説明

オキシ水酸化鉄粒子の製造方法

【課題】 本発明は、長軸長0.1μm以下のオキシ水酸化鉄粒子を製造する新規な方法を提供することを目的とする。さらには、微細な粒子であっても粒子形状が整い、大きさのバラツキも少ないオキシ水酸化鉄粒子の製造方法を提供することをも目的とする。
【解決手段】 本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法は、第一鉄を含む懸濁液を用意する工程(A)と、懸濁液に直径が0.05〜500μmの微細気泡を生成させて反応溶液とし、反応溶液における第一鉄を酸化してオキシ水酸化鉄粒子を生成する工程(B)と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体、研磨テープ、インクリボン、化粧品及び塗装ペンキ等に使用でき、特に高密度高容量磁気記録テープ向け磁性粒子の前駆体及び支持体表面平滑化用塗料のフィラーとして好適に用いられるオキシ水酸化鉄粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
年々大容量高密度化の要求が高まる磁気記録テープは、記録密度を高くするために記録波長が小さくなり、ビット長やトラック幅は小さくなる。つまり、高密度化は記録密度とトラック密度の向上により達成される。しかしながら、ビット長とトラック幅が小さくなると、ビットあたりの磁性体数が減少してSN比は低下するため、より微細な磁性粒子が要求される。さらに、粒子径にばらつきが生じると、磁性体の分布状態が不均一になり、ノイズが増加する。よって、高密度化の目的を達成するには、微細でかつ粒度の揃った粒子を形成することが求められる。
【0003】
針状磁性粒子の前駆体であるオキシ水酸化鉄粒子を得る方法として、湿式合成法が知られている。この湿式合成法は、鉄原料水溶液と中和剤を混合攪拌して得られた水酸化第一鉄を酸化処理することによりオキシ水酸化鉄粒子を作製する。次いで、このオキシ水酸化鉄粒子に焼結防止剤を被着及び/又はドープしたものを還元処理してFeを構成元素とする針状磁性粒子を得る。要求される微細な針状磁性粒子を得るためには、水酸化第一鉄の核生成工程での酸化条件の制御が重要となる。酸化条件の制御の中でも気液間で急速かつ均一な酸化反応を生じさせることが重要である。急速に酸化反応させるためには、気液混合法、酸素成分比などの酸化条件の制御が知られている。なお、酸素成分比とは、単位体積に含まれる酸素の体積比率を言う。
気液混合法、酸素成分比などの酸化条件の制御については、これまでに、例えば、2〜5mmの径をもつ多孔板にガスを通して微細気泡を発生させて混合する方法、及び、酸化性ガスの酸素分圧を0.2atm以上にして酸化速度を制御する方法(例えば、特許文献1)、酸化工程を二段階に分けて、さらに酸化速度を変える方法(例えば、特許文献2)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1は、微細なゲーサイトを得るには攪拌槽型反応器や気泡塔型反応器では安定して実現することは困難である旨記載されており、攪拌槽型反応器を使用する製造方法ではない。したがって、酸素分圧0.2atm以上の酸化性ガスを攪拌することなく吹き込むことから、得られるオキシ水酸化鉄粒子の粒径にバラツキが生じる可能性がある。また、上記特許文献2は、水酸化第一鉄を酸化する工程で、酸化速度を上昇させながら所定の酸化速度まで変化させているため、オキシ水酸化鉄粒子の粒径にバラツキが生じる可能性がある。また、得られるゲーサイトの長軸長は0.05〜0.25μm程度であり、十分に微細化されたものでもない。
【0005】
【特許文献1】特開平3−228829号公報
【特許文献2】特開平10−182162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、微細、具体的には長軸長0.1μm以下のオキシ水酸化鉄粒子を製造する新規な方法を提供することを目的とする。さらには、微細な粒子であっても粒子形状が整い、大きさのバラツキも少ないオキシ水酸化鉄粒子の製造方法を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、オキシ水酸化鉄粒子を微細化するためには、核生成工程において、水酸化第一鉄の急速かつ均一な酸化反応を生じさせることが重要であるとの観点から鋭意検討を行った。その結果、酸化性ガスの気泡サイズを小さくすることにより水酸化第一鉄と酸化性ガスとの接触面積を大きくすることで水酸化第一鉄の酸化速度を速くできることを知見した。すなわち本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法は、第一鉄を含む懸濁液を用意する工程(A)と、懸濁液に直径が0.05〜500μmの酸素含有ガスからなる微細気泡を生成させて反応溶液とし、反応溶液における第一鉄を酸化してオキシ水酸化鉄粒子を生成する工程(B)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明においては、工程(A)が、第一鉄塩水溶液と、炭酸アルカリ及び水酸化アルカリの1種又は2種を含むアルカリ水溶液とを混合する工程であって、工程(B)が、工程(A)で得られた懸濁液を−5〜25℃の温度範囲に制御しながら、0.05〜500μmの酸素含有ガスからなる微細気泡を含む反応溶液とし、反応溶液における第一鉄を酸化率30〜65%で酸化してオキシ水酸化鉄粒子前駆体を得る工程を含むことが好ましい。
工程(B)においては、酸素含有ガスの酸素成分比が0.01以上0.3以下であることが好ましい。
工程(A)においては、第一鉄塩水溶液におけるFeの濃度が反応溶液中で0.001〜0.1mol/Lであることが好ましい。
本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法により、平均長軸長が20〜70nm、軸比が3〜10のオキシ水酸化鉄粒子が得られる。
【発明の効果】
【0009】
以上の本発明によれば、0.1μm以下、好ましくは70nm以下の長軸長を有し、軸比の大きい、具体的には3以上の微細なオキシ水酸化鉄粒子を提供することができる。さらには、微細な粒子であっても粒子形状が整い、大きさのバラツキも少ない、すなわち粒度分布の狭いオキシ水酸化鉄粒子を提供することができる。
本発明の製造方法によって得られたオキシ水酸化鉄粒子は、形状磁気異方性の効果に優れ高保磁力が得られる高容量高記録密度磁気記録媒体に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明は、酸化処理を行う工程(B)において、直径が0.05〜500μmの酸素含有ガスからなる微細気泡を懸濁液中に生成させる。
一般に、直径数μm〜数百μmの微細気泡は、マイクロバブルと称され、数nm〜1μm未満の微細気泡はナノバブルと称され、それぞれマイクロバブル発生装置、ナノバブル発生装置により生成させることができる。マイクロバブル発生装置は、静止液中に微細気泡のみを導入するには不向きであり、溶液を流動させ、液相中でマイクロバブルを含有した溶液を作り出すという発生原理が多く採られている。ナノバブル発生装置は、マイクロバブルに超音波をかけることにより微細化するという発生原理が多く採られている。
【0011】
本発明の工程(B)において、微細気泡を用いることにより、優れた効果が得られるのは、次のような理由によると本発明者等は推測している。マイクロバブルやナノバブルのような径の小さな微細気泡が多量に反応溶液中に存在すると、液相と気相の境界面積は増加する。酸化反応は溶液と微細気泡の気液界面で生じるため、酸化反応は効率良く進行する。また、微細気泡サイズを小さくすることにより液中での滞留時間が長くなるため、水酸化第一鉄との反応効率が上がる。さらに、マイクロバブルやナノバブルの発生原理から考えて、溶液が常に攪拌されている状態となるため、本件のように気液間で酸化反応を均一におこなう製造方法には好適である。また、微細気泡の直径が揃っていると酸化反応は均一に生じるため、粒度分布の狭いオキシ水酸化鉄粒子を得ることができる。攪拌型装置によって気泡を発生させた場合と比較して微細気泡径の分布が狭いため、オキシ水酸化鉄粒子の粒度分布も狭くなる効果が得られる。
【0012】
本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法は、第一鉄を含む懸濁液を準備する工程(A)と、懸濁液と、マイクロバブル発生装置及びナノバブル発生装置の少なくとも1種により生成させた直径が0.05〜500μmの微細気泡とを含む反応溶液とし、反応溶液における第一鉄を酸化してオキシ水酸化鉄粒子を生成する工程(B)と、を備える。これらの各工程について、順次説明する。
【0013】
工程(A)
工程(A)は、第一鉄塩を含む懸濁液を用意する工程である。第一鉄塩を含む懸濁液は、後に続く工程(B)によって、オキシ水酸化鉄粒子を生成できうるものであればよいが、工程(A)では、第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ及び水酸化アルカリの1種又は2種を含むアルカリ水溶液とを混合して懸濁液を用意する工程であることが好ましい。
<第一鉄塩水溶液>
第一鉄塩水溶液を得るための第一鉄塩としては、硫酸第一鉄(FeSO)、塩化第一鉄(FeCl)などの2価鉄を有する第一鉄塩を用いることができる。
反応溶液中の第一鉄(Fe2+)の濃度(以下、Fe濃度)が高くなると最終的に生成されるオキシ水酸化鉄粒子の粒度が大きくなるので、0.1mol/L以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.05mol/L以下である。一方で、Fe濃度が低くなりすぎると、生成されるオキシ水酸化鉄粒子の数が極端に減少して収量が低下するため工業的な製造方法として不適切である。したがって、反応溶液中のFeの濃度は、0.001mol/L以上とすることが好ましく、0.01mol/L以上とすることがより好ましい。
【0014】
<アルカリ水溶液>
アルカリ水溶液は、上記した第一鉄塩水溶液の中和剤として機能する。アルカリ水溶液としては、炭酸アルカリ水溶液及び水酸化アルカリ水溶液の1種又は2種を用いることが好ましい。
炭酸アルカリとしては、炭酸アンモニウム((NHCO)、炭酸水素アンモニウム((NH)HCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)及び炭酸カリウム(KCO)の少なくとも1種を用いることができる。この中では、炭酸水素ナトリウムが好適である。
水酸化アルカリとしては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)及び水酸化カリウム(KOH)の少なくとも1種を用いることができる。この中では、水酸化ナトリウムが好適である。
【0015】
アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、中和において、第一鉄に対するアルカリの等量よりも過剰となるようにすることが好ましい。等量付近では粒状のマグネタイトが生成しやすくなり、また等量より少ないアルカリ量では投入したFe量より少ない収量となる上、廃液にFeイオンが残留することから、その廃液処理が必要となるためである。
アルカリ水溶液のpHは、9〜11の範囲とすることが好ましく、9.5〜10.5の範囲とすることがより好ましい。pHが9未満では、不定形となり、オキシ水酸化鉄粒子の収量が低下するため工業的な製造方法として不適切である。pHが11を超えると、オキシ水酸化鉄粒子が長軸方向に成長しやすいために、所望の大きさの微細なオキシ水酸化鉄粒子が得られない。
【0016】
本発明において、炭酸アルカリはオキシ水酸化鉄粒子の長軸方向の成長を抑制する効果を持つ。一方、炭酸アルカリよりも強アルカリである水酸化アルカリは、中和反応による生成物を得やすいという特徴を有している。
【0017】
<中和>
上記の要領で用意された第一鉄塩水溶液と、炭酸アルカリ及び水酸化アルカリの1種又は2種を含むアルカリ水溶液を混合して、中和反応を行う。この中和反応は、酸素が排除された、つまり非酸化性雰囲気とされた気密容器内で行うことが好ましい。
例えば、第一鉄塩として硫酸第一鉄、炭酸アルカリとして炭酸水素ナトリウム、水酸化アルカリとして水酸化ナトリウムを用いると、以下の中和反応が生じる。この反応により、炭酸第一鉄(FeCO、炭酸鉄(II))、重炭酸第一鉄(Fe(HCO、炭酸鉄(II))、水酸化第一鉄(Fe(OH)、水酸化鉄(II))が生成する。
FeSO+NaHCO→FeCO+NaHSO
FeSO+2NaHCO→Fe(HCO+NaSO
FeSO+2NaOH→Fe(OH)+NaSO
中和反応の処理温度は、次のオキシ水酸化鉄粒子前駆体を得る工程(B)に速やかに移行するため、工程(B)が行われる温度で行うことが好ましい。本発明では工程(B)を−5〜25℃で行うことが好ましいので、中和反応もこの温度と同等で行うことが好ましい。中和反応の時間は、中和物である水酸化第一鉄粒子等の不必要な成長及び凝集を防止するために60分以下、好ましくは30分以下とする。
【0018】
工程(B)
上記の要領で生成された第一鉄塩を含む懸濁液、例えば炭酸第一鉄、重炭酸第一鉄及び水酸化第一鉄を含む懸濁液と、直径が0.05〜500μmの微細気泡と、を含有する反応溶液とし、前記反応溶液における第一鉄を酸化してオキシ水酸化鉄粒子を生成させる。この微細気泡を用いて、反応溶液に含まれる第一鉄の一部又は全部を酸化させる。
【0019】
本発明において、微細気泡は、直径が0.05〜500μmの範囲とするが、0.1〜100μmの範囲とすることがより好ましい。0.05μm未満の場合、気液界面の面積が大きくなり、酸化速度が速くなりすぎるためにオキシ水酸化鉄粒子の酸化沈殿物を得にくく、グリーンラストも残存することから、オキシ水酸化鉄粒子の収量が低下するため工業的な製造方法として不適切である。なお、グリーンラストについては後述する。500μmを超えると微細気泡が溶液内に滞留する時間が短くなり二価鉄との接触率が低下することから、酸化反応が抑制され、所望のサイズのオキシ水酸化鉄粒子径より大きくなるため不適切である。なお、気泡の直径は、懸濁液に吹き込んだ気泡を、カメラにより撮影することで測定することができる。
【0020】
酸素含有ガスの供給量(以下、流量)は、例えば反応溶液が100L程度であることを想定すると、0.1〜10L/minが好ましく、さらには1〜3L/minであることが好ましい。0.1L/min未満では微細気泡発生量が少ないために、オキシ水酸化鉄粒子の酸化反応が抑制され、所望のオキシ水酸化鉄粒子径より大きくなるため不適切である。10L/minより多いと、酸化速度が速くなりすぎるためにオキシ水酸化鉄粒子の酸化沈殿物を得にくく、グリーンラストも残存することから、オキシ水酸化鉄粒子の収量が低下するため工業的な製造方法として不適切である。なお、反応溶液の量の増減に応じて、酸素含有ガスの流量は適宜調整される。
【0021】
図1は、工程(B)を行うために好適な反応装置の構成を説明するための図である。
図1に示すように、反応装置1は、懸濁液(微細気泡と混合後は反応溶液となる)を入れるための反応槽2と、微細気泡を供給するためのマイクロバブル発生装置3と、懸濁液と外部から供給されるガスとをマイクロバブル発生装置3内に送り込む供給管4と、懸濁液と微細気泡とが混合された反応溶液とをマイクロバブル発生装置3から送り出す排出管5とを主に備えている。懸濁液(反応溶液)は、反応槽2とマイクロバブル発生装置3との間で循環されており、供給管4を通ってマイクロバブル発生装置3内に入り(矢印8)、排出管5を通って微細気泡とともに反応槽2に戻る(矢印9)。供給管4に供給されたガスは、マイクロバブル発生装置3により、微細気泡として噴出される。噴出された微細気泡の多くは、懸濁液を酸化するために消費されるが、未反応の微細気泡は、懸濁液とともにマイクロバブル発生装置3内に送り込まれ(矢印6)、また一部の未反応の微細気泡は、矢印7に示すように反応槽2の上部蓋に形成されたリーク孔を通って系外に自然に放出される。このように、懸濁液(反応溶液)と微細気泡とが循環され、その過程で攪拌されるので、これも反応促進に役立ち、第一鉄を効率よく酸化することができる。
【0022】
マイクロバブル発生装置3としては、例えば特許文献4に記載される装置を用いることができる。この装置は、マイクロバブル発生装置3内に攪拌ばねが内蔵され、圧送される流体(ここでは懸濁液とガス)が攪拌ばねを通過することにより、微細気泡を含有した流体が噴出される構造である。そのため、反応槽2内を他の攪拌手段を用いて攪拌しなくとも、反応槽2内の懸濁液(反応溶液)は、攪拌された状態となるから、酸化反応を均一に行うことができる。微細気泡の大きさは、流量を換えることにより制御することができる。これ以外にもマイクロバブル発生装置3としては、旋回方式、加圧溶解方式、ベンチュリー方式、エジェクタ方式、キャビテーション方式などの発生方式の装置を用いることができる。
【0023】
マイクロバブル発生装置3に供給するガスは、第一鉄を酸化できる酸化性ガスを用いればよいが、酸化性ガスとして酸素含有ガスが好ましい。酸素含有ガスは、所望の酸素成分比に調整した酸素と窒素等の不活性ガスとの混合ガスや空気を用いることができる。
【0024】
磁性微粉末の中間生成物であるオキシ水酸化鉄粒子は、長軸70nm以下、軸比3以上といった微細な粒子であっても、粒子形状が整い、サイズ分布(標準偏差/長軸長平均)0.2以下とバラツキが極めて少ないことを理想とする。
本発明においては、オキシ水酸化鉄粒子の生成に際して、懸濁液における全ての第一鉄を酸化することなくその一部を酸化してもよい。本発明においては、工程(B)が、工程(A)で得られた懸濁液を−5〜25℃の温度範囲に制御しながら、0.05〜500μmの酸素含有ガスからなる微細気泡を含有する反応溶液とし、前記反応溶液における第一鉄を酸化率30〜65%で酸化してオキシ水酸化鉄粒子前駆体を得る第1の酸化処理工程を含むことが好ましい。このようにオキシ水酸化鉄粒子の前駆体であるグリーンラストを低温で生成させることにより、長軸長70nm以下、粒径及び形状の揃ったオキシ水酸化鉄粒子を得ることができる。このような微細なオキシ水酸化鉄粒子は、形状磁気異方性の効果に優れ高保磁力が得られる大容量高記録密度磁気記録媒体に対応することができる。
【0025】
オキシ水酸化鉄粒子の生成に際して、懸濁液における一部の第一鉄を酸化する場合には、原料として用いた第一鉄塩における第一鉄の総量に対しての酸化の割合、すなわち酸化率を30〜65%、好ましくは35〜50%とする。この第一鉄の酸化率が30%未満では、オキシ水酸化鉄粒子が長軸方向に成長しやすいために、所望の大きさの微細なオキシ水酸化鉄粒子が得られない。一方で、酸化率が65%を超えると、不定形となり、オキシ水酸化鉄粒子の収量が低下するため工業的な製造方法として不適切である。なお、この酸化率は、酸素含有ガスを懸濁液に吹き込む酸素分圧と時間により調整できる。時間が長くなるほどまた酸素成分非率が高くなるほど酸化率が高くなる。また、酸化率は、以下のようにして求められる。まず、懸濁液中の第一鉄の総量を酸化するのに必要な酸素量をyとする。また、懸濁液に導入する酸素含有ガスの酸素量と懸濁液を通過した酸素含有ガスの酸素量との差から求められる、酸化に消費された酸素量をxとする。酸化率は、y、xより、x/y×100(%)により算出される値とする。
【0026】
核生成に用いる酸素含有ガスの酸素成分比は、0.01以上0.3以下とすることが好ましく、0.1以上0.2以下とすることがより好ましい。酸素成分比が0.01未満では酸化がゆっくり進行し、得られるグリーンラストが成長して大きくなるため、所望のサイズのオキシ水酸化鉄粒子が得られない。一方、0.3を越えると、酸化速度が速くなりすぎるためにオキシ水酸化鉄粒子の酸化沈殿物を得にくく、グリーンラストも残存することから、オキシ水酸化鉄粒子の収量が低下するため工業的な製造方法として不適切である。酸素成分比は酸素と窒素などの不活性ガスとの混合ガスを用いることにより調整することができる。0.2〜0.3とするためには混合ガスを用いることが必要であるが、0.2以下では酸素の代わりに空気を使用できるため、コスト低減や、酸素成分比を調整する工程の簡素化など、工業的な製造方法として好ましい。
【0027】
このオキシ水酸化鉄粒子前駆体は、一般にグリーンラスト(Green Rust、非特許文献1)と称されている。非特許文献1によれば、グリーンラストは、炭酸イオンを含み、[Fe(II)Fe(III)(OH)12][CO・2HO]の化学式(化学量論組成)を有するGR1と、硫酸イオンを含み、[Fe(II)Fe(III)(OH)12][SO・2HO]の化学式(化学量論組成)を有するGR2の2種類が存在する。なお、グリーンラスト中の水酸基OHは、炭酸アルカリの電離によって生成される。オキシ水酸化鉄粒子は反応中間体であるグリーンラストを経由して生成される。
【0028】
【非特許文献1】S.H.DRISSI、Ph.REFAITetc.、Corrosion Science、vol.37、No.12、pp.2025(1995)
【0029】
本発明では、懸濁液の温度を−5〜25℃、好ましくは0〜10℃に制御した状態で、微細気泡生成のための酸素含有ガスを懸濁液に吹き込むことが好ましい。酸素含有ガスを吹き込む懸濁液の温度を25℃以下、好ましくは10℃以下とすることにより、グリーンラストの粒径を小さくすることができ、その結果としてオキシ水酸化鉄粒子の粒径(長軸長)を小さくすることができる。ただし、液温が25℃以上であると、グリーンラストの生成と成長が並行して進行し、オキシ水酸化鉄粒子の粒径が大きくなる。さらにはヘマタイトなどの異相が混在する場合もある。一方で、−5℃未満では水溶液が凍結し、グリーンラストの生成が困難となる。
酸素含有ガスの吹き込み時間は、グリーンラストの生成を確保しつつその成長を抑制するために、10〜180分とすることが好ましく、20〜60分とすることがより好ましい。
【0030】
第1の酸化処理によりオキシ水酸化鉄粒子前駆体が生成された懸濁液は、次のような第2の酸化処理を行うことにより、オキシ水酸化鉄粒子を得ることが好ましい。具体的には、グリーンラストが生成された懸濁液を昇温して20℃以上60℃未満、好ましくは25℃以上45℃未満の液温に制御した状態で酸素含有ガスを吹き込む。この酸素含有ガスの吹き込みにより、オキシ水酸化鉄粒子前駆体を酸化してオキシ水酸化鉄粒子を生成させる。懸濁液が20℃未満では、不定形となり、オキシ水酸化鉄粒子の収量が低下するため工業的な製造方法として不適切である。一方で、懸濁液が60℃以上ではヘマタイトなどの異相が混在するため不適切である。
また酸素含有ガスは、第1の酸化処理と同様に微細気泡として吹き込むことが好ましい。酸素含有ガスとしては、酸素成分比が0.05以上0.4以下の範囲であることが好ましく、0.1以上0.2以下の範囲であることがより好ましい。酸素成分比が0.05未満では酸化がゆっくり進行し、得られるオキシ水酸化鉄粒子が成長して大きくなるため、所望のサイズのオキシ水酸化鉄粒子が得られない。一方で、酸素成分比が0.4を超えると、オキシ水酸化鉄粒子の収量が低下するため工業的な製造方法として不適切である。
【0031】
以上の一連の工程によって、いわゆるメタル磁性粒子の前駆体であるオキシ水酸化鉄粒子が生成される。生成されるオキシ水酸化鉄粒子は、長軸長20〜70nmであって、しかも軸比が3以上と大きく、粒子が微細であっても粒度分布が狭い。
【0032】
上述の要領でオキシ水酸化鉄粒子を製造することができるが、メタル磁性粒子とするためにはオキシ水酸化鉄粒子に焼結防止剤を被着及び/又はドープした後、還元処理を施す。この還元処理は、水素ガス等の還元ガス気流中、300〜600℃、0.25〜72時間で保持すればよい。さらに、NH等のガス中での窒化処理を施して、窒化鉄磁性粒子としてもよい。その後、微量の酸素を含むガス等により磁性粒子もしくは窒化鉄磁性粒子表面に薄い酸化膜を形成することができる。このようにして得られた磁性粒子は、長軸長70nm以下の針状磁性粒子であって、粒度分布が狭い。
【実施例1】
【0033】
鉄原料である第一鉄塩として硫酸鉄七水和物(FeSO・7HO)を用い、硫酸鉄水溶液を作製した。次に、イオン交換水へ中和剤として炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を添加した。中和剤は、鉄原料に対して4倍当量加えた。その後、水酸化ナトリウム(NaOH)を混合してアルカリ水溶液を用意した。この際、鉄原料溶液と中和剤溶液を混合した際、Fe濃度が反応溶液中で0.05mol/Lとなるように調整した。マイクロバブル発生装置((株)全研製、装置名:マイクロバブラーZ)を用いて窒素ガスからなるマイクロバブルを発生させ、脱気・混合した後、これにFeSO水溶液を添加して中和・沈殿させることにより懸濁液を得た(工程(A))。なお、この中和時及びその後の液温は17℃で一定となるように温度コントロールした。
混合を行なった後、次のような工程(B)を行った。酸素成分比0.3の酸素含有ガスを0.08L/min供給し、かつ気泡直径28μmの微細気泡を懸濁液中に生成させて第一鉄を酸化した(第1の酸化処理)。このとき、原料硫酸第一鉄(II)の40%を酸化した。酸化後、窒素ガスで酸化性ガスを置換した後、30℃に昇温し、残りの二価鉄(II)を微細気泡により酸化し、オキシ水酸化鉄粒子を得た(第2の酸化処理)。微細気泡は、図1に示した構成の反応装置を用いて生成させた。
【0034】
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、長軸長、軸比及び粒度分布を求めた。オキシ水酸化鉄粒子の粒径は、TEM(Transmission Electron Microscope)により100個の粒子について、長軸長、短軸長を測定した。100個の粒子の各長軸長の平均を長軸長とした。また、軸比は、100個の粒子の各短軸長の平均と長軸長(平均)とから求めた。さらに、粒度分布は、100個の粒子について得られた標準偏差と長軸長(平均)の比(長軸長の標準偏差/平均長軸長、CV)により求めた。このCV値が小さいと、粒径のバラツキが小さいことになる。以上の結果を表1に示す。
【実施例2】
【0035】
工程Bにおいて、酸素成分比を0.10、酸素含有ガスの流量を12L/min、気泡直径を150μmとして懸濁液に含まれる第一鉄を酸化した以外は、実施例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。なお、反応溶液の量は、100Lである。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【実施例3】
【0036】
工程Bにおいて、酸素成分比を0.15、酸素含有ガスの流量を2L/min、気泡直径を46μmとして懸濁液に含まれる第一鉄を酸化した以外は、実施例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【実施例4】
【0037】
工程(A)において中和時及びその後の液温は0℃で一定となるように温度コントロールし、工程Bにおいて、酸素成分比を0.15、酸素含有ガスの流量を2L/min、気泡直径を46μmとして懸濁液に含まれる第一鉄を酸化した以外は、実施例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【実施例5】
【0038】
工程(A)において中和時及びその後の液温は30℃で一定となるように温度コントロールし、工程(B)において、酸素成分比を0.15、酸素含有ガスの流量を2L/min、気泡直径を46μmとして懸濁液に含まれる第一鉄を酸化した以外は、実施例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【実施例6】
【0039】
工程(B)において、酸素成分比を0.15、酸素含有ガスの流量を2L/min、気泡直径を46μmとして懸濁液に含まれる第一鉄である原料硫酸第一鉄(II)の60%を酸化した以外は、実施例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【実施例7】
【0040】
工程(B)において、酸素成分比を0.15、酸素含有ガスの流量を2L/min、気泡直径を46μmとして懸濁液に含まれる第一鉄である原料硫酸第一鉄(II)の20%を酸化した以外は、実施例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【実施例8】
【0041】
工程(B)において、酸素成分比を0.15、酸素含有ガスの流量を3L/min、気泡直径を51μmとして懸濁液に含まれる第一鉄を酸化した以外は、実施例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【実施例9】
【0042】
工程(B)において、酸素成分比を0.15、酸素含有ガスの流量を2L/min、気泡直径を0.1μmとして懸濁液に含まれる第一鉄を酸化した以外は、実施例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【実施例10】
【0043】
工程(B)において、酸素成分比を0.30、酸素含有ガスの流量を2L/min、気泡直径を46μmとして懸濁液に含まれる第一鉄である原料硫酸第一鉄(II)の40%を酸化した以外は、実施例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【実施例11】
【0044】
工程(A)において、第一鉄の濃度(Fe濃度)が反応溶液中で0.15mol/Lとなる硫酸鉄水溶液を作製し、工程(B)において、酸素成分比を0.15、酸素含有ガスの流量を2L/min、気泡直径を46μmとして懸濁液に含まれる第一鉄を酸化した以外は、実施例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【実施例12】
【0045】
工程(B)において、酸素成分比を0.02、酸素含有ガスの流量を5L/min、気泡直径を55μmとして懸濁液に含まれる第一鉄を酸化した以外は、実施例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0046】
[比較例1]
鉄原料である第一鉄塩として硫酸鉄七水和物(FeSO・7HO)を用い、第一鉄の濃度(Fe濃度)が反応溶液中で0.15mol/Lとなる硫酸鉄水溶液を作製した。中和剤として炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を用い、鉄原料に対して4倍当量加えたあと、水酸化ナトリウム(NaOH)とイオン交換水とを混合してアルカリ水溶液を用意した。窒素ガスにて脱気を行い、攪拌装置を用いて攪拌・混合した後、これにFeSO水溶液を添加して中和・沈殿させることにより懸濁液を得た(工程(A))。なお、この中和時及びその後の液温は17℃で一定となるように温度コントロールした。混合を行なった後、酸素成分比0.5の酸素含有ガスを、流量1L/min、気泡直径2.5mm(2.5×10μm)でシリンジを通して吹き込み、酸化した。工程(B)では、原料硫酸第一鉄(II)の40%を酸化した。酸化後、窒素ガスで酸化性ガスを置換した後、30℃に昇温し、残りの二価鉄(II)を酸化し、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0047】
[比較例2]
工程(B)において、酸素成分比を0.15とした以外は,比較例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0048】
[比較例3]
工程(A)において、第一鉄の濃度(Fe濃度)が反応溶液中で0.05mol/Lとなる硫酸鉄水溶液を作製し、また中和時及びその後の液温は0℃で一定となるように温度コントロールした以外は、比較例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0049】
[比較例4]
工程(A)において、第一鉄の濃度(Fe濃度)が反応溶液中で0.05mol/Lとなる硫酸鉄水溶液を作製し、また中和時及びその後の液温は0℃で一定となるように温度コントロールし、工程(B)において、気泡直径1.7mm(1.7×10μm)とした以外は、比較例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0050】
[比較例5]
工程(A)において、第一鉄の濃度(Fe濃度)が反応溶液中で0.05mol/Lとなる硫酸鉄水溶液を作製し、また中和時及びその後の液温は0℃で一定となるように温度コントロールし、工程(B)において、酸素成分比を0.005とし、気泡直径1.7mm(1.7×10μm)とした以外は、比較例1と同様にして、オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1より、以下のことが明らかとなった。
気泡の直径を500μm以下とすることにより、長軸長80nm以下、軸比3以上、CVの小さな、微細かつ粒度分布の狭いオキシ水酸化鉄粒子を得ることができた(実施例2〜11)。
工程(B)における処理温度を17℃とした場合を比べると、比較例1では長軸が90nmと大きくなるが、マイクロバブルを用いると70nm以下と微細なオキシ水酸化鉄粒子が得られることがわかる。
また、実施例1〜12では、工程(B)における酸素成分比が0.3以下であっても、長軸長0.1μm以下、軸比が3以上の微細なオキシ水酸化鉄粒子を製造することができる。一方、比較例では、酸素成分比を0.3以下にすると、酸化速度が遅くオキシ水酸化鉄粒子前駆体が成長して大きくなるため、比較例1、3及び4は長軸長が0.1μm以下、軸比が3以上のオキシ水酸化鉄粒子を得るために、酸素成分比を0.5とした。前述したように、酸素成分比が0.3を越えると、酸化速度が速くなりすぎるためにオキシ水酸化鉄粒子の酸化沈殿物を得にくく、グリーンラストも残存することから、オキシ水酸化鉄粒子の収量が低下する。比較例2のように酸素成分比を0.15に、さらに比較例5のように酸素成分比を0.005にすると、長軸長が大きくなってしまう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】工程(B)を行うために好適な反応装置の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0054】
1…反応装置、2…反応槽、3…マイクロバブル発生装置、4…供給管、5…排出管、6…反応溶液の流れ、7…酸化ガスの排出、8…反応装置からマイクロバブル発生装置への反応溶液の流れ、9…マイクロバブル発生装置から反応装置への反応溶液の流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一鉄を含む懸濁液を用意する工程(A)と、
前記懸濁液に直径が0.05〜500μmの酸素含有ガスからなる微細気泡を生成させて反応溶液とし、前記反応溶液における第一鉄を酸化してオキシ水酸化鉄粒子を生成する工程(B)と、
を備えることを特徴とするオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
【請求項2】
前記工程(A)が、第一鉄塩水溶液と、炭酸アルカリ及び水酸化アルカリの1種又は2種を含むアルカリ水溶液とを混合する工程であって、
前記工程(B)が、前記工程(A)で得られた懸濁液を−5〜25℃の温度範囲に制御しながら、直径が0.05〜500μmの酸素含有ガスからなる前記微細気泡を含む反応溶液とし、前記反応溶液における第一鉄を酸化率30〜65%で酸化してオキシ水酸化鉄粒子前駆体を得る工程を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
【請求項3】
前記工程(B)において、
前記酸素含有ガスの酸素成分比が0.01以上0.3以下であることを特徴とする請求項2に記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
【請求項4】
前記工程(A)において、
前記第一鉄塩水溶液におけるFeの濃度が前記反応溶液中で0.001〜0.1mol/Lであることを特徴とする請求項2又は3に記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
【請求項5】
前記工程(B)で得られる前記オキシ水酸化鉄粒子は、平均長軸長が20〜70nm、軸比が3〜10であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−173519(P2009−173519A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252387(P2008−252387)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】