説明

オゾン気泡含有水吐出装置

【課題】装置構成が簡便であり、オゾン気泡含有水を、必要とされる抗菌活性や使用環境に適した抗菌活性に対応したものに容易に変更することのできるオゾン気泡含有水吐出装置を提供すること。
【解決手段】微細化したオゾンガスを含有するオゾン気泡含有水を生成し、吐出するオゾン気泡含有水吐出装置1において、殺菌の程度を設定する設定スイッチ21bを有し、この設定スイッチで設定された情報に応じてオゾンガス生成部12で生成させるオゾンガスの生成量を調整し、かつオゾンガス生成部に供給する空気の量を所定範囲内に収まるように調整する制御手段14を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンの気泡を含有した抗菌活性のあるオゾン気泡含有水を生成し、吐出するオゾン気泡含有水吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンは、殺菌力に優れているのに加え、耐性菌が出現してなく、また、残留性が低く、環境に優しいという理由から、非常に有効な殺菌手段の一つとされている。これまで水の殺菌には溶存オゾン水が用いられてきた。
【0003】
しかしながら、溶存オゾン水を生成するためには、高濃度のオゾンガスを用いて高圧条件下で水に溶解させたり、電気分解などの際に高いエネルギーを必要としていたりしていた。このため、装置のメンテナンスが煩雑となり、コストがかかるなどの問題があり、一般家庭用の殺菌装置としてはあまり普及していない。
【0004】
一方、下記特許文献1には、オゾンガスによって浴水を殺菌することのできる循環温浴器が記載されている。この循環温浴器は、浴槽内の浴水を循環させる循環ポンプと、オゾンガスを発生させるオゾン発生装置と、浴水にオゾンガスを混入させる混合手段と、この混合手段にオゾンガスを送るのを操作する混合操作手段と、循環する浴水を濾過する濾過装置とを備えている。また、循環温浴器は、オゾン発生装置を駆動させるとともに第1の所定時間が経過したら停止させるオゾン発生装置制御手段と、オゾン発生装置を起動させてから一定時間後に混合操作手段の駆動を開始させ、オゾン発生装置が停止するまで駆動させる混合操作制御手段を備えている。
【0005】
特許文献1に記載された循環温浴器では、混合操作制御手段が、オゾン発生装置を起動させてから一定時間後に混合操作手段の駆動を開始させ、オゾン発生装置が停止するまで駆動させるので、オゾン発生装置へ通電を開始すると、オゾンガス濃度を2倍近くまで立ち上げることができる。したがって、上記循環温浴器は、浴水に混合させるオゾンガス濃度を簡単に高濃度にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−71566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された循環温浴器では、オゾン発生装置で発生させるオゾンガスの発生量はほぼ一定であり、浴水に混合させるオゾンガス濃度の変更は、混合操作手段によって発生したオゾンガスを混合手段に送るタイミングをずらすという制御によって実現される。このため、循環温浴器では、混合操作手段と混合操作制御手段の2つの手段が設けられているのであり、装置構成として必ずしも簡便であるとはいいにくい面がある。また、水の殺菌の程度は、水中に存在する菌やその汚染状態などによって変更するのが好ましいが、特許文献1に記載された循環温浴器は、オゾンガスの発生量は、上記のとおり、ほぼ一定であるので、殺菌の程度を容易に変更するのは必ずしも容易ではないと指摘される。
【0008】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、装置構成が簡便であり、オゾン気泡含有水を、必要とされる抗菌活性や使用環境に適した抗菌活性に対応したものに容易に変更することのできるオゾン気泡含有水吐出装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のオゾン気泡含有水吐出装置は、オゾンガスを生成するオゾンガス生成部と、下流端が吐出口に臨む給水路とを備え、この給水路に、給水路を流れる水または湯水にオゾンガス生成部が生成するオゾンガスを混入させてオゾンガス混入水を生成するオゾンガス混入水生成部が設けられ、このオゾンガス混入水生成部の下流側にオゾンガス混入水生成部で生成したオゾンガス混入水中の気泡を圧壊および剪断することにより微細化したオゾンガスの気泡を発生させる気泡発生部が設けられ、吐出口からオゾンガスの気泡を含有するオゾン気泡含有水を吐出するオゾン気泡含有水吐出装置であって、殺菌の程度を設定する設定スイッチを有し、この設定スイッチで設定された情報に応じてオゾンガス生成部で生成させるオゾンガスの生成量を調整し、かつオゾンガス生成部に供給する空気の量を所定範囲内に収まるように調整する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
このオゾン気泡含有水吐出装置においては、制御手段は、オゾンガス生成部に供給する電源のデューティ比を調整してオゾンガスの生成量を調整することが好ましい。
【0011】
このオゾン気泡含有水吐出装置においては、制御手段は、湿度センサが検出した湿度、または濃度センサが検出したオゾンガス濃度に応じてオゾンガス生成部に供給する空気の量を調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のオゾン気泡含有水吐出装置によれば、装置構成が簡便であり、オゾン気泡含有水を、必要とされる抗菌活性や使用環境に適した抗菌活性に対応したものに容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のオゾン気泡含有水吐出装置の一実施形態を概略的に示した構成図である。
【図2】図1に示したオゾン気泡含有水吐出装置の制御手段によるオゾンガス生成部の動作制御を例示した図である。
【図3】図1に示したオゾン気泡含有水吐出装置の制御手段によるオゾンガス生成部の動作制御を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明のオゾン気泡含有水吐出装置の一実施形態を概略的に示した構成図である。
【0015】
オゾン気泡含有水吐出装置1は、カラン1aへの適用例として示している。カラン1aは、流し台や洗面化粧台などの天面を形成するカウンターまたはシンクのフランジ部2に取り付けられる、上方に垂設された中空の立ち上がり管部3を備えている。また、立ち上がり管部3の上端部に接続され、立ち上がり管部3と連通する中空な水平管部4を備えてもいる。水平管部4の先端部には、下端に吐出口5を有する中空な吐出端部6が垂直下方に接続され、水平管部4と連通している。
【0016】
カラン1aの内部には、カウンターまたはフランジ部2を貫通して給水路7が導入され、立ち上がり管部3および水平管部4の内部を延びている。給水路7の下流端は、吐出端部6の吐出口5に臨んでいる。給水路7は、配管から形成することができ、水または湯と混合された所望温度の湯水8を供給可能としている。給水路7の先端には、給水路7を流れる水または湯水8にオゾンガスを気泡として混入させてオゾンガス混入水を生成するオゾンガス混入水生成部9が設けられ、オゾンガス混入水生成部9は給水路7と連通している。また、オゾンガス混入水生成部9は、水平管部4および吐出端部6の内部に納められている。
【0017】
オゾンガス混入水生成部9の下流側には、ノズル状の気泡発生部10が設けられ、気泡発生部10は、オゾンガス混入水生成部9と連通している。気泡発生部10は、オゾンガス混入水生成部9で生成したオゾンガス混入水中の気泡を圧壊および剪断することにより微細化し、気泡径が0.1-1000μm程度のオゾンガスの微細気泡を発生させるものである。気泡発生部10の先端は、吐出端部6の吐出口5に臨んでおり、吐出口5からは、微細なオゾンガスの気泡を含有するオゾン気泡含有水が吐出可能となっている。
【0018】
給水路7の立ち上がり管部3内に位置する部分には、給水の開始および停止を行う開閉弁11が設けられている。開閉弁11には、手動弁または電動弁などを採用することができ、給水の手動式または自動式の操作が可能である。
【0019】
また、オゾン気泡含有水吐出装置1は、カウンターまたはフランジ部2の下側に、オゾンガス生成部12を備えている。オゾンガス生成部12は、放電電極13を備え、雰囲気である空気を原料として無声放電などによってオゾンガスを生成させるものである。また、オゾン気泡含有水吐出装置1は、オゾンガス生成部12の動作などを制御する制御手段14を、カウンターまたはフランジ部2の下側においてオゾンガス生成部12の付近に備えている。家庭用の電源AC100VやDC12Vは、制御手段14に電気的に接続可能とされ、オゾンガス生成部12に供給されるようになっている。
【0020】
オゾンガス生成部12には、一端をオゾンガス混入水生成部9に接続したオゾンガス供給路15の他端が接続され、オゾンガス生成部12は、オゾンガス供給路15を介してオゾンガス混入水生成部9に連通している。オゾンガス供給路15は、配管から形成することができ、カウンターまたはフランジ部2の下側から立ち上がってカウンターまたはフランジ部2を貫通し、カラン1aの立ち上がり管部3および水平管部4の内部を通ってオゾンガス混入水生成部9まで延びている。オゾンガス供給路15の途中においてオゾンガス生成部12寄りの位置には、オゾンガス生成部12が生成したオゾンガスの濃度を検出する濃度センサ16が設けられ、濃度センサ16は、制御手段14に電気的に接続されている。
【0021】
また、オゾンガス生成部12には、生成するオゾンガスの原料となる空気17の給気路18の一端が接続されている。給気路18の他端は雰囲気に開放され、給気路18を介してのオゾンガス生成部12への空気の取り込みが可能とされている。給気路18の途中には湿度センサ19が設けられ、湿度センサ19は、オゾンガス生成部12へ取り込む空気の湿度を検出する。湿度センサ19も、制御手段14に電気的に接続されている。また、給気路18において湿度センサ19の上流側には流量調整弁20が設けられ、流量調整弁20は電動弁であり、制御手段14に電気的に接続されている。
【0022】
制御手段14は、オゾンガス生成部12の作動、停止および動作の制御を入力するスイッチ21を有しており、スイッチ21は、制御手段14に電気的に接続されている。スイッチ21は、オゾンガス生成部12の作動および停止を行わせるON/OFFスイッチ21aと、発生させるオゾンガスによる殺菌の程度を設定する設定スイッチ21bとを備えている。スイッチ21は、カウンターまたはフランジ部2の上側の、たとえば、カラン1aの立ち上がり管部3の側面に設けることができる。
【0023】
オゾン気泡含有水吐出装置1のユーザがON/OFFスイッチ21aを操作し、ONが選択されると、その信号入力に基づいて制御手段14はオゾンガス生成部12を作動させ、オゾンガス生成部12は、空気17を給気路18を介して取り込み、通電された放電電極13によってオゾンガスを発生させる。オゾンガス生成部12で発生したオゾンガスは、オゾンガス供給路15を通じてオゾンガス混入水生成部9に供給され、給水路7を流れてオゾンガス混入水生成部9に供給される水または湯水8中に気泡として混入され、オゾンガス混入水が生成する。生成したオゾンガス混入水は、気泡発生部10に流入し、気泡発生部10において気泡の圧壊および剪断が行われ、オゾンガス混入水中に微細化したオゾンガスの気泡が発生する。このオゾンガスの微細気泡を含有するオゾン気泡含有水は、抗菌活性を持ち、吐出口5から吐出される。ON/OFFスイッチ21aによりOFFが選択されると、その信号入力に基づいて制御手段14は、オゾンガス生成部12の作動を停止させる。オゾンガス生成部12におけるオゾンガスの生成が停止する。
【0024】
設定スイッチ21bは、殺菌の程度を設定するスイッチである。具体的には、オゾンガス生成部12で発生させるオゾンガスの生成量と、オゾンガス生成部12に供給する空気の量を調整し、必要とされる抗菌活性や使用環境に適した抗菌活性となるように設定するものである。
【0025】
たとえば、設定スイッチ21bにより殺菌の程度が設定されると、制御手段14は、オゾンガス生成部12に供給する電源のデューティ比を調整し、オゾンガス生成部12で生成させるオゾンガスの生成量を調整するようにあらかじめ設定されている。
【0026】
図2は、図1に示したオゾン気泡含有水吐出装置の制御手段によるオゾンガス生成部の動作制御を例示した図である。
【0027】
制御手段14では、比較的高い抗菌活性を実現する強モードと通常の抗菌活性である弱モードの2つのモードが設定されている。強モードでは、方形波のパルス幅の周期に対する割合で定義されるデューティ比が大きく、弱モードでは小さくされている。たとえば、強モードでは、通電がONとなるパルス幅を0.5秒、OFFとなるパルス幅を0.5秒に、弱モードでは、前者を0.5秒、後者を1.5秒にそれぞれ設定すると、デューティ比は、強モードで0.5、弱モードで0.25となる。このときのオゾンガス生成部12で生成するオゾンガスの生成量は、強モードが弱モードのおよそ3倍となる。
【0028】
設定スイッチ21bでは、そのような強モードまたは弱モードの選択が可能とされており、その選択により強モードまたは弱モードが設定スイッチ21bにより設定されると、オゾン気泡含有水吐出装置1は、必要とされる抗菌活性や使用環境に適した抗菌活性に対応したオゾン気泡含有水を生成し、吐出することができる。なお、デューティ比は、抗菌活性に応じて設定スイッチ21bによって適宜変更可能である。
【0029】
また、設定スイッチ21bは、ユーザによる強モードまたは弱モードの手動による選択のみならず、強モードまたは弱モードの選択を自動で行う設定も可能とされている。すなわち、オゾン気泡含有水吐出装置1では、濃度センサ16によってオゾンガス供給路15を流れるガス中のオゾンガス濃度が検出され、その検出信号が制御手段14に入力される。また、湿度センサ19によって空気17の湿度が検出され、その検出信号も制御手段14に入力される。制御手段14は、濃度センサ16および湿度センサ19から入力されるオゾンガス濃度および空気17の湿度を常時モニタリングしている。このモニタリングからのフィードバックにより、制御手段14は、オゾンガス生成部12で生成するオゾンガスの生成量および空気17の量を調整するように設定されてもいる。
【0030】
図3は、図1に示したオゾン気泡含有水吐出装置の制御手段によるオゾンガス生成部の動作制御を例示した図である。
【0031】
オゾンガスの発生には、原料となる空気17の温湿度が大きく影響し、特に湿度が高い場合、オゾンガス濃度が低下する傾向にあることが知られている。そこで、制御手段14では、必要とされるオゾンガス濃度が得られるように、空気17の温湿度と対応させて強モードと弱モードの2つのモードを設定しておくことができる。強モードおよび弱モードにおける制御手段14の制御方式は、たとえば、上記したような、オゾンガス生成部12に供給する電源のデューティ比の調整が例示される。
【0032】
また、制御手段14の制御方式としては、給気路18を通じてオゾンガス生成部12に取り込む空気17の量を流量調整弁20の開度によって調整することも例示される。強モードでは、流量調整弁20の開度を大きくして取り込む空気17の量を多くし、弱モードでは、流量調整弁20の開度を小さくして取り込む空気17の量を少なくする。これらの電源のデューティ比の調整および空気17の量の調整は、択一または併用が可能である。また、空気17の量の調整は、湿度センサ19が検出する空気17の湿度ばかりでなく、濃度センサ16によって検出する、オゾンガス供給路15を流れるガス中のオゾンガス濃度に基づいても行うことができる。
【0033】
このように、制御手段14は、設定スイッチ21bで設定された情報に応じてオゾンガス生成部12で生成させるオゾンガスの生成量を調整し、かつオゾンガス生成部12に供給する空気17の量を、得ようとする抗菌活性に応じた所定範囲内に収まるように調整する。このため、オゾン気泡含有水吐出装置1は、装置構成が簡便であり、オゾン気泡含有水を、必要とされる抗菌活性や使用環境に適した抗菌活性に対応したものに容易に変更することができる。
【0034】
本発明のオゾン気泡含有水吐出装置は、以上の実施形態に限定されるものではない。カランへの適用ばかりでなく、オゾン気泡含有水が必要とされる各種の装置に適用可能である。また、オゾンガス混入水生成部、気泡発生部およびオゾンガス生成部の構成および構造については、従来公知のものも含め、任意のものが採用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 オゾン気泡含有水吐出装置
5 吐出口
7 給水路
8 水または湯水
9 オゾンガス混入水生成部
10 気泡発生部
12 オゾンガス生成部
14 制御手段
16 濃度センサ
19 湿度センサ
21b 設定スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンガスを生成するオゾンガス生成部と、下流端が吐出口に臨む給水路とを備え、この給水路に、給水路を流れる水または湯水に前記オゾンガス生成部が生成するオゾンガスを混入させてオゾンガス混入水を生成するオゾンガス混入水生成部が設けられ、このオゾンガス混入水生成部の下流側にオゾンガス混入水生成部で生成したオゾンガス混入水中の気泡を圧壊および剪断することにより微細化したオゾンガスの気泡を発生させる気泡発生部が設けられ、前記吐出口からオゾンガスの気泡を含有するオゾン気泡含有水を吐出するオゾン気泡含有水吐出装置であって、
殺菌の程度を設定する設定スイッチを有し、この設定スイッチで設定された情報に応じて前記オゾンガス生成部で生成させるオゾンガスの生成量を調整し、かつオゾンガス生成部に供給する空気の量を所定範囲内に収まるように調整する制御手段を備えている
ことを特徴とするオゾン気泡含有水吐出装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記オゾンガス生成部に供給する電源のデューティ比を調整してオゾンガスの生成量を調整することを特徴とする請求項1に記載のオゾン気泡含有水吐出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、湿度センサが検出した湿度、または濃度センサが検出したオゾンガス濃度に応じて前記オゾンガス生成部に供給する空気の量を調整することを特徴とする請求項1または2に記載のオゾン気泡含有水吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−223705(P2012−223705A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93456(P2011−93456)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】