説明

エレベータ

【課題】乗りかごへの駆け込み行為を高度に抑制することができるエレベータを提供することである。
【解決手段】エレベータ10は、エレベータドア14が閉扉するときに、開いている乗降口13に閉扉警告表示21を出力する光源装置20を備える。光源装置20は、乗降口13の左右に進む複数のレーザー光線からなるライン状の閉扉警告表示21を出力するように配置されている。エレベータ10によれば、利用者の視覚に訴えてエレベータドア14が閉扉することを認識させることができ、乗りかご11への駆け込み行為を高度に抑制することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに関し、特に乗降口を開閉するエレベータドアが設置されたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なエレベータには、乗降口を開閉するエレベータドアが設置されている。ここで、乗降口とは、乗りかご及び乗場に設けられた開口部が一致して形成される乗りかごへ乗り降りするための出入り口であり、エレベータドアとは、かごドア及び乗場ドアが含まれる。即ち、各階床の乗場には、乗場と昇降路とを隔てる乗場壁に、昇降路内を昇降する乗りかごへの乗降口となる開口部が形成されている。そして、乗りかごの壁面にも乗場の開口部に対応する位置に乗降口となる開口部が形成されており、乗りかごが乗場に到着したときに、かごドアの開扉と連動して乗場ドアが開扉し、乗りかごへの乗り降りが可能になる。
【0003】
一般的に、エレベータドアは、開扉後に所定時間が経過する、或いは乗りかご内に設置されたかご内操作盤を操作することで閉扉される。エレベータドアが閉扉するときに乗降口に利用者がいるとエレベータドアに挟まれるおそれがあるので、エレベータドア又はその近傍には、利用者を検知する各種センサや閉扉を知らせるブザー等が設置されている。各種センサとしては、例えば、エレベータドアに設置された機械式のスイッチや赤外線センサ、超音波センサ等が挙げられ、これらセンサにより利用者が検知されると、閉まりかけていたドアが開くようになっている。
【0004】
また、特許文献1に開示されるように、エレベータドアの開扉時において、戸隙間付近に物が有るか否かをビームが遮蔽されたか否かで判定して、戸隙間付近に物が存在する場合、エレベータドアの戸開を停止させ、戸隙間に物が挟まれることを防止するシステムも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009‐155069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術を含む従来の技術では、エレベータドアが閉扉する間際に駆け込みで乗りかごに乗ろうとする利用者(駆け込み利用者)には対応できない場合があり、駆け込み利用者がドアに挟まれることが起こり得る。また、当該駆け込み行為は、駆け込み利用者がドアに挟まれるだけでなく、エレベータの円滑な運転の妨げになるといった問題も招くため、駆け込み行為自体を抑制することが望まれている。駆け込み行為を抑制する方法としては、エレベータドアの閉扉を知らせるブザーを設置する方法が挙げられるが、ブザーでは注意喚起効果が十分とはいえず改良の余地がある。
【0007】
本発明の目的は、乗りかごへの駆け込み行為を高度に抑制することができるエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエレベータは、乗降口を開閉するエレベータドアが設置されたエレベータにおいて、エレベータドアが閉扉するときに、開いている乗降口に閉扉警告表示を出力する光源装置を備えることを特徴とする。ここで、エレベータドアが閉扉するときとは、エレベータドアの閉扉開始又は閉扉開始よりも所定時間前から閉扉が完了するまでの間であり、エレベータドアが開扉するとき及び利用者の乗り降りが行われる一般的な時間は、通常、閉扉警告表示は出力されない。
【0009】
上記構成によれば、エレベータドアが閉扉することを警告する閉扉警告表示が開放された乗降口に出力されるので、乗りかごに乗り込もうとする利用者の視覚に訴えて注意を促すことができる。エレベータドアが閉扉する間際に駆け込もうとする利用者にも、乗降口に出力される閉扉警告表示は目に入るため、多くの利用者は当該表示のある乗降口を通ることを躊躇する。したがって、上記構成によれば、乗りかごへの駆け込み行為を高度に抑制することができ、駆け込み利用者がドアに挟まれる或いはエレベータの円滑な運転の妨げられるといった問題を解決することができる。
【0010】
また、本発明に係るエレベータにおいて、光源装置は、乗りかごに設置されることが好ましい。当該構成では、各乗場に光源装置を設置する必要がなく、コスト低減やメンテナンス性向上等の観点から好ましい。なお、駆け込み行為が多い乗場だけに光源装置を設置して、コスト低減等を図ることもできる。
【0011】
また、本発明に係るエレベータにおいて、光源装置は、乗降口の左右又は上下に進む複数のレーザー光線からなるライン状の閉扉警告表示を出力するように配置されたレーザー装置とすることができる。当該構成によれば、駆け込み利用者を含む乗場の利用者及び乗りかご内の利用者が眩しくなく、また、駆け込み利用者からは乗降口のレーザー光線が十分見えるので、駆け込み行為を高度に抑制することができる。
【0012】
また、本発明に係るエレベータにおいて、エレベータドアの閉扉状態を認識し、当該閉扉状態に応じて光源装置の作動を制御することで閉扉警告表示の形態を変化させる制御装置を備えることができる。当該構成によれば、例えば、閉扉開始よりも所定時間前では閉扉警告表示の密度や濃度を低く、閉扉開始により閉扉警告表示の密度や濃度を高く設定する等、警告の緊急度に応じて警告表示のインパクトを強めることができる。
【0013】
また、本発明に係るエレベータにおいて、開いている乗降口にミストを噴出するミスト噴出装置を備え、光源装置は、噴霧されたミストに所定の画像を投影することで閉扉警告表示を乗降口に出力する構成とすることができる。当該構成によれば、ミストをスクリーンとして任意の画像からなる閉扉警告表示を乗降口に出力することが可能になる。
【0014】
また、本発明に係るエレベータにおいて、光源装置は、噴霧されたミスト又は閉扉したエレベータドアに対して広告表示用の画像を投影する構成とすることができる。当該構成によれば、光源装置を広告にも使用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るエレベータによれば、エレベータドアが閉扉するときに開いている乗降口に閉扉警告表示を出力することによって、利用者の視覚に訴えてエレベータドアが閉扉することを認識させることができ、乗りかごへの駆け込み行為を高度に抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態であるエレベータを示す図である。
【図2】図1のエレベータにおいて、光源装置の設置形態を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態の変形例であるエレベータを示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態であるエレベータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を用いて、本発明に係るエレベータの実施形態につき、以下詳細に説明する。図1〜図3は、第1実施形態であるエレベータ10を示す図であり、図4は、第2実施形態のエレベータ30を示す図である。なお、いずれの図も、乗りかご11,31が乗場12,32に停止して乗降口13,33が開放された状態を示している。
【0018】
<第1実施形態>
図1〜図3を用いて、エレベータ10を説明する。
【0019】
図1に示すように、エレベータ10は、乗りかご11、乗場12、及び光源装置20を備える。また、エレベータ10の乗降口13には、エレベータドア14が設置されている。エレベータ10は、昇降路内において乗りかご11が各階床に設置された乗場12の間を昇降する昇降装置であって、エレベータドア14が閉扉する間際の乗りかご11への駆け込み行為を抑制する機能を有している。
【0020】
上部機械室が設けられる場合、その室内には、乗りかご11を昇降させる巻上げ機や制御装置22が設置されている。巻上げ機のシーブには、一端がかごの上部、他端がカウンターウエイトに連結された主ロープが巻きかけられており、巻上げ機を駆動することにより主ロープが巻上げられ又は送り出されて、乗りかご11が昇降路内をガイドレールに沿って昇降する仕組みである。なお、本発明は、所謂機械室レスエレベータ等のエレベータにも適用することができ、上部機械室が設けられるエレベータに限定されない。
【0021】
制御装置22は、エレベータ10の動作を統一的に制御する装置であって、例えば、乗りかご11の自動昇降運転やエレベータドア14の開閉を制御する。さらに、制御装置22は、後述するように、光源装置20の作動を制御する機能を有する。なお、制御装置22は、CPUと、入力装置と、入力したパラメータ、制御プログラム等を記憶する記録装置と、入出力ポートなどを備えるコンピュータによって構成することができる。
【0022】
乗りかご11は、利用者が乗り込むことのできる室内スペースを有する。また、乗りかご11は、その壁面に後述する乗場12の開口部と一致して乗降口13となる開口部が形成されている。乗りかご11の開口部には、その周縁にドア枠が設置され、また、乗りかご11の昇降運転中は閉扉し、乗りかご11が乗場12に着床したときに開扉するかごドア15が設置されている。
【0023】
また、乗りかご11には、かごドア15を開閉するかごドア開閉装置、行先階床を指定する行先階釦やかごドア15の開閉釦等が配置されたかご内操作盤等が設置されている。かご内操作盤は、制御装置22と接続されており、その操作信号が制御装置22に伝達されるようになっている。例えば、かごドア15の開閉釦のドア閉釦を押すと、制御装置22からかごドア開閉装置に対してかごドア15の閉扉指令が送信され、かごドア開閉装置が作動してかごドア15が閉扉する。
【0024】
乗場12は、乗りかご11への乗り降りを行なう場所であって、複数の階床に設けられている。乗場12には、乗場12と昇降路とを隔てる乗場壁に、昇降路内を昇降する乗りかご11の開口部と一致して乗降口13を形成する開口部が形成されており、当該開口部には乗場ドア16が設置されている。また、一般的に、乗場12の開口部の周縁には、三方枠17が設置され、乗場壁には、乗りかご11の呼び登録を行なう乗場呼び釦18、乗りかご11の到着を表示するインジケータ19が設置されている。乗場呼び釦18等は、かご内操作盤と同様に、制御装置22に接続されており、操作信号は制御装置22に伝達される。
【0025】
乗降口13は、乗りかご11への乗り降り、即ち乗場12から乗りかご11に乗る又は乗りかご11から乗場12に降りるための出入り口であって、乗りかご11が乗場12の所定位置に停止したときに、乗りかご11の開口部と乗場12の開口部とが一致することで形成される。そして、乗りかご11の開口部と乗場12の開口部とが一致してエレベータドア14が開扉することで、乗降口13が開いて乗りかご11への乗り降りが可能になる。
【0026】
エレベータドア14は、上記のように、かごドア15及び乗場ドア16を含み、乗降口13を開閉するドアである。図1に示す例において、エレベータドア14は、センターオープン型(CO型)のドアであって、かごドア15及び乗場ドア16はそれぞれ2枚のドア(パネル)を備えている。2枚のドアの互いに接触する側端部は、例えば、コの字状に折り曲げ加工されて戸当り面23(図2参照)が形成される。即ち、戸当り面23は、2枚のドアにおいて対向する面であって、この戸当り面23同士が一致することにより乗降口13が全閉状態になる。
【0027】
また、エレベータドア14は、乗りかご11に設置されたドア開閉装置により開閉される。具体的には、乗りかご11が乗場12の予め定められた停止位置に停止したときに、かごドア15と乗場ドア16とが係合するように構成されており、かごドア15の開閉動作に連動して係合された乗場ドア16が開閉される仕組みである。なお、本発明は、所謂サイドオープン型(SO型)のドアが設置されたエレベータにも適用することができ、CO型のドアが設置されたエレベータに限定されない。
【0028】
光源装置20は、エレベータドア14が閉扉するときに、閉扉警告表示21を開いている乗降口13に出力する装置である。閉扉警告表示21は、乗降口13が開いている状態において、エレベータドア14が閉扉することを利用者に知らせて、乗りかご11へ乗り込まないように警告するための表示である。図1の例では、乗降口13の左右に進む複数の可視光線からなるライン状の閉扉警告表示21が出力されている。より具体的には、当該閉扉警告表示21は、乗降口13の左右方向(幅方向)、即ちエレベータドア14の開閉方向に沿って右側のかごドア15の戸当り面23から出射され、乗降口13の上部から下部にわたって等間隔で存在する複数の可視光線によって形成されている。
【0029】
光源装置20としては、可視光線が乗降口13の左右に進むライン状に見えるように、指向性の高い可視光線を出力できる装置であることが好ましく、赤色等の鮮明な可視レーザー光線を出力できるレーザー装置であることがより好ましい。レーザー装置としては、公知のレーザー装置を用いることができるが、赤、緑、青、又はマルチカラーのレーザー光線が出力可能な小型の半導体レーザーを用いることが好ましい。なお、異なる波長のレーザー光線を出力するレーザー装置を設置して、色が異なったライン状の閉扉警告表示21とすることもできる。
【0030】
図1及び図2に示すように、光源装置20は、かごドア15の戸当り面23の裏側にレーザー光線の本数に対応して複数設置することができる。即ち、光源装置20は、乗りかご15に設置されている。具体的には、図2に示すように、戸当り面23に複数の出射窓24を形成しておき、戸当り面23の裏側であってかごドア15の外側の面(乗場ドア16側の面)に設置することができる。光源装置20から出力されるレーザー光線は、出射窓24を通して対向する戸当り面23に向かって乗降口13の幅方向に直進する。なお、出射窓24は、単なる貫通孔とすることもできるが、透明な樹脂プレート等を貫通孔に取り付けた構成とすることもできる。
【0031】
ここで、閉扉警告表示21が出力されるタイミングについて説明する。閉扉警告表示21は、エレベータドア14が閉扉するとき、即ち開いている乗降口13が閉じられるときに、開いている乗降口13に出力される。具体的には、エレベータドア14の閉扉動作が開始してから閉扉動作が完了する全閉時までの間、閉扉警告表示21を出力する設定とすることができる。或いは、エレベータドア14の閉扉動作が開始されるよりも所定時間前から閉扉警告表示21を出力する設定とすることもできる。ここで、所定時間前とは、エレベータドア14の閉扉動作が開始される間際であって、1〜2秒前など乗場12の状況等に応じて適宜設定することができる。
【0032】
また、光源装置20は、制御装置22による制御の下で、閉扉警告表示21の出力・停止を行なう。即ち、制御装置22は、エレベータドア14の開閉を制御すると共に、光源装置20の作動を制御する。具体的に、光源装置20は、制御装置22と接続されていて、制御装置22に予め入力(登録)されたタイミングで作動される。例えば、制御装置22は、かご内操作盤のドア開閉釦が操作された場合、かごドア開閉装置に閉扉指令を出力する前に光源装置20に作動指令を出力して、エレベータドア14の閉扉開始よりも所定時間前に閉扉警告表示21を出力させることができる。或いは、閉扉開始と閉扉警告表示21の出力開始のタイミングを合わせるように制御することもできる。
【0033】
また、制御装置22は、エレベータドア14の閉扉状態を認識して、当該閉扉状態に応じて閉扉警告表示21の形態を変化させるように光源装置20の作動を制御することもできる。例えば、閉扉開始時には一部の光源装置20のみを作動させ、閉扉に伴って段階的に光源装置20を作動させてレーザー光線の数を増加させる等、閉扉状態に応じてラインの数を変更することができる。或いは、閉扉状態に応じてラインの色を変更することもできる。
【0034】
以上のように、エレベータ10は、エレベータドア14が閉扉するときに、開いている乗降口13に閉扉警告表示21を出力する光源装置20を備えるので、利用者の視覚に訴えてエレベータドア14が閉扉することを認識させることができ、乗りかご11への駆け込み行為を高度に抑制することが可能になる。即ち、エレベータドア14が開いた状態でも乗降口13には、例えば、複数のレーザー光線からなるライン状の閉扉警告表示21が出力されているので、多くの利用者は当該表示のある乗降口13を通ることを躊躇する。
【0035】
なお、図1に示す例では、乗降口13の左右方向に平行に進む複数のレーザー光線からなる閉扉警告表示21を出力するものとして説明したが、閉扉警告表示21は、乗降口13の上下方向に平行に進むレーザー光線又は乗降口13の左右方向又は上下方向に平行ではなく斜めに進むレーザー光線からなるものであってもよい。
【0036】
例えば、図3に示す例では、右側のかごドア15の上部及び下部に、それぞれ光源装置20を備える。そして、上部の光源装置20が左側のかごドア15の下部に向かって、下部の光源装置20が左側のかごドア15の上部に向かって、それぞれ可視光線(レーザー光線)を出力するように配置されている。当該構成によれば、乗降口13の左右に斜めに進む格子状(×状)の閉扉警告表示21を出力することが可能である。また、エレベータドア14の閉扉に伴って光源装置20の角度を変更することもできる。例えば、上部の光源装置20について、戸当り面に上下方向に沿って長い出射窓を形成すると共に、エレベータドア14の閉扉動作と連動して初期状態(閉扉開始時)からさらに下方に向くように角度を変える首振り台に光源装置20を設置した構成とすることができる(下部の光源装置20は上方に向くように角度を変える首振り台に設置)。
【0037】
また、上記では、光源装置20がかごドア15の戸当り面23の裏側に設置されるものとして説明したが、光源装置20の設置場所はこれに限定されず、乗降口13に閉扉警告表示21を出力可能な場所に設置できる。例えば、乗りかご11のドア枠や壁面、天井、又は乗場12に光源装置20を設置することもできる。
【0038】
また、上記では、複数の光源装置20を備えるものとして説明したが、1つの光源装置20を備える構成であってもよい。例えば、乗りかご11内から乗降口13に向かってフラッシング光等を照射する1つのフラッシングライトを光源装置20として乗りかご11の壁面や天井に設置してもよい。制御装置22の制御により、エレベータドア14の閉扉状態に応じて、フラッシングライトの点滅形態等を変化させることもできる。
【0039】
また、乗場12の乗場壁を光源装置20から出力される可視光線の色と同じ色に塗装しておくことで、乗りかご11の内からは、閉扉警告表示21が見えないようにすることもできる。
【0040】
<第2実施形態>
図4を用いて、エレベータ30を説明する。なお、エレベータ10と同一の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0041】
図4に示すように、エレベータ30は、乗りかご31にミスト噴霧装置36が搭載され、乗場12に光源装置35を備えることを特徴とする。光源装置35により閉扉警告表示41が出力されるタイミングとしては、エレベータ10の場合と同様に設定できる。また、エレベータ30は、かごドア33及び乗場ドア16を含むエレベータドア34を備える。なお、かごドア33は、光源装置20が設置されない一般的なドアである。
【0042】
光源装置35は、ミスト噴霧装置36によって噴霧されたミスト40に所定の画像を投影することで閉扉警告表示41を開いている乗降口13に出力する。即ち、光源装置35としては、乗降口13に存在するミスト40をスクリーンとして、閉扉警告表示41を映し出す投影装置(プロジェクタ)を用いることができる。プロジェクタとしては、一般的なCRTプロジェクタや液晶プロジェクタを用いることができる。或いは、光源装置35は、可視光を発する光源(白熱灯、蛍光灯、LEDなど)と、光源の光を所定の画像(形状)にする所謂パターンカッタ、必要によりパターンカッタからでた光を絞り込むレンズを有するものであってもよい。
【0043】
また、光源装置35は、ミスト40に対して所定の画像を投影できる位置に設置される。例えば、図4に示すように、乗場12の天井に光源装置35を設置することができる。或いは、乗りかご11の天井や壁面に光源装置35を設置して、乗りかご11内から画像を投影することもできる。
【0044】
ミスト噴霧装置36は、乗降口13にミスト40を噴霧する装置である。ミスト噴霧装置36としては、水を圧縮して微細なノズルから噴霧することでミスト40を発生させる一般的な装置を用いることができる。ミスト噴霧装置36は、乗りかご11の上部に設置された高圧ポンプ及び貯水タンク等を有する供給部37、供給部37と噴霧ノズル39とを接続する配管38、及びドア枠に設置された複数の噴霧ノズル39を備える装置とすることができる。
【0045】
また、ミスト噴霧装置36は、所謂ミスト冷房装置として利用することもできる。冷房装置として兼用する場合には、エレベータドア14の開閉状態によらず、ミスト噴霧装置36は常時ミストを噴霧しておくことができる。或いは、ミスト噴霧装置36は、常時ミストを噴霧しながら、閉扉警告表示21の出力する時点においてミストの噴霧量を増加させる設定とすることもできる。
【0046】
なお、光源装置35によりミスト40に投影される閉扉警告表示41としては、図4のような駆け込み行為禁止を認識し易いような静止画とすることができる。或いは、光源装置35としてプロジェクタを用いる場合には、静止画だけでなく動画からなる閉扉警告表示41を出力することもできる。また、閉扉警告表示41と合わせて音声による警告を行なうこともできる。
【0047】
さらに、エレベータ30では、閉扉警告表示41と共に広告表示をミスト40に映し出すことができる。例えば、閉扉警告表示41の上部や下部等の空いているスペースに対して、同一の光源装置35から閉扉警告表示41及び図示しない広告表示用の画像を出力することができる。また、光源装置35は、乗降口13が開放されているときだけでなく、閉扉したエレベータドア34(乗場ドア16)に対して広告表示のみを出力することもできる。例えば、光源装置35は、制御装置22の制御の下、エレベータドア34が閉扉するときには閉扉警告表示41を出力し、エレベータドア34の全閉時には閉扉したドア(乗場ドア16)に閉扉警告表示41に代えて広告表示を出力する構成とすることができる。なお、広告表示用の画像は、動画であってもよい。光源装置35が乗りかご31内に設置される場合には、乗りかご31の昇降運転中において閉扉したかごドア33に広告表示を出力することもできる。
【0048】
以上のように、エレベータ30は、開いている乗降口13にミスト40を噴霧するミスト噴霧装置36と、噴霧されたミスト40をスクリーンとして所定の画像を投影することで閉扉警告表示41を開いている乗降口13に出力する光源装置35とを備えるので、任意の画像からなる閉扉警告表示41を乗降口13に出力することができる。また、光源装置35は、広告表示用の画像を出力する装置として兼用することができる。
【0049】
なお、図4に示す例では、ミスト40をスクリーンとして利用する構成を説明したが、レーザー光線を乗降口13の空間中にフォーカスすることで閉扉警告表示41の画像を浮かび上がらせることもできる。
【符号の説明】
【0050】
<第1実施形態>
10 エレベータ、11 乗りかご、12 乗場、13 乗降口、14 エレベータドア、15 かごドア、16 乗場ドア、17 三方枠、18 乗場呼び釦、19 インジケータ、20 光源装置、21 閉扉警告表示、22 制御装置、23 戸当り面、24 出射窓。
【0051】
<第2実施形態>
30 エレベータ、31 乗りかご、32 乗場、33 かごドア、34 エレベータドア、35 光源装置、36 ミスト噴霧装置、37 供給部、38 配管、39 噴霧ノズル、40 ミスト、41 閉扉警告表示。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降口を開閉するエレベータドアが設置されたエレベータにおいて、
エレベータドアが閉扉するときに、開いている乗降口に閉扉警告表示を出力する光源装置を備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータにおいて、
光源装置は、乗りかごに設置されることを特徴とするエレベータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエレベータにおいて、
光源装置は、乗降口の左右又は上下に進む複数のレーザー光線からなるライン状の閉扉警告表示を出力するように配置されたレーザー装置であることを特徴とするエレベータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載のエレベータにおいて、
エレベータドアの閉扉状態を認識し、当該閉扉状態に応じて光源装置の作動を制御することで閉扉警告表示の形態を変化させる制御装置を備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項5】
請求項1に記載のエレベータにおいて、
開いている乗降口にミストを噴霧するミスト噴霧装置を備え、
光源装置は、噴霧されたミストに所定の画像を投影することで閉扉警告表示を乗降口に出力することを特徴とするエレベータ。
【請求項6】
請求項5に記載のエレベータにおいて、
光源装置は、噴霧されたミスト又は閉扉したエレベータドアに対して広告表示用の画像を投影することを特徴とするエレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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