説明

オイルフィルター

【課題】接着剤を使用せず、フィルターの形状を維持し、ろ過面積の減少を防止することができ、かつフィルターの各部品を自在に組立、分解することができる上で、洗浄して再利用ができ、使い捨てないから、環境保護、省エネに役に立つオイルフィルターを提供する。
【解決手段】 オイルフィルター100は、端面部材10、20と、円筒状支持部材30と、フィルター本体40と、連結固定部材としての3本の長ネジ50から構成されている。フィルター本体40は、フィルター本体は、3層のステンレス製濾材を断面鋸歯状の略波形状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成し、中層(第2層)のステンレス製濾材の網目を、両側(第1層、第3層)のステンレス製濾材の網目より細かくする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の内燃機関において循環供給されるオイルをろ過するオイルフィルターに関し、特に、リプレイスタイプ(中身のフィルターだけ交換)のオイルフィルターに用いられる紙フィルターの代わりにフィルターに目詰まりした不純物を除去し清掃することにより反復して再使用可能にしたオイルフィルターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の内燃機関において循環供給されるオイルをろ過するオイルフィルターは、カートリッジタイプ(外側のケースごと交換)のオイルフィルターとリプレイスタイプ(中身のフィルターだけ交換)のオイルフィルターがある。リプレスタイプのオイルフィルターは、紙製フィルターを用いており、使用済みの紙製フィルターを交換することで、再使用できる。
【0003】
従来、リプレースタイプオイルフィルターに用いられる紙フィルター1は、図11に示すように、ろ紙2と、端面板3とからなり、ろ紙2と端面板3は接着剤にて接着されている。
【0004】
また、中央部に円筒状保形部材と紙フィルターの両端に円板状密閉蓋を備える紙製オイルフィルターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1において、紙製オイルフィルターは、カートリッジ式オイルフィルター用であり、側面に多数の貫通孔を有する円筒状保形部材と、該保形部材を内部に設置した連続して折り曲げた周側面を有する略円筒形状の紙フィルターと、該円筒状紙フィルターの一方の端面に固着した円板状密閉蓋と、他方の端面に固着した、該保形部材の内部に連通する開口を有する円環状密閉蓋からなり、円筒状保形部材、円板状密閉蓋及び円環状密閉蓋はいずれも紙製であり、円筒状保形部材を紙フィルターの内径側に配置し、該紙フィルターの両端縁の全周をそれぞれ円板状密閉蓋の内側面と円環状密閉蓋の内側面に接着剤にて固着してオイルフィルター本体を得た。
【0006】
これにより、自動車用等に用いられるオイルフィルターの本体部分が全て紙製であるので部品の軽量化と廃棄し易さが実現することができる。
【0007】
【特許文献1】特開平9−308805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した従来の紙製オイルフィルターは、部品の軽量化ができたが、オイルフィルターを構成する各部品が接着剤で接着されているため、廃棄する時に燃やすと、排出する化学物質で、大気を汚染する恐れがある。しかも埋め立てる場合は、化学物質の接着剤がたっぷり付いているため、分解されないまま自然界に残る。即ち、従来の紙製フィルターは、使用後そのまま廃棄することができないという問題点があった。
【0009】
また、従来の紙製フィルターは、ろ紙のみで構成されているので、高い温度のエンジンオイルを長時間で高い圧力に晒され、オイルをろ過する状況下では、ろ紙自体の強度が弱くなり、フィルターが変形するという問題点があった。
【0010】
また、従来の紙製フィルターは、実際に折り山がしっかりと山の形ではなく、“I”字形になっている(図7参照)ので、オイルの通過を妨げ、実際のろ過面積は谷側(付け根)だけになってしまうという問題点があった。
【0011】
また、接着剤が大量に使用されているため、接着剤がろ紙2のろ過部に垂れるため、ろ過にも影響があるという問題点があった。
【0012】
なお、ろ紙の表面(裏面も)が毛羽立っているので、表の毛羽立ちが剥がれた場合はそのまま目詰まりの原因となり、裏面の毛羽立ちが剥がれた場合は、そのままろ過せずにエンジンに入る恐れがある。
【0013】
そこで、本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、接着剤を使用せず、フィルターの形状を維持し、ろ過面積の減少を防止することができ、かつフィルターの各部品を自在に組立、分解することができ、洗浄して再利用ができ、使い捨てないから、環境保護、省エネに役に立つオイルフィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るオイルフィルターは、濾材をジグザグ状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成したフィルター本体と、前記フィルター本体の内側を支持するようにフィルター本体の内部に配置され、側面に多数の貫通孔を有する円筒状支持部材と、中央部に開孔されると共に、片面にフィルター本体の端部を嵌入する凹部を有する一対の端面部材と、円筒状支持部材をフィルター本体の内部に配置された状態で、前記フィルター本体の両端に装着された前記一対の端面部材を連結し固定する連結固定部材とを備え、円筒状支持部材と、端面部材と、連結固定部材とが金属製で、各々取付取外自在に組立分解可能に設けられることを特徴とするものである。
【0015】
例えば、前記連結固定部材は、前記フィルター本体の長さに対応する複数の長ネジであり、前記一対の端面部材は、片方に前記長ネジを挿通する複数の穴が設けられ、もう片方に前記長ネジを螺入する複数のネジ穴が設けられ、前記複数の長ネジにより前記フィルター本体の両端に装着された前記一対の端面部材を連結して前記フィルター本体を固定する。
【0016】
また例えば、前記連結固定部材は、両端にネジ穴が設けられ、前記フィルター本体の長さに対応する長さを有する複数のアダプタと、前記アダプタの両端のネジ穴に螺入する複数の連結ネジからなり、前記一対の端面部材には、前記連結ネジを挿通する複数の穴が設けられ、前記アダプタおよび連結ネジにより前記フィルター本体の両端に装着された前記一対の端面部材を連結して前記フィルター本体を固定する。
【0017】
また、前記フィルター本体の長さは、前記円筒状支持部材の長さより0.05〜0.2mm長くする。また、前記フィルター本体と前記端面部材との間に、弾性材からなるドーナツ状のシートが設けられる。
【0018】
また、前記フィルター本体は、1層または複数層の金属製濾材を断面鋸歯状の略波形状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成した。
【0019】
また、前記一対の端面部材の一方または両方の外周または端面に磁石が装着される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、オイルフィルターは、1層または複数層の濾材をジグザグ状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成したフィルター本体と、フィルター本体の端部を嵌入する凹部を有する一対の端面部材と、円筒状支持部材をフィルター本体の内部に配置された状態で、フィルター本体の両端に装着された一対の端面部材を連結し固定する連結固定部材とを備え、かつ円筒状支持部材と、端面部材と、連結固定部材とが金属製で、各々取付取外自在に組立分解可能に設けられることで、接着剤を使用せず、折り山がしっかりと山の形でフィルターの形状を維持し、ろ過面積の減少を防止することができ、そのため、リプレイスタイプ(中身のフィルターだけ交換)のオイルフィルターに用いられる紙フィルターの代わりに利用できると共に、エンジンの負担を軽減することができる。
【0021】
また、使用ろ材を金属(例えば、ステンレス)にした場合はフィルターを洗浄して再利用することが可能となり、ランニングコストの削減を図ることができ、また、使い捨てではないので、廃棄コストが不要であり、かつ接着剤を使用せず、紙製の濾材を廃棄する場合には、化学物質による環境を汚染する恐れがない。
【0022】
また、フィルター本体の長さは、円筒状支持部材の長さより0.05〜0.2mm長くすること、または、前記フィルター本体と前記端面部材との間に、弾性材からなるドーナツ状のシートが設けられることで、ネジで固定する際に、濾材をプレスし、押し付ける力が発生するので、フィルター本体と端面部材との間に隙間がなく、ろ過精度を確保することができる。
【0023】
また、金属(例えば、ステンレス)製濾材を用いる場合、高い温度のエンジンオイルを長時間でろ過する状況下でも、フィルター自体の強度が弱くなることがなく、フィルターの変形を防止し、ろ過面積の減少を防ぐことができる。
【0024】
また、フィルター本体は、1層または複数層の金属製濾材を断面鋸歯状の略波形状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成したことで、所定のろ過精度を確保すると共に、表面強度を保持してフィルターの形状を維持することができる。
【0025】
また、一対の端面部材の一方または両方の外周または端面に磁石が装着されることで、エンジンの回転や往復動に伴い磨耗等により発生しオイル中に混濁した金属粉末を磁石体の磁気により吸着し除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態のオイルフィルターについて説明する。ここで、例として金属製濾材かなるフィルター本体を有する場合を説明する。
【0027】
図1は、第1の実施の形態のオイルフィルター100の構成を示す斜視図である。図2は、第1の実施の形態のオイルフィルター100の構成を示す分解図である。図3は、オイルフィルター100の構成を示す断面図である。図4は、フィルター本体40の断面を示す部分拡大図である。
【0028】
図1、図2および図3に示すように、オイルフィルター100は、上端に位置する端面部材10と、下端に位置する端面部材20と、円筒状支持部材30と、フィルター本体40と、連結固定部材としての3本の長ネジ50とから構成されている。
【0029】
端面部材10は、ステンレス鋼製のキャップ状もので、中央部に開孔され、穴11が形成されている。また、端面部材10の片面にフィルター本体40の端部を嵌入する凹部12を有する。また、連結固定部材としての3本の長ネジ50を挿通するための穴13が3つ均等に設けられている。さらに、穴11の周辺の突起部の外径は、円筒状支持部材30内径と嵌合することができるように形成されている。
【0030】
端面部材20は、ステンレス鋼製のキャップ状もので、中央部に開孔され、穴21が形成されており、この穴21の内面にはオイルフィルターケース(図示せず)に装着するために、オイルフィルターケースの取り付け構造に対応するネジ部が形成されている。なお、オイルフィルターケースへの取り付け構造によって、このネジ部を形成しなくでもよい。また、端面部材20の片面にフィルター本体40の端部を嵌入する凹部22を有する。また、連結固定部材としての3本の長ネジ50を螺入するためのネジ穴23が3つ均等に設けられている。さらに、穴21の周辺の突起部の外径は、円筒状支持部材30の内径と嵌合することができるように形成されている。
【0031】
円筒状支持部材30は、ステンレス鋼等金属製で、フィルター本体40の内側を支持するようにフィルター本体40の内部に配置され、側面に多数の貫通孔(パンチングの穴)31を有する。円筒状支持部材30の内径は穴21の周辺の突起部の外径と嵌合することができ、外径は、フィルター本体40の内側を支持することができる。また、円筒状支持部材30は、長ネジ50で端面部材10、20、円筒状支持部材30、フィルター本体40を連結し固定する際に、過度の締め付けを防止するために、端面部材10、20の位置決め機能も有する。
【0032】
なお、ろ過抵抗が増えず(圧力損失が増えない)と流量は落ちないように、円筒状支持部材30のパンチングの穴の面積の合計がケースキャップにある円筒状支持部材の穴面積より大きくする。
【0033】
フィルター本体40は、複数層の濾材をジグザグ状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成したものである。例えば、フィルター本体40は、下記表1に示すように3層のステンレス製濾材を用いて、3層のステンレス製濾材を重ねて断面鋸歯状の略波形状(図4参照)に折曲形成し、全体を円筒状に曲成し、中層(第2層)のステンレス製濾材42の網目は、両側(第1層、第3層)のステンレス製濾材41,43の網目より細かいである。
【0034】
【表1】

【0035】
また、フィルター本体40の長さは、円筒状支持部材30の長さより0.05〜0.2mm長くする。この例においては、円筒状支持部材30の長さより0.1mm長くする。これにより、長ネジ50で固定する際に、濾材(フィルター本体40)をプレスし、押し付ける力が発生するので、フィルター本体40と端面部材10、20との間に隙間がなく、ろ過精度を確保することができる。なお、フィルター本体40と円筒状支持部材30の長さの差が0.05mmより小さい場合は、組立時に、フィルター本体40と端面部材10、20との間に隙間が残される可能性があり、一方、フィルター本体40と円筒状支持部材30の長さの差が0.2mmより大きい場合は、組立時に、フィルター本体40がプレスされて変形が大きくなる。
【0036】
図4は、3層のステンレス製濾材を用いた場合の断面の局部拡大図である。この図4においては、フィルター本体40の断面局部の概略を示している。各層を明示するために、それぞれ離れているように示しているが、実際は各層が接触している状態である。
【0037】
なお、フィルター本体40は、例えば、下記表2、表3に示すように4層、または2層の濾材を用いて、これらの濾材を重ねてジグザグ状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成するようにしてもよい。
【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
表3の場合は、第2層のろ紙のみ交換で、他の部品は洗浄し、再利用する。これによって、リプレースタイプのオイルフィルターのデメリットである、ろ紙を円形に成型する際に接着剤を使用せず、構成することができる。また、廃棄する場合、接着剤の使用はしていないので、使用済みのろ紙についているオイルをある程度落として、垂れなくなれば、燃えるゴミとして出すことができる。
【0041】
長ネジ50は、端面部材10、20の表面より露出しないために、皿ネジを用いる。オイルフィルター100の組立時において、円筒状支持部材30をフィルター本体40の内部に配置された状態で、3本の長ネジ50を用いて、フィルター本体40の一端に装着された端面部材10の穴13を挿通し、フィルター本体40の他端に装着された端面部材20のネジ穴に螺入することで、端面部材10、20、円筒状支持部材30、フィルター本体40を連結し固定するようになされている。
【0042】
また、従来のリプレイスタイプのオイルフィルターケースをそのまま利用するために、オイルフィルター100の外形寸法は、従来の紙フィルターと同じように形成される。
【0043】
このように本実施の形態においては、オイルフィルター100は、端面部材10、20と、円筒状支持部材30と、フィルター本体40と、連結固定部材としての3本の長ネジ50から構成されている。フィルター本体40は、3層のステンレス製濾材を重ねて断面鋸歯状の略波形状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成し、中層(第2層)のステンレス製濾材42の網目は、両側(第1層、第3層)のステンレス製濾材41,43の網目より細かいである。
【0044】
これにより、接着剤を使用せず、折り山がしっかりと山の形でフィルターの形状を維持し、ろ過面積の減少を防止することができ、そのため、リプレイスタイプ(中身のフィルターだけ交換)のオイルフィルターに用いられる紙フィルターの代わりに利用できると共に、エンジンの負担を軽減することができる。
【0045】
また、オイルフィルターの各部品を自在に組立、分解することができるため、フィルターを洗浄して再利用することが可能となり、かつ接着剤を使用せず、紙製の濾材を廃棄する場合には、化学物質による環境を汚染する恐れがない。
【0046】
また、ステンレス製濾材を用いることで、高い温度のエンジンオイルを長時間でろ過する状況下でも、フィルター自体の強度が弱くなることがなく、フィルター本体の変形を防止し、ろ過面積の減少を防ぐことができる。
【0047】
また、中層のステンレス製濾材で所定のろ過精度を確保すると共に、両側のステンレス製濾材により大きいゴミを取り、表面強度を保持してフィルター本体の形状を維持することができる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施の形態のオイルフィルターについて説明する。図5は、第2の実施の形態のオイルフィルター200の構成を示す分解図である。図6は、オイルフィルター200の構成を示す断面図である。
【0049】
図5および図6に示すように、オイルフィルター200は、上端に位置する端面部材10と、下端に位置する端面部材20と、円筒状支持部材30と、フィルター本体40と、連結固定部材としての3本のアダプタ61および6本のネジ62とから構成されている。
【0050】
オイルフィルター200において、端面部材10、円筒状支持部材3と、およびフィルター本体40の構成は、上述した第1の実施の形態と同様である。その詳細説明を省略する。
【0051】
端面部材20Aは、ネジ62を挿通するための穴23が3つ設けられる以外は、上述した第1の実施の形態の端面部材20と同様な構成を有する。
【0052】
アダプタ61は、ステンレス鋼等金属製の円柱または角柱状体であり、両端にはネジ62を螺入するためのネジ穴が設けられている。ネジ62は、端面部材10、20の表面より露出しないために、皿ネジを用いる。
【0053】
このように本実施の形態においては、オイルフィルター200は、上端に位置する端面部材10と、下端に位置する端面部材20Aと、円筒状支持部材30と、フィルター本体40と、連結固定部材としての3本のアダプタ61および6本のネジ62とから構成されている。フィルター本体40は、3層のステンレス製濾材を重ねて断面鋸歯状の略波形状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成し、中層(第2層)のステンレス製濾材の網目は、両側(第1層、第3層)のステンレス製濾材の網目より細かいである。
【0054】
これにより、上述した第1の実施の形態のオイルフィルター100と同様な効果を得ることができる。
【0055】
また、連結固定部材として、3本のアダプタ61および6本のネジ62を用いることで、端面部材10、20を装着する前にアダプタ61を配置することができ、長ネジの挿通による濾材の破損を防ぐことができる。
【0056】
また、上述実施の形態においては、フィルター本体40は、3層のステンレス製濾材で、第1層、第3層のろ過精度が70μm、第2層のろ過精度が20μmであるものについて説明したが、これに限定されるものではない。ろ過精度の要求に基づいてステンレス製濾材を選択することができる。
【0057】
ろ過精度とステンレス製濾材のメッシュ(1インチあたりの目の数)の対応関係は、表4に示している。
【0058】
【表4】

【0059】
また、上述した実施の形態において、複数層の金属製濾材、または金属製濾材とろ紙の組合せを用いた場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、1層の濾材をジグザグ状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成したものを用いても良い。
【0060】
また、上述した実施の形態において、一対の端面部材10、20の一方または両方の外周に磁石を装着するようにしてもよい。この場合、磁石が装着されることで、エンジンの回転や往復動に伴い磨耗等により発生しオイル中に混濁した金属粉末を磁石体の磁気により吸着除去することができる。
【0061】
図7は、磁石を装着する場合の構成例を示す図である。図7に示すように、リング状の磁石70Aが端面部材10の外周に装着されている。この場合、端面部材10の外周に磁石70Aの幅および厚みに相当する削り込み部が設けられ、下端にストッパ機能の段差を設けて形成されている。リング状の磁石70Aは、ネジまたは耐熱性の接着剤で固定される。このような構成は、オイルフィルターの外形寸法が変わらず、既存のオイルフィルターケースへの取り付けが容易にできる。なお、端面部材10は廃棄されないので、ここで接着剤を使用することは問題がない。また、端面部材20の端面にも装着するようにしてもよい。
【0062】
図8は、磁石を装着する場合の他の構成例を示す図である。図8に示すように、長方形の板状の磁石70Bの一端が端面部材10に取り付けられ、他端が端面部材20に取り付けられている。この場合、端面部材10,20の外周に均等に複数の取り付け用ネジ穴が設けられている。板状の磁石70Bは、例えば、端面部材10,20の外周面と同様なカーブ率の表面を有し、両端にはネジで固定するための貫通穴が設けられている。磁石70Bはオイルフィルターの円周に対し、均等に複数箇所に取り付けられる。このような構成は、加工が簡単にできる。なお、オイルフィルターの使用用途、車種などによって、磁石70Bの厚み、幅、個数を自由に選択することが可能である。
【0063】
図9は、磁石を装着する場合の他の構成例を示す図である。図9に示すように、複数のリング状の磁石70Cが端面部材10、および端面部材20に取り付けられている。この場合、端面部材10,20の外周に均等に複数の取り付け用ネジ穴が設けられている。リング状の磁石70Cは、例えば、端面部材10,20の外周面と同様なカーブの表面を有し、ネジで固定される。磁石70Cは端面部材10,20の円周に対し、均等に複数箇所に取り付けられる。このような構成は、加工が簡単にでき、小型の磁石を用いるので、コストを抑えることができる。なお、オイルフィルターの使用用途、車種などによって、磁石70Cの厚み、幅、個数を自由に選択することが可能である。
【0064】
図10は、磁石を装着する場合の他の構成例を示す図である。図10に示すように、薄いリング状(ドーナツ型)の磁石70Dが端面部材10の端面に装着されている。この場合、端面部材10の端面に削り込み部が設けられ、凹形が形成されている。ドーナツ型の磁石70Dは、ネジまたは耐熱性の接着剤で固定される。このような構成は、オイルフィルターの外形寸法が変わらず、既存のオイルフィルターケースへの取り付けが容易にできる。なお、端面部材10は廃棄されないので、ここで接着剤を使用することは問題がない。また、端面部材20の端面にも装着するようにしてもよい。
【0065】
また、上述した実施の形態において、フィルター本体40は、連結固定部材として、3本の長ネジ50、または3本のアダプタ61および6本のネジ62を用いる場合について説明したが、これに限定されるものではない。なお、長ネジ50、およびアダプタ61の数は、2本または4本でもよい。また、皿ネジ以外のネジを用いてもよい。
【0066】
また、上述した実施の形態において、フィルター本体の長さは、円筒状支持部材の長さより0.05〜0.2mm長くするものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、フィルター本体の長さは、円筒状支持部材の長さと同じにし、フィルター本体と端面部材との間に、弾性材からなるドーナツ状のシートを設けるようにしてもよい。この場合、シートとしては、ドーナツ型のO−リング、耐熱ゴム、または耐熱スポンジ等が考えられる。ドーナツ状のシートを設けることにより、ネジで固定する際に、シートをプレスし、押し付ける力が発生するので、フィルター本体と端面部材との間に隙間がなく、ろ過精度を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
この発明は、発電機、船舶、建機、飛行機、自動車等の内燃機関において循環供給されるオイルをろ過するオイルフィルターに利用することができ、特に、リプレイスタイプ(中身のフィルターだけ交換)のオイルフィルターに用いられる紙フィルターの代わりにフィルターに目詰まりした不純物を除去し清掃することにより反復して再使用可能にしたオイルフィルターを提供する目的に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1の実施の形態のオイルフィルター100の構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態のオイルフィルター100の構成を示す分解図である。
【図3】第1の実施の形態のオイルフィルター100の構成を示す断面図である。
【図4】3層のステンレス製濾材を用いた場合の断面の局部拡大図である。
【図5】第2の実施の形態のオイルフィルター200の構成を示す分解図である。
【図6】第2の実施の形態のオイルフィルター200の構成を示す断面図である。
【図7】磁石を装着する場合の構成例を示す図である。
【図8】磁石を装着する場合の他の構成例を示す図である。
【図9】磁石を装着する場合の他の構成例を示す図である。
【図10】磁石を装着する場合の他の構成例を示す図である。
【図11】従来の紙フィルターの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 紙フィルター
2 ろ紙
3 端面板
10,20,20A 端面部材
11,21 穴
12,22 凹部
13,23 穴
30 円筒状支持部材
31 パンチング穴
40 フィルター本体
41 第1層の濾材
42 第2層の濾材
43 第3層の濾材
50 長ネジ
61 アダプタ
62 ネジ
70A,70B,70C,70D 磁石
100,200 オイルフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾材をジグザグ状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成したフィルター本体と、
前記フィルター本体の内側を支持するようにフィルター本体の内部に配置され、側面に多数の貫通孔を有する円筒状支持部材と、
中央部に開孔されると共に、片面にフィルター本体の端部を嵌入する凹部を有する一対の端面部材と、
円筒状支持部材をフィルター本体の内部に配置された状態で、前記フィルター本体の両端に装着された前記一対の端面部材を連結し固定する連結固定部材とを備え、
前記円筒状支持部材と、前記端面部材と、前記連結固定部材とが金属製で、各々取付取外自在に組立分解可能に設けられることを特徴とするオイルフィルター。
【請求項2】
前記連結固定部材は、前記フィルター本体の長さに対応する複数の長ネジであり、
前記一対の端面部材は、片方に前記長ネジを挿通する複数の穴が設けられ、もう片方に前記長ネジを螺入する複数のネジ穴が設けられ、
前記複数の長ネジにより前記フィルター本体の両端に装着された前記一対の端面部材を連結して前記フィルター本体を固定することを特徴とする請求項1に記載のオイルフィルター。
【請求項3】
前記連結固定部材は、両端にネジ穴が設けられ、前記フィルター本体の長さに対応する長さを有する複数のアダプタと、前記アダプタの両端のネジ穴に螺入する複数の連結ネジからなり、
前記一対の端面部材には、前記連結ネジを挿通する複数の穴が設けられ、
前記アダプタおよび連結ネジにより前記フィルター本体の両端に装着された前記一対の端面部材を連結して前記フィルター本体を固定することを特徴とする請求項1に記載のオイルフィルター。
【請求項4】
前記フィルター本体の長さは、前記円筒状支持部材の長さより0.05〜0.2mm長くすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のオイルフィルター。
【請求項5】
前記フィルター本体と前記端面部材との間に、弾性材からなるドーナツ状のシートが設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のオイルフィルター。
【請求項6】
前記フィルター本体は、1層または複数層の金属製濾材を断面鋸歯状の略波形状に折曲形成し、全体を円筒状に曲成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のオイルフィルター。
【請求項7】
前記一対の端面部材の一方または両方の外周または端面に磁石が装着されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のオイルフィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−42336(P2010−42336A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206999(P2008−206999)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(503386436)有限会社スラッシュ (2)
【Fターム(参考)】