説明

オイルフィラーキャップ

【課題】キャップ本体とは別体とされた油種の表示部材が意図せず外れることを好適に防止することのできるオイルフィラーキャップを提供する。
【解決手段】使用可能な油種の情報が表示された、略コの字型に形成されたプレート2の両端をそれぞれ内側に折り曲げた形状とすることで、キャップ本体1の側周に形成された2つの溝部7にそれぞれ係合される2つの爪部9を設けるとともに、爪部9の形成のためのプレート2の折り曲げ部11の外側形状を、曲率を有したR形状とすることで、引っ掛りを防止して、プレート2を外れ難くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンオイルの注入口を塞ぐオイルフィラーキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のオイルフィラーキャップとしては、従来、様々な形状のものが提案され、例えば特許文献1には、注入口を塞ぐためのキャップ機能を有するキャップ本体の上面に、エンジンオイルやオイルフィルターの交換時期等を記録するための表示具を固定したものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登3062795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、使用可能な油種をオイルフィラーキャップに表示しておけば、オイル交換に際して使用可能な油種を直ちに知ることができる。ただし、オイルフィラーキャップの本体に、使用可能な油種の情報を刻印等により記載するとすれば、油種の分だけオイルフィラーキャップの種類が増加してしまう。そこで、油種の表示部材をオイルフィラーキャップの本体とは別体とすることが考えられる。
【0005】
この場合、油種の表示部材が市場においてキャップ本体から外れてはいけないものの、別体形成されている以上は、エンドユーザーがオイルフィラーキャップの取り付けや取り外しを行う際に、表示部品を引っ掛ける等して意図せず外れてしまう懸念がある。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、キャップ本体とは別体とされた油種の表示部材が意図せず外れることを好適に防止することのできるオイルフィラーキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
油種の表示部材をキャップ本体と別体とする手法として、キャップ本体に固定されるプレートを油種の表示部材とすることを考える。そして、そのプレートの両端をそれぞれ内側に折り曲げられた形状として2つの爪部を形成し、それら爪部をキャップ本体の側周に形成された2つの溝部にそれぞれ係合することで、プレートをキャップ本体に固定するようにする。この場合に、爪部形成のためのプレートの折り曲げ部の外側にエッジが形成されていると、エンドユーザーがオイルフィラーキャップの取り付けや取り外しを行う際に、そのエッジ部分が引っ掛り、意図せずプレートが外れてしまうことがある。
【0008】
その点、エンジンオイルの注入口を塞ぐオイルフィラーキャップとしての請求項1に記載の発明は、注入口を塞ぐためのキャップ機能を有するキャップ本体と、そのキャップ本体の側周に形成された2つの溝部と、使用可能な油種の情報が表示された、略コの字型に形成されたプレートと、そのプレートの両端をそれぞれ内側に折り曲げた形状とすることで形成されて、2つの溝部にそれぞれ係合される2つの爪部と、を備えるとともに、爪部の形成のためのプレートの折り曲げ部の外側形状を、曲率を有したR形状とするようにしている。
【0009】
こうした構成では、爪部の形成のためのプレートの折り曲げ部の外側形状がR形状であるため、引っ掛り難くなっており、プレートが意図せず外れてしまうことを防止できる。したがって、上記構成によれば、キャップ本体とは別体とされた油種の表示部材であるプレートが意図せず外れることを好適に防止することができる。
【0010】
なお、請求項2によるように、爪部の係合された溝部に、プレートをキャップ本体から取り外すための工具を挿入するための隙間を形成するようにすれば、必要に応じてプレートを取り外すことが可能となる。
【0011】
また、請求項3によるように、プレートの全体を、キャップ本体に形成された凹部内に埋設するようにすれば、プレートが更に引っ掛り難くなり、その意図しない外れがより一層防止される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のオイルフィラーキャップの一実施の形態についてその斜視構造を示す斜視図。
【図2】同実施の形態のオイルフィラーキャップのキャップ本体の斜視構造を示す斜視図。
【図3】同実施の形態のオイルフィラーキャップのプレートの斜視構造を示す斜視図。
【図4】同実施の形態のオイルフィラーキャップの側部断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のオイルフィラーキャップを具体化した一実施の形態を、図1〜図4を参照して詳細に説明する。
ここではまず、図1〜図4を参照して、本実施の形態のオイルフィラーキャップの構成を説明する。
【0014】
図1に示す本実施の形態のオイルフィラーキャップは、車両のエンジンルームに設けられたエンジンオイル注入口を塞ぐキャップとして機能するキャップ本体1と、注入すべき油種の表示機能を有するプレート2との2つのパーツによって形成されている。なお、以下の説明では、オイル注入口に挿入される側をオイルフィラーキャップの下方とし、その反対側をオイルフィラーキャップの上方と記載する。
【0015】
図2に示すように、キャップ本体1の先端には、オイル注入口に嵌入される、略円管形状の嵌入部3が設けられている。嵌入部3の上方には、外縁が下方に湾曲した略円盤形状に形成されて、注入口を塞ぐキャップ部4が設けられる。そしてキャップ部4の上方には、オイルフィラーキャップの取り付け、取り外しに際しての摘みとなる、略直方体形状の摘み部5が設けられている。
【0016】
摘み部5の上面及び前後面には、上記プレート2が配設される凹部6が形成されている。また凹部6の両端におけるキャップ本体1の側周には、略直方体形状の溝部7が形成されている。更に摘み部5の両側には、凹凸形状の滑り止め8が形成されている。
【0017】
図3に示すように、プレート2は、略コの字型に形成されており、その上面には、油種を示す刻印10が刻み込まれている。またプレート2には、その両端を内側に折り曲げた形状とすることで、内側に突出する爪部9が形成されている。こうした爪部9の形成のためのプレート2の折り曲げ部11の外側形状は、曲率を有したR形状とされている。
【0018】
図4に示すように、こうしたプレート2は、その爪部9をキャップ本体1の溝部7に係合することで、キャップ本体1に取り付けられる。なお、同図に示すように、キャップ本体1に取り付けられたプレート2は、その全体がキャップ本体1の凹部6に埋設される。また同図に示すように、キャップ本体1の溝部7の幅は、プレート2の爪部9の厚さよりも大きくされており、爪部9の係合された溝部7には、一定幅の隙間12が形成されている。
【0019】
次に、本実施の形態のオイルフィラーキャップの作用を説明する。
以上のように構成されたオイルフィラーキャップでは、爪部9の形成のためのプレート2の折り曲げ部11の外側形状がR形状であるため、引っ掛り難くなっている。また、プレート2の全体が、キャップ本体1に形成された凹部6内に埋設されているため、プレート2の他の部位でも、引っ掛りが生じ難くなっている。
【0020】
また、本実施の形態のオイルフィラーキャップでは、プレート2の取り替えが必要となったときには、プレート2の爪部9の係合された溝部7に形成された隙間12に、マイナスドライバーなどの工具を挿入して抉ることで、キャップ本体1からのプレート2の取り外しが行われる。
【0021】
以上の本実施の形態のオイルフィラーキャップによれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施の形態では、キャップ本体1の溝部7に係合される、爪部9を形成するためのプレート2の折り曲げ部11の外側形状が、曲率を有したR形状とされている。そのため、折り曲げ部11は、引っ掛り難くなっており、プレート2が意図せず外れてしまうことを防止できる。したがって、本実施の形態によれば、キャップ本体1とは別体とされた油種の表示部材であるプレート2が意図せず外れることを好適に防止することができる。
【0022】
(2)本実施の形態では、爪部9の係合された溝部7に、プレート2をキャップ本体1から取り外すための工具を挿入するための隙間12が形成されている。そのため、必要に応じたプレート2の取り外しを行うことが可能となる。
【0023】
(3)本実施の形態では、プレート2の全体が、キャップ本体1に形成された凹部6内に埋設されている。そのため、折り曲げ部11以外の部位でも、プレート2が引っ掛り難くすることができる。
【0024】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、刻印10により油種の印字を行うようにしていたが、タンポ印刷等、他の印字方法により油種表示のための印字を行うこともできる。
【0025】
・上記実施の形態では、キャップ本体1に摘み部5を形成するようにしていたが、摘み部5を割愛しても、キャップ部4の外周に滑り止め用の凹凸を設けることなどにより、オイルフィラーキャップの取り付け、取り外しを行えるようにすることが可能である。
【0026】
・上記実施の形態では、爪部9の係合された溝部7に、プレート2をキャップ本体1から取り外すための工具を挿入するための隙間12を形成するようにしていたが、一旦、取り付けた後にプレート2を取り外す必要がない場合などには、そうした隙間12を省略するようにしても良い。
【0027】
・上記実施の形態では、キャップ本体1に形成された凹部6内にプレート2の全体を埋設するようにしていた。もっとも、プレート2が十分に薄く、引っ掛る虞がない場合や、プレート2のエッジ部分が面取り加工されていて、引っ掛り難くされている場合には、プレート2全体を凹部6に埋設せずとも、プレート2が意図せず外れることがないようにすることができる。
【符号の説明】
【0028】
1…キャップ本体、2…プレート、3…嵌入部、4…キャップ部、5…摘み部、6…凹部、7…溝部、8…滑り止め、9…爪部、10…刻印、11…折り曲げ部、12…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンオイルの注入口を塞ぐオイルフィラーキャップであって、
前記注入口を塞ぐためのキャップ機能を有するキャップ本体と、
そのキャップ本体の側周に形成された2つの溝部と、
使用可能な油種の情報が表示されたプレートと、
前記プレートの両端をそれぞれ内側に折り曲げた形状とすることで形成されて、前記2つの溝部にそれぞれ係合される2つの爪部と、
を備えるとともに、前記爪部の形成のための前記プレートの折り曲げ部の外側形状を、曲率を有したR形状とした
ことを特徴とするオイルフィラーキャップ。
【請求項2】
前記爪部の係合された前記溝部に、前記プレートを前記キャップ本体から取り外すための工具を挿入するための隙間を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載のオイルフィラーキャップ。
【請求項3】
前記プレートは、前記キャップ本体に形成された凹部内にその全体が埋設されてなる
請求項1又は2に記載のオイルフィラーキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−202300(P2012−202300A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67917(P2011−67917)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】