説明

エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法

【課題】(メタ)アクリロイル基の重合と、エーテル基に由来する過酸化物の生成とを共に充分に抑制できるエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供する。
【解決手段】下式(1)で示されるN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤の存在下に、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とを含む反応原料からエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法。


[式中、Mは金属原子又はアンモニウム基を表し、nはMの価数と等しい正数を表し、Mと酸素原子とを繋ぐ点線は、Mが酸素原子に配位していることを表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関する。より詳しくは、熱、紫外線、放射線、電子線、ラジカル重合開始剤、酸等により容易に重合可能なエーテル基を有する(メタ)アクリル酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、熱、紫外線、放射線、電子線、ラジカル重合開始剤、酸等により容易に重合可能であることから、重合体のモノマーとして有用であることが知られており、各種の製造方法が検討されている。その反応プロセスの一つとして、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とを反応させてエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを製造するプロセスが知られている。そのような反応プロセスにおいては、反応原料、目的生成物共に、重合性二重結合である(メタ)アクリロイル基を有しているために、光や熱等によって重合しやすいことから、それらの重合を防止することが重要である。(メタ)アクリロイル基のような重合性二重結合を有する化合物が重合するのを防止することを目的とした方法としては、従来次のような方法が知られている。
【0003】
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルに、N−ニトロソアミン類を添加することで、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルがポップコーン重合するのを防止することが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。重合性エチレン性不飽和有機化合物を製造する過程において、反応生成物を精製、回収するために行う蒸留工程を、フェノール性重合禁止剤と可溶性マンガン化合物又は可溶性セリウム化合物を含む液相重合禁止剤と、酸化窒素およびN−フェニル−N−ニトロソヒドロキシルアミンアンモニウム塩より成る群からえらばれた蒸気相重合禁止剤と組み合わせて成る液相−蒸気相重合禁止剤系の存在下で行うことが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、エチレン及びエチレンと共重合し得るラジカル重合性単量体を、重合開始剤の存在下で圧力500〜3000Kg/cm以上、温度100℃〜300℃で重合させ、エチレン共重合体を製造する方法において、重合禁止剤を重合反応領域以降、第一分離器の入り口迄に系内に注入するエチレン共重合体の製造方法が開示され、その中では、重合禁止剤として亜リン酸エステル系化合物、ニトロソアミン系化合物、フェノール系化合物から選ばれる化合物の少なくとも1つを用いることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。更には、重合防止剤として、マンガン塩化合物、銅塩化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物、およびニトロソ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上とN−オキシル化合物とを併用すると共に、酸類を用いる(メタ)アクリル酸エステルの重合防止方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭49−125315号公報(第1−2頁)
【特許文献2】特開昭64−42443号公報(第1−2頁)
【特許文献3】特開平7−10910号公報(第1−2頁)
【特許文献4】特許第3990580号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、(メタ)アクリロイル基のような重合性二重結合を有する化合物の重合防止方法について、種々の方法が検討され、様々な重合禁止剤の使用が試みられている。
しかしながら、エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造においては、(メタ)アクリロイル基の重合だけでなく、エーテル基に由来して過酸化物も生成し、この過酸化物も重合の原因となる。このため、この化合物の重合を効果的に防止するためには、過酸化物の生成を抑制することも重要であるが、上述のような従来の重合性二重結合を有する化合物の重合防止方法では重合を効果的に抑制することは難しく、(メタ)アクリロイル基の重合性二重結合の重合及びエーテル基に由来する過酸化物の生成の両方を充分に抑制し、(メタ)アクリロイル基とエーテル基とを共に有する化合物の製造に好適に用いることができる製造方法が求められるところであった。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、(メタ)アクリロイル基の重合と、エーテル基に由来する過酸化物の生成とを共に充分に抑制し、エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造に好適に用いることができるエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とを反応させてエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法について種々検討を行い、反応系気相部の重合を防止する役目を担うN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、反応系液相部におけるラジカル連鎖防止剤として働く一次酸化防止剤、及び、反応系液相部における過酸化物分解剤として働く二次酸化防止剤を用いる系に着目した。そしてまず、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩はそれ自身が重合防止効果を有しているわけではなく、反応時の熱や酸との接触により分解され、分解生成物であるニトロソベンゼンが特に重合防止効果を有している、ということを見出した。そして更に、代表的な二次酸化防止剤であるトリフェニルホスフィン等を二次酸化防止剤として用いた場合、上述した分解生成物であるニトロソベンゼンと二次酸化防止剤とが速やかに反応してしまうため、反応系気相部における重合を防止する効果が経時的に失われるということを新たに見出した。そしてこの新たに見出された課題に対して本発明者は、二次酸化防止剤として亜リン酸エステル及び/又はチオエーテルを用いると、二次酸化防止剤とニトロソベンゼンとの反応が遅いため、二次酸化防止剤はその過酸化物分解能を維持しながら、ニトロソベンゼンによる反応系気相部における重合防止効果も充分に発揮されることとなり、その結果、長時間に亘る反応系気相部及び液相部での重合防止及び過酸化物の生成抑制を共に充分に実現できることを見出し、上記課題を見事に解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0008】
すなわち本発明は、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とを含む反応原料からエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法であって、上記製造方法は、上記反応原料を、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤の存在下に反応させる工程を含み、上記N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩は、下記一般式(1);
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Mは、金属原子又はアンモニウム基を表す。nは、Mの価数と等しい正数を表す。Mと酸素原子とを繋ぐ点線は、Mが酸素原子に配位していることを表す。)で表されるエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明のエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とを含む反応原料をN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤の存在下に反応させる工程を含むものであるが、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有エーテル化合物、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤はそれぞれ1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、本発明の製造方法は、上記反応工程を含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。更に、本発明の製造方法においては、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有エーテル化合物、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤を用いて行われる限り、その他の成分を含んで行われてもよいが、後述するように、更にエステル交換触媒を含んでいることが好ましい。すなわち、上記反応工程が、更に、エステル交換触媒の存在下で行われる形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
なお、本明細書中、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを指し、また、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を指している。
【0012】
上記反応工程は、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤の存在下に行われるものであるが、本発明の効果を奏する限り、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とを含む反応原料が反応するいずれかの時点で、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤が反応系中に共存する条件となっていればよい。好ましくは、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤が共存した条件下で反応が行われる時間が長いことであり、反応の開始から終了までN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤が共存した条件下で反応が行われることが最も好ましい。
【0013】
上記N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤は、それぞれ反応開始前に反応器に一括で仕込んでおいてもよいし、反応を行いながら逐次添加してもよいが、反応開始前に反応器に一括で仕込んでおくことが好ましい。これにより反応工程中の重合反応をより効果的に抑制することができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基含有エーテル化合物については、それぞれ反応開始前に反応器に一括で仕込んでおいてもよいし、一部を反応開始前に仕込んでおき、残りは反応を行いながら逐次添加してもよい。
【0014】
上記N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩は、下記一般式(1);
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、Mは、金属原子又はアンモニウム基を表す。nは、Mの価数と等しい正数を表す。Mと酸素原子とを繋ぐ点線は、Mが酸素原子に配位していることを表す。)で表される化合物である。
上記一般式(1)におけるMは、金属原子又はアンモニウム基を表すが、該金属原子としては、アルミニウム、銅、鉄(III)、スズ、亜鉛、マグネシウム、チタン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、バナジウム(V)、ニオブ、タンタル、リン、ビスマス(III)などが挙げられる。上記Mとしては、これらの中でも、アルミニウム、亜鉛、スズ、リン、鉄(III)、アンモニウム基が好ましく、より好ましくは、アルミニウム、亜鉛、スズ、アンモニウム基であり、更に好ましくは、アルミニウム、アンモニウム基である。
【0017】
上記亜リン酸エステル及び/又はチオエーテルは、エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを合成する本発明の反応工程において反応系液相部に生成してくる過酸化物を分解して過酸化物の関わる重合反応を抑制する二次酸化防止剤として働くものであり、亜リン酸エステル、チオエーテル、及び、亜リン酸エステルとチオエーテルとの混合物のいずれの形態として用いてもよいが、中でも亜リン酸エステルであることが好ましい。すなわち、上記亜リン酸エステル及び/又はチオエーテルが、亜リン酸エステルである形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
【0018】
上記亜リン酸エステルは、下記一般式(3);
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を表す。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜18の炭化水素基を表す。mは、0〜3の整数を表す。Xは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。mが0又は1の場合には、リン原子に酸素原子を介して結合するベンゼン環を含む複数の基は、Xを介して互いに連結していてもよく、Xを介して互いに連結する場合、Xは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)で表される構造を有するものであることが好ましい。亜リン酸エステルがこのような構造を有することにより、その過酸化物分解能をより充分に発揮しながら、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩の分解生成物であるニトロソベンゼンと反応しにくいことから、ニトロソベンゼンによる反応系気相部における重合防止効果もより充分に発揮させることが可能となる。
【0021】
上記一般式(3)におけるR、Rは、水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を表すが、中でも、水素原子、メチル基、tert−ブチル基であることが好ましい。また、上記一般式(3)におけるRは、炭素数1〜18の炭化水素基を表すが、中でも、炭素数8〜18の炭化水素基が好ましい。
上記炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基、環状アルケニル基、直鎖状又は分岐鎖状アルキニル基、環状アルキニル基等が挙げられるが、これらの中でも、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が好ましい。
【0022】
上記一般式(3)におけるXは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表すが、中でも、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、特に好ましくは、水素原子である。
なお、mが0又は1の場合には、リン原子に酸素原子を介して結合するベンゼン環を含む複数の基は、Xを介して互いに連結していてもよい。すなわち、リン原子に酸素原子を介して結合するベンゼン環を含む1つの基におけるベンゼン環が、リン原子に酸素原子を介して結合するベンゼン環を含む他の基におけるベンゼン環とXを介して結合している形態であってもよい。このように、リン原子に酸素原子を介して結合するベンゼン環を含む複数の基がXを介して互いに連結する場合には、Xは炭素数1〜3のアルキレン基を表すものである。上記ベンゼン環を含む複数の基がXを介して互いに連結している場合のXとしては、中でも、メチレン基であることが好ましい。
【0023】
上記亜リン酸エステルとしては、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、サイクリックネオペンタテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリオレイルホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイトが好ましく、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトがより好ましい。特に好ましくは、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトである。
【0024】
上記チオエーテルとしては、具体的には、3,3´−チオジプロピオン酸ジラウリル、3,3´−チオジプロピオン酸ジステアリル、3,3´−チオジプロピオン酸ジドデシル、3,3´−チオジプロピオン酸ジオクタデシル、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ラウリルチオプロピオン酸)が挙げられる。これらの中でも、3,3´−チオジプロピオン酸ジラウリル、3,3´−チオジプロピオン酸ジステアリル、3,3´−チオジプロピオン酸ジドデシル、3,3´−チオジプロピオン酸ジオクタデシルが好ましく、3,3´−チオジプロピオン酸ジラウリル、3,3´−チオジプロピオン酸ジステアリルがより好ましい。特に好ましくは、3,3´−チオジプロピオン酸ジラウリルである。
【0025】
上記一次酸化防止剤としては、エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを合成する本発明の反応工程において反応系液相部に生成してくるパーオキシラジカルを捕捉、分解してパーオキシラジカルの関わるラジカル重合反応を抑制することができるものであれば特に制限されず、例えば、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤;アルキル化ジフェニルアミン、N,N´−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等の芳香族アミン系酸化防止剤;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の環状アミン系酸化防止剤;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系酸化防止剤;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルのエステル等のN−オキシル系酸化防止剤;等が挙げられる。一次酸化防止剤としてはこれらの中でも、フェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤が好ましい。このように、一次酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤及び/又は芳香族アミン系酸化防止剤である形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一次酸化防止剤としてより好ましくは、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、フェノチアジンであり、更に好ましくは、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、フェノチアジンである。特に好ましくは、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、フェノチアジンである。
【0026】
本発明の反応工程における、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩の使用量は、反応原料である水酸基含有エーテル化合物の質量を100質量%とした時、これに対して0.0002〜5質量%であることが好ましい。N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩の使用量としてはこのような範囲であることが、収率の点、反応系気相部における重合抑制の点及び経済性の点で好ましい。より好ましくは、0.001〜1質量%であり、更に好ましくは、0.002〜0.5質量%であり、特に好ましくは、0.01〜0.2質量%である。
【0027】
本発明の反応工程における、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテルの使用量は、反応原料である水酸基含有エーテル化合物の質量を100質量%とした時、これに対して0.0002〜5質量%であることが好ましい。亜リン酸エステル及び/又はチオエーテルの使用量としてはこのような範囲であることが、収率の点、反応系液相部における重合抑制の点及び経済性の点で好ましい。より好ましくは、0.001〜3質量%であり、更に好ましくは、0.005〜1質量%であり、特に好ましくは、0.01〜0.5質量%である。
【0028】
本発明の反応工程における、一次酸化防止剤の使用量は、反応原料である水酸基含有エーテル化合物の質量を100質量%とした時、これに対して0.0002〜5質量%であることが好ましい。一次酸化防止剤の使用量としてはこのような範囲であることが、収率の点、反応系液相部における重合抑制の点及び経済性の点で好ましい。より好ましくは、0.001〜3質量%であり、更に好ましくは、0.005〜1質量%であり、特に好ましくは、0.01〜0.5質量%である。
【0029】
本発明において反応原料として用いられる(メタ)アクリル酸エステルは、水酸基含有エーテル化合物と反応して、エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを製造することができれば特に制限されないが、下記一般式(4);
【0030】
【化4】

【0031】
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、有機残基を表す。)で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(4)におけるRで表される有機残基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数1〜8の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基、炭素数6〜10の置換されていてもよい芳香族基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0032】
上記一般式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル等の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。
【0033】
本発明において反応原料として用いられる水酸基含有エーテル化合物としては、水酸基を含有し、(メタ)アクリル酸エステルと反応して、エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを製造することができれば特に制限されず、例えば、分子末端にアルコキシ基を有する水酸基含有エーテル化合物、下記一般式(5);
【0034】
【化5】

【0035】
(式中、Rは、有機残基を表す。)で表される水酸基含有ビニルエーテル化合物、第15族元素を分子内に有する水酸基含有エーテル化合物、第16族元素を分子内に有する水酸基含有エーテル化合物、第17族元素を分子内に有する水酸基含有エーテル化合物などが挙げられる。これらの中でも、上記水酸基含有エーテル化合物が、一般式(5)で表される水酸基含有ビニルエーテル化合物である形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
【0036】
上記分子末端にアルコキシ基を有する水酸基含有エーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノメチルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノメチルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノメチルエーテル、p−キシレングリコールモノメチルエーテル、m−キシレングリコールモノメチルエーテル、o−キシレングリコールモノメチルエーテル、グリシドール、オキセタニルメタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロピラニルアルコール、2−(2−クロロエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール等の単官能水酸基含有エーテル化合物;エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパン、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトール、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトール、エチレンオキサイド変性グリセリン、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA、エチレンオキサイド変性ビスフェノールF、エチレンオキサイド変性ビスフェノールS、エチレンオキサイド変性単糖類、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトール、プロピレンオキサイド変性ジペンタエリスリトール、プロピレンオキサイド変性グリセリン、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールF、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールS、プロピレンオキサイド変性単糖類等の多官能水酸基含有エーテル化合物などが挙げられる。
【0037】
上記一般式(5)で表される水酸基含有ビニルエーテル化合物において、上記一般式(5)におけるRで表される有機残基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数2〜20の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合により酸素原子を有する炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜6のアルキレン基、構造中にエーテル結合により酸素原子を有する炭素数4〜10のアルキレン基が好ましい。
【0038】
上記一般式(5)で表される水酸基含有ビニルエーテル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、p−キシレングリコールモノビニルエーテル、m−キシレングリコールモノビニルエーテル、o−キシレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体モノビニルエーテルなどが挙げられる。
【0039】
上記水酸基含有エーテル化合物としては、これらの中でも、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパン、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテルが好ましい。より好ましくは、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパン、ジエチレングリコールモノビニルエーテルであり、更に好ましくは、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパン、ジエチレングリコールモノビニルエーテルである。
【0040】
本発明の反応工程における、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物との配合割合は、(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基含有エーテル化合物の種類の組み合わせにより適宜設定することができるが、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とのモル比が、20/1〜1/5であることが好ましい。このような範囲の配合割合が、収率の点及び経済性の点で好ましい。より好ましくは、15/1〜1/3であり、更に好ましくは、10/1〜1/2である。特に好ましくは、5/1〜1/1である。このモル比は、逐次投入等を含めた原料全量における比率を表す。
【0041】
上記反応工程における反応は、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とのエステル交換反応であるが、該エステル交換反応はエステル交換触媒の存在下に行われることが好ましい。
上記エステル交換触媒としては、特に限定されないが、例えば、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の酸化物;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化タリウム、水酸化スズ、水酸化鉛、水酸化ニッケル等の水酸化物;塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化スズ、塩化鉛、塩化ジルコニウム、塩化ニッケル等のハロゲン化物;炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸鉛、炭酸亜鉛、炭酸ニッケル等の炭酸塩;炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム等の炭酸水素塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ルビジウム、リン酸鉛、リン酸亜鉛、リン酸ニッケル等のリン酸塩;硝酸リチウム、硝酸カルシウム、硝酸鉛、硝酸亜鉛、硝酸ニッケル等の硝酸塩;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、酢酸鉛、酢酸亜鉛、酢酸ニッケル等のカルボン酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、カルシウムメトキシド、カルシウムエトキシド、バリウムメトキシド、バリウムエトキシド、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ(2−エチルヘキサノキシ)チタン等のアルコキシ化合物;リチウムアセチルアセトナート、ジルコニアアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、ジブトキシスズアセチルアセトナート、ジブトキシチタンアセチルアセトナート等のアセチルアセトナート錯体;テトラメチルアンモニウムメトキシド、テトラメチルアンモニウムt−ブトキシド、トリメチルベンジルアンモニウムエトキシド等の4級アンモニウムアルコキシド;ジメチルスズオキサイド、メチルブチルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等のジアルキルスズ化合物;ビス(ジブチルスズアセテート)オキサイド、ビス(ジブチルスズラウレート)オキサイド等のジスタノキサン;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート等のジアルキルスズジカルボン酸塩が挙げられる。これらは、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0042】
これらのエステル交換触媒の中でも、炭酸カリウム、炭酸セシウム、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ(2−エチルヘキサノキシ)チタン、ジルコニアアセチルアセトナート、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ビス(ジブチルスズアセテート)オキサイド、ビス(ジブチルスズラウレート)オキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートを用いることが好ましい。より好ましくは、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレートである。
【0043】
上記エステル交換触媒の使用量は、特に限定されず適宜設定することができるが、例えば、水酸基含有エーテル化合物100モル%に対して、0.0001〜20モル%の範囲であることが好ましい。エステル交換触媒の使用量がこのような範囲であることが、収率の点及び経済性の点で好ましい。より好ましくは、0.0003〜15モル%であり、更に好ましくは、0.0005〜10モル%であり、特に好ましくは、0.001〜5モル%である。
【0044】
上記反応工程は、反応系気相部の分子状酸素濃度が0.001〜21容量%の雰囲気中で行うことが好ましい。反応系気相部の分子状酸素濃度をこのような範囲とすることにより、上記反応工程中の重合反応を更に効果的に防止することができ、目的生成物であるエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを高収率で製造することができる。反応系気相部の分子状酸素濃度としてより好ましくは、0.005〜15容量%であり、更に好ましくは、0.01〜10容量%である。
【0045】
上記反応系気相部の分子状酸素濃度を上述した好ましい範囲に調整する方法としては、(a)分子状酸素又は空気等の分子状酸素を含むガスを反応中(蒸気が存在する)反応容器に供給し、反応系気相部の分子状酸素濃度を調整する方法、(b)分子状酸素又は空気等の分子状酸素を含むガスと窒素、アルゴン等の不活性ガスとをそれぞれ反応中(蒸気が存在する)反応容器に供給し、反応系気相部の分子状酸素濃度を調整する方法、(c)分子状酸素又は空気等の分子状酸素を含むガスと窒素、アルゴン等の不活性ガスとを予め混合し、反応中(蒸気が存在する)反応容器に供給し、反応系気相部の分子状酸素濃度を調整する方法等が挙げられる。
また、反応系に分子状酸素及び/又は分子状酸素を含む混合ガスを供給する方法としては、反応系内の液相部又は気相部の一方又は両方に、連続的又は間欠的に供給すればよい。
【0046】
また、本発明の反応工程における反応は、エステル交換反応であることから、反応の進行によりアルコールが副生することとなるが、当該副生アルコールは、反応系外へ除去することが好ましい。
上記副生アルコールの除去方法としては、例えば、減圧下で反応を行う方法、共沸溶媒を用いて反応を行う方法、吸着剤の存在下で反応を行う方法等が挙げられる。これらの中でも、減圧下で反応を行う方法、共沸溶媒を用いて反応を行う方法が好ましい。
【0047】
上記共沸溶媒としては、エステル交換反応を阻害しないものであれば特に制限されず、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;等を挙げることができる。これらの共沸溶媒は、単独でも2種類以上を併用して用いてもよい。また、過剰に用いた(メタ)アクリル酸エステルを共沸溶媒とすることもできる。
【0048】
上記共沸溶媒の使用量としては、特に制限されないが、例えば、反応原料である水酸基含有エーテル化合物の質量の0〜300質量%とすることが好ましい。共沸溶媒の使用量がこのような範囲であることが、収率の点及び経済性の点で好ましい。より好ましくは、1〜200質量%であり、更に好ましくは、2〜150質量%であり、特に好ましくは、3〜100質量%である。
【0049】
上記反応工程における反応温度は、特に限定されないが、副生するアルコールの沸点又は共沸温度以上であることが好ましく、具体的には、40℃以上とすることが好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。また、180℃以下とすることが好ましく、170℃がより好ましく、160℃以下が更に好ましい。反応圧力は、特に限定されず、常圧、加圧、減圧のいずれであってもよい。また、反応時間は、上記反応工程における反応が完結するように、適宜設定すればよい。
【0050】
本発明の製造方法においては、上記反応工程後、合成されたエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応溶液から精製し分離することができる。
上記精製工程を行う方法としては、特に限定されないが、例えば、原料回収操作、触媒回収操作、中和操作、ろ過操作、デカンテーション操作、抽出操作、水洗操作、蒸発操作、蒸留操作、カラムクロマトグラフ操作等による方法が挙げられる。上記各操作は単独でも、あるいは2種類以上を適宜組み合わせて実施することもできる。これらの中でも、蒸留操作による精製が特に好ましい。
【0051】
本発明の製造方法においては、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とを含む反応原料が反応することでエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが製造されることになるが、そのようなエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とがエステル交換反応することによって合成される化合物である。したがって、エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、上述した(メタ)アクリル酸エステルと上述した水酸基含有エーテル化合物とから選択された化合物がエステル交換反応することによって合成される化合物となる。
特に、(メタ)アクリル酸エステルが一般式(4)で表される化合物であり、水酸基含有エーテル化合物が一般式(5)で表される水酸基含有ビニルエーテル化合物である場合には、得られるエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、下記一般式(2);
【0052】
【化6】

【0053】
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、有機残基を表す。)と表されることとなる。このように、エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが、一般式(2)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステルである形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
なお、一般式(2)におけるRは、一般式(4)におけるRと同様であり、一般式(2)におけるRは、一般式(5)におけるRと同様である。
【0054】
上記一般式(2)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロポキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロポキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロポキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
【発明の効果】
【0055】
本発明のエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、上述の構成よりなり、(メタ)アクリロイル基の重合と、エーテル基に由来する過酸化物の生成とを共に充分に抑制することができるために、エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法として好適に用いることができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0057】
(実施例1)
オルダーショウ型精留塔、攪拌装置、温度計、ガス導入管および液逐次投入ラインを備えたガラス製2L丸底フラスコ(反応器)に、ジエチレングリコールモノビニルエーテル(以下、「DEGV」とも記す。)を453g、アクリル酸メチル(以下、「AM」とも記す。)を620g、一次酸化防止剤としてフェノチアジン(以下、「PTz」とも記す。)を1.1g、二次酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(以下、「DBPP」とも記す。)を1.1g、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩(以下、「NPHN」とも記す。)を0.32g、触媒としてジブチル錫オキサイド(以下、「DBTO」とも記す。)を2.1g仕込み、ガス導入管より7%酸素/窒素バランス組成のガスを15mL/minにて液相バブリングしながら120℃のオイルバスに反応器を浸漬し、全還流の状態にて昇温を開始した。
反応の進行に伴い副生成物であるメタノールが塔頂部に濃縮していき、塔頂部温度がアクリル酸メチルとメタノールの共沸点である63℃に到達した後、還流比8にて、50g/hの抜出速度で留出を開始した。留出速度と等速にて、アクリル酸メチルを液逐次投入ラインからフィードした。留出開始時を反応0時間(反応開始時)と規定し、8時間反応を行った。尚、(メタ)アクリル酸エステルによるタワー内部の重合防止のため、塔頂部より1質量%PTzのAM溶液を5g/hの速度で投入した。
反応終了後、反応器の気相部にポリマーは全く視認されなかった。反応液中のポリマー生成を確認するため、以下に示すポリマー分析法にて反応液中のポリマー濃度を測定した。
【0058】
(ポリマー分析)
ポリマー分析は、示差屈折検出器付き高速ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー社製、製品名「HLC−8320GPC」)およびデータ取込・解析用PC、データ取込・解析用ソフトウェア(東ソー社製、商品名「EcoSEC−WS」)を用いて行った。ゲルパーミエーションクロマトグラフに関する詳細設定は以下の通りである。
カラム:TSKgel SuperH2000×2本(東ソー社製、6.0mmID×15cm)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社製、試薬特級、安定剤含有)
溶離液流速:0.6mL/min(ポンプ吐出側圧力:7.0MPa)
分析サンプル:反応液1重量部に対し、溶離液であるテトラヒドロフランを約1000重量部加えて希釈した後、PTFE製メンブレンフィルター(ADVANTEC社製、商品名「13HP045CN」)を用いてろ過し、ろ液を10μL打込んだ。
【0059】
(ポリマー濃度)
ポリマー濃度は、上記示差屈折検出器により検出された正ピーク全面積のうち、ポリスチレン換算での質量数が1000Da以上であるピーク面積の百分率として算出した。
【0060】
また、反応液中のポリマー生成の有無の判断を簡易的に行う方法として、反応液1容積部に対してポリマーの貧溶媒であるn−ヘキサンを約1容積部加えたところ、濁りは全く視認されなかった。以降、反応液にn−ヘキサンを加えるポリマー確認試験を「n−ヘキサンテスト」とも記す。反応に用いた化合物の種類、気相部におけるポリマーの発生状況、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリマー濃度(液相ポリマー濃度)、及び、n−ヘキサンテストの結果を表1に示す。
【0061】
また、表1には上記反応にて得られた生成物の収率を示した。生成物の分析法および収率の算出方法に関しては以下の通りである。
(生成物の分析)
生成物の分析は、水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(島津製作所社製、製品名「GC−2014」)およびデータ取込・解析用PC、データ取込・解析用ソフトウェア(島津製作所社製、商品名「GCsolution」)を用いて行った。ガスクロマトグラフに関する詳細設定は以下の通りである。
カラム:DB−1(商品名、Agilent J&W社製、内径:0.53mm、膜厚:1.50μm、長さ:30m)
気化室温度:250℃
検出器温度:280℃
スプリット比:10
カラム温度設定:初期40℃にて5分保持、5℃/minにて200℃まで昇温、200℃到達後10℃/minにて280℃まで昇温、280℃到達後5分保持
ガス圧力:水素 50kPa、air 65kPa、ヘリウム(キャリア) 26kPa
全流量:60mL/min
分析サンプル:反応液10重量部に内部標準物質としてアニソールを1重量部、希釈剤としてアセトンを100重量部加えよく混合し、うち0.2μLをマイクロシリンジでガスクロマトグラフに打込んだ。
【0062】
(収率の算出)
収率の算出は、上記ガスクロマトグラフィーにより得られたクロマトグラムから、内部標準法にて原料アルコール、原料エステル、生成物および副生成物を定量し、このうち仕込原料アルコールに対する生成物のモル比率を収率とした。
【0063】
(実施例2〜32)
反応に用いる化合物の種類、および使用量を表1〜4に記載の内容に変更した以外は、実施例1と同様にして、反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様に、気相部におけるポリマーの発生状況の視認、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリマー濃度測定、n−ヘキサンテスト、および収率測定を行った。反応に用いた化合物の種類および使用量、気相部におけるポリマーの発生状況、液相ポリマー濃度、n−ヘキサンテスト、及び収率の結果を表1〜4に示す。
なお、原料エステルとしてメタクリル酸メチル(以下、「MMA」とも記す。)を用いた場合は、留出開始時の塔頂温度を64℃とし、オイルバス温度は135℃とした。
【0064】
(比較例1〜4)
反応に用いる化合物の種類、および使用量を表5に記載の内容に変更した以外は、実施例1と同様にして、反応を行った。
反応終了後、実施例1と同様に、気相部におけるポリマーの発生状況の視認、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリマー濃度測定、n−ヘキサンテスト、および収率測定を行った。反応に用いた化合物の種類および使用量、気相部におけるポリマーの発生状況、液相ポリマー濃度、n−ヘキサンテスト、及び収率の結果を表5に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
表1〜5中の略号は以下の通りである。
DEGV:ジエチレングリコールモノビニルエーテル
TMP5EO:エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパン(EO平均5モル付加物)
DEGM:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
AM:アクリル酸メチル
MMA:メタクリル酸メチル
PTz:フェノチアジン
MEHQ:ハイドロキノンモノメチルエーテル
BHT:3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン
TPB:1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン
DBPP:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
TPP:トリフェニルホスファイト
BPOP:2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト
TDPL:3,3´−チオジプロピオン酸ジラウリル
Ph3P:トリフェニルホスフィン
NPHN:N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩
NPHA:N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
DBTO:ジブチル錫オキサイド
DBTL:ジブチル錫ジラウレート
合計量:原料エステルの、仕込量と液逐次投入ラインからフィードされた量との合計量
気相部ポリマー:気相部におけるポリマーの発生状況
気相部ポリマー欄には、精留塔塔頂部から留出が開始した時間を0時間(基準)とした場合に、反応器の気相部(フラスコ壁面、攪拌軸、ガス導入管等)にポリマーが視認されるまでの経過時間を示す。「なし」とは、反応終了後においても、反応器の気相部にポリマーが全く視認されなかったことを表している。また、「2時間後」、「4時間後」とは、留出が開始した時間(反応開始時間)からそれぞれ「2時間後」、「4時間後」に反応器の気相部にポリマーが視認されたことを表している。
なお、反応器の気相部にポリマーが視認された場合には、その時点で反応を停止した。
【0071】
実施例及び比較例の結果から、以下のことがわかった。
(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とを含む反応原料からエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを製造する際、当該反応を、一般式(1)で表されるN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤の存在下に行うことによって、(メタ)アクリロイル基の重合と、エーテル基に由来する過酸化物の生成とを共に充分に抑制できることが実証された。
これに対して、一次酸化防止剤を用いずに、一般式(1)で表されるN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、並びに、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテルの存在下に反応を行った場合、又は、二次酸化防止剤を用いずに、一般式(1)で表されるN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、及び、一次酸化防止剤の存在下に反応を行った場合には、n−ヘキサンテストにより白濁が観察され、液相での重合が確認された(比較例1〜2)。
また、一般式(1)で表されるN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩を用いずに、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤の存在下に反応を行った場合には、反応開始から4時間以内に気相部にポリマーの発生が確認され(比較例3)、一般式(1)で表されるN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、二次酸化防止剤、及び、一次酸化防止剤の存在下に反応を行うが、二次酸化防止剤として亜リン酸エステル及び/又はチオエーテルではないものを用いた場合には、反応終了までに気相部でのポリマーの発生を抑制することが出来なかった(比較例4)。
なお、上記実施例においては、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有エーテル化合物、一般式(1)で表されるN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤として特定の構造を有するものが用いられているが、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とを含む反応原料からエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを製造する際に、一般式(1)で表されるN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤の存在下に反応を行うことで、(メタ)アクリロイル基の重合と、エーテル基に由来する過酸化物の生成とを共に抑制する機構は、一般式(1)で表されるN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤を用いた場合には、全て同様である。
従って、上記実施例、比較例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができると言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有エーテル化合物とを含む反応原料からエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法であって、
該製造方法は、該反応原料を、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩、亜リン酸エステル及び/又はチオエーテル、並びに、一次酸化防止剤の存在下に反応させる工程を含み、
該N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩は、下記一般式(1);
【化1】

(式中、Mは、金属原子又はアンモニウム基を表す。nは、Mの価数と等しい正数を表す。Mと酸素原子とを繋ぐ点線は、Mが酸素原子に配位していることを表す。)で表されることを特徴とするエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項2】
前記亜リン酸エステル及び/又はチオエーテルは、亜リン酸エステルであることを特徴とする請求項1に記載のエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項3】
前記一次酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤及び/又は芳香族アミン系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項4】
前記エーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、下記一般式(2);
【化2】

(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、有機残基を表す。)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。

【公開番号】特開2012−197236(P2012−197236A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61359(P2011−61359)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】