説明

エレベータ

【課題】エレベータの既設の表示装置を新しい表示装置へ交換する場合に、エレベータ制御盤との間の通信方式が設置先ごとに異なる事に起因する製造上の不都合を改善する。
【解決手段】直列通信ケーブルが画像制御装置7に接続されている場合には、CPU19は直列通信接続検出回路13の機能により接続を検知する。CPU19は、直列通信データを直列通信送受信回路12を介して受信し、当該受信した直列通信データにしたがって画像表示装置6への画像表示を行なう。また、接点信号ケーブルが画像制御装置7に接続されている場合には、CPU19は接点受信検出回路15の機能により当該接続を検知する。CPU19は、接点データを接点受信回路14を介して受信し、当該受信した接点データにしたがって画像表示装置6への画像表示を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り場や乗りかごに表示装置を備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータ制御装置に使用する表示装置は長年アクリルに数字を表示して数字の横のLEDを点灯させることでエレベータのかご位置を利用者に報知する方式が主流であった。この点灯方式は半導体技術の進歩に伴って多様化しており、16セグメントのLEDを使用して数字や文字の表示を実現する16セグメントLED表示装置や、LEDをドットマトリクス状に並べて所定のLEDを点灯させることで数字や文字の表示を実現するディジタルドットマトリクス式LED表示装置などが出現しており、1990年代前後からは後者のディジタルドットマトリクス式LED表示装置が業界の主流となっている。
【0003】
これらの表示装置の構造や機能については例えば特許文献1での背景技術で開示されている。前述した文字や数字のみの表示に対応した表示装置の他に、さらに近年ではLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)の普及にともなって画像表示装置を使用したエレベータの位置表示装置が各社で開発・実用化されてきており、新設エレベータの重要な受注要素の1つとして注目されている。
【0004】
新設エレベータの表示装置が年々高度化していく一方で、製品を引き渡して長期間経過した既設エレベータについても同様の傾向は期待され、特にエレベータの従来の文字や数字のみの表示に対応した表示装置を画像表示装置に交換することでエレベータの顔となる意匠の最新化を求める顧客の需要も大いに期待できる。
【0005】
とりわけ、既設エレベータは1980年代前後からマイクロコンピュータによる制御方式のエレベータが主流となったことでエレベータの制御自体に不満はない一方で、表示装置などの意匠を最新のものに変更する客先の需要が多い。
【0006】
また、意匠変更のみのリニューアルは稼動中のエレベータを短期間で最新のエレベータ意匠に変更することで外見上最新のエレベータと同等にできるといった特徴もある。よって、エレベータの意匠変更は、今後も多くの需要が見込める事業となっていくものと期待される。
【特許文献1】特開2007−230692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、既設エレベータの表示装置と主制御盤との間の通信方式は前述した特許文献1の背景技術に記載される通り、最新のエレベータの通信方式である直列通信方式と異なり、接点を用いた通信方式を備えているため、最新のエレベータと異なる表示装置、つまり既設エレベータの表示装置を別途に開発しなければならない問題が発生する。
【0008】
例えば既設エレベータ専用の表示装置を新たに開発した場合、需要の増加は期待できても、一般に新設エレベータの出荷台数と比較すると既設エレベータのリニューアル台数の方が現時点では大幅に劣っている現状がある。
【0009】
よって、既設エレベータについての交換用の表示装置の製作数量が少なくならざるを得ず、当該表示装置の価格が高価になってしまう。また、製造リードタイムが長期間になり、タイムリーに客先に最新の表示装置を提供できないなどの問題点が懸念される。
【0010】
そこで、本発明の目的は、既設の表示装置を新しい表示装置へ交換する場合に、エレベータ制御盤との間の通信方式が設置先ごとに異なる事に起因する製造上の不都合を改善することが可能になるエレベータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明に係わるエレベータは、画像情報を表示するための画像表示装置と、画像表示装置へ表示させるための画像情報を記憶する記憶装置と、直列通信方式により画像表示のための信号を伝送する信号線を接続する第1の接続コネクタと、直列通信方式と異なる方式により画像表示のための信号を伝送する信号線を接続する第2の接続コネクタとを備え、第1および第2の接続コネクタのいずれか一方に信号線が接続されているで、記憶手段に記憶される画像情報の表示指示信号が画像表示のための信号として接続される信号線によって伝送された場合に、当該表示指示信号にしたがって記憶装置に記憶される画像情報を読み出して画像表示装置への表示処理を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既設の表示装置を新しい表示装置へ交換する場合に、エレベータ制御盤との間の通信方式が設置先ごとに異なる事に起因する製造上の不都合を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態におけるエレベータの表示装置が組み込まれた新設エレベータシステムの一例を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態における新設エレベータシステムは主制御盤1、かご操作盤2および各階床の乗り場表示装置3を中心に構成される。図1に示した新設エレベータシステムでは、主制御盤1は主制御装置4と伝送CPU5を備える。主制御装置4はエレベータの駆動制御の中枢となるモーター制御や運転制御を統括する機能を備える。
【0014】
また、図示はしないが、エレベータの乗りかごが上下移動する昇降路の上側の機械室内に電動機で回転される巻上機が設置され、この巻上機の両端に乗りかご及び釣合重りが取付けられて主ロープが掛けられている。電動機は交流電源から供給される交流を用いた駆動回路にて回転制御される。
【0015】
また、伝送CPU5は、かご操作盤2や乗り場表示装置3との直列通信を行なうために、主制御装置4から受信したデータをかご操作盤2や乗り場表示装置3に直列通信で送信する機能と、かご操作盤2や乗り場表示装置3から受信した直列通信データを主制御装置4に送信する機能とを備える。伝送CPU5には、一般に8bit制御または16bit制御の組み込み型マイクロコンピュータが使用される。
【0016】
かご操作盤2は画像表示装置6、画像制御装置7および呼びボタン8を備える。画像表示装置6は例えば液晶パネルであって、画像情報を表示する機能を備えた表示装置である。
【0017】
また、呼びボタン8は、利用者が目的階を指定するためのボタンスイッチ10と指定した目的階で停止することを利用者に報知するためのボタン登録灯11とを備える。
【0018】
画像制御装置7は、画像表示装置6に画像情報を表示するための出力制御機能、主制御盤1との通信を行なうための直列通信機能、呼びボタン8のボタンスイッチの操作を検出する機能および呼びボタン8のボタン登録灯の点灯消灯制御機能を備える。
【0019】
乗り場表示装置3は、かご操作盤2と同様に画像表示装置6、画像制御装置7および呼びボタン8を備え、それぞれの機能はかご操作盤2の画像表示装置6、画像制御装置7および呼びボタン8の機能と同じである。
【0020】
ただし、乗り場表示装置3の呼びボタン8は、かご操作盤2の呼びボタン8のように目的階を指定するものではなく、乗りかごの乗り場呼びのために上昇と下降のいずれかを指定するものが一般的である。
【0021】
図2は、本発明の実施形態におけるエレベータの表示装置が組み込まれた既設エレベータシステムの一例を示す図である。
図2に示すように、本発明の実施形態における既設エレベータシステムは図1に示した新設エレベータシステムと同様に主制御盤1、かご操作盤2および乗り場表示装置3を中心に構成される。既設エレベータシステムでは、主制御盤1は主制御装置4と入出力回路9を備える。主制御装置4は図1の構成で説明した新設エレベータシステムと同様の機能を備える。入出力回路9は主制御装置4の直流(DC)5Vの入出力信号をDC24Vの信号に変換する機能を備え、入出力信号を接点のオンオフ制御によってディジタル化している。
【0022】
主制御盤1とかご操作盤2と間および主制御盤1と乗り場表示装置3との間はモーターを駆動することによって発生するインバータノイズなどが発生し、入出力信号に劣悪な環境であるため、誤動作を防止するためにDC24Vへの信号変換を経て通信を行っている。
【0023】
かご操作盤2の構成部品は図1に示した新設エレベータシステムと同様であるが、既設エレベータシステムでは呼びボタン8は直列通信を行わないため、呼びボタン8と主制御盤1の入出力回路9とが直接接続される。
【0024】
乗り場表示装置3の構成部品も図1の新設エレベータシステムと同様であるが、前述したように既設エレベータの呼びボタン8は直列通信を行わないため、呼びボタン8と主制御盤1の入出力回路9とが直接接続される。
【0025】
次に、本発明の実施形態におけるエレベータの表示装置について説明する。図3は、本発明の実施形態におけるエレベータの表示装置の構成例を示すブロック図である。
図3に示した表示装置は、新設エレベータでの新規または交換用の表示装置として用いることができ、さらに既設エレベータでの交換用の表示装置として用いることができる。
【0026】
図3に示すように、表示装置は画像表示装置6、画像制御装置7および呼びボタン8で構成される。呼びボタン8はボタンスイッチ10およびボタン登録灯11を備える。
本実施例では図1に示した新設エレベータシステムに適用する表示装置を前提として説明をしているが、図2に示した既設エレベータシステムに適用する表示装置の場合は呼びボタン8は表示装置の構成要素から除かれる。
【0027】
つまり、図3に示した画像表示装置6および画像制御装置7を図1に示した新設エレベータに設置する場合には、呼びボタン8のボタンスイッチ10およびボタン登録灯11が画像制御装置7に接続される。一方、図3に示した画像表示装置6および画像制御装置7を図2に示した既設エレベータに設置する場合には、呼びボタン8のボタンスイッチ10およびボタン登録灯11は画像制御装置7ではなく、主制御盤1の入出力回路9に直接接続されることになる。
【0028】
画像制御装置7は、直列通信送受信回路12、直列通信接続検出回路13、接点受信回路14、接点受信検出回路15、画像データ第1格納メモリ16、画像データ第2格納メモリ17、画像表示装置ドライブ回路18およびCPU19を備え、CPU19以外の各要素が当該CPU19に接続される。
【0029】
直列通信送受信回路12は、画像表示装置6および画像制御装置7を図1に示した新設エレベータシステムに設置した場合において、主制御盤1の伝送CPU5との通信を行なうための回路であり、一般に長距離伝送に適したRS−422方式の通信やRS−485方式の通信のインタフェース機能を備える。
【0030】
直列通信接続検出回路13は、直列通信送受信回路12に外部配線、つまり新設エレベータの主制御盤1からの信号線が接続される場合と未接続の場合とでCPU19への入力信号の状態を変化させる機能を備える。
【0031】
接点受信回路14は、画像表示装置6および画像制御装置7を図2に示したエレベータシステムに設置した場合において、主制御盤1の入出力回路9との通信を行なうための回路であり、DC24Vの信号を接点でオンオフ制御することでディジタル信号として機能させる。
【0032】
接点受信検出回路15は、接点受信回路14に外部配線、つまり既設エレベータの主制御盤1からの信号線が接続される場合と未接続の場合とでCPU19への入力信号の状態を変化させる機能を備える。
【0033】
画像データ第1格納メモリ16は画像制御装置7からの着脱が可能な記憶装置であり、画像表示装置6に表示する画像データの中で、顧客毎に要望するコンテンツの表示など、変化要因の高い画像データを格納する用途に使用し、不揮発性の携帯型フラッシュメモリカードなど大容量な128MBから1GB程度のメモリが用いられる。
【0034】
また、画像データ第2格納メモリ17は画像制御装置7からの着脱が不能な記憶装置であり、画像表示装置6に表示する画像データの中でエレベータの階床や上下記号など、客先によって変化要因の少ない画像データを格納する用途や標準で表示可能な画像を格納する用途に使用し、画像データ第1格納メモリ16と比較して小容量な32MBから128MB程度の不揮発性のメモリが使用される。
画像表示装置ドライブ回路18は画像表示装置6との間のインタフェース機能を備え、画像表示装置6の表示素子を駆動するために十分な電流をドライブする機能を備える。
【0035】
CPU19は画像制御装置7の中枢となる構成部品であり、直列通信送受信回路12または接点受信回路14から受信した画像表示コードに基づき、画像データ第1格納メモリ16または画像データ第2格納メモリ17から所定の画像データを読み出して画像表示装置ドライブ回路18へ表示信号として出力する機能と、図1に示した新設エレベータシステムにおける伝送CPU5と呼びボタン8との間のデータ通信機能とを備える。
【0036】
また、図1に示した新設エレベータシステムにおいて伝送CPU5から画像データ自体のコードをCPU19に送信した場合、CPU19は各種画像データ格納メモリからの読み出しを行わずに伝送CPU5からのコードで示されるデータを画像表示装置ドライブ回路18に直接出力する機能を備える。
【0037】
次に直列通信接続検出回路13について説明する。図4は、本発明の実施形態におけるエレベータの画像制御装置の直列通信接続検出回路の構成例を示す図である。
図4に示すように、新設エレベータシステムの主制御盤1からの直列通信ケーブルの先端には直列通信コネクタ20が取り付けられ、直列通信コネクタ20にはコネクタ接続識別電線21の一端と他端が取り付けられる。
【0038】
また、画像制御装置7側には、直列通信コネクタ20を接続するための第1接続コネクタ23が直列通信接続検出回路13の一要素として設けられる。第1接続コネクタ23には低電位点の端子であるCOM端子が設けられる。また、第1接続コネクタ23は直列通信送受信回路12と接続される。
【0039】
直列通信接続検出回路13は当該検出回路の一要素として抵抗22を備える。抵抗22の一端は高電位点の端子であるVCC端子に接続され、他端はCPU19および第1接続コネクタ23に接続される。
【0040】
直列通信コネクタ20を画像制御装置7の第1接続コネクタ23に接続していない状態では、直列通信ケーブルは直列通信送受信回路12と接続されず、抵抗22の他端は第1接続コネクタ23のCOM端子やコネクタ接続識別電線21とは接続されない。
【0041】
一方、直列通信コネクタ20を画像制御装置7の第1接続コネクタ23に接続した状態では、直列通信ケーブルと直列通信送受信回路12とが接続され、抵抗22の他端は第1接続コネクタ23を介してコネクタ接続識別電線21の一端と接続され、コネクタ接続識別電線21の他端は第1接続コネクタ23のCOM端子に接続される。
この場合には、抵抗22の他端は、第1接続コネクタ23、直列通信コネクタ20およびコネクタ接続識別電線21を介して第1接続コネクタ23のCOM端子に接続されることになる。
【0042】
つまり、直列通信ケーブルの直列通信コネクタ20を画像制御装置7の第1接続コネクタ23に接続した場合にはCPU19にはCOM端子に短絡した信号が入力される。また、直列通信コネクタ20が画像制御装置7の第1接続コネクタ23に接続されていない場合には抵抗22がVCC端子に接続されていることからVCCに近い電位の信号がCPU19に入力される。
【0043】
以上によってCPU19は第1接続コネクタ23への直列通信コネクタ20の接続の有無によって信号のオンオフの状態を検出できるため直列通信ケーブルの接続の有無を確認できる。
【0044】
次に、接点受信検出回路15について説明する。図5は、本発明の実施形態におけるエレベータの画像制御装置の接点受信検出回路の構成図である。
図5に示すように、既設エレベータシステムの主制御盤1からの接点信号ケーブルの先端には接点接続用コネクタ24が取り付けられ、接点接続用コネクタ24にはコネクタ接続識別電線25の一端と他端が取り付けられる。
【0045】
また、画像制御装置7側には、接点接続用コネクタ24を接続するための第2接続コネクタ26が第1接続コネクタ23とは別に接点受信検出回路15の一要素として設けられる。第2接続コネクタ26には低電位点の端子であるCOM端子が設けられる。また、第2接続コネクタ26は接点受信回路14と接続される。
【0046】
接点受信検出回路15は当該検出回路の一要素として抵抗27を備える。抵抗27の一端は高電位点の端子であるVCC端子に接続され、他端はCPU19および第2接続コネクタ26に接続される。
【0047】
接点接続用コネクタ24を画像制御装置7の第2接続コネクタ26に接続していない状態では、接点信号ケーブルは接点受信回路14と接続されず、抵抗27の他端は第2接続コネクタ26のCOM端子やコネクタ接続識別電線25とは接続されない。
【0048】
一方、接点接続用コネクタ24を画像制御装置7の第2接続コネクタ26に接続した状態では、接点信号ケーブルと接点受信回路14とが接続され、抵抗27の他端は、第2接続コネクタ26を介してコネクタ接続識別電線25の一端と接続され、コネクタ接続識別電線25の他端は第2接続コネクタ26のCOM端子に接続される。
この場合には抵抗27の他端は、第2接続コネクタ26、接点接続用コネクタ24およびコネクタ接続識別電線25を介して第2接続コネクタ26のCOM端子に接続されることになる。
【0049】
つまり、接点信号ケーブルの接点接続用コネクタ24を画像制御装置7の第2接続コネクタ26に接続した場合にはCPU19にはCOM端子に短絡した信号が入力される。また、接点接続用コネクタ24を画像制御装置7の第2接続コネクタ26に接続していない場合には抵抗27がVCC端子に接続されているのでVCCに近い電位の信号がCPU19に入力される。
【0050】
以上によってCPU19では第2接続コネクタ26への接点接続用コネクタ24の接続の有無によって信号のオンオフの状態を検出できるため接点信号ケーブルの接続の有無を確認できる。
【0051】
なお、第1接続コネクタ23の形状と第2接続コネクタ26の形状はそれぞれ異なっており、第1接続コネクタ23に接点信号ケーブルの接点接続用コネクタ24を接続したり、第2接続コネクタ26に直列通信ケーブルの直列通信コネクタ20を接続したりすることはできないようになっている。
【0052】
次に、図3に示した構成のエレベータの画像制御装置の動作について説明する。図6は本発明の実施形態におけるエレベータの画像制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
まず、画像制御装置7の電源を投入すると(ステップS1)、CPU19は初期化処理を行った上で(ステップS2)、直列通信接続検出回路13による接続の検出があるかないかの確認を行なう(ステップS3)。
【0053】
ここで、直列通信ケーブルの直列通信コネクタ20が画像制御装置7の第1接続コネクタ23に接続されている場合には、CPU19は直列通信接続検出回路13の機能により当該接続を検知する(ステップS3のYES)。
【0054】
この場合、CPU19は、直列通信データを直列通信コネクタ20、第1接続コネクタ23および直列通信送受信回路12を介して受信し(ステップS4)、当該受信した直列通信データが画像データ自体を示すコードであるか否かを判断する(ステップS5)。
【0055】
CPU19は、受信した直列通信データが画像データのコードでなければ(ステップS5のNO)、受信したデータに基づいて、画像データ第1格納メモリ16または画像データ第2格納メモリ17から所定の画像データを読み出して(ステップS6)、画像表示装置ドライブ回路18に出力することで画像表示装置6への画像表示を行なう(ステップS7)。
【0056】
CPU19は、受信した直列通信データが画像データのコードである場合には(ステップS5のYES)、当該受信したデータを画像表示装置ドライブ回路18に直接出力することで主制御盤1から直接受信したデータを用いた画像表示を行なう(ステップS7)。
【0057】
次に、CPU19は、呼びボタン8のボタンスイッチ10の操作状態を検出して(ステップS8)、検出データを直列通信送受信回路12および直列通信コネクタ20および直列通信ケーブルを介して主制御盤1に送信する。また、CPU19は、主制御盤1から直列通信ケーブルの直列通信コネクタ20および直列通信送受信回路12を介して呼びボタン登録灯11の点灯制御信号または消灯制御信号を受信して、呼びボタン登録灯11の点灯消灯制御を行なう(ステップS9)。
【0058】
一方、直列通信ケーブルの直列通信コネクタ20が画像制御装置7の第1接続コネクタ23に接続されていない場合には、CPU19は、直列通信接続検出回路13の機能による当該接続の検知を行えない(ステップS3のNO)。
【0059】
この場合、CPU19は、接点受信検出回路15による接続の検出があるかないかの確認を行なう(ステップS10)。本実施形態では、CPU19は、直列通信接続検出回路13の機能による接続の検出があるか否かの確認を行った後で接点受信検出回路15による接続の検出があるか否かの確認を行っているが、理由としては、直列通信方式を用いる新設エレベータの設置台数が既設エレベータの設置台数より多いために、画像制御装置7へ接続されるケーブルが直列通信ケーブルである可能性が高く、これによりCPU19の処理負荷を低減させるためであることが挙げられる。
【0060】
接点信号ケーブルの接点接続用コネクタ24が画像制御装置7の第2接続コネクタ26に接続されていない場合には、CPU19は、接点受信検出回路15による当該接続の検知を行えない(ステップS10のNO)。
【0061】
つまり、画像制御装置7には直列通信ケーブルも接点信号ケーブルも接続されておらず、外部からの信号が接続されていないことになるので、CPU19は、直列通信接続の検出確認を再び行なう(ステップS10→S3)。
【0062】
また、接点信号ケーブルの接点接続用コネクタ24が画像制御装置7の第2接続コネクタ26に接続されている場合には、CPU19は接点受信検出回路15の機能により当該接続を検知する(ステップS10のYES)。
【0063】
この場合、CPU19は、接点データを接点接続用コネクタ24、第2接続コネクタ26および接点受信回路14を介して受信し(ステップS11)、受信した接点データに基づいて画像データ第1格納メモリ16または画像データ第2格納メモリ17から所定の画像データを読み出して(ステップS12)、画像表示装置ドライブ回路18に出力する(ステップS13)。
【0064】
CPU19は、表示用の画像データを出力すると接点データの受信ルーチンにもどり(ステップS13→S11)、繰り返し表示データを出力する。
【0065】
また、CPU19は直列通信接続検出回路13の機能により当該接続を検知した後は、接点信号ケーブルの接点接続用コネクタ24が画像制御装置7の第2接続コネクタ26に接続されても、当該接続の検出は行なわない。また、CPU19は接点受信検出回路15の機能により当該接続を検知した後は、直列通信ケーブルの直列通信コネクタ20が画像制御装置7の第1接続コネクタ23に接続されても、当該接続の検出は行なわない。
【0066】
以上のように、本発明の実施形態におけるエレベータでは、画像制御装置7は直列通信ケーブル接続用のコネクタと接点接続ケーブル接続用のコネクタをともに備え、ケーブルが接続されたコネクタを介して主制御盤1との間の通信を行なうので、表示装置を交換した場合で交換先のエレベータが直列通信方式を用いる新設エレベータであっても接点方式の既設エレベータあっても、主制御盤1との間で画像表示のための信号の通信を行なうことができる。
【0067】
よって、交換用の表示装置を、直列通信方式を用いる新設エレベータ用と接点方式を用いる既設エレベータ用とに別途製造する必要が無くなり、共通化できる。よって、交換用の表示装置のコストが大幅に下げられるだけでなく、既設エレベータの改造にも迅速に対応可能な画像表示装置を実現できる。つまり、既設の表示装置を新しい表示装置へ交換する場合に主制御盤1との間の通信方式が設置先ごとに異なる事に起因する製造上の不都合を改善することができるようになる。
【0068】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態におけるエレベータの表示装置が組み込まれた新設エレベータシステムの一例を示す図。
【図2】本発明の実施形態におけるエレベータの表示装置が組み込まれた既設エレベータシステムの一例を示す図。
【図3】本発明の実施形態におけるエレベータの表示装置の構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の実施形態におけるエレベータの画像制御装置の直列通信接続検出回路の構成例を示す図。
【図5】本発明の実施形態におけるエレベータの画像制御装置の接点受信検出回路の構成図。
【図6】本発明の実施形態におけるエレベータの画像制御装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0070】
1…主制御盤、2…かご操作盤、3…乗り場表示装置、4…主制御装置、5…伝送CPU、6…画像表示装置、7…画像制御装置、8…呼びボタン、9…入出力回路、10…ボタンスイッチ、11…ボタン登録灯、12…直列通信送受信回路、13…直列通信接続検出回路、14…接点受信回路、15…接点受信検出回路、16…画像データ第1格納メモリ、17…画像データ第2格納メモリ、18…画像表示装置ドライブ回路、19…CPU、20…直列通信コネクタ、21,25…コネクタ接続識別電線、22,27…抵抗、23…第1接続コネクタ、24…接点接続用コネクタ、26…第2接続コネクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を表示するための画像表示装置と、
前記画像表示装置へ表示させるための画像情報を記憶する記憶装置と、
直列通信方式により画像表示のための信号を伝送する信号線を接続する第1の接続コネクタと、
前記直列通信方式と異なる方式により画像表示のための信号を伝送する信号線を接続する第2の接続コネクタと、
前記第1および第2の接続コネクタのいずれか一方に信号線が接続されているか否かを検出する検出手段と、
前記第1および第2の接続コネクタのいずれかに前記信号線が接続されていることを前記検出手段により検出した場合で、前記記憶手段に記憶される画像情報の表示指示信号が前記画像表示のための信号として前記接続される信号線によって伝送された場合に、当該表示指示信号にしたがって前記記憶装置に記憶される画像情報を読み出して前記画像表示装置への表示処理を行なう表示制御手段と
を備えたことを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記第1の接続コネクタに信号線が接続されているか否かを先に検出し、前記第1の接続コネクタに信号線が接続されていることを検出できない場合には、前記第2の接続コネクタに信号線が接続されているか否かを検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記第1の接続コネクタに信号線が接続されていることを前記検出手段により検出した場合で、前記接続される信号線によって画像情報が前記画像表示のための信号として伝送された場合に当該画像情報の前記画像表示装置への表示処理を行なう
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記記憶装置は、取り外しが可能な第1の記憶装置および取り外しができない第2の記憶装置でなる
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記直列通信方式による信号伝送を行なう呼びボタンの信号線を接続するための接続手段と、
前記第1の接続コネクタに信号線が接続されていることを前記検出手段により検出した場合で前記接続手段により接続される呼びボタンが操作された場合に、当該操作状態を示す信号をエレベータ制御盤に送信する送信手段と、
前記第1の接続コネクタに信号線が接続されていることを前記検出手段により検出した場合で前記接続手段により接続される呼びボタンへの点灯消灯制御信号が前記エレベータ制御盤から伝送された場合に、当該呼びボタンの点灯消灯制御を行なう点灯消灯制御手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−221000(P2009−221000A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70153(P2008−70153)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】