説明

エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット

【課題】エレベータ昇降路の最上端部の構築を、時間と手間とをかけることなく行う。
【解決手段】エレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部に設置され、周囲にコンクリート5が打設されるエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1であって、このエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1は、鉄骨を格子状に組み合わせた六面を有する六面体形状の格子体2と、格子体2に固定されて上方向きの一つの面を除く他の五つの面を覆う枠板3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットに関し、特に、エレベータ昇降路の最上端部を構築するために用いられるエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ昇降路の最下端部のピットは、例えば、下記特許文献1に記載されているように、鉄筋コンクリートの壁体と底盤とを現場打ちすることにより形成されている。このような鉄筋コンクリートの壁体や底盤は、多数の型枠パネルを組み合わせて型枠パネル列を形成し、この型枠パネル列に囲まれた部分にコンクリートを打設することにより形成されている。
【0003】
このようなエレベータ昇降路では、最上端部は最下端部と同様に形成されており、鉄筋コンクリートの壁体と天井盤とが現場打ちされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3078195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたエレベータ昇降路の形成方法では、コンクリートが乾いた後に型枠パネルを取外すという作業が必要であり、型枠パネルを取外すために多大な時間と手間とがかかっている。
【0006】
また、コンクリートが乾くまで型枠パネルを取外すことができず、しかも、型枠パネルを取外した後にエレベータ昇降路内に各種のエレベータ用部品の取付けを行なうため、エレベータの設置作業に要する期間が長くなっている。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、エレベータ昇降路の最上端部の構築を、時間と手間とをかけることなく行うことができるエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、エレベータ昇降路構築用竪穴の最上端部に設置され、周囲にコンクリートが打設されるエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットであって、鉄骨を格子状に組み合わせた六面を有する六面体形状の格子体と、前記格子体に固定されて下方向きの一つの面を除く他の五つの面を覆う枠板と、を備えることである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンクリートを打設してエレベータ昇降路の最上端部を構築する場合に、エレベータ昇降路の最上端部の内側においてコンクリート打設後に型枠パネルを取外すという作業が発生しないため、エレベータ昇降路の最上端部を構築するために要する時間と手間とを低減させることができ、エレベータの設置作業に要する期間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットを示す一部を示す斜視図である。
【図2】エレベータ昇降路構築用竪穴の最上端部に設置されて周囲にコンクリートが打設されたエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットを示す縦断断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットを示す斜視図である。
【図4】エレベータ昇降路構築用竪穴の最上端部に設置されたエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットとその周囲に設置された型枠パネルとを示す側面図である。
【図5】エレベータ昇降路構築用竪穴の最上端部に設置されたエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットとその周囲に打設されたコンクリートを示す側面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットを示す斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を、図1及び図2に基づいて説明する。エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1は、図1に示すように、鉄骨を格子状に組み合わせた六面を有する六面体形状の格子体2と、格子体2に固定されて下方向きの一つの面(下面)を除く他の五つの面(四つの側面と一つの上面)を覆う枠板3とにより形成されている。
【0013】
枠板3としては、例えば、鉄板、石膏ボード、軽量コンクリート板等が用いられている。また、格子体2への枠板3の固定には、例えば、ボルトやリベット等が用いられている。
【0014】
エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1は、図2に示すように、エレベータを設置する工事現場に形成されているエレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部に設置されている。エレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部に設置されたエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1は、ボルトやリベットを用いてエレベータ昇降路構築用竪穴4の周囲の構造物に固定されている。そして、エレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部に設置されたエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1の周囲にコンクリート5が打設されることにより、エレベータ昇降路の最上端部が構築されている。
【0015】
このような構成において、エレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部にエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1を設置し、設置したエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1の周囲にコンクリート5を打設することにより、エレベータ昇降路の最上端部を構築することができる。
【0016】
そして、このエレベータ昇降路の最上端部を構築するに際しては、従来のエレベータ昇降路の最下端部を構築する際に使用していた型枠パネルを使用する必要がなくなり、コンクリートを打設した後に型枠パネルを取外すという作業が発生しない。
【0017】
したがって、エレベータ昇降路の最上端部を構築するために要する時間と手間とを低減させることができ、エレベータの設置作業に要する期間を短縮することができる。
【0018】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を図3ないし図5に基づいて説明する。なお、第2の実施の形態及び以下に説明する他の実施の形態において、先行して説明した実施の形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
第2の実施の形態のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Aの基本的構成は第1の実施の形態のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1と同じであり、異なる点は、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Aに開口6が形成されている点、及び、この開口6を閉塞する取外し可能な取外し用枠板7が取付けられている点である。
【0020】
開口6は、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Aの枠板3に形成され、及び、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Aをエレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部に設置した場合に、或る階床に設けられたエレベータ乗場8に正対する位置に形成されている。
【0021】
取外し用枠板7としては、例えば、鉄板、石膏ボード、軽量コンクリート板等が用いられている。また、枠板3への取外し用枠板7の取付けには、例えば、ボルトやリベット等が用いられている。
【0022】
エレベータ乗場8の天井部分には型枠パネル9が設置され、エレベータ乗場8の天井8aを形成するためのコンクリートを打設する領域が形成されている。
【0023】
エレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部へのエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Aの設置が終了し、及び、エレベータ乗場8の天井部分への型枠パネル9を用いたコンクリート打設領域の形成が終了した後、コンクリート5の打設を行なう。図5は、コンクリート5を打設し、打設したコンクリートが乾燥した後に型枠パネル9を取外し、さらに、取外し用枠板7を取外した状態を示している。
【0024】
このような構成において、エレベータの設置作業が終了し。エレベータの運行が開始された場合、開口6は、エレベータ乗場8から乗りかごに乗り降りするエレベータ乗降口として使用される。
【0025】
エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Aの設置作業、及び、コンクリート5の打設作業等などのエレベータの設置作業を行なっている間、開口6は取外し用枠板7により閉塞されている。このため、エレベータの設置作業中において、作業員が開口6からエレベータ昇降路内へ転落する事故の発生を防止することができ、さらに、埃やゴミが開口6からエレベータ昇降路内に入り込むことを防止することができる。
【0026】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について、図6に基づいて説明する。
【0027】
第3の実施の形態のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Bの基本的構成は第1の実施の形態のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1と同じである。異なる点は、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Bには、このエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Bがエレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部に設置される前に、揚重用吊り元10が予め取付けられている点である。
【0028】
揚重用吊り元10は、格子体2の上端部に固定された鉄骨製の梁10aと、梁10aに固定された金属製の引掛け部10bとにより形成されている。エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Cへの揚重用吊り元10の取付けは、例えば、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Cを製造する工場内において行なわれる。
【0029】
揚重用吊り元10は、エレベータ昇降路内に設置するエレベータ用部品であるガイドレール等を吊り上げる場合に使用され、例えば、エレベータ用部品を吊り上げるための滑車が引掛け部10bに引掛けられる。
【0030】
このような構成において、エレベータ昇降路が完成し、エレベータ昇降路内にエレベータ用部品を設置する場合には、揚重用吊り元10を使用してエレベータ用部品を吊り上げることができる。
【0031】
そして、この揚重用吊り元10は、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Bをエレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部に設置する前にエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Bに取付けられている。このため、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Bをエレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部に設置した後、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Bに揚重用吊り元を設置するという作業を行なう必要がなくなる。
【0032】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態について、第7図に基づいて説明する。
【0033】
第4の実施の形態のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Cの基本的構成は第1の実施の形態のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1と同じであり、異なる点は、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Cがエレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部に設置される前に、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Cにエレベータ用部品11が予め取付けられている点である。
【0034】
エレベータ用部品11としては、例えば、ガイドレール、支持梁、調速器、駆動装置、制御装置等である。エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Cへのエレベータ用部品11の取付けは、例えば、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Cを製造する工場内において行なうことができる。
【0035】
このような構成において、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Cへのエレベータ用部品11の取付けを、エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Cをエレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部に設置する前に行なえる。このため、エレベータ昇降路構築用竪穴4の最上端部に設置されたエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット1Cに対してエレベータ用部品11を取付ける作業を省くことができる。
【0036】
したがって、エレベータを設置する作業現場でエレベータ用部品11を取付けるという作業がなくなり、エレベータの設置作業に要する期間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0037】
1、1A、1B、1C エレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット
2 格子体
3 枠板
4 エレベータ昇降路構築用竪穴
5 コンクリート
6 開口
7 取外し用枠板
8 エレベータ乗場
10 揚重用吊り元
11 エレベータ用部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ昇降路構築用竪穴の最上端部に設置され、周囲にコンクリートが打設されるエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニットであって、
鉄骨を格子状に組み合わせた六面を有する六面体形状の格子体と、
前記格子体に固定されて下方向きの一つの面を除く他の五つの面を覆う枠板と、
を備えることを特徴とするエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット。
【請求項2】
前記枠板におけるエレベータ乗場に正対する部分に開口が形成され、前記開口を閉塞する取外し可能な取外し用枠板が取付けられていることを特徴とする請求項1記載のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット。
【請求項3】
前記エレベータ昇降路構築用竪穴の最上端部に設置される前に、前記格子体の上部に揚重用吊り元が取付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット。
【請求項4】
前記エレベータ昇降路構築用竪穴の最上端部に設置される前に、エレベータ用部品が予め取付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のエレベータ昇降路最上端部構築用型枠ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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