エレベータ用釣合いおもり、釣合いおもり用バラストおもり、およびこれらを搭載したエレベータ
フレーム(1)をもつエレベータにおける本発明の釣合いおもりが、互いに平行かつ対向した2本の直立U字状ポスト(3)を備えるとともに、各々が少なくとも一つの上部クロスビーム(5)と、少なくとも一つの下部クロスビーム(7)と、によって連結され、前記直立ポストのウイングが、質量をなすとともに前記フレーム(1)内で相互に積層される平面状のバラストおもりを収容し、かつ、少なくとも下層の1ピース式のバラストおもり(11´)による通常の傾斜式アセンブリよりも高い位置にある上層バラストおもり(11´a,11’b)が、互いに連結する少なくとも2つの部品を備えるとともに、これらの部品を2つのポスト(3)の間の平面上で連結させて幾列にも組み合わせることにより連続的に組み上げられることを特徴とする。前記の連結は、釣合いおもりがずれる際に前記2つの連結したバラストおもり部品(11´a,11´b)が前記フレーム(1)から水平方向にはずれてしまうのを防ぐように水平方向に優れた剛性を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータ用の釣合いおもり、この釣合いおもり用のバラスト(ballast)おもり、およびこれらを搭載したエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
添付した図1〜3に示すように、通常のエレベータ釣合いおもりは、互いに平行に対向した2本の直立U字状ポスト3を備えたフレーム1を備えるとともに、各々が少なくとも一つの上部クロスビーム5および少なくとも一つの下部クロスビーム7によって連結されていることが知られている。図3に最もよく示すように、直立ポストのウイング9が質量をなす平坦なバラストおもりを収容して、このおもりがフレーム1内に相互に積み上げられる。下層のバラストおもりはこれらを傾斜させることによりフレーム内に取付けられ、上層のバラストおもりはまずポスト3の一方にバラストおもりの端を挿入し、ポスト3のもう一方にバラストおもりのもう一端をこのポストの先端部に設けられた上部側面切欠部13を通して押し込み、そしてこのバラストおもりをポストの間に積み上げられたバラストおもりの上に降ろすことにより水平方向に挿入することができる。バラストおもりはフレーム1の頂上部まで組み上げられる。最後に、切欠部13はストッパで閉じられる(図示せず)。ポストの一方にあるこうした切欠部13は釣合いおもりのフレーム強度を低下させるとともにより厚みのあるポストを必要とするため、さらに高い製造コストがかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さらに、図2に示すように釣合いおもりのポストに切欠部が備えられていない場合は、バラストおもり11はフレームのポスト3の間に傾けながら取付けられなければならない。これにより上部にかなりのバラストおもり装填スペースが失われ、釣合いおもりの最大重量条件を満たすために釣合いおもりのフレームを延長せざるを得ない。
【0004】
さらに、機械室がなく昇降路の上下空間がより小さい現代のエレベータは、従来と同じかもしくはさらに重量の重い、より短い釣合いおもりを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの問題を解決することを目的としており、U字状の断面をもつ2つの平行かつ対向した直立ポストを備えるとともに各々が少なくとも一つの上部クロスビームと少なくとも一つの下部クロスビームとによって連結されたフレームをもつエレベータの釣合いおもりを提供し、このポストのウイングが、質量をなすとともにフレーム内で相互に積層される平面状のバラストおもりを収容し、さらに、上層バラストおもりのうち、少なくとも下層の1ピース式のバラストおもりによる通常の傾斜式アセンブリよりも高い位置にある上層バラストおもりが、互いに係合する少なくとも2つの部品を備え、これらの部品を2つのポストの間の平面上で係合させて幾列にも組み合わせることにより順次組み立てられることを特徴とする。前記の係合は、釣合いおもりが移動する際に前記2つの係合したバラストおもりが前記フレームから水平方向にはずれてしまうのを防ぐように水平方向に優れた剛性を提供する。
【0006】
この配列により、バラストおもりをフレームの頂上部まで組み合わせるために釣合いおもりの一方のフレームポストの端に側面切欠部を提供する必要がなく、これによりフレームポストを補強する必要がない。さらに、従来の1ピース式のバラストおもりよりも軽く、組立ては簡単で、前記バラストおもり部品の片方を一方のポストに収容するように積み、そしてもう片方の部品を始めの部品の上に置き、この部品が2つのフレームポストの間の最初の部品の間に落ちて係合するまで反対側のポストの方へ移動させ、これを次の列でも同様に繰り返すことにより組み立てられる。
【0007】
前記2ピース式のバラストおもりは対向する切欠き端部が、多少の間隙を介して、補完し合うように係合する。この端部の切欠部は、例えば補完的な凹凸縁部や、あり継ぎなどの様々な形状をもつことができる。
【0008】
これらのポストは従来の釣合いおもりのように上端に側面切欠部をもたないため、従来と同等の強度を有するさらに小さい材料厚さとすることが可能となる。
【0009】
さらに、上記と同じ理由で、これらのポストは、バラストおもりの上層アセンブリにおける従来の切欠きタイプと同じ強度を有するさらに小さい断面とすることが可能となり、これにより従来のバラストおもりと同じ幅であるが各ポストのウイングの両側を覆うのに十分な外形をもつように端部が切り抜かれたバラストおもりを収容することが可能となり、バラストおもりの角で付加的な荷重が得られる。
【0010】
前記バラストおもりの末端部の切欠き外形は、ある程度の隙間を残して各ポストの内向き係合ウイングの輪郭に従うことが可能であり、すなわち、U字状の外形を備えるとともにこのU字の脚部がポストのウイングに隣接する。
【0011】
またポストはウイングが外側を向くように設置されてもよく、収容バラストおもりはこれらのポストウィングを側面に沿って覆うようにU字状の輪郭で末端部が切り抜かれ、この配置によりバラストおもりのさらに後方に切欠部が設けられることを可能にし、これにより利用できる重量が更に増える。
【0012】
また本発明は、上記で定義するように釣合いおもりの上層に取り付けられるように釣合いおもりフレームのポストの間で互いに係合する少なくとも2つの部品を備えた釣合いおもりバラストおもりを扱う。
【0013】
また本発明は、上記で定義するように釣合いおもり内のポストウィングの両側を覆うように端部が切り抜かれた釣合いおもりバラストおもりに関する。
【0014】
もちろんすべての場合においてバラストおもりは有利には長手方向中央対称面をもち、これは釣合いおもりについても同様に対称面となる。
【0015】
最後に、上記で定義するように本発明は釣合いおもりが適合されたエレベータを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
具体的に図4,5,10を参照すると、本発明の釣合いおもりは基本的に下部クロスビーム7および上部クロスビーム5によって互いに連結された2本の平行に直立したポスト3からなる。ポスト3、下部クロスビーム7、および上部クロスビーム5が閉フレーム1を形成して、この中に釣合いおもり重量に加算される平面状のバラストおもり11が相互に積み上げられる。アセンブリは中央に対称面(フレームの中央面)をもつ。
【0017】
この釣合いおもりは、ポストに取り付けられたスライダ12によって従来どおりに昇降路内のガイドレール10の上を垂直方向に滑動するように取り付けられる。
【0018】
ポスト3(図4〜5)は、ウイングが外側へ折り返された普通のU字状の断面をもつ。これらのポストは互いに対向するように取り付けられてバラストおもり11を鉛直方向に積層状に収容する。これらのバラストおもりは、ポスト3の断面と多少の間隔でもって補完するように端部が普通のU字状の部分15をもつように切り抜かれ、ポストを側面に沿って覆う。これらのバラストおもりは中央に対称面をもつ(釣合いおもりの対称面と同じ)。
【0019】
図2のように、下層バラストおもり11´は、フレーム1内にこのおもりを傾斜させながら取付けることが可能な釣合いおもりの所定の高さまでは、1ピースで形成される。
【0020】
上層バラストおもり(図5)は、ポスト3の間で互いに係合される2つの補完的な部品11´a,11´bに分割され、ここで小さい方の部品11´aが左側に、そして大きい方の部品11´bが右側にある。これらのバラストおもりは水平方向の中央部分における凸縁部17と凹縁部19との対向した端部で僅かな隙間を残して堅固に係合する。凸縁部17の長さは、連結された部品11´aと11´bとのアセンブリが動くときに一線上に揃うように保たれる十分な長さであり、したがってこれらのバラストおもりがポスト3の外側に水平方向に逃げるのを防ぐ。
【0021】
上層における約4〜5列の、幾列かに並ぶバラストおもりのアセンブリが、図6〜9を参照して以下に示される。さらに具体的には、上層最終列のアセンブリについて述べられており、下層の列は前記と同様に取り付けられる。
【0022】
最も重いバラストおもり、すなわち右側のおもり11b´(図6)が最初に配置され、下に置かれたバラストおもりとともに右側のポスト3に向かって一直線に揃えられ、その後上層バラストおもりの頂上部における残りの空間21内の既設の右側のおもり11b´の上に小さいほうのバラストおもり11´aを置き(図7)、そして矢印の方向に左側のポスト3に向かってこれを移動させる。そしてこのバラストおもり11a´を矢印方向の左側のポストのほうへ落とすことにより、既設のバラストおもり11b´に垂直方向に連結させる(図8)。
【0023】
この構造による約3メートルの高さの釣合いおもりでは、従来仕様と比較した本発明による釣合いおもりの重量は、従来の8人乗りエレベータの釣合いおもりの重量の約10%増加し、これに比例して釣合いおもりの長さを短くすることにより有効活用することができる。
【0024】
変形例(図11)として特記すべきは、ポストのウイングは内側へ折り曲げることができ、バラストおもりの端部切欠部の外形は多少の間隔でもってポストの断面の輪郭に従うことが可能であり、具体的にはウイングの外側を反転させたような十分な間隔を介した輪郭をもつように切り抜くことができる。これは従来の釣合いおもりにおいてはバラストおもりの幅に対してポストの断面が大きすぎたため、これまでは実施できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】釣合いおもりフレームの頂上部までバラストおもりを組み上げることが可能な、一方のポストの先端部に側面切欠部をもつ従来の釣合いおもりの正面図。
【図2】一方のポストに側面切欠部を持たない装填高が制限された従来の釣合いおもりの同様の正面図。
【図3】上記の釣合いおもりの部分的な断面図。
【図4】本発明の下層釣合いおもりの上部断面図。
【図5】本発明の上層釣合いおもりの上部断面図。
【図6】釣合いおもり上に2つの部品からなる上層バラストおもりが連続的に組み上げられた図。
【図7】釣合いおもり上に2つの部品からなる上層バラストおもりが連続的に組み上げられた図。
【図8】釣合いおもり上に2つの部品からなる上層バラストおもりが連続的に組み上げられた図。
【図9】釣合いおもり上に2つの部品からなる上層バラストおもりが連続的に組み上げられた図。
【図10】バラストおもりがすべて装填された本発明の釣合いおもりの斜視図。
【図11】バラストおもりの端部外形の変形例を示す部分断面図。
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータ用の釣合いおもり、この釣合いおもり用のバラスト(ballast)おもり、およびこれらを搭載したエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
添付した図1〜3に示すように、通常のエレベータ釣合いおもりは、互いに平行に対向した2本の直立U字状ポスト3を備えたフレーム1を備えるとともに、各々が少なくとも一つの上部クロスビーム5および少なくとも一つの下部クロスビーム7によって連結されていることが知られている。図3に最もよく示すように、直立ポストのウイング9が質量をなす平坦なバラストおもりを収容して、このおもりがフレーム1内に相互に積み上げられる。下層のバラストおもりはこれらを傾斜させることによりフレーム内に取付けられ、上層のバラストおもりはまずポスト3の一方にバラストおもりの端を挿入し、ポスト3のもう一方にバラストおもりのもう一端をこのポストの先端部に設けられた上部側面切欠部13を通して押し込み、そしてこのバラストおもりをポストの間に積み上げられたバラストおもりの上に降ろすことにより水平方向に挿入することができる。バラストおもりはフレーム1の頂上部まで組み上げられる。最後に、切欠部13はストッパで閉じられる(図示せず)。ポストの一方にあるこうした切欠部13は釣合いおもりのフレーム強度を低下させるとともにより厚みのあるポストを必要とするため、さらに高い製造コストがかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さらに、図2に示すように釣合いおもりのポストに切欠部が備えられていない場合は、バラストおもり11はフレームのポスト3の間に傾けながら取付けられなければならない。これにより上部にかなりのバラストおもり装填スペースが失われ、釣合いおもりの最大重量条件を満たすために釣合いおもりのフレームを延長せざるを得ない。
【0004】
さらに、機械室がなく昇降路の上下空間がより小さい現代のエレベータは、従来と同じかもしくはさらに重量の重い、より短い釣合いおもりを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの問題を解決することを目的としており、U字状の断面をもつ2つの平行かつ対向した直立ポストを備えるとともに各々が少なくとも一つの上部クロスビームと少なくとも一つの下部クロスビームとによって連結されたフレームをもつエレベータの釣合いおもりを提供し、このポストのウイングが、質量をなすとともにフレーム内で相互に積層される平面状のバラストおもりを収容し、さらに、上層バラストおもりのうち、少なくとも下層の1ピース式のバラストおもりによる通常の傾斜式アセンブリよりも高い位置にある上層バラストおもりが、互いに係合する少なくとも2つの部品を備え、これらの部品を2つのポストの間の平面上で係合させて幾列にも組み合わせることにより順次組み立てられることを特徴とする。前記の係合は、釣合いおもりが移動する際に前記2つの係合したバラストおもりが前記フレームから水平方向にはずれてしまうのを防ぐように水平方向に優れた剛性を提供する。
【0006】
この配列により、バラストおもりをフレームの頂上部まで組み合わせるために釣合いおもりの一方のフレームポストの端に側面切欠部を提供する必要がなく、これによりフレームポストを補強する必要がない。さらに、従来の1ピース式のバラストおもりよりも軽く、組立ては簡単で、前記バラストおもり部品の片方を一方のポストに収容するように積み、そしてもう片方の部品を始めの部品の上に置き、この部品が2つのフレームポストの間の最初の部品の間に落ちて係合するまで反対側のポストの方へ移動させ、これを次の列でも同様に繰り返すことにより組み立てられる。
【0007】
前記2ピース式のバラストおもりは対向する切欠き端部が、多少の間隙を介して、補完し合うように係合する。この端部の切欠部は、例えば補完的な凹凸縁部や、あり継ぎなどの様々な形状をもつことができる。
【0008】
これらのポストは従来の釣合いおもりのように上端に側面切欠部をもたないため、従来と同等の強度を有するさらに小さい材料厚さとすることが可能となる。
【0009】
さらに、上記と同じ理由で、これらのポストは、バラストおもりの上層アセンブリにおける従来の切欠きタイプと同じ強度を有するさらに小さい断面とすることが可能となり、これにより従来のバラストおもりと同じ幅であるが各ポストのウイングの両側を覆うのに十分な外形をもつように端部が切り抜かれたバラストおもりを収容することが可能となり、バラストおもりの角で付加的な荷重が得られる。
【0010】
前記バラストおもりの末端部の切欠き外形は、ある程度の隙間を残して各ポストの内向き係合ウイングの輪郭に従うことが可能であり、すなわち、U字状の外形を備えるとともにこのU字の脚部がポストのウイングに隣接する。
【0011】
またポストはウイングが外側を向くように設置されてもよく、収容バラストおもりはこれらのポストウィングを側面に沿って覆うようにU字状の輪郭で末端部が切り抜かれ、この配置によりバラストおもりのさらに後方に切欠部が設けられることを可能にし、これにより利用できる重量が更に増える。
【0012】
また本発明は、上記で定義するように釣合いおもりの上層に取り付けられるように釣合いおもりフレームのポストの間で互いに係合する少なくとも2つの部品を備えた釣合いおもりバラストおもりを扱う。
【0013】
また本発明は、上記で定義するように釣合いおもり内のポストウィングの両側を覆うように端部が切り抜かれた釣合いおもりバラストおもりに関する。
【0014】
もちろんすべての場合においてバラストおもりは有利には長手方向中央対称面をもち、これは釣合いおもりについても同様に対称面となる。
【0015】
最後に、上記で定義するように本発明は釣合いおもりが適合されたエレベータを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
具体的に図4,5,10を参照すると、本発明の釣合いおもりは基本的に下部クロスビーム7および上部クロスビーム5によって互いに連結された2本の平行に直立したポスト3からなる。ポスト3、下部クロスビーム7、および上部クロスビーム5が閉フレーム1を形成して、この中に釣合いおもり重量に加算される平面状のバラストおもり11が相互に積み上げられる。アセンブリは中央に対称面(フレームの中央面)をもつ。
【0017】
この釣合いおもりは、ポストに取り付けられたスライダ12によって従来どおりに昇降路内のガイドレール10の上を垂直方向に滑動するように取り付けられる。
【0018】
ポスト3(図4〜5)は、ウイングが外側へ折り返された普通のU字状の断面をもつ。これらのポストは互いに対向するように取り付けられてバラストおもり11を鉛直方向に積層状に収容する。これらのバラストおもりは、ポスト3の断面と多少の間隔でもって補完するように端部が普通のU字状の部分15をもつように切り抜かれ、ポストを側面に沿って覆う。これらのバラストおもりは中央に対称面をもつ(釣合いおもりの対称面と同じ)。
【0019】
図2のように、下層バラストおもり11´は、フレーム1内にこのおもりを傾斜させながら取付けることが可能な釣合いおもりの所定の高さまでは、1ピースで形成される。
【0020】
上層バラストおもり(図5)は、ポスト3の間で互いに係合される2つの補完的な部品11´a,11´bに分割され、ここで小さい方の部品11´aが左側に、そして大きい方の部品11´bが右側にある。これらのバラストおもりは水平方向の中央部分における凸縁部17と凹縁部19との対向した端部で僅かな隙間を残して堅固に係合する。凸縁部17の長さは、連結された部品11´aと11´bとのアセンブリが動くときに一線上に揃うように保たれる十分な長さであり、したがってこれらのバラストおもりがポスト3の外側に水平方向に逃げるのを防ぐ。
【0021】
上層における約4〜5列の、幾列かに並ぶバラストおもりのアセンブリが、図6〜9を参照して以下に示される。さらに具体的には、上層最終列のアセンブリについて述べられており、下層の列は前記と同様に取り付けられる。
【0022】
最も重いバラストおもり、すなわち右側のおもり11b´(図6)が最初に配置され、下に置かれたバラストおもりとともに右側のポスト3に向かって一直線に揃えられ、その後上層バラストおもりの頂上部における残りの空間21内の既設の右側のおもり11b´の上に小さいほうのバラストおもり11´aを置き(図7)、そして矢印の方向に左側のポスト3に向かってこれを移動させる。そしてこのバラストおもり11a´を矢印方向の左側のポストのほうへ落とすことにより、既設のバラストおもり11b´に垂直方向に連結させる(図8)。
【0023】
この構造による約3メートルの高さの釣合いおもりでは、従来仕様と比較した本発明による釣合いおもりの重量は、従来の8人乗りエレベータの釣合いおもりの重量の約10%増加し、これに比例して釣合いおもりの長さを短くすることにより有効活用することができる。
【0024】
変形例(図11)として特記すべきは、ポストのウイングは内側へ折り曲げることができ、バラストおもりの端部切欠部の外形は多少の間隔でもってポストの断面の輪郭に従うことが可能であり、具体的にはウイングの外側を反転させたような十分な間隔を介した輪郭をもつように切り抜くことができる。これは従来の釣合いおもりにおいてはバラストおもりの幅に対してポストの断面が大きすぎたため、これまでは実施できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】釣合いおもりフレームの頂上部までバラストおもりを組み上げることが可能な、一方のポストの先端部に側面切欠部をもつ従来の釣合いおもりの正面図。
【図2】一方のポストに側面切欠部を持たない装填高が制限された従来の釣合いおもりの同様の正面図。
【図3】上記の釣合いおもりの部分的な断面図。
【図4】本発明の下層釣合いおもりの上部断面図。
【図5】本発明の上層釣合いおもりの上部断面図。
【図6】釣合いおもり上に2つの部品からなる上層バラストおもりが連続的に組み上げられた図。
【図7】釣合いおもり上に2つの部品からなる上層バラストおもりが連続的に組み上げられた図。
【図8】釣合いおもり上に2つの部品からなる上層バラストおもりが連続的に組み上げられた図。
【図9】釣合いおもり上に2つの部品からなる上層バラストおもりが連続的に組み上げられた図。
【図10】バラストおもりがすべて装填された本発明の釣合いおもりの斜視図。
【図11】バラストおもりの端部外形の変形例を示す部分断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行かつ対向した2本の直立U字状ポスト(3)を備えるとともに、各々が少なくとも一つの上部クロスビーム(5)と、少なくとも一つの下部クロスビーム(7)と、によって連結されたフレーム(1)を有し、前記直立ポストのウイング(9)が、質量を形成し前記フレーム(1)内で相互に積層される平面状のバラストおもり(11)を収容するエレベータ用釣合いおもりにおいて、
少なくとも下層の1ピース式のバラストおもり(11´)による通常の傾斜式アセンブリよりも高い位置にある上層バラストおもり(11´a,11’b)が、互いに係合した少なくとも2つの部品を備えるとともに、これらの部品を2つのポスト(3)の間の平面上で係合させて幾列にも組み合わせることにより順次組み上げられ、前記係合が、釣合いおもりの移動の際に前記2つの係合したバラストおもり部品(11´a,11´b)が前記フレーム(1)から水平方向にはずれてしまうのを防ぐように水平方向に優れた剛性を提供することを特徴とするエレベータ用釣合いおもり。
【請求項2】
2ピース式のバラストおもり(11´a,11´b)が、多少の間隙でもって相補の形状をとるように切り抜かれた対向端部で係合することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項3】
前記2ピース式のバラストおもり(11´a,11´b)の前記末端部が、例えば補完的な凸縁部(17)と凹縁部(19)もしくはあり継ぎなどの、様々な形状をとることが可能であることを特徴とする請求項2に記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項4】
前記ポスト(3)が、上端に従来の釣合いおもりのような側面切欠部(13)をもたず、従来のポストと同等の強度を有するより小さい材料厚さをもつことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項5】
前記ポスト(3)が、上端に従来の釣合いおもりのような側面切欠部(13)をもたず、かつ従来の切欠きタイプと同じ強度を有するより小さい断面をもち、これにより従来のバラストおもりと同じ幅であるが前記2つのポスト(3)の各々のウイング(9)の両側を覆うのに十分な外形をもつように端部が切り抜かれたバラストおもり(11)を収容し、前記バラストおもり(11)の角で付加的な荷重を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項6】
前記バラストおもり(11)の末端部の切欠き外形が、隙間を残して各ポスト(3)の内向き係合ウイング(9)の輪郭に従うことが可能であり、すなわち、U字状の外形を備えるとともにこのU字の脚部が前記ポストの前記ウイング(9)に隣接することを特徴とする請求項5に記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項7】
前記ポスト(3)のウイング(9)が外側を向くように設置されるとともに、収容バラストおもり(11´a,11´b,11´)が前記ポストウイング(9)をU字状の輪郭で側面に沿って覆うように末端部が切り抜かれて、この配置によりバラストおもりのより後方に切欠部が設けられて利用できる重量が更に増えることを特徴とする請求項5に記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項8】
釣合いおもり内の上層に組み上げるために前記2つのポスト(3)の間の水平面上で相互に係合するように設計された少なくとも2つの部品(11´a,11´b)から形成される請求項1〜7のいずれかに記載のエレベータ釣合いおもり用のバラストおもり。
【請求項9】
釣合いおもりのポスト(3)のウイング(9)を側面に沿って覆うように端部が切り抜かれることを特徴とする請求項1〜7にいずれかに記載のエレベータ釣合いおもり用のバラストおもり。
【請求項10】
中央に長手方向の対称面をもつとともに、これが前記釣合いおもりの対称面でもあることを特徴とする請求項8〜9のいずれかに記載のエレベータ釣合いおもり用のバラストおもり。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに記載の釣合いおもりを備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項1】
互いに平行かつ対向した2本の直立U字状ポスト(3)を備えるとともに、各々が少なくとも一つの上部クロスビーム(5)と、少なくとも一つの下部クロスビーム(7)と、によって連結されたフレーム(1)を有し、前記直立ポストのウイング(9)が、質量を形成し前記フレーム(1)内で相互に積層される平面状のバラストおもり(11)を収容するエレベータ用釣合いおもりにおいて、
少なくとも下層の1ピース式のバラストおもり(11´)による通常の傾斜式アセンブリよりも高い位置にある上層バラストおもり(11´a,11’b)が、互いに係合した少なくとも2つの部品を備えるとともに、これらの部品を2つのポスト(3)の間の平面上で係合させて幾列にも組み合わせることにより順次組み上げられ、前記係合が、釣合いおもりの移動の際に前記2つの係合したバラストおもり部品(11´a,11´b)が前記フレーム(1)から水平方向にはずれてしまうのを防ぐように水平方向に優れた剛性を提供することを特徴とするエレベータ用釣合いおもり。
【請求項2】
2ピース式のバラストおもり(11´a,11´b)が、多少の間隙でもって相補の形状をとるように切り抜かれた対向端部で係合することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項3】
前記2ピース式のバラストおもり(11´a,11´b)の前記末端部が、例えば補完的な凸縁部(17)と凹縁部(19)もしくはあり継ぎなどの、様々な形状をとることが可能であることを特徴とする請求項2に記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項4】
前記ポスト(3)が、上端に従来の釣合いおもりのような側面切欠部(13)をもたず、従来のポストと同等の強度を有するより小さい材料厚さをもつことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項5】
前記ポスト(3)が、上端に従来の釣合いおもりのような側面切欠部(13)をもたず、かつ従来の切欠きタイプと同じ強度を有するより小さい断面をもち、これにより従来のバラストおもりと同じ幅であるが前記2つのポスト(3)の各々のウイング(9)の両側を覆うのに十分な外形をもつように端部が切り抜かれたバラストおもり(11)を収容し、前記バラストおもり(11)の角で付加的な荷重を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項6】
前記バラストおもり(11)の末端部の切欠き外形が、隙間を残して各ポスト(3)の内向き係合ウイング(9)の輪郭に従うことが可能であり、すなわち、U字状の外形を備えるとともにこのU字の脚部が前記ポストの前記ウイング(9)に隣接することを特徴とする請求項5に記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項7】
前記ポスト(3)のウイング(9)が外側を向くように設置されるとともに、収容バラストおもり(11´a,11´b,11´)が前記ポストウイング(9)をU字状の輪郭で側面に沿って覆うように末端部が切り抜かれて、この配置によりバラストおもりのより後方に切欠部が設けられて利用できる重量が更に増えることを特徴とする請求項5に記載のエレベータ用釣合いおもり。
【請求項8】
釣合いおもり内の上層に組み上げるために前記2つのポスト(3)の間の水平面上で相互に係合するように設計された少なくとも2つの部品(11´a,11´b)から形成される請求項1〜7のいずれかに記載のエレベータ釣合いおもり用のバラストおもり。
【請求項9】
釣合いおもりのポスト(3)のウイング(9)を側面に沿って覆うように端部が切り抜かれることを特徴とする請求項1〜7にいずれかに記載のエレベータ釣合いおもり用のバラストおもり。
【請求項10】
中央に長手方向の対称面をもつとともに、これが前記釣合いおもりの対称面でもあることを特徴とする請求項8〜9のいずれかに記載のエレベータ釣合いおもり用のバラストおもり。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに記載の釣合いおもりを備えることを特徴とするエレベータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−537960(P2007−537960A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517468(P2007−517468)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001711
【国際公開番号】WO2005/113403
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(591020353)オーチス エレベータ カンパニー (402)
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001711
【国際公開番号】WO2005/113403
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(591020353)オーチス エレベータ カンパニー (402)
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
【Fターム(参考)】
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