説明

オキシムエステル光開始剤

【課題】光重合反応に優れた開始剤の提供。
【解決手段】式Iで表されるオキシムエステル化合物


(式中、R1はアルケニル基、ヘテロアリールアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、フェノキシカルボニルアルキル基、ヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基、ヘテロアリールチオアルキル基、アミノ基またはアミノアルキル基または−N(R4)(OR5)基で置換されたアルキル基を表し;R2はアルキル基を表し;R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子またはアルキルカルボニル基を表し;Arは所望により置換されたナフチル基、チエニル基またはフリル基を表す。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリレート化N−アルキルカルバゾールを含む特定のオキシムエステル化合物、及び、光重合性組成物中の光開始剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なオキシムエステル化合物及び光開始剤としてのそれらの用途は、例えば国際公開第02/100903号パンフレット、国際公開第04/050653号パンフレット、国際公開第06/018405号パンフレット、国際公開第07/062963号パンフレット、国際公開第07/071797号パンフレット又は国際公開第05/080337号パンフレットより知られている。
【特許文献1】国際公開第02/100903号パンフレット
【特許文献2】国際公開第04/050653号パンフレット
【特許文献3】国際公開第06/018405号パンフレット
【特許文献4】国際公開第07/062963号パンフレット
【特許文献5】国際公開第07/071797号パンフレット
【特許文献6】国際公開第05/080337号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光重合技術においては、極めて反応性に富み、製造が容易、並びに取扱いが容易な光開始剤に対する必要性が依然として存在する。例えば、カラーフィルタレジスト用途において、高度な着色レジストが高度なカラー品質特性のために要求される。顔料含有量の増加と共に、カラーレジストの硬化はより難しくなっている。このため、現在の開始剤に比べきわめて反応性に富む光開始剤が要求される。加えて、そのような新規光開始剤は、例えば高い溶解性、熱安定性及び貯蔵安定性などの特性に関して、業界の高い要件を満たさねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、式(I)
【化1】

(式中、
1は、いずれも非置換の又は置換された、炭素原子数2乃至25のアルケニル基、炭素
原子数1乃至20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3乃至20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素原子数8乃至20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素原子数1乃至20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基、炭素原子数1乃至20のヘテロアリールチオアルキル基、炭素原子数0乃至20のアミノ基または炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基を表し;又はR1
【化2】

及び所望によりさらなる基によって置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し

又はR1
連結基として、所望により置換された炭素原子数1乃至10のアルキレン基、−(CH=CH)n−基、−(C≡C)n−基、又はそれらの組み合わせを介してカルバゾール環と一緒になって環を形成し、前記形成された環は非置換であるかまたは置換されており;
nは0乃至3の整数を表し;
2は炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し;
4及びR5は互いに独立して水素原子又は炭素原子数1乃至20のアルキルカルボニル基を表し;
Arは所望により置換されたナフチル基、チエニル基又はフリル基を表す。)で表される化合物が上記要求を特に満たすことを見出した。
【0005】
本発明に従って、式(I)で表される化合物はエチレン性不飽和化合物またはそれら化合物を含む混合物の光重合のための光開始剤として使用される。
【0006】
炭素原子数1乃至20のアルキル基は、直鎖、分枝鎖又は環状であり、例えば、炭素原子数1乃至18の、炭素原子数1乃至14の、炭素原子数1乃至12の、炭素原子数1乃至8の、炭素原子数1乃至6の、または炭素原子数1乃至4のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二−ブチル基、イソブチル基、第三−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、ノルボルニル基、又は2−ノルボルネンメチル基である。
【0007】
炭素原子数2乃至25のアルケニル基は、モノ−不飽和またはポリ−不飽和の、直鎖又は分枝鎖又は環状であり、例えば、炭素原子数2乃至20の、炭素原子数2乃至16の、炭素原子数2乃至10の、炭素原子数2乃至8の、炭素原子数2乃至6の、炭素原子数2乃至5の、または炭素原子数2乃至4のアルケニル基である。例えば、アリル基、メタアリル基、ビニル基、1,1−ジメチルアリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1,3−ペンタジエニル基、1−シクロヘキセニル基、5−ヘキセニル基、又は7−オクテニル基、特にアリル基またはビニル基である。
【0008】
炭素原子数3乃至20のアルコキシカルボニルアルキル基は、直鎖、分枝鎖又は環状であり、例えばメトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルブチル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルオクチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、プロポキシカルボニルエチル基、n−ブチルカルボニルエチル基、プロポキシカルボニルメチル基、n−ブチルオキシカルボニルメチル基、イソブチルオキシカルボニルメチル基、1,1−ジメチルプロポキシカルボニルエチル基、ペンチルオキシカルボニルエチル基、ヘキシルオキシカルボニルメチル基、ヘプチルオキシカルボニルエチル基、オクチルオキシカルボニルエチル基、ノニルオキシカルボニルエチル基、デシルオキシカルボニルエチル基、ドデシルオキシカルボニルメチル基、テトラヒドロフルフリルカルボニルメチル基、テトラヒドロフルフリルメチルカルボニルエチル基などであり、特に、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基である。
【0009】
炭素原子数8乃至20のフェノキシカルボニルアルキル基は
【化3】

であり、式中、炭素原子数1乃至13のアルキル基は、しかるべき炭素原子数まで、上記炭素原子数1乃至20のアルキル基で示した意味のうちの一つである。
【0010】
置換された炭素原子数8乃至20のフェノキシカルボニルアルキル基は、例えば、1乃至4箇所、例えば1、2、又は3箇所、特に2又は3箇所置換されている。フェニル環における置換基は、好ましくはフェニル環の4位にか、または3,4−、3,4,5−、2,6−、2,4−または2,4,6−位に、特に4−位又は3,4−位に存在する。
【0011】
炭素原子数1乃至10のアルキレン基は、直鎖または分枝鎖状アルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などである。
【0012】
炭素原子数1乃至20のヘテロアリールアルキル基、例えば、炭素原子数2乃至20の、炭素原子数5乃至20の、炭素原子数6乃至20のヘテロアリールアルキル基は、アルキル基を介して結合されたヘテロアリール基である。対応するアルキル基は上記に記載されたとおりである。本発明に関連して、ヘテロアリール基は、一つの環系または複数の環系、例えば結合した環系のいずれをも含むことを意味する。例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、ジベンゾフリル基、クロメニル基、キサンテニル基、チオキサンチル基、フェノキサチニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キノアゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、7−フェナントリル基、アントラキノン−2−イル(=9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イル)基、3−ベンゾ[b]チエニル基、5−ベンゾ[b]チエニル基、2−ベンゾ[b]チエニル基、4−ジベンゾフリル基、4,7−ジベンゾフリル基、4−メチル−7−ジベンゾフリル基、2−キサンテニル基、8−メチル−2−キサンテニル基、3−キサンテニル基、2−フェノキシアチイニル基、2,7−フェノキシアチイニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、5−メチル−3−ピロリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、5−イミダゾリル基、2−メチル−4−イミダゾリル基、2−エチル−4−イミダゾリル基、2−エチル−5−イミダゾリル基、1H−テトラゾール−5−イル基、3−ピラゾリル基、1−メチル−3−ピラゾリル基、1−プロピル−4−ピラゾリル基、2−ピラジニル基、5,6−ジメチル−2−ピラジニル基、2−インドリジニル基、2−メチル−3−イソインドリル基、2−メチル−1−イソインドリル基、1−メチル−2−インドリル基、1−メチル−3−インドリル基、1,5−ジメチル−2−インドリル基、1−メチル−3−インダゾリル基、2,7−ジメチル−8−プリニル基、2−メトキシ−7−メチル−8−プリニル基、2−キノリジニル基、3−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、3−メトキシ−6−イソキノリル基、2−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、2−メトキシ−3−キノリル基、2−メトキシ−6−キノリル基、6−フタラジニル基、7−フタラジニル基、1−メトキシ−6−フタラジニル基、1,4−ジメトキシ−6−フタラジニル基、1,8−ナフトリジン−2−イル基、2−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、2,3−ジメチル−6−キノキサリニル基、2,3−ジメトキシ−6−キノキサリニル基、2−キナゾリニル基、7−キナゾリニル基、2−ジメチ
ルアミノー6−キナゾリニル基、3−シンノリニル基、6−シンノリニル基、7−シンノリニル基、3−メトキシ7−シンノリニル基、2−プテリジニル基、6−プテリジニル基、7−プテリジニル基、6,7−ジメトキシ−2−プテリジニル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、9−メチル−2−カルバゾリル基、9−メチル−3−カルバゾリル基、β−カルボリン−3−イル基、1−メチル−β−カルボリン−3−イル基、1−メチル−β−カルボリン−6−イル基、3−フェナントリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、2−ペリミジニル基、1−メチル−5−ペリミジニル基、5−フェナントロリニル基、6−フェナントロリニル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、10−メチル−3−フェノチアジニル基、3−イソキサゾリル基、4−イソキサゾリル基、5−イソキサゾリル基、4−メチル−3−フラザニル基、2−フェノキサジニル基、10−メチル−2−フェノキサジニル基などである。
【0013】
炭素原子数1乃至20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基、例えば、炭素原子数3乃至20の、炭素原子数5乃至20の、炭素原子数6乃至20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基は、結合基としてOCO−アルキル基(該アルキル基は、しかるべき炭素原子数になるまで、上記に定義されたとおりである。)をさらに有する、上述のヘテロアリール基を意味する。具体例は、チエニル−CO−アルキル基、フリル−CO−アルキル基などである。
【0014】
炭素原子数1乃至20のヘテロアリールチオアルキル基、例えば、炭素原子数2乃至20の、炭素原子数5乃至20の、炭素原子数6乃至20のヘテロアリールチオアルキル基は、結合基としてS−アルキル基(該アルキル基は、しかるべき炭素原子数になるまで、上記に定義されたとおりである。)をさらに有する、上述のヘテロアリールアルキル基を意味する。具体例は、チエニル−S−アルキル基、フリル−S−アルキル基などである。
【0015】
炭素原子数0乃至20のアミノ基は、アミノ基−NRxRyを意味し、式中、Rx及びRは互いに独立して水素原子又は炭素原子数1乃至20のアルキル基(ここで、アルキル基は上記に定義したとおりである)を表す。具体例は、−NH2基、メチルアミノ基、エ
チルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、エチルプロピルアミノ基などである。
【0016】
炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基は、上述の炭素原子数0乃至20のアミノ基で置換された上述の炭素原子数1乃至20のアルキル基(−炭素原子数1乃至20のアルキル基−NRxRy基)を意味する。
【0017】
炭素原子数1乃至20のアルキル基の適当な置換基は、例えば一つ以上のハロゲン、炭素原子数1乃至20のアシル基、ヒドロキシ基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数6乃至20のアリールオキシ基、炭素原子数1乃至20のアシルオキシ基、炭素原子数2乃至20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数7乃至20のアリールオキシカルボニル基、炭素原子数1乃至20のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1乃至20のアルキル)アミノ基、炭素原子数6乃至20のアリールアミノ基、ジ(炭素原子数6乃至20のアリール)アミノ基、炭素原子数6乃至20のアリール基、炭素原子数5乃至20のヘテロアリール基、炭素原子数5乃至20のヘテロアリール−(CO)O基、炭素原子数5乃至20のヘテロアリール−S基、CN基、NO2基、炭素原子数1乃至20のアル
キルスルホニル基、炭素原子数6乃至20のアリールスルホニル基、炭素原子数1乃至20のアルキルアミノカルボニル基、ジ(炭素原子数1乃至20のアルキル)アミノカルボニル基、炭素原子数6乃至20のアリールアミノカルボニル基、ジ(炭素原子数6乃至2
0のアリール)アミノカルボニル基、炭素原子数1乃至20のアシル−(炭素原子数1乃至20のアシルオキシ)−アミノ基、炭素原子数1乃至20のアルキルチオ基及び炭素原子数6乃至20ノアリールチオ基である。
【0018】
炭素原子数2乃至25のアルケニル基、炭素原子数6乃至20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3乃至20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素原子数8乃至20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素原子数6乃至20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基、炭素原子数6乃至20のヘテロアリールチオアルキル基及び炭素原子数0乃至20のアミノ基の、適当な置換基は、例えば、一つ以上のハロゲン、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至12のハロアルキル基、炭素原子数1乃至20のアシル基、ヒドロキシ基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数6乃至20のアリールオキシ基、炭素原子数1乃至20のアシルオキシ基、炭素原子数2乃至20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数7乃至20のアリールオキシカルボニル基、炭素原子数1乃至20のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1乃至20のアルキル)アミノ基、炭素原子数6乃至20のアリールアミノ基、ジ(炭素原子数6乃至20のアリール)アミノ基、炭素原子数6乃至20のアリール基、炭素原子数5乃至20のヘテロアリール基、炭素原子数5乃至20のヘテロアリール−(CO)O基、炭素原子数5乃至20のヘテロアリール−S基、CN基、NO2基、炭素原子数1乃至20のアルキルスルホニル基
、炭素原子数6乃至20のアリールスルホニル基、炭素原子数1乃至20のアルキルアミノカルボニル基、ジ(炭素原子数1乃至20のアルキル)アミノカルボニル基、炭素原子数6乃至20のアリールアミノカルボニル基、ジ(炭素原子数6乃至20のアリール)アミノカルボニル基、炭素原子数1乃至20のアシル−(炭素原子数1乃至20のアシルオキシ)−アミノ基、炭素原子数1乃至20のアルキルチオ基及び炭素原子数6乃至20のアリールチオ基である。
【0019】
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子であり、例えば塩素原子、フッ素原子及び臭素原子であり、特に塩素原子及びフッ素原子である。
炭素原子数1乃至12のハロアルキル基は、上記に定義したハロゲン原子によって置換された上記に定義した炭素原子数1乃至12のアルキル基である。アルキル基は例えばモノ−又はポリ−ハロゲン化され、最大で全てのH−原子がハロゲン原子によって置換される。例えばCnHxHalyであり、式中x+y=2n+1であり、Halはハロゲン原子を表し、好ましくはFである。具体例は、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、又は2−ブロモプロピル基であり、特にトリフルオロメチル基又はトリクロロメチル基である。
炭素原子数1乃至20のアシル基は、炭素原子数1乃至20のアルカノイル基、炭素原子数6乃至20のアリールカルボニル基または炭素原子数1乃至20のヘテロアリールカルボニル基に対応し、直鎖、分枝鎖または環状であり、例えば、炭素原子数1乃至18の、炭素原子数1乃至14の、炭素原子数1乃至12の、炭素原子数1乃至8の、炭素原子数1乃至6の、または炭素原子数1乃至4のアシル基、又は、炭素原子数4乃至12の、又は炭素原子数4乃至8のアシル基である。具体例は、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イコサノイル基、ベンゾイル基、2−トルオイル基、4−トルオイル基、4−メトキシベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2,4−ジクロロベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、2−フラニルカルボニル基、2−チオフェニルカルボニル基であり、好ましくはアセチル基である。
炭素原子数1乃至20のアルコキシ基は、直鎖または分枝鎖または環状であり、例えば、炭素原子数1乃至18の、炭素原子数1乃至16の、炭素原子数1乃至12の、炭素原子数1乃至8の、炭素原子数1乃至6の、または炭素原子数1乃至4のアルコキシ基であ
る。具体例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチルオキシ基、第二−ブチルオキシ基、イソ−ブチルオキシ基、第三−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、2,4,4−トリメチルペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、テトラヒドロフルフリルオキシ基、テトラヒドロフルフリルメチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ又はイコシルオキシであり基、特に基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシイソプロポキシ基、n−ブチルオキシ基、第二−ブチルオキシ基、イソ−ブチルオキシ基、第三−ブチルオキシ基であり、特にメトキシ基である。
炭素原子数6乃至20のアリールオキシ基は、炭素原子数1乃至20のアリール−O−基を意味し、式中、炭素原子数6乃至20のアリール基は下記に定義したとおりである。具体例はフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基または2−ナフチルオキシ基であり、特にフェニルオキシ基である。
炭素原子数1乃至20のアシルオキシ基は炭素原子数1乃至20のアシル−O−基を意味し、式中、炭素原子数1乃至20のアシル基は上記に定義したとおりである。
炭素原子数2乃至20のアルコキシカルボニル基は、直鎖又は分枝鎖または環状であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル基、テトラヒドロフルフリルメチルオキシカルボニル基、1,1−ジメチルプロポキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、又はドデシルオキシカルボニル基であり、特にメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基又はイソ−ブチルオキシカルボニル基であり、好ましくはメトキシカルボニル基である。
炭素原子数7乃至20のアリールオキシカルボニル基は、炭素原子数6乃至20のアリール−O−(CO)−基を意味し、式中、炭素原子数6乃至20のアリール基は下記に定義したとおりである。
炭素原子数6乃至20のアリールアミノ基及びジ(炭素原子数6乃至20のアリール)アミノ基の意味は、炭素原子数0乃至20のアミノ基−NRxRyとして表されるものに対応し、ただしこれらの基においてはアルキル基が下記に定義されるアリール基によって置換されている。炭素原子数1乃至20のアルキルアミノカルボニル基、ジ(炭素原子数1乃至20のアルキル)アミノカルボニル基、炭素原子数1乃至20のアリールアミノカルボニル基及びジ(炭素原子数1乃至20のアリール)アミノカルボニル基は、−CO−基に結合する上記に定義された基に対応する。
炭素原子数1乃至20のアシル−(炭素原子数1乃至20のアシルオキシ)−アミノ基は、
【化4】

基に対応し、式中Rx及びRyは上記に定義したとおりの炭素原子数1乃至20のアシル基を表す。
炭素原子数6乃至20のアリール基は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基またはフェナントリル基であり、特にフェニル基又はナフチル基であり、好ましくはフェニル基である。
炭素原子数1乃至20のヘテロアリール基の例は、炭素原子数1乃至20のヘテロアリールアルキル基の定義に関連して上記に与えられている。
炭素原子数1乃至20のヘテロアリール−(CO)O基及び炭素原子数1乃至20のヘテロアリール−S基の定義は、ヘテロアリール基で為された定義を考慮に入れれば自明である。
炭素原子数1乃至20のアルキルスルホニル基は、例えば炭素原子数1乃至18の、炭素原子数1乃至12の、炭素原子数1乃至10の、炭素原子数1乃至8の、炭素原子数1乃至7の、炭素原子数1乃至6の、炭素原子数1乃至4のアルキルスルホニル基である。それは炭素原子数1乃至20のアルキル−SO3−基であり、ここで、アルキル部分は上
記に定義されたとおりである。具体例は、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、第二−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、第三−ブチルスルホニル基、デシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、イコシルスルホニル基などである。
炭素原子数6乃至20のアリールスルホニル基は、炭素原子数6乃至20のアリール−SO3基であり、ここで、アリール部分は上記に定義されたとおりである。
炭素原子数1乃至20のアルキルチオ基は、直鎖または分枝鎖状であり、例えば炭素原子数1乃至10の、炭素原子数1乃至8の、炭素原子数1乃至6の、または炭素原子数1乃至4のアルキルチオ基である。具体例は、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、第二−ブチルチオ基、イソ−ブチルチオ基、第三−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、2,4,4−トリメチルペンチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、又はドデシルチオ基であり、特にメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、第二−ブチルチオ基、イソ−ブチルチオ基、第三−ブチルチオ基であり、好ましくはメチルチオ基である。
炭素原子数1乃至20のアリールチオ基
【0020】
1がカルバゾール環と一緒になって環を形成する場合、連結基は所望により置換され
た炭素原子数1乃至10のアルキレン基、−(CH=CH)n−基、−(C≡C)n−基又はそれらの組み合わせである。
【0021】
連結基における任意の置換基は、一つ以上のハロゲン、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至12のハロアルキル基、炭素原子数1乃至20のアシル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数1乃至20のアリールオキシ基、炭素原子数1乃至20のアシルオキシ基、炭素原子数1乃至20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数1乃至20のアリールオキシカルボニル基、炭素原子数1乃至20のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1乃至20のアルキル)アミノ基、炭素原子数1乃至20のアリールアミノ基、ジ(炭素原子数1乃至20のアリール)アミノ基、炭素原子数1乃至20のアリール基、炭素原子数1乃至20のヘテロアリール基、炭素原子数1乃至20のヘテロアリール−(CO)O基、炭素原子数1乃至20のヘテロアリール−S基、CN基、NO2基、炭素原子数1乃至20のアルキルスルホニル基、炭素原子数1乃至20のアリール
スルホニル基、炭素原子数1乃至20のアルキルアミノカルボニル基、ジ(炭素原子数1乃至20のアルキル)アミノカルボニル基、炭素原子数1乃至20のアリールアミノカルボニル基、ジ(炭素原子数1乃至20のアリール)アミノカルボニル基、炭素原子数1乃至20のアシル−(炭素原子数1乃至20のアシルオキシ)−アミノ基、炭素原子数1乃至20のアルキルチオ基、炭素原子数1乃至20のアリールチオ基である。
【0022】
“R1がカルバゾール環と一緒になって環を形成する”場合の対応する構造の具体例は

【化5】

である。
【0023】
形成された環は、所望により、例えば、炭素原子数2乃至25のアルケニル基、炭素原子数1乃至20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3乃至20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素原子数8乃至20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素原子数1乃至20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基、炭素原子数1乃至20のヘテロアリールチオアルキル基、炭素原子数0乃至20のアミノ基及び炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基について、上記に与えられた置換基によって置換される。
【0024】
ナフチル基は1−ナフチル基または2−ナフチル基を表し、好ましくは1−ナフチル基である。
チエニル基は2−チエニル基または3−チエニル基を表し、好ましくは2−チエニル基である。
フリル基は2−フリル基又は3−フリル基を表し、好ましくは2−フリル基である。
【0025】
本書において“及び/又は”又は“又は/及び”という用語は、定義された選択肢(置換基)のうちの一つが存在し得るだけでなく、定義された選択肢(置換基)のうちの幾つかが一緒に、すなわち異なる選択肢(置換基)の混合物が存在し得ることを示すことを意味する。
用語“少なくとも”は、一つ又は一つ以上、例えば一つまたは二つまたは三つ、好ましくは一つ又は二つを定義することを意味する。
用語“所望により置換された”とは、言及する基が非置換であるか又は置換されているかのいずれも意味する。
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び請求の範囲の全体を通じて、用語「含む」又は「含み」(”comprise”又は”comprises”又は”comprising”などのバリエーション)は、規定された整数、又は工程、又は整数の群、又は工程群を含むが、その他の整数、又は工程、又は整数の群、又は工程群を排除することを意図するものではないと理解される。
【0026】
Arは好ましくはナフチル基又はチエニル基を表し、特に1−ナフチル基または2−チエニル基である。
1は、例えば、特に、炭素原子数3乃至20のアルコキシカルボニルアルキル基、又

【化6】

基で置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基である。
炭素原子数1乃至20のアルキル基としてのR2は、好ましくは炭素原子数1乃至8の
アルキル基、特に炭素原子数1乃至4のアルキル基、すなわち、メチル基又はエチル基、特にエチル基である。
【化7】

基で置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基中のR4及びR5は、好ましくは同一であり、炭素原子数1乃至8のアルキルカルボニル基、特に炭素原子数1乃至4のアルキルカルボニル基、すなわち、アセチル基、プロピオニル基、特にアセチル基である。
【0027】
さらに興味深いものは、式(I)で表される化合物であって、式中、
1は所望により置換された炭素原子数3乃至20のアルコキシカルボニルアルキル基、
炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基、又は
【化8】

で置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し;
2は炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し;
4及びR5は互いに独立して水素原子又は炭素原子数1乃至20のアルキルカルボニル基を表し;そして
Arは所望により置換されたナフチル基又はチエニル基を表す。
【0028】
式(I)で表される他の好ましい化合物は、式中、
1は炭素原子数3乃至20のアルコキシカルボニルアルキル基又は
【化9】

で置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し;
2はエチル基を表し;
4及びR5は互いに独立してアセチル基を表し;そして
Arは所望により置換されたナフチル基又はチエニル基を表すものである。
【0029】
本発明による化合物の具体例は
【化10】

【表1】

【表2】

【0030】
式(I)で表されるオキシムエステルは文献に記載される方法、例えば、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジメチルアセトアミド又はジメチルホルムアミドなどの不活性な溶媒中で、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、2,6−ルチジン又はピリジンなどの塩基の存在下で、或いは、ピリジ
ンなどの塩基溶媒中で、対応するオキシムをアシルハライド、特にクロリド、又は無水物と反応させることによって、対応するオキシム類から製造される。例えば
【化11】

1、R2及びArは上記に定義したとおりであり、Halはハロゲン原子、特にClを意味する。
【0031】
前記反応は当業者に既知であり、一般に−15乃至+50℃の温度で、好ましくは0乃至25℃の温度で実施される。
【0032】
それゆえ本発明の対象は、式(Ia)
【化12】

(式中、R1、R2及びArは上述に示したとおりである。)
で表されるオキシム化合物を式(V)又は(VI)で表されるアシルハライド又は無水物
【化13】

(式中Halはハロゲン原子を意味する。)
と塩基又は塩基混合物の存在下で反応させることによる、上述の式(I)で表される化合物の製造方法である。
【0033】
さらに本発明の対象は、上述に定義される式(Ia)で表される化合物である。
【0034】
本発明の別の対象は、上記式(Ia)中、R1が−NHOH基で置換された炭素原子数
1乃至20のアルキル基である、上述の方法である。
【0035】
出発材料として必要とされるオキシムは、標準的な化学の教科書(例えばJ. March, Advanced Organic Chemistry, 4th Edition, Wiley Interscience, 1992)、または専門的
なモノグラフ、例えばS.R. Sandler & W. Karo, Organic functional group preparations, Vol. 3, Academic Pressに記載された、様々な方法によって得ることができる。最も
好都合な方法の一つは、例えば、アルデヒドまたはケトンとヒドロキシルアミンまたはその塩との、ジメチルホルミアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、酢酸エチル、第三−ブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの溶媒中での反応である。それら溶媒の混合物もまた反応に適する。酢酸ナトリウムまたはピリジンのような塩基を加えて、反応混合物のpHを制御する。反応速度がpH依存性であることは周知であり、塩基は、開始時に、または反応の間連続的に加えることができる。水もまた、無機溶媒の溶解のために反応混合物に加えられ得る。ピリジンのような塩基性溶媒を、塩基および/または溶媒もしくは補助溶剤として用いることもできる。反応温度は、一般に室温乃至混合物の還流温度、通常、約20−120℃である。カ
ルボニル基は、反応温度の調整及び溶媒の選択によって(なぜなら反応速度はそれらに依存するため)、選択的にオキシムに変換される。通常、無水物は最も反応性であり、続いてジアルキルケトン、アルキルアリールケトン及びジアリールケトンがより少ない反応性である。
【0036】
α,β−不飽和カルボニル基をヒドロキシルアミン又はその塩と上述の条件下で反応させる場合、ヒドロキシルアミノ基はカルボニル基のβ−位に誘導され得る。Bulltein des
Societes Chimiques Belges(1987),96(4),293-301及びActa Chimica Hungarica(1989),126(6),813-20に記載されるように、β−ヒドロキシアミノ−オキシムは、対応するα,β−不飽和ケトンから、ヒドロキシルアミン又はその塩を用いて合成され得る。反応条件の調整は、オキシムへのカルボニル基の選択的変換のために必須である。基
【化14】

は、例えば、ヒドロキシルアミン基をアシルクロリド[RCOCl]又は無水物[(RCO)2O]と上述の塩基条件下で反応させることによって、製造可能である。
【0037】
従って、本発明の対象はまた、式(Ib)で表されるケトン化合物
【化15】

(式中、R1は非置換の又は置換された炭素原子数2乃至25のアルケニル基、
2及びArは上記に定義されたとおりである。)
をヒドロキシルアミン又はその塩と反応させることによる、上述の式(Ia)で表される化合物(式中、R1は−NHOH基で置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基を表
す。)の製造方法である。
【0038】
特に、式中、式(Ib)で表される化合物が、ヒドロキシルアミン又はその塩と反応して化合物
【化16】

を与える
【化17】

である上述の方法が好ましい。Ar及びR2は上記に定義されたとおりである。
【0039】
対応するケトン中間体は、例えば、文献、例えば国際公開第2005−080337号パンフレットに記載される方法で製造される。そのような反応は当業者に既知である。
【0040】
他のオキシムの好都合な合成は、亜硝酸又は亜硝酸アルキルを用いた“活性な”メチレ
ン基のニトロソ化である。例えばOrganic Syntheses coll. Vol. VI(J.Wiley & Sons, New York, 1988),pp199 及び 840に記載されたようなアルカリ性条件、並びに、例えばOrganic Synthesis coll. Vol V,pp32及び 373, coll. Vol. III, pp191及び 513, coll. Voll. Pp202, 204及び 363に記載されたような酸性条件のいずれも、本発明において出発物
質として使用するオキシムの製造に適する。亜硝酸は通常、亜硝酸ナトリウムより生成される。亜硝酸アルキルは、例えば亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸ブチル、又は亜硝酸イソアミルなどであり得る。
【0041】
全てのオキシムエステルの基が、2種類の立体配置(Z)または(E)で存在することができる。慣用の方法によって、異性体を分離することができるが、光開始用の種として異性体混合物を用いることもできる。従って、本発明は、式(I)で表される化合物の立体配置異性体の混合物にも関する。
【0042】
式(I)で表される化合物はラジカル光開始剤として適する。
よって本発明の別の対象は、
(a)少なくとも1種のエチレン性不飽和光重合性化合物、及び
(b)光開始剤として、少なくとも1種の上述の式(I)で表される化合物、又は上述の式(I)で表される化合物の混合物、を含む光重合性組成物である。
【0043】
該組成物は、光開始剤(b)に加えて、少なくとも1種のさらなる光開始剤(c)、及び/又は他の添加剤(d)を含み得る。
【0044】
不飽和化合物(a)は、一つ以上のオレフィン性二重結合を有し得る。それらは、低分子量(モノマー性)または高分子量(オリゴマー性)であり得る。二重結合を有するモノマーの例は、アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル(所望によりOによって中断されている)又はアミノアクリレート、又はアルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル(所望によりOによって中断されている)又はアミノメタクリレート、例えば、メチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル又は2−ヒドロキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート又はエチルメタクリレートである。シリコーンアクリレートも好都合である。その他の例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルなどのビニルエステル、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル、スチレン、アルキル−およびハロ−スチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、または塩化ビニリデンである。
【0045】
二つ以上の二重結合を有するモノマーの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール又はビスフェノールAのジアクリレート、並びに、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、コハク酸ジビニル、フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、またはトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレートである。
【0046】
比較的高分子量であるポリ不飽和化合物(オリゴマー)の例は、アクリル化エポキシ樹脂、アクリレート基、ビニルエーテル基またはエポキシ基を含むポリエステル、また、ポリウレタン、及びポリエーテルである。不飽和オリゴマーのさらなる例は、不飽和ポリエステル樹脂であって、通常、マレイン酸、フタル酸、および1種以上のジオールから製造され、約500乃至約3,000の分子量を有する。加えて、ビニルエーテルのモノマーおよびオリゴマー、並びにポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びエポキシの主鎖を有するマレイン酸末端オリゴマーも用いることができる。特に
適するのは、ビニルエーテルの基を有するオリゴマーと、国際公開特許第90/01512号パンフレットに記載されたようなポリマーとの組合せである。しかし、ビニルエーテルとマレイン酸官能化されたモノマーとのコポリマーも適する。この種の不飽和オリゴマーはまた、プレポリマーと呼ばれ得る。
【0047】
特に適する例は、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドとのエステル、及び鎖中または側鎖基にエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば、不飽和のポリエステル、ポリアミドおよびポリウレタン、並びにそれらのコポリマー、側鎖中に(メタ)アクリル基を有するポリマー及びコポリマー、および1種以上のそのようなポリマーの混合物である。
【0048】
不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、及びリノレン酸またはオレイン酸などの不飽和脂肪酸である。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
【0049】
適切なポリオールは、芳香族、および特に脂肪族や脂環式のポリオールである。芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4’−ヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、及びノボラック並びにレゾールである。ポリエポキシドの例は、上記のポリオール、特に芳香族ポリオール、及びエピクロロヒドリンに基づくものである。その他の適当なポリオールは、ポリマー鎖または側鎖基中にヒドロキシ基を有するポリマー及びコポリマーであり、例えば、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、又はポリヒドロキシアルキルメタクリレート若しくはそのコポリマーである。適当なその他のポリオールは、ヒドロキシ末端基を有するオリゴエステルである。
【0050】
脂肪族および脂環式ポリオールの例は、好ましくは2乃至12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200乃至1,500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびソルビトールである。
【0051】
ポリオールは、1種類のカルボン酸または異なる不飽和カルボン酸で、部分的にもしくは完全にエステル化され得、部分エステル中では、遊離ヒドロキシ基は、変性、例えばエーテル化または他のカルボン酸でエステル化され得る。
【0052】
エステルの例は:
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコ
ネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、アクリル酸およびメタクリル酸オリゴエステル、ジアクリル酸およびトリアクリル酸グリセロール、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200乃至1,500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリル酸およびビスメタクリル酸エステル、またはこれらの混合物である。
【0053】
同様に成分(a)として適するのは、同一であるか、または異なる不飽和カルボン酸の、好ましくは2乃至6個、特に2乃至4個のアミノ基を有する芳香族、脂環式および脂肪族ポリアミンとのアミドである。そのようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−もしくは1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−もしくは1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ(β−アミノエトキシ)−又はジ(β−アミノプロポキシ)−エタンである。適当なその他のポリアミンは、好ましくは側鎖中に更なるのアミノ基を有するポリマーおよびコポリマー、ならびにアミノ末端基を有するオリゴアミドである。そのような不飽和アミドの例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレートおよびN[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドである。
【0054】
適当な不飽和ポリエステルおよびポリアミドは、例えば、マレイン酸と、ジオールまたはジアミンとから誘導される。マレイン酸のいくつかは、他のジカルボン酸で置き換えることができる。それらは、エチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンとともに用いることができる。該ポリエステルおよびポリアミドは、ジカルボン酸と、エチレン性不飽和ジオールまたはジアミンとから、特に、例えば6乃至20個の炭素原子の、比較的長い鎖を有するものとから誘導しえる。ポリウレタンの例は、飽和または不飽和ジイソシアネートと、不飽和またはそれぞれ飽和のジオールから構成されるものである。
【0055】
側鎖中に(メタ)アクリレート基を有するポリマーは、同様に知られている。それらは、例えば、ノボラックに基づくエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸との反応生成物であり得、または(メタ)アクリル酸でエステル化されたビニルアルコールもしくはそれらのヒドロキシアルキル誘導体のホモポリマーもしくはコポリマーであり得、或いは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルでエステル化された(メタ)アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマーであり得る。
【0056】
側鎖中にアクリレートまたはメタクリレート基を有する、適当なその他のポリマーは、例えば、溶媒可溶性またはアルカリ可溶性のポリイミド前駆体、例えば、分子中の骨格またはエステル基のいずれかに結合した光重合性側鎖基を有する、すなわち欧州特許第624826号明細書に記載の、ポリ(アミック酸エステル)化合物である。そのようなオリゴマーまたはポリマーは、高感度のポリイミド前駆体レジストを製造するために、この新規な光開始剤、および所望により反応性希釈剤、例えば多官能性(メタ)アクリレートを用いて配合することができる。
【0057】
本光重合性化合物は、単独で、またはいかなる所望の混合物でも使用することができる
。ポリオール(メタ)アクリレートの混合物を使用すること好ましい。
【0058】
成分(a)の例は、同じく、少なくとも2個のエチレン性不飽和基および少なくとも1個のカルボキシル官能基を分子構造内に有する重合体またはオリゴマー、例えば、飽和もしくは不飽和多塩基酸無水物と、エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸の反応生成物との反応によって得られる樹脂、例えば、EB9696(UCBケミカルズ)等の市販品、KAYARAD TCR1025(日本化薬(株))、またはカルボキシル基含有樹脂と、α,β-不飽和二重結合およびエポキシ基を有する不飽和化合物との間で形成される付
加生成物(例えば、ACA200M(ダイセル化学工業(株))である。
【0059】
本発明の対象はまた、上述の光重合性組成物であって、(a)成分が、飽和又は不飽和多塩基酸無水物と、エポキシ樹脂と不飽和物カルボン酸の反応生成物との反応によって得られる樹脂である。そのような化合物は、例えば、特開平6−1638号公報、特開平6−1938号公報、特開平8−278629号公報、特開平8−278630号公報、特開平10−301276号公報、特開2001−40022号公報、特開平10−221843号公報、特開平11−231523号公報、特開2002−206014号公報又は特開2006−53569号公報に記載され、該開示は参照することによって本書に組み込まれる。
【0060】
不飽和化合物(a)は、光重合性でない、フィルム形成性の成分との混合物としても用いることができる。これらは、例えば、物理的に乾燥するポリマー又は有機溶媒中のその溶液、例えばニトロセルロースまたはアセト酪酸セルロースであり得る。しかし、化学的および/または熱的に硬化可能な(熱硬化性)樹脂であってもよく、例えば、ポリイソシアネート、ポリエポキシドおよびメラミン樹脂、ならびにポリイミド前駆体である。熱硬化性樹脂を同時に用いることは、混成系として知られる系における使用にとって重要であり、それらは、第一工程で光重合され、第二工程で熱的後処理によって架橋される。
【0061】
本発明はまた、成分(a)として、水中に乳化または溶解された、少なくとも1種のエチレン性不飽和光重合性化合物を含む組成物を提供する。そのような放射線硬化性水性プレポリマー分散物の多くの変化形が、商業的に入手可能である。プレポリマーの分散物は、水と、その中に分散した少なくとも1種類のプレポリマーとの分散物であると解される。これらの系における水の濃度は、例えば、5乃至80質量%、特に30乃至60質量%である。放射線硬化性プレポリマーまたはプレポリマー混合物の濃度は、例えば、95乃至20質量%、特に70乃至40質量%である。これらの組成物において、水およびプレポリマーについて示した百分率の合計は、それぞれの場合に100であり、助剤および添加物は、使用目的に応じて変動する量で加えられる。
水中に分散され、しばしば溶解されもする、放射線硬化性のフィルム形成プレポリマーは、それ自体は公知である、単官能性または多官能性のエチレン性不飽和プレポリマーの水性プレポリマー分散物であり、遊離基によって開始することができ、例えば、プレポリマー100gあたり0.01乃至1.0モルの重合性二重結合含有量、および例えば、少なくとも400、特に500乃至10,000の平均分子量を有する。しかし、より高分子量のプレポリマーも、使用目的に応じて考慮され得る。用いられるのは、例えば、重合性C−C二重結合を有し、10以下の酸価を有するポリエステル、重合性C−C二重結合を有するポリエーテル、1分子あたり少なくとも2個のエポキシド基を有するポリエポキシドと、少なくとも1種類のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とのヒドロキシル含有反応生成物、ポリウレタン(メタ)アクリレート、およびα,β−エチレン性不飽和アクリル基を有するアクリル系コポリマー共重合体であって、欧州特許第12339号明細書に記載されたものである。これらのプレポリマーの混合物も、同様に用いることができる。同じく適するのは、欧州特許第33896号明細書に記載された重合性プレポリマーであって、少なくとも600の平均分子量、0.2乃至15%のカルボキシル基含量、およ
びプレポリマー100gあたり0.01乃至0.8molの重合性C−C二重結合を有する、重合性プレポリマーのチオエーテル付加物である。特定の(メタ)アクリル酸アルキルポリマーに基づく、その他の適する水性分散物は、欧州特許第41125号明細書に記載され、ウレタンアクリレートの適当な水分散性、放射線硬化性プレポリマーは、独国特許第2936039号明細書に見出すことができる。
これらの放射線硬化性である水性プレポリマー分散物に含ませ得るさらなる添加物は、分散助剤、乳化剤、酸化防止剤、例えば2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)または2,6−ジ−t−ブチルフェノール、光安定剤、染料、顔料、充填剤、例えばガラスまたはアルミナであり、例えば、タルク、石膏、ケイ酸、ルチル、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化鉄、反応促進剤、均染剤、潤滑剤、湿潤剤、増粘剤、艶消剤、消泡剤、その他塗料技術に慣用の助剤である。適当な分散助剤は、高分子量物であり、極性基を有する水溶性有機化合物であって、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはセルロースエーテルである。使用可能な乳化剤は非イオン乳化剤であり、および所望により、イオン性乳化剤も用いることができる。
【0062】
ある場合に、2種以上の、本新規光開始剤の混合物を用いることが好都合であり得る。勿論、公知の光開始剤(c)との混合物、例えば、カンファーキノン;ベンゾフェノン、例えば2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(クロロメチル)ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート、3−メチル−4’−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4’−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体;ベンゾイルアルキルエーテル、例えばベンジルジメチルケタール(IRGACURE(登録商標)651)などのベンジルケタール;アセトフェノン、ジアルコキシアセトフェノン、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン(DARUCUR(登録商標)1173)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACUR(登録商標)184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)2959)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)127)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンなどのα−ヒドロキシアセトフェノン;例えば(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(IRUGACURE(登録商標)907)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(IRGACURE(登録商標)369)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)1−ジメチルアミノプロパン(IRGACURE(登録商標)379)、(4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)ブタン−1−オンなどのα−アミノアセトフェノン;4−アロイル1,3−ジオキサン、ベンゾインアルキルエーテル、フェニルグリオキサル酸エステル及びそれらの誘導体、例えばオキソ−フェニル−酢酸ベンゾインアルキルエステルなど、ジメリックフェニルグリオキサル酸エステル、例えばフェニルグリオキサル酸メチルエステル(DAROCUR(登録商標)MBF)など、オキソ−フェニル−酢酸−1−メチル−2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−プロポキシ]−エチルエステル(IRGACURE(登録商標)754);さらなるオキシムエステル類、例えば1,2−オクタン−ジオン 1−[4−(フェニルチオ)フェニル]2−(O−ベンゾイルオキシム)(IRGACURE(登録商標)OXE01)、エタノン
1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9Hカルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム(IRGACURE(登録商標)OXE02)、9H−チオ−キサンテン−2−カルボキシアルデヒド 9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)、国際公開第07/062963号パンフレット、国際公開第07/071797号パンフレット及び国際公開第05/080337号パンフレットに記載のオキシムエステル類;パーエステル類、例えば、欧州特許第126541に記載のベンゾフェノンテトラカルボン酸パーエステル、モノアシルホスフィンオキサイド、例えば(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド(DAROCUR(登録商標)TPO)、ビスアシルホスフィンオキサイド、例えばビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE(登録商標)819)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキサイド、トリスアシルホスフィンオキサイド、ハロメチルトリアジン、例えば2−[2−(4−メトキシフェニル)−ビニル]−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(4−メトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−メチル−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/補助開始剤系、例えば、2−メルカプトベンズチアゾール、並びに、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、フェロセニウム化合物、又はビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリル−フェニル)チタニウム(IRGACURE(登録商標)784)などのチタノセンと組み合わせたオルト−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾールとの混合物も使用可能である。さらに、ホウ素化合物も補助開始剤として使用可能である。
【0063】
本新規光開始剤系を混成系で用いる場合、新規な遊離ラジカル硬化剤に加えて用いられるのは、カチオン性光開始剤、過酸化化合物、例えば過酸化ベンゾイル(その他の適する過酸化物は、米国特許第4950581号明細書19欄17乃至25行に記載されている)、例えば米国特許第4950581号明細書18欄60行乃至19欄第10行に記載される、芳香族のスルホニウム塩、ホスホニウム塩又はヨードニウム塩、或いは、シクロペンタジエニル−アレーン−鉄(II)錯塩、例えば(η6−イソプロピルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、並びに、オキシムスルホン酸エステルであって、例えば、欧州特許第780729号明細書に記載されているものである。例えば欧州特許第497531号明細書および欧州特許第441232号明細書に記載される、ピリジニウムおよび(イソ)キノリニウム塩もまた、本新規光開始剤と併用し得る。
【0064】
本新規光開始剤は、単独であれ、または他の既知の光開始剤及び増感剤との混合物であれ、水または水溶液中の分散物もしくはエマルジョンの形態で用いることができる。該化合物がエマルジョン又は分散物で都合よく用いられる場合、慣用の分散剤及び乳化剤を加えて、安定なエマルジョン又は分散物を生成する。対応する適当な添加剤は当業者に既知である。
【0065】
光重合性組成物は、一般に、固体組成物に対して0.05乃至25質量%、好ましくは0.01乃至10質量%、特に0.01乃至8質量%の光開始剤を含む。開始剤の混合物を用いる場合には、この量は添加するすべての光開始剤の合計を意味する。したがって、この量は、光開始剤(b)、または光開始剤(b)+(c)のいずれかを意味する。
【0066】
光開始剤に加え、該光重合性混合物は、様々な添加物(d)を含み得る。これらの例は、未熟な重合の防止を意図した熱阻害剤であって、その例は、ヒドロキノン、ヒドロキノ
ン誘導体、p−メトキシフェノール、β−ナフトールまたは立体障害性フェノール、例えば2,6−ジ−第三−ブチル−p−クレゾールである。暗所における貯蔵の安定性を増大させるには、例えば、銅化合物、例えばナフテン酸、ステアリン酸若しくはオクチル酸銅、リン化合物、例えばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル若しくは亜リン酸トリベンジル、第四級アンモニウム化合物、例えばテトラメチルアンモニウムクロリド若しくはトリメチルベンジルアンモニウムクロリド、又はヒドロキシルアミン誘導体、例えばN−ジエチルヒドロキシルアミンを用いることができる。重合時に大気酸素を排除するために、パラフィン、または類似のろう様物質を加えることができ、これらはポリマー中の溶解度が不十分であるため、重合初期に表面に移動し、空気の進入を妨げる透明な表面層を形成する。コーティングの上層に酸素不透過層、例えばポリ(ビニルアルコール−コ−酢酸ビニル)を塗布することもできる。少量加えることができる光安定剤は、UV吸収剤、例えばヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、オキサルアミドまたはヒドロキシフェニル−s−トリアジン型のものである。これらの化合物は、立体障害性アミン(HALS)の存在又は不在下で、個々に、または混合物として使用できる。
【0067】
そのようなUV吸収剤および光安定剤の例は、
1. 2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−第三−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第三−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第二−ブチル−5’−第三−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−第三−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第三−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第三−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3'−第三−ブチ
ル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−第三−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−第三−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(3’−第三−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール]の混合物;2−[3’−第三−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換反応生成物;[R−CH2CH2−COOCH232−(式
中、R=3’−第三−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル)。
【0068】
2.2−ヒドロキシベンゾフェノン
例えば、4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクトキシ−、4−デシルオキシ−、
4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2’,4’−トリヒドロキシ−および2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−誘導体。
【0069】
3.置換または非置換安息香酸のエステル
例えば、サリチル酸4−第三−ブチルフェニル、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−第三−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−第三−ブチルフェニル 3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル 3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル 3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、および2−メチル−4,6−ジ−第三−ブチルフェニル 3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート。
【0070】
4.アクリレート
例えば、イソオクチルまたはエチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチルα−カルボメトキシシンナメート、ブチルまたはメチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチルα−カルボキシメトキシ−p−メトキシシンナメート、およびN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン。
【0071】
5.立体障害性アミン
例えば、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−第三−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−第三−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−s−トリアジンとの縮合生成物、トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラオエート、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三−ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、セバシン酸ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)、コハク酸ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアゾスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、および3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン。
【0072】
6.オキサルアミド
例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド
、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−第三−ブチルオキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−第三−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサルアミド、2−エトキシ−5−第三−ブチル−2’−エチルオキサニリドおよび2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−第三−ブチルオキサニリドとのその混合物、o−およびp−メトキシ−、ならびにo−およびp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物。
【0073】
7.2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−ドデシル/トリデシルオキシ−(2−ヒドロキシプロピル)オキシ−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0074】
8.ホスフィット及びホスホナイト
例えば、トリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニルフェニルホスフィット)、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリスリチルジホスフィット、トリス−(2,4−ジ−第三−ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリスリチルジホスフィット、ビス−(2,4−ジ−第三−ブチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスフィット、ビス−(2,6−ジ−第三−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスフィット、ビス−イソデシルオキシペンタエリスリチルジホスフィット、ビス−(2,4−ジ−第三−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスフィット、ビス(2,4,6−トリ−第三−ブチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスフィット、トリステアリルソルビチルトリホスフィット、テトラキス(2,4−ジ−第三−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−第三ブチル−12H−ジベンゾ[d、g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−第三−ブチル−12−メチルジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、
ビス−(2,4−ジ−第三−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスフィット及びビス(2,4−ジ−第三−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスフィット、である。
【0075】
光重合を促進するには、成分(d)として、アミン、例えば、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、エチル−p−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾエート、オクチル−p−N,N−ジメチルアミノベンゾエート、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−p−トルイジンまたはミヒラーケトンを添加することができる。アミンの作用は、ベンゾフェノン型の芳香族ケトンの添加によって増強される。酸素捕捉剤として使用可能なアミンの例は、欧州特許第339841号明細書に記載されたとおり、置換N,N−ジアルキルアニリンである。その他の促進剤、補助開始剤、および自己酸化剤は
、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、ホスホニウム塩、ホスフィンオキシドまたはホスフィンであって、例えば、欧州特許第438123号明細書、英国特許第2180358号明細書、および特開平6−68309号公報に記載されたとおりである。
【0076】
さらに、当技術に慣用の連鎖移動剤を、成分(d)として本発明の組成物に加えることもできる。例は、メルカプタン、アミンおよびベンゾチアゾールである。
【0077】
光重合は、スペクトル感度を移動または拡大する光増感剤または補助開始剤を(成分(d)として)さらに加えることによって、促進することもできる。これらは、特に芳香族化合物、例えば、ベンゾフェノンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、クマリンやフェノチアジンおよびその誘導体、そしてまた3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ローダニン、カンファーキノン、しかしまたエオシン、ローダミン、エリスロシン、キサンテン、チオキサンテン、アクリジン、例えば9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、シアニン、およびメロシアニン染料である。
【0078】
そのような化合物の特定の例は、
1.チオキサントン
チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1,3−ジメチル−2−ヒドロキシ−9H−チオキサンテン−9−オン 2−エチルヘキシルエーテル、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、N−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−カルボン酸ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド;
【0079】
2.ベンゾフェノン
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(メチルエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(p−イソプロピルフェノキシ)ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル
]−2−メチル−2−(トルエン−4−スルホニル)プロパン−1−オン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタナミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチルベンゼンメタナミニウムクロリド;
【0080】
3.クマリン
クマリン1、クマリン2、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン102、クマリン106、クマリン138、クマリン152、クマリン153、クマリン307、クマリン314、クマリン314T、クマリン334、クマリン337、クマリン500、3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3’−カルボニル−ビス[5,7−ジ(プロポキシ)クマリン]、3,3’−カルボニル−ビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、5,7−ジエトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ジメチルアミノ−3−フェニルクマリン、7−ジエチルアミノ−3−フェニルクマリン、特開平09−179299号公報および第09−325209号公報に開示されたクマリン誘導体、例えば7−[{4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−S−トリアジン−2−イル}アミノ]−3−フェニルクマリン;
【0081】
4.3−(アロイルメチレン)チアゾリン
3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−ベンゾチアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン;
【0082】
5.ローダニン
4−ジメチルアミノベンザルローダニン、4−ジエチルアミノベンザルローダニン、3−エチル−5−(3−オクチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)ローダニン、特開平08−305019号公報に開示された、式[1]、[2]、[7]のローダニン誘導体;
【0083】
6.その他の化合物
アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンジル、2−アセチルナフタレン、2−ナフトアルデヒド、ダンシル酸誘導体、9,10−アントラキノン、アントラセン、ピレン、アミノピレン、ペリレン、フェナトレン、フェントレンキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、クルクミン、キサントン、チオミヒラーケトン、α−(4−ジメチルアミノベンジリデン)ケトン、例えば2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデンシクロペンタノン、2−(4−ジメチルアミノベンジリデン)インダン−1−オン、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−インダン−5−イルプロペノン、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(
エチルチオ)フタルイミド、フェノチアジン、メチルフェノチアジン、アミン、例えばN−フェニルグリシン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、4−ジメチルアミノアセトフェノン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、ポリ(プロピレングリコール)−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートである。
【0084】
ベンゾフェノンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、またはクマリン誘導体よりなる群から選択される光増感剤化合物を、さらなる添加物(d)として含む光重合性組成物が好ましい。
【0085】
硬化工程は、欧州特許第245639号明細書に記載されるように、光増感剤を、特に、(例えば二酸化チタンで)着色された組成物として加えることによって、また熱条件下で遊離基を形成する成分、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾスルフィド、ペンタアザジエンのようなアゾ化合物またはペルオキシ化合物、例えばヒドロペルオキシドまたはペルオキシカルボネート、例えば第三−ブチルヒドロペルオキシドを加えることによっても、支援することができる。
【0086】
本発明による組成物は、さらなる添加物(d)として、光還元性染料、例えば、キサンテン−、ベンゾキサンテン−、ベンゾチオキサンテン−、チアジン−、ピロニン−、ポルフィリン−もしくはアクリジン−染料、および/または照射によって切断できるトリハロゲンメチル化合物を含み得る。類似の組成物は、例えば欧州特許第445624号明細書に記載されている。
【0087】
当業者に公知のさらなる添加物を成分(d)として、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどの流れ改質剤、接着促進剤として添加し得る。界面活性剤、蛍光増白剤、顔料、染料、湿潤剤、均染助剤、分散剤、凝集防止剤、酸化防止剤または充填剤は、添加剤(d)のさらなる例である。厚く、かつ着色されたコーティングを硬化させるために、例えば米国特許第5013768号明細書に記載のとおり、ガラス微小球、または微粉化ガラス繊維を添加することが適当である。
【0088】
既に上述したように、さらなる適当な成分(d)としては、特に、配合物中への顔料または着色剤の適用をサポートするために、界面活性剤及び分散剤及びその他成分が挙げられる。
【0089】
顔料を容易に分散させ、得られた顔料分散物を安定させるために、顔料に対する表面処理を適用することが望ましい。表面処理剤は、例えば、界面活性剤、ポリマー分散剤、一般の質感改善剤、顔料誘導体及びそれらの混合物である。本発明の着色剤組成物が少なくとも1種のポリマー分散剤及び/又は少なくとも顔料誘導体を含むことが特に好ましい。
【0090】
適当な界面活性剤は、それぞれ、アルキルベンゼン−アルキルナフタレン−スルホネート、アルキルスルホコハク酸エステル又はナフタレンホルムアルデヒドスルホネートなどのアニオン性界面活性剤;ベンイジルトリブチルアンモニウムクロリドなどの第四級塩な
どのカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン界面活性剤及びアルキル又はアミドプロピルベタインなどの非イオン性又は両性界面活性剤が挙げられる。
【0091】
界面活性剤の具体例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル及びポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート及びポリエチレングリコールジステアレートなどのポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;第三級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンアミン類;KP(信越化学工業(株)製品)、ポリフロー(共栄社化学(株)製品)、エフトップ((株)トーケムプロダクツ製品)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製品)、フロラード(住友スリーエム(株)製品)、アサヒガード及びサーフロン(旭硝子(株)製品)の商品名で入手可能なもの;その他、が挙げられる。
【0092】
これら界面活性剤は単独で又は2種以上を混合して使用し得る。該界面活性剤は一般に、着色剤組成物の質量に対して50質量部以下で、好ましくは0乃至30質量部の量で使用される。
【0093】
ポリマー分散剤としては、顔料親和性基を有する高分子量のポリマーが挙げられる。具体例は:例えばスチレン誘導体、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドなどから構成される統計的なコポリマー類、ならびにその後の変性による変性された前記統計的なコポリマー類;例えばスチレン誘導体、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドから構成されたブロックコポリマー類及び/又は櫛形ポリマー類、ならびにその後の変性による変性された前記ブロックコポリマー類及び/又は前記櫛形ポリマー類;例えばポリエステル類で作られたポリエチレンアミン類;例えばポリエステル類で作られたポリアミン類;並びに多くの種類の(変性)ポリウレタン類である。
【0094】
ポリマー分散剤もまた使用され得る。適当なポリマー分散剤は、例えば、BYKの DISPERBYK(登録商標)101、115、130、140、160、161、162、163、164、166、168、169、170、171、180、182、2000、2001、2020、2050、2090、2091、2095、2096、2150、チバ スペシャルティ ケミカルズのCiba(登録商標)EFKA(登録商標)4008、4009、4010、4015、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4340、4400、4401、4402、4403、4406、4500、4510、4520、4530、4540、4550、4560、味の素ファインテクノのPB(登録商標)711、821、822、823、824、827、ルーブリゾールのSOLSPERSE(登録商標)1320、13940、17000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32500、32550、32600、33500、34750、36000、36600、37500、39000、41090、44000、53095、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0095】
分散剤として、Ciba(登録商標)EFKA(登録商標)4067、4047、4060、4300、4330、4340、DISPERBYK(登録商標)161、162、163、164、165、166、168、169、170、2000、2001、2020、2050、2090、2091、2095、2096、2105、2150、PB(登録商標)711、821、822、823、824、827、SOLSPERSE(登録商標)24000、31845、32500、32550、32600、33500、34750、36000、36600、37500、39000、41090、44
000、53095及びこれらの組合せを使用する事が好ましい。
【0096】
適当な質感改善剤は、例えば、ステアリル酸又はベヘニン酸などの脂肪酸類、ならびに、ラウリルアミン及びステアリルアミンなどの脂肪アミン類である。加えて、例えば脂肪族1,2−ジオール類などの脂肪アルコール類又はエトキシ化脂肪アルコールポリオール類、またはエポキシ化大豆油、ワックス類、樹脂酸類及び樹脂酸塩類がこの目的のために使用され得る。
【0097】
適当な顔料分散剤は、例えば、チバ スペシャルティ ケミカルズのCiba(登録商標)EFKA(登録商標)6745、ルーブリゾールのSOLSPERSE(登録商標)5000、12000、BYKのSYNERGIST2100などの銅フタロシアン誘導体、並びに、Ciba(登録商標)EFKA(登録商標)6750、SOLSPERSE(登録商標)22000及びSYNERGIST2105などのアゾ誘導体である。
【0098】
上述の顔料のための分散剤及び界面活性剤は、例えば、レジスト配合物として使用される本発明の組成物中に、特にカラーフィルター配合物中に使用される。
【0099】
本発明の対象はまた、さらなる添加剤(d)として分散剤又は分散剤混合物を含む上述の光重合性組成物、並びにさらなる添加剤(d)として顔料又は顔料混合物を含む上述の光重合性組成物である。
【0100】
添加剤(類)(d)の選択は、用途分野、およびその分野に対して要求される特性に応じてなされる。上記の添加剤は、当業者において慣用であり、そのため、それぞれの用途において常用される量で加えられる。
【0101】
バインダ(e)もまた、本新規組成物に加えることができる。これは、光重合性化合物が液体、または粘性物質であるときに、特に好都合である。バインダの量は、例えば、全固体含量に対して2−98質量%、好ましくは5−95質量%、特に20−90質量%であってよい。バインダの選択は、用途分野、およびその分野に対して必要とされる特性、例えば、水性および有機溶媒系における現像容量、基材への接着性、および酸素に対する感度に応じてなされる。
【0102】
適切なバインダの例は、約2,000乃至2,000,000、好ましくは3,000乃至1,000,000の分子量を有するポリマーである。アルカリ現像性バインダの例は、ペンダント基としてカルボン酸官能基を有するアクリル系ポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリル酸、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸およびモノ(メタ)アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトンのような、エチレン性不飽和カルボン酸と、(メタ)アクリル酸のエステル、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、モノ(メタ)アクリル酸グリセロール、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、(メタ)アクリ
ル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル;ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、ビニルベンジルグリシジルエーテル;アミド型不飽和化合物、(メタ)アクリルアミドジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメタクリルアミド;ならびにポリオレフィン型化合物、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど;メタクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、コハク酸モノ−2−[(メタ)アクリ
ロイルオキシ]エチル、N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル、ポリスチレンマクロモノマー、またはポリメチル(メタ)アクリル酸メチルマクロモノマーから選択される1種以上のモノマーとを共重合させることによって得られる、従来公知のコポリマーなどである。コポリマーの例は、アクリレート及びメタクリレートと、アクリル酸またはメタクリル酸と、およびスチレンまたは置換スチレン、フェノール樹脂、例えばノボラック、(ポリ)ヒドロキシスチレンとのコポリマー、ならびにヒドロキシスチレンと、アルキルアクリレート、アクリル酸及び/又はメタクリル酸とのコポリマーである。コポリマーの好ましい例は、メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマー、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/スチレンコポリマー、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレンコポリマー、メチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシフェニルメタクリレートコポリマーである。溶媒現像性バインダポリマーの例は、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(ベンジルメタクリレート−コ−ヒドロキシエチルメタクリレート−コ−メタクリル酸)、ポリ(ベンジルメタクリレート−コ−メタクリル酸;セルロースエステルおよびセルロースエーテル、例えば酢酸セルロース、アセト酪酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース;ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、環化ゴム、ポリエーテル、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびポリテトラヒドロフラン;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/ビニリデンコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリル、メチルメタクリレートおよび酢酸ビニルとのコポリマー、ポリ酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリカプロラクタムやポリ(ヘキサメチレンアジピンアミド)のようなポリマー、ならびにポリ(エチレングリコールテレフタレート)やポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)などのポリエステルおよびポリイミドバインダ樹脂である。
本発明におけるポリイミドバインダ樹脂は、溶媒可溶性ポリイミド、またはポリイミド前駆体、例えばポリアミック酸のいずれかであることもできる。
【0103】
好ましいものは、バインダポリマー(e)として、メタクリレートとメタクリル酸のコポリマーを含む光重合性組成物である。
さらなる関心は、特にカラーフィルタに用途の、例えば特開平10−171119号公報に記載される、ポリマー状バインダ成分である。
【0104】
本光重合性組成物は、様々な目的に、例えば、印刷インク、例えばスクリーン印刷インク、オフセットもしくはフレキソ印刷インクとして、透明仕上げとして、例えば木材または金属に対する白色もしくは有色仕上げとして、粉末コーティングとして、特に紙、木材、金属またはプラスチックに対するコーティング材料として、建築物のマーキングや道路マーキング、写真複製手法、ホログラフ記録材料、画像記録手法、または有機溶媒もしくは水性アルカリで現像できる印刷原版の製造、スクリーン印刷マスクの製造のための日光硬化性コーティングとして、歯科充填用組成物として、接着剤として、感圧接着剤として、積層用樹脂として、リキッドフィルム及びドライフィルム双方の、エッチングレジスト、はんだレジスト、電気めっきレジストまたは永久レジストとして、プリント回路基板や電子回路用の、光構成性誘電体として、様々な表示用途のために、またはプラズマ表示パネルや電気発光表示装置の製造工程での構造の形成のためのカラーフィルタを製造するため(例えば米国特許第5853446号明細書、欧州特許第863534号明細書、特開平9−244230号公報、特開平10−62980号公報、特開平8−171863号公報、米国特許第5840465号明細書、欧州特許第855731号明細書、特開平5−271576号公報、特開平5−67405号公報に記載のような)、ホログラフィッ
クデータストレージ(HDS)材料の製造のため、光学スイッチ、光学格子(干渉格子)、光回路の製造のため、大量硬化(透明成形用型でのUV硬化)またはステレオリトグラフィ手法による三次元的物品の製造(例えば米国特許第4575330号明細書に記載のような)、複合材料(例えば、所望であれば、ガラス繊維および/またはその他の繊維ならびに他の助剤を含み得る、スチレン系ポリエステルなど)並びにその他の厚層組成物の製造のため、電子部品および集積回路のコーティングまたは密封のためのレジストとして、あるいは光ファイバーのためか、または光学レンズ、例えばコンタクトレンズもしくはフレネルレンズ製造のためのコーティングとして用いることができる。本発明の組成物は、さらに、医用機器、補助具またはインプラントの製造にも適する。さらに、本発明の組成物は、例えば独国特許第19700064号明細書および欧州特許第678534号明細書に記載のような、サーモトロピック特性を有するゲルの製造に適する。
【0105】
本新規光開始剤は、乳化重合、パール重合もしくは懸濁重合のための開始剤として、液晶モノマーおよびオリゴマーの規則的状態を固定するための重合開始剤として、または有機材料に染料を固着させるための開始剤として、追加的に使用し得る。
【0106】
コーティング材料では、追加的にモノ不飽和モノマーも含み得る、ポリ不飽和モノマーとのプレポリマーの混合物を用いることが多い。ここでは、コーティングフィルムの特性を主として決定するのがこのプレポリマーであり、それを変えることによって、当業者が、硬化したフィルムの特性に影響を与えることができる。ポリ不飽和モノマーは、フィルムを不溶性の状態にする架橋剤として機能する。モノ不飽和モノマーは、反応性希釈剤として機能し、溶媒の使用を必要とせずに、粘度を低下させるのに用いられる。
不飽和ポリエステル樹脂は、通常、モノ不飽和モノマー、好ましくはスチレンとともに、二成分系で使用される。フォトレジストに対しては、例えば、独国特許第2308830号明細書に記載のようなポリマレイミド、ポリカルコンまたはポリイミドなどの特定の一成分系がしばしば用いられる。
【0107】
本新規光開始剤は、放射線硬化性粉末コーティングの重合にも用いることができる。粉末コーティングは、固体樹脂、および反応性二重結合を有するモノマー、例えばマレート、ビニルエーテル、アクリレート、アクリルアミド、およびそれらの混合物に基づくことができる。遊離基的UV硬化性粉末コーティングは、不飽和ポリエステル樹脂と、固体のアクリルアミド(例えばメチルメチルアクリルアミドグリコレート)および新規遊離基光開始剤とを混合することによって配合することができ、そのような配合物は、例えばM.Wittigand及びTh.Gohmannによる論文"Radiation Cur
ing of Powder Coatings",Conference Proce
edings,Radtech Europe 1993に記載のとおりである。粉末コーティングは、例えば独国特許第4228514号明細書および欧州特許第636669号明細書に記載のとおり、バインダを含むこともできる。フリーラジカルでのUV硬化性粉末コーティングはまた、不飽和ポリエステル樹脂と、固体アクリレート、メタクリレートまたはビニルエーテル、および新規光開始剤(または光開始剤混合物)とを混合することによって配合することもできる。該粉末コーティングもまた、例えば独国特許第4228514号明細書および欧州特許第636669号明細書に記載のような、バインダを含み得る。このUV硬化性粉末コーティングは、白色または有色顔料を追加的に含んでよい。例えば、良好な隠蔽力を有する硬化粉末コーティングを与えるために、好ましくは二酸化ルチルチタンを、50質量%以下の濃度で用いることができる。手順は、通常、基材、例えば金属または木材上への粉末の静電気もしくは摩擦静電気による吹付け、熱による粉末の融解、および滑らかな薄膜が形成された後の、例えば中圧水銀ランプ、メタルハライドランプまたはキセノンランプを用いた、紫外光および/または可視光によるコーティングの放射線硬化を含む。放射線硬化性粉末コーティングの、それら対応する熱硬化性のものに勝る特別な利点は、粉末粒子を融解した後の流動時間を遅らせ、滑らかで、優れた光
沢のコーティングの形成を確実にできることである。熱硬化系とは対照的に、放射線硬化性粉末コーティングは、それらの寿命を短縮させるという望ましくない効果なしに、より低い温度で融解するよう配合することができる。そのため、熱に敏感な基材、例えば木材またはプラスチックに対するコーティングとしても適する。本新規光開始剤系に加え、粉末コーティング配合物は、UV吸収剤も含み得る。適切な例は、上記第1〜8項に列挙されている。
【0108】
本新規光硬化性組成物は、例えば、保護層を施すか、または画像に対する露光によって画像を生成することが意図される、すべての種類、例えば木材、繊維、紙、セラミック、ガラス、プラスチック(ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィンまたは酢酸セルロースなど)の、特にフィルム形態にあるもの、またAl、Cu、Ni、Fe、Zn、MgまたはCoのような金属の、およびGaAs、SiまたはSiO2の基材
のためのコーティング材料として適する。
【0109】
本新規放射線感受性組成物は、さらに、光に対して非常に高い感度を有し、水性アルカリ性媒体中で、膨潤なしに現像することができる、ネガ・レジストとしての用途がある。それらは、レリーフ印刷や平版印刷用の印刷用紙、グラビア印刷もしくはスクリーン印刷用紙の製造のため、レリーフコピーの製造、例えばブライユ(点字)でのテキストの製造のため、スタンプの製造のため、化学摩砕に用いるため、または集積回路の製造の際のマイクロレジストとして適する。該組成物は、さらに、コンピューターチップ、プリント板その他の電気もしくは電子部品の製造における、光作図可能な誘電層もしくはコーティング、封入材料、および絶縁コーティングとして用いてもよい。可能な層支持体、およびコーティング基材の処理条件は、様々である。
【0110】
本新規組成物は、感光性の熱硬化性樹脂組成物、およびその使用によってはんだレジストパターンを形成する方法にも関し、より詳しくは、プリント回路基板の製造、金属製品の精密工作、ガラスおよび石製品のエッチング、プラスチック製品のレリーフ、および印刷原版の製造のための材料として役に立ち、特にプリント回路基板のためのはんだレジストとして役立つ新規な感光性の熱硬化性樹脂組成物、ならびに該樹脂組成物の層を、パターンを有するフォトマスクを通して選択的に化学線に露光させ、該層の非露光部分を現像する工程によって、はんだレジストパターンを形成する方法に関する。
【0111】
はんだレジストは、与えられた部分を、溶融はんだが不適切な部分および保護回路に接着するのを防ぐ目的で、プリント回路基板にはんだ付けする際に用いられる物質である。そのため、高い接着性、絶縁抵抗、はんだ付け温度に対する耐性、耐溶媒性、耐アルカリ性、耐酸性、および耐めっき性のような特性を保有することが必要とされる。
【0112】
本発明の光硬化性組成物は、優れた熱安定性を有し、酸素による阻害に充分耐性であるため、これらは例えば欧州特許第320264号明細書に記載のような、カラーフィルタまたは色モザイク系の形成に特に適する。カラーフィルタは、通常、LCD、PDP(プラズマパネルディスプレイ)、EL(電界発光)ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ、及びスキャナ、デジタルカメラ及びビデオカメラ向けのプロジェクションシステム、イメージセンサー、CCD(電荷結合素子)及びCMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサーの製造に用いられる。
【0113】
カラーフィルタは、通常、ガラスの基板上に赤、緑および青色の画素、ならびに黒色のマトリックスを形成することによって製造される。これらの工程に、本発明の光硬化性組成物を用いることができる。特に好ましい使用方法は、赤、緑および青色の着色物質、染料および顔料を、本発明の感光性樹脂組成物に添加し、該基板を該組成物で被覆し、コーティングを短時間の熱処理で乾燥し、該コーティングを化学放射線に露光させ、次いでパ
ターンをアルカリ性現像剤水溶液中で現像し、所望により熱処理することを含む。こうして、赤、緑および青色に着色されたコーティングを、所望のいかなる順序ででも、この方法で相互に逐次重ね合わせることによって、赤、緑および青色の画素を有するカラーフィルタ層を製造することができる。
【0114】
現像は、適当なアルカリ現像液で重合しなかった領域を洗い流すことによって実施される。この工程を反復して、複数の色を有する画像を形成する。
【0115】
本発明の感光性樹脂組成物では、少なくとも一つまたはそれ以上の画素を、透明な基板上に形成し、次いで、透明な基板の、上記の画素が形成されていない側から露光する工程によって、上記の画素を、遮光マスクとして利用することができる。この場合、例えば、全体的露光を与える場合、マスクの位置調整は不要になり、その位置のずれに関する懸念が除去される。そして、上記の画素が形成されない部分のすべてを硬化させることができる。さらに、この場合、遮光マスクを部分的に用いることによって、上記の画素が形成されない部分の一部を現像および除去することも可能である。
【0116】
いずれの場合も、先に形成される画素と、後に形成されるそれとの間にギャップが全く形成されないことから、本発明の組成物は、例えば、カラーフィルタの形成材料に適する。具体的には、赤、緑および青色の着色物質、染料および顔料を、本発明の感光性樹脂組成物に添加し、画像を形成する工程を反復して、赤、緑および青色の画素を形成する。そうして、例えば黒色の着色材料、染料および顔料を加えた、感光性樹脂組成物を全体的な表面に付与する。全体的な露光(または遮光マスクを介しての部分露光)をその上に施して、黒色の画素を、赤、緑および青色の画素の間の空間全体(または遮光マスクの部分領域以外の全体)に形成することができる。
【0117】
感光性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥する工程に加えて、本発明の感光性樹脂組成物は、層移動材料にも用いることができる。すなわち、感光性樹脂組成物を、仮支持体、好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルム上に、または酸素遮断層および剥離層、または剥離層および酸素遮断層を与えたポリエチレンテレフタラートフィルム上に、層状に直接設ける。通常、取扱い時の保護のために、合成樹脂で製造された、除去可能なカバーシートをそれに積層する。さらに、アルカリ可溶の熱可塑性樹脂層、および中間層を仮支持体上に設け、さらにその上に感光性樹脂組成物の層をその上に設けた、層構造も適用することができる(特開平5−173320号公報)。
【0118】
上記のカバーシートは使用時に除去し、感光性樹脂組成物層を、恒久的支持体に積層する。次いで、酸素遮断層および剥離層を設けたときは該層と仮支持体との間で、剥離層および酸素遮断層を設けたときは剥離層と酸素遮断層との間で、また、剥離層または酸素遮断層のいずれかを設けなかったときは仮支持体と感光性樹脂組成物の層との間で、剥離を実施し、仮支持体を除去する。
【0119】
金属支持体、ガラス、セラミックおよび合成樹脂フィルムを、カラーフィルタの支持体として用いることができる。透明であり、優れた寸法安定性を有するガラスおよび合成樹脂フィルムは、特に好ましい。
【0120】
感光性樹脂組成物の層の厚さは、通常、0.1〜50μm、特に0.5〜5μmである。
【0121】
アルカリ性物質の希釈水溶液は、本発明の感光性樹脂組成物がアルカリ可溶樹脂またはアルカリ可溶モノマーもしくはオリゴマーを含有するならば、該組成物の現像液として用いることができ、そしてさらに少量の水混和性有機溶媒をそれに加えることによって調製
された現像剤溶液も含まれる。
【0122】
適当なアルカリ性物質の例として、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウムおよびケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩(例えば、メタケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、水酸化テトラアルキルアンモニウム(例えば水酸化テトラアルキルアンモニウム)、またはリン酸三ナトリウムが挙げられる。アルカリ性物質の濃度は、0.01乃至30質量%であり、pHは、好ましくは8乃至14である。
【0123】
水混和性の適当な有機溶媒として、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、メチル−3−メトキシプロピオネート、酢酸n−ブチル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ペンタノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタムおよびN−メチルピロリジノンが挙げられる。水混和性有機溶媒の濃度は、0.1乃至30質量%である。
【0124】
さらに、公知の界面活性剤を加えることができる。界面活性剤の濃度は、好ましくは、0.001乃至10質量%である。
【0125】
本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ性化合物を含有しない、2種以上の溶媒の混合物を含む、有機溶媒で現像することもできる。適当な溶媒として、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、メチル−3−メトキシプロピオネート、酢酸−n−ブチル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ペンタノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタムおよびN−メチルピロリジノンが挙げられる。所望により、透明な溶液が依然として得られ、感光性組成物の非露光領域の十分な溶解性が維持されるレベルまで、水をこれらの溶媒に添加することができる。
【0126】
現像剤溶液は、当業者に既知のすべての形態で、例えば、浴液、パドルまたはスプレー溶液の形態で用いることができる。感光性樹脂組成物の層の硬化しなかった部分を除去するために、回転ブラシを用いた摩擦、およびウェットスポンジによる摩擦などの方法を組み合わせることができる。通常、現像液の温度は、好ましくは、ほぼ室温乃至40℃である。現像時間は、感光性樹脂組成物の具体的な種類、現像液のアルカリ度および温度、ならびに添加した場合の有機溶媒の種類および濃度によって可変的である。通常、それは10秒乃至2分である。現像工程の後に、洗浄工程を置くことができる。
【0127】
最終的な熱処理は、好ましくは、現像工程の後に実施する。したがって、露光によって光重合した層(以下、光硬化層と称する)を有する支持体を、電気炉及び乾燥機内で加熱
するか、または光硬化層を、赤外灯で照射するか、或いはホットプレート上で加熱する。加熱温度および時間は、用いた組成物、および形成された層の厚さに依存する。一般に、加熱は、好ましくは、約120乃至約250℃で約5乃至約60分間実施する。
【0128】
着色されたカラーフィルタレジスト組成物を包含する、本発明による組成物に含ませることが可能な顔料は、好ましくは、加工された顔料、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、マレイン酸樹脂およびエチルセルロース樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂に、顔料を微細に分散させることによって製造された、粉末状またはペースト状の製品である。
【0129】
赤色顔料は、例えば、アントラキノン型顔料単独、ジケトピロロピロール型顔料単独、それらの混合物またはそれらのうち少なくとも1種及びジアゾ型黄色顔料若しくはイソインドリン型黄色顔料からなる混合物、特にC.I.ピグメントレッド177単独、C.I.ピグメントレッド254単独、またはC.I.ピグメントレッド177とC.I.ピグメントレッド254の混合物、又は、C.I.ピグメントレッド177とC.I.ピグメントレッド254のうち少なくとも一つ及びC.I.ピグメントイエロー83若しくはC.I.ピグメントイエロー139からなる混合物を含む(「C.I.」とは、当業者には既知であり、公に入手できる、カラーインデックスを意味する)。
顔料のさらに適する例は、C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、168、176、179、180、185、202、207、209、214、222、242、244、255、264、272、及びC.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、31、53、55、93、95、109、110、128、129、138、39、150、153、154、155、166、168、185、199、213、及びC.I.ピグメントオレンジ43である。
赤色染料の例は、C.I.ソルベントレッド25、27、30、35、49、83、89、100、122、138、149、150、160、179、218、230、C.I.ダイレクトレッド20、37、39、44、及びC.I.アシッドレッド6、8、9、13、14、18、26、27、51、52、87、88、89、92、94、97、111、114、115、134、145、151、154、180、183、184、186、198、C.I.ベーシックレッド12、13、C.I.ディスパースレッド5、7、13、17及び58である。赤色染料は黄色及び/又はオレンジ染料と組合せて使用可能である。
【0130】
緑色の顔料は、例えば、ハロゲン化フタロシアニン型顔料単独、または該顔料とジアゾ型黄色顔料またはキノフタロン型黄色顔料または金属錯体との混合物、特にC.I.ピグメントグリーン7単独、C.I.ピグメントグリーン36単独、又は、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36のうち少なくとも一つ及びC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138若しくはC.I.ピグメントイェロー150からなる混合物を含む。その他の適する緑色顔料は、C.I.ピグメントグリーン15、25及び37である。
適当な緑色染料の例は、C.I.アシッドグリーン3、9、16、C.I.ベーシックグリーン1及び4である。
【0131】
適する青色顔料の例は、単独、またはジオキサジン型スミレ色顔料との組合せでのいずれかで用いられるフタロシアニン型顔料、例えば、C.I.ピグメントブルー15:6単独、C.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23の組合せである。青色顔料のためのさらなる例は、C.I.ブルー15:3、15:4、16、22、28及び60などである。その他の適当な顔料は、C.I.ピグメントバイオレット14,19、23、29、32、37、177、及びC.I.オレンジ73である。
適当な青色染料の例はC.I.ソルベントブルー25、49、68、78、94、C.
I.ダイレクトブルー25、86、90、108、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、103、104、158、161、C.I.ベーシックブルー1、3、9、25及びC.I.ディスパースブルー198である。
【0132】
黒色マトリックスのための光重合体組成物の顔料は、好ましくは、カーボンブラック、チタニウムブラックおよび酸化鉄からなる群から選択される少なくとも一つを含む。しかし、全体で黒色の外見を与えるその他の顔料の混合物も、使用可能である。例えば、C.I.ピグメントブラック1、7及び31は、単独で又は組合せて使用可能である。
【0133】
カラーフィルタに使用する染料のその他の例は、C.I.ソルベントイエロー2、5、14、15、16、19、21、33、56、62、77、83、93、162、104、105、114、129、130、162、C.I.ディスパースイエロー3、4、7、31、54、61、201、C.I.ダイレクトイエロー1、11、12、28、C.I.アシッドイエロー1、3、11、17、23、38、40、42、76、98、C.I.ベーシックイエロー1、C.I.ソルベントバイオレット13、33、45、46、C.I.ディスパースバイオレット22、24、26、28、C.I.アシッドバイオレット49、C.I.ベーシックバイオレット2、7、10、C.I.ソルベントオレンジ1、2、5、6、37、45、62、99、C.I.アシッドオレンジ1、7、8、10、20、24、28、33、56、74、C.I.ダイレクトオレンジ1、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ダイレクトブラウン6、58、95、101、173、C.I.アシッドブラウン14、C.I.ソルベントブラック3、5、7、27、28、29、35、45及び46である。
【0134】
カラーフィルタ製造の幾つかの場合において、捕色、イエロー、マジェンタ、シアン及び所望によりグリーンがレッド、グリーン及びブルーの代わりに使用される。このタイプのカラーフィルタのためのイエローとして、上述の黄色顔料及び染料が使用可能である。マジェンタカラーのための着色剤の好適な例は、C.I.ピグメントレッド122、144、146、169、177、C.I.ピグメントバイオレット19及び23である。シアンカラーの例はアルミウニウムフタロシアニン顔料、チアニウムフタロシアニン顔料、コバルトフタロシアニン顔料及びスズフタロシアニン顔料である。
【0135】
どの色のためにも、2種以上の顔料の組み合わせがまた使用可能である。カラーフィルタ用途に特に適するのは、上述の樹脂中に顔料を微細に分散することによって製造される、粉末加工顔料である。
【0136】
全固体成分(様々な色の顔料および樹脂)中の顔料の濃度は、例えば、5乃至80質量%の範囲内、特に20乃至45質量%の範囲内である。
【0137】
カラーフィルタレジスト組成物中の顔料は、好ましくは、可視光の波長(400乃至700nm)より小さい平均粒径を有する。特に好ましいのは、<100nmの平均顔料直径である。
【0138】
必要ならば、顔料は、分散剤で顔料を前処理し、液体配合物中の顔料の分散安定性を改善することによって、感光性組成物中で安定化させ得る。適当な添加剤は上述に示されたものである。
【0139】
好ましくは、本発明のカラーフィルタレジスト組成物は、成分(a)として、少なくとも1種の付加重合性モノマー化合物をさらに含有する。
【0140】
エチレン性不飽和化合物(類)(a)は一種以上のオレフィン性二重結合を含む。これ
らは、低(モノマー性)又は高(オリゴマー性)分子量であり得る。二重結合を含む化合物の例は、(メタ)アクリル酸、アルキル、ヒドロキシアルキル又はアミノアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、第三−ブチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、イソボルニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、エトキシエチル、グリセロール、フェノキシエチルメトキシジエチレングリコール、エトキシジエチレングリコール、ピロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリシジル、N,N−ジメチルアミノエチル、及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートである。その他の例は、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド類、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド及びN−(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルアセテートなどのビニルエステル類、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、スチレン、アルキル−、ヒドロキシ−及びハロスチレン類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、塩化ビニル及び塩化ビニリデンである。
【0141】
比較的高分子量(オリゴマー)のポリ不飽和化合物の例は、エチレン性不飽和カルボキシレート類を含む、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリエーテル類及びポリアミド類である。
【0142】
特に適当な例は、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドとのエステル類である。
【0143】
不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、経皮酸、及び、リノレン酸又はオレイン酸などの不飽和脂肪酸である。アクリル及びメタクリル酸が好ましい。
【0144】
適当なポリオール類は、芳香族、特に、脂肪族及び脂環式ポリオール類である。芳香族ポリオール類の例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、ノボラック類及びレソール類である。脂肪族及び脂環式ポリオールの例は、好ましくは2乃至12のC原子を有するアルキレンジオール類、例えばエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200乃至1500の分子量を有するポリエチレングリコール類、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリエタノールアミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールモノオキサレート、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールとエチレングリコール又はプロピレングリコールとのエーテル類、ジペンタエリスリトールとエチレングリコール又はプロピレングリコールのエーテル類、ソルビトール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン及び9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンである。その他の適当なポリオール類は、ポリマー鎖又は側鎖にヒドロキシ基を含むポリマー類またはコポリマー類であり、例えばビニルアルコール又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類を含むホモポリマー類又はコポリマー類である。更に適当なポリオー
ル類はヒドロキシル末端を有するエステル類及びウレタン類である。
【0145】
ポリオール類は部分的に又は完全に、一種の不飽和カルボン酸で、又は異なる不飽和カルボン酸類でエステル化され得、部分エステル中、遊離ヒドロキシ基は、例えばエーテル化又は他のカルボン酸とのエステル化などに変性され得る。
【0146】
ポリオールをベースとするエステル類の例は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートモノオキサレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートモノ(2−ヒドロキシエチル)エーテル、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート類、グリセロールジ(メタ)アクリレート及びトリ(メタ)アクリレート、分子量200乃至1500のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコレネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、エチレングリコールジマレート、チエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート又はそれらの混合物である。
【0147】
その他の例は以下の式(XII)及び(XIII)に示すペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール誘導体である:
【化18】

(式中、M1は−CH2CH2O−又は−[CH2CH(CH3)O]−を表し、
100は−COCH=CH2又は−COC(CH3)=CH2を表し、
pは0乃至6(p総数:3−24)を表し、並びにqは0乃至6(q総数:2−16)を表す。)
【0148】
ポリエポキシド類の例は、上述のポリオール類をベースとしたもの並びにエピクロルヒドリンである。代表的な例は、ビス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポロポキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−グリシジルプロポキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)フェニル]フルオレン及びフェノール及びクレゾールノボラック類のグリシジルエーテル類である。
【0149】
ポリエポキシド類をベースとする成分(a)の代表的な例は、2,2−ビス[4−{(2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシ)プロポキシ}フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−{(2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシ)プロポキシエトキシ}フェニル]プロパン、9,9−ビス[4−{(2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシ)プロポキシ}フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−{(2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシ)プロポキシエトキシ}フェニル]フルオリン及び、ノボラック類をベースとするエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物である。
【0150】
上述のポリオール類又はポリエポキシド類と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルアルコールなどのヒドロキシ基を有する不飽和化合物との反応によって得られるポリエーテル類もまた成分(a)として使用可能である。
【0151】
さらに成分(a)として適するのは、同一の又は異なる不飽和カルボン酸と、好ましくは2乃至6、特に2乃至4のアミノ基を有する芳香族、環状脂肪族及び脂肪族ポリアミン類とのアミド類である。前記ポリアミン類の例は、エチレンジアミン、1,2−又は1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−又は1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニルエンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ(β−アミノエトキシ)−又はジ(β−アミノプロポキシ)エタンである。その他の適当なポリアミン類は、好ましくは側鎖に更なるアミノ基を有するポリマー類及びコポリマー類、及び、アミノ末端基を有するオリゴアミド類である。前記不飽和アミド類の例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレート及びN[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドである。
【0152】
その他の例は、ポリイソシアネート及びヒドロキシ基を有する不飽和化合物から、またはポリイソシアネート、ポリオール及びヒドロキシ基を有する不飽和化合物から誘導される不飽和ウレタン類である。
【0153】
その他の例は、鎖にエチレン性不飽和基を有するポリエステル類、ポリアミド類又はポリウレタン類である。適当な不飽和ポリエステル類及びポリアミド類はまた、例えば、マレイン酸及びジオール類またはジアミン類より誘導される。マレイン酸のいくつかは他のカルボン酸によって置換され得る。ポリエステル類及びポリアミド類はまた、ジカルボン酸及びエチレン性不飽和ジオール類又はジアミン類、特に、例えば6乃至20炭素原子と
いった比較的長鎖を有するものより、誘導され得る。ポリウレタン類の例は、飽和又は不飽和ジイソシアネート類、並びに不飽和、又はそれぞれ、飽和ジオール類からなるものである。
【0154】
側鎖にアクリレートまたはメタクリレート基を有するその他の適当なポリマー類は、例えば、溶媒可溶性、又はアルカリ可溶性ポリイミド前駆体、例えば、欧州特許第624826号明細書に示される、骨格又は分子中のエステル基に結合している光重合可能な側鎖を有するポリ(アミド酸エステル)化合物類である。前記オリゴマー類またはポリマー類は、高感度ポリイミド前駆体レジスト類を製造するために、所望により、多官能性(メタ)アクリレート類などの反応性希釈剤と共に配合される。
【0155】
成分(a)の更なる例はまた、飽和又は不飽和ポリ塩基性酸無水物と、上述に示したフェノール又はクレゾールノボラックエポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸の反応生成物との反応によって得られる樹脂などの、分子構造内に少なくとも一つのカルボキシル官能基及び少なくとも二つのエチレン性不飽和基有するポリマー類又はオリゴマー類である。ポリ塩基性酸無水物の例は、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、グルタコン酸無水物、シタラコン酸無水物、ジグリコール酸無水物、イミノジ酢酸無水物、1,1−シクロペンタンジ酢酸無水物、3,3−ジメチルグルタル酸無水物、3−エチル−3−メチルグルタル酸無水物、2−フェニルグルタル酸無水物、ホモフタル酸無水物、トリメリト酸無水物、クロレンド酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及びビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物である。適当なエポキシ化合物は、ノボラックエポキシ樹脂類、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル 、ビスフェノールプロパンジグリシジルエーテルなどである。不飽和カルボン
酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、及びリノレン酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸類である。アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0156】
その他の例は、式(XIV)で表される化合物と一種以上の上記ポリ塩基性酸無水物との重縮合反応及び/又は付加反応による生成物である。
【化19】

(式中、Y1
【化20】

を表し、
200は水素原子又はメチル基を表し、
300及びR400はそれぞれ独立して水素原子、メチル基、Cl又はBrを表し、M2は1
乃至10の炭素原子数を有する置換又は非置換のアルキレン基を表し、xは0乃至5を表し、yは1乃至10を表す。)成分(a)としてのそのような化合物の例は、特開2002−206014号公報、特開2004−69754号公報、特開2004−302245号公報、特開2005−77451号公報、特開2005−316449号公報、特開2005−338328号公報及び特許第3754065号明細書に記載される。
【0157】
上述のポリマー類及びオリゴマー類は、例えば約1,000乃至1,000,000の、好ましくは2,000乃至200,000の分子量を有し、約10乃至200mgKOH/g、好ましくは20乃至180mgKOH/gの酸価を有する。
【0158】
好ましい光重合性化合物は、成分(a)として、分子中に少なくとも二つのエチレン性不飽和結合と少なくとも一つのカルボン酸基を有する化合物であって、特に、エポキシ基含有不飽和化合物をカルボン酸基含有ポリマーのカルボキシル基の一部に付加させることによって得られる反応生成物、又は、以下に示す化合物と一種以上のポリ塩基性酸無水物との反応生成物である。さらに好ましい成分(a)は、式XIVで表される化合物を一種以上のポリ塩基性酸無水物と反応させて得られる化合物を含む。
【0159】
さらなる例は、エポキシ基含有不飽和化合物をカルボン酸基含有ポリマーのカルボキシル基の一部に付加させることによって得られる反応生成物である。カルボン酸含有ポリマーとしては、不飽和カルボン酸化合物と一種以上の重合性化合物との反応から得られる上述のバインダポリマー類、例えば、(メタ)アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸、スチレン及びα−メチスチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸及びスチレンのコポリマー、(メタ)アクリル酸及びベンジル(メタ)アクリレートのコポリマー、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、スチレン及び(メタ)アクリル酸のコポリマーなどがある。
【0160】
エポキシ基を有する不飽和化合物の例は、以下の式(V−1)−(V−15)で示される。
【化21】

(式中、R50は水素原子又はメチル基を表し、Mは1乃至10の炭素原子数を有する置換または非置換のアルキレン基を表す。)
【0161】
これら化合物中、カルボキシル基含有樹脂との高い反応性を有し、従って、反応時間が短くすることができることから、脂環式エポキシ基を有する化合物が特に好ましい。これ
ら化合物はさらに、反応プロセスにおけるゲル化を引き起こさず、反応を安定に実施可能である。一方、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートは、低分子量であり及びエステル化の高い変換率を与え得ることから、感度及び耐熱性の観点から有利である。
【0162】
上記化合物の具体例は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン及びアクリル酸のコポリマー又はメチルメタクリレート及びアクリル酸のコポリマーと、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートと反応生成物である。
【0163】
例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びグリセロールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を有する不飽和化合物は、カルボン酸基含有ポリマー類のための反応物質として、上記エポキシ基含有不飽和化合物の代わりに使用可能である。
【0164】
その他の例は、無水物含有ポリマー類のハーフエステル類、例えば、マレイン酸無水物と一種以上の重合性化合物とのコポリマーと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコール性ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート類、又は、例えば式(V−1)−(V−15)に記載される化合物などのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート類との反応生成物である。
【0165】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ベンジルメタクリレート及びスチレンのコポリマーなどのアルコール性ヒドロキシ基含有ポリマー類と(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリルクロリドの反応生成物もまた、成分(a)として使用可能である。
【0166】
その他の例は、二塩基性酸無水物と少なくとも二つ上のエポキシ基を有する化合物との反応に続いて、さらに不飽和化合物との反応によって得られる、末端不飽和基を有するポリエステル類とポリ塩基性酸無水物との反応生成物である。
【0167】
更なる例は、飽和又は不飽和ポリ塩基性酸無水物と、エポキシ基含有(メタ)アクリル化合物を上述のカルボン酸含有ポリマーの全てのカルボキシル基に付加させることによって得られる反応生成物との反応によって得られる樹脂である。
【0168】
重合性化合物は単独で又はいずれの所望の混合物でも使用可能である。
【0169】
カラーフィルタレジスト組成物において、光重合性組成物に含まれるモノマーの総量は、組成物の全固体含有量、すなわち、溶媒(類)を除いたすべての成分の量に対して、好ましくは5乃至80質量%、特に10乃至70質量%である。
【0170】
カラーフィルタレジスト組成物に使用され、アルカリ性水溶液に可溶であり、水に不溶であるバインダとしては、例えば、分子内に一つ以上の酸基および一つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物のホモポリマー、またはそれらの二種以上のコポリマー、およびこれらの化合物と共重合できる一つ以上の不飽和結合を有し、酸基を含まない、1種以上の重合性化合物のコポリマーを用いることができる。そのような化合物は、分子内に一つ以上の酸基及び一つ以上の重合性不飽和結合を有する、1種以上の低分子化合物と、これらの化合物と共重合できる一つ以上の不飽和結合を有し、酸基を含まない、1種以上の重合性化合物とを共重合させることによって得られる。酸基の例は、−COOH基、−SO3H基、−SO2NHCO−基、フェノール性ヒドロキシ基、−SO2NH−基および
CO−NH−CO−基である。これらのうち、−COOH基を有する高分子化合物が特に好ましい。
【0171】
好ましくは、カラーフィルタレジスト組成物中の有機ポリマーバインダは、付加重合性モノマー単位として、アクリル酸、メタクリル酸などの少なくとも1種の不飽和有機酸化合物を含む、アルカリ可溶コポリマーを含む。ポリマーバインダのためのさらなるコモノマーとして、不飽和有機酸エステル化合物、例えばメチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレンなどを用いて、アルカリの溶解度、接着の固さ、薬品耐性等の特性を均衡させるのが好ましい。
有機ポリマーバインダは、例えば米国特許第5368976号明細書に記載される、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーのいずれであることもできる。
【0172】
分子内に1つ以上の酸基及び一つ以上の重合性不飽和結合を有する、重合性化合物の例として、下記の化合物などが挙げられる:
【0173】
分子内に一つ以上の−COOH基及び一つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物の例は、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリル酸、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシネート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]アジペート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタレート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ヘキサヒドロフタレート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]マレート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]スクシネート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アジペート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]フタレート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]ヘキサヒドロフタレート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]マレート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]スクシネート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]アジペート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]フタレート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]ヘキサヒドロフタレート、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシブチル]マレート、3−(アルキルカルバモイル)アクリル酸、α−クロロアクリル酸、マレイン酸、モノエステル化マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、マレイン酸無水物及びω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートがある。
【0174】
ビニルベンゼンスルホン酸、および2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は、1個以上の−SO3H基、および一つ以上の重合性不飽和結合を有する、
重合性化合物の例である。
N−メチルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−エチルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−フェニルスルホニル(メタ)アクリルアミド、およびN−(p−メチルフェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミドは、1個以上の−SO2NHCO−基、およ
び一つ以上の重合性不飽和結合を有する、重合性化合物の例である。
【0175】
分子内に1個以上のフェノール性ヒドロキシル基及び一つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル−カルボニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニルチオエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、およびジヒドロキシ−フェニルチオエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0176】
分子内に1個以上の−SO2NH−基および一つ以上の重合性不飽和結合を有する、重
合性化合物の例として、式(a)または(b):
CH2=CHA1−Y1−A2−SO2−NH−A3(a)
CH2=CHA4−Y2−A5−NH−SO2−A6(b)
(式中、Y1およびY2は、それぞれ、−COO−基、−CONA7−基、または単結合を
表し;A1およびA4は、それぞれ、HまたはCH3基を表し;A2およびA5は、それぞれ
、所望により置換基であるシクロアルキレン基、アリーレン基もしくはアラルキレン基を有する炭素原子数1乃至12のアルキレン基、又は、エーテル基およびチオエーテル基が挿入された炭素原子数2乃至12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表し;A3およびA6は、それぞれ、H、所望により置換基であるシクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を有する炭素原子数1乃至12のアルキル基を表し;A7は、H、所望により置換基である、シクロアルキル基、アリール基もし
くはアラルキル基を有する炭素原子数1乃至12のアルキルを表す。)で表される化合物が挙げられる。
【0177】
1個以上の−CO−NH−CO−基および一つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物として、マレイミドおよびN−アクリルオイル−アクリルアミドなどが挙げられる。これらの重合性化合物は、重合によって、主鎖とともに環が形成され−CO−NH−CO−基を含む高分子化合物になる。さらに、それぞれ−CO−NH−CO−基を有する、メタクリル酸誘導体およびアクリル酸誘導体も、用いることができる。そのようなメタクリル酸誘導体およびアクリル酸誘導体として、例えば、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−ブタノイルメタクリルアミド、N−ペンタノイルメタクリルアミド、N−デカノイルメタクリルアミド、N−ドデカノイルメタクリルアミド、N−ベンゾイルメタクリルアミド、N−(p−メチルベンゾイル)メタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド、N−(ナフチルカルボニル)メタクリルアミド、N−(フェニルアセチル)メタクリルアミド、および4−メタクリロイルアミノフタルイミドなどのメタクリルアミド誘導体、ならびにこれらと同じ置換基を有するアクリルアミド誘導体が挙げられる。これらの重合性化合物は、重合して、側鎖に−CO−NH−CO−基を有する化合物になる。
【0178】
一つまたはそれ以上の重合性不飽和結合を有し、酸基を含まない、重合性化合物の例としては、(メタ)アクリル酸のエステル、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デ
カン−8−イル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート;ビニル芳香族化合物、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、ポリクロロスチレン、フルオロスチレン、ブロモスチレン、エトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチスチレン、ジメトキシスチレン、ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデン、1−メチルインデン;ビニル又はアリルエステル類、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレー
ト、ビニルピバレート、ビニルベンゾエート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニルフェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、ビニルサリシレート、ビニルクロロベンゾエート、ビニルテトラクロロベンゾエート、ビニルナフトエート、アリルアセテート、アリルプロピオネート、アリルブチレート、アリルピバレート、アリルベンゾエート、アリルカプロエート、アリルステアレート、アリルアセトアセテート、アリルラクテート;ビニル又はアリルエーテル類、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルへキシルエーテル、ビニルオクチルエーテル、ビニルエチルへキシルエーテル、ビニルメトキシエチルエーテル、ビニルエトキシエチルエーテル、ビニルクロロエチルエーテル、ビニルヒドロキシエチルエーテル、ビニルエチルブチルエーテル、ビニルヒドロキシエトキシエチルエーテル、ビニルジメチルアミノエチルエーテル、ビニルジエチルアミノエチルエーテル、ビニルブチルアミノエチルエーテル、ビニルベンジルエーテル、ビニルテトラヒドロフルフリルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニルクロロエチルエーテル、ビニルジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントリルエーテル、アリルグリシジルエーテル;アミド型不飽和化合物、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジフェニル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘプチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドシクロヘキシル、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−トリル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、N−ナフチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−メチルフェニルスルホニル(メタ)アクリルアミド及びN−(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシアクリルアミド;ポリオレフィン型化合物、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど;(メタ)アクリロニトリル、メチルイソプロピルケトン、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−アルキルマレイミド、マレイン酸無水物、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリブチル(メタ)アクリレートマクロモノマー;クロトネート類、例えば、ブチルクロトネート、ヘキシルクロトネート、グリセリンモノクロトネート;及びイタコネート類、例えば、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート;及びマレート類及びフマレート類、例えば、ジメチルマレート、ジブチルフマレートから選択された重合性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
【0179】
コポリマー類の好ましい例は、メチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸のコポリマー類、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸のコポリマー類、メチル(メタ)アクリレート/、エチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸のコポリマー類、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びスチレンのコポリマー類、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのコポリマー類、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びスチレンのコポリマー類、メチル(メタ)アクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートのコポリマー類、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー類、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー類、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、スチレン及び(メタ)アクリル酸のコポリマー類、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー類、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー類、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー類、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー類、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー類、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー類、ベンジル(メタ)クリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー類、N−フェニルマレイミド、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びスチレンのコポリマー類、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、モノ−[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシネート及びスチレンのコポリマー類、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、モノ[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシネート及びスチレンのコポリマー類、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート及びスチレンのコポリマー類、ベンジル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート及びスチレンのコポリマー類、並びに、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−シクロヘキシルマレイミド及びスチレンのコポリマー類である。
本明細書における本書中の”(メタ)アクリレート”という用語は、アクリレート及び対応するメタクリレートを意味する。
【0180】
ヒドロキシスチレンホモポリマー又はコポリマー、又はノボラック型フェノール樹脂、例えば、ポリ(ヒドロキシスチレン)及びポリ(ヒドロキシスチレン−コ−ビニルシクロヘキサノール)、ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、並びにハロゲン化フェノールノボラック樹脂もまた使用できる。より具体的には、例えば、メタクリル酸コポリマー類、アクリル酸コポリマー類、イタコン酸コポリマー類、クロトン酸コポリマー類、マレイン酸無水物コポリマー類、例えば、コポリマーとしてのスチレンとのもの、及びマレイン酸コポリマー類、ならびに、部分エステル化マレイン酸コポリマーが挙げられ、それぞれ、例えば、特公昭59−44615号公報(本明細書に用いられる限りでの用語「特公」は、審査済みの特許公告公報を意味する)、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、及び特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、特開昭59−71048号公報、特開昭60−159743号公報、特開昭60−258539号公報、特開平1−152449号公報、特開平2−199403号公報及び特開平2−199404号公報に記載されており、例えば米国特許第5650263号明細書に示されるように、それらコポリマーはさらにアミンと反応可能であり、さらに、カルボキシル基を側鎖に有するセルロース誘導体が使用可能であり、特に好ましくは、例えば米国特許第4139391号明細書、特公昭59−44615号公報、特開昭60−159743号公報、及び特開昭60−258539号公報に記載されるような、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸のコポリマー並びに、ベンジル(メタ)アクリレート、メタ(アクリル酸)及びその他のモノマー類とのコポリマーである。
【0181】
上記有機バインダポリマー類のうち、カルボン酸基を有するものに関して、カルボン酸基の幾つか又は全てを、グリシジル(メタ)アクリレート又はエポキシ(メタ)アクリレートと反応させて、感光度、コーティングフィルム強さ、コーティング溶媒、および薬品耐性、ならびに基材への接着性を向上させる目的で、光重合性有機バインダポリマー類を得ることができる。例は、特公昭50−34443号公報および特公昭50−34,444号公報、米国特許第5153095号明細書、T.Kudo等のJ. Appl. Phys.,37巻(1998),3594-3603頁、米国特許第5677385号明
細書および米国特許第5,650,233号明細書に開示されている。
【0182】
バインダ類の重量平均分子量は、好ましくは500乃至1,000,000、例えば3,000乃至1,000,000、より好ましくは5,000乃至400,000である。
【0183】
これらの化合物は、単独でまたは2種以上の混合物として使用され得る。感光性樹脂組成物中のバインダ含量は、全固形物に対して、好ましくは10乃至95質量%、より好ましくは15乃至90質量%である。
【0184】
さらに、カラーフィルタにおいて、各色の全固体成分は、イオン性不純物捕捉剤、例えば、エポキシ基を有する有機化合物を含有し得る。全固体成分中のイオン性不純物捕捉剤の濃度は、一般的には、0.1乃至10質量%の範囲内である。
カラーフィルタ、特に顔料およびイオン性不純物捕捉剤の上記の組合せに関するその例は、欧州特許第320264号明細書に示されている。本発明による光開始剤、すなわち欧州特許第320624号明細書に記載のカラーフィルタ配合物中の式IおよびIIで表される化合物は、トリアジン開始剤化合物を置換可能であることが理解される。
【0185】
本発明による組成物は、例えば特開平10−221843号公報に記載の、酸によって活性化される架橋剤、並びに熱的に又は化学線によって酸を生成し、架橋反応を活性化する化合物をさらに含むことができる。
本発明による組成物は、感光性のパターンまたはコーティングを含有する潜在性顔料の熱処理の間に、微細に分散した顔料に変換される、潜在性顔料をも含むことができる。熱処理は、潜在性顔料を含有する光画像形成性層の露光後または現像後に、実施することができる。そのような潜在性顔料は、例えば米国特許第5879,855号明細書に記載される、化学的、熱的、光分解的または放射線誘導による方法を用いて、不溶性顔料に変換することができる、可溶性顔料前駆体である。そのような潜在性顔料のこの変換は、組成物に化学線露光の際に酸を生成する化合物を加えることまたは酸性化合物を加えることによってことによって増強することができる。そのため、本発明による組成物中に潜在的顔料を含む、カラーフィルタレジストを製造することもできる。
【0186】
カラーフィルタレジスト、そのようなレジストの組成物及び加工条件の例は、T.Kudo等,Jpn.J.Appl.Phys. 37巻(1998)3594;T.Kudo等,J.Photopolym.Sci.Technol. 9巻(1996)109
;K.Kobayashi,Solid State Technol. 1992年11月,p.S15-S18;米国特許第5368976号明細書;米国特許第58009
52号明細書;米国特許第5882843号明細書;米国特許第5879855号明細書;米国特許第5866298号明細書;米国特許第5863678号明細書;特開平6−230212号公報;欧州特許第320264号明細書;特開平9−269410号公報;特開平10−221843号公報;特開平1−090516号公報;特開平10−171119号公報;米国特許第5821016号明細書;米国特許第5847015号明細書;米国特許第5882843号明細書;米国特許第5719008号明細書;欧州特許
第881541号明細書又は欧州特許第902327号明細書に記載されている。
本発明の光開始剤は、カラーフィルタレジスト、例えば上記の例に述べたそれらに使用可能であり、或いは、そのようなレジストにおいて既知の光開始剤を部分的又は完全に置き代えることができる。本発明の新規な光開始剤の使用は、感光性カラーフィルターインク又はカラーフィルタレジストを形成させるために、特定のバインダ樹脂、架橋剤及びここに述べたカラーフィルタレジストの配合例に限定されることなく、染料もしくは色顔料または潜在的顔料と組み合わせて、あらゆるラジカル重合性成分と共に使用できることは、当業者によって理解される。
【0187】
したがって、本発明の対象は、また、赤、緑及び青(RGB)色要素−画素−及び所望により黒色マトリックス(すべては、透明基板上に感光性樹脂および顔料を含む)を設け、並びに、基板の表面又はカラーフィルタ層の表面のいずれかに透明電極を設けることにより製造されるカラーフィルタであって、該感光性樹脂が、多官能性アクリレートモノマー、有機ポリマーバインダ及び上記の式Iで表される光重合開始剤を含むカラーフィルタである。モノマー及びバインダ成分並びに適する顔料は上記されている。カラーフィルタの製造において、透明電極層は、透明基板の表面上に適用可能であるか、または赤、緑及び青色画素及び黒色マトリックスの表面に施すことができる。透明基板は、例えばその表面にさらに電極層を有することがでできるガラス基板である。
カラーフィルタのコントラストを改善するために、異なる色の色領域の間に黒色マトリックスを塗布するのが好ましい。
【0188】
既に述べたように、本発明の感光性組成物は、カラーフィルタの黒色マトリックスの製造にも適する。例えば前記黒色マトリックス組成物は
−上述の、本発明の式Iで表される光開始剤化合物又は本発明の式Iで表される化合物の光開始剤混合物、
−有機バインダ、具体的には、カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂である、有機バインダ、
−黒色着色材料、
−ポリマー分散剤、具体的には、塩基性官能基を含むポリマー分散剤
を含む。
当業者は、こうした配合を良く知っている。上述の適当な黒色マトリックス組成物及びその成分(光開始剤以外)は、特許第375065号公報で与えられ、該公報の開示事項は参照することによって本書に組み込まれる。
【0189】
透明基板上に赤、緑及び青色領域を分離する黒色パターンを形成するために、感光性組成物を用いて黒色マトリックスを形成し、黒色感光性組成物を光リソグラフィ的にパターン様に露光(すなわち、適当なマスクを通して)する代わりに、無機黒色マトリックスを用いることは、別の方法として可能である。そのような無機黒色マトリックスは、適当な画像プロセス、例えば、エッチングレジストで保護されていない領域の無機層をエッチングし、次いで残留エッチングレジストを除去することによる、エッチングレジストを用いた光リソグラフィパターン化を利用することにより、透明基板上の付着(すなわち、スパッタリングされた)金属(すなわち、クロム)フィルムから形成させることができる。
【0190】
カラーフィルタ製造プロセスにおいて、黒色マトリックスを、どのように、どの工程で塗布し得るかについての様々な既知の方法がある。既に述べた赤、緑及び青(RGB)色カラーフィルターの形成の前に、透明基板上に直接に塗布することができるか、またはRGBカラーフィルタが、基板上に形成された後に塗布することができる。
【0191】
米国特許第626796号明細書による、液晶表示装置用のカラーフィルタの異なる実施態様において、黒色マトリックスは、RGBカラーフィルタ要素−保持基板の反対側の
基板上に塗布することができ、それは液晶層により前者から分離されている。
【0192】
透明電極層を、RGBカラーフィルタ要素及び−所望により−黒色マトリックスを塗布した後に、付着するならば、例えば米国特許第5650263号明細書に記載されているように、保護層としてのさらなるオーバーコートフィルムを、電極層の付着前に、カラーフィルタ層上に塗布することができる。
【0193】
カラーフィルタのオーバーコート層を形成するために、感光性樹脂または熱硬化性樹脂組成物が使用される。本発明の組成物の硬化されたフィルムは平坦性、硬度、薬品耐性、耐熱性、特に可視領域での透過性、基板への接着性、および透明伝導性フィルム、例えばITOフィルムをその上に形成するための適性に優れているので、該感光性組成物はまた、そのようなオーバーコート層を形成するために使用できる。保護層の製造において、特開昭57−42009号公報、特開平1−130103号公報および特開平1−134306号公報に記載されるように、例えば基板を切断するためのスクライビングライン上及び、固体画像センサのボンディングパッド上の、保護層の不必要な部分を基板から除去すべきであるとの要求がある。この点に関して、上記の熱硬化性樹脂を用いて、良好な精度で保護層を選択的に形成することは困難である。しかしながら、感光性組成物は、光リトグラフィによって保護層の不要部分を容易に除去することを可能にする。
【0194】
本発明の感光性組成物は、加工における上記の差異にかかわらず、塗布可能な付加的な層にかかわらず、またカラーフィルタデザインにおける差異に拘らず、カラーフィルタの製造のために、赤、緑および青色画素ならびに黒色マトリックスを形成するために用いることができるということは当業者に明らかである。着色要素を形成するための本発明による組成物の使用は、そのようなカラーフィルタの異なるデザインおよび製造方法により限定されると考えるべきではない。
【0195】
本発明の感光性組成物は、カラーフィルタを形成するのに適切に使用できるが、この用途に限定されるものではない。表示の用途や表示要素における記録材料、レジスト材料、保護層、誘電層、塗料、および印刷インクにも同様に有用である。
【0196】
本発明による感光性組成物は、液晶表示装置、より詳しくは、スイッチングデバイスとして薄膜トランジスター(TFT)を有するアクティブマトリックス型、およびスイッチングデバイスなしのパッシブマトリックス型の表示装置を含む、反射型液晶表示装置の層間絶縁層または誘電層を製造するためにも好適である。
近年、液晶表示装置は、その薄い厚さ、および軽量のために、例えば、携帯テレビセット、および通信用ターミナルデバイスに広く用いられている。
バックライトを用いる必要のない反射型液晶装置は、極度に薄く、軽量であり、そして電力消費を有意に削減できるため、特に需要がある。しかし、現在利用できる透過型カラー液晶表示装置からバックライトを除去し、光反射板を表示装置の下面に加えたとしても、光の利用効率は低く、そのため実用的な明るさを有することができないという問題を生じる。
この問題に対する解決策として、光の利用効率を増強するために、様々な反射型液晶表示装置が提案されている。例えば、ある種の反射型液晶表示装置は、反射機能を有する画素電極を含むようにデザインされている。
反射型液晶表示装置は、絶縁性の基板と、該絶縁基板から間隔をあけて対向する基板とを含む。基板間の空間は、液晶で充填する。ゲート電極を絶縁性基板上に形成し、ゲート電極と絶縁性基板との双方を、ゲート絶縁フィルムで被覆する。次いで、半導体層を、ゲート電極の上のゲート絶縁フィルム上に形成する。ソース電極およびドレイン電極も、ゲート絶縁フィルム上に半導体層と接して形成する。ソース電極、ドレイン電極、半導体層およびゲート電極は、互いに協働して、それによってスイッチングデバイスとしてのボト
ムゲート型TFTを構成する。
層間絶縁フィルムを、ソース電極、ドレイン電極、半導体層およびゲート絶縁フィルムを覆うように形成する。ドレイン電極上の層間絶縁フィルムを貫通して、コンタクトホールを形成する。アルミニウム製の画素電極を、層間絶縁フィルムと、コンタクトホールの内側壁の双方に形成する。TFTのドレイン電極は、結果的に、層間絶縁フィルムを介して画素電極と接触する。層間絶縁層は、一般に、粗くした表面を有し、それによって、画素電極が、光を拡散して、より広い視野角(可視角)を得る、反射板として作用するようにデザインされる。
反射型液晶表示装置は、画素電極が光反射板として作用することによって、光を用いることの効率を著しく増強する。
上記の反射型液晶表示装置では、層間絶縁フィルムは、フォトリソグラフィー法によって凹凸を有するようデザインされる。凹凸のマイクロメートル次元での微細な形状の形成かつ制御をすることにより表面を粗くし、そしてコンタクトホールを形成するには、ポジティブおよびネガティブフォトレジストを用いたフォトリソグラフィー法を用いる。これらのレジストには、本発明による組成物が特に適している。
【0197】
本発明による感光性組成物は、さらに、液晶表示パネル内の液晶部分のセルギャップを制御する、スペーサの製造にも用いることができる。液晶表示装置内の液晶層を介して透過または反射される光の特性は、セルギャップに依存することから、画素アレー全体の厚さの精度、および均一性は、液晶表示装置ユニットの性能に関する重大なパラメータである。液晶セルでは、セル内の基板間の間隔は、スペーサとして直径が数マイクロメートルのガラスまたはポリマーの球体を基板の間にまばらに分布させることによって、一定に保たれる。したがって、これらのスペーサは、基板間の距離を一定の値に保つよう、基板間に保持される。この距離は、スペーサの直径によって決定される。スペーサは、基板間の最小の間隔を確保する、すなわち、基板間の距離の減少を防止する。しかし、それらは、基板が互いに遠く隔てられること、すなわち基板間の距離の増大を防ぐことはできない。加えて、スペーサビーズを用いるこの方法は、スペーサビーズの直径の均一性およびスペーサビーズのパネル上での均一な分散性の困難さの問題とともに、不均一な配向性並びに画素アレー領域でのスペーサの位置に依存した、輝度および/または光学的開口度の減少という問題を有する。近年、大型の画像表示領域を有する液晶表示装置が、多大な関心を引き付けている。しかし、液晶セルの領域の増大は、一般に、セルを構成する基板の歪みを引き起こす。液晶の層構造は、基板の変形のために破壊される傾向がある。したがって、基板間の間隔を一定に保つために、スペーサを用いる場合でさえ、大型の画像表示領域を有する液晶表示装置は、表示装置が妨害を受けるために実現不能になる。
上記のスペーサ球体分散法に代えて、列柱をスペーサとして、セルギャップ内に形成する方法が提案されている。この方法では、樹脂の列柱をスペーサとして、画素アレー領域と対向電極との間の領域に形成して、所定のセルギャップを形成する。接着特性を有する感光性材料が、例えば、カラーフィルタの製造工程に、フォトリソグラフィー法で、一般に用いられる。この方法は、スペーサビーズを用いる慣用の方法と比較すると、スペーサの位置、数および高さを自由にコントロールし得る点で好都合である。カラー液晶表示パネルにおいて、そのようなスペーサを、カラーフィルタ要素の黒色マトリックス下の非結像領域に形成する。そのため、感光性組成物を用いて形成されたスペーサは、輝度および光学的開口度を減少させない。
カラーフィルタ用スペーサを有する保護層を形成するための感光性組成物は、特開2000−81701号公報に開示され、スペーサ材料のためのドライフィルム型フォトレジストも、特開平11−174459号公報および特開平11−174464号公報に開示されている。これらの文書に記載のとおり、感光性組成物、リキッド及びドライフィルムフォトレジストは、少なくともアルカリまたは酸可溶性バインダポリマー、ラジカル重合性モノマー、およびラジカル開始剤を含む。ある場合には、エポキシドおよびカルボン酸などの熱架橋性成分を、追加的に包含してよい。
感光性組成物を用いてスペーサを形成する工程は、下記のとおりである:
感光性組成物を、基板、例えばカラーフィルタパネルに塗布し、基板をプリベークした後、マスクを通して露光させる。次いで、基板を現像剤で現像し、パターン化して、所望のスペーサを形成する。組成物が何らかの熱硬化性成分を含有するときには、通常、ポストベークを実施して、組成物を熱硬化させる。
本発明による光硬化性組成物は、その高い感度のため、液晶表示装置(上記のような)用のスペーサを製造するのに適する。
【0198】
本発明による感光性組成物は、液晶表示パネル、画像センサなどに用いられるマイクロレンズアレーを製造するのにも適する。
マイクロレンズは、検出器、表示装置、および発光デバイス(発光ダイオード、横穴および縦穴レーザー)などのアクティブ光電子工学デバイスに適合して、それらの光学的入出力の質を向上させる、微細なパッシブ光学的部品である。応用分野は広く、遠隔通信、情報技術、視聴覚サービス、太陽電池、検出器、固体光源、および光学的相互接続などの分野をカバーする。
現在の光学システムは、様々な手法を用いて、マイクロレンズとマイクロ光学デバイスとの間の効率的な結合を達成している。
マイクロレンズアレーは、非発光性表示デバイス、例えば液晶表示デバイスの画素領域で、照明光を集光して、表示装置の輝度を増強させるために、入射光を集光するために、または例えばファクシミリなどに用いられるライン画像センサの光電変換領域に画像を形成して、これらのデバイスの感度を改善する手段として、そして液晶プリンターもしくは発光ダイオード(LED)プリンターに用いられる感光性手段で印刷するための画像を形成するために、用いられる。
【0199】
最も一般的な用途は、電荷結合デバイス(CCD)などの固体撮像デバイスの光検出アレーの効率を向上させるためのそれらの使用である。検出器アレーにおいては、各検出器要素または画素においてできるだけ多くの光の収集が求められる。各画素の上端にマイクロレンズを取り付けると、レンズは、進入する光を収集し、レンズの大きさより小さい放射面に焦点をあわせる。
従来の技術によれば、マイクロレンズアレーは、様々な方法で製造することができ;それらの各々に本発明の組成物が使用され得る。
(1)平面配置のレンズパターンを、慣用のフォトリソグラフィック手法などによって、熱可塑性樹脂上に描き、次いで、熱可塑性樹脂を、流動性を持つように、その樹脂の軟化点を越える温度に加熱し、それによってパターンエッジにたるみを生じさせる(いわゆる「リフローイング(再流動)」)、凸面レンズを得る方法(例えば、特開昭60−38989号公報、特開昭60−165623号公報、特開昭61−67003号公報および特開2000−39,503号公報参照)。この方法では、用いた熱可塑性樹脂が感光性である場合、この樹脂の露光によってレンズパターンを得ることができる。
(2)型またはスタンパーの使用によって、プラスチックまたはガラス材料を成形する方法。この方法では、レンズ材料として、光硬化性樹脂および熱硬化性樹脂が使用可能である(例えば国際公開特許第99/38035号パンフレット参照)。
(3)アライナ(aligner:露光装置)の使用によって、感光性樹脂を所望のパターンに露光させた場合、未反応モノマーが非露光領域から露光領域に移動する結果、露光領域が膨張する現象に基づいて、凸面レンズを形成する方法(例えば、Journal of the Research Group in Microoptics Japanese Society of Applied Physics,Colloquiumin in Optics,Vol.5,No.2,pp.118−123(1987)及びVol.6,No.2,pp.87−92(1988)参照)。
支持基板の上面に、感光性樹脂層を形成する。その後、別個の遮光マスクを用いて、感光性樹脂層の上面を、水銀灯などの光で照明して、感光性樹脂層を露光する。その結果、
感光性樹脂層の露光部分は、凸面レンズの形状に膨張して、複数のマイクロレンズを有する集光層を形成する。
(4)パターンエッジにくもりを生じさせて、光化学反応生成物の量を、パターンエッジくもりの度合いに応じて分布させる、光マスクを樹脂に接触させない近接露光法によって感光性樹脂を露光させる、凸面レンズを得る方法(例えば特開61−153602号公報参照)。
(5)感光性樹脂を特定の強度分布で露光させて、光の強度に応じて分布パターンを有する屈折率を形成する、レンズ効果を発生させる方法(例えば、特開昭60−72927号公報および特開昭60−166946号公報参照)。
本発明の感光性組成物は、上記の方法のいずれかの一つにおいても、光硬化性樹脂組成物を用いてマイクロレンズアレーを形成するために用いることができる。
【0200】
特定クラスの手法は、フォトレジストのような熱可塑性樹脂にマイクロレンズを形成することに集中している。一例が、Popovicらによって参考文献SPIE 898,pp.23−25(1988)に出版されている。リフロー手法と名付けられた該手法は、例えばフォトレジストのような感光性樹脂におけるフォトリソグラフィーによって、レンズのフットプリントを熱可塑性樹脂中に規定し、次いで、この材料をそのリフロー温度を越えて加熱する工程を含む。表面張力は、フォトレジスト・アイランドを、リフロー前の最初のアイランドに等しい体積を有する球形キャップ内に引き込む。
このキャップが、平凸マイクロレンズである。該手法の長所は、とりわけ、単純性、複製可能性、および発光性または光検出用の光電子デバイスの上端に直接一体化できる可能性である。
ある場合には、リフロー前に、オーバーコート層を矩形状のパターン化されたレンズユニット上に形成し、リフロー工程における球形キャップへのリフローなしに、樹脂アイランドの中央におけるたるみを回避する。オーバーコートは、永続的保護層としての役割を果たす。コーティング層もまた、感光性組成物で形成する。
マイクロレンズアレーは、例えば欧州特許第0932256号明細書に開示される、型またはスタンパーの使用によって製作することもできる。平面マイクロレンズアレーを製造する方法は、下記のとおりである:
凸面部分を密に配置したスタンパーの成形面に、離型剤をコーティングし、高い屈折率を有する光硬化性合成樹脂材料を、スタンパーの成形面上にセットする。次に、ガラス基板を合成樹脂材料に押し付け、それによって、合成樹脂材料を伸展させ、紫外線での照射または加熱によって合成樹脂材料を硬化させ、凸マイクロレンズを形成するよう成形する。その後、スタンパーを剥がす。次いで、低い屈折率を有する光硬化性合成樹脂材料を、接着層として凸マイクロレンズ上にさらにコーティングし、カバーガラス板へ作成したガラス基板を、合成樹脂材料に押し付け、それによってこれを伸展させる。次いで、合成樹脂材料を硬化させ、最後に、平面マイクロレンズアレーを形成する。
米国特許第5969867号明細書に開示されたとおり、型を用いた類似の方法が、プリズムシートの製造に適用され、これは、カラー液晶表示パネル用のバックライトユニットの一部として、輝度を増強するために用いられる。片側にプリズム列を形成するプリズムシートは、バックライトの発光面に取り付けられる。プリズムシートを製造するには、活性エネルギー線硬化性組成物を、金属製、ガラス製または樹脂製のレンズ型にキャストし伸展させ、プリズム列等のレンズ形状を形成し、その後、透明な基板シートをその上に置き、活性エネルギー線放出源からの活性エネルギー線を、硬化のために該シートを通して照射する。次いで、製造されたレンズシートを、レンズ成形用型から離型して、レンズシートを得る。
レンズ部分を形成するのに用いられる活性エネルギー線硬化性組成物は、透明な基板への接着性、および適当な光学特性を含む、様々な特性を保有しなければならない。
少なくとも従来の技術の何らかのフォトレジストによるレンズは、光学スペクトルの青色端における光学的透過率が不良であるため、いくつかの用途に対して望ましくない。
本発明の光硬化性組成物は、熱的にも光化学的にも、低い黄化性を有するため、上記マイクロレンズアレーの製造に適している。
【0201】
新規な放射線感受性組成物は、プラズマ表示パネル(PDP)の製造法に用いられるフォトリソグラフィー工程、特にバリヤーリブ、蛍光層および電極の画像形成プロセスにも適している。
PDPは、気体放電による発光によって画像および情報を表示するための、平面表示装置である。パネルの構成、および操作の方法によって、二つの種類、すなわちDC(直流)型およびAC(交流)型が知られている。
例示のため、DC型カラーPDPの原理を簡潔に説明する。DC型カラーPDPでは、2枚の透明な基板(一般的にはガラス板)の間に介在する空間が、この透明基板間に挿入された格子状のバリヤーリブによって、多数の微細なセルに分割される。個々のセルにおいて、放電気体、例えばHeまたはXeが密閉される。各セルの後方壁には、蛍光層が存在し、該層は放電気体の放電によって生成された紫外光によって励起されると、三原色の可視光を発する。2枚の基板の内面には、関連するセルを通して互いに対向するよう、電極が配置される。一般に、陰極は、NESAガラスのような、透明な導電性材料フィルムで形成される。前壁および後壁に形成されたこれらの電極間に高電圧が印加されたとき、セルに密閉された放電気体は、プラズマ放電を誘発し、その結果放射される紫外光によって、赤、青および緑色の蛍光要素を励起して発光し、画像を表示する。フルカラー表示系では、それぞれ、上記の赤、青および緑色の3原色の各蛍光要素は、連帯して、一つの画素を形成する。
DC型PDPにおけるセルは、格子の構成バリヤーリブによって分割されるのに対し、AC型PDPにおけるそれは、基板面に互いに平行に配置されたバリヤーリブによって分割される。いずれの場合も、セルは、バリヤーリブによって分割される。これらのバリヤーリブは、発光放電を固定された領域内に閉じ込めて、隣接する放電セル間の誤った放電またはクロストークを除外し、理想的な表示を確保することを目的とする。
【0202】
本発明の組成物は、単色または多色であり得る画像記録もしくは画像複製(コピー、複写)のための、一つまたはそれ以上の層をなす材料の製造のための用途も見出される。さらに、その材料は、カラー試験系に適する。この技術では、マイクロカプセルを含む配合物を適用し、画像生成のために、放射線硬化の後に熱処理を実施することができる。そのような系および技術、ならびにそれら用途は、例えば米国特許第5376459号明細書に開示されている。
【0203】
式Iで表される化合物はホログラフデータ記憶用途における光開始剤としても適する。前記光開始剤はラジカルを発生させ、ホログラフデータ記憶に適する、ブルーレーザー放射で照射してモノマーの重合を開始する。ブルーレーザーの波長範囲は390−420nm、好ましくは400−410nmであり、特に405nmである。ホログラフ記憶系(ホログラフ記録媒体)は、例えば大容量データを素早いアクセス時間で記録及び読み出すのに使用される。本発明の光開始剤は例えば特にWO03/021358号パンウフレットに記載のシステムに適する。
ホログラフデータ記憶系は、好ましくは、低屈折率のマトリックス前駆体のマトリックスネットワークと高屈折率の光重合性モノマーからなる。
マトリックス前駆体及び光活性モノマーは、(a)マトリックス前駆体が硬化中に重合する反応は、パターン、例えばデータの記録の間に光活性モノマーが重合する反応から独立しているように、そして(b)マトリックスポリマーと光活性モノマー(感光性樹脂)の重合によって得られるポリマーとは互いに混合可能であるように、から選択される。光記録材料(すなわちマトリックス材料、さらに光活性モノマー、光開始剤及び/又は添加剤を加えたもの)は少なくとも約10Paの、一般に約10乃至10Paの弾性率を示すとき、マトリックスは形成されると判断される。
メディアマトリックスは “溶解”され未反応のままである光重合性モノマーの存在下
で、架橋ネットワークとして得られる、その場の重合によって形成される。未反応の光重合性モノマーを含有するマトリックスはまた他の手段、例えば、光活性な液体モノマーが均一に分散した、固体−樹脂マトリックス材料を用いることによっても形成される。そして、単色照射が、ホログラフパターンを生成し、該パターンは光度分布に従い、固体の予形成されたマトリックス中で光反応性モノマーを重合させる。未反応モノマー(光度が最少である場合)はマトリックス中に拡散し、モノマーとマトリックスの屈折率の相違によって、並びに、モノマーの体積分率によって算出された、屈折率の変調を生成する。記録層の厚さは数マイクロメーターの範囲から最高1ミリメートルの厚さである。そのように厚いホログラフデータ記憶層であることから、上記レーザー波長で該層を透明にして、光重合範囲が記録層における露光深さに極力依存しないために、光開始剤は高い光反応性と低い吸光度を兼ね備えていることが要求される。
本発明の光開始剤が、405nmにおける高い反応性と低い吸光度を兼ね備え、本用途に適当であることが見出された。染料及び増感剤もまた配合物に添加可能である。ブルーレーザー照射に適当な染料及び増感剤は、例えばクマリン、キサントン、チオキサントンなどである(上記リストを参照)。
特に、上記のリスト中のアイテム1.、2.及び3.に記載されたチオキサントン、クマリン及びベンゾフェノンが関連する。
該光開始剤が、ホログラフデータ記憶に要求されるような、厚い層中で、高感度で、モノマーの光重合を可能にし、ブルーレーザー照射に高感度な記録層を得ることを見出した。光開始剤は、20μ厚さの感光層中、2−8質量%の濃度で使用されるとき、レーザー波長における、光開始剤を含む層の0.4未満、好ましくは0.2未満の吸収を得る。
光開始剤は、特に光学物品(例えば光導波路)または、上述のポリマー及び有機光開始剤を含み、340−450nm範囲のUV波長で最大吸収を有し、感度に適合した屈折率コントラストが3×10−6Δn/(mJ/cm2)である、ホログラフ記録媒体の製造
に特に適する。例えば、ポリマーは成分1及び成分2(成分1はNCO−末端プレポリマーを含み、成分2はポリオールを含む)を含む材料を重合することによって形成される。成分1は、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート誘導体である。成分2は、例えばポリプロピレンオキシドのポリオールである。好ましくは、光活性モノマーはアクリレートモノマーである。前記媒体中、書き込みによって引き起こされる収縮は通常0.25%未満である。
【0204】
さらに、光硬化は、印刷には非常に重要であり、それはインクの乾燥時間が、図画生産物の生産速度にとって重要な要素であり、ほんの一瞬のオーダーとなるべきだからである。UV硬化性インクは、スクリーン印刷およびオフセットインクに特に重要である。
【0205】
既に述べたように、新規混合物は、印刷版の製造にも非常に適する。この用途は、例えば、可溶性の直鎖ポリアミドまたはスチレン/ブタジエンおよび/もしくはスチレン/イソプレンゴム、カルボキシル基を有するポリアクリレートもしくはポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコールもしくはウレタンアクリレートと、光重合可能な単量体、例えばアクリルアミドおよび/またはメタクリルアミド、またはアクリレートおよび/もしくはメタクリレートとの混合物、ならびに光開始剤を用いる。これらの(乾燥または湿潤)系のフィルムおよびプレートを、印刷された原版の陰画(または陽画)を覆って露光させ、次いで、非硬化部分を適当な溶媒または水溶液を用いて洗い落とす。
光硬化が用いられる別の分野は、例えば、金属の板およびチューブ、缶またはボトルキャップのコーティングの場合は、金属のコーティングであり、そして、例えば、PVCを基材とする床または壁の被覆物などの重合体コーティングの光硬化である。
紙コーティングの光硬化の例は、ラベル、レコードジャケットおよびブックカバーの無
色ワニス塗りである。
【0206】
さらに関心が持たれるものは、複合組成物から製造された成形品を硬化させるのに、この新規光開始剤を用いることである。複合化合物は、自己支持型マトリックス材料、例えばガラス繊維織物、あるいは、例えば植物繊維よりなり[K.-P.Mieck,T.Reu
ssmann in Kunststoffe 85(1995),366−370参照
]、これを光硬化配合物で含浸させる。複合化合物を含む成形部品は、新規化合物を用いて製造したとき、高水準の機械的安定性および耐性を獲得する。新規化合物はまた、例えば欧州特許第7086号公報に記載されるように、成型、含浸およびコーティング組成物における光硬化剤として用いることもできる。そのような組成物の例は、硬化活性および耐黄変性に関して厳しい要件に付されるゲルコート樹脂、および繊維強化成型品、例えば、平面であるか、または長手方向もしくは横断方向に波形を有する光拡散パネルである。そのような成型品を製造する手法、例えば、ハンドレイアップ、スプレーレイアップ、遠心注型、またはフィラメント巻取りは、例えば、P.H.Seldenによる"Glas
faserverstaerkte Kunststoffe",p.610,Spri
nger Verlag Berlin−Heidelberg−New York 1967に記載されている。これらの手法によって製造できる物品の例は、ガラス繊維強化プラスチックの両面コーティングを有する、ボート、繊維ボード、またはチップボードパネル、パイプ、コンテナ等である。成型、含浸およびコーティング組成物のさらなる例は、ガラス繊維(GRP)含む成型品、例えば波形シートおよびペーパーラミネートに対するUP樹脂ゲルコートである。ペーパーラミネートは、尿素樹脂またはメラミン樹脂に基づくものであり得る。ラミネートの製造の前に、ゲルコートを支持体(例えばフィルム)上に形成する。新規な光硬化性組成物は、樹脂のキャスティング、または物品、例えば電子部品の埋め込み等にも用いることができる。
【0207】
本発明による組成物および化合物は、照射領域と非照射領域との間の屈折率の差の発生を利用する、ホログラフィ、導波路、光学スイッチの製造に用いることができる。
【0208】
イメージング技術、および情報担体の光学的形成のための光硬化性組成物の使用も重要である。そのような用途では、既に述べたように、支持体に適用された層(ウェット又はドライ)を、例えば光マスクを通して、UVまたは可視光で画像様に照射し、層の非照射領域を、現像剤での処理によって除去する。金属への光硬化層の塗布は、電着によって実施することもできる。露光領域は、架橋によって重合体になり、そのため、不溶性となって支持体に残留する。適切な着色が可視イメージを生成する。支持体が金属化された層であるときは、金属は、露光および現像の後に、非露光領域をエッチング除去するか、または電気めっきによって強化することができる。このようにして、電子回路およびフォトレジストを製造することができる。画像形成材料に用いた場合は、この新規光開始剤は、いわゆるプリントアウト画像を生成し、それにより、照射に起因して色の変化が誘発される、優れた性能を与える。そのようなプリントアウト画像を形成するには、異なる染料、および/またはそのロイコ形態が用いられ、そのようなプリントアウト画像系についての例は、例えば国際公開特許第96/41240号パンフレット、欧州特許第706091号明細書、欧州特許第511403号明細書、米国特許第3579339号明細書および米国特許第4622286号明細書に見出すことができる。
【0209】
新規光開始剤はまた、逐次積層法により製造される多層回路基板の誘電体層を形成するための光パターン化可能な組成物に適している。
【0210】
本発明は、上記のとおり、着色および非着色塗料およびワニス、粉末コーティング、印刷用インク、印刷版、接着剤、感圧接着剤、歯科組成物、ゲルコート、電子工学用のフォトレジスト、電気めっきレジスト、リキッドおよびドライフィルム双方のエッチングレジ
スト、はんだレジスト、様々な表示用途のカラーフィルタを製造するためのレジストとして、プラズマ−ディスプレイパネル(例えばバリヤリブ、蛍光体層、電極)、電界発光ディスプレイ及びLCD(例えば層間絶縁層、スペーサ、マイクロレンズアレー)の製造工程における構造を形成するための、ホログラフデータ記憶(HDS)のための、電気及び電子部品を封入するための組成物として、磁気記録材料、微小機械部品、導波路、光学スイッチ、めっき用マスク、エッチングマスク、カラー試験系、ガラス繊維ケーブルコーティング、およびスクリーン印刷用ステンシルを製造するための、ステレオリソグラフィによる三次元物体を製造するための、そしてホログラフィ記録用の画像記録材料、微細電子回路、脱色材料、および画像記録材料のための脱色材料、マイクロカプセルを用いた画像記録材料のための、プリント回路基板の逐次積層における誘電体層を形成するために使用されるフォトレジスト材料として、組成物を提供する。
【0211】
写真情報の記録に用いられる基材は、例えば、ポリエステル及び酢酸セルロースフィルム、またはポリマーコート紙を包含する;オフセット印刷用紙のための基材は、特別に処理されたアルミニウムであり、プリント回路の製造のための基板は、銅張りラミネートであり、集積回路の製造のための基板は、例えば、シリコンウエハである。写真材料およびオフセット印刷用紙のための感光層の層厚は、一般的には、約0.5〜10μmであるが、プリント回路用には、0.1〜約100μmである。基板(基材)の塗装の後、溶媒を、一般的には乾燥によって、除去して、基板上にフォトレジストコートを残留させる。
【0212】
基材のコーティングは、基材に液体組成物、溶液または懸濁液を塗布することによって実施する。溶媒および濃度の選択は、主として、組成物の種類およびコーティング手法に依存する。溶媒は、不活性、すなわち、成分との化学的反応を生じてはならず、コーティング後に、乾燥の際に再度除去できなければならない。適当な溶媒の例は、ケトン、エーテルおよびエステル、例えばメチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、2−ペンタノンおよび乳酸エチルである。
溶液は、公知のコーティング手法、例えばスピンコーティング、ディップコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、ブラッシング、吹付け、特に静電吹付けおよび逆ロールコーティングによって、あるいはまた電気泳動沈着によって、基材に均一に塗布する。感光層を、仮の柔軟な支持体に塗布し、次いで、積層により層を移動することによって、最終基材、例えば銅張り回路基板またはガラス基板にコートすることもできる。
塗布量(塗膜厚さ)、および基材(層支持体)の性質は、要求されるの適用分野に依存する。塗膜厚さの範囲は、一般に約0.1〜100μm以上、例えば0.1μm〜1cm、好ましくは0.5〜1,000μmの値を含む。
【0213】
基材をコーティングしたのち、一般に乾燥によって溶媒を除去し、基材上にフォトレジストの、基本的にドライレジストフィルムを残留させる。
【0214】
本新規組成物の感光度は、概して、約150〜600nm、例えば190〜600nm(UV〜可視領域)に及び得る。適切な放射線は、例えば、日光、または人工光源からの光に存在する。その結果、非常に多くの非常に異なる種類の光源が用いられる。点光源およびアレー(「ランプカーペット」)のいずれもが好適である。例は、カーボンアーク灯、キセノンアーク灯、金属ハロゲン化物のドープを有し得る低圧、中圧、高圧および超高圧水銀灯(金属ハロゲン灯)、マイクロ波で励起される金属蒸気灯、エキシマランプ、スーパーアクチニック蛍光管、蛍光灯、アルゴン白熱灯、電子閃光、写真用フラッドランプ
、発光ダイオード(LED)、電子ビームおよびX線である。ランプと、本発明により露光しようとする基材との間の距離は、対象用途、ならびにランプの種類および出力に応じて変動し得、例えば2〜150cmであり得る。レーザー光源、例えばエキシマレーザー、例えば157nm露光でのF2エキシマーレーザー、248nmでの露光用のKrFエ
キシマーレーザー、および193nmでの露光用のArFエキシマーレーザーもまた好適である。可視領域でのレーザーも、使用可能である。
【0215】
用語「画像様(imagewise)」の露光は、所定のパターンを含むフォトマスク、例えばスライド、クロムマスク、ステンシルマスクまたはレチクルを通しての露光と、例えば、コーティングされた基材の表面上をコンピュータ制御下で移動し、このようにして画像を生成する、レーザーまたは光ビームによる露光との双方を包含する。該目的に適したUVレーザー露光系は、例えばEtecおよびOrbotech(DP−100(登録商標)DIRECT IMAGING SYSTEM社)により提供される。レーザー光源のその他の例は、例えばエキシマレーザー、例えば157nm露光でのF2エキシマ
ーレーザー、248nmでの露光用のKrFエキシマーレーザー、および193nmでの露光用のArFエキシマーレーザーである。さらに適当なものは、固体UVレーザー(例えば、Gemini(ManiaBarco社)、DI−2050(ペンタックス社))及び405nm出力の紫色レーザーダイオード(DI−2080、DI−PDP(ペンタックス社))である。可視領域でのレーザーも、使用可能である。そして、コンピュータ制御照射もまた、電子ビームによって達成される。例えば、A.Bertsch,J.Y.Jezequel,J.C.AndreがJournal of Photochemistry and Photobiology A:Chemistry 1997,107,p.271−181で、又K.−P.NicolayがOffset Printing 1997,6,p.34−37に記載したように、デジタル画像を生成するために画素単位で対応できる、液晶で製造されたマスクを用いることも可能である。
材料の画像様の露光の後、現像の前に、短時間熱処理を実施するのが、好都合であり得る。現像の後、サーマルポストベークを実施して、組成物を堅固にし、溶媒のすべての痕跡を除去することができる。使用される温度は、一般的に、50〜250℃、好ましくは80〜220℃である;熱処理の持続時間は、一般的に、0.25〜60分間である。
【0216】
光硬化性組成物は、例えば独国特許第4013358号明細書に記載されたように、印刷版またはフォトレジストを製造する方法に追加的に用いてもよい。そのような方法では、該組成物を、画像様の照射の前か、それと同時にか、またはその後に、少なくとも400nmの波長を有する可視光に、マスクなしで短時間露光させる。
【0217】
露光、および実施していれば熱処理の後に、感光性コーティングの非露光領域を、現像液を用いて、それ自体は公知である方式で除去する。
【0218】
既に述べたように、本新規組成物は、水性アルカリまたは有機溶媒によって現像することができる。特に適する水性アルカリ現像溶液は、水酸化テトラアルキルアンモニウム、またはアルカリ金属ケイ酸塩、リン酸塩、水酸化物および炭酸塩の水溶液である。少量の湿潤剤および/または有機溶媒も、所望により、これらの溶液に加えてよい。現像液に少量添加し得る代表的な有機溶媒の例は、シクロヘキサノン、2−エトキシエタノール、トルエン、アセトン、およびそれら溶媒の混合物である。基材に応じて、溶媒、例えば有機溶媒も、または上記のとおり、そのような溶媒とのアルカリ水溶液の混合物も、現像液として用いることができる。溶剤現像に特に有用な溶媒として、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、メチル
−3−メトキシプロピオネート、酢酸n−ブチル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ペンタノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタムおよびN−メチルピロリドンが挙げられる。所望により、依然として清澄な溶液が得られ、感光性組成物の非露光領域の充分な溶解度が保たれるレベルまで、これらの溶媒に水を加えることができる。
【0219】
したがって、本発明は、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、すなわち、少なくとも一つのエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマー化合物の光重合方法を提供するものであって、これらの化合物に、上記の式Iで表される少なくとも1種の光開始剤を加え、得られた組成物を電磁放射線、特に、波長150〜600nm、特に190〜600nmの光、電子ビームまたはX線で照射することを含む方法も提供する。
言い換えれば、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物に、上記の式Iで表される少なくとも1種の光開始剤を加え、得られた組成物を電磁放射線、特に、波長150〜600nm、特に190〜600nmの光、電子ビームまたはX線で照射する。
【0220】
本発明は、さらに、少なくとも一方の面を上記の組成物でコートしたコート基材を提供し、また、コート基材を画像様の露光に付し、次いで、非露光部分を現像剤で除去する、レリーフ像の写真的製造方法を記載する。画像様の露光は、マスクを通しての照射によってか、または上述のレーザーもしくは電子ビームによって達成され得る。この状況において、特に好都合なものは、上述のレーザービーム露光である。
【0221】
本発明の化合物は、良好な熱安定性、低揮発性、優れた貯蔵安定性及び高い溶解性を有し、また、空気(酸素)の存在下での光重合にも好適である。さらに、それらは、光重合後の組成物において、ほんの少しの黄化しか引き起こさない。
【実施例】
【0222】
下記の実施例は、本発明をより詳細に説明する。部およびパーセンテージは、明細書の残部及び特許請求の範囲におけるとおり、他に記述されない限り質量による。3個以上の炭素原子を有するアルキル基が、特定の異性体へのいかなる記述なしに言及される場合は、それぞれの場合にn−異性体を意味する。
【0223】
実施例1:4−[9−エチル−6−(ナフタレン−1−カルボニル)−9H−カルボゾール−3−イル]−4−アセトキシイミノ−酪酸エチルエステルの合成
【化22】

【0224】
1a. 4−[9−エチル−6−(ナフタレン−1−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル−4−オキソ−酪酸エチルエステル
CH2Cl2(100mL)中、N−エチルカルバゾール(5.00g)に対して、1−ナフトイルクロリド(4.88g)及びAlCl3(3.52g)を0℃で加えた。
室温にて一晩撹拌後、0℃でエチルスクシニルクロリド(4.34g)及びAlCl3
7.17g)を更に加え、混合物を室温にて一晩撹拌した。反応混合物を冷水に注ぎいれ、粗生成物をCH2Cl2を用いて抽出した。有機層をH2Oを用いて2回洗浄し、MgS
4で乾燥し、濃縮して生成物1.a.を得た。ベージュ色の固体として得られた生成物
の構造を1H−NMR(CDCl3)で確認した。
δ[ppm]:1.27(t,3H)、1.49(t,3H)、2.79(t,2H)、3.41(t,2H)、4.16(q,2H)、4.43(q,2H)、7.44−7.50(m,3H)、7.54(t,1H)、7.59(d,1H)、7.65(d,1H)、7.96(d,1H)、8.05(d,2H)、8.18(d,2H)、8.60(s,1H)、8.66(s,1H)。
【0225】
1.b. 4−[9−エチル−6−(ナフタレン−1−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−4−ヒドロキシイミノ−酪酸エチルエステル
エタノール(50ml)中に懸濁した4−[9−エチル−6−(ナフタレン−1−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−4−オキソ−酪酸エチルエステル(5.00g)にヒドロキシルアミンヒドロクロリド(1.09g)及び酢酸ナトリウム(1.46g)を加えた。還流下で2時間撹拌した後、反応混合物を水に注ぎいれた。粗生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層をH2Oを用いて3回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮して生成物1.b.を得た。ベージュ色の固体として得られた生成物の構造を1H−NMRスペクトル(CDCl3)で確認した。
δ[ppm]:1.19(t,3H)、1.46(t,3H)、2.63(t,2H)、3.20(t,2H)、4.09(q,2H)、4.40(q,2H)、7.40−7.58(m,5H)、7.63(d,1H)、7.79(d,1H)、7.94(d,1H)、8.02(d,1H)、8.05(d,1H)8.10(d,1H)、8.24(s,1H)、8.62(s,1H)。
【0226】
1.c. 4−[9−エチル−6−(ナフタレン−1−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−4−アセトキシイミノ−酪酸エチルエステル
アセトン(30ml)中、4−[9−エチル−6−(ナフタレン−1−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−4−ヒドロキシイミノ−酪酸エチルエステル(4.76g)にトリエチルアミン(1.47g)及び酢酸クロリド(1.14g)を0℃で滴下して加えた。0℃にて2時間撹拌後、反応混合物を水に注ぎ入れた。生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層をH2Oで2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮して残留物を得、カラムクロマトグラフィーによって溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=9/1〜4/6を用いてシリカゲル上で精製した。淡黄色がかった固体として得られた生成物1.c.の構造を1H−NMRスペクトル(CDCl3)で確認した。
δ[ppm]:1.21(t,3H)、1.48(t,3H)、2.28(s,3H)、2.60(t,2H)、3.26(t,2H)、4.12(q,2H)、4.42(q,2H)、7.43−7.49(m,2H)、7.51(d,1H)、7.55(d,1H)、7.58(d,1H)、7.64(d,1H)、7.92(d,1H)、7.95(d,1H)、8.04(t,2H)、8.15(d,1H)、8.36(s,1H)、8.61(s,1H)。
【0227】
実施例2:4−[9−エチル−6−(チオフェン−2−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−4−アセトキシイミノ−酪酸エチルエステルの合成
【化23】

本化合物を実施例1に記載された手順に従って、1−ナフトイルクロリドの代わりに2−チオフェンカルボニルクロリドを用いて合成した。構造を1H−NMRスペクトル(C
DCl3)で確認した。
δ[ppm]:1.24(t,3H)、1.50(t,3H)、2.30(s,3H)、2.64(t,2H)、3.31(t,2H)、4.14(q,2H)、4.44(q,2H)、7.23(t,1H)、7.48(d,1H)、7.51(d,1H)、7.74(d,1H)、7.75(d,1H)、7.95(d,1H)、8.12(d,1H)、8.50(s,1H)、8.73(s,1H)。
【0228】
実施例3:N−アセトキシ−N−{3−[9−エチル−6−(チオフェン−2−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−メチル−3−アセトキシイミノ−プロピル}アセトアミドの合成
【化24】

【0229】
3.a. (E)−1−[9−エチル−6−(チオフェン−2−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−ブト−2−エン−1−オン
CH2Cl2(200ml)中、N−エチルカルバゾール(5.00g)に2−チオフェンカルボニルクロリド(3.75g)及びAlCl3(3.52g)を0℃にて加えた。
室温で一晩撹拌後、トランス−クロトニルクロリド(2.76g)及びAlCl3(3.
76g)を更に0℃にて加え、混合物を室温にて一晩撹拌した。反応混合物を冷水に注ぎいれ、粗生成物をCH2Cl2で抽出した。有機層をH2Oを用いて2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮して残留物を得、カラムクロマトグラフィーによって溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=9/1〜5/5を用いてシリカゲル上で精製した。生成物を更にヘキサン−酢酸エチルから再結晶することによって精製した。ベージュ色の固体として得られた生成物3.a.の構造を1H−NMRスペクトル(CDCl3)で確認した。
δ[ppm]:1.51(t,3H)、2.06(d,3H)、4.46(q,2H)、7.12−7.17(m,2H)、7.23(t,1H)、7.50(d,1H)、7.53(d,1H)、7.73−7.78(m,2H)、8.14(d,1H)、8.20(d,1H)、8.76(s,1H)、8.78(s,1H)。
【0230】
3.b. 1−[9−エチル−6−(チオフェン−2−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−ヒドロキシアミノ−ブタン−1−オン オキシム
エタノール(45ml)中、(E)−1−[9−エチル−6−(チオフェン−2−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−ブト−2−エン−1−オン(2.00g)にヒドロキシルアミンヒドロクロリド(0.82g)及び酢酸ナトリウム(0.97g)を加えた。還流下で1時間撹拌後、反応混合物を水に注ぎいれ、沈殿物を得、濾過により単離した。このようにして得られた粗生成物を酢酸エチルに溶解した。溶液をMgSO4
で乾燥し、濃縮して生成物3.b.を得た。淡黄色がかった固体として得られた生成物の構造を1H−NMRスペクトル(CDCl3)で確認した。
δ[ppm]:1.20(d,3H)、1.41(t,3H)、3.01(dd,1H)、3.34(dd,1H)、3.47(dd,1H)、4.32(q,2H)、5.50(bs,1H)、7.16(t,1H)、7.35(d,1H)、7.40(d,1H)、7.63−7.71(m,2H)、7.78(d,1H)、8.04(d,1H)、8.35(s,1H)、8.59(s,1H)。
【0231】
3.c. N−アセトキシ−N−{3−[9−エチル−6−(チオフェン−2−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−メチル−3−アセトキシイミノ−プロピル
}−アセトアミド
THF(15ml)中、1−[9−エチル−6−(チオフェン−2−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−3−ヒドロキシアミノ−ブタン−1−オン オキシム(1.52g)にトリエチルアミン(2.06g)及び酢酸クロリド(1.60g)を0℃にて滴下して加えた。室温にて一晩撹拌後、反応混合物を水に注ぎいれた。生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層をH2Oで2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮して残留物を得、カラムクロマトグラフィーによって溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=8/2〜1/9を用いてシリカゲル上で精製した。淡黄色がかった固体として得られた生成物3.c.の構造を1H−NMRスペクトル(CDCl3)で確認した。
δ[ppm]:1.21(bd,3H)、1.50(t,3H)、1.87(s,3H)、2.24(s,3H)、2.33(s,3H)、3.18−3.41(m,2H)、4.44(q,2H)、4.92(bs,1H)、7.22(t,1H)、7.49(d,1H)、7.51(d,1H)、7.73(d,1H)、7.78(d,1H)、7.99(d,1H)、8.13(d,1H)、8.58(s,1H)、8.77(s,1H)。
【0232】
実施例4:N−アセトキシ−N−{3−[9−エチル−6−(ナフタレン−1−カルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−メチル−3−アセトキシイミノ−プロピル}−アセトアミドの合成
【化25】

本化合物は実施例3に記載された手順に従って、2−チオフェンカルボニルクロリドの代わりに1−ナフトイルクロリドを用いて合成した。構造を1H−NMRスペクトル(CDCl3)で確認した。
δ[ppm]:1.17(bd,3H)、1.48(t,3H)、1.82(s,3H)、2.17(s,3H)、2.31(s,3H)、3.12−3.38(m,2H)、4.42(q,2H)、4.87(bs,1H)、7.43−7.61(m,5H)、7.65(d,1H)、7.95(d,1H)、7.97(d,1H)、8.03(d,1H)、8.06(d,1H)、8.15(d,1H)、8.43(s,1H)、8.64(s,1H)。
【0233】
参考例1:4−[9−エチル−6−(2−トルオイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−4−アセトキシイミノ−酪酸エチルエステルの合成
【化26】

本化合物は実施例1に記載された手順に従って、1−ナフトイルクロリドの代わりに2−トルオイルクロリドを用いて合成した。構造を1H−NMRスペクトル(CDCl3
で確認した。
δ[ppm]:1.23(t,3H)、1.48(t,3H)、2.29(s,3H)、2.36(s,3H)、2.62(t,2H)、3.28(t,2H)、4.13(q,2H)、4.42(q,2H)、7.28−7.49(m,6H)、7.92(d,1H)、8.10(d,1H)、8.41(s,1H)、8.52(s,1H)。
【0234】
参考例2:N−アセトキシ−N−{3−[9−エチル−6−(2−トルオイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−メチル−3−アセトキシイミノ−プロピル}−アセトアミドの合成
【化27】

本化合物は実施例3に記載された手順に従って、2−チオフェンカルボニルクロリドの代わりに2−トルオイルクロリドを用いて合成した。構造を1H−NMRスペクトル(CDCl3)で確認した。
δ[ppm]:1.19(bd,3H)、1.48(t,3H)、1.85(s,3H)、2.23(s,3H)、2.32(s,3H)、2.36(s,3H)、3.18−3.37(m,2H)、4.42(q,2H)、4.81(bs,1H)、7.28−7.50(m,6H)、7.96(d,1H)、8.09(d,1H)、8.48(s,1H)、8.56(s,1H)。
【0235】
適用例
感度試験のための光硬化配合物を以下の成分の混合によって調製した[量は質量部にて与えられる]。
200.0部 アクリル化アルキルコポリマー(ACA200M、ダイセル化学工業(株)提供、個体含量50質量%)
15.0部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート((DPHA)、UCBケミカルズ社提供)
100.0部 メタノール
【0236】
この配合物に対して、試験される光開始剤4.6質量部又は8.0質量部を加え、撹拌した。全ての操作は黄色灯下で行った。組成物を巻線形棒を備える電動塗布器を用いてアルミニウムプレートに塗布した。対流式オーブン内で80℃で10分間加熱することにより溶媒を除去した。ドライフィルムの厚さは約5μmであった。異なる光学密度からなる21ステップの標準試験ネガティブフィルム(スタウファーステップ光学くさび)を、該フィルムとレジストの間を約100μmの空隙を挟んで設置した。ガラスフィルター(L−39)をネガティブフィルム上に設置した。露光を250Wの超高圧水銀灯(ウシオ電機(株)、USH−250BY)を用いて15cmの距離にて実施した。光学パワーメーター(UV−35検出器を有するORC UVライトメジャーモデル UV−M02)によって測定された、ガラスフィルタ上の総露光量は2000mJ/cm2であった。露光
後、露光フィルムをスプレー型現像装置(滝沢産業(株)、AD−1200)を用いて、5%のアルカリ水溶液(横浜油脂工業(株)、セミクリーンDL−A4)で2分間28℃にて現像した。用いた開始剤の感度を、現像後に残存した(すなわち重合した)最も高いステップ数の表示より明らかにした。より高いステップ数である程、試験したシステムがより高感度である。結果を下記表1にまとめた。
【0237】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物
【化1】

(式中、
1は、いずれも非置換の又は置換された炭素原子数2乃至25のアルケニル基、炭素原
子数1乃至20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3乃至20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素原子数8乃至20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素原子数1乃至20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基、炭素原子数1乃至20のヘテロアリールチオアルキル基、炭素原子数0乃至20のアミノ基又は炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基を表し;
又はR1
【化2】

基及び所望によりさらなる基によって置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し;
又はR1
連結基として、所望により置換された炭素原子数1乃至10のアルキレン基、−(CH=CH)n−基、−(C≡C)n−基又はそれらの組み合わせを介してカルバゾール環と一緒になって環を形成し、前記形成された環は非置換であるか又は置換されており、;
nは0乃至3の整数を表し;
2は炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し;
4及びR5は互いに独立して水素原子又は炭素原子数1乃至20のアルキルカルボニル基を表し;
Arは所望により置換されたナフチル基、チエニル基またはフリル基を表す。)。
【請求項2】
前記式中、
1は炭素原子数3乃至20のアルコキシカルボニルアルキル基又は
【化3】

で置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し;
2はエチル基を表し;
4及びR5は互いに独立してアセチル基を表し;並びに、
Arは所望により置換されているナフチル基又はチエニル基を表す、請求項1記載の前記式(I)で表される化合物。
【請求項3】
(a)少なくとも一種のエチレン性不飽和光重合性化合物、及び
(b)光開始剤として、少なくとも一種の請求項1記載の式(I)で表される化合物、
を含む光重合性組成物。
【請求項4】
前記化合物(a)が飽和又は不飽和多塩基酸無水物と、エポキシ樹脂及び不飽和モノカルボン酸の反応生成物との反応によって得られる樹脂である、請求項3記載の光重合性組成
物。
【請求項5】
さらに、バインダポリマー(e)、特にメタクリレートとメタクリル酸のコポリマーを含む、請求項3又は4記載の光重合性組成物。
【請求項6】
光開始剤(b)に加えて、少なくとも一種のさらなる光開始剤(c)及び/又は他の添加剤(d)を含む、請求項3乃至5のうちいずれか一項に記載の光重合性組成物。
【請求項7】
固体組成物に基づいて、0.05乃至25質量%の光開始剤(b)又は光開始剤(b)及び(c)を含む、請求項3乃至6のうち何れか一項に記載の光重合性組成物。
【請求項8】
さらなる添加剤(d)として顔料又は顔料混合物を含む、請求項6記載の光重合性組成物。
【請求項9】
更なる添加剤(d)として分散剤又は分散剤混合物を含む、請求項8記載の光重合性組成物。
【請求項10】
式(Ia)
【化4】

(式中、R1、R2及びArは請求項1で定義されたものである。)
で表されるオキシム化合物を、式Vまたは式VI
【化5】

(式中、Halはハロゲン原子を意味する。)
で表されるハライド又は無水物と、塩基又は塩基混合物の存在下で反応させることによる、請求項1記載の式(I)で表される化合物の製造方法。
【請求項11】
式(Ia)中、R1が−NHOH基で置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基を表
す、請求項10記載の方法。
【請求項12】
式(Ib)
【化6】

(式中、
1は非置換の又は置換された炭素原子数2乃至25のアルケニル基を表し、
2及びArは請求項1で定義されたものである。)
で表されるケトン化合物をヒドロキシアミン又はその塩と反応させることによる、式(Ia)中、R1が−NHOH基で置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基を表す、請
求項10記載の式(Ia)で表される化合物の製造方法。
【請求項13】
エチレン性不飽和二重結合を含む化合物の光重合方法であって、請求項3乃至9のうち何
れか一項に記載の組成物を、150乃至600nmの範囲の電磁放射線、又は電子線若しくはX線で照射することを含む方法。
【請求項14】
着色および非着色塗料およびワニス、粉末コーティング、印刷用インク、印刷版、接着剤、感圧接着剤、歯科組成物、ゲルコート、電子工学用のフォトレジスト、電気めっきレジスト、リキッドおよびドライフィルム双方のエッチングレジスト、
はんだレジスト、様々な表示用途のカラーフィルタを製造するためのレジストとして、プラズマ−ディスプレイパネル、電界発光ディスプレイ及びLCDの製造工程における構造を形成するための、ホログラフデータ記憶(HDS)のための、電気及び電子部品を封入するための組成物として、磁気記録材料、微小機械部品、導波路、光学スイッチ、めっき用マスク、エッチングマスク、カラー試験系、ガラス繊維ケーブルコーティング、およびスクリーン印刷用ステンシルを製造するための、ステレオリソグラフィによる三次元物体を製造するための、ホログラフ記録用の画像記録材料、微細電子回路、脱色材料、および画像記録材料のための脱色材料、マイクロカプセルを用いた画像記録材料のための、UV及び可視レーザー直接画像化システムのためのフォトレジスト材料として、プリント回路基板の逐次積層における誘電体層を形成するために使用されるフォトレジスト材料としての、請求項3乃至9のうち何れか一項に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも一つの面を請求項3記載の組成物でコートされた被覆基材。
【請求項16】
請求項15記載の被覆基材を画像様に露光に付し、その後非露光部分を現像液で除去する、レリーフ像の写真的製造法。
【請求項17】
透明基板上に(全てが感光性樹脂及び顔料を含む)赤、緑及び青色の画素と黒色マトリックスとを設けること、そして該基板の表面又はカラーフィルタ層の表面の何れかに透明電極を設けることによって製造されるカラーフィルタであって、前記感光性樹脂が多官能性アクリレートモノマー、有機ポリマーバインダ及び請求項1記載の式(I)で表される光重合開始剤を含むカラーフィルタ。
【請求項18】
式(Ia)
【化7】

(式中、Ar、R1及びR2は請求項1で定義されたものである。)
で表される化合物(対応する遊離型オキシム)。


【公開番号】特開2009−40762(P2009−40762A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−259136(P2007−259136)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】