時間のロスを削減することができる。
【0042】
なお、間違って荷物専用ボタン1aを押下した場合、エレベータ乗降者P1は、例えば再度、荷物専用ボタン1aを2回押下することによって、荷物専用運転を解除することができる。すなわち、操作検出部2aは、荷物専用ボタン1aが押下されたことを検出した後、所定の時間内に再び荷物専用ボタン1aが2回押下されたことを検出したとき、その操作は、キャンセルであると判断することができる。但し、このキャンセル方法については、上述した方法の他、どのような方法を採用しても良い。
【0043】
また、荷重検知部2bは、荷重検知装置1cから取得したエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布の検知結果から、自転車S1がエレベータカゴ1に積載されていないと判断した場合、操作検出部2aにより荷物専用ボタン1aの押下が検出されたとしても、荷物専用運転を無効にすることができる。すなわち、荷物専用ボタン1aがいたずらに押下されたとしても、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布の検知結果から荷物専用運転ではないと判断して、その操作をキャンセルすることができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を図5および図6を参照して説明する。なお、第2の実施の形態及びこれ以降の実施の形態において、第1の実施の形態において説明した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0045】
本発明の第2の実施の形態に係るエレベータの基本的構成は、第1の実施の形態と同じである。第2の実施の形態のエレベータの断面図では、図5に示すように、1階乗場の乗場呼びボタン4−1の下方にホール荷物専用ボタン6−1が新たに設けられ、2階乗場の乗場呼びボタン4−2の下方にホール荷物専用ボタン6−2が新たに設けられ、3階乗場の乗場呼びボタン4−3の下方にホール荷物専用ボタン6−3が新たに設けられている。
【0046】
ホール荷物専用ボタン6−1乃至6−3は、エレベータ乗降者P2が荷物を運搬する場合に操作することが可能になされている。
【0047】
エレベータ制御装置2は、乗場階のホール荷物専用ボタン6−1乃至6−3が押下されたことを検知したとき、各乗場の荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0048】
またエレベータ制御装置2は、乗場階のホール荷物専用ボタン6−1乃至6−3が押下されたことを検知したとき、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1cで検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算する。エレベータ制御装置2は、ホール荷物専用ボタン6−1乃至6−3が押下されたときに、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、エレベータカゴ1内の空きスペースが無いと判断した場合には、乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0049】
以下において、ホール荷物専用ボタン6−1乃至6−3を個々に区別する必要が無い場合、単にホール荷物専用ボタン6と称する。
【0050】
本発明の第2の実施の形態に係るエレベータ制御装置2の機能構成例は、図3に示した第1の実施の形態と同様である。
【0051】
操作検出部2aは、エレベータ乗降者P2,P3によってホール荷物専用ボタン6が押下されたことを検出したとき、検出結果を荷重検知部2bおよび表示制御部2cに供給する。
【0052】
荷重検知部2bは、操作検出部2aから供給された、ホール荷物専用ボタン6が押下されたという検出結果に基づいて、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。荷重検知部2bは、荷重検知装置1cから取得したエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを検知結果として、空きスペース演算部2dに供給する。
【0053】
表示制御部2cは、操作検出部2aから供給された、ホール荷物専用ボタン6が押下されたという検出結果に基づいて、荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0054】
次に、図6のフローチャートを参照して、本発明の第2の実施の形態おけるエレベータ制御装置2が実行する呼び応答処理について説明する。この処理を開始するにあたり、例えば、エレベータ乗降者P1は、乗場階の乗場呼びボタン4を押下して乗場呼びを行い、自転車S1とともにエレベータカゴ1に乗り込んだものとする。
【0055】
ステップS21において、操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によりカゴ呼びボタン1bが押下されたか否かを判定し、カゴ呼びボタン1bが押下されるまで待機する。そして、操作検出部2aは、ステップS21において、カゴ呼びボタン1bが押下されたと判定した場合、ステップS22に進む。
【0056】
ステップS22において、操作検出部2aは、エレベータ乗降者P2またはP3によりホール荷物専用ボタン6が押下されたか否かを判定し、ホール荷物専用ボタン6が押下されたと判定した場合、検出結果を荷重検知部2bおよび表示制御部2cに供給してステップS23に進む。
【0057】
ステップS23において、表示制御部2cは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。図5の例では、「自転車」との文字が表示される。
【0058】
ステップS24において、荷重検知部2bは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。ステップS25において、空きスペース演算部2dは、ステップS24の処理により検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータから、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0059】
ステップS26において、呼び応答制御部2eは、ステップS25の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースがあるか否かを判定し、空きスペースがあると判定した場合、ステップS27に進む。ステップS27において、呼び応答制御部2eは、ステップS22の処理で検出された乗場階の荷物専用の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0060】
一方、ステップS26において、呼び応答制御部2eは、ステップS25の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースが無いと判定した場合、ステップS28に進み、ステップS22の処理で検出された乗場階の荷物専用の乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0061】
ステップS22において、ホール荷物専用ボタン6が押下されていないと判定された場合、ステップS29に進み、呼び応答制御部2eは、ステップS21の処理で検出されたエレベータカゴ1内の通常のカゴ呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0062】
以上のように、エレベータで自転車S3などの多くの面積を有する荷物を運搬する際に、エレベータ乗降者P3がホール荷物専用ボタン6を押下することによって、エレベータ制御装置2にエレベータカゴ1内の空きスペースを演算させることができる。そして、エレベータカゴ1内に空きスペースが無い場合には、荷物専用の乗場呼びを無視してエレベータカゴ1を無駄に到着させないようにすることができる。これにより、エレベータカゴ1内のエレベータ乗降者P1の目的階への到着時間、および他階の乗場で待つエレベータ乗降者P2の無駄な待ち時間のロスを削減することができる。
【0063】
また荷物専用呼びがあり、かつ、多数の乗場呼びがある場合には、通常のエレベータ乗降者の利用を優先させ、荷物専用呼びに応答しないようにすることができる。
【0064】
図7は、乗場呼びが多数ある場合の呼び応答処理を説明するフローチャートである。この処理を開始するにあたり、例えば、エレベータ乗降者P1は、乗場階の乗場呼びボタン4を押下して乗場呼びを行い、自転車S1とともにエレベータカゴ1に乗り込んだ後、カゴ呼びボタン1bを押下したものとする。これによって、エレベータカゴ1が運転中であるものとする。
【0065】
ステップS31において、操作検出部2aは、他のエレベータ乗降者P2またはP3によりホール荷物専用ボタン6が押下されたか否かを判定し、ホール荷物専用ボタン6が押下されるまで待機する。そして、操作検出部2aは、ステップS31において、ホール荷物専用ボタン6が押下されたと判定した場合、ステップS32に進み、通常の乗場呼びが所定数以上あるか否かを判定する。この所定数は、エレベータ管理者によって予め設定されている。
【0066】
ステップS32において、通常の乗場呼びが所定数以上あると判定した場合、ステップS33に進み、呼び応答制御部2eは、ステップS31の処理で検出された乗場階の荷物専用の乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0067】
一方、呼び応答制御部2eは、ステップS32において、通常の乗場呼びが所定数未満であると判定した場合、ステップS34に進み、ステップS31の処理で検出された乗場階の荷物専用の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0068】
このように、荷物専用運転のために多数のエレベータ乗降者が乗場階で待たされるのを防止することができる。なお、図7のフローチャートを参照して説明した呼び応答処理を時間帯に応じて動作させるようにしてもよい。すなわち、エレベータ乗降者の利用が多い時間帯(例えば、9時乃至20時)は、図7の呼び応答処理を動作させ、エレベータ乗降者の利用が少なくなる時間帯(例えば、0時乃至9時、20時乃至0時)は、動作させないようにして荷物の運搬を優先する。
【0069】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態を図8乃至図10を参照して説明する。本発明の第3の実施の形態に係るエレベータの基本的構成は第1および第2の実施の形態と同じである。第3の実施の形態のエレベータカゴ1の天井には、図8に示すように、ICタグセンサ1eが新たに設置されている。また、エレベータ乗降者Pが所有する自転車Sの所定位置には、ICタグ7が取り付けられている。なお、ICタグ7は、自転車Sの製造過程や販売時に取り付けるようにすることが好ましい。
【0070】
ICタグセンサ1eは、ICタグ7を検知し、検知結果をエレベータ制御装置2に供給する。この検知結果には、ICタグ7の識別情報が含まれる。
【0071】
エレベータ制御装置2には、ICタグ7の識別情報に対応付けて自転車Sの外形寸法や荷重のデータが記憶されている。エレベータ制御装置2は、ICタグセンサ1eから供給された検知結果に含まれるICタグ7の識別情報から、対応する自転車Sの外形寸法や荷重のデータを取得する。
【0072】
エレベータ制御装置2は、ICタグセンサ1eによりICタグ7が検知されたとき、各乗場の荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0073】
またエレベータ制御装置2は、ICタグセンサ1eによりICタグ7が検知されたとき、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1cで検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算する。このとき、エレベータ制御装置2は、ICタグ7の識別情報に応じて取得した自転車Sの外形寸法や荷重のデータも考慮して演算する。エレベータ制御装置2は、ICタグ7が検知されたときに、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、エレベータカゴ1内の空きスペースが無いと判断した場合には、乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0074】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係るエレベータ制御装置2の機能構成例を示すブロック図である。基本的には、図3に示した第1の実施の形態と同様であるが、図9の例では、記憶部2fが新たに設けられている。
【0075】
操作検出部2aは、ICタグセンサ1eでICタグ7が検知されたとき、荷物専用ボタン1aが押下されたことと同等の検出と判断して、検出結果を荷重検知部2bおよび表示制御部2cに供給する。検出結果には、ICタグ7の識別情報も含まれる。
【0076】
荷重検知部2bは、操作検出部2aから供給された、ICタグ7が検知されたという検出結果に基づいて、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。荷重検知部2bは、荷重検知装置1cから取得したエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを検知結果として、ICタグ7の識別情報とともに空きスペース演算部2dに供給する。
【0077】
表示制御部2cは、操作検出部2aから供給された、ICタグ7が検知されたという検出結果に基づいて、荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0078】
空きスペース演算部2dは、荷重検知部2bから供給されたICタグ7の識別情報に基づいて、対応する自転車Sの外形寸法や荷重のデータを記憶部2fから取得する。空きスペース演算部2dは、荷重検知部2bから供給された荷重と荷重の分布に関するデータ、および、記憶部2fから取得した自転車Sの外形寸法や荷重のデータに基づいて、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算する。空きスペース演算部2dは、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0079】
記憶部2fには、ICタグ7の識別情報に対応付けて、自転車Sの外形寸法や荷重のデータが記憶されている。
【0080】
次に、図10のフローチャートを参照して、本発明の第3の実施の形態おけるエレベータ制御装置2が実行する呼び応答処理について説明する。この処理を開始するにあたり、例えば、エレベータ乗降者Pは、乗場階の乗場呼びボタン4を押下して乗場呼びを行い、自転車Sとともにエレベータカゴ1に乗り込んだものとする。なお、この自転車Sには、ICタグ7が取り付けられている。
【0081】
ステップS41において、操作検出部2aは、ICタグセンサ1eによりICタグ7を検知したか否かを判定し、ICタグ7を検知するまで待機する。そして操作検出部2aは、ステップS41において、ICタグ7を検知したと判定した場合、荷物専用ボタン1aが押下されたことと同等の検出と判断して、その検出結果を表示制御部2cに供給するとともに、ICタグ7の識別情報を荷重検知部2bに供給し、ステップS42に進む。
【0082】
ステップS42において、表示制御部2cは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0083】
ステップS43において、操作検出部2aは、他のエレベータ乗降者により乗場呼びボタン4が押下されたか否かを判定し、乗場呼びボタン4が押下されたと判定した場合、検出結果を荷重検知部2bに供給してステップS44に進む。
【0084】
ステップS44において、荷重検知部2bは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。ステップS45において、空きスペース演算部2dは、ステップS41の処理で検知されたICタグ7の識別情報から、対応する自転車Sの外形寸法や荷重のデータを記憶部2fから取得する。
【0085】
ステップS46において、空きスペース演算部2dは、ステップS44の処理により検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータ、および、ステップS45の処理により取得された自転車Sの外形寸法や荷重のデータから、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0086】
ステップS47において、呼び応答制御部2eは、ステップS46の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースがあるか否かを判定し、空きスペースがあると判定した場合、ステップS48に進む。ステップS48において、呼び応答制御部2eは、ステップS43の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0087】
一方、ステップS47において、呼び応答制御部2eは、ステップS46の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースが無いと判定した場合、ステップS49に進み、ステップS43の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0088】
ステップS43において、乗場呼びボタン4が押下されていないと判定された場合、ステップS50に進み、呼び応答制御部2eは、エレベータカゴ1内の通常のカゴ呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0089】
以上のように、エレベータで自転車Sなどの多くの面積を有する荷物を運搬する際に、自転車SにICタグ7を取り付けておくことによって、エレベータ制御装置2は、このICタグ7を検知したとき、荷物専用運転させることができる。またICタグ7の識別情報から自転車Sの外形寸法や荷重のデータを取得し、エレベータカゴ1内の空きスペースを、自転車Sの外形寸法や荷重を考慮して演算させることができる。そして、エレベータカゴ1内に空きスペースが無い場合には、乗場呼びを無視してエレベータカゴ1を無駄に到着させないようにすることができる。これにより、エレベータカゴ1内のエレベータ乗降者Pの目的階への到着時間、および他階の乗場で待つエレベータ乗降者の無駄な待ち時間のロスを削減することができる。
【0090】
第3の実施の形態をショッピングセンタなどに適用した場合、ショッピングカートに取り付けられたICタグ7を検知しただけで荷物専用ボタン1aが押下されたことと同等の検出と判断することができるため、乗降者は荷物の大きさや重さなどを意識することなく、快適にエレベータを利用することができる。
【0091】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態を図11および図12を参照して説明する。本発明の第4の実施の形態では、図11に示すように、2台のエレベータカゴ1−1,1−2が設置されており、エレベータカゴ1−1,1−2の基本的構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0092】
すなわち、エレベータカゴ1−1,1−2は、エレベータ乗降者P1,P2を乗せて昇降し、目的階に移動する。エレベータカゴ1−1,1−2内のそれぞれの所定位置には、荷物専用ボタン1a−1,1a−2、カゴ呼びボタン1b―1,1b−2、荷重検知装置1c−1,1c−2が設けられている。
【0093】
エレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1−1内の荷物専用ボタン1a−1が押下されたことを検知したとき、または、エレベータカゴ1−2内の荷物専用ボタン1a−2が押下されたことを検知したとき、荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0094】
またエレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1−1内の荷物専用ボタン1a−1が押下されたことを検知したとき、荷重検知装置1c−1を制御し、エレベータカゴ1−1内の荷重と荷重の分布を検知させる。同様に、エレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1−2内の荷物専用ボタン1a−2が押下されたことを検知したとき、荷重検知装置1c−2を制御し、エレベータカゴ1−2内の荷重と荷重の分布を検知させる。
【0095】
エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1c−1で検知されたエレベータカゴ1−1内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1−1内の空きスペースを演算する。同様に、エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1c−2で検知されたエレベータカゴ1−2内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1−2内の空きスペースを演算する。
【0096】
エレベータ制御装置2は、乗場呼びボタン4−1乃至4−3が押下されたとき、エレベータカゴ1−1に空きスペースが無いと判断した場合には、他方のエレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答することができるか否かを判断する。エレベータ制御装置2は、他方のエレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答することができると判断した場合、エレベータカゴ1−2が乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0097】
なお、エレベータカゴ1−1,1−2の数は任意であり、図11に示されるように2台に限られるものではない。
【0098】
本発明の第4の実施の形態に係るエレベータ制御装置2の機能構成例は、図3に示した第1の実施の形態と同様である。
【0099】
操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によって荷物専用ボタン1a−1,1a−2が押下されたことを検出したとき、検出結果を荷重検知部2bおよび表示制御部2cに供給する。また操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によってカゴ呼びボタン1b−1,1b−2から入力された乗場階を検出し、検出結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0100】
荷重検知部2bは、操作検出部2aから供給された、荷物専用ボタン1a−1が押下されたという検出結果に基づいて、荷重検知装置1c−1を制御し、エレベータカゴ1−1内の荷重と荷重の分布を検知させる。同様に、荷重検知部2bは、操作検出部2aから供給された、荷物専用ボタン1a−2が押下されたという検出結果に基づいて、荷重検知装置1c−2を制御し、エレベータカゴ1−2内の荷重と荷重の分布を検知させる。荷重検知部2bは、荷重検知装置1c−1,1c−2から取得したエレベータカゴ1−1,1−2内の荷重と荷重の分布に関するデータを検知結果として、空きスペース演算部2dに供給する。
【0101】
表示制御部2cは、操作検出部2aから供給された、荷物専用ボタン1a−1,1a−2が押下されたという検出結果に基づいて、荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨(図11では「自転車」)を表示させる。
【0102】
空きスペース演算部2dは、荷重検知部2bから供給された荷重と荷重の分布に関するデータに基づいて、エレベータカゴ1−1,1−2内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0103】
呼び応答制御部2eは、空きスペース演算部2dから供給された演算結果から、例えば、エレベータカゴ1−1内に空きスペースが無いと判断した場合、エレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答できるか否かを判断する。呼び応答制御部2eは、エレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答することができると判断した場合、エレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。すなわち、呼び応答制御部2eは、一方のエレベータカゴで乗場呼びに応答できないと判断した場合、他方のエレベータカゴで乗場呼びに応答することができるか否かを判断する。
【0104】
次に、図12のフローチャートを参照して、本発明の第4の実施の形態おけるエレベータ制御装置2が実行する呼び応答処理について説明する。この処理を開始するにあたり、例えば、エレベータ乗降者P1は、乗場階の乗場呼びボタン4を押下して乗場呼びを行い、自転車S1とともにエレベータカゴ1−1に乗り込んだ後、カゴ呼びボタン1b−1と荷物専用ボタン1a−1を押下したものとする。これによって、エレベータカゴ1−1が運転中であるものとする。
【0105】
ステップS61において、操作検出部2aは、他のエレベータ乗降者P2により乗場呼びボタン4が押下されたか否かを判定し、乗場呼びボタン4が押下されるまで待機する。そして、操作検出部2aは、ステップS61において、乗場呼びボタン4が押下されたと判定した場合、検出結果を荷重検知部2bに供給してステップS62に進む。
【0106】
ステップS62において、荷重検知部2bは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷重検知装置1c−1を制御し、エレベータカゴ1−1内の荷重と荷重の分布を検知させる。ステップS63において、空きスペース演算部2dは、ステップS62の処理により検知されたエレベータカゴ1−1内の荷重と荷重の分布に関するデータから、エレベータカゴ1−1内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0107】
ステップS64において、呼び応答制御部2eは、ステップS63の処理による演算結果から、エレベータカゴ1−1内に空きスペースがあるか否かを判定し、空きスペースがあると判定した場合、ステップS65に進む。ステップS65において、呼び応答制御部2eは、ステップS61の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0108】
ステップS64において、呼び応答制御部2eは、ステップS63の処理による演算結果から、エレベータカゴ1−1内に空きスペースが無いと判定した場合、ステップS66に進み、他号機(エレベータカゴ1−2)が運転中であるか否かを判定する。
【0109】
ステップS66において、他号機が運転中であると判定した場合、荷重検知部2bにエレベータカゴ1−2内の荷重と荷重の分布を検知させ、空きスペース演算部2dに、荷重検知部2bの検知結果から、エレベータカゴ1−2内の空きスペースを演算させ、ステップS67に進む。呼び応答制御部2eは、空きスペース演算部2dによる演算結果から、エレベータカゴ1−2内に空きスペースがあるか否かを判定する。
【0110】
ステップS67において、呼び応答制御部2eは、エレベータカゴ1−2内に空きスペースがあると判定した場合、ステップS68に進む。また、ステップS66において、他号機が運転中でないと判定された場合もステップS68に進む。
【0111】
ステップS68において、呼び応答制御部2eは、ステップS61の処理で検出された乗場階の乗場呼びに他号機(エレベータカゴ1−2)が応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0112】
一方、ステップS67において、他号機に空きスペースが無いと判定された場合、ステップS69に進み、呼び応答制御部2eは、エレベータカゴ1−1または1−2のいずれかが乗場呼びに応答できる状況になったか否かを判定し、エレベータカゴ1−1または1−2のいずれかが乗場呼びに応答できる状況になるまで判定処理を繰り返す。
【0113】
そして、呼び応答制御部2eは、ステップS69において、エレベータカゴ1−1または1−2のいずれかが乗場呼びに応答できる状況になったと判定した場合、ステップS70に進み、ステップS61の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0114】
以上のように、エレベータカゴ1−1で荷物を運搬中に乗場呼びがあり、エレベータカゴ1−1内に空きスペースが無い場合には、エレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答することが可能であるか否かを判断することができる。そして、エレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答することが可能であると判断した場合には、エレベータカゴ1−1に代わって乗場呼びに応答することができる。これにより、エレベータカゴ1内のエレベータ乗降者P1の目的階への到着時間、他階の乗場で待つエレベータ乗降者P2の無駄な待ち時間のロスを削減することができる。
【0115】
なおこの発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したり、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせたりすることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】第1の実施の形態に係るエレベータの断面図である。
【図2】エレベータカゴの内部を上部から見た透視図である。
【図3】エレベータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態における呼び応答処理を説明するフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態に係るエレベータの断面図である。
【図6】第2の実施の形態における呼び応答処理を説明するフローチャートである。
【図7】乗場呼びが多数ある場合の呼び応答処理を説明するフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態に係るエレベータカゴの断面図である。
【図9】第3の実施の形態に係るエレベータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】第3の実施の形態における呼び応答処理を説明するフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態に係るエレベータの断面図である。
【図12】第4の実施の形態における呼び応答処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0117】
1−1,1−2 エレベータカゴ
1a−1,1a−2 荷物専用ボタン
1b―1,1b−2 カゴ呼びボタン
1c−1,1c−2 荷重検知装置
1e ICタグセンサ
2 エレベータ制御装置
2a 操作検出部
2b 荷重検知部
2c 表示制御部
2d 空きスペース演算部
2e 呼び応答制御部
2f 記憶部
4−1乃至4−3 乗場呼びボタン
5−1乃至5−3 荷物専用運転表示灯
6−1乃至6−3 ホール荷物専用ボタン
7 ICタグ
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ制御装置に関し、特に、エレベータの無駄な待ち時間と到着時間のロスを削減するエレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータでは、自転車等の面積を多く必要とする荷物を乗せて運転中であっても、他階で乗場呼びがあった場合、その乗場呼びに応答する。しかしながら、エレベータ乗降者が乗るスペースがないために、エレベータ乗降者を乗せずに戸閉して次のカゴ呼びまたは乗場呼びに応答する。
【0003】
これでは、乗場階にいるエレベータ乗降者の待ち時間が増えてしまうだけでなく、エレベータカゴ内にいるエレベータ乗降者の目的階への到着時間にロスが生じてしまう。
【0004】
そこで、乗場階にいるエレベータ乗降者の待ち時間や、エレベータカゴ内にいるエレベータ乗降者の目的階への到着時間のロスを削減するために、特許文献1には、センサによって、エレベータカゴ内の荷物の大きさを1方向から検知し、満積時と判断した場合には満積通過する技術が提案されている。
【特許文献1】特開平5−201629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、1方向からエレベータカゴ内を検知しているため、エレベータカゴ内の占有面積は大雑把にしか把握することができない。そのため、実際には、エレベータカゴ内に空きスペースがあったとしても満積通過されてしまい、乗場階にいるエレベータ乗降者を無駄に待たせてしまう課題があった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、エレベータの無駄な待ち時間と到着時間のロスを削減するエレベータ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る特徴は、荷物専用ボタンの操作を検出する操作検出手段と、操作検出手段により荷物専用ボタンの操作が検出された場合、エレベータカゴ内の荷重と荷重の分布を検知する荷重検知手段と、荷重検知手段による検知結果から、エレベータカゴ内の空きスペースを演算する空きスペース演算手段と、空きスペース演算手段による演算結果に基づいて、エレベータカゴの呼び応答を制御する呼び応答制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エレベータの無駄な待ち時間と到着時間のロスを削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るエレベータの断面図である。図1には、エレベータ乗降者P1を乗せて昇降するエレベータカゴ1、エレベータカゴ1の荷重の状態を検知してエレベータ駆動装置3を制御するエレベータ制御装置2、エレベータカゴ1の昇降を制御するエレベータ駆動装置3が設けられている。
【0011】
また、図1の例では、1階乗場、2階乗場、3階乗場が図示されており、1階乗場の所定位置には、乗場呼びボタン4−1と荷物専用運転表示灯5−1が設けられ、2階乗場の所定位置には、乗場呼びボタン4−2と荷物専用運転表示灯5−2が設けられ、3階乗場の所定位置には、乗場呼びボタン4−3と荷物専用運転表示灯5−3が設けられている。
【0012】
エレベータカゴ1は、エレベータ乗降者P1を乗せて昇降し、目的階に移動する。エレベータカゴ1内の所定位置には、自転車S1などの積載面積を多く有する荷物を持ってエレベータカゴ1内に乗り込んだときにエレベータ乗降者P1により操作される荷物専用ボタン1a、および、目的階を登録するときにエレベータ乗降者P1により操作されるカゴ呼びボタン1bが設けられている。またエレベータカゴ1の床面には、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知する荷重検知装置1cが設置されている。
【0013】
エレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1内の荷物専用ボタン1aが押下されたことを検知したとき、荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。またエレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1内の荷物専用ボタン1aが押下されたことを検知したとき、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。
【0014】
ここで、荷重検知装置1cの荷重と荷重の分布を検知する例について説明する。
【0015】
図2は、エレベータカゴ1の内部を上部から見た透視図である。同図に示すように、エレベータカゴ1の床面に設置された荷重検知装置1cは、12行×8列の小さなシート状の荷重検知部の集合で構成されており、小さい面積単位でエレベータカゴ1内の荷重を検知することができる。以下、荷重検知部の1つを説明する場合、(m行,n列)の荷重検知部と称する。
【0016】
エレベータ乗降者P1は、例えば、自転車S1とともにエレベータ開閉扉1dからエレベータカゴ1に乗り込み、荷物専用ボタン1aを押下する。この操作を検出したエレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1の荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。
【0017】
図2の例では、(2,2)、(3,2)、(4,3)、(5,3)、(5,4)、(8,5)、(9,5)、(9,6)、(10,6)、(10,7)、(11,7)の荷重検知部で自転車S1の荷重が検知されるとともに、(6,6)、(6,7)、(6,8)、(7,6)、(7,7)、(7,8)の荷重検知部でエレベータ乗降者P1の荷重(体重)が検知される。また、荷重が検知された荷重検知部の各位置から荷重の分布が得られる。
【0018】
このように、荷重検知装置1cが、小さい面積単位のシート状の荷重検知部の集合で構成されていることから、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知することができる。
【0019】
エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1cで検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算する。エレベータ制御装置2は、乗場呼びボタン4−1乃至4−3が押下されたときに、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、エレベータカゴ1内の空きスペースが無いと判断した場合には、乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0020】
エレベータ駆動装置3は、エレベータ制御装置2の制御を受けて巻上機3aを駆動し、この駆動によってロープRの一端に連結されるエレベータカゴ1とロープRの他端に連結されている釣り合い重りWが昇降路内を昇降する。なお、以下ではエレベータ駆動装置3が巻上機3aを駆動することを、単にエレベータ制御装置2がエレベータ駆動装置3を制御する、と表わす。
【0021】
乗場呼びボタン4−1乃至4−3は、エレベータ乗降者P2が乗場呼びを登録する場合に操作することが可能になされている。
【0022】
荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3は、エレベータ制御装置2の制御の下、例えば、変調LED光を出して、荷物専用運転中である旨(図中では「自転車」)を表示する。
【0023】
なお、以下において、乗場呼びボタン4−1乃至4−3を個々に区別する必要が無い場合、単に乗場呼びボタン4と称し、荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3を個々に区別する必要が無い場合、単に荷物専用運転表示灯5と称する。
【0024】
図3は、エレベータ制御装置2の構成例を示すブロック図である。
【0025】
操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によって荷物専用ボタン1aが押下されたことを検出したとき、検出結果を荷重検知部2bおよび表示制御部2cに供給する。また操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によってカゴ呼びボタン1bから入力された乗場階を検出し、検出結果を呼び応答制御部2eに供給する。さらに操作検出部2aは、エレベータ乗降者P2によって乗場呼びボタン4から入力された乗場階を検出し、検出結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0026】
荷重検知部2bは、操作検出部2aから供給された、荷物専用ボタン1aが押下されたという検出結果に基づいて、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。荷重検知部2bは、荷重検知装置1cから取得したエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを検知結果として、空きスペース演算部2dに供給する。
【0027】
表示制御部2cは、操作検出部2aから供給された、荷物専用ボタン1aが押下されたという検出結果に基づいて、荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨(図1では「自転車」)を表示させる。
【0028】
空きスペース演算部2dは、荷重検知部2bから供給された荷重と荷重の分布に関するデータに基づいて、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0029】
呼び応答制御部2eは、操作検出部2aから供給された乗場階の検出結果に基づいて、乗場呼びまたはカゴ呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。また呼び応答制御部2eは、空きスペース演算部2dから供給された演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースが無いと判断した場合、乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0030】
次に、図4のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施の形態おけるエレベータ制御装置2が実行する呼び応答処理について説明する。この処理を開始するにあたり、例えば、エレベータ乗降者P1は、乗場階の乗場呼びボタン4を押下して乗場呼びを行い、自転車S1とともにエレベータカゴ1に乗り込んだものとする。
【0031】
ステップS1において、操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によりカゴ呼びボタン1bが押下されたか否かを判定し、カゴ呼びボタン1bが押下されるまで待機する。そして、操作検出部2aは、ステップS1において、カゴ呼びボタン1bが押下されたと判定した場合、ステップS2に進む。
【0032】
ステップS2において、操作検出部2aは、さらにエレベータ乗降者P1により荷物専用ボタン1aが押下されたか否かを判定し、荷物専用ボタン1aが押下されたと判定した場合、検出結果を表示制御部2cに供給してステップS3に進む。
【0033】
ステップS3において、表示制御部2cは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。図1の例では、「自転車」との文字が表示される。
【0034】
ステップS4において、操作検出部2aは、他のエレベータ乗降者P2により乗場呼びボタン4が押下されたか否かを判定し、乗場呼びボタン4が押下されたと判定した場合、検出結果を荷重検知部2bに供給してステップS5に進む。
【0035】
ステップS5において、荷重検知部2bは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。ステップS6において、空きスペース演算部2dは、ステップS5の処理により検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータから、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0036】
ステップS7において、呼び応答制御部2eは、ステップS6の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースがあるか否かを判定し、空きスペースがあると判定した場合、ステップS8に進む。ステップS8において、呼び応答制御部2eは、ステップS4の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。ただし、ステップS1の処理で検出された乗場階のカゴ呼びが優先される。
【0037】
例えば、エレベータカゴ1が1階乗場にあるときに、エレベータカゴ1内の「2階」のカゴ呼びボタン1bの押下が検出され(ステップS1)、3階乗場の乗場呼びボタン4−3の押下が検出された場合(ステップS4)、ステップS8において、呼び応答制御部2eは、先に「2階」のカゴ呼びに応答した後、「3階」の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0038】
また例えば、エレベータカゴ1が1階乗場にあるときに、エレベータカゴ1内の「3階」のカゴ呼びボタン1bの押下が検出され(ステップS1)、2階乗場の乗場呼びボタン4−2の押下が検出された場合(ステップS4)、ステップS8において、呼び応答制御部2eは、先に「2階」の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0039】
ステップS7において、呼び応答制御部2eは、ステップS6の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースが無いと判定した場合、ステップS9に進み、ステップS4の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0040】
ステップS2において、荷物専用ボタン1aが押下されていないと判定された場合、または、ステップS4において、乗場呼びボタン4が押下されていないと判定された場合、ステップS10に進み、呼び応答制御部2eは、ステップS1の処理で検出されたエレベータカゴ1内の通常のカゴ呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0041】
以上のように、エレベータで自転車S1などの多くの面積を有する荷物を運搬する際に、エレベータ乗降者P1が荷物専用ボタン1aを押下することによって、エレベータ制御装置2にエレベータカゴ1内の空きスペースを演算させることができる。そして、エレベータカゴ1内に空きスペースが無い場合には、乗場呼びを無視してエレベータカゴ1を無駄に到着させないようにすることができる。これにより、エレベータカゴ1内のエレベータ乗降者P1の目的階への到着時間、および他階の乗場で待つエレベータ乗降者P2の無駄な待ち時間のロスを削減することができる。
【0042】
なお、間違って荷物専用ボタン1aを押下した場合、エレベータ乗降者P1は、例えば再度、荷物専用ボタン1aを2回押下することによって、荷物専用運転を解除することができる。すなわち、操作検出部2aは、荷物専用ボタン1aが押下されたことを検出した後、所定の時間内に再び荷物専用ボタン1aが2回押下されたことを検出したとき、その操作は、キャンセルであると判断することができる。但し、このキャンセル方法については、上述した方法の他、どのような方法を採用しても良い。
【0043】
また、荷重検知部2bは、荷重検知装置1cから取得したエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布の検知結果から、自転車S1がエレベータカゴ1に積載されていないと判断した場合、操作検出部2aにより荷物専用ボタン1aの押下が検出されたとしても、荷物専用運転を無効にすることができる。すなわち、荷物専用ボタン1aがいたずらに押下されたとしても、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布の検知結果から荷物専用運転ではないと判断して、その操作をキャンセルすることができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を図5および図6を参照して説明する。なお、第2の実施の形態及びこれ以降の実施の形態において、第1の実施の形態において説明した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、重複する説明は省略する。
【0045】
本発明の第2の実施の形態に係るエレベータの基本的構成は、第1の実施の形態と同じである。第2の実施の形態のエレベータの断面図では、図5に示すように、1階乗場の乗場呼びボタン4−1の下方にホール荷物専用ボタン6−1が新たに設けられ、2階乗場の乗場呼びボタン4−2の下方にホール荷物専用ボタン6−2が新たに設けられ、3階乗場の乗場呼びボタン4−3の下方にホール荷物専用ボタン6−3が新たに設けられている。
【0046】
ホール荷物専用ボタン6−1乃至6−3は、エレベータ乗降者P2が荷物を運搬する場合に操作することが可能になされている。
【0047】
エレベータ制御装置2は、乗場階のホール荷物専用ボタン6−1乃至6−3が押下されたことを検知したとき、各乗場の荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0048】
またエレベータ制御装置2は、乗場階のホール荷物専用ボタン6−1乃至6−3が押下されたことを検知したとき、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1cで検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算する。エレベータ制御装置2は、ホール荷物専用ボタン6−1乃至6−3が押下されたときに、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、エレベータカゴ1内の空きスペースが無いと判断した場合には、乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0049】
以下において、ホール荷物専用ボタン6−1乃至6−3を個々に区別する必要が無い場合、単にホール荷物専用ボタン6と称する。
【0050】
本発明の第2の実施の形態に係るエレベータ制御装置2の機能構成例は、図3に示した第1の実施の形態と同様である。
【0051】
操作検出部2aは、エレベータ乗降者P2,P3によってホール荷物専用ボタン6が押下されたことを検出したとき、検出結果を荷重検知部2bおよび表示制御部2cに供給する。
【0052】
荷重検知部2bは、操作検出部2aから供給された、ホール荷物専用ボタン6が押下されたという検出結果に基づいて、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。荷重検知部2bは、荷重検知装置1cから取得したエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを検知結果として、空きスペース演算部2dに供給する。
【0053】
表示制御部2cは、操作検出部2aから供給された、ホール荷物専用ボタン6が押下されたという検出結果に基づいて、荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0054】
次に、図6のフローチャートを参照して、本発明の第2の実施の形態おけるエレベータ制御装置2が実行する呼び応答処理について説明する。この処理を開始するにあたり、例えば、エレベータ乗降者P1は、乗場階の乗場呼びボタン4を押下して乗場呼びを行い、自転車S1とともにエレベータカゴ1に乗り込んだものとする。
【0055】
ステップS21において、操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によりカゴ呼びボタン1bが押下されたか否かを判定し、カゴ呼びボタン1bが押下されるまで待機する。そして、操作検出部2aは、ステップS21において、カゴ呼びボタン1bが押下されたと判定した場合、ステップS22に進む。
【0056】
ステップS22において、操作検出部2aは、エレベータ乗降者P2またはP3によりホール荷物専用ボタン6が押下されたか否かを判定し、ホール荷物専用ボタン6が押下されたと判定した場合、検出結果を荷重検知部2bおよび表示制御部2cに供給してステップS23に進む。
【0057】
ステップS23において、表示制御部2cは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。図5の例では、「自転車」との文字が表示される。
【0058】
ステップS24において、荷重検知部2bは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。ステップS25において、空きスペース演算部2dは、ステップS24の処理により検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータから、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0059】
ステップS26において、呼び応答制御部2eは、ステップS25の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースがあるか否かを判定し、空きスペースがあると判定した場合、ステップS27に進む。ステップS27において、呼び応答制御部2eは、ステップS22の処理で検出された乗場階の荷物専用の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0060】
一方、ステップS26において、呼び応答制御部2eは、ステップS25の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースが無いと判定した場合、ステップS28に進み、ステップS22の処理で検出された乗場階の荷物専用の乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0061】
ステップS22において、ホール荷物専用ボタン6が押下されていないと判定された場合、ステップS29に進み、呼び応答制御部2eは、ステップS21の処理で検出されたエレベータカゴ1内の通常のカゴ呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0062】
以上のように、エレベータで自転車S3などの多くの面積を有する荷物を運搬する際に、エレベータ乗降者P3がホール荷物専用ボタン6を押下することによって、エレベータ制御装置2にエレベータカゴ1内の空きスペースを演算させることができる。そして、エレベータカゴ1内に空きスペースが無い場合には、荷物専用の乗場呼びを無視してエレベータカゴ1を無駄に到着させないようにすることができる。これにより、エレベータカゴ1内のエレベータ乗降者P1の目的階への到着時間、および他階の乗場で待つエレベータ乗降者P2の無駄な待ち時間のロスを削減することができる。
【0063】
また荷物専用呼びがあり、かつ、多数の乗場呼びがある場合には、通常のエレベータ乗降者の利用を優先させ、荷物専用呼びに応答しないようにすることができる。
【0064】
図7は、乗場呼びが多数ある場合の呼び応答処理を説明するフローチャートである。この処理を開始するにあたり、例えば、エレベータ乗降者P1は、乗場階の乗場呼びボタン4を押下して乗場呼びを行い、自転車S1とともにエレベータカゴ1に乗り込んだ後、カゴ呼びボタン1bを押下したものとする。これによって、エレベータカゴ1が運転中であるものとする。
【0065】
ステップS31において、操作検出部2aは、他のエレベータ乗降者P2またはP3によりホール荷物専用ボタン6が押下されたか否かを判定し、ホール荷物専用ボタン6が押下されるまで待機する。そして、操作検出部2aは、ステップS31において、ホール荷物専用ボタン6が押下されたと判定した場合、ステップS32に進み、通常の乗場呼びが所定数以上あるか否かを判定する。この所定数は、エレベータ管理者によって予め設定されている。
【0066】
ステップS32において、通常の乗場呼びが所定数以上あると判定した場合、ステップS33に進み、呼び応答制御部2eは、ステップS31の処理で検出された乗場階の荷物専用の乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0067】
一方、呼び応答制御部2eは、ステップS32において、通常の乗場呼びが所定数未満であると判定した場合、ステップS34に進み、ステップS31の処理で検出された乗場階の荷物専用の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0068】
このように、荷物専用運転のために多数のエレベータ乗降者が乗場階で待たされるのを防止することができる。なお、図7のフローチャートを参照して説明した呼び応答処理を時間帯に応じて動作させるようにしてもよい。すなわち、エレベータ乗降者の利用が多い時間帯(例えば、9時乃至20時)は、図7の呼び応答処理を動作させ、エレベータ乗降者の利用が少なくなる時間帯(例えば、0時乃至9時、20時乃至0時)は、動作させないようにして荷物の運搬を優先する。
【0069】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態を図8乃至図10を参照して説明する。本発明の第3の実施の形態に係るエレベータの基本的構成は第1および第2の実施の形態と同じである。第3の実施の形態のエレベータカゴ1の天井には、図8に示すように、ICタグセンサ1eが新たに設置されている。また、エレベータ乗降者Pが所有する自転車Sの所定位置には、ICタグ7が取り付けられている。なお、ICタグ7は、自転車Sの製造過程や販売時に取り付けるようにすることが好ましい。
【0070】
ICタグセンサ1eは、ICタグ7を検知し、検知結果をエレベータ制御装置2に供給する。この検知結果には、ICタグ7の識別情報が含まれる。
【0071】
エレベータ制御装置2には、ICタグ7の識別情報に対応付けて自転車Sの外形寸法や荷重のデータが記憶されている。エレベータ制御装置2は、ICタグセンサ1eから供給された検知結果に含まれるICタグ7の識別情報から、対応する自転車Sの外形寸法や荷重のデータを取得する。
【0072】
エレベータ制御装置2は、ICタグセンサ1eによりICタグ7が検知されたとき、各乗場の荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0073】
またエレベータ制御装置2は、ICタグセンサ1eによりICタグ7が検知されたとき、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1cで検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算する。このとき、エレベータ制御装置2は、ICタグ7の識別情報に応じて取得した自転車Sの外形寸法や荷重のデータも考慮して演算する。エレベータ制御装置2は、ICタグ7が検知されたときに、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、エレベータカゴ1内の空きスペースが無いと判断した場合には、乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0074】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係るエレベータ制御装置2の機能構成例を示すブロック図である。基本的には、図3に示した第1の実施の形態と同様であるが、図9の例では、記憶部2fが新たに設けられている。
【0075】
操作検出部2aは、ICタグセンサ1eでICタグ7が検知されたとき、荷物専用ボタン1aが押下されたことと同等の検出と判断して、検出結果を荷重検知部2bおよび表示制御部2cに供給する。検出結果には、ICタグ7の識別情報も含まれる。
【0076】
荷重検知部2bは、操作検出部2aから供給された、ICタグ7が検知されたという検出結果に基づいて、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。荷重検知部2bは、荷重検知装置1cから取得したエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータを検知結果として、ICタグ7の識別情報とともに空きスペース演算部2dに供給する。
【0077】
表示制御部2cは、操作検出部2aから供給された、ICタグ7が検知されたという検出結果に基づいて、荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0078】
空きスペース演算部2dは、荷重検知部2bから供給されたICタグ7の識別情報に基づいて、対応する自転車Sの外形寸法や荷重のデータを記憶部2fから取得する。空きスペース演算部2dは、荷重検知部2bから供給された荷重と荷重の分布に関するデータ、および、記憶部2fから取得した自転車Sの外形寸法や荷重のデータに基づいて、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算する。空きスペース演算部2dは、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0079】
記憶部2fには、ICタグ7の識別情報に対応付けて、自転車Sの外形寸法や荷重のデータが記憶されている。
【0080】
次に、図10のフローチャートを参照して、本発明の第3の実施の形態おけるエレベータ制御装置2が実行する呼び応答処理について説明する。この処理を開始するにあたり、例えば、エレベータ乗降者Pは、乗場階の乗場呼びボタン4を押下して乗場呼びを行い、自転車Sとともにエレベータカゴ1に乗り込んだものとする。なお、この自転車Sには、ICタグ7が取り付けられている。
【0081】
ステップS41において、操作検出部2aは、ICタグセンサ1eによりICタグ7を検知したか否かを判定し、ICタグ7を検知するまで待機する。そして操作検出部2aは、ステップS41において、ICタグ7を検知したと判定した場合、荷物専用ボタン1aが押下されたことと同等の検出と判断して、その検出結果を表示制御部2cに供給するとともに、ICタグ7の識別情報を荷重検知部2bに供給し、ステップS42に進む。
【0082】
ステップS42において、表示制御部2cは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0083】
ステップS43において、操作検出部2aは、他のエレベータ乗降者により乗場呼びボタン4が押下されたか否かを判定し、乗場呼びボタン4が押下されたと判定した場合、検出結果を荷重検知部2bに供給してステップS44に進む。
【0084】
ステップS44において、荷重検知部2bは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。ステップS45において、空きスペース演算部2dは、ステップS41の処理で検知されたICタグ7の識別情報から、対応する自転車Sの外形寸法や荷重のデータを記憶部2fから取得する。
【0085】
ステップS46において、空きスペース演算部2dは、ステップS44の処理により検知されたエレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布に関するデータ、および、ステップS45の処理により取得された自転車Sの外形寸法や荷重のデータから、エレベータカゴ1内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0086】
ステップS47において、呼び応答制御部2eは、ステップS46の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースがあるか否かを判定し、空きスペースがあると判定した場合、ステップS48に進む。ステップS48において、呼び応答制御部2eは、ステップS43の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0087】
一方、ステップS47において、呼び応答制御部2eは、ステップS46の処理による演算結果から、エレベータカゴ1内に空きスペースが無いと判定した場合、ステップS49に進み、ステップS43の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答しないようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0088】
ステップS43において、乗場呼びボタン4が押下されていないと判定された場合、ステップS50に進み、呼び応答制御部2eは、エレベータカゴ1内の通常のカゴ呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0089】
以上のように、エレベータで自転車Sなどの多くの面積を有する荷物を運搬する際に、自転車SにICタグ7を取り付けておくことによって、エレベータ制御装置2は、このICタグ7を検知したとき、荷物専用運転させることができる。またICタグ7の識別情報から自転車Sの外形寸法や荷重のデータを取得し、エレベータカゴ1内の空きスペースを、自転車Sの外形寸法や荷重を考慮して演算させることができる。そして、エレベータカゴ1内に空きスペースが無い場合には、乗場呼びを無視してエレベータカゴ1を無駄に到着させないようにすることができる。これにより、エレベータカゴ1内のエレベータ乗降者Pの目的階への到着時間、および他階の乗場で待つエレベータ乗降者の無駄な待ち時間のロスを削減することができる。
【0090】
第3の実施の形態をショッピングセンタなどに適用した場合、ショッピングカートに取り付けられたICタグ7を検知しただけで荷物専用ボタン1aが押下されたことと同等の検出と判断することができるため、乗降者は荷物の大きさや重さなどを意識することなく、快適にエレベータを利用することができる。
【0091】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態を図11および図12を参照して説明する。本発明の第4の実施の形態では、図11に示すように、2台のエレベータカゴ1−1,1−2が設置されており、エレベータカゴ1−1,1−2の基本的構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0092】
すなわち、エレベータカゴ1−1,1−2は、エレベータ乗降者P1,P2を乗せて昇降し、目的階に移動する。エレベータカゴ1−1,1−2内のそれぞれの所定位置には、荷物専用ボタン1a−1,1a−2、カゴ呼びボタン1b―1,1b−2、荷重検知装置1c−1,1c−2が設けられている。
【0093】
エレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1−1内の荷物専用ボタン1a−1が押下されたことを検知したとき、または、エレベータカゴ1−2内の荷物専用ボタン1a−2が押下されたことを検知したとき、荷物専用運転表示灯5−1乃至5−3を制御し、荷物専用運転中である旨を表示させる。
【0094】
またエレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1−1内の荷物専用ボタン1a−1が押下されたことを検知したとき、荷重検知装置1c−1を制御し、エレベータカゴ1−1内の荷重と荷重の分布を検知させる。同様に、エレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1−2内の荷物専用ボタン1a−2が押下されたことを検知したとき、荷重検知装置1c−2を制御し、エレベータカゴ1−2内の荷重と荷重の分布を検知させる。
【0095】
エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1c−1で検知されたエレベータカゴ1−1内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1−1内の空きスペースを演算する。同様に、エレベータ制御装置2は、荷重検知装置1c−2で検知されたエレベータカゴ1−2内の荷重と荷重の分布に関するデータを取得して、エレベータカゴ1−2内の空きスペースを演算する。
【0096】
エレベータ制御装置2は、乗場呼びボタン4−1乃至4−3が押下されたとき、エレベータカゴ1−1に空きスペースが無いと判断した場合には、他方のエレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答することができるか否かを判断する。エレベータ制御装置2は、他方のエレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答することができると判断した場合、エレベータカゴ1−2が乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0097】
なお、エレベータカゴ1−1,1−2の数は任意であり、図11に示されるように2台に限られるものではない。
【0098】
本発明の第4の実施の形態に係るエレベータ制御装置2の機能構成例は、図3に示した第1の実施の形態と同様である。
【0099】
操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によって荷物専用ボタン1a−1,1a−2が押下されたことを検出したとき、検出結果を荷重検知部2bおよび表示制御部2cに供給する。また操作検出部2aは、エレベータ乗降者P1によってカゴ呼びボタン1b−1,1b−2から入力された乗場階を検出し、検出結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0100】
荷重検知部2bは、操作検出部2aから供給された、荷物専用ボタン1a−1が押下されたという検出結果に基づいて、荷重検知装置1c−1を制御し、エレベータカゴ1−1内の荷重と荷重の分布を検知させる。同様に、荷重検知部2bは、操作検出部2aから供給された、荷物専用ボタン1a−2が押下されたという検出結果に基づいて、荷重検知装置1c−2を制御し、エレベータカゴ1−2内の荷重と荷重の分布を検知させる。荷重検知部2bは、荷重検知装置1c−1,1c−2から取得したエレベータカゴ1−1,1−2内の荷重と荷重の分布に関するデータを検知結果として、空きスペース演算部2dに供給する。
【0101】
表示制御部2cは、操作検出部2aから供給された、荷物専用ボタン1a−1,1a−2が押下されたという検出結果に基づいて、荷物専用運転表示灯5を制御し、荷物専用運転中である旨(図11では「自転車」)を表示させる。
【0102】
空きスペース演算部2dは、荷重検知部2bから供給された荷重と荷重の分布に関するデータに基づいて、エレベータカゴ1−1,1−2内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0103】
呼び応答制御部2eは、空きスペース演算部2dから供給された演算結果から、例えば、エレベータカゴ1−1内に空きスペースが無いと判断した場合、エレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答できるか否かを判断する。呼び応答制御部2eは、エレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答することができると判断した場合、エレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。すなわち、呼び応答制御部2eは、一方のエレベータカゴで乗場呼びに応答できないと判断した場合、他方のエレベータカゴで乗場呼びに応答することができるか否かを判断する。
【0104】
次に、図12のフローチャートを参照して、本発明の第4の実施の形態おけるエレベータ制御装置2が実行する呼び応答処理について説明する。この処理を開始するにあたり、例えば、エレベータ乗降者P1は、乗場階の乗場呼びボタン4を押下して乗場呼びを行い、自転車S1とともにエレベータカゴ1−1に乗り込んだ後、カゴ呼びボタン1b−1と荷物専用ボタン1a−1を押下したものとする。これによって、エレベータカゴ1−1が運転中であるものとする。
【0105】
ステップS61において、操作検出部2aは、他のエレベータ乗降者P2により乗場呼びボタン4が押下されたか否かを判定し、乗場呼びボタン4が押下されるまで待機する。そして、操作検出部2aは、ステップS61において、乗場呼びボタン4が押下されたと判定した場合、検出結果を荷重検知部2bに供給してステップS62に進む。
【0106】
ステップS62において、荷重検知部2bは、操作検出部2aからの検出結果に基づいて荷重検知装置1c−1を制御し、エレベータカゴ1−1内の荷重と荷重の分布を検知させる。ステップS63において、空きスペース演算部2dは、ステップS62の処理により検知されたエレベータカゴ1−1内の荷重と荷重の分布に関するデータから、エレベータカゴ1−1内の空きスペースを演算し、演算結果を呼び応答制御部2eに供給する。
【0107】
ステップS64において、呼び応答制御部2eは、ステップS63の処理による演算結果から、エレベータカゴ1−1内に空きスペースがあるか否かを判定し、空きスペースがあると判定した場合、ステップS65に進む。ステップS65において、呼び応答制御部2eは、ステップS61の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0108】
ステップS64において、呼び応答制御部2eは、ステップS63の処理による演算結果から、エレベータカゴ1−1内に空きスペースが無いと判定した場合、ステップS66に進み、他号機(エレベータカゴ1−2)が運転中であるか否かを判定する。
【0109】
ステップS66において、他号機が運転中であると判定した場合、荷重検知部2bにエレベータカゴ1−2内の荷重と荷重の分布を検知させ、空きスペース演算部2dに、荷重検知部2bの検知結果から、エレベータカゴ1−2内の空きスペースを演算させ、ステップS67に進む。呼び応答制御部2eは、空きスペース演算部2dによる演算結果から、エレベータカゴ1−2内に空きスペースがあるか否かを判定する。
【0110】
ステップS67において、呼び応答制御部2eは、エレベータカゴ1−2内に空きスペースがあると判定した場合、ステップS68に進む。また、ステップS66において、他号機が運転中でないと判定された場合もステップS68に進む。
【0111】
ステップS68において、呼び応答制御部2eは、ステップS61の処理で検出された乗場階の乗場呼びに他号機(エレベータカゴ1−2)が応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0112】
一方、ステップS67において、他号機に空きスペースが無いと判定された場合、ステップS69に進み、呼び応答制御部2eは、エレベータカゴ1−1または1−2のいずれかが乗場呼びに応答できる状況になったか否かを判定し、エレベータカゴ1−1または1−2のいずれかが乗場呼びに応答できる状況になるまで判定処理を繰り返す。
【0113】
そして、呼び応答制御部2eは、ステップS69において、エレベータカゴ1−1または1−2のいずれかが乗場呼びに応答できる状況になったと判定した場合、ステップS70に進み、ステップS61の処理で検出された乗場階の乗場呼びに応答するようにエレベータ駆動装置3を制御する。
【0114】
以上のように、エレベータカゴ1−1で荷物を運搬中に乗場呼びがあり、エレベータカゴ1−1内に空きスペースが無い場合には、エレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答することが可能であるか否かを判断することができる。そして、エレベータカゴ1−2で乗場呼びに応答することが可能であると判断した場合には、エレベータカゴ1−1に代わって乗場呼びに応答することができる。これにより、エレベータカゴ1内のエレベータ乗降者P1の目的階への到着時間、他階の乗場で待つエレベータ乗降者P2の無駄な待ち時間のロスを削減することができる。
【0115】
なおこの発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したり、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせたりすることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】第1の実施の形態に係るエレベータの断面図である。
【図2】エレベータカゴの内部を上部から見た透視図である。
【図3】エレベータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態における呼び応答処理を説明するフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態に係るエレベータの断面図である。
【図6】第2の実施の形態における呼び応答処理を説明するフローチャートである。
【図7】乗場呼びが多数ある場合の呼び応答処理を説明するフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態に係るエレベータカゴの断面図である。
【図9】第3の実施の形態に係るエレベータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】第3の実施の形態における呼び応答処理を説明するフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態に係るエレベータの断面図である。
【図12】第4の実施の形態における呼び応答処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0117】
1−1,1−2 エレベータカゴ
1a−1,1a−2 荷物専用ボタン
1b―1,1b−2 カゴ呼びボタン
1c−1,1c−2 荷重検知装置
1e ICタグセンサ
2 エレベータ制御装置
2a 操作検出部
2b 荷重検知部
2c 表示制御部
2d 空きスペース演算部
2e 呼び応答制御部
2f 記憶部
4−1乃至4−3 乗場呼びボタン
5−1乃至5−3 荷物専用運転表示灯
6−1乃至6−3 ホール荷物専用ボタン
7 ICタグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物専用ボタンの操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段により前記荷物専用ボタンの操作が検出された場合、エレベータカゴ内の荷重と荷重の分布を検知する荷重検知手段と、
前記荷重検知手段による検知結果から、前記エレベータカゴ内の空きスペースを演算する空きスペース演算手段と、
前記空きスペース演算手段による演算結果に基づいて、前記エレベータカゴの呼び応答を制御する呼び応答制御手段と
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記エレベータカゴ内の荷物を識別する識別手段と、
前記荷物の識別情報に対応付けて、前記荷物の外形寸法および荷重のデータを記憶する記憶手段と
をさらに備え、
前記空きスペース演算手段は、前記識別手段により識別された前記荷物の識別情報に基づいて、前記記憶手段から前記荷物の外形寸法および荷重のデータを読み出し、読みだしたデータも考慮して前記エレベータカゴ内の空きスペースを演算する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記呼び応答制御手段は、前記エレベータカゴ内に空きスペースがないと判断した場合、他のエレベータカゴが乗場呼びに応答するように制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記操作検出手段は、荷物専用ボタンが所定回数押下されたことを検出した場合、荷物専用運転を解除する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記荷重検知手段によりエレベータカゴ内の荷重と荷重の分布が検知されなかった場合、前記呼び応答制御手段は、荷物専用運転を解除する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
所定数以上の乗場呼びがある場合、前記呼び応答制御手段は、荷物専用運転を無効にし、通常の呼び応答の制御を行う
請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記荷物専用ボタンは、前記エレベータカゴ内、または、エレベータの乗場に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエレベータ制御装置。
【請求項1】
荷物専用ボタンの操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段により前記荷物専用ボタンの操作が検出された場合、エレベータカゴ内の荷重と荷重の分布を検知する荷重検知手段と、
前記荷重検知手段による検知結果から、前記エレベータカゴ内の空きスペースを演算する空きスペース演算手段と、
前記空きスペース演算手段による演算結果に基づいて、前記エレベータカゴの呼び応答を制御する呼び応答制御手段と
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記エレベータカゴ内の荷物を識別する識別手段と、
前記荷物の識別情報に対応付けて、前記荷物の外形寸法および荷重のデータを記憶する記憶手段と
をさらに備え、
前記空きスペース演算手段は、前記識別手段により識別された前記荷物の識別情報に基づいて、前記記憶手段から前記荷物の外形寸法および荷重のデータを読み出し、読みだしたデータも考慮して前記エレベータカゴ内の空きスペースを演算する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記呼び応答制御手段は、前記エレベータカゴ内に空きスペースがないと判断した場合、他のエレベータカゴが乗場呼びに応答するように制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記操作検出手段は、荷物専用ボタンが所定回数押下されたことを検出した場合、荷物専用運転を解除する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記荷重検知手段によりエレベータカゴ内の荷重と荷重の分布が検知されなかった場合、前記呼び応答制御手段は、荷物専用運転を解除する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
所定数以上の乗場呼びがある場合、前記呼び応答制御手段は、荷物専用運転を無効にし、通常の呼び応答の制御を行う
請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記荷物専用ボタンは、前記エレベータカゴ内、または、エレベータの乗場に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエレベータ制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−89895(P2010−89895A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260862(P2008−260862)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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