説明

オキシムエステル光開始剤

式(I)の化合物(式中、R1、R2およびR10は、互いに独立して、C1〜C20アルキル、フェニル、C1〜C12アルキルフェニルまたはフェニル−C1〜C6アルキルであり;R3およびR4は、互いに独立して、水素、C1〜C20アルキル、NR67またはSR8であるが、ただしR3とR4の少なくとも一つは、NR67またはSR8であり;R5は、水素またはC1〜C20アルキルであり;R6およびR7は、互いに独立して、C1〜C20アルキルであるか、またはR6およびR7は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5員環もしくは6員環を形成し、それはO、SもしくはNR9で場合により中断されており、かつ1以上のC1〜C4アルキルで場合によりさらに置換されており;R8は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリルであり、それらのすべては、1個以上のC1〜C4アルキルで場合により置換されており;R9は、水素、C1〜C20アルキル、C2〜Cヒドロキシアルキルまたはフェニルである)は、光重合反応において、予想外の良好な性能を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオキシムエステル化合物、および光重合性組成物中の光開始剤としてのその用途に関する。
【0002】
米国特許第3,558,309号明細書から、ある種のオキシム誘導体は、光開始剤であることが知られている。米国特許第4,255,513号明細書には、オキシムエステル化合物が開示されている。米国特許第4,202,697号明細書は、アクリルアミノ置換オキシムエステルを開示している。Derwent No. 95-234519/31特開平7−140,658号公報(=特開平7−140,658号公報)、Bull. Chem. Soc. Jpn. 1969, 42(10), 2981-3、Bull. Chem. Soc. Jpn. 1975, 48(8), 2393-4、Chemical Abstract No. 115:115174(=Han'guk Somyu Konghakhoechi 1990, 27(9), 672-85)、Macromolecules, 1991, 24(15), 4322-7およびEuropean Polymer Journal, 1970, 933-943には、いくつかのアルドキシムエステル化合物が記載されている。
【0003】
米国特許第4,590,145号明細書およびDerwent No. 86-073545/11(=特開昭61−24,558号公報)には、数種のベンゾフェノンオキシムエステル化合物が開示されている。Glas. Hem. Drus. Beograd 1981, 46(6), 215-30(=Chemical Abstracts No. 96:52526c)、J. Chem. Eng. Data 9(3), 403-4 (1964)、J. Chin. Chem. Soc. (Taipei), 41(5), 573-8, (1994)、Chemical Abstract No. 109:83463w(=特開昭62−273,259号公報)、Derwent No. 88-025703/04(=特開昭62−286,961号公報)、Derwent No. 87-288481/41(=特開昭62−201,859号公報)、Derwent No. 87-266739/38(=特開昭62−184,056)、米国特許第5,019,482号明細書、およびJ. of Photochemistry and Photobiology A, 107, 261-269(1997)には、いくつかのp−アルコキシフェニルオキシムエステル化合物が記載されている。さらに、オキシムエステル化合物が、国際公開特許第02/100903号公報に記載されている。
【0004】
光重合技術においては、高度に反応性に富み、製造が容易で、かつ取扱いが容易な光開始剤に対する必要性が依存として存在する。さらに、そのような新規光開始剤は、例えば熱安定性および貯蔵安定性のような特性に関して、業界の高い要求を満たさなければならない。
【0005】
驚くべきことに、式Iの化合物、
1.式Iの化合物
【0006】
【化5】

【0007】
(式中、
1、R2およびR10は、互いに独立して、C1〜C20アルキル、フェニル、C1〜C12アルキルフェニルまたはフェニル−C1〜C6アルキルであり;
3およびR4は、互いに独立して、水素、C1〜C20アルキル、NR67またはSR8であるが、ただしR3とR4の少なくとも1つは、NR67またはSR8であり;
5は、水素またはC1〜C20アルキルであり;
6およびR7は、互いに独立して、C1〜C20アルキルであるか、またはR6およびR7は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5員環もしくは6員環を形成し、それはO、SもしくはNR9で場合により中断されており、かつ1個以上のC1〜C4アルキルで場合によりさらに置換されており;
8は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリルであり、それらのすべては、1個以上のC1〜C4アルキルで場合により置換されており;
9は、水素、C1〜C20アルキル、C2〜Cヒドロキシアルキルまたはフェニルである)
は、それらが基づいている、光開始剤の個々の構造またはそれらの混合物と比較して、予想外に良好な性能を示すことが見出された。
【0008】
ナフチルは、1−ナフチルまたは2−ナフチルである。
【0009】
1〜C20アルキルは、直鎖または分枝状であり、例えば、C1〜C18−、C1〜C14−、C1〜C12−、C1〜C8−、C1〜C6−もしくはC1〜C4アルキルまたはC4〜C12−もしくはC4〜C8アルキルである。例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびイコシルである。
1〜C12アルキル、C2〜C12アルキル、C1〜C11アルキル、C1〜C8アルキルおよびC1〜C6アルキルは、相当する数のC原子まで、C1〜C20アルキルについて上に示したのと同じ意味を有する。
【0010】
2〜C4ヒドロキシアルキルは、1個または2個のO原子で置換されたC2〜C4アルキルを意味する。アルキル基は、直鎖または分枝状である。例は、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピルまたは2,4−ジヒドロキシブチルである。
【0011】
6およびR7が、それらが結合しているN原子と一緒になって、5員環もしくは6員環を形成し、それは場合によりO、SもしくはNR9で中断されており、かつ場合によりさらに1以上のC1〜C4アルキルで置換されている場合、前記環は、例えば、アジリジン、ピロール、ピロリジン、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、1,3−ジアジン、1,2−ジアジン、ピペリジンまたはモルホリンである。前記環は、場合によりさらに、1個以上のC1〜C4アルキル、例えば1個、2個または3個のアルキル基、例えば2個のアルキル基で置換されている。C1〜C4アルキルは、上に定義されたとおりである。好ましくは、前記置換基は、1個以上、特に2個のメチル基である。
【0012】
1〜C12アルキルは、12個の炭素原子までの1個以上のアルキル基で置換されているフェニルを意味し、例えばC1〜C10−、C1〜C8−、C1〜C6−、C1〜C4−アルキルフェニル、例えばトリルまたはキシリルである。フェニル環上の置換基の位置は、下記のとおりである。
【0013】
フェニル−C1〜C6アルキルは、例えばベンジル、フェニルエチル、α−メチルベンジル、フェニルペンチル、フェニルヘキシルまたはα,α−ジメチルベンジル、特にベンジルである。
【0014】
置換されている基、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリルは、1回〜4回、例えば1回、2回または3回、特に、2回もしくは3回もしくは1回置換されている。フェニル環上の置換基は、例えば、2−、4−、3−の位置、またはフェニル環上の2,6−、3,4−、3,5−もしくは2,4,6−配置である。アルキル置換基は、対応する数の炭素原子までの、上に定義されたとおりの意味を有する。
【0015】
本文中、用語「および/または」または「または/および」は、定義された選択肢(置換基)の1つのみならず、定義された選択肢(置換基)のいくつかも一緒になって、すなわち、種々の選択肢(置換基)の混合物も存在してもよいということを表現することを意味する。
用語「少なくとも」は、1または1以上、例えば1または2または3、好ましくは1または2を定義することを意味する。
用語「場合により置換され」は、非置換または置換されたことを意味する。
特許請求の範囲においておよび明細書全体にわたって、文脈が他のように求めない限り、用語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」のような変形は、記載の整数もしくは工程または整数もしくは工程のグループを含むが、任意の他の整数もしくは工程または整数もしくは工程のグループを排除しないことを意味すると理解されたい。
【0016】
特に、R3は、フェニル環の4位に位置し、好ましくは、NR67またはSR8を意味する。
10は、好ましくはC1〜C20アルキル、特にメチルである。
【0017】
好ましいものは、
1およびR2が、互いに独立して、C1〜C12アルキルであり;
3およびR4が、互いに独立して、水素、NR67またはSR8であるが、ただしR3とR4の少なくとも一つが、NR67またはSR8であり;
5が、水素であり;
6およびR7が、互いに独立して、C1〜C12アルキルであるか、またはR6およびR7が、それらが結合しているN原子と一緒になって、5員環もしくは6員環を形成し、それはOで場合により中断されており、かつ1個以上のC1〜C4アルキルで場合によりさらに置換されており;
8が、フェニルであり;
10が、メチルである、
式Iの化合物である。
【0018】
好ましいものは、また、式Ia:
【化6】

【0019】
(式中、
1およびR2は、互いに独立して、C1〜C20アルキルまたはフェニルであり;
3およびR4は、互いに独立して、水素、C1〜C12アルキル、NR67またはSR8であるが、R3とR4の少なくとも1つが、NR67またはSR8であり;
5は、水素またはC1〜C20アルキルであり;
6およびR7は、互いに独立して、C1〜C20アルキルであるか、またはR6およびR7は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5員環もしくは6員環を形成し、それはO、SもしくはNR9で場合により中断されており、かつ1個以上のC1〜C4アルキルで場合によりさらに置換されており;
8は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリルであり、それらのすべては、1以上のC1〜C4アルキルで場合により置換されており;
9は、水素、C1〜C20アルキル、C2〜Cヒドロキシアルキルまたはフェニルである)
の化合物であり;それらが基づいている、光開始剤の個々の構造またはそれらの混合物と比較して、予想外に良好な性能を示す。
【0020】
式Iのオキシムエステルは、文献に記載の方法、例えば、塩基、例えばトリエチルアミンもしくはピリジンの存在下で不活性溶媒、例えばt−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジメチルホルムアミド中で、またはピリジン等の塩基性溶媒中で、相当するオキシムとハロゲン化アシル、特に塩化アシルまたは無水物との反応により製造される。
【0021】
【化7】

【0022】
1、R2、R3、R4、R5およびR10は、上に定義されたとおりであり、Halは、ハロゲン原子、特にClを意味する。R10は、好ましくはメチルである。
【0023】
そのような反応は、当業者に周知であり、一般的には、−15〜+50℃、好ましくは0〜25℃の温度で実施される。
【0024】
したがって、本発明の対象は、式Iの化合物の製造方法であって、式II:
【0025】
【化8】

【0026】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、上に定義されたとおりである)
のオキシム化合物を、式IIIもしくはIV:
【0027】
【化9】

【0028】
(式中、Halは、ハロゲン原子を意味し、R10は、上に定義されたとおりである)
のハロゲン化アシルまたは無水物と反応させる製造方法である。
【0029】
出発材料として要求されるオキシムは、標準的な化学の教科書(例えばJ. March, Advanced Organic Chemistry, 4th Edition, Wiley Interscience, 1992)、または専門的なモノグラフ、例えばS. R. Sandler & W. Karo, Organic functional group preparations, Vol. 3, Academic Pressに記載された、様々な方法で得ることができる。
【0030】
最も好都合な方法の一つは、例えば、アルデヒドまたはケトンと、ヒドロキシルアミンまたはその塩との、エタノールもしくはエタノール水のような極性溶媒中での反応である。その場合、酢酸ナトリウムまたはピリジンのような塩基を加えて、反応混合物のpHを制御する。反応速度がpH依存性であることは周知であり、塩基は、開始時に、または反応の間連続的に加えることができる。ピリジンのような塩基性溶媒を、塩基および/または溶媒もしくは共溶媒として用いることもできる。反応温度は、一般的に混合物の還流温度、通常、約60〜120℃である。
【0031】
オキシムの別の好都合な合成は、亜硝酸または亜硝酸アルキルによる「活性」メチレン基のニトロソ化である。例えばOrganic Syntheses coll. Vol. VI (J. Wiley & Sons, New York, 1988), pp. 199 and 840に記載されたような、アルカリ性条件と、例えばOrganic Synthesis coll. Vol. V, pp. 32 and 373, coll. Vol. III, pp. 191 and 513, coll. Vol. II, pp. 202, 204 and 363に記載されたような、酸性条件との両方が、本発明における出発材料として用いられるオキシムの製造に適切である。亜硝酸は、通常、亜硝酸ナトリウムから生成される。亜硝酸アルキルは、例えば亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸ブチルまたは亜硝酸イソアミルであることができる。
【0032】
すべてのオキシムエステルの基が、2種類の立体配置(Z)または(E)で存在することができる。従来の方法で、異性体を分離することができるが、光開始用の種として、異性体混合物を用いることもできる。したがって、本発明は、式Iの化合物の立体配置上の異性体の混合物にも関する。
【0033】
本発明の別の対象は、式II:
【0034】
【化10】

【0035】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、上に定義されたとおりである)
の化合物である。
【0036】
したがって、R1、R2は、互いに独立して、C1〜C20アルキル、フェニル、C1〜C12アルキルフェニルまたはフェニル−C1〜C6アルキルであり;
3およびR4は、互いに独立して、水素、C1〜C20アルキル、NR67またはSR8であるが、ただしR3とR4の少なくとも一つは、NR67またはSR8であり;
5は、水素またはC1〜C20アルキルであり;
6およびR7は、互いに独立して、C1〜C20アルキルであるか、またはR6およびR7は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5員環もしくは6員環を形成し、それは場合によりO、SもしくはNR9で中断されており、かつ1以上のC1〜C4アルキルで場合によりさらに置換されており;
8は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリルであり、それらのすべては、場合により1個以上のC1〜C4アルキルで置換されており;
9は、水素、C1〜C20アルキル、C2〜Cヒドロキシアルキルまたはフェニルである。
【0037】
式IIの化合物において好ましくは、R1が、C1〜C20アルキル、特にエチルである。
好ましいものは、R4およびR5が水素であり、R3がNR67またはSR8である、式IIのさらなる化合物である。特に、前記化合物において、R3は、フェニル環の4位に位置している。
【0038】
NR67としてのR3において、R6およびR7は、好ましくは、それらが結合しているN原子と一緒になって、6員環を形成し、その環は、Oで中断されており、かつ場合によりさらに1個以上のC1〜C4アルキルで置換されている。特に、前記環は、場合により1個以上のC1〜C4アルキル、好ましくはメチルで置換された、モルホリン環である。
8は、特にフェニルを意味する。
【0039】
特に、好ましいものは、以下である。
【化11】

【0040】
すでに上記したように、式IIのオキシム化合物は、式Iの光開始剤化合物の製造方法における中間体として有用である。
【0041】
前記中間体は、例えば、上記のようにして、例えば:
【化12】


(式中、Halは、F、Cl,BrまたはIであり、R3は、上で定義されたとおりである)
で得られる。
【0042】
本発明によれば、式Iの化合物は、エチレン性不飽和化合物、またはそのような化合物を含む混合物の光重合のための光開始剤として用いることができる。
【0043】
したがって、本発明のもう一つの対象は、
(a)少なくとも1種のエチレン性不飽和光重合性化合物、および
(b)光開始剤として、上で定義されたとおりの式Iの化合物、
を含む光重合性組成物である。
【0044】
その組成物は、光開始剤(b)に加えて、少なくとも1種のさらなる光開始剤(c)および/または他の添加剤(d)を含んでいてもよい。
【0045】
不飽和化合物(a)は、1個以上のオレフィン性二重結合を有していてもよい。それらは、低分子量(モノマー性)または高分子量(オリゴマー性)であってよい。二重結合を含有するモノマーの例は、アルキル、ヒドロキシアルキルもしくはアミノアクリレート、またはアルキル、ヒドロキシアルキルもしくはアミノメタクリレート、例えばメチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシルもしくは2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸エチルである。シリコーンアクリレートも好都合である。その他の例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル例えば酢酸ビニル、ビニルエーテル、例えばイソブチルビニルエーテル、スチレン、アルキル−およびハロ−スチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、または塩化ビニリデンである。
【0046】
2個以上の二重結合を含有するモノマーの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオプレングリコール、ヘキサメチレングリコールもしくはビスフェノールAのジアクリレート、および4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレートもしくはテトラアクリレート、アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、コハク酸ジビニル、フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、またはトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌラートである。
【0047】
比較的高分子量であるポリ不飽和化合物(オリゴマー)の例は、アクリル化エポキシ樹脂、アクリレート基、ビニルエーテル基またはエポキシ基を有するポリエステル、また、ポリウレタンおよびポリエーテルである。不飽和オリゴマーのさらなる例は、不飽和ポリエステル樹脂であって、通常、マレイン酸、フタル酸、および1種以上のジオールから製造され、約500〜約3,000の分子量を有する。さらに、ビニルエーテルのモノマーおよびオリゴマー、ならびにポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテルおよびエポキシの主鎖を有するマレイン酸終止オリゴマーも用いることができる。特に適切なことは、ビニルエーテル基を有するオリゴマーと、国際公開特許第90/01512号公報に記載のポリマーとの組合せである。しかしながら、ビニルエーテルとマレイン酸官能化モノマーとのコポリマーも適切である。この種の不飽和オリゴマーはまた、プレポリマーと称することができる。
【0048】
特に適切な例は、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオールまたはポリエポキシドとのエステル、および鎖中または側鎖基にエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば、不飽和のポリエステル、ポリアミドおよびポリウレタン、ならびにそれらのコポリマー、側鎖中に(メタ)アクリル基を含有するポリマーおよびコポリマー、ならびに1種以上のそのようなポリマーの混合物である。
【0049】
不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、および不飽和脂肪酸、例えばリノレン酸またはオレイン酸である。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
【0050】
適切なポリオールは、芳香族、および特に脂肪族や脂環式のポリオールである。芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、およびまた、ノボラックやレゾールである。ポリエポキシドの例は、上記のポリオール、特に芳香族ポリオール、およびエピクロロヒドリンに基づくものである。その他の適切なポリオールは、ポリマー鎖または側鎖基中にヒドロキシル基を含有するポリマーやコポリマーであって、例は、ポリビニルアルコール、およびそのコポリマー、またはポリヒドロキシアルキルメタクリレート、もしくはそのコポリマーである。さらなる適切なポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0051】
脂肪族および脂環式ポリオールの例は、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、例えばエチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200〜1,500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールおよびソルビトールである。
【0052】
ポリオールは、1種のカルボン酸または異なる不飽和カルボン酸で、部分的にもしくは完全にエステル化されていてもよく、一部のエステル中では、遊離ヒドロキシル基は、修飾、例えばエーテル化または他のカルボン酸でエステル化されていてもよい。
【0053】
エステルの例は:トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリトリトールオクタアクリレート、ペンタエリトリトールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールジメタクリレート、ジペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリトリトールオクタメタクリレート、ペンタエリトリトールジイタコナート、ジペンタエリトリトールトリスイタコナート、ジペンタエリトリトールペンタイタコナート、ジペンタエリトリトールヘキサイタコナート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコナート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトール修飾トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、アクリル酸およびメタクリル酸のオリゴエステル、ジアクリル酸およびトリアクリル酸のグリセロール、二アクリル酸1,4−シクロヘキサン、200〜1,500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレートおよびビスメタクリレート、またはこれらの混合物である。
【0054】
同様に成分(a)として適切なのは、同一または異なる、不飽和カルボン酸の、好ましくは2個〜6個、特に2個〜4個のアミノ基を有する芳香族、脂環式および脂肪族ポリアミンとのアミドである。そのようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−もしくは1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−もしくは1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ(β−アミノエトキシ)−もしくはジ(β−アミノプロポキシ)−エタンである。適切なその他のポリアミンは、好ましくは側鎖中にさらなるアミノ基を有するポリマーおよびコポリマー、ならびにアミノ末端基を有するオリゴアミドである。そのような不飽和アミドの例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチル メタクリレートおよびN〔(β−ヒドロキシエトキシ)エチル〕アクリルアミドである。
【0055】
適切な不飽和ポリエステルおよびポリアミドは、例えば、マレイン酸とジオールまたはジアミンとから得られる。マレイン酸のいくつかは、他のカルボン酸で置き換えることができる。それらは、エチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンとともに用いることができる。そのポリエステルおよびポリアミドは、ジカルボン酸と、エチレン性不飽和ジオールまたはジアミンとから、特に、例えば6〜20個の炭素原子の、比較的長い鎖を有するものとから得てもよい。ポリウレタンの例は、飽和または不飽和ジイソシアネートと、不飽和またはそれぞれ飽和のジオールとで構成されるものである。
【0056】
側鎖中に(メタ)アクリレート基を有するポリマーは、同様に公知である。それらは、例えば、ノボラック系のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸との反応生成物であってもよいか、または(メタ)アクリル酸でエステル化されたビニルアルコールもしくはそれらのヒドロキシアルキル誘導体のホモポリマーもしくはコポリマーであってもよいか、または(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルでエステル化された(メタ)アクリレートのホモポリマーおよびコポリマーであってもよい。
【0057】
側鎖中にアクリレートまたはメタクリレート基を有する、その他の適切なポリマーは、例えば、溶媒可溶性またはアルカリ可溶性のポリイミド前駆体、例えば、分子中の骨格かそれともエステル基に結合した光重合性側鎖基を有する、すなわち欧州特許第624826に記載のポリ(アミック酸エステル)化合物である。そのようなオリゴマーまたはポリマーは、高感度のポリイミド前駆体レジストを製造するために、新規な光開始剤および場合により反応性希釈剤、例えば多官能性の(メタ)アクリレートとともに配合することができる。
【0058】
光重合性化合物は、単独で、または所望のいかなる混合物中でも用いることができる。ポリオール(メタ)アクリレートの混合物を用いるのが好ましい。
【0059】
成分(a)の例は、また、少なくとも2個のエチレン性不飽和基および少なくとも1個のカルボキシル官能を分子構造内に有するポリマーまたはオリゴマー、例えば飽和もしくは不飽和多塩基酸無水物と、エポキシ化合物および不飽和モノカルボン酸の反応生成物との反応で得られる樹脂、例えば、特開平6−1638号公報および特許第10301276号公報に記載された感光性化合物およびEB9696, UCB Chemicals等の商品;KAYARAD TCR1025, Nippon Kayaku Co., Ltd.、またはカルボキシル基含有樹脂と、α,β−不飽和二重結合およびエポキシ基を有する不飽和化合物との間で形成される付加生成物(例えば、ACA200M, Daicel Industries, Ltd.)である。
【0060】
希釈剤として、単官能性もしくは多官能性のエチレン性不飽和化合物、またはその化合物のいくつかの混合物を、上記組成物に、組成物の固体部に対して70重量%まで含ませることができる。
【0061】
不飽和化合物(a)は、光重合性でない、フィルム形成成分との混合物としても用いることができる。これらは、例えば、物理的に乾燥するポリマー、または有機溶媒中のその溶液、例えばニトロセルロースまたはアセト酪酸セルロースであってよい。しかしこれらは、化学的および/または熱的に硬化できる(熱硬化性)樹脂であってもよく、例はポリイソシアネート、ポリエポキシドおよびメラミン樹脂、ならびにポリイミド前駆体である。同時の熱硬化性樹脂の使用は、混成系として知られる系で使用するために重要であって、それらは、第一の段階で、光重合され、第二の段階で、熱的な後処理によって架橋される。
【0062】
本発明は、成分(a)として、水中に乳化または溶解された少なくとも1種のエチレン性不飽和光重合性化合物を含む組成物も提供する。そのような放射線硬化性の水性プレポリマー分散体の多くの変種が、商業的に入手可能である。プレポリマーの分散体は、水と、その中に分散した少なくとも1種のプレポリマーとの分散体であると解される。これらの系における水の濃度は、例えば、5〜80重量%、特に30〜60重量%である。放射線硬化性プレポリマーまたはプレポリマー混合物の濃度は、例えば95〜20重量%、特に70〜40重量%である。これらの組成物において、水およびプレポリマーについて示した百分率の合計は、それぞれの場合に100であり、助剤および添加剤は、使用目的に応じて変動する量で加えられる。
【0063】
水中に分散され、しばしば溶解されもする、放射線硬化性、フィルム形成プレポリマーは、それ自体は公知である単官能性または多官能性のエチレン性不飽和プレポリマーの水性プレポリマー分散体であり、遊離基で開始することができ、例えば、プレポリマー100gあたり0.01〜1.0モルの重合性二重結合含有量、および例えば、少なくとも400、特に500〜10,000の平均分子量を有する。しかし、より高分子量のプレポリマーも、使用目的に応じて考慮されていてもよい。用いられるのは、例えば、重合性C−C二重結合を含有し、10以下の酸価を有するポリエステル、重合性C−C二重結合を含有するポリエーテル、1分子あたり少なくとも2個のエポキシド基を含有するポリエポキシドと、少なくとも1種類のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とのヒドロキシル含有反応生成物、ポリウレタン(メタ)アクリレート、およびα,β−エチレン性不飽和アクリル基を含有する環状コポリマーであって、欧州特許第12,339号公報に記載されたとおりである。これらのプレポリマーの混合物も、同様に用いることができる。同じく適切なものは、欧州特許第33,896号公報に記載された重合性プレポリマーであって、少なくとも600の平均分子量、0.2〜15%のカルボキシル基含量、およびプレポリマー100gあたり0.01〜0.8molの重合性C−C二重結合を有する重合性プレポリマーのチオエーテル付加物である。特定の(メタ)アクリル酸アルキルポリマーに基づく、その他の適切な水性分散物は、欧州特許第41,125号公報に記載され、ウレタンアクリレートの適切な水分散性、放射線硬化性プレポリマーは、ドイツ国特許第2936039号公報に見出すことができる。
【0064】
これらの放射線硬化性水性プレポリマー分散体に含まれていてもよいさらなる添加剤は、分散助剤、乳化剤、酸化防止剤例えば2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)または2,6−ジ−t−ブチルフェノール、光安定剤、染料、顔料、充填剤、例えばガラスまたはアルミナ、例えば、タルク、石膏、ケイ酸、ルチル、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化鉄、反応促進剤、平滑剤、潤滑剤、湿潤剤、増粘剤、艶消剤、消泡剤、その他塗料技術に慣用される助剤である。適切な分散助剤は、高分子量物であり、極性基を含有する水溶性有機化合物であって、例は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはセルロースエーテルである。用いることができる乳化剤は、非イオン乳化剤、および所望であれば、イオン性乳化剤も同様である。
【0065】
ある場合には、2種以上の新規光開始剤の混合物を用いるのが好都合であり得る。当然、公知の光開始剤(C)との混合物、例えばカンファー(camphor)キノン;ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、例えば2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メチトキシカルボニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(クロロメチル)ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)−ベンゾフェノン、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、3−メチル−4’−フェニル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4’−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン;ケタール化合物、例えばベンジルジメチルケタール(IRGACURE(登録商標)651);アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、例えばα−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトンもしくは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン(DAROCUR(登録商標)1173)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE(登録商標)184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)2959);2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)127);2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン;ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシ−もしくはα−アミノ−アセトフェノン、例えば(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(IRGACURE(登録商標)907)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(IRGACURE(登録商標)369)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチルアミノプロパン(IRGACURE(登録商標)379)、(4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、(3,4−ジメトキシベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテルおよびベンジルケタール、フェニルグリオキサルエステルおよびその誘導体、例えばオキソ−フェニル酢酸2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルエステル、二量体のフェニルグリオキサルエステル、例えばオキソ−フェニル酢酸1−メチル−2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)プロポキシ]−エチルエステル(IRGACURE(登録商標)754);さらにオキシムエステル、例えば1,2−オクタンジオン 1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)(IRGACURE(登録商標)OXE01)、エタノン 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(IRGACURE(登録商標)OXE02)、9H−チオキサンテン−2−カルボキシアルデヒド 9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)、ペルエステル、例えば欧州特許第126,541号公報に例えば記載されたベンゾフェノンテトラカルボン酸ペルエステル、モノアシルホスフィンオキシド、例えば(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(DAROCUR(登録商標)TPO)、ビスアシルホスフィンオキシド、例えばビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、トリスアシルホスフィンオキシド、ハロメチルトリアジン、例えば2−[2−(4−メトキシフェニル)ビニル]−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−メチル−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系、例えば、2−メルカプトベンズチアゾールおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンフェロセニウム化合物、またはチタノセン、例えばビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリルフェニル)チタン(IRGACURE(登録商標)784)と組み合わせたo−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾールとの混合物を用いることもできる。さらに、ホウ酸塩化合物を共開始剤として使用することができる。
【0066】
新規な光開始剤系を混成系で用いる場合、新規な遊離基硬化剤に加えて、カチオン性光開始剤、ペルオキシド化合物、例えば過酸化ベンゾイル(その他の適切なペルオキシドは、米国特許第4,950,581号明細書第19欄第17〜25行に記載されている)、例えば米国特許第4,950,581号明細書第18欄第60行〜第19欄第10行に記載されているような、芳香族のスルホニウム塩、ホスホニウム塩もしくはヨードニウム塩、またはシクロペンタジエニル−アレーン−鉄(II)錯塩、例えば(η6−イソプロピルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ならびに例えば、欧州特許第780,729号公報に記載されているようなオキシムスルホン酸エステルが使用される。例えば欧州特許第497,531号および第441,232号公報に記載のような、ピリジニウムおよび(イソ)キノリニウム塩も、新規な光開始剤と組み合わせて使用してもよい。
【0067】
単独、または他の公知の光開始剤および増感剤との混合物中のいずれかでの、新規光開始剤は、水または水溶液中の分散体もしくはエマルジョンの形でも用いることができる。
【0068】
興味があることは、式Iの化合物に加えて、少なくとも1種のα−アミノケトン、特に(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタンまたは(4−モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチルアミノプロパンを含む組成物である。
【0069】
光重合性組成物は、一般に、固体組成物に対して0.05〜25重量%、好ましくは0.01〜10重量%、特に0.01〜5重量%の光開始剤を含む。この量は、開始剤の混合物を用いる場合には、加えられるすべての光開始剤の合計を意味する。したがって、この量は、光開始剤(b)、または光開始剤(b)+(c)のいずれかを意味する。
【0070】
光開始剤に加えて、光重合性混合物は、様々な添加剤(d)を含んでよい。これらの例は、時期尚早の重合を防止しようとする熱阻害剤であって、例はヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、p−メトキシフェノール、β−ナフトールまたは立体障害フェノール、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールである。暗所での貯蔵の際の安定性を増大させるために、例えば、銅化合物、例えばナフテン酸銅、ステアリン酸銅もしくはオクトエ酸銅、リン化合物、例えばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニルもしくは亜リン酸トリベンジル、四級アンモニウム化合物、例えばテトラメチルアンモニウムクロリドもしくはトリメチルベンジルアンモニウムクロリド、またはヒドロキシルアミン誘導体、例えばN−ジエチルヒドロキシルアミンである。重合の間に雰囲気酸素を排除するには、パラフィンまたは類似のろうのような物質を加えることができ、これらは、ポリマー中の溶解度が不十分であり、重合の初期に表面に移動し、空気の進入を妨げる透明な表面層を形成する。コーティングの表層に酸素不透過層、例えばポリ(ビニルアルコール−co−酢酸ビニル)を塗布することもできる。少量加えることができる光安定剤は、UV吸収剤、例えばヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、オキサルアミドまたはヒドロキシフェニル−s−トリアジン型のものである。これらの化合物は、立体障害性アミン(HALS)の存在または不在下で、個々にまたは混合物として用いることができる。
【0071】
そのようなUV吸収剤および光安定剤の例は、
1.2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−〔2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル〕−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−〔2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル〕−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾールの混合物、2,2’−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール〕;2−〔3’−tert−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル〕ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;〔R−CH2CH2−COO(CH232−(式中、R=3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル);
【0072】
2.2−ヒドロキシベンゾフェノン、例えば4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクトキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2’,4’−トリヒドロキシ−および2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−誘導体;
【0073】
3.置換または非置換安息香酸のエステル、例えばサリチル酸4−tert−ブチルフェニル、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、ヘキサデシル 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアートベンゾアート、オクタデシル 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアートベンゾアート、および2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアートベンゾアート;
【0074】
4.アクリレート、例えばイソオクチルまたはエチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチルα−カルボメトキシシンナマート、ブチルまたはメチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナマート、メチルα−カルボキシメトキシ−p−メトキシシンナマートおよびN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン;
【0075】
5.立体障害性アミン、例えばセバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−s−トリアジンとの縮合生成物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラオエート、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、セバシン酸ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)、コハク酸ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオンおよび3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン;
【0076】
6.オキサルアミド、例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブチルオキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサルアミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エチルオキサニリド、および2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−tert−ブチルオキサニリドとのその混合物、o−およびp−メトキシ−、ならびにo−およびp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物;
【0077】
7.2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−ドデシル/トリデシルオキシ−(2−ヒドロキシプロピル)オキシ−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
【0078】
8.亜リン酸エステルおよびホスホン酸エステル、例えば、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルアルキル、亜リン酸フェニルジアルキル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリオクタデシル、二亜リン酸ジステアリルペンタエリトリチル、亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、二亜リン酸ジイソデシルペンタエリトリチル、二亜リン酸ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリチル、二亜リン酸ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリトリチル、二亜リン酸ビス−イソデシルオキシペンタエリトリチル、二亜リン酸ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリチル、二亜リン酸ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリチル、三亜リン酸トリステアリルソルビチル、二亜リン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12H−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12−メチルジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、亜リン酸ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチルおよび亜リン酸ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチル;
である。
【0079】
光重合を促進するために、成分(d)として、アミン、例えばトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、エチル−p−ジメチルアミノベンゾアート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾアート、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾアート、オクチル−p−N,N−ジメチルアミノベンゾアート、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−p−トルイジンまたはミヒラーケトンを添加することができる。アミンの作用は、ベンゾフェノン型の芳香族ケトンの添加によって強めることができる。酸素捕捉剤として用いることができるアミンの例は、欧州特許第339,841号公報に記載されているような置換N,N−ジアルキルアニリンである。その他の促進剤、共開始剤および自動酸化剤は、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、ホスホニウム塩、ホスフィンオキシドまたはホスフィンであって、例えば、欧州特許第438,123号、英国特許第2,180,358号公報、および特開平6−68,309号公報に記載されたとおりである。
【0080】
さらに、当技術に慣用の連鎖移動剤を、成分(d)として本発明に係る組成物に加えることができる。例は、メルカプタン、アミンおよびベンゾチアゾールである。
【0081】
光重合は、スペクトル感度をシフトまたは広げる(成分(d)としての)さらなる光増感剤または共開始剤を加えることによって、促進することもできる。これらは、特に芳香族化合物、例えばベンゾフェノンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、クマリンやフェノチアジンおよびその誘導体、そしてまた3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ローダニン、カンファーキノン、しかしまたエオシン、ローダミン、エリスロシン、キサンテン、チオキサンテン、アクリジン、例えば9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、シアニン、およびメロシアニン染料である。
【0082】
そのような化合物の特定の例は、
1.チオキサントン
チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ−〔2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル〕チオキサントン、1,3−ジメチル−2−ヒドロキシ−9H−チオキサンテン−9−オン 2−エチルヘキシルエーテル、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、N−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−カルボン酸ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド;
【0083】
2.ベンゾフェノン
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(メチルエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(p−イソプロピルフェノキシ)ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(トルエン−4−スルホニル)プロパン−1−オン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタナミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−〔2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチルベンゼンメタナミニウムクロリド;
【0084】
3.クマリン
クマリン1、クマリン2、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン102、クマリン106、クマリン138、クマリン152、クマリン153、クマリン307、クマリン314、クマリン314T、クマリン334、クマリン337、クマリン500、3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3’−カルボニル−ビス〔5,7−ジ(プロポキシ)クマリン〕、3,3’−カルボニル−ビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、5,7−ジエトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ジメチルアミノ−3−フェニルクマリン、7−ジエチルアミノ−3−フェニルクマリン、特開平9−179,299号および特開平9−325,209号公報に開示されたクマリン誘導体、例えば7−〔{4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−S−トリアジン−2−イル}アミノ〕−3−フェニルクマリン;
【0085】
4.3−(アロイルメチレン)チアゾリン
3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−ベンゾチアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン;
【0086】
5.ローダニン
4−ジメチルアミノベンザルローダニン、4−ジエチルアミノベンザルローダニン、3−エチル−5−(3−オクチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)ローダニン、特開平8−305,019号公報に開示された、式〔1〕、〔2〕、〔7〕のローダニン誘導体;
【0087】
6.その他の化合物
アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンジル、2−アセチルナフタレン、2−ナフトアルデヒド、ダンシル酸誘導体、9,10−アントラキノン、アントラセン、ピレン、アミノピレン、ペリレン、フェナトレン、フェントレンキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、クルクミン、キサントン、チオミヒラーケトン、α−(4−ジメチルアミノベンジリデン)ケトン、例えば2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2−(4−ジメチルアミノベンジリデン)インダン−1−オン、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−インダン−5−イルプロペノン、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド、フェノチアジン、メチルフェノチアジン、アミン、例えばN−フェニルグリシン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、4−ジメチルアミノアセトフェノン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾアート、ポリ(プロピレングリコール)−4−(ジメチルアミノ)ベンゾアートである。
【0088】
ベンゾフェノンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、またはクマリン誘導体よりなる群から選ばれる光増感剤化合物を、さらなる添加剤(d)として含む光重合性組成物が好ましい。
【0089】
硬化工程は、欧州特許第245,639号公報に記載されたとおり、光増感剤を、特に、(例えば二酸化チタンで)着色された組成物中に加えることによって、また熱条件下で遊離基を形成する成分、例えばアゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾスルフィド、ペンタアザジエンまたはペルオキシ化合物、例えばヒドロペルオキシド、またはペルオキシカルボナート、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシドを加えることによっても、支援することができる。
【0090】
本発明に係る組成物は、さらなる添加剤(d)として、光還元性染料、例えばキサンテン−、ベンゾキサンテン−、ベンゾチオキサンテン−、チアジン−、ピロニン−、ポルフィリン−もしくはアクリジン−染料、および/または照射によって切断できるトリハロゲンメチル化合物を含んでいてもよい。類似の組成物は、例えば欧州特許第445,624号公報に記載されている。
【0091】
当技術に公知のさらなる添加剤、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを、化合物(d)として、例えば、流動性向上剤、付着促進剤として加えてよい。界面活性剤、光学的光沢剤、顔料、染料、湿潤剤、平滑助剤、分散剤、凝集防止剤、酸化防止剤または充填剤は、添加剤(d)のさらなる例である。
厚く、かつ着色されたコーティングを硬化ために、例えば米国特許第5,013,768号明細書に記載されたような、ガラスマイクロ球または微粉化ガラス繊維を加えるのが適切である。
【0092】
添加剤(d)の選択は、用途分野、およびその分野に対して要求される特性に応じてなされる。上記の添加剤は、当技術に慣用され、従って、それぞれの用途において常用される量で加えられる。
【0093】
結合剤(e)もまた、新規組成物に加えることができる。これは、光重合性化合物が液体または粘稠な物質であるときに、特に好都合である。結合剤の量は、例えば、全固体含量に対して2〜98重量%、好ましくは5〜95重量%、特に20〜90重量%であってよい。結合剤の選択は、用途分野、およびその分野に対して要求される特性、例えば、水性および有機溶媒系での現像能力、基材への接着、および酸素に対する感度に応じてなされる。
【0094】
適切な結合剤の例は、約2,000〜2,000,000、好ましくは5,000〜1,000,000の分子量を有するポリマーである。アルカリ現像性結合剤の例は、ペンダント基としてカルボン酸官能性を有するアクリル系ポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリル酸、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸およびモノ(メタ)アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトンのようなエチレン性不飽和カルボン酸と、(メタ)アクリル酸のエステル、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、モノ(メタ)アクリル酸グリセロール、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル;ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、ビニルベンジルグリシジルエーテル;アミド型不飽和化合物、(メタ)アクリルアミドジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメタクリルアミド;ならびにポリオレフィン型化合物、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど;メタクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、コハク酸モノ−2−〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチル、N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル、ポリスチレンマクロモノマー、またはポリ(メタ)アクリル酸メチルマクロモノマーから選ばれる1種以上のモノマーとを共重合させることによって得られる、従来の公知のコポリマーである。コポリマーの例は、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルと、アクリル酸またはメタクリル酸と、およびスチレンまたは置換スチレンとのコポリマー、フェノール樹脂、例えばノボラック、(ポリ)ヒドロキシスチレン、ならびにヒドロキシスチレンと、アクリル酸アルキル、アクリル酸および/またはメタクリル酸とのコポリマーである。コポリマーの好ましい例は、メタクリル酸メチル/メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/スチレンコポリマー、メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸ヒドロキシエチルコポリマー、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸/スチレンコポリマー、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸ヒドロキシフェニルコポリマーである。溶媒現像性結合剤ポリマーの例は、ポリ(メタクリル酸アルキル)、ポリ(アクリル酸アルキル)、ポリ(メタクリル酸ベンジル−co−メタクリル酸ヒドロキシエチル−co−メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸ベンジル−co−メタクリル酸);セルロースエステルおよびセルロースエーテル、例えば酢酸セルロース、アセト酪酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース;ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、環化ゴム、ポリエーテル、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびポリテトラヒドロフラン;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/ビニリデンコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリル、メタクリル酸メチルおよび酢酸ビニルとのコポリマー、ポリ酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリカプロラクタムやポリ(ヘキサメチレンアジピン酸アミド)のようなポリマー、ならびにポリ(エチレングリコールテレフタラート)やポリ(ヘキサメチレングリコールスクシナート)のようなポリエステルおよびポリイミド結合剤樹脂である。
本発明におけるポリイミド結合剤樹脂は、溶媒可溶性ポリイミドまたはポリイミド前駆体、例えばポリ(アミック酸)のいずれかであることもできる。
【0095】
好ましいものは、結合剤ポリマー(e)として、メタクリル酸エステルとメタクリル酸とのコポリマーを含む、光重合性組成物である。
さらに興味があることは、特にカラーフィルターに用いるための、例えば特開平10−171,119号公報に記載されているような、ポリマー結合剤成分である。
【0096】
光重合性組成物は、様々な目的に、例えば、印刷インク、例えばスクリーン印刷インク、オフセットもしくはフレキソ印刷インクとして、透明仕上げとして、例えば木材または金属に対する、白色もしくは有色仕上げとして、粉末コーティングとして、特に紙、木材、金属またはプラスチックに対する、コーティング材料として、建築物のマーキングや道路マーキング、写真複製手法、ホログラフィック記録材料、画像記録手法、または有機溶媒もしくは水性アルカリで現像できる印刷原版の製造、スクリーン印刷マスクの製造のための日光硬化性コーティングとして、歯科充填用組成物として、接着剤として、感圧接着剤として、積層用樹脂として、液体およびドライ双方のフィルム、エッチングレジスト、はんだレジスト、電気めっきレジストまたは永久レジストとして、プリント回路板や電子回路用の、光構成性誘電体として、様々なディスプレイ用途のためにカラーフィルターを製造するため、またはプラズマディスプレイパネルやエレクトロルミネッセンスディスプレイ装置の製造工程での構造の形成のため(例えば米国特許第5,853,446号明細書、欧州特許第863,534号公報、特開平9−244,230号、特開平10−62,980号、特開平8−171,863号公報、米国特許第5,840,465号明細書、欧州特許第855,731号公報、特開平5−271,576号、特開平5−67,405号公報に記載されているような)、ホログラフィックデータ保存(HDS)材料の製造のため、光学スイッチ、光学格子(干渉格子)、光回路の製造のため、大量硬化(透明成形用型でのUV硬化)またはステレオリトグラフィ手法による三次元的物品の製造(例えば米国特許第4,575,330号明細書に記載されているような)、複合材料(例えば、所望であれば、ガラス繊維および/またはその他の繊維ならびに他の助剤を含有してもよい、スチレン系ポリエステル)その他の厚層組成物の製造のため、電子部品および集積回路のコーティングまたは密封のためのレジストとして、あるいは光ファイバーのためまたは光学レンズ、例えばコンタクトレンズもしくはフレネルレンズ製造のためのコーティングとして用いることができる。本発明に係る組成物は、さらに、医用機器、補助具またはインプラントの製造にも適切である。さらに、本発明に係る組成物は、例えばドイツ国特許第19,700,064号および欧州特許第678,534号公報に記載されているような、サーモトロピック特性を有するゲルの製造に適切である。
【0097】
新規光開始剤は、乳化重合、パール重合もしくは懸濁重合のための開始剤として、液晶性モノマーおよびオリゴマーの秩序状態を固定するための重合開始剤として、または有機材料に染料を固着させるための開始剤として、さらに用いてもよい。
【0098】
コーティング材料では、モノ不飽和モノマーも同様にさらに含んでいてもよい、ポリ不飽和モノマーとのプレポリマーの混合物を用いることが多い。ここで、コーティングフィルムの特性を主として決定するのが、このプレポリマーであり、それを変えることによって、当業者が、硬化したフィルムの特性に影響を与えることができる。ポリ不飽和モノマーは、フィルムを不溶性にする架橋剤として機能する。モノ不飽和モノマーは、反応性希釈剤として機能して、溶媒を用いる必要なしに、粘度を低下させるのに用いられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、通常、モノ不飽和モノマー、好ましくはスチレンとともに二成分系で用いられる。フォトレジストのために、例えば、ドイツ国特許第2,308,830号公報に記載されているようなポリマレイミド、ポリカルコンまたはポリイミドがしばしば用いられる。
【0099】
新規光開始剤およびその混合物は、放射線硬化性粉末コーティングの重合に用いることもできる。粉末コーティングは、固体樹脂および反応性二重結合を含有するモノマー、例えばマレアート、ビニルエーテル、アクリレート、アクリルアミド、およびそれらの混合物に基づくことができる。遊離基によってUV硬化できる粉末コーティングは、不飽和ポリエステル樹脂と、固体のアクリルアミド(例えばメチルアクリルアミドグリコール酸メチル)および新規遊離基光開始剤とを混合することによって配合することができ、そのような配合物は、例えばM. Wittig and Th. Gohmannによる論文"Radiation Curing of Powder Coating", Conference Proceedings, Radtech Europe 1933に記載されている。粉末コーティングは、例えばドイツ国特許第4,228,514号および欧州特許第636,669号公報に記載されているような、結合剤を含んでいてもよい。遊離基によってUV硬化できる粉末コーティングは、不飽和ポリエステル樹脂と、固体のアクリレート、メタクリレートまたはビニルエーテル、および新規光開始剤(または光開始剤混合物)とを混合することによって配合してもよい。この粉末コーティングは、例えばドイツ国特許第4,228,514号および欧州特許第636,669号公報に記載されているような、結合剤を含んでもよい。このUV硬化性粉末コーティングは、白色または有色の顔料をさらに含んでいてもよい。例えば、良好な隠蔽力を有する硬化粉末コーティングを与えるために、好ましくは二酸化ルチルチタンを、50重量%以下の濃度で用いることができる。手順は、通常、基材、例えば金属または木材への粉末の静電気もしくは摩擦電気による吹付け、熱による粉末の融解、および滑らかなフィルムが形成された後の、例えば中圧水銀灯、金属ハロゲン化物灯またはキセノン灯を用いた、紫外光および/または可視光によるコーティングの放射線硬化を含む。放射線硬化性粉末コーティングの、対応する熱硬化性のそれに勝る特別な利点は、粉末粒子を融解した後の流動時間を遅らせて、滑らかで、高光沢性のコーティングの形成を確保できることである。熱硬化系とは対照的に、放射線硬化性粉末コーティングは、その寿命を短縮するという望ましくない効果なしに、より低い温度で融解するよう配合することができる。この理由のため、熱に敏感な基材、例えば木材またはプラスチックに対するコーティングとしても適切である。新規光開始剤系に加え、粉末コーティング配合物は、UV吸収剤も含んでいてもよい。適切な例は、上記第1〜8項に列挙されている。
【0100】
新規な光硬化性組成物は、例えば、保護層を施すか、または画像どおりの露光によって画像を生成することが意図される、すべての種類、例えば木材、繊維、紙、セラミック、ガラス、(ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート、ポリオレフィンまたは酢酸セルロースのような)プラスチックの、特にフィルムの形態で、またAl、Cu、Ni、Fe、Zn、MgまたはCoのような金属、およびGaAs、SiまたはSiO2のような基材用のコーティング材料として適切である。
【0101】
新規な放射線感受性組成物は、さらに、光に対して非常に高い感度を有し、アルカリ性水性媒体中で、膨潤なしに現像することができる、ネガ型レジストとしての用途を見出す。それらは、レリーフ印刷や平版印刷用の印刷型、グラビア印刷もしくはスクリーン印刷型の製造のため、レリーフコピーの製造、例えばブライユ点字でのテキストの製造のため、スタンプの製造のため、化学摩砕に用いるため、または集積回路の製造の際のマイクロレジストとして適切である。組成物は、さらに、コンピュータチップ、プリント板その他の電気もしくは電子部品の製造の際の、光作図可能な誘電性の層もしくはコーティング、封止材料、および隔離コーティングとして用いてもよい。可能性がある層支持体、および被覆基材の処理条件は、単に変化に対応する。
【0102】
新規組成物は、感光性の熱硬化性樹脂組成物、およびその使用によってはんだレジストパターンを形成する方法にも関し、より詳しくは、プリント回路板の製造、金属製品の精密工作、ガラスおよび石製品のエッチング、プラスチック製品の浮彫り、および印刷原版の製造のための材料として有用であり、特にプリント回路板のためのはんだレジストとして有用である新規な感光性の熱硬化性樹脂組成物、ならびにその樹脂組成物の層を、パターンを有するフォトマスクを通して化学線に選択的に露光させ、その層の非露光部分を現像する工程によって、はんだレジストパターンを形成する方法に関する。
【0103】
はんだレジストは、与えられた部分を、溶融はんだが不適切な部分および保護回路に接着するのを防ぐ目的で、プリント回路板にはんだ付けする際に用いられる物質である。そのため、高い接着性、絶縁抵抗、はんだ付け温度に対する耐性、溶媒に対する耐性、アルカリに対する耐性、酸に対する耐性、およびめっきに対する耐性のような特性を保有することが要求される。
【0104】
本発明に係る光硬化性組成物は、優れた熱安定性を有し、酸素による阻害に対して充分に耐性があるため、例えば欧州特許第320,264号公報に記載されているような、カラーフィルターまたは色モザイク系の形成に特に適切である。カラーフィルターは、通常、LCD、投影装置系および画像センサの製造に用いられる。カラーフィルターは、例えば、テレビ受像機、ビデオモニターまたはコンピュータのディスプレイ装置および画像スキャナー用に、フラットパネルディスプレイ技術等に用いることができる。
【0105】
カラーフィルターは、通常、ガラスの基材上に赤、緑および青色の画素、ならびに黒色のマトリックスを形成することによって製造される。これらの工程に、本発明に係る光硬化性組成物を用いることができる。特に好ましい使用方法は、赤、緑および青色の着色剤、染料および顔料を、本発明の感光性樹脂組成物に添加し、基材を組成物でコーティングし、コーティングを短時間の熱処理で乾燥し、コーティングを化学放射線の放射にパターンどおりに露光させ、続いてパターンをアルカリ性現像剤水溶液中で現像し、場合により熱処理することを含む。こうして、赤、緑および青色に着色されたコーティングを、所望の任意の順序で、この方法で相互に逐次重ね合わせることによって、赤、緑および青色の画素を有するカラーフィルター層を製造することができる。
【0106】
現像は、重合しなかった領域を適切なアルカリ現像液で洗い流すことによって実施する。この工程を繰り返して、複数の色を有する画像を形成する。
【0107】
本発明の感光性樹脂組成物では、少なくとも一つ以上の画素を、透明な基材上に形成し、次いで、透明な基材の、上記の画素が形成されていない側から露光する工程によって、上記の画素を、遮光マスクとして利用することができる。この場合、例えば、全体露光をする場合、マスクの位置調整は、不要になり、位置のずれに関する懸念が取り除かれる。そして、上記の画素が形成されない部分のすべてを硬化させることができる。さらに、この場合、遮光マスクを部分的に用いることによって、上記の画素が形成されない部分の一部を現像および除去することも可能である。
【0108】
いずれの場合も、先に形成される画素と、後に形成されるそれとの間に間隙が全く形成されないことから、本発明の組成物は、例えば、カラーフィルターの形成材料に適切である。具体的には、赤、緑および青色の着色剤、染料および顔料を、本発明の感光性樹脂組成物に添加し、画像を形成する工程を繰り返して、赤、緑および青色の画素を形成する。次いで、例えば黒色の着色材料、染料および顔料を加えた、感光性樹脂組成物を表面全体に準備する。全体露光(または遮光マスクを介しての部分露光)をその上に施して、黒色の画素を、赤、緑および青色の画素の間の空間全体(または遮光マスクの部分的領域以外の全体)に形成することができる。
【0109】
感光性樹脂組成物を基材(基材)にコーティングし、乾燥する工程に加えて、本発明の感光性樹脂組成物を、層移動材料にも用いることができる。すなわち、感光性樹脂組成物を、仮支持体、好ましくはポリエチレンテレフタラートフィルムまたは、酸素遮断層および剥離層、または剥離層および酸素遮断層を準備したポリエチレンテレフタラートフィルムに、層状に直接準備する。通常、取扱い時の保護用に、合成樹脂で製造された、除去可能な被覆シートを積層する。さらに、アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層、および中間層を準備し、さらに感光性樹脂組成物の層をその上に準備した、層構造も仮支持体に施すことができる(特開平5−173,320号公報)。
【0110】
上記の被覆シートは、使用時に除去し、感光性樹脂組成物の層を、恒久的支持体に積層する。続いて、酸素遮断層および剥離層を準備したときは、その組成物の層と仮支持体との間で、剥離層および酸素遮断層を準備したときは、剥離層と酸素遮断層との間で、剥離層または酸素遮断層のいずれも準備しなかったときは、仮支持体と感光性樹脂組成物の層との間で剥離を実施し、仮支持体を除去する。
【0111】
金属支持体、ガラス、セラミックおよび合成樹脂フィルムを、カラーフィルターの支持体として用いることができる。透明であり、優れた寸法安定性を有する、ガラスおよび合成樹脂フィルムは、特に好ましい。
【0112】
感光性樹脂組成物の層の厚さは、通常、0.1〜50μm、特に0.5〜5μmである。
【0113】
アルカリ性物質の希釈された水溶液は、組成物が、アルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性モノマーもしくはオリゴマーを含有する場合、さらに少量の水混和性有機溶媒をそれに加えることによって製造された、現像剤溶液を同様に含む場合、本発明の感光性樹脂組成物の現像液として用いることができる。
【0114】
適切なアルカリ性材料の例として、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウムおよびケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩(例えば、メタケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、水酸化テトラアルキルアンモニウム(例えば水酸化テトラメチルアンモニウム)、またはリン酸三ナトリウムが挙げられる。アルカリ性物質の濃度は、0.01〜30重量%であり、pHは、好ましくは8〜14である。
【0115】
水混和性の適切な有機溶媒として、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、メチル−3−メトキシプロピオネート、酢酸n−ブチル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ペンタノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタムおよびN−メチルピロリジノンが挙げられる。水と混和性である有機溶媒の濃度は、0.1〜30重量%である。
【0116】
さらに、公知の界面活性剤を加えることができる。界面活性剤の濃度は、好ましくは、0.001〜10重量%である。
【0117】
本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ性化合物を含有しない、2種以上の溶媒の混合物を含む、有機溶媒で現像することもできる。適切な溶媒として、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、メチル−3−メトキシプロピオネート、酢酸n−ブチル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ペンタノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタムおよびN−メチルピロリジノンが挙げられる。場合により、透明な溶液が依然として得られ、感光性組成物の非露光領域の十分な溶解性が維持されるレベルまで、水をこれらの溶媒に加えることができる。
【0118】
現像剤溶液は、当業者に公知のすべての形態で、例えば、浴液、パドルまたは吹付け溶液の形態で用いることができる。感光性樹脂組成物の層の硬化しなかった部分を除去するには、回転ブラシによる摩擦、および湿潤スポンジによる摩擦のような方法を組み合わせることができる。通常、現像液の温度は、好ましくは、ほぼ室温〜40℃である。現像時間は、感光性樹脂組成物の具体的な種類、現像液のアルカリ度および温度、ならびに加えた場合の有機溶媒の種類および濃度に従って変えることができる。通常、10秒〜2分である。現像工程の後に、洗浄工程を置くことができる。
【0119】
最終的な熱処理は、好ましくは、現像工程の後に実施する。したがって、露光によって光重合した層(以下、光硬化層と呼ぶ)を有する支持体を、電気炉または乾燥機内で加熱するか、または光硬化層を、赤外灯で照射するか、もしくはホットプレート上で加熱する。加熱温度および時間は、用いた組成物および形成された層の厚さに依存する。一般に、加熱は、好ましくは、約120〜約250℃で約5〜約60分間行う。
【0120】
着色されたカラーフィルターのレジスト組成物を包含する、本発明に係る組成物に含ませることができる顔料は、好ましくは、加工された顔料、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、マレイン酸樹脂およびエチルセルロース樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂に、顔料を微細に分散させることによって製造された、粉末状またはペースト状の製品である。
【0121】
赤色顔料は、例えば、単独でのアントラキノン型顔料、単独でのジケトピロロピロール型顔料、それらの混合物、またはそれらのうちの少なくとも1種およびジアゾ型黄色顔料もしくはイソインドリン型黄色顔料よりなる混合物、特に単独でのC.I.ピグメントレッド177、単独でのC.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177およびC.I.ピグメントレッド254の混合物、またはC.I.ピグメントレッド177およびC.I.ピグメントレッド254、およびC.I.ピグメントイエロー83もしくはC.I.ピグメントイエロー139のうち少なくとも一員よりなる混合物を含む(「C.I.」とは、当業者には公知であり、公に入手できる、色指数を意味する)。顔料に対してさらに適切な例は、C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、168、176、179、180、185、202、207、209、214、222、242、244、255、264、272およびC.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、31、53、55、93、95、109、110、128、129、138、139、150、153、154、155、166、168、185、199、213およびC.I.ピグメントオレンジ43である。
赤色用の染料の例は、C.I.ソルベントレッド25、27、30、35、49、83、89、100、122、138、149、150、160、179、218、230、C.I.ダイレクトレッド20、37、39、44、およびC.I.アシッドレッド6、8、9、13、14,18,26、27、51、52、87、88、89、92、94、97、111、114、115、134、145、151、154、180、183、184、186、198、C.I.ベーシックレッド12、13、C.I.ディスパースレッド5、7、13、17および58である。赤色染料は、黄色および/またはオレンジ色染料と組み合わせて使用することができる。
【0122】
緑色の顔料は、例えば、単独でのハロゲン化フタロシアニン型顔料、またはジアゾ型黄色顔料とのその混合物、キノフタロン型黄色顔料または金属錯体、特に単独でのC.I.ピグメントグリーン7、単独でのC.I.ピグメントグリーン36、またはC.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36およびC.I.ピグメントイエロー83のうち少なくとも一員よりなる混合物、C.I.ピグメントイエロー138またはC.I.ピグメントイエロー150を含む。その他の適切な緑色顔料は、C.I.ピグメントグリーン15、25および37である。
適切な緑色染料の例は、C.I.アシッドグリーン3、9、16、C.I.ベーシックグリーン1および4である。
【0123】
適切な青色顔料の例は、単独でか、またはジオキサジン型菫色顔料との組合せでかのいずれかで用いられるフタロシアニン型顔料、例えば、単独でのC.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23の組合せである。青色顔料のためのさらなる例は、C.I.ブルー15:3、15:4、16、22、28および60のようなものである。その他の適切な顔料は、C.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、37、177およびC.I.オレンジ73である。
適切な青色染料の例は、C.I.ソルベントブルー25、49、68、78、94、C.I.ダイレクトブルー25、86、90、108、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、103、104、158、161、C.I.ベーシックブルー1、3、9、25、およびC.I.ディスパースブルー198である。
【0124】
黒色マトリックスの光ポリマー組成物の顔料は、好ましくは、カーボンブラック、チタンブラックおよび酸化鉄よりなる群から選ばれる少なくとも一員を含む。しかし、全体で黒色の外見を与えるその他の顔料の混合物も、用いることができる。例えば、C.I.ピグメントブラック1、7および31は、単独でか、または組み合わせて用いることができる。
【0125】
カラーフィルターに使用する染料の他の例は、C.I.ソルベントイエロー2、5、14、15、16、19、21、33、56、62、77、83、93、162、104、105、114、129、130、162、C.I.ディスパースイエロー3、4、7、31、54、61、201、C.I.ダイレクトイエロー1、11、12、28、C.I.アシッドイエロー1、3、11、17、23、38、40、42、76、98、C.I.ベーシックイエロー1、C.I.ソルベントバイオレット13、33、45、46、C.I.ディスパースバイオレット22、24、26、28、C.I.アシッドバイオレット49、C.I.ベーシックバイオレット2、7、10、C.I.ソルベントオレンジ1、2、5、6、37、45、62、99、C.I.アシッドオレンジ1、7、8、10、20、24、28、33、56、74、C.I.ダイレクトオレンジ1、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ダイレクトブラウン6、58、95、101、173、C.I.アシッドブラウン14、C.I.ソルベントブラック3、5、7、27、28、29、35、45および46である。
【0126】
カラーフィルター作製のいくつかの特殊な場合において、補色の、黄色、マゼンタ、シアンおよび場合により緑色は、赤色、緑色および青色の代わりに使用される。この種類のカラーフィルター用の黄色として、上記の黄色顔料および黄色染料を用いることができる。マゼンタ色に適切な着色剤の例は、C.I.ピグメントレッド122、144、146、169、177、C.I.ピグメントバイオレット19および23である。シアン色の例は、アルミニウムフタロシアニン顔料、チタニウムフタロシアニン顔料、コバルトフタロシアニン顔料、およびスズフタロシアニン顔料である。
【0127】
いかなる色についても、2種類より多くの顔料を用いることもできる。カラーフィルターの用途に特に適切なものは、上記の顔料を樹脂中に微細に分散させることによって製造される、粉末状の加工された顔料である。
【0128】
全固体成分(様々な色の顔料および樹脂)中の顔料の濃度は、例えば、5〜80重量%の範囲内、特に20〜45重量%の範囲内である。
【0129】
カラーフィルターレジスト組成物中の顔料は、好ましくは、可視光の波長(400〜700nm)より小さい平均粒径を有する。特に好ましいのは、<100nmの平均顔料直径である。
【0130】
必要ならば、顔料は、分散剤で顔料を前処理して、液体配合物中の顔料の分散安定性を向上させることによって、感光性組成物中で安定化してよい。
好ましくは、本発明に係るカラーフィルターレジスト組成物は、成分(a)として、少なくとも1種の付加重合性モノマー化合物をさらに含有する。
【0131】
エチレン性不飽和化合物(a)は、1個以上のオレフィン性不飽和結合を含む。それらは、低分子量(モノマー状)または高分子量(オリゴマー状)のものであり得る。二重結合を含有する化合物の例は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル、ヒドロキシアルキルまたはアミノアルキル、例えば(メタ)アクリル酸メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、イソボルニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、エトキシエチル、グリセロール、フェノキシエチル、メトキシジエチレングリコール、エトキシジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリシジル、N,N−ジメチルアミノエチル、およびN,N−ジエチルアミノエチルである。他の例は、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、例えばN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、およびN−(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルエステル、例えばビニルアセテート、ビニルエーテル、例えばイソブチルビニルエーテル、スチレン、アルキル−、ヒドロキシ−、およびハロ−スチレン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、塩化ビニル、および塩化ビニリデンである。
【0132】
比較的高分子量(オリゴマー)の多不飽和化合物の例は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルおよびポリアミドであり、これらは、エチレン性不飽和カルボキシラートを含有する。
【0133】
特に適切な例は、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオールまたはポリエポキシドとのエステルである。
【0134】
不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、および不飽和脂肪酸、例えばリノレン酸またはオレイン酸である。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
【0135】
適切なポリオールは、芳香族、および特に脂肪族や脂環式のポリオールである。芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、ノボラックおよびレゾールである。脂肪族および脂環式ポリオールの例は、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2−もしくは1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−、もしくは1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200〜1,500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−、もしくは1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリエタノールアミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ペンタエリトリトールモノオキサラート、ジペンタエリトリトール、ペンタエリトリトールとエチレングリコールもしくはプロピレングリコールとのエーテル、ジペンタエリトリトールとエチレングリコールもしくはプロピレングリコールとのエーテル、ソルビトール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンおよび9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンである。他の適切なポリオールは、ポリマー鎖または側基にヒドロキシル基を含有するポリマーおよびコポリマーであり、例は、ビニルアルコールを含むかまたはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含むホモポリマーまたはコポリマーである。さらなる適切であるポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するエステルおよびウレタンである。
【0136】
ポリオールは、1種類の不飽和カルボン酸または異なる不飽和カルボン酸で、部分的にもしくは完全にエステル化されていてもよく、一部のエステル中では、遊離ヒドロキシル基は、修飾、例えばエーテル化または他のカルボン酸でエステル化されていてもよい。
【0137】
ポリオールをベースとするエステルの例は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレートモノオキサラート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートモノ(2−ヒドロキシエチル)エーテル、トリペンタエリトリトールオクタ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコナート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレートおよびトリ(メタ)アクリレート、分子量200〜1,500のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジイタコナート、ジペンタエリトリトールトリスイタコナート、ジペンタエリトリトールペンタイタコナート、ジペンタエリトリトールヘキサイタコナート、エチレングリコールジイタコナート、プロピレングリコールジイタコナート、1,3−ブタンジオールジイタコナート、1,4−ブタンジオールジイタコナート、テトラメチレングリコールジイタコナート、ソルビトールテトライタコナート、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリトリトールジクロトネート、エチレングリコールジマレアート、トリエチレングリコールジマレアート、ペンタエリトリトールジマレアート、ソルビトールテトラマレアート、またはこれらの混合物である。
【0138】
他の例は、以下の式(XII)および(XIII)に示されているペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトール誘導体である。
【0139】
【化13】

【0140】
(式中、
1は、−(CHCHO)−または−[CHCH(CH)O]−であり、
10は、−COCH=CHまたは−COC(CH)=CHであり、
pは0〜6(pの合計:3〜24)であり、qは0〜6(qの合計:2〜16)である)。
【0141】
ポリエポキシドの例は、上記ポリオールおよびエピクロロヒドリンに基づくものである。典型的な例は、ビス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、ならびにフェノールおよびクレゾールノボラックのグリシジルエーテルである。
【0142】
ポリエポキシドをベースとする成分(a)の典型例は、2,2−ビス[4−{(2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシ)プロポキシ}フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−{(2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシ)プロポキシエトキシ}フェニル]プロパン、9,9−ビス[4−{(2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシ)プロポキシ}フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−{(2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシ)プロポキシエトキシ}フェニル]フルオレン、およびノボラックをベースとするエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物である。
【0143】
上記ポリオールまたはポリエポキシドと、ヒドロキシ基を有する不飽和化合物、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルアルコールとの反応から得られるポリエーテルも、成分(a)として用いることができる。
【0144】
同様に成分(a)として適切なものは、同一であるかまたは異なる不飽和カルボン酸の、好ましくは2〜6個、特に2〜4個のアミノ基を有する芳香族、脂環式および脂肪族ポリアミンとのアミドである。そのようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−もしくは1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−もしくは1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ(β−アミノエトキシ)−もしくはジ(β−アミノプロポキシ)−エタンである。適切なその他のポリアミンは、好ましくは側鎖中にさらなるアミノ基を有するポリマーおよびコポリマー、ならびにアミノ末端基を有するオリゴアミドである。そのような不飽和アミドの例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレートおよびN〔(β−ヒドロキシエトキシ)エチル〕アクリルアミドである。
【0145】
他の例は、ポリイソシアネートとヒドロキシ基を有する不飽和化合物とから、またはポリイソシアネートと、ポリオールと、ヒドロキシ基を有する不飽和化合物とから誘導される不飽和ウレタンである。
【0146】
他の例は、鎖中にエチレン性不飽和基を有するポリエステル、ポリアミド、またはポリウレタンである。適切な不飽和ポリエステルおよびポリアミドはまた、例えばマレイン酸とジオールまたはジアミンとからも誘導される。マレイン酸のいくつかは、他のジカルボン酸によって置き換えることもできる。ポリエステルおよびポリアミドはまた、ジカルボン酸とエチレン性不飽和ジオールまたはジアミンとから、特に比較的長い鎖、例えば6〜20個の炭素原子を有するものから誘導されてもよい。ポリウレタンの例は、飽和または不飽和ジイソシアネートと、不飽和または飽和したジオールとからそれぞれ構成されたものである。
【0147】
側鎖中にアクリレートまたはメタクリレート基を有する、適切なその他のポリマーは、例えば、溶媒可溶性またはアルカリ可溶性のポリイミド前駆体、例えば、分子中の骨格またはエステル基のいずれかに結合した光重合性側鎖基を有する、すなわち欧州特許第624,826号公報に記載の、ポリアミック酸エステル化合物である。そのようなオリゴマーまたはポリマーは、高感度のポリイミド前駆体レジストを製造するために、場合により反応性希釈剤、例えば多官能性(メタ)アクリレートとともに配合することができる。
【0148】
成分a)の他の例もまた、分子構造中に少なくとも1個のカルボキシル官能基と少なくとも2個のエチレン性不飽和基とを有するポリマーまたはオリゴマーであり、例えば、フェノールまたはクレゾールノボラックエポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸との反応生成物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応によって得られる樹脂、例えばEB9696、UCB Chemicals; KAYARAD TCR1025、Nippon Kayaku Co., LTD などの商品である。多塩基酸無水物の例は、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水ジグリコール酸、無水イミノジ酢酸、無水1,1−シクロペンタンジ酢酸、無水3,3−ジメチルグルタル酸、無水3−エチル−3−メチルグルタル酸、無水2−フェニルグルタル酸、無水ホモフタル酸、無水トリメリト酸、無水クロレンド酸、ピロメリト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、およびビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物である。
【0149】
他の例は、式(XIV)の化合物と1種以上の上記多塩基酸無水物との重縮合反応および/または付加反応からの生成物である。
【0150】
【化14】

【0151】
(式中、Y1は、
【0152】
【化15】

【0153】
であり、
20は、水素またはメチルであり、
30およびR40は、互いに独立して、水素、メチル、Cl、またはBrであり、M2は、1〜10個の炭素原子を有する置換または非置換アルキレンであり、xは0〜5であり、yは1〜10である)。
【0154】
好ましい光重合性組成物は、成分(a)として、分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合と少なくとも1個のカルボン酸基とを有する化合物、特に、エポキシ基含有不飽和化合物をカルボン酸基含有ポリマーのカルボキシル基の一部に付加させることによって得られる反応生成物または下に示されている化合物と1種以上の多塩基酸無水物との反応生成物を含む。さらなる好ましい成分(a)は式XIVの化合物を含む。
【0155】
さらなる例は、エポキシ基含有不飽和化合物をカルボン酸基含有ポリマーのカルボキシル基の一部に付加させることによって得られる反応生成物である。カルボン酸含有ポリマーとして、不飽和カルボン酸化合物と1種以上の重合性化合物との反応の結果生じた上記結合剤ポリマー、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンおよび(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのコポリマー、(メタ)アクリル酸、スチレンおよびα−メチルスチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、スチレンおよび(メタ)アクリル酸ベンジルのコポリマー、(メタ)アクリル酸およびスチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸ベンジルのコポリマー、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、スチレンおよび(メタ)アクリル酸のコポリマーなどがある。
【0156】
エポキシ基を有する不飽和化合物の例は、式(V−1)〜(V−15)において下に示されている。
【0157】
【化16】

【0158】
(式中、R50は水素またはメチル基であり、M3は1〜10個の炭素原子を有する置換または非置換アルキレンである)。
【0159】
これらの化合物のうち、脂環式エポキシ基を有する化合物が特に好ましいが、その理由は、これらの化合物が、カルボキシ基含有樹脂との高い反応性を有し、したがって反応時間を短縮することができるからである。これらの化合物はさらに、反応過程においてゲル化を引起こさず、反応を安定して実施することを可能にする。他方、アクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジルは、感受性および耐熱性の観点から有利であるが、その理由は、これらが低い分子量を有し、エステル化の高い転化率を与えることができるからである。
【0160】
上記化合物の具体例は、例えばスチレン、α−メチルスチレンおよびアクリル酸のコポリマーまたはメタクリル酸メチルとアクリル酸のコポリマーと、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルとの反応生成物である。
【0161】
ヒドロキシ基を有する不飽和化合物、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルおよびモノ(メタ)アクリル酸グリセロールは、上記エポキシ基含有不飽和化合物の代わりに、カルボン酸基含有ポリマーに対する反応体として用いることができる。
【0162】
他の例は、無水物含有ポリマーの半エステル、例えば無水マレイン酸と1種以上の他の重合性化合物とのコポリマーと、アルコール性ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルまたはエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えば式(V−1)〜(V−15)において記載されている化合物との反応生成物である。
【0163】
アルコール性ヒドロキシ基を有するポリマー、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸、メタクリル酸ベンジルおよびスチレンのコポリマーと、(メタ)アクリル酸または塩化(メタ)アクリルとの反応生成物も、成分(a)として用いることができる。
【0164】
他の例は、二塩基酸無水物と少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物との反応と、それに続く不飽和化合物、多塩基酸無水物とのさらなる反応から得られる、末端不飽和基を有するポリエステルの反応生成物である。
【0165】
さらなる例は、カルボン酸含有ポリマーのカルボキシル基のすべてにエポキシ基含有(メタ)アクリル化合物を上記したように付加させることによって得られる反応生成物と、飽和または不飽和多塩基酸無水物との反応によって得られる樹脂である。
【0166】
光重合性化合物は、単独でまたは任意の所望の混合物として用いることができる。
【0167】
カラーフィルターレジスト組成物において、光重合性組成物中に含有されているモノマーの全量は、組成物の全固形含量、すなわち溶剤を含まないすべての成分の量を基準にして、好ましくは5〜80重量%、特に10〜70重量%である。
【0168】
カラーフィルターレジスト組成物に用いられる、アルカリ性水溶液に可溶であり、水に不溶である結合剤としては、例えば、1個以上の酸基および1個以上の重合性不飽和結合を分子内に有する重合性化合物のホモポリマー、またはその2種以上のコポリマー、ならびにこれらの化合物と共重合できる1個以上の不飽和結合を有し、酸基を全く含まない、1種以上の重合性化合物のコポリマーを用いることができる。そのような化合物は、1個以上の酸基および1種以上の重合性不飽和結合を分子内に有する、1種以上の低分子化合物と、これらの化合物と共重合できる1個以上の不飽和結合を有し、酸基を全く含有しない、1種以上の重合性化合物とを共重合させることによって得ることができる。酸基の例は、−COOH基、−SO3H基、−SO2NHCO−基、フェノール性ヒドロキシル基、−SO2NH−基および−CO−NH−CO−基である。これらのうち、−COOH基を有する高分子化合物が特に好ましい。
【0169】
好ましくは、カラーフィルターレジスト組成物中の有機ポリマー結合剤は、付加重合性モノマー単位として、少なくとも1種の、アクリル酸、メタクリル酸などのような不飽和有機酸化合物を含む、アルカリ可溶性コポリマーを含む。ポリマー結合剤のためのさらなるコモノマーとして、不飽和有機酸エステル化合物、例えばアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンなどを用いて、アルカリ溶解性、接着の固さ、耐薬品性等のような特性を均衡させることが好ましい。
【0170】
有機ポリマー結合剤は、例えば米国特許第5,368,976号明細書に記載されているような、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーのいずれかであることもできる。
【0171】
1個以上の酸基および1個以上の重合性不飽和結合を分子中に有する重合性化合物の例として、次の化合物が挙げられる。
【0172】
1個以上の−COOH基および1個以上の重合性不飽和結合を分子中に有する重合性化合物の例は、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリル酸、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシネート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]アジパート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ヘキサヒドロフタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]マレアート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]スクシネート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アジパート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]フタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]ヘキサヒドロフタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]マレアート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]スクシネート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]アジパート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]フタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]ヘキサヒドロフタラート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]マレアート、3−(アルキルカルバモイル)アクリル酸、α−クロロアクリル酸、マレイン酸、モノエステル化マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、無水マレイン酸、およびω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートである。
【0173】
ビニルベンゼンスルホン酸、および2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は、1個以上の−SO3H基および1個以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物の例である。
N−メチルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−エチルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−フェニルスルホニル(メタ)アクリルアミド、およびN−(p−メチルフェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミドは、1個以上の−SO2NHCO−基および1個以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物の例である。
【0174】
1個以上のフェノール性ヒドロキシル基および1個以上の重合性不飽和結合を分子内に有する重合性化合物の例は、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル−カルボニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニルチオエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、およびジヒドロキシ−フェニルチオエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0175】
1個以上の−SO2NH−基および1個以上の重合性不飽和結合を分子内に有する重合性化合物の例として、式(a)または(b):
【0176】
【化17】

【0177】
(式中、Y1およびY2は、それぞれ、−COO−、−CONA7−、または単結合を表し;A1およびA4は、それぞれ、HまたはCH3を表し;A2およびA5は、それぞれ、場合により置換基シクロアルキレン、アリーレンもしくはアラルキレンを有するC1〜C12アルキレン、エーテル基およびチオエーテル基が挿入されたC2〜C12アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、またはアラルキレンを表し;A3およびA6は、それぞれ、H、場合により置換基を有するシクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を表し;A7は、H、場合により置換基を有するC1〜C12アルキル、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を表す)
で表される化合物が挙げられる。
【0178】
1個以上の−CO−NH−CO−基および1個以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物として、マレイミドおよびN−アクリロイル−アクリルアミドが挙げられる。これらの重合性化合物は、重合によって、−CO−NH−CO−基を含む高分子化合物になり、主鎖とともに環が形成される。さらに、それぞれ−CO−NH−CO−基を有するメタクリル酸誘導体およびアクリル酸誘導体も、用いることができる。そのようなメタクリル酸誘導体およびアクリル酸誘導体として、メタクリルアミド誘導体、例えばN−アセチルメアクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−ブタノイルメタクリルアミド、N−ペンタノイルメタクリルアミド、N−デカノイルメタクリルアミド、N−ドデカノイルメタクリルアミド、N−ベンゾイルメタクリルアミド、N−(p−メチルベンゾイル)メタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド、N−(ナフチルカルボニル)メタクリルアミド、N−(フェニルアセチル)メタクリルアミド、および4−メタクリロイルアミノフタルイミド、ならびにこれらと同じ置換基を有するアクリルアミド誘導体が挙げられる。これらの重合性化合物は、重合して、−CO−NH−CO−基を側鎖に有する化合物になる。
【0179】
1個以上の重合性不飽和結合を有し、酸基を全く含まない、重合性化合物の例として、(メタ)アクリル酸のエステル、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メトキシフェニル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02.6]−デカン−8−イル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート;ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、ポリクロロスチレン、フルオロスチレン、ブロモスチレン、エトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチスチレン、ジメトキシスチレン、ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデン、1−メチルインデン;ビニルまたはアリルエステル、例えばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチラート、ビニルピバラート、ビニルベンゾアート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバラート、ビニルカプロアート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクタート、ビニルフェニルブチラート、ビニルシクロヘキシルカルボキシラート、ビニルサリチラート、ビニルクロロベンゾアート、ビニルテトラクロロベンゾアート、ビニルナフトアート、アリルアセテート、アリルプロピオネート、アリルブチラート、アリルピバラート、アリルベンゾアート、アリルカプロアート、アリルステアラート、アリルアセトアセテート、アリルラクタート;ビニルまたはアリルエーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルヘキシルエーテル、ビニルオクチルエーテル、ビニルエチルヘキシルエーテル、ビニルメトキシエチルエーテル、ビニルエトキシエチルエーテル、ビニルクロロエチルエーテル、ビニルヒドロキシエチルエーテル、ビニルエチルブチルエーテル、ビニルヒドロキシエトキシエチルエーテル、ビニルジメチルアミノエチルエーテル、ビニルジエチルアミノエチルエーテル、ビニルブチルアミノエチルエーテル、ビニルベンジルエーテル、ビニルテトラヒドロフルフリルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニルクロロエチルエーテル、ビニルジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントリルエーテル、アリルグリシジルエーテル;アミド型不飽和化合物、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジフェニル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘプチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドシクロヘキシル、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−トリル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、N−ナフチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−メチルフェニルスルホニル(メタ)アクリルアミドおよびN−(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシアクリルアミド;ポリオレフィン型化合物、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど;(メタ)アクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−シクロヘキシル−マレイミド、N−アルキルマレイミド、無水マレイン酸、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリブチル(メタ)アクリレートマクロモノマー;クロトナート、例えばブチルクロトナート、ヘキシルクロトナート、グリセリンモノクロトナート;ならびにイタコナート、例えばジメチルイタコナート、ジエチルイタコナート、ジブチルイタコナート;ならびにマレアートまたはフマラート、例えばジメチルマレアート、ジブチルフマラートから選ばれる、重合性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。
【0180】
コポリマーの好ましい例は、(メタ)アクリル酸メチルと(メタ)アクリル酸とのコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジルと(メタ)アクリル酸とのコポリマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルおよび(メタ)アクリル酸のコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸およびスチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのコポリマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸およびスチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸ヒドロキシフェニルのコポリマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸およびポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸およびポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、スチレンと、(メタ)アクリル酸のコポリマー、(メタ)アクリル酸メチルと、(メタ)アクリル酸およびポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸およびポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルおよびポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルおよびポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルおよびポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルおよびポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルおよびポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸およびスチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、モノ−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシナートおよびスチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、モノ−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシナートおよびスチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸グリセロールおよびスチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸ベンジル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、モノ(メタ)アクリル酸グリセロールおよびスチレンのコポリマー、ならびに(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸、N−シクロヘキシルマレイミドおよびスチレンのコポリマーである。
【0181】
同様に、ヒドロキシスチレンホモポリマーもしくはコポリマー、またはノボラック型フェノール樹脂、例えばポリ(ヒドロキシスチレン)およびポリ(ヒドロキシスチレン−co−ビニルシクロヘキサノール)、ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、およびハロゲン化フェノールノボラック樹脂も用いることができる。より具体的には、これには、例えば、メタクリル酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、イタコン酸コポリマー、クロトン酸コポリマー、例えばコモノマーとしてスチレンを有する無水マレイン酸コポリマー、およびマレイン酸コポリマー、ならびにそれぞれ例えば特公昭59−44615号(本明細書において用いられている「特公昭」という用語は、審査された日本特許公報のことを言う)、特公昭54−34,327号、特公昭58−12,577号、および特公昭54−25,957号、特開昭59−538,36号、特開昭59−71,048号、特開昭60−159,743号、特開昭60−258,539号、特開平1−152,449号、特開平2−199,403号、および特開平2−199,404号公報に記載されている、部分的にエステル化されたマレイン酸コポリマーであって、これらは、さらに例えば米国特許第5,650,263号明細書に開示されているアミンと反応させることができ、さらに、側鎖上にカルボキシル基を有するセルロース誘導体も用いることができ、特に好ましくは、(メタ)アクリル酸ベンジルと(メタ)アクリル酸とのコポリマーおよび(メタ)アクリル酸ベンジルと、(メタ)アクリル酸と、例えば米国特許第4,139,391号、特公昭59−44,615号、特開昭60−159,743号、および特開昭60−258,539号に記載されている他のモノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0182】
上記の有機結合剤ポリマーのうち、カルボン酸基を有するものに関しては、カルボン酸基のいくつかまたはすべてを、(メタ)アクリル酸グリシジルまたは(メタ)アクリル酸エポキシと反応させて、感光性、被覆フィルム強さ、コーティング溶媒、および耐薬品性、ならびに基材への接着力を向上させる目的で、光重合性有機結合剤ポリマーを得ることができる。例は、特公昭50−34,443号および特公昭50−34,444号号公報、米国特許第5,153,095号明細書、T. Kudo et al.のJ. Appl. Phys., Vol. 37 (1998), p. 3594-3603、米国特許第5,677,385号および第5,650,233号明細書に開示されている。
【0183】
結合剤の重量平均分子量は、好ましくは500〜1,000,000、例えば3,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜400,000である。
【0184】
これらの化合物は、単独でまたは2種以上の混合物として用いてもよい。感光性樹脂組成物中の結合剤の含量は、全固体物質に対して、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは15〜90重量%である。
【0185】
さらに、カラーフィルターでは、各色の全固体成分は、イオン性不純物捕捉剤、例えば、エポキシ基を有する有機化合物を含有してよい。全固体成分中のイオン性不純物捕捉剤の濃度は、一般的には、0.1〜10重量%の範囲内である。
【0186】
カラーフィルター、特に顔料およびイオン性不純物捕捉剤の上記の組合せについての例は、欧州特許第320,264号公報に示されている。本発明に係る光開始剤、すなわち欧州特許第320,624号公報に記載のカラーフィルター配合物中の式I、IIおよびIIIの化合物は、トリアジン開始剤化合物に置き換えることができると理解される。
【0187】
本発明に係る組成物は、酸、例えば特開平10−221,843号公報に記載されているそれによって活性化される架橋剤、および熱的にまたは放射線によって酸を生成し、架橋反応を活性化する化合物をさらに含むことができる。
【0188】
本発明に係る組成物は、潜在性顔料を含有する感光性のパターンまたはコーティングの熱処理の間に、微細に分散した顔料に変換される潜在性顔料をも含むことができる。熱処理は、潜在性顔料を含有する光像形成性層の露光後または現像後に、実行することができる。そのような潜在性顔料は、例えば米国特許第5,879,855号明細書に記載のような、化学的に、熱的に、光分解でまたは放射線で誘起される方法を用いて、不溶性の顔料に変換することができる、可溶性顔料前駆体である。そのような潜在性顔料のこの変換は、化学線露光の際にまたは組成物への酸性化合物の添加によって酸を生成する化合物を加えることによって、増強することができる。したがって、本発明に係る組成物中に潜在性顔料を含む、カラーフィルターレジストを製造することもできる。
【0189】
カラーフィルターレジストの例、そのようなレジストの組成物、および加工条件は、T. Kudo et al.、Jpn. J. Appl. Phys. Vol.37 (1998) 3594; T. Kudo et al.、J. Photopolym. Sci. Technol. Vol.9 (1996) 109; K. Kobayashi、Solid State Technol. Nov. 1992、p S15-S18;米国特許第5,368,976号;米国特許第5,800,952号;米国特許第5,882,843号;米国特許第5,879,855号;米国特許第5,866,298号;米国特許第5,863,678号;特開平6−230,212号;欧州特許第320,264号;特開平9−269,410号;特開平10−221,843号;特開平1−090516号;特開平10−171,119号;米国特許第5,821,016号;米国特許第5,847,015号;米国特許第5,882,843号;米国特許第5,719,008号;欧州特許第881,541号、または欧州特許第902,327号の各公報および明細書によって示されている。
【0190】
本発明の光開始剤は、カラーフィルターレジスト、例えば上記の例に述べたそれらに用いることができるか、またはそのようなレジストでの既知の光開始剤を部分的または完全に交換することができる。本発明の新規な光開始剤の使用は、特定の結合剤樹脂、架橋剤およびここに述べたカラーフィルターレジストの配合物の例に限定されることなく、感光性カラーフィルターインクまたはカラーフィルターレジストを形成させるために、染料もしくは色顔料または潜在性顔料と組み合わせて、任意のラジカル重合性成分に連動して用いることができるということが当業者によって理解される。
【0191】
したがって、本発明の対象は、また、すべてが透明基材の上に感光性樹脂および顔料を含むものである赤色、緑色および青色(RGB)の色要素と場合により黒色のマトリックスとを準備し、基材の表面またはカラーフィルター層の表面のいずれかに透明電極を準備することによって製造されるカラーフィルターであって、前記感光性樹脂が、多官能性アクリレートモノマー、有機ポリマー結合剤および上記の式Iの光重合開始剤を含んでいる、カラーフィルターである。モノマーおよび結合剤成分ならびに適切な顔料は、上に記載されている。カラーフィルターの製造において、透明電極層は、透明基材の表面上に塗布することができるか、または赤色、緑色および青色の色要素および黒色マトリックスの表面に準備することができる。透明基材は、例えばさらにその表面に電極層を有することがでできるガラス基材である。
カラーフィルターのコントラストを改善するために、異なる色の色領域の間に黒色マトリックスを塗布することが好ましい。
【0192】
感光性組成物を用いて黒色マトリックスを形成し、かつ透明基材上に赤色、緑色および青色の色領域を分離する黒色パターンを形成するために、黒色感光性組成物を光リソグラフィ的にパターンどおりに曝露(すなわち、適切なマスクを通して)する代わりに、無機黒色マトリックスを用いることは、別の方法として可能である。そのような無機黒色マトリックスは、適切な画像方法、例えば、エッチングレジストで保護されていない領域の無機層をエッチングし、次いで残留エッチングレジストを除くことによる、エッチングレジストを用いた写真平版法パターン化を利用することにより、透明基材上の堆積(すなわち、スパッタリングされた)金属(すなわち、クロム)フィルムから形成させることができる。
【0193】
カラーフィルター製造方法において、黒色マトリックスを、どのように、かつどの工程で塗布することができるかについての様々な公知の方法がある。上で既述の赤色、緑色および青色(RGB)のカラーフィルターの形成の前に、透明基材上に直接に塗布することができるか、またはRGBカラーフィルターが、基材上に形成された後に塗布することができる。
【0194】
米国特許第5,626,796号明細書による液晶ディスプレイ装置用のカラーフィルターの異なる実施態様において、黒色マトリックスは、RGBカラーフィルター要素含有基材の反対側の基材上に塗布することができ、それは液晶層により前者から分離されている。
【0195】
透明電極層が、RGBカラーフィルター層要素および場合により黒色マトリックスを塗布した後に、堆積される場合には、保護層としてのさらなる保護フィルムを、電極層の堆積前に、例えば米国特許第5,650,263号明細書に記載されているように、カラーフィルター層上に塗布することができる。
【0196】
カラーフィルターの保護層を形成するために、感光性樹脂または熱硬化性樹脂組成物が使用される。組成物の硬化フィルムは平坦性、硬度、耐薬品性、耐熱性、特に可視領域での透過性、基材への接着性、および透明伝導性フィルム、例えばITOフィルムをその上に形成するための適切さに優れているので、本発明の感光性組成物はまた、そのような保護層を形成するために使用できる。保護層の製造において、保護層の不必要な部分、例えば基材を切断する罫線上または固体画像センサのボンディングパッド上は、特開昭57−42,009号、特開平1−130,103号および1−134,306号公報に記載されているように、基材から除去すべきであるとの要望がある。なお、上記の熱硬化性樹脂を用いて、良好な精度で保護層を選択的に形成することは困難である。しかし、感光性組成物は、写真平版法で保護層の不必要部分を容易に除去することを可能にする。
【0197】
本発明の感光性組成物は、加工における上記の差異にかかわらず、塗布しうる付加的な層にかかわらず、カラーフィルターカラーフィルターの設計における差異にかかわらず、赤色、緑色および青色の画素ならびに黒色マトリックスを製造するために用いることができるということは当業者に明らかである。着色要素を形成するための本発明に係る組成物の使用は、そのようなカラーフィルターの様々な設計および製造方法により限定されると考えるべきではない。
【0198】
本発明の感光性組成物は、カラーフィルターを形成するのに適切に用いることができるが、この用途に限定されない。ディスプレイの用途やディスプレイ要素における記録材料、レジスト材料、保護層、誘電層;塗料および印刷インクにも同様に有用である。
【0199】
本発明に係る感光性組成物は、液晶ディスプレイ装置、より詳しくは、スィッチング装置として薄膜トランジスター(TFT)を有するアクティブマトリックス型、およびスィッチング装置なしのパッシブマトリックス型のディスプレイ装置を包含する、反射型液晶ディスプレイ装置における層間絶縁層または誘電層を製造するためにも適切である。
【0200】
近年、液晶ディスプレイ装置は、その薄い厚さ、および軽量のために、例えば、携帯テレビセットおよび通信用ターミナル装置に広く用いられている。バックライトを用いる必要のない反射型液晶装置は、極度に薄く、軽量であり、電力消費を有意に削減できるため、特に需要がある。しかし、現在利用できる透過型カラー液晶ディスプレイ装置からバックライトを除去し、光反射板をディスプレイ装置の基材に加えたとしても、光の利用効率は低く、実用的な明るさを有することができないという問題を生じると思われる。
【0201】
この問題に対する解決策として、光の利用効率を高めるために、様々な反射型液晶ディスプレイ装置が提案されている。例えば、ある種の反射型液晶ディスプレイ装置は、反射機能を有する画素電極を含むよう設計されている。
【0202】
反射型液晶ディスプレイ装置は、絶縁性の基材と、その絶縁物質から間隔を置いて対向する基材とを含む。基材間の空間は、液晶で充填する。絶縁性基材上にはゲート電極を形成し、ゲート電極と絶縁性基材との双方を、ゲート絶縁フィルムで被覆する。次いで、半導体層を、ゲート電極の上方でゲート絶縁フィルム上に形成する。電源電極およびドレーン電極も、ゲート絶縁フィルム上に半導体層と接して形成する。電源電極、ドレーン電極、半導体層およびゲート電極は、互いに協働して、それによってスイッチング装置としてのボトムゲート型TFTを構成する。
【0203】
層間絶縁フィルムを、電源電極、ドレーン電極、半導体層およびゲート絶縁フィルムをそれで覆うように形成する。ドレーン電極上の層間絶縁フィルム全体に、接触孔を形成する。層間絶縁フィルムと、接触孔の内側の側壁との双方にアルミニウム製の画素電極を形成する。TFTのドレーン電極は、結果的に、層間絶縁フィルム越しに画素電極と接触する。層間絶縁層は、一般的には、粗くした表面を有し、画素電極が、光を拡散して、より広い視野角(可視角)を得る、反射板として作用するよう設計される。
【0204】
反射型液晶ディスプレイ装置は、画素電極が光反射板として作用することによって、光を用いる効率を著しく高める。
【0205】
上記の反射型液晶ディスプレイ装置では、層間絶縁フィルムは、写真平版法によって凹凸を有するよう設計される。表面を粗くするために凹凸のマイクロメートルオーダーでの微細な形状を形成かつ制御し、かつ接触孔を形成するには、ポジ型およびネガ型フォトレジストを用いた写真平版法を用いる。これらのレジストには、本発明に係る組成物が特に適切である。
【0206】
本発明に係る感光性組成物は、さらに、液晶ディスプレイパネル内の液晶部分のセル間隙を制御する、スペーサを製造するためにも用いることができる。液晶ディスプレイ装置内の液晶層を通して透過または反射される光の特性は、セル間隙に依存することから、画素アレー全体の厚さの精度および均一性は、液晶ディスプレイ装置ユニットの性能に関する決定的なパラメータである。液晶セルでは、セル内の基材間の間隔は、直径が数マイクロメートルのガラスまたはポリマーの球体を、スペーサとして基材の間にまばらに分布させることによって、一定に維持される。このように、これらのスペーサは、基材間の距離を一定の値に維持するように、基材間に保持される。この距離は、スペーサの直径によって決定される。スペーサは、基材間の最小の間隔を確保する;すなわち、基材間の距離の減少を防止する。しかし、それらは、基材が互いに遠く隔てられるのを、すなわち基材間の距離の増大を防ぐことはできない。さらに、スペーサビーズを用いるこの方法は、スペーサビーズの直径の均一性およびスペーサビーズのパネル上での均等な分散の困難さの問題とともに、画素アレー領域でのスペーサの位置に依存して、輝度および/または光学的開口度の不均一な配向および減少という問題を有する。最近、大型の画像表示領域を有する液晶ディスプレイ装置が、多大な関心を引き付けている。しかし、液晶セルの領域の増大は、一般に、セルを構成する基材の歪みを生じる。液晶の層構造は、基材の変形のせいで破壊される傾向がある。したがって、基材間の間隔を一定に保つためにスペーサを用いているときでさえ、大型の画像表示領域を有する液晶ディスプレイ装置は、ディスプレイ装置が外乱を受けるために実現不能になる。上記のスペーサ球体分散法に代えて、支柱をスペーサとして、セル間隙に形成する方法が提案されている。この方法では、樹脂の支柱をスペーサとして、画素アレー領域と対向電極との間の領域に形成して、所定のセル間隙を形成する。写真平版法で、接着特性を有する感光性材料が、例えば、カラーフィルターの製造工程に一般的に用いられる。この方法は、スペーサビーズを用いる従来の方法と比較すると、スペーサの位置、数および高さを自由に制御し得る点で好都合である。カラー液晶ディスプレイパネルでは、そのようなスペーサを、カラーフィルター要素の黒色マトリックス下の非像形成領域に形成する。従って、感光性組成物を用いて形成されたスペーサは、輝度および光学的開口度を減少させない。
【0207】
カラーフィルター用スペーサで保護層を形成するための感光性組成物は、特開2000−81,701号公報に開示され、スペーサ材料のための乾燥フィルム型フォトレジストも、特開平11−174,459号および特開平11−174,464号公報に開示されている。これらの文書に記載されたとおり、感光性組成物、液体およびドライフィルムフォトレジストは、少なくともアルカリまたは酸可溶性結合剤ポリマー、ラジカル重合性モノマー、およびラジカル開始剤を含む。ある場合には、エポキシドおよびカルボン酸のような熱架橋性成分を、さらに包含していてもよい。
【0208】
感光性組成物を用いてスペーサを形成する工程は、下記のとおりである:
感光性組成物を、基材、例えばカラーフィルターパネルに塗布し、基材を予備焼付けした後に、マスクを通して露光させる。次いで、基材を現像剤で現像し、パターン化して、所望のスペーサを形成する。組成物が何らかの熱硬化性成分を含有するときは、通常、後焼付けを実施して、組成物を熱硬化させる。
【0209】
本発明に係る光硬化性組成物は、その高い感度のため、(上記のような)液晶ディスプレイ装置用のスペーサを製造するのに適切である。
【0210】
本発明に係る感光性組成物は、液晶ディスプレイパネル、画像センサなどに用いられるマイクロレンズアレーを製造するのにも適切である。マイクロレンズは、検出器、ディスプレイ装置、および発光装置(発光ダイオード、横穴および縦穴レーザー)のような能動光電子工学装置に適合して、それらの光学的入出力の質を向上させる、受動光学的部品である。応用の分野は、広く、遠隔通信、情報技術、視聴覚サービス、太陽電池、検出器、固体光源、および光学的相互連絡のような分野を網羅する。現在の光学系は、様々な手法を用いて、マイクロレンズとマイクロ光学装置との間の効率的な結合を達成している。
【0211】
マイクロレンズアレーは、非発光性ディスプレイ装置、例えば液晶ディスプレイ装置の画素の領域で、照明光を集光して、ディスプレイ装置の輝度を上昇させるために、入射光を集光するために、または例えばファクシミリなどに用いられるライン画像センサの光電変換領域に画像を形成して、これらの装置の感度を向上させる手段として、そして液晶プリンターもしくは発光ダイオード(LED)プリンターに用いられる感光手段上に印刷しようとする画像を形成するために用いられる。
【0212】
最も一般的な用途は、電荷結合素子(CCD)のような固体画像感受性装置の光検出アレーの効率を向上させるために用いることである。検出器アレーでは、各検出器要素または画素でのできるだけ多くの光の捕集が求められる。各画素の上端にマイクロレンズを取り付けると、レンズは、進入する光を捕集し、レンズの大きさより小さい作動領域にその像を結ぶ。
【0213】
従来技術によれば、マイクロレンズアレーは、様々な方法により製造することができる;
(1)平面的配置のレンズパターンを、慣用の写真平版手法または同種のもので、熱可塑性樹脂上に描き、次いで、熱可塑性樹脂を、流動性を持つよう、樹脂の軟化点を越える温度まで加熱し、それによってパターンの端にたるみを生じさせる(いわゆる「再流動」)、凸レンズを得る方法(例えば、特開昭60−38,989号、特開昭60−165,623号、特開昭61−67,003号および特開2000−39,503号公報参照)。この方法では、用いた熱可塑性樹脂が感光性である場合に、この樹脂の露光によってレンズのパターンを得ることができる。
(2)成形用型またはスタンパーの使用によって、プラスチックまたはガラスの材料を成形する方法。この方法では、レンズ材料として、光硬化性樹脂および熱硬化性樹脂を用いることができる(国際公開特許第99/38,035号公報参照)。
(3)アライナの使用によって、感光性樹脂を所望のパターンで露光させたとき、未反応モノマーが非露光領域から露光領域に移動する結果、露光領域の膨張がもたらされる現象に基づいて、凸レンズを形成する方法〔例えば、Journal of the Research Group in Microoptics Japanese Society of Applied Physics, Colloquium in Optics, Vol. 5, No. 2, pp. 118-123 (1987)およびVol. 6, No. 2, pp. 87-92 (1988)参照〕。
支持基材の上面に、感光性樹脂層が形成される。その後、別個の遮光マスクを使用して、感光性樹脂層の上面を、水銀灯または同種のものの光で照射して、感光性樹脂層を露光させる。その結果、感光性樹脂層の露光部分は、凸レンズの形状に膨張して、複数のマイクロレンズを有する集光層を形成する。
【0214】
(4)感光性樹脂を近接露光の手法によって露光させる、凸レンズを得る方法であって、光マスクを、樹脂に接触させないで、パターンの端にくもりを生じさせて、光化学反応生成物の量を、パターンの端のくもりの度合いに応じて分布させる方法(例えば特開昭61−153,602号公報参照)。
(5)感光性樹脂を特定の強度分布で露光させて、光の強さに応じてある分布パターンの屈折率を形成する、レンズ効果を発生させる方法(例えば、特開昭60−72,927号および特開昭60−166,946号公報参照)。
本発明に係る感光性組成物は、上記の方法のいずれか一つにおいて、光硬化性樹脂組成物を用いてマイクロレンズアレーを形成するために用いることができる。
【0215】
特定のクラスの手法は、フォトレジストのような熱可塑性樹脂にマイクロレンズを形成することに集中している。一例が、PopovicらによってSPIE 898, pp. 23-25 (1988)という参考文献に出版されている。手法は、再流動手法と名付けられ、レンズのフットプリントを、例えばフォトレジストのような感光性樹脂での写真平版法によって、熱可塑性樹脂中に規定し、続いてこの材料をその再流動温度を越えて加熱する工程を含む。表面張力は、フォトレジストの島を、再流動前の最初の島に等しい体積を有する球形キャップ内に引き付ける。このキャップが、平凸マイクロレンズである。手法の長所は、とりわけ、単純性、再現性、および発光用または光検出用の光電子装置の上端に直接一体化できる可能性である。
ある場合には、再流動の前に、長方形状のパターン化されたレンズユニット上に保護層を形成して、再流動工程での球形キャップへの再流動なしに、樹脂の島の中央でのたるみ形成を回避する。保護層は、恒久的保護層として作用する。コーティング層もまた、感光性組成物で形成する。
【0216】
マイクロレンズアレーは、例えば欧州特許第932256号公報に開示されているような、成形用型またはスタンパーの使用によって製作することもできる。平面マイクロレンズアレーを製造する方法は、下記のとおりである:凸面部分が密に配置されたスタンパーの成形面に、離型剤をコーティングし、高い屈折率を有する光硬化性合成樹脂材料を、スタンパーの成形面上にセットする。次に、ガラス基板を合成樹脂材料に押し付け、それによって、合成樹脂材料を伸展させ、紫外線での照射または加熱によって合成樹脂材料を硬化させ、凸マイクロレンズを形成するよう成形する。その後、スタンパーを剥がす。次いで、低い屈折率を有する光硬化性合成樹脂材料を、接着層として凸マイクロレンズ上にさらにコーティングし、カバーガラス板へと作成したガラス基材を、合成樹脂材料に押し付け、それによって同様に伸展させる。合成樹脂材料を次いで硬化させ、最終的に、平面マイクロレンズアレーを形成する。
【0217】
米国特許第5,969,867号明細書に開示されているように、成形用型を用いる類似の方法が、プリズムシートの製造に適用されており、カラー液晶ディスプレイパネル用のバックライトユニットの一部として、輝度を高めるために用いられる。一方の側にプリズム列を形成するプリズムシートは、バックライトの発光面に取り付けられる。プリズムシートを製造するために、活性エネルギー線硬化性組成物を、金属、ガラスまたは樹脂で作成されたレンズ成形用型に入れて伸展させ、プリズム列等のレンズ形状を形成し、その後、透明な基材シートをその上に置き、活性エネルギー線放出源からの活性エネルギー線を、硬化用シートを通して照射する。製造されたレンズシートを、次いでレンズ成形用型から離型して、レンズシートを得る。
【0218】
レンズ切片を形成するのに用いられる活性エネルギー線硬化性組成物は、透明な基材への接着性、および適切な光学特性を含む、様々な特性を有していなければならない。
少なくとも従来技術の何らかのフォトレジストによるレンズは、光学スペクトルの青色端での光学的透過率が不十分であるため、いくつかの用途に対して望ましくない。
本発明に係る光硬化性組成物は、熱的にも光化学的にも、低い黄変特性を有するため、上記のマイクロレンズアレーの製造に適切である。
【0219】
新規な放射線感受性組成物は、特にバリヤーリブ、蛍光体層および電極の画像形成法のための、プラズマディスプレイパネル(PDP)の製造法に用いられる写真平版工程にも適切である。
PDPは、気体放電による発光によって画像および情報を表示するための、平面ディスプレイである。パネルの構成および操作の方法によって、二つの種類、すなわちDC(直流)型およびAC(交流)型が公知である。
【0220】
例示のため、DC型カラーPDPの原理を簡単に説明する。DC型カラーPDPでは、2枚の透明な基材(一般的にはガラス板)の間に介在する空間が、透明基材の間に挿入された格子状のバリヤーリブによって、多数の微細なセルに分割される。個々のセルには、放電気体、例えばHeまたはXeが密封される。各セルの後方の壁には、蛍光体層が存在し、放電気体の放電によって生成された紫外光によって励起されると、三原色の可視光を発する。2枚の基材の内面には、関連するセルを横切って互いに対向するよう、電極が配置される。一般に、陰極は、NESAガラスのような、透明な導電性材料のフィルムで形成される。前壁および後壁に形成されたこれらの電極間に高電圧が印加されたとき、セルに密封された放電気体は、プラズマ放電を誘発し、結果的に放射される紫外光によって、赤色、青色および緑色の蛍光要素を励起して発光し、画像を表示する。フルカラー表示系では、それぞれ、上記の赤色、青色および緑色の3原色の3種類の蛍光要素は、一体となって、一つの画素を形成する。
【0221】
DC型PDPにおけるセルは、格子のバリヤーリブ要素によって分割されるのに対し、AC型PDPにおけるそれは、基材面に互いに平行に配置されたバリヤーリブによって分割される。いずれの場合も、セルは、バリヤーリブによって分割される。これらのバリヤーリブは、発光放電を固定された領域内に閉じ込めて、隣接する放電セル間の誤った放電またはクロストークを除外し、理想的な表示を確保することを目的とする。
【0222】
本発明に係る組成物には、単色または多色であってもよい画像記録もしくは画像複製(コピー、複写)のための、単層またはそれ以上の層をなす材料の製造のための用途もある。さらにその上、材料は、色校正系に適切である。この技術では、マイクロカプセルを含有する配合物を適用でき、画像生成のために、放射線硬化の後に熱処理であることができる。そのような系および技術、ならびにその用途は、例えば米国特許第5,376,459号明細書に開示されている。
【0223】
式Iの化合物はまた、ホログラフィックデータ保存用途における光開始剤としても適切である。前記光開始剤は遊離基を発生し、ホログラフィックデータ保存に適切な青色レーザー放射線で照射すると、モノマーの重合を開始する。青色レーザーの波長範囲は、390〜420nm、好ましくは400〜410nm、特に405nmである。ホログラフィックデータ保存系(ホログラフィック記録媒体)は、例えば、速いアクセス時間で大量のデータを記録および読み出しするために使用される。本発明の光開始剤は、例えば、国際公開特許第03/021358号公報に記載されたような系に特に適している。
【0224】
ホログラフィックデータ保存系は、好ましくは、低屈折率マトリックス前駆体と高屈折率光重合性モノマーとのマトリックスネットワークからなる。マトリックス前駆体および光活性モノマーは、(a)マトリックス前駆体が硬化中に重合される反応が、光活性モノマーがパターン、例えばデータの書き込み中に重合される反応と独立しているように、かつ(b)マトリックスポリマーおよび光活性モノマーの重合からもたらされるポリマー(光ポリマー)が互いに適合するように、選択することができる。マトリックスは、光記録材料、すなわち、マトリックス材料に加えて光活性モノマー、光開始剤および/または添加剤が、少なくとも約105Pa、一般的には約105Pa〜109Paの弾性率を示すときに形成されると考えられる。
【0225】
メディアマトリックスは、「溶解」されて未反応のままに留まる光重合性モノマーの存在下に、架橋ネットワークとして生じるその場重合によって形成される。未反応光重合性モノマーを含有するマトリックスはまた、他の手段によって、例えば光反応性液状モノマーが均一に分配されている固形樹脂マトリックス材料を用いることによっても形成することができる。次いで、単色露光がホログラフィックパターンを発生させ、光度分布にしたがって、予め形成された固形マトリックス中で光反応性モノマーを重合させる。未反応モノマー(光度が最小であった場合)は、マトリックスを通して拡散し、モノマーおよびマトリックスの屈折率の差によってまたモノマーの相対体積分率によって決定される屈折率の変調を生じる。記録層の厚さは、数マイクロメートルから1ミリメートルの厚さまでの範囲内にある。このような厚いホログラフィックデータ保存層のために、レーザー波長においてこの層を透過性にして、光重合の程度が記録層中への露光深さに応じてできるだけ小さくなることを確実にするために、光開始剤は高い光反応性と低い吸光度とを併せ持つことが必要とされる。
【0226】
本発明の光開始剤は、405nmで高い反応性と低い吸光度とを併せ持ち、この用途に適切である。染料および増感剤を配合物に加えることもできる。青色レーザー放射線に適切な染料および増感剤は、例えばクマリン、キサントン、チオキサントン(上のリスト参照)である。
特に適切なものは、上記のリスト中の1項、2項および3項のチオキサントン、クマリンおよびベンゾフェノンである。
【0227】
光開始剤は、ホログラフィックデータ保存に必要とされるような厚い層中で、高感度でモノマーの光重合を可能にし、かつ青色レーザー放射に感受性の記録層をもたらすということが見出された。20ミクロンの厚さの光感受性層に2〜8重量%の濃度で適用されたとき、光開始剤は、レーザー波長において0.4未満、好ましくは0.2未満の光開始剤を含む層の吸光度をもたらす。
【0228】
光開始剤は、屈折率コントラスト調整感度が3x10-6Δn(mJ/cm2)である、340〜450nmの範囲の紫外波長で最大吸収を有する、光学物品(例えば、光学導波路)または例えばポリマーと有機光開始剤とを含む上述したホログラフィック記録媒体の製造に特に適切である。例えば、ポリマーは、成分1と成分2とを含む材料を重合することにより形成され、ここで成分1はNCO末端プレポリマーを含み、成分2はポリオールを含む。成分1は、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート、メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネートの誘導体である。成分2は、例えば、プロピレンオキシドのポリオールである。好ましくは、光活性モノマーは、アクリレートモノマーである。そのような媒体中で、書き込みにより引き起こされる収縮は、通常、0.25%未満である。
【0229】
光硬化は、さらに、印刷には非常に重要であるが、インクの乾燥時間が、グラフィック生産物の生産速度にとって決定的な要因であり、1秒の何分の1というオーダーでなければならないからである。UV硬化性インクは、スクリーン印刷およびオフセット印刷に特に重要である。
【0230】
上で既述のとおり、新規混合物は、印刷版の製造にも非常に適切である。この用途は、例えば、可溶性の直鎖ポリアミドまたはスチレン/ブタジエンおよび/もしくはスチレン/イソプレンゴム、カルボキシル基を有するポリアクリレートもしくはポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコールもしくはウレタンアクリレートと、光重合性モノマー、例えばアクリルアミドおよび/またはメタクリルアミド、あるいはアクリレートおよび/もしくはメタクリレートとの混合物、ならびに光開始剤を用いる。これらの(乾燥または湿潤)系のフィルムおよびプレートを、印刷された原版の陰画(または陽画)の上から露光させ、非硬化部分を続けて適切な溶媒または水溶液を用いて洗い落とす。
光硬化が用いられるもう一つの分野は、例えば、金属の板および管、缶または瓶のキャップをコーティングする場合は、金属のコーティングであり、そして、例えば、PVCを基材とする床または壁の被覆物のポリマーコーティングの光硬化である。
紙コーティングの光硬化の例は、ラベル、レコードジャケットおよびブックカバーの無色ワニス塗りである。
【0231】
同様に興味があることは、複合組成物から作られた成形品を硬化させるために、新規光開始剤を使用することである。複合化合物は、自己支持型マトリックス材料、例えばガラス繊維織物、または代替的に、例えば植物繊維からなり[K. -P. Mieck, T. Reussmann in Kunststoffe 85 (1995), 366-370参照]、これを光硬化配合物で含浸する。複合化合物を含む成形部品は、新規化合物を用いて製造したとき、高水準の機械的安定性および耐性を獲得する。新規化合物は、例えば欧州特許第7,086号公報に記載されたような、成型、含浸およびコーティング組成物における光硬化剤としても用いることができる。そのような組成物の例は、硬化活性および耐黄変性に関して厳格な要求に付されるゲルコート樹脂、および繊維強化成型品、例えば、平面であるか、または縦方向もしくは横方向に波形を有する光拡散パネルである。そのような成型品を製造する手法、例えば、手作業のレイアップ、吹付けレイアップ、遠心注型、またはフィラメント巻取りは、例えば、P.H. Seldenによる"Glasfaserverstarkte Kunststoffe", p.610, Springer Verlag Berlin-Heidelberg-New York 1967に記載されている。これらの手法によって製造できる物品の例は、ガラス繊維強化プラスチックの両面コーティングを有する、ボート、繊維ボード、またはチップボードパネル、管材、容器等である。成型、含浸およびコーティング組成物のさらなる例は、ガラス繊維(GRP)を含む成型品に対するUP樹脂ゲルコート、例えば波形シートおよびラミネート紙である。ラミネート紙は、尿素樹脂またはメラミン樹脂に基づくものであってもよい。ラミネートの製造の前に、ゲルコートを支持体(例えばフィルム)上に形成する。新規な光硬化性組成物は、樹脂の注型、または物品、例えば電子部品の埋め込み等にも用いることができる。
【0232】
本発明に係る組成物および化合物は、ホログラフィー、導波路、光スイッチの製造に用いることができ、照射領域と非照射領域との間で屈折率の差が発生するという利点が利用される。
【0233】
結像手法および情報担体の光学的生成のための光硬化性組成物の使用も重要である。そのような用途では、上に既述のとおり、支持体に適用された層(湿潤または乾燥)を、例えば光マスクを通して、UVまたは可視光で画像どおりに照射し、層の非照射領域を、現像剤での処理によって除去する。金属への光硬化層の塗布は、電着によって実施することもできる。露光領域は、架橋によってポリマー状になり、そのため、不溶性であり、支持体に残留する。適切な着色が可視的な画像を生成する。支持体が金属化された層であるときは、金属は、露光および現像の後に、非露光領域をエッチング除去するか、または電気めっきによって強化することができる。このようにして、電子回路およびフォトレジストを生成することができる。画像形成材料に用いた場合は、新規光開始剤は、いわゆるプリントアウト画像を生成し、それにより、照射で色変化が引き起こされる、優れた性能を提供する。そのようなプリントアウト画像を形成するには、様々な染料、および/またはそのロイコ形態が用いられ、そのようなプリントアウト画像系についての例は、例えば国際公開特許第96/41,240号、欧州特許第706,091号、第511,403号公報、米国特許第3,579,339号および第4,622,286号明細書に見出すことができる。
【0234】
新規光開始剤はまた、逐次ビルドアップ(build-up)法により製造される多層回路板の誘電体層を形成するための光パターン化可能な組成物に適切である。
【0235】
本発明は、上記のとおり、着色および非着色塗料およびワニス、粉末コーティング、印刷インキ、印刷板、接着剤、歯科用組成物、ゲルコート、電子工学用フォトレジスト、例えば電気メッキ用レジスト、エッチングレジスト、液体およびドライ双方のフィルム、はんだレジスト、多様なディスプレイ用途のためのカラーフィルターを製造するための、またはプラズマディスプレイパネル(例えば、バリヤーリブ、蛍光体層、電極)、エレクトロルミネセンスディスプレイおよびLCD(例えば、層間絶縁層、スペーサー、マイクロレンズアレー)、LCD用、ホログラフィックデータ保存(HDS)用のスペーサーの製造工程において構造を形成するためのレジストとしての、電気部品および電子部品の封止のための組成物としての、磁気記録材料、微小機械部品、導波路、光スイッチ、メッキ用マスク、エッチングマスク、色校正系、ガラス繊維ケーブルのコーティング、スクリーン印刷用ステンシルの生産のための、ステレオリトグラフィーによる三次元物体の生産のための、ならびに画像記録材料、特にホログラフィック記録のための、マイクロ電子回路、脱色材料、画像記録材料用の脱色材料のための、マイクロカプセルを用いる画像記録材料のための、プリント回路基板の逐次的ビルドアップ層における誘電体層の形成に用いられるフォトレジスト材料としての、組成物を提供する。
【0236】
写真情報の記録に用いられる基材は、例えば、ポリエステルのフィルム、酢酸セルロースまたはポリマー被覆した紙を包含し;オフセット印刷用紙のための基材は、特別に処理されたアルミニウムであり、プリント回路の生成のための基材は、銅クラッド積層板であり、集積回路の生成のための基材は、例えば、シリコンウエハーである。写真材料およびオフセット印刷用紙のための感光層の層厚は、一般的には、約0.5〜10μmであるが、プリント回路のためには、0.1〜約100μmである。基材のコーティングの後、溶媒を、一般的には乾燥によって、除去して、基材上にフォトレジストの塗膜を残留させる。
【0237】
基材のコーティングは、基材に液体組成物、溶液または懸濁液を塗布することによって実施する。溶媒および濃度の選択は、主として、組成物の種類およびコーティング手法に依存する。溶媒は、不活性でなければならない、すなわち、成分との化学的反応を経てはならず、コーティング後に、乾燥の過程で再度除去できなければならない。適切な溶媒の例は、ケトン、エーテルおよびエステル、例えばメチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、2−ペンタノンおよび乳酸エチルである。
【0238】
溶液は、公知のコーティング手法、例えばスピンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、ブラシ塗装、吹付け、特に静電吹付けおよび逆ロールコーティングによって、また電気泳動沈着をも用いて、基材に均一に塗布する。感光層を、仮の柔軟な支持体に塗布し、次いで、積層により層を移動させることによって、最終的な基材、例えば銅クラッド回路板またはガラス基材をコーティングすることもできる。
塗布量(塗膜厚さ)、および基材(層支持体)の性質は、所望の適用分野に依存する。塗膜厚さの範囲は、一般的には、約0.1〜100μm以上、例えば0.1μm〜1cm、好ましくは0.5〜1,000μmの値を含む。
【0239】
基材をコーティングしたのち、一般的には乾燥によって、溶媒を除去して、フォトレジストの、基本的に乾燥したレジストフィルムを基材に残留させる。
【0240】
新規組成物の感光度は、一般に、約150nm〜600nm、例えば190nm〜600nm(UV〜可視領域)に達することができる。適切な放射線は、例えば、日光、または人工光源からの光の中に存在する。その結果、多くの非常に様々な種類の光源が用いられる。点光源およびアレー(「ランプカーペット」)の双方が適切である。例は、炭素アーク灯、キセノンアーク灯、金属ハロゲン化物のドーピングをすることができる(金属ハロゲン灯)、低、中、高および超高圧水銀灯、マイクロ波で励起される金属蒸気灯、エキシマーランプ、スーパーアクチニック蛍光管、蛍光灯、アルゴン白熱灯、電子閃光、写真用フラッドランプ、発光ダイオード(LED)、電子ビームおよびX線である。ランプと、本発明により露光しようとする基材との間の距離は、目的の用途、ならびにランプの種類および出力に応じて変動してもよく、例えば2cm〜150cmであってよい。レーザー光源、例えばエキシマーレーザー、例えば157nm露光でのF2エキシマーレーザー、248nmでの露光用のKrFエキシマーレーザー、および193nmでの露光用のArFエキシマーレーザーも適切である。可視領域でのレーザーも、用いることができる。
【0241】
用語「画像どおり(imagewise)」の露光は、所定のパターンを含む光マスク、例えばスライド、クロムマスク、ステンシルマスクまたはレチクルを通しての露光と、例えば、コーティングされた基材の表面上をコンピュータ制御下で移動し、このようにして画像を生じる、レーザーまたは光ビームによる露光との双方を含む。この目的に適したUVレーザー露光系は、例えばEtecおよびOrbotech (DP-100(登録商標)DIRECT IMAGING SYSTEM)により提供される。レーザー光源の他の例は、例えばエキシマーレーザー、例えば157nm露光でのF2エキシマーレーザー、248nmでの露光用のKrFエキシマーレーザー、および193nmでの露光用のArFエキシマーレーザーである。さらに適切なものは、固相UVレーザー(例えば、ManiaBarcoからのGemini、PENTAXからのDI-2050)および405nm出力の紫色レーザーダイオード(PENTAXからのDI-2080、DI-PDP)である。可視光領域のレーザーも用いることができる。そして、コンピュータ制御照射はまた、電子ビームによっても達成できる。例えば、A. Bertsch, J.Y. Jezequel, J.C. AndreがJournal of Photochemistry and Photobiology A: Chemistry 1997,107, p.275-281で、またK.-P. NicolayがOffset Printing 1997, 6, p.34-37に記載したように、デジタル画像を生成するように画素ごとに対応できる、液晶で作成されたマスクを用いることも可能である。
材料を画像どおりに露光したのち後、現像の前に、熱処理を短時間実施するのが、好都合である場合がある。現像の後、熱による後焼付けを実施して、組成物を堅固にし、溶媒のすべての痕跡を除去することができる。用いられる温度は、一般的には、50〜250℃、好ましくは80〜220℃であり;熱処理の持続時間は、一般的には、0.25〜60分間である。
【0242】
光硬化性組成物は、例えばドイツ国特許第4,013,358号公報に記載されたように、印刷版またはフォトレジストを生成する方法にさらに用いてもよい。そのような方法では、組成物を、画像どおりの照射の前に、同時に、またはその後に、少なくとも400nmの波長を有する可視光に、マスクなしで短時間露光させる。
【0243】
露光、および実行するならば、熱処理の後に、感光性コーティングの非露光領域を、現像剤を用いて、それ自体は公知である方法で除去する。
【0244】
既述のとおり、新規組成物は、水性アルカリまたは有機溶媒によって現像することができる。特に適切な水性アルカリ現像剤溶液は、水酸化テトラアルキルアンモニウムまたはアルカリ金属ケイ酸塩、リン酸塩、水酸化物および炭酸塩の水溶液である。少量の湿潤剤および/または有機溶媒も、所望であれば、これらの溶液に加えてもよい。現像剤液に少量加えてもよい、代表的な有機溶媒の例は、シクロヘキサノン、2−エトキシエタノール、トルエン、アセトン、およびそのような溶媒の混合物である。基材に応じて、溶媒、例えば有機溶媒も、または上記のように、そのような溶媒とのアルカリ水溶液の混合物も、現像剤として用いることができる。溶剤現像に特に有用な溶媒として、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、メチル−3−メトキシプロピオネート、酢酸n−ブチル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ペンタノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチルラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタムおよびN−メチルピロリドンが挙げられる。場合により、依然として清澄な溶液が得られ、感光性組成物の非露光領域の充分な溶解度が保たれるレベルまで、これらの溶媒に水を加えることができる。
【0245】
したがって、本発明は、また、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、すなわち、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を含有するモノマー、オリゴマーまたはポリマー化合物の光重合方法であって、これらの化合物に、上記の式Iの少なくとも1種の光開始剤を加え、得られた組成物を電磁放射線、特に、波長150〜600nm、特に190〜600nmの光、電子ビームまたはX線で照射することを含有する方法を提供する。
【0246】
本発明は、さらに、少なくとも一方の面を上記の組成物でコーティングされた、被覆基材を提供し、また、コーティングされた基材を画像どおりの露光に付し、次いで、非露光部分を現像剤で除去する、レリーフ像の写真的製造方法を記載する。画像どおりの露光は、マスクを通しての照射により、あるいは上に既述したレーザーもしくは電子ビームによって実施してもよい。この文脈で特に好都合なものは、上に既述したレーザービーム露光である。
【0247】
本発明の化合物は、良好な熱安定性および低い揮発性を有し、また、空気(酸素)の存在下での光重合にも適切である。さらに、それらは、光重合後の組成物において、ほんの少しの黄変を生じるにすぎない。
【0248】
下記の実施例は、本発明をより詳しく説明する。部および百分率は、明細書の残余および特許請求の範囲におけるとおり、別途示されない限り重量による。3個を越える炭素原子を有するアルキル基が、特定の異性体へのいかなる記述もなく言及される場合は、それぞれの場合n−異性体を意味する。
【0249】
実施例1:
1−[9−エチル−6−(4−モルホリン−4−イル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン オキシムO−アセテートの合成
【0250】
【化18】

【0251】
1.a 1−[9−エチル−6−(4−フルオロ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン
CH2Cl2(40ml)中のN−エチルカルバゾール(5.00g;25.60mmol)に、0℃で、塩化4−フルオロベンゾイル(4.06g;25.60mmol)およびAlCl3(3.41g;25.6mmol)を加えた。室温で4時間攪拌したのち、塩化アセチル(2.01g;25.60mmol)およびAlCl3(3.41g;25.6mmol)を0℃で加えた。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応が完結した後、反応混合物を氷水に注いだ。次いで、生成物をCH2Cl2で抽出した。有機層をH2O、飽和NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄し、その後無水MgSO4で乾燥した。減圧下で濃縮し、tert−ブチルメチルエーテル(TBME)で洗浄すると、粗生成物として灰色固体(7.20g)が得られた。この化合物は、さらに精製することなく、次の反応に使用した。構造は、1H−NMRスペクトル(CDCl3)により確認した。
【0252】
【表1】

【0253】
1.b 1−[9−エチル−6−(4−モルホリン−4−イル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)(10ml)中の1−[9−エチル−6−(4−フルオロ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン(1.30g;25.6mmol)に、モルホリン(1.07g;12.3mmol)を100℃で加えた。この反応混合物を、140℃で15時間撹拌した。反応が完結した後、反応混合物をHOに注ぎ、次いでろ過により、ベージュ色の固体が得られた。減圧下で濃縮すると、粗生成物としてベージュ色の固体(1.13g)が得られた。酢酸エチル/ヘキサン(1/3〜1/1)を溶離液として用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで、純粋な生成物が得られた(1.03g、67%)。構造は、1H−NMRスペクトル(CDCl3)により確認した。
【0254】
【表2】

【0255】
1.c 1−[9−エチル−6−(4−モルホリン−4−イル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン オキシム
2O(5ml)に溶解した塩化ヒドロキシルアンモニウム(0.20g;2.90mmol)および酢酸ナトリウム(0.24g;2.90mmol)に、DMA(10ml)中の1−[9−エチル−6−(4−フルオロ−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン(1.03g;2.41mmol)を15分間で加えた。次いで、混合物を100℃で4時間撹拌した。反応が完結した後、H2Oを反応混合物に加えた。次いで、得られた黄褐色固体を濾取し、H2Oで洗浄し、CH2Cl2に溶解し、続いて無水MgSO4で乾燥した。減圧下で濃縮して、粗生成物として黄褐色固体(1.21g)を得た。CH2Cl2/ヘキサン混合溶液を溶離液として用いる再沈殿により、純粋な黄色固体が得られた(0.81g、76%)。構造は、1H−NMRスペクトル(CDCl3)で確認した。
【0256】
【表3】

【0257】
1.d 1−[9−エチル−6−(4−モルホリン−4−イル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン オキシムO−アセテート
テトラヒドロフラン(THF)(20ml)中の1−[9−エチル−6−(4−モルホリン−4−イル−ベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン オキシム(0.80g;1.81mmol)に、トリエチルアミン(0.22g;2.17mmol)および塩化アセチル(0.17g;2.17mmol)を10℃で加えた。混合物を室温で2時間攪拌した。反応が完結した後、反応混合物をH2Oに注いだ。次いで、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄し、続いて無水MgSO4で乾燥した。減圧下で濃縮し、溶離液としてCH2Cl2−TBME(1:50)を用いて洗浄すると、標題生成物(0.70g;81%)が得られた。
【0258】
【表4】

【0259】
実施例2〜4:
実施例2〜4の化合物は、適切なエダクトを用いて、類似の方法で製造した。化合物およびそれらの性質を、以下の表1にまとめて示す。
【0260】
【表5】

【0261】
実施例5
ポリ(メタクリル酸ベンジル−co−メタクリル酸)の製造
メタクリル酸ベンジル24g、メタクリル酸6g、およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.525gをプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(PGMEA)90mlに溶解した。得られた反応混合物を、80℃に予め加熱した油浴に入れた。窒素下にて80℃で5時間攪拌した後、得られた粘稠な溶液を、室温まで冷却し、さらに精製することなく用いた。固体含有量は、約25%であった。
【0262】
感度試験
感度試験用の光硬化性組成物を、下記の成分を混合することにより製造した:
200.0重量部の、上記実施例で製造した、メタクリル酸ベンジルとメタクリル酸とのコポリマー(メタクリル酸ベンジル:メタクリル酸=80:20重量比)の25%プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(PGMEA)溶液
50.0重量部のジペンタエリトリトールヘキサアクリレート〔(DPHA)、UCB Chemicalsが供給〕
2.0重量部の光開始剤
150.0重量部のPGMEA
【0263】
すべての操作は、黄色光の下で実施した。組成物を、巻付け棒を備えた電動塗布器を用いてアルミニウム板に塗布した。対流式オーブン内で100℃、2分間加熱することによって、溶媒を除去した。乾燥フィルムの厚さは、約2μmであった。21ステップの異なる光学密度を有する、標準化された試験ネガフィルム(Stoufferステップウェッジ)を、フィルムとレジストとの間に、約100μmの空気間隙を持たせて置いた。露光は、250Wの超高圧水銀灯(USHIO、USH-250BY)を用いて15cmの距離で実施した。試験ネガフィルム上で光量計(ORCのUV-35検出器を備えたUV光測定器モデルUV-M02)によって測定した、総露光線量は、1000mJ/cm2であった。露光の後、露光したフィルムを、1%炭酸ナトリウム水溶液で、スプレー式現像装置(Walter Lemmen、モデルT21)を用いることにより、30℃で100秒間現像した。用いた開始剤系の感度を、現像後に残留した(すなわち重合した)、表示されているステップの最大番号によって特徴付けた。ステップの番号が大きいほど、試験した系の感度が高い。試験した化合物および結果を表2に列挙した。
【0264】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


(式中、
1、R2およびR10は、互いに独立して、C1〜C20アルキル、フェニル、C1〜C12アルキルフェニルまたはフェニル−C1〜C6アルキルであり;
3およびR4は、互いに独立して、水素、C1〜C20アルキル、NR67またはSR8であるが、ただしR3とR4の少なくとも1つは、NR67またはSR8であり;
5は、水素またはC1〜C20アルキルであり;
6およびR7は、互いに独立して、C1〜C20アルキルであるか、またはR6およびR7は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5員環もしくは6員環を形成し、それはO、SもしくはNR9で場合により中断されており、かつ1以上のC1〜C4アルキルで場合によりさらに置換されており;
8は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリルまたはフェナントリルであり、それらのすべては、1以上のC1〜C4アルキルで場合により置換されており;
9は、水素、C1〜C20アルキル、C2〜Cヒドロキシアルキルまたはフェニルである)
の化合物。
【請求項2】
1およびR2が、互いに独立して、C1〜C12アルキルであり;
3およびR4が、互いに独立して、水素、NR67またはSR8であるが、ただしR3とR4の少なくとも1つが、NR67またはSR8であり;
5が、水素であり;
6およびR7が、互いに独立して、C1〜C12アルキルであるか、またはR6およびR7が、それらが結合しているN原子と一緒になって、5員環もしくは6員環を形成し、それはOで場合により中断されており、かつ1以上のC1〜C4アルキルで場合によりさらに置換されており;
8が、フェニルであり;
10が、メチルである、
請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
(a)少なくとも1種のエチレン性不飽和光重合性化合物および
(b)光開始剤として、少なくとも1種の請求項1記載の式Iの化合物
を含む光重合性組成物。
【請求項4】
光開始剤(b)に加えて、少なくとも1種のさらなる光開始剤(c)および/または他の添加剤(d)を含む、請求項3記載の光重合性組成物。
【請求項5】
組成物を基準にして、0.05〜25重量%の光開始剤(b)または光開始剤(b)および(c)を含む、請求項3〜4いずれか1項記載の光重合性組成物。
【請求項6】
さらなる添加剤(d)として、光増感剤、特に、ベンゾフェノンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、アントラキンおよびその誘導体、またはクマリンおよびその誘導体からなる群より選択される化合物を含む、請求項3〜5いずれか1項記載の光重合性組成物。
【請求項7】
さらに、結合剤ポリマー(e)、特にメタクリレートとメタクリル酸とのコポリマーを含む、請求項3〜6いずれか1項記載の光重合性組成物。
【請求項8】
エチレン性不飽和二重結合を含有する化合物の光重合方法であって、請求項3〜7いずれか1項記載の組成物に、150〜600nmの範囲の電磁放射線、または電子ビームもしくはX線を照射することを含む方法。
【請求項9】
式Iの化合物の製造方法であって、式II:
【化2】


(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、請求項1に定義されたとおりである)
のオキシム化合物を、塩基の存在下で、式IIIもしくはIV:
【化3】


(式中、Halは、ハロゲン原子を意味し、R10は、請求項1に定義されたとおりである)
のハロゲン化アシルまたは無水物と反応させることによる製造方法。
【請求項10】
着色および非着色塗料およびワニス、粉末コーティング、印刷インキ、印刷版、接着剤、歯科用組成物、ゲルコート、電子工学用フォトレジスト、例えば電気メッキ用レジスト、エッチングレジスト、液体およびドライ双方のフィルム、はんだレジスト、多様なディスプレイ用途のためのカラーフィルターを製造するための、またはプラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネセンスディスプレイおよびLCDの製造工程において構造を形成するためのレジスト、LCD用、ホログラフィックデータ保存(HDS)用のスペーサーの生産のための、電気部品および電子部品の封止のための組成物としての、磁気記録材料、微小機械部品、導波路、光スイッチ、メッキ用マスク、エッチングマスク、色校正系、ガラス繊維ケーブルのコーティング、スクリーン印刷用ステンシルの生産のための、ステレオリトグラフィーによる三次元物体の生産のための、ならびにホログラフィック記録用の画像記録材料としての、マイクロ電子回路、脱色材料、画像記録材料用の脱色材料のための、マイクロカプセルを用いる画像記録材料のための、紫外および可視レーザー直接画像化系用のフォトレジスト材料としての、プリント回路基板の逐次的ビルドアップ層における誘電体層の形成に用いられるフォトレジスト材料としての、請求項3〜7いずれか1項記載の組成物の使用。
【請求項11】
着色および非着色塗料およびワニス、粉末コーティング、印刷インキ、印刷板、接着剤、歯科用組成物、ゲルコート、電子工学用フォトレジスト、例えば電気メッキ用レジスト、エッチングレジスト、液体およびドライ双方のフィルム、はんだレジスト、多様なディスプレイ用途のためのカラーフィルターを製造するための、またはプラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネセンスディスプレイおよびLCDの製造工程において構造を形成するためのレジスト、LCD用、ホログラフィックデータ保存(HDS)用のスペーサーの生産のための、電気部品および電子部品の封止のための組成物としての、磁気記録材料、微小機械部品、導波路、光スイッチ、メッキ用マスク、エッチングマスク、色校正系、ガラス繊維ケーブルのコーティング、スクリーン印刷用ステンシルの生産のための、ステレオリトグラフィーによる三次元物体の生産のための、ならびにホログラフィック記録用の画像記録材料としての、マイクロ電子回路、脱色材料、画像記録材料用の脱色材料のための、マイクロカプセルを用いる画像記録材料のための、紫外および可視レーザー直接画像化系用のフォトレジスト材料としての、プリント回路基板の逐次的ビルドアップ層における誘電体層の形成に用いられるフォトレジスト材料としての、請求項8記載の方法。
【請求項12】
請求項3記載の組成物で少なくとも1つの表面をコーティングされた被覆基材。
【請求項13】
請求項12記載の被覆基材を画像どおりの露光に付し、次いで非露光部分を現像液で除去する、レリーフ像の写真的製造方法。
【請求項14】
すべてが透明基材の上に感光性樹脂および顔料を含む赤色、緑色および青色の画像素子と黒色のマトリックスとを準備し、そしてその基材の表面またはカラーフィルター層の表面のいずれかに透明な電極を準備することによって製造されるカラーフィルターであって、前記感光性樹脂が、多官能性アクリレートモノマー、有機ポリマー結合剤および請求項1記載の式Iの光重合開始剤を含んでいる、カラーフィルター。
【請求項15】
式II:
【化4】


(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、請求項1に定義されたとおりである)
の化合物。

【公表番号】特表2008−509967(P2008−509967A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526449(P2007−526449)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053894
【国際公開番号】WO2006/018405
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】