説明

エレベータ装置

【課題】より静粛化されたエレベータ装置を提供する。
【解決手段】昇降路1と、昇降路を昇降するかご3と、昇降路に設置された巻上機5とを備えた機械室レス式エレベータにおいて、巻上機の近傍にエレベータの騒音を低減させるアクティブノイズコントローラ機器を設け、アクティブノイズコントローラ機器は、巻上機に隣接して設けられた検出用マイク11aと、巻上機に向かった制御用スピーカ11bと、乗場に隣接して設けられた評価用マイク11cと、コントローラ11dとを備え、巻上機により発生した騒音を検出用マイクで受音し、位相が逆転した波形を前記制御用スピーカから巻上機に発信し、評価用マイクが重ね合わせた音を受音し、コントローラにフィードバックして、制御用スピーカの発信音を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの騒音を低減させ静粛化をさせるエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ装置においては、騒音を低減させ静粛化させるには昇降路内に吸音材を貼り付ける手法や、騒音源である巻上機の一部を吸音材で覆う方法があった。(例えば、特許文献1参照)。またパルス制御手段が発生する出力パルスと、電気機器の騒音特性と、アンプ及びスピーカの動特性に応じて、電気機器の騒音を打ち消す音をスピーカから発するアクティブノイズコントローラを備えたものがある(例えば特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−315721号公報
【特許文献2】特開2002−60146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のエレベータ装置においては、昇降路の省スペース化により、吸音材を貼り付けるスペースが少なくなり、十分な吸音効果が得られないことが考えられる。また従来はグラスウールによる吸音が主だったが、騒音を低減させることが難しいという問題があった。
また特許文献2記載のエレベータ装置においてはモータ特性、スピーカ/アンプ特性に応じて打ち消す音の出力を決定するオープンループ制御に過ぎず、フィードバック制御相当はモータ特性の同定のみであり、エレベータの乗場付近における実際の消音効果は充分に得られないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかわるエレベータ装置においては、昇降路と、昇降路を昇降するかごと、昇降路に設置された巻上機とを備えた機械室レス式エレベータにおいて、巻上機の近傍にエレベータの騒音を低減させるアクティブノイズコントローラ機器が設けたものである。
【0006】
またこの発明にかかわるエレベータ装置に備わるアクティブノイズコントローラ機器においては、巻上機に隣接して設けられた検出用マイクと、巻上機に向かった制御用スピーカと、乗場に隣接して設けられた評価用マイクと、コントローラとを備え、巻上機により発生した騒音を検出用マイクで受音し、位相が逆転した波形を制御用スピーカから巻上機に発信し、評価用マイクが重ね合わせた音を受音してコントローラにフィードバックし、制御用スピーカの発信音を補正するものである。
【発明の効果】
【0007】
上述のように構成されたエレベータ装置によれば、よりエレベータの消音効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベータ装置の昇降路横断面図、図2は実施の形態1におけるエレベータ装置の昇降路縦断面図である。
図において、1はエレベータの昇降路、2は昇降路1外側の各階に設けられたエレベータの乗場、2aは乗場2床から昇降路1内側に設けられた敷居、3は昇降路1内を昇降するかご、4はかご3と釣りあって昇降路1内の壁面側を昇降する釣合錘、5は昇降路1底部の壁面に設けられた巻上機で、機械室レス式のものである。6は両端にかご3及び釣合錘4を設けた主索からなる懸架手段で、中間部が巻上機5の駆動綱車に巻き掛けられ、該綱車が駆動によりかご3及び釣合錘4とを昇降させる。7は昇降路1天井に設けられた吊車、8はかご3底面に設けられた綱車で、それぞれ主索6のかご3側を巻き掛け、該かご3を主索6に懸架させている。9は昇降路1天井に設けられた返し車で、主索6の釣合錘側を巻掛け、該釣合錘4を主索6に懸架させている。10a及び10bはそれぞれかご3及び釣合錘4の昇降を案内する案内レールである。
11はこの発明の特徴となる巻上機5近傍に設けられたアクティブノイズコントローラ機器で、該巻上機5の騒音を低減させるものである。
【0009】
アクティブノイズコントローラ機器11の構成を説明する。
11aは巻上機5に隣接して設けられた検出用マイク、11bは巻上機5の反対側の昇降路1の壁面に設けられ、巻上機5に向かって音を発する制御用スピーカ、11cは昇降路1の乗場2に隣接して設けられた評価用マイク、11dはこれら検出用マイク11a、制御用スピーカ11b、評価用マイク11cを制御ケーブルで繋いだコントローラである。またアクティブノイズコントローラ機器11の構成は全てかご3の昇降と干渉しない位置に設けられている。
【0010】
上述のように構成されたアクティブノイズコントローラ機器11の動作を説明する。巻上機5により発生した騒音は、検出用マイク11aで受音され、コントローラ11dにデータが送られる。ここで振幅が同じで、位相が逆転した波形を出力し、制御用スピーカ11bから騒音源である巻上機6に発信される。これにより、逆相の音波は互いを打ち消し合い、音は消えるが、乗場に近い位置に配置された評価用マイク11cで重ね合わせた音を受音し、コントローラ11dにフィードバックすることで、制御用スピーカ11bの発信音を補正する。
【0011】
上述のように構成されたエレベータ装置によれば、乗場2付近に評価用マイク11cを備えたアクティブノイズコントローラ機器11を設けたことにより、昇降路1内に吸音材を貼る、或いはかご室の壁を二重にする、乗場2のドアの機密性を高めるといった従来の騒音対策よりも、コストが低減でき、施工も容易とすることができる。
【0012】
また巻上機や昇降路内壁当への吸音材等貼り付けが不要とすることができるため、かご内、乗場の騒音を簡単に騒音を低減させることができる、展望用等の用途においても美観を損ねない、昇降路平面寸法に影響を与えず、及び建築への負担を抑えることが出来る、といった効果を得ることができる。
またかご室の壁を二重にするなどの対策をとらなくても良いため、省スペース化やかご室の軽量化、省エネルギー化に貢献できる。
【0013】
以上のことなどにより、昇降路1の平面寸法が小さく、かご3内及び乗場2の騒音が少ない、省スペース、且つ高速の機械室レスエレベータを得ることができる。
【0014】
また、上述のように構成されたエレベータ装置によれば、特許文献2記載のエレベータ装置のようなモータ特性、スピーカ/アンプ特性に応じて打ち消す音の出力を決定するオープンルーフ制御の、モータ特性のみのフィードバック制御ではなく、乗場2付近に設けた評価用マイク11cの音入力がなくなるように、フィードバック制御をするようにしたため、より消音効果を高くすることができ、乗場2付近の騒音を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1におけるエレベータ装置の昇降路横断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1におけるエレベータ装置の昇降路縦断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 昇降路、
2 乗場、
2a 乗場床の敷居
3 かご、
4 釣合錘、
5 巻上機、
6 主索、
7 吊車、
8 綱車
9 返し車、
10a、10b 案内レール、
11 アクティブコントローラ機器、
11a 検出用マイク、
11b 制御用スピーカ、
11c 評価用マイク、
11d コントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路と、
前記昇降路を昇降するかごと、
前記昇降路に設置された巻上機と、
を備えた機械室レス式エレベータにおいて、
前記巻上機の近傍にエレベータの騒音を低減させるアクティブノイズコントローラ機器が設けられたことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
アクティブノイズコントローラ機器は、巻上機に隣接して設けられた検出用マイクと、前記巻上機に向かった制御用スピーカと、評価用マイクと、コントローラとを備え、前記巻上機により発生した騒音を前記検出用マイクで受音し、位相が逆転した波形を前記制御用スピーカから前記巻上機に発信し、前記評価用マイクが重ね合わせた音を受音し、前記コントローラにフィードバックして、前記制御用スピーカの発信音を補正することを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−308257(P2007−308257A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138813(P2006−138813)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】