説明

エレベータ設備を近代化するための方法およびコンピュータプログラムプロダクト

【課題】エレベータ設備の近代化中であっても、エレベータ設備の効率を増大させるための、あるいは、ユーザの乗り心地を向上させるための方法およびコンピュータプログラムプロダクトを提供する。
【解決手段】行先呼び出し制御装置(3)は、行先呼び出し通報を入力し、あるいは、ユーザの識別コードを認識するための階端末装置(31、31’、31”)を備える。行先呼び出し制御装置(3)は、行先呼び出し通報を評価し、あるいは、行先階を認識された識別コードに対応づけるための計算ユニット(30)を備える。計算ユニット(30)は、行先信号を発行する。行先呼び出し制御装置(3)は、装置(36、36’)を介して、エレベータ設備(1)を制御する。装置(36、36’)は、行先信号を読み込み、それを呼び出し通報に変換し、その呼び出し通報によって、既存のエレベータ制御装置(14、14’)を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲に記載された定義によるエレベータ設備を近代化するための方法およびコンピュータプログラムプロダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
人および物を運搬するためのエレベータ設備は、20年かまたはそれ以上の耐用年数を有する比較的に長期にわたる投資の対象となる製品である。そのような長い期間が経過すると、汎用的で総体的なエレベータ設備が現われ、そのために、エレベータ設備の構成要素は、多くの場合、技術的に古いものとなり、そのことは、ほとんど全部の構成要素を交換することを余儀なくされる。エレベータ設備の構成要素のそのような交換は、以下では近代化と呼ばれる。制御ユニットおよびエレベータケージは、第1の段階において、近代化され、駆動装置は、その後の段階において、機関室内で近代化され、階呼び出し送信器は、最終段階において、個々の階で近代化されるように、近代化は、しばしば、時間的にちぐはぐに実行される。
【0003】
米国特許第5352857号明細書は、本発明の属する分野の技術水準を最も的確に記載したものと考えられる。米国特許第5352857号は、エレベータ設備を近代化する方法を開示している。エレベータ設備は、建物内のユーザを運搬するエレベータのグループからなり、それぞれのエレベータは、エレベータ制御装置によって制御される。近代化中のエレベータ設備の輸送能力を維持するために、近代化は、モジュール式に時間区画でなされる。第1の方法段階は、グループ制御装置およびいくつかのアダプタユニットを組み入れることからなる。アダプタユニットは、エレベータ制御装置に取り付けられ、個々のエレベータ制御装置と新しいグループ制御装置との間で動作する。このようにして、新しいグループ制御装置を介して個々のエレベータを制御するのを可能にする通信ネットワークが形成される。その後の方法段階において、エレベータ設備の既存の構成要素が、自由に選択できるその後の時点で、組み合わせられてモジュールとなる。それから、機関室内の駆動装置、それぞれの階にある階呼び出し送信器、などの既存のエレベータ設備構成要素が、選択され、モジュール式に取り外され、新しい対応するエレベータ設備構成要素と交換される。すべてのモジュールが、交換されると、エレベータ制御装置およびアダプタユニットが、その後の方法段階において取り外され、安全システムインタフェースと交換されて、安全システムインタフェースを介してグループ制御装置から個々のエレベータを制御するようにされる。
【0004】
エレベータ設備を近代化するこの方法の欠点は、エレベータ設備の輸送能力が、近代化中にできるだけ良好に維持されなければならないことであり、モジュールの近代化が、時間的に長引く場合があり、かつ、この方法は、大量の材料を必要とし、そのために、実現するのにコストがかかることである。
【0005】
また、多くの場合、エレベータ設備の近代化は、エレベータ設備の効率を増大させるために、あるいは、ユーザの乗り心地を向上させるために実施される。したがって、ユーザは、できるだけ迅速かつ直接に輸送されることを望み、長い待ち時間または乗り換えは、不快に感じられる。さらに、エレベータケージの加速および減速は、ユーザがほとんど感知できないものでなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5352857号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0246395号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0699617号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、エレベータ設備の近代化中であっても、エレベータ設備の効率を増大させるための、あるいは、ユーザの乗り心地を向上させるための方法およびコンピュータプログラムプロダクトを提供することである。本発明のさらなる目的は、この方法およびこのコンピュータプログラムプロダクトを経済的かつ迅速に実現することである。最後に、本発明は、機械建設産業界および電子産業界で実績のある規格と互換性のあるものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、特許請求の範囲に記載された定義による本発明によって達成される。
【0009】
本発明によれば、建物内に配置された近代化されるべきエレベータ設備は、エレベータ設備を近代化する準備作業の枠内で、行先呼び出し制御装置を取り付けられる。行先呼び出し制御装置は、1つの階に取り付けられた少なくとも1つの階端末装置を備える。ユーザは、階端末装置から行先呼び出し通報を入力し、あるいは、ユーザの識別コードが、階端末装置において認識される。行先呼び出し制御装置は、ただ1つの行先呼び出し通報によって、搭乗階および行先階を検出し、あるいは、行先階を搭乗階において認識された識別コードに自動的に対応づける。したがって、行先呼び出し通報は、搭乗階に関するデータだけでなく行先階に関するデータも備える。ただ1つの情報項目だけを含む、すなわち、搭乗階のみまたは行先階のみを通報する従来の呼び出し通報は、行先呼び出し制御装置のおかげで、不必要となる。とりわけ、行先呼び出し制御装置によって、搭乗階にいるユーザは、エレベータを搭乗階に呼び出すために、階呼び出し送信器から第1の呼び出し通報を入力して、その後に、行先階を指示するために、エレベータケージ内でケージ呼び出し送信器から第2の呼び出し通報を入力する必要がなくなる。
【0010】
行先呼び出し制御装置は、少なくとも1つの計算ユニットを備え、その計算ユニットは、行先呼び出し通報を評価し、あるいは、識別コードに基づいて、ユーザを明確に識別し、予め定められた行先階を識別されたユーザに割り当てる。建物に関するデータあるいは実際のユーザの出現に関するデータなどの更なるデータが、行先呼び出し通報のこの評価および識別コードの対応づけに取り込まれる。運搬結果に基づいて、エレベータが、それぞれのユーザに割り当てられ、それによって、ユーザは、例えば、わずかな待ち時間で、あるいは、可能ならば乗り換えなしに、最も短い時間で、あるいは、最も快適な乗り心地で、行先階に運搬される。
【0011】
行先呼び出し制御装置は、少なくとも1つの装置を介して、近代化されるべきエレベータ設備の既存のエレベータ制御装置を制御する。その装置は、計算ユニットによって探し出された運搬結果をエレベータ制御装置への少なくとも1つの呼び出し通報にその装置が変換するという点において、中継機能を有する。計算ユニットは、少なくとも1つの行先信号を装置へ伝達し、その行先信号は、装置によって少なくとも1つの呼び出し通報に変換され、その呼び出し通報によって、エレベータ制御装置が、制御される。このようにして、近代化されるべきエレベータ設備に行先呼び出し制御装置を取り付けることができ、その場合、エレベータ設備は、呼び出し通報に基づいて、既存のエレベータ制御装置によってその後も操作される。
【0012】
装置は、エレベータ制御装置の挙動を少なくとも1つの移動時間プロフィールとして記録する。その場合、エレベータ制御装置は、一種の「ブラックボックス」と見做されるべきであり、エレベータ制御装置の挙動は、学習過程において、予測可能である。このために、エレベータ制御装置の少なくとも1つの信号が、分岐され、その信号の経時的な経路が、移動時間プロフィールとして記録される。移動時間プロフィールは、運搬経路の長さ、運搬負荷、などの関数としてのエレベータケージの加速度、速度、および、減速度などのデータを含む。有利には、多数の移動時間プロフィールが、記録される。
【0013】
本発明は、移動時間プロフィールを解析してエレベータ設備に関するデータを少なくとも1つの事前選択として提供する少なくとも1つのコンピュータプログラムプロダクトに関する。事前選択は、エレベータケージがこれからまだ停止することが可能な階を、移動しているエレベータケージに指示する。事前選択を探し出すために、コンピュータプログラムプロダクトは、実際に分岐された信号の経時的な経路を移動時間プロフィールと比較し、実際に分岐された信号の時間経路を最大の確率で再現し、あるいは、実質的に再現する移動時間プロフィールを選択する。有利には、事前選択は、定期的にずっと、エレベータ設備のエレベータごとに実現され、行先呼び出し制御装置に伝達される。実現されたこの事前選択は、更なる情報として、計算ユニットによって運搬結果の評価に取り込まれる。事前選択は、ユーザをエレベータケージに迅速に割り当てるのを可能にし、それによって、ユーザの待ち時間を減少させる。さらに、事前選択によって、エレベータケージをほとんど気づかれないないように加速または減速することができ、それによって、大変快適な乗り心地をユーザに保証する。多数の移動時間プロフィールを記録することによって、的確に事前選択を決定することができ、エレベータ設備の効率を最適化することができる。
【0014】
行先呼び出し制御装置をエレベータ設備に取り付けることは、例えば、数時間以内に、例えば、エレベータ設備があまり稼働していないときに、迅速に実行することができる。このために、エレベータ制御装置が、少なくとも1つの電線を介して、装置に接続される。階端末装置が、取り付けられ、計算ユニットが、設置される。システムは、階端末装置、計算ユニット、および、装置からなり、それらは、少なくとも1つのデータバスを介して、お互いに接続される。システムの個々の構成要素は、標準化され、経済的に生産することができる。
【0015】
このようにして近代化の準備がなされたエレベータ設備は、近代化するのに容易かつ単純なものである。準備作業のおかげで、従来の呼び出し通報を必要としなくなったことから、また、エレベータ設備の効率が増大したことから、ユーザに不便をかけることなく、エレベータ設備を近代化することができる。有利には、いくつかのエレベータを備えたエレベータ設備は、少なくとも1つの方法段階において、モジュール式に近代化される。また、米国特許第5352857号明細書に記載された従来技術とは対照的に、エレベータ設備の構成要素は、モジュールとして結合されることはなく、そのようなモジュールが、それぞれの方法段階において、エレベータ設備を近代化し、しかも、少なくとも1つのエレベータが、それぞれの方法段階において、ほぼ完全に近代化される。有利には、エレベータのエレベータケージが、1つの方法段階において、近代化され、このエレベータの駆動装置が、近代化され、このエレベータの運搬ケーブルが、近代化され、このエレベータのエレベータ制御装置が、近代化され、そして、装置が、このエレベータから取り除かれる。
【0016】
以下、図1から図3を参照して、例としての実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】近代化されるべきエレベータ設備の一部分を示す図である。
【図2】近代化するための準備作業を完了した後の図1に示されるエレベータ設備の一部分を示す図である。
【図3】装置の一部分を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、少なくとも1つのエレベータ制御装置14、14’、14”によって制御される少なくとも1つのエレベータ10、10’、10”を備えた近代化されるべきエレベータ設備の例としての実施形態の一部分を示す。エレベータ設備1は、例えば、階21、21’、21”を備えた建物2内に取り付けられ、人または物のようなユーザを一方の階21、21’、21”から他方の階21、21’、21”へ運搬する役割をなす。建物2は、例えば、エレベータ設備1を介してアクセスすることのできる3つの階21、21’、21”を備える。
【0019】
エレベータ設備1は、例えば、2つのエレベータ10、10’を備え、それらのエレベータ10、10’は、例えば、互いに平行にかつ隣接して配置される。それぞれのエレベータ10、10’は、エレベータケージ11、11’を備え、それらのエレベータケージ11、11’は、例えば、運搬ケーブル9、9’に吊り下げられ、駆動装置12、12’を介して、一方の階21、21’、21”から他方の階21、21’、21”へ動かされる。図1および図2によれば、エレベータ10、10’の垂直運搬方向は、双方向矢印によって示される。
【0020】
駆動装置12、12’は、エレベータ制御装置14、14’によって制御され、既知の方法で、少なくとも1つの目標値が、生成され、少なくとも1つの調整機能が、存在し、少なくとも1つの発車または少なくとも1つの停車が、実現される。エレベータケージ11、11’の実際の位置が、例えば、少なくとも1つの移動検出器24、24’、24”、25、25’、25”を介して検出され、少なくとも1つの移動信号としてエレベータ制御装置14、14’に伝達される。例えば、第1のエレベータ10のための第1の移動検出器24、24’、24”が、それぞれの階21、21’、21”に取り付けられ、第2のエレベータ10’のための第2の移動検出器25、25’、25”が、それぞれの階21、21’、21”に取り付けられる。
【0021】
ユーザは、アクセス手段を介して、エレベータケージ11、11’に出入りする。例えば、それぞれの階21、21’、21”にいるユーザは、階ドアの形態を有するアクセス手段を通って、エレベータケージ11、11’に出入りする。エレベータケージ11、11’は、例えば、エレベータケージドアの形態を有するアクセス手段を有し、ユーザは、そのアクセス手段を通って、エレベータケージ11、11’に出入りする。エレベータケージ11、11’内においては、エレベータケージ11、11’の実際の位置は、少なくとも1つのケージ表示装置15、15’を介して、ユーザに指示される。
【0022】
エレベータ設備1は、少なくとも1つの階呼び出し送信器22、22’、22”、23、23’、23”を介して、エレベータケージ11、11’の外にいるユーザによって操作され、その階呼び出し送信器22、22’、22”、23、23’、23”は、例えば、階21、21’、21”のエレベータ設備1の近くに配置され、かつ、第1の呼び出し通報を入力するための少なくとも1つの入力手段を有する。例えば、それぞれの階21、21’、21”には、第1の階呼び出し送信器22、22’、22”が、第1のエレベータ10の階ドアの近くに配置され、また、それぞれの階21、21’、21”には、第2の階呼び出し送信器23、23’、23”が、第2のエレベータ10’の階ドアの近くに配置される。
【0023】
エレベータ設備1は、少なくとも1つのケージ呼び出し送信器13、13’を介して、エレベータケージ11、11’の中にいるユーザによって操作され、そのケージ呼び出し送信器13、13’は、第2の呼び出し通報を入力するための少なくとも1つの入力手段を有する。これらの従来の呼び出し通報は、ただ1つの情報項目を含む。例えば、第1の呼び出し通報は、運搬目的地方向(上方向または下方向)または搭乗階を指示する。第2の呼び出し通報は、例えば、行先階を指示する。
【0024】
階呼び出し送信器22、22’、22”、23、23’、23”、ケージ呼び出し送信器13、13’、移動検出器24、24’、24”、25、25’、25”、エレベータ制御装置14、14’、駆動装置12、12’、および、ケージ表示装置15、15’などのエレベータ設備1の様々な構成要素は、少なくとも1つの電気的線路を介して、お互いに接続される。
【0025】
例えば、階呼び出し送信器22、22’、22”、23、23’、23”は、少なくとも1つの電気的な階呼び出し送信器線路16、16’を介して、エレベータ制御装置14、14’の少なくとも1つの入力に接続され、それによって、第1の呼び出し通報をエレベータ制御装置14、14’に伝達することができる。
【0026】
例えば、ケージ呼び出し送信器13、13’は、少なくとも1つの電気的なケージ呼び出し送信器線路18、18’を介して、エレベータ制御装置14、14’の少なくとも1つの入力に接続され、それによって、第2の呼び出し通報をエレベータ制御装置14、14’に伝達することができる。
【0027】
例えば、移動検出器24、24’、24”、25、25’、25”は、少なくとも1つの電気的な移動検出器線路17、17’を介して、エレベータ制御装置14、14’の少なくとも1つの入力に接続され、それによって、移動信号をエレベータ制御装置14、14’に伝達することができる。
【0028】
例えば、駆動装置12、12’は、少なくとも1つの電気的な駆動装置線路19、19’を介して、エレベータ制御装置14、14’の少なくとも1つの出力に接続され、それによって、目標値を駆動装置12、12’に伝達することができる。
【0029】
例えば、ケージ表示装置15、15’は、少なくとも1つの電気的なケージ表示装置線路20、20’を介して、エレベータ制御装置14、14’の少なくとも1つの出力に接続され、それによって、表示信号をケージ表示装置15、15’に伝達することができる。
【0030】
これらの呼び出し通報、この移動信号、この目標値、および、この表示信号は、例えば、定義された電流強度、電圧、周波数、期間などの電気的アナログ信号である。
【0031】
エレベータ設備1の操作は、例えば、以下のように作用する。
【0032】
ユーザは、搭乗階にある階呼び出し送信器22、22’、22”、23、23’、23”を作動させる。
【0033】
第1の呼び出し通報に応じて、その第1の呼び出し通報が、電気的な階呼び出し送信器線路16、16’を介して、エレベータ制御装置14、14’に伝達され、そのエレベータ制御装置14、14’は、駆動装置12、12’を制御し、エレベータケージ11、11’を搭乗階に移動させる。
【0034】
エレベータケージ11、11’が、搭乗階に到着すると、ユーザは、そのエレベータケージ11、11’に搭乗し、ケージ呼び出し送信器13、13’を作動させる。
【0035】
第2の呼び出し通報に応じて、その第2の呼び出し通報が、電気的なケージ呼び出し送信器線路18、18’を介して、エレベータ制御装置14、14’に伝達され、そのエレベータ制御装置14、14’は、駆動装置12、12’を制御し、エレベータケージ11、11’を搭乗階から行先階に移動させる。
【0036】
行先階に到着すると、ユーザは、エレベータケージ11、11’から降りる。
【0037】
ここで、このエレベータ設備1を近代化する。このために、本発明が、使用される。
【0038】
図2は、エレベータ設備1を近代化するための本発明による準備作業を完了した後のエレベータ設備1の例としての実施形態の一部分を示す。準備作業の枠内で、エレベータ設備1は、行先呼び出し制御装置3を取り付けられる。
【0039】
行先呼び出し制御装置3の原理は、欧州特許出願公開第0246395号明細書から知ることができる。行先呼び出し制御装置3は、例えば、それぞれの階21、21’、21”のエレベータ設備1の近くに配置された少なくとも1つの階端末装置31、31’、31”を備える。階端末装置31、31’、31”は、行先呼び出し通報を入力するための少なくとも1つのマニュアル入力手段32、32’、32”または少なくとも1つの識別コードを認識するための少なくとも1つの認識装置33、33’、33”を備える。少なくとも1つの識別送信器34、34’、34”によって認識装置33、33’、33”に伝達される識別コードの認識は、欧州特許出願公開第0699617号明細書から知ることができる。行先呼び出し制御装置3は、ただ1つの行先呼び出し通報によって、搭乗階および行先階を検出し、あるいは、搭乗階で認識された識別コードに行先階を自動的に割り当てる。行先呼び出し通報は、搭乗階に関するデータだけでなく行先階に関するデータも備える。
【0040】
行先呼び出し制御装置3は、少なくとも1つの計算ユニット30を備える。計算ユニット30は、例えば、市販のパーソナルコンピュータまたはワークステーションである。計算ユニット30は、少なくとも1つのプロセッサおよび少なくとも1つのデータメモリーを含む。計算ユニット30は、任意の適切な場所に配置され、例えば、建物2の玄関または建物2のコンピュータルームなどに配置される。計算ユニット30は、行先呼び出し通報を評価するための、あるいは、認識された識別コードを行先階に対応づけるための少なくとも1つのコンピュータプログラムプロダクトを実行する。このコンピュータプログラムプロダクトは、例えば、データメモリー内に保存され、それを実行するためにプロセッサにロードされる。
【0041】
例えば、行先呼び出し通報の評価は、以下のように実行される。
【0042】
行先呼び出し通報を評価するためのコンピュータプログラムプロダクトは、搭乗階および所望の行先階に関するステートメントとともに、それぞれの行先呼び出し通報の入力時間を少なくとも1つの要求テーブル内に記録する。
【0043】
このコンピュータプログラムプロダクトは、搭乗階と少なくとも1つのエレベータケージ11、11’の実際の位置との間の距離を比較する。また、このコンピュータプログラムプロダクトは、搭乗階と行先階との間の距離を計算する。さらに、このコンピュータプログラムプロダクトは、実際のユーザの存在を考慮に入れ、運搬経路に沿った可能中間停車階を計算する。
【0044】
これらのデータに基づいて、このコンピュータプログラムプロダクトは、最適化を実行し、行先呼び出し通報ごとに、少なくとも1つの運搬結果を探し出す。運搬結果は、ユーザを運搬するのに最適なエレベータ10、10’、すなわち、最も早く、あるいは、最高の乗り心地でユーザを行先階へ運搬するエレベータ10、10’を指示する。
【0045】
認識された識別コードに行先階を割り当てることは、例えば、以下のように実行される。
【0046】
認識された識別コードを行先階に対応づけるためのコンピュータプログラムプロダクトは、認識された識別コードの認識時間を搭乗階のステートメントとして要求テーブル内に記録する。
【0047】
データメモリー内において、少なくとも1つのユーザ固有ステートメントを備えたユーザプロフィールに行先階を取り込む。このユーザプロフィールは、識別アドレスを介して、明確に識別することができる。識別アドレスごとに、正確に1つの識別コードが存在する。例えば、識別アドレスと識別コードとが、同じものであれば、その識別アドレスを識別コードに正確に対応づけることができる。
【0048】
このコンピュータプログラムプロダクトは、認識された識別コードを、記憶されたユーザプロフィールの識別アドレスと比較する。そして、記憶された識別アドレスの1つが、認識された識別コードと同じものであれば、このコンピュータプログラムプロダクトは、肯定対応結果を正確に出し、同じものでなければ、このコンピュータプログラムプロダクトは、否定対応結果を出す。
【0049】
このコンピュータプログラムプロダクトは、要求テーブル内に行先階を記録する。
【0050】
このコンピュータプログラムプロダクトは、搭乗階と少なくとも1つのエレベータケージ11、11’の実際の位置との間の距離を比較する。さらに、このコンピュータプログラムプロダクトは、搭乗階と行先階との間の距離を計算する。また、このコンピュータプログラムプロダクトは、実際のユーザの存在を考慮に入れ、運搬経路に沿った可能中間停車階を計算する。
【0051】
このデータに基づいて、このコンピュータプログラムプロダクトは、最適化を実行し、認識された識別コードごとに、少なくとも1つの運搬結果を探し出す。運搬結果は、ユーザを運搬するのに最適なエレベータ10、10’、すなわち、最も早く、あるいは、最高の乗り心地でユーザを行先階へ運搬するエレベータ10、10’を指示する。
【0052】
運搬結果は、変換される。有利には、ユーザの行先階に割り当てられたエレベータ10、10’は、ユーザに指示される。このために、階端末装置31、31’、31”は、少なくとも1つのエレベータ表示装置35、35’、35”を有する。計算ユニット30は、エレベータ設備1を制御するための少なくとも1つのコンピュータプログラムプロダクトを実行する。計算ユニット30は、少なくとも1つの装置36、36’を介して、近代化されるべきエレベータ設備1を制御する。「制御」という用語は、間接制御という意味に解釈されたい。ここでは、既存のエレベータ制御装置14、14’が、装置36、36’を介して、計算ユニット30によって間接的に制御される。
【0053】
階端末装置31、31’、31”、計算ユニット30、および、装置36、36’は、少なくとも1つのデータバス37を介して、お互いに連絡する。データバスは、最近の一般的なバスであればよい。そのようなデータバスは、この分野に精通する者には良く知られているものである。データバスは、イーサネット(登録商標)ネットワーク、トークンリングネットワークなどの電気的または光学的な信号伝送に基づくものであってもよい。さらに、データバスは、無線ネットワーク、赤外線ネットワーク、レーダーネットワーク、電波ビームネットワークなどであってもよい。本発明の知識によって、この分野に精通する者は、様々な可能性を実現することができる。
【0054】
図3は、装置36、36’の例としての実施形態の一部分を示す。計算ユニット30は、データバス37を介して、少なくとも1つの行先信号を装置36、36’に発行する。装置36、36’は、行先信号を受け取るために、例えば、データバス37のための少なくとも1つの入力を備える。例えば、行先信号は、データバス37の少なくとも1つの通信プロトコルに従って、装置36、36’に送られ、その装置36、36’によって読み込まれる。装置36、36’は、例えば、少なくとも1つの変換器361を備え、その変換器361は、行先信号を受け取り、その行先信号を呼び出し通報に変換する。変換器361は、電子産業界で市販されている実績のある変換器である。
【0055】
装置36、36’およびエレベータ制御装置14、14’は、少なくとも1つの電気的線路を介して、お互いに接続される。装置36、36’は、例えば、呼び出し通報を発行するための少なくとも1つの出力を備える。この出力は、少なくとも1つの階呼び出し送信器線路16、16’および少なくとも1つのケージ呼び出し送信器線路18、18’を介して、エレベータ制御装置14、14’に接続される。呼び出し通報は、装置36、36’の少なくとも1つの信号発生器362からエレベータ制御装置14、14’に発行される。装置36、36’をエレベータ制御装置14、14’の近くに配置することは、有利ではあるが、かならずそうしなければならないわけではない。信号発生器362は、電子産業界で市販されている実績のある信号発生器である。
【0056】
近代化されたエレベータ設備1の操作は、例えば、以下のように作用する。
【0057】
搭乗階において、ユーザは、階端末装置31、31’、31”のマニュアル入力手段32、32’、32”を介して、行先呼び出し通報を入力し、あるいは、ユーザは、識別送信器34、34’、34”を携帯し、識別コードを階端末装置31、31’、31”の認識装置33、33’、33”に伝達し、その識別コードが、認識装置33、33’、33”によって認識される。
【0058】
階端末装置31、31’、31”は、データバス37を介して、行先呼び出し通報に対応する運搬信号を、または、認識された識別コードに対応する識別信号を計算ユニット30に伝達する。
【0059】
計算ユニット30は、コンピュータプログラムプロダクトを実行し、運搬信号または識別信号に対する少なくとも1つの運搬結果を探し出す。
【0060】
エレベータ設備1を制御するための少なくとも1つの制御信号が、運搬結果として発行される。
【0061】
制御信号は、ユーザ情報信号を備え、そのユーザ情報信号は、データバス37を介して、ユーザが行先呼び出し通報を発した搭乗階にある階端末装置31、31’、31”に伝達される。ユーザ情報信号に従って、ユーザの行先階に割り当てられたエレベータ10、10’が、エレベータ表示装置35、35’、35”上でユーザに指示される。
【0062】
制御信号は、少なくとも1つの第1の行先信号を備え、その第1の行先信号は、データバス37を介して、装置36、36’に伝達される。この第1の行先信号に従って、装置36、36’は、電気的線路を介して、第1の呼び出し通報をエレベータ制御装置14、14’に発行する。この第1の呼び出し通報に従って、エレベータ制御装置14、14’は、駆動装置12、12’を制御し、エレベータケージ11、11’を搭乗階に移動させる。
【0063】
エレベータケージ11、11’が、搭乗階に到着すると、ユーザは、そのエレベータケージ11、11’に搭乗する。
【0064】
制御信号は、少なくとも1つの第2の信号を備え、その第2の信号は、データバス37を介して、装置36、36’に伝達される。この第2の行先信号に従って、装置36、36’は、電気的線路を介して、第2の呼び出し通報をエレベータ制御装置14、14’に発行する。この第2の呼び出し通報に従って、エレベータ制御装置14、14’は、駆動装置12、12’を制御し、エレベータケージ11、11’を搭乗階から行先階へ移動させる。ユーザは、それ以上なにもせずに、行先階へ運搬される。
【0065】
行先階に到着すると、ユーザは、エレベータケージ11、11’から降りる。
【0066】
装置36、36’は、少なくとも1つの入力において、エレベータ制御装置14、14’の少なくとも1つの信号を検出するための少なくとも1つの信号受信器363を有する。その信号は、エレベータ制御装置14、14’の少なくとも1つの入力または少なくとも1つの出力から分岐される。有利には、装置36、36’のこの入力は、少なくとも1つの駆動装置線路19、19’および/または少なくとも1つのケージ表示装置線路20、20’を介して、エレベータ制御装置14、14’に接続される。信号受信器363は、例えば、駆動装置線路19、19’の少なくとも1つの目標値および/またはケージ表示装置線路20、20’の少なくとも1つの表示信号を検出する。信号受信器363は、電子産業界で市販されている実績のある信号受信器である。
【0067】
この目標値および/またはこの表示信号の経時的な挙動は、少なくとも1つの移動時間プロフィールとして記録される。移動時間プロフィールは、エレベータ制御装置14、14’の機能モードに関するプロトコルである。移動時間プロフィールは、運搬経路の長さ、ケージ負荷などの関数としてのエレベータケージ11、11’の加速度、速度、および、減速度のような、エレベータ設備1に関する多数のデータを記録する。移動時間プロフィールは、どのようなデータ形式で記録されてもよい。例えば、装置36、36’は、移動時間プロフィールを記憶するための少なくとも1つのデータメモリー364を備える。
【0068】
わかりやすいように、エレベータ制御装置14、14’から分岐された信号の2つの例について説明する。
【0069】
エレベータ制御装置14、14’は、入力された呼び出し通報に対する肯定応答として、例えば、表示信号をケージ表示装置線路20、20’によって伝達する。この肯定応答は、エレベータケージ11、11’のケージ表示装置15、15’に伝達され、エレベータケージ11、11’の現在位置として、そのケージ表示装置15、15’に表示される。ケージ表示装置線路20、20’上の表示信号は、例えば、5Vの直流電圧であり、表示されるべきそれぞれの階に応じて、様々な時間的長さを有する。したがって、表示信号は、1階を表示する場合には、1秒の長さであってもよく、2階を表示する場合には、2秒の長さである。したがって、エレベータケージ11、11’の現在位置は、ケージ表示装置15、15’へのこの肯定応答から決定することができる。
【0070】
例えば、エレベータ制御装置14、14’は、エレベータケージ11、11’を加速または減速するために、駆動装置線路19、19’によって目標値を伝達する。エレベータケージ11、11’を加速するための目標値は、例えば、5Vの直流電圧である。エレベータケージ11、11’を減速するための目標値は、例えば、0Vの直流電圧である。したがって、エレベータケージ11、11’の加速または減速は、これらの目標値から決定することができる。
【0071】
有利には、装置36、36’は、移動時間プロフィールを解析して少なくとも1つの事前選択を決定または提供する少なくとも1つのコンピュータプログラムプロダクトを実行する。事前選択は、移動しているエレベータケージ11、11’に、エレベータケージ11、11’がこれからまだ停車可能な階を指示する。例えば、装置36、36’は、コンピュータプログラムプロダクトを記憶するためのデータメモリー364およびコンピュータプログラムプロダクトを実行するための少なくとも1つのプロセッサ365を備える。コンピュータプログラムプロダクトは、例えば、実際に検出された表示信号または実際に検出された目標値を記憶された移動時間プロフィールと比較する。コンピュータプログラムプロダクトは、実際に検出された表示信号または実際に検出された目標値の経時的な経路に実質的に一致する移動時間プロフィールを選択し、この選択された移動時間プロフィールを事前選択として提供する。実際に検出された信号によって、信号が、リアルタイムにまたは準リアルタイムに得られることがわかる。例えば、信号は、1/4秒ごとに、好ましくは、1/20秒ごとに、さらに好ましくは、1/1000秒ごとに取り出される。有利には、事前選択は、定期的に、エレベータ設備1のエレベータ10、10’ごとに実現され、計算ユニット30に伝達される。例えば、事前選択は、1/4秒ごとに、好ましくは、1/20秒ごとに、さらに好ましくは、1/1000秒ごとに、計算ユニット30に伝達される。本発明の知識によって、この分野に精通する者は、様々な変形を実現することができる。したがって、どのようなコンピュータでも、例えば、システムの計算ユニット30またはリモートサーバでも、そのコンピュータプログラムプロダクトを実行することがまさに可能である。この場合には、実際に検出された信号は、計算ユニットまたはリモートサーバに伝達される。そのような通信は、例えば、インターネットによってなされる。
【0072】
実現された事前選択は、更なる情報として、運搬結果内に取り込まれる。事前選択は、ユーザをエレベータケージ11、11’に迅速に割り当てるのを可能にし、それによって、ユーザの待ち時間を減少させる。さらに、事前選択によって、エレベータケージ11、11’をほとんど気づかれないないように加速または減速することができ、それによって、大変快適な乗り心地をユーザに保証する。ほぼ完璧な数の多くの移動時間プロフィールを記録することによって、高い精度で事前選択を探し出すことができ、エレベータ設備1の効率を最適化することができる。
【0073】
エレベータ設備1を近代化するための準備作業は、少なくとも1つの階端末装置31、31’、31”を取り付け、少なくとも1つの計算ユニット30および少なくとも1つの装置36、36’を設置することである。階端末装置31、31’、31”、計算ユニット30、および、装置36、36’を備えたシステムは、有利には、組立式の、例えば、取り付けあるいは設置が簡単で時間のかからない予め構成されたユニットからなる。
【0074】
階端末装置31、31’、31”は、例えば、それぞれの階21、21’、21”のエレベータ設備1の近くに取り付けられる。例えば、階端末装置31、31’、31”は、スタンドアロン型装置として、それぞれの階21、21’、21”の2つのエレベータ10、10’の近くに取り付けられる。このスタンドアロン型装置は、例えば、階21、21’、21”の床または壁にねじで取り付けられる。これらの階端末装置31、31’、31”は、階呼び出し送信器22、22’、22”、23、23’、23”またはケージ呼び出し送信器13、13’に取って代わるものである。
【0075】
装置36、36’は、例えば、それぞれのエレベータ制御装置14、14’に設置される。このために、階呼び出し送信器22、22’、22”、23、23’、23”への既存の電気的な階呼び出し送信器線路16、16’またはケージ呼び出し送信器13、13’への既存のケージ呼び出し送信器線路18、18’は、エレベータ制御装置14、14’の入力において遮断され、その代わりに、エレベータ制御装置14、14’のこの入力は、電気的線路を介して、装置36、36’の出力に接続される。有利には、エレベータ制御装置14、14’の出力にある既存の電気的な駆動装置線路19、19’は、分岐され、エレベータ制御装置14、14’のこの出力は、電気的線路を介して、装置36、36’の入力に接続される。ケージ表示装置15、15’への既存の電気的なケージ表示装置線路20、20’は、有利には、エレベータ制御装置14、14’の出力において遮断され、その代わりに、エレベータ制御装置14、14’のこの出力は、電気的線路を介して、装置36、36’の入力に接続される。エレベータ制御装置14、14’の一般的に少ない数の入力および出力のおかげで、この装置36、36’の設置は、実施するのに簡単で時間がかからない。装置36、36’は、例えば、エレベータ制御装置14、14’の近くにねじで取り付けられる。
【0076】
階端末装置31、31’、31”、計算ユニット30、および、装置36、36’は、例えば、少なくとも1つのデータバス37を介して、お互いに接続される。データバス37のケーブルは、例えば、建物2の少なくとも1つの既存のケーブルシャフト内に配置される。
【0077】
このようにして近代化の準備がなされたこのエレベータ設備1は、近代化するのに容易であり、また、複雑である。有利には、いくつかのエレベータ10、10’を備えたエレベータ設備1は、少なくとも1つのエレベータ10、10’がそれぞれの方法段階においてほぼ完全に近代化される少なくとも1つの方法段階において、モジュール式に近代化される。有利には、エレベータ10、10’のエレベータケージ11、11’が、1つの方法段階において近代化され、このエレベータ10、10’の駆動装置12、12’が、近代化され、このエレベータ10、10’のケーブル9、9’が、近代化され、このエレベータ10、10’のエレベータ制御装置14、14’が、近代化され、そして、このエレベータ10、10’の装置36、36’が、取り除かれる。
【符号の説明】
【0078】
1 エレベータ設備
2 建物
3 行先呼び出し制御装置
9、9’ ケーブル
10、10’ エレベータ
11、11’ エレベータケージ
12、12’ 駆動装置
13、13’ ケージ呼び出し送信器
14、14’ エレベータ制御装置
15、15’ ケージ表示装置
16、16’ 階呼び出し送信器線路
17、17’ 移動検出器線路
18、18’ ケージ呼び出し送信器線路
19、19’ 駆動装置線路
20、20’ ケージ表示装置線路
21、21’、21” 階
22、22’、22”、23、23’、23” 階呼び出し送信器
24、24’、24”、25、25’、25” 移動検出器
30 計算ユニット
31、31’、31” 階端末装置
32、32’、32” マニュアル入力手段
33、33’、33” 認識装置
34、34’、34” 識別送信器
35、35’、35” エレベータ表示装置
36、36’ 装置
37 データバス
361 変換器
362 信号発生器
363 信号受信器
364 データメモリー
365 プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ設備(1)を近代化する方法であって、そのエレベータ設備(1)は、少なくとも1つのエレベータ(10、10’)を備え、そのエレベータ(10、10’)は、少なくとも1つの呼び出し通報を介して、少なくとも1つのエレベータ制御装置(14、14’)によって制御され、
行先呼び出し通報を入力し、あるいは、ユーザの識別コードを認識するための少なくとも1つの階端末装置(31、31’、31”)が、取り付けられ、
行先呼び出し通報を評価し、あるいは、行先階を認識された識別コードに対応づけ、かつ、少なくとも1つの行先信号を出力するための少なくとも1つの計算ユニット(30)が、設置され、
行先信号を読み込み、行先信号を少なくとも1つの呼び出し通報に変換し、かつ、呼び出し通報を介して、前記エレベータ制御装置(14、14’)を制御する少なくとも1つの装置(36、36’)が設置されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの階呼び出し送信器(22、22’、22”、23、23’、23”)とエレベータ制御装置(14、14’)との間にある少なくとも1つの既存の電気的な階呼び出し送信器線路(16、16’)、または、少なくとも1つのケージ呼び出し送信器(13、13’)とエレベータ制御装置(14、14’)との間にある少なくとも1つの既存のケージ呼び出し送信器線路(18、18’)が、遮断され、その代わりに、前記エレベータ制御装置(14、14’)が、電線(16、16’、18、18’)を介して、前記装置(36、36’)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの駆動装置(12、12’)と前記エレベータ制御装置(14、14’)との間にある少なくとも1つの既存の電気的な駆動装置線路(19、19’)が、前記装置(36、36’)に接続され、および/または、少なくとも1つの電気的なケージ表示装置線路(20、20’)のための前記エレベータ制御装置(14、14’)の少なくとも1つの出力が、前記装置(36、36’)に接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記駆動装置線路(19、19’)の少なくとも1つの目標値または前記ケージ表示装置線路(20、20’)の少なくとも1つの表示信号が、前記装置(36、36’)によって検出され、この目標値またはこの表示信号の経時的な挙動が、少なくとも1つの移動時間プロフィールとして記録されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの実際に検出された目標値または少なくとも1つの実際に検出された表示信号が、目標時間プロフィールと比較され、実際に検出された目標値または実際に検出された表示信号の経時的な経路とほぼ一致する移動時間プロフィールが、選択され、この選択された移動時間プロフィールが、少なくとも1つの事前選択として提供されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ユーザへのエレベータケージ(11、11’)の迅速な割り当てが、事前選択を考慮に入れてなされることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
いくつかのエレベータ(10、10’)を備えたエレベータ設備(1)が、少なくとも1つの方法段階において、モジュール式に近代化されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのエレベータ(10、10’)が、それぞれの方法段階において、ほぼ完全に近代化されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1つの方法段階において、
エレベータ(10、10’)のエレベータケージ(11、11’)が、近代化され、
このエレベータ(10、10’)の駆動装置(12、12’)が、近代化され、
このエレベータ(10、10’)の運搬ケーブル(9、9’)が、近代化され、
このエレベータ(10、10’)のエレベータ制御装置(14、14’)が、近代化され、
装置(36、36’)が、このエレベータ(10、10’)から取り除かれることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
エレベータ設備(1)を近代化するためのコンピュータプログラムプロダクトであって、そのエレベータ設備(1)は、少なくとも1つのエレベータ(10、10’)を備え、そのエレベータ設備(1)は、少なくとも1つの呼び出し通報を介して、エレベータ(10、10’)を制御する少なくとも1つのエレベータ制御装置(14、14’)を備え、
コンピュータプログラムプロダクトが、前記エレベータ制御装置(14、14’)の少なくとも1つの出力において実際に検出された少なくとも1つの目標値、または、前記エレベータ制御装置(14、14’)の少なくとも1つの出力において実際に検出された少なくとも1つの表示信号を、目標時間プロフィールと比較し、
コンピュータプロダクトが、実際に検出された目標値または実際に検出された表示信号の経時的な経路とほぼ一致する移動時間プロフィールを選択し、
コンピュータプログラムプロダクトが、この選択された移動時間プロフィールを少なくとも1つの事前選択として提供することを特徴とする、コンピュータプログラムプロダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−144049(P2011−144049A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−95730(P2011−95730)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【分割の表示】特願2002−355132(P2002−355132)の分割
【原出願日】平成14年12月6日(2002.12.6)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】