説明

エンジン作業機のエンジン停止装置

【課題】エンジン作業機の本体内に浸水したときに、発電機などに大きなダメージを受ける前にエンジンを停止させることによって発電機の故障を未然に防止する。
【解決手段】発電機2等の作業機器、これを駆動するエンジン3およびこれらの制御装置4を内蔵したボンネット1からなるエンジン作業機において、このボンネット1内の作業機器に水等の液体の浸液可能な位置に、液表面検知用の液面検知装置7を配置し、この液面検知装置の動作によりエンジン3を停止させ構成で、この前記液面検知装置が、内部に液位を検知する液面検知センサを配置した箱体からなり、底面および/または周囲側面に通液可能な開口手段を備え、前記ボンネットの床部のベース枠5に固着する構成である。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、エンジン作業機の本体底部内に浸水したときにエンジンを停止させるエンジン作業機のエンジン停止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジン作業機は、一般に可搬式で、用途も広く、建設現場、道路工事および橋桁工事や河川敷等の種々の場所の作業現場で使用されている。作業機器が発電機である従来のエンジン作業機を考えると河川敷等の作業現場において、出水災害における出水によりこれら作業機内に発電機や制御機器の冷却通気口から浸水し、この浸水により機器に多大な被害を与えていた。例えば、エンジン作業機内に浸水があったとしてもエンジンは停止せず、運転しているため、土砂等を大量に含んだ泥水が発電機内に吸い込まれ、これら土砂により発電機内の巻線等を切断したり、回転子、固定子の損傷を引き起こしたり、又、最終的にはエンジンにも多大な被害を与えていた。このような被害は簡単に修理ができず、ただちに復帰させることができないような大きなダメージを与えていた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
このように従来のエンジン作業機では、土砂くづれ等による河川の氾濫などによる出水事故に弱く、そのためこのエンジン作業機自体を廃棄処分せざるを得なかった。
この考案の課題は、エンジン作業機の本体内に浸水したときに、発電機などに大きなダメージを受ける前にエンジンを停止させることによって発電機などの故障を未然に防止することができるエンジン停止装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案の課題は、発電機等の作業機器、これを駆動するエンジンおよびこれらの制御装置を内蔵したボンネットからなるエンジン作業機において、前記ボンネット内で水などの液体の浸液可能な位置に、液表面検知用の液面検知装置を配置し、この液面検知装置の動作によりエンジンを停止させる構成によって前記課題は達成できる。
【0005】
また、前記液面検知装置が、天井板以外の周面壁に多数の通液孔を穿設し、底面を開放し、内部に液面検知センサを配置した箱体からなり、この液面検知装置を前記ボンネットの床部のベース枠に固着し、前記液面検知センサの動作によりエンジンを停止させる構成によって達成できる。
【0006】
更に、前記液面検知装置の取付け位置は前記ボンネットの床部の中央位置のみではなく、ベース枠体の周縁の複数箇所に取付け、いずれか一つの検知装置が動作したときにエンジンを停止させることによって前記課題は達成できる。
特に、ボンネット内に浸水し易い箇所に設置することによって所期の目的を達成できる。
【0007】
【考案の実施の形態】
この考案のエンジン作業機のエンジン停止装置は、エンジン作業機のボンネットの床部に液面検知装置を配設してあるから、水等の液体がボンネットに浸液して次第に、増加し、エンジン作業機内の作業機器に浸液する前に液表面の位置を検知し、その信号により作動してエンジンを停止させることができるから、浸水による泥水中の浮遊物や土砂による発電機等の作業機器類に被害をもたらすことを防止できる。
しかも、液面検知装置の構造はシンプルであるから、従来のエンジン作業機の床部の枠体に既存のボルトを利用して簡易に取付けることができる。更に、ボンネットの床部の1か所ではなく、ボンネットの床部四隅に配置すれば、傾斜した地面に傾斜状態にエンジン作業機が設置されたとき一部でも浸液したときにもエンジンを停止することができ、作業機器の被害を事前に防止することができる。
【0008】
【実施例】
この考案のエンジン停止装置を搭載したエンジン作業機がエンジン発電機である実施例について図面に基づき以下に説明する。
図1はこの考案のエンジン停止装置の1実施例を搭載したエンジン作業機の側面図である。図2は図1のエンジン作業機の平面図である。図3はこの考案のエンジン作業機の床部に取付ける液面検知装置の1実施例の斜視図である。図4は図3の一部破断した側面図である。図5はこの考案の液面検知装置を円形に形成した実施例の斜視図である。図6はこの考案の液面検知装置を網目状に形成した実施例の一部破断した側面図である。図7はこの考案の液面検知装置を鋼鉄枠で形成した実施例の側面図である。図8はこの考案のエンジン作業機のエンジン停止装置の電気回路の概略図である。
【0009】
この考案のエンジン停止装置について以下に説明する。
1は発電機2、エンジン3、制御機器4等を内蔵してあるエンジン作業機のボンネットである。このボンネット1の床部のベース枠5の中央部にボルト孔6,6・・が穿設してある。7は液面検知装置で、天井板7aおよび4面形成の周壁7bから形成された箱体からなり、この天井板7aの中央位置の下側に液面検知センサであるフロートスイッチ8が取付けてある。この液面検知装置7の周側面には多数の通液孔7cが穿ってある周壁7bによって包囲され、底部は開口している。この周壁7bは内部のフロートスイッチ8に、浸液した泥水中の浮遊物や土砂、小石等が衝突して損傷しないように保護する目的がある。そして浸液がよく通り易く、フロートスイッチ8が確実に作動するように通液孔7cを多数有している。また、この周壁7bの一側面の上部に内部の液面検知センサ等の取付け作業を容易にするために作業用の開口部7dが穿設してある。
【0010】
9は液面検知装置7から張り出した取付け用のブラケットで、ベース枠5のボルト孔6,6・・に対応するボルト孔9a,9a・・が穿ってある。10,11はボンネット1に設けた冷却のための通気口である。12は排気口である。
【0011】
このように構成されているエンジン停止装置について説明する。
液面検知装置7の天井板7aに液面検知センサであるフロートスイッチ8を取付け、この液面検知装置7のブラケット9のボルト孔9a,9a・・をベース枠5のボルト孔6,6・・に適合させ、ボルトとナットとによって液面検知装置7をベース枠5に取付け、エンジン作業機のボンネット1にエンジン停止装置を固着する。
この液面検知装置7のフロートスイッチ8の作動レベルの設定位置は作業機器が発電機の場合は、液面が発電機本体の開口部(通気口)下端位置に安全量を考慮して決定するか、ボンネットの構造によっては、エンジンのエアークリーナからの吸気流での水の吸い込む水位を考慮して決定する。他の作業機器の場合は、それぞれ保護する位置を考慮して決定する。
【0012】
河川敷等においてのエンジン作業機の稼働中に、この近辺で山崩れなどによる出水災害が発生したとき、この出水による水位が上昇し、エンジン作業機のボンネット1の隙間や冷却のための通気口10、11から土砂等を含んだ泥水等が浸水し、エンジン作業機の床部のベース枠5にブラケット9を介してボルトによって取付けた液面検知装置7のフロートスイッチ8を包囲した周壁7bの通液孔7cおよび底面の開放部分から液面検知装置7内に浸水し、水位の上昇に伴い、フロートスイッチ8が動作し、ソレノイドリレーが作動して制御機器4によってエンジンが停止することになる。なお、電気回路は回路断線等の不具合時には必ず、エンジンが停止するような安全確保のためにフロートスイッチ8の作動により回路を遮断することによりエンジンを停止するようにしてある。
【0013】
この考案の図面に示す実施例のエンジン停止装置は、液面検知装置7の天井板7aに液面検知センサであるフロートスイッチ8を固着してあるが、取付け位置は天井板7aに限られず、周壁7bの内面に取付けるようにしても良い。また、液面検知装置7がボンネット1の床部のほぼ中央の1箇所に取付けてあるが、ボンネット1の床部のベース枠5の複数箇所に取付けることもできる。エンジン作業機は何時も平坦な場所に設置されるとも限らず、傾斜地盤に設置することもあり、この場合にボンネット1の床部の両端部分に取付けて、いずれか一つの液面検知装置7が動作したときにエンジンを停止させる。
【0014】
この考案のエンジン停止装置の液面検知装置7は、図3に示すような4面体として箱体を形成し、この周壁7bに通液孔7cを形成し、天井板7aに液面検知センサとしてのフロートスイッチ8を固定しているが、この他に図5に示すような鉄板等の円柱としたものでもよい。また、この液面検知装置7の周壁7bの一部に開閉扉を設けて内部作業が行い易いようにすることもできる。
図6に示すものは金網によって、フロートスイッチ8を包囲し、天井板7aにフロートスイッチ8を取付けたものである。この金網を上方に上げてフロートスイッチ8を取付けてから下方に下げて、全体を形成する。また、鉄格子の枠によって周壁7bを形成して、フロートスイッチ8を包囲したものでもよい(図7参照)。
【0015】
【考案の効果】
この考案のエンジン作業機のエンジン停止装置は、作業機を内蔵するボンネットの床部に液面検知装置を配置してあるからエンジン作業機の設置近辺に出水等の災害が発生したときにこの浸水によるエンジン作業機の損害を防止できる。従って、エンジン作業機が水害にあっても、発電機等の水害による再生修理が簡単で廉価にできる。
また、この考案のエンジン停止装置の液面検知装置は構造が簡単で、取付けも容易なので、既に市場にあるエンジン作業機に必要に応じて簡易に取付けできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案のエンジン停止装置の1実施例を搭載したエンジン作業機の側面図である。
【図2】図1のエンジン作業機の平面図である。
【図3】この考案のエンジン作業機の床部に取付ける液面検知装置の1実施例の斜視図である。
【図4】図3の一部破断した側面図である。
【図5】この考案の液面検知装置を円形に形成した実施例の斜視図である。
【図6】この考案の液面検知装置を網目状に形成した実施例の一部破断した側面図である。
【図7】この考案の液面検知装置を鋼鉄枠で形成した実施例の側面図である。
【図8】この考案のエンジン作業機のエンジン停止装置の電気回路の概略図である。
【符号の説明】
1 …ボンネット
2 …発電機
3 …エンジン
4 …制御機器
5 …ベース枠
6 …ボルト孔
7 …液面検知装置
7a…天井板 7b…周壁 7c…通液孔 7d…開口部
8 …フロートスイッチ
9 …ブラケット
10 …通気口
11 …通気口
12 …排気口

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】発電機等の作業機器、これを駆動するエンジンおよびこれらの制御装置を内蔵したボンネットからなるエンジン作業機において、前記ボンネット内で水などの液体が浸液可能な位置に、液表面検知用の液面検知装置を配置し、この液面検知装置の動作によりエンジンを停止させることを特徴とするエンジン作業機のエンジン停止装置。
【請求項2】前記液面検知装置が、天井板以外の周面壁に多数の通液孔を穿設し、底面を開放し、内部に液面検知センサを配置した箱体からなり、この液面検知装置を前記ボンネットの床部のベース枠に固着し、前記液面検知センサの動作によりエンジンを停止させることを特徴とした請求項1記載のエンジン作業機のエンジン停止装置。
【請求項3】前記液面検知装置の取付け位置は前記ボンネットの床部の複数箇所に取付け、いずれか一つの検知装置が動作したときにエンジンを停止させることを特徴とする請求項1または2記載のエンジン作業機のエンジン停止装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【登録番号】第3040051号
【登録日】平成9年(1997)5月21日
【発行日】平成9年(1997)8月5日
【考案の名称】エンジン作業機のエンジン停止装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平9−319
【出願日】平成9年(1997)1月29日
【出願人】(000109819)デンヨー株式会社 (88)