説明

オゾン水生成装置

【課題】オゾン発生手段を適度に冷却し得るとともに、オゾンの生成を良好に維持することができる。
【解決手段】内部に酸素を流通させる酸素流通路Oが形成されるとともに当該酸素流通路Oを挟んで対向した部位に電圧を印加して放電させることによりオゾンを発生させるオゾン発生手段2を具備し、当該オゾン発生手段2で発生したオゾンを水に溶解させてオゾン水を得るためのオゾン水生成装置において、オゾン発生手段2内に形成され、冷却液を流通可能な冷却液流通路W1、W2と、当該オゾン発生手段2の冷却液流通路W1、W2を流路の一部とした閉鎖型循環流路を成し、冷却液を循環して流通させ得る冷却液循環流路(L6、W1、W2、L7)と、該冷却液循環流路の途中に配設され、ファン9からの送風により当該冷却液循環流路内を流通する冷却液を大気との間で熱交換させ放熱可能なラジエータ8とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン発生手段で発生したオゾンを水に溶解させてオゾン水を得るためのオゾン水生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オゾンを水に溶解させたオゾン水は、その殺菌消毒効果が顕著であることから、厳しい衛生管理が必要とされる調理場や医療施設等の殺菌消毒剤として使用されている。かかるオゾン水は、対向する電極に電圧を印加させて放電させ、その間に酸素を流通させることによりオゾンを発生させた後、当該オゾンを水に溶解させることにより得られるものである。
【0003】
オゾンを発生させるための従来のオゾン発生手段は、例えば特許文献1にて開示されているように、酸素を流通させる酸素流通路を挟み対向した部材(金属管)に電圧を印加することにより放電させ、当該酸素流通路を流通する酸素からオゾンを発生させるよう構成されている。また、かかるオゾン発生手段においては、放電によりオゾン発生装置が過度に高温となってしまうのを回避すべく、内部に冷却水を流通させている。
【特許文献1】特開2003−206108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のオゾン発生手段を用いてオゾン水を生成しようとした場合、オゾン発生手段を過度に冷却してしまうと、酸素流通路の相対湿度が上がってしまい結露してしまうことから、放電が良好に行われなくなってしまうという問題がある。即ち、大気温度よりも著しく温度が低い冷却水を用いた場合、酸素流通路の相対湿度が上がって結露が生じ易くなるとともに、結露により放電が妨げられて、良好なオゾンの生成を維持できなくなってしまうのである。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、オゾン発生手段を適度に冷却し得るとともに、オゾンの生成を良好に維持することができるオゾン水生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、内部に酸素を流通させる酸素流通路が形成されるとともに当該酸素流通路を挟んで対向した部位に電圧を印加して放電させることによりオゾンを発生させるオゾン発生手段を具備し、当該オゾン発生手段で発生したオゾンを水に溶解させてオゾン水を得るためのオゾン水生成装置において、前記オゾン発生手段内に形成され、冷却液を流通可能な冷却液流通路と、当該オゾン発生手段の冷却液流通路を流路の一部とした閉鎖型循環流路を成し、冷却液を循環して流通させ得る冷却液循環流路と、該冷却液循環流路の途中に配設され、ファンからの送風により当該冷却液循環流路内を流通する冷却液を大気との間で熱交換させ放熱可能なラジエータとを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のオゾン水生成装置において、前記冷却液循環流路には、冷却液を所定容量収容し得る冷却液収容タンクが配設されるとともに、当該冷却液収容タンクが前記オゾン発生手段よりも下方に設置されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のオゾン水生成装置において、前記オゾン発生手段は、その酸素流通路が上下に延びる如く縦方向に設置されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のオゾン水生成装置において、前記オゾン発生手段で発生したオゾンを水と溶解した状態で所定量収容し得るオゾン溶解タンクを具備し、当該オゾン溶解タンクの気層側と前記オゾン発生手段の酸素流通路とを連結するとともに、当該オゾン溶解タンク内の液位が所定より上昇したことを検知すると前記酸素流通路に酸素を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、冷却液循環流路内を流通する冷却液でオゾン発生装置を適度に冷却し得るとともに、当該冷却水をラジエータにより放熱させているので、大気温度より温度を低下させることなく、過度に酸素流通路を冷却して相対湿度を上げてしまうのを回避できる。従って、酸素流通路の結露を抑制し、オゾンの生成を良好に維持することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、冷却液収容タンクがオゾン発生手段よりも下方に設置されているので、冷却液の循環が停止された際、オゾン発生手段内の冷却液は自重により冷却液収容タンク内に自然と流れ、当該オゾン発生手段内で残留してしまうのを回避することができる。従って、大気温度が0℃以下である場合に冷却水が凍結したとしても、オゾン発生手段内での冷却液の凍結は回避され、体積膨張による破損等を防止することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、オゾン発生手段は、その酸素流通路が上下に延びる如く縦方向に設置されているので、当該酸素流通路に結露が生じた場合であっても、自重により結露が下方へ垂れ落ち、オゾン発生手段による放電を良好に維持することができる。従って、オゾンの生成をより良好に維持することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、オゾン溶解タンク内の液位が所定より上昇したことを検知すると酸素流通路に酸素を供給するので、酸素の使用量を抑制することができ、より効率的にオゾンを発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るオゾン水生成装置は、オゾンを発生させるとともにそのオゾンを水に溶解させてオゾン水を得るためのものであり、図1〜図3に示すように、オゾン発生手段2と、オゾン溶解タンク4と、冷却液収容タンク5と、酸素をオゾン発生手段2に供給するための酸素供給路L1と、オゾン発生手段2で発生したオゾンをオゾン溶解タンク4に供給するためのオゾン供給路L2と、オゾン溶解タンク4に接続されて原料水(工業水や水道水など)が流通する水供給路L4と、オゾン溶解タンク4に接続されて当該オゾン溶解タンク4内のオゾン水を排出するオゾン水排出路L5と、冷却液が流通する流路L6及びL7等とから主に構成されている。
【0015】
尚、図中符号L1aは、不図示の酸素供給源(酸素ボンベ等)と接続される酸素吸入口、符号L4aは不図示の水供給源と接続される水吸入口、符号L5aはオゾン水を吐出し得る吐出口をそれぞれ示しているとともに、水供給路L4の途中の符号V2は、バルブを示している。また、本オゾン水生成装置における種々構成要素は、筐体1内に配設されている。
【0016】
オゾン発生手段2は、3重管方式の石英管から成り、図4及び図5に示すように、主に第1管状部材2a、第2管状部材2b及び第3管状部材2cにて構成されている。即ち、第1管状部材2aの外周を間隙を有しつつ覆う如く第2管状部材2bが形成され、更に当該第2管状部材2bの外周を間隙を有しつつ覆う如く第3管状部材2cが形成されており、第1管状部材2aの内部が第1冷却液流通路W1、第1管状部材2aと第2管状部材2bとの間の間隙が酸素流通路O、第2管状部材2bと第3管状部材2cとの間の間隙が第2冷却液流通路W2を構成している。
【0017】
酸素流通路Oの一端は、酸素供給路L1が接続された戻り流路L3と接続されているとともに、他端はオゾン供給路L2と接続されている。また、酸素流路供給路Oを挟んで対向した部位(即ち、第1管状部材2a及び第2管状部材2b)には、図示しない電極が形成されているとともに、これら電極に所定の電圧を印加し得る電圧印加手段3が接続されており、当該電圧印加手段3による電圧の印加で酸素流通路Oにおいて放電がなされるよう構成されている。
【0018】
これにより、戻り流路L3を介して酸素供給路L1から供給された酸素(O)は、酸素流通路Oを流通する過程で放電により反応し、オゾン(O)が発生することとなり、その得られたオゾンがオゾン供給路L2に排出される。一方、冷却液を導入する流路L6は、第1冷却液流通路W1、接続流路L6a、第2冷却液流通路W2を介して流路L7と接続されており、これら流路を流通する冷却液によりオゾン発生手段2を冷却し得るようになている。
【0019】
ところで、オゾン供給路L2の先端は、図3に示すように、水供給路L4に配設されたエジェクタ7に接続されており、オゾン発生手段2で発生したオゾンがエジェクタ7を介して原料水と共にオゾン溶解タンク4に至るよう構成されている。即ち、エジェクタ7により原料水とオゾンとが良好に混合し、原料水にオゾンが溶解してオゾン水が得られるとともに、その得られたオゾン水がオゾン溶解タンク4に所定量収容されるのである。かかるオゾン溶解タンク4内のオゾン水は、オゾン水排出路L5の吐出口L5aから吐出可能とされ、例えば調理場や医療施設等の殺菌消毒剤として使用されることとなる。
【0020】
また、オゾン溶解タンク4の上部(気層側)からは、戻り流路L3、排気流路L9が延設されるとともに、下部からは液位監視管L8が上方に向かって延設されている。然るに、戻り流路L3は、その途中に液位監視管L8の分岐管L8a、L8bを介して延設され、オゾン発生手段2の酸素流通路Oに連通するよう構成されている。これにより、オゾン溶解タンク4の気層中に放出された酸素やオゾン等がオゾン発生手段2の酸素流通路Oに再び導かれることとなる。尚、図中の符号11、V3は、排気流路L9に接続された圧力センサ及びバルブを示しており、これらによって、装置の使用初期におけるオゾン溶解タンク4内の圧力監視及び圧力の逃がしを行い得るようになっている。
【0021】
更に、液位監視管L8は、上端の分岐管L8a、L8bにて戻り流路L3の途中と接続されているため、オゾン溶解タンク4内のオゾン水が何らかの理由(原料水と同一配管上で稼動する電磁弁等の急閉による急激なオゾン溶解タンク4内部の圧力上昇などの理由)で吹き上がり、戻り流路L3に至った場合でも当該オゾン溶解タンク4内に戻し得るよう構成されている。尚、オゾン溶解タンク4内の圧力が過大となり、オゾン水が戻り流路L3に至った状態で一定時間(予め設定された時間)経過しても戻らない場合には、液位センサ6が信号を発し、安全のために装置全体が停止されるとともに、異常を知らせるべくアラーム等が鳴るよう構成されている。
【0022】
また更に、液位監視管L8の途中には、液位センサ6が配設されており、かかる液位センサ6にてオゾン溶解タンク4内の液位が所定より上昇したことを検知すると、酸素供給路L1の途中に配設されたバルブV1を開け、オゾン発生手段2の酸素流通路Oに酸素を供給し得るよう構成されている。これにより、酸素の使用量を抑制することができ、より効率的にオゾンを発生させることができる。
【0023】
ここで、本実施形態においては、オゾン発生手段2の冷却液流通路W1、W2を流路の一部とした閉鎖型循環流路を成し、冷却液を循環して流通させ得る冷却液循環流路が構成されている。より具体的には、冷却液循環流路は、流路L6、L7、冷却液流通路W1、W2及び冷却液収容タンク5から成るとともに、冷却液収容タンク5内の冷却液がポンプPの駆動力により流路L6を介して冷却液流通路W1、W2に至り、オゾン発生手段2を冷却した後、流路L7を介して冷却液収容タンク5内に戻るようになっている。
【0024】
上記の如き冷却液循環流路の途中(流路L7)には、ファン9からの送風により当該冷却液循環流路内を流通する冷却液を大気との間で熱交換させ放熱可能なラジエータ8が形成されている。即ち、ラジエータ8は、流路が細く且つ格子状等に形成されて冷却液を流通させる一方、モータMにより駆動されるファン9から送られた風がラジエータ8に当たり、当該ラジエータ8内の冷却液が効率よく冷却されるのである。
【0025】
また、冷却液循環流路の途中(流路L7であってラジエータ8より上流側)には、冷却液の温度を検知する温度センサ10が配設されており、当該温度センサ10にて検知された温度に基づきファン9のモータMが制御されるよう構成されている。これにより、冷却循環流路を循環する冷却液の温度を最適値とすることができ、オゾン発生手段2を効率的に冷却させることができる。
【0026】
然るに、本実施形態においては、図1に示すように、冷却液収容タンク5がオゾン発生手段2よりも下方に設置されている。これにより、ポンプPの駆動の停止に伴って冷却液の循環が停止された際、オゾン発生手段2内(具体的には、第1冷却液流通路W1及び第2冷却液流通路W2)の冷却液は自重により冷却液収容タンク5内に自然と流れ、当該オゾン発生手段2内で残留してしまうのを回避することができる。従って、大気温度が0℃以下である場合に冷却液が凍結したとしても、オゾン発生手段2内での冷却液の凍結は回避され、体積膨張による破損等を防止することができる。
【0027】
更に、本実施形態においては、オゾン発生手段2は、その酸素流通路Oが上下に延びる如く縦方向に設置(即ち、図1に示すように、オゾン発生手段2の長手方向が上下となった状態)されているので、当該酸素流通路Oに結露が生じた場合であっても、自重により結露が下方へ垂れ落ち、オゾン発生手段2による放電を良好に維持することができる。従って、オゾンの生成をより良好に維持することができる。尚、垂れ落ちた結露は、オゾン供給路L2を介して水供給路L4に至り、オゾン水と共にオゾン溶解タンク4内に収容されることとなる。
【0028】
上記実施形態によれば、冷却液循環流路内を流通する冷却液でオゾン発生装置2を適度に冷却し得るとともに、当該冷却水をラジエータ8により放熱させているので、大気温度より温度を低下させることなく、過度に酸素流通路Oを冷却して相対湿度を上げてしまうのを回避できる。従って、酸素流通路Oの結露を抑制し、オゾンの生成を良好に維持することができる。
【0029】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば3重管方式の石英管に代えて2重管方式のオゾン発生手段を具備したもの、或いはその他の形態のオゾン発生手段を具備したものに適用してもよい。また、冷却液循環流路内で流通させる冷却液は、水或いは不凍液など冷却効果の高いものであればよい。更に、本実施形態においては、酸素供給路L1の端部に酸素供給源(酸素ボンベ等)と接続される酸素吸入口が形成されているのみであるが、オゾン水生成装置の筐体1内に酸素ボンベ等の酸素供給源を配設したものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
オゾン発生手段の冷却液流通路を流路の一部とした閉鎖型循環流路を成し、冷却液を循環して流通させ得る冷却液循環流路と、該冷却液循環流路の途中に配設され、ファンからの送風により当該冷却液循環流路内を流通する冷却液を大気との間で熱交換させ放熱可能なラジエータとを具備したオゾン水生成装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係るオゾン水生成装置の内部構成を示す正面透視図
【図2】同オゾン水生成装置の内部構成を示す平面透視図
【図3】同オゾン水生成装置における構成要素の接続状態を示す概略図
【図4】同オゾン水生成装置におけるオゾン発生手段を示す縦断面図
【図5】図4におけるV−V線断面図
【符号の説明】
【0032】
1 筐体
2 オゾン発生手段
3 電圧印加手段
4 オゾン溶解タンク
5 冷却液収容タンク
6 液位センサ
7 エジェクタ
8 ラジエータ
9 ファン
10 温度センサ
11 圧力センサ
O 酸素流通路
W1 第1冷却液流通路
W2 第2冷却液流通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に酸素を流通させる酸素流通路が形成されるとともに当該酸素流通路を挟んで対向した部位に電圧を印加して放電させることによりオゾンを発生させるオゾン発生手段を具備し、当該オゾン発生手段で発生したオゾンを水に溶解させてオゾン水を得るためのオゾン水生成装置において、
前記オゾン発生手段内に形成され、冷却液を流通可能な冷却液流通路と、
当該オゾン発生手段の冷却液流通路を流路の一部とした閉鎖型循環流路を成し、冷却液を循環して流通させ得る冷却液循環流路と、
該冷却液循環流路の途中に配設され、ファンからの送風により当該冷却液循環流路内を流通する冷却液を大気との間で熱交換させ放熱可能なラジエータと、
を備えたことを特徴とするオゾン水生成装置。
【請求項2】
前記冷却液循環流路には、冷却液を所定容量収容し得る冷却液収容タンクが配設されるとともに、当該冷却液収容タンクが前記オゾン発生手段よりも下方に設置されたことを特徴とする請求項1記載のオゾン水生成装置。
【請求項3】
前記オゾン発生手段は、その酸素流通路が上下に延びる如く縦方向に設置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のオゾン水生成装置。
【請求項4】
前記オゾン発生手段で発生したオゾンを水と溶解した状態で所定量収容し得るオゾン溶解タンクを具備し、当該オゾン溶解タンクの気層側と前記オゾン発生手段の酸素流通路とを連結するとともに、当該オゾン溶解タンク内の液位が所定より上昇したことを検知すると前記酸素流通路に酸素を供給することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のオゾン水生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−68218(P2008−68218A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250242(P2006−250242)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(592245904)株式会社ハマネツ (11)
【Fターム(参考)】