説明

エレベータ

【課題】コンペンロープを用いることなく、乗りかごの昇降に伴なって発生する乗りかご側の重量と釣合い重り側の重量との不釣合いを防止する。
【解決手段】エレベータにおいて、昇降路1内を昇降する乗りかご5と、乗りかご5の昇降と対応し主ロープ4を介して昇降する釣合い重り6と、釣合い重り6に設けられた分割式重り載せ部8と、分割式重り載せ部8に載せられる分割式重り9と、乗りかご5が昇降する昇降路1内に設けられ、分割式重り9を支持する分割式重り支持部12と、を備え、分割式重り支持部12は、分割式重り載せ部8に載せられた分割式重り9が釣合い重り6と共に下降する場合に分割式重り9を分割式重り載せ部12から下ろして支持し、釣合い重り6が上昇する場合に支持している分割式重り9を分割式重り載せ部8に載せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに関し、特に、トラクション方式のエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクション方式のエレベータは、巻上機により回転駆動される駆動シーブに主ロープが巻き掛けられ、主ロープの一端に乗りかごが連結され、主ロープの他端に釣合い重りが連結されている。
【0003】
このようなトラクション方式のエレベータには、下記特許文献1に示すように、一端が乗りかごの下部に連結されて他端が釣合い重りの下部に連結されたコンペンロープを備えたものがある。
【0004】
乗りかごが昇降すると、主ロープが駆動シーブを挟んだ乗りかご側と釣合い重り側との間を行き来し、駆動シーブを挟んだ乗りかご側と釣合い重り側とに作用する主ロープの重量が変動する。コンペンロープは、移動した主ロープによる重量変動を補い、乗りかご側と釣合い重り側とで重量の不釣合いが生じないようにし、巻上機に作用する負荷変動を最少限に抑えている。
【特許文献1】特開2007−176627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エレベータの昇降距離が長くなるにつれてコンペンロープが長くなり、乗りかごの昇降時や地震発生時にコンペンロープが振れ、昇降路内の機器に接触したり絡まり、機器が破損することがある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、コンペンロープを用いることなく、乗りかごの昇降に伴なって発生する乗りかご側の重量と釣合い重り側の重量との不釣合いを防止することができるエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、エレベータにおいて、昇降路内を昇降する乗りかごと、前記乗りかごの昇降と対応し主ロープを介して昇降する釣合い重りと、前記釣合い重りに設けられた分割式重り載せ部と、前記分割式重り載せ部に載せられる分割式重りと、前記乗りかごが昇降する昇降路内に設けられ、前記分割式重りを支持する分割式重り支持部と、を備え、前記分割式重り支持部は、前記分割式重り載せ部に載せられた前記分割式重りが前記釣合い重りと共に下降する場合に前記分割式重りを前記分割式重り載せ部から下ろして支持し、前記釣合い重りが上昇する場合に支持している前記分割式重りを前記分割式重り載せ部に載せることである。
【0008】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、エレベータにおいて、昇降路内を昇降する乗りかごと、前記乗りかごの昇降と対応し主ロープを介して昇降する釣合い重りと、前記乗りかごに設けられた分割式重り載せ部と、前記分割式重り載せ部に載せられる分割式重りと、前記乗りかごが昇降する昇降路内に設けられ、前記分割式重りを支持する分割式重り支持部と、を備え、前記分割式重り支持部は、前記分割式重り載せ部に載せられた前記分割式重りが前記乗りかごと共に下降する場合に前記分割式重りを前記分割式重り載せ部から下ろして支持し、前記乗りかごが上昇する場合に支持している前記分割式重りを前記分割式重り載せ部に載せることである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンペンロープを用いることなく、乗りかごの昇降に伴なって発生する乗りかご側の重量と釣合い重り側の重量との不釣合いを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態のエレベータは、昇降路1と昇降路1の上部に設けられた機械室(図示せず)とを有し、機械室内には巻上機(図示せず)と、巻上機に連結されて回転駆動される駆動シーブ2と、そらせシーブ3とが配置されている。駆動シーブ2とそらせシーブ3とには主ロープ4が巻き掛けられ、主ロープ4の一端に乗りかご5が連結され、主ロープ4の他端に釣合い重り6が連結されている。乗りかご5は、巻上機が駆動されることにより昇降路1内を昇降し、釣合い重り6は乗りかご5の昇降と対応し乗りかご5と逆方向に昇降する。釣合い重り6は、昇降路1内に上下方向に延出させて配置された釣合い重りレール7により上下方向移動可能にガイドされている。
【0012】
釣合い重り6には、釣合い重り6から側方に突出した分割式重り載せ部8が設けられ、この分割式重り載せ部8に分割式重り9が載せられる構造となっている。図1は、分割式重り載せ部8に分割式重り9が載せられていない場合を示し、図2は、分割式重り載せ部8に1個の分割式重り9が載せられている場合を示し、図3は、分割式重り載せ部8に3個の分割式重り9が載せられている場合を示している。
【0013】
分割式重り9は、分割式重り載せ部8に載せられた場合に分割式重り載せ部8の上方に位置する基部9aと、基部9aの両端から90°の角度をもって延出した一対の脚部9bとからなるU字形に形成されている。各分割式重り9において脚部9bの長さ寸法が異なり、具体的には、分割式重り載せ部8に積載された場合に上側に位置する分割式重り9の脚部9bが最も長く、下側に位置する分割式重り9ほど短く形成されている。脚部9bの先端側には、それぞれ穴10が形成されている。
【0014】
昇降路1の壁部11には、上下方向に沿って複数の分割式重り支持部12が取付けられている。分割式重り支持部12には上向きに屈曲した屈曲部12aが形成され、この屈曲部12aが分割式重り9の穴10に係合することにより分割式重り9を支持するように構成されている。
【0015】
上下方向に沿って配設された複数の分割式重り支持部12は、壁部11から屈曲部12aまでの長さ寸法がそれぞれ異なり、その長さ寸法は下側に位置する分割式重り支持部12が最も長く、上側に位置する分割式重り支持部12ほど短く形成されている。
【0016】
したがって、各分割式重り9の脚部9bの長さ寸法と、各分割式重り支持部12の長さ寸法との関係から、図1に示すように、上位の分割式重り支持部12が上位の分割式重り9を支持し、中位の分割式重り支持部12が中位の分割式重り9を支持し、下位の分割式重り支持部12が下位の分割式重り9を支持することができる。
【0017】
このような構成において、図3は乗りかご5が下方に位置し、上方に位置する釣合い重り6の分割式重り載せ部8に3個の分割式重り9が載せられている場合を示している。この場合、乗りかご5側に作用する主ロープ4の重量が大きく、釣合い重り6側に作用する主ロープ4の重量は小さい。このため、釣合い重り6の分割式重り載せ部8に3個の分割式重り9が載せられることにより、駆動シーブ2を挟んだ乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との釣り合いをとることができ、図3に示す位置から乗りかご5を昇降させるために駆動される巻上機に作用する負荷を軽減することができる。
【0018】
図3に示す位置から乗りかご5を上昇させると、相対的に釣合い重り6側が下降する。釣合い重り6側が下降すると、その下降動作の途中で、上位の分割式重り支持部12の屈曲部12aが上位の分割式重り9の穴10に係合し、上位の分割式重り9が中位の分割式重り9の上から離反するとともに上位の分割式重り支持部12により支持される。釣合い重り6側がさらに下降すると、その下降動作の途中で、中位の分割式重り支持部12の屈曲部12aが中位の分割式重り9の穴10に係合し、中位の分割式重り9が下位の分割式重り9の上から離反するとともに中位の分割式重り支持部12により支持される。図2は、上位の分割式重り9が上位の分割式重り支持部12に支持され、及び、中位の分割式重り9が中位の分割式重り支持部12により支持され、下位の分割式重り9のみが分割式重り載せ部8に載せられている場合を示している。
【0019】
乗りかご5が図2に示す位置に上昇した場合には、乗りかご5側に作用する主ロープ4の重量が図3の場合に比べて小さくなるとともに、釣合い重り6側に作用する主ロープ4の重量が図3の場合に比べて大きくなる。このため、釣合い重り6の分割式重り載せ部8に載せた分割式重り9の数を1個に減らすことにより、駆動シーブ2を挟んだ乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との釣り合いをとることができ、図2に示す位置から乗りかご5を昇降させるために駆動される巻上機に作用する負荷を軽減することができる。
【0020】
乗りかご5が図1に示す位置に上昇した場合には、上位と中位との分割式重り9に加え、下位の分割式重り9も分割式重り支持部12に支持され、分割式重り載せ部8には分割式重り9が載せられていない。乗りかご5が図1に示す位置に上昇した場合には、乗りかご5側に作用する主ロープ4の重量が図2の場合に比べてさらに小さくなるとともに釣合い重り6側に作用する主ロープ4の重量が図2の場合に比べてさらに大きくなる。このため、分割式重り載せ部8に載せられている分割式重り9をなくすことにより、駆動シーブ2を挟んだ乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との釣り合いをとることができ、乗りかご5を図1に示す位置から昇降させるために駆動される巻上機に作用する負荷を軽減することができる。
【0021】
図1に示す位置から乗りかご5を下降させると、相対的に釣合い重り6が上昇する。釣合い重り6側が上昇すると、その上昇動作の途中で、分割式重り9が次々と分割式重り載せ部8に載せられるとともに分割式重り支持部12の屈曲部12aが穴10から外れ、分割式重り支持部12による分割式重り9の支持が解除される。
【0022】
乗りかご5の下降に伴ない、乗りかご5側に作用する主ロープ4の重量が大きくなるとともに釣合い重り6側に作用する主ロープ4の重量が小さくなるが、図2及び図3に示すように分割式重り9が次々と分割式重り載せ部8に載せられて釣合い重り6側の重量が大きくなるため、駆動シーブ2を挟んだ乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との釣り合いをとることができる。
【0023】
したがって、このエレベータによれば、従来使用していたコンペンロープを用いることなく、乗りかご5の昇降に伴なって発生する乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との不釣合いを防止することができる。また、コンペンロープを用いないため、乗りかご5の昇降時や地震発生時にコンペンロープが昇降路1内の機器に接触したり絡まったりして機器が破損することを防止することができる。
【0024】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態のエレベータについて、図4に基づいて説明する。なお、第2の実施の形態及びこれ以降の実施の形態においては、先行して説明した実施の形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0025】
第2の実施の形態のエレベータの基本的な構造は第1の実施の形態と同じである。第1の実施の形態と異なる点は、分割式重り支持部12が釣合い重りレール7に取付けられている点である。
【0026】
このような構成において、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、乗りかご5の昇降に伴なって発生する乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との不釣合いを防止することができる。
【0027】
さらに、分割式重り支持部12が釣合い重りレール7に取付けられているため、釣合い重り6から昇降路1の壁部11までの距離や壁部11の形状に影響されることなく分割式重り支持部12を取付けることができる。
【0028】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態のエレベータについて、図5に基づいて説明する。
【0029】
第3の実施の形態のエレベータの基本的な構造は第1の実施の形態と同じである。第1の実施の形態と異なる点は、各分割式重り9の基部9aに挿通穴13が形成され、この挿通穴13に主ロープ4が挿通されている点である。なお、釣合い重り6の上面部が、分割式重り9が載せられる分割式重り載せ部14とされている。
【0030】
このような構成において、第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、乗りかご5の昇降に伴なって発生する乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との不釣合いを防止することができる。
【0031】
さらに、分割式重り9の基部9aに形成された挿通穴13に主ロープ4が挿通されているため、主ロープ4の振れの発生を抑制することができ、振れた主ロープ4が昇降路1内の機器に接触したり絡まったりして機器が破損することを防止することができる。
【0032】
また、釣合い重り6の上面部を分割式重り載せ部14として用いるため、既存の釣合い重り6に対して新たに分割式重り載せ部を設ける必要がなく、釣合い重り6の製造コストのアップを抑えることができる。
【0033】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態のエレベータについて、図6に基づいて説明する。
【0034】
第4の実施の形態のエレベータの基本的な構造は第1の実施の形態と同じである。第1の実施の形態と異なる点は、第2の実施の形態で説明したように分割式重り支持部12が釣合い重りレール7に取付けられている点と、第3の実施の形態で説明したように各分割式重り9の基部9aに挿通穴13が形成され、この挿通穴13に主ロープ4が挿通されている点である。なお、釣合い重り6の上面部が分割式重り載せ部14とされている。
【0035】
このような構成において、第4の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、乗りかご5の昇降に伴なって発生する乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との不釣合いを防止することができる。
【0036】
さらに、分割式重り支持部12が釣合い重りレール7に取付けられているため、釣合い重り6から昇降路1の壁部11までの距離や壁部11の形状に影響されることなく分割式重り支持部12を取付けることができる。
【0037】
さらに、分割式重り9の基部9aに形成された挿通穴13に主ロープ4が挿通されているため、主ロープ4の振れの発生を抑制することができ、振れた主ロープ4が昇降路1内の機器に接触したり絡まったりして機器が破損することを防止することができる。
【0038】
また、釣合い重り6の上面部を分割式重り載せ部14として用いるため、既存の釣合い重り6に対して新たに分割式重り載せ部を設ける必要がなく、釣合い重り6の製造コストのアップを抑えることができる。
【0039】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態のエレベータについて、図7に基づいて説明する。
【0040】
本発明の第5の実施の形態のエレベータは、駆動シーブ2とそらせシーブ3とに巻き掛けられた主ロープ4の一端に乗りかご5が連結され、主ロープ4の他端に釣合い重り6が連結されている。乗りかご5は、昇降路1内に上下方向に延出させて配置された乗りかごレール15により上下方向移動可能にガイドされている。
【0041】
乗りかご5には、乗りかご5から側方に突出した分割式重り載せ部16が設けられ、この分割式重り載せ部16に分割式重り9が載せられる構造となっている。なお、図7は、分割式重り載せ部16に分割式重り9が載せられておらず、全ての分割式重り9が分割式重り支持部12により支持されている場合を示している。
【0042】
分割式重り9、分割式重り支持部12の構造は第1の実施の形態と同じである。
【0043】
このような構成において、図7は乗りかご5が下方に位置し、釣合い重り6が上方に位置している場合を示している。この場合、乗りかご5側に作用する主ロープ4の重量が大きく、釣合い重り6側に作用する主ロープ4の重量は小さい。このため、乗りかご5の分割式重り載せ部16に分割式重り9を載せなくても、駆動シーブ2を挟んだ乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との釣り合いをとることができ、乗りかご5を図7に示す位置から昇降させるために駆動される巻上機に作用する負荷を軽減することができる。
【0044】
図7に示す位置から乗りかご5を上昇させると、その上昇動作の途中で、分割式重り9が次々と分割式重り載せ部16に載せられるとともに分割式重り支持部12の屈曲部12aが穴10から外れ、分割式重り支持部12による分割式重り9の支持が解除される。
【0045】
乗りかご5の上昇に伴ない、乗りかご5側に作用する主ロープ4の重量が小さくなるとともに釣合い重り6側に作用する主ロープ4の重量が大きくなるが、分割式重り9が次々と分割式重り載せ部16に載せられて乗りかご5側の重量が大きくなるため、駆動シーブ2を挟んだ乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との釣り合いをとることができる。
【0046】
したがって、このエレベータによれば、従来使用していたコンペンロープを用いることなく、乗りかご5の昇降に伴なって発生する乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との不釣合いを防止することができる。また、コンペンロープを用いないため、乗りかご5の昇降時や地震発生時にコンペンロープが昇降路1内の機器に接触したり絡まったりして機器が破損することを防止することができる。
【0047】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態のエレベータについて、図8に基づいて説明する。
【0048】
第6の実施の形態のエレベータの基本的な構造は第5の実施の形態のエレベータと同じである。第5の実施の形態と異なる点は、分割式重り支持部12が乗りかごレール15に取付けられている点である。
【0049】
このような構成において、第6の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、乗りかご5の昇降に伴なって発生する乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との不釣合いを防止することができる。
【0050】
さらに、分割式重り支持部12が乗りかごレール15に取付けられているため、乗りかご5から昇降路1の壁部11までの距離や壁部11の形状に影響されることなく分割式重り支持部12を取付けることができる。
【0051】
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態のエレベータについて、図9に基づいて説明する。
【0052】
第7の実施の形態のエレベータの基本的な構造は第5の実施の形態と同じである。第5の実施の形態と異なる点は、各分割式重り9の基部9aに挿通穴13が形成され、この挿通穴13に主ロープ4が挿通されている点である。なお、乗りかご5の上面部が、分割式重り9が載せられる分割式重り載せ部17とされている。
【0053】
このような構成において、第7の実施の形態においても、第5の実施の形態と同様に、乗りかご5の昇降に伴なって発生する乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との不釣合いを防止することができる。
【0054】
さらに、分割式重り9の基部9aに形成された挿通穴13に主ロープ4が挿通されているため、主ロープ4の振れの発生を抑制することができ、振れた主ロープ4が昇降路1内の機器に接触したり絡まったりして機器が破損することを防止することができる。
【0055】
また、乗りかご5の上面部を分割式重り載せ部17として用いるため、既存の乗りかご5に対して新たに分割式重り載せ部を設ける必要がなく、乗りかご5の製造コストのアップを抑えることができる。
【0056】
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態のエレベータについて、図10に基づいて説明する。
【0057】
第8の実施の形態のエレベータの基本的な構造は第5の実施の形態と同じである。第5の実施の形態と異なる点は、第6の実施の形態で説明したように分割式重り支持部12が乗りかごレール15に取付けられている点と、第7の実施の形態で説明したように各分割式重り9の基部9aに挿通穴13が形成され、この挿通穴13に主ロープ4が挿通されている点である。なお、第7の実施の形態と同じように、乗りかご5の上面部が分割式重り載せ部17とされている。
【0058】
このような構成において、第8の実施の形態においても、第5の実施の形態と同様に、乗りかご5の昇降に伴なって発生する乗りかご5側の重量と釣合い重り6側の重量との不釣合いを防止することができる。
【0059】
さらに、分割式重り支持部12が釣合い乗りかごレール15に取付けられているため、乗りかご5から昇降路1の壁部11までの距離や壁部11の形状に影響されることなく分割式重り支持部12を取付けることができる。
【0060】
さらに、分割式重り9の基部9aに形成された挿通穴13に主ロープ4が挿通されているため、主ロープ4の振れの発生を抑制することができ、振れた主ロープ4が昇降路1内の機器に接触したり絡まったりして機器が破損することを防止することができる。
【0061】
また、乗りかご5の上面部を分割式重り載せ部17として用いるため、既存の乗りかご5に対して新たに分割式重り載せ部を設ける必要がなく、乗りかご5の製造コストのアップを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態のエレベータであって、分割式重り載せ部を備えた釣合い重りが下側に位置する場合を示す斜視図である。
【図2】釣合い重りが上方位置に位置し、分割式重り載せ部に1個の分割式重りが載置された場合を示す斜視図である。
【図3】釣合い重りがさらに上方位置に位置し、分割式重り載せ部に3個の分割式重りが載置された場合を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のエレベータを示す斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態のエレベータを示す斜視図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態のエレベータを示す斜視図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態のエレベータを示す斜視図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態のエレベータを示す斜視図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態のエレベータを示す斜視図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態のエレベータを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 昇降路
2 駆動シーブ
4 主ロープ
5 乗りかご
6 釣合い重り
7 釣合い重りレール
8 分割式重り載せ部
9 分割式重り
10 穴
11 壁部
12 分割式重り支持部
13 挿入穴
14 分割式重り載せ部
15 乗りかごレール
16 分割式重り載せ部
17 分割式重り載せ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降する乗りかごと、
前記乗りかごの昇降と対応し主ロープを介して昇降する釣合い重りと、
前記釣合い重りに設けられた分割式重り載せ部と、
前記分割式重り載せ部に載せられる分割式重りと、
前記昇降路内に設けられ、前記分割式重りを支持する分割式重り支持部と、
を備え、
前記分割式重り支持部は、前記分割式重り載せ部に載せられた前記分割式重りが前記釣合い重りと共に下降する場合に前記分割式重りを前記分割式重り載せ部から下ろして支持し、前記釣合い重りが上昇する場合に支持している前記分割式重りを前記分割式重り載せ部に載せることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記分割式重りに穴が形成され、前記穴に前記分割式重り支持部が係合されることにより前記分割式重りが前記分割式重り支持部により支持され、前記穴への前記分割式重り支持部の係合が外れることにより前記分割式重りが前記分割式重り載せ部に載せられることを特徴とする請求項1記載のエレベータ。
【請求項3】
前記分割式重り支持部は、前記昇降路の壁部に取付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のエレベータ。
【請求項4】
前記分割式重り支持部は、前記釣合い重りを上下方向移動可能にガイドする釣合い重りレールに取付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のエレベータ。
【請求項5】
前記分割式重りに挿通穴が形成され、前記挿通穴に前記主ロープが挿通されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のエレベータ。
【請求項6】
昇降路内を昇降する乗りかごと、
前記乗りかごの昇降と対応し主ロープを介して昇降する釣合い重りと、
前記乗りかごに設けられた分割式重り載せ部と、
前記分割式重り載せ部に載せられる分割式重りと、
前記乗りかごが昇降する昇降路内に設けられ、前記分割式重りを支持する分割式重り支持部と、
を備え、
前記分割式重り支持部は、前記分割式重り載せ部に載せられた前記分割式重りが前記乗りかごと共に下降する場合に前記分割式重りを前記分割式重り載せ部から下ろして支持し、前記乗りかごが上昇する場合に支持している前記分割式重りを前記分割式重り載せ部に載せることを特徴とするエレベータ。
【請求項7】
前記分割式重りに穴が形成され、前記穴に前記分割式重り支持部が係合されることにより前記分割式重りが前記分割式重り支持部により支持され、前記穴への前記分割式重り支持部の係合が外れることにより前記分割式重りが前記分割式重り載せ部に載せられることを特徴とする請求項6記載のエレベータ。
【請求項8】
前記分割式重り支持部は、前記昇降路の壁部に取付けられていることを特徴とする請求項6又は7記載のエレベータ。
【請求項9】
前記分割式重り支持部は、前記乗りかごを上下方向移動可能にガイドする乗りかごレールに取付けられていることを特徴とする請求項6又は7記載のエレベータ。
【請求項10】
前記分割式重りに挿通穴が形成され、前記挿通穴に前記主ロープが挿通されていることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか一項に記載のエレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−23972(P2010−23972A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185902(P2008−185902)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】